JP2004193012A - 燃料電池用セパレータ及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】発電の際の燃料電池の温度上昇を抑制し、安定して発電を行う。
【解決手段】伝熱板12を下側セパレータ13に形成された溝に嵌めこまれて下側セパレータ13の表面と伝熱板12の表面が面一となるように配置し、上側セパレータ11と下側セパレータ13の本体部13aとにより伝熱板12を挟み込んでセパレータ1を形成する。伝熱板12は、下側セパレータ13の本体部13aから放熱フィン15に熱を伝導させるように下側セパレータの本体部13aから放熱フィン15に延在するよう配置される。
【選択図】図2
【解決手段】伝熱板12を下側セパレータ13に形成された溝に嵌めこまれて下側セパレータ13の表面と伝熱板12の表面が面一となるように配置し、上側セパレータ11と下側セパレータ13の本体部13aとにより伝熱板12を挟み込んでセパレータ1を形成する。伝熱板12は、下側セパレータ13の本体部13aから放熱フィン15に熱を伝導させるように下側セパレータの本体部13aから放熱フィン15に延在するよう配置される。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用セパレータ及び燃料電池に関する。さらに詳しくは、発電の際に効率良く熱を放熱することができる燃料電池用セパレータ及び燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、例えば水素ガスの如き燃料ガスと空気に含まれる酸素ガスの如き酸化剤ガスを電気化学的に反応させることにより発電を行う発電素子である。燃料電池は、発電により生成される生成物が水であることから環境を汚染することがない発電素子として近年注目されている。
【0003】
また、燃料電池は発電セルを複数結合させることにより、出力される電力量を高めることが可能であり、例えば固体高分子電解質膜の両面に電極を形成してなる接合体をセパレータで挟みこんで発電セルを形成し、これら発電セルが積層されたスタック構造を有する燃料電池も開発されている。
【0004】
このような燃料電池は水素と酸素の化学反応によって発電を行うため、化学反応による損失分や発電部を構成する材料の電気抵抗などによって発熱し発電部の温度が上昇する。発電部の温度上昇は、燃料電池の安定動作にとって好ましくなく、例えば固体高分子電解質膜とかかる固体高分子電解質膜を挟む電極とから構成される発電体を有する固体高分子型燃料電池においては固体高分子電解質膜に含まれる水分量が温度上昇と共に減少し、ドライアップと呼ばれる不具合を招く場合がある。よって、固体高分子電解質膜に好適な水分を吸湿させた状態で安定した発電を行うためには、熱を発電部の外部へ放熱する技術が重要とされる。
【0005】
このような問題点を改善するために各種技術開発が活発に行われており、発電部から熱を放熱するための技術として発電部から放熱するための放熱フィンを配設する技術が知られている(例えば特許文献1)。また、発電部を冷却するための冷却板としてプレート型ヒートパイプを配設する技術も提案されている(例えば特許文献2,3)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−162842号公報
【特許文献2】
特開平11−214017号公報
【特許文献3】
特開2000−353536号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1により開示された技術によれば、耐腐食性に優れるカーボン材料に対する応用において、難しい場合がある。例えば、スタック構造を有する燃料電池のセパレータを形成する主たる材料としてはカーボンが汎用とされているが、カーボンで形成されたセパレータ本体部は熱伝導率が十分高くなく、発電反応が行われる発電体に接するセパレータ本体部から十分に熱を放熱フィンに伝導させることが難しい。すなわち、燃料電池の温度上昇を招き、発電を安定して行うことができない場合もある。
【0008】
また、このようなセパレータによれば、発電の際の発電反応に対する耐腐食性に優れるカーボン材料をセパレータとして用いた際には機械的な強度が十分でなく、かかるセパレータにより形成される燃料電池に対して実使用時に加わる衝撃や応力によって燃料電池が破損する場合もある。セパレータの機械的な強度を確保するためにはカーボンに樹脂を混ぜ込む技術も知られているが、樹脂が混ぜ込まれて成形されたセパレータの熱伝導率を十分大きい値にすることが難しい。さらに、セパレータを銅の如き比較的熱伝導率が高い材料で形成することも考えられるが、発電時の発電反応によりCuが腐食し、燃料電池の劣化に繋がる。特に、固体高分子電解質膜を挟み込む電極に発電時の触媒としての白金が担持されている場合には、溶出した銅イオンがかかる白金を劣化させることもある。
【0009】
また、特許文献2,3により開示された技術によれば、熱を発電部の外部に放熱するための伝熱部材としてヒートパイプが用いられている。このようなヒートパイプが接続されたセパレータにより燃料電池を形成した際には、かかる燃料電池の構造が複雑となり燃料電池を製造する際の工程数の増大及びメンテナンスの煩雑化を招く場合がある。さらに、このような複雑な構造を有する燃料電池によれば、燃料電池の製造コストの増大にも繋がる。
【0010】
よって、本発明は上述の如き燃料電池に比べ簡単な構造で且つ発電部からの放熱効率を高めることができる燃料電池用セパレータ及び燃料電池を提供することを目的とする。さらに、機械的な強度を高められた燃料電池用セパレータ及び燃料電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる燃料電池用セパレータは、発電体と接して、前記発電体と隣接する発電体との電気的な導通をとるためのセパレータ本体部と、セパレータ本体部の一部を延在させて形成された放熱部と、セパレータ本体部及び放熱部に接し、セパレータ本体部よりも高い熱伝導率を有してセパレータ本体部から熱を放熱部に逃がすための伝熱部とを有することを特徴とする。このような燃料電池用セパレータによれば、伝熱部を介して効率良く熱を放熱部に伝達することができ、発電反応による発電体の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0012】
また、本発明の燃料電池用セパレータにおいては、セパレータ本体部は、発電体に形成された第1の電極に対して燃料流体を供給する燃料供給溝と、第1の電極と対向するように発電体に形成された第2の電極に対して酸化用流体を供給する酸化用流体供給溝とを有することを特徴とする。このようなセパレータ本体部によれば、セパレータ本体部に接する発電体に燃料流体及び酸化陽流体を供給しながら発電体において発電反応を行わせることができる。
【0013】
さらに、本発明の燃料電池用セパレータにおいては、発電体は、固体高分子電解質膜と固体高分子電解質膜の両面に形成された電極とからなることを特徴とする。このような発電体によれば、セパレータ本体部から供給される燃料流体及び酸化用流体を用いて発電を行うことができる。
【0014】
さらにまた、本発明の燃料電池用セパレータにおいては、セパレータ本体部は、一対セパレータ部材とを有し、伝熱部は一対のセパレータ部材により挟まれていることを特徴とする。このような伝熱部によれば、セパレータ本体部から熱を放熱部に効率良く放熱するが可能となる。
【0015】
本発明にかかる燃料電池用セパレータにおいては、伝熱部は略平板状とされると共に略平板状とされるセパレータ本体部に接するように配置されることを特徴とする。このような伝熱部によれば、セパレータ本体部の広い範囲から熱を放熱部に放熱することができる。
【0016】
また、このような燃料電池用セパレータにおいては、一対のセパレータ部材の少なくとも一方には、伝熱部を嵌合させて配置するための溝部が伝熱部の形状に合わせて形成されていることを特徴とする。このような溝部によれば、燃料電池用セパレータ内に無用なスペースを生じさせることがない。さらに伝熱部とセパレータ本体部との密着性を高めることも可能となり、燃料電池用セパレータを小型且つ放熱特性に優れたものとすることができる。
【0017】
さらにこのような燃料電池用セパレータにおいては、溝部の深さ寸法は、当該溝部に伝熱部を嵌合させた際に伝熱部の表面と溝部が形成されたセパレータ部材の表面とが略面一となるように伝熱部の厚みと略等しいことを特徴とする。このような溝部によれば、伝熱部の他のセパレータ部材への良好な密着性を得ることができ、放熱特性を高めることができる。
【0018】
また、本発明の燃料電池用セパレータにおいては、伝熱部は、セパレータ本体部に埋め込まれてセパレータ本体部と一体化されていることを特徴とする。このような伝熱部によれば、燃料電池用セパレータを構成する各部を別々に形成することなく一括にて燃料電池用セパレータを形成することができる。
【0019】
このような燃料電池用セパレータにおいては、伝熱部は、網状構造を有することを特徴とする。このような伝熱部によれば、セパレータ本体部からの放熱部への熱伝導性を高めることができると共にかかる燃料電池用セパレータを軽量化することもできる。
【0020】
また、本発明にかかる燃料電池用セパレータにおいては、伝熱部を形成する主たる材料は、銅あるいは銅合金であることを特徴とする。このような伝熱部によれば、セパレータ本体部から放熱部に熱を速やかに逃がすことができる。
【0021】
さらに、このような燃料電池用セパレータにおいては、銅は無酸素銅とされることを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる燃料電池用セパレータにおいては、伝熱部を形成する主たる材料は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金であることを特徴とする。このような伝熱部によれば、燃料電池用セパレータの軽量化を図ることができる。
【0023】
また、本発明にかかる燃料電池は、発電体と接して、発電体と隣接する発電体との電気的な導通をとるためのセパレータ本体部と、セパレータ本体部の一部を延在させて形成された放熱部と、セパレータ本体部及び放熱部に接し、セパレータ本体部よりも高い熱伝導率を有してセパレータ本体部から熱を放熱部に逃がすための伝熱部とを有する燃料電池用セパレータと発電体を積層してなるスタック構造を有することを特徴とする。このような燃料電池によれば、発電の際のかかる燃料電池の温度上昇を抑制することが可能であり、かかる燃料電池による安定した発電を行うことができる。
【0024】
さらに、このような燃料電池においては、燃料電池の発熱量に応じて所要の燃料電池用セパレータに伝熱部が配設されていることを特徴とする。
【0025】
さらにまた、このような燃料電池においては、スタック構造は、それぞれ異なる熱伝導率を有する伝熱部が配設された燃料電池用セパレータを組み合わせて形成されることを特徴とする。このようなスタック構造によれば、スタック構造の熱が蓄積されやすい部分に高い熱伝導率を有する伝熱板を備える燃料電池用セパレータを配設することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本発明の燃料電池用セパレータ及び燃料電池について、図面を参照しながら説明する。図1、図2及び図3に本実施形態にかかるセパレータの一例の構造を示す。
【0027】
図1、図2及び図3に示すように、セパレータ1はセパレータ本体部13a、セパレータ本体部13の一部を延在させて形成された放熱フィン15、及びセパレータ本体部10から放熱フィン15に延在される伝熱板12を有する。尚、本例のセパレータ1においては、下側セパレータ13の本体部13aから放熱フィン15が延在されているが、本例の如きセパレータ1に限定されず、上側セパレータ11の一部から放熱フィン15を延在させても良い。
【0028】
図1は、本例のセパレータ1を構成する上側セパレータ11、伝熱板12が下側セパレータ13に配設された状態及び下側セパレータ13を裏面側からみた平面図である。図1(a)は、上側セパレータ11の平面図であり、セパレータ1を組み上げた際に伝熱板12がかかる上側セパレータ11に接する面の裏面側からみた平面図である。上側セパレータ11には、水素ガスを流動させるための流路18が形成されている。流路18は上側セパレータ11の面内全体に水素ガスを流動させる形状とされ、例えば本例のように面内を蛇行するような形状に形成される。上側セパレータ11の端部には、流路18に水素ガスを供給する供給孔16aと流路18から水素ガスを排出するための排出孔17aが形成され、流路18は供給孔16a及び排出孔17aに接続されている。セパレータ1は各発電体を互いに電気的に導通させ、セパレータ1で物理的に隔離された発電体にそれぞれ燃料ガスと酸化用流体を供給して発電反応を行わせる。また、セパレータ1を金属やカーボンの如き材料を用いて形成した場合には、セパレータ1が各発電体に対する集電体として機能する。供給孔16a、排出孔17aは上側セパレータ11、伝熱板12、下側セパレータ13及び封止部材14によりセパレータ1が組み上げられた際に、封止部材14に形成された供給孔16b及び排出孔17b、さらに下側セパレータ13に形成された供給孔16c、排出孔17cとを連続させて図中垂直方向に水素ガスを流動させて流路18に水素ガスを供給して排出するための同形状の連続した流路を形成する。
【0029】
さらに、上側セパレータ11はセパレータ1を積層した際に伝熱板12を発電体から隔離し、発電反応により伝熱板12が劣化することを抑制する。上側セパレータ11は、カーボンに樹脂を混ぜ込んで形成することができ、カーボンを主たる材料として形成された上側セパレータ11は発電反応に対して十分な耐腐食性を有する。また、上側セパレータ11を金属にて形成し、かかる上側セパレータ11の表面全体に表面処理を施すことにより発電反応に対して十分な耐腐食性を有するようにすることもできる。例えば、上側セパレータ11の表面全体に発電反応に対する十分な耐腐食性を有する保護膜を形成することにより上側セパレータ11の発電反応に対する耐腐食性を確保することもできる。
【0030】
図1(b)は、下側セパレータ13に伝熱板12及び封止部材14が配置された状態を示す平面図である。伝熱板12は、本例のように下側セパレータ13に形成された溝35に嵌めこまれて下側セパレータ13に配置される。伝熱板12は略板状であり、溝35も伝熱板12の形状に合わせて形成される。さらに、好ましくは溝部35の深さ方向の寸法を伝熱板12の厚みに合わせた寸法しておくことにより下側セパレータ13の表面と伝熱板12の表面が略面一となるように配置され、セパレータ1に無駄なスペースを生じさせることなくセパレータ1をコンパクトに形成することができる。また、伝熱板12の表面と下側セパレータ13の表面を略面一とすることで上側セパレータ11との良好な密着性が得られ、放熱特性が向上する。さらに、伝熱板12は下側セパレータの本体部13aから放熱フィン15に熱を伝導させるように下側セパレータ13の本体部13aから放熱フィン15に延在される。
【0031】
伝熱板12は、例えば上側セパレータ11及び下側セパレータ13の熱伝導率より高い熱伝導率を有する材料を用いて形成される。例えば、伝熱板12を銅あるいは銅合金を用いて形成された銅板あるいは銅合金板とすることができる。伝熱板12を銅板あるいは銅合金板とすることにより、セパレータ1を組み上げた際に上側セパレータ11と重なる領域を含む下側セパレータの本体部13aから放熱フィン15に熱が伝導される場合に比べて、下側セパレータの本体部13aから放熱フィン15へ伝熱板12を介して速やかに熱を伝導させることができる。さらに好ましくは伝熱板12を無酸素銅を用いて形成することにより下側セパレータの本体部13aから放熱フィン15への熱伝導性を高めることができる。
【0032】
また、伝熱板12を形成する主たる材料としてアルミニウムあるいはアルミニウム合金の如き比較的軽量な金属を用いれば所要の熱伝導性を確保しながらセパレータ1を軽量化することもできる。さらに、伝熱板12を銅、無酸素銅或いはアルミニウム、アルミニウム合金などの金属により形成すれば、上側セパレータ11及び下側セパレータ13をカーボンの如き機械的な強度が十分でない材質で形成した場合でも、セパレータ1の機械的な強度を十分に確保することができる。
【0033】
伝熱板12の幅や長さなどの寸法は、セパレータ1を有する燃料電池の出力電力、すなわちかかる燃料電池による発電の際の発熱量に合わせて所要の寸法とすることができる。下側セパレータ13の端部には封止部材14が配置され、上側セパレータ11と下側セパレータ13とにより伝熱板12及び封止部材14が挟み込まれてセパレータ1が組み上げられる。
【0034】
さらに、伝熱板12は、セパレータ1を組み上げた際に上側セパレータ11及び下側セパレータ13の本体部13aより挟み込まれた状態でセパレータ1の両面に重ねて配置される発電体から隔離される。発電体は、例えば固体高分子電解質の如きイオン伝導性を有する膜の両面に電極が配置された形成された部材であり、かかる発電体において発電の際に電気化学的な発電反応が行われる。従って、伝熱板12が発電反応及び発電反応により生成された溶出物により腐食することを低減することができる。
【0035】
封止部材14は、供給孔16a,16b,16c及び排出孔17a,17b,17cから水素ガスが漏洩しない十分なシール性を有する部材とされる。さらに封止部材14からの放熱性を高めるために熱伝導率が良好な部材を用いることが望ましい。また、封止部材14には供給孔16a,16cに位置合わせされた供給孔16bと、排出孔17a,17cと位置合わせされた排出孔17cが形成されている。
【0036】
図1(c)は、下側セパレータ13を下側セパレータ13が伝熱板12と接する面の裏面側からみた平面図である。図1(c)に示すように、下側セパレータ13は、下側セパレータ13の幅方向に延在されて下側セパレータ13の両端に開口する流路19と、下側セパレータ13の本体部13aから下側セパレータ13の長手方向に延在される放熱フィン15、さらに供給孔16a,16b及び排出孔17a,17bに合わせて形成された供給孔16c及び排出孔17cを有する。
【0037】
流路19は、下側セパレータ13の伝熱板12が配置される面の裏面側に形成される。流路19には酸化用流体としての酸素を含む空気が流動される。また、流路19は下側セパレータの本体部13aの幅方向に沿って複数直線状に形成され、セパレータ1と発電体を積層した際に流路19に接する発電体を構成する電極の略面内全体に酸化用流体としての酸素を供給する。本例の下側セパレータ13に形成された流路19がかかる下側セパレータ13の一の端部に開口する開口部20の開口幅は、流路19の流路幅に比べて幅広とされ、開口部20を幅広としたことにより開口部20側から空気を取り込む際に空気の流れを阻害する流路抵抗を低減することができる。また、開口部20のみを流路19の流路幅に比べて幅広とするだけでなく、流路19が下側セパレータ13の他の端部に開口する開口部21の開口幅も流路19の流路幅より幅広としておくことによりさらに流路抵抗を低減することができ,円滑に空気を流路19に取りこみさらに排出することができる。
【0038】
さらに図2を参照しながら、下側セパレータ13及び伝熱板12について説明する。図2は、図1(b)の分解斜視図である。伝熱板12は板状形状を有し、伝熱板12の形状に合わせて形成された溝部5に嵌め込まれる。伝熱板12の面内の略中央付近にはセパレータ1を形成する際に、伝熱板12と下側セパレータ13とを留具を挿嵌して固定するための孔部36が形成されている。下側セパレータの周縁部に形成される孔部33,39及び封止部材14に形成された孔部37は、上側セパレータ11の周縁部に形成された孔部32とそれぞれ連続した貫通孔を形成し、この貫通孔に留め具が挿嵌されてセパレータ1が形成される。また、本例の場合、溝部35の深さ寸法は伝熱板12の厚みと略等しい寸法される。また、伝熱板12の幅寸法は下側セパレータ13の幅寸法より小さめとされる。
【0039】
さらに図3を参照しながらセパレータ1の構造について詳細に説明する。図3(a)はセパレータ1の構造を示す断面図であり、上側セパレータ11、伝熱板12、下側セパレータ13及び封止部材14を組み上げた際の図1に示したA−A線断面図である。図3(a)に示すように、伝熱板12は、流路18が形成されている上側セパレータ11と、流路19が形成されている下側セパレータ13の本体部13aとにより挟みこまれる。放熱フィン15は、下側セパレータ13の本体部13aから下側セパレータ13の長手方向に延在するように形成されて下側セパレータ13と一体とされる。伝熱板12は、かかるセパレータ1の本体部から放熱フィン15まで延在されていることにより、発電の際に熱が蓄積されるセパレータ1の本体部から放熱フィン15に速やかに熱伝導させることができ、セパレータ1を有する燃料電池の温度上昇を抑制することが可能となる。例えば、上側セパレータ11及び下側セパレータ13を形成する主たる材料がカーボンである際にはセパレータ1から放熱フィン15までの熱伝導が十分行われない場合があり、これら上側セパレータ11及び下側セパレータ13の熱伝導率より高い熱伝導率を有する伝熱板12を放熱フィン15まで延在するように配置することにより発電量が多い燃料電池においても十分に熱を放熱することが可能となる。よって、かかる燃料電池の温度上昇を抑制し、安定した発電を継続して行うことができる。また、セパレータ1を形成する際には孔部34,36,38が連続した孔部を形成し、この孔部に留め具を挿嵌してセパレータ1を一体として形成する。
【0040】
図3(b)は、セパレータ1の端部の構造を示す要部断面図である。図3(b)に示すように、セパレータ1の供給孔16a,16b,16c及び排出孔17a,17b,17cが形成された端部には封止部材14が配設され、供給孔16a,16b,16c,及び排出孔17a,17b,17cから水素ガスが漏洩することを低減する。封止部材14は下側セパレータ13に形成された位置決め段差22により位置決めされ、これにより供給孔16a,16b,16c及び排出孔17a,17b,17cが位置合わせされて水素ガスを流路18に供給して排出する供給路及び排出路を形成することができる。さらに、このような封止部材14は伝熱板12が銅の如き金属で形成された場合には、発電反応によって生じる各種溶出物が直接伝熱板12に接触しないように伝熱板12を保護し、かかる伝熱板12が腐食することを低減する。また、孔部32,37,39が連続した孔部を形成し、この孔部に留め具を挿嵌してセパレータ1が形成される。
【0041】
次に、図4を参照しながら、本発明にかかる燃料電池用セパレータの別の例について説明する。図4は、本例のセパレータ50の構造を示す断面図である。セパレータ50は略平板形状を有し、セパレータ本体部53、セパレータ本体部53から延在される放熱フィン55、及び伝熱板54から形成される。セパレータ本体部53の両面には、図1に示したセパレータ1に形成される流路18,19と同様な形状とされる酸化用流体とされる酸素を含む空気が流動される流路51及び燃料流体とされる水素ガスが流動される流路52が形成されている。
【0042】
セパレータ本体部53はかかるセパレータ50により発電体を挟みこんで形成される発電セルを形成する。セパレータ50には、水素ガスを流路52に供給して排出するための図示しない供給孔及び排出孔が形成されている。流路51及び流路52の形状はセパレータ1に形成された流路18,19と同様の形状とすることができるため詳細の説明については省略する。
【0043】
セパレータ本体部53及びかかるセパレータ本体部53から延在するように一体成型される放熱フィン55を形成する材料は、発電体をセパレータで挟みこんでなる構造を有する燃料電池に汎用とされる材料を用いることができ、例えばカーボンに樹脂を混ぜ込んだ材料を用いることができる。このようなカーボンを主たる材料として形成されるセパレータは機械的な強度を十分有しない場合があるため、セパレータ50に埋め込まれた伝熱板54がセパレータ50の機械的な強度を補うこともできる。
【0044】
伝熱板54は、セパレータ本体部53から放熱フィン55にかけて延在するようにセパレータ50に埋め込まれてセパレータ本体部53及び放熱フィン55と共に一体とされる。伝熱板54は、セパレータ本体部53及び放熱フィン55の熱伝導率に比べて高い熱伝導率を有し、例えば金属のなかでは比較的熱伝導が大きい銅あるいは銅合金の如き材料にて形成することができる。さらに、好ましくは無酸素銅の如き材料を用いることも可能である。セパレータ本体部53から放熱フィン55に延在するように伝熱板54を配設することにより発電体と接するセパレータ本体部53から放熱フィン55までの熱伝導性を高めることができ、発電反応による熱が蓄積され易いセパレータ本体部53近傍の熱を放熱フィン55を介して外部に効率良く放熱することができる。このようにセパレータ本体部53から伝熱板54を介して放熱フィン55に熱を伝導させることにより、発電反応により発生した熱を発電体から放熱することができ、かかる燃料電池の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0045】
また、伝熱板54がセパレータ50に埋め込まれていることにより発電反応の際に溶出する溶出物などが直接伝熱板54に接すことを低減することができ、例えば銅板の如き腐食し易い材料により伝熱板54を形成した場合でも、伝熱板54の劣化を抑制することが可能となる。
【0046】
次に、本発明にかかる燃料電池用セパレータを応用した燃料電池の一例について説明する。図5に示すように、本例の燃料電池は発電部90と共に各種機器を搭載した燃料電池60とされる。燃料電池60は、筐体70、制御基板80、発電部90、冷却ファン111、空気供給ファン112,113、水素パージバルブ114、レギュレータ115及び手動バルブ116を備える。燃料電池60は、水素ガスを吸蔵させた水素吸蔵カートリッジ120から手動バルブ116に開かれた流路を介して供給される水素ガスを受け取り、発電を行う。また、レギュレータ115は、所要の圧力となるように水素吸蔵カートリッジ120から供給される水素ガスの圧力を調整し、水素ガスを発電部90に供給する。
【0047】
図5及び図6に示すように、筐体70は略直方体形状の外形を有し、燃料電池60に搭載される各種機器を覆うように内部が空洞とされると共に底面が開放されている。筐体70は排気口71,72及び73、吸気口74,75を備え、筐体70の上面の端部は排気口71,72,73が形成された側面に向かう傾斜面とされる。図6(a)に示すように、排気口71と排気口72,73とは筐体70の一の側面に隣接するように形成され、発電部90を冷却するために燃料電池60内で流動された空気と発電部90による発電反応後の空気とが排気口71と排気口72,73とからそれぞれ排出される。排気口71は、放熱フィン93から熱を放熱させるための空気が燃料電池60から排出されるための空気の出口である。さらに、排気口71は、かかる一の側面に略矩形状に開口し、かかる一の側面の上下方向に複数形成されている。また、排気口72、73は発電部90が発電を行う際にかかる発電部90に供給された空気が排出されるための出口とされ、かかる一の側面に矩形状に開口し、排気口71に沿って上下方向に複数形成されている。また、排気口71,72,73はかかる一の側面の上下方向に沿って順次長手方向の寸法が短くなるように形成されている。
【0048】
さらに、図6(b)に示すように、吸気口74,75は、筐体70の排気口71及び排気口72,13が形成された一の側面と対面する他の側面に形成され、吸気口74,75から発電部90を冷却するための空気と発電部90による発電反応に供される酸素を含む空気とがそれぞれ燃料電池60内に取り込まれる。吸気口74は、後述する放熱フィン93から熱を放熱させるための空気が燃料電池60に取り込まれるための空気の取り込み口であり、かかる他の側面に略矩形状に開口し、上下方向に複数形成されている。また、吸気口75は、発電部90が発電を行う際にかかる発電部90に供給される空気が取り込まれるための取り込み口とされ、かかる他の側面に略矩形状に開口し、吸気口74に沿って上下方向に複数形成されている。
【0049】
さらに、図5、図6(c)及び(d)に示すように、筐体70の一の端面には燃料電池60と外部との間で各種信号を送受信するための配線が通される接続孔76を形成することができる。さらに、他の端面にも所要の接続孔78を形成することもできる。
【0050】
また、図5に示すように、制御基板80には燃料電池60を構成する各種機器を制御するための制御回路が形成され、かかる制御基板80は発電部90の上側に配設される。制御回路の詳細については図中において詳細に示さないが、例えば冷却ファン111、空気供給ファン112,113の駆動の制御、或いは水素パージバルブ114の開閉動作の制御回路、発電部90により出力される電圧を昇圧するDC/DCコンバータの如き電圧変換回路、さらに燃料電池60に温度センサ及び湿度センサが配設されている場合にはこれらセンサにて検知された温度や湿度などの各種環境条件を取得することにより各種機器の駆動に関する指示を制御基板80に実装された回路に行わせることもできる。また、本例の燃料電池60においてはかかる燃料電池60内に制御基板80が配設されるが、制御基板80は燃料電池60の外部に配設されていても良く、例えば、燃料電池60から駆動用の電力が提供される各種電子機器が制御基板80を備えることもできる。
【0051】
次に、図5、図7、図8及び図9を参照しながら発電部90について詳細に説明する。図5及び図7に示すように、発電部90は略直方体形状を有し、冷却ファン111、空気供給ファン112,113に臨む側面99に対向する側面の一部が発電部90の上下方向に沿って矩形状に切り欠かれた形状とされ、基台117に配設される。また、発電部90の側面99に沿って、冷却ファン111、空気供給ファン112,113が隣接するように配設されている。このように配設された冷却ファン111は放熱フィン93から熱を放熱させる。また、空気供給ファン112,113は開口部94に臨むように配設されており、かかる開口部94を介して発電部90内で酸素を含む空気を流動させる。
【0052】
また、本例の発電部90は9枚のセパレータ91の間にそれぞれ発電体92が挟みこまれ、発電を行う発電セルが8個直列に接続された構造を有している。かかる発電セルは1素子で約0.6Vの電圧を出力することができるため、発電部90の全体では4.8Vの電圧を出力することが可能である。また、発電部90は約2Aの電流を流すことが可能であり出力される電力は理想的には9.6Wとなるが、発電反応における発熱などによって実際の出力電力は理想的な出力電力の約7割である約6.7Wとされる。しかしながら、後述するように発電体92に含まれる水分量の調整や発電部90への水素ガスの円滑な供給によりさらに出力電力を高めることができる。また、発電部90を形成する発電セルは本例のように8素子に限定するものではなく、各種電子機器を駆動するために必要とされる出力電力に合わせて所要の数の発電セルにより発電部90を形成することもできる。発電部90の側面99には各セパレータ91に形成された開口部94が臨み、側面99の反対側の側面にも各開口部94に対応するように開口部が形成されている。開口部94と、開口部94が臨む側面99と反対側の側面に臨む開口部を介して、発電部90に対する酸素を含む空気の給排気が行われる。
【0053】
続いて、図8を参照しながら発電部90についてさらに詳細に説明する。図8に示すように、セパレータ91は、流路103が形成されたセパレータ91の本体部から放熱フィン93に延在する伝熱板130が形成されている。また、セパレータ91により挟み込まれる発電体92は、吸湿した際にイオン伝導性を有する固体高分子電解質膜96及びかかる固体高分子電解質膜96を両面から挟み込む電極97から形成される。さらに、スタック構造を形成した際にセパレータ91と発電体92との間を封止する封止部材95が発電体92の周縁部付近に配置されている。封止部材95は、セパレータ91の周縁部と発電体92の周縁部とを十分に絶縁することができる材質を用いれば良い。固体高分子電解質膜96としては、例えばスルホン酸系の固体高分子電解質膜を用いることができる。電極97は、発電反応を促進するための白金の如き触媒が担持された電極を用いることもできる。発電部90を構成する発電セルは、2枚のセパレータ91とかかるセパレータ91に挟み込まれる発電体92によって形成され、例えば、図8には直列に接続される2つの発電セル100が示されている。
【0054】
セパレータ91に形成された流路103は、燃料ガスとされる水素ガスをセパレータ91の面内に流すための面内流路とされる。流路103は発電反応の効率を高めるためにセパレータ91の表面内を蛇行するように形成されており、水素ガスが電極97全体に供給されるような形状とされる。供給孔102は、発電部90の外部に設けられた水素吸蔵カートリッジ120の如き水素ガス貯蔵部から流路103に水素ガスを供給する際の水素ガスの流路とされる。
【0055】
接続部105は、流路103と供給孔102とを接続し、流路103に水素ガスを供給する。また、接続部106は流路103と排出孔101とを接続し、流路103から発電反応後の水素ガスを排出する。本例のセパレータ91においては、接続部105,106の断面積は各セパレータ91と発電体92とによりスタック構造を形成した際の流路103の断面積より小さくなるように形成され、例えば接続部105,106の幅が流路103の幅より狭くなるように形成される。さらに、接続部105の幅を接続部106の幅より狭くなるように形成し、流路103への水素ガスの入口側の幅を出口側の幅より狭くしておいても良い。
【0056】
また、供給孔102及び排出孔101は、スタック構造を形成した際に積層される各セパレータ91の間で接続され、水素ガスを各セパレータ91に分配供給する供給路と発電後の水素ガスを排出するための排出路をそれぞれ形成する。流路103に水が蓄積された際には、かかる排出路を水素パージバルブ114により大気開放することで流路103に蓄積された水の供給路側と排出路側とに圧力差を生じさせ、かかる圧力差により流路103から水を排出することができる。さらに、複数のセパレータ91を積層してスタック構造を形成した際に任意のセパレータ91の流路103に水が蓄積された場合でも、水が蓄積された流路103内にのみ瞬間的に圧力差を生じさせることが可能であり、水を排出し発電部90に安定して水素ガスを供給して排出することができる。
【0057】
さらに、図9を参照しながら、発電部90を構成するセパレータ91について詳細に説明する。図9はセパレータ91の構造を示す斜視断面図であり、セパレータ91は、上側セパレータ131、下側セパレータ133、上側セパレータ131と下側セパレータ132とに挟みこまれた伝熱板130、及び上側セパレータ131と下側セパレータ132とにより挟みこまれて水素ガスの漏洩を低減するための封止部材134を組み上げて形成されている。
【0058】
セパレータ91は、図1で説明したセパレータ1と同様な構造を有しており、伝熱板130が上側セパレータ131及び下側セパレータ132とに挟みこまれている。さらに、封止部材134が上側セパレータ131と下側セパレータ132により挟みこまれて供給孔102及び排出孔101のそれぞれから下側に延びる水素ガスの流路からの水素ガスの漏洩を低減するように配設されている。上側セパレータ131には水素ガスを発電体92の面内に供給するための流路103が形成され、下側セパレータ132の伝熱板130と接する面の裏面側には酸素を含む空気を流動させるための流路98が形成されている。
【0059】
伝熱板130は、上側セパレータ131及び下側セパレータ132の本体部133により挟みこまれて放熱フィン93に延在するように配設されている。従って、発電が行われる際に発電体とされる発電体92で発生する熱が上側セパレータ131と下側セパレータ132の本体部133とを介して伝熱板130に伝わり、さらに伝熱板130から放熱フィン93に熱が伝わることにより放熱フィン93から熱が放熱される。伝熱板130は、上側セパレータ131及び下側セパレータの熱伝導率より高い熱伝導率を有していることから、伝熱板130を設けない場合に比べて速やかに熱が放熱フィン93に伝わり放熱されることになる。伝熱板130を形成する材質としては、例えば銅あるいは銅合金を用いることができる。さらに、無酸素銅や表面処理がされて耐腐食性が高められた銅板あるいは銅合金板を用いることもできる。
【0060】
また、伝熱板130は、発電部90を構成するセパレータ91のすべてに配設されていても良いが、スタック構造を形成する一部のセパレータ91にのみ伝熱板130が配設することもできる。例えば、セパレータ91と発電体92の積層方向において発電部90の中央付近は発電の際に発生する熱が放熱され難く、最も温度が上昇しやすい部分であり、このような中央付近に配設されるセパレータ91にのみ伝熱板130を配設することもできる。さらに、積層されるセパレータ91の一枚おきに伝熱板130を配設しておくこともできる。すなわち、発電部90が安定して発電を行えるようにかかる発電部90の温度上昇を抑制することができるように所要のセパレータ91に伝熱板130を配設しておけば良い。また、発電の際の発熱量は発電部90による出力電力によることから、十分に発電部90から放熱することができるように伝熱板130が配設されたセパレータ91を出力電力に応じて所要の枚数用いてスタック構造を形成することもできる。
【0061】
さらに、発電部90の上部及び下部に積層されるセパレータ91の放熱特性より発電部90の中央部に積層されるセパレータ91の放熱特性を高めることもできる。例えば、発電部90の中央部に積層されるセパレータ91が有する伝熱板130として、他の発電セルを形成するセパレータが備える伝熱板より高い熱伝導率を有する伝熱板を用いれば良い。また、発電部90全体としての放熱性を高めるために積層されるセパレータ91にそれぞれ所要の熱伝導率を有する伝熱板を配設することもできる。
【0062】
さらに、図5に示すように、本例の燃料電池60は、冷却ファン111及び空気供給ファン112,113を備える。冷却ファン111は、セパレータ91に設けられた伝熱板130によってセパレータ91の本体部から放熱フィン93に導かれた熱を大気中に放熱するのを促進するように、放熱フィン93の近傍において空気を流動させる。このようにセパレータ91に伝熱板130を配設し、さらに放熱フィン93の近傍で空気を流動させることにより、セパレータ91に伝熱板130を配設しない場合に比べて放熱フィン93からの放熱量を増大させることができる。よって、冷却ファン111の回転数を調整し放熱フィン93からの放熱量を制御することが可能となる。すなわち、伝熱板130により放熱フィン93から十分放熱させることが可能となり、冷却ファン111の回転数を制御し意図的に発電部90の温度を制御することができる。例えば冷却ファン111の回転数を下げることにより発電部90の温度を上昇させ、発電に伴って生成した過剰な水を蒸発させることができる。このような発電の際に生じた過剰な水を蒸発させて発電部90から排出することにより安定な発電を行うことができる。さらに、発電部90の温度が上昇した際には冷却ファン111の回転数を上げて放熱フィン93からの放熱量を増大させ、発電部90の温度を低下させて発電部90に安定した発電を行わせることができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる燃料電池用セパレータによれば、発電部で発生した熱をセパレータ本体部から伝熱板を介して速やかに放熱フィンに導き、発電部から熱を放熱することができる。このように速やかに発電部から熱を放熱することにより、発電部における発電の際の過剰な温度上昇を抑制することが可能となり、安定した発電を発電部に行わせることができる。さらに、ヒートパイプの如き特殊な部品を要することなくかかる燃料電池用セパレ−タを簡単な構造することができる。さらにまた、伝熱板を発電反応が行われる発電体から隔離することができるため、発電反応又は発電反応により溶出する溶出物により伝熱板が劣化することを低減することが可能となる。
【0064】
また、本発明にかかる燃料電池用セパレータによれば、熱を効率良く伝導させる伝熱部として銅あるいは銅合金、無酸素銅又はアルミニウムあるいはアルミニウム合金の如き金属材料を用いて形成された伝熱板を用いることにより、かかる燃料電池用セパレータの機械的な強度を高めることもできる。
【0065】
また、本発明の燃料電池によれば、放熱フィンからの放熱を促進する冷却ファンと伝熱板が配設された燃料電池用セパレータとを組み合わせることにより放熱量を調整することができ、安定的な発電を実現できる。さらに、伝熱板を組み込んだ燃料電池用セパレータと伝熱板を組み込まないセパレータとをスタック構造を有する燃料電池に混在することができ、かかる燃料電池の出力電力や発熱量に合わせて伝熱板が配設された燃料電池用セパレータを配置することができる。このような燃料電池によれば、燃料電池用セパレータを発熱量や出力電力に合わせて簡単に交換がすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる燃料電池用セパレータの一例を構成する各部の構造を示す平面図であり、(a)は、セパレータ1を形成する上側セパレータの平面図、(b)は下側セパレータに伝熱板を配置した状態を示す平面図、(c)は下側セパレータを裏面側からみた平面図である。
【図2】図1(b)に示した下側セパレータに伝熱板を配置した状態の分解斜視図である。
【図3】本発明にかかる燃料電池用セパレータの一例の構造を示す断面図であり、(a)は図1中に示した各部を組み上げて形成されたセパレータ1のA−A線断面図であり、(b)はセパレータ1の端部の要部断面図である。
【図4】本発明にかかる燃料電池用セパレータの別の例の構造を示す断面図である。
【図5】本実施形態にかかる燃料電池の分解斜視図である。
【図6】本実施形態にかかる燃料電池を構成する筐体の構造を示す構造図であって、(a)は側面図、(b)は他の側面を示す側面図、(c)は端面図、(d)は他の端面を示す端面図である。
【図7】本実施形態にかかる燃料電池を構成する発電部の概観を示す斜視図である。
【図8】本実施形態にかかる燃料電池を構成する発電部に用いられるセパレータの分解斜視図である。
【図9】本実施形態にかかる燃料電池を構成するセパレータの構造を示す図であり、図8中に示すB−B線断面で切断した斜視断面図である。
【符号の説明】
1,50 セパレータ、11,131 上側セパレータ、12,54,130伝熱板、13,132 下側セパレータ、13a,133 本体部、14,95,134 封止部材、15,55,93 放熱フィン、16a,16b,16c,102 供給孔、17a,17b,17c,101 排出孔、18,19,51,52,98,103 流路、20,21,94 開口部、53 セパレータ本体部、60 燃料電池、70 筐体、71,72,73 排気口、74,75 吸気口、80 制御基板、90 発電部、91 セパレータ、92 発電体96 固体高分子電解質膜、97 電極、111 冷却ファン、112,113空気供給ファン、114 水素パージバルブ、115 レギュレータ、116手動バルブ、117 基台、120 水素吸蔵カートリッジ
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用セパレータ及び燃料電池に関する。さらに詳しくは、発電の際に効率良く熱を放熱することができる燃料電池用セパレータ及び燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、例えば水素ガスの如き燃料ガスと空気に含まれる酸素ガスの如き酸化剤ガスを電気化学的に反応させることにより発電を行う発電素子である。燃料電池は、発電により生成される生成物が水であることから環境を汚染することがない発電素子として近年注目されている。
【0003】
また、燃料電池は発電セルを複数結合させることにより、出力される電力量を高めることが可能であり、例えば固体高分子電解質膜の両面に電極を形成してなる接合体をセパレータで挟みこんで発電セルを形成し、これら発電セルが積層されたスタック構造を有する燃料電池も開発されている。
【0004】
このような燃料電池は水素と酸素の化学反応によって発電を行うため、化学反応による損失分や発電部を構成する材料の電気抵抗などによって発熱し発電部の温度が上昇する。発電部の温度上昇は、燃料電池の安定動作にとって好ましくなく、例えば固体高分子電解質膜とかかる固体高分子電解質膜を挟む電極とから構成される発電体を有する固体高分子型燃料電池においては固体高分子電解質膜に含まれる水分量が温度上昇と共に減少し、ドライアップと呼ばれる不具合を招く場合がある。よって、固体高分子電解質膜に好適な水分を吸湿させた状態で安定した発電を行うためには、熱を発電部の外部へ放熱する技術が重要とされる。
【0005】
このような問題点を改善するために各種技術開発が活発に行われており、発電部から熱を放熱するための技術として発電部から放熱するための放熱フィンを配設する技術が知られている(例えば特許文献1)。また、発電部を冷却するための冷却板としてプレート型ヒートパイプを配設する技術も提案されている(例えば特許文献2,3)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−162842号公報
【特許文献2】
特開平11−214017号公報
【特許文献3】
特開2000−353536号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1により開示された技術によれば、耐腐食性に優れるカーボン材料に対する応用において、難しい場合がある。例えば、スタック構造を有する燃料電池のセパレータを形成する主たる材料としてはカーボンが汎用とされているが、カーボンで形成されたセパレータ本体部は熱伝導率が十分高くなく、発電反応が行われる発電体に接するセパレータ本体部から十分に熱を放熱フィンに伝導させることが難しい。すなわち、燃料電池の温度上昇を招き、発電を安定して行うことができない場合もある。
【0008】
また、このようなセパレータによれば、発電の際の発電反応に対する耐腐食性に優れるカーボン材料をセパレータとして用いた際には機械的な強度が十分でなく、かかるセパレータにより形成される燃料電池に対して実使用時に加わる衝撃や応力によって燃料電池が破損する場合もある。セパレータの機械的な強度を確保するためにはカーボンに樹脂を混ぜ込む技術も知られているが、樹脂が混ぜ込まれて成形されたセパレータの熱伝導率を十分大きい値にすることが難しい。さらに、セパレータを銅の如き比較的熱伝導率が高い材料で形成することも考えられるが、発電時の発電反応によりCuが腐食し、燃料電池の劣化に繋がる。特に、固体高分子電解質膜を挟み込む電極に発電時の触媒としての白金が担持されている場合には、溶出した銅イオンがかかる白金を劣化させることもある。
【0009】
また、特許文献2,3により開示された技術によれば、熱を発電部の外部に放熱するための伝熱部材としてヒートパイプが用いられている。このようなヒートパイプが接続されたセパレータにより燃料電池を形成した際には、かかる燃料電池の構造が複雑となり燃料電池を製造する際の工程数の増大及びメンテナンスの煩雑化を招く場合がある。さらに、このような複雑な構造を有する燃料電池によれば、燃料電池の製造コストの増大にも繋がる。
【0010】
よって、本発明は上述の如き燃料電池に比べ簡単な構造で且つ発電部からの放熱効率を高めることができる燃料電池用セパレータ及び燃料電池を提供することを目的とする。さらに、機械的な強度を高められた燃料電池用セパレータ及び燃料電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる燃料電池用セパレータは、発電体と接して、前記発電体と隣接する発電体との電気的な導通をとるためのセパレータ本体部と、セパレータ本体部の一部を延在させて形成された放熱部と、セパレータ本体部及び放熱部に接し、セパレータ本体部よりも高い熱伝導率を有してセパレータ本体部から熱を放熱部に逃がすための伝熱部とを有することを特徴とする。このような燃料電池用セパレータによれば、伝熱部を介して効率良く熱を放熱部に伝達することができ、発電反応による発電体の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0012】
また、本発明の燃料電池用セパレータにおいては、セパレータ本体部は、発電体に形成された第1の電極に対して燃料流体を供給する燃料供給溝と、第1の電極と対向するように発電体に形成された第2の電極に対して酸化用流体を供給する酸化用流体供給溝とを有することを特徴とする。このようなセパレータ本体部によれば、セパレータ本体部に接する発電体に燃料流体及び酸化陽流体を供給しながら発電体において発電反応を行わせることができる。
【0013】
さらに、本発明の燃料電池用セパレータにおいては、発電体は、固体高分子電解質膜と固体高分子電解質膜の両面に形成された電極とからなることを特徴とする。このような発電体によれば、セパレータ本体部から供給される燃料流体及び酸化用流体を用いて発電を行うことができる。
【0014】
さらにまた、本発明の燃料電池用セパレータにおいては、セパレータ本体部は、一対セパレータ部材とを有し、伝熱部は一対のセパレータ部材により挟まれていることを特徴とする。このような伝熱部によれば、セパレータ本体部から熱を放熱部に効率良く放熱するが可能となる。
【0015】
本発明にかかる燃料電池用セパレータにおいては、伝熱部は略平板状とされると共に略平板状とされるセパレータ本体部に接するように配置されることを特徴とする。このような伝熱部によれば、セパレータ本体部の広い範囲から熱を放熱部に放熱することができる。
【0016】
また、このような燃料電池用セパレータにおいては、一対のセパレータ部材の少なくとも一方には、伝熱部を嵌合させて配置するための溝部が伝熱部の形状に合わせて形成されていることを特徴とする。このような溝部によれば、燃料電池用セパレータ内に無用なスペースを生じさせることがない。さらに伝熱部とセパレータ本体部との密着性を高めることも可能となり、燃料電池用セパレータを小型且つ放熱特性に優れたものとすることができる。
【0017】
さらにこのような燃料電池用セパレータにおいては、溝部の深さ寸法は、当該溝部に伝熱部を嵌合させた際に伝熱部の表面と溝部が形成されたセパレータ部材の表面とが略面一となるように伝熱部の厚みと略等しいことを特徴とする。このような溝部によれば、伝熱部の他のセパレータ部材への良好な密着性を得ることができ、放熱特性を高めることができる。
【0018】
また、本発明の燃料電池用セパレータにおいては、伝熱部は、セパレータ本体部に埋め込まれてセパレータ本体部と一体化されていることを特徴とする。このような伝熱部によれば、燃料電池用セパレータを構成する各部を別々に形成することなく一括にて燃料電池用セパレータを形成することができる。
【0019】
このような燃料電池用セパレータにおいては、伝熱部は、網状構造を有することを特徴とする。このような伝熱部によれば、セパレータ本体部からの放熱部への熱伝導性を高めることができると共にかかる燃料電池用セパレータを軽量化することもできる。
【0020】
また、本発明にかかる燃料電池用セパレータにおいては、伝熱部を形成する主たる材料は、銅あるいは銅合金であることを特徴とする。このような伝熱部によれば、セパレータ本体部から放熱部に熱を速やかに逃がすことができる。
【0021】
さらに、このような燃料電池用セパレータにおいては、銅は無酸素銅とされることを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる燃料電池用セパレータにおいては、伝熱部を形成する主たる材料は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金であることを特徴とする。このような伝熱部によれば、燃料電池用セパレータの軽量化を図ることができる。
【0023】
また、本発明にかかる燃料電池は、発電体と接して、発電体と隣接する発電体との電気的な導通をとるためのセパレータ本体部と、セパレータ本体部の一部を延在させて形成された放熱部と、セパレータ本体部及び放熱部に接し、セパレータ本体部よりも高い熱伝導率を有してセパレータ本体部から熱を放熱部に逃がすための伝熱部とを有する燃料電池用セパレータと発電体を積層してなるスタック構造を有することを特徴とする。このような燃料電池によれば、発電の際のかかる燃料電池の温度上昇を抑制することが可能であり、かかる燃料電池による安定した発電を行うことができる。
【0024】
さらに、このような燃料電池においては、燃料電池の発熱量に応じて所要の燃料電池用セパレータに伝熱部が配設されていることを特徴とする。
【0025】
さらにまた、このような燃料電池においては、スタック構造は、それぞれ異なる熱伝導率を有する伝熱部が配設された燃料電池用セパレータを組み合わせて形成されることを特徴とする。このようなスタック構造によれば、スタック構造の熱が蓄積されやすい部分に高い熱伝導率を有する伝熱板を備える燃料電池用セパレータを配設することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本発明の燃料電池用セパレータ及び燃料電池について、図面を参照しながら説明する。図1、図2及び図3に本実施形態にかかるセパレータの一例の構造を示す。
【0027】
図1、図2及び図3に示すように、セパレータ1はセパレータ本体部13a、セパレータ本体部13の一部を延在させて形成された放熱フィン15、及びセパレータ本体部10から放熱フィン15に延在される伝熱板12を有する。尚、本例のセパレータ1においては、下側セパレータ13の本体部13aから放熱フィン15が延在されているが、本例の如きセパレータ1に限定されず、上側セパレータ11の一部から放熱フィン15を延在させても良い。
【0028】
図1は、本例のセパレータ1を構成する上側セパレータ11、伝熱板12が下側セパレータ13に配設された状態及び下側セパレータ13を裏面側からみた平面図である。図1(a)は、上側セパレータ11の平面図であり、セパレータ1を組み上げた際に伝熱板12がかかる上側セパレータ11に接する面の裏面側からみた平面図である。上側セパレータ11には、水素ガスを流動させるための流路18が形成されている。流路18は上側セパレータ11の面内全体に水素ガスを流動させる形状とされ、例えば本例のように面内を蛇行するような形状に形成される。上側セパレータ11の端部には、流路18に水素ガスを供給する供給孔16aと流路18から水素ガスを排出するための排出孔17aが形成され、流路18は供給孔16a及び排出孔17aに接続されている。セパレータ1は各発電体を互いに電気的に導通させ、セパレータ1で物理的に隔離された発電体にそれぞれ燃料ガスと酸化用流体を供給して発電反応を行わせる。また、セパレータ1を金属やカーボンの如き材料を用いて形成した場合には、セパレータ1が各発電体に対する集電体として機能する。供給孔16a、排出孔17aは上側セパレータ11、伝熱板12、下側セパレータ13及び封止部材14によりセパレータ1が組み上げられた際に、封止部材14に形成された供給孔16b及び排出孔17b、さらに下側セパレータ13に形成された供給孔16c、排出孔17cとを連続させて図中垂直方向に水素ガスを流動させて流路18に水素ガスを供給して排出するための同形状の連続した流路を形成する。
【0029】
さらに、上側セパレータ11はセパレータ1を積層した際に伝熱板12を発電体から隔離し、発電反応により伝熱板12が劣化することを抑制する。上側セパレータ11は、カーボンに樹脂を混ぜ込んで形成することができ、カーボンを主たる材料として形成された上側セパレータ11は発電反応に対して十分な耐腐食性を有する。また、上側セパレータ11を金属にて形成し、かかる上側セパレータ11の表面全体に表面処理を施すことにより発電反応に対して十分な耐腐食性を有するようにすることもできる。例えば、上側セパレータ11の表面全体に発電反応に対する十分な耐腐食性を有する保護膜を形成することにより上側セパレータ11の発電反応に対する耐腐食性を確保することもできる。
【0030】
図1(b)は、下側セパレータ13に伝熱板12及び封止部材14が配置された状態を示す平面図である。伝熱板12は、本例のように下側セパレータ13に形成された溝35に嵌めこまれて下側セパレータ13に配置される。伝熱板12は略板状であり、溝35も伝熱板12の形状に合わせて形成される。さらに、好ましくは溝部35の深さ方向の寸法を伝熱板12の厚みに合わせた寸法しておくことにより下側セパレータ13の表面と伝熱板12の表面が略面一となるように配置され、セパレータ1に無駄なスペースを生じさせることなくセパレータ1をコンパクトに形成することができる。また、伝熱板12の表面と下側セパレータ13の表面を略面一とすることで上側セパレータ11との良好な密着性が得られ、放熱特性が向上する。さらに、伝熱板12は下側セパレータの本体部13aから放熱フィン15に熱を伝導させるように下側セパレータ13の本体部13aから放熱フィン15に延在される。
【0031】
伝熱板12は、例えば上側セパレータ11及び下側セパレータ13の熱伝導率より高い熱伝導率を有する材料を用いて形成される。例えば、伝熱板12を銅あるいは銅合金を用いて形成された銅板あるいは銅合金板とすることができる。伝熱板12を銅板あるいは銅合金板とすることにより、セパレータ1を組み上げた際に上側セパレータ11と重なる領域を含む下側セパレータの本体部13aから放熱フィン15に熱が伝導される場合に比べて、下側セパレータの本体部13aから放熱フィン15へ伝熱板12を介して速やかに熱を伝導させることができる。さらに好ましくは伝熱板12を無酸素銅を用いて形成することにより下側セパレータの本体部13aから放熱フィン15への熱伝導性を高めることができる。
【0032】
また、伝熱板12を形成する主たる材料としてアルミニウムあるいはアルミニウム合金の如き比較的軽量な金属を用いれば所要の熱伝導性を確保しながらセパレータ1を軽量化することもできる。さらに、伝熱板12を銅、無酸素銅或いはアルミニウム、アルミニウム合金などの金属により形成すれば、上側セパレータ11及び下側セパレータ13をカーボンの如き機械的な強度が十分でない材質で形成した場合でも、セパレータ1の機械的な強度を十分に確保することができる。
【0033】
伝熱板12の幅や長さなどの寸法は、セパレータ1を有する燃料電池の出力電力、すなわちかかる燃料電池による発電の際の発熱量に合わせて所要の寸法とすることができる。下側セパレータ13の端部には封止部材14が配置され、上側セパレータ11と下側セパレータ13とにより伝熱板12及び封止部材14が挟み込まれてセパレータ1が組み上げられる。
【0034】
さらに、伝熱板12は、セパレータ1を組み上げた際に上側セパレータ11及び下側セパレータ13の本体部13aより挟み込まれた状態でセパレータ1の両面に重ねて配置される発電体から隔離される。発電体は、例えば固体高分子電解質の如きイオン伝導性を有する膜の両面に電極が配置された形成された部材であり、かかる発電体において発電の際に電気化学的な発電反応が行われる。従って、伝熱板12が発電反応及び発電反応により生成された溶出物により腐食することを低減することができる。
【0035】
封止部材14は、供給孔16a,16b,16c及び排出孔17a,17b,17cから水素ガスが漏洩しない十分なシール性を有する部材とされる。さらに封止部材14からの放熱性を高めるために熱伝導率が良好な部材を用いることが望ましい。また、封止部材14には供給孔16a,16cに位置合わせされた供給孔16bと、排出孔17a,17cと位置合わせされた排出孔17cが形成されている。
【0036】
図1(c)は、下側セパレータ13を下側セパレータ13が伝熱板12と接する面の裏面側からみた平面図である。図1(c)に示すように、下側セパレータ13は、下側セパレータ13の幅方向に延在されて下側セパレータ13の両端に開口する流路19と、下側セパレータ13の本体部13aから下側セパレータ13の長手方向に延在される放熱フィン15、さらに供給孔16a,16b及び排出孔17a,17bに合わせて形成された供給孔16c及び排出孔17cを有する。
【0037】
流路19は、下側セパレータ13の伝熱板12が配置される面の裏面側に形成される。流路19には酸化用流体としての酸素を含む空気が流動される。また、流路19は下側セパレータの本体部13aの幅方向に沿って複数直線状に形成され、セパレータ1と発電体を積層した際に流路19に接する発電体を構成する電極の略面内全体に酸化用流体としての酸素を供給する。本例の下側セパレータ13に形成された流路19がかかる下側セパレータ13の一の端部に開口する開口部20の開口幅は、流路19の流路幅に比べて幅広とされ、開口部20を幅広としたことにより開口部20側から空気を取り込む際に空気の流れを阻害する流路抵抗を低減することができる。また、開口部20のみを流路19の流路幅に比べて幅広とするだけでなく、流路19が下側セパレータ13の他の端部に開口する開口部21の開口幅も流路19の流路幅より幅広としておくことによりさらに流路抵抗を低減することができ,円滑に空気を流路19に取りこみさらに排出することができる。
【0038】
さらに図2を参照しながら、下側セパレータ13及び伝熱板12について説明する。図2は、図1(b)の分解斜視図である。伝熱板12は板状形状を有し、伝熱板12の形状に合わせて形成された溝部5に嵌め込まれる。伝熱板12の面内の略中央付近にはセパレータ1を形成する際に、伝熱板12と下側セパレータ13とを留具を挿嵌して固定するための孔部36が形成されている。下側セパレータの周縁部に形成される孔部33,39及び封止部材14に形成された孔部37は、上側セパレータ11の周縁部に形成された孔部32とそれぞれ連続した貫通孔を形成し、この貫通孔に留め具が挿嵌されてセパレータ1が形成される。また、本例の場合、溝部35の深さ寸法は伝熱板12の厚みと略等しい寸法される。また、伝熱板12の幅寸法は下側セパレータ13の幅寸法より小さめとされる。
【0039】
さらに図3を参照しながらセパレータ1の構造について詳細に説明する。図3(a)はセパレータ1の構造を示す断面図であり、上側セパレータ11、伝熱板12、下側セパレータ13及び封止部材14を組み上げた際の図1に示したA−A線断面図である。図3(a)に示すように、伝熱板12は、流路18が形成されている上側セパレータ11と、流路19が形成されている下側セパレータ13の本体部13aとにより挟みこまれる。放熱フィン15は、下側セパレータ13の本体部13aから下側セパレータ13の長手方向に延在するように形成されて下側セパレータ13と一体とされる。伝熱板12は、かかるセパレータ1の本体部から放熱フィン15まで延在されていることにより、発電の際に熱が蓄積されるセパレータ1の本体部から放熱フィン15に速やかに熱伝導させることができ、セパレータ1を有する燃料電池の温度上昇を抑制することが可能となる。例えば、上側セパレータ11及び下側セパレータ13を形成する主たる材料がカーボンである際にはセパレータ1から放熱フィン15までの熱伝導が十分行われない場合があり、これら上側セパレータ11及び下側セパレータ13の熱伝導率より高い熱伝導率を有する伝熱板12を放熱フィン15まで延在するように配置することにより発電量が多い燃料電池においても十分に熱を放熱することが可能となる。よって、かかる燃料電池の温度上昇を抑制し、安定した発電を継続して行うことができる。また、セパレータ1を形成する際には孔部34,36,38が連続した孔部を形成し、この孔部に留め具を挿嵌してセパレータ1を一体として形成する。
【0040】
図3(b)は、セパレータ1の端部の構造を示す要部断面図である。図3(b)に示すように、セパレータ1の供給孔16a,16b,16c及び排出孔17a,17b,17cが形成された端部には封止部材14が配設され、供給孔16a,16b,16c,及び排出孔17a,17b,17cから水素ガスが漏洩することを低減する。封止部材14は下側セパレータ13に形成された位置決め段差22により位置決めされ、これにより供給孔16a,16b,16c及び排出孔17a,17b,17cが位置合わせされて水素ガスを流路18に供給して排出する供給路及び排出路を形成することができる。さらに、このような封止部材14は伝熱板12が銅の如き金属で形成された場合には、発電反応によって生じる各種溶出物が直接伝熱板12に接触しないように伝熱板12を保護し、かかる伝熱板12が腐食することを低減する。また、孔部32,37,39が連続した孔部を形成し、この孔部に留め具を挿嵌してセパレータ1が形成される。
【0041】
次に、図4を参照しながら、本発明にかかる燃料電池用セパレータの別の例について説明する。図4は、本例のセパレータ50の構造を示す断面図である。セパレータ50は略平板形状を有し、セパレータ本体部53、セパレータ本体部53から延在される放熱フィン55、及び伝熱板54から形成される。セパレータ本体部53の両面には、図1に示したセパレータ1に形成される流路18,19と同様な形状とされる酸化用流体とされる酸素を含む空気が流動される流路51及び燃料流体とされる水素ガスが流動される流路52が形成されている。
【0042】
セパレータ本体部53はかかるセパレータ50により発電体を挟みこんで形成される発電セルを形成する。セパレータ50には、水素ガスを流路52に供給して排出するための図示しない供給孔及び排出孔が形成されている。流路51及び流路52の形状はセパレータ1に形成された流路18,19と同様の形状とすることができるため詳細の説明については省略する。
【0043】
セパレータ本体部53及びかかるセパレータ本体部53から延在するように一体成型される放熱フィン55を形成する材料は、発電体をセパレータで挟みこんでなる構造を有する燃料電池に汎用とされる材料を用いることができ、例えばカーボンに樹脂を混ぜ込んだ材料を用いることができる。このようなカーボンを主たる材料として形成されるセパレータは機械的な強度を十分有しない場合があるため、セパレータ50に埋め込まれた伝熱板54がセパレータ50の機械的な強度を補うこともできる。
【0044】
伝熱板54は、セパレータ本体部53から放熱フィン55にかけて延在するようにセパレータ50に埋め込まれてセパレータ本体部53及び放熱フィン55と共に一体とされる。伝熱板54は、セパレータ本体部53及び放熱フィン55の熱伝導率に比べて高い熱伝導率を有し、例えば金属のなかでは比較的熱伝導が大きい銅あるいは銅合金の如き材料にて形成することができる。さらに、好ましくは無酸素銅の如き材料を用いることも可能である。セパレータ本体部53から放熱フィン55に延在するように伝熱板54を配設することにより発電体と接するセパレータ本体部53から放熱フィン55までの熱伝導性を高めることができ、発電反応による熱が蓄積され易いセパレータ本体部53近傍の熱を放熱フィン55を介して外部に効率良く放熱することができる。このようにセパレータ本体部53から伝熱板54を介して放熱フィン55に熱を伝導させることにより、発電反応により発生した熱を発電体から放熱することができ、かかる燃料電池の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0045】
また、伝熱板54がセパレータ50に埋め込まれていることにより発電反応の際に溶出する溶出物などが直接伝熱板54に接すことを低減することができ、例えば銅板の如き腐食し易い材料により伝熱板54を形成した場合でも、伝熱板54の劣化を抑制することが可能となる。
【0046】
次に、本発明にかかる燃料電池用セパレータを応用した燃料電池の一例について説明する。図5に示すように、本例の燃料電池は発電部90と共に各種機器を搭載した燃料電池60とされる。燃料電池60は、筐体70、制御基板80、発電部90、冷却ファン111、空気供給ファン112,113、水素パージバルブ114、レギュレータ115及び手動バルブ116を備える。燃料電池60は、水素ガスを吸蔵させた水素吸蔵カートリッジ120から手動バルブ116に開かれた流路を介して供給される水素ガスを受け取り、発電を行う。また、レギュレータ115は、所要の圧力となるように水素吸蔵カートリッジ120から供給される水素ガスの圧力を調整し、水素ガスを発電部90に供給する。
【0047】
図5及び図6に示すように、筐体70は略直方体形状の外形を有し、燃料電池60に搭載される各種機器を覆うように内部が空洞とされると共に底面が開放されている。筐体70は排気口71,72及び73、吸気口74,75を備え、筐体70の上面の端部は排気口71,72,73が形成された側面に向かう傾斜面とされる。図6(a)に示すように、排気口71と排気口72,73とは筐体70の一の側面に隣接するように形成され、発電部90を冷却するために燃料電池60内で流動された空気と発電部90による発電反応後の空気とが排気口71と排気口72,73とからそれぞれ排出される。排気口71は、放熱フィン93から熱を放熱させるための空気が燃料電池60から排出されるための空気の出口である。さらに、排気口71は、かかる一の側面に略矩形状に開口し、かかる一の側面の上下方向に複数形成されている。また、排気口72、73は発電部90が発電を行う際にかかる発電部90に供給された空気が排出されるための出口とされ、かかる一の側面に矩形状に開口し、排気口71に沿って上下方向に複数形成されている。また、排気口71,72,73はかかる一の側面の上下方向に沿って順次長手方向の寸法が短くなるように形成されている。
【0048】
さらに、図6(b)に示すように、吸気口74,75は、筐体70の排気口71及び排気口72,13が形成された一の側面と対面する他の側面に形成され、吸気口74,75から発電部90を冷却するための空気と発電部90による発電反応に供される酸素を含む空気とがそれぞれ燃料電池60内に取り込まれる。吸気口74は、後述する放熱フィン93から熱を放熱させるための空気が燃料電池60に取り込まれるための空気の取り込み口であり、かかる他の側面に略矩形状に開口し、上下方向に複数形成されている。また、吸気口75は、発電部90が発電を行う際にかかる発電部90に供給される空気が取り込まれるための取り込み口とされ、かかる他の側面に略矩形状に開口し、吸気口74に沿って上下方向に複数形成されている。
【0049】
さらに、図5、図6(c)及び(d)に示すように、筐体70の一の端面には燃料電池60と外部との間で各種信号を送受信するための配線が通される接続孔76を形成することができる。さらに、他の端面にも所要の接続孔78を形成することもできる。
【0050】
また、図5に示すように、制御基板80には燃料電池60を構成する各種機器を制御するための制御回路が形成され、かかる制御基板80は発電部90の上側に配設される。制御回路の詳細については図中において詳細に示さないが、例えば冷却ファン111、空気供給ファン112,113の駆動の制御、或いは水素パージバルブ114の開閉動作の制御回路、発電部90により出力される電圧を昇圧するDC/DCコンバータの如き電圧変換回路、さらに燃料電池60に温度センサ及び湿度センサが配設されている場合にはこれらセンサにて検知された温度や湿度などの各種環境条件を取得することにより各種機器の駆動に関する指示を制御基板80に実装された回路に行わせることもできる。また、本例の燃料電池60においてはかかる燃料電池60内に制御基板80が配設されるが、制御基板80は燃料電池60の外部に配設されていても良く、例えば、燃料電池60から駆動用の電力が提供される各種電子機器が制御基板80を備えることもできる。
【0051】
次に、図5、図7、図8及び図9を参照しながら発電部90について詳細に説明する。図5及び図7に示すように、発電部90は略直方体形状を有し、冷却ファン111、空気供給ファン112,113に臨む側面99に対向する側面の一部が発電部90の上下方向に沿って矩形状に切り欠かれた形状とされ、基台117に配設される。また、発電部90の側面99に沿って、冷却ファン111、空気供給ファン112,113が隣接するように配設されている。このように配設された冷却ファン111は放熱フィン93から熱を放熱させる。また、空気供給ファン112,113は開口部94に臨むように配設されており、かかる開口部94を介して発電部90内で酸素を含む空気を流動させる。
【0052】
また、本例の発電部90は9枚のセパレータ91の間にそれぞれ発電体92が挟みこまれ、発電を行う発電セルが8個直列に接続された構造を有している。かかる発電セルは1素子で約0.6Vの電圧を出力することができるため、発電部90の全体では4.8Vの電圧を出力することが可能である。また、発電部90は約2Aの電流を流すことが可能であり出力される電力は理想的には9.6Wとなるが、発電反応における発熱などによって実際の出力電力は理想的な出力電力の約7割である約6.7Wとされる。しかしながら、後述するように発電体92に含まれる水分量の調整や発電部90への水素ガスの円滑な供給によりさらに出力電力を高めることができる。また、発電部90を形成する発電セルは本例のように8素子に限定するものではなく、各種電子機器を駆動するために必要とされる出力電力に合わせて所要の数の発電セルにより発電部90を形成することもできる。発電部90の側面99には各セパレータ91に形成された開口部94が臨み、側面99の反対側の側面にも各開口部94に対応するように開口部が形成されている。開口部94と、開口部94が臨む側面99と反対側の側面に臨む開口部を介して、発電部90に対する酸素を含む空気の給排気が行われる。
【0053】
続いて、図8を参照しながら発電部90についてさらに詳細に説明する。図8に示すように、セパレータ91は、流路103が形成されたセパレータ91の本体部から放熱フィン93に延在する伝熱板130が形成されている。また、セパレータ91により挟み込まれる発電体92は、吸湿した際にイオン伝導性を有する固体高分子電解質膜96及びかかる固体高分子電解質膜96を両面から挟み込む電極97から形成される。さらに、スタック構造を形成した際にセパレータ91と発電体92との間を封止する封止部材95が発電体92の周縁部付近に配置されている。封止部材95は、セパレータ91の周縁部と発電体92の周縁部とを十分に絶縁することができる材質を用いれば良い。固体高分子電解質膜96としては、例えばスルホン酸系の固体高分子電解質膜を用いることができる。電極97は、発電反応を促進するための白金の如き触媒が担持された電極を用いることもできる。発電部90を構成する発電セルは、2枚のセパレータ91とかかるセパレータ91に挟み込まれる発電体92によって形成され、例えば、図8には直列に接続される2つの発電セル100が示されている。
【0054】
セパレータ91に形成された流路103は、燃料ガスとされる水素ガスをセパレータ91の面内に流すための面内流路とされる。流路103は発電反応の効率を高めるためにセパレータ91の表面内を蛇行するように形成されており、水素ガスが電極97全体に供給されるような形状とされる。供給孔102は、発電部90の外部に設けられた水素吸蔵カートリッジ120の如き水素ガス貯蔵部から流路103に水素ガスを供給する際の水素ガスの流路とされる。
【0055】
接続部105は、流路103と供給孔102とを接続し、流路103に水素ガスを供給する。また、接続部106は流路103と排出孔101とを接続し、流路103から発電反応後の水素ガスを排出する。本例のセパレータ91においては、接続部105,106の断面積は各セパレータ91と発電体92とによりスタック構造を形成した際の流路103の断面積より小さくなるように形成され、例えば接続部105,106の幅が流路103の幅より狭くなるように形成される。さらに、接続部105の幅を接続部106の幅より狭くなるように形成し、流路103への水素ガスの入口側の幅を出口側の幅より狭くしておいても良い。
【0056】
また、供給孔102及び排出孔101は、スタック構造を形成した際に積層される各セパレータ91の間で接続され、水素ガスを各セパレータ91に分配供給する供給路と発電後の水素ガスを排出するための排出路をそれぞれ形成する。流路103に水が蓄積された際には、かかる排出路を水素パージバルブ114により大気開放することで流路103に蓄積された水の供給路側と排出路側とに圧力差を生じさせ、かかる圧力差により流路103から水を排出することができる。さらに、複数のセパレータ91を積層してスタック構造を形成した際に任意のセパレータ91の流路103に水が蓄積された場合でも、水が蓄積された流路103内にのみ瞬間的に圧力差を生じさせることが可能であり、水を排出し発電部90に安定して水素ガスを供給して排出することができる。
【0057】
さらに、図9を参照しながら、発電部90を構成するセパレータ91について詳細に説明する。図9はセパレータ91の構造を示す斜視断面図であり、セパレータ91は、上側セパレータ131、下側セパレータ133、上側セパレータ131と下側セパレータ132とに挟みこまれた伝熱板130、及び上側セパレータ131と下側セパレータ132とにより挟みこまれて水素ガスの漏洩を低減するための封止部材134を組み上げて形成されている。
【0058】
セパレータ91は、図1で説明したセパレータ1と同様な構造を有しており、伝熱板130が上側セパレータ131及び下側セパレータ132とに挟みこまれている。さらに、封止部材134が上側セパレータ131と下側セパレータ132により挟みこまれて供給孔102及び排出孔101のそれぞれから下側に延びる水素ガスの流路からの水素ガスの漏洩を低減するように配設されている。上側セパレータ131には水素ガスを発電体92の面内に供給するための流路103が形成され、下側セパレータ132の伝熱板130と接する面の裏面側には酸素を含む空気を流動させるための流路98が形成されている。
【0059】
伝熱板130は、上側セパレータ131及び下側セパレータ132の本体部133により挟みこまれて放熱フィン93に延在するように配設されている。従って、発電が行われる際に発電体とされる発電体92で発生する熱が上側セパレータ131と下側セパレータ132の本体部133とを介して伝熱板130に伝わり、さらに伝熱板130から放熱フィン93に熱が伝わることにより放熱フィン93から熱が放熱される。伝熱板130は、上側セパレータ131及び下側セパレータの熱伝導率より高い熱伝導率を有していることから、伝熱板130を設けない場合に比べて速やかに熱が放熱フィン93に伝わり放熱されることになる。伝熱板130を形成する材質としては、例えば銅あるいは銅合金を用いることができる。さらに、無酸素銅や表面処理がされて耐腐食性が高められた銅板あるいは銅合金板を用いることもできる。
【0060】
また、伝熱板130は、発電部90を構成するセパレータ91のすべてに配設されていても良いが、スタック構造を形成する一部のセパレータ91にのみ伝熱板130が配設することもできる。例えば、セパレータ91と発電体92の積層方向において発電部90の中央付近は発電の際に発生する熱が放熱され難く、最も温度が上昇しやすい部分であり、このような中央付近に配設されるセパレータ91にのみ伝熱板130を配設することもできる。さらに、積層されるセパレータ91の一枚おきに伝熱板130を配設しておくこともできる。すなわち、発電部90が安定して発電を行えるようにかかる発電部90の温度上昇を抑制することができるように所要のセパレータ91に伝熱板130を配設しておけば良い。また、発電の際の発熱量は発電部90による出力電力によることから、十分に発電部90から放熱することができるように伝熱板130が配設されたセパレータ91を出力電力に応じて所要の枚数用いてスタック構造を形成することもできる。
【0061】
さらに、発電部90の上部及び下部に積層されるセパレータ91の放熱特性より発電部90の中央部に積層されるセパレータ91の放熱特性を高めることもできる。例えば、発電部90の中央部に積層されるセパレータ91が有する伝熱板130として、他の発電セルを形成するセパレータが備える伝熱板より高い熱伝導率を有する伝熱板を用いれば良い。また、発電部90全体としての放熱性を高めるために積層されるセパレータ91にそれぞれ所要の熱伝導率を有する伝熱板を配設することもできる。
【0062】
さらに、図5に示すように、本例の燃料電池60は、冷却ファン111及び空気供給ファン112,113を備える。冷却ファン111は、セパレータ91に設けられた伝熱板130によってセパレータ91の本体部から放熱フィン93に導かれた熱を大気中に放熱するのを促進するように、放熱フィン93の近傍において空気を流動させる。このようにセパレータ91に伝熱板130を配設し、さらに放熱フィン93の近傍で空気を流動させることにより、セパレータ91に伝熱板130を配設しない場合に比べて放熱フィン93からの放熱量を増大させることができる。よって、冷却ファン111の回転数を調整し放熱フィン93からの放熱量を制御することが可能となる。すなわち、伝熱板130により放熱フィン93から十分放熱させることが可能となり、冷却ファン111の回転数を制御し意図的に発電部90の温度を制御することができる。例えば冷却ファン111の回転数を下げることにより発電部90の温度を上昇させ、発電に伴って生成した過剰な水を蒸発させることができる。このような発電の際に生じた過剰な水を蒸発させて発電部90から排出することにより安定な発電を行うことができる。さらに、発電部90の温度が上昇した際には冷却ファン111の回転数を上げて放熱フィン93からの放熱量を増大させ、発電部90の温度を低下させて発電部90に安定した発電を行わせることができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる燃料電池用セパレータによれば、発電部で発生した熱をセパレータ本体部から伝熱板を介して速やかに放熱フィンに導き、発電部から熱を放熱することができる。このように速やかに発電部から熱を放熱することにより、発電部における発電の際の過剰な温度上昇を抑制することが可能となり、安定した発電を発電部に行わせることができる。さらに、ヒートパイプの如き特殊な部品を要することなくかかる燃料電池用セパレ−タを簡単な構造することができる。さらにまた、伝熱板を発電反応が行われる発電体から隔離することができるため、発電反応又は発電反応により溶出する溶出物により伝熱板が劣化することを低減することが可能となる。
【0064】
また、本発明にかかる燃料電池用セパレータによれば、熱を効率良く伝導させる伝熱部として銅あるいは銅合金、無酸素銅又はアルミニウムあるいはアルミニウム合金の如き金属材料を用いて形成された伝熱板を用いることにより、かかる燃料電池用セパレータの機械的な強度を高めることもできる。
【0065】
また、本発明の燃料電池によれば、放熱フィンからの放熱を促進する冷却ファンと伝熱板が配設された燃料電池用セパレータとを組み合わせることにより放熱量を調整することができ、安定的な発電を実現できる。さらに、伝熱板を組み込んだ燃料電池用セパレータと伝熱板を組み込まないセパレータとをスタック構造を有する燃料電池に混在することができ、かかる燃料電池の出力電力や発熱量に合わせて伝熱板が配設された燃料電池用セパレータを配置することができる。このような燃料電池によれば、燃料電池用セパレータを発熱量や出力電力に合わせて簡単に交換がすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる燃料電池用セパレータの一例を構成する各部の構造を示す平面図であり、(a)は、セパレータ1を形成する上側セパレータの平面図、(b)は下側セパレータに伝熱板を配置した状態を示す平面図、(c)は下側セパレータを裏面側からみた平面図である。
【図2】図1(b)に示した下側セパレータに伝熱板を配置した状態の分解斜視図である。
【図3】本発明にかかる燃料電池用セパレータの一例の構造を示す断面図であり、(a)は図1中に示した各部を組み上げて形成されたセパレータ1のA−A線断面図であり、(b)はセパレータ1の端部の要部断面図である。
【図4】本発明にかかる燃料電池用セパレータの別の例の構造を示す断面図である。
【図5】本実施形態にかかる燃料電池の分解斜視図である。
【図6】本実施形態にかかる燃料電池を構成する筐体の構造を示す構造図であって、(a)は側面図、(b)は他の側面を示す側面図、(c)は端面図、(d)は他の端面を示す端面図である。
【図7】本実施形態にかかる燃料電池を構成する発電部の概観を示す斜視図である。
【図8】本実施形態にかかる燃料電池を構成する発電部に用いられるセパレータの分解斜視図である。
【図9】本実施形態にかかる燃料電池を構成するセパレータの構造を示す図であり、図8中に示すB−B線断面で切断した斜視断面図である。
【符号の説明】
1,50 セパレータ、11,131 上側セパレータ、12,54,130伝熱板、13,132 下側セパレータ、13a,133 本体部、14,95,134 封止部材、15,55,93 放熱フィン、16a,16b,16c,102 供給孔、17a,17b,17c,101 排出孔、18,19,51,52,98,103 流路、20,21,94 開口部、53 セパレータ本体部、60 燃料電池、70 筐体、71,72,73 排気口、74,75 吸気口、80 制御基板、90 発電部、91 セパレータ、92 発電体96 固体高分子電解質膜、97 電極、111 冷却ファン、112,113空気供給ファン、114 水素パージバルブ、115 レギュレータ、116手動バルブ、117 基台、120 水素吸蔵カートリッジ
Claims (15)
- 発電体と接して、前記発電体と隣接する発電体との電気的な導通をとるためのセパレータ本体部と、
前記セパレータ本体部の一部を延在させて形成された放熱部と、
前記セパレータ本体部及び前記放熱部に接し、前記セパレータ本体部よりも高い熱伝導率を有して前記セパレータ本体部からの熱を前記放熱部に伝熱する伝熱部とを有すること
を特徴とする燃料電池用セパレータ。 - 前記セパレータ本体部は、前記発電体に形成された第1の電極に対して燃料流体を供給する燃料供給溝と、前記第1の電極と対向するように前記発電体に形成された第2の電極に対して酸化用流体を供給する酸化用流体供給溝とを有すること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ。 - 前記発電体は、固体高分子電解質膜と前記固体高分子電解質膜の両面に形成された電極とからなること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ。 - 前記セパレータ本体部は一対のセパレータ部材を有し、
前記伝熱部は前記一対のセパレータ部材の間に挟まれていること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ。 - 前記伝熱部は略平板状とされると共に略平板状とされる前記セパレータ本体部に接するように配置されること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ。 - 前記一対のセパレータ部材の少なくとも一方には、前記伝熱部を嵌合させて配置するための溝部が前記伝熱部の形状に合わせて形成されていること
を特徴とする請求項4記載の燃料電池用セパレータ。 - 前記溝部の深さ寸法は、当該溝部に前記伝熱部を嵌合させた際に当該伝熱部の表面と当該溝部が形成されたセパレータ部材の表面とが略面一となるように前記伝熱部の厚みと略等しいこと
を特徴とする請求項6記載の燃料電池用セパレータ。 - 前記伝熱部は、前記セパレータ本体部に埋め込まれて当該セパレータ本体部と一体化されていること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ。 - 前記伝熱部は、網状構造を有すること
を特徴とする請求項8記載の燃料電池用セパレータ。 - 前記伝熱部を形成する主たる材料は、銅あるいは銅合金であること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ。 - 前記銅は、無酸素銅であること
を特徴とする請求項10記載の燃料電池用セパレータ。 - 前記伝熱部を形成する主たる材料は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金であること
を特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ。 - 発電体と接して、前記発電体と隣接する発電体との電気的な導通をとるためのセパレータ本体部と、前記セパレータ本体部の一部を延在させて形成された放熱部と、前記セパレータ本体部及び前記放熱部に接し、前記セパレータ本体部よりも高い熱伝導率を有して前記セパレータ本体部から熱を前記放熱部に逃がすための伝熱部とを有する燃料電池用セパレータと前記発電体を積層してなるスタック構造を有すること
を特徴とする燃料電池。 - 当該燃料電池の発熱量に応じて所要の燃料電池用セパレータに前記伝熱部が配設されていること
を特徴とする請求項13記載の燃料電池。 - 前記スタック構造は、それぞれ異なる熱伝導率を有する伝熱部が配設された燃料電池用セパレータを組み合わせて形成されること
を特徴とする請求項13記載の燃料電池。
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