JP2004196676A - 点鼻剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズル部の汚染が防止された点鼻剤の提供。
【解決手段】シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の特定のテルペノイド化合物を含有する液剤を点鼻用容器に充填することによって点鼻用容器のノズル部における汚染が防止された点鼻剤を提供することができる。
【選択図】なし
【解決手段】シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の特定のテルペノイド化合物を含有する液剤を点鼻用容器に充填することによって点鼻用容器のノズル部における汚染が防止された点鼻剤を提供することができる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、点鼻剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
鼻腔内に適用して用いられる点鼻剤としては、例えば、花粉やハウスダストなどに対する鼻アレルギーの症状を改善する為の対症療法として、鼻炎用医薬品である点鼻剤(鼻アレルギー診療ガイドブック、形浦昭克他編、南江堂、1994など)や、鼻腔内の異物を除去するための鼻洗浄剤(鼻洗浄液ともいう)等が知られている。
これらの点鼻剤は、鼻腔内の隅々にまで薬物を適用、または鼻腔内を隅々まで洗浄するために、滴下式あるいはスプレー式の点鼻用容器に充填されており、また容器の先端部には、鼻腔内に挿入して用いるための細い形状をしたノズル部が設けられている。
【0003】
点鼻剤は、通常、一度に使いきることなく複数回使用することができ、かつ、使用者が簡単に点鼻することができるように形状や内部構造に工夫が施され、点鼻用容器先端部の細いノズル部の内部には、液剤が容器から鼻腔内に排出される細い液剤の流路が設けられている。点鼻剤を適用する際には、鼻腔内にノズル部を挿入して液剤を噴射排出するので、ノズル部先端から雑菌や異物が入り込み、ノズル内部の流路が汚染されてしまうという問題があった。液剤の流路が汚染されると、ノズル部内部やその周辺に設けられた細部構造にわたって雑菌汚染が拡大したり、腐敗臭の原因となったり、また腐敗物の影響によりノズルから噴射される液剤の液滴の大きさや形状が所定のものと変化してしまったりする。さらに、ノズル部形状が細長い場合やセンターポストチップをノズル内部に設けた場合にはノズル内部の空隙は極めて狭くなるので、液剤が滞留して流路汚染が助長される。また、ノズル部の材質として汎用されているプラスチックは、雑菌が繁殖しやすく、一層の注意が必要であった。
【0004】
そこで、点鼻剤には塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラベンなどの防腐剤が配合されてはいるが、かかる防腐剤は点鼻剤の液剤の保存安定性を保持する目的で添加されているに過ぎず、例えばノズル部を有する点鼻用容器に充填して長期的に繰り返し使用した場合に起こる上記したようなノズル部の汚染を十分に防止できるものではなかった(特許文献1等)。また、雑菌の繁殖を防止するために抗菌剤を混合した抗菌性プラスチックを用いることが知られているが、液剤が滞留してしまう特殊な内部構造をもつ点鼻用容器においては十分な効果は発揮されなかった。また、液剤中に強力な抗菌剤を多量に添加することも考え得るが、鼻腔内に適用する液剤では、ノズルから射出された液剤が鼻腔内の粘膜に直接接触することから、強力な抗菌剤を液剤中に多量に配合することは、安全性や刺激性の面から好ましくない。
【0005】
【先行技術の開示】
【特許文献1等】
特開2001−354549号公報
特開2002−3404号公報
特開2000−19426号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
鼻腔内に適用する点鼻剤において、鼻腔内に挿入して使用されるノズル部の汚染を防止することができ、安全性が高く鼻腔内への刺激の無い点鼻剤を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討した結果、シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の特定のテルペノイド化合物に、点鼻用容器に設けられたノズル部の汚染を防止する効果があること、また、シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の特定のテルペノイド化合物とメントールとを、重量比で特定のテルペノイド化合物の総量1重量部に対してメントールが0.5〜5重量部の範囲となるよう含有することによって、ノズル部の汚染を防止する効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)に示す点鼻剤である。
(1)シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のテルペノイド化合物を含有する液剤を点鼻用容器に充填してなる点鼻剤、
(2)テルペノイド化合物が、液剤全体に対して0.00001〜0.1%(W/V)の範囲である(1)に記載の点鼻剤、
(3)i)シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のテルペノイド化合物と、ii)メントールとを、重量比でi)が1重量部に対してii)が0.5〜10重量部の範囲で含有する液剤を点鼻用容器に充填してなる点鼻剤、
(4)i)テルペノイド化合物とii)メントールが、液剤全体に対して0.00001〜0.1%(W/V)の範囲である(3)に記載の点鼻剤、
(5)さらに、塩化ベンザルコニウム及び/または塩化ベンゼトニウムを含有する(1)乃至(4)に記載の点鼻剤、
(6)さらに、HLB11以上の非イオン性界面活性剤を含有する(1)乃至(5)のいずれかに記載の点鼻剤、
(7)非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/またはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである(6)に記載の点鼻剤、
(8)プラスチック製ノズル部を有した点鼻用容器に充填されている点鼻剤である(1)乃至(7)のいずれかに記載の点鼻剤、
(9)液剤のpHが4〜9である(1)乃至(8)のいずれかに記載の点鼻剤、
(10)液剤の粘度が0.9〜3.0mPa・sである(1)乃至(9)のいずれかに記載の点鼻剤、
(11)鼻洗浄剤である(1)乃至(10)のいずれかに記載の点鼻剤。
【0009】
本発明においては、特定のテルペノイド化合物に点鼻用容器のノズル部の汚染を防止する効果があることが見出された。かかる特定のテルペノイド化合物は、シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール、カルボンである。本発明では、シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選択されるテルペノイドを1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも好ましい特定のテルペノイド化合物は、シネオール、メントン、メンチルアセテートである。2種以上組み合わせて用いる場合に好ましい組み合わせとしては、シネオール、メントン及びメンチルアセテートの組み合わせ、シネオール及びメントンの組み合わせ、シネオール及びメンチルアセテートの組み合わせ、メントン及びメンチルアセテートの組み合わせ、ボルネオール、シネオール及びメントンの組み合わせ、ボルネオール、シネオール及びメンチルアセテートの組み合わせ、ボルネオール、メントン及びメンチルアセテートの組み合わせが挙げられる。
【0010】
本発明の特定のテルペノイド化合物を1種または2種以上組み合わせて用いた総量は、通常、点鼻剤の内容物である液剤全体に対して0.00001〜0.1%(W/V)で使用でき、好ましくは0.0001〜0.05%(W/V)、より好ましくは、0.001〜0.05%(W/V)である。特定のテルペノイド化合物の総量が少なすぎると、ノズル汚染防止効果が弱くなる傾向があり、また多すぎると鼻腔粘膜への刺激性が強くなったり、析出して製品価値が低下するなどの問題が生じやすくなる。なお、本明細書においては、以下特に言及しない限り「%」は「%(W/V)」を意味するものとする。
【0011】
また、本発明においては、特定のテルペノイド化合物とメントールを特定の重量比で配合した点鼻剤において点鼻用容器のノズル部の汚染を防止する効果があることが見出された。すなわち、シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の特定のテルペノイド化合物と、メントールとを、重量比でシネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の特定のテルペノイド化合物の総量1重量部に対してメントールが0.5〜10重量部の範囲で点鼻用容器に含有することによって、本発明の効果が奏される。また、好ましくは0.5〜8重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。これらの特定のテルペノイド化合物のなかで特に好ましい化合物は、シネオール、メントン、メンチルアセテートである。メントールと共に特定のテルペノイド化合物を2種以上組み合わせて用いる場合にはメントールとシネオール、メントン及びメンチルアセテートの組み合わせ、メントールとシネオール及びメントンの組み合わせ、メントールとシネオール及びメンチルアセテートの組み合わせ、メントールとメントン及びメンチルアセテートの組み合わせ、メントールとボルネオール、シネオール及びメントンの組み合わせ、メントールとボルネオール、シネオール及びメンチルアセテートの組み合わせ、メントールとボルネオール、メントン及びメンチルアセテートの組み合わせ組み合わせ挙げられる。
【0012】
この場合において、特定のテルペノイド化合物を1種または2種以上を用いた総量は、通常、点鼻剤の内容物である液剤全体に対して0.00001〜0.05%で使用でき、好ましくは0.0001〜0.03%、より好ましくは、0.001〜0.01%である。特定のテルペノイド化合物がすくなすぎると、ノズル汚染防止効果が弱くなる傾向があり、また多すぎると鼻腔粘膜への刺激性が強くなったり、析出して製品価値が低下するなどの問題が生じやすくなる。
特定のテルペノイド化合物及びメントールを組み合わせて用いた総量は、通常、点鼻剤の内容物である液剤全体に対して0.00001〜0.1%で使用でき、好ましくは0.0001〜0.05%、より好ましくは、0.001〜0.03%、特に好ましくは0.01〜0.03%である。特定のテルペノイド化合物及びメントールの総量がすくなすぎると、ノズル汚染防止効果が弱くなる傾向があり、また多すぎると鼻腔粘膜への刺激性が強くなったり、析出して製品価値が低下するなどの問題が生じやすくなる。
【0013】
本発明における特定のテルペノイド化合物及びメントールは、植物から抽出した天然物または、化学合成した合成品を用いることができ、光学異性体の存在するものにあってはそのいずれでも差し支えない。また、植物からテルペノイドを単離精製して用いることなく、ユーカリ油、ペパーミント油、和種薄荷油、洋種薄荷油、ミドリ薄荷油、ヒノキ油、スギ油、クロモジ油、レモン油などの精油の形で用いても良い。
【0014】
本発明の点鼻剤は、点鼻用容器のノズル部に汚染の生じない点鼻剤である。本発明の点鼻用容器は、その容器内部に液剤を充填することができ、滴下式、スプレー式等の種々の様式によって液剤を鼻腔内粘膜に適用するのに適した容器であればよく、点鼻用容器には液剤を鼻腔内に適用するための機構が設けられている。例えば、滴下式容器には、容器本体のスクイズ性を高めてあるスクイズ式容器等がある。スプレー式容器には、容器に付属されたポンプを手動で動かして液剤を噴出する機構のある手動ポンプ式点鼻用容器、圧縮ガス(空気や酸素、窒素、炭酸や、混合ガス)等の噴射剤を容器内に充填しておいて容器に付属して設けた弁を動かして液剤を自動噴出する機構のあるエアゾール式点鼻用容器などがある。また、容器内に更にプラスチック等の材質で製された袋を収容した二重容器を利用することもできる。本発明では、携帯に便利であり小型で点鼻しやすいことから、スプレー式点鼻用容器が好ましい。
【0015】
本発明の点鼻用容器は、鼻腔内粘膜へ液剤の適用ができるように容器の先端に通常細い形状をしたノズル部を有している。ノズル部は、通常、容器上部から延出して設けられ、細い形状の内部に液剤の流路が形成され、またノズル部先端には液剤噴出口が設けられている。この液剤の流路孔径は、通常0.03mm〜3.0mm程度であり、特に噴出口部分ではの流路孔径は通常0.3〜0.6mm程度である。さらに、液剤噴出量や噴出した液滴の形状や大きさを調整するための、センターポストチップを内蔵してもよい。そして、ノズル部は、少なくともその最内層をプラスチック樹脂で構成することができる。本発明に特に好適な樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂であり、好ましくは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂である。ノズル部は部分的に異なる樹脂から形成されていてもよく(例えば、噴出口部分はポリアセタール樹脂であり、それ以外のノズル部はポリエチレン樹脂等)、またこれらの樹脂の混合樹脂によって形成されていてもよい。
【0016】
本発明の点鼻剤は、さらに塩化ベンザルコニウム及び/または塩化ベンゼトニウムを液剤中に含有することによってノズル部汚染を防止する効果を高めることができる。また、洗浄効果が高まるので本発明の点鼻剤を鼻洗浄剤に好適に用いることができる。塩化ベンザルコニウム及び/または塩化ベンゼトニウムの総量は、通常液剤中に、0.0005〜0.05%配合することができ、好ましくは0.001〜0.015%、より好ましくは0.002〜0.008%である。
【0017】
本発明の点鼻剤は、さらにHLB11以上の非イオン性界面剤を液剤中に含有することによってノズル部汚染を防止する効果が高めることができる。また、洗浄効果が高まるので本発明の点鼻剤を鼻洗浄剤に好適に用いることができる。HLB11以上非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル(モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(モノステアリン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等)、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(モノラウリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット等)、ポリオキシエチレンヒマシ油(ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)ヒマシ油等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレン(4.2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル等)等が挙げられる。
好ましくは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、特に好ましくは、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンである。なお、これらの非イオン性界面活性剤は1種又は2種以上組み合わせて含有してもよい。
非イオン性界面活性剤の総量は、通常、液剤中に0.0005〜0.1%、好ましくは0.001〜0.05%、特に好ましくは、0.005〜0.1%である。非イオン性界面活性剤の総量が少なすぎると、ノズルの汚染防止効果を増強する効果が弱くなる傾向があり、また多すぎると鼻腔粘膜への刺激性が強くなったり、鼻洗浄剤の防腐力を低下させたりするなどの問題が生じる。
【0018】
本発明の点鼻剤に用いられる液剤の粘度は、限定されるものではなく点鼻用容器から噴出される速度や液滴の径によって適宜調製することが可能であるが、0.9mPa・s〜3.0mPa・s程度、より好ましくは1.0mPa・s〜2.0mPa・s程度に調製することが好適である。粘度がこれ以上高くなるとノズルの汚染を防止することが難しくなりやすく、これ以上低くなると、点鼻した際に鼻腔内に滞留が難しくなりやすい。
【0019】
本発明の点鼻剤は、鼻腔粘膜に適用した場合に不快な刺激を生じにくくするために、点鼻剤の浸透圧を調製することができる。浸透圧を調製する場合には、例えばグリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコール、ブトウ糖、マンニトール、ソルビトールなどの糖類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、チオ硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの無機塩類等を用いて調製することができるが、なかでも、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を用いて浸透圧を調製すると、ノズル部における腐敗をより抑制することができる点で好適である。かかるアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて適宜用いることができ、通常鼻洗浄剤中に0.5〜2.0%配合することができ、好ましくは0.60〜1.2%、より好ましくは0.65〜0.95%である。アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の濃度が少なすぎると刺激感の増大や洗浄効果の低下が生じ、多過ぎると鼻腔粘膜への刺激性が強くなったり、析出したりして問題が出る。
【0020】
本発明の点鼻剤は、鼻腔粘膜に適用した場合に不快な刺激を生じにくくするために、液剤のpHを調整することができ、通常4.0〜9.0、好ましくは、4.5〜7.5、より好ましくは4.0〜7.0である。pHを調整する場合には、公知のpH調整剤を用いることができる。
【0021】
さらに、本発明の点鼻剤には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて点鼻剤に用いられる有効成分、防腐剤、香料、増粘剤(カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、保湿剤(グリセリン、各種植物抽出エキス等)等を挙げることができる。
【0022】
有効成分としては、点鼻剤に用いられる公知の有効成分であれば特に限定されることなく用いることができる。例えば甘草、紫根、セイヨウトチノキ、リドカイン、クロルフェニラミン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、クロロブタノール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、アラントイン、エピネフリン、エフェドリン、フェニレフリン、メチルエフェドリン、イプロヘプチン、ジフェンヒドラミン、アクリノール、セチルピリジニウム、硫酸亜鉛及びこれらの塩からなる群から選択される有効成分を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
防腐剤としては、例えばグルコン酸クロルヘキシジン、アクリノール、塩化セチルピリジニウム、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム及びフェノキシエタノールからなる群から選択される防腐剤を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、本発明の点鼻剤においては、特定のテルペノイド化合物または、特定のテルペノイド化合物及びメントールを含有することによってノズルの汚染を防止することができるが、内容液剤の保存安定性や、抗菌スペクトル拡大といった目的のため、公知の防腐剤をさらに添加してもよい。
【0023】
香料としては、テルピネオール、カジネン、アネソール、フェランドレン、サフロール、オイゲノール、カンフル、リナロール、シンナムアルデヒド、ゲラニオール、シトロネロール、リモネン、ネロール、エストラゴール、メントール、パチョリアルコール、チモール、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、ジャスモン、インドール、ミントラクトン、ピペリトン、オクタノール、ミルテノール、カルバクロール、エチルフラン、オシメン、シネオール、ファルネソール、グアイオール、サンタロール、クミンアルデヒド、セドロール、サンタロール、ツヨプセン、グロブロール、セドレン、エピグロブロール及び精油等からなる群から選択される香料を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明の点鼻剤においては、特定のテルペノイド化合物または、特定のテルペノイド化合物及びメントールを含有することによって点鼻剤に清涼感が付与されているが、多様な嗜好に対応するためにこれらの他の香料をさらに添加してもよい。
【0024】
本発明の点鼻剤の製造方法は、特に制限されるものではなく公知の方法によって製造することができる。例えば、上記各成分を、常法により水または温水中、必要に応じて油性基剤中に、溶解・懸濁させた後、pHや浸透圧などを適宜調整して液剤を製し、さらに必要に応じて無菌ろ過を行い、点鼻用容器に充填して製造することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の点鼻剤によれば、特定のテルペノイド化合物を含有することにより、点鼻剤を複数回反復使用した場合においても、鼻腔内に挿入して使用されるノズル部に生じる汚染が抑制され、また雑菌の増殖によって生じる悪臭を抑制することができる。また、本発明の点鼻剤によれば、特定のテルペノイド化合物とメントールを特定の重量比において含有することにより、点鼻剤を複数回反復使用した場合においても、ノズル部に生じる汚染が抑制され、また雑菌の増殖によって生じる悪臭を抑制することができる。しかも、強力な防腐剤を用いない本発明の点鼻剤は、安全性も高く刺激性もない。
また、本発明の点鼻剤には、さらに塩化ベンザルコニウム及び/又は塩化ベンゼトニウム、非イオン性界面活性剤を含有することができ、かかる点鼻剤はノズル部に生じる汚染が抑制されるのみならず、洗浄効果に優れており、特に鼻洗浄剤に好適に用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記において特に言及しない限り、各成分の配合量は%(W/V)で示されるものとする。
【0027】
試験例1 ノズル部の汚染防止試験
表1及び2に記載される処方に従って、点鼻剤(比較例及び実施例)を調製した。具体的には、各処方に記載の成分を混合し加熱条件下で攪拌溶解した液剤をノズル部を有する手動ポンプ式点鼻用容器に各々10ml充填して各実施例及び比較例の点鼻剤を調製した。試験に用いた点鼻用容器のノズル部は、その最内層がポリエチレン樹脂で形成されており、先端噴出口の最内層がポリアセタール樹脂で形成されているものを用いた。点鼻用容器本体は褐色ガラス容器で形成させているものを用いた。
モニター20名に2週間の間、一日3回、3時間以上の間隔をあけて適用してもらった。試験に用いた手動ポンプ式点鼻用容器で液剤を副鼻腔内に適用するに際しては、ノズルの先を軽く鼻腔内に入れ、1回の適用で一度ずつフックを上下動させて液剤を副鼻腔内噴霧し、もう一方の鼻腔でも同じ操作を繰り返し、使用毎に容器先端に残った液剤を軽くふき取りキャップをしてもらった。モニターに2週間の間使用してもらった点鼻用容器は、37℃の恒温室に1日間又は1週間保存した後、各実施例又は試験例を噴霧して腐敗臭の有無を試験した。
点鼻剤の腐敗臭は、2週間使用したモニターにもう一度副鼻腔内に噴霧してもらい腐敗臭を評価した。各評価の基準は下記のとおりである。
◎:20名中、15名以上が腐敗臭はせず、臭いは良好と回答した。
○:20名中、10〜14名が腐敗臭はせず、臭いは良好と回答した。
△:20名中、5〜9名が腐敗臭はせず、臭いは良好と回答した。
×:20名中、4名未満が腐敗臭はせず、臭いは良好と回答した。
結果を表1及び表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
この試験からわかるように、比較例の点鼻剤は、鼻腔内に繰り返し適用して使用するうちに雑菌に汚染され腐敗臭を発生したのに対して、特定のテルペノイド類を含有する点鼻剤は、少なくとも最内層がポリエチレン樹脂及びポリアセタール樹脂からなるノズル部における腐敗臭の発生を防止することが示された。また、本発明の特定のテルペノイド及びメントールを特定重量比で含有する点鼻剤においても、ノズル部での腐敗臭の発生が防止できることが示された。
さらに、本発明の効果は、非イオン性界面活性剤及び/または塩化ベンザルコニウムをともに含有する点鼻剤において、増強されることが確認された。
【0031】
試験例2 ノズル部汚染防止試験
実施例20及び実施例21の点鼻剤を調製した。
実施例20の調製
シネオール1.5g、メントン0.2g、メンチルアセテート0.04g、メントール2.0g、塩化ナトリウム90g、プロピレングリコール50gを精製水10lに混合し加熱条件下で攪拌溶解し、エアゾール式点鼻用容器に各々230ml充填し、さらに圧縮空気を容器内圧力0.80MPaとなるように充填して各点鼻剤を調製した。用いた点鼻用容器は、上部にボタンが設けられボタンの一部がノズル部を形成している。容器のノズル部は、その最内層がポリエチレン樹脂で形成され、その内部にセンターポストチップを有し、ノズル部の噴出口最内層がポリアセタール樹脂で形成され噴出孔径が0.45mmである。充填した液剤のpHは5.2(25℃)、粘度は1.0mPa・s(25℃、日本薬局方の粘度測定法に準じてE型粘度計で測定)、噴射時の平均粒径(最頻度径を東日コンピューターLDSA−3400Aで測定)は48.5μmであった。
実施例21の調製
シネオール0.1g、メントン0.04g、メンチルアセテート0.01g、ボルネオール0.2g、カルボン0.02g、カンフル0.2g、塩化ナトリウム90g、プロピレングリコール50gを精製水10lに混合し加熱条件下で攪拌溶解し、エアゾール式点鼻用容器に各々230mlと、圧縮空気を容器内圧力0.90MPaとなるように充填して各点鼻剤を調製した。用いた点鼻用容器は、上部にボタンが設けられボタンの一部がノズル部を形成している。容器のノズル部は、その最内層がポリエチレン樹脂で形成され、その内部にセンターポストチップを有し、ノズル部の噴出口最内層がポリアセタール樹脂で形成され噴出口径が0.45mmである。液剤のpHは5.3(25℃)、粘度は1.0mPa・s(25℃、日本薬局方の粘度測定法に準じてE型粘度計で測定)、噴射時の粒径(最頻度径を東日コンピューターLDSA−3400Aで測定)は、48.0μmであった。
【0032】
調製した実施例20及び21の点鼻剤を、モニター20名に2週間の間、一日3回、3時間以上の間隔をあけて適用してもらった。試験に用いたエアゾール式点鼻用容器で液剤を副鼻腔内に適用するに際しては、ノズルの先を軽く鼻腔内に入れ、1回の適用で一秒ずつボタンを下方向に押して液剤を副鼻腔内に噴霧し、もう一方の鼻腔でも同じ操作を繰り返し、使用毎に容器先端に残った液剤を軽くふき取りキャップをしてもらった。2週間の間使用した点鼻用容器は、37℃の恒温室に1週間保存した後、実施例20及び実施例21を噴霧して腐敗臭の有無を試験した。
評価試験は、試験例1と同様の方法及び基準を用いて評価したところ、実施例20は「◎」、実施例21は「○」であった。また、1週間保存後に点鼻剤の噴射時の粒径を測定すると、実施例1が48.5μm(最頻度径)、実施例2が48.0μm(最頻度径)と2週間の使用前と変化がなかった。
【0033】
試験例2からわかるように、点鼻用容器が圧縮空気を充填したエアゾール式点鼻用容器である場合にも、最内層がポリエチレン樹脂及びポリアセタール樹脂から作られたノズル部における腐敗臭を防止することが示された。さらに、噴射される液剤の液滴の大きさにも変化がなく、ノズル内部につまり等が生じていないことが示された。圧縮ガスなどを内部に充填したエアゾール式容器では、容器本体内側からの圧力によって、鼻から吸い込んだ鼻汁やホコリなどに汚染された液剤が容器本体内側に逆流することなくノズル部内部の狭い流路に貯留されたままの状態となる。そのため、汚染による腐敗臭が発生したり、ノズルのつまりが生じやすいが、本発明の点鼻剤では手動ポンプ式点鼻用容器のみならず、エアゾール式点鼻用容器においても汚染が十分に抑制されていることが確認された。
【0034】
試験例3 洗浄力試験
表1及び2に示す実施例9、10、16〜19並びに比較例3の各液剤、さらに対照として比較例4(精製水100ml)を用いて洗浄力試験を行った。洗浄力試験の方法は次の通りである。花粉を付着させたスライドグラスを、各点鼻剤の液剤を100mlずついれたビーカー中に緩やかに浸漬させ、10回上下移動させて洗浄を行った。その後スライドグラス上に残った花粉の数を顕微鏡で計測して、各点鼻剤の液剤について洗浄力を評価した。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
この結果からわかるように、特定のテルペノイド化合物を含有する本発明の点鼻剤に更に塩化ベンザルコニウム又は非イオン性界面活性剤を含有することによって、洗浄効果が高まっており、特に鼻洗浄剤に有用であることが確認された。
また、特定のテルペノイド化合物とともにメントールとを、特定の重量比で含有する本発明の点鼻剤に更に塩化ベンザルコニウム及び/又は非イオン性界面活性剤を含有することによって、洗浄効果が高まっており、特に鼻洗浄剤に有用であることが確認された。
【発明の属する技術分野】
本発明は、点鼻剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
鼻腔内に適用して用いられる点鼻剤としては、例えば、花粉やハウスダストなどに対する鼻アレルギーの症状を改善する為の対症療法として、鼻炎用医薬品である点鼻剤(鼻アレルギー診療ガイドブック、形浦昭克他編、南江堂、1994など)や、鼻腔内の異物を除去するための鼻洗浄剤(鼻洗浄液ともいう)等が知られている。
これらの点鼻剤は、鼻腔内の隅々にまで薬物を適用、または鼻腔内を隅々まで洗浄するために、滴下式あるいはスプレー式の点鼻用容器に充填されており、また容器の先端部には、鼻腔内に挿入して用いるための細い形状をしたノズル部が設けられている。
【0003】
点鼻剤は、通常、一度に使いきることなく複数回使用することができ、かつ、使用者が簡単に点鼻することができるように形状や内部構造に工夫が施され、点鼻用容器先端部の細いノズル部の内部には、液剤が容器から鼻腔内に排出される細い液剤の流路が設けられている。点鼻剤を適用する際には、鼻腔内にノズル部を挿入して液剤を噴射排出するので、ノズル部先端から雑菌や異物が入り込み、ノズル内部の流路が汚染されてしまうという問題があった。液剤の流路が汚染されると、ノズル部内部やその周辺に設けられた細部構造にわたって雑菌汚染が拡大したり、腐敗臭の原因となったり、また腐敗物の影響によりノズルから噴射される液剤の液滴の大きさや形状が所定のものと変化してしまったりする。さらに、ノズル部形状が細長い場合やセンターポストチップをノズル内部に設けた場合にはノズル内部の空隙は極めて狭くなるので、液剤が滞留して流路汚染が助長される。また、ノズル部の材質として汎用されているプラスチックは、雑菌が繁殖しやすく、一層の注意が必要であった。
【0004】
そこで、点鼻剤には塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラベンなどの防腐剤が配合されてはいるが、かかる防腐剤は点鼻剤の液剤の保存安定性を保持する目的で添加されているに過ぎず、例えばノズル部を有する点鼻用容器に充填して長期的に繰り返し使用した場合に起こる上記したようなノズル部の汚染を十分に防止できるものではなかった(特許文献1等)。また、雑菌の繁殖を防止するために抗菌剤を混合した抗菌性プラスチックを用いることが知られているが、液剤が滞留してしまう特殊な内部構造をもつ点鼻用容器においては十分な効果は発揮されなかった。また、液剤中に強力な抗菌剤を多量に添加することも考え得るが、鼻腔内に適用する液剤では、ノズルから射出された液剤が鼻腔内の粘膜に直接接触することから、強力な抗菌剤を液剤中に多量に配合することは、安全性や刺激性の面から好ましくない。
【0005】
【先行技術の開示】
【特許文献1等】
特開2001−354549号公報
特開2002−3404号公報
特開2000−19426号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
鼻腔内に適用する点鼻剤において、鼻腔内に挿入して使用されるノズル部の汚染を防止することができ、安全性が高く鼻腔内への刺激の無い点鼻剤を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討した結果、シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の特定のテルペノイド化合物に、点鼻用容器に設けられたノズル部の汚染を防止する効果があること、また、シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の特定のテルペノイド化合物とメントールとを、重量比で特定のテルペノイド化合物の総量1重量部に対してメントールが0.5〜5重量部の範囲となるよう含有することによって、ノズル部の汚染を防止する効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)に示す点鼻剤である。
(1)シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のテルペノイド化合物を含有する液剤を点鼻用容器に充填してなる点鼻剤、
(2)テルペノイド化合物が、液剤全体に対して0.00001〜0.1%(W/V)の範囲である(1)に記載の点鼻剤、
(3)i)シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のテルペノイド化合物と、ii)メントールとを、重量比でi)が1重量部に対してii)が0.5〜10重量部の範囲で含有する液剤を点鼻用容器に充填してなる点鼻剤、
(4)i)テルペノイド化合物とii)メントールが、液剤全体に対して0.00001〜0.1%(W/V)の範囲である(3)に記載の点鼻剤、
(5)さらに、塩化ベンザルコニウム及び/または塩化ベンゼトニウムを含有する(1)乃至(4)に記載の点鼻剤、
(6)さらに、HLB11以上の非イオン性界面活性剤を含有する(1)乃至(5)のいずれかに記載の点鼻剤、
(7)非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/またはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである(6)に記載の点鼻剤、
(8)プラスチック製ノズル部を有した点鼻用容器に充填されている点鼻剤である(1)乃至(7)のいずれかに記載の点鼻剤、
(9)液剤のpHが4〜9である(1)乃至(8)のいずれかに記載の点鼻剤、
(10)液剤の粘度が0.9〜3.0mPa・sである(1)乃至(9)のいずれかに記載の点鼻剤、
(11)鼻洗浄剤である(1)乃至(10)のいずれかに記載の点鼻剤。
【0009】
本発明においては、特定のテルペノイド化合物に点鼻用容器のノズル部の汚染を防止する効果があることが見出された。かかる特定のテルペノイド化合物は、シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール、カルボンである。本発明では、シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選択されるテルペノイドを1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも好ましい特定のテルペノイド化合物は、シネオール、メントン、メンチルアセテートである。2種以上組み合わせて用いる場合に好ましい組み合わせとしては、シネオール、メントン及びメンチルアセテートの組み合わせ、シネオール及びメントンの組み合わせ、シネオール及びメンチルアセテートの組み合わせ、メントン及びメンチルアセテートの組み合わせ、ボルネオール、シネオール及びメントンの組み合わせ、ボルネオール、シネオール及びメンチルアセテートの組み合わせ、ボルネオール、メントン及びメンチルアセテートの組み合わせが挙げられる。
【0010】
本発明の特定のテルペノイド化合物を1種または2種以上組み合わせて用いた総量は、通常、点鼻剤の内容物である液剤全体に対して0.00001〜0.1%(W/V)で使用でき、好ましくは0.0001〜0.05%(W/V)、より好ましくは、0.001〜0.05%(W/V)である。特定のテルペノイド化合物の総量が少なすぎると、ノズル汚染防止効果が弱くなる傾向があり、また多すぎると鼻腔粘膜への刺激性が強くなったり、析出して製品価値が低下するなどの問題が生じやすくなる。なお、本明細書においては、以下特に言及しない限り「%」は「%(W/V)」を意味するものとする。
【0011】
また、本発明においては、特定のテルペノイド化合物とメントールを特定の重量比で配合した点鼻剤において点鼻用容器のノズル部の汚染を防止する効果があることが見出された。すなわち、シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の特定のテルペノイド化合物と、メントールとを、重量比でシネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の特定のテルペノイド化合物の総量1重量部に対してメントールが0.5〜10重量部の範囲で点鼻用容器に含有することによって、本発明の効果が奏される。また、好ましくは0.5〜8重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。これらの特定のテルペノイド化合物のなかで特に好ましい化合物は、シネオール、メントン、メンチルアセテートである。メントールと共に特定のテルペノイド化合物を2種以上組み合わせて用いる場合にはメントールとシネオール、メントン及びメンチルアセテートの組み合わせ、メントールとシネオール及びメントンの組み合わせ、メントールとシネオール及びメンチルアセテートの組み合わせ、メントールとメントン及びメンチルアセテートの組み合わせ、メントールとボルネオール、シネオール及びメントンの組み合わせ、メントールとボルネオール、シネオール及びメンチルアセテートの組み合わせ、メントールとボルネオール、メントン及びメンチルアセテートの組み合わせ組み合わせ挙げられる。
【0012】
この場合において、特定のテルペノイド化合物を1種または2種以上を用いた総量は、通常、点鼻剤の内容物である液剤全体に対して0.00001〜0.05%で使用でき、好ましくは0.0001〜0.03%、より好ましくは、0.001〜0.01%である。特定のテルペノイド化合物がすくなすぎると、ノズル汚染防止効果が弱くなる傾向があり、また多すぎると鼻腔粘膜への刺激性が強くなったり、析出して製品価値が低下するなどの問題が生じやすくなる。
特定のテルペノイド化合物及びメントールを組み合わせて用いた総量は、通常、点鼻剤の内容物である液剤全体に対して0.00001〜0.1%で使用でき、好ましくは0.0001〜0.05%、より好ましくは、0.001〜0.03%、特に好ましくは0.01〜0.03%である。特定のテルペノイド化合物及びメントールの総量がすくなすぎると、ノズル汚染防止効果が弱くなる傾向があり、また多すぎると鼻腔粘膜への刺激性が強くなったり、析出して製品価値が低下するなどの問題が生じやすくなる。
【0013】
本発明における特定のテルペノイド化合物及びメントールは、植物から抽出した天然物または、化学合成した合成品を用いることができ、光学異性体の存在するものにあってはそのいずれでも差し支えない。また、植物からテルペノイドを単離精製して用いることなく、ユーカリ油、ペパーミント油、和種薄荷油、洋種薄荷油、ミドリ薄荷油、ヒノキ油、スギ油、クロモジ油、レモン油などの精油の形で用いても良い。
【0014】
本発明の点鼻剤は、点鼻用容器のノズル部に汚染の生じない点鼻剤である。本発明の点鼻用容器は、その容器内部に液剤を充填することができ、滴下式、スプレー式等の種々の様式によって液剤を鼻腔内粘膜に適用するのに適した容器であればよく、点鼻用容器には液剤を鼻腔内に適用するための機構が設けられている。例えば、滴下式容器には、容器本体のスクイズ性を高めてあるスクイズ式容器等がある。スプレー式容器には、容器に付属されたポンプを手動で動かして液剤を噴出する機構のある手動ポンプ式点鼻用容器、圧縮ガス(空気や酸素、窒素、炭酸や、混合ガス)等の噴射剤を容器内に充填しておいて容器に付属して設けた弁を動かして液剤を自動噴出する機構のあるエアゾール式点鼻用容器などがある。また、容器内に更にプラスチック等の材質で製された袋を収容した二重容器を利用することもできる。本発明では、携帯に便利であり小型で点鼻しやすいことから、スプレー式点鼻用容器が好ましい。
【0015】
本発明の点鼻用容器は、鼻腔内粘膜へ液剤の適用ができるように容器の先端に通常細い形状をしたノズル部を有している。ノズル部は、通常、容器上部から延出して設けられ、細い形状の内部に液剤の流路が形成され、またノズル部先端には液剤噴出口が設けられている。この液剤の流路孔径は、通常0.03mm〜3.0mm程度であり、特に噴出口部分ではの流路孔径は通常0.3〜0.6mm程度である。さらに、液剤噴出量や噴出した液滴の形状や大きさを調整するための、センターポストチップを内蔵してもよい。そして、ノズル部は、少なくともその最内層をプラスチック樹脂で構成することができる。本発明に特に好適な樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂であり、好ましくは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂である。ノズル部は部分的に異なる樹脂から形成されていてもよく(例えば、噴出口部分はポリアセタール樹脂であり、それ以外のノズル部はポリエチレン樹脂等)、またこれらの樹脂の混合樹脂によって形成されていてもよい。
【0016】
本発明の点鼻剤は、さらに塩化ベンザルコニウム及び/または塩化ベンゼトニウムを液剤中に含有することによってノズル部汚染を防止する効果を高めることができる。また、洗浄効果が高まるので本発明の点鼻剤を鼻洗浄剤に好適に用いることができる。塩化ベンザルコニウム及び/または塩化ベンゼトニウムの総量は、通常液剤中に、0.0005〜0.05%配合することができ、好ましくは0.001〜0.015%、より好ましくは0.002〜0.008%である。
【0017】
本発明の点鼻剤は、さらにHLB11以上の非イオン性界面剤を液剤中に含有することによってノズル部汚染を防止する効果が高めることができる。また、洗浄効果が高まるので本発明の点鼻剤を鼻洗浄剤に好適に用いることができる。HLB11以上非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル(モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(モノステアリン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等)、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル(モノラウリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット等)、ポリオキシエチレンヒマシ油(ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)ヒマシ油等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレン(4.2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル等)等が挙げられる。
好ましくは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、特に好ましくは、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンである。なお、これらの非イオン性界面活性剤は1種又は2種以上組み合わせて含有してもよい。
非イオン性界面活性剤の総量は、通常、液剤中に0.0005〜0.1%、好ましくは0.001〜0.05%、特に好ましくは、0.005〜0.1%である。非イオン性界面活性剤の総量が少なすぎると、ノズルの汚染防止効果を増強する効果が弱くなる傾向があり、また多すぎると鼻腔粘膜への刺激性が強くなったり、鼻洗浄剤の防腐力を低下させたりするなどの問題が生じる。
【0018】
本発明の点鼻剤に用いられる液剤の粘度は、限定されるものではなく点鼻用容器から噴出される速度や液滴の径によって適宜調製することが可能であるが、0.9mPa・s〜3.0mPa・s程度、より好ましくは1.0mPa・s〜2.0mPa・s程度に調製することが好適である。粘度がこれ以上高くなるとノズルの汚染を防止することが難しくなりやすく、これ以上低くなると、点鼻した際に鼻腔内に滞留が難しくなりやすい。
【0019】
本発明の点鼻剤は、鼻腔粘膜に適用した場合に不快な刺激を生じにくくするために、点鼻剤の浸透圧を調製することができる。浸透圧を調製する場合には、例えばグリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコール、ブトウ糖、マンニトール、ソルビトールなどの糖類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、チオ硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの無機塩類等を用いて調製することができるが、なかでも、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物を用いて浸透圧を調製すると、ノズル部における腐敗をより抑制することができる点で好適である。かかるアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて適宜用いることができ、通常鼻洗浄剤中に0.5〜2.0%配合することができ、好ましくは0.60〜1.2%、より好ましくは0.65〜0.95%である。アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の濃度が少なすぎると刺激感の増大や洗浄効果の低下が生じ、多過ぎると鼻腔粘膜への刺激性が強くなったり、析出したりして問題が出る。
【0020】
本発明の点鼻剤は、鼻腔粘膜に適用した場合に不快な刺激を生じにくくするために、液剤のpHを調整することができ、通常4.0〜9.0、好ましくは、4.5〜7.5、より好ましくは4.0〜7.0である。pHを調整する場合には、公知のpH調整剤を用いることができる。
【0021】
さらに、本発明の点鼻剤には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて点鼻剤に用いられる有効成分、防腐剤、香料、増粘剤(カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、保湿剤(グリセリン、各種植物抽出エキス等)等を挙げることができる。
【0022】
有効成分としては、点鼻剤に用いられる公知の有効成分であれば特に限定されることなく用いることができる。例えば甘草、紫根、セイヨウトチノキ、リドカイン、クロルフェニラミン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、クロロブタノール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、アラントイン、エピネフリン、エフェドリン、フェニレフリン、メチルエフェドリン、イプロヘプチン、ジフェンヒドラミン、アクリノール、セチルピリジニウム、硫酸亜鉛及びこれらの塩からなる群から選択される有効成分を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
防腐剤としては、例えばグルコン酸クロルヘキシジン、アクリノール、塩化セチルピリジニウム、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム及びフェノキシエタノールからなる群から選択される防腐剤を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、本発明の点鼻剤においては、特定のテルペノイド化合物または、特定のテルペノイド化合物及びメントールを含有することによってノズルの汚染を防止することができるが、内容液剤の保存安定性や、抗菌スペクトル拡大といった目的のため、公知の防腐剤をさらに添加してもよい。
【0023】
香料としては、テルピネオール、カジネン、アネソール、フェランドレン、サフロール、オイゲノール、カンフル、リナロール、シンナムアルデヒド、ゲラニオール、シトロネロール、リモネン、ネロール、エストラゴール、メントール、パチョリアルコール、チモール、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、ジャスモン、インドール、ミントラクトン、ピペリトン、オクタノール、ミルテノール、カルバクロール、エチルフラン、オシメン、シネオール、ファルネソール、グアイオール、サンタロール、クミンアルデヒド、セドロール、サンタロール、ツヨプセン、グロブロール、セドレン、エピグロブロール及び精油等からなる群から選択される香料を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明の点鼻剤においては、特定のテルペノイド化合物または、特定のテルペノイド化合物及びメントールを含有することによって点鼻剤に清涼感が付与されているが、多様な嗜好に対応するためにこれらの他の香料をさらに添加してもよい。
【0024】
本発明の点鼻剤の製造方法は、特に制限されるものではなく公知の方法によって製造することができる。例えば、上記各成分を、常法により水または温水中、必要に応じて油性基剤中に、溶解・懸濁させた後、pHや浸透圧などを適宜調整して液剤を製し、さらに必要に応じて無菌ろ過を行い、点鼻用容器に充填して製造することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の点鼻剤によれば、特定のテルペノイド化合物を含有することにより、点鼻剤を複数回反復使用した場合においても、鼻腔内に挿入して使用されるノズル部に生じる汚染が抑制され、また雑菌の増殖によって生じる悪臭を抑制することができる。また、本発明の点鼻剤によれば、特定のテルペノイド化合物とメントールを特定の重量比において含有することにより、点鼻剤を複数回反復使用した場合においても、ノズル部に生じる汚染が抑制され、また雑菌の増殖によって生じる悪臭を抑制することができる。しかも、強力な防腐剤を用いない本発明の点鼻剤は、安全性も高く刺激性もない。
また、本発明の点鼻剤には、さらに塩化ベンザルコニウム及び/又は塩化ベンゼトニウム、非イオン性界面活性剤を含有することができ、かかる点鼻剤はノズル部に生じる汚染が抑制されるのみならず、洗浄効果に優れており、特に鼻洗浄剤に好適に用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記において特に言及しない限り、各成分の配合量は%(W/V)で示されるものとする。
【0027】
試験例1 ノズル部の汚染防止試験
表1及び2に記載される処方に従って、点鼻剤(比較例及び実施例)を調製した。具体的には、各処方に記載の成分を混合し加熱条件下で攪拌溶解した液剤をノズル部を有する手動ポンプ式点鼻用容器に各々10ml充填して各実施例及び比較例の点鼻剤を調製した。試験に用いた点鼻用容器のノズル部は、その最内層がポリエチレン樹脂で形成されており、先端噴出口の最内層がポリアセタール樹脂で形成されているものを用いた。点鼻用容器本体は褐色ガラス容器で形成させているものを用いた。
モニター20名に2週間の間、一日3回、3時間以上の間隔をあけて適用してもらった。試験に用いた手動ポンプ式点鼻用容器で液剤を副鼻腔内に適用するに際しては、ノズルの先を軽く鼻腔内に入れ、1回の適用で一度ずつフックを上下動させて液剤を副鼻腔内噴霧し、もう一方の鼻腔でも同じ操作を繰り返し、使用毎に容器先端に残った液剤を軽くふき取りキャップをしてもらった。モニターに2週間の間使用してもらった点鼻用容器は、37℃の恒温室に1日間又は1週間保存した後、各実施例又は試験例を噴霧して腐敗臭の有無を試験した。
点鼻剤の腐敗臭は、2週間使用したモニターにもう一度副鼻腔内に噴霧してもらい腐敗臭を評価した。各評価の基準は下記のとおりである。
◎:20名中、15名以上が腐敗臭はせず、臭いは良好と回答した。
○:20名中、10〜14名が腐敗臭はせず、臭いは良好と回答した。
△:20名中、5〜9名が腐敗臭はせず、臭いは良好と回答した。
×:20名中、4名未満が腐敗臭はせず、臭いは良好と回答した。
結果を表1及び表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
この試験からわかるように、比較例の点鼻剤は、鼻腔内に繰り返し適用して使用するうちに雑菌に汚染され腐敗臭を発生したのに対して、特定のテルペノイド類を含有する点鼻剤は、少なくとも最内層がポリエチレン樹脂及びポリアセタール樹脂からなるノズル部における腐敗臭の発生を防止することが示された。また、本発明の特定のテルペノイド及びメントールを特定重量比で含有する点鼻剤においても、ノズル部での腐敗臭の発生が防止できることが示された。
さらに、本発明の効果は、非イオン性界面活性剤及び/または塩化ベンザルコニウムをともに含有する点鼻剤において、増強されることが確認された。
【0031】
試験例2 ノズル部汚染防止試験
実施例20及び実施例21の点鼻剤を調製した。
実施例20の調製
シネオール1.5g、メントン0.2g、メンチルアセテート0.04g、メントール2.0g、塩化ナトリウム90g、プロピレングリコール50gを精製水10lに混合し加熱条件下で攪拌溶解し、エアゾール式点鼻用容器に各々230ml充填し、さらに圧縮空気を容器内圧力0.80MPaとなるように充填して各点鼻剤を調製した。用いた点鼻用容器は、上部にボタンが設けられボタンの一部がノズル部を形成している。容器のノズル部は、その最内層がポリエチレン樹脂で形成され、その内部にセンターポストチップを有し、ノズル部の噴出口最内層がポリアセタール樹脂で形成され噴出孔径が0.45mmである。充填した液剤のpHは5.2(25℃)、粘度は1.0mPa・s(25℃、日本薬局方の粘度測定法に準じてE型粘度計で測定)、噴射時の平均粒径(最頻度径を東日コンピューターLDSA−3400Aで測定)は48.5μmであった。
実施例21の調製
シネオール0.1g、メントン0.04g、メンチルアセテート0.01g、ボルネオール0.2g、カルボン0.02g、カンフル0.2g、塩化ナトリウム90g、プロピレングリコール50gを精製水10lに混合し加熱条件下で攪拌溶解し、エアゾール式点鼻用容器に各々230mlと、圧縮空気を容器内圧力0.90MPaとなるように充填して各点鼻剤を調製した。用いた点鼻用容器は、上部にボタンが設けられボタンの一部がノズル部を形成している。容器のノズル部は、その最内層がポリエチレン樹脂で形成され、その内部にセンターポストチップを有し、ノズル部の噴出口最内層がポリアセタール樹脂で形成され噴出口径が0.45mmである。液剤のpHは5.3(25℃)、粘度は1.0mPa・s(25℃、日本薬局方の粘度測定法に準じてE型粘度計で測定)、噴射時の粒径(最頻度径を東日コンピューターLDSA−3400Aで測定)は、48.0μmであった。
【0032】
調製した実施例20及び21の点鼻剤を、モニター20名に2週間の間、一日3回、3時間以上の間隔をあけて適用してもらった。試験に用いたエアゾール式点鼻用容器で液剤を副鼻腔内に適用するに際しては、ノズルの先を軽く鼻腔内に入れ、1回の適用で一秒ずつボタンを下方向に押して液剤を副鼻腔内に噴霧し、もう一方の鼻腔でも同じ操作を繰り返し、使用毎に容器先端に残った液剤を軽くふき取りキャップをしてもらった。2週間の間使用した点鼻用容器は、37℃の恒温室に1週間保存した後、実施例20及び実施例21を噴霧して腐敗臭の有無を試験した。
評価試験は、試験例1と同様の方法及び基準を用いて評価したところ、実施例20は「◎」、実施例21は「○」であった。また、1週間保存後に点鼻剤の噴射時の粒径を測定すると、実施例1が48.5μm(最頻度径)、実施例2が48.0μm(最頻度径)と2週間の使用前と変化がなかった。
【0033】
試験例2からわかるように、点鼻用容器が圧縮空気を充填したエアゾール式点鼻用容器である場合にも、最内層がポリエチレン樹脂及びポリアセタール樹脂から作られたノズル部における腐敗臭を防止することが示された。さらに、噴射される液剤の液滴の大きさにも変化がなく、ノズル内部につまり等が生じていないことが示された。圧縮ガスなどを内部に充填したエアゾール式容器では、容器本体内側からの圧力によって、鼻から吸い込んだ鼻汁やホコリなどに汚染された液剤が容器本体内側に逆流することなくノズル部内部の狭い流路に貯留されたままの状態となる。そのため、汚染による腐敗臭が発生したり、ノズルのつまりが生じやすいが、本発明の点鼻剤では手動ポンプ式点鼻用容器のみならず、エアゾール式点鼻用容器においても汚染が十分に抑制されていることが確認された。
【0034】
試験例3 洗浄力試験
表1及び2に示す実施例9、10、16〜19並びに比較例3の各液剤、さらに対照として比較例4(精製水100ml)を用いて洗浄力試験を行った。洗浄力試験の方法は次の通りである。花粉を付着させたスライドグラスを、各点鼻剤の液剤を100mlずついれたビーカー中に緩やかに浸漬させ、10回上下移動させて洗浄を行った。その後スライドグラス上に残った花粉の数を顕微鏡で計測して、各点鼻剤の液剤について洗浄力を評価した。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
この結果からわかるように、特定のテルペノイド化合物を含有する本発明の点鼻剤に更に塩化ベンザルコニウム又は非イオン性界面活性剤を含有することによって、洗浄効果が高まっており、特に鼻洗浄剤に有用であることが確認された。
また、特定のテルペノイド化合物とともにメントールとを、特定の重量比で含有する本発明の点鼻剤に更に塩化ベンザルコニウム及び/又は非イオン性界面活性剤を含有することによって、洗浄効果が高まっており、特に鼻洗浄剤に有用であることが確認された。
Claims (11)
- シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のテルペノイド化合物を含有する液剤を点鼻用容器に充填してなる点鼻剤。
- テルペノイド化合物が、液剤全体に対して0.00001〜0.1%(W/V)の範囲である請求項1に記載の点鼻剤。
- A)シネオール、イソプレゴール、メントン、プレゴン、メンチルアセテート、ピネン、ボルネオール及びカルボンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のテルペノイド化合物と、B)メントールとを、重量比でAが1重量部に対してBが0.5〜10重量部の範囲で含有する液剤を点鼻用容器に充填してなる点鼻剤。
- A)テルペノイド化合物とB)メントールが、液剤全体に対して0.00001〜0.1%(W/V)の範囲である請求項3に記載の点鼻剤。
- さらに、塩化ベンザルコニウム及び/又は塩化ベンゼトニウムを含有する請求項1乃至4に記載の点鼻剤。
- さらに、HLB11以上の非イオン性界面活性剤を含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の点鼻剤。
- 非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである請求項6に記載の点鼻剤。
- プラスチック製ノズル部を有した点鼻用容器に充填されている点鼻剤である請求項1乃至7のいずれかに記載の点鼻剤。
- 液剤のpHが4〜9である請求項1乃至8のいずれかに記載の点鼻剤。
- 液剤の粘度が0.9〜3.0mPa・sである請求項1乃至9のいずれかに記載の点鼻剤。
- 鼻洗浄剤である請求項1乃至10のいずれかに記載の点鼻剤。
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Cited By (2)
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JP2017525701A (ja) * | 2014-08-18 | 2017-09-07 | マリーア クレメンティーネ マルティン クロステルフラウ ベルトリーブスゲゼルシャフト エムベーハー | 経鼻適用のためのシネオール含有組成物 |
JP2020506930A (ja) * | 2017-02-02 | 2020-03-05 | オトラーヌム アーゲー | ベタヒスチンを含む鼻腔内組成物 |
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2002
- 2002-12-16 JP JP2002364473A patent/JP2004196676A/ja active Pending
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