JP2004192888A - 燃料電池用基材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂含浸した周縁部を備える容易かつ安価に製造可能な燃料電池用基材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】多孔質の炭素質材料を、流路を備え且つ周縁部11に樹脂が含浸された燃料電池用基材CAに成形する場合に、基材CAの周縁部11に液状樹脂REを供給する導入口15と、前記導入口15から供給された液状樹脂REを基材CAの周縁部11を透過させて吸引するガス排出口16とを設け、成型加工後の基材CAの周縁部11内に液状樹脂REを含浸させる。
【選択図】 図4
【解決手段】多孔質の炭素質材料を、流路を備え且つ周縁部11に樹脂が含浸された燃料電池用基材CAに成形する場合に、基材CAの周縁部11に液状樹脂REを供給する導入口15と、前記導入口15から供給された液状樹脂REを基材CAの周縁部11を透過させて吸引するガス排出口16とを設け、成型加工後の基材CAの周縁部11内に液状樹脂REを含浸させる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セパレータ等の燃料電池用基材およびその製造方法に関し、特に、周縁部にシールを施した多孔質材よりなる燃料電池用基材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から燃料電池の外部に露出する周縁部からのガス透過を防止すべく樹脂を含浸させるシール構造を施した多孔質材よりなるセパレータが知られている(特許文献1参照)。これは、セパレータの周縁部に、その外周側端面より所定の深さにわたって樹脂を含浸し、セパレータを膜電解質接合体と交互に積層した際に、樹脂含浸部分がセパレータ周縁部の内外周間のガスの透過を遮断するものである。
【0003】
また、多孔質セパレータの一部にマスキングを施し残余の部分に熱硬化性の高分子材料を含浸させて必要な部分のみをガス不透過としたものがある(特許文献2、3参照)。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5264299号特許明細書
【特許文献2】
特開2001−86031号公報
【特許文献3】
特開2001−86032号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記前者の従来例には樹脂含浸に関する具体的方法の記載がなく、また、後者の従来例ではセパレータにマスキングフィルムの貼付および剥離のための設備を必要とし、製造コストの上昇を招く虞があった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、樹脂含浸した周縁部を備える容易かつ安価に製造可能な燃料電池用基材およびその製造方法を提供することをことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多孔質の炭素質材料をガス流路を備え且つ周縁部に樹脂が含浸された燃料電池用基材に形成する場合に、基材の周縁部に沿って液状樹脂を供給する樹脂含浸手段により成型加工後の基材の周縁部内に液状樹脂を含浸させるようにした。
【0008】
【発明の効果】
したがって、本発明では、基材の周縁部に沿って液状樹脂を供給する樹脂含浸手段により成型加工後の基材の周縁部内に液状樹脂を含浸させるようにしたため、マスキングフィルム等が不要となり、マスキングフィルムの貼付および剥離のための設備を必要とせず、容易かつ安価に製造可能とできる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の燃料電池用基材およびその製造方法を各実施形態に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1〜図12は、本発明を適用した燃料電池用基材の製造方法の第1実施形態を示し、図1は燃料電池用基材を用いる固体高分子型燃料電池の部分断面図、図2〜図4は第1実施例を、図5および図6は第2実施例を、図7および図8は第3実施例を、図9は第4実施例を、図10は第5実施例を、図11は第6実施例を、図12は第7実施例を夫々示す。ここでは、先ず、図1により固体高分子型燃料電池の構造について説明し、その後に、第1実施形態を各実施例に基づいて燃料電池用基材の製造方法について説明する。
【0011】
図1において、固体高分子型燃料電池は、膜電極接合体2と、膜電極接合体2の一方の面に燃料ガスを供給するガス通路3Aを備えたアノード側の燃料電池用基材で形成したセパレータ3と、膜電極接合体2の他方の面に酸化ガスを供給するガス通路4Aを備えたカソード側の燃料電池用基材で形成したセパレータ4と、カソード側セパレータ3の背面に冷却水流路5Aを配置した冷却層5と、冷却層5と隣接セルのアノード側セパレータ3のガス流路3Aとの間のガスおよび冷却水の浸透を遮断するシール層6と、を積層して単セルCを構成し、単セルCを所定の数だけ積層して燃料電池スタック1を構成している。
【0012】
前記膜電極接合体2は、固体高分子膜からなる電解質膜2Aと、この電解質膜2Aを挟持するように電解質膜2Aの両面に配設される二つの電極2B(燃料極と酸化剤極)とで構成している。前記電解質膜2Aは、フッ素系樹脂等の固体高分子材料によりプロトン伝導性の膜として形成されている。この電解質膜2Aの両面に配設される二つの電極2Bには、白金または、白金とその他の金属からなる触媒を膜と接する表面に含有するカーボンクロスまたはカーボンペーパなどのガス拡散層からなり、触媒の存在する面が電解質膜2Aと接触するように形成している。
【0013】
前記燃料電池用基材で形成したセパレータ3、4は、膜電極接合体2の一方の面に燃料ガスを供給するガス通路3Aを備えたアノード側のセパレータ3と、膜電極接合体2の他方の面に酸化ガスを供給するガス通路4Aを備えたカソード側のセパレータ4とからなり、両セパレータ3、4により膜電極接合体2を挟むことで単セルCを構成し、セルC間の隔壁を成すものである。
【0014】
前記セパレータ3、4のうちの少なくとも一方は、多孔質のカーボン材(炭素質材料)で構成され、片面または両面に燃料ガスや酸化性ガスあるいは冷却媒体の流路を確保するため、多数のリブ3B、4Bが形成されている。図示の例では、アノード側のセパレータ3は片面のみに多数のリブ3Bにより燃料ガスのガス流路3Aを形成し、カソード側のセパレータ4は一方の面に多数のリブ4Bにより酸化ガスのガス流路4Aを形成し、他方の面に多数のリブ4Cにより冷却層5の冷却水流路5Aを形成している。各セパレータ3、4は積層されてその周縁部が外部に露出する構成となっており、周縁部の外周側Aおよび周縁部の隣接セパレータ3、4と接触する側面部Bには、図示していないが、後述するように、シート材を接着し熱圧着することによるシールがなされている。
【0015】
前記冷却層5は、前記カソード側の他方の面に設けた冷却水流路5Aを備え、冷却水流路5Aには、燃料電池自体から発生する熱の排熱用の冷却水が流通される。冷却水流路5Aは、必ずしも、それぞれのセル毎に設置されてなくても良いが、燃料電池の出力が大きくなると、燃料電池から除熱する熱量が大きくなるため、できるだけ多く配置されていることが望ましい。隣接セルのアノード側のセパレータ3の背面に配置された前記シール層6は、カソード側のセパレータ4の多数のリブ4Bに接触して冷却水流路5Aを画成する。
【0016】
この燃料電池のセルにおいては、燃料極に水素ガスが供給されると、燃料極では水素イオンが生成する。この生成した水素イオンが水和状態で電解質膜2A(固体高分子電解質形燃料電池であれば固体高分子電解質膜)を透過(拡散)して酸化剤極に至り、この酸化剤極に酸素含有ガス、例えば空気中の酸素との反応が進行する。この電極反応が各極で進行することで、燃料電池は起電力を生じることとなる。
【0017】
ところで、水素イオンが電解質膜2Aを移動するためには、電解質膜2Aが含水した状態であることが必要であり、含水量が低下すると電解質膜2Aの電気抵抗が大きくなって、出力電力の低下を招く。さらに、含水量が低下して乾燥状態になると電解質膜2Aとしての機能しなくなる。通常は、膜電極接合体2はセル面内に均一となるように形成されているが、電極の発電領域においては、燃料ガス、酸化剤ガスの通流方向に対する上流側と下流側では、流路を通流していく供給ガス濃度、流量、水蒸気分圧が異なっている。特に供給ガス通流方向上流側での電解質膜2Aは乾燥しやすく、下流側の電解質膜2Aは湿潤状態になりやすい。反応生成水の量が電解質膜2Aの保水量及びセルからの排水量を上回ると供給ガス流路4Aへ生成水が溢れ出すフラッディングという現象を生じ、電極の発電面を生成水が覆って反応を抑制し供給ガス流路4Aを閉塞して、ガス通流を阻害するといった現象を招き、発電を安定して継続することが困難になる。
【0018】
このセル内の水分状態を好適な状態に維持するため、炭素質であって多孔質のガス透過性である燃料電池用基材をガス流路のセパレータなどへの利用も多数検討されてきている。しかし、利用の際には当該多孔質の燃料電池用基材の端部面から水分やガスが放散していくことを防ぐため、周縁部の各面A、Bまたは周縁部内にシール用樹脂を含浸することでシールを施す必要がある。
【0019】
本発明において、多孔質の燃料電池用基材とは、燃料電池構成部材としてのセパレータ3、4、ガス拡散層および図示していない燃料電池改質システムの水回収装置で用いる多孔質部材を示している。
【0020】
次に、図2〜図5により第1実施形態の第1実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図2は燃料電池用基材の製造工程を示す工程図、図3は成形工程を示す断面図、図4は含浸工程を示す断面図、図5は含浸治具の斜視図である。
【0021】
図2の工程図に示すように、第1実施例の燃料電池用基材の製造方法においては、先ず、成形工程MOにおいて、図示しない金型により多孔質板からなる燃料電池用基材CAをモールド成形し、次いで、樹脂含浸手段を構成する含浸工程IMにおいて、モールド成形された燃料電池用基材CAの周縁部に図示しない含浸治具により樹脂を含浸する。
【0022】
前記成形工程MOは、図3に示すように、型締め時に両者間に基材CAの成形用空間7を形成するよう上側に凹んだ成形面8Aを備えた上型8と下側に凹んだ成形面9Aを備えた下型9とからなる金型10を用いる。そして、金型10内の成形用空間7内に投入された炭素質で多孔質の炭素材料(カーボン材)からなる基材用素材を成形する。図示例では、上型8の成形面8Aには、基材CA表面に流路3A(または、4Aもしくは5A。以下、符号を付さないで単に流路とのみ表記する)を形成するための連続突起8Bを形成している。図示例では、上型8のみに連続突起8Bを形成しているが、図示しないが、下型9にも基材CA表面に流路を形成するための連続突起を形成する場合がある。炭素質材料は、フェノール樹脂やエポキシ樹脂を含有するバインダとカーボン粉末を混合し、成形対象の基材CAを形成可能な分量毎に混練して板状にされる。成形後の型開きにより基材CAは、例えば、板厚が2mmであり、上面に連続した流路を備える形状となる。
【0023】
前記含浸工程IMは、図4に示すように、成形用金型10と同様に基材CAの周縁部11を取囲んで収容する空間12を上下含浸治具13、14(以下、上下治具という)の間に備え、基材CAの周縁部11には、一方の治具13(または14)に含浸用樹脂REを導入する樹脂供給手段および樹脂導入通路としての導入口15を、他方の治具14(または13)に前記導入口15に対向する位置において基材CAの多孔質孔に含まれるガスを吸引する樹脂吸引手段および樹脂吸引通路としてのガス排出口16を夫々備える。上下治具13、14の接触面17にはフッ素樹脂等からなる図示しないОリングを配置して収容空間12を治具外に対してシールしている。
【0024】
この含浸工程IMにおいては、上下治具13、14間の空間12内に基材CAを収容してОリングにより密閉した状態において、ガス排出口16から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面から基材CAの多孔質穴に含浸されガス排出口16が存在する基材CAの他方の側面に達する。他方の側面に達した液状樹脂REはガス排出口16から排出されることから、排出が始まる時点で、ガス排出口16からの吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程を停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、周縁部11に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。液状樹脂REとしては、例えば、低粘度性エポキシ樹脂が望ましい。また、ガス排出口16からの吸引圧は、例えば、55〜60kPaに調整する。
【0025】
前記含浸工程IMに用いる治具13、14は、例えば、図5に示すように、上側の治具13には、液状樹脂REを基材CAの周縁部11に一様に供給する溝状の導入口15が形成され、下側の治具14には、基材CAの周縁11から一様に基材CA内のガスを吸引排出すべくガス排出口16に連なる溝16Aを形成して、液状樹脂REを基材CA周縁部11に均一に含浸させることが望ましい。
【0026】
次に、図6〜図8により第1実施形態の第2実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図6は燃料電池用基材の製造工程を示す工程図、図7は成形工程および含浸工程を示す断面図、図8は成形工程時の作動図である。
【0027】
図6の工程図に示すように、第2実施例の燃料電池用基材の製造方法によれば、成形用金型に含浸用治具の機能を含ませた金型20が用いられ、先ず、金型20の型締めによる成形工程MOにより基材CAが成形され、引き続き、型開きを行うことなく金型20内での含浸工程IMが実施され、型開きにより含浸を完了した基材CAを取り出す。
【0028】
前記金型20は、図7に示すように、第1実施例の金型10と同様に、基材CAの成形用空間7を形成するよう上側に凹んだ成形面8Aを備えた上型8と下側に凹んだ成形面9Aを備えた下型9とからなる金型20が用いられ、例えば、上型8の成形面8Aには、基材CA表面に流路を形成するための連続突起8Bを備える。また、含浸工程IMのために、前記金型20には、基材CAの周縁部11において、一方の型8に含浸用樹脂REを導入する樹脂供給手段および樹脂供給通路としての導入口15を、他方の型9に前記導入口15に対向する位置において基材CAの多孔質孔に含まれるガスを吸引する樹脂吸引手段および樹脂吸引通路としてのガス排出口16を夫々備え、上下型8、9の接触面17にはフッ素樹脂等からなる図示しないОリングを配置して金型20内をシールしている。
【0029】
先ず、金型20内の成形用空間7内に炭素質で多孔質の炭素材料(カーボン材)からなる基材用素材を投入し、金型20を型締めして成形する。基材CAは、Оリングにより閉じられた成形空間7に応じて成形され、連続突起8Bに応じた流路が形成されている。金型20に設けたガス排出口16および液状樹脂REの導入口15は、成形空間7に開口しているため、これら開口部に基材CAを構成する素材が入り込む可能性がある。これは、各開口部を多数の小穴により形成するとか、図8に示すように、各開口部に背面から液状樹脂REによる圧力を加えるとかにより、入り込みを抑制することができる。
【0030】
次に、ガス排出口16から空間7内のガスを吸引して空間7内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面から基材CAの多孔質穴に含浸されガス排出口16が存在する基材CAの他方の側面に達する。他方の側面に達した液状樹脂REはガス排出口16から排出されることから、排出が始まる時点で、ガス排出口16からの吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下型8、9を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、周縁部11に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。
【0031】
図9および図10により第1実施形態の第3実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図9は含浸工程を示す断面図、図10は成形工程および得られた基材の断面図である。
【0032】
図9に示す含浸工程IMにおいては、第1実施例の図4に示す含浸工程IMと同様であるが、基材CAの液状樹脂REの導入口15に臨む側面にシール充填用溝22を形成している構成を新規に備える。したがって、ガス排出口16から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面に形成したシール充填用溝22に優先的に導入され、シール充填用溝22の壁部から基材CAの多孔質穴に含浸されガス排出口16が存在する基材CAの他方の側面に達する。他方の側面に達した液状樹脂REはガス排出口16から排出されることから、排出が始まる時点で、ガス排出口16からの吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、基材CAの周縁部11およびシール充填用溝22の壁部に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。なお、含浸治具13、14の上治具13には、基材CAの流路に嵌合する連続突起13Aが形成されているが、この連続突起13Aは、第1実施例の図4に示す含浸治具と同様、不要とすることもできる。
【0033】
この構成においては、シール充填用溝22の設置により、基材CAの多孔質材自身の厚さが実質的に減少するため、液状樹脂REの含浸がより効果的に行える。なお、樹脂REの含浸によりシール充填用溝22を埋めてしまうこともできるが、シール充填用溝22を残すことで燃料電池を構成する際にプレート間のシールを行うガスケットを設置する溝としても使用可能とできる。
【0034】
上記シール充填用溝は、図10(A)に示すように、基材CAの成形工程MOにおいて、金型10の一方に溝形成用の連続突起23を成形空間7の周縁に沿って配置し、成形時に、この連続突起23により基材CAにシール充填用溝22を形成することができる(図10(B)参照)。
【0035】
図11により第1実施形態の第4実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図11は含浸工程を示す断面図である。
【0036】
図11に示す含浸工程IMにおいては、図9に示す第3実施形態の含浸工程IMに比較して、基材CAのシール充填用溝24をガス排出口16に臨む側面に形成した構成で相違している。したがって、ガス排出口16から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面から基材CAの多孔質穴に含浸されガス排出口16が存在する基材CAの他方の側面のシール充填用溝24の壁面に達する。他方の側面のシール充填用溝24の壁面に達した液状樹脂REはガス排出口16から排出される。液状樹脂REの排出が始まる時点で、ガス排出口16からの吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、基材CAの周縁部11およびシール充填用溝24の壁部に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。なお、含浸治具13、14の上治具13には、基材CAの流路に嵌合する連続突起13Aが形成されているが、この連続突起13Aは、第1実施例の図4に示す含浸治具と同様、不要とすることもできる。
【0037】
この構成においても、ガス排出口16に臨むシール充填用溝24の設置により、基材CAの多孔質材自身の厚さが実質的に減少するため、液状樹脂REの含浸がより効果的に行える。なお、樹脂REの含浸によりシール充填用溝24を埋めてしまうこともできるが、シール充填用溝24を残すことで燃料電池を構成する際にプレート間のシールを行うガスケットを設置する溝としても使用可能とできる。
【0038】
前記シール充填用溝24は、図示しないが、基材CAの成形工程MOにおいて、金型10の下方に溝形成用の連続突起を成形空間の周縁に沿って配置し、成形時に、この連続突起により基材にシール充填用溝24を形成することができる。
【0039】
図12により第1実施形態の第5実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図12は含浸工程を示す断面図である。
【0040】
図12に示す含浸工程IMにおいては、基材CAのシール充填用溝22、24を液状樹脂REの導入口15に臨む側面とガス排出口16に臨む側面との両方に形成する構成を備える。したがって、ガス排出口16から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面に形成したシール充填用溝22に優先的に導入され、シール充填用溝22の壁部から基材CAの多孔質穴に含浸される。ガス排出口16が存在する基材CAの他方の側面のシール充填用溝24の壁面に達する。他方の側面のシール充填用溝24の壁面に達した液状樹脂REはガス排出口16から排出される。液状樹脂REの排出が始まる時点で、ガス排出口16からの吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、基材CAの周縁部11およびシール充填用溝22、24の壁部に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。
【0041】
この構成においては、液状樹脂REを導入する導入口15に臨むシール充填用溝22およびガス排出口16に臨むシール充填用溝24の設置により、基材CAの多孔質材自身の厚さがより一層減少するため、液状樹脂REの含浸がより一層効果的に行える。なお、樹脂REの含浸によりシール充填用溝22、24を埋めてしまうこともできるが、シール充填用溝22、24を残すことで燃料電池を構成する際にプレート間のシールを行うガスケットを設置する溝としても使用可能とできる。
【0042】
図13により第1実施形態の第6実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図12は含浸工程を示す断面図である。
【0043】
図13に示す含浸工程IMにおいては、基材CAのシール充填用溝22を液状樹脂REの導入口15に臨む側面に形成し、ガス排出口25を下治具14に設けることなく上下治具13、14の接合部17の一部を開口25させ、この開口部25からガスの吸引および排出を行うようにしている。したがって、接合部17の一部から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面に形成したシール充填用溝22に優先的に導入され、シール充填用溝22の壁部から基材CAの多孔質穴に含浸され、接合部17が存在する基材CAの外周面に達する。外周面に達した液状樹脂REは接合部17の一部から排出されることから、排出が始まる時点で、吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部に含浸された樹脂を硬化させる。結果として、基材CAの周縁部11およびシール充填用溝22の壁部に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。
【0044】
図14により第1実施形態の第7実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図14は含浸工程を示す断面図である。
【0045】
図14に示す含浸工程IMにおいては、基材CAの外周面に臨む含浸治具13、14の接合部17に液状樹脂REの導入口26が形成され、基材CAの周縁部11の両側の上下治具13、14にガス排出口27を備えるよう構成している。したがって、上下治具13、14のガス排出口27から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、上下治具13、14の接合部17の導入口26から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの外周面から基材CAの多孔質穴に含浸され、ガス排出口27が存在する基材CAの両側面に達する。両側面に達した液状樹脂REはガス排出口27から排出されることから、排出が始まる時点で、吸引作動を停止し、導入口26からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、基材CAの周縁部11に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。
【0046】
以上説明した第1実施形態の第1〜第7実施例で得られた燃料電池用基材CAは、水中に設置してその両側にゲージ圧200kPaの差圧をかけ、低圧側から気泡の発生が見られるか否かの確認を行ったが、いずれの実施例においても気泡の発生を生じないことが確認でき、遜色ないガスシール性を保つことを確認した。
【0047】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0048】
(ア)多孔質の炭素質材料を流路を備え且つ周縁部11に樹脂REが含浸された燃料電池用基材CAは、基材CAの周縁部11に沿って液状樹脂REを供給する樹脂含浸手段である導入口15、26から成型加工後の基材CAの周縁部11内に液状樹脂REを含浸させるため、マスキングフィルム等が不要となり、マスキングフィルムの貼付および剥離のための設備を必要とせず、容易かつ安価に製造可能とできる。
【0049】
(イ)樹脂含浸手段は基材CAの周縁部11に液状樹脂REを供給する樹脂供給手段としての導入口15、26と、前記導入口15、26から供給された液状樹脂REを基材CAの周縁部11を透過させて吸引する樹脂吸引手段としてのガス排出口16、27を備えるため、導入口15、26とガス排出口16、27の間のみに圧力差を設けることができ、樹脂含浸を狙った部位のみに効果的に行うことができ、シールが必要な場所のみをシールでき、多孔質の基材CAの特性を損なうことなく有効活用することができる。
【0050】
(ウ)第1実施例においては、成型加工後の基材CAを含浸治具13、14に保持して液状樹脂REを基材CA周縁部11に供給して基材周縁部11に樹脂REを含浸するため、成形金型10の構造を簡略化することができるとともに、専用の含浸治具13、14により精度よく基材CAの周縁部11に含浸でき、プロセス管理が容易となる。
【0051】
(エ)第2実施例においては、成形型20による基材CAの成型加工MO後に液状樹脂REを成形型20内の基材CA周縁部11に供給して基材周縁部11に樹脂REを含浸するため、製造工程を削減でき、コストダウンを図れる。また、金型20内の基材CAと外気との接触を隔絶して、導入口15とガス排出口16の間のみに圧力差を設けることができ、効果的に樹脂含浸を行うことができる。
【0052】
(オ)第3実施例および第5実施例においては、基材CAに樹脂供給手段に臨む側面に基材CAの外周縁に沿って延びる溝22を備えるため、樹脂REが含浸された領域が明確になるとともに、含浸する樹脂REの基材CA内を移動する距離が短縮できるので、より効果的に樹脂含浸を行うことができる。また、燃料電池スタック組立時でのセル積層におけるセパレータ基板同士の接触面に配置するシール材用の溝としても利用できる。
【0053】
(カ)第4実施例および第5実施例においては、基材CAに樹脂吸引手段に臨む側面に基材CAの外周縁に沿って延びる溝24を備えているため、含浸する樹脂REの基材A内を移動する距離が短縮できるので、より効果的に樹脂含浸を行うことができる。特に、第5実施例においては、基材CAの両側面に溝22、24を設けるものであるため、より一層樹脂の移動距離を短縮でき、より一層効果的に樹脂含浸を行うことができる。さらにまた、シール領域を明確するとともに、燃料電池スタック組立時でのセル積層におけるセパレータ基板同士の接触面に配置するシール材用の溝としても利用できる。
【0054】
なお、本実施は既に知られている圧縮成形機によるものだけでなく、射出成形、トランスファー成形等の成形方法さらにはこれらの複合的な多段階を経る成形のいずれの手段を使用してもよい。
【0055】
(第2実施形態)
図15〜図19は、本発明を適用した燃料電池システムの第2実施形態を示し、図15および図16は第1実施例を、図17は第2実施例を、図18は第3実施例を、図19は第4実施例を夫々示す。本実施形態においては、モールド成形した基材の周縁部にアプリケータ等の樹脂供給手段により液状樹脂を供給して含浸させるようにしたものである。なお、基材はその詳細な形状の図示を省略して単純な板材として表示しているが、具体的形状は第1実施形態に示したものと同様である。
【0056】
図15および図16により第2実施形態の第1実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図15は燃料電池用基材への含浸工程を示す概略斜視図、図16は含浸工程における作業要領を示す斜視図である。
【0057】
図15に示すように、第1実施例の燃料電池用基材の製造方法においては、成形加工された基材CAの周縁部11の側面に樹脂供給手段としての塗布治具30(アプリケータ)により溶液化した液状樹脂REを流すように塗布し、基材CAの周縁外周端面11Aから、図示する矢印D方向に、樹脂吸引手段により吸引することにより基材CAの周縁部11内への樹脂含浸を促進させる。
【0058】
前記液状樹脂REとしては、フェノール樹脂をメタノールに溶かしたフェノール樹脂メタノール溶液を用いる。含浸されるフェノール樹脂メタノール溶液はその濃度が低いため、「含浸→プレート加熱による硬化」のサイクルを2度行うことが望ましい。含浸する液状樹脂REとしては、上記以外にも公知のいずれの樹脂を用いることができるが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂を用いるのが好ましく、常温液状のものや固体のものを任意の溶媒で希釈もしくは溶解させることで適宜使用することができる。
【0059】
前記塗布治具30として、アプリケータを用いるものについて説明したが、これは塗布する際に、移動することなく固定されている場合の他、基材CA周縁に沿って樹脂REが流れないような場合は周縁に沿って移動させてもよい。なお、図示しないが、基材CAの周縁部11の側面に溝を設けて、塗布する樹脂をこの溝内に流すことで周縁部11により均等に含浸させることができる。
【0060】
前記基材CA周縁からの吸引には、図16(A)に示すように、基材CAの周縁端面11Aに相当する大きさの開口を備えた樹脂吸引手段としての吸引具31を用いて端面11Aから基材CA内の多孔質孔内の空気を吸引する。この吸引により、基材CAの周縁部11の側面上に塗布される樹脂REは基材CA周縁部11内に含浸される。一つの端面11Aへの含浸作業の終了により、図16(B)に示すように、吸引具31を次の端面11Aに移動させて吸引しつつアプリケータ30により周縁部11に樹脂REを供給して同様に含浸させ、全ての周縁部11に同様に含浸させる。これらの作業中において、基材CAの周縁部11を除く中央部分は、図16(C)に示す治具32を上面から当接させて、基材CAの周縁部11のみを露出させることにより、吸引具31で吸引する空気がアプリケータ30で塗布している面から流れ込むことを促進して基材CAの周縁部11への樹脂REの流れ込みが良好となる。なお、各辺の長さが異なる長方形の基材CAに対しては、長さが異なる2種類の吸引具31を用いればよい。
【0061】
図17により第2実施形態の第2実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図17は燃料電池用基材への含浸工程を示す概略断面図である。
【0062】
図17に示すように、第2実施例の燃料電池用基材の製造方法においては、成形加工された基材CAの流路を備える領域33を囲んで環状のガスケット34を介してプレート35により上下両面から挟み、プレート35、ガスケット34および基材CAにより閉じた空間Eを形成する一方、基材CAの周縁部11を外部に露出させる。前記環状のガスケット34、プレート35は含浸治具を構成している。そして、前記各空間Eに導入口36より不活性のブロックガスを供給して空間E内を外気に対して高い圧力とした状態で、基材CAの露出した周縁部11に、図中の矢印に示すように、液状樹脂REを含浸させる。含浸される液状樹脂REは、高い圧力に維持されている前記空間E内へ浸透することを阻止され、周縁部11に留まる。基材CAの周縁部11への液状樹脂REの含浸を終了した時点で、上下プレート35を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、周縁部11に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。なお、前記空間Eへのブロックガスの導入を上下両側のプレート35に導入口36を設けて行うよう説明しているが、基材CAは多孔質であるため、いずれか一方のプレート35に導入口36を設けてブロックガスを導入するようにしてもよい。
【0063】
なお、前記空間E内は加圧しておかなければ、供給した液状樹脂REが所望の範囲である周縁部11以外にも広がる可能性はあるが、基材CAの平面方向で広がる距離は、基材CAの厚み方向に含浸する距離と概ね等しいと考えられる、即ち、基材CAの裏面まで液状樹脂REが到達してしまえば、基材CAの面方向への浸透は止まる。したがって、図示しないが、基材の液状樹脂供給側面あるいは到達側面にシール充填用等の溝を設けることは、結局、裏面までの到達を早める効果があり、所望でない基材平面方向への液状樹脂の含浸の広がりを防ぐことができる。なお、もちろん、空間E内から加圧して基材CA平面方向への広がりを防ぎつつ、基材CAの周縁部11の裏面側から吸引することも可能である。
【0064】
図18により第2実施形態の第3実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図18は燃料電池用基材への含浸工程を示す概略断面図であり、基材の周縁部の端部から液状樹脂を含浸させるようにしたものである。
【0065】
図18に示す第3実施例の燃料電池用基材の製造方法においては、基材CAの上下両面の周縁部11に接触するガスケット37をプレート35で支持して含浸治具を構成している。そして、第2実施例と同様に導入口36から不活性のブロックガスを空間E内に導入して空間E内を比較的高い圧力状態とし、矢印に示すように、基材CAの端面方向から液状樹脂REを含浸させる。液状樹脂REの供給圧力と空間E内の圧力とのバランスにより液状樹脂REの端面からの含浸深さを調節する。基材CAの周縁部11への液状樹脂REの含浸を終了した時点で、上下プレート35を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、周縁部11に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。
【0066】
この含浸方法においては、基材CAの周縁部11の上下両面はガスケット37に接触しているため、液状樹脂REが上下両面上に盛り上がることがなく、設計寸法通りの厚さの燃料電池用基材CAを形成できる。
【0067】
図19により第2実施形態の第4実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図19は燃料電池用基材への含浸工程を示す概略断面図であり、基材の周縁部の液状樹脂の供給側面の反対側の裏面から液状樹脂を吸引するようにしたものである。
【0068】
図19に示す第4実施例の燃料電池用基材の製造方法においては、含浸治具本体38(例えば、ステンレス製)に基材CAを受入れる窪み39を形成し、窪み39の底面40に基材CAの流路を備える領域を囲んで配置した環状のガスケット41により基材CAを支持し、支持された基材CA外周端に窪み39の壁面に沿って設けたガスケット42の内端を接触させて基材CAの周縁部11と窪み39とで周縁空間43を形成する。そして、基材CAの上面に基材CAの流路を備える領域を囲んで環状のガスケット34を介して上面から垂直荷重により押え込むプレート35(例えば、プラスチック製)を設け、このプレート35にブロックガス、例えば、乾燥窒素の導入口36を設けている。周縁空間43の例えば、窪み39の隅部には樹脂吸引手段としての排気口44を設け、周縁空間43内の空気を吸引可能としており、排気口44は含浸樹脂REによる閉塞が起こりにくい最低限の口径を備える。
【0069】
液状樹脂REの含浸時には、導入口36から空間E内にブロックガスを導入して空間E内の圧力を上昇させ、含浸治具本体38の排気口44から周縁空間43の空気を吸引している状態とする。この状態において、基材CAの周縁部11の上面から液状樹脂REを供給して基材CAの周縁部11に液状樹脂REを含浸させる。この含浸方法では、空間E内から加圧して基材CA平面方向への広がりを防ぎつつ、基材CAの周縁部11の裏面側から吸引するため、液状樹脂REの裏面までの到達を早める効果があり、所望でない基材CA平面方向への液状樹脂REの含浸の広がりを防ぐことができる。
【0070】
なお、排気口44からのガス吸引圧とガス導入口36からの加圧の調整は、吸引と加圧の順番、樹脂投入のタイミング、含浸時間、含浸溶液の粘性や多孔質基材との接触角、多孔質の平均細孔径と気孔率等によって条件を適宜調整することが望ましい。
【0071】
以上説明した第2実施形態の第1〜第4実施例で得られた燃料電池用基材CAは、水中に設置してその両側にゲージ圧200KPaの差圧をかけ、低圧側から気泡の発生が見られるか否かの確認を行ったが、いずれの実施例においても気泡の発生を生じないことが確認でき、遜色ないガスシール性を保つことを確認した。
【0072】
本実施形態においては、第1実施形態における効果(ア)、(イ)に加えて、以下に記載した効果を奏することができる。
【0073】
(キ)樹脂含浸手段として樹脂REを含浸させない基材CAの内周領域33を外気と隔絶し、基材CAの周縁部11に液状樹脂REを供給するとともに、外気と隔絶した領域33に加圧ガスを供給するため、基板CAの成形工程の後工程で液状樹脂REを含浸する時に、必要な部分のみを選択的に含浸でき、不必要な部分まで緻密化させることを防ぐことができる。また、この含浸工程では構成する器具を加温する必要が無いため使用する樹脂は溶融状態のものでなくとも、種々の溶媒に溶かした溶液を用いることが可能である。
【0074】
(ク)外気隔絶領域である空間Eへ供給する加圧ガスのガス圧力は当該基材CAの樹脂浸透力に応じて設定するため、樹脂REの含浸における浸透力と樹脂含浸を行わない部分の加圧力を樹脂含浸の度合いにより調整でき、選択的な樹脂含浸による緻密化を実現できる。
【0075】
(ケ)基材CAの周縁部11には、供給された液状樹脂REを基材CAの周縁部11を透過させて吸引する樹脂吸引手段としての吸引具31または排気口44を備えるため、効率よく緻密化することが可能である。
【0076】
(コ)周縁部11の基材CA側面に液状樹脂REを塗布する塗布手段としての塗布治具30により樹脂供給手段を構成しているため、アプリケータ30を用いてさまざまな形状の樹脂に塗布を行うことができ、樹脂塗布を可能とする形状の制限を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す燃料電池用基材を用いる燃料電池スタックの部分断面図。
【図2】本発明の第1実施形態の第1実施例における燃料電池用基材の製造工程を示す工程図。
【図3】第1実施形態の第1実施例の成形工程を示す断面図。
【図4】第1実施形態の第1実施例の含浸工程を示す断面図。
【図5】第1実施形態の第1実施例の含浸治具の斜視図。
【図6】本発明の第1実施形態の第2実施例における燃料電池用基材の製造工程を示す工程図。
【図7】第1実施形態の第2実施例の成形工程および含浸工程を示す断面図。
【図8】第1実施形態の第2実施例の成形工程時の作動図。
【図9】本発明の第1実施形態の第3実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図10】第1実施形態の第3実施例の成形工程(A)、および、得られた基材(B)の断面図。
【図11】本発明の第1実施形態の第4実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図12】本発明の第1実施形態の第5実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図13】本発明の第1実施形態の第6実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図14】本発明の第1実施形態の第7実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図15】本発明の第2実施形態の第1実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す概略斜視図。
【図16】第2実施形態の第1実施例の含浸工程における作業要領を(A)〜(C)に分けて示す斜視図。
【図17】第2実施形態の第2実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図18】第2実施形態の第3実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図19】第2実施形態の第4実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【符号の説明】
MO 成形工程
IM 樹脂含浸手段を構成する含浸工程
CA 基材、燃料電池用基材
RE 樹脂、含浸用樹脂
1 燃料電池スタック
2 膜電極接合体
3、4 セパレータ
5 冷却層
6 シール層
7 成形用空間
8 上型
9 下型
10、20 金型
11 周縁部
12 空間
13、14 上下治具(含浸治具)
15、26 導入口(樹脂含浸手段、樹脂供給手段、樹脂導入通路)
16、25、27 ガス排出口(樹脂含浸手段、樹脂吸引手段、樹脂吸引通路)
17 接触面
22、24 シール充填用溝
30 塗布治具、アプリケータ(樹脂含浸手段、樹脂供給手段)
31 吸引具(樹脂含浸手段、樹脂吸引手段)
33 領域、内周領域(外気隔絶領域)
34、37、41、42 ガスケット(含浸治具)
35 プレート(含浸治具)
38 含浸治具本体
44 排気口(樹脂吸引手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、セパレータ等の燃料電池用基材およびその製造方法に関し、特に、周縁部にシールを施した多孔質材よりなる燃料電池用基材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から燃料電池の外部に露出する周縁部からのガス透過を防止すべく樹脂を含浸させるシール構造を施した多孔質材よりなるセパレータが知られている(特許文献1参照)。これは、セパレータの周縁部に、その外周側端面より所定の深さにわたって樹脂を含浸し、セパレータを膜電解質接合体と交互に積層した際に、樹脂含浸部分がセパレータ周縁部の内外周間のガスの透過を遮断するものである。
【0003】
また、多孔質セパレータの一部にマスキングを施し残余の部分に熱硬化性の高分子材料を含浸させて必要な部分のみをガス不透過としたものがある(特許文献2、3参照)。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5264299号特許明細書
【特許文献2】
特開2001−86031号公報
【特許文献3】
特開2001−86032号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記前者の従来例には樹脂含浸に関する具体的方法の記載がなく、また、後者の従来例ではセパレータにマスキングフィルムの貼付および剥離のための設備を必要とし、製造コストの上昇を招く虞があった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、樹脂含浸した周縁部を備える容易かつ安価に製造可能な燃料電池用基材およびその製造方法を提供することをことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多孔質の炭素質材料をガス流路を備え且つ周縁部に樹脂が含浸された燃料電池用基材に形成する場合に、基材の周縁部に沿って液状樹脂を供給する樹脂含浸手段により成型加工後の基材の周縁部内に液状樹脂を含浸させるようにした。
【0008】
【発明の効果】
したがって、本発明では、基材の周縁部に沿って液状樹脂を供給する樹脂含浸手段により成型加工後の基材の周縁部内に液状樹脂を含浸させるようにしたため、マスキングフィルム等が不要となり、マスキングフィルムの貼付および剥離のための設備を必要とせず、容易かつ安価に製造可能とできる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の燃料電池用基材およびその製造方法を各実施形態に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1〜図12は、本発明を適用した燃料電池用基材の製造方法の第1実施形態を示し、図1は燃料電池用基材を用いる固体高分子型燃料電池の部分断面図、図2〜図4は第1実施例を、図5および図6は第2実施例を、図7および図8は第3実施例を、図9は第4実施例を、図10は第5実施例を、図11は第6実施例を、図12は第7実施例を夫々示す。ここでは、先ず、図1により固体高分子型燃料電池の構造について説明し、その後に、第1実施形態を各実施例に基づいて燃料電池用基材の製造方法について説明する。
【0011】
図1において、固体高分子型燃料電池は、膜電極接合体2と、膜電極接合体2の一方の面に燃料ガスを供給するガス通路3Aを備えたアノード側の燃料電池用基材で形成したセパレータ3と、膜電極接合体2の他方の面に酸化ガスを供給するガス通路4Aを備えたカソード側の燃料電池用基材で形成したセパレータ4と、カソード側セパレータ3の背面に冷却水流路5Aを配置した冷却層5と、冷却層5と隣接セルのアノード側セパレータ3のガス流路3Aとの間のガスおよび冷却水の浸透を遮断するシール層6と、を積層して単セルCを構成し、単セルCを所定の数だけ積層して燃料電池スタック1を構成している。
【0012】
前記膜電極接合体2は、固体高分子膜からなる電解質膜2Aと、この電解質膜2Aを挟持するように電解質膜2Aの両面に配設される二つの電極2B(燃料極と酸化剤極)とで構成している。前記電解質膜2Aは、フッ素系樹脂等の固体高分子材料によりプロトン伝導性の膜として形成されている。この電解質膜2Aの両面に配設される二つの電極2Bには、白金または、白金とその他の金属からなる触媒を膜と接する表面に含有するカーボンクロスまたはカーボンペーパなどのガス拡散層からなり、触媒の存在する面が電解質膜2Aと接触するように形成している。
【0013】
前記燃料電池用基材で形成したセパレータ3、4は、膜電極接合体2の一方の面に燃料ガスを供給するガス通路3Aを備えたアノード側のセパレータ3と、膜電極接合体2の他方の面に酸化ガスを供給するガス通路4Aを備えたカソード側のセパレータ4とからなり、両セパレータ3、4により膜電極接合体2を挟むことで単セルCを構成し、セルC間の隔壁を成すものである。
【0014】
前記セパレータ3、4のうちの少なくとも一方は、多孔質のカーボン材(炭素質材料)で構成され、片面または両面に燃料ガスや酸化性ガスあるいは冷却媒体の流路を確保するため、多数のリブ3B、4Bが形成されている。図示の例では、アノード側のセパレータ3は片面のみに多数のリブ3Bにより燃料ガスのガス流路3Aを形成し、カソード側のセパレータ4は一方の面に多数のリブ4Bにより酸化ガスのガス流路4Aを形成し、他方の面に多数のリブ4Cにより冷却層5の冷却水流路5Aを形成している。各セパレータ3、4は積層されてその周縁部が外部に露出する構成となっており、周縁部の外周側Aおよび周縁部の隣接セパレータ3、4と接触する側面部Bには、図示していないが、後述するように、シート材を接着し熱圧着することによるシールがなされている。
【0015】
前記冷却層5は、前記カソード側の他方の面に設けた冷却水流路5Aを備え、冷却水流路5Aには、燃料電池自体から発生する熱の排熱用の冷却水が流通される。冷却水流路5Aは、必ずしも、それぞれのセル毎に設置されてなくても良いが、燃料電池の出力が大きくなると、燃料電池から除熱する熱量が大きくなるため、できるだけ多く配置されていることが望ましい。隣接セルのアノード側のセパレータ3の背面に配置された前記シール層6は、カソード側のセパレータ4の多数のリブ4Bに接触して冷却水流路5Aを画成する。
【0016】
この燃料電池のセルにおいては、燃料極に水素ガスが供給されると、燃料極では水素イオンが生成する。この生成した水素イオンが水和状態で電解質膜2A(固体高分子電解質形燃料電池であれば固体高分子電解質膜)を透過(拡散)して酸化剤極に至り、この酸化剤極に酸素含有ガス、例えば空気中の酸素との反応が進行する。この電極反応が各極で進行することで、燃料電池は起電力を生じることとなる。
【0017】
ところで、水素イオンが電解質膜2Aを移動するためには、電解質膜2Aが含水した状態であることが必要であり、含水量が低下すると電解質膜2Aの電気抵抗が大きくなって、出力電力の低下を招く。さらに、含水量が低下して乾燥状態になると電解質膜2Aとしての機能しなくなる。通常は、膜電極接合体2はセル面内に均一となるように形成されているが、電極の発電領域においては、燃料ガス、酸化剤ガスの通流方向に対する上流側と下流側では、流路を通流していく供給ガス濃度、流量、水蒸気分圧が異なっている。特に供給ガス通流方向上流側での電解質膜2Aは乾燥しやすく、下流側の電解質膜2Aは湿潤状態になりやすい。反応生成水の量が電解質膜2Aの保水量及びセルからの排水量を上回ると供給ガス流路4Aへ生成水が溢れ出すフラッディングという現象を生じ、電極の発電面を生成水が覆って反応を抑制し供給ガス流路4Aを閉塞して、ガス通流を阻害するといった現象を招き、発電を安定して継続することが困難になる。
【0018】
このセル内の水分状態を好適な状態に維持するため、炭素質であって多孔質のガス透過性である燃料電池用基材をガス流路のセパレータなどへの利用も多数検討されてきている。しかし、利用の際には当該多孔質の燃料電池用基材の端部面から水分やガスが放散していくことを防ぐため、周縁部の各面A、Bまたは周縁部内にシール用樹脂を含浸することでシールを施す必要がある。
【0019】
本発明において、多孔質の燃料電池用基材とは、燃料電池構成部材としてのセパレータ3、4、ガス拡散層および図示していない燃料電池改質システムの水回収装置で用いる多孔質部材を示している。
【0020】
次に、図2〜図5により第1実施形態の第1実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図2は燃料電池用基材の製造工程を示す工程図、図3は成形工程を示す断面図、図4は含浸工程を示す断面図、図5は含浸治具の斜視図である。
【0021】
図2の工程図に示すように、第1実施例の燃料電池用基材の製造方法においては、先ず、成形工程MOにおいて、図示しない金型により多孔質板からなる燃料電池用基材CAをモールド成形し、次いで、樹脂含浸手段を構成する含浸工程IMにおいて、モールド成形された燃料電池用基材CAの周縁部に図示しない含浸治具により樹脂を含浸する。
【0022】
前記成形工程MOは、図3に示すように、型締め時に両者間に基材CAの成形用空間7を形成するよう上側に凹んだ成形面8Aを備えた上型8と下側に凹んだ成形面9Aを備えた下型9とからなる金型10を用いる。そして、金型10内の成形用空間7内に投入された炭素質で多孔質の炭素材料(カーボン材)からなる基材用素材を成形する。図示例では、上型8の成形面8Aには、基材CA表面に流路3A(または、4Aもしくは5A。以下、符号を付さないで単に流路とのみ表記する)を形成するための連続突起8Bを形成している。図示例では、上型8のみに連続突起8Bを形成しているが、図示しないが、下型9にも基材CA表面に流路を形成するための連続突起を形成する場合がある。炭素質材料は、フェノール樹脂やエポキシ樹脂を含有するバインダとカーボン粉末を混合し、成形対象の基材CAを形成可能な分量毎に混練して板状にされる。成形後の型開きにより基材CAは、例えば、板厚が2mmであり、上面に連続した流路を備える形状となる。
【0023】
前記含浸工程IMは、図4に示すように、成形用金型10と同様に基材CAの周縁部11を取囲んで収容する空間12を上下含浸治具13、14(以下、上下治具という)の間に備え、基材CAの周縁部11には、一方の治具13(または14)に含浸用樹脂REを導入する樹脂供給手段および樹脂導入通路としての導入口15を、他方の治具14(または13)に前記導入口15に対向する位置において基材CAの多孔質孔に含まれるガスを吸引する樹脂吸引手段および樹脂吸引通路としてのガス排出口16を夫々備える。上下治具13、14の接触面17にはフッ素樹脂等からなる図示しないОリングを配置して収容空間12を治具外に対してシールしている。
【0024】
この含浸工程IMにおいては、上下治具13、14間の空間12内に基材CAを収容してОリングにより密閉した状態において、ガス排出口16から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面から基材CAの多孔質穴に含浸されガス排出口16が存在する基材CAの他方の側面に達する。他方の側面に達した液状樹脂REはガス排出口16から排出されることから、排出が始まる時点で、ガス排出口16からの吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程を停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、周縁部11に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。液状樹脂REとしては、例えば、低粘度性エポキシ樹脂が望ましい。また、ガス排出口16からの吸引圧は、例えば、55〜60kPaに調整する。
【0025】
前記含浸工程IMに用いる治具13、14は、例えば、図5に示すように、上側の治具13には、液状樹脂REを基材CAの周縁部11に一様に供給する溝状の導入口15が形成され、下側の治具14には、基材CAの周縁11から一様に基材CA内のガスを吸引排出すべくガス排出口16に連なる溝16Aを形成して、液状樹脂REを基材CA周縁部11に均一に含浸させることが望ましい。
【0026】
次に、図6〜図8により第1実施形態の第2実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図6は燃料電池用基材の製造工程を示す工程図、図7は成形工程および含浸工程を示す断面図、図8は成形工程時の作動図である。
【0027】
図6の工程図に示すように、第2実施例の燃料電池用基材の製造方法によれば、成形用金型に含浸用治具の機能を含ませた金型20が用いられ、先ず、金型20の型締めによる成形工程MOにより基材CAが成形され、引き続き、型開きを行うことなく金型20内での含浸工程IMが実施され、型開きにより含浸を完了した基材CAを取り出す。
【0028】
前記金型20は、図7に示すように、第1実施例の金型10と同様に、基材CAの成形用空間7を形成するよう上側に凹んだ成形面8Aを備えた上型8と下側に凹んだ成形面9Aを備えた下型9とからなる金型20が用いられ、例えば、上型8の成形面8Aには、基材CA表面に流路を形成するための連続突起8Bを備える。また、含浸工程IMのために、前記金型20には、基材CAの周縁部11において、一方の型8に含浸用樹脂REを導入する樹脂供給手段および樹脂供給通路としての導入口15を、他方の型9に前記導入口15に対向する位置において基材CAの多孔質孔に含まれるガスを吸引する樹脂吸引手段および樹脂吸引通路としてのガス排出口16を夫々備え、上下型8、9の接触面17にはフッ素樹脂等からなる図示しないОリングを配置して金型20内をシールしている。
【0029】
先ず、金型20内の成形用空間7内に炭素質で多孔質の炭素材料(カーボン材)からなる基材用素材を投入し、金型20を型締めして成形する。基材CAは、Оリングにより閉じられた成形空間7に応じて成形され、連続突起8Bに応じた流路が形成されている。金型20に設けたガス排出口16および液状樹脂REの導入口15は、成形空間7に開口しているため、これら開口部に基材CAを構成する素材が入り込む可能性がある。これは、各開口部を多数の小穴により形成するとか、図8に示すように、各開口部に背面から液状樹脂REによる圧力を加えるとかにより、入り込みを抑制することができる。
【0030】
次に、ガス排出口16から空間7内のガスを吸引して空間7内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面から基材CAの多孔質穴に含浸されガス排出口16が存在する基材CAの他方の側面に達する。他方の側面に達した液状樹脂REはガス排出口16から排出されることから、排出が始まる時点で、ガス排出口16からの吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下型8、9を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、周縁部11に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。
【0031】
図9および図10により第1実施形態の第3実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図9は含浸工程を示す断面図、図10は成形工程および得られた基材の断面図である。
【0032】
図9に示す含浸工程IMにおいては、第1実施例の図4に示す含浸工程IMと同様であるが、基材CAの液状樹脂REの導入口15に臨む側面にシール充填用溝22を形成している構成を新規に備える。したがって、ガス排出口16から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面に形成したシール充填用溝22に優先的に導入され、シール充填用溝22の壁部から基材CAの多孔質穴に含浸されガス排出口16が存在する基材CAの他方の側面に達する。他方の側面に達した液状樹脂REはガス排出口16から排出されることから、排出が始まる時点で、ガス排出口16からの吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、基材CAの周縁部11およびシール充填用溝22の壁部に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。なお、含浸治具13、14の上治具13には、基材CAの流路に嵌合する連続突起13Aが形成されているが、この連続突起13Aは、第1実施例の図4に示す含浸治具と同様、不要とすることもできる。
【0033】
この構成においては、シール充填用溝22の設置により、基材CAの多孔質材自身の厚さが実質的に減少するため、液状樹脂REの含浸がより効果的に行える。なお、樹脂REの含浸によりシール充填用溝22を埋めてしまうこともできるが、シール充填用溝22を残すことで燃料電池を構成する際にプレート間のシールを行うガスケットを設置する溝としても使用可能とできる。
【0034】
上記シール充填用溝は、図10(A)に示すように、基材CAの成形工程MOにおいて、金型10の一方に溝形成用の連続突起23を成形空間7の周縁に沿って配置し、成形時に、この連続突起23により基材CAにシール充填用溝22を形成することができる(図10(B)参照)。
【0035】
図11により第1実施形態の第4実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図11は含浸工程を示す断面図である。
【0036】
図11に示す含浸工程IMにおいては、図9に示す第3実施形態の含浸工程IMに比較して、基材CAのシール充填用溝24をガス排出口16に臨む側面に形成した構成で相違している。したがって、ガス排出口16から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面から基材CAの多孔質穴に含浸されガス排出口16が存在する基材CAの他方の側面のシール充填用溝24の壁面に達する。他方の側面のシール充填用溝24の壁面に達した液状樹脂REはガス排出口16から排出される。液状樹脂REの排出が始まる時点で、ガス排出口16からの吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、基材CAの周縁部11およびシール充填用溝24の壁部に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。なお、含浸治具13、14の上治具13には、基材CAの流路に嵌合する連続突起13Aが形成されているが、この連続突起13Aは、第1実施例の図4に示す含浸治具と同様、不要とすることもできる。
【0037】
この構成においても、ガス排出口16に臨むシール充填用溝24の設置により、基材CAの多孔質材自身の厚さが実質的に減少するため、液状樹脂REの含浸がより効果的に行える。なお、樹脂REの含浸によりシール充填用溝24を埋めてしまうこともできるが、シール充填用溝24を残すことで燃料電池を構成する際にプレート間のシールを行うガスケットを設置する溝としても使用可能とできる。
【0038】
前記シール充填用溝24は、図示しないが、基材CAの成形工程MOにおいて、金型10の下方に溝形成用の連続突起を成形空間の周縁に沿って配置し、成形時に、この連続突起により基材にシール充填用溝24を形成することができる。
【0039】
図12により第1実施形態の第5実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図12は含浸工程を示す断面図である。
【0040】
図12に示す含浸工程IMにおいては、基材CAのシール充填用溝22、24を液状樹脂REの導入口15に臨む側面とガス排出口16に臨む側面との両方に形成する構成を備える。したがって、ガス排出口16から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面に形成したシール充填用溝22に優先的に導入され、シール充填用溝22の壁部から基材CAの多孔質穴に含浸される。ガス排出口16が存在する基材CAの他方の側面のシール充填用溝24の壁面に達する。他方の側面のシール充填用溝24の壁面に達した液状樹脂REはガス排出口16から排出される。液状樹脂REの排出が始まる時点で、ガス排出口16からの吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、基材CAの周縁部11およびシール充填用溝22、24の壁部に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。
【0041】
この構成においては、液状樹脂REを導入する導入口15に臨むシール充填用溝22およびガス排出口16に臨むシール充填用溝24の設置により、基材CAの多孔質材自身の厚さがより一層減少するため、液状樹脂REの含浸がより一層効果的に行える。なお、樹脂REの含浸によりシール充填用溝22、24を埋めてしまうこともできるが、シール充填用溝22、24を残すことで燃料電池を構成する際にプレート間のシールを行うガスケットを設置する溝としても使用可能とできる。
【0042】
図13により第1実施形態の第6実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図12は含浸工程を示す断面図である。
【0043】
図13に示す含浸工程IMにおいては、基材CAのシール充填用溝22を液状樹脂REの導入口15に臨む側面に形成し、ガス排出口25を下治具14に設けることなく上下治具13、14の接合部17の一部を開口25させ、この開口部25からガスの吸引および排出を行うようにしている。したがって、接合部17の一部から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、導入口15から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの一方の側面に形成したシール充填用溝22に優先的に導入され、シール充填用溝22の壁部から基材CAの多孔質穴に含浸され、接合部17が存在する基材CAの外周面に達する。外周面に達した液状樹脂REは接合部17の一部から排出されることから、排出が始まる時点で、吸引作動を停止し、導入口15からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部に含浸された樹脂を硬化させる。結果として、基材CAの周縁部11およびシール充填用溝22の壁部に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。
【0044】
図14により第1実施形態の第7実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図14は含浸工程を示す断面図である。
【0045】
図14に示す含浸工程IMにおいては、基材CAの外周面に臨む含浸治具13、14の接合部17に液状樹脂REの導入口26が形成され、基材CAの周縁部11の両側の上下治具13、14にガス排出口27を備えるよう構成している。したがって、上下治具13、14のガス排出口27から空間12内のガスを吸引して空間12内を減圧し、次いで、上下治具13、14の接合部17の導入口26から液状樹脂REを導入することにより、液状樹脂REは基材CAの外周面から基材CAの多孔質穴に含浸され、ガス排出口27が存在する基材CAの両側面に達する。両側面に達した液状樹脂REはガス排出口27から排出されることから、排出が始まる時点で、吸引作動を停止し、導入口26からの液状樹脂REの供給を停止することで基材CAの周縁部11への含浸工程IMを停止し、上下治具13、14を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部11に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、基材CAの周縁部11に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。
【0046】
以上説明した第1実施形態の第1〜第7実施例で得られた燃料電池用基材CAは、水中に設置してその両側にゲージ圧200kPaの差圧をかけ、低圧側から気泡の発生が見られるか否かの確認を行ったが、いずれの実施例においても気泡の発生を生じないことが確認でき、遜色ないガスシール性を保つことを確認した。
【0047】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0048】
(ア)多孔質の炭素質材料を流路を備え且つ周縁部11に樹脂REが含浸された燃料電池用基材CAは、基材CAの周縁部11に沿って液状樹脂REを供給する樹脂含浸手段である導入口15、26から成型加工後の基材CAの周縁部11内に液状樹脂REを含浸させるため、マスキングフィルム等が不要となり、マスキングフィルムの貼付および剥離のための設備を必要とせず、容易かつ安価に製造可能とできる。
【0049】
(イ)樹脂含浸手段は基材CAの周縁部11に液状樹脂REを供給する樹脂供給手段としての導入口15、26と、前記導入口15、26から供給された液状樹脂REを基材CAの周縁部11を透過させて吸引する樹脂吸引手段としてのガス排出口16、27を備えるため、導入口15、26とガス排出口16、27の間のみに圧力差を設けることができ、樹脂含浸を狙った部位のみに効果的に行うことができ、シールが必要な場所のみをシールでき、多孔質の基材CAの特性を損なうことなく有効活用することができる。
【0050】
(ウ)第1実施例においては、成型加工後の基材CAを含浸治具13、14に保持して液状樹脂REを基材CA周縁部11に供給して基材周縁部11に樹脂REを含浸するため、成形金型10の構造を簡略化することができるとともに、専用の含浸治具13、14により精度よく基材CAの周縁部11に含浸でき、プロセス管理が容易となる。
【0051】
(エ)第2実施例においては、成形型20による基材CAの成型加工MO後に液状樹脂REを成形型20内の基材CA周縁部11に供給して基材周縁部11に樹脂REを含浸するため、製造工程を削減でき、コストダウンを図れる。また、金型20内の基材CAと外気との接触を隔絶して、導入口15とガス排出口16の間のみに圧力差を設けることができ、効果的に樹脂含浸を行うことができる。
【0052】
(オ)第3実施例および第5実施例においては、基材CAに樹脂供給手段に臨む側面に基材CAの外周縁に沿って延びる溝22を備えるため、樹脂REが含浸された領域が明確になるとともに、含浸する樹脂REの基材CA内を移動する距離が短縮できるので、より効果的に樹脂含浸を行うことができる。また、燃料電池スタック組立時でのセル積層におけるセパレータ基板同士の接触面に配置するシール材用の溝としても利用できる。
【0053】
(カ)第4実施例および第5実施例においては、基材CAに樹脂吸引手段に臨む側面に基材CAの外周縁に沿って延びる溝24を備えているため、含浸する樹脂REの基材A内を移動する距離が短縮できるので、より効果的に樹脂含浸を行うことができる。特に、第5実施例においては、基材CAの両側面に溝22、24を設けるものであるため、より一層樹脂の移動距離を短縮でき、より一層効果的に樹脂含浸を行うことができる。さらにまた、シール領域を明確するとともに、燃料電池スタック組立時でのセル積層におけるセパレータ基板同士の接触面に配置するシール材用の溝としても利用できる。
【0054】
なお、本実施は既に知られている圧縮成形機によるものだけでなく、射出成形、トランスファー成形等の成形方法さらにはこれらの複合的な多段階を経る成形のいずれの手段を使用してもよい。
【0055】
(第2実施形態)
図15〜図19は、本発明を適用した燃料電池システムの第2実施形態を示し、図15および図16は第1実施例を、図17は第2実施例を、図18は第3実施例を、図19は第4実施例を夫々示す。本実施形態においては、モールド成形した基材の周縁部にアプリケータ等の樹脂供給手段により液状樹脂を供給して含浸させるようにしたものである。なお、基材はその詳細な形状の図示を省略して単純な板材として表示しているが、具体的形状は第1実施形態に示したものと同様である。
【0056】
図15および図16により第2実施形態の第1実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図15は燃料電池用基材への含浸工程を示す概略斜視図、図16は含浸工程における作業要領を示す斜視図である。
【0057】
図15に示すように、第1実施例の燃料電池用基材の製造方法においては、成形加工された基材CAの周縁部11の側面に樹脂供給手段としての塗布治具30(アプリケータ)により溶液化した液状樹脂REを流すように塗布し、基材CAの周縁外周端面11Aから、図示する矢印D方向に、樹脂吸引手段により吸引することにより基材CAの周縁部11内への樹脂含浸を促進させる。
【0058】
前記液状樹脂REとしては、フェノール樹脂をメタノールに溶かしたフェノール樹脂メタノール溶液を用いる。含浸されるフェノール樹脂メタノール溶液はその濃度が低いため、「含浸→プレート加熱による硬化」のサイクルを2度行うことが望ましい。含浸する液状樹脂REとしては、上記以外にも公知のいずれの樹脂を用いることができるが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂を用いるのが好ましく、常温液状のものや固体のものを任意の溶媒で希釈もしくは溶解させることで適宜使用することができる。
【0059】
前記塗布治具30として、アプリケータを用いるものについて説明したが、これは塗布する際に、移動することなく固定されている場合の他、基材CA周縁に沿って樹脂REが流れないような場合は周縁に沿って移動させてもよい。なお、図示しないが、基材CAの周縁部11の側面に溝を設けて、塗布する樹脂をこの溝内に流すことで周縁部11により均等に含浸させることができる。
【0060】
前記基材CA周縁からの吸引には、図16(A)に示すように、基材CAの周縁端面11Aに相当する大きさの開口を備えた樹脂吸引手段としての吸引具31を用いて端面11Aから基材CA内の多孔質孔内の空気を吸引する。この吸引により、基材CAの周縁部11の側面上に塗布される樹脂REは基材CA周縁部11内に含浸される。一つの端面11Aへの含浸作業の終了により、図16(B)に示すように、吸引具31を次の端面11Aに移動させて吸引しつつアプリケータ30により周縁部11に樹脂REを供給して同様に含浸させ、全ての周縁部11に同様に含浸させる。これらの作業中において、基材CAの周縁部11を除く中央部分は、図16(C)に示す治具32を上面から当接させて、基材CAの周縁部11のみを露出させることにより、吸引具31で吸引する空気がアプリケータ30で塗布している面から流れ込むことを促進して基材CAの周縁部11への樹脂REの流れ込みが良好となる。なお、各辺の長さが異なる長方形の基材CAに対しては、長さが異なる2種類の吸引具31を用いればよい。
【0061】
図17により第2実施形態の第2実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図17は燃料電池用基材への含浸工程を示す概略断面図である。
【0062】
図17に示すように、第2実施例の燃料電池用基材の製造方法においては、成形加工された基材CAの流路を備える領域33を囲んで環状のガスケット34を介してプレート35により上下両面から挟み、プレート35、ガスケット34および基材CAにより閉じた空間Eを形成する一方、基材CAの周縁部11を外部に露出させる。前記環状のガスケット34、プレート35は含浸治具を構成している。そして、前記各空間Eに導入口36より不活性のブロックガスを供給して空間E内を外気に対して高い圧力とした状態で、基材CAの露出した周縁部11に、図中の矢印に示すように、液状樹脂REを含浸させる。含浸される液状樹脂REは、高い圧力に維持されている前記空間E内へ浸透することを阻止され、周縁部11に留まる。基材CAの周縁部11への液状樹脂REの含浸を終了した時点で、上下プレート35を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、周縁部11に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。なお、前記空間Eへのブロックガスの導入を上下両側のプレート35に導入口36を設けて行うよう説明しているが、基材CAは多孔質であるため、いずれか一方のプレート35に導入口36を設けてブロックガスを導入するようにしてもよい。
【0063】
なお、前記空間E内は加圧しておかなければ、供給した液状樹脂REが所望の範囲である周縁部11以外にも広がる可能性はあるが、基材CAの平面方向で広がる距離は、基材CAの厚み方向に含浸する距離と概ね等しいと考えられる、即ち、基材CAの裏面まで液状樹脂REが到達してしまえば、基材CAの面方向への浸透は止まる。したがって、図示しないが、基材の液状樹脂供給側面あるいは到達側面にシール充填用等の溝を設けることは、結局、裏面までの到達を早める効果があり、所望でない基材平面方向への液状樹脂の含浸の広がりを防ぐことができる。なお、もちろん、空間E内から加圧して基材CA平面方向への広がりを防ぎつつ、基材CAの周縁部11の裏面側から吸引することも可能である。
【0064】
図18により第2実施形態の第3実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図18は燃料電池用基材への含浸工程を示す概略断面図であり、基材の周縁部の端部から液状樹脂を含浸させるようにしたものである。
【0065】
図18に示す第3実施例の燃料電池用基材の製造方法においては、基材CAの上下両面の周縁部11に接触するガスケット37をプレート35で支持して含浸治具を構成している。そして、第2実施例と同様に導入口36から不活性のブロックガスを空間E内に導入して空間E内を比較的高い圧力状態とし、矢印に示すように、基材CAの端面方向から液状樹脂REを含浸させる。液状樹脂REの供給圧力と空間E内の圧力とのバランスにより液状樹脂REの端面からの含浸深さを調節する。基材CAの周縁部11への液状樹脂REの含浸を終了した時点で、上下プレート35を開いて基材CAを取り出し、次工程にある図示しない硬化工程により周縁部に含浸された樹脂REを硬化させる。結果として、周縁部11に樹脂REが含浸され硬化された基材CAが得られる。
【0066】
この含浸方法においては、基材CAの周縁部11の上下両面はガスケット37に接触しているため、液状樹脂REが上下両面上に盛り上がることがなく、設計寸法通りの厚さの燃料電池用基材CAを形成できる。
【0067】
図19により第2実施形態の第4実施例における燃料電池用基材の製造方法について説明する。図19は燃料電池用基材への含浸工程を示す概略断面図であり、基材の周縁部の液状樹脂の供給側面の反対側の裏面から液状樹脂を吸引するようにしたものである。
【0068】
図19に示す第4実施例の燃料電池用基材の製造方法においては、含浸治具本体38(例えば、ステンレス製)に基材CAを受入れる窪み39を形成し、窪み39の底面40に基材CAの流路を備える領域を囲んで配置した環状のガスケット41により基材CAを支持し、支持された基材CA外周端に窪み39の壁面に沿って設けたガスケット42の内端を接触させて基材CAの周縁部11と窪み39とで周縁空間43を形成する。そして、基材CAの上面に基材CAの流路を備える領域を囲んで環状のガスケット34を介して上面から垂直荷重により押え込むプレート35(例えば、プラスチック製)を設け、このプレート35にブロックガス、例えば、乾燥窒素の導入口36を設けている。周縁空間43の例えば、窪み39の隅部には樹脂吸引手段としての排気口44を設け、周縁空間43内の空気を吸引可能としており、排気口44は含浸樹脂REによる閉塞が起こりにくい最低限の口径を備える。
【0069】
液状樹脂REの含浸時には、導入口36から空間E内にブロックガスを導入して空間E内の圧力を上昇させ、含浸治具本体38の排気口44から周縁空間43の空気を吸引している状態とする。この状態において、基材CAの周縁部11の上面から液状樹脂REを供給して基材CAの周縁部11に液状樹脂REを含浸させる。この含浸方法では、空間E内から加圧して基材CA平面方向への広がりを防ぎつつ、基材CAの周縁部11の裏面側から吸引するため、液状樹脂REの裏面までの到達を早める効果があり、所望でない基材CA平面方向への液状樹脂REの含浸の広がりを防ぐことができる。
【0070】
なお、排気口44からのガス吸引圧とガス導入口36からの加圧の調整は、吸引と加圧の順番、樹脂投入のタイミング、含浸時間、含浸溶液の粘性や多孔質基材との接触角、多孔質の平均細孔径と気孔率等によって条件を適宜調整することが望ましい。
【0071】
以上説明した第2実施形態の第1〜第4実施例で得られた燃料電池用基材CAは、水中に設置してその両側にゲージ圧200KPaの差圧をかけ、低圧側から気泡の発生が見られるか否かの確認を行ったが、いずれの実施例においても気泡の発生を生じないことが確認でき、遜色ないガスシール性を保つことを確認した。
【0072】
本実施形態においては、第1実施形態における効果(ア)、(イ)に加えて、以下に記載した効果を奏することができる。
【0073】
(キ)樹脂含浸手段として樹脂REを含浸させない基材CAの内周領域33を外気と隔絶し、基材CAの周縁部11に液状樹脂REを供給するとともに、外気と隔絶した領域33に加圧ガスを供給するため、基板CAの成形工程の後工程で液状樹脂REを含浸する時に、必要な部分のみを選択的に含浸でき、不必要な部分まで緻密化させることを防ぐことができる。また、この含浸工程では構成する器具を加温する必要が無いため使用する樹脂は溶融状態のものでなくとも、種々の溶媒に溶かした溶液を用いることが可能である。
【0074】
(ク)外気隔絶領域である空間Eへ供給する加圧ガスのガス圧力は当該基材CAの樹脂浸透力に応じて設定するため、樹脂REの含浸における浸透力と樹脂含浸を行わない部分の加圧力を樹脂含浸の度合いにより調整でき、選択的な樹脂含浸による緻密化を実現できる。
【0075】
(ケ)基材CAの周縁部11には、供給された液状樹脂REを基材CAの周縁部11を透過させて吸引する樹脂吸引手段としての吸引具31または排気口44を備えるため、効率よく緻密化することが可能である。
【0076】
(コ)周縁部11の基材CA側面に液状樹脂REを塗布する塗布手段としての塗布治具30により樹脂供給手段を構成しているため、アプリケータ30を用いてさまざまな形状の樹脂に塗布を行うことができ、樹脂塗布を可能とする形状の制限を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す燃料電池用基材を用いる燃料電池スタックの部分断面図。
【図2】本発明の第1実施形態の第1実施例における燃料電池用基材の製造工程を示す工程図。
【図3】第1実施形態の第1実施例の成形工程を示す断面図。
【図4】第1実施形態の第1実施例の含浸工程を示す断面図。
【図5】第1実施形態の第1実施例の含浸治具の斜視図。
【図6】本発明の第1実施形態の第2実施例における燃料電池用基材の製造工程を示す工程図。
【図7】第1実施形態の第2実施例の成形工程および含浸工程を示す断面図。
【図8】第1実施形態の第2実施例の成形工程時の作動図。
【図9】本発明の第1実施形態の第3実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図10】第1実施形態の第3実施例の成形工程(A)、および、得られた基材(B)の断面図。
【図11】本発明の第1実施形態の第4実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図12】本発明の第1実施形態の第5実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図13】本発明の第1実施形態の第6実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図14】本発明の第1実施形態の第7実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図15】本発明の第2実施形態の第1実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す概略斜視図。
【図16】第2実施形態の第1実施例の含浸工程における作業要領を(A)〜(C)に分けて示す斜視図。
【図17】第2実施形態の第2実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図18】第2実施形態の第3実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【図19】第2実施形態の第4実施例における燃料電池用基材の含浸工程を示す断面図。
【符号の説明】
MO 成形工程
IM 樹脂含浸手段を構成する含浸工程
CA 基材、燃料電池用基材
RE 樹脂、含浸用樹脂
1 燃料電池スタック
2 膜電極接合体
3、4 セパレータ
5 冷却層
6 シール層
7 成形用空間
8 上型
9 下型
10、20 金型
11 周縁部
12 空間
13、14 上下治具(含浸治具)
15、26 導入口(樹脂含浸手段、樹脂供給手段、樹脂導入通路)
16、25、27 ガス排出口(樹脂含浸手段、樹脂吸引手段、樹脂吸引通路)
17 接触面
22、24 シール充填用溝
30 塗布治具、アプリケータ(樹脂含浸手段、樹脂供給手段)
31 吸引具(樹脂含浸手段、樹脂吸引手段)
33 領域、内周領域(外気隔絶領域)
34、37、41、42 ガスケット(含浸治具)
35 プレート(含浸治具)
38 含浸治具本体
44 排気口(樹脂吸引手段)
Claims (13)
- 多孔質の炭素質材料を、ガス流路を備え且つ周縁部に樹脂が含浸された燃料電池用基材へと成形する燃料電池用基材の製造方法であって、
基材の周縁部に沿って液状樹脂を供給する樹脂含浸手段により成型加工後の基材の周縁部内に液状樹脂を含浸させることを特徴とする燃料電池用基材の製造方法。 - 前記樹脂含浸手段は、成形型による基材の成型加工後に液状樹脂を成形型内の基材周縁部に供給して基材周縁部に樹脂を含浸することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用基材の製造方法。
- 前記樹脂含浸手段は、成型加工後の基材を含浸治具に保持して液状樹脂を基材周縁部に供給して基材周縁部に樹脂を含浸することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用基材の製造方法。
- 前記樹脂含浸手段は、基材の周縁部に液状樹脂を供給する樹脂供給手段と、前記樹脂供給手段から供給された液状樹脂を基材の周縁部を透過させて吸引する樹脂吸引手段とを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の燃料電池用基材の製造方法。
- 前記樹脂供給手段は、周縁部の基材側面に液状樹脂を塗布する塗布手段により構成したことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用基材の製造方法。
- 前記樹脂供給手段および樹脂吸引手段は、成形型に形成した樹脂導入通路および樹脂吸引通路により形成したことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池用基材の製造方法。
- 前記基材は、前記樹脂吸引手段に臨む側面に基材の外周縁に沿って延びる溝を備えていることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか一つに記載の燃料電池用基材の製造方法。
- 前記基材は、前記樹脂供給手段に臨む側面に基材の外周縁に沿って延びる溝を備えていることを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれか一つに記載の燃料電池用基材の製造方法。
- 前記樹脂含浸手段は、樹脂を含浸させない基材の内周領域を外気と隔絶し、基材の周縁部に液状樹脂を供給するとともに、外気と隔絶した領域に加圧ガスを供給することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用基材の製造方法。
- 外気隔絶領域へ供給する加圧ガスのガス圧力は、当該基材の樹脂浸透力に応じて設定することを特徴とする請求項9に記載の燃料電池用基材の製造方法。
- 前記基材の周縁部には、供給された液状樹脂を基材の周縁部を透過させて吸引する樹脂吸引手段を配置して備えることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池用基材の製造方法。
- 多孔質の炭素質材料をガス流路を備え且つ周縁部に樹脂が含浸された燃料電池用基材に形成する燃料電池用基材の製造方法であって、
基材を成型加工する成形型に、成形型外部から基材の周縁部に樹脂を供給可能な樹脂供給通路と、供給された樹脂を基材を透過させて成形型外部へと吸引可能な樹脂吸引通路とを設け、
基材の成形時に、基材を前記成形型により覆って型外気との接触を隔絶した状態において、樹脂供給通路を通って基材の周縁部に液状樹脂を供給しかつ基材の周縁部内を透過した液状樹脂を樹脂吸引通路へ吸引することを特徴とする燃料電池用基材の製造方法。 - 多孔質の炭素質材料をガス流路を備え且つ周縁部に樹脂が含浸された燃料電池用基材であって、
前記基材は、その周縁部の外周縁に沿って液状の樹脂を含浸していることを特徴とする燃料電池用基材。
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JP2007317595A (ja) * | 2006-05-29 | 2007-12-06 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 固体酸化物形燃料電池用の溶液注入ホルダ |
JP2007538358A (ja) * | 2004-11-03 | 2007-12-27 | ビーワイディー カンパニー リミテッド | 燃料電池の膜電極接合体を作製する方法 |
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-
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- 2002-12-10 JP JP2002357702A patent/JP2004192888A/ja active Pending
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