JP2004195753A - プレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板とそれを用いたプレス加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム板12の一方の面に、顔料不含の有機樹脂系塗膜(下塗り層16)と顔料を含有する有機樹脂系塗膜(上塗り層18)とからなる潤滑性塗膜20を形成する一方、他方の面に、導電性物質を含有せしめた有機樹脂系塗料からなる導電性塗膜24を形成した。
【選択図】 図1
Description
【技術分野】
本発明は、プレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板とそれを用いたプレス加工方法に係り、特に、パソコン等の電子機器や携帯電話等の無線機器、テレビ等の電気機器等における筐体や、電気自動車やハイブリッド自動車の電池ケース等に好適に採用され得て、優れた帯電防止効果を実現し得る一方、プレス加工時において、塗膜割れや塗膜剥離等の発生が有利に防止され得て、極めて優れた成形性を実現すると共に、外観が美しい両面プレコートアルミニウム板、並びに、そのような両面プレコートアルミニウム板を用いたプレス加工方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、アルミニウム板は、耐食性に優れると共に、軽量であるという特徴を有しているところから、絞り加工や曲げ加工等といったプレス加工によって、所望とする形状に成形されて、家電や、OA機器、自動車製品等の様々な分野における部品として、広く利用されてきている。また、そのようなアルミニウム板の表面には、優れた意匠性を確保すべく、一般に、有機樹脂系塗料がコーティングされているのであるが、このような有機樹脂系塗料からなる塗膜が形成されたプレコートアルミニウム板にあっては、有機樹脂系塗膜の殆どが絶縁性であるところから、帯電防止性能が必要とされる電子機器、電気機器製品には、その特徴を充分に発揮し得ないという問題を内在していた。
【0003】
このため、そのような問題を解消すべく、リン化鉄やグラファイト、カーボンブラック、金属酸化物、フレーク状乃至は鱗片状のニッケルフィラー等の導電性物質が含有されてなる導電性塗料をアルミニウム材に対して塗装せしめて、その表面に導電性塗膜を形成せしめることによって、アルミニウム塗装材に導電性を付与する手法が、これまでに数多く提案されてきている。
【0004】
例えば、特許文献1,2等には、リン化鉄、グラファイト、カーボンブラック等の導電性物質を所定割合にて含む有機皮膜が形成されてなる複合被覆アルミニウム板(アルミニウム合金板)が提案されたり、また、特許文献3〜5等には、導電性物質として、フレーク状乃至は鱗片状のニッケルフィラーを用いたものが、提案されている。
【0005】
しかしながら、そのような導電性物質が含有された導電性塗膜は、導電性物質を何等含有しない有機樹脂系塗膜に比して、一般に、柔軟性や屈曲性、延伸性等の特性に劣るようになるところから、そのような導電性塗膜が形成されたプレコートアルミニウム板を用いて、絞り加工や曲げ加工等のプレス加工を実施すると、特に、成形後において外側となる面、つまり、プレス加工時にダイスに接する側となる面に、塗膜割れや塗膜剥離、或いは、アルミニウム板の表面の性状悪化等の問題が惹起される恐れがあり、プレス成形性と導電性の両方を共に高いレベルで達成し得るものではなかったのである。
【0006】
そこで、本発明者らは、先に、アルミニウム板の両側の面に、それぞれ、有機樹脂系塗料からなる潤滑性塗膜と導電性塗膜とを形成せしめることで、プレス成形性と導電性とが両立して高度に達成され得ることを知見し、別途、特許出願を行なっている(特願2002−93964号)。
【0007】
しかしながら、本発明者らが、そのような両面プレコートアルミニウム板からなるプレス製品の美観を向上させるべく、潤滑性塗膜中に顔料を含有せしめたところ、潤滑性塗膜の密着性が悪化する傾向がみられ、プレス加工の際に、特に厳しい加工条件に晒されるコーナー部において、塗膜剥れによるシワ発生の恐れを内在していることが、明らかとなったのである。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−309331号公報
【特許文献2】
特開平5−311454号公報
【特許文献3】
特開平7−211131号公報
【特許文献4】
特開平7−314601号公報
【特許文献5】
特開平8−267656号公報
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、帯電防止性能に優れると共に、意匠性にも優れ、且つ、顔料が含有せしめられていても、プレス加工時において、塗膜割れや塗膜剥離等の発生が効果的に防止され得て、優れた成形性を実現し得る両面プレコートアルミニウム板、及びそのような両面プレコートアルミニウム板を用いて有利にプレス加工を行なう方法を、提供することにある。
【0010】
【解決手段】
そして、本発明者らは、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、潤滑性塗膜を、顔料を何等含有することのない層と所定の顔料を含有する層とからなる2層構造にすることによって、潤滑性塗膜の密着性が向上され、塗膜剥離によるシワ等の欠陥の発生が有利に防止され得ることを見出したのである。
【0011】
従って、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、アルミニウム板の一方の面に、顔料を含有しない第一の有機樹脂系塗料からなる下塗り層と、顔料を含有せしめた第二の有機樹脂系塗料からなる上塗り層が、順次積層されることにより、2層構造の潤滑性塗膜が形成されている一方、他方の面に、導電性物質を含有せしめた第三の有機樹脂系塗料からなる導電性塗膜が形成されていることを特徴とするプレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板にある。
【0012】
すなわち、このような本発明に従うプレコートアルミニウム板にあっては、その両側の面に、それぞれ、有機樹脂系塗料からなる潤滑性塗膜と導電性塗膜とが形成されており、しかも、潤滑性塗膜は、顔料不含の下塗り層と顔料を含有せしめた上塗り層とからなる2層構造とされているところから、帯電防止性能に優れると共に、意匠性も極めて高度に確保され、且つ、顔料が含有せしめられていても、プレス加工時において、塗膜割れや塗膜剥離等の発生が効果的に防止され得て、優れた成形性を実現し得るようになっているのである。
【0013】
これは、潤滑性塗膜が、顔料を含有する有機樹脂系塗料のみにて形成される場合には、潤滑性塗膜中の顔料がアルミニウム板の表面付近に沈降することに起因して、塗膜密着性が悪化せしめられる傾向があるが、本発明に従って、顔料不含の有機樹脂系塗膜(下塗り層)が形成せしめられた上に、顔料を含有する有機樹脂系塗膜(上塗り層)が形成されれば、顔料はアルミニウム板表面まで沈降することはなく、以て、塗膜密着性の悪化が極めて効果的に回避されることとなるからである。
【0014】
なお、本発明に従う両面プレコートアルミニウム板の好ましい態様の一つによれば、前記潤滑性塗膜は、炭素数400〜1000のポリエステル樹脂を主成分として含有する、顔料不含のポリエステル樹脂系塗料を、前記第一の有機樹脂系塗料として用いて、1〜20μmの厚さにおいて形成されている前記下塗り層と、炭素数400〜1000のポリエステル樹脂の100重量部に対して、インナーワックスを0.2〜5.0重量部の割合において含有すると共に、顔料を含有するポリエステル樹脂系塗料を、前記第二の有機樹脂系塗料として用いて、5〜30μmの厚さにおいて形成されている前記上塗り層とから構成されることが望ましく、このような構成を採用することによって、潤滑性塗膜に顔料が存在していても、プレス加工時に、塗膜割れや塗膜剥離が惹起されるようなことが、より一層有利に防止され得て、優れた成形性が実現され得るようになる。
【0015】
また、本発明における好ましい態様の他の一つによれば、前記導電性塗膜は、炭素数400〜1000のポリエステル樹脂の100重量部に対して、該導電性塗膜の膜厚の1〜2倍の粒径を有すると共に、短径/長径比が0.7〜1である球状のNiフィラーと、インナーワックスとを、それぞれ、1〜20重量部及び0.1〜4.0重量部の割合において含有するポリエステル樹脂系塗料を、前記第三の有機樹脂系塗料として用いて、1〜20μmの膜厚において形成されていることが望ましい。このような構成を採用することによって、導電性塗膜の形成された面において、従来に比して極めて優れた導電性が発現され、帯電防止性能が効果的に向上せしめられると共に、アルミニウム板の金属光沢が効果的に確保され、しかも、かかる塗膜のプレス成形性も効果的に高められ得るのである。
【0016】
さらに、前記第三の有機樹脂系塗料におけるインナーワックスの配合割合:Bは、前記第二の有機樹脂系塗料におけるインナーワックスの配合割合:Aに対して、0.2〜0.8倍、つまり、(B/A)が、0.2〜0.8であることが、より一層望ましい。
【0017】
加えて、本発明に従うプレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板の好ましい態様の別の一つによれば、前記潤滑性塗膜及び前記導電性塗膜が、下地処理により、塗布型若しくは反応型の、クロメート層又はノンクロメート層が形成されたアルミニウム板の表面に、形成されていることが望ましく、これによって、潤滑性塗膜とアルミニウム板との密着性、及び、導電性塗膜とアルミニウム板との密着性が、それぞれ、効果的に向上せしめられ、より一層優れた耐食性が実現され得ると共に、水や塩素化合物等の腐食性物質に起因する塗膜下腐食が抑制され、塗膜膨れや塗膜剥離等の問題の発生が有利に防止され得ることとなる。
【0018】
また、本発明にあっては、上述せる如きプレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板を用いて、プレス加工を行なうに際して、該両面プレコートアルミニウム板における前記潤滑性塗膜が形成された面を、ダイス側に位置せしめる一方、前記導電性塗膜が形成された面をポンチ側に位置せしめることを特徴とするプレス加工方法をも、その要旨とするものである。
【0019】
このように、上述せる如き両面プレコートアルミニウム板の塗装面のうち、潤滑性塗膜の形成面をダイス側に位置せしめると共に、導電性塗膜の形成面をポンチ側に位置せしめるようにしてプレス加工を行えば、本発明の目的が、効果的に達成され得ることとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。但し、後述する図面においては、アルミニウム板の表面に形成される塗膜等の各層の存在が容易に認識され得るように、それらの厚みが誇張されて、実際よりも大きな比率で示されていることが、理解されるべきである。
【0021】
先ず、図1には、本発明に使う両面プレコートアルミニウム板の一具体例が、プレス成形機にセットされた状態で、示されている。そして、そこにおいて、両面プレコートアルミニウム板10は、アルミニウム板12をベースとして、そのダイス14側の表面(図1中、下面)に、下塗り層16と上塗り層18の2層にて構成される潤滑性塗膜20が、また、ポンチ22側の表面(図1中、上面)に導電性を有する導電性塗膜24が、それぞれ形成されてなる形態を呈しているのである。
【0022】
より詳細には、アルミニウム板12のダイス14側表面には、図2に示されるように、上記した潤滑性塗膜20の下塗り層16との間に、下地処理層26が設けられている。そして、そのような下地処理層26が形成されたアルミニウム板12の表面に、顔料不含の第一の有機樹脂系塗料が塗布されて、硬化せしめられることにより、下塗り層16が形成され、更にその上に、顔料28を含む第二の有機樹脂系塗料が塗布,硬化せしめられることにより、上塗り層18が形成されて、2層構造の潤滑性塗膜20が積層形成されているのである。
【0023】
ところで、かかる潤滑性塗膜20の下塗り層16を形成する第一の有機樹脂系塗料としては、潤滑性塗膜20の密着性を高めるために、顔料を何等含有しないものが採用されることとなる。また、このような第一の有機樹脂系塗料としては、硬化後(乾燥後)において、優れた柔軟性を有すると共に、耐食性に優れているものが望ましく、例えば、塗料樹脂(有機樹脂)の主たる成分が、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、或いはウレタン樹脂である、ポリエステル樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料、或いはウレタン樹脂系塗料等の、従来から公知の有機樹脂系塗料を例示することが出来るのであるが、本発明においては、それらの中でも、特に、炭素数が400〜1000のポリエステル樹脂を主成分として含有するポリエステル樹脂系塗料が、好適に採用され得るのであり、このような塗料を採用することによって、潤滑性塗膜20の下塗り層16が、柔軟性や屈曲性、延伸性等の特性に極めて優れたものとなる。
【0024】
なお、上述せるように、ポリエステル樹脂の炭素数の望ましい範囲を400〜1000とした理由は、かかるポリエステル樹脂の炭素数が400に満たない場合には、硬化処理後(乾燥処理後)において、塗膜が過剰に硬化して、塗膜の柔軟性が低下する恐れがあり、この結果、プレス加工によって、加工部に塗膜割れや塗膜剥離等が惹起されてしまう可能性があるからであり、また、炭素数が1000を超える場合には、硬化処理後において、塗膜が充分に硬化しなくなる傾向があり、耐食性や耐候性が低下する等といった問題が招来される恐れがあるからである。
【0025】
また、上述せる如き第一の有機樹脂系塗料には、必要に応じて、インナーワックス等の添加剤が適宜に配合されても、何等差支えない。
【0026】
一方、潤滑性塗膜20の上塗り層18を形成する第二の有機樹脂系塗料は、プレス成形品の外観を美麗にして、意匠性を高めるために、パール顔料等の、従来から公知の顔料のうちより、少なくとも1種、或いは、2種以上が適宜に選択され、適量において、添加,含有せしめられることによって、調製されるものである。
【0027】
そして、かかる顔料が含有せしめられた第二の有機樹脂系塗料にあっても、前記した第一の有機樹脂系塗料の場合と同様に、硬化後(乾燥後)において、優れた柔軟性を有すると共に、耐食性に優れているものが望ましく、上述せる如き公知の各種の有機樹脂系塗料が適宜に選択されて用いられ得るのであるが、それらの中でも、炭素数が400〜1000のポリエステル樹脂を主成分として含有するポリエステル樹脂系塗料が、上記第一の有機樹脂系塗料と同様な理由から、特に好適に採用され得るのであり、このような塗料を採用することによって、潤滑性塗膜20の上塗り層18が柔軟性や屈曲性、延伸性等の特性に極めて優れたものとなる。なお、かかる第二の有機樹脂系塗料の主成分である塗料樹脂と、上記した第一の有機樹脂系塗料の主成分である塗料樹脂は、異なるものとすることも可能であるが、潤滑性塗膜の密着性をより一層向上せしめるためには、同様なものが、有利に採用されることとなる。
【0028】
また、外表面層となる上塗り層18を形成する第二の有機樹脂系塗料には、インナーワックスが、所定の割合において含有せしめられていることが望ましく、これにて、潤滑性塗膜20のプレス成形性がより一層効果的に向上せしめられるようになる。なお、かかるインナーワックスとしては、従来から公知の各種のものが採用され得るのであり、例えば、ラノリン等の動物ワックス;カルナバ等の植物ワックス;ポリエチレンワックスやフィッシャートロプッシュワックス等の合成ワックス;パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックスやペトロラタム等の石油ワックス等を例示することが出来、これらのうちの1種又は2種以上が、適宜に選択されて、用いられ得るのである。
【0029】
なお、かかるインナーワックスの配合割合:Aとしては、上記した塗料樹脂(好ましくは、炭素数400〜1000のポリエステル樹脂)の100重量部に対して、0.2〜5.0重量部となる割合が、好適に採用され得る。けだし、かかるインナーワックスの配合割合:Aが、過少である場合には、潤滑性塗膜20表面、つまり、上塗り層18の潤滑性が低下して、成形時に塗膜剥離等を生じる恐れがあるからであり、逆に、過多となる場合には、上塗り層18の柔軟性が低くなると共に、耐食性が低下する恐れがあるからである。
【0030】
そして、上述せる如き顔料不含の第一の有機樹脂系塗料と顔料を含有する第二の有機樹脂系塗料を、順次、塗布,硬化せしめることにより、図2に示される如き下塗り層16と上塗り層18が積層され、これにて、プレス成形性に優れた潤滑性塗膜が形成されることとなるのであるが、その下塗り層16の厚さ(図2中、D1 )及び上塗り層18の厚さ(図2中、D2 )は、それぞれ、1〜20μm及び5〜30μmとなるように形成されることが望ましい。また、更に望ましくは、それら下塗り層16と上塗り層18を合わせた2層の厚さ、即ち、潤滑性塗膜20の膜厚(D1+D2)が、10〜30μmとなるように、形成されることが望ましい。
【0031】
何故ならば、上記した下塗り層16の厚さ:D1 が、1μmに満たない場合には、顔料28を含有する上塗り層18との密着性が低下して、塗膜剥離等が惹起される恐れがあるからであり、また、20μmを超えて、余りにも厚くなり過ぎる場合には、潤滑性塗膜20全体の膜厚が大きくなり過ぎて、潤滑性塗膜20の曲げ加工性が低下して、加工部位に、塗膜割れや塗膜剥離等が惹起される恐れがあるからである。更に、顔料28が存在せしめられた上塗り層18の厚さ:D2 が、5μmに満たず、余りにも薄い場合には、曲げ加工等の成形時に、顔料28を保持することが困難となり、かかる上塗り層18において塗膜割れや塗膜剥離等が惹起される恐れがあるからであり、逆に、30μmを超えて、余りにも厚くなり過ぎる場合には、潤滑性塗膜20全体の曲げ加工性が低下して、加工部位に、塗膜割れや塗膜剥離等が惹起される恐れがあるからである。
【0032】
これに対して、上述せる如き潤滑性塗膜20が形成されている面の反対側の面、即ち、ポンチ22が接する側の面には、図3にも示されているように、導電性を有する導電性塗膜24が形成されているのであるが、かかる導電性塗膜24とアルミニウム板12との間にも、また、下地処理層30が設けられており、そのような下地処理層30が形成されたアルミニウム板12の表面に、導電性物質を含有する第三の有機樹脂系塗料が塗布されて、硬化せしめられることにより、導電性塗膜24が形成されているのである。
【0033】
なお、かかる導電性塗膜24を形成する有機樹脂系塗料としては、硬化後(乾燥後)において、優れた柔軟性を有すると共に、後述する導電性物質との密着性が良好で、且つ耐食性に優れているものが望ましく、例えば、塗料樹脂(有機樹脂)の主たる成分が、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、或いはウレタン樹脂である、ポリエステル樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料、或いはウレタン樹脂系塗料等の、従来から公知の有機樹脂系塗料を例示することが出来るのであるが、それらの中でも、特に、炭素数が400〜1000のポリエステル樹脂を主成分として含有するポリエステル樹脂系塗料が、上記した第一や第二の有機樹脂系塗料と同様な理由から、好適に採用され得るのであり、このような塗料を採用することによって、柔軟性や屈曲性、延伸性等の特性に極めて優れた導電性塗膜24が形成され得ることとなる。
【0034】
そして、そのような有機樹脂系塗料に対して、導電性物質が添加、含有せしめられることによって、導電性塗料たる第三の有機樹脂系塗料が調製されることとなるのであるが、本発明において採用される導電性物質としては、微粒子状のニッケルフィラーを始め、各種の公知の導電性粉体、粒体が挙げられる。その中でも、特に、導電性塗膜24の膜厚(図3中、D3 )の1〜2倍の粒径を有すると共に、その短径/長径比が0.7〜1の範囲にある、真球状に近い球状形状のNiフィラーが、好適に採用され得るのである。そして、そのような特定のNiフィラー32を用いることによって、かかるNiフィラー32が、図3に示されるように、導電性塗膜24内において、層状に重なり合うことなく、その一部が、導電性塗膜24の表面25に露呈し或いは表面25から突出するように、配置せしめられるようになるのであり、これによって、極めて優れた導電性が実現され得ると共に、アルミニウム板12の表面の全面が、Niフィラー32によって覆われてしまうことなく、アルミニウム板12の金属光沢が充分高度に確保され得ることとなるのであり、更に、このようなサイズのNiフィラーを用いることによって、プレス加工を施しても、塗膜割れ等の問題の発生が有利に防止され得て、極めて優れたプレス成形性も実現され得るのである。
【0035】
尤も、導電性物質として、短径/長径比が0.7未満であるフレーク状乃至は鱗片状のNiフィラーを採用することも可能ではあるが、充分な導電性を確保するためには、Niフィラーを多量に含有せしめなければならず、そのため、図4に示されるように、導電性塗膜24′内で、Niフィラー32′が連なるように重なり合って、下地処理層30′が形成されたアルミニウム板12′の表面の略全面が、かかるNiフィラー32′によって覆われてしまい、アルミニウム板12′が本来有している金属光沢が無くなって、外観色調が悪化せしめられるという不具合が招来されることとなるところから、上述せるように、導電性塗膜24の膜厚:D3 の1〜2倍の粒径を有し、且つ、短径/長径比が0.7〜1である球状のNiフィラー32の採用が、より一層望ましいのである。
【0036】
また、かかるNiフィラー32の粒径が、導電性塗膜24の膜厚に比して、1倍未満である場合には、そのようなNiフィラー32が塗膜20内に埋没してしまって、充分な導電性が得られなくなってしまう恐れがあり、逆に、2倍を超えるようになると、Niフィラー32が塗膜20から離脱し易くなって、導電性を高度に確保することが不可能となるのみならず、耐食性が低下する恐れがある問題を内在する。
【0037】
なお、かかる導電性塗膜24の膜厚:D3 としては、1〜20μmであることが望ましい。これは、かかる導電性塗膜24の膜厚:D3 が、1μmに満たず、余りにも薄い場合には、耐食性が不充分となるからであり、また、20μmを超えて、厚くなり過ぎる場合には、コストアップとなって、経済性が悪化すると共に、添加するNiフィラー32の粒径も必然的に大きくなって、Niフィラー32が塗料中に均一に分散し難くなって、塗装ムラが発生したり、また、潤滑性が低下し、プレス成形性が低下する恐れ等を生じるからである。
【0038】
さらに、上記したNiフィラー32の添加割合としては、塗料中の塗料樹脂(好ましくは、炭素数400〜1000のポリエステル樹脂)の100重量部に対して、1〜20重量部となる割合が、好適に採用される。それは、かかる添加割合が、1重量部未満である場合には、充分な導電性が得られなくなる傾向があるからであり、逆に、20重量部を超えるような場合には、導電性が頭打ちとなって、更なる向上が望めないと共に、アルミニウム板12が本来有している金属光沢が無くなって、外観色調が悪化せしめたり、塗料樹脂による耐食性効果が充分発揮され得ず、耐食性の低下が惹起される等といった不具合を生じる恐れがあるからである。
【0039】
なお、上述せるように、導電性物質が含有せしめられてなる第三の有機樹脂系塗料(導電性塗料)にあっても、前記した第二の有機樹脂系塗料と同様に、インナーワックスが、所定の割合において含有せしめられていることが望ましく、これにて、導電性塗膜24のプレス成形性がより一層効果的に向上せしめられることとなる。なお、このインナーワックスの配合割合:Bとしては、塗料中の塗料樹脂(好ましくは、炭素数400〜1000のポリエステル樹脂)の100重量部に対して、0.1〜4.0重量部となる割合が、好適に採用され得るのである。これは、かかるインナーワックスの配合割合:Bが、過少である場合には、導電性塗膜24の潤滑性が低下して、成形時に塗膜剥離を生じる恐れがあるからであり、逆に、過多となる場合には、導電性塗膜の曲げ加工性が低下して、加工部に塗膜割れや塗膜剥離等の問題を生じる可能性があるからである。
【0040】
また、特に、図1に示されるように、両面プレコートアルミニウム板10における導電性塗膜24の形成面がポンチ22側となるように、プレス成形機に配置される場合には、上記したインナーワックスの配合割合:Bの中でも、先述せる如き第二の有機樹脂系塗料中に含有されるインナーワックスの配合割合:Aの0.2〜0.8倍となる配合割合、つまり、第二の有機樹脂系塗料におけるインナーワックスの配合割合:Aに対する、第三の有機樹脂系塗料におけるインナーワックスの配合割合:B(=B/A)が、0.2〜0.8となる割合が、特に好適に採用され得ることとなる。これは、深絞り加工を始めとするプレス加工においては、ダイス14の上面34における摩擦係数を小さくすることにより、ダイス肩部36における引っ張り力を小さくすることが出来る一方、ポンチ肩部38の摩擦係数をダイス肩部36の摩擦係数より大きくすることにより、破断危険部をポンチ中心から遠ざけることが出来、つまり、アルミニウム板10のダイス肩部36に接する部分がダイス14の上面34に引っ張られて肉厚が薄くなり破断するようなことが有利に防止され、これによって、深絞り限界を向上させることが出来るからである。なお、かかる(B/A)が0.2倍未満の場合には、導電性塗膜24における潤滑性が低下し、塗膜剥離を生じる恐れがあり、また、0.8倍を超えるようになると、上記した効果が得られなくなるのである。
【0041】
ところで、上述せる如き第一、第二及び第三の有機樹脂系塗料を用いて、潤滑性塗膜20(下塗り層16+上塗り層18)及び導電性塗膜24が、それぞれ、片面ずつに設けられた両面プレコートアルミニウム板10を得るには、先ず、アルミニウム板12の表面に対して、所定の下地処理を施すことが望ましく、これによって、下地処理層26,30が、アルミニウム板12の表面に、それぞれ、形成されることとなる。
【0042】
なお、そのような下地処理としては、クロム酸クロメートやリン酸クロメート等によるクロメート処理;クロム化合物以外のリン酸チタンやリン酸ジルコニウム、リン酸モリブデン、リン酸亜鉛等によるノンクロメート処理等の化学皮膜処理、所謂化成処理が、好適に採用されるのである。そして、そのような下地処理によって形成せしめられる下地処理層26,30の存在によって、アルミニウム板12と潤滑性塗膜20との密着性、及び、アルミニウム板12と導電性塗膜24との密着性が、何れも、効果的に向上せしめられ得ると共に、更に優れた耐食性が実現され得て、水、塩素化合物等の腐食性物質がアルミニウム板の表面に浸透した際に惹起される塗膜下腐食が抑制され、塗膜膨れや塗膜剥離が有利に防止され得るのである。
【0043】
なお、上述せる如きクロメート処理やノンクロメート処理等の化成処理手法には、反応型及び塗布型が存するのであるが、本発明においては、何れの手法が採用されても、何等差支えない。また、アルミニウム板12のそれぞれの面には、各々異なる下地処理が別個に施されても何等差支えないのであるが、有利には、同一の下地処理が同時に施されることが、望ましい。
【0044】
そして、上述せる如き下地処理によって下地処理層26,30が形成せしめられた後、一方の面には、下塗り層16と上塗り層18との2層にて構成される潤滑性塗膜20が、他方の面には、導電性塗膜24が、それぞれ、形成されることとなる。ここにおいて、潤滑性塗膜20は、上述せる如き第一有機樹脂系塗料が、アルミニウム板12表面の下地処理層26の上に、常法に従って、塗布され、次いで、硬化せしめられることによって下塗り層16が形成され、更に下塗り層16の上に、第二の有機樹脂系塗料が、塗布,硬化せしめられ、上塗り層18が積層されることによって、2層構造の形態において形成されるのであり、また、導電性塗膜24も、上述せる如き第三の有機樹脂系塗料が、アルミニウム板12表面の下地処理層30の上に、常法に従って、塗布,硬化せしめられることによって、形成されるのであり、これら潤滑性塗膜20と導電性塗膜24の形成によって、プレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板が作製されるのである。
【0045】
ここにおいて、上記した第一〜第三の有機樹脂系塗料の塗装方法としては、特に制限されるものではなく、ロールコート法、バーコート法、浸漬塗布法、スプレー法等の、従来から公知の各種の手法が適宜に採用され得るのであり、また、潤滑性塗膜20や導電性塗膜24を形成せしめる際の硬化条件(焼付け条件)にあっても、塗料樹脂の種類等に応じて、それぞれ、適宜に選択されることとなる。なお、第一或いは第二の有機樹脂系塗料を構成する塗料樹脂と、第三の有機樹脂系塗料を構成する塗料樹脂とを同じ樹脂系のものとすれば、第一及び第三の有機樹脂系塗料、或いは、第二及び第三の有機樹脂系塗料の焼付けを、同時に行なうことも可能であり、コスト的に有利となる。
【0046】
かくして、上述せる如くして作製された両面プレコートアルミニウム板10にあっては、一方の面に、顔料不含の第一の有機樹脂系塗料からなる下塗り層16と、顔料を含有する第二の有機樹脂系塗料からなる上塗り層18との2層にて構成される潤滑性塗膜20が形成される一方、他方の面に、第三の有機樹脂系塗料からなる導電性塗膜24が形成されているところから、かかる潤滑性塗膜20の上塗り層18によって、意匠性乃至は美観性が極めて高度に確保され得ると共に、潤滑性塗膜20の下塗り層16の存在によって、塗膜密着性が著しく向上せしめられ、このため塗膜割れや塗膜剥離等の欠陥の発生が極めて有利に防止されて、優れたプレス成形性が実現され得るのであり、また一方、導電性塗膜24によって、帯電防止性能が効果的に向上せしめられることとなるのである。
【0047】
ところで、上記で詳述せる如き両面プレコートアルミニウム板10は、絞り加工や曲げ加工等といったプレス加工にて、常法に従って、所望とする形状に成形されて、パソコン等の電子機器や携帯電話等の無線機器、テレビ等の電気機器等における筐体部分や、電気自動車やハイブリッド自動車の電池ケース等の部品として、有利に用いられることとなるのであるが、そのようなプレス加工を行なうに際しては、図1にも示されるように、両面プレコートアルミニウム板10を、その潤滑性塗膜20の形成面がダイス14側となるように、また、その導電性塗膜24の形成面がポンチ22側となるように、プレス成形機に設置することが、望ましい。これによって、問題が起こり易い成形品の外面においても、塗膜割れや塗膜剥離等の発生が効果的に防止され得るのであり、しかも、人の目に入る外面には、顔料28が存在せしめられてなる上塗り層18によって優れた意匠性が付与されると共に、内面には、導電性塗膜24によって優れた導電性が付与され得て、帯電防止効果が有利に奏されるようになるのである。
【0048】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0049】
例えば、上記の実施形態では、アルミニウム板12の各表面には、下地処理層26,30が設けられ、これによって、潤滑性塗膜20及び導電性塗膜24の密着性の向上が図られていたのであるが、かかる下地処理層26,30は、本発明において、必ずしも必要とされるものではない。
【0050】
また、プレコートが施されるアルミニウム板12にあっても、板状を呈するものであれば、従来から公知の各種の、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるアルミニウム板又はアルミニウム合金板が広く包含され、その対象とされ得るのである。
【0051】
その他、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0052】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を含む幾つかの実験例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実験例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
【0053】
先ず、供試材たるアルミニウム板として、プレス加工において、一般的に使用されている、板厚が1.0mmのAl−4.5%Mg合金のO材を、準備した。
【0054】
そして、かかる準備されたアルミニウム板の表面に対して、下記表1に示されるように、下記表2に示されるa〜eのうちの何れかの下地処理を施した(但し、下記表1における実験例9については、片面のみに下地処理を施した)。なお、かかるa〜eの下地処理のうち、d,eの下地処理が施されるアルミニウム板については、予め脱脂処理を行なった後、バーコート法にて下地処理を行なう一方、a〜cの下地処理が施されるアルミニウム板については、下地処理によって脱脂効果が得られるため、そのまま、どぶ漬け法にて下地処理を実施し、何れも、約100℃の雰囲気中で乾燥せしめることによって、下地処理層をアルミニウム板の両面に形成させた。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
また、潤滑性塗膜の下塗り層を形成するための第一の有機樹脂系塗料として、上記表1に示される如き平均炭素数を有するポリエステル樹脂からなるポリエステル樹脂系塗料を、各実験例毎に、それぞれ、準備する一方、潤滑性塗膜の上塗り層を形成するための第二の有機樹脂系塗料として、第一の有機樹脂系塗料と同様な平均炭素数を有するポリエステル樹脂からなるポリエステル樹脂系塗料中に、該ポリエステル樹脂の100重量部に対して、パール顔料を5重量部添加し、更に、インナーワックスたるポリエチレンワックスを、上記表1に示される割合:Aとなるように添加し、それらを、攪拌棒で5分間、均一に混合せしめたものを、各実験例毎に、それぞれ、準備した。また、導電性塗膜を形成するための第三の有機樹脂系塗料として、第一及び第二の有機樹脂系塗料と同様な平均炭素数を有するポリエステル樹脂からなるポリエステル樹脂系塗料中に、該ポリエステル樹脂の100重量部に対して、導電性物質たるNiフィラー(比較のために、実験例18には添加せず)と、インナーワックスたるポリエチレンワックスを、それぞれ、上記表1に示される割合となるように添加し、それらを、攪拌棒で5分間、均一に混合せしめたものを、各実験例毎に、それぞれ、準備した。なお、導電性物質としては、下記表3に示される如き形状のNiフィラーのうちの何れかを用い、その平均粒径(又は平均長径)を、上記表1に併せ示した。
【0058】
【表3】
【0059】
そして、実験例1〜18のアルミニウム板の一方の面に対して、所定量の第一の有機樹脂系塗料を、バーコーターを用いて、それぞれ、塗布し、アルミニウム板の表面の温度が230℃になるように、240℃の雰囲気のオーブン内で、40秒間加熱することにより、塗料を硬化させて下塗り層を形成せしめた(実験例17を除く)後、更にその上に、上塗りとして、所定量の第二の有機樹脂系塗料を、バーコーターを用いて塗布する一方、他方の面に対しても、所定量の第三の有機樹脂系塗料(導電性塗料)を、同様にして塗布し、そして、第一の有機樹脂系塗料の場合と同様の条件で加熱することにより、両面の第二、第三の有機樹脂系塗料を硬化させて、実験例1〜18に係る両面プレコートアルミニウム板を作製した。なお、形成された潤滑性塗膜(上塗り層、下塗り層)と導電性塗膜の膜厚は、それぞれ、上記表1に示されている。
【0060】
そして、上述の如くして作製された実験例1〜18に係るプレコートアルミニウム板を用いて、下記のように、プレス成形性(プレス加工性)、導電性、塗膜密着性、Niフィラーの離脱及び耐食性の評価試験を実施し、それぞれ、2以上を合格レベルとして、5段階にて評価した。
【0061】
−プレス成形性−
そして、上述の如くして作製された実験例1〜18に係る両面プレコートアルミニウム板を、潤滑性塗膜が形成された側の面をダイス側に位置せしめて、下記の条件で深絞り加工を施し、ダイス側の面に塗膜割れの発生しない最大の深さ(成形高さ)を求めることで、プレス成形性の評価を行なった。なお、かかる評価は、下記の如き評価基準にて行ない、その得られた結果を、下記表4に示した。なお、顔料不含の下塗り層が形成されていない実験例17の両面プレコートアルミニウム板にあっては、プレス初期から、ダイス側の塗膜剥離が、認められた。[加工条件]
ダイス径:φ52.8mm、ポンチ径:φ50mm、ポンチ肩部の曲率半径:5mm、板押えダイス肩部の曲率半径:5mm、板押え力:34kN、潤滑油:使用せず。
[評価基準]
評価5:15mm超え、評価4:14mm超え15mm以下、評価3:13mm超え14mm以下、評価2:12mm超え13mm以下、評価1:12mm以下。
【0062】
−導電性−
実験例1〜17のプレコートアルミニウム板(但し、この評価試験においては、上記表1に示される導電性塗膜のみが形成されたものを、別途準備した)を、それぞれ、2枚ずつ用い、その2枚の導電性塗膜が形成された面を上下に重ね合わせて、その上下を2個の銅電極(先端面積:約3mm2 )で挟み、約10kg/cm2 の圧力をかけた。そして、かかるプレコートアルミニウム板間に、5Vの定電圧電源を接続し、回路に流れる電流値から電気抵抗を求めて、以下の評価基準にて評価を行ない、その得られた結果を、下記表4に示した。また、比較のために、導電性物質が含有せしめられていない実施例18に係るアルミニウム板を、同条件にて、測定したところ、導電性物質のない塗膜は、殆ど電気を通すことなく、電気抵抗が106 Ω以上であることを、確認した。
[評価基準]
評価5:0.01Ω未満、評価4:0.01Ω以上0.5Ω未満、評価3:0.5Ω以上2Ω未満、評価2:2Ω以上10Ω未満、評価1:10Ω以上。
【0063】
−塗膜密着性−
実験例1〜18の両面プレコートアルミニウム板を、それぞれ、沸騰水に2時間浸漬せしめた後、碁盤目テープ剥離試験を行い、碁盤目総数100個(各1mm×1mm)中の塗膜の残存数で、塗膜密着性を評価した。なお、かかる評価は、次のような評価基準にて行ない、その得られた結果を、下記表4に示した。
[評価基準]
評価5:100個、評価4:90個以上100個未満、評価3:80個以上90個未満、評価2:60個以上80個未満、評価1:60個未満。
【0064】
−Niフィラーの離脱−
バウデン試験機を用い、実験例1〜17の両面プレコートアルミニウム板に対して、直径4mmの鋼球を、荷重:500g、摺動速度:4mm/分、摺動回数:200回の条件にて、摺動させて、離脱したNiフィラーの量から、評価を行なった。なお、かかる評価は、次のような評価基準にて行ない、得られた結果を、下記表4に示した。
[評価基準]
評価5:0.1mg未満、評価4:0.1mg以上0.2mg未満、評価3:0.2mg以上0.3mg未満、評価2:0.3mg以上0.4mg未満、評価1:0.4mg以上。
【0065】
−耐食性−
実験例1〜18の両面プレコートアルミニウム板に、カッターナイフを用いて、クロスカットを入れ、塩水噴霧試験を720時間行なった後、両面プレコートアルミニウム板の外観を、以下の評価基準にて評価し、その得られた結果を、下記表4に示した。
[評価基準]
評価5:変化なし、評価4:0.5mm未満の塗膜膨れ、評価3:0.5mm以上1mm未満の塗膜膨れ、評価2:1mm以上3mm未満の塗膜膨れ、評価1:3mm以上の塗膜膨れ。
【0066】
【表4】
【0067】
かかる表4の結果から明らかなように、実験例1〜16に係る両面プレコートアルミニウム板にあっては、顔料を含まない下塗り層が形成されていない実験例17に係るアルミニウム板に比して、プレス成形性が優れていると共に、塗膜密着性にも優れていることが分かる。また、それら実験例1〜16に係る両面プレコートアルミニウム板は、導電性物質のない塗膜が形成された実験例18に係るアルミニウム板に比して、優れた導電性が付与され、プレス成形性、導電性、塗膜密着性、Niフィラーの離脱及び耐食性が、何れも、評価基準:2以上であることが分かる。
【0068】
また、かかる実験例1〜16に係る両面プレコートアルミニウム板の中でも、実験例1〜8に係る両面プレコートアルミニウム板にあっては、プレス成形性、導電性、塗膜密着性、Niフィラーの離脱及び耐食性が、何れも、評価基準:3以上を満足していることが、認められるのである。
【0069】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う両面プレコートアルミニウム板は、一方の面に、顔料を含まない下塗り層と顔料を含む上塗り層とからなる2層構造の潤滑性塗膜が形成される一方、他方の面に、導電性物質を含有する導電性塗膜が形成されているところから、かかる2層構造の潤滑性塗膜によって、極めて高度な意匠性が確保されつつ、塗膜割れや塗膜剥離等の発生が極めて有利に防止されて、優れたプレス成形性が実現され得ると共に、導電性塗膜によって、帯電防止性能が効果的に向上せしめられることとなるのである。
【0070】
また、上記した下塗り層を形成するための第一の有機樹脂系塗料として、特に、炭素数が400〜1000のポリエステル樹脂を塗料樹脂とする顔料不含のポリエステル樹脂系塗料を用い、更に、そのような第一の有機樹脂系塗料にて、1〜20μmの厚さの下塗り層を形成すると共に、上塗り層を形成するための第二の有機樹脂系塗料として、特に、顔料を含有すると共に、インナーワックスが所定の割合において含有された、炭素数が400〜1000のポリエステル樹脂を塗料樹脂とするポリエステル樹脂系塗料を用い、更に、そのような第二の有機樹脂系塗料にて、5〜30μmの厚さの上塗り層を形成すれば、それら下塗り層と上塗り層とからなる潤滑性塗膜に、柔軟性や屈曲性、延伸性等の特性がより一層効果的に付与されて、更に優れたプレス成形性が享受され得るようになる。
【0071】
加えて、導電性塗膜を形成するための第三の有機樹脂系塗料(導電性塗料)として、特定のサイズと形状を有するNiフィラーと、インナーワックスとが、それぞれ、所定の割合において含有された、炭素数が400〜1000のポリエステル樹脂を塗料樹脂とするポリエステル樹脂系塗料を用いると共に、そのような第三の有機樹脂系塗料にて、1〜20μmの膜厚の導電性塗膜を形成すれば、導電性塗膜中のNiフィラーによって、より一層高度な導電性が実現され、従来に比して、更に優れた帯電防止性能が発現され得ると共に、そのような導電性塗膜が形成されたアルミニウム板の金属光沢も充分高度に確保され、また、Niフィラーの離脱も有利に防止され得るのである。しかも、かかる導電性塗膜に対しても、より一層優れた柔軟性や屈曲性、延伸性等の特性が付与されて、プレス成形性も有利に高められ得るのである。
【0072】
また、本発明に従って、両面プレコートアルミニウム板を、潤滑性塗膜が形成された面をダイス側に位置せしめる一方、導電性塗膜が形成された面をポンチ側に位置せしめて、プレス加工を実施すれば、プレス成形性に特に優れるところとなり、問題が起こり易い成形品の外面側においても、塗膜割れや塗膜剥離等の発生が効果的に防止され得るのである。しかも、プレス加工によって製作された成形品の外表面には、パール顔料等を始めとする顔料を含む上塗り層が形成されているところから、極めて優れた意匠性が付与されると共に、内面には、導電性が付与されて、帯電防止効果が発揮されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う両面プレコートアルミニウム板の一具体例が、プレス成形機にセットされた状態で、示されている断面説明図である。
【図2】図1の両面プレコートアルミニウム板の下面部の構造を詳細に示す、部分拡大断面説明図である。
【図3】図1の両面プレコートアルミニウム板の上面部の構造を詳細に示す、部分拡大断面説明図である。
【図4】図3とは異なる導電性塗膜の構造を示す、部分拡大断面説明図である。
【符号の説明】
10 両面プレコートアルミニウム板
12 アルミニウム板
14 ダイス
16 下塗り層
18 上塗り層
20 潤滑性塗膜
22 ポンチ
24 導電性塗膜
26,30 下地処理層
32 Niフィラー
34 ダイスの上面
36 ダイス肩部
38 ポンチ肩部
Claims (6)
- アルミニウム板の一方の面に、顔料を含有しない第一の有機樹脂系塗料からなる下塗り層と、顔料を含有せしめた第二の有機樹脂系塗料からなる上塗り層が、順次積層されることにより、2層構造の潤滑性塗膜が形成されている一方、他方の面に、導電性物質を含有せしめた第三の有機樹脂系塗料からなる導電性塗膜が形成されていることを特徴とするプレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板。
- 前記潤滑性塗膜が、炭素数400〜1000のポリエステル樹脂を主成分として含有する、顔料不含のポリエステル樹脂系塗料を、前記第一の有機樹脂系塗料として用いて、1〜20μmの厚さにおいて形成されている前記下塗り層と、炭素数400〜1000のポリエステル樹脂の100重量部に対して、インナーワックスを0.2〜5.0重量部の割合において含有すると共に、顔料を含有するポリエステル樹脂系塗料を、前記第二の有機樹脂系塗料として用いて、5〜30μmの厚さにおいて形成されている前記上塗り層とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のプレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板。
- 前記導電性塗膜が、炭素数400〜1000のポリエステル樹脂の100重量部に対して、該導電性塗膜の膜厚の1〜2倍の粒径を有すると共に、短径/長径比が0.7〜1である球状のNiフィラーと、インナーワックスとを、それぞれ、1〜20重量部及び0.1〜4.0重量部の割合において含有するポリエステル樹脂系塗料を、前記第三の有機樹脂系塗料として用いて、1〜20μmの膜厚において形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板。
- 前記第三の有機樹脂系塗料におけるインナーワックスの配合割合が、前記第二の有機樹脂系塗料におけるインナーワックスの配合割合の0.2〜0.8倍である請求項3に記載のプレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板。
- 前記潤滑性塗膜及び前記導電性塗膜が、下地処理により、塗布型若しくは反応型の、クロメート層又はノンクロメート層が形成されたアルミニウム板の表面に、形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のプレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板。
- 前記請求項1乃至請求項5の何れかに記載のプレス成形性、意匠性及び導電性に優れた両面プレコートアルミニウム板を用いて、プレス加工を行なうに際して、
該両面プレコートアルミニウム板における前記潤滑性塗膜が形成された面を、ダイス側に位置せしめる一方、前記導電性塗膜が形成された面をポンチ側に位置せしめることを特徴とするプレス加工方法。
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