JP2004192822A - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、
基板上に、対向する陽極と陰極と、これらの電極間に狭持された1層以上の有機化合物層とを備えてなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、
ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物を含有する反応性ガスの存在下、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間に放電することにより、該反応性ガスをプラズマ状態とし、前記有機エレクトロルミネッセンス素子をこのプラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、該有機エレクトロルミネッセンス素子の外表面に重合体膜からなる保護膜を形成したことを特徴としている。
【効果】本発明によれば、長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子、すなわち経時による輝度の低下の少ない有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法を提供することができる。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法、すなわち経時による輝度の低下の少ない有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
基板上に、対向する陽極と陰極と、これらの電極間に狭持された1層以上の有機化合物層とを備えた構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)は、自己発光型デバイスであり、広視野角、高コントラスト、高速応答性などの利点を有することから、近年、実用化を含めた開発が盛んになっている。この有機EL素子においては、その発光原理が、陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子との再結合によるため、陽極には仕事関数の大きな(4eV以上)金属や合金などが用いられ、陰極には仕事関数の小さな(4eV未満)金属や合金などが用いられるのが一般的である。
【0003】
しかしながら、前記陰極およびこれらの電極間に介在する発光層などの有機化合物層は、外気に含まれる酸素や水によって酸化され易く、有機EL素子全体として、経時による輝度の低下やダークスポットの発生などの劣化が生じ、耐久性の点で問題があった。
このような有機EL素子の劣化を防止すべく、有機EL素子を保護し、外気から封止する保護膜を有機EL素子の外表面、特に陰極上に設けることが行われている。従来、有機EL素子の外表面には、前記保護膜として、窒化シリコン、窒化アルミニウムなどの窒化物や二酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの酸化物からなる薄膜が真空蒸着、スパッタ、減圧プラズマCVDなどにより設けられたり、紫外線硬化型アクリル系樹脂や紫外線硬化型エポキシ樹脂などを塗布した後、紫外線硬化することにより重合膜が設けられたりしていた。
【0004】
しかしながら、有機EL素子を構成する前記有機化合物層は、機械的強度および熱的強度が低い上、溶剤によってもダメージを受けることから、基板を加熱する必要がある方法や溶剤を用いる塗布法などによる保護膜の形成は不適当である。また、形成された保護膜自体も成膜方法如何によって、その封止効果に差が生じる。たとえば、本発明者らは、保護膜として、ビニルまたはアセチレン構造を有する反応性ガスを用いて、減圧下での蒸着法および重合による膜形成を検討したが、充分な封止効果は得られなかった。さらに、このような減圧下での蒸着法では、減圧にするのに時間を要する上、成膜速度が遅く、さらに成膜後に重合する工程を要することから生産性が低いという問題点がある。
【0005】
また、従来技術として、減圧下(例えば2.7Pa)でプラズマ重合膜を保護膜として形成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この場合にも充分な封止効果が得られず、減圧するのに時間を要する上、成膜速度が遅く生産性が低いという問題があった。
本発明者らは、このような状況に鑑みて、鋭意検討した結果、ビニルまたはアセチレン構造を有する反応性ガスの存在下において、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間に放電することにより反応性ガスをプラズマ状態とし、前記有機EL素子を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、有機EL素子の外表面に重合体膜からなる保護膜を、該有機EL素子に損傷を与えずに形成することができ、これにより長寿命の有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−101886号公報
【0007】
【発明の目的】
本発明は、長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子、すなわち経時による輝度の低下の少ない有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、
基板上に、対向する陽極と陰極と、これらの電極間に狭持された1層以上の有機化合物層とを備えてなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、
ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物を含有する反応性ガスの存在下、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間に放電することにより、該反応性ガスをプラズマ状態とし、前記有機エレクトロルミネッセンス素子をこのプラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、該有機エレクトロルミネッセンス素子の外表面に重合体膜からなる保護膜が形成されたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、
基板上に、対向する陽極と陰極と、これらの電極間に狭持された1層以上の有機化合物層とを備えてなる有機エレクトロルミネッセンス素子を、
ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物を含有する反応性ガスの存在下において、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間に放電することによりプラズマ状態とした反応性ガスに晒すことによって、
該有機エレクトロルミネッセンス素子の外表面に重合体膜からなる保護膜を形成することを特徴としている。
【0010】
本発明では、前記ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物は、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステル、芳香族ビニル、ビニルエーテル、不飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
本発明では、前記対向する電極間に、100Hz〜150MHzの周波電圧で、かつ、0.1W/cm以上の電力を供給して放電させ、反応性ガスをプラズマ状態とすることが好ましい。
【0011】
また、前記周波電圧の波形としては、矩形波、パルス波など任意のものを用いることができるが、連続したサイン波であることが好ましい。
【0012】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、
基板上に、対向する陽極と陰極と、これらの電極間に狭持された1層以上の有機化合物層(以下、有機EL層ともいう。)とを備えてなる有機エレクトロルミネッセンス素子に、重合体膜からなる保護膜を形成したものである。
<基板>
本発明に用いることができる基板としては、特に限定されないが、ガラス基板とプラスチック基板とが挙げられる。本発明では、これらのいずれを用いてもよい。なお、該基板としては、基板側からの酸素や水の侵入を阻止する点から、JIS Z−0208に準拠した試験において、その厚さが1μm以上で水蒸気透過率が1g/m・1atm・24hr(25℃)以下であるものが望ましい。
【0013】
前記ガラス基板としては、具体的にはたとえば、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラスなどが挙げられる。これらのうち、水分の吸着が少ない点からは無アルカリガラスが好ましいが、充分に乾燥を行えばこれらのいずれを用いてもよい。
前記プラスチック基板は、可撓性が高く、軽量で割れにくいこと、有機EL素子のさらなる薄型化を可能にできることなどの理由で、近年注目されているところであるが、通常生産されているプラスチック基板は水分の透過性が比較的高く、内部に水分を含有している。したがって、このようなプラスチック基板を用いる際には、樹脂基材上に水蒸気を封止する膜を設けることが好ましい。
【0014】
水蒸気を封止する膜を構成する材料としては、無機物もしくは有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が挙げられる。被膜の具体例としては、たとえば、ゾル−ゲル法により形成されたシリカ層、ポリマーの塗付などにより形成された有機層(たとえば、重合性基を有する有機材料膜に紫外線や熱などの手段で後処理を施した膜を含む)、DLC膜、金属酸化物膜または金属窒化物膜などが挙げられる。金属酸化物膜、金属窒化物膜を構成する金属酸化物、金属窒化物としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、ITO(酸化インジウム錫)、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、窒化珪素などの金属窒化物、酸窒化珪素、酸窒化チタンなどの金属酸窒化物などが挙げられる。
【0015】
前記樹脂基材としては、特に限定はなく、具体的には、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂などのシクロオレフィン系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン類、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルまたはポリアリレート類などを挙げることができる。これらのうちでは、特にアートン(商品名;JSR(株)製)あるいはアペル(商品名;三井化学(株)製)といったシクロオレフィン系樹脂が好ましい。
【0016】
前記樹脂基材に、水蒸気を封止する膜を設ける方法は、特に限定されず、いかなる方法でもよいが、具体的にはたとえば、ゾルゲル法、真空蒸着、スパッタリング、CVD法(化学的気相堆積)などが挙げられる。これらのうち、大気圧あるいは大気圧近傍でのプラズマCVD処理による方法、すなわち、有機金属化合物などを含有する反応性ガスを用い、対向する電極間でプラズマ状態とした反応性ガスに基材フィルムを晒すことで基材上に前記封止膜を形成する方法が、緻密な膜を形成でき、反応性ガスの選択およびプラズマ発生条件によって、膜の物性などを制御できるため好ましい。なお、このような大気圧あるいは大気圧近傍でのプラズマCVD処理による水蒸気を封止する膜の作製には、後述する保護膜の形成の際に用いられる大気圧プラズマCVD処理装置を好ましく用いることができる。
<陽極、陰極、有機化合物層>
前述したように本発明では、有機EL素子は、対向する陽極と陰極との間に1層以上の有機化合物層が挾持され、さらに該素子の外表面に重合体膜からなる保護膜を有する構造をとる。ここで、前記有機化合物層には、少なくとも発光層が含まれるが、発光層とは、広義の意味では、陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する層のことを指し、具体的には、陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する有機化合物を含有する層のことを指す。本発明にかかる有機EL素子は、必要に応じ、発光層の他に、正孔注入層(陽極バッファー層)、電子注入層(陰極バッファー層)、正孔輸送層、電子輸送層、正孔阻止層および電子阻止層を有していてもよく、これらの層が陰極と陽極とで狭持された構造をとる。
【0017】
具体的には、
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
などの構造が挙げられる。
《発光層》
上記発光層は、発光層自体に、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層および電子輸送層などを設けてもよい。すなわち、発光層に(1)電界印加時に、陽極または正孔注入層より正孔を注入することができ、かつ陰極または電子注入層より電子を注入することができる注入機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光機能のうちの少なくとも1つ以上の機能を付与してもよく、この場合は、発光層とは別に正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層および電子輸送層の少なくとも1つ以上は設ける必要がなくなることになる。
【0018】
また、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層および電子輸送層などに発光する化合物を含有させることで、発光層としての機能を付与させてもよい。なお、発光層は、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさに違いがあってもよく、また、正孔と電子の移動度で表される輸送機能に大小があってもよいが、少なくともどちらか一方の電荷を移動させる機能を有するものが好ましい。
【0019】
発光層に使用される材料(以下、発光材料という。)は、蛍光または燐光を発する有機化合物または錯体であることが好ましく、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。このような発光材料は主に有機化合物であり、所望の色調により、たとえば、Macromol.Synth.125巻17頁〜25頁に記載の化合物などを用いることができる。
【0020】
発光材料は、p−ポリフェニレンビニレンやポリフルオレンのような高分子材料でもよく、さらに前記発光材料を高分子鎖に導入した、または前記発光材料を高分子の主鎖とした高分子材料を使用してもよい。
また、発光層にはドーパント(ゲスト物質)を併用してもよく、有機EL素子のドーパントとして使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0021】
ドーパントの具体例としては、たとえばキナクリドン、DCM、クマリン誘導体、ローダミン、ルブレン、デカシクレン、ピラゾリン誘導体、スクアリリウム誘導体、ユーロピウム錯体などが挙げられる。
また、燐光性化合物をドーパントとして用いることもできる。この場合、燐光性化合物とは、25℃において燐光量子収率が0.001以上であるものを意味し、好ましくは周期律表でVIII族の金属を中心金属とする錯体系化合物であり、より好ましくはオスミウム錯体系化合物、イリジウム錯体系化合物、白金錯体系化合物である。
【0022】
上記発光材料を用いて、蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により薄膜化することにより発光層を形成することができるが、発光層は、分子堆積膜であることが好ましい。ここで、分子堆積膜とは、上記化合物の気相状態から沈着され形成された薄膜や、該化合物の溶融状態または液相状態から固体化され形成された膜のことである。通常、この分子堆積膜はLB法により形成された薄膜(分子累積膜)と凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区別することができる。
【0023】
また、この発光層は、特開昭57−51781号公報に記載されているように、樹脂などの結着材と共に上記発光材料を溶剤に溶かして溶液としたのち、これをスピンコート法などにより薄膜化して形成することもできる。
このようにして形成された発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である
《正孔輸送層》
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する材料(以下、正孔輸送材料という。)からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。
【0024】
正孔輸送材料としては、特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものや、EL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。具体的には、たとえばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、または導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。これらのうちでは、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物が好ましく、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0025】
上記芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)ビフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、たとえば4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(以下、α−NPDと略す。)、特開平4−308688号に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などが挙げられる。
【0026】
また、p型−Si、p型−SiCなどの無機化合物も正孔輸送材料として使用することができる。
この正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、たとえば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
【0027】
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度である。この正孔輸送層は、上記材料の1種または2種以上からなる1層構造であってもよく、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
《電子輸送層》
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料(以下、電子輸送材料という。)からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。
【0028】
従来、発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)として、下記の材料が知られている。また、電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して電子輸送材料として用いることもできる。
【0029】
電子輸送材料の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。また、特開昭59−194393号公報に記載されている一連の電子伝達性化合物は、該公報では発光層を形成する材料として開示されているが、本発明者らが検討の結果、電子輸送材料として用いうることが分かった。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、たとえばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alqと略す。)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、およびこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、従来、発光層の材料として用いられているジスチリルピラジン誘導体も電子輸送材料として用いることができるし、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
【0030】
この電子輸送層は、上記化合物を、たとえば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜化法により成膜して形成することができる。
電子輸送層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この電子輸送層は、これらの電子輸送材料の1種または2種以上からなる1層構造であってもよいし、あるいは同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
《注入層》;電子注入層、正孔注入層
注入層は、必要に応じて設けることができ、電子注入層と正孔注入層とがある。この注入層は、上記のように陽極と発光層または正孔輸送層との間、および、陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
【0031】
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機化合物層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(第123頁〜第166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
【0032】
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報などにもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェンなどの導電性高分子を用いた高分子バッファー層などが挙げられる。
【0033】
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報などにもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウムなどに代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層などが挙げられる。
【0034】
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。
《阻止層》;正孔阻止層、電子阻止層
阻止層は、上記のような有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。具体的には、たとえば、特開平11−204258号、同11−204359号、および「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第237頁などに記載されている正孔阻止(ホールブロック)層が挙げられる。
【0035】
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層であり、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。
一方、電子阻止層とは広い意味では、正孔輸送層であり、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。
【0036】
さらにその他、必要に応じて、他の機能を有する層を積層してもよい。
《陽極》
有機EL素子の陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、金属の電気伝導性化合物あるいはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。ここで、「金属の電気伝導性化合物」とは、電気伝導性を有する、金属と他の物質との化合物をいい、具体的にはたとえば、金属の酸化物、ハロゲン化物などであって電気伝導性を有するものをいう。
【0037】
このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnOなどの導電性透明材料が挙げられる。
上記陽極は、これらの電極物質を用いて、蒸着やスパッタリングなどの方法により薄膜を形成し、さらにフォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成することによって作製してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成することによって作製してもよい。
【0038】
この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は、材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
有機EL素子の陰極としては、仕事関数の小さい(4eV未満)金属(電子注入性金属と称する)、合金、金属の電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、インジウム、希土類金属、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物などが挙げられる。これらの中では、電子注入性および酸化などに対する耐久性の点からは、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二の金属または該金属の電気伝導性化合物との混合物、たとえばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などのほか、アルミニウムが好ましく挙げられる。上記陰極は、これらの電極物質を用いて、蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成することにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は、通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光効率が向上し好都合である。
【0039】
<保護膜の形成>
本発明にかかる有機EL素子は、上記の対向する電極間に1層以上の有機化合物層が狭持された有機EL素子の外表面にさらに重合体膜からなる保護膜が形成されたものである。本発明では、この保護膜を設けることにより、外気由来の酸素や水を有効に封止し、素子の劣化を防止して、素子の長寿命化を図ることができる。
【0040】
さらに該保護膜は、重合膜からなるため、無機物からなる従来の保護膜に比べて柔軟であり、素子全体について可撓性が要求される場合、たとえば基板としてプラスチック基板を用いた素子などに好適に用いることができる。
本発明では、前記保護膜として、ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物を含有する反応性ガスの存在下、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間に放電することにより、該反応性ガスをプラズマ状態とし、前記有機EL素子をこのプラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、有機EL素子の外表面に反応性ガス由来の重合体膜を形成することが好ましい。なお、ここで大気圧近傍とは、20kPa〜110kPaの圧力をいい、さらに好ましくは93kPa〜104kPaをいう。前記大気圧または大気圧近傍下におけるプラズマCVD処理(以下、大気圧プラズマCVD処理という。)により、反応性ガスをプラズマ状態にして形成した重合膜からなる保護膜は、緻密な膜となり、酸素や水に対する封止性に優れる。また、前記大気圧プラズマCVD処理によれば、基板温度を制御できる上、減圧とする必要がないことから、有機EL素子を損傷させることなく、かつ、高い生産性で保護膜を成膜することができる。
【0041】
まず、このような大気圧プラズマ放電処理に用いることができる反応性ガスについて説明する。
本発明では、前記反応性ガスは、ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物を含有することが好ましい。このような重合性化合物を反応性ガスに含有させることにより、大気圧プラズマCVD処理を介して、重合膜を形成することができる。
【0042】
前記ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物としては、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステル、芳香族ビニル、ビニルエーテル、不飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
前記不飽和カルボン酸エステルとしては、具体的には、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリレート、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸メチルエステルなどが挙げられる。これらのうちでは、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチルがより好ましい。
【0043】
前記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどが好ましく挙げられる。これらのうちでは、酢酸ビニルがより好ましい。
前記芳香族ビニルとしては、具体的にはたとえば、スチレン、1,4−ジビニルベンゼンなどが好ましく挙げられる。これらのうちでは、スチレンがより好ましい。
【0044】
前記ビニルエーテルとしては、iso−プロピルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、iso−ブチルビニルエーテル、n−アミルビニルエーテル、iso−アミルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ジビニルエーテルなどが好ましく挙げられる。これらのうちでは、iso−プロピルビニルエーテルがより好ましい。
【0045】
前記不飽和炭化水素としては、具体的にはたとえば、アセチレン、エチレン、プロピレン、シクロヘキセン、ブタジエン、シクロペンタジエンなどが好ましく挙げられる。これらのうちでは、アセチレン、ブタジエンがより好ましい。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
これらの化合物を反応性ガスとして用いる際には、放電空間である電極間に、常温常圧で、気体、液体、固体のいずれかの状態で導入すればよい。すなわち、前記化合物が気体の場合は、そのまま放電空間に導入でき、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射などの手段により気化させて使用すればよい。その際に溶媒によって希釈して使用してもよく、希ガスでバブリングして反応性ガスとして使用してもよい。前記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒およびこれらの混合溶媒が使用できる。
【0047】
なお、前記反応性ガスとして、必要に応じて酸素ガス、水素ガス、メタン、フッ化炭化水素ガスなどを共存させてもかまわない。これらの共存させるガスは、ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物に対して、通常0.1〜50体積%の量で共存させることができる。
前記反応性ガスは、キャリアガスとなる不活性ガスと混合して、混合ガスとして、後述する大気圧プラズマCVD処理に用いることが好ましい。この際、前記反応性ガスは、混合ガス全量に対し、好ましくは0.01〜10体積%、より好ましくは0.1〜5体積%の量で含有させることが望ましい。
【0048】
前記不活性ガスとしては、窒素ガス、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンなどが挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。なお、前記不活性ガスは、混合ガス全量に対し、好ましくは99.99〜90体積%、より好ましくは99.9〜95体積%の量で含有させることが望ましい。
【0049】
次に、前記大気圧プラズマCVD処理に用いることができる装置について、図を参照しながら説明する。
図1は、プラズマ成膜装置に備えられるプラズマ放電処理室の1例である。このプラズマ放電処理室は、柔軟性のある長尺状の基材、たとえば基板としてプラスチック基板を用いて、これに陽極、有機化合物層、陰極を形成した長尺状の有機EL素子に保護膜を形成するのに適している。
【0050】
図1のプラズマ放電処理室10において、基材(上記構成の有機EL素子を示す、以下同じ。)Fは搬送方向(図中、時計回り)に回転するロール電極25に巻き回されながら搬送される。ロール電極25の周囲に固定されている複数の固定電極26はそれぞれ円筒で構成され、ロール電極25に対向させて設置される。プラズマ放電処理室10を構成する放電容器11はパイレックス(R)ガラス製の処理容器が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。たとえば、アルミニウムまたはステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂などを貼り付けてもよく、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。
【0051】
ロール電極25に巻き回された基材Fは、ニップローラ15、16で押圧され、ガイドローラ24で規制されて放電容器11内部に確保された放電処理空間に搬送され、プラズマ放電処理され、次いで、ガイドローラ27を介して次工程に搬送される。本発明では、真空系ではなくほぼ大気圧に近い圧力下で放電処理により成膜できることから、このような連続工程が可能となり、高い生産性をあげることができる。
【0052】
なお、仕切板14は前記ニップローラ15、16に近接して配置され基材Fに同伴する空気が放電容器11内に進入するのを抑制する。この同伴される空気は、放電容器11内の気体の全体積に対し、1体積%以下に抑えることが好ましく、0.1体積%以下に抑えることがより好ましい。前記ニップローラ15および16により、それを達成することが可能である。
【0053】
なお、放電プラズマ処理に用いられる混合ガスは、給気口12から放電容器11に導入され、処理後のガスは排気口13から排気される。
ロール電極25はアース電極であり、印加電極である複数の固定電極26との間で放電させ、当該電極間に前述したような反応性ガスを導入してプラズマ状態とし、前記ロール電極25に巻き回しされた長尺フィルム状の基材を前記プラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、反応性ガス由来の重合膜を形成する。
【0054】
前記電極間には、高いプラズマ密度を得て成膜速度を大きくし、緻密な膜を形成するため、下記の範囲の周波電圧で、下記の大きな電力を供給することが好ましい。具体的には、100Hz以上150MHz以下の周波電圧を印加することが好ましく、良質な膜を得る点からは100Hz以上13.56MHz以下であることがより好ましい。また、電極間に供給する電力は、0.1W/cm以上50W/cm以下であることが好ましく、1W/cm以上20W/cm以下であることがより好ましい。なお、ここで電極における電圧の印加面積(cm)は放電が起こる範囲の面積のことである。
【0055】
また、電極間に印加する前記周波電圧の波形は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であってもよいが、成膜速度が大きくなる点から、サイン波であることが好ましい。
このような電極としては、金属母材上に誘電体を被覆したものが好ましく挙げられる。少なくとも固定電極26とロール電極25のいずれか一方に誘電体を被覆したもの、好ましくは、両方に誘電体を被覆したものが望ましい。誘電体としては、比誘電率が6〜45の無機物が好ましく挙げられる。
【0056】
電極25、26の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から、0.5mm〜20mmが好ましく、より好ましくは1mm±0.5mmの範囲である。この電極間の距離は、電極周囲の誘電体の厚さ、印加電圧の大きさを考慮して決定される。
【0057】
また、基材を電極間に載置あるいは電極間を搬送してプラズマに晒す場合には、基材を片方の電極に接して搬送できるロール電極仕様にするだけでなく、さらに誘電体表面を研磨仕上げし、電極の表面粗さRmax(JIS B 0601)を10μm以下にすることで誘電体の厚みおよび電極間のギャップを一定に保つことができ放電状態を安定化できる。さらに、誘電体の熱収縮差や残留応力による歪みやひび割れをなくし、かつ、ノンポーラスな高精度の無機誘電体を被覆することで大きく耐久性を向上させることができる。
【0058】
また、金属母材に対する誘電体被覆による電極製作において、前記のように、誘電体を研磨仕上げすることや、電極の金属母材と誘電体間の熱膨張の差をなるべく小さくすることが必要であるので、母材表面に、応力を吸収できる層として泡混入量をコントロールして無機質の材料をライニングすることが好ましい。特に材質としては琺瑯などで知られる溶融法により得られるガラスであることがよく、さらに導電性金属母材に接する最下層の泡混入量を20〜30体積%とし、次層以降を5体積%以下とすることで、緻密かつひび割れなどの発生しない良好な電極を得ることができる。
【0059】
また、電極の母材に誘電体を被覆する別の方法として、セラミックスの溶射を空隙率10体積%以下まで緻密に行い、さらにゾルゲル反応により硬化する無機質の材料を用いて封孔処理を行うことがあげられる。ここでゾルゲル反応の促進には、熱硬化やUV硬化が好ましく、さらに封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、より一層無機質化が向上し、劣化のない緻密な電極を得ることができる。
【0060】
図2(a)および図2(b)はロール電極25の一例としてロール電極25c、25Cを示したものである。
アース電極であるロール電極25cは、図2(a)に示すように、金属などの導電性母材25aに対し、セラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体25bを被覆した組み合わせで構成されているものである。セラミック被覆処理誘電体を1mm被覆し、ロール径を被覆後φ200mmとなるように製作し、アースに接地する。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ、窒化珪素などが好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工しやすいので、さらに好ましく用いられる。
【0061】
あるいは、図2(b)に示すロール電極25Cのように、金属などの導電性母材25Aへライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体25Bを被覆した組み合わせから構成してもよい。ライニング材としては、珪酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩系ガラス、バナジン酸塩ガラスが好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工しやすいので、さらに好ましく用いられる。
【0062】
金属などの導電性母材25a、25Aとしては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄などの金属などが挙げられるが、加工の観点からはステンレスが好ましい。
また、図示しないが、実施の形態によっては、ロール電極の母材は冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材を使用することができる。
【0063】
さらに、ロール電極25c、25C(ロール電極25も同様)は、図示しないドライブ機構により軸部25d、25Dを中心として回転駆動されるように構成されている。
図3(a)は固定電極26の概略斜視図である。なお、固定電極は、円筒形状に限らず、図3(b)の固定電極36のような角柱型でもよい。円柱型の電極26に比べて、角柱型の電極は放電範囲を広げる効果があるので、形成する膜の性質などに応じて好ましく用いられる。
【0064】
また、固定電極26および36のいずれであっても上記記載のロール電極25c、ロール電極25Cと同様な構造を有する。すなわち、中空のステンレスパイプ26a、36aの周囲を、ロール電極25(25c、25C)と同様に、誘電体26b、36bで被覆し、放電中は冷却水による冷却が行えるようになっている。誘電体26b、36bは、セラミック被覆処理誘電体およびライニング処理誘電体のいずれでもよい。
【0065】
なお、固定電極は誘電体の被覆後φ12mmまたはφ15mmとなるように製作され、当該電極の数は、たとえば上記ロール電極の円周上に沿って14本である。
図4は、プラズマ成膜装置に備えられるプラズマ放電処理室の別の1例である。図4中、プラズマ放電処理室30は、図3(b)の角型の固定電極36をロール電極25の周りに配設した構造を有する。なお、図4において、図1と同じ部材については同符号を付して説明を省略する。
【0066】
図5に、図4のプラズマ放電処理室30が備えられたプラズマ成膜装置の例を示す。図5のプラズマ成膜装置50においては、プラズマ放電処理室30の他に、ガス発生装置51、電源41、電極冷却ユニット55などが配置されている。電極冷却ユニット55は、冷却剤の入ったタンク57とポンプ56とからなる。冷却剤としては、蒸留水、油などの絶縁性材料が用いられる。
【0067】
図5のプラズマ放電処理室30内の電極間のギャップは、たとえば1mm程度に設定される。このようなプラズマ放電処理室30内にロール電極25、固定電極36を所定位置に配置し、ガス発生装置51で発生させた混合ガスを流量制御して、給気口52より供給し、放電容器11内をプラズマ処理に用いる混合ガスで充填し、不要分については排気口13より排気する。
【0068】
次に電源41により固定電極36に電圧を印加し、ロール電極25はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここでロール状の元巻き基材FFからロール54を介して基材が供給され、ガイドロール24を介して、プラズマ放電処理室30内の電極間をロール電極25に片面接触した状態で搬送される。このとき放電プラズマにより基材Fの表面が放電処理され、その後にガイドロール27を介して次工程に搬送される。ここで、基材Fはロール電極25に接触していない面のみ放電処理がなされる。
【0069】
また、放電時の高温による悪影響、たとえば基材である有機EL素子の損傷を防止するため、基材の温度を常温(15℃〜25℃)〜200℃未満、さらに好ましくは常温〜100℃内で抑えられるように必要に応じて電極冷却ユニット55で冷却する。
図6は、本発明に用いることができるプラズマ成膜装置の別の一例を示す。このプラズマ成膜装置60は、図1および図4などの電極間には載置できないような性状を有する基材61、たとえば柔軟性および屈曲性に乏しい基材や厚みのある基材、具体的には基板としてガラスを用いて、該基板上に陽極、有機化合物層、陰極を形成した有機EL素子を基材として使用して、保護膜を形成する場合に特に適しており、予めプラズマ状態にした反応性ガスを基材(上記構成の有機EL素子を示す。以下同じ。)上に噴射して反応性ガス由来の重合膜を形成するためのものである。
【0070】
図6のプラズマ成膜装置において、35aは誘電体、35bは金属などの導電性母材、65は電源である。金属などの導電性母材35bに誘電体35aを被覆したスリット状の放電空間に、上部から不活性ガスおよび反応性ガスからなる混合ガスを導入し、電源65により高周波電圧を印加することにより反応性ガスをプラズマ状態とし、該プラズマ状態の反応性ガスを基材61上に噴射することにより基材61表面に膜を形成する。なお、金属などの導電性母材および誘電体としては、上述したものを用いることができる。
【0071】
図5の電源41、図6の電源65などのプラズマ成膜装置の電源としては、特に限定されないが、ハイデン研究所製インパルス高周波電源(連続モードで使用100kHz)、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)などを使用することができる。
【0072】
このようなプラズマ成膜装置を用いて、前述した反応性ガスの存在下で、大気圧プラズマCVD処理することにより、外表面に重合膜からなる保護膜を有する有機EL素子を作製することができる。
また、前記保護膜にはセラミック、金属酸化物または金属窒化物の膜を積層してもよく、積層することが好ましい。
【0073】
前記保護膜の膜厚は、反応性ガスの濃度を上げたり、プラズマ放電処理の時間を増やしたり、処理回数を重ねたりすることによって調整することができるが、酸素および水の透過を阻止する点からは、膜厚は好ましくは50nm〜10000nm、より好ましくは200nm〜5000nmであることが望ましい。
上記のようにして作製した本発明にかかる有機EL素子の好ましい一形態の断面図を図7に示す。図7中、71は基板であり、72Aは陽極、72Bは陰極の引き出し線、73は有機化合物層、74は陰極、75は重合体膜からなる保護膜である。
【0074】
なお、本発明にかかる有機EL素子は、図8のように、保護膜75の上方に対向基板77を設け、該対向基板の下面(基板71と対向する面)の周辺部に塗布法や転写法などにより設けられた略枠状のシール材78を介して対向基板77と基板71とを互いに貼り合せて封止する構造をとってもよい。この場合、図示しないが、シール材78の所定の位置に空気逃げ用開口部を設けて、減圧雰囲気下または窒素ガスまたは不活性ガス雰囲気下において、熱硬化型エポキシ系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂などで封止することが望ましい。
【0075】
前記シール材78は、熱硬化型エポキシ樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂、または反応開始剤をマイクロカプセル化して加圧することにより、反応を開始する常温硬化型エポキシ樹脂などからなることが好ましい。
また、前記対向基板77としては、基板71として例示したものが挙げられる。
【0076】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
【実施例1】有機EL素子OLED−1の作製
以下、本発明にかかる有機EL素子の作製について、図7を参照して説明する。
まず、基板71としてガラスを用い、該ガラス上に陽極72Aおよび陰極の引き出し線72BとしてITOを150nmの厚みで成膜したもの(NHテクノグラス社製:NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をi−プロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。次に、この透明支持基板に穴あきマスクを固定し、真空蒸着法により、有機化合物層(有機EL層)73としてα−NPD層(正孔輸送層、膜厚25nm)、CBP(4,4′−N,N′−ジカルバゾール−ビフェニル)とIr(ppy)[トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム]の蒸着速度の比が100:6の共蒸着層(発光層、膜厚35nm)、BC(バトクプロイン)層(正孔阻止・電子輸送層、膜厚10nm)、Alq層(電子輸送層、膜厚40nm)、フッ化リチウム層(陰極バッファー層、膜厚0.5nm)を順次積層した。さらにマスクを長方形穴あきマスクに替えアルミニウムを蒸着し、膜厚100nmの陰極74を形成した。
【0078】
次に上記構成の積層体を設けた基板上に、図9に示した形状のマスク76を固定し、図6のプラズマ成膜装置を用い、メタクリル酸メチル蒸気の存在下でプラズマ放電処理を行うことにより、保護膜として厚さ1.0μmの重合体膜を作製した。
このとき、プラズマ発生に際しては、周波数100kHzの電圧でかつ5W/cmの電力を供給し、電極間には以下の組成でメタクリル酸メチル蒸気を含有した混合ガスを流した。
【0079】
<混合ガス組成>
不活性ガス:アルゴン 99体積%
反応性ガス:メタクリル酸メチル 1.0体積% (80℃に加熱し、アルゴンガスをバブリングして蒸発させた。)
【0080】
【実施例2】有機EL素子OLED−2の作製
混合ガスを以下の組成にした以外は実施例1と同様にして、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子OLED−2を作製した。
<混合ガス組成>
不活性ガス:アルゴン 99体積%
反応性ガス:酢酸ビニルモノマー 1.0体積% (50℃に加熱し、アルゴンガスをバブリングして蒸発させた。)
【0081】
【実施例3】有機EL素子OLED−3の作製
混合ガスを以下の組成にした以外は実施例1と同様にして、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子OLED−3を作製した。
<混合ガス組成>
不活性ガス:アルゴン 99体積%
反応性ガス:スチレン 1.0体積% (60℃に加熱し、アルゴンガスをバブリングして蒸発させた。)
【0082】
【実施例4】有機EL素子OLED−4の作製
混合ガスを以下の組成にした以外は実施例1と同様にして、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子OLED−4を作製した。
<混合ガス組成>
不活性ガス:アルゴン 99体積%
反応性ガス:iso−プロピルビニルエーテル 1.0体積% (40℃に加熱し、アルゴンガスをバブリングして蒸発させた。)
【0083】
【実施例5】有機EL素子OLED−5の作製
混合ガスを以下の組成にした以外は実施例1と同様にして、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子OLED−5を作製した。
<混合ガス組成>
不活性ガス:アルゴン 99体積%
反応性ガス:アセチレン 1.0体積%
【0084】
【実施例6】有機EL素子OLED−6の作製
陰極の形成までは実施例1と同様に行い、保護膜の形成時に、以下の組成の混合ガスを用い、各層の厚さ500nmの2層保護膜を形成し、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子OLED−6を作製した。
<混合ガス組成>
《第1層(下層)形成用混合ガス》
不活性ガス:アルゴン 99体積%
反応性ガス:メタクリル酸メチル 1.0体積%(80℃に加熱し、アルゴンガスをバブリングして蒸発させた。)
《第2層(上層)形成用混合ガス》
不活性ガス:アルゴン 98.25体積%
反応性ガス1:水素ガス 1.5体積%
反応性ガス2:テトラメトキシシラン蒸気 0.25体積%(アルゴンガスにてバブリング。)
【0085】
【比較例1】有機EL素子OLED−7の作製
図10に示したモノマー導入ノズル106を有する真空蒸着装置内に実施例1と同様に陰極まで積層した有機EL素子(陽極と有機EL層と陰極を備えた基材)107を設置し、さらにこの上に図9のマスク76を固定して、トラップ108および制御バルブ109を介して、真空ポンプ110で、4×10−4Paまで装置(真空容器101)内を減圧にした後、アルゴンガス導入口102からアルゴンガスを導入しつつ、バルブ105を開け、ポンプ104でタンク103からモノマー導入ノズル106を介してメタクリル酸メチルオリゴマーを装置内に導入し、有機EL素子上に蒸着した。得られた有機EL素子を真空蒸着装置から取り出し、乾燥窒素気流下紫外線を照射し、メタクリル酸メチルオリゴマーを重合した。これを比較の有機EL素子OLED−7とした。
【0086】
実施例1と比較例1との成膜速度を比較すると、実施例1の方が15倍以上早かった。さらに、実施例1では、装置内を減圧にする必要が無く、減圧に要する時間を省略できた。
【0087】
【試験例】有機EL素子の寿命評価
有機EL素子OLED−1〜7を温度23℃のもと、2.5mA/mの定電流で点燈し、輝度の半減する時間を測定した。実施例5で作製した有機EL素子OLED−5の輝度が当初の1/2になるのに要する時間を100として、これを基準にOLED−1〜4、6、7の輝度が1/2になるのに要する時間を相対評価した。
【0088】
なお、輝度の測定にはミノルタ(株)社製CS−1000を使用した。
結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
Figure 2004192822
【0090】
表1から本発明の有機EL素子は、比較例の有機EL素子に比べ、寿命が長く好ましいことがわかる。これは、本発明にかかる保護膜が比較例の保護膜に比べ、緻密にできているためと考えられる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子、すなわち経時による輝度の低下の少ない有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法を提供することができる。さらに、本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法によれば、保護膜作製の際に有機エレクトロルミネッセンス素子に損傷を与えることがない上、成膜速度が速く、減圧にする必要もないため、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ放電処理室の一例を示す概略図である。
【図2】ロール電極の一例を示す概略図である。
【図3】固定電極の概略斜視図である。
【図4】角型の固定電極をロール電極の周りに配設したプラズマ放電処理室の一例を示す概略図である。
【図5】プラズマ放電処理室が設けられたプラズマ成膜装置の一例を示す概略図である。
【図6】プラズマ成膜装置の一例を示す概略図である。
【図7】本発明にかかる有機EL素子の一例を示す断面図である。
【図8】本発明にかかる有機EL素子の一例を示す断面図である。
【図9】有機EL素子の形成に用いるマスクの上面図である。
【図10】比較例に用いるモノマー導入ノズルを有する真空蒸着装置を示す概略図である。
【符号の説明】
FF 元巻き基材
F、61、107 陽極と有機EL層と陰極を備えた基材
10、30 プラズマ放電処理室
12 給気口
13 排気口
15、16 ニップローラ
24、27 ガイドローラ
25、25c、25C ロール電極
26、26c、26C、36、36c、36C 電極
25a、25A、26a、36a 金属などの導電性母材
25b、26b、36b セラミック被覆処理誘電体
25B ライニング処理誘電体
41、65 電源
51 ガス発生装置
55 電極冷却ユニット
71 基板
72A 陽極
72B 陰極の引き出し線
73 有機化合物層(有機EL層)
74 陰極
75 重合体膜からなる保護膜
76 保護膜形成用マスク
77 対向基板
78 シール材
101 真空容器
102 アルゴンガス導入口
103 タンク
104 ポンプ
105 バルブ
106 モノマー導入ノズル
108 トラップ
109 制御バルブ
110 真空ポンプ

Claims (7)

  1. 基板上に、対向する陽極と陰極と、
    これらの電極間に狭持された1層以上の有機化合物層とを備えてなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物を含有する反応性ガスの存在下、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間に放電することにより、該反応性ガスをプラズマ状態とし、前記有機エレクトロルミネッセンス素子をこのプラズマ状態の反応性ガスに晒すことによって、該有機エレクトロルミネッセンス素子の外表面に重合体膜からなる保護膜が形成されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物が、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステル、芳香族ビニル、ビニルエーテル、不飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記対向する電極間に、100Hz〜150MHzの周波電圧で、かつ、0.1W/cm以上の電力を供給して放電させ、反応性ガスをプラズマ状態とすることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 基板上に、対向する陽極と陰極と、
    これらの電極間に狭持された1層以上の有機化合物層とを備えてなる有機エレクトロルミネッセンス素子を、
    ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物を含有する反応性ガスの存在下において、大気圧または大気圧近傍の圧力下で、対向する電極間に放電することによりプラズマ状態とした反応性ガスに晒すことによって、
    該有機エレクトロルミネッセンス素子の外表面に重合体膜からなる保護膜を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記ビニルまたはアセチレン構造を有する化合物が、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステル、芳香族ビニル、ビニルエーテル、不飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記対向する電極間に、100Hz〜150MHzの周波電圧で、かつ、0.1W/cm以上の電力を供給して放電させ、反応性ガスをプラズマ状態とすることを特徴とする請求項4または5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 前記周波電圧の波形が連続したサイン波であることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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