JP2004195906A - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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弘之 植木
Mihoko Tani
美穂子 谷
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孝次 土井
Toshiki Yui
俊毅 由井
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Abstract

【課題】高耐光性、高耐水性、高速印字を満たしつつ、滲みの抑制、特に色間の滲み抑制を実現したインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することである。
【解決課題】電気信号に応じて記録ヘッドからインクを記録媒体上に吐出させて、一回のヘッド走査によって300dpiを越える解像度の画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクの少なくとも1種が、少なくとも色材と、2種以上の水溶性有機溶媒とを含み、且つ、高分子化合物を含むことを特徴とするインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、電気信号に応じてインクを吐出させて記録を行うインクジェット記録方法に関し、特に高印字品質、普通紙対応性等インクジェト記録の要求特性を充分満足するインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式の原理は、ノズル、スリットあるいは多孔質フィルム等から液体あるいは溶融固体インクを吐出し、紙、布、フィルム等に記録を行うものである。インクを吐出する方法については、静電誘引力を利用してインクを吐出させる、いわゆる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆるドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、高熱により気泡を形成、成長させることにより生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆる熱インクジェット方式等、各種の方式が提案されており、これらの方式により、極めて高精細の画像を得ることができる。
【0003】
例えば、特開平08−216386号公報には、 入力画像データにもとづいてインクと、前記インクと混合または接触することによりインクによる記録画像の記録性を向上させる記録性向上液をすくなくとも含む液体を記録媒体上に吐出して画像を記録すると共に、被記録媒体上に吐出するインクの画像データを演算することによって前記記録性向上液を少なくとも含む液体の吐出データを求める吐出データ演算手段を備えるインクジェット記録装置が提案されており、これより極めて高精細の画像を実現している。
【0004】
インクジェット記録方式に使用するインクとしては、各種の水溶性の染料を水と水溶性有機溶剤からなる液状媒体に溶解させた水性染料インク、各種の顔料を水と水溶性有機溶剤からなる液状媒体に分散させた水性顔料インク、油溶性染料を有機溶剤に溶解させた油性染料インク等が知られている。これらのインクの中でも、水性染料インクと水性顔料インクは、主溶媒が水であるため安全性に優れており、インクジェット記録用インクの主流となっている。
【0005】
インクジェット記録用インクには様々な特性が要求されており、(1)インクジェット記録ヘッドのノズルにおいて目詰まりを起こさないこと、(2)吐出安定性、周波数応答性があること、(3)長期放置後の吐出回復性が良好であること、(4)長期間保存しても析出物などを発生しないこと、(5)記録ヘッドなどのインクと接触する部材を腐食劣化させないこと、(6)良好な印字品質が得られること、(7)安全で不快な臭いがないこと等がある。
近年では、インクジェットプリンティング技術を用いて写真に近い品質の印字画像が必要とされており、高解像小ドロップのインクジェット記録方法による印字画像の高解像度化が進んでいる。さらに低騒音、低ランニングコストなどの利点からビジネス用途に広く普及し、電子写真方式のプリンタ以上の高速印字が望まれるようになった。そのため、高耐光性、高耐水性、高速印字、滲みの抑制、特に色間の滲み抑制などを満足するインクジェット記録方法及びこの記録方法に使用されるインクジェット記録用インクが要求される。高速印字に用いるにはインクの紙媒体上での乾燥性を速くする必要がある。特に印字後排出される紙媒体が先に排出された印字物と重なり、擦れることで印字面を汚すことがあってはならない。
【0006】
色間の滲みを抑制するにはできるだけ小さいインク滴を吐出し、印字データを複数のヘッド走査によって印字するように分割するなどの手法を用いることができるが、1ページあたりの印刷速度が低下するという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平08−216386号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなインクジェット記録方法に要求される種々の性能を同時に満足するインクジェット記録用インクは得られていない。
【0009】
そこで、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、インクジェット記録方法に要求される種々の性能を満足させるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置、すなわち、高耐光性、高耐水性、高速印字を満たしつつ、滲みの抑制、特に色間の滲み抑制を実現したインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
(1) 電気信号に応じて記録ヘッドからインクを記録媒体上に吐出させて、一回のヘッド走査によって300dpiを越える解像度の画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクの少なくとも1種が、少なくとも色材と、2種以上の水溶性有機溶媒とを含み、
且つ、高分子化合物を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
【0011】
(2) 前記色材が顔料であり、前記高分子化合物が親水基と疎水基を持つ樹脂であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録方法。
【0012】
(3) 前記高分子化合物の重量平均分子量が、3000〜25000の範囲にあることを特徴とする前記(1)又は(2)も記載のインクジェット記録方法。
【0013】
(4) 前記高分子化合物の添加量をR質量%とし、前記顔料の添加量P質量%としたとき、(式)0.2<R/P<5の関係を満たすことを特徴とする前記(2)又は(3)に記載のインクジェット記録方法。
【0014】
(5) インクの粒度分布が10〜150nmの範囲にある前記(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
【0015】
(6) 前記水溶性有機溶媒として、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
【0016】
(7) 前記多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、2,2’−チオジエタノールから選択される少なくとも1種であり、
前記グリコールエーテルが、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記(6)に記載のインクジェット記録方法。
【0017】
(8) 前記水溶性有機溶媒の含有量が3〜40質量%であり、且つインクの表面張力が28〜34mN/mであることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
【0018】
(9) 前記インクを用い、300dpi以上の解像度で印字された単色ベタ部分に別の紙を重ね、100g/cm2の加重を加えたとき、印字後2秒に色移りがないことを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
【0019】
(10) 電気信号に応じてインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドを有すると共に、一回のヘッド走査によって300dpiを越える解像度の画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記インクの少なくとも1種が、少なくとも色材と、2種以上の水溶性有機溶媒とを含み、
且つ、高分子化合物を含むことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0020】
(11) 前記色材が顔料であり、前記高分子化合物が親水基と疎水基を持つ樹脂であることを特徴とする前記(10)に記載のインクジェット記録装置。
【0021】
(12) 前記高分子化合物の重量平均分子量が、3000〜25000の範囲にあることを特徴とする前記(10)又は(11)に記載のインクジェット記録装置。
【0022】
(13) 前記高分子化合物の添加量をR質量%とし、前記顔料の添加量P質量%としたとき、(式)0.2<R/P<5の関係を満たすことを特徴とする前記(11)又は(12)に記載のインクジェット記録装置。
【0023】
(14) インクの粒度分布が10〜150nmの範囲にある前記(10)〜(13)のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0024】
(15) 前記水溶性有機溶媒として、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする前記(10)〜(14)のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0025】
(16) 前記多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、2,2’−チオジエタノールから選択される少なくとも1種であり、
前記グリコールエーテルが、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記(15)に記載のインクジェット記録装置。
【0026】
(17) 前記水溶性有機溶媒の含有量が3〜40質量%であり、且つインクの表面張力が28〜34mN/mであることを特徴とする前記(10)〜(16)のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0027】
(18) 前記インクを用い、300dpi以上の解像度で印字された単色ベタ部分に別の紙を重ね、100g/cm2の加重を加えたとき、印字後2秒に色移りがないことを特徴とする前記(10)〜(17)のいずれかに記載のインクジョット記録装置。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、電気信号に応じて記録ヘッドからインクを記録媒体上に吐出させて、一回のヘッド走査によって300dpiを越える解像度の画像を記録するインクジェット記録方法である。
【0029】
(インクジェット記録用インク)
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録用インク(以下、本発明のインクということがある)を構成する成分としては、少なくとも色材と、2種以上の水溶性有機溶媒とを含み、且つ、高分子化合物を含むことを特徴とするものであり、2種以上の有機溶剤及び当該高分子化合物を含むことで、優れた耐光性及び耐水性、並びに、優れたインク吐出特性及び速い乾燥性を付与されるため、上記特定のインクジェット記録方法で使用した場合、高耐光性、高耐水性、高速印字を満たしつつ、滲みの抑制、特に色間の滲み抑制を実現したものである。
【0030】
なお、本発明のインクの色は、特に制限は無く、例えば、黒色あるいは黒以外の他色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー)のいずれの色であってもよい。また、本発明のインクは、水を含め、その他必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、その他添加剤を適宜含有する。以下、各成分について説明する。
【0031】
−成分−
色材としては、顔料、染料が挙げられるが、本発明においては顔料が好適である。顔料を用いることで高耐光性、高耐水性を実現することができる。なお、色調調整のために顔料と染料を同時に用いてもよい。
【0032】
顔料は無機顔料、有機顔料のいずれも用いることができる。無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄やコンタクト法、ファーネスト法、サーマル法などの方法で製造されたカーボンブラックを使用することができる。例えばRaven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000ULTRA II、Raven3500、Raven2500ULTRA、Raven2000、Raven1500、Raven1255、Raven1250、Raven1200、Raven1190ULTRA II、Raven1170、Raven1080ULTRA、Raven1060ULTRA、Raven790ULTRA、Raven780ULTRA、Raven760ULTRA(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等があげられる。
【0033】
有機顔料としてはアゾ顔料、フタロシアニン顔料やアントラキノン顔料などの多環式顔料、ニトロ顔料、アニリンブラック、ニトロソ顔料などを用いることができる。顔料の替わりに分散染料を用いることも可能である。
【0034】
また、顔料としては、表面を酸化処理した自己分散性のカーボンブラックや有機顔料を色材として用いることも可能である。さらに、表面に高濃度に樹脂を吸着させた顔料を色材として用いることも可能である
【0035】
これらの色材の好ましい含有量は液媒体(有機溶剤)成分の種類、インクに要求される特性等に依存して決定されるが、一般にはインク全質量に対して3〜15質量%、好ましくは5〜10質量%の範囲である。
【0036】
水溶性有機溶媒は、2種以上使用されるが、2以上使用する理由は以下の通りである。記録ヘッドのノズル目詰まり、及び長期放置後の不吐出は、主にヘッドのノズル近傍にて、インク組成物である水及びその他の成分が蒸発することにより、次の現象が起きるためである。一つは色材が凝集・析出してノズルを閉塞又は詰まらせる、もう一つは保湿剤又は粘度調整剤として含まれる水溶性有機溶剤の濃度が高くなり、インクの粘度が急激に高くなり、インクを吐出するために大きなエネルギーが必要となる。インク組成物である水及びその他の成分の蒸発は、高沸点の水溶性有機溶媒の添加量を増やすことである程度抑制されるが、この場合はインクの粘度が上昇してしまい、その結果ノズル目詰まりや吐出安定性が不良になってしまう。このため、水溶性有機溶媒を2種以上併用することで、インク組成物である水及びその他の成分の蒸発や粘度を適宜調整して、インクの保湿性及び色材の溶解性を良好とさせ、目詰まり、インクジェット記録用インクの吐出安定性を維持し、さらに長期の保存に対しても色材の凝集・析出を防ぐ。
【0037】
水溶性有機溶媒には、一般的にインクジェット記録用インクに使用されているものはいずれも使用でき、特に多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる少なくとも1つを含有することがよい。これら水溶性有機溶媒をインクジェット記録用インクに含有すると、インクの保湿性及び色材の溶解性がさらに良好になり、目詰まり、インクジェット記録用インクの吐出安定性を維持し、さらに長期の保存に対しても色材の凝集・析出を防ぐことができる。特に、記録媒体(紙)への浸透性の観点からは、水溶性有機溶媒としてグリコールエーテルを含むことがよい。
【0038】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、さらにその中でも、色材の溶解安定性の点から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、2.2’−チオジエタノールが特に好ましい。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどから適宜選択することができ、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
【0039】
水溶性有機溶媒としては、上述した溶媒とは別に、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどから適宜選択することができる。使用量はインク全質量に対して1〜40質量%が好ましい。
【0040】
水溶性有機溶媒の全含有量は、インク全量に対して3〜40質量%であることが好ましい。前記水溶性有機溶剤の全含有量が3質量%未満であると、インクが乾燥、析出しやすくなり、ノズル目詰まり等の吐出不良を起こしやすくなり、一方、40質量%を越えると、インクの記録媒体(例えば紙)への定着性が悪く、またインクの粘度が高くなり吐出不良を起こしやすくなる。ノズル目詰まり防止、吐出安定性のバランスから、インクの全含有量は、インク全量に対して10.0〜35.0質量%がより好ましい。
【0041】
高分子化合物は、水に溶解又は分散するものであり、例えば、重合反応により得られる重合体や天然由来の樹脂等公知の水溶性樹脂やポリマーエマルションが使用できる。
【0042】
高分子化合物は、水に溶解又は分散させるために、親水基と疎水基を持つ樹脂であることがよい。具体的には、例えば、親水性基としてカルボキシル基を含む単量体を重合させた高分子化合物又はその塩が好ましく使用される。カルボン酸を含む単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル等が挙げられる。
【0043】
これらの親水性基を有する単量体の他、酸価等のポリマー特性の調整の為、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等の単量体やスルホン酸基、水酸基、ポリオキシエチレン等を有する単量体を共重合したものでもよい。
【0044】
このような酸性基をもつ高分子化合物は、その中和塩として使用されることが好ましい。中和は各種の塩基性物質により中和されるが、好ましくは、アルカリ金属の水酸化物を含む塩基性物質により中和される。アルカリ金属の水酸化物としては、NaOH、KOH、LiOHが挙げられるが、なかでもNaOHが好ましい。
【0045】
また、高分子化合物としては、上記以外にポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリNビニルアセトアミド、ポリエチレングリコール等の高分子化合物も使用できる。
【0046】
また、高分子化合物としては、他にアルギン酸等の天然由来の高分子化合物も使用できる。
【0047】
また、高分子化合物として、印字に影響しない範囲で造膜性を有する高分子化合物の方が好ましい。この場合、高分子化合物の最低造膜温度は、印字後印字物(記録媒体)を加熱する方法を用いない場合は20℃以下、好ましくは10℃以下である。印字物を加熱する方法を用いる場合は印字物(記録媒体)の到達温度以下が好ましい。
【0048】
高分子化合物の重量平均分子量は、水溶性高分子化合物の場合、1000〜25000の範囲が好ましく、さらに3000〜15000が好ましい。分子量が大きいと短期的な増粘現象によりノズル部のインク粘度が上昇し吐出遅れ、さらには吐出不能となり印字品質を著しく低下させることがある。また、分子量が小さいと本発明の色間滲み抑制効果が不十分となることがある。
【0049】
また、高分子化合物の重量平均分子量は、水に分散する高分子化合物の場合、1000〜50000の範囲が好ましく、さらに3000〜20000が好ましい。分子量が大きいと分散高分子化合物粒子の比重が高くなり、沈降が発生しやすくなることがある。また、分子量が小さいと本発明の色間滲み抑制効果が不十分となることがある。
【0050】
高分子化合物の添加量は、その添加量をR質量%とし、顔料の添加量をP質量%とたとき、式0.1<R/P<10の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは0.2<R/P<5の範囲である。高分子化合物の添加量が少ないと顔料の分散、色間滲み抑制の作用が十分でなく、多すぎると顔料の凝集やノズルでの増粘による吐出不良を起こす可能性がある。具体的には、高分子化合物の添加量が多すぎると、インクの粘度上昇により吐出が困難となったり、装置環境温度が変化した場合の粘度変化が大きく、高温ではサテライト発生の恐れがあり、低温では吐出不可能となることがある。
【0051】
なお、高分子化合物が水に分散する高分子化合物の場合、高分子化合物の平均粒子径は0.5μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.3μmである。
【0052】
水としては、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水が好ましく、多価カチオン、微生物等の混入がなく、保管安定性、目詰まりの点で、超純水が特に好ましく用いられる。
【0053】
界面活性剤は、インクに添加することで、インクの記録媒体(例えば紙)への浸透性を促進するだけでなく、色材分子と相互作用を生じることにより、色材を安定に分散させ、その結果、ノズル目詰まり、インクジェット記録用インクの吐出安定性の劣化を防ぎ、さらに長期に渡る保存に対しても色材の凝集・析出を防ぐことができる。また、色材の紙繊維に対する濡れ性を向上させ、色ムラなどによる画質の劣化、色調の劣化を防止することができる。
【0054】
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びは両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。
【0055】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル等の、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等を用いることができる。
【0056】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホンアミドのアルキルカルボン酸塩、スルホコハク酸塩、そのエステル塩等を用いることができる。
【0057】
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ベタイン、スルホベタイン、サルフェートベタイン、イミダゾリドンベタイン等を用いることができる。
【0058】
これらの界面活性剤の中でも、色材のイオンや他の成分のイオンと相互作用を起こしにくいノニオン性界面活性剤が好ましく、熱的な安定性と純度の点でポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物がより好ましい。
【0059】
これら界面活性剤は単独、あるいは複数を同時に用いることができ、使用量はインク全質量に対して0.01〜5質量%が好ましい。
【0060】
pH調整剤は、インクpHの調整に使用するものであり、具体的には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、ホウ酸、リン酸、亜リン酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の塩基、及びリン酸塩、シュウ酸塩、アミン酸塩やアミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、アセトアミドグリシン、N−カルバモイルメチルイミノジ酢酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンをはじめとするグッドバッファー等の各種緩衝剤を使用することができる。
【0061】
pH調整剤の添加量は、一概には規定することが出来ないが、インクpHを5.0〜8.5に調整ために必要な量であればよい。
【0062】
その他の添加剤としては、従来公知の各種粘度調整剤、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等の防カビ剤、PROXEL(ICI社製)、DOWICIL(ダウケミカル社製)等の殺菌剤、及び導電剤、防錆剤、酸化防止剤、キレート化剤、紫外線吸収剤等を使用することが可能である。
【0063】
−物性−
本発明のインクは、300dpi以上の解像度で印字された単色ベタ部分に別の紙を重ね、100g/cm2の加重を加えたとき、印字後2秒に色移りがないことが好適である。
【0064】
本発明のインクの粒度分布は、高分子化合物と顔料の相互作用により粒度分布が粒径の大きい方向に変化する可能性があるため、10〜150nmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは20〜140nmである。
【0065】
本発明のインクの表面張力は、25〜40mN/mの範囲であることが好ましく、より好ましくは28〜34の範囲である。インクの表面張力が高すぎると、インクの乾燥時間が長くなり問題となることがある。一方、インクの表面張力が低すぎると、記録紙上の光学濃度が低下したり、画質が劣化する傾向にある。
【0066】
(インクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録方法は、電気信号に応じて記録ヘッドからインクを記録媒体上に吐出させて、一回のヘッド走査によって300dpiを越える解像度の画像を記録する方法であり、このインクとして、上記本発明のインクを使用することを特徴としている。本発明のインクジョット記録方法は、黒インクを用いたモノクロ方式でもよいし、カラーインクを用いたカラー方式でもよく、これらのインクの少なくとも1色として、上記本発明のインクを使用する。
【0067】
(インクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクジェット記録方法に適用されるものであり、電気信号に応じてインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドを有すると共に、一回のヘッド走査によって300dpiを越える解像度の画像を記録する装置である。以下、このインクジェット記録装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0068】
図1は、本発明のインクジェット記録方法に好適に適用されるインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図である。図1にし示すインクジェット記録装置は、記録媒体1に対向して配置された記録ヘッド2と、記録ヘッド2に供給パイプ3を通じて本発明のインクジェット記録用インクを供給するインクタンク4と、記録ヘッド2とフレキシブルケーブル5によって電気的に接続された記録ヘッド制御部6を有して概略構成される。
【0069】
記録ヘッド2は、例えば、図2又は図3に示す構成のものが使用sらえる。
【0070】
図2は、圧電素子(ピエゾ)方式の記録ヘッドの一例を示す断面図である。この記録ヘッドは、供給パイプ3から供給された記録液20で満たされた圧力室11と、圧力室11の側面に積層された圧電素子12とを有して概略構成される。また、圧力室11には、供給パイプ3に対向した位置にインク吐出口13が形成されている。
【0071】
図3はバブルジェット(R)方式の記録ヘッドの一例を示す断面図である。この記録ヘッドは、基板14と、基板14に対して一定の空隙を設けて配置された吐出口板15と、吐出口板15の吐出口13に対向した基板14上に設けられた発熱体16とを有して概略構成される。また、基板14と吐出口板15との間の空隙は、供給パイプ3から供給された記録液20で満たされている。
【0072】
このような構成のインクジェット記録装置では、まず、記録ヘッド2は、インクタンク4から供給パイプ3を通じてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(B)の各記録液の供給を受ける。ついで、記録ヘッド2は、記録ヘッド制御部6からフレキシブルケーブル5を通じて伝えられた記録信号に応じて、記録ヘッド2に設けられた吐出口13からインク液滴21を吐出し、対向する記録媒体1にドット像を形成する。
【0073】
記録ヘッド2が、圧電素子方式の記録ヘッドの場合、インク液滴21の吐出は以下のように行われる。まず、記録ヘッド制御部6から記録信号が記録ヘッド2に伝えられると、圧電素子12に電圧が印加される。電圧が印加された圧電素子12は平面方向に縮み、それに伴って圧力室11の壁面が内側にたわむ。これによって圧力室11の内圧が上昇し、圧力室11内の水性インク20が吐出口13から吐出される。
【0074】
また、記録ヘッド2が、バブルジェット(R)方式の記録ヘッドの場合、インク液滴21の吐出は以下のように行われる。まず、記録ヘッド制御部6から記録信号が記録ヘッド2に伝えられると、発熱体16に電力が供給される。電力が供給された発熱体16は、ジュール熱を発生し、発熱体16に接する記録液20に急激な沸騰を起こさせる。この急激な記録液20の沸騰によって発生する泡22が、記録液20に圧力を与え、記録液20が吐出口13から吐出される。
【0075】
ここで、本発明のインクジェット記録方法及び装置は、一回のヘッド走査によって300dpiを越える解像度の画像を記録する方法であるが、このような記録を行なうための記録ヘッドのノズル配列について説明する。本発明のインクジェット記録方法に適用される記録ヘッドは、図4に示すように、ヘッドの走査方向をSとし、ノズルの配置密度dが300dpi以上となるように記録ヘッドのノズルが配列にっている。そして、ノズル長さLの長さ相当の印字幅を一回のヘッド走査で印字する。一回のヘッド走査で印字される解像度が300dpi以上であれば、ノズル配列はn1のみの単列でもよく、また走査方向にノズル列を増やし(例えばn2.n3など)、隣接ノズルと中心をずらし、結果としてノズル配列方向の解像度を増やしてもよい。このように、一回の記録ヘッド走査により記録される印字幅と、記録ヘッドのノズルの解析度を一致させて、本発明では、一回のヘッド走査によって300dpiを越える解像度の画像を記録する。
【0076】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0077】
(インクの調整)
以下に示す組成に従った組成物を、十分混合分散し、5μmのメンブランフィルタで加圧ろ過して各インク組成物を調整した。尚、組成については質量%で示す。
【0078】
−インクK−1−
・カーボンブラック MA−7(三菱化学製) 5%
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・アクリル−スチレン共重合エマルジョン 5%
(高分子化合物:重量平均分子量10000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0079】
−インクK−2−
・カーボンブラック MA−7(三菱化学製) 5%
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・スチレン−マレイン酸共重合エマルジョン 5%
(高分子化合物:重量平均分子量10000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0080】
−インクK−3−
・Bonjet Black CW−2 5%
(オリエント化学工業製)
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0081】
−インクK−4−
・カーボンブラック MA−7(三菱化学製) 5%
・グリセリン 10%
・アクリル−スチレン共重合エマルジョン 5%
(高分子化合物:重量平均分子量10000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0082】
−インクK−5−
・Bonjet Black CW−2 5%
(オリエント化学工業製)
・グリセリン 10%
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0083】
−インクK−6−
・Bonjet Black CW−2 5%
(オリエント化学工業製)
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・ポリエチレングリコール 5%
(高分子化合物:重量平均分子量2000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0084】
−インクK−7−
・Bonjet Black CW−2 5%
(オリエント化学工業製)
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・ポリエチレングリコール 5%
(高分子化合物:重量平均分子量3000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0085】
−インクK−8−
・Bonjet Black CW−2 5%
(オリエント化学工業製)
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・ポリエチレングリコール 5%
(高分子化合物:重量平均分子量15000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0086】
−インクK−9−
・Bonjet Black CW−2 5%
(オリエント化学工業製)
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・ポリエチレングリコール 5%
(高分子化合物:重量平均分子量20000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0087】
−インクK−10−
・Bonjet Black CW−2 5%
(オリエント化学工業製)
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・ポリエチレングリコール 1%
(高分子化合物:重量平均分子量20000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0088】
−インクK−11−
・Bonjet Black CW−2 5%
(オリエント化学工業製)
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・ポリエチレングリコール 1%
(高分子化合物:重量平均分子量25000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0089】
−インクK−12−
・Bonjet Black CW−2 5%
(オリエント化学工業製)
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・ポリエチレングリコール 1%
(高分子化合物:重量平均分子量30000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0090】
−インクY−1−
・C.I.ピグメントイエロー 128 5%
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・アクリル−スチレン共重合エマルジョン 5%
(高分子化合物:重量平均分子量10000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0091】
−インクY−2−
・自己分散性イエロー顔料 5%
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0092】
−インクY−3−
・C.I.ピグメントイエロー 128 5%
・グリセリン 10%
・アクリル−スチレン共重合エマルジョン 5%
(高分子化合物:重量平均分子量10000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0093】
−インクY−4−
・自己分散性イエロー顔料 5%
・グリセリン 10%
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0094】
−インクY−5−
・自己分散性イエロー顔料 5%
・グリセリン 10%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
・アクリル−スチレン共重合エマルジョン 5%
(高分子化合物:重量平均分子量10000)
・オルフィンE1010(日信化学製) 1%
・水 残部
【0095】
(インクの物性)
以上のように調整したインクの物性について調べた。この結果を表1〜表2に示す。
−インクの表面張力−
23℃、55%RHの環境において、ウイルヘルミー型表面張力計を用いて、各インクの表面張力を測定した。
【0096】
−乾燥時間の評価および特性値−
各インクを試作した解像度360dpiのインクジェットプリンターを用いて、20℃、50%RHの環境下で、4024紙にベタ画像を印字し、2秒後にベタ印字部に別の4024紙を重ねて100g/cm2の加重をかけ、色移りを評価した。
○・・・色移りは認められなかった。
△・・・色移りが若干認められた。
×・・・色移りが著しかった。
【0097】
−粒度分布−
分散粒子の体積平均粒子径は、マイクロトラックUPA粒度分析計 9340(Leeds & Northrup社製)を用い、インクを希釈しないで測定した。
【0098】
−高耐光性評価−
各インクを、試作した解像度360dpiのインクジェットプリンターを用いて、20℃、50%RHの環境下で、4024紙にベタ印字部を1回のヘッド走査で360dpiの解析度で印字し、70000ルクスの蛍光灯下に300時間置き、以下の基準で評価を行った。
○・・・試験後の色濃度が試験前色濃度の70%以上
△・・・試験後の色濃度が試験前色濃度の60%以上70%未満
×・・・試験後の色濃度が試験前色濃度の60%未満以下
【0099】
−高耐水性評価−
各インクを、試作した解像度360dpiのインクジェットプリンターを用いて、20℃、50%RHの環境下で、4024紙に文字パターンを1回のヘッド走査で360dpiの解析度で印字し2時間後1mlの純水を流下し、以下の基準で評価を行った。
○・・・文字の滲みは認められなかった。
△・・・文字の滲みが若干認められた。
×・・・文字の滲みが著しかった。
【0100】
−インク吐出安定性の評価−
前記各インクを試作した解像度360dpiのインクジェットプリンターを用いて20℃、50%RHの環境下で吐出し、3秒間の休止時間を置いて再度吐出し、吐出の可否を評価した。
○・・・吐出した。
△・・・着弾位置ズレがあるが吐出した。
×・・・吐出しなかった。
【0101】
【表1】
Figure 2004195906
【0102】
【表2】
Figure 2004195906
【0103】
(実施例1)
インクK−1の1ドットラインとインクY−1のベタを組み合わせて評価した。
【0104】
(実施例2)
インクK−1の1ドットラインとインクY−2のベタを組み合わせて評価した。
【0105】
(実施例3)
インクK−2の1ドットラインとインクY−1のベタを組み合わせて評価した。
【0106】
(実施例4)
インクK−2の1ドットラインとインクY−2のベタを組み合わせて評価した。
【0107】
(実施例5)
インクK−3の1ドットラインとインクY−1のベタを組み合わせて評価した。
【0108】
(実施例6)
インクK−1の1ドットラインとインクY−5のベタを組み合わせて評価した。
【0109】
(実施例7)
インクK−2の1ドットラインとインクY−5のベタを組み合わせて評価した。
【0110】
(実施例8)
インクK−3の1ドットラインとインクY−5のベタを組み合わせて評価した。
【0111】
(実施例9)
インクK−4の1ドットラインとインクY−1のベタを組み合わせて評価した。
【0112】
(実施例10)
インクK−5の1ドットラインとインクY−1のベタを組み合わせて評価した。
【0113】
(実施例11)
インクK−1の1ドットラインとインクY−3のベタを組み合わせて評価した。
【0114】
(実施例12)
インクK−1の1ドットラインとインクY−4のベタを組み合わせて評価した。
【0115】
(実施例13)
インクK−2の1ドットラインとインクY−3のベタを組み合わせて評価した。
【0116】
(実施例14)
インクK−2の1ドットラインとインクY−4のベタを組み合わせて評価した。
【0117】
(比較例1)
インクK−4の1ドットラインとインクY−2のベタを組み合わせて評価した。
【0118】
(比較例2)
インクK−4の1ドットラインとインクY−3のベタを組み合わせて評価した。
【0119】
(比較例3)
インクK−4の1ドットラインとインクY−4のベタを組み合わせて評価した。
【0120】
(比較例4)
インクK−5の1ドットラインとインクY−2のベタを組み合わせて評価した。
【0121】
(比較例5)
インクK−5の1ドットラインとインクY−3のベタを組み合わせて評価した。
【0122】
(比較例6)
インクK−5の1ドットラインとインクY−4のベタを組み合わせて評価した。
【0123】
(比較例7)
インクK−3の1ドットラインとインクY−2のベタを組み合わせて評価した。
【0124】
(比較例8)
インクK−3の1ドットラインとインクY−3のベタを組み合わせて評価した。
【0125】
(比較例9)
インクK−3の1ドットラインとインクY−4のベタを組み合わせて評価した。
【0126】
(評価方法)
上記実施例、及び比較例の組み合わせた各インクを用いて以下に示す評価を行なった。実施例の結果を表3に、比較例の結果を表4に示す。
【0127】
−色間の滲み評価−
各インクを、試作した解像度360dpiのインクジェットプリンターを用いて、20℃、50%RHの環境下で、4024紙に黒インクの1ドットラインが黄色インクのベタ印字部と隣接するように1回のヘッド走査で360dpiの解析度で印字し、以下の基準で評価を行った。
○・・・色間の滲みは認められなかった。
△・・・色間の滲みが若干認められた。
×・・・色間の滲みが著しかった。
【0128】
【表3】
Figure 2004195906
【0129】
【表4】
Figure 2004195906
【0130】
上記表1〜4の結果から、一回のヘッド走査によって300dpiを越える解像度の画像を記録する記録方法を行なう際、上記本発明の記録方法に適用されるインク(本発明のインク)の条件を満たすものが一つでも含まれることで、良好な、高耐光性、高耐水性、高速印字、滲みの抑制が実現できることがわかる。
【0131】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、高耐光性、高耐水性、高速印字を満たしつつ、滲みの抑制、特に色間の滲み抑制を実現したインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録方法に好適に適用されるインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】圧電素子(ピエゾ)方式の記録ヘッドの一例を示す断面図である。
【図3】バブルジェット(R)方式の記録ヘッドの一例を示す断面図である。
【図4】本発明のインクジェット記録方法に適用される記録ヘッドのノズル配列を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 記録媒体
2 記録ヘッド
3 供給パイプ
4 インクタンク
5 フレキシブルケーブル
6 記録ヘッド制御部
11 圧力室
12 圧電素子
13 インク吐出口
13 吐出口
14 基板
15 吐出口板
16 発熱体
20 記録液
20 水性インク
21 インク液滴
22 泡

Claims (2)

  1. 電気信号に応じて記録ヘッドからインクを記録媒体上に吐出させて、一回のヘッド走査によって300dpiを越える解像度の画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクの少なくとも1種が、少なくとも色材と、2種以上の水溶性有機溶媒とを含み、
    且つ、高分子化合物を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 電気信号に応じてインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドを有すると共に、一回のヘッド走査によって300dpiを越える解像度の画像を記録するインクジェット記録装置であって、
    前記インクの少なくとも1種が、少なくとも色材と、2種以上の水溶性有機溶媒とを含み、
    且つ、高分子化合物を含むことを特徴とするインクジェット記録装置。
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