JP2004195840A - 液体噴射装置、液体噴射装置の制御方法及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】液体を噴射するターゲットが複数ある場合に、液滴の噴射にかかる時間を短縮化すること。
【解決手段】インクジェット式プリンタ11は、往復移動するキャリッジ15と、キャリッジ15に搭載され、ノズルからインク滴を噴射する記録ヘッド20と、インク滴を噴射される用紙Pを載せ、該用紙Pを記録ヘッド20に対向するように供給するための用紙ガイド26とを備える。用紙ガイド26には、複数の用紙Pが並べて設置されると共に、用紙ガイド26に沿って移動する2個のエッジガイド26c,26dが設けられている。この各エッジガイド26c,26dは、用紙Pの一側面をそれぞれ固定する。そして、各エッジガイド26c,26dの位置を検出するための位置検出センサが設けられる。
【選択図】 図1
【解決手段】インクジェット式プリンタ11は、往復移動するキャリッジ15と、キャリッジ15に搭載され、ノズルからインク滴を噴射する記録ヘッド20と、インク滴を噴射される用紙Pを載せ、該用紙Pを記録ヘッド20に対向するように供給するための用紙ガイド26とを備える。用紙ガイド26には、複数の用紙Pが並べて設置されると共に、用紙ガイド26に沿って移動する2個のエッジガイド26c,26dが設けられている。この各エッジガイド26c,26dは、用紙Pの一側面をそれぞれ固定する。そして、各エッジガイド26c,26dの位置を検出するための位置検出センサが設けられる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同時に複数のターゲットに液体を噴射する液体噴射装置、この液体噴射装置の制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体噴射ヘッドに備えられたノズルから液滴を吐出する液体噴射装置として、インクジェット式プリンタがある。インクジェット式プリンタは、キャリッジに搭載した液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドを往復移動させながら、用紙を搬送して、記録ヘッドからインク滴を吐出することにより印刷を行う。このキャリッジは、例えば、キャリッジが移動可能である範囲の両端を往復するように移動する。そして、キャリッジの移動可能幅は、インクジェット式プリンタが印刷可能な最大幅の用紙の距離以上となっている。また、搬送される前の用紙を設置する用紙ガイドには、用紙が搬送される際の斜行を防止するためのエッジガイドが備えられていた。このエッジガイドは、用紙ガイドに沿って摺動可能であり、用紙ガイドに対して通常1個備えられていた(例えば、特許文献1参照。)。そして、エッジガイドで用紙の一端を規制して、1枚ずつ用紙を搬送していた。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−255795号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えばA3版等の用紙に印刷可能なインクジェット式プリンタを使用して、多数のはがきを印刷するような場合、キャリッジの移動可能幅や用紙ガイドの幅は、はがきの幅の数倍であるにもかかわらず、はがきを1枚ずつしか印刷することができない。換言すると、キャリッジの移動可能幅又は用紙ガイドの幅が、印刷を行う用紙の幅の数倍である場合にも、用紙は1枚ずつ印刷される。従って、キャリッジの移動可能幅が、印刷を行う用紙の幅の数倍であって、多数の用紙に印刷を行う場合は、キャリッジの往復動作に時間がかかり、すべての用紙に印刷を行うのに時間がかかることがあった。
【0005】
本発明の目的は、液体を噴射するターゲットが複数ある場合に、液滴の噴射にかかる時間を短縮化することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、液体を噴射されるターゲットを載せ、該ターゲットを前記液体噴射ヘッドに対向するように供給するための供給手段とを備える液体噴射装置において、前記供給手段には、複数のターゲットを並列させて設置可能であると共に、前記供給手段には、該供給手段に沿って移動する複数のエッジガイドが設けられ、該エッジガイドは前記各ターゲットの一側面をそれぞれ固定し、前記エッジガイドの位置を検出するための位置検出手段が設けられる。
【0007】
これによれば、供給手段に備えられた複数のエッジガイドにより、供給手段に並列に並べて設置された複数のターゲットの側面をそれぞれ固定させ、エッジガイドとエッジガイドとの間にターゲットを配置することができる。さらに、このエッジガイドは供給手段に沿って移動可能であるため、多様な幅を有するターゲットを固定することができる。このため、多様な幅を有するターゲットを、複数同時に、斜行させないように液体噴射ヘッドに対向するように供給することができる。また、位置検出手段から出力された各エッジガイドの位置に関する情報から、各エッジガイドの間に配置されるターゲットの幅をそれぞれ算出することができる。このため、算出されたターゲットの幅に対応させて、複数の印刷データの処理を行うことができる。
【0008】
この液体噴射装置において、前記供給手段に供給される複数の前記ターゲットのそれぞれに対して、前記液体噴射ヘッドにより、同時に液体噴射を実行する。
これによれば、複数のターゲットに対し、同時に液体噴射が可能となるため、複数のターゲットに対し1つずつ液体噴射を行う場合よりも、液体噴射にかかる時間を全体として短縮化することができる。
【0009】
この液体噴射装置において、前記位置検出手段は、発光部と受光部とから構成されるセンサであって、前記発光部は前記エッジガイドに設けられる。
これによれば、発光部は、供給手段に沿って移動可能なエッジガイドに設けられているため、ターゲットの幅に合わせて配置されたエッジガイドから受光部に対して発光することができる。このため、エッジガイドが移動しても、その位置を検出することができる。
【0010】
この液体噴射装置において、複数の前記エッジガイドは、前記供給手段に配置された前記各ターゲットの一側面に合わせて前記供給手段に沿ってそれぞれ移動すると共に、隣り合った前記エッジガイドの間に前記各ターゲットを配置する。
【0011】
これによれば、複数のエッジガイドにより、多様な幅を有する、複数のターゲットを供給手段に並列に設置することができる。また、供給手段に設置された用紙が搬送される際に、斜行を防止することができる。
【0012】
本発明は、液体噴射データに基づき、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドを搭載し、往復移動するキャリッジと、液体が噴射されるターゲットを複数並列させて設置するための供給手段とを有する液体噴射装置の制御方法において、所定の領域を有する仮想液体噴射データに、複数の液体噴射データを前記所定の領域の幅方向に並べて割り付けると共に、該仮想液体噴射データに基づき、前記キャリッジの1走査間に、前記液体噴射データに対応した複数の前記ターゲットにそれぞれ液体噴射を行う。
【0013】
これによれば、複数の液体噴射データを一つの仮想液体噴射データに割り付けることができるため、複数の液体噴射データに基づいて同時に液体を噴射するためのデータ領域を、それぞれ別に設ける等の必要がない。従って、比較的簡易に複数のターゲットに対して同時に液体を噴射することができる。また、キャリッジの1走査間に、複数のターゲットに対し液体噴射を行うため、複数のターゲットに対し1つずつ液体噴射を行う場合に比べて、キャリッジの往復回数が少なくなる。このため、ターゲットが複数あった場合に、ターゲットに液体を噴射する時間を全体として短縮化することができ、効率的に液体噴射動作を行うことができる。
【0014】
この液体噴射装置の制御方法において、前記供給手段に沿って移動すると共に前記各ターゲットの一側面を固定する複数のエッジガイドの位置をそれぞれ検出する位置検出手段により送出される位置情報から、前記ターゲットの幅を算出すると共に、前記液体噴射データに基づいて液体を噴射するターゲットの幅に関する設定情報を、該液体噴射データに付し、前記設定情報に含まれるターゲットの幅と、前記供給手段に並べられた前記ターゲットの幅とが対応するように、複数の前記液体噴射データを前記仮想液体噴射データに割り付ける。
【0015】
これによれば、位置情報により、異なる幅を有するターゲットが様々な並べ方で設置されても、ターゲットの設置位置に対応させて液体噴射データを割り付けることができる。このため、供給手段に並べられたターゲットの幅や並べ方に制限を受けることなく、様々な幅の複数のターゲットに対して同時に液体を噴射することができる。このため、多様な幅を有する、複数のターゲットに対し効率的に吐出動作を行うことができる。
【0016】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データに並べて割り付けられる複数の前記液体噴射データは、データ領域の幅又は長さが互いに異なる。
【0017】
これによれば、供給手段に並べられた複数のターゲットの幅又は長さが異なる場合であっても、同時に液体の噴射を行うことができる。このため、多様な幅又は長さを有する、複数のターゲットに対し効率的に吐出動作を行うことができる。
【0018】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データに並べて割り付けられる複数の前記液体噴射データは、データ領域の幅又は長さが互いに同じである。
【0019】
これによれば、同じ幅又は同じ長さを有するターゲットに対しても、同時に液体の噴射を行うことができる。このため、複数のターゲットに対し効率的に吐出動作を行うことができる。
【0020】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データの、前記液体噴射データが割り付けられていないデータ領域には、前記液体噴射ヘッドから液滴の噴射を実行させないためのデータが含まれる。
【0021】
これによれば、所定のデータ領域を有する仮想液体噴射データにおいて、液体噴射データのデータ領域以外の箇所を液滴の噴射を実行させないためのデータとすることで、多様な幅又は長さを有する液体噴射データに合わせることができる。このため多様な幅又は長さを有するターゲットに対して、複数同時に液体噴射することができる。
【0022】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データ内に形成された複数のデータ領域の少なくともいずれか一つに、複数の前記液体噴射データを連続させて割り付ける。
【0023】
これによれば、一方のターゲットに対する液滴の噴射が終了しても、他方のターゲットに対する液体の噴射工程等が終了するまで待機せず、液体の噴射を開始できる。このため、複数のターゲットに対して液滴の噴射を行う場合に、液体噴射にかかる時間を全体として短縮化させることができる。
【0024】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データに形成された複数のデータ領域のうち、一の前記データ領域の長さが、他のデータ領域の長さよりも小さいときに、該一のデータ領域の長さ方向に、前記複数の液体噴射データを連続させて割り付ける。
【0025】
これによれば、データ領域の長さが大きい液体噴射データに合わせて、仮想液体噴射データに液体噴射データを割り付ける必要がなくなる。このため、複数のデータ領域のうち、幅のみを一定とし、長さはターゲットの長さに応じてそれぞれ対応させて割り付けることができる。
【0026】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データには、前記液体噴射ヘッドの1走査分のデータ領域内に複数の前記液体噴射データが含まれる。
【0027】
これによれば、液体噴射ヘッドが1走査する際に、複数の液体噴射データに基づいて、液体噴射データが対応するターゲットにそれぞれ液体噴射を行うことができる。このため、キャリッジの往復回数を減少させることができる。従って、複数のターゲットに液体噴射を行う場合に、液体噴射にかかる時間を全体として短縮化させることができる。
【0028】
この液体噴射装置の制御方法において使用されるコンピュータプログラムであって、ターゲットの数に関する情報と、ターゲットの幅又は長さに関する情報とを前記液体噴射データごとに付し、前記液体噴射データを前記液体噴射装置の制御手段に送信すると共に、前記液体噴射データに付された前記ターゲットの幅に関する情報と、前記位置情報から算出されたターゲットの幅とが一致しない場合にエラー情報を出力する。
【0029】
これによれば、コンピュータを利用して、それぞれの液体噴射データに、ターゲットの数、幅又は長さに関する情報を比較的簡単に付すことができる。従って、これらの情報を利用して、液体噴射装置の各種制御を行うことができる。さらに、液体噴射データに付されたターゲットの幅が、実際に設置されたターゲットの幅と一致しない場合に、エラー情報を出力することにより、液体がターゲットの所定の位置に噴射されないようなことが生じるのを極力防止できる。
【0030】
このコンピュータプログラムにおいて、前記液体噴射データを前記液体噴射装置の前記制御手段に送信すると共に、複数同時液体噴射の実行命令を送信する。
これによれば、液体噴射装置の制御手段が、複数同時液体噴射の実行命令を受信しないときは、供給手段の1箇所にターゲットを設置して、単数又は1箇所に積層された複数のターゲットに対し、1つずつ液体噴射を行うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図10に従って説明する。
【0032】
図1は、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ(以下、プリンタとする。)11の機械的構成を示す要部斜視図である。プリンタ11は、ケース12内に、フレーム(図示せず)を備えている。フレーム内には、プラテン13が配設され、さらに、そのプラテン13と平行になるようにガイド部材14が配設されている。このガイド部材14には、キャリッジ15がガイド部材14に沿って摺動可能に支持され、キャリッジ15は主走査方向Xに往復移動する。キャリッジ15には、ブラックインク及び各種カラーインクを吐出するノズル群を有する、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド20が、プラテン13に対向するように搭載されている。また、キャリッジ15には、ブラックインク及び各種カラーインクを貯留した各インクカートリッジ21が搭載されている。このインクカートリッジ21から各ノズル群にそれぞれインクが供給され、プラテン13上に搬送された、ターゲットとしての用紙Pに対してインク滴が吐出されることにより、文字や画像が印刷されるようになっている。フレームの外側には、キャリッジモータ43(図4参照)が備えられている。また、フレームの内側には、キャリッジモータ43に駆動される駆動プーリ16が設けられ、この駆動プーリ16と相対向する左側には従動プーリ17が回転可能に支持されている。これらの駆動プーリ16及び従動プーリ17には、タイミングベルト18がガイド部材14と平行になるように掛装されている。このタイミングベルト18の所定の箇所とキャリッジ15とは連結されているため、キャリッジモータ43が正逆回転することによって、キャリッジ15がガイド部材14に沿って往復移動する。
【0033】
また、プリンタ11の背面側には、自動給紙装置(Auto Sheet Feeder)25が備えられている。この自動給紙装置25には、用紙サポート26a、載置板26b、左端側エッジガイド26c及び同時印刷用エッジガイド26dを備えた、供給手段としての用紙ガイド26が固定されている。自動給紙装置25には、用紙ガイド26にセットされた用紙Pを本体内に給紙する給紙駆動機構を備える。
【0034】
図2は、プリンタ11の内部に収容された給紙駆動機構を説明するための模式断面図である。記録ヘッド20の下方には、給紙駆動機構を構成する、搬送ローラ25a及び排紙ローラ25bがそれぞれ配設されている。搬送ローラ25a及び排紙ローラ25bは、ギア機構(図示せず)を介して接続された紙送モータ44(図4参照)を駆動源としている。そして、この搬送ローラ25a及び排紙ローラ25bには、用紙Pの搬送に伴って従動して回転する従動ローラ25c,25dがそれぞれ配設されている。また、載置板26bと対向する側には、給紙ローラ25eが配設されている。この給紙ローラ25eの回転により、載置板26b上に配置された用紙Pは、ケース12内部に給紙される。そして、給紙された用紙Pは、搬送ローラ25a及び排紙ローラ25bにより紙送りされ排紙される。また、給紙ローラ25eと搬送ローラ25aとの間であって、用紙Pの搬送経路の上方には、紙検出センサ25fが配設されている。紙検出センサ25fは、搬送経路に搬送されてきた用紙Pの有無を検出するものである。この紙検出センサ25fは、印刷を実行させる命令を受信したにもかかわらず、用紙Pを検出しなかった場合に、ユーザの使用するホストコンピュータ31に備えられる表示部31c(図4参照)又はプリンタ11の表示部(図示せず)にエラー表示を行う。
【0035】
また、図1に示す、用紙ガイド26に取付けられた左端側エッジガイド26c及び同時印刷用エッジガイド26dは、紙送りの際の用紙Pの斜行を防止するためのものであり、用紙ガイド26に沿って摺動可能に配設されている。用紙ガイド26には、図1に示すように、載置板26bの右端と同時印刷用エッジガイド26dとの間に所定サイズ以下の用紙Pを積層させて設置できるようになっている。また、同時印刷用エッジガイド26dと左端側エッジガイド26cとの間にも、所定サイズ以下の用紙Pを設置できる。本実施形態の用紙ガイド26は、A4版の用紙P及びA5版の用紙Pを並列に並べて、それぞれ複数枚重ねて配置できる大きさとなっている。このため、この大きさ以下である用紙Pであれば印刷可能であり、例えば、はがき2枚を配置することもできる。この用紙ガイド26は、用紙Pを並列させて設置する以外にも、1箇所に用紙Pを設置することもできる。このような場合には、載置板26bの右端と同時印刷用エッジガイド26dとの間に用紙Pを1枚、あるいは重ねて設置し、同時印刷用エッジガイド26で用紙Pの一側面を固定する。このとき、同時印刷用エッジガイド26d側に左端側エッジガイド26cを寄せて配置することができる。このため、比較的大きな用紙Pを印刷する際も、左端側エッジガイド26cは同時印刷用エッジガイド26dの移動可能範囲を極力縮小させないようにすることができる。
【0036】
この左端側エッジガイド26c及び同時印刷用エッジガイド26dの裏面には、センサとしての位置検出センサ28を構成する発光部28aが固定されている。位置検出手段としての位置検出センサ28は、左端側エッジガイド26c及び同時印刷用エッジガイド26dの位置を検出するためのものである。図3は、位置検出センサ28の設置位置を説明するための説明図であり、便宜上、各エッジガイド26c,26dは裏面のみ示す。そして、各エッジガイド26c,26dの裏面と対向する側の用紙ガイド26の一側面には、位置検出センサ28を構成する受光部28bが、載置板26bと平行に複数個配列されている。この受光部28bは、各エッジガイド26c,26dの移動範囲に対応させて設けられている。位置検出センサ28が位置検出命令を受信すると、発光部28aからレーザ光Lが射出され、受光部28bにより受光される。受光部28bが、しきい値以上の光量を検出した場合、その受光部28bが配置される位置に対応する位置が各エッジガイド26c,26dの位置と判断される。そして、この各エッジガイド26c,26dの位置の情報である、位置情報をプリンタ11の制御手段に送る。制御手段に備えられるASIC38(図4参照)では、載置板26bの右端を基準点として、この基準点と同時印刷用エッジガイド26dとの相対距離から、右側にセットされた用紙Pの幅が算出される。さらに、基準点と、同時印刷用エッジガイド26cの位置と、左端側エッジガイド26cの位置とから、左側にセットされた用紙Pの幅が算出される。
【0037】
図4は、このような機械的構成のプリンタ11の印刷システムの概略構成を示すブロック図である。本実施形態の印刷システムは、プリンタ11とホストコンピュータ31とを備えている。ホストコンピュータ31は、本体31a、キーボード、マウス等の入力装置31b、及び表示部31cを備えている。本体31aでは、プログラムとCPU(図示せず)とにより、コンピュータプログラムとしてのプリンタドライバ32が構築されている。プリンタドライバ32は画像データや文書データを液体噴射データとしての印刷データに変換する処理、印刷データに用紙枚数、用紙サイズ等の設定情報を付する処理を実行する。プリンタ11はホストコンピュータ31と通信可能に接続されており、プリンタドライバ32で変換された印刷データはホストコンピュータ31からプリンタ11に送信され、プリンタ11のインタフェース39に受信される。インタフェース39に接続されたバスには、制御手段としての、CPU35、ROM36、RAM37及びASIC38等が接続されている。CPU35はROM36に記憶されたプログラムを実行することでASIC38に対し印刷制御上必要な指示や排給紙処理の指示を出す。
【0038】
ASIC38は印刷制御を司ると共に、CPU35の指示により排給紙処理を実行する。ASIC38にはヘッド駆動部40及びモータ駆動部41,42が接続されている。ASIC38はヘッド駆動部40を介して記録ヘッド20を制御すると共に、各モータ駆動部41,42を介してキャリッジモータ43および紙送モータ44を制御する。
【0039】
また、ASIC38はホストコンピュータ31から受信した印刷データのコマンドを解釈すると共に、圧縮された印刷データの展開を行い、このデータ等を基にヘッド駆動部40を介して記録ヘッド20を制御する。複数の用紙Pに同時に印刷を行う場合は、印刷データのヘッダに複数同時印刷命令のコマンドが付されている。このコマンドが受信されると、印刷データを展開する際に、プリンタ11が印刷可能な最大範囲の用紙Pを印刷する際に使用される、仮想液体噴射データとしての仮想印刷データのデータ領域に複数の印刷データを割り付ける。この仮想印刷データは、プリンタ11が印刷可能な最大幅の用紙Pを印刷する際のデータ構造となっている。本実施形態では、複数同時印刷が行われる際は、仮想印刷データに用紙Pの2枚分の印刷データが割り付けられる。このとき、ASIC38は、印刷データに付された設定情報に基づき、設定された用紙サイズに対応したデータ領域に印刷データを割り付けている。また、ASIC38は、位置検出センサ28から、各エッジガイド26c,26dの位置に関する情報を受付け、この情報から2枚の用紙Pの幅を算出している。このため、設定された用紙サイズと、算出した用紙サイズが異なる場合は、各エッジガイド26c,26dの位置、又は設定された用紙サイズを変更するよう指示するための情報の出力命令を送出する。また、印刷データには他にも各種コマンドに関する情報が付されている。これらのコマンドの解釈も、ASIC38により行われる。
【0040】
上記の仮想印刷データについて、図5に従って説明する。図5は、仮想印刷データのデータ構成を示す説明図である。図5に示された仮想印刷データは、例えばブラックインクを吐出させるためのラスタデータである。この仮想印刷データは、2枚のはがきを一括して印刷するためのデータとなっており、プリンタ11が印刷可能である最大の幅を仮想印刷幅としたデータ領域を有している。この仮想印刷幅は、キャリッジ15の主走査方向Xに移動する際に記録ヘッド20がインクを吐出可能な範囲の幅と対応している。このラスタデータには、図中斜線で示す、液体噴射データとしての、印刷幅Aの印刷データA及び印刷幅Bの印刷データBが含まれている。本実施形態では、印刷データA及び印刷データBの幅及び長さは、はがきの幅及び長さと対応しており、マージンが設定されている場合はマージンの幅に対応させたデータも含まれている。印刷データA及び印刷データB以外の領域には、ノズルからインク滴を吐出を実行しないための値が含まれたデータが格納されている。また、印刷データAと印刷データBとの間は、左側に配置された用紙Pと右側に配置された用紙Pとの間に配置される同時印刷用エッジガイド26dの幅の分だけ空けられており、この部分にはインク吐出を実行しないためのデータが含まれている。このため、プリンタ11が印刷可能である最大幅の用紙Pを印刷する際に使用されるラスタデータを活用して、2枚の用紙Pに印刷を行うことができる。
【0041】
これ以外に、印刷データA及び印刷データBのデータ領域の幅が互いに異なる場合の仮想印刷データのデータ構成を図6に示す。図6では、印刷データAは、1枚分のA5版の用紙Pに印刷を行うためのデータであり、印刷データBは1枚分のA4版の用紙Pに印刷を行うためのデータである。仮想印刷データの仮想印刷幅は、図5の仮想印刷データと同様に、プリンタ11が印刷可能である最大幅の用紙Pを印刷する際に使用されるラスタデータの幅である。印刷データAの下端と、印刷データBの下端は、仮想印刷データの下端で揃えられている。このデータに基づいて印刷を行う場合は、図における仮想印刷データの下端からデータを順次取り込み、印刷を行う。印刷データAの長さは印刷データBの長さよりも短いため、仮想印刷データ内の印刷データAの上方、すなわち印刷データAが終了した後は、インク吐出を実行しないための値が含まれたデータで構成されている。このように、同時に複数の用紙Pに印刷する際に、用紙Pの幅又は長さが互いに異なる場合でも、仮想印刷データに割り付けることにより、印刷することが可能である。
【0042】
一方、プリンタドライバ32には、設定画面表示用データが収容されている。入力装置31bの操作により、設定画面表示の要求を受け取ると、ホストコンピュータ31の記憶部(図示せず)から設定画面表示用データを読み出して、表示部31cに各種設定画面を表示させる。この設定画面は、ページレイアウトや、複数の用紙Pに同時に印刷を行う場合に用紙Pの用紙サイズ、印刷枚数等を入力指定するためのものである。ユーザは表示部31cに表示された設定画面を見ながら、入力装置31bを操作して各種設定ができるようになっている。
【0043】
この画面について、図7及び図8に従って説明する。図7は、同時印刷するデータを選択するための選択画面51を示し、図8は、用紙Pのサイズ、枚数又は部数等を設定するための詳細設定画面52を示す。図示しないメニュー画面等から、複数枚同時印刷が選択されると、表示部31cには選択画面51が表示される。選択画面51では、ホストコンピュータ31の記憶部に記憶された、複数の画像Mが縮小されて表示されている。ある画像Mを、他の画像Mと同時に印刷する場合は、印刷したい画像Mをクリックすることにより表示される、図8に示す詳細設定画面52において設定を行う。詳細設定画面52では、用紙サイズ選択欄52aに表示されるプルダウンメニューから用紙サイズを選択し、部数選択欄52bで部数を選択する。さらに、印刷する対象や画質を設定し、適用ボタン52cをクリック等により選択する。適用ボタン52cが選択されると、選択画面51が再度表示される。なお、ここで選択された画像Mは、1種類でも2種類以上でもよいが、設定する用紙サイズは全体として2種類以下である。
【0044】
部数、用紙サイズ等が設定された画像Mに対しては、選択画面51内の、表示された画像Mの左上方の偶部のチェックボックス51aにチェックが入力される。このようにして、印刷したい画像Mが選択された状態で、印刷ボタン51bが押下されると、プリンタ11に複数同時液体噴射の実行命令としての複数同時印刷命令と印刷データとが送信される。
【0045】
次に、プリンタ11において複数の画像が同時印刷される手順について、図9に従って説明する。選択画面51の印刷ボタン51bが選択され、複数の用紙Pを同時に印刷する、複数同時印刷命令がホストコンピュータ31から送信されると、ASIC38がこの命令を受信する(S1−1)。複数同時印刷命令が受信されると、左端側エッジガイド26c、同時印刷用エッジガイド26dの位置が検出される(S1―2)。検出された位置と、載置板26bの最右端である基準点との相対距離から、用紙ガイド26にセットされた左側及び右側の用紙Pの幅が算出される(S1−3)。このとき、例えば、算出された用紙の幅が両方ともはがきの幅であり、詳細設定画面52で設定された用紙サイズに関する情報に、これ以外の用紙サイズに関する情報が含まれていた場合、ホストコンピュータ31の表示部31cやプリンタ11の表示部にエラー情報が出力される。設定された用紙サイズの幅と、算出された用紙Pの幅が一致すると、算出された用紙Pの幅に基づいて印刷データの割り付けが行われる。例えば、算出された2種類の用紙Pの幅のうち、右側の用紙サイズがA5版の用紙Pの幅であった場合、A5版に設定された印刷データを右側に印刷するように割り付ける。図6に示す仮想印刷データは、右側にA5版の用紙P、左側にA4版の用紙Pが配置されていると算出された場合に、各印刷データがそれぞれ割り付けられたものである。
【0046】
データの割り付けを行う際は、まず、算出された用紙Pの幅から決定された用紙サイズが互いに異なるか否か判断する(S1−4)。例えば、算出された用紙サイズが両方ともはがきのサイズであるような、用紙サイズが同じ場合(S1−4においてNO)、プリンタドライバ32から転送された順に、2枚ずつ仮想印刷データに印刷データの割付を行う(S1−5)。用紙サイズが互いに異なる場合(S1−4においてYES)、例えば、用紙ガイド26に右側にA5版の用紙P、左側にA4版の用紙Pが配置されるような場合は、仮想印刷データのデータ領域を、A5版の用紙幅に対応させたデータ領域と、A4版に対応させたデータ領域とに分ける。そして、複数の印刷データは、設定された用紙サイズに応じて、分けられたデータ領域のいずれかに割り付けられる(S1―6)。
【0047】
印刷データを割り付けると、紙検出センサ25fによる用紙Pの検出等の工程を含む用紙検出処理が行われる(S1−7)。この用紙検出処理は、用紙ガイド26上の、各エッジガイド26c及び26dによって形成される、2種類の用紙のセット位置のうち、どちらか一方の用紙Pがなくなった場合等にも印刷を継続するための処理である。この用紙検出処理について図10に従って説明する。まず用紙ガイド26にセットされた用紙Pが給紙ローラ25eにより搬送され、紙検出センサ25fにより、搬送経路に用紙Pがあるかどうかが検出される(S2−1)。そして、用紙Pが2枚検出されたか否かを判断する(S2−2)。用紙Pが2枚検出された場合(S2−2においてYES)はそのまま用紙検出処理を終了する。用紙Pが2枚検出されなかった場合(S2−2においてNO)は、算出された用紙サイズが1種類であるか否か、1枚の用紙Pが検出されているか否かを判断する(S2−3)。算出された用紙サイズが1種類でない、或いは用紙Pが1枚も検出されなかった場合(S2−3においてNO)、表示部31c又はプリンタ11の表示部にエラー表示を行い(S2−4)、用紙検出処理を繰り返す。算出された用紙サイズが1種類であり、かつ用紙Pが1枚検出された場合(S2−3においてYES)、用紙2枚分の印刷データが割り付けられた仮想印刷データを、用紙1枚分の印刷データが割り付けられた仮想印刷データに再処理する。このとき、印刷データは、例えば、用紙ガイド26の右側にセットされた用紙Pが検出された場合は、右側のデータ領域に、すなわち用紙Pが検出された側の領域に1枚ずつ割り付けられる(S2−5)。このような手順にすると、同じサイズの用紙2枚を同時に印刷を行った際、左右どちらか一方の用紙Pがなくなった場合にも印刷を中止することなく、左右どちらか一方に用紙Pがセットされているときに印刷を継続することができる。
【0048】
用紙検出処理が終了すると、用紙Pに対して印字が行われる(S1−8)。すなわち、仮想印刷データに印刷データA及び印刷データBのデータが割り付けられている場合は、キャリッジ15の1走査間に、印刷データA及び印刷データBに基づいた印字を同時に行う。ここで、キャリッジ15の1走査間とは、キャリッジ15がフレームの一端部から、他端部へ移動する間を指す。仮想印刷データに一印刷データしか割り付けられていない場合は、その印刷データのみに基づいて印刷する。さらに、紙検出センサ25fが、用紙Pの後端を検知すると排紙ローラ25bにより、排紙が行われる(S1−9)。さらに、プリンタドライバ32から送信された印刷データが終了したか否かが判断される(S1−10)。データが終了した場合(S1−10においてYES)、そのまま処理を終了する。データが終了せず、印刷が実行されていない印刷データが存在する場合(S1−10においてNO)、紙検出処理を行い(S1−7)、以下、上記と同様に処理が繰り返される。
【0049】
第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1の実施形態では、用紙ガイド26に備えられた左端側エッジガイド26c、同時印刷用エッジガイド26dにより、載置板26bにセットされた2枚の用紙Pの側面を固定させ、用紙ガイド26に用紙Pを並列にセットすることができる。さらに、この各エッジガイド26c,26dは用紙ガイド26に沿って摺動可能であるため、多様な幅を有する用紙Pを斜行しないように固定することができる。また、位置検出センサ28から出力された各エッジガイド26c,26dの位置に関する情報から、セットされる用紙Pの幅をそれぞれ算出することができる。このため、算出された用紙Pの幅と、設定された用紙サイズを対応させて、仮想印刷データに複数の印刷データを割り付けることができる。
【0050】
(2)第1の実施形態では、仮想印刷データのデータ領域に、複数の印刷データを仮想印刷データの仮想印刷幅方向に並べて割り付け、仮想印刷データに基づき、キャリッジ15の1走査間に、印刷データに対応した用紙Pにそれぞれインク滴を吐出するようにした。このため、複数の印刷データに基づいて同時に印刷するためのデータ領域を、それぞれ別に設ける等の必要がなく、比較的簡易に複数の用紙Pに対して同時に印刷することができる。また、キャリッジ15の1走査間に、複数の用紙Pに対し印刷を行うため、キャリッジリターンが少なくなる。このため、用紙Pが複数あった場合に、用紙Pに印刷する時間を全体として短縮化することができ、効率的に印刷を行うことができる。
【0051】
(3)第1の実施形態では、プリンタドライバ32により、用紙サイズに関する設定情報を印刷データに付した。そして、位置検出センサ28により算出された用紙の幅に基づいて、設定情報に含まれる用紙サイズの幅と、用紙ガイド26に並べられた用紙の幅が対応するように、複数の印刷データを仮想印刷データに割り付けるようにした。このため、異なる幅を有する複数の用紙Pが、様々な並べ方でセットされても、用紙ガイド26上のセット位置に対応させて印刷データを割り付けることができる。従って、用紙ガイド26に並べられた用紙Pの幅や並べ方に制限を受けることなく、多様な幅の複数の用紙Pに対して同時に印刷することができる。
【0052】
(4)第1の実施形態では、仮想印刷データに並べて割り付けられる複数の印刷データは、データ領域の幅又は長さが互いに異なる場合でも、印刷データがない箇所をインク滴が吐出されないためのデータとすることにより割り付けができるようにした。このため、用紙ガイド26に並べられた複数の用紙Pの幅、長さが異なる場合であっても、同時に印刷を行うことができる。このため、多様な幅又は長さを有する、複数の用紙Pに対し印刷を行う時間を短縮化することができる。
【0053】
(5)第1の実施形態では、位置検出センサ28を発光部28aと受光部28bとからなるフォトセンサで構成するようにした。発光部28aは、用紙ガイド26に沿って摺動可能な各エッジガイド26c,26dに設けられているため、用紙Pの幅に合わせて固定された各エッジガイド26c,26dから受光部28bに対してレーザ光Lを射出することができる。このため、各エッジガイド26c,26dが移動しても、その位置を検出することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図11に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の処理手順とデータ構成とを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0055】
本実施形態では、仮想印刷データのデータ領域には、図11のように印刷データA、印刷データB、及び印刷データCがそれぞれ割り付けられる。印刷データA,Bは用紙1枚分のデータを示している。印刷データCも用紙1枚分のデータであるが、便宜上、部分的に示している。このとき、印刷データAと印刷データBとは、少なくとも互いにデータ領域の長さが異なるものとする。印刷データAと印刷データCとは、データ領域の幅及び長さが等しいが、同じ画像等を印刷するための同じラスタデータでなくてもよい。仮想印刷データは、2種類の幅の領域に分けられている。一方は、印刷データBを印刷するための領域であり、他方は、印刷データA,Cを印刷するための領域である。印刷データBは、仮想印刷データのデータ領域の左側に割り付けられ、印刷データA及び印刷データCは、右側に割り付けられている。印刷データA及び印刷データCは、間隔をあけずに配置されている。
【0056】
この場合、印刷データAと印刷データCとは連続して印刷されるが、印刷データAと印刷データCを印刷する間に、ASIC38により紙送モータ44に排紙命令が送出される。そして、用紙ガイド26の右側にセットされ、印字が行われた用紙Pのみ排紙が行われる(S1−9)。排紙が行われると、排紙が行われた方の用紙Pの位置に、新たな用紙Pの給紙が行われ、用紙検出処理が行われる(S1−7)。排紙及び給紙の工程の間、記録ヘッド20は吐出動作を停止している。新たな用紙Pの給紙が完了すると、用紙ガイド26の左側にセットされ、搬送された用紙Pに対して印刷データBに基づいて印刷が継続されると共に、右側に搬送された用紙Pに対して印刷データCに基づいて印刷が開始される。
【0057】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1)〜(5)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(6)第2の実施形態では、長さが異なる用紙Pを2枚同時に印刷する際に、一方の用紙Pに対して印刷が終了したときに、他方の用紙Pに対する印刷が終了するまで待機せず、終了次第、次の用紙Pを給紙して印刷を継続するようにした。すなわち、仮想印刷データ内で用紙Pの幅に基づいて分けられた領域ごとに、印刷データを連続させて配置するようにした。従って、一方の用紙Pに対して印刷が終了しても、他方の用紙Pの印刷が終了され排紙されるのを待機せず、印刷を継続するため、複数の用紙Pに印刷を行う場合に印刷時間を短縮化させることができる。このため、効率よく複数の用紙Pに印刷を行うことができる。
【0058】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、プリンタ11はA4版の用紙P及びA5版の用紙Pを同時に印刷できる印刷可能幅を有するとしたが、これ以外の印刷可能幅を有するものでもよい。また、自動給紙装置25に具備される用紙Pは、カット紙だけでなくロール紙でもよい。ロール紙の場合は、他の用紙Pと同時に印刷される際、他の用紙Pの排紙が終了するまで、排紙を待機する。
【0059】
・上記各実施形態では、用紙ガイド26には、2個のエッジガイド26c,26dが配設されるようにした。これ以外に、例えば、A0版の用紙Pに印刷可能なプリンタ11にエッジガイドを5個等設けてもよい。このようにすると、大型のプリンタ11では、はがき等を5枚同時に印刷することが可能となり、印刷にかかる時間を全体として短縮化させることができる。
【0060】
・上記各実施形態では、位置検出センサ28の発光部28aを各エッジガイド26c,26dの裏面に配設し、これらの発光部28aと対向する面に、複数並列された受光部28bを配設するようにした。これ以外に、受光部28bを必要な箇所のみに設けてもよい。例えば、所定の種類の用紙Pしか印刷しない場合は、それらの用紙Pの幅に対応する位置と、それらの用紙Pの組み合わせから算出される位置に受光部28bを設けてもよい。
【0061】
・上記各実施形態の印刷システムは、ホストコンピュータ31とプリンタ11とから構成されるとしたが、ホストコンピュータ31に接続されないプリンタ11のみから構成してもよい。このような場合、プリンタ11は、スイッチ等の操作部以外に、画像を出力するためのモニタ、プリンタドライバ等を備える。そして、デジタルカメラや他の電子機器から有線又は無線で画像データ等を受信すると共に、ラスタデータに変換して、このラスタデータに基づいて記録ヘッド20からインク滴を吐出する。
【0062】
・上記各実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンタに使用したが、インク以外の液体を噴射する液体噴射装置に応用してもよい。例えば、液晶ディスプレイやELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のプリンタの要部斜視図。
【図2】第1の実施形態のプリンタの側面からみた断面図。
【図3】第1の実施形態の位置検出センサの説明図。
【図4】第1の実施形態の印刷システムのブロック図。
【図5】第1の実施形態の印刷データのデータ構造の説明図。
【図6】第1の実施形態の印刷データのデータ構造の説明図。
【図7】第1の実施形態の設定画面の説明図。
【図8】第1の実施形態の設定画面の説明図。
【図9】第1の実施形態の処理手順の説明図。
【図10】第1の実施形態の処理手順の説明図。
【図11】第2の実施形態の印刷データのデータ構造の説明図。
【符号の説明】
11…液体噴射装置としてのプリンタ、15…キャリッジ、20…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、26…供給手段としての用紙ガイド、26c…左端側エッジガイド、26d…同時印刷用エッジガイド、28…位置検出手段としての位置検出センサ、28a…発光部、28b…受光部、32…コンピュータプログラムとしてのプリンタドライバ、35…制御手段としてのCPU、36…制御手段としてのROM、37…制御手段としてのRAM、38…制御手段としてのASIC、A…液体噴射データとしての印刷データ、B…液体噴射データとしての印刷データ、C…液体噴射データとしての印刷データ、P…ターゲットとしての用紙。
【発明の属する技術分野】
本発明は、同時に複数のターゲットに液体を噴射する液体噴射装置、この液体噴射装置の制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体噴射ヘッドに備えられたノズルから液滴を吐出する液体噴射装置として、インクジェット式プリンタがある。インクジェット式プリンタは、キャリッジに搭載した液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドを往復移動させながら、用紙を搬送して、記録ヘッドからインク滴を吐出することにより印刷を行う。このキャリッジは、例えば、キャリッジが移動可能である範囲の両端を往復するように移動する。そして、キャリッジの移動可能幅は、インクジェット式プリンタが印刷可能な最大幅の用紙の距離以上となっている。また、搬送される前の用紙を設置する用紙ガイドには、用紙が搬送される際の斜行を防止するためのエッジガイドが備えられていた。このエッジガイドは、用紙ガイドに沿って摺動可能であり、用紙ガイドに対して通常1個備えられていた(例えば、特許文献1参照。)。そして、エッジガイドで用紙の一端を規制して、1枚ずつ用紙を搬送していた。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−255795号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えばA3版等の用紙に印刷可能なインクジェット式プリンタを使用して、多数のはがきを印刷するような場合、キャリッジの移動可能幅や用紙ガイドの幅は、はがきの幅の数倍であるにもかかわらず、はがきを1枚ずつしか印刷することができない。換言すると、キャリッジの移動可能幅又は用紙ガイドの幅が、印刷を行う用紙の幅の数倍である場合にも、用紙は1枚ずつ印刷される。従って、キャリッジの移動可能幅が、印刷を行う用紙の幅の数倍であって、多数の用紙に印刷を行う場合は、キャリッジの往復動作に時間がかかり、すべての用紙に印刷を行うのに時間がかかることがあった。
【0005】
本発明の目的は、液体を噴射するターゲットが複数ある場合に、液滴の噴射にかかる時間を短縮化することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、液体を噴射されるターゲットを載せ、該ターゲットを前記液体噴射ヘッドに対向するように供給するための供給手段とを備える液体噴射装置において、前記供給手段には、複数のターゲットを並列させて設置可能であると共に、前記供給手段には、該供給手段に沿って移動する複数のエッジガイドが設けられ、該エッジガイドは前記各ターゲットの一側面をそれぞれ固定し、前記エッジガイドの位置を検出するための位置検出手段が設けられる。
【0007】
これによれば、供給手段に備えられた複数のエッジガイドにより、供給手段に並列に並べて設置された複数のターゲットの側面をそれぞれ固定させ、エッジガイドとエッジガイドとの間にターゲットを配置することができる。さらに、このエッジガイドは供給手段に沿って移動可能であるため、多様な幅を有するターゲットを固定することができる。このため、多様な幅を有するターゲットを、複数同時に、斜行させないように液体噴射ヘッドに対向するように供給することができる。また、位置検出手段から出力された各エッジガイドの位置に関する情報から、各エッジガイドの間に配置されるターゲットの幅をそれぞれ算出することができる。このため、算出されたターゲットの幅に対応させて、複数の印刷データの処理を行うことができる。
【0008】
この液体噴射装置において、前記供給手段に供給される複数の前記ターゲットのそれぞれに対して、前記液体噴射ヘッドにより、同時に液体噴射を実行する。
これによれば、複数のターゲットに対し、同時に液体噴射が可能となるため、複数のターゲットに対し1つずつ液体噴射を行う場合よりも、液体噴射にかかる時間を全体として短縮化することができる。
【0009】
この液体噴射装置において、前記位置検出手段は、発光部と受光部とから構成されるセンサであって、前記発光部は前記エッジガイドに設けられる。
これによれば、発光部は、供給手段に沿って移動可能なエッジガイドに設けられているため、ターゲットの幅に合わせて配置されたエッジガイドから受光部に対して発光することができる。このため、エッジガイドが移動しても、その位置を検出することができる。
【0010】
この液体噴射装置において、複数の前記エッジガイドは、前記供給手段に配置された前記各ターゲットの一側面に合わせて前記供給手段に沿ってそれぞれ移動すると共に、隣り合った前記エッジガイドの間に前記各ターゲットを配置する。
【0011】
これによれば、複数のエッジガイドにより、多様な幅を有する、複数のターゲットを供給手段に並列に設置することができる。また、供給手段に設置された用紙が搬送される際に、斜行を防止することができる。
【0012】
本発明は、液体噴射データに基づき、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドを搭載し、往復移動するキャリッジと、液体が噴射されるターゲットを複数並列させて設置するための供給手段とを有する液体噴射装置の制御方法において、所定の領域を有する仮想液体噴射データに、複数の液体噴射データを前記所定の領域の幅方向に並べて割り付けると共に、該仮想液体噴射データに基づき、前記キャリッジの1走査間に、前記液体噴射データに対応した複数の前記ターゲットにそれぞれ液体噴射を行う。
【0013】
これによれば、複数の液体噴射データを一つの仮想液体噴射データに割り付けることができるため、複数の液体噴射データに基づいて同時に液体を噴射するためのデータ領域を、それぞれ別に設ける等の必要がない。従って、比較的簡易に複数のターゲットに対して同時に液体を噴射することができる。また、キャリッジの1走査間に、複数のターゲットに対し液体噴射を行うため、複数のターゲットに対し1つずつ液体噴射を行う場合に比べて、キャリッジの往復回数が少なくなる。このため、ターゲットが複数あった場合に、ターゲットに液体を噴射する時間を全体として短縮化することができ、効率的に液体噴射動作を行うことができる。
【0014】
この液体噴射装置の制御方法において、前記供給手段に沿って移動すると共に前記各ターゲットの一側面を固定する複数のエッジガイドの位置をそれぞれ検出する位置検出手段により送出される位置情報から、前記ターゲットの幅を算出すると共に、前記液体噴射データに基づいて液体を噴射するターゲットの幅に関する設定情報を、該液体噴射データに付し、前記設定情報に含まれるターゲットの幅と、前記供給手段に並べられた前記ターゲットの幅とが対応するように、複数の前記液体噴射データを前記仮想液体噴射データに割り付ける。
【0015】
これによれば、位置情報により、異なる幅を有するターゲットが様々な並べ方で設置されても、ターゲットの設置位置に対応させて液体噴射データを割り付けることができる。このため、供給手段に並べられたターゲットの幅や並べ方に制限を受けることなく、様々な幅の複数のターゲットに対して同時に液体を噴射することができる。このため、多様な幅を有する、複数のターゲットに対し効率的に吐出動作を行うことができる。
【0016】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データに並べて割り付けられる複数の前記液体噴射データは、データ領域の幅又は長さが互いに異なる。
【0017】
これによれば、供給手段に並べられた複数のターゲットの幅又は長さが異なる場合であっても、同時に液体の噴射を行うことができる。このため、多様な幅又は長さを有する、複数のターゲットに対し効率的に吐出動作を行うことができる。
【0018】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データに並べて割り付けられる複数の前記液体噴射データは、データ領域の幅又は長さが互いに同じである。
【0019】
これによれば、同じ幅又は同じ長さを有するターゲットに対しても、同時に液体の噴射を行うことができる。このため、複数のターゲットに対し効率的に吐出動作を行うことができる。
【0020】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データの、前記液体噴射データが割り付けられていないデータ領域には、前記液体噴射ヘッドから液滴の噴射を実行させないためのデータが含まれる。
【0021】
これによれば、所定のデータ領域を有する仮想液体噴射データにおいて、液体噴射データのデータ領域以外の箇所を液滴の噴射を実行させないためのデータとすることで、多様な幅又は長さを有する液体噴射データに合わせることができる。このため多様な幅又は長さを有するターゲットに対して、複数同時に液体噴射することができる。
【0022】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データ内に形成された複数のデータ領域の少なくともいずれか一つに、複数の前記液体噴射データを連続させて割り付ける。
【0023】
これによれば、一方のターゲットに対する液滴の噴射が終了しても、他方のターゲットに対する液体の噴射工程等が終了するまで待機せず、液体の噴射を開始できる。このため、複数のターゲットに対して液滴の噴射を行う場合に、液体噴射にかかる時間を全体として短縮化させることができる。
【0024】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データに形成された複数のデータ領域のうち、一の前記データ領域の長さが、他のデータ領域の長さよりも小さいときに、該一のデータ領域の長さ方向に、前記複数の液体噴射データを連続させて割り付ける。
【0025】
これによれば、データ領域の長さが大きい液体噴射データに合わせて、仮想液体噴射データに液体噴射データを割り付ける必要がなくなる。このため、複数のデータ領域のうち、幅のみを一定とし、長さはターゲットの長さに応じてそれぞれ対応させて割り付けることができる。
【0026】
この液体噴射装置の制御方法において、前記仮想液体噴射データには、前記液体噴射ヘッドの1走査分のデータ領域内に複数の前記液体噴射データが含まれる。
【0027】
これによれば、液体噴射ヘッドが1走査する際に、複数の液体噴射データに基づいて、液体噴射データが対応するターゲットにそれぞれ液体噴射を行うことができる。このため、キャリッジの往復回数を減少させることができる。従って、複数のターゲットに液体噴射を行う場合に、液体噴射にかかる時間を全体として短縮化させることができる。
【0028】
この液体噴射装置の制御方法において使用されるコンピュータプログラムであって、ターゲットの数に関する情報と、ターゲットの幅又は長さに関する情報とを前記液体噴射データごとに付し、前記液体噴射データを前記液体噴射装置の制御手段に送信すると共に、前記液体噴射データに付された前記ターゲットの幅に関する情報と、前記位置情報から算出されたターゲットの幅とが一致しない場合にエラー情報を出力する。
【0029】
これによれば、コンピュータを利用して、それぞれの液体噴射データに、ターゲットの数、幅又は長さに関する情報を比較的簡単に付すことができる。従って、これらの情報を利用して、液体噴射装置の各種制御を行うことができる。さらに、液体噴射データに付されたターゲットの幅が、実際に設置されたターゲットの幅と一致しない場合に、エラー情報を出力することにより、液体がターゲットの所定の位置に噴射されないようなことが生じるのを極力防止できる。
【0030】
このコンピュータプログラムにおいて、前記液体噴射データを前記液体噴射装置の前記制御手段に送信すると共に、複数同時液体噴射の実行命令を送信する。
これによれば、液体噴射装置の制御手段が、複数同時液体噴射の実行命令を受信しないときは、供給手段の1箇所にターゲットを設置して、単数又は1箇所に積層された複数のターゲットに対し、1つずつ液体噴射を行うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図10に従って説明する。
【0032】
図1は、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ(以下、プリンタとする。)11の機械的構成を示す要部斜視図である。プリンタ11は、ケース12内に、フレーム(図示せず)を備えている。フレーム内には、プラテン13が配設され、さらに、そのプラテン13と平行になるようにガイド部材14が配設されている。このガイド部材14には、キャリッジ15がガイド部材14に沿って摺動可能に支持され、キャリッジ15は主走査方向Xに往復移動する。キャリッジ15には、ブラックインク及び各種カラーインクを吐出するノズル群を有する、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド20が、プラテン13に対向するように搭載されている。また、キャリッジ15には、ブラックインク及び各種カラーインクを貯留した各インクカートリッジ21が搭載されている。このインクカートリッジ21から各ノズル群にそれぞれインクが供給され、プラテン13上に搬送された、ターゲットとしての用紙Pに対してインク滴が吐出されることにより、文字や画像が印刷されるようになっている。フレームの外側には、キャリッジモータ43(図4参照)が備えられている。また、フレームの内側には、キャリッジモータ43に駆動される駆動プーリ16が設けられ、この駆動プーリ16と相対向する左側には従動プーリ17が回転可能に支持されている。これらの駆動プーリ16及び従動プーリ17には、タイミングベルト18がガイド部材14と平行になるように掛装されている。このタイミングベルト18の所定の箇所とキャリッジ15とは連結されているため、キャリッジモータ43が正逆回転することによって、キャリッジ15がガイド部材14に沿って往復移動する。
【0033】
また、プリンタ11の背面側には、自動給紙装置(Auto Sheet Feeder)25が備えられている。この自動給紙装置25には、用紙サポート26a、載置板26b、左端側エッジガイド26c及び同時印刷用エッジガイド26dを備えた、供給手段としての用紙ガイド26が固定されている。自動給紙装置25には、用紙ガイド26にセットされた用紙Pを本体内に給紙する給紙駆動機構を備える。
【0034】
図2は、プリンタ11の内部に収容された給紙駆動機構を説明するための模式断面図である。記録ヘッド20の下方には、給紙駆動機構を構成する、搬送ローラ25a及び排紙ローラ25bがそれぞれ配設されている。搬送ローラ25a及び排紙ローラ25bは、ギア機構(図示せず)を介して接続された紙送モータ44(図4参照)を駆動源としている。そして、この搬送ローラ25a及び排紙ローラ25bには、用紙Pの搬送に伴って従動して回転する従動ローラ25c,25dがそれぞれ配設されている。また、載置板26bと対向する側には、給紙ローラ25eが配設されている。この給紙ローラ25eの回転により、載置板26b上に配置された用紙Pは、ケース12内部に給紙される。そして、給紙された用紙Pは、搬送ローラ25a及び排紙ローラ25bにより紙送りされ排紙される。また、給紙ローラ25eと搬送ローラ25aとの間であって、用紙Pの搬送経路の上方には、紙検出センサ25fが配設されている。紙検出センサ25fは、搬送経路に搬送されてきた用紙Pの有無を検出するものである。この紙検出センサ25fは、印刷を実行させる命令を受信したにもかかわらず、用紙Pを検出しなかった場合に、ユーザの使用するホストコンピュータ31に備えられる表示部31c(図4参照)又はプリンタ11の表示部(図示せず)にエラー表示を行う。
【0035】
また、図1に示す、用紙ガイド26に取付けられた左端側エッジガイド26c及び同時印刷用エッジガイド26dは、紙送りの際の用紙Pの斜行を防止するためのものであり、用紙ガイド26に沿って摺動可能に配設されている。用紙ガイド26には、図1に示すように、載置板26bの右端と同時印刷用エッジガイド26dとの間に所定サイズ以下の用紙Pを積層させて設置できるようになっている。また、同時印刷用エッジガイド26dと左端側エッジガイド26cとの間にも、所定サイズ以下の用紙Pを設置できる。本実施形態の用紙ガイド26は、A4版の用紙P及びA5版の用紙Pを並列に並べて、それぞれ複数枚重ねて配置できる大きさとなっている。このため、この大きさ以下である用紙Pであれば印刷可能であり、例えば、はがき2枚を配置することもできる。この用紙ガイド26は、用紙Pを並列させて設置する以外にも、1箇所に用紙Pを設置することもできる。このような場合には、載置板26bの右端と同時印刷用エッジガイド26dとの間に用紙Pを1枚、あるいは重ねて設置し、同時印刷用エッジガイド26で用紙Pの一側面を固定する。このとき、同時印刷用エッジガイド26d側に左端側エッジガイド26cを寄せて配置することができる。このため、比較的大きな用紙Pを印刷する際も、左端側エッジガイド26cは同時印刷用エッジガイド26dの移動可能範囲を極力縮小させないようにすることができる。
【0036】
この左端側エッジガイド26c及び同時印刷用エッジガイド26dの裏面には、センサとしての位置検出センサ28を構成する発光部28aが固定されている。位置検出手段としての位置検出センサ28は、左端側エッジガイド26c及び同時印刷用エッジガイド26dの位置を検出するためのものである。図3は、位置検出センサ28の設置位置を説明するための説明図であり、便宜上、各エッジガイド26c,26dは裏面のみ示す。そして、各エッジガイド26c,26dの裏面と対向する側の用紙ガイド26の一側面には、位置検出センサ28を構成する受光部28bが、載置板26bと平行に複数個配列されている。この受光部28bは、各エッジガイド26c,26dの移動範囲に対応させて設けられている。位置検出センサ28が位置検出命令を受信すると、発光部28aからレーザ光Lが射出され、受光部28bにより受光される。受光部28bが、しきい値以上の光量を検出した場合、その受光部28bが配置される位置に対応する位置が各エッジガイド26c,26dの位置と判断される。そして、この各エッジガイド26c,26dの位置の情報である、位置情報をプリンタ11の制御手段に送る。制御手段に備えられるASIC38(図4参照)では、載置板26bの右端を基準点として、この基準点と同時印刷用エッジガイド26dとの相対距離から、右側にセットされた用紙Pの幅が算出される。さらに、基準点と、同時印刷用エッジガイド26cの位置と、左端側エッジガイド26cの位置とから、左側にセットされた用紙Pの幅が算出される。
【0037】
図4は、このような機械的構成のプリンタ11の印刷システムの概略構成を示すブロック図である。本実施形態の印刷システムは、プリンタ11とホストコンピュータ31とを備えている。ホストコンピュータ31は、本体31a、キーボード、マウス等の入力装置31b、及び表示部31cを備えている。本体31aでは、プログラムとCPU(図示せず)とにより、コンピュータプログラムとしてのプリンタドライバ32が構築されている。プリンタドライバ32は画像データや文書データを液体噴射データとしての印刷データに変換する処理、印刷データに用紙枚数、用紙サイズ等の設定情報を付する処理を実行する。プリンタ11はホストコンピュータ31と通信可能に接続されており、プリンタドライバ32で変換された印刷データはホストコンピュータ31からプリンタ11に送信され、プリンタ11のインタフェース39に受信される。インタフェース39に接続されたバスには、制御手段としての、CPU35、ROM36、RAM37及びASIC38等が接続されている。CPU35はROM36に記憶されたプログラムを実行することでASIC38に対し印刷制御上必要な指示や排給紙処理の指示を出す。
【0038】
ASIC38は印刷制御を司ると共に、CPU35の指示により排給紙処理を実行する。ASIC38にはヘッド駆動部40及びモータ駆動部41,42が接続されている。ASIC38はヘッド駆動部40を介して記録ヘッド20を制御すると共に、各モータ駆動部41,42を介してキャリッジモータ43および紙送モータ44を制御する。
【0039】
また、ASIC38はホストコンピュータ31から受信した印刷データのコマンドを解釈すると共に、圧縮された印刷データの展開を行い、このデータ等を基にヘッド駆動部40を介して記録ヘッド20を制御する。複数の用紙Pに同時に印刷を行う場合は、印刷データのヘッダに複数同時印刷命令のコマンドが付されている。このコマンドが受信されると、印刷データを展開する際に、プリンタ11が印刷可能な最大範囲の用紙Pを印刷する際に使用される、仮想液体噴射データとしての仮想印刷データのデータ領域に複数の印刷データを割り付ける。この仮想印刷データは、プリンタ11が印刷可能な最大幅の用紙Pを印刷する際のデータ構造となっている。本実施形態では、複数同時印刷が行われる際は、仮想印刷データに用紙Pの2枚分の印刷データが割り付けられる。このとき、ASIC38は、印刷データに付された設定情報に基づき、設定された用紙サイズに対応したデータ領域に印刷データを割り付けている。また、ASIC38は、位置検出センサ28から、各エッジガイド26c,26dの位置に関する情報を受付け、この情報から2枚の用紙Pの幅を算出している。このため、設定された用紙サイズと、算出した用紙サイズが異なる場合は、各エッジガイド26c,26dの位置、又は設定された用紙サイズを変更するよう指示するための情報の出力命令を送出する。また、印刷データには他にも各種コマンドに関する情報が付されている。これらのコマンドの解釈も、ASIC38により行われる。
【0040】
上記の仮想印刷データについて、図5に従って説明する。図5は、仮想印刷データのデータ構成を示す説明図である。図5に示された仮想印刷データは、例えばブラックインクを吐出させるためのラスタデータである。この仮想印刷データは、2枚のはがきを一括して印刷するためのデータとなっており、プリンタ11が印刷可能である最大の幅を仮想印刷幅としたデータ領域を有している。この仮想印刷幅は、キャリッジ15の主走査方向Xに移動する際に記録ヘッド20がインクを吐出可能な範囲の幅と対応している。このラスタデータには、図中斜線で示す、液体噴射データとしての、印刷幅Aの印刷データA及び印刷幅Bの印刷データBが含まれている。本実施形態では、印刷データA及び印刷データBの幅及び長さは、はがきの幅及び長さと対応しており、マージンが設定されている場合はマージンの幅に対応させたデータも含まれている。印刷データA及び印刷データB以外の領域には、ノズルからインク滴を吐出を実行しないための値が含まれたデータが格納されている。また、印刷データAと印刷データBとの間は、左側に配置された用紙Pと右側に配置された用紙Pとの間に配置される同時印刷用エッジガイド26dの幅の分だけ空けられており、この部分にはインク吐出を実行しないためのデータが含まれている。このため、プリンタ11が印刷可能である最大幅の用紙Pを印刷する際に使用されるラスタデータを活用して、2枚の用紙Pに印刷を行うことができる。
【0041】
これ以外に、印刷データA及び印刷データBのデータ領域の幅が互いに異なる場合の仮想印刷データのデータ構成を図6に示す。図6では、印刷データAは、1枚分のA5版の用紙Pに印刷を行うためのデータであり、印刷データBは1枚分のA4版の用紙Pに印刷を行うためのデータである。仮想印刷データの仮想印刷幅は、図5の仮想印刷データと同様に、プリンタ11が印刷可能である最大幅の用紙Pを印刷する際に使用されるラスタデータの幅である。印刷データAの下端と、印刷データBの下端は、仮想印刷データの下端で揃えられている。このデータに基づいて印刷を行う場合は、図における仮想印刷データの下端からデータを順次取り込み、印刷を行う。印刷データAの長さは印刷データBの長さよりも短いため、仮想印刷データ内の印刷データAの上方、すなわち印刷データAが終了した後は、インク吐出を実行しないための値が含まれたデータで構成されている。このように、同時に複数の用紙Pに印刷する際に、用紙Pの幅又は長さが互いに異なる場合でも、仮想印刷データに割り付けることにより、印刷することが可能である。
【0042】
一方、プリンタドライバ32には、設定画面表示用データが収容されている。入力装置31bの操作により、設定画面表示の要求を受け取ると、ホストコンピュータ31の記憶部(図示せず)から設定画面表示用データを読み出して、表示部31cに各種設定画面を表示させる。この設定画面は、ページレイアウトや、複数の用紙Pに同時に印刷を行う場合に用紙Pの用紙サイズ、印刷枚数等を入力指定するためのものである。ユーザは表示部31cに表示された設定画面を見ながら、入力装置31bを操作して各種設定ができるようになっている。
【0043】
この画面について、図7及び図8に従って説明する。図7は、同時印刷するデータを選択するための選択画面51を示し、図8は、用紙Pのサイズ、枚数又は部数等を設定するための詳細設定画面52を示す。図示しないメニュー画面等から、複数枚同時印刷が選択されると、表示部31cには選択画面51が表示される。選択画面51では、ホストコンピュータ31の記憶部に記憶された、複数の画像Mが縮小されて表示されている。ある画像Mを、他の画像Mと同時に印刷する場合は、印刷したい画像Mをクリックすることにより表示される、図8に示す詳細設定画面52において設定を行う。詳細設定画面52では、用紙サイズ選択欄52aに表示されるプルダウンメニューから用紙サイズを選択し、部数選択欄52bで部数を選択する。さらに、印刷する対象や画質を設定し、適用ボタン52cをクリック等により選択する。適用ボタン52cが選択されると、選択画面51が再度表示される。なお、ここで選択された画像Mは、1種類でも2種類以上でもよいが、設定する用紙サイズは全体として2種類以下である。
【0044】
部数、用紙サイズ等が設定された画像Mに対しては、選択画面51内の、表示された画像Mの左上方の偶部のチェックボックス51aにチェックが入力される。このようにして、印刷したい画像Mが選択された状態で、印刷ボタン51bが押下されると、プリンタ11に複数同時液体噴射の実行命令としての複数同時印刷命令と印刷データとが送信される。
【0045】
次に、プリンタ11において複数の画像が同時印刷される手順について、図9に従って説明する。選択画面51の印刷ボタン51bが選択され、複数の用紙Pを同時に印刷する、複数同時印刷命令がホストコンピュータ31から送信されると、ASIC38がこの命令を受信する(S1−1)。複数同時印刷命令が受信されると、左端側エッジガイド26c、同時印刷用エッジガイド26dの位置が検出される(S1―2)。検出された位置と、載置板26bの最右端である基準点との相対距離から、用紙ガイド26にセットされた左側及び右側の用紙Pの幅が算出される(S1−3)。このとき、例えば、算出された用紙の幅が両方ともはがきの幅であり、詳細設定画面52で設定された用紙サイズに関する情報に、これ以外の用紙サイズに関する情報が含まれていた場合、ホストコンピュータ31の表示部31cやプリンタ11の表示部にエラー情報が出力される。設定された用紙サイズの幅と、算出された用紙Pの幅が一致すると、算出された用紙Pの幅に基づいて印刷データの割り付けが行われる。例えば、算出された2種類の用紙Pの幅のうち、右側の用紙サイズがA5版の用紙Pの幅であった場合、A5版に設定された印刷データを右側に印刷するように割り付ける。図6に示す仮想印刷データは、右側にA5版の用紙P、左側にA4版の用紙Pが配置されていると算出された場合に、各印刷データがそれぞれ割り付けられたものである。
【0046】
データの割り付けを行う際は、まず、算出された用紙Pの幅から決定された用紙サイズが互いに異なるか否か判断する(S1−4)。例えば、算出された用紙サイズが両方ともはがきのサイズであるような、用紙サイズが同じ場合(S1−4においてNO)、プリンタドライバ32から転送された順に、2枚ずつ仮想印刷データに印刷データの割付を行う(S1−5)。用紙サイズが互いに異なる場合(S1−4においてYES)、例えば、用紙ガイド26に右側にA5版の用紙P、左側にA4版の用紙Pが配置されるような場合は、仮想印刷データのデータ領域を、A5版の用紙幅に対応させたデータ領域と、A4版に対応させたデータ領域とに分ける。そして、複数の印刷データは、設定された用紙サイズに応じて、分けられたデータ領域のいずれかに割り付けられる(S1―6)。
【0047】
印刷データを割り付けると、紙検出センサ25fによる用紙Pの検出等の工程を含む用紙検出処理が行われる(S1−7)。この用紙検出処理は、用紙ガイド26上の、各エッジガイド26c及び26dによって形成される、2種類の用紙のセット位置のうち、どちらか一方の用紙Pがなくなった場合等にも印刷を継続するための処理である。この用紙検出処理について図10に従って説明する。まず用紙ガイド26にセットされた用紙Pが給紙ローラ25eにより搬送され、紙検出センサ25fにより、搬送経路に用紙Pがあるかどうかが検出される(S2−1)。そして、用紙Pが2枚検出されたか否かを判断する(S2−2)。用紙Pが2枚検出された場合(S2−2においてYES)はそのまま用紙検出処理を終了する。用紙Pが2枚検出されなかった場合(S2−2においてNO)は、算出された用紙サイズが1種類であるか否か、1枚の用紙Pが検出されているか否かを判断する(S2−3)。算出された用紙サイズが1種類でない、或いは用紙Pが1枚も検出されなかった場合(S2−3においてNO)、表示部31c又はプリンタ11の表示部にエラー表示を行い(S2−4)、用紙検出処理を繰り返す。算出された用紙サイズが1種類であり、かつ用紙Pが1枚検出された場合(S2−3においてYES)、用紙2枚分の印刷データが割り付けられた仮想印刷データを、用紙1枚分の印刷データが割り付けられた仮想印刷データに再処理する。このとき、印刷データは、例えば、用紙ガイド26の右側にセットされた用紙Pが検出された場合は、右側のデータ領域に、すなわち用紙Pが検出された側の領域に1枚ずつ割り付けられる(S2−5)。このような手順にすると、同じサイズの用紙2枚を同時に印刷を行った際、左右どちらか一方の用紙Pがなくなった場合にも印刷を中止することなく、左右どちらか一方に用紙Pがセットされているときに印刷を継続することができる。
【0048】
用紙検出処理が終了すると、用紙Pに対して印字が行われる(S1−8)。すなわち、仮想印刷データに印刷データA及び印刷データBのデータが割り付けられている場合は、キャリッジ15の1走査間に、印刷データA及び印刷データBに基づいた印字を同時に行う。ここで、キャリッジ15の1走査間とは、キャリッジ15がフレームの一端部から、他端部へ移動する間を指す。仮想印刷データに一印刷データしか割り付けられていない場合は、その印刷データのみに基づいて印刷する。さらに、紙検出センサ25fが、用紙Pの後端を検知すると排紙ローラ25bにより、排紙が行われる(S1−9)。さらに、プリンタドライバ32から送信された印刷データが終了したか否かが判断される(S1−10)。データが終了した場合(S1−10においてYES)、そのまま処理を終了する。データが終了せず、印刷が実行されていない印刷データが存在する場合(S1−10においてNO)、紙検出処理を行い(S1−7)、以下、上記と同様に処理が繰り返される。
【0049】
第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1の実施形態では、用紙ガイド26に備えられた左端側エッジガイド26c、同時印刷用エッジガイド26dにより、載置板26bにセットされた2枚の用紙Pの側面を固定させ、用紙ガイド26に用紙Pを並列にセットすることができる。さらに、この各エッジガイド26c,26dは用紙ガイド26に沿って摺動可能であるため、多様な幅を有する用紙Pを斜行しないように固定することができる。また、位置検出センサ28から出力された各エッジガイド26c,26dの位置に関する情報から、セットされる用紙Pの幅をそれぞれ算出することができる。このため、算出された用紙Pの幅と、設定された用紙サイズを対応させて、仮想印刷データに複数の印刷データを割り付けることができる。
【0050】
(2)第1の実施形態では、仮想印刷データのデータ領域に、複数の印刷データを仮想印刷データの仮想印刷幅方向に並べて割り付け、仮想印刷データに基づき、キャリッジ15の1走査間に、印刷データに対応した用紙Pにそれぞれインク滴を吐出するようにした。このため、複数の印刷データに基づいて同時に印刷するためのデータ領域を、それぞれ別に設ける等の必要がなく、比較的簡易に複数の用紙Pに対して同時に印刷することができる。また、キャリッジ15の1走査間に、複数の用紙Pに対し印刷を行うため、キャリッジリターンが少なくなる。このため、用紙Pが複数あった場合に、用紙Pに印刷する時間を全体として短縮化することができ、効率的に印刷を行うことができる。
【0051】
(3)第1の実施形態では、プリンタドライバ32により、用紙サイズに関する設定情報を印刷データに付した。そして、位置検出センサ28により算出された用紙の幅に基づいて、設定情報に含まれる用紙サイズの幅と、用紙ガイド26に並べられた用紙の幅が対応するように、複数の印刷データを仮想印刷データに割り付けるようにした。このため、異なる幅を有する複数の用紙Pが、様々な並べ方でセットされても、用紙ガイド26上のセット位置に対応させて印刷データを割り付けることができる。従って、用紙ガイド26に並べられた用紙Pの幅や並べ方に制限を受けることなく、多様な幅の複数の用紙Pに対して同時に印刷することができる。
【0052】
(4)第1の実施形態では、仮想印刷データに並べて割り付けられる複数の印刷データは、データ領域の幅又は長さが互いに異なる場合でも、印刷データがない箇所をインク滴が吐出されないためのデータとすることにより割り付けができるようにした。このため、用紙ガイド26に並べられた複数の用紙Pの幅、長さが異なる場合であっても、同時に印刷を行うことができる。このため、多様な幅又は長さを有する、複数の用紙Pに対し印刷を行う時間を短縮化することができる。
【0053】
(5)第1の実施形態では、位置検出センサ28を発光部28aと受光部28bとからなるフォトセンサで構成するようにした。発光部28aは、用紙ガイド26に沿って摺動可能な各エッジガイド26c,26dに設けられているため、用紙Pの幅に合わせて固定された各エッジガイド26c,26dから受光部28bに対してレーザ光Lを射出することができる。このため、各エッジガイド26c,26dが移動しても、その位置を検出することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図11に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の処理手順とデータ構成とを変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0055】
本実施形態では、仮想印刷データのデータ領域には、図11のように印刷データA、印刷データB、及び印刷データCがそれぞれ割り付けられる。印刷データA,Bは用紙1枚分のデータを示している。印刷データCも用紙1枚分のデータであるが、便宜上、部分的に示している。このとき、印刷データAと印刷データBとは、少なくとも互いにデータ領域の長さが異なるものとする。印刷データAと印刷データCとは、データ領域の幅及び長さが等しいが、同じ画像等を印刷するための同じラスタデータでなくてもよい。仮想印刷データは、2種類の幅の領域に分けられている。一方は、印刷データBを印刷するための領域であり、他方は、印刷データA,Cを印刷するための領域である。印刷データBは、仮想印刷データのデータ領域の左側に割り付けられ、印刷データA及び印刷データCは、右側に割り付けられている。印刷データA及び印刷データCは、間隔をあけずに配置されている。
【0056】
この場合、印刷データAと印刷データCとは連続して印刷されるが、印刷データAと印刷データCを印刷する間に、ASIC38により紙送モータ44に排紙命令が送出される。そして、用紙ガイド26の右側にセットされ、印字が行われた用紙Pのみ排紙が行われる(S1−9)。排紙が行われると、排紙が行われた方の用紙Pの位置に、新たな用紙Pの給紙が行われ、用紙検出処理が行われる(S1−7)。排紙及び給紙の工程の間、記録ヘッド20は吐出動作を停止している。新たな用紙Pの給紙が完了すると、用紙ガイド26の左側にセットされ、搬送された用紙Pに対して印刷データBに基づいて印刷が継続されると共に、右側に搬送された用紙Pに対して印刷データCに基づいて印刷が開始される。
【0057】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1)〜(5)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(6)第2の実施形態では、長さが異なる用紙Pを2枚同時に印刷する際に、一方の用紙Pに対して印刷が終了したときに、他方の用紙Pに対する印刷が終了するまで待機せず、終了次第、次の用紙Pを給紙して印刷を継続するようにした。すなわち、仮想印刷データ内で用紙Pの幅に基づいて分けられた領域ごとに、印刷データを連続させて配置するようにした。従って、一方の用紙Pに対して印刷が終了しても、他方の用紙Pの印刷が終了され排紙されるのを待機せず、印刷を継続するため、複数の用紙Pに印刷を行う場合に印刷時間を短縮化させることができる。このため、効率よく複数の用紙Pに印刷を行うことができる。
【0058】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、プリンタ11はA4版の用紙P及びA5版の用紙Pを同時に印刷できる印刷可能幅を有するとしたが、これ以外の印刷可能幅を有するものでもよい。また、自動給紙装置25に具備される用紙Pは、カット紙だけでなくロール紙でもよい。ロール紙の場合は、他の用紙Pと同時に印刷される際、他の用紙Pの排紙が終了するまで、排紙を待機する。
【0059】
・上記各実施形態では、用紙ガイド26には、2個のエッジガイド26c,26dが配設されるようにした。これ以外に、例えば、A0版の用紙Pに印刷可能なプリンタ11にエッジガイドを5個等設けてもよい。このようにすると、大型のプリンタ11では、はがき等を5枚同時に印刷することが可能となり、印刷にかかる時間を全体として短縮化させることができる。
【0060】
・上記各実施形態では、位置検出センサ28の発光部28aを各エッジガイド26c,26dの裏面に配設し、これらの発光部28aと対向する面に、複数並列された受光部28bを配設するようにした。これ以外に、受光部28bを必要な箇所のみに設けてもよい。例えば、所定の種類の用紙Pしか印刷しない場合は、それらの用紙Pの幅に対応する位置と、それらの用紙Pの組み合わせから算出される位置に受光部28bを設けてもよい。
【0061】
・上記各実施形態の印刷システムは、ホストコンピュータ31とプリンタ11とから構成されるとしたが、ホストコンピュータ31に接続されないプリンタ11のみから構成してもよい。このような場合、プリンタ11は、スイッチ等の操作部以外に、画像を出力するためのモニタ、プリンタドライバ等を備える。そして、デジタルカメラや他の電子機器から有線又は無線で画像データ等を受信すると共に、ラスタデータに変換して、このラスタデータに基づいて記録ヘッド20からインク滴を吐出する。
【0062】
・上記各実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンタに使用したが、インク以外の液体を噴射する液体噴射装置に応用してもよい。例えば、液晶ディスプレイやELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のプリンタの要部斜視図。
【図2】第1の実施形態のプリンタの側面からみた断面図。
【図3】第1の実施形態の位置検出センサの説明図。
【図4】第1の実施形態の印刷システムのブロック図。
【図5】第1の実施形態の印刷データのデータ構造の説明図。
【図6】第1の実施形態の印刷データのデータ構造の説明図。
【図7】第1の実施形態の設定画面の説明図。
【図8】第1の実施形態の設定画面の説明図。
【図9】第1の実施形態の処理手順の説明図。
【図10】第1の実施形態の処理手順の説明図。
【図11】第2の実施形態の印刷データのデータ構造の説明図。
【符号の説明】
11…液体噴射装置としてのプリンタ、15…キャリッジ、20…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、26…供給手段としての用紙ガイド、26c…左端側エッジガイド、26d…同時印刷用エッジガイド、28…位置検出手段としての位置検出センサ、28a…発光部、28b…受光部、32…コンピュータプログラムとしてのプリンタドライバ、35…制御手段としてのCPU、36…制御手段としてのROM、37…制御手段としてのRAM、38…制御手段としてのASIC、A…液体噴射データとしての印刷データ、B…液体噴射データとしての印刷データ、C…液体噴射データとしての印刷データ、P…ターゲットとしての用紙。
Claims (14)
- 往復移動するキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
液体を噴射されるターゲットを載せ、該ターゲットを前記液体噴射ヘッドに対向するように供給するための供給手段と
を備える液体噴射装置において、
前記供給手段には、複数のターゲットを並列させて設置可能であると共に、前記供給手段には、該供給手段に沿って移動する複数のエッジガイドが設けられ、該エッジガイドは前記各ターゲットの一側面をそれぞれ固定し、前記エッジガイドの位置を検出するための位置検出手段が設けられることを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記供給手段に供給される複数の前記ターゲットのそれぞれに対して、前記液体噴射ヘッドにより、同時に液体噴射を実行することを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1又は2に記載の液体噴射装置において、
前記位置検出手段は、発光部と受光部とから構成されるセンサであって、前記発光部は前記エッジガイドに設けられることを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の液体噴射装置において、
複数の前記エッジガイドは、前記供給手段に配置された前記各ターゲットの一側面に合わせて前記供給手段に沿ってそれぞれ移動すると共に、隣り合った前記エッジガイドの間に前記各ターゲットを配置することを特徴とする液体噴射装置。 - 液体噴射データに基づき、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドを搭載し、往復移動するキャリッジと、液体が噴射されるターゲットを複数並列させて設置するための供給手段とを有する液体噴射装置の制御方法において、
所定の領域を有する仮想液体噴射データに、複数の液体噴射データを前記所定の領域の幅方向に並べて割り付けると共に、
該仮想液体噴射データに基づき、前記キャリッジの1走査間に、前記液体噴射データに対応した複数の前記ターゲットにそれぞれ液体噴射を行うことを特徴とする液体噴射装置の制御方法。 - 請求項5に記載の液体噴射装置の制御方法において、
前記供給手段に沿って移動すると共に前記各ターゲットの一側面を固定する複数のエッジガイドの位置をそれぞれ検出する位置検出手段により送出される位置情報から、前記ターゲットの幅をそれぞれ算出すると共に、
前記液体噴射データに基づいて液体を噴射するターゲットの幅に関する設定情報を、該液体噴射データに付し、前記設定情報に含まれるターゲットの幅と、前記供給手段に並べられた前記ターゲットの幅とが対応するように、複数の前記液体噴射データを前記仮想液体噴射データに割り付けることを特徴とする液体噴射装置の制御方法。 - 請求項5又は6に記載の液体噴射装置の制御方法において、
前記仮想液体噴射データに並べて割り付けられる複数の前記液体噴射データは、データ領域の幅又は長さが互いに異なることを特徴とする液体噴射装置の制御方法。 - 請求項5又は6に記載の液体噴射装置の制御方法において、
前記仮想液体噴射データに並べて割り付けられる複数の前記液体噴射データは、データ領域の幅又は長さが互いに同じであることを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項5〜8のいずれかに記載の液体噴射装置の制御方法において、
前記仮想液体噴射データの、前記液体噴射データが割り付けられていないデータ領域には、前記液体噴射ヘッドから液滴の噴射を実行させないためのデータが含まれることを特徴とする液体噴射装置の制御方法。 - 請求項5〜9のいずれかに記載の液体噴射装置の制御方法において、
前記仮想液体噴射データ内に形成された複数のデータ領域の少なくともいずれか一つに、複数の前記液体噴射データを連続させて割り付けることを特徴とする液体噴射装置の制御方法。 - 請求項10に記載の液体噴射装置の制御方法において、
前記仮想液体噴射データに形成された複数のデータ領域のうち、一の前記データ領域の長さが、他の前記データ領域の長さよりも小さいときに、該一のデータ領域の長さ方向に、前記複数の液体噴射データを連続させて割り付けることを特徴とする液体噴射装置の制御方法。 - 請求項5〜11のいずれかに記載の液体噴射装置の制御方法において、
前記仮想液体噴射データには、前記液体噴射ヘッドの1走査分のデータ領域内に複数の前記液体噴射データが含まれることを特徴とする液体噴射装置の制御方法。 - 請求項5〜12のいずれかに記載の液体噴射装置の制御方法において使用されるコンピュータプログラムであって、
ターゲットの数に関する情報と、ターゲットの幅又は長さに関する情報とを前記液体噴射データごとに付し、前記液体噴射データを前記液体噴射装置の制御手段に送信すると共に、
前記液体噴射データに付された前記ターゲットの幅に関する情報と、前記位置情報から算出されたターゲットの幅とが一致しない場合にエラー情報を出力することを特徴とするコンピュータプログラム。 - 請求項13に記載のコンピュータプログラムにおいて、
前記液体噴射データを前記液体噴射装置の前記制御手段に送信すると共に、複数同時液体噴射の実行命令を送信することを特徴とするコンピュータプログラム。
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JP2002368115A JP2004195840A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | 液体噴射装置、液体噴射装置の制御方法及びコンピュータプログラム |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006187870A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-07-20 | Noritsu Koki Co Ltd | インクジェットプリンタ |
JP2006326856A (ja) * | 2005-05-23 | 2006-12-07 | Canon Finetech Inc | 画像形成装置 |
US7954804B2 (en) | 2007-04-27 | 2011-06-07 | Canon Kabushiki Kaisha | Recording apparatus |
-
2002
- 2002-12-19 JP JP2002368115A patent/JP2004195840A/ja active Pending
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