JP2004195736A - 浸透印用の印字体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク吸蔵部材を含む複数の部材から成ってインクを何度も補充する必要がなく、また、製造工程が少なくコストダウンが可能であり、また、厚さ方向の寸法精度が出しやすく、さらに、複数の部材を積層してケースに組み付けたときに、積層部材にズレが生じず、かつ、最上層の部材がケースから外れて外部へ飛び出すこともない浸透印用印字体と、その製法を提供する。
【解決手段】互いに素材が異なる印面部材と接合部材とインク吸蔵部材を含む複数の部材が積層されて一体的に接合された多層構造の板状部材がレーザーにより所要形状にカットされ、かつ、印面部となる部位にレーザーにより文字が彫刻されて形成されたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】互いに素材が異なる印面部材と接合部材とインク吸蔵部材を含む複数の部材が積層されて一体的に接合された多層構造の板状部材がレーザーにより所要形状にカットされ、かつ、印面部となる部位にレーザーにより文字が彫刻されて形成されたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浸透印用の印字体で、特にレーザー加工される印字体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の浸透印における印字体は、文字(原稿)入力、写植(版下)、写真現像、フィルム焼き付け(リジロン凸版)、母型作成(凹版)、ゴム成形、脱塩、研磨及びインク充填という多数の工程を経て製造されていた。そして、この工程に数日を要していたので、生産性が低いという不満があった。そこで、工程を短縮するためにレーザー加工を採用するようになっている。
【0003】
そして、レーザー加工により形成する浸透印用の印字体として、連続気孔体のポリマーを用いたもの(例えば、特許文献1参照)や、多孔質性樹脂を用いたもの(例えば、特許文献2参照)や、ゴムを用いたもの(例えば、特許文献3参照)などが存在する。しかしながら、これら単一素材で形成したものは、インクがすぐに消費されてしまうので、何度もインクを補充しなければならないという面倒がある。また、ポンピング作用が弱いので、インクの出が悪いという問題もある。
【0004】
そこで、多くの印鑑では、印字体の裏側にインク吸蔵体やクッションなどを積層して、毛細管作用によりインク吸蔵体から印字体へインクを供給するようにしている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、印字体の裏側にインク吸蔵体などを積層する場合、その積層する部材は、それらの材料からそれぞれ印字体と同一寸法に打ち抜く必要があり、また、それぞれにインクを充填する必要もあるので、工程数が増えてコストアップになるという問題がある。また、それらの素材は軟らかく変形しやすいので、厚さ方向の寸法精度を出しにくいという問題もある。また、複数の素材を積層してケースに組み付けた場合に、互いに分離しているので、ズレが生じたり、最上層の印字体がケースから外れて外部へ飛び出してしまうという問題もある。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−47719号公報
【特許文献2】
特開2001−150780号公報
【特許文献3】
特開2000−141846号公報
【特許文献4】
実開平5−16349号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記の問題を解決すること、すなわち、インク吸蔵部材を含む複数の部材から成ってインクを何度も補充する必要がなく、また、製造工程が少なくコストダウンが可能であり、また、厚さ方向の寸法精度が出しやすく、さらに、複数の部材を積層してケースに組み付けたときに、積層部材にズレが生じず、かつ、最上層の部材がケースから外れて外部へ飛び出すこともない浸透印用印字体と、その製法の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の浸透印用の印字体は、互いに素材が異なる印面部材と接合部材とインク吸蔵部材を含む複数の部材が積層されて一体的に接合された多層構造の板状部材がレーザーにより所要形状にカットされ、かつ、印面部となる部位にレーザーにより文字が彫刻されて形成されたことを特徴とする構成にしたものである。
【0008】
また、本発明の浸透印用の印字体は、印面部材の裏側に接合部材を介してインク吸蔵部材が一体的に接合されて3層構造とされた構成にすることができる。
【0009】
また、本発明の浸透印用の印字体は、印面部材として平均気孔径5〜20μm、空隙率50〜70%のシリコン系連孔合成ゴムが用いられた構成にすることができる。
【0010】
また、本発明の浸透印用の印字体は、接合部材として、インク流量調節作用を有する部材が用いられた構成にすることができる。
【0011】
また、本発明の浸透印用の印字体は、接合部材として、加熱されることにより溶融して接着作用を有し、かつ、インク流量調節作用を有し、さらに、印面部材の伸縮防止作用を有する不織布製ホットメルトが用いられた構成にすることができる。
【0012】
また、本発明の浸透印用の印字体は、インク吸蔵部材としてPVF樹脂等の連続気孔を有する熱可塑性樹脂が用いられた構成にすることができる。
【0013】
また、本発明の浸透印用の印字体は、印面部材と接合部材とインク吸蔵部材が積層されて加熱及び加圧されることにより一体的に接合された構成にすることができる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の浸透印用印字体の製造方法は、接合部材を印面部材及びインク吸蔵部材で挟む形で積層させた3層構造とし、これらを一体的に接合することにより板状部材を形成し、前記板状部材の形成後に、板状部材を所要形状にカットしたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の浸透印用印字体の製造方法は、前記印面部材の印面となる部位には、あらかじめ文字が彫刻されているようにすることができる。
【0016】
また、本発明の浸透印用印字体の製造方法は、前記板状部材の形成後に、印面部材の印面となる部位に文字を彫刻し、前記彫刻後に、板状部材を所要形状にカットすることができる。
【0017】
また、本発明の浸透印用印字体の製造方法は、前記文字の彫刻及び板状部材のカットは、レーザー加工により行なうことができる。
【0018】
また、本発明の浸透印用印字体の製造方法は、上下の押え板の間に所定深さの型枠を配した熱プレス装置を備え、その型枠の内部にインク吸蔵部材と接合部材と印面部材とを積層した状態で収納して加温し、かつ、その積層した部材の上下両面を押え板により挟んで加圧することにより、接合部材を溶融させてインク吸蔵部材と印面部材とを接着するとともに、インク吸蔵部材を塑性変形させて板状部材を形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明の印字体は、互いに素材の異なる複数の部材を用いて形成されている。そして、その複数の部材の中には、印面部材1と、接合部材2と、インク吸蔵部材3を含んでいる。なお、図示した実施例のように、印面部材1と、接合部材2と、インク吸蔵部材3だけで構成することも可能である。
【0020】
印面部材1としては、連続気孔を有する多孔質のシリコン系連孔合成ゴムが好ましい。NBRゴムなどの素材を使用すると、レーザー加工した場合に、有害ガスを発生し、又、副産物としてタール状生成物ができて、これが印面に付着するという弊害があるが、シリコン系連孔合成ゴムを使用すれば、有害ガスを発生せず、又、タール状生成物もできないからである。
【0021】
また、このシリコン系連孔合成ゴムは、平均気孔径が5〜20μで、空隙率が50〜70%のものが好ましい。この範囲にすると、インク含有量が過不足なく適量となって、捺印したときに、インクの滲みやカスレのない鮮明な印影が得られるからである。
【0022】
接合部材としては、インク流量調節作用を有する不織布製ホットメルトが好ましい。これは加熱することにより溶融して、印面体用部材1とインク吸蔵体用部材3を接着することができる。また、印面部材1に接着した状態で、その印面部材1の横方向の伸縮を抑止する作用を有する。また、もちろん、インク吸蔵部材3から印面部材1へ供給されるインク量を調節する作用も有している。すなわち、不織布製ホットメルトの目付け量、つまり気孔率を変えることによりインク量を調節することができる。したがって、捺印時に印面部材1が横方向に伸びて印字が歪むのを防止できるとともに、インク吸蔵部材3から印面部材1へ供給されるインク量が過剰になったり不足するのを防止することができる。尚、不織布製ホットメルトの厚みは0.1〜0.3mmが好ましく、目付け量は25g/m2〜50g/m2が好ましい。
【0023】
インク吸蔵部材3としては、レーザー加工によって有害ガスを発生せず、かつ、連続気孔を有する熱可塑性樹脂で加熱及び加圧したときに塑性変形するものが好ましい。例えばPVF樹脂等が好適である。加熱及び加圧したときに塑性変形することにより形状が安定し、厚さ方向の寸法精度を出しやすくなるからである。これに対し、印面部材とインク吸蔵部材とを別々に用意し、後工程で両者を接合する場合は、NBRゴム製の印字体のうち印字面の裏面を研磨することにより所定の厚さ方向の寸法に仕上げる必要があって面倒であった。なお、インク吸蔵部材3の平均気孔径は80〜200μmが好ましく、気孔率は89〜91%が好ましい。
【0024】
インク吸蔵部材3は、印面部材1が捺印時に押圧されると同時に押圧されるが、この裏には剛性の支持部材が配されるので圧縮されることになり、インク吸蔵部材3の表面側にインクが溢れ出る。この溢れ出たインクは接合部材2を通って印面部材1に吸収される。
【0025】
接合部材2は印面部材1よりもポーラス径(気孔径)を大きくし、インク吸蔵部材3は接合部材2よりもポーラス径を大きくしている。これにより、インク吸蔵部材3に充填されたインクは毛細管作用によって接合部材2へスムースに移行し、さらに、その接合部材2から印面部材1へスムースに吸い上げられることになる。
【0026】
次に、製造方法について説明する。まず、図1に示すように、インク吸蔵部材3の上に接合部材2を載せ、さらに、その接合部材2の上に印面部材1を載せて3層構造とし、これらを熱プレスで一体的に接合することにより板状部材4を形成する。すなわち、上下の押え板の間に所定深さの型枠を配した熱プレス装置を約160度程度に加温して、その型枠の内部に上記の積層した部材を入れて、その上下両面を押え板により鋏んで加圧することにより板状部材4を形成する。このとき、上記のように接合部材2が溶融してインク吸蔵部材3と印面部材1とが接着し、かつ、インク吸蔵部材3は塑性変形することになる。
【0027】
そして、上記の異質素材を一体化して成る板状部材4を、レーザー加工により所要形状にカットすると同時に、その印面部材1の表面、すなわち印面5となる部位に文字を彫刻する。これにより印字体6の成形が完了し、後はインクを充填するだけでよい。すなわち、本発明の印字体は、文字入力、レーザー彫刻及びインク充填の3工程だけで完成させることができる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明の浸透印用印字体は、複数部材が積層されて一体的に接合された多層構造の板状部材からレーザー加工により形成されるので、積層する部材を別々に同一寸法に打ち抜く必要がなく、また、それぞれにインクを充填する必要もないので、工程数を減らして製造日数を短縮することにより生産性をアップすることができ、納期を短縮することができる。また、複数の部材が一体化していてバラバラでないので、ケースに組み付けた場合に、互いにズレたりせず、又、最上層の部材がケースから外れて外部へ飛び出すようなこともない。
【0029】
また、請求項2記載の本発明の浸透印用印字体は、印面部材の裏側に接合部材を介してインク吸蔵部材が一体的に接合されて3層構造とされたことにより、インク吸蔵部材から印面部材にインクがスムースに供給されてインク補充を何度も行なう必要がない。
【0030】
また、請求項3記載の本発明の浸透印用印字体は、印面部材として平均気孔径5〜20μ、空隙率50〜70%のシリコン系連孔合成ゴムが用いられることにより、レーザー加工時に有害ガスが発生せず、また、インク含有量が過不足なく適量となって、捺印したときに、インクの滲みや掠れのない鮮明な印影が得られる。
【0031】
また、請求項4記載の本発明の浸透印用印字体は、接合部材としてインク流量調節作用を有する部材を用いたので、インク吸蔵部材から印面部材へ供給されるインク量を適度に調整することができる。
【0032】
また、請求項5記載の本発明の浸透印用印字体は、接合部材として、加熱されることにより溶融して接着作用を有し、かつ、インク流量調節作用を有し、さらに、印面部材の伸縮防止作用を有する不織布製ホットメルトが用いられることにより、印面部材とインク吸蔵部材とが確実に接合され、かつ、捺印時に印面部材が横方向へ伸びて印字が歪むのを防止できるとともに、不織布製ホットメルトの目付け量によってインク流量を容易に調整できるので、インク吸蔵部材から印面部材へ供給されるインク量が過剰になったり不足するのを防止することができる。
【0033】
また、請求項6記載の本発明の浸透印用印字体は、インク吸蔵部材としてPVF樹脂等の連続気孔を有する熱可塑性樹脂が用いられることにより、レーザー加工したときに有害ガスを発生せず、かつ、加熱及び加圧したときに塑性変形するので、形状が安定して、寸法精度を出しやすくなる。
【0034】
また、請求項7記載の本発明の浸透印用印字体は、印面部材と接合部材とインク吸蔵部材が積層されて加熱及び加圧されることにより一体的に接合されるので、接合工程が簡単で容易である。
【0035】
また、請求項8記載の本発明の浸透印用印字体の製造方法は、印面部材と接合部材とインク吸蔵部材とを別々に同一寸法に打ち抜いて重ね合わせてから接合するという面倒がない。
【0036】
また、請求項9記載の本発明の浸透印用印字体の製造方法は、印面部材の印面となる部位にあらかじめ文字が彫刻されているので、板状部材は所要形状にカットするだけでよく、文字を彫刻する手間が省ける。
【0037】
また、請求項10記載の本発明の浸透印用印字体の製造方法は、印面となる部位へ文字を彫刻してから板状部材を所要形状にカットするので、作業能率がアップする。
【0038】
また、請求項11記載の本発明の浸透印用印字体の製造方法は、板状部材のカットと、印面となる部位への文字の彫刻をレーザー加工で行なうことにより製造時間が短縮されて生産性がアップする。
【0039】
また、請求項12記載の本発明の浸透印用印字体の製造方法は、加熱及び加圧操作でインク吸蔵部材と接合部材と印面部材とを容易に接合することができ、かつ、インク吸蔵部材を塑性変形させて厚さ方向の寸法精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】板状部材からレーザー加工により形成した印字体の斜視図である。
【図2】印字体の断面図である。
【符号の説明】
1 印面部材
2 接合部材
3 インク吸蔵部材
4 板状部材
5 印面
6 印字体
【発明の属する技術分野】
本発明は、浸透印用の印字体で、特にレーザー加工される印字体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の浸透印における印字体は、文字(原稿)入力、写植(版下)、写真現像、フィルム焼き付け(リジロン凸版)、母型作成(凹版)、ゴム成形、脱塩、研磨及びインク充填という多数の工程を経て製造されていた。そして、この工程に数日を要していたので、生産性が低いという不満があった。そこで、工程を短縮するためにレーザー加工を採用するようになっている。
【0003】
そして、レーザー加工により形成する浸透印用の印字体として、連続気孔体のポリマーを用いたもの(例えば、特許文献1参照)や、多孔質性樹脂を用いたもの(例えば、特許文献2参照)や、ゴムを用いたもの(例えば、特許文献3参照)などが存在する。しかしながら、これら単一素材で形成したものは、インクがすぐに消費されてしまうので、何度もインクを補充しなければならないという面倒がある。また、ポンピング作用が弱いので、インクの出が悪いという問題もある。
【0004】
そこで、多くの印鑑では、印字体の裏側にインク吸蔵体やクッションなどを積層して、毛細管作用によりインク吸蔵体から印字体へインクを供給するようにしている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、印字体の裏側にインク吸蔵体などを積層する場合、その積層する部材は、それらの材料からそれぞれ印字体と同一寸法に打ち抜く必要があり、また、それぞれにインクを充填する必要もあるので、工程数が増えてコストアップになるという問題がある。また、それらの素材は軟らかく変形しやすいので、厚さ方向の寸法精度を出しにくいという問題もある。また、複数の素材を積層してケースに組み付けた場合に、互いに分離しているので、ズレが生じたり、最上層の印字体がケースから外れて外部へ飛び出してしまうという問題もある。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−47719号公報
【特許文献2】
特開2001−150780号公報
【特許文献3】
特開2000−141846号公報
【特許文献4】
実開平5−16349号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記の問題を解決すること、すなわち、インク吸蔵部材を含む複数の部材から成ってインクを何度も補充する必要がなく、また、製造工程が少なくコストダウンが可能であり、また、厚さ方向の寸法精度が出しやすく、さらに、複数の部材を積層してケースに組み付けたときに、積層部材にズレが生じず、かつ、最上層の部材がケースから外れて外部へ飛び出すこともない浸透印用印字体と、その製法の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の浸透印用の印字体は、互いに素材が異なる印面部材と接合部材とインク吸蔵部材を含む複数の部材が積層されて一体的に接合された多層構造の板状部材がレーザーにより所要形状にカットされ、かつ、印面部となる部位にレーザーにより文字が彫刻されて形成されたことを特徴とする構成にしたものである。
【0008】
また、本発明の浸透印用の印字体は、印面部材の裏側に接合部材を介してインク吸蔵部材が一体的に接合されて3層構造とされた構成にすることができる。
【0009】
また、本発明の浸透印用の印字体は、印面部材として平均気孔径5〜20μm、空隙率50〜70%のシリコン系連孔合成ゴムが用いられた構成にすることができる。
【0010】
また、本発明の浸透印用の印字体は、接合部材として、インク流量調節作用を有する部材が用いられた構成にすることができる。
【0011】
また、本発明の浸透印用の印字体は、接合部材として、加熱されることにより溶融して接着作用を有し、かつ、インク流量調節作用を有し、さらに、印面部材の伸縮防止作用を有する不織布製ホットメルトが用いられた構成にすることができる。
【0012】
また、本発明の浸透印用の印字体は、インク吸蔵部材としてPVF樹脂等の連続気孔を有する熱可塑性樹脂が用いられた構成にすることができる。
【0013】
また、本発明の浸透印用の印字体は、印面部材と接合部材とインク吸蔵部材が積層されて加熱及び加圧されることにより一体的に接合された構成にすることができる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の浸透印用印字体の製造方法は、接合部材を印面部材及びインク吸蔵部材で挟む形で積層させた3層構造とし、これらを一体的に接合することにより板状部材を形成し、前記板状部材の形成後に、板状部材を所要形状にカットしたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の浸透印用印字体の製造方法は、前記印面部材の印面となる部位には、あらかじめ文字が彫刻されているようにすることができる。
【0016】
また、本発明の浸透印用印字体の製造方法は、前記板状部材の形成後に、印面部材の印面となる部位に文字を彫刻し、前記彫刻後に、板状部材を所要形状にカットすることができる。
【0017】
また、本発明の浸透印用印字体の製造方法は、前記文字の彫刻及び板状部材のカットは、レーザー加工により行なうことができる。
【0018】
また、本発明の浸透印用印字体の製造方法は、上下の押え板の間に所定深さの型枠を配した熱プレス装置を備え、その型枠の内部にインク吸蔵部材と接合部材と印面部材とを積層した状態で収納して加温し、かつ、その積層した部材の上下両面を押え板により挟んで加圧することにより、接合部材を溶融させてインク吸蔵部材と印面部材とを接着するとともに、インク吸蔵部材を塑性変形させて板状部材を形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明の印字体は、互いに素材の異なる複数の部材を用いて形成されている。そして、その複数の部材の中には、印面部材1と、接合部材2と、インク吸蔵部材3を含んでいる。なお、図示した実施例のように、印面部材1と、接合部材2と、インク吸蔵部材3だけで構成することも可能である。
【0020】
印面部材1としては、連続気孔を有する多孔質のシリコン系連孔合成ゴムが好ましい。NBRゴムなどの素材を使用すると、レーザー加工した場合に、有害ガスを発生し、又、副産物としてタール状生成物ができて、これが印面に付着するという弊害があるが、シリコン系連孔合成ゴムを使用すれば、有害ガスを発生せず、又、タール状生成物もできないからである。
【0021】
また、このシリコン系連孔合成ゴムは、平均気孔径が5〜20μで、空隙率が50〜70%のものが好ましい。この範囲にすると、インク含有量が過不足なく適量となって、捺印したときに、インクの滲みやカスレのない鮮明な印影が得られるからである。
【0022】
接合部材としては、インク流量調節作用を有する不織布製ホットメルトが好ましい。これは加熱することにより溶融して、印面体用部材1とインク吸蔵体用部材3を接着することができる。また、印面部材1に接着した状態で、その印面部材1の横方向の伸縮を抑止する作用を有する。また、もちろん、インク吸蔵部材3から印面部材1へ供給されるインク量を調節する作用も有している。すなわち、不織布製ホットメルトの目付け量、つまり気孔率を変えることによりインク量を調節することができる。したがって、捺印時に印面部材1が横方向に伸びて印字が歪むのを防止できるとともに、インク吸蔵部材3から印面部材1へ供給されるインク量が過剰になったり不足するのを防止することができる。尚、不織布製ホットメルトの厚みは0.1〜0.3mmが好ましく、目付け量は25g/m2〜50g/m2が好ましい。
【0023】
インク吸蔵部材3としては、レーザー加工によって有害ガスを発生せず、かつ、連続気孔を有する熱可塑性樹脂で加熱及び加圧したときに塑性変形するものが好ましい。例えばPVF樹脂等が好適である。加熱及び加圧したときに塑性変形することにより形状が安定し、厚さ方向の寸法精度を出しやすくなるからである。これに対し、印面部材とインク吸蔵部材とを別々に用意し、後工程で両者を接合する場合は、NBRゴム製の印字体のうち印字面の裏面を研磨することにより所定の厚さ方向の寸法に仕上げる必要があって面倒であった。なお、インク吸蔵部材3の平均気孔径は80〜200μmが好ましく、気孔率は89〜91%が好ましい。
【0024】
インク吸蔵部材3は、印面部材1が捺印時に押圧されると同時に押圧されるが、この裏には剛性の支持部材が配されるので圧縮されることになり、インク吸蔵部材3の表面側にインクが溢れ出る。この溢れ出たインクは接合部材2を通って印面部材1に吸収される。
【0025】
接合部材2は印面部材1よりもポーラス径(気孔径)を大きくし、インク吸蔵部材3は接合部材2よりもポーラス径を大きくしている。これにより、インク吸蔵部材3に充填されたインクは毛細管作用によって接合部材2へスムースに移行し、さらに、その接合部材2から印面部材1へスムースに吸い上げられることになる。
【0026】
次に、製造方法について説明する。まず、図1に示すように、インク吸蔵部材3の上に接合部材2を載せ、さらに、その接合部材2の上に印面部材1を載せて3層構造とし、これらを熱プレスで一体的に接合することにより板状部材4を形成する。すなわち、上下の押え板の間に所定深さの型枠を配した熱プレス装置を約160度程度に加温して、その型枠の内部に上記の積層した部材を入れて、その上下両面を押え板により鋏んで加圧することにより板状部材4を形成する。このとき、上記のように接合部材2が溶融してインク吸蔵部材3と印面部材1とが接着し、かつ、インク吸蔵部材3は塑性変形することになる。
【0027】
そして、上記の異質素材を一体化して成る板状部材4を、レーザー加工により所要形状にカットすると同時に、その印面部材1の表面、すなわち印面5となる部位に文字を彫刻する。これにより印字体6の成形が完了し、後はインクを充填するだけでよい。すなわち、本発明の印字体は、文字入力、レーザー彫刻及びインク充填の3工程だけで完成させることができる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明の浸透印用印字体は、複数部材が積層されて一体的に接合された多層構造の板状部材からレーザー加工により形成されるので、積層する部材を別々に同一寸法に打ち抜く必要がなく、また、それぞれにインクを充填する必要もないので、工程数を減らして製造日数を短縮することにより生産性をアップすることができ、納期を短縮することができる。また、複数の部材が一体化していてバラバラでないので、ケースに組み付けた場合に、互いにズレたりせず、又、最上層の部材がケースから外れて外部へ飛び出すようなこともない。
【0029】
また、請求項2記載の本発明の浸透印用印字体は、印面部材の裏側に接合部材を介してインク吸蔵部材が一体的に接合されて3層構造とされたことにより、インク吸蔵部材から印面部材にインクがスムースに供給されてインク補充を何度も行なう必要がない。
【0030】
また、請求項3記載の本発明の浸透印用印字体は、印面部材として平均気孔径5〜20μ、空隙率50〜70%のシリコン系連孔合成ゴムが用いられることにより、レーザー加工時に有害ガスが発生せず、また、インク含有量が過不足なく適量となって、捺印したときに、インクの滲みや掠れのない鮮明な印影が得られる。
【0031】
また、請求項4記載の本発明の浸透印用印字体は、接合部材としてインク流量調節作用を有する部材を用いたので、インク吸蔵部材から印面部材へ供給されるインク量を適度に調整することができる。
【0032】
また、請求項5記載の本発明の浸透印用印字体は、接合部材として、加熱されることにより溶融して接着作用を有し、かつ、インク流量調節作用を有し、さらに、印面部材の伸縮防止作用を有する不織布製ホットメルトが用いられることにより、印面部材とインク吸蔵部材とが確実に接合され、かつ、捺印時に印面部材が横方向へ伸びて印字が歪むのを防止できるとともに、不織布製ホットメルトの目付け量によってインク流量を容易に調整できるので、インク吸蔵部材から印面部材へ供給されるインク量が過剰になったり不足するのを防止することができる。
【0033】
また、請求項6記載の本発明の浸透印用印字体は、インク吸蔵部材としてPVF樹脂等の連続気孔を有する熱可塑性樹脂が用いられることにより、レーザー加工したときに有害ガスを発生せず、かつ、加熱及び加圧したときに塑性変形するので、形状が安定して、寸法精度を出しやすくなる。
【0034】
また、請求項7記載の本発明の浸透印用印字体は、印面部材と接合部材とインク吸蔵部材が積層されて加熱及び加圧されることにより一体的に接合されるので、接合工程が簡単で容易である。
【0035】
また、請求項8記載の本発明の浸透印用印字体の製造方法は、印面部材と接合部材とインク吸蔵部材とを別々に同一寸法に打ち抜いて重ね合わせてから接合するという面倒がない。
【0036】
また、請求項9記載の本発明の浸透印用印字体の製造方法は、印面部材の印面となる部位にあらかじめ文字が彫刻されているので、板状部材は所要形状にカットするだけでよく、文字を彫刻する手間が省ける。
【0037】
また、請求項10記載の本発明の浸透印用印字体の製造方法は、印面となる部位へ文字を彫刻してから板状部材を所要形状にカットするので、作業能率がアップする。
【0038】
また、請求項11記載の本発明の浸透印用印字体の製造方法は、板状部材のカットと、印面となる部位への文字の彫刻をレーザー加工で行なうことにより製造時間が短縮されて生産性がアップする。
【0039】
また、請求項12記載の本発明の浸透印用印字体の製造方法は、加熱及び加圧操作でインク吸蔵部材と接合部材と印面部材とを容易に接合することができ、かつ、インク吸蔵部材を塑性変形させて厚さ方向の寸法精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】板状部材からレーザー加工により形成した印字体の斜視図である。
【図2】印字体の断面図である。
【符号の説明】
1 印面部材
2 接合部材
3 インク吸蔵部材
4 板状部材
5 印面
6 印字体
Claims (12)
- 互いに素材が異なる印面部材と接合部材とインク吸蔵部材を含む複数の部材が積層されて一体的に接合された多層構造の板状部材がレーザーにより所要形状にカットされ、かつ、印面部となる部位にレーザーにより文字が彫刻されて形成されたことを特徴とする浸透印用の印字体。
- 印面部材の裏側に接合部材を介してインク吸蔵部材が一体的に接合されて3層構造とされた請求項1記載の浸透印用の印字体。
- 印面部材として平均気孔径5〜20μm、空隙率50〜70%のシリコン系連孔合成ゴムが用いられた請求項1又は2記載の浸透印用の印字体。
- 接合部材として、インク流量調節作用を有する部材が用いられた請求項1、2又は3記載の浸透印用の印字体。
- 接合部材として、加熱されることにより溶融して接着作用を有し、かつ、インク流量調節作用を有し、さらに、印面部材の伸縮防止作用を有する不織布製ホットメルトが用いられた請求項1、2、3又は4記載の浸透印用の印字体。
- インク吸蔵部材としてPVF樹脂等の連続気孔を有する熱可塑性樹脂が用いられた請求項1、2、3、4又は5記載の浸透印の用印字体。
- 印面部材と接合部材とインク吸蔵部材が積層されて加熱及び加圧されることにより一体的に接合された請求項1、2、3、4、5又は6記載の浸透印用の印字体。
- 接合部材を印面部材及びインク吸蔵部材で挟む形で積層させた3層構造とし、これらを一体的に接合することにより板状部材を形成し、前記板状部材の形成後に、板状部材を所要形状にカットしたことを特徴とする浸透印用の印字体の製造方法。
- 前記印面部材の印面となる部位には、あらかじめ文字が彫刻されていることを特徴とする請求項8記載の浸透印用の印字体の製造方法。
- 前記板状部材の形成後に、印面部材の印面となる部位に文字を彫刻し、前記彫刻後に、板状部材を所要形状にカットすることを特徴とする請求項8記載の浸透印用の印字体の製造方法。
- 前記文字の彫刻及び板状部材のカットは、レーザー加工により行なうことを特徴とする請求項8、9又は10記載の浸透印用の印字体の製造方法。
- 上下の押え板の間に所定深さの型枠を配した熱プレス装置を備え、その型枠の内部にインク吸蔵部材と接合部材と印面部材とを積層した状態で収納して加温し、かつ、その積層した部材の上下両面を押え板により挟んで加圧することにより、接合部材を溶融させてインク吸蔵部材と印面部材とを接着するとともに、インク吸蔵部材を塑性変形させて板状部材を形成した請求項8、9、10又は11記載の浸透印用の印字体の製造方法。
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2002
- 2002-12-17 JP JP2002365263A patent/JP2004195736A/ja active Pending
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JP4495425B2 (ja) * | 2003-08-28 | 2010-07-07 | シヤチハタ株式会社 | 多孔質印字体 |
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