JP2004273140A - セパレータ、燃料電池装置及び燃料電池装置の温度調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スタック構造を有する発電部において、発電体とセパレータとが積層される積層方向に沿った発電部の温度ばらつきを抑制し、発電部の温度を均一に維持する。
【解決手段】放熱フィン73a〜73dの断面積S1〜S4は、放熱フィン73a〜73dの厚み寸法tが等しいことから、幅寸法w1〜w4の大きさによって大きさが決まる。放熱フィン73aの断面積S1が最も小さく、断面積S2,S3,S4の順に小さくなるように各放熱フィン71a〜71dの幅寸法w1〜w4が調整されて放熱フィン73a〜73dが設けられている。すなわち、放熱フィン73a〜73dの断面積S1〜S4に応じて伝熱量が調整され、発電部70の積層方向に関する温度勾配を低減し、発電部70の温度を略均一に維持することができる。
【選択図】 図7
【解決手段】放熱フィン73a〜73dの断面積S1〜S4は、放熱フィン73a〜73dの厚み寸法tが等しいことから、幅寸法w1〜w4の大きさによって大きさが決まる。放熱フィン73aの断面積S1が最も小さく、断面積S2,S3,S4の順に小さくなるように各放熱フィン71a〜71dの幅寸法w1〜w4が調整されて放熱フィン73a〜73dが設けられている。すなわち、放熱フィン73a〜73dの断面積S1〜S4に応じて伝熱量が調整され、発電部70の積層方向に関する温度勾配を低減し、発電部70の温度を略均一に維持することができる。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セパレータ、燃料電池装置及び燃料電池装置の温度調整方法に関する。さらに詳しくは発電を行う際の燃料電池装置の温度を略均一に維持することができるセパレータ、燃料電池装置及び燃料電池装置の温度調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、例えば水素ガスの如き燃料ガスと空気に含まれる酸素ガスの如き酸化剤ガスを電気化学的に反応させることにより発電を行う発電素子である。燃料電池は、発電により生成される生成物が水であることから環境を汚染することがない発電素子として近年注目されている。
【0003】
また、燃料電池は、発電セルを複数結合させることにより出力される電力量を高めることが可能である。例えば固体高分子電解質膜の両面に電極を形成してなる接合体を発電体とし、この発電体をセパレータで挟みこんで発電セルが形成される。さらに、このような発電セルが積層されたスタック構造を有する燃料電池本体を発電部とする燃料電池も開発されている。
【0004】
燃料電池は水素と酸素の化学反応によって発電を行うため、電気化学的な反応による損失分や発電部を構成する材料の電気抵抗などによって発熱し、発電セルが積層されてなる燃料電池本体の温度が上昇する。燃料電池本体は、実質的に発電を行う発電部であり、発電部の温度上昇は安定した発電を行うためには好ましくない。例えば、固体高分子電解質膜とかかる固体高分子電解質膜を挟む電極とから構成される発電体を有する固体高分子型燃料電池においては、固体高分子電解質膜に含まれる水分量が温度上昇と共に減少し、ドライアップと呼ばれる不具合を招く場合がある。よって、固体高分子電解質膜に好適な水分を吸湿させた状態で安定した発電を行うためには、燃料電池本体とされる発電部から熱を外部へ放熱する技術が重要とされる。
【0005】
このような問題点を改善するために各種技術開発が活発に行われており、スタック構造を有する発電部から熱を放熱するための技術として、スタック構造を有する発電部に配設された各セパレータに放熱フィンを設けることにより放熱を行う技術が知られている(例えば特許文献1)。また、プレート型ヒートパイプにより発電部を冷却する技術も提案されている(例えば特許文献2,3)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−162842号公報
【特許文献2】
特開平11−214017号公報
【特許文献3】
特開2000−353536号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1により開示された技術によれば、発電体とこの発電体に直接接して挟み込むセパレータ本体部とで構成される発電セルにおいて、発電を行う際に生じる熱はセパレータ本体部に設けられた放熱フィンから外部に放熱されるだけでなく、セパレータ本体部の他の側縁部からも放熱される。さらに、発電セルで生じる熱はセパレータ本体部から放熱フィンに伝熱されるに止まらず、発電部の高さ方向、すなわちセパレータ本体部と発電体とが積層される積層方向にも伝熱される。したがって、スタック構造を有する発電部においては、発電時に発電部の上部、中央部及び下部で温度を比較した場合に、上述した積層方向に関する位置に応じて各部で温度が異なる場合がある。具体的には、積層方向に関して発電部の中央部に位置する発電セルの温度が他の発電セルより高くなり、発電部の上部及び下部を構成する発電セルの温度が低くなる傾向にある。このように、発電部の中央部から上部、発電部の中央部から下部に亘って温度勾配が生じた状態で発電を行った場合には、他の発電セルより温度が高い発電セル、特に発電部の中央付近に配設される発電セルにドライアップなどの不具合が生じ、発電部による安定した発電を行うことが困難となる場合がある。
【0008】
また、特許文献2,3により開示された技術においても特許文献1に記載された技術と同様に、発電部に配設される発電セルの位置に応じて発電セルの温度を調整する技術については言及されておらず、スタック構造を有する発電部について発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して生じる温度勾配を改善し、発電部全体の温度を均一に維持しながら発電を行うことは難しい。
【0009】
よって、本発明は上述の問題点を鑑み、スタック構造を備える発電部において、積層方向に関して発電セルが配設される位置に応じて各発電セルの温度が調整され、発電部全体の温度を略均一に維持しながら発電を行うことができるセパレータ、燃料電池装置及び燃料電池装置の温度調整方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるセパレータは、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるように積層されるセパレータであって、発電体と接するセパレータ本体部と、セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、放熱部の断面積が、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して、セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。本発明にかかるセパレータによれば、放熱部の断面積の大きさに応じて各セパレータ本体部から放熱部に伝わる熱量が異なることから、発電部全体の温度が均一となるように各セパレータ本体部から各放熱部に所定の熱量を伝えることができる。
【0011】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の断面積は、発電体とセパレータ本体部とが積層されてなる燃料電池本体において、積層方向に関して放熱部より外側に配設される放熱部の断面積より大きいことを特徴とする。このような放熱部によれば、発電体とセパレータ本体部とで構成される発電セルが配設される位置に応じて発電セルから放熱部に伝熱される伝熱量を調整することができ、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して各発電セルの温度を略均一とすることが可能となる。
【0012】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部は略平板状とされることを特徴とする。このような放熱部によれば、放熱部の断面積を設定する際に放熱部の所定の寸法を変更することにより正確に断面積を設定することができる。
【0013】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の断面積は、放熱部の幅寸法、及び厚み寸法のうち少なくとも一の寸法を変えることにより設定されることを特徴とする。このようなセパレータによれば、放熱部の幅寸法、及び厚み寸法のうち少なくとも一の寸法を変えることにより発電部全体の温度を均一にすることができるだけでなく、発電部全体の温度が略均一になるように放熱部の設計を容易に行うことができる。
【0014】
本発明にかかるセパレータは、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるように積層されるセパレータであって、発電体と接するセパレータ本体部と、セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、放熱部の表面積は、発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関して、セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。本発明にかかるセパレータによれば、放熱部の表面積の大きさに応じて各放熱部から放熱される放熱量を調整し、発電部全体の温度が均一となるように各放熱部から所定の熱量を放熱することにより発電部の温度を略均一にすることができる。
【0015】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の表面積は、発電体とセパレータ本体部とが積層されてなる燃料電池本体において、積層方向に関して放熱部より外側に配設される放熱部の表面積より大きいことを特徴とする。このような放熱部によれば、発電体とセパレータ本体部とで構成される発電セルが配設される位置に応じて放熱部から放熱される放熱量を調整することができ、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して各発電セルの温度を略均一とすることが可能となる。
【0016】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部は略平板状とされることを特徴とする。このような放熱部によれば、放熱部の表面積を設定する際に放熱部の所定の寸法を変更することにより正確に表面積を設定することができる。
【0017】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の表面積は、放熱部の幅寸法、長さ寸法、及び厚み寸法のうち少なくとも一の寸法を変えることにより設定されることを特徴とする。このようなセパレータによれば、発電部全体の温度を均一にすることができるだけでなく、放熱部の幅寸法、長さ寸法、及び厚み寸法のうち少なくとも一の寸法を変えることより発電部全体の温度が略均一になるように放熱部の設計を容易に行うことができる。
【0018】
本発明にかかるセパレータは、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるように積層されるセパレータであって、発電体と接するセパレータ本体部と、セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、放熱部の熱放射率が、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して、セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。本発明にかかるセパレータによれば、放熱部の熱放射率の大きさに応じて各放熱部から放熱される放熱量を調整することができ、発電部全体の温度を略均一とすることができる。
【0019】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の熱放射率は、発電体とセパレータ本体部とが積層されてなる燃料電池本体において、積層方向に関して放熱部より外側に配設される放熱部の熱放射率より大きいことを特徴とする。このような放熱部によれば、発電体とセパレータ本体部とで構成される発電セルが配設される位置に応じて放熱部から放熱される放熱量を調整することができ、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して各発電セルの温度を略均一とすることが可能となる。
【0020】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の熱放射率は、放熱部の表面の表面粗さを変えることにより設定されることを特徴とする。このようなセパレータによれば、放熱部のサイズや外形などの設計を変更することなく放熱部からの放熱量を変えることが可能となる。
【0021】
さらに、本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の熱放射率は、放熱部の表面に対する表面処理を変えることにより設定されることを特徴とする。このようなセパレータによれば、放熱部のサイズや外形などの設計を変更することなく放熱部からの放熱量を変えることが可能となる。
【0022】
本発明にかかる燃料電池装置は、発電体と他発電体とを電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、セパレータは、発電体と接するセパレータ本体部と前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを有し、発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関して隣り合う放熱部の間隔が、積層方向に関して放熱部が前記燃料電池本体に配設される位置の違いに応じて所要の間隔とされていることを特徴とする。本発明にかかる燃料電池装置によれば、隣り合う放熱部の間に流動する空気の流量が積層方向に関する放熱部の位置に応じて異なることにより放熱部から放熱される熱量を変えることが可能である。これにより、燃料電池本体全体の温度を均一にすることができ、安定した発電をおこなうことが可能となる。
【0023】
本発明にかかる燃料電池装置においては、燃料電池本体に供給される酸化用流体を各放熱部の間に流動させて放熱部からの放熱が行われることを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、燃料電池本体に酸化用流体を供給し、隣り合う放熱部の間に流動される酸化用流体の流量を調整することにより放熱部からの放熱量を変えることが可能となる。これにより、燃料電池本体全体の温度を均一にすることができ、安定した発電を行うことができる。
【0024】
さら、本発明にかかる燃料電池装置においては、所定の間隔は、積層方向に関して燃料電池本体の外側に位置して隣り合う放熱部の間隔ほど小さいことを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、燃料電池本体の中央部に比べて温度上昇が小さい外側の発電セルからの放熱量を抑制することにより燃料電池本体の全体の温度上昇を抑制すると共に、燃料電池本体の温度を略均一にすることができる。
【0025】
また、本発明にかかる燃料電池装置においては、セパレータ本体部の厚み寸法は、積層方向に関して燃料電池本体の外側に位置するセパレータ本体部ほど小さいことを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、各セパレータ本体部に同じ厚み寸法を有する放熱部を突設した場合には、隣り合うように配設されたセパレータ本体部の厚み寸法に応じて隣り合う放熱部の間隔が決まることとなり、燃料電池本体の外側に位置する放熱部ほど隣り合う放熱部との間隔が狭くなる。これにより、燃料電池本体の温度上昇を抑制され、さらに燃料電池本体の外側に位置する放熱部ほど放熱量が抑制されることにより燃料電池本体の全体の温度を均一にすることが可能となる。
【0026】
また、本発明にかかる燃料電池装置においては、放熱部の厚み寸法と放熱部が突設されるセパレータ本体部の厚み寸法の差は、積層方向に関して燃料電池本体の外側ほど小さいことを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、隣り合うように配設されたセパレータ本体部について、各セパレータ本体部の厚み寸法とこれらセパレータ本体部に突設される放熱部の厚み寸法がそれぞれ異なる場合でも、放熱部の厚み寸法と放熱部が突設されるセパレータ本体部の厚み寸法の差に応じて隣り合う放熱部の間隔が決まることとなり、燃料電池本体の外側に位置する放熱部ほど隣り合う放熱部との間隔が狭くなる。これにより、電池本体の外側に位置する放熱部ほど放熱量が抑制され、発電セルが配設される位置に応じて放熱部からの放熱量が調整されて燃料電池本体の全体の温度を均一にすることができる。
【0027】
本発明にかかる燃料電池装置は、発電体と発電体に隣り合う発電体を電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、セパレータは、発電体と接するセパレータ本体部とセパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、放熱部の断面積が、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して前記セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、各セパレータ本体部から放熱部に伝わる伝熱量が調整され、燃料電池本体の全体の温度を均一に維持しながら安定した状態で発電を行うことができる。
【0028】
本発明にかかる燃料電池装置は、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、セパレータは、発電体と接するセパレータ本体部と前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを有し、放熱部の表面積が、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関してセパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、放熱部から放熱される熱量が各放熱部で調整され、燃料電池本体の全体の温度を均一に維持しながら安定した状態で発電を行うことができる。
【0029】
本発明にかかる燃料電池装置は、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、セパレータは、発電体と接するセパレータ本体部とセパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを有し、放熱部の熱放射率が、発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関してセパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、放熱部のサイズや外形などの設計を変えることなく放熱部から放熱される熱量を調整することができるため、燃料電池本体の設計を変更することなく簡単に燃料電池本体全体の温度を略均一に維持することができる。
【0030】
本発明にかかる燃料電池装置の温度調整方法は、発電体と、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるセパレータとが積層されてなる燃料電池本体の温度を調整する燃料電池装置の温度調整方法であって、発電体と接するセパレータ本体部と、セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とによりセパレータを構成し、燃料電池本体を冷却するための冷却用流体を放熱部の周辺に流動させ、発電体とセパレータとが積層される積層方向に関して、放熱部が配設される位置の違いに応じて放熱部からの放熱量を調整することを特徴とする。このような燃料電池装置の温度調整方法によれば、スタック構造を有する燃料電池本体の温度が積層方向に関して略均一となるように放熱部からの放熱量が調整することができ、安定した発電を行うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置について説明する。本発明にかかるセパレータは放熱部に特徴を有し、さらに本発明にかかるセパレータにより構成される燃料電池本体、すなわち発電部を搭載する燃料電池装置は、放熱部の特徴を生かして発電部の温度を均一に維持しながら発電を行うことができる燃料電池装置である。
【0032】
先ず、図1乃至図7を参照しながら本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置の構成を説明する。図1に示すように、燃料電池装置1は、筐体10、制御基板20、発電部70、冷却ファン51、空気供給ファン52,53、水素パージバルブ54、レギュレータ55及び手動バルブ56を備える。また、燃料電池装置1は、水素ガスを吸蔵させた水素吸蔵カートリッジ60から供給される水素ガスを受け取り、発電を行う。
【0033】
図1及び図2に示すように、筐体10は略直方体形状の外形を有し、燃料電池装置1に搭載される各種機器を覆うように内部が空洞とされると共に底面が開放されている。筐体10は排気口11,12及び13、吸気口14,15を備え、筐体10の上面の端部は排気口11,12,13が形成された側面に向かう傾斜面とされる。図2(a)に示すように、排気口11と排気口12,13とは筐体10の側面に隣り合うように形成され、発電部70を冷却するために燃料電池装置1内で流動された空気と発電部70による発電反応後の空気とが排気口11,12,13からそれぞれ排出される。排気口11は、発電部70を構成するセパレータに設けられた放熱部から熱を放熱させるために、燃料電池装置1から空気を排出する吐き出し口である。さらに、排気口11は、筐体10の側面に略矩形状に開口し、上下方向に複数形成されている。排気口12、13は、発電部70が発電を行った後の排気を排出するための吐き出し口とされる。排気口12、13は、筐体10の側面に矩形状に開口し、排気口11に沿って上下方向に複数形成されている。
【0034】
図2(b)に示しように、吸気口14,15は、筐体10の排気口11及び排気口12,13が形成された筐体10の側面と対面する側面に形成され、吸気口14,15から発電部70を冷却するための空気と発電部70による発電反応に供される酸素を含む空気とがそれぞれ燃料電池装置1内に取り込まれる。吸気口14は、発電部70を構成するセパレータに設けられた放熱部から熱を放熱させるための空気を取り込むための取り込み口であり、筐体10の側面に略矩形状に開口し、上下方向に複数形成されている。吸気口15は、発電部70が発電を行う際に発電部70に供給される空気が取り込まれるための取り込み口とされ、吸気口14と同様に筐体10の側面に略矩形状に開口し、吸気口14に沿って上下方向に複数形成されている。
【0035】
また、図1、図2(c)及び(d)に示すように、筐体10の一の端面には燃料電池装置1と外部との間で各種信号を送受信するための配線が通される接続孔16を形成されている。切り欠き部17は接続孔16が形成された端面の下側の一部に形成され、外部と燃料電池装置1の内部との間で各種信号を送受信するための配線が切り欠き部17に通される。接続孔16及び切り欠き部17が形成された端面の反対側に位置する端面にも接続孔16及び切り欠き部17と同様に配線などを通すための接続孔18が形成されている。
【0036】
図1に示すように、制御基板20は発電部70の上側に配設され、燃料電池装置1を構成する各種機器を制御するための制御回路が形成されている。制御回路の詳細については図中において詳細に示さないが、例えば冷却ファン51、空気供給ファン52,53の駆動の制御、或いは水素パージバルブ54の開閉動作の制御回路、発電部70により出力される電圧を昇圧するDC/DCコンバータの如き電圧変換回路を制御基板20に搭載することができる。さらにセンサにて検知された温度や湿度などの各種環境条件を取得することにより各種機器の駆動に関する指示を制御基板20に実装された回路に行わせることもできる。また、本例の燃料電池装置1においては燃料電池装置1内に制御基板20が配設されるが、制御基板20は燃料電池装置1の外部に配設されていても良く、例えば、燃料電池装置1から駆動用の電力が提供される各種電子機器に制御基板20を配設しておくこともできる。
【0037】
次に、図1、図3乃至図7を参照しながら、燃料電池本体とされる発電部70の構造を説明する。
【0038】
図1及び図3に示すように、発電部70は略直方体形状を有し、基台57に配設されている。発電部70は、9枚のセパレータ71の間にそれぞれ発電体としての接合体72が挟みこまれてなる発電セルから構成され、これら発電セルが8個直列に接続された構造を有している。このような発電セルは1素子で約0.6Vの電圧を出力することができるため、発電部70の全体では4.8Vの電圧を出力することが可能である。発電部70は、約2Aの電流を流すことが可能であり出力される電力は理想的には9.6Wとなるが、発電反応における発熱などによって実際の出力電力は理想的な出力電力の約7割である約6.7Wとされる。しかしながら、接合体72に含まれる水分量の調整や発電部70への水素ガスの円滑な供給によりさらに出力電力を高めることができる。また、発電部70を形成する発電セルは本例のように8素子に限定するものではなく、各種電子機器を駆動するために必要とされる出力電力に合わせて所要の数の発電セルにより発電部70を形成することもできる。発電部70の側面79には各セパレータ71に形成された開口部77が臨み、発電部70の側面79の反対側の側面にも各開口部77に対応するように開口部40が形成されている。開口部77と、開口部77が臨む側面79と反対側の側面に臨む開口部40を介して、発電部70に対する空気の供給、及び排出が行われる。
【0039】
セパレータ71は、セパレータ本体部74と放熱フィン73とから構成される。セパレータ本体部74は接合体72と積層される。放熱フィン73は、セパレータ本体部74の側縁部に設けられ、発電が行われる際に発電部70の温度上昇を抑制するために放熱を行う。放熱フィン73は、発電部70の高さ方向、すなわちセパレータ71と接合体72とが積層される積層方向に配設される位置に応じてそれぞれ異なる幅寸法を有している。また、セパレータ本体部74の側縁部からの長さ、すなわち放熱フィン73の長さ寸法は、発電部70を構成する各放熱フィンについて同様の長さ寸法とされる。
【0040】
また、図1に示すように、発電部70の側面79に沿って、冷却ファン51、空気供給ファン52,53が隣り合うように配設されている。冷却ファン51は、放熱フィン73の側面側から各放熱フィン73の間に空気を流動させ、放熱フィン73から放熱させる。また、空気供給ファン52,53は開口部77に臨むように配設されており、開口部77を介して発電部70内で空気を流動させる。
【0041】
続いて、図4乃至図7を参照しながら発電部70と、発電部70を構成するセパレータ71の構造について詳細に説明する。
【0042】
図4に示すように、セパレータ71により挟み込まれる接合体72は、吸湿した際にイオン伝導性を有する固体高分子電解質膜36及びかかる固体高分子電解質膜36を両面から挟み込む電極37から形成される。さらに、スタック構造を形成した際にセパレータ71と接合体72との間を封止する封止部材35が接合体72の周縁付近に配置されている。封止部材35は、セパレータ71の周縁部と接合体72の周縁部とを十分に絶縁することができる材質を用いれば良い。固体高分子電解質膜36としては、例えばスルホン酸系の固体高分子電解質膜を用いることができる。電極37は、発電反応を促進するための白金の如き触媒が担持された電極を用いることもできる。発電部70を構成する発電セルは2枚のセパレータ71とセパレータ71に挟み込まれる接合体72によって形成され、例えば、図4には直列に接続される2つの発電セル50が示されている。
【0043】
図5は、セパレータ71の構造を示す平面図である。セパレータ71の両面にはそれぞれ溝部38,43が形成されており、発電部70を組み上げた際に溝部43が接合体72の燃料極と接し、溝部38が接合体72の空気極と接する。また、セパレータ71には、溝部43に接続された供給孔42及び排出孔41、溝部43と供給孔42とを接続する接続部45、溝部43と排出孔41とを接続する接続部46が形成されている。また、溝部38,43が形成されるセパレータ本体部74の側縁部には放熱フィン73が設けられている。
【0044】
図5(a)に示すように、溝部43は、燃料ガスとされる水素ガスを接合体72に供給するための面内流路とされる。溝部43は発電反応の効率を高めるためにセパレータ71の表面内を蛇行するように形成されており、水素ガスが接合体72の燃料極全体に供給されるような形状とされる。供給孔42は、発電部70の外部に設けられた水素吸蔵カートリッジ60の如き水素ガス貯蔵部から溝部43に水素ガスを供給する際の水素ガスの流路とされる。接続部45は溝部43と供給孔42とを接続し、溝部43に水素ガスを供給する。また、接続部46は溝部43と排出孔41とを接続し、溝部43から発電反応後の水素ガスを排出する。本例のセパレータ71においては、接続部45,46の断面積は各セパレータ71と接合体72とによりスタック構造を形成した際の溝部43の断面積より小さくなるように形成され、例えば接続部45,46の幅が溝部43の幅より狭くなるように形成される。さらに、接続部45の幅を接続部46の幅より狭くなるように形成し、溝部43への水素ガスの入口側の幅を出口側の幅より狭くしておく。
【0045】
供給孔42及び排出孔41は、スタック構造を形成した際に積層される各セパレータ71の間で接続され、水素ガスを各セパレータ71に供給する供給路と発電後の水素ガスを排出するための排出路を形成する。溝部43に水が蓄積された際には、この排出路を水素パージバルブ54により大気開放して溝部43に蓄積された水の供給路側と排出路側とに圧力差を生じさせ、この圧力差によって水を排出することができる。さらに、スタック構造を形成した際の任意のセパレータ71の溝部43に水が蓄積された場合でも、水が蓄積された溝部43内にのみ瞬間的に圧力差を生じさせることが可能であり、水を排出し発電部70に安定して水素ガスを供給することができる。
【0046】
図5(b)に示すように、溝部38はセパレータ71の溝部43が形成された面の裏面側に形成され、酸素を含む空気を流すための流路とされる。溝部38は、セパレータ71の幅方向に延在するように形成されてセパレータ71の側面に開口する。さらに、溝部38は、セパレータ71の長手方向に沿って複数形成されている。また、溝部38がセパレータ71の側面にそれぞれ開口する開口部77,40を介して酸素を含む空気が溝部38に供給されて、排気される。開口部77,40の幅は溝部38の幅より大きめとされ、開口部77,40の側壁が溝部38の側壁に対して傾斜したテーパー形状になるように開口部77,40をすることができる。このような開口部77,40によれば、溝部38への空気の取りこみ又は溝部38から空気を排出する際の空気に対する流路抵抗を低減することができ、溝部38に円滑に空気を流動させることができる。また、開口部77,40の高さ方向に沿った開口幅が溝部38の高さ寸法より大きめになるように開口部77,40を形成して、流路抵抗をさらに低減することが可能となる。
【0047】
図6は、発電部70を側面からみた側面図である。また、図7は、発電部70を構成するセパレータに設けられた放熱フィンの一部を模式的に示した斜視断面図である。なお、セパレータ71を、発電部70の上側から下側に向かって配設される位置に応じて順にセパレータ71a〜71iとし、同様に放熱フィン73を放熱フィン73a〜73iとして説明する。
【0048】
図6に示すように、発電部70は、セパレータ71a〜71i及びセパレータ71a〜71iに挟み込まれて発電セルを構成する接合体72から構成される。セパレータ71a〜71iには、接合体72と直接接するセパレータ本体部74の側縁部に放熱フィン73a〜73iが設けられている。
【0049】
セパレータ71a〜71iのセパレータ本体部74の側面にはそれぞれ接合体72に空気を供給するための開口部77が複数形成されており、発電部70の側面側に配設された空気供給ファンから開口部77に空気が供給される。また、発電部70の側面に沿って空気供給ファンと隣り合うように配設される冷却ファンにより、放熱フィン73a〜73iの周辺に空気が流動されて放熱フィン73a〜73iから放熱される。
【0050】
放熱フィン73a〜73iは、セパレータ71a〜71iに設けられたセパレータ本体部74の側縁部から延在し、略平板形状とされる。放熱フィン73a〜73iの長さ寸法、すなわち各セパレータ本体部74の側縁部から各放熱フィン73a〜73iの先端までの長さは互いに略等しい。放熱フィン73a〜73iの厚み寸法も互いに略等しく、セパレータ71a〜71iのセパレータ本体部74の厚み寸法も略等しい。放熱フィン73a〜73iは、幅方向、すなわち図中奥行き方向に関して放熱フィン73a〜73iの中心がセパレータ71a〜71iの中心と略一致するように各セパレータ71a〜71iのセパレータ本体部74に設けられている。
【0051】
図7に示すように、放熱フィン71a〜71dの幅寸法w1〜w4については、セパレータ71a〜71iが積層される積層方向に沿って発電部70の略中央に位置する放熱フィン73dの幅寸法w4が最も大きく、放熱フィン73dより上側、すなわち積層方向に沿って発電部70の外側に位置する放熱フィンほど幅寸法が小さい。具体的には、幅寸法w1〜w4で比較すると、幅寸法w4が最も大きく、幅寸法w3,w2,w1の順に外側に位置する放熱フィンの幅寸法ほど小さく設定されている。発電部70を構成するセパレータのうち最も大きな幅寸法を有するのは、発電部70のほぼ中央に位置する放熱フィン73eであり、放熱フィン73eの下側に位置する放熱フィン73f〜73iは外側ほど順に小さい幅寸法を有する。なお、本例では放熱フィン73e及びその下側に位置する放熱フィン73f〜73iについての詳細な説明は省略するが、放熱フィン73a〜73dと同様に積層方向に関して幅寸法が設定されて放熱量が調整される。
【0052】
放熱フィン73a〜73dの断面積S1〜S4は、放熱フィン73a〜73dの厚み寸法が等しいことから、幅寸法w1〜w4の大きさによって大きさが決まる。放熱フィン73aの断面積S1が最も小さく、放熱フィン73b,73c,73dの順に断面積が大きくなるように各放熱フィン71a〜71dの幅寸法w1〜w4が調整されて放熱フィン73a〜73dが設けられている。すなわち、放熱フィン73a〜73dについては、積層方向に沿って発電部70の中央付近に位置する放熱フィン73dの断面積S4が最も大きく、発電部70の外側に向かって断面積S3,S2,S1の順に断面積が小さくなるように放熱フィン73a〜73dの幅寸法w1〜w4が設定されている。
【0053】
放熱フィン73a〜73dは、これら放熱フィン73a〜73dがそれぞれ設けられたセパレータ71a〜71dのセパレータ本体部74から熱を放熱させるための放熱部であり、放熱フィンの断面積が大きいほどセパレータ本体部74から放熱フィンに伝わる熱量が大きくなる。したがって、積層方向について、発電部70の中央付近に配設されるセパレータ71dのセパレータ本体部から放熱フィン73dに伝わる熱量を放熱フィン73dの外側に位置する放熱フィンより増大させる。セパレータ71a〜71dを有してなる発電セルにおいては、発電部70の中央付近に配設されるセパレータが他のセパレータより温度が高くなる傾向にあり、セパレータは積層方向に関して発電部70の外側に配設されるほど温度が低くなる傾向にある。よって、積層方向に関して、発電部70の中央に近い位置に配設されるセパレータほど放熱フィンを介した伝熱量を他のセパレータより大きくすることにより、発電セルの温度上昇を抑制し、且つ各発電セルの温度を均一にすることが可能となる。セパレータ71e〜71iにより構成される発電セルについても、同様に発電部70の外側に位置する放熱フィンほど放熱フィンの断面積を小さく設定し、各発電セルから放熱フィンへ伝わる伝熱量を調整することができる。
【0054】
また、放熱フィン73a〜73dの表面積は、放熱フィン73a〜73dの厚み寸法が等しいことから、幅寸法w1〜w4の大きさによって大きさが決まる。放熱フィン72a〜73dについては、発電部70の最も上側に位置する放熱フィン73aの表面積が最も小さく、放熱フィン73bから73dの順に表面積が大きくなるように各放熱フィン73a〜73dの幅寸法w1〜w4が設定されている。すなわち、放熱フィン73a〜73dについては、積層方向に沿って発電部70の中央付近に位置する放熱フィン73dの表面積が最も大きく、発電部70の外側に位置する放熱フィン73c〜73aの表面積が発電部70の外側に向かって順に小さくなるように放熱フィン73a〜73dの幅寸法が設定されていることになる。
【0055】
発電を行う際にセパレータ71dが他のセパレータ71a〜71cに比べて温度が高くなる傾向にあり、発電部70の外側に位置するセパレータほど温度が低くなる傾向にある。よって、積層方向に関して、発電部70の中央に近い位置に配設されるセパレータほど表面積を大きく設定して放熱フィンを介した放熱量を他のセパレータより大きくすることにより、を発電セルの温度上昇を抑制し、且つ積層方向に関して発電部70の内部で生じる温度勾配を低減して各発電セルの温度を均一にすることが可能となる。
【0056】
発電部70を構成し、セパレータ71e〜71iと接合体72とからなる下部は、発電部70が基台57に配設されていることによりセパレータ71a〜71dと接合体72からなる発電部70の上部と若干伝熱量及び放熱量が異なると考えられるが、放熱フィン73a〜73dと同様に放熱フィン73e〜73iの幅寸法を発電部70の中央から下側に位置する放熱フィンほど小さく設定する。このように放熱フィン73e〜73iに伝わる伝熱量及び各放熱フィンを介して放熱される放熱量を発電部70の下側ほど小さくすることにより発電部70の全体の温度を略均一に維持することができる。
【0057】
また、放熱フィン73a〜73iの断面積を放熱フィン73a〜73iが配設される位置に応じて設定することにより、各セパレータ本体部74から放熱フィン73a〜73iに伝えられる伝熱量及び放熱フィン73a〜73iからの放熱量を調整し、発電部70の全体の温度上昇を抑制することができると共に発電部70の温度を略均一とすることができる。このように発電時の温度が略均一とされる発電部70によれば、特定の発電セルの温度が他の発電セルより高くなることなく、安定した発電を行うことが可能となる。
【0058】
放熱フィン73a〜73iは平板形状を有していることから、放熱フィンの幅寸法を所要の値に設定することにより、精度良く、且つ容易に断面積及び表面積を設定して伝熱量及び放熱量を調整することができる。
【0059】
次に、図8及び図9を参照しながら、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置の別の例について説明する。図8は、発電部80を側面側からみた側面図であり、図9は、発電部80を構成する放熱フィンの一部を模式的に示した斜視断面図である。本例にかかる燃料電池装置は、燃料電池装置1と略同様の構成を有することから、燃料電池装置の全体の構成についての説明は省略する。なお、本例にかかる燃料電池装置においては、発電部80を構成する放熱フィン83a〜83iに特徴を有する。
【0060】
図8に示すように、発電部80は、発電部80の上側から下側に向かって順に配設されるセパレータ81a〜81iのそれぞれに設けられている放熱フィン83a〜83iの厚み寸法t1〜t9に特徴を有しており、セパレータ81a〜81iと接合体82とが積層される積層方向に関して、放熱フィン83a〜83iの位置に応じて厚み寸法t1〜t9は所要の値とされている。また、セパレータ81a〜81iの側面にはそれぞれ空気を接合体82に供給するための開口部85が複数形成されている。
【0061】
セパレータ81a〜81iを構成するセパレータ本体部84の厚み寸法は互いに等しく、放熱フィン83a〜83iの厚み寸法t1〜t9は、積層方向に沿って発電部80の外側に位置する放熱フィンほど小さい値に設定される。具体的には、発電部80の中央付近に配設されるセパレータ81eに設けられた放熱フィン83eの厚み寸法t5が、放熱フィン81eの上側及び下側に位置する放熱フィンの厚み寸法より大きな値とされる。放熱フィン83eの上側に位置する放熱フィン83c,83dの厚み寸法t3,t4は互いに等しく、さらに上側に位置する放熱フィン83a,83bの厚み寸法t1,t2も互いに等しい。また、厚み寸法t3,t4に対して厚み寸法t1,t2は小さい値とされる。放熱フィン83eの上側に位置する放熱フィンと同様に、放熱フィン83eの下側に位置する放熱フィン83f,83gの厚み寸法t6,t7は互いに等しく、さらに下側に位置する放熱フィン83h,83iの厚み寸法t8,t9も互いに等しい。また、厚み寸法t6,t7に対して厚み寸法t8,t9は小さい値とされる。放熱フィン83a〜83iの幅寸法Wは放熱フィン83a〜83iで全て等しく、放熱フィン83a〜83iの長さ寸法も全て等しい。
【0062】
このように、積層方向に沿って、発電部80の中央から外側に向かって順に位置する放熱フィンの厚み寸法を小さくすることにより、各放熱フィンの断面積が発電部80の中央か外側に向かって小さい値とされる。また、放熱フィン83eの厚み寸法t5を他の放熱フィンより大きく設定し、発電部80の外側に配設される放熱フィンの厚み寸法を順に小さく設定してもよい。
【0063】
図9を参照しながら、発電部80の上部に位置する放熱フィン83a〜83eの断面積の関係について説明する。なお、放熱フィン83a〜83eの断面積をそれぞれS11〜S15とする。放熱フィン83a〜83eの幅寸法Wは等しいため、断面積S11〜S15は厚み寸法t1〜t5により決まり、断面積S5が最も大きく、他の放熱フィン83a〜83dの断面積S11〜S14は断面積S15より小さい値とされる。また、断面積S13,S14は互いに等しい値とされると共に、断面積S11,S12も互いに等しい値とされる。断面積S13,S14に比べて、断面積S11,S12は小さい値とされる。
【0064】
発電部80の中央付近に配設され、発電部80において最も温度上昇が大きい傾向を有するセパレータ81eに設けられる放熱フィン83eの断面積S15を他の放熱フィン83a〜83eの断面積S11〜S14より大きめにし、他のセパレータに比べてセパレータ81eのセパレータ本体部84からの伝熱量を高めることができる。さらに、放熱フィン83eに対して上側に位置する放熱フィン83c,83aの断面積S13,S11が順に小さい値とされていることにより、放熱フィン83c,83aがそれぞれ設けられたセパレータ81c,81aのセパレータ本体部84からの伝熱量をセパレータ81eに対して外側に位置する放熱フィンほど伝熱量を抑制することができる。
【0065】
このように、積層方向に関して、セパレータ81a〜81iが配設される位置に応じて各セパレータ81a〜81iのセパレータ本体部84から放熱フィン83a〜83iへの伝熱量が調整されていることにより、セパレータが配設される位置に関係なく、これらセパレータをそれぞれ備える発電セルの温度を均一に維持しながら発電部80に発電を行わせることが可能となる。特に、発電部80において、発電部80の外側に配設されるセパレータほど順に伝熱量が小さくなるように放熱フィンの厚み寸法を小さくすることにより、温度が上昇し易い傾向にある中央部に位置する放熱フィン83eの伝熱量を他の放熱フィンより大きくすることができる。これにより、発電部80の設計を変更することなく、簡単に発電部80の温度を均一に維持しながら発電を行うことができる。
【0066】
また、発電部80を構成する放熱フィン83a〜83iの厚み寸法t1〜t9を調整することにより放熱フィン83a〜83iの表面積を放熱フィン83a〜83iが配設される位置に応じて調整することができる。各セパレータ本体部84から放熱フィン83a〜83iに伝わる熱は放熱フィン83a〜83iの表面から外部に放熱されることから、放熱フィンの表面積が大きいほど放熱量は大きくなる。
【0067】
具体的には、発電部80の上部について、放熱フィン83aの表面積が最も小さく、放熱フィン83b,83c,83dの順に表面積が大きくなるように各放熱フィンが各セパレータ本体部84に設けられている。すなわち、発電部80の最も上側に位置する放熱フィン83aからの放熱量が最も小さく、発電部80の略中央に位置する放熱フィン83dの放熱量が最も大きなものとなる。これにより、発電部80が発電を行う際に、他のセパレータより温度が高くなる傾向にあるセパレータ81dからの放熱量を他のセパレータに比べて大きくし、セパレータ81dにより構成される発電セルの温度上昇を抑制することができる。
【0068】
放熱フィン83a〜83cの表面積が積層方向に沿った位置に応じて調整されていることにより放熱量を調整し、セパレータ81a〜81dの温度を均一にすることが可能となる。発電部80の下部についても上部と同様に、発電部80の外側に位置する放熱フィンほど表面積が小さく放熱量が抑制されている。放熱フィン83a〜83iは平板形状を有していることから断面形状が矩形状とされ、放熱フィン83a〜83iの幅寸法或いは厚み寸法を所要の値に設定することにより、精度良く、且つ容易に表面積を設定して放熱量を調整することも可能である。
【0069】
なお、発電部80においては、例えば放熱フィン83a、83bのように放熱フィンが2枚一組で同じ厚み寸法を有しているが、発電部80の発電条件に応じて各放熱フィンの厚み寸法を、出力電力、発電部80のサイズ、及び発電部80を構成する材料の熱伝導率などを考慮して発電部80の温度が均一となるように所要の値にすることもできる。
【0070】
次に、図10を参照しながら、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置のさらに別の例について説明する。図10は、発電部90を側面側からみた側面図である。なお、本例にかかる燃料電池装置も燃料電池装置1と略同様の構成を有していることから、発電部90について詳細に説明する。発電部90は発電部70と略同様の構造を有し、放熱フィン93a〜93iに特徴を有する。
【0071】
図10に示すように、発電部90は、上側から順にセパレータ91a〜91iが積層され、各セパレータ91a〜91iの間にそれぞれ接合体92が挟み込まれて構成される。セパレータ91a〜91iに設けられる放熱フィン93a〜93iは幅寸法が等しい値とされる。発電部90は発電部70と略同様の構造を有し、発電部90を構成するセパレータ91a〜91iに設けられている放熱フィン93a〜93iの長さ寸法L1〜L9は、積層方向に関して所要の値とされる。特に、発電部90を構成するセパレータ91a〜91iの中で最も温度上昇が高い傾向とされ、発電部90の中央に配設されるセパレータ91eに設けられた放熱フィン93eの長さ寸法が最も大きいものとされる。セパレータ91eの上側及び下側に位置する放熱フィンは、放熱フィン93eより長さ寸法が小さいものとされる。なお、長さ寸法L6〜L9は、順にL4〜L1と等しく、図中には示していない。
【0072】
さらに具体的に説明すると、放熱フィン93eに沿って略平行に各セパレータ本体部94の側縁部から延在するように設けられた放熱フィン93a〜93dは、放熱フィン93a〜93dの順に長さ寸法L1〜L4が大きな値とされる。放熱フィン93eの下側に位置する放熱フィン93f〜93iの長さ寸法L6〜L9は放熱フィン93eの長さ寸法L5より小さく、さらに長さ寸法L6〜L9の順に小さい値とされる。したがって、放熱フィン93a〜93iについて、放熱フィン93eの表面積が最も大きく、放熱フィン91eの上側に配設される放熱フィン93a〜93dの表面積は、放熱フィン93d〜93aの順に大きな値とされる。また、放熱フィン93eの下側に配設される放熱フィン93f〜93iの表面積は、放熱フィン93f〜93iの順に大きな値とされる。
【0073】
このような放熱フィン93a〜93iがそれぞれ設けられたセパレータ91a〜91iで発電部90を構成することにより、セパレータ91a〜91iで構成される発電セルからの放熱量が放熱フィン93a〜93iの表面積により調整され、積層方向について発電部90の温度を均一に維持しながら発電を行うことができる。放熱フィンの長さ寸法の組み合わせは、発電部90を略均一な温度に維持することができれば如何なる組み合わせでも良く、本例の長さ寸法の組み合わせに限定されないことは勿論である。
【0074】
ここで、放熱フィン93a〜93iの厚み寸法t11〜t19が互い等しい場合、放熱フィン93a〜93iの幅寸法が互いに等しいことにより断面積が均一とされ、放熱フィン93a〜93iの断面積が一様とされる。断面積が一様な状態で放熱フィン93a〜93iの長さ寸法のみを各放熱フィンで互いに異なる寸法とした場合、放熱フィン内部の熱抵抗によりセパレータ本体部94の側縁部から放熱フィン93a〜93iの先端まで熱が伝わる割合が不均一となる。したがって、放熱フィンの表面積を大きめに調整しても表面積を増大させた相当分の放熱量を得ることができない場合がある。
【0075】
そこで、放熱フィン93a〜93iの厚み寸法t11〜t19を調整することにより各放熱フィン93a〜93iの表面積を調整して、熱抵抗を調整し、伝熱量を調整する。例えば、放熱フィン93eの厚み寸法t15を最も厚くなるように調整して熱抵抗を低減し、さらに放熱フィン93eの上側や下側、すなわち発電部90の中央から外側に位置する放熱フィンの厚み寸法を小さく調整する。本例の発電部90においては、一例としてt15を最も厚く調整し、放熱フィン93eの上側及び下側に位置する放熱フィンの厚み寸法を発電部の外側に位置するほど順に小さくする。このように、放熱フィン93a〜93iにおける熱抵抗を調整し、積双方向に関して放熱フィン93a〜93iが配設される位置に応じて表面積を設定することにより、発電部90の各部の温度が略一定となるように発電部90の温度を調整することができる。
【0076】
次に、図11を参照しながら、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置のさらに別の例について説明する。なお、本例にかかる燃料電池装置も燃料電池装置1と略同様の構成を有していることから、発電部100についてのみ詳細に説明する。発電部100は発電部70と略同様の構造を有し、放熱フィン103a〜103iの間隔に特徴を有する。
【0077】
図11は、発電部100を側面側からみた側面図である。図11に示すように、発電部100は発電部70と略同様の構造を有するが、接合体102とセパレータ101a〜101iとが積層される積層方向に関して隣り合う放熱部103a〜103iの間隔が、積層方向に関して放熱部103a〜103iの位置に基づいて所定の間隔とされている。また、発電部100は発電部70と略同様の構造を有し、空気を接合体102に供給するための開口部105が各セパレータ101a〜101iを構成するセパレータ本体部104の側面に複数形成されている。
【0078】
発電部100は、セパレータ101a〜101iとこれらセパレータ101a〜101iの間にそれぞれ接合体102を挟み込んで構成される。セパレータ101a〜101iには、それぞれ放熱フィン103a〜103iがセパレータ本体部104の側縁部に設けられている。発電部100の上側から積層方向に沿って隣り合う放熱フィン103a〜103iの間隔を順にd1〜d8とする。
【0079】
図1乃至図7を参照しながら説明した発電部70と同様に、発電部100には発電部100の側面側から空気が供給され、各放熱フィン103a〜103iの間を空気が流動する。放熱フィン103a〜103iの間を流動する空気には、放熱フィン103a〜103iから熱が伝達され、空気が装置の外部に排出されると共に熱が排熱される。
【0080】
間隔d1〜d8は、発電部100の中央付近に位置して隣り合う放熱フィンほど大きな間隔とされ、発電部100の外側に向かって小さい間隔とされる。例えば、発電部100においては、発電部100の略中央に配設されて隣り合う放熱フィン103e,103fの間隔d5が最も大きく、上側に向かって間隔d4,d3,d2,d1の順に小さい間隔とされる。また、発電部100の下側に位置する放熱フィン103f〜103iにおいて、隣り合う放熱フィンの間の間隔d6〜d8は、間隔d6,d7,d8の順に小さい間隔とされる。よって、間隔d1〜d8の大きさに応じて、各放熱フィンの間で流動する空気の流量が異なり、発電部100について温度が上昇し易い発電セルを構成するセパレータに設けられた放熱フィンからの放熱量を他の放熱フィンより高めることができる。
【0081】
さらに、間隔d1〜d4は間隔d5より小さく、間隔d2〜d4の順で隣り合う放熱フィンの間の間隔が大きくなるように調整される。放熱フィン103eの下側の位置する放熱フィン103f〜103iのそれぞれ隣り合う放熱フィンの間の間隔d6〜d8は、間隔d5より小さく、且つ間隔d6〜d8の順に小さいものとされる。このような発電部100においては、放熱フィン103e,103fの間の間隔d5を流れる空気の流量が最も大きく、間隔d4〜d1の順に空気の流量が小さくなる。さらに、間隔d6〜d8の大きさに合わせて、間隔d6〜d8を流動する空気の流量が小さくなる。
【0082】
すなわち、放熱フィン101a〜101iから放熱される放熱量は、空気の流量、すなわち間隔d1〜d8の大きさに応じて調整されることになり、発電部100の中央に配置する放熱フィン103d,103eからの放熱量が他の放熱フィンからの放熱量より大きなものとされる。
【0083】
さらに、発電部100の外側ほど空気の流量が小さくなるように間隔d1〜d8が設定されていることにより、発電時に温度が高くなり易い発電部100の中央に配設される発電セルほど他の発電セルに比べて放熱量を高められており、発電部100の積層方向に沿って温度を略均一とすることが可能となる。
【0084】
間隔d1〜d8は、各セパレータ本体部104の厚み寸法や放熱フィンの厚み寸法を所要の値にして調整することができる。例えば、セパレータ101a〜101iのセパレータ本体部104の厚み寸法を均一とし、厚み寸法が調整された放熱フィンをそれぞれのセパレータ本体部104に設けることにより間隔d1〜d8を調整することができる。また、セパレータ101a〜101iは、セパレータ本体部104の下面と放熱フィン103a〜103iの下面とがそれぞれ面一とされていることから、セパレータ本体部104の厚み寸法と放熱フィン103a〜103iの厚み寸法の差を調整するだけで所要の間隔d1〜d8を備える発電部100を構成することができる。
【0085】
図1乃至図11を参照しながら、放熱フィンの外形寸法を調整することにより、放熱フィンの断面積、表面積、或いは隣り合う放熱フィンの間の間隔を調整して温度を略均一される発電部、及びセパレータについて説明したが、これら外形寸法は上述した例における組み合わせに限定されず、放熱フィンの幅寸法、長さ寸法、厚み寸法及びセパレータ本体部の厚み寸法を組み合わせて調整し、発電部に配設されるセパレータの位置に応じて所要の放熱量及び伝熱量を確保できる放熱フィンを形成すれば良いことは勿論である。
【0086】
次に図12を参照しながら、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置のさらに別の例について説明する。なお、本例にかかる燃料電池装置も燃料電池装置1と略同様の構成を有し、さらに本例の燃料電池装置に搭載される発電部も発電部70と略同様の構造を有する。本例のセパレータ及び発電部においては、放熱フィンの表面に特徴を有することから、放熱フィンの表面について詳細に説明し、燃料電池装置及び発電部の詳細な構成の説明については省略する。
【0087】
図12は、本例にかかる発電部を構成しセパレータと接合体とが積層される積層方向に関して位置する放熱フィンの一部の断面を示す断面図である。本例のセパレータ及び燃料電池装置によれば、放熱フィンの表面粗さ、或いは表面処理の違いにより発電部のサイズや設計を変更することなく、発電部の温度を略均一に維持することができる。
【0088】
図12に示すように、放熱フィン113a〜113cは本例にかかる燃料電池装置に搭載される発電部を構成するセパレータに設けられる放熱フィンであり、放熱フィン113aは積層方向に関して発電部の略中央付近に位置し、放熱フィン113b,113cは順に放熱フィン113より発電部の外側に位置する。また、放熱フィン113a〜113cの幅寸法、長さ寸法及び厚み寸法は等しい。放熱フィン113aの表面114aが略平滑とされているのに対して、放熱フィン113bの表面114bは凹凸が大きく、表面粗さが大きい。さらに、放熱フィン113cの表面114cは表面114bより表面粗さが大きい。放熱フィン113a〜113cの表面積は、放熱フィンの外形寸法、すなわち幅寸法、厚み寸法及び長さ寸法によって算出される表面積と等しくなるが、表面114a〜114cの表面粗さが異なることから実質的な表面積は異なる。
【0089】
具体的には、放熱フィン113bの表面積は、放熱フィン113aの表面積より実質的には大きく、放熱フィン113bの外形寸法により算出した表面積に比べて、実質的な表面積を大きくすることができる。同様に放熱フィン113cの表面積は放熱フィン113bの表面積より実質的は大きくなる。よって、同じ外形寸法を有する放熱フィンでも、表面粗さが大きい放熱フィンほど実質的な表面積を大きくすることができ、表面積の大きさに応じて放熱量を増大させることができる。さらに、表面粗さを大きくすることで、熱放射率を高めることができる。すなわち、放熱フィン113a〜113cは、積層方向に関して配設される位置の違いに応じて熱放射率を所要の値とすることができる。したがって、本例の場合、発電部の外側に配設される放熱フィンほど熱放射率を小さく設定し、発電部全体が均一な温度なるよう各放熱フィンからの放熱量を調整することができる。
【0090】
このように表面粗さが異なる放熱フィンが設けられたセパレータを発電部の所要の位置に配設することにより、各放熱フィンからの放熱量を他のセパレータより高めることができる。すなわち、発電部の温度を略均一になるように所要の表面粗さを有する放熱フィンを配置すれば良い。例えば、発電部の略中央に配設される発電セルを構成するセパレータに表面粗さが大きい放熱フィンを設け、外側に位置する放熱フィンの表面粗さを小さく調整することにより、積層方向に沿って発電部の温度を略均一としながら発電を安定して行うことができる。また、放熱フィンの外形寸法を調整することがないため、発電部のサイズや設計を変更することが不要となる。
【0091】
また、放熱フィンの表面処理によって放熱フィンの熱放射率を調整することもできる。例えば、各放熱フィンの表面に異なるめっき加工に行い、めっきされためっき膜の熱放射率の違いを利用することもできる。また、これに限定されず、熱放射率を調整することができる表面処理であれば、如何なる表面処理でも放熱フィンに対して行うことができる。これにより、各放熱フィンからの放熱量を調整することができ、積層方向に沿って発電部の温度を略均一としながら発電を安定して行うことが可能となる。よって、表面粗さを調整する場合と同様に、放熱フィンの外形寸法を調整することがないため、発電部のサイズや設計を変更することが不要となる。
【0092】
さらに、本発明にかかる燃料電池装置の温度調整方法によれば、放熱フィンの周辺に空気を流動させながら放熱を行う際に、放熱フィンが配設される位置の違いに応じて放熱量を調整することが可能であり、スタック構造を有する発電部の温度を略均一となるようにして発電を行うことができる。具体的には、放熱フィンの表面積、断面積、隣り合う放熱フィンの間隔及び放熱フィンの熱放射率を所要の値に設定して放熱量を調整することが可能となる。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置によれば、燃料電池本体とされる発電部がスタック構造を有する場合でも、セパレータと接合体とが積層される積層方向に関して発電部に温度勾配を生じさせることなく、発電部全体を略均一な温度に維持しながら安定して発電を行うことができる。
【0094】
さらに、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置によれば、セパレータの外形寸法を変更することなく各放熱フィンによる放熱量を調整することができ、発電部のサイズや設計を変更することなく、発電時に温度が略均一とされる燃料電池装置を提供することが可能となる。このようなセパレータ及び燃料電池装置によれば、燃料電池装置から駆動電力を受け取って駆動される各種電子機器に小型の燃料電池装置を搭載することも可能となる。
【0095】
また、本発明にかかる燃料電池装置の温度調整方法によれば、放熱フィンの周辺に空気を流動させ、流動される空気に放熱される放熱量を放熱フィンが配設される一の違いに応じて調整することにより、スタック構造を有する発電部の積層方向に関する温度勾配を抑制し、発電部全体の温度を均一に維持しながら安定した発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる燃料電池装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明にかかる燃料電池を構成する筐体の構造を示す構造図であって、(a)は側面図、(b)は他の側面を示す側面図、(c)は端面図、(d)は他の端面を示す端面図である。
【図3】本発明にかかる燃料電池装置を構成する発電部の概観を示す斜視図である。
【図4】本発明にかかる燃料電池装置を構成する発電部の一部を示す分解斜視図である。
【図5】本発明にかかる燃料電池を構成するセパレータの基本的な構造を示す構造図であって、(a)はセパレータの表面側の構造を示す平面図、(b)は裏面側の構造を示す平面図である。
【図6】本発明にかかる燃料電池装置に好適な発電部の一例を側面側からみた側面図である。
【図7】図6に示す発電部が備える放熱フィンを模式的に示した斜視断面図である。
【図8】本発明にかかる燃料電池装置に好適な発電部の一例を側面側からみた側面図である。
【図9】図8に示す発電部が備える放熱フィンを模式的に示した斜視断面図である。
【図10】本発明にかかる燃料電池装置に好適な発電部の一例を側面側からみた側面図である。
【図11】本発明にかかる燃料電池装置に好適な発電部の一例を側面側からみた側面図である。
【図12】本発明にかかるセパレータに好適な放熱フィンを模式的に示した断面図であり、(a)は表面が平滑な放熱フィンの断面図であり、(b)は表面の表面粗さが大きい放熱フィンの断面図である。
【符号の説明】
1 燃料電池装置、10 筐体、11,12,13 排気口、14,15 吸気口、16,18 接続孔、20 制御基板、70,80,90,100 発電部、72,82,92,102 接合体、40,75,77,85,105 開口部、35 封止部材、36 固体高分子電解質膜、37 電極、38,43 溝部、41 排出孔、42 供給孔、45,46 接続部、50 発電セル、51 冷却ファン、52,53 空気供給ファン、54 水素パージバルブ、55レギュレータ、56 手動バルブ、60 水素吸蔵カートリッジ、73a〜73i,83a〜83i,93a〜93i,103a〜103i,113a〜113c 放熱フィン、74,94,104 セパレータ本体部、71a〜71i,81a〜81i,91a〜91i,101a〜101i セパレータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、セパレータ、燃料電池装置及び燃料電池装置の温度調整方法に関する。さらに詳しくは発電を行う際の燃料電池装置の温度を略均一に維持することができるセパレータ、燃料電池装置及び燃料電池装置の温度調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、例えば水素ガスの如き燃料ガスと空気に含まれる酸素ガスの如き酸化剤ガスを電気化学的に反応させることにより発電を行う発電素子である。燃料電池は、発電により生成される生成物が水であることから環境を汚染することがない発電素子として近年注目されている。
【0003】
また、燃料電池は、発電セルを複数結合させることにより出力される電力量を高めることが可能である。例えば固体高分子電解質膜の両面に電極を形成してなる接合体を発電体とし、この発電体をセパレータで挟みこんで発電セルが形成される。さらに、このような発電セルが積層されたスタック構造を有する燃料電池本体を発電部とする燃料電池も開発されている。
【0004】
燃料電池は水素と酸素の化学反応によって発電を行うため、電気化学的な反応による損失分や発電部を構成する材料の電気抵抗などによって発熱し、発電セルが積層されてなる燃料電池本体の温度が上昇する。燃料電池本体は、実質的に発電を行う発電部であり、発電部の温度上昇は安定した発電を行うためには好ましくない。例えば、固体高分子電解質膜とかかる固体高分子電解質膜を挟む電極とから構成される発電体を有する固体高分子型燃料電池においては、固体高分子電解質膜に含まれる水分量が温度上昇と共に減少し、ドライアップと呼ばれる不具合を招く場合がある。よって、固体高分子電解質膜に好適な水分を吸湿させた状態で安定した発電を行うためには、燃料電池本体とされる発電部から熱を外部へ放熱する技術が重要とされる。
【0005】
このような問題点を改善するために各種技術開発が活発に行われており、スタック構造を有する発電部から熱を放熱するための技術として、スタック構造を有する発電部に配設された各セパレータに放熱フィンを設けることにより放熱を行う技術が知られている(例えば特許文献1)。また、プレート型ヒートパイプにより発電部を冷却する技術も提案されている(例えば特許文献2,3)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−162842号公報
【特許文献2】
特開平11−214017号公報
【特許文献3】
特開2000−353536号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1により開示された技術によれば、発電体とこの発電体に直接接して挟み込むセパレータ本体部とで構成される発電セルにおいて、発電を行う際に生じる熱はセパレータ本体部に設けられた放熱フィンから外部に放熱されるだけでなく、セパレータ本体部の他の側縁部からも放熱される。さらに、発電セルで生じる熱はセパレータ本体部から放熱フィンに伝熱されるに止まらず、発電部の高さ方向、すなわちセパレータ本体部と発電体とが積層される積層方向にも伝熱される。したがって、スタック構造を有する発電部においては、発電時に発電部の上部、中央部及び下部で温度を比較した場合に、上述した積層方向に関する位置に応じて各部で温度が異なる場合がある。具体的には、積層方向に関して発電部の中央部に位置する発電セルの温度が他の発電セルより高くなり、発電部の上部及び下部を構成する発電セルの温度が低くなる傾向にある。このように、発電部の中央部から上部、発電部の中央部から下部に亘って温度勾配が生じた状態で発電を行った場合には、他の発電セルより温度が高い発電セル、特に発電部の中央付近に配設される発電セルにドライアップなどの不具合が生じ、発電部による安定した発電を行うことが困難となる場合がある。
【0008】
また、特許文献2,3により開示された技術においても特許文献1に記載された技術と同様に、発電部に配設される発電セルの位置に応じて発電セルの温度を調整する技術については言及されておらず、スタック構造を有する発電部について発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して生じる温度勾配を改善し、発電部全体の温度を均一に維持しながら発電を行うことは難しい。
【0009】
よって、本発明は上述の問題点を鑑み、スタック構造を備える発電部において、積層方向に関して発電セルが配設される位置に応じて各発電セルの温度が調整され、発電部全体の温度を略均一に維持しながら発電を行うことができるセパレータ、燃料電池装置及び燃料電池装置の温度調整方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるセパレータは、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるように積層されるセパレータであって、発電体と接するセパレータ本体部と、セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、放熱部の断面積が、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して、セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。本発明にかかるセパレータによれば、放熱部の断面積の大きさに応じて各セパレータ本体部から放熱部に伝わる熱量が異なることから、発電部全体の温度が均一となるように各セパレータ本体部から各放熱部に所定の熱量を伝えることができる。
【0011】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の断面積は、発電体とセパレータ本体部とが積層されてなる燃料電池本体において、積層方向に関して放熱部より外側に配設される放熱部の断面積より大きいことを特徴とする。このような放熱部によれば、発電体とセパレータ本体部とで構成される発電セルが配設される位置に応じて発電セルから放熱部に伝熱される伝熱量を調整することができ、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して各発電セルの温度を略均一とすることが可能となる。
【0012】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部は略平板状とされることを特徴とする。このような放熱部によれば、放熱部の断面積を設定する際に放熱部の所定の寸法を変更することにより正確に断面積を設定することができる。
【0013】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の断面積は、放熱部の幅寸法、及び厚み寸法のうち少なくとも一の寸法を変えることにより設定されることを特徴とする。このようなセパレータによれば、放熱部の幅寸法、及び厚み寸法のうち少なくとも一の寸法を変えることにより発電部全体の温度を均一にすることができるだけでなく、発電部全体の温度が略均一になるように放熱部の設計を容易に行うことができる。
【0014】
本発明にかかるセパレータは、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるように積層されるセパレータであって、発電体と接するセパレータ本体部と、セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、放熱部の表面積は、発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関して、セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。本発明にかかるセパレータによれば、放熱部の表面積の大きさに応じて各放熱部から放熱される放熱量を調整し、発電部全体の温度が均一となるように各放熱部から所定の熱量を放熱することにより発電部の温度を略均一にすることができる。
【0015】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の表面積は、発電体とセパレータ本体部とが積層されてなる燃料電池本体において、積層方向に関して放熱部より外側に配設される放熱部の表面積より大きいことを特徴とする。このような放熱部によれば、発電体とセパレータ本体部とで構成される発電セルが配設される位置に応じて放熱部から放熱される放熱量を調整することができ、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して各発電セルの温度を略均一とすることが可能となる。
【0016】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部は略平板状とされることを特徴とする。このような放熱部によれば、放熱部の表面積を設定する際に放熱部の所定の寸法を変更することにより正確に表面積を設定することができる。
【0017】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の表面積は、放熱部の幅寸法、長さ寸法、及び厚み寸法のうち少なくとも一の寸法を変えることにより設定されることを特徴とする。このようなセパレータによれば、発電部全体の温度を均一にすることができるだけでなく、放熱部の幅寸法、長さ寸法、及び厚み寸法のうち少なくとも一の寸法を変えることより発電部全体の温度が略均一になるように放熱部の設計を容易に行うことができる。
【0018】
本発明にかかるセパレータは、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるように積層されるセパレータであって、発電体と接するセパレータ本体部と、セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、放熱部の熱放射率が、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して、セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。本発明にかかるセパレータによれば、放熱部の熱放射率の大きさに応じて各放熱部から放熱される放熱量を調整することができ、発電部全体の温度を略均一とすることができる。
【0019】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の熱放射率は、発電体とセパレータ本体部とが積層されてなる燃料電池本体において、積層方向に関して放熱部より外側に配設される放熱部の熱放射率より大きいことを特徴とする。このような放熱部によれば、発電体とセパレータ本体部とで構成される発電セルが配設される位置に応じて放熱部から放熱される放熱量を調整することができ、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して各発電セルの温度を略均一とすることが可能となる。
【0020】
本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の熱放射率は、放熱部の表面の表面粗さを変えることにより設定されることを特徴とする。このようなセパレータによれば、放熱部のサイズや外形などの設計を変更することなく放熱部からの放熱量を変えることが可能となる。
【0021】
さらに、本発明にかかるセパレータにおいては、放熱部の熱放射率は、放熱部の表面に対する表面処理を変えることにより設定されることを特徴とする。このようなセパレータによれば、放熱部のサイズや外形などの設計を変更することなく放熱部からの放熱量を変えることが可能となる。
【0022】
本発明にかかる燃料電池装置は、発電体と他発電体とを電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、セパレータは、発電体と接するセパレータ本体部と前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを有し、発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関して隣り合う放熱部の間隔が、積層方向に関して放熱部が前記燃料電池本体に配設される位置の違いに応じて所要の間隔とされていることを特徴とする。本発明にかかる燃料電池装置によれば、隣り合う放熱部の間に流動する空気の流量が積層方向に関する放熱部の位置に応じて異なることにより放熱部から放熱される熱量を変えることが可能である。これにより、燃料電池本体全体の温度を均一にすることができ、安定した発電をおこなうことが可能となる。
【0023】
本発明にかかる燃料電池装置においては、燃料電池本体に供給される酸化用流体を各放熱部の間に流動させて放熱部からの放熱が行われることを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、燃料電池本体に酸化用流体を供給し、隣り合う放熱部の間に流動される酸化用流体の流量を調整することにより放熱部からの放熱量を変えることが可能となる。これにより、燃料電池本体全体の温度を均一にすることができ、安定した発電を行うことができる。
【0024】
さら、本発明にかかる燃料電池装置においては、所定の間隔は、積層方向に関して燃料電池本体の外側に位置して隣り合う放熱部の間隔ほど小さいことを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、燃料電池本体の中央部に比べて温度上昇が小さい外側の発電セルからの放熱量を抑制することにより燃料電池本体の全体の温度上昇を抑制すると共に、燃料電池本体の温度を略均一にすることができる。
【0025】
また、本発明にかかる燃料電池装置においては、セパレータ本体部の厚み寸法は、積層方向に関して燃料電池本体の外側に位置するセパレータ本体部ほど小さいことを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、各セパレータ本体部に同じ厚み寸法を有する放熱部を突設した場合には、隣り合うように配設されたセパレータ本体部の厚み寸法に応じて隣り合う放熱部の間隔が決まることとなり、燃料電池本体の外側に位置する放熱部ほど隣り合う放熱部との間隔が狭くなる。これにより、燃料電池本体の温度上昇を抑制され、さらに燃料電池本体の外側に位置する放熱部ほど放熱量が抑制されることにより燃料電池本体の全体の温度を均一にすることが可能となる。
【0026】
また、本発明にかかる燃料電池装置においては、放熱部の厚み寸法と放熱部が突設されるセパレータ本体部の厚み寸法の差は、積層方向に関して燃料電池本体の外側ほど小さいことを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、隣り合うように配設されたセパレータ本体部について、各セパレータ本体部の厚み寸法とこれらセパレータ本体部に突設される放熱部の厚み寸法がそれぞれ異なる場合でも、放熱部の厚み寸法と放熱部が突設されるセパレータ本体部の厚み寸法の差に応じて隣り合う放熱部の間隔が決まることとなり、燃料電池本体の外側に位置する放熱部ほど隣り合う放熱部との間隔が狭くなる。これにより、電池本体の外側に位置する放熱部ほど放熱量が抑制され、発電セルが配設される位置に応じて放熱部からの放熱量が調整されて燃料電池本体の全体の温度を均一にすることができる。
【0027】
本発明にかかる燃料電池装置は、発電体と発電体に隣り合う発電体を電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、セパレータは、発電体と接するセパレータ本体部とセパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、放熱部の断面積が、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関して前記セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、各セパレータ本体部から放熱部に伝わる伝熱量が調整され、燃料電池本体の全体の温度を均一に維持しながら安定した状態で発電を行うことができる。
【0028】
本発明にかかる燃料電池装置は、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、セパレータは、発電体と接するセパレータ本体部と前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを有し、放熱部の表面積が、発電体とセパレータ本体部とが積層される積層方向に関してセパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、放熱部から放熱される熱量が各放熱部で調整され、燃料電池本体の全体の温度を均一に維持しながら安定した状態で発電を行うことができる。
【0029】
本発明にかかる燃料電池装置は、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、セパレータは、発電体と接するセパレータ本体部とセパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを有し、放熱部の熱放射率が、発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関してセパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていることを特徴とする。このような燃料電池装置によれば、放熱部のサイズや外形などの設計を変えることなく放熱部から放熱される熱量を調整することができるため、燃料電池本体の設計を変更することなく簡単に燃料電池本体全体の温度を略均一に維持することができる。
【0030】
本発明にかかる燃料電池装置の温度調整方法は、発電体と、発電体と他の発電体とを電気的に導通させるセパレータとが積層されてなる燃料電池本体の温度を調整する燃料電池装置の温度調整方法であって、発電体と接するセパレータ本体部と、セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とによりセパレータを構成し、燃料電池本体を冷却するための冷却用流体を放熱部の周辺に流動させ、発電体とセパレータとが積層される積層方向に関して、放熱部が配設される位置の違いに応じて放熱部からの放熱量を調整することを特徴とする。このような燃料電池装置の温度調整方法によれば、スタック構造を有する燃料電池本体の温度が積層方向に関して略均一となるように放熱部からの放熱量が調整することができ、安定した発電を行うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置について説明する。本発明にかかるセパレータは放熱部に特徴を有し、さらに本発明にかかるセパレータにより構成される燃料電池本体、すなわち発電部を搭載する燃料電池装置は、放熱部の特徴を生かして発電部の温度を均一に維持しながら発電を行うことができる燃料電池装置である。
【0032】
先ず、図1乃至図7を参照しながら本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置の構成を説明する。図1に示すように、燃料電池装置1は、筐体10、制御基板20、発電部70、冷却ファン51、空気供給ファン52,53、水素パージバルブ54、レギュレータ55及び手動バルブ56を備える。また、燃料電池装置1は、水素ガスを吸蔵させた水素吸蔵カートリッジ60から供給される水素ガスを受け取り、発電を行う。
【0033】
図1及び図2に示すように、筐体10は略直方体形状の外形を有し、燃料電池装置1に搭載される各種機器を覆うように内部が空洞とされると共に底面が開放されている。筐体10は排気口11,12及び13、吸気口14,15を備え、筐体10の上面の端部は排気口11,12,13が形成された側面に向かう傾斜面とされる。図2(a)に示すように、排気口11と排気口12,13とは筐体10の側面に隣り合うように形成され、発電部70を冷却するために燃料電池装置1内で流動された空気と発電部70による発電反応後の空気とが排気口11,12,13からそれぞれ排出される。排気口11は、発電部70を構成するセパレータに設けられた放熱部から熱を放熱させるために、燃料電池装置1から空気を排出する吐き出し口である。さらに、排気口11は、筐体10の側面に略矩形状に開口し、上下方向に複数形成されている。排気口12、13は、発電部70が発電を行った後の排気を排出するための吐き出し口とされる。排気口12、13は、筐体10の側面に矩形状に開口し、排気口11に沿って上下方向に複数形成されている。
【0034】
図2(b)に示しように、吸気口14,15は、筐体10の排気口11及び排気口12,13が形成された筐体10の側面と対面する側面に形成され、吸気口14,15から発電部70を冷却するための空気と発電部70による発電反応に供される酸素を含む空気とがそれぞれ燃料電池装置1内に取り込まれる。吸気口14は、発電部70を構成するセパレータに設けられた放熱部から熱を放熱させるための空気を取り込むための取り込み口であり、筐体10の側面に略矩形状に開口し、上下方向に複数形成されている。吸気口15は、発電部70が発電を行う際に発電部70に供給される空気が取り込まれるための取り込み口とされ、吸気口14と同様に筐体10の側面に略矩形状に開口し、吸気口14に沿って上下方向に複数形成されている。
【0035】
また、図1、図2(c)及び(d)に示すように、筐体10の一の端面には燃料電池装置1と外部との間で各種信号を送受信するための配線が通される接続孔16を形成されている。切り欠き部17は接続孔16が形成された端面の下側の一部に形成され、外部と燃料電池装置1の内部との間で各種信号を送受信するための配線が切り欠き部17に通される。接続孔16及び切り欠き部17が形成された端面の反対側に位置する端面にも接続孔16及び切り欠き部17と同様に配線などを通すための接続孔18が形成されている。
【0036】
図1に示すように、制御基板20は発電部70の上側に配設され、燃料電池装置1を構成する各種機器を制御するための制御回路が形成されている。制御回路の詳細については図中において詳細に示さないが、例えば冷却ファン51、空気供給ファン52,53の駆動の制御、或いは水素パージバルブ54の開閉動作の制御回路、発電部70により出力される電圧を昇圧するDC/DCコンバータの如き電圧変換回路を制御基板20に搭載することができる。さらにセンサにて検知された温度や湿度などの各種環境条件を取得することにより各種機器の駆動に関する指示を制御基板20に実装された回路に行わせることもできる。また、本例の燃料電池装置1においては燃料電池装置1内に制御基板20が配設されるが、制御基板20は燃料電池装置1の外部に配設されていても良く、例えば、燃料電池装置1から駆動用の電力が提供される各種電子機器に制御基板20を配設しておくこともできる。
【0037】
次に、図1、図3乃至図7を参照しながら、燃料電池本体とされる発電部70の構造を説明する。
【0038】
図1及び図3に示すように、発電部70は略直方体形状を有し、基台57に配設されている。発電部70は、9枚のセパレータ71の間にそれぞれ発電体としての接合体72が挟みこまれてなる発電セルから構成され、これら発電セルが8個直列に接続された構造を有している。このような発電セルは1素子で約0.6Vの電圧を出力することができるため、発電部70の全体では4.8Vの電圧を出力することが可能である。発電部70は、約2Aの電流を流すことが可能であり出力される電力は理想的には9.6Wとなるが、発電反応における発熱などによって実際の出力電力は理想的な出力電力の約7割である約6.7Wとされる。しかしながら、接合体72に含まれる水分量の調整や発電部70への水素ガスの円滑な供給によりさらに出力電力を高めることができる。また、発電部70を形成する発電セルは本例のように8素子に限定するものではなく、各種電子機器を駆動するために必要とされる出力電力に合わせて所要の数の発電セルにより発電部70を形成することもできる。発電部70の側面79には各セパレータ71に形成された開口部77が臨み、発電部70の側面79の反対側の側面にも各開口部77に対応するように開口部40が形成されている。開口部77と、開口部77が臨む側面79と反対側の側面に臨む開口部40を介して、発電部70に対する空気の供給、及び排出が行われる。
【0039】
セパレータ71は、セパレータ本体部74と放熱フィン73とから構成される。セパレータ本体部74は接合体72と積層される。放熱フィン73は、セパレータ本体部74の側縁部に設けられ、発電が行われる際に発電部70の温度上昇を抑制するために放熱を行う。放熱フィン73は、発電部70の高さ方向、すなわちセパレータ71と接合体72とが積層される積層方向に配設される位置に応じてそれぞれ異なる幅寸法を有している。また、セパレータ本体部74の側縁部からの長さ、すなわち放熱フィン73の長さ寸法は、発電部70を構成する各放熱フィンについて同様の長さ寸法とされる。
【0040】
また、図1に示すように、発電部70の側面79に沿って、冷却ファン51、空気供給ファン52,53が隣り合うように配設されている。冷却ファン51は、放熱フィン73の側面側から各放熱フィン73の間に空気を流動させ、放熱フィン73から放熱させる。また、空気供給ファン52,53は開口部77に臨むように配設されており、開口部77を介して発電部70内で空気を流動させる。
【0041】
続いて、図4乃至図7を参照しながら発電部70と、発電部70を構成するセパレータ71の構造について詳細に説明する。
【0042】
図4に示すように、セパレータ71により挟み込まれる接合体72は、吸湿した際にイオン伝導性を有する固体高分子電解質膜36及びかかる固体高分子電解質膜36を両面から挟み込む電極37から形成される。さらに、スタック構造を形成した際にセパレータ71と接合体72との間を封止する封止部材35が接合体72の周縁付近に配置されている。封止部材35は、セパレータ71の周縁部と接合体72の周縁部とを十分に絶縁することができる材質を用いれば良い。固体高分子電解質膜36としては、例えばスルホン酸系の固体高分子電解質膜を用いることができる。電極37は、発電反応を促進するための白金の如き触媒が担持された電極を用いることもできる。発電部70を構成する発電セルは2枚のセパレータ71とセパレータ71に挟み込まれる接合体72によって形成され、例えば、図4には直列に接続される2つの発電セル50が示されている。
【0043】
図5は、セパレータ71の構造を示す平面図である。セパレータ71の両面にはそれぞれ溝部38,43が形成されており、発電部70を組み上げた際に溝部43が接合体72の燃料極と接し、溝部38が接合体72の空気極と接する。また、セパレータ71には、溝部43に接続された供給孔42及び排出孔41、溝部43と供給孔42とを接続する接続部45、溝部43と排出孔41とを接続する接続部46が形成されている。また、溝部38,43が形成されるセパレータ本体部74の側縁部には放熱フィン73が設けられている。
【0044】
図5(a)に示すように、溝部43は、燃料ガスとされる水素ガスを接合体72に供給するための面内流路とされる。溝部43は発電反応の効率を高めるためにセパレータ71の表面内を蛇行するように形成されており、水素ガスが接合体72の燃料極全体に供給されるような形状とされる。供給孔42は、発電部70の外部に設けられた水素吸蔵カートリッジ60の如き水素ガス貯蔵部から溝部43に水素ガスを供給する際の水素ガスの流路とされる。接続部45は溝部43と供給孔42とを接続し、溝部43に水素ガスを供給する。また、接続部46は溝部43と排出孔41とを接続し、溝部43から発電反応後の水素ガスを排出する。本例のセパレータ71においては、接続部45,46の断面積は各セパレータ71と接合体72とによりスタック構造を形成した際の溝部43の断面積より小さくなるように形成され、例えば接続部45,46の幅が溝部43の幅より狭くなるように形成される。さらに、接続部45の幅を接続部46の幅より狭くなるように形成し、溝部43への水素ガスの入口側の幅を出口側の幅より狭くしておく。
【0045】
供給孔42及び排出孔41は、スタック構造を形成した際に積層される各セパレータ71の間で接続され、水素ガスを各セパレータ71に供給する供給路と発電後の水素ガスを排出するための排出路を形成する。溝部43に水が蓄積された際には、この排出路を水素パージバルブ54により大気開放して溝部43に蓄積された水の供給路側と排出路側とに圧力差を生じさせ、この圧力差によって水を排出することができる。さらに、スタック構造を形成した際の任意のセパレータ71の溝部43に水が蓄積された場合でも、水が蓄積された溝部43内にのみ瞬間的に圧力差を生じさせることが可能であり、水を排出し発電部70に安定して水素ガスを供給することができる。
【0046】
図5(b)に示すように、溝部38はセパレータ71の溝部43が形成された面の裏面側に形成され、酸素を含む空気を流すための流路とされる。溝部38は、セパレータ71の幅方向に延在するように形成されてセパレータ71の側面に開口する。さらに、溝部38は、セパレータ71の長手方向に沿って複数形成されている。また、溝部38がセパレータ71の側面にそれぞれ開口する開口部77,40を介して酸素を含む空気が溝部38に供給されて、排気される。開口部77,40の幅は溝部38の幅より大きめとされ、開口部77,40の側壁が溝部38の側壁に対して傾斜したテーパー形状になるように開口部77,40をすることができる。このような開口部77,40によれば、溝部38への空気の取りこみ又は溝部38から空気を排出する際の空気に対する流路抵抗を低減することができ、溝部38に円滑に空気を流動させることができる。また、開口部77,40の高さ方向に沿った開口幅が溝部38の高さ寸法より大きめになるように開口部77,40を形成して、流路抵抗をさらに低減することが可能となる。
【0047】
図6は、発電部70を側面からみた側面図である。また、図7は、発電部70を構成するセパレータに設けられた放熱フィンの一部を模式的に示した斜視断面図である。なお、セパレータ71を、発電部70の上側から下側に向かって配設される位置に応じて順にセパレータ71a〜71iとし、同様に放熱フィン73を放熱フィン73a〜73iとして説明する。
【0048】
図6に示すように、発電部70は、セパレータ71a〜71i及びセパレータ71a〜71iに挟み込まれて発電セルを構成する接合体72から構成される。セパレータ71a〜71iには、接合体72と直接接するセパレータ本体部74の側縁部に放熱フィン73a〜73iが設けられている。
【0049】
セパレータ71a〜71iのセパレータ本体部74の側面にはそれぞれ接合体72に空気を供給するための開口部77が複数形成されており、発電部70の側面側に配設された空気供給ファンから開口部77に空気が供給される。また、発電部70の側面に沿って空気供給ファンと隣り合うように配設される冷却ファンにより、放熱フィン73a〜73iの周辺に空気が流動されて放熱フィン73a〜73iから放熱される。
【0050】
放熱フィン73a〜73iは、セパレータ71a〜71iに設けられたセパレータ本体部74の側縁部から延在し、略平板形状とされる。放熱フィン73a〜73iの長さ寸法、すなわち各セパレータ本体部74の側縁部から各放熱フィン73a〜73iの先端までの長さは互いに略等しい。放熱フィン73a〜73iの厚み寸法も互いに略等しく、セパレータ71a〜71iのセパレータ本体部74の厚み寸法も略等しい。放熱フィン73a〜73iは、幅方向、すなわち図中奥行き方向に関して放熱フィン73a〜73iの中心がセパレータ71a〜71iの中心と略一致するように各セパレータ71a〜71iのセパレータ本体部74に設けられている。
【0051】
図7に示すように、放熱フィン71a〜71dの幅寸法w1〜w4については、セパレータ71a〜71iが積層される積層方向に沿って発電部70の略中央に位置する放熱フィン73dの幅寸法w4が最も大きく、放熱フィン73dより上側、すなわち積層方向に沿って発電部70の外側に位置する放熱フィンほど幅寸法が小さい。具体的には、幅寸法w1〜w4で比較すると、幅寸法w4が最も大きく、幅寸法w3,w2,w1の順に外側に位置する放熱フィンの幅寸法ほど小さく設定されている。発電部70を構成するセパレータのうち最も大きな幅寸法を有するのは、発電部70のほぼ中央に位置する放熱フィン73eであり、放熱フィン73eの下側に位置する放熱フィン73f〜73iは外側ほど順に小さい幅寸法を有する。なお、本例では放熱フィン73e及びその下側に位置する放熱フィン73f〜73iについての詳細な説明は省略するが、放熱フィン73a〜73dと同様に積層方向に関して幅寸法が設定されて放熱量が調整される。
【0052】
放熱フィン73a〜73dの断面積S1〜S4は、放熱フィン73a〜73dの厚み寸法が等しいことから、幅寸法w1〜w4の大きさによって大きさが決まる。放熱フィン73aの断面積S1が最も小さく、放熱フィン73b,73c,73dの順に断面積が大きくなるように各放熱フィン71a〜71dの幅寸法w1〜w4が調整されて放熱フィン73a〜73dが設けられている。すなわち、放熱フィン73a〜73dについては、積層方向に沿って発電部70の中央付近に位置する放熱フィン73dの断面積S4が最も大きく、発電部70の外側に向かって断面積S3,S2,S1の順に断面積が小さくなるように放熱フィン73a〜73dの幅寸法w1〜w4が設定されている。
【0053】
放熱フィン73a〜73dは、これら放熱フィン73a〜73dがそれぞれ設けられたセパレータ71a〜71dのセパレータ本体部74から熱を放熱させるための放熱部であり、放熱フィンの断面積が大きいほどセパレータ本体部74から放熱フィンに伝わる熱量が大きくなる。したがって、積層方向について、発電部70の中央付近に配設されるセパレータ71dのセパレータ本体部から放熱フィン73dに伝わる熱量を放熱フィン73dの外側に位置する放熱フィンより増大させる。セパレータ71a〜71dを有してなる発電セルにおいては、発電部70の中央付近に配設されるセパレータが他のセパレータより温度が高くなる傾向にあり、セパレータは積層方向に関して発電部70の外側に配設されるほど温度が低くなる傾向にある。よって、積層方向に関して、発電部70の中央に近い位置に配設されるセパレータほど放熱フィンを介した伝熱量を他のセパレータより大きくすることにより、発電セルの温度上昇を抑制し、且つ各発電セルの温度を均一にすることが可能となる。セパレータ71e〜71iにより構成される発電セルについても、同様に発電部70の外側に位置する放熱フィンほど放熱フィンの断面積を小さく設定し、各発電セルから放熱フィンへ伝わる伝熱量を調整することができる。
【0054】
また、放熱フィン73a〜73dの表面積は、放熱フィン73a〜73dの厚み寸法が等しいことから、幅寸法w1〜w4の大きさによって大きさが決まる。放熱フィン72a〜73dについては、発電部70の最も上側に位置する放熱フィン73aの表面積が最も小さく、放熱フィン73bから73dの順に表面積が大きくなるように各放熱フィン73a〜73dの幅寸法w1〜w4が設定されている。すなわち、放熱フィン73a〜73dについては、積層方向に沿って発電部70の中央付近に位置する放熱フィン73dの表面積が最も大きく、発電部70の外側に位置する放熱フィン73c〜73aの表面積が発電部70の外側に向かって順に小さくなるように放熱フィン73a〜73dの幅寸法が設定されていることになる。
【0055】
発電を行う際にセパレータ71dが他のセパレータ71a〜71cに比べて温度が高くなる傾向にあり、発電部70の外側に位置するセパレータほど温度が低くなる傾向にある。よって、積層方向に関して、発電部70の中央に近い位置に配設されるセパレータほど表面積を大きく設定して放熱フィンを介した放熱量を他のセパレータより大きくすることにより、を発電セルの温度上昇を抑制し、且つ積層方向に関して発電部70の内部で生じる温度勾配を低減して各発電セルの温度を均一にすることが可能となる。
【0056】
発電部70を構成し、セパレータ71e〜71iと接合体72とからなる下部は、発電部70が基台57に配設されていることによりセパレータ71a〜71dと接合体72からなる発電部70の上部と若干伝熱量及び放熱量が異なると考えられるが、放熱フィン73a〜73dと同様に放熱フィン73e〜73iの幅寸法を発電部70の中央から下側に位置する放熱フィンほど小さく設定する。このように放熱フィン73e〜73iに伝わる伝熱量及び各放熱フィンを介して放熱される放熱量を発電部70の下側ほど小さくすることにより発電部70の全体の温度を略均一に維持することができる。
【0057】
また、放熱フィン73a〜73iの断面積を放熱フィン73a〜73iが配設される位置に応じて設定することにより、各セパレータ本体部74から放熱フィン73a〜73iに伝えられる伝熱量及び放熱フィン73a〜73iからの放熱量を調整し、発電部70の全体の温度上昇を抑制することができると共に発電部70の温度を略均一とすることができる。このように発電時の温度が略均一とされる発電部70によれば、特定の発電セルの温度が他の発電セルより高くなることなく、安定した発電を行うことが可能となる。
【0058】
放熱フィン73a〜73iは平板形状を有していることから、放熱フィンの幅寸法を所要の値に設定することにより、精度良く、且つ容易に断面積及び表面積を設定して伝熱量及び放熱量を調整することができる。
【0059】
次に、図8及び図9を参照しながら、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置の別の例について説明する。図8は、発電部80を側面側からみた側面図であり、図9は、発電部80を構成する放熱フィンの一部を模式的に示した斜視断面図である。本例にかかる燃料電池装置は、燃料電池装置1と略同様の構成を有することから、燃料電池装置の全体の構成についての説明は省略する。なお、本例にかかる燃料電池装置においては、発電部80を構成する放熱フィン83a〜83iに特徴を有する。
【0060】
図8に示すように、発電部80は、発電部80の上側から下側に向かって順に配設されるセパレータ81a〜81iのそれぞれに設けられている放熱フィン83a〜83iの厚み寸法t1〜t9に特徴を有しており、セパレータ81a〜81iと接合体82とが積層される積層方向に関して、放熱フィン83a〜83iの位置に応じて厚み寸法t1〜t9は所要の値とされている。また、セパレータ81a〜81iの側面にはそれぞれ空気を接合体82に供給するための開口部85が複数形成されている。
【0061】
セパレータ81a〜81iを構成するセパレータ本体部84の厚み寸法は互いに等しく、放熱フィン83a〜83iの厚み寸法t1〜t9は、積層方向に沿って発電部80の外側に位置する放熱フィンほど小さい値に設定される。具体的には、発電部80の中央付近に配設されるセパレータ81eに設けられた放熱フィン83eの厚み寸法t5が、放熱フィン81eの上側及び下側に位置する放熱フィンの厚み寸法より大きな値とされる。放熱フィン83eの上側に位置する放熱フィン83c,83dの厚み寸法t3,t4は互いに等しく、さらに上側に位置する放熱フィン83a,83bの厚み寸法t1,t2も互いに等しい。また、厚み寸法t3,t4に対して厚み寸法t1,t2は小さい値とされる。放熱フィン83eの上側に位置する放熱フィンと同様に、放熱フィン83eの下側に位置する放熱フィン83f,83gの厚み寸法t6,t7は互いに等しく、さらに下側に位置する放熱フィン83h,83iの厚み寸法t8,t9も互いに等しい。また、厚み寸法t6,t7に対して厚み寸法t8,t9は小さい値とされる。放熱フィン83a〜83iの幅寸法Wは放熱フィン83a〜83iで全て等しく、放熱フィン83a〜83iの長さ寸法も全て等しい。
【0062】
このように、積層方向に沿って、発電部80の中央から外側に向かって順に位置する放熱フィンの厚み寸法を小さくすることにより、各放熱フィンの断面積が発電部80の中央か外側に向かって小さい値とされる。また、放熱フィン83eの厚み寸法t5を他の放熱フィンより大きく設定し、発電部80の外側に配設される放熱フィンの厚み寸法を順に小さく設定してもよい。
【0063】
図9を参照しながら、発電部80の上部に位置する放熱フィン83a〜83eの断面積の関係について説明する。なお、放熱フィン83a〜83eの断面積をそれぞれS11〜S15とする。放熱フィン83a〜83eの幅寸法Wは等しいため、断面積S11〜S15は厚み寸法t1〜t5により決まり、断面積S5が最も大きく、他の放熱フィン83a〜83dの断面積S11〜S14は断面積S15より小さい値とされる。また、断面積S13,S14は互いに等しい値とされると共に、断面積S11,S12も互いに等しい値とされる。断面積S13,S14に比べて、断面積S11,S12は小さい値とされる。
【0064】
発電部80の中央付近に配設され、発電部80において最も温度上昇が大きい傾向を有するセパレータ81eに設けられる放熱フィン83eの断面積S15を他の放熱フィン83a〜83eの断面積S11〜S14より大きめにし、他のセパレータに比べてセパレータ81eのセパレータ本体部84からの伝熱量を高めることができる。さらに、放熱フィン83eに対して上側に位置する放熱フィン83c,83aの断面積S13,S11が順に小さい値とされていることにより、放熱フィン83c,83aがそれぞれ設けられたセパレータ81c,81aのセパレータ本体部84からの伝熱量をセパレータ81eに対して外側に位置する放熱フィンほど伝熱量を抑制することができる。
【0065】
このように、積層方向に関して、セパレータ81a〜81iが配設される位置に応じて各セパレータ81a〜81iのセパレータ本体部84から放熱フィン83a〜83iへの伝熱量が調整されていることにより、セパレータが配設される位置に関係なく、これらセパレータをそれぞれ備える発電セルの温度を均一に維持しながら発電部80に発電を行わせることが可能となる。特に、発電部80において、発電部80の外側に配設されるセパレータほど順に伝熱量が小さくなるように放熱フィンの厚み寸法を小さくすることにより、温度が上昇し易い傾向にある中央部に位置する放熱フィン83eの伝熱量を他の放熱フィンより大きくすることができる。これにより、発電部80の設計を変更することなく、簡単に発電部80の温度を均一に維持しながら発電を行うことができる。
【0066】
また、発電部80を構成する放熱フィン83a〜83iの厚み寸法t1〜t9を調整することにより放熱フィン83a〜83iの表面積を放熱フィン83a〜83iが配設される位置に応じて調整することができる。各セパレータ本体部84から放熱フィン83a〜83iに伝わる熱は放熱フィン83a〜83iの表面から外部に放熱されることから、放熱フィンの表面積が大きいほど放熱量は大きくなる。
【0067】
具体的には、発電部80の上部について、放熱フィン83aの表面積が最も小さく、放熱フィン83b,83c,83dの順に表面積が大きくなるように各放熱フィンが各セパレータ本体部84に設けられている。すなわち、発電部80の最も上側に位置する放熱フィン83aからの放熱量が最も小さく、発電部80の略中央に位置する放熱フィン83dの放熱量が最も大きなものとなる。これにより、発電部80が発電を行う際に、他のセパレータより温度が高くなる傾向にあるセパレータ81dからの放熱量を他のセパレータに比べて大きくし、セパレータ81dにより構成される発電セルの温度上昇を抑制することができる。
【0068】
放熱フィン83a〜83cの表面積が積層方向に沿った位置に応じて調整されていることにより放熱量を調整し、セパレータ81a〜81dの温度を均一にすることが可能となる。発電部80の下部についても上部と同様に、発電部80の外側に位置する放熱フィンほど表面積が小さく放熱量が抑制されている。放熱フィン83a〜83iは平板形状を有していることから断面形状が矩形状とされ、放熱フィン83a〜83iの幅寸法或いは厚み寸法を所要の値に設定することにより、精度良く、且つ容易に表面積を設定して放熱量を調整することも可能である。
【0069】
なお、発電部80においては、例えば放熱フィン83a、83bのように放熱フィンが2枚一組で同じ厚み寸法を有しているが、発電部80の発電条件に応じて各放熱フィンの厚み寸法を、出力電力、発電部80のサイズ、及び発電部80を構成する材料の熱伝導率などを考慮して発電部80の温度が均一となるように所要の値にすることもできる。
【0070】
次に、図10を参照しながら、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置のさらに別の例について説明する。図10は、発電部90を側面側からみた側面図である。なお、本例にかかる燃料電池装置も燃料電池装置1と略同様の構成を有していることから、発電部90について詳細に説明する。発電部90は発電部70と略同様の構造を有し、放熱フィン93a〜93iに特徴を有する。
【0071】
図10に示すように、発電部90は、上側から順にセパレータ91a〜91iが積層され、各セパレータ91a〜91iの間にそれぞれ接合体92が挟み込まれて構成される。セパレータ91a〜91iに設けられる放熱フィン93a〜93iは幅寸法が等しい値とされる。発電部90は発電部70と略同様の構造を有し、発電部90を構成するセパレータ91a〜91iに設けられている放熱フィン93a〜93iの長さ寸法L1〜L9は、積層方向に関して所要の値とされる。特に、発電部90を構成するセパレータ91a〜91iの中で最も温度上昇が高い傾向とされ、発電部90の中央に配設されるセパレータ91eに設けられた放熱フィン93eの長さ寸法が最も大きいものとされる。セパレータ91eの上側及び下側に位置する放熱フィンは、放熱フィン93eより長さ寸法が小さいものとされる。なお、長さ寸法L6〜L9は、順にL4〜L1と等しく、図中には示していない。
【0072】
さらに具体的に説明すると、放熱フィン93eに沿って略平行に各セパレータ本体部94の側縁部から延在するように設けられた放熱フィン93a〜93dは、放熱フィン93a〜93dの順に長さ寸法L1〜L4が大きな値とされる。放熱フィン93eの下側に位置する放熱フィン93f〜93iの長さ寸法L6〜L9は放熱フィン93eの長さ寸法L5より小さく、さらに長さ寸法L6〜L9の順に小さい値とされる。したがって、放熱フィン93a〜93iについて、放熱フィン93eの表面積が最も大きく、放熱フィン91eの上側に配設される放熱フィン93a〜93dの表面積は、放熱フィン93d〜93aの順に大きな値とされる。また、放熱フィン93eの下側に配設される放熱フィン93f〜93iの表面積は、放熱フィン93f〜93iの順に大きな値とされる。
【0073】
このような放熱フィン93a〜93iがそれぞれ設けられたセパレータ91a〜91iで発電部90を構成することにより、セパレータ91a〜91iで構成される発電セルからの放熱量が放熱フィン93a〜93iの表面積により調整され、積層方向について発電部90の温度を均一に維持しながら発電を行うことができる。放熱フィンの長さ寸法の組み合わせは、発電部90を略均一な温度に維持することができれば如何なる組み合わせでも良く、本例の長さ寸法の組み合わせに限定されないことは勿論である。
【0074】
ここで、放熱フィン93a〜93iの厚み寸法t11〜t19が互い等しい場合、放熱フィン93a〜93iの幅寸法が互いに等しいことにより断面積が均一とされ、放熱フィン93a〜93iの断面積が一様とされる。断面積が一様な状態で放熱フィン93a〜93iの長さ寸法のみを各放熱フィンで互いに異なる寸法とした場合、放熱フィン内部の熱抵抗によりセパレータ本体部94の側縁部から放熱フィン93a〜93iの先端まで熱が伝わる割合が不均一となる。したがって、放熱フィンの表面積を大きめに調整しても表面積を増大させた相当分の放熱量を得ることができない場合がある。
【0075】
そこで、放熱フィン93a〜93iの厚み寸法t11〜t19を調整することにより各放熱フィン93a〜93iの表面積を調整して、熱抵抗を調整し、伝熱量を調整する。例えば、放熱フィン93eの厚み寸法t15を最も厚くなるように調整して熱抵抗を低減し、さらに放熱フィン93eの上側や下側、すなわち発電部90の中央から外側に位置する放熱フィンの厚み寸法を小さく調整する。本例の発電部90においては、一例としてt15を最も厚く調整し、放熱フィン93eの上側及び下側に位置する放熱フィンの厚み寸法を発電部の外側に位置するほど順に小さくする。このように、放熱フィン93a〜93iにおける熱抵抗を調整し、積双方向に関して放熱フィン93a〜93iが配設される位置に応じて表面積を設定することにより、発電部90の各部の温度が略一定となるように発電部90の温度を調整することができる。
【0076】
次に、図11を参照しながら、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置のさらに別の例について説明する。なお、本例にかかる燃料電池装置も燃料電池装置1と略同様の構成を有していることから、発電部100についてのみ詳細に説明する。発電部100は発電部70と略同様の構造を有し、放熱フィン103a〜103iの間隔に特徴を有する。
【0077】
図11は、発電部100を側面側からみた側面図である。図11に示すように、発電部100は発電部70と略同様の構造を有するが、接合体102とセパレータ101a〜101iとが積層される積層方向に関して隣り合う放熱部103a〜103iの間隔が、積層方向に関して放熱部103a〜103iの位置に基づいて所定の間隔とされている。また、発電部100は発電部70と略同様の構造を有し、空気を接合体102に供給するための開口部105が各セパレータ101a〜101iを構成するセパレータ本体部104の側面に複数形成されている。
【0078】
発電部100は、セパレータ101a〜101iとこれらセパレータ101a〜101iの間にそれぞれ接合体102を挟み込んで構成される。セパレータ101a〜101iには、それぞれ放熱フィン103a〜103iがセパレータ本体部104の側縁部に設けられている。発電部100の上側から積層方向に沿って隣り合う放熱フィン103a〜103iの間隔を順にd1〜d8とする。
【0079】
図1乃至図7を参照しながら説明した発電部70と同様に、発電部100には発電部100の側面側から空気が供給され、各放熱フィン103a〜103iの間を空気が流動する。放熱フィン103a〜103iの間を流動する空気には、放熱フィン103a〜103iから熱が伝達され、空気が装置の外部に排出されると共に熱が排熱される。
【0080】
間隔d1〜d8は、発電部100の中央付近に位置して隣り合う放熱フィンほど大きな間隔とされ、発電部100の外側に向かって小さい間隔とされる。例えば、発電部100においては、発電部100の略中央に配設されて隣り合う放熱フィン103e,103fの間隔d5が最も大きく、上側に向かって間隔d4,d3,d2,d1の順に小さい間隔とされる。また、発電部100の下側に位置する放熱フィン103f〜103iにおいて、隣り合う放熱フィンの間の間隔d6〜d8は、間隔d6,d7,d8の順に小さい間隔とされる。よって、間隔d1〜d8の大きさに応じて、各放熱フィンの間で流動する空気の流量が異なり、発電部100について温度が上昇し易い発電セルを構成するセパレータに設けられた放熱フィンからの放熱量を他の放熱フィンより高めることができる。
【0081】
さらに、間隔d1〜d4は間隔d5より小さく、間隔d2〜d4の順で隣り合う放熱フィンの間の間隔が大きくなるように調整される。放熱フィン103eの下側の位置する放熱フィン103f〜103iのそれぞれ隣り合う放熱フィンの間の間隔d6〜d8は、間隔d5より小さく、且つ間隔d6〜d8の順に小さいものとされる。このような発電部100においては、放熱フィン103e,103fの間の間隔d5を流れる空気の流量が最も大きく、間隔d4〜d1の順に空気の流量が小さくなる。さらに、間隔d6〜d8の大きさに合わせて、間隔d6〜d8を流動する空気の流量が小さくなる。
【0082】
すなわち、放熱フィン101a〜101iから放熱される放熱量は、空気の流量、すなわち間隔d1〜d8の大きさに応じて調整されることになり、発電部100の中央に配置する放熱フィン103d,103eからの放熱量が他の放熱フィンからの放熱量より大きなものとされる。
【0083】
さらに、発電部100の外側ほど空気の流量が小さくなるように間隔d1〜d8が設定されていることにより、発電時に温度が高くなり易い発電部100の中央に配設される発電セルほど他の発電セルに比べて放熱量を高められており、発電部100の積層方向に沿って温度を略均一とすることが可能となる。
【0084】
間隔d1〜d8は、各セパレータ本体部104の厚み寸法や放熱フィンの厚み寸法を所要の値にして調整することができる。例えば、セパレータ101a〜101iのセパレータ本体部104の厚み寸法を均一とし、厚み寸法が調整された放熱フィンをそれぞれのセパレータ本体部104に設けることにより間隔d1〜d8を調整することができる。また、セパレータ101a〜101iは、セパレータ本体部104の下面と放熱フィン103a〜103iの下面とがそれぞれ面一とされていることから、セパレータ本体部104の厚み寸法と放熱フィン103a〜103iの厚み寸法の差を調整するだけで所要の間隔d1〜d8を備える発電部100を構成することができる。
【0085】
図1乃至図11を参照しながら、放熱フィンの外形寸法を調整することにより、放熱フィンの断面積、表面積、或いは隣り合う放熱フィンの間の間隔を調整して温度を略均一される発電部、及びセパレータについて説明したが、これら外形寸法は上述した例における組み合わせに限定されず、放熱フィンの幅寸法、長さ寸法、厚み寸法及びセパレータ本体部の厚み寸法を組み合わせて調整し、発電部に配設されるセパレータの位置に応じて所要の放熱量及び伝熱量を確保できる放熱フィンを形成すれば良いことは勿論である。
【0086】
次に図12を参照しながら、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置のさらに別の例について説明する。なお、本例にかかる燃料電池装置も燃料電池装置1と略同様の構成を有し、さらに本例の燃料電池装置に搭載される発電部も発電部70と略同様の構造を有する。本例のセパレータ及び発電部においては、放熱フィンの表面に特徴を有することから、放熱フィンの表面について詳細に説明し、燃料電池装置及び発電部の詳細な構成の説明については省略する。
【0087】
図12は、本例にかかる発電部を構成しセパレータと接合体とが積層される積層方向に関して位置する放熱フィンの一部の断面を示す断面図である。本例のセパレータ及び燃料電池装置によれば、放熱フィンの表面粗さ、或いは表面処理の違いにより発電部のサイズや設計を変更することなく、発電部の温度を略均一に維持することができる。
【0088】
図12に示すように、放熱フィン113a〜113cは本例にかかる燃料電池装置に搭載される発電部を構成するセパレータに設けられる放熱フィンであり、放熱フィン113aは積層方向に関して発電部の略中央付近に位置し、放熱フィン113b,113cは順に放熱フィン113より発電部の外側に位置する。また、放熱フィン113a〜113cの幅寸法、長さ寸法及び厚み寸法は等しい。放熱フィン113aの表面114aが略平滑とされているのに対して、放熱フィン113bの表面114bは凹凸が大きく、表面粗さが大きい。さらに、放熱フィン113cの表面114cは表面114bより表面粗さが大きい。放熱フィン113a〜113cの表面積は、放熱フィンの外形寸法、すなわち幅寸法、厚み寸法及び長さ寸法によって算出される表面積と等しくなるが、表面114a〜114cの表面粗さが異なることから実質的な表面積は異なる。
【0089】
具体的には、放熱フィン113bの表面積は、放熱フィン113aの表面積より実質的には大きく、放熱フィン113bの外形寸法により算出した表面積に比べて、実質的な表面積を大きくすることができる。同様に放熱フィン113cの表面積は放熱フィン113bの表面積より実質的は大きくなる。よって、同じ外形寸法を有する放熱フィンでも、表面粗さが大きい放熱フィンほど実質的な表面積を大きくすることができ、表面積の大きさに応じて放熱量を増大させることができる。さらに、表面粗さを大きくすることで、熱放射率を高めることができる。すなわち、放熱フィン113a〜113cは、積層方向に関して配設される位置の違いに応じて熱放射率を所要の値とすることができる。したがって、本例の場合、発電部の外側に配設される放熱フィンほど熱放射率を小さく設定し、発電部全体が均一な温度なるよう各放熱フィンからの放熱量を調整することができる。
【0090】
このように表面粗さが異なる放熱フィンが設けられたセパレータを発電部の所要の位置に配設することにより、各放熱フィンからの放熱量を他のセパレータより高めることができる。すなわち、発電部の温度を略均一になるように所要の表面粗さを有する放熱フィンを配置すれば良い。例えば、発電部の略中央に配設される発電セルを構成するセパレータに表面粗さが大きい放熱フィンを設け、外側に位置する放熱フィンの表面粗さを小さく調整することにより、積層方向に沿って発電部の温度を略均一としながら発電を安定して行うことができる。また、放熱フィンの外形寸法を調整することがないため、発電部のサイズや設計を変更することが不要となる。
【0091】
また、放熱フィンの表面処理によって放熱フィンの熱放射率を調整することもできる。例えば、各放熱フィンの表面に異なるめっき加工に行い、めっきされためっき膜の熱放射率の違いを利用することもできる。また、これに限定されず、熱放射率を調整することができる表面処理であれば、如何なる表面処理でも放熱フィンに対して行うことができる。これにより、各放熱フィンからの放熱量を調整することができ、積層方向に沿って発電部の温度を略均一としながら発電を安定して行うことが可能となる。よって、表面粗さを調整する場合と同様に、放熱フィンの外形寸法を調整することがないため、発電部のサイズや設計を変更することが不要となる。
【0092】
さらに、本発明にかかる燃料電池装置の温度調整方法によれば、放熱フィンの周辺に空気を流動させながら放熱を行う際に、放熱フィンが配設される位置の違いに応じて放熱量を調整することが可能であり、スタック構造を有する発電部の温度を略均一となるようにして発電を行うことができる。具体的には、放熱フィンの表面積、断面積、隣り合う放熱フィンの間隔及び放熱フィンの熱放射率を所要の値に設定して放熱量を調整することが可能となる。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置によれば、燃料電池本体とされる発電部がスタック構造を有する場合でも、セパレータと接合体とが積層される積層方向に関して発電部に温度勾配を生じさせることなく、発電部全体を略均一な温度に維持しながら安定して発電を行うことができる。
【0094】
さらに、本発明にかかるセパレータ及び燃料電池装置によれば、セパレータの外形寸法を変更することなく各放熱フィンによる放熱量を調整することができ、発電部のサイズや設計を変更することなく、発電時に温度が略均一とされる燃料電池装置を提供することが可能となる。このようなセパレータ及び燃料電池装置によれば、燃料電池装置から駆動電力を受け取って駆動される各種電子機器に小型の燃料電池装置を搭載することも可能となる。
【0095】
また、本発明にかかる燃料電池装置の温度調整方法によれば、放熱フィンの周辺に空気を流動させ、流動される空気に放熱される放熱量を放熱フィンが配設される一の違いに応じて調整することにより、スタック構造を有する発電部の積層方向に関する温度勾配を抑制し、発電部全体の温度を均一に維持しながら安定した発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる燃料電池装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明にかかる燃料電池を構成する筐体の構造を示す構造図であって、(a)は側面図、(b)は他の側面を示す側面図、(c)は端面図、(d)は他の端面を示す端面図である。
【図3】本発明にかかる燃料電池装置を構成する発電部の概観を示す斜視図である。
【図4】本発明にかかる燃料電池装置を構成する発電部の一部を示す分解斜視図である。
【図5】本発明にかかる燃料電池を構成するセパレータの基本的な構造を示す構造図であって、(a)はセパレータの表面側の構造を示す平面図、(b)は裏面側の構造を示す平面図である。
【図6】本発明にかかる燃料電池装置に好適な発電部の一例を側面側からみた側面図である。
【図7】図6に示す発電部が備える放熱フィンを模式的に示した斜視断面図である。
【図8】本発明にかかる燃料電池装置に好適な発電部の一例を側面側からみた側面図である。
【図9】図8に示す発電部が備える放熱フィンを模式的に示した斜視断面図である。
【図10】本発明にかかる燃料電池装置に好適な発電部の一例を側面側からみた側面図である。
【図11】本発明にかかる燃料電池装置に好適な発電部の一例を側面側からみた側面図である。
【図12】本発明にかかるセパレータに好適な放熱フィンを模式的に示した断面図であり、(a)は表面が平滑な放熱フィンの断面図であり、(b)は表面の表面粗さが大きい放熱フィンの断面図である。
【符号の説明】
1 燃料電池装置、10 筐体、11,12,13 排気口、14,15 吸気口、16,18 接続孔、20 制御基板、70,80,90,100 発電部、72,82,92,102 接合体、40,75,77,85,105 開口部、35 封止部材、36 固体高分子電解質膜、37 電極、38,43 溝部、41 排出孔、42 供給孔、45,46 接続部、50 発電セル、51 冷却ファン、52,53 空気供給ファン、54 水素パージバルブ、55レギュレータ、56 手動バルブ、60 水素吸蔵カートリッジ、73a〜73i,83a〜83i,93a〜93i,103a〜103i,113a〜113c 放熱フィン、74,94,104 セパレータ本体部、71a〜71i,81a〜81i,91a〜91i,101a〜101i セパレータ
Claims (21)
- 発電体と他の発電体とを電気的に導通させるように積層されるセパレータであって、
前記発電体と接するセパレータ本体部と、
前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、
前記放熱部の断面積が、前記発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関して、前記セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていること
を特徴とするセパレータ。 - 前記放熱部の断面積は、前記発電体と前記セパレータ本体部とが積層されてなる燃料電池本体において、前記積層方向に関して前記放熱部より外側に配設される放熱部の断面積より大きいこと
を特徴とする請求項1記載のセパレータ。 - 前記放熱部は略平板状とされること
を特徴とする請求項1記載のセパレータ。 - 前記放熱部の断面積は、前記放熱部の幅寸法、及び厚み寸法のうち少なくとも一の寸法を変えることにより設定されること
を特徴とする請求項1記載のセパレータ。 - 発電体と他の発電体とを電気的に導通させるように積層されるセパレータであって、
前記発電体と接するセパレータ本体部と、
前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、
前記放熱部の表面積は、前記発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関して、前記セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていること
を特徴とするセパレータ。 - 前記放熱部の表面積は、前記発電体と前記セパレータ本体部とが積層されてなる燃料電池本体において、前記積層方向に関して前記放熱部より外側に配設される放熱部の表面積より大きいこと
を特徴とする請求項5記載のセパレータ。 - 前記放熱部は略平板状とされること
を特徴とする請求項5記載のセパレータ。 - 前記放熱部の表面積は、前記放熱部の幅寸法、長さ寸法、及び厚み寸法のうち少なくとも一の寸法を変えることにより設定されること
を特徴とする請求項5記載のセパレータ。 - 発電体と他の発電体とを電気的に導通させるように積層されるセパレータであって、
前記発電体と接するセパレータ本体部と、
前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、
前記放熱部の熱放射率が、前記発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関して、前記セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていること
を特徴とするセパレータ。 - 前記放熱部の熱放射率は、前記発電体と前記セパレータ本体部とが積層されてなる燃料電池本体において、前記積層方向に関して前記放熱部より外側に配設される放熱部の熱放射率より大きいこと
を特徴とする請求項9記載のセパレータ。 - 前記放熱部の熱放射率は、前記放熱部の表面の表面粗さを変えることにより設定されること
を特徴とする請求項9記載のセパレータ。 - 前記放熱部の熱放射率は、前記放熱部の表面に対する表面処理を変えることにより設定されること
を特徴とする請求項9記載のセパレータ。 - 発電体と他発電体とを電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、
前記セパレータは、前記発電体と接するセパレータ本体部と前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを有し、
前記発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関して隣り合う放熱部の間隔が、前記積層方向に関して前記放熱部が前記燃料電池本体に配設される位置の違いに応じて所要の間隔とされていること
特徴とする燃料電池装置。 - 前記燃料電池本体に供給される酸化用流体を各放熱部の間に流動させて前記放熱部からの放熱が行われること
を特徴とする請求項13記載の燃料電池装置。 - 前記所要の間隔は、前記積層方向に関して前記燃料電池本体の外側に位置して隣り合う放熱部の間隔ほど小さいこと
を特徴とする請求項13記載の燃料電池装置。 - 前記セパレータ本体部の厚み寸法は、前記積層方向に関して前記燃料電池本体の外側に位置するセパレータ本体部ほど小さいこと
を特徴とする請求項13記載の燃料電池装置。 - 前記放熱部の厚み寸法と前記放熱部が突設されるセパレータ本体部の厚み寸法の差は、前記積層方向に関して前記燃料電池本体の外側ほど小さいこと
を特徴とする請求項13記載の燃料電池装置。 - 発電体と前記発電体に隣り合う発電体を電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、
前記セパレータは、前記発電体と接するセパレータ本体部と前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを備え、
前記放熱部の断面積が、前記発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関して前記セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていること
を特徴とする燃料電池装置。 - 発電体と他の発電体とを電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、
前記セパレータは、前記発電体と接するセパレータ本体部と前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを有し、
前記放熱部の表面積が、前記発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関して前記セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていること
を特徴とする燃料電池装置。 - 発電体と他の発電体とを電気的に導通させるセパレータを積層してなる燃料電池本体を備える燃料電池装置であって、
前記セパレータは、前記発電体と接するセパレータ本体部と前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とを有し、
前記放熱部の熱放射率が、前記発電体と前記セパレータ本体部とが積層される積層方向に関して前記セパレータ本体部が配設される位置の違いに応じて異なるように設定されていること
を特徴とする燃料電池装置。 - 発電体と、前記発電体と他の発電体とを電気的に導通させるセパレータとが積層されてなる燃料電池本体の温度を調整する燃料電池装置の温度調整方法であって、
前記発電体と接するセパレータ本体部と、前記セパレータ本体部の側縁部に突設される放熱部とにより前記セパレータを構成し、
前記燃料電池本体を冷却するための冷却用流体を前記放熱部の周辺に流動させ、
前記発電体と前記セパレータとが積層される積層方向に関して、前記放熱部が配設される位置の違いに応じて前記放熱部からの放熱量を調整すること
を特徴とする燃料電池装置の温度調整方法。
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