JP2004194060A - 定インピーダンス可変抵抗減衰回路 - Google Patents

定インピーダンス可変抵抗減衰回路 Download PDF

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昭夫 舟木
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Abstract

【課題】2つの可変抵抗器を相補的に変化させることで、整合状態を保つようにする方法では、R1・R2=Rの関係を確実に満足させることができない。例えば、音量を調整する場合など、可変ボリュームの調整時にインピーダンスが変動しやすく音質が低下する原因となる。しかも、部品のバラツキや特性などの影響を受けやすく、インピーダンスの変動に大きく反映されてしまう。
【解決手段】4辺の一の対向位置に可変抵抗器、他の対向位置に負荷と固定抵抗器を配し、一方の可変抵抗器の抵抗値を制御回路で制御することにより、定インピーダンスで減衰することを目的としたブリッジ型減衰回路であって、該制御回路は、一の対角間に生じる電位差によって、該一方の可変抵抗器の抵抗値を制御する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、減衰量を定インピーダンスで連続的に変化させることを目的とした可変抵抗減衰回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、連続可変できる減衰回路の構成としてT型やπ型などがあり、使用する半導体の数を少なくして構成できるブリッジT型減衰回路が広く知られている。このブリッジT型減衰回路は、入出力インピーダンスを変化させることなく回路インピーダンスに整合させた状態で、入力信号レベルを減衰して出力することを目的とするものである。
【0003】
例えば、図7に示すブリッジT型減衰回路50においては、固定抵抗器51、及び固定抵抗器52の抵抗値を共にR0、直列アームの可変抵抗器53の抵抗値をR1、並列アームの可変抵抗器54の抵抗値をR2、負荷55の抵抗値をRとすれば、R1・R2=R・R0となる。R=R0とすると、R1・R2=Rとなって、R1、R2の抵抗値に関係なく入力インピーダンスが常にRと等しくなり、インピーダンス整合時は定インピーダンスの整合が保たれることになる。従来では、例えば差動増幅器などを設け、ブリッジT型減衰回路を構成する2つの可変抵抗器を相補的に変化させることにより、定インピーダンスの整合状態を保持して減衰させる手段が採られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような方法では、整合状態を保つように2つの可変抵抗器を相補的に変化させる必要があり、R1・R2=Rの関係を確実に満足させることができない欠点がある。この結果、例えば音量を調整する場合など、可変ボリュームの調整時にインピーダンスが変動しやすくなり音質が低下する原因となっていた。しかも、部品のバラツキや特性などの影響が受けやすく、インピーダンスの変動に大きく反映してしまう問題となっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は上記問題に鑑み鋭意研究の結果、本発明を成し得たものであり、その特徴とするところは、4辺の一の対向位置に可変抵抗器、他の対向位置に負荷と固定抵抗器を配し、一方の可変抵抗器の抵抗値を制御回路で制御することにより、定インピーダンスで減衰することを目的としたブリッジ型減衰回路であって、該制御回路は、一の対角間に生じる電位差によって、該一方の可変抵抗器の抵抗値を制御することにある。
【0006】
ここで、本明細書中でいう「ブリッジ型減衰回路」とは、2つの可変抵抗器と負荷及び固定抵抗器とによって構成し、該2つの可変抵抗器を4辺の一の対向位置に、負荷と固定抵抗器を他の対向位置に配した回路をいう。このような回路においては、R1・R2=Rの関係ではインピーダンスの整合が保たれるが、R1・R2≠Rのインピーダンスが不整合となったとき、一の対角間に電位差が生じる。本発明においては、この電位差を不平衡電圧として利用することで、一方の可変抵抗器の抵抗値を変えて、定インピーダンスの整合を保持した状態で減衰させることを最大の特徴とする。
【0007】
通常、このようなブリッジ型減衰回路は、固定抵抗器の一端を入力端とし、該入力端に接続された可変抵抗器の他端側が出力端、そして該入力端の対角位置が入出力共通端となる。この場合、本発明でいうところの不平衡電圧が生じる一の対角間とは、出力端とその対角間である。また、定インピーダンスによる整合状態を保持するために抵抗値を制御する可変抵抗器は、R1・R2=Rの関係を保持することであることから、2つの可変抵抗器のいずれでも同様の結果が得られることになる。
【0008】
本発明に係る減衰回路においては、ブリッジ回路を基本として出力端とその対角間に生じる電位差を利用することから、出力端とその対角間に固定抵抗器を設けたブリッジT型回路としても、同じように定インピーダンスで減衰させることが可能となる。
【0009】
「制御回路」とは、ブリッジ型減衰回路やブリッジT型減衰回路において、インピーダンスが不整合となったときに一の対角間に生じる電位差を利用して、一方の可変抵抗器の抵抗値を制御するための回路をいう。この制御回路で該可変抵抗器の抵抗値を変化させて該一の対角間に生じる電位差を減少させることで、インピーダンスの整合が図られる。
【0010】
制御回路による基本的動作としては、一の対角間に電位差が生じた場合、これを不平衡電圧として検出し、ブリッジ型減衰回路(ブリッジT型減衰回路)が不整合状態となっていることを判別する。そして、不整合によって生じた電位差を利用して可変抵抗器の抵抗値を変化させることで、該一の対角間の電位差が0Vとなり、インピーダンスの整合がとれることになる。この場合、不整合から整合状態に近づくに従って電位差が減少することから、増幅器で増幅して整合精度を高めるのが好ましい。尚、ブリッジT型減衰回路では、不整合になると一の対角間に抵抗を介して電流が流れるが、この電流は不平衡電圧によって生じた不平衡電流であるから、抵抗の有無に拘わらずブリッジ型減衰回路と同一の方法で検出することが出来るので、この不平衡電圧よる電位差で制御して整合を図ることができる。
【0011】
また、制御回路としては、一の対角間に高インピーダンスで接続することで、ブリッジ型減衰回路(ブリッジT型減衰回路)に影響を与えないようにする必要があることからも、整合・不整合を検出する整合検出回路を別途設け、該整合検出回路から制御回路に信号を伝達して可変抵抗器の抵抗値を制御させるものとしてもよい。
【0012】
制御回路によって抵抗値を変化させる可変抵抗器としては、機械的に変化させる方法と、能動素子による電子的に変化させる方法がある。本発明においては特に限定するものではないが、例えば機械的な方法としてモータ駆動ボリューム、電子的な方法としてトランジスタやダイオードなどを利用する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明に係る定インピーダンス可変抵抗減衰回路1の実施の形態の一例を示すもので、ブリッジT型減衰回路2に制御回路3を設けることによって、自動的に回路の整合を図ることを目的とした回路である。本例のブリッジT型減衰回路2は、入力側の第一固定抵抗器21、出力側の第二固定抵抗器22、直列アームに接続した可変抵抗器23、そして並列アームに接続する可変抵抗器24としてモータ駆動ボリューム25とによって構成している。制御回路3は、整流回路31、差動増幅器32、及びモータ駆動器33により構成している。回路が不平衡状態となった場合、第二固定抵抗器22の両端に生じる不平衡電圧を増幅してモータ駆動器33に伝達し、モータ駆動ボリューム25の抵抗値を変化させることで、インピーダンスの整合を図る構造である。
【0015】
図2は本発明に係る定インピーダンス可変抵抗減衰回路1の実施の形態の他の例を示すもので、ブリッジT型減衰回路2の可変抵抗器24としてFET(field -effect transistor:電界効果トランジスタ)26を設けたものである。直列アームに接続した可変抵抗器23で減衰量を所定の値に設定する場合、FET26の抵抗値を調整して整合を図るため、制御回路3に前述した整流回路31と差動増幅器32の他、積分器34とその増幅器35を設けている。この可変抵抗減衰回路1のように、制御回路3の入力及び出力を増幅することにより、整合状態に近づくに従って第二固定抵抗器22両端に生じる不平衡電圧の減少に対応させることができ、整合精度を高めることが可能となる。
【0016】
本発明に係る定インピーダンス可変抵抗減衰回路1における制御回路3としては、第二固定抵抗器22両端に生じる不平衡電圧による電位差で、可変抵抗器24の抵抗値を調整するものであればよいが、図3のように整合検出回路4を別途設けてもよい。整合検出回路4は、第二固定抵抗器22の両端の不平衡電圧による電位差を検出するもので、この信号により制御回路3で可変抵抗器24の抵抗値を調整してインピーダンスの整合を図る回路である。このことから、整合検出回路4の有無に関わらず、その機能を制御回路3に有することで、前述した各例と基本的に同じ方法で定インピーダンスで減衰量の調整が可能となる。
【0017】
ブリッジT型減衰回路2は、入力側と出力側(負荷側)のいずれからでも定インピーダンスで等しく減衰できる対称回路であるが、出力端とその対角間の固定抵抗器(第二固定抵抗器22)を省略したブリッジ型回路としても、入力側から定インピーダンスで減衰することができる。例えば、図4に示すような一の対向位置に可変抵抗器23、24、他の対向位置に固定抵抗器21と負荷5を配して構成したブリッジ型減衰回路6である。この回路6においても、ブリッジT型減衰回路2における第二固定抵抗器22の位置に整合検出回路4を設けることにより、該整合検出回路4で不整合時に生じる不平衡電圧を検出し、これを信号として制御回路3に伝達して可変抵抗器24の抵抗値を調整して回路6のインピーダンスの整合を図ることができる。
【0018】
ブリッジ型減衰回路6の場合においても、図5(a)(b)に示すように入出力共通端側に設けられたモータ駆動ボリューム25や、FET26の抵抗値を変化させることにより、前述した実施の形態と同様にしてインピーダンスの整合を図ることができる。また、ブリッジ型減衰回路6では、2つの可変抵抗器の内、いずれかの可変抵抗器を制御すればよく、図6(a)(b)のように出力端側に設けられたモータ駆動ボリューム25や、FET26を制御回路3で制御してもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る定インピーダンス可変抵抗減衰回路は、4辺の一の対向位置に可変抵抗器、他の対向位置に負荷と固定抵抗器を配し、一方の可変抵抗器の抵抗値を制御回路で制御することにより、定インピーダンスで減衰することを目的としたブリッジ型減衰回路であって、該制御回路は、一の対角間に生じる電位差によって、該一方の可変抵抗器の抵抗値を制御することにより、以下の効果を得ることができる。
(1) 定インピーダンスの減衰を連続的に行うことができる。
(2) ブリッジ型減衰回路やブリッジT型減衰回路を構成する可変抵抗器の調整で、定インピーダンス減衰が可能となる。
(3) 自動的に整合を取るので、部品のバラツキや特性による影響を受けにくい。
(4) 減衰部が可変抵抗器のみによる定インピーダンス構成であるため、信号劣化が少なく、高帯域の減衰が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定インピーダンス可変抵抗減衰回路の実施の形態の一例を示す回路図である。
【図2】本発明に係る定インピーダンス可変抵抗減衰回路の実施の形態の他の例を示す回路図である。
【図3】本発明に係る定インピーダンス可変抵抗減衰回路の実施の形態のさらに他の例を示す回路図である。
【図4】本発明に係る定インピーダンス可変抵抗減衰回路の実施の形態のさらに他の例を示す回路図である。
【図5】本発明に係る定インピーダンス可変抵抗減衰回路の実施の形態のさらに他の例を示す回路図である。
【図6】本発明に係る定インピーダンス可変抵抗減衰回路の実施の形態のさらに他の例を示す回路図である。
【図7】ブリッジT型減衰回路の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 定インピーダンス可変抵抗減衰回路
2 ブリッジT型減衰回路
21 第一固定抵抗器
22 第二固定抵抗器
23 可変抵抗器
24 可変抵抗器
25 モータ駆動ボリューム
26 FET
3 制御回路
31 整流回路
32 差動増幅器
33 モータ駆動器
34 積分器
35 増幅器
4 整合検出回路
5 負荷
6 ブリッジ型減衰回路

Claims (5)

  1. 4辺の一の対向位置に可変抵抗器、他の対向位置に負荷と固定抵抗器を配し、一方の可変抵抗器の抵抗値を制御回路で制御することにより、定インピーダンスで減衰することを目的としたブリッジ型減衰回路であって、該制御回路は、一の対角間に生じる電位差によって、該一方の可変抵抗器の抵抗値を制御するものであることを特徴とする定インピーダンス可変抵抗減衰回路。
  2. ブリッジ型減衰回路は、他方の可変抵抗器の抵抗値を調整して減衰量を所定の値に設定するものである請求項1記載の定インピーダンス可変抵抗減衰回路。
  3. 制御回路は、一の対角間に生じる電位差を増幅して一方の可変抵抗器の抵抗値を制御するものである請求項1又は2記載の定インピーダンス可変抵抗減衰回路。
  4. 制御回路は、直流増幅して一方の可変抵抗器の抵抗値を制御するものである請求項1乃至3記載の定インピーダンス可変抵抗減衰回路。
  5. ブリッジ型減衰回路は一の対角間に固定抵抗器を設けたブリッジT型減衰回路であり、制御回路は該一の対角間に生じる電位差で一方の可変抵抗器の抵抗値を制御するものである請求項1乃至4記載の定インピーダンス可変抵抗減衰回路。
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