JP2004191418A - 画像表示媒体用電気泳動粒子、電気泳動粒子分散液、画像表示媒体及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】帯電性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子を提供する。
【解決手段】少なくとも2種以上のカップリング剤で表面処理されたものであり、該カップリング剤の少なくとも1種がアルキル基を持つカップリング剤であり、他の少なくとも1種が末端に極性基をもつカップリング剤であることを特徴とする画像表示媒体用電気泳動粒子。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも2種以上のカップリング剤で表面処理されたものであり、該カップリング剤の少なくとも1種がアルキル基を持つカップリング剤であり、他の少なくとも1種が末端に極性基をもつカップリング剤であることを特徴とする画像表示媒体用電気泳動粒子。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示媒体用電気泳動粒子、電気泳動粒子分散液、画像表示媒体及び画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、文字や静止画、動画等のいわゆる画像の表示用端末としてCRTや液晶ディスプレイが用いられている。これらはデジタルデータを瞬時に表示し、書き換えることができるが、装置を常に持ち歩くことは困難であり、長時間の作業では眼が疲労したり、電源をオフにしては表示できないなど多くの欠点もある。一方、文字や静止画を書類などとして配布や保存するときは、プリンターにて紙媒体に記録される。この紙媒体は、いわゆるハードコピーとして、広く使用されているものである。ハードコピーは、ディスプレイより文章を読みやすく、疲れにくく、自由な姿勢で読むことができる。さらに、軽量で自由に持ち運びが可能である特徴を有する。しかし、ハードコピーは使用された後は廃棄され、リサイクルされるが、そのリサイクルには多くの労力と費用を要するので省資源の点では問題が残る。
以上のディスプレイとハードコピーの両方の長所を持った書き換えが可能なペーパーライクな表示媒体へのニーズは高く、これまでに高分子分散型液晶、双安定性コレステリック液晶、エレクトロクロミック素子、電気泳動素子等を用いた表示媒体が反射型で明るい表示ができ、かつメモリー性のある表示媒体として注目されている。中でも電気泳動素子を用いたものは、表示品質、表示動作時の消費電力の点で優れており、例えば、特開平5−173194号公報(特許文献1)、特許第2612472号公報(特許文献2)などに開示されている。電気泳動表示媒体では、一組の透明電極の間に、着色した分散媒中に分散媒の色とは異なる色を有する複数の電気泳動粒子を分散させた分散液を封入してある。この場合、その電気泳動粒子(単に泳動粒子とも言う)は、分散媒中で表面に電荷を帯びており、透明電極の一方に泳動粒子の電荷と逆向きの電圧を与えた場合には、泳動粒子がそちらに堆積して泳動粒子の色が観測され、泳動粒子の電荷と同じ向きの電圧を与えた場合には泳動粒子は反対側に移動するため分散媒の色が観測される。これにより表示を行うことができる。
【0003】
電気泳動表示媒体に用いられる泳動粒子には、帯電性及び分散安定性の優れたものが求められる。このような要求を満たす手段としては、カップリング剤による粒子の表面改質[特開平3−249737号公報(特許文献3)、特開2001−56653号公報(特許文献4)]、及び場合によってはその後の高分子鎖形成による修飾[特開平3−249736号公報(特許文献5)、特開平5−173193号公報(特許文献6)]などが検討されてきた。これらはいずれも非極性溶媒中での分散安定性を向上させることにより、画像表示媒体の長期安定性を向上させることを主たる目的としている。しかしながら、これら従来技術においては、粒子表面に粒子の帯電に寄与する極性基が存在せず、粒子帯電性が必ずしも良好であるとは言えない。すなわち泳動粒子の電界に対する応答性が不十分であり、表示切り替えが遅いあるいは駆動に高電圧を必要とするなどの問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−173194号公報
【特許文献2】
特許第2612472号公報
【特許文献3】
特開平3−249737号公報
【特許文献4】
特開2001−56653号公報
【特許文献5】
特開平3−249736号公報
【特許文献6】
特開平5−173193号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、帯電性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子、該粒子を含む粒子分散液、該粒子分散液を含む応答性や長期安定性の良い電気泳動画像表示媒体及び該表示媒体を有する画像表示装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示す電気泳動粒子、電気泳動粒子分散液、電気泳動画像表示媒体及び電気泳動画像表示装置が提供される。
(1)少なくとも2種以上のカップリング剤で表面処理されたものであり、該カップリング剤の少なくとも1種がアルキル基を持つカップリング剤であり、他の少なくとも1種が末端に極性基をもつカップリング剤であることを特徴とする画像表示媒体用電気泳動粒子。
(2)該電気泳動粒子が、金属酸化物であることを特徴とする前記(1)に記載の電気泳動粒子。
(3)該末端の極性基が、アミノ基であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の電気泳動粒子。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像表示媒体用電気泳動粒子を非極性溶媒からなる分散媒中に分散させたことを特徴とする画像表示媒体用電気泳動粒子分散液。
(5)該分散媒が、分散剤を含有してなることを特徴とする前記(4)に記載の電気泳動粒子分散液。
(6)該画像表示媒体用電気泳動粒子が前記(3)に記載の粒子であり、かつ該分散剤が酸性基を有することを特徴とする前記(4)又は(5)に記載の電気泳動粒子分散液。
(7)該酸性基を有する分散剤が、高分子化合物であることを特徴とする前記(4)〜(6)のいずれかに記載の電気泳動粒子分散液。
(8)所望の間隔を設けて配設された少なくとも一方が光透過性である二つの基板間に、少なくとも非極性溶媒から成る分散媒中に電気泳動粒子を分散させた分散液を含有してなり、前記二基板間に電圧を印加することによる該粒子の電気泳動により表示動作を行う画像表示媒体において、該分散液が前記(4)〜(7)のいずれかに記載の電気泳動粒子分散液であることを特徴とする画像表示媒体。
(9)前記(8)に記載の画像表示媒体を有することを特徴とする画像表示装置。
【0007】
【発明の実施の形態】
電気泳動による画像表示媒体には、外部電界による高速な応答性や、長期の安定性が求められる。これは言い換えれば該画像表示媒体を構成する分散液における分散粒子に外部電界に対する優れた泳動特性、及び長期の電気泳動粒子の分散安定性を求めることになる。該粒子の帯電性などの電気的特性や分散安定性などを変えるための手段としては、表面処理を行うことは広く行われていることである。
【0008】
本発明者らは、電気泳動粒子の表面処理の際に、粒子の帯電性と分散安定性を両立させるために鋭意検討した結果、表面処理に使用するカップリング剤として少なくとも末端にアルキル基を有するカップリング剤と末端に極性基を有するカップリング剤を混合して用いることで優れた帯電特性向上効果が得られることを見出した。すなわち、粒子の帯電に寄与する基として極性基が働くが、すべて末端に極性基を持つカップリングで処理をすると粒子の電気特性が導電性に近くなってしまい、外部電界を印加したときに抵抗成分電流が大きくなってしまい、粒子がうまく泳動しない。これに対して、粒子の一部が末端にアルキル基を有するカップリング剤で処理されることにより、このような問題が解決される。極性基がアミノ基であるカップリング剤を使用した場合には、粒子表面にアミノ基が導入されることになり、特に非極性溶媒中であってもイオン化によって電荷を帯びやすくなる。
【0009】
さらに、アミノ基等の塩基性基を吸着させた電気泳動粒子を含む分散媒中に、分散剤として酸性基を有する化合物を含有させることにより、該粒子表面の塩基性基と分散剤の酸性基との間の酸塩基解離によるイオン生成によって帯電特性をさらに向上させることが可能となる。また、非水系溶媒中の粒子分散系では、静電反発以上に立体効果が分散安定性に対して重要であり、高分子系の化合物を分散剤に使用すればこのような分散安定効果を付与することができることを見出した。
本発明は以上のような知見に基づいてなされたものである。
【0010】
本発明で用いるカップリング剤には、少なくともアルキル基を末端に持つものと、極性基を末端に持つものの双方が使用される。末端にアルキル基を有するカップリング剤と末端に極性基を有するカップリング剤との混合物を用いることで、粒子の絶縁性を保持しつつ粒子表面に多くの極性基による電荷を付与することができるので、粒子の帯電特性が向上する。
本明細書で言う極性基とは、電圧を印加した2つの基板間に配置したときに、電荷を帯びる基を意味するものである。この極性基は、イオン性基であることができるが、双極子を形成する非イオン性の基であることが好ましい。
極性基としては、従来一般的に知られているヘテロ原子(ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等)を有する各種の置換基であることができる。このようなものには、例えば、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素、フッ素)、アクリル基、メタクリル基等が包含される。
極性基を有するカップリング剤は、シラン化合物系の他、アルミニウム化合物系や、チタン化合物系等であることができる。
【0011】
アルキル基を末端に持つカップリング剤の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物の他、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ステアリルトリクロロシランなどのクロロシラン化合物などが挙げられる。この場合のアルキル基の炭素数は特に制約されず、通常、1〜22、好ましくは1〜18である。また、カップリング剤は、前記シラン化合物系の他、アルミニウム化合物系やチタン化合物系などであることができる。
【0012】
極性基を末端に持つカップリング剤の具体例としては、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0013】
本発明においては、極性基を有するカップリング剤としては、アミノ基(−NH2、−NHR、−NR2)(R:アルキル基等)を有するものの使用が好ましい。
極性基がアミノ基であるカップリング剤を使用した場合には、粒子表面にアミノ基が導入されることになり、特に非極性溶媒中であってもイオン化によって電荷を帯びやすくなる。その具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0014】
前記アルキル基を有するカップリング剤Aと、極性基を有するカップリング剤Bとの比率(A/B)は、一般的には、重量比率で、1/100〜100/1、好ましくは1/10〜10/1である。
【0015】
本発明で用いるカップリング未処理の基体粒子は金属酸化物である。金属酸化物は、特にカップリング剤によるその表面改質が容易であり、また、屈折率が大きく散乱効果が大きいことから、表示媒体のコントラストを向上させる上で有効である。本発明において使用される金属酸化物の具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどが挙げられる。その他、カップリング剤処理可能のものであれば任意の粒子を使用可能である。このようなものには、例えば、金属硫化物等が挙げられる。粒子の大きさは、その平均粒径で、0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μmである。
カップリング剤による基体粒子の表面改質処理には、従来公知の各種の乾式法や湿式法を用いることができ、特に制約されない。
【0016】
本発明による電気泳動粒子分散液は、前記カップリング剤処理した粒子(以下、単にCAP粒子とも言う)を非極性の分散媒に分散させてなるものである。分散媒としては、炭化水素溶媒、シリコーンオイルなどの従来公知の非極性溶媒を使用することができる。本発明で分散媒として使用される炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、リグロイン、ソルベントナフサ(市販品としてはエクソン化学社製アイソパーH、G、L、K、あるいはシエル石油社製シエルゾール等がある)等のパラフィン系炭化水素、イソヘキサン、イソオクタン、イソドデカン等のイソパラフィン系炭化水素、流動パラフィン等のアルキルナフテン系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。また、本発明の溶媒として使用されるシリコーンオイルとしては、ジアルキルシリコーンオイル、環状ポリジアルキルシロキサン又は環状ポリアルキルフェニルシロキサン、アルキルフェニルシロキサン等があげられる。その他、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、メチル塩素化フェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル等が使用できる。これら各種シリコーンオイルの具体例を挙げれば下記のとおりである。
【0017】
(1)ジアルキルシリコーンオイルの例:ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、ジブチルシリコーンオイル、ジヘキシルシリコーンオイル、ジラウリルシリコーンオイル、ジステアリルシリコーンオイル。
【0018】
(2)環状ポリジアルキルシロキサン及び環状ポリアルキルフェニルシロキサンの例:環状ポリジメチルシロキサン、環状ポリメチルフェニルシロキサン、環状ポリジエチルシロキサン、環状ポリエチルフェニルシロキサン、環状ポリジブチルシロキサン、環状ポリブチルフェニルシロキサン、環状ポリジヘキシルシロキサン、環状ポリヘキシルフェニルシロキサン、環状ポリジラウリルシロキサン、環状ポリメチルクロロフェニルシロキサン、環状ポリジステアリルシロキサン、環状ポリメチルブロムフェニルシロキサン。
【0019】
(3)アルキルフェニルシリコーンオイルの例:メチルフェニルシリコーンオイル、エチルフェニルシリコーンオイル、プロピルフェニルシリコーンオイル、ブチルフェニルシリコーンオイル、ヘキシルフェニルシリコーンオイル、オクチルフェニルシリコーンオイル、ラウリルフェニルシリコーンオイル、ステアリルフェニルシリコーンオイル。
【0020】
これらシリコーンオイルの市販の例としては、信越化学工業(株)製のKF−96L〔0.65、1.0、1.5、2.0センチストークス(cs)〕、KF−96〔10、20、30、50、500、1000、3000(cs)〕、KF−56、KF−58、KF−54などがあげられ、また、東芝シリコーン(株)製のTSF451シリーズ、TSF456シリーズ、TSF410、411、440、4420、484、483、431、433シリーズ、THF450シリーズ、TSF404、405、406、451−5A、451−10A、437シリーズ、TSF440、400、401、4300、4445、4700、4450、4702、4730シリーズ、TSF434、4600シリーズ、更には東レシリコーン(株)製のSH−200などがあげられる。
分散媒中のCAP粒子の割合は、W/V%で、0.1〜40%、好ましくは1〜20%である。
【0021】
本発明のCAP粒子分散液(電気泳動粒子分散液)は、分散剤を含有することができる。この分散剤は、CAP粒子が分散媒中で凝集するのを防ぎ、粒子の安定分散状態を保つ機能を有するものである。このような分散剤は、分散媒、CAP粒子の双方に親和性があるものであり、いわゆるカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性の各界面活性剤が広範に利用可能である。これら分散剤は、親水基部分が粒子表面の極性基部分に吸着し、疎水基部分の立体効果によってCAP粒子が相互反発することにより分散剤として機能する。該分散剤の割合は、分散液中、0.1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%である。
【0022】
本発明においては、CAP粒子がアミノ基等の塩基性基を吸着した粒子である場合には、分散剤としては、酸性基を有するものの使用が好ましい。このとき粒子表面の塩基性基と粒子に吸着した分散剤の酸性基との間の酸塩基解離によるイオン生成によって帯電特性をさらに向上させることが可能となる。このような分散剤の具体例としては、ステアリン酸などの長鎖カルボン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの界面活性剤が挙げられる。
【0023】
本発明においては、酸性基を有する分散剤は、高分子化合物であるのが好ましい。酸性基を有する高分子化合物は、高分子鎖の立体効果による分散粒子の分散安定性を向上させることが可能となる。本発明における酸性基を有する高分子化合物は、非極性溶媒との親和性が高い単量体、酸性基を有する単量体、および必要に応じて極性基を有する単量体などを共重合せしめたものである。以下、本発明において好ましく用いられる。重合可能な単量体について説明する。
【0024】
まず、非極性溶媒との親和性の高い単量体としては、かかる単量体で構成される重合体が単独重合体の場合には炭化水素溶媒に可溶な重合体を与え、他の単量体との共重合体の場合において可溶ないし不溶であり、そして、炭化水素溶媒との親和性に富み、安定な分散液を与えることのできるものが用いられる。このような単量体の例としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ビニルラウレート、ラウリルメタクリルアミド、ステアリルメタクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フエニル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、ビニルアセテート等が挙げられる。
【0025】
また、下記一般式(I)で表される単量体は、特にシリコーンオイルとの親和力が強く、通常の高分子ではシリコーンオイルに溶解しにくい特徴を有するが、かかる単量体で構成される重合体は、単独重合体の場合にはシリコーンオイルに可溶な重合体を与え、他の単量体との共重合体の場合において可溶ないし不溶であり、そしてシリコーンオイルとの親和性に富み、安定な分散液を与えることができる。
【化1】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、nは自然数を表す)
【0026】
酸性基を有する単量体の例としては、ビニル基とともに、−COOH基、−SO3H基、−SO2H基、−CH2NO2基、−CHRNO2基、−ArOH基、−ArSH基などのアニオン性基を少なくとも一つを併せ持つものが挙げられる(ただし、Rはアルキル基、Arはアリール基)。具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、桂皮酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、2−メタクリロキシエチルコハク酸、2−メタクリロキシエチルマレイン酸、2−メタクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−クロロアミドホスホキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロキシエチルアシツドホスフエート等が挙げられる。
【0027】
極性基を有する単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−プロピルメタクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、イソブチル−2−シアノアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、エチル−2−シアノアクリレート、メタクリルアセトン、ビニルピロリドン、N−アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリフロロエチルメタクリレート、p−ニトロスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
本発明で分散剤として用いる高分子化合物において、その数平均分子量は、1000〜100000、好ましくは2000〜50000である。その分散液中濃度は、0.1〜25重量%、好ましくは1〜10重量%に調節するのがよい。
【0028】
本発明の画像表示媒体を図1に基づき説明する。図1において、1および2は導電層で少なくとも一方は光透過性である。導電層としては、Al、Ag、Ni、Cu等の金属やITO、SnO2、ZnO:Al等の透明導電体をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等で薄膜状に形成したもの、あるいは導電剤を溶媒あるいは合成樹脂バインダに混合して塗布したものが用いられる。導電剤としては、ポリメチルベンジルトリメチルクロライド、ポリアリルポリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や電子伝導性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム微粉末等が用いられる。導電層は、それ自体が自己保持機能を有する程度に厚い場合もあるし、図示しない自己保持機能を有する基体上に導電層が設けられている場合もあり、いずれの場合も好適に使用できる。また、導電層1、2は、異方導電性を示す層であってもよいし、厚さ方向に導電性部分が貫通したパターン状ないしマルチドット状のセグメントを有する層であってもよい。いずれにおいても導電層1、2の一部に電源電極をコンタクトすれば導電層1、2の間に電界を生じさせることが可能となるので、白色ないし着色粒子3は確実に移動できる。表示を行うには導電層1、2間の電圧印加手段を用意すればよいので、簡便である。
【0029】
図1において、3は白色ないし着色粒子である。白色粒子の例として、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物の固体粒子が使用できる。また、黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエローの着色剤としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。あるいは、上記金属酸化物や着色剤を少なくとも分散媒となる溶媒に不溶なバインダー樹脂に分散乃至混合したものを使用できる。バインダー樹脂としては公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のうち分散媒に不溶なものが全て使用できるが、とりわけ非粘着材系材料が好ましく使用できる。このような樹脂の端的な例として、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体などを例示することができる。上記金属酸化物や着色剤が使用できる量は、バインダー樹脂100重量部に対して上記金属酸化物や着色剤0.1重量部〜300重量部、好ましくは1重量部〜100重量部である。
【0030】
図1において、4は着色分散媒であり、白色ないし着色粒子の色とは異なる色に着色されている。着色分散媒には分散粒子の分散性を制御するために界面活性剤などが必要に応じて添加されることもある。本発明の実施の形態において使用される染料としては、上記分散媒に可溶な油溶性染料が挙げられ、前記分散媒14を着色する染料としては、上記分散媒に可溶な油溶性染料が挙げられ、Coulour IndexにおいてSolvent dyeに分類される染料が好適に使用される。これらの油溶性染料には、アゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリルメタン系の染料がある。これら油性染料は、例えば、スピリットブラック(SB、SSBB、AB)、ニグロシンベース(SA、SAP、SAPL、EE、EEL、EX、EXBP、EB)、オイルイエロー(105、107、129、3G、GGS)、オイルオレンジ(201、PS、PR)、ファーストオレンジ、オイルレッド(5B、RR、OG)、オイルスカーレット、オイルピンク312、オイルバイオレット#730、マクロレックスブルーRR、スミプラストグリーンG、オイルブラウン(GR、416)、スーダンブラックX60、オイルグリーン(502、BG)、オイルブルー(613、2N、BOS)、オイルブラック(HBB、860、BS)、バリファーストイエロー(1101、1105、3108、4120)、バリファーストオレンジ(3209、3210)、バリファーストレッド(1306、1355、2303、3304、3306、3320)、バリファーストピンク2310N、バリファーストブラウン(2402、3405)、バリファーストブルー(3405、1501、1603、1605、1607、2606、2610)、バリファーストバイオレット(1701、1702)、ヴァリファーストブラック(1802、1807、3804、3810、3820、3830)が代表的なものとして挙げられるが、本発明の目的に反しない限り、ここに記載された染料以外の油性染料又は油溶性染料であってもかまわない。
【0031】
着色分散媒4には、染料の溶解性を向上させるために他の物質を加えることができる。これらの物質は非極性溶媒に溶解ないし混和可能な物質が好ましい。これらの物質の例としては、エーテル類、エステル類、アルコール類、ケトン類、アミド類などが挙げられる。このような他の溶媒の混合比は、分散媒100重量部に対し0.1〜10重量部程度である。
【0032】
本発明の画像表示装置を、図2に基づいて説明する。図2に示されるように、本発明の画像表示装置10は画像表示媒体11を備え、そして図示しない駆動回路、演算回路、内部メモリ、電源等を備えている。表示媒体における電極は、ドットマトリックスを形成し、指定のドットをON表示することにより、全体として画像を表示する。図2において12は筺体であり、また13は情報入力手段である。
【0033】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例で用いる部は、全て重量部である。
【0034】
実施例1
[電気泳動粒子(CAP粒子)の作製]
水:エタノール=1:1の混合溶媒4000部に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン3部とステアリルトリメトキシシラン1部を溶解した溶液にルチル型の酸化チタン400部を加えたものを混合し、室温で1昼夜攪拌する。終了後粒子を回収しエタノールで洗浄したものを乾燥して目的とする電気泳動粒子を得た。
【0035】
(電気泳動粒子分散液の作製)
イソパラフィン系炭化水素(エクソンケミカル、アイソパーH)100部に実施例1で得られた粒子5部、染料(バイエル マクロレックスブルーRR)0.1部を加えて1時間超音波分散することにより目的とする電気泳動粒子分散液を得た。
【0036】
(画像表示媒体の作製)
2枚のITO電極付き基板間に1cm□の開口を設けた100μm厚のポリエステルフィルムを挟み空間を作る。その空間に実施例2で得られた分散液を封入した。上部ITO電極に−50Vを印加すると、粒子は速やかに上部電極に電着し、上部基板面から見ると白色に見えた。次に上部電極に+50Vを印加すると、粒子は下部電極に移動し、上部基板側から見ると染料の色に起因する着色状態が鮮明に見られた。また、この動作は1ヶ月経過後も可能であった。
【0037】
実施例2
(電気泳動粒子の作製)
水:エタノール=1:1の混合溶媒4000部に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン3部とトリメチルエトキシシラン1部を溶解した溶液にルチル型の酸化チタン400部を加えたものを混合し、室温で1昼夜攪拌する。終了後粒子を回収しエタノールで洗浄したものを乾燥して目的とする粒子を得た。
【0038】
(電気泳動粒子分散液の作製)
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に、シリコーンオイル(東レ・ダウコーニングシリコーン SH200 1cs)300部を採り、85℃に加熱した。この中にメタクリロキシプロピル変性シリコーン40部、メタクリル酸1部、アゾビスイソブチロニトリル1部よりなる溶液を1時間に亘って滴下した。ついで90℃に昇温し、この温度で4時間撹拌し、反応を終了した。シリコーンオイルを蒸発させて目的とする高分子化合物を得た。次に、この高分子化合物10部と実施例2で得られた粒子5部、染料(バイエル マクロレックスブルーRR)0.1部をシリコーンオイル(東レ・ダウコーニングシリコーン SH702)100部に加えて1時間超音波分散することにより目的とする分散液を得た。
【0039】
(画像表示媒体の作製)
2枚のITO電極付き基板間に1cm□の開口を設けた100μm厚のポリエステルフィルムを挟み空間を作る。その空間に実施例2で得られた分散液を封入した。上部ITO電極に−50Vを印加すると、粒子は速やかに上部電極に電着し、上部基板面から見ると白色に見えた。次に上部電極に+50Vを印加すると、粒子は下部電極に移動し、上部基板側から見ると染料の色に起因する着色状態が鮮明に見られた。また、この動作は1ヶ月経過後も可能であった。
【0040】
比較例1
実施例1においてカップリング剤としてステアリルトリメトキシシラン4部を使用した以外は実施例1と同様にして、粒子、分散液、画像表示媒体を作製し、実施例1と同様に電圧を印加したところ、粒子はほとんど動かず、表示コントラストを得ることはできなかった。
【0041】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、分散液の導電率を好適に制御することが可能となるので、帯電性が良好で、電界に対して応答性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子を提供することができる。
請求項2の発明によれば、金属酸化物はカップリング剤との反応性が良好であり、かつ光散乱性が大きいので、電界に対して応答性が良く表示コントラストが大きい画像表示媒体用電気泳動粒子を提供することができる。
請求項3の発明によれば、カップリング剤の末端の極性基がアミノ基であることにより帯電性が良好なのでさらに応答性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子を提供することができる。
請求項4の発明によれば、電気泳動性の良い粒子が非極性溶媒に分散されているので、応答性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子分散液を提供することができる。
請求項5の発明によれば、分散剤により粒子が安定分散されるので、長期保存性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子分散液を提供することができる。
請求項6の発明によれば、酸性基を有する分散剤を含有することにより、粒子と分散剤の間の酸塩基解離により粒子表面での電荷生成が増すので、さらに応答性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子分散液を提供することができる。
請求項7の発明によれば、酸性基を有する分散剤が高分子化合物であることにより、粒子に立体効果による分散安定性が付与され、粒子の凝集の防ぐことができるので、さらに長期保存性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子分散液を提供することができる。
請求項8および請求項9の発明によれば、上記の分散液を使用することにより、応答性や長期保存性の良い画像表示媒体及び画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像表示媒体の1例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の画像表示装置の1例の模式図である。
【符号の説明】
1 導電層
2 導電層
3 白色ないし着色粒子
4 着色分散媒
10 画像表示装置
11 画像表示媒体
12 筺体
13 情報入力手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示媒体用電気泳動粒子、電気泳動粒子分散液、画像表示媒体及び画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、文字や静止画、動画等のいわゆる画像の表示用端末としてCRTや液晶ディスプレイが用いられている。これらはデジタルデータを瞬時に表示し、書き換えることができるが、装置を常に持ち歩くことは困難であり、長時間の作業では眼が疲労したり、電源をオフにしては表示できないなど多くの欠点もある。一方、文字や静止画を書類などとして配布や保存するときは、プリンターにて紙媒体に記録される。この紙媒体は、いわゆるハードコピーとして、広く使用されているものである。ハードコピーは、ディスプレイより文章を読みやすく、疲れにくく、自由な姿勢で読むことができる。さらに、軽量で自由に持ち運びが可能である特徴を有する。しかし、ハードコピーは使用された後は廃棄され、リサイクルされるが、そのリサイクルには多くの労力と費用を要するので省資源の点では問題が残る。
以上のディスプレイとハードコピーの両方の長所を持った書き換えが可能なペーパーライクな表示媒体へのニーズは高く、これまでに高分子分散型液晶、双安定性コレステリック液晶、エレクトロクロミック素子、電気泳動素子等を用いた表示媒体が反射型で明るい表示ができ、かつメモリー性のある表示媒体として注目されている。中でも電気泳動素子を用いたものは、表示品質、表示動作時の消費電力の点で優れており、例えば、特開平5−173194号公報(特許文献1)、特許第2612472号公報(特許文献2)などに開示されている。電気泳動表示媒体では、一組の透明電極の間に、着色した分散媒中に分散媒の色とは異なる色を有する複数の電気泳動粒子を分散させた分散液を封入してある。この場合、その電気泳動粒子(単に泳動粒子とも言う)は、分散媒中で表面に電荷を帯びており、透明電極の一方に泳動粒子の電荷と逆向きの電圧を与えた場合には、泳動粒子がそちらに堆積して泳動粒子の色が観測され、泳動粒子の電荷と同じ向きの電圧を与えた場合には泳動粒子は反対側に移動するため分散媒の色が観測される。これにより表示を行うことができる。
【0003】
電気泳動表示媒体に用いられる泳動粒子には、帯電性及び分散安定性の優れたものが求められる。このような要求を満たす手段としては、カップリング剤による粒子の表面改質[特開平3−249737号公報(特許文献3)、特開2001−56653号公報(特許文献4)]、及び場合によってはその後の高分子鎖形成による修飾[特開平3−249736号公報(特許文献5)、特開平5−173193号公報(特許文献6)]などが検討されてきた。これらはいずれも非極性溶媒中での分散安定性を向上させることにより、画像表示媒体の長期安定性を向上させることを主たる目的としている。しかしながら、これら従来技術においては、粒子表面に粒子の帯電に寄与する極性基が存在せず、粒子帯電性が必ずしも良好であるとは言えない。すなわち泳動粒子の電界に対する応答性が不十分であり、表示切り替えが遅いあるいは駆動に高電圧を必要とするなどの問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−173194号公報
【特許文献2】
特許第2612472号公報
【特許文献3】
特開平3−249737号公報
【特許文献4】
特開2001−56653号公報
【特許文献5】
特開平3−249736号公報
【特許文献6】
特開平5−173193号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、帯電性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子、該粒子を含む粒子分散液、該粒子分散液を含む応答性や長期安定性の良い電気泳動画像表示媒体及び該表示媒体を有する画像表示装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示す電気泳動粒子、電気泳動粒子分散液、電気泳動画像表示媒体及び電気泳動画像表示装置が提供される。
(1)少なくとも2種以上のカップリング剤で表面処理されたものであり、該カップリング剤の少なくとも1種がアルキル基を持つカップリング剤であり、他の少なくとも1種が末端に極性基をもつカップリング剤であることを特徴とする画像表示媒体用電気泳動粒子。
(2)該電気泳動粒子が、金属酸化物であることを特徴とする前記(1)に記載の電気泳動粒子。
(3)該末端の極性基が、アミノ基であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の電気泳動粒子。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像表示媒体用電気泳動粒子を非極性溶媒からなる分散媒中に分散させたことを特徴とする画像表示媒体用電気泳動粒子分散液。
(5)該分散媒が、分散剤を含有してなることを特徴とする前記(4)に記載の電気泳動粒子分散液。
(6)該画像表示媒体用電気泳動粒子が前記(3)に記載の粒子であり、かつ該分散剤が酸性基を有することを特徴とする前記(4)又は(5)に記載の電気泳動粒子分散液。
(7)該酸性基を有する分散剤が、高分子化合物であることを特徴とする前記(4)〜(6)のいずれかに記載の電気泳動粒子分散液。
(8)所望の間隔を設けて配設された少なくとも一方が光透過性である二つの基板間に、少なくとも非極性溶媒から成る分散媒中に電気泳動粒子を分散させた分散液を含有してなり、前記二基板間に電圧を印加することによる該粒子の電気泳動により表示動作を行う画像表示媒体において、該分散液が前記(4)〜(7)のいずれかに記載の電気泳動粒子分散液であることを特徴とする画像表示媒体。
(9)前記(8)に記載の画像表示媒体を有することを特徴とする画像表示装置。
【0007】
【発明の実施の形態】
電気泳動による画像表示媒体には、外部電界による高速な応答性や、長期の安定性が求められる。これは言い換えれば該画像表示媒体を構成する分散液における分散粒子に外部電界に対する優れた泳動特性、及び長期の電気泳動粒子の分散安定性を求めることになる。該粒子の帯電性などの電気的特性や分散安定性などを変えるための手段としては、表面処理を行うことは広く行われていることである。
【0008】
本発明者らは、電気泳動粒子の表面処理の際に、粒子の帯電性と分散安定性を両立させるために鋭意検討した結果、表面処理に使用するカップリング剤として少なくとも末端にアルキル基を有するカップリング剤と末端に極性基を有するカップリング剤を混合して用いることで優れた帯電特性向上効果が得られることを見出した。すなわち、粒子の帯電に寄与する基として極性基が働くが、すべて末端に極性基を持つカップリングで処理をすると粒子の電気特性が導電性に近くなってしまい、外部電界を印加したときに抵抗成分電流が大きくなってしまい、粒子がうまく泳動しない。これに対して、粒子の一部が末端にアルキル基を有するカップリング剤で処理されることにより、このような問題が解決される。極性基がアミノ基であるカップリング剤を使用した場合には、粒子表面にアミノ基が導入されることになり、特に非極性溶媒中であってもイオン化によって電荷を帯びやすくなる。
【0009】
さらに、アミノ基等の塩基性基を吸着させた電気泳動粒子を含む分散媒中に、分散剤として酸性基を有する化合物を含有させることにより、該粒子表面の塩基性基と分散剤の酸性基との間の酸塩基解離によるイオン生成によって帯電特性をさらに向上させることが可能となる。また、非水系溶媒中の粒子分散系では、静電反発以上に立体効果が分散安定性に対して重要であり、高分子系の化合物を分散剤に使用すればこのような分散安定効果を付与することができることを見出した。
本発明は以上のような知見に基づいてなされたものである。
【0010】
本発明で用いるカップリング剤には、少なくともアルキル基を末端に持つものと、極性基を末端に持つものの双方が使用される。末端にアルキル基を有するカップリング剤と末端に極性基を有するカップリング剤との混合物を用いることで、粒子の絶縁性を保持しつつ粒子表面に多くの極性基による電荷を付与することができるので、粒子の帯電特性が向上する。
本明細書で言う極性基とは、電圧を印加した2つの基板間に配置したときに、電荷を帯びる基を意味するものである。この極性基は、イオン性基であることができるが、双極子を形成する非イオン性の基であることが好ましい。
極性基としては、従来一般的に知られているヘテロ原子(ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等)を有する各種の置換基であることができる。このようなものには、例えば、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素、フッ素)、アクリル基、メタクリル基等が包含される。
極性基を有するカップリング剤は、シラン化合物系の他、アルミニウム化合物系や、チタン化合物系等であることができる。
【0011】
アルキル基を末端に持つカップリング剤の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物の他、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ステアリルトリクロロシランなどのクロロシラン化合物などが挙げられる。この場合のアルキル基の炭素数は特に制約されず、通常、1〜22、好ましくは1〜18である。また、カップリング剤は、前記シラン化合物系の他、アルミニウム化合物系やチタン化合物系などであることができる。
【0012】
極性基を末端に持つカップリング剤の具体例としては、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0013】
本発明においては、極性基を有するカップリング剤としては、アミノ基(−NH2、−NHR、−NR2)(R:アルキル基等)を有するものの使用が好ましい。
極性基がアミノ基であるカップリング剤を使用した場合には、粒子表面にアミノ基が導入されることになり、特に非極性溶媒中であってもイオン化によって電荷を帯びやすくなる。その具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0014】
前記アルキル基を有するカップリング剤Aと、極性基を有するカップリング剤Bとの比率(A/B)は、一般的には、重量比率で、1/100〜100/1、好ましくは1/10〜10/1である。
【0015】
本発明で用いるカップリング未処理の基体粒子は金属酸化物である。金属酸化物は、特にカップリング剤によるその表面改質が容易であり、また、屈折率が大きく散乱効果が大きいことから、表示媒体のコントラストを向上させる上で有効である。本発明において使用される金属酸化物の具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどが挙げられる。その他、カップリング剤処理可能のものであれば任意の粒子を使用可能である。このようなものには、例えば、金属硫化物等が挙げられる。粒子の大きさは、その平均粒径で、0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μmである。
カップリング剤による基体粒子の表面改質処理には、従来公知の各種の乾式法や湿式法を用いることができ、特に制約されない。
【0016】
本発明による電気泳動粒子分散液は、前記カップリング剤処理した粒子(以下、単にCAP粒子とも言う)を非極性の分散媒に分散させてなるものである。分散媒としては、炭化水素溶媒、シリコーンオイルなどの従来公知の非極性溶媒を使用することができる。本発明で分散媒として使用される炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、リグロイン、ソルベントナフサ(市販品としてはエクソン化学社製アイソパーH、G、L、K、あるいはシエル石油社製シエルゾール等がある)等のパラフィン系炭化水素、イソヘキサン、イソオクタン、イソドデカン等のイソパラフィン系炭化水素、流動パラフィン等のアルキルナフテン系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。また、本発明の溶媒として使用されるシリコーンオイルとしては、ジアルキルシリコーンオイル、環状ポリジアルキルシロキサン又は環状ポリアルキルフェニルシロキサン、アルキルフェニルシロキサン等があげられる。その他、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、メチル塩素化フェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル等が使用できる。これら各種シリコーンオイルの具体例を挙げれば下記のとおりである。
【0017】
(1)ジアルキルシリコーンオイルの例:ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、ジブチルシリコーンオイル、ジヘキシルシリコーンオイル、ジラウリルシリコーンオイル、ジステアリルシリコーンオイル。
【0018】
(2)環状ポリジアルキルシロキサン及び環状ポリアルキルフェニルシロキサンの例:環状ポリジメチルシロキサン、環状ポリメチルフェニルシロキサン、環状ポリジエチルシロキサン、環状ポリエチルフェニルシロキサン、環状ポリジブチルシロキサン、環状ポリブチルフェニルシロキサン、環状ポリジヘキシルシロキサン、環状ポリヘキシルフェニルシロキサン、環状ポリジラウリルシロキサン、環状ポリメチルクロロフェニルシロキサン、環状ポリジステアリルシロキサン、環状ポリメチルブロムフェニルシロキサン。
【0019】
(3)アルキルフェニルシリコーンオイルの例:メチルフェニルシリコーンオイル、エチルフェニルシリコーンオイル、プロピルフェニルシリコーンオイル、ブチルフェニルシリコーンオイル、ヘキシルフェニルシリコーンオイル、オクチルフェニルシリコーンオイル、ラウリルフェニルシリコーンオイル、ステアリルフェニルシリコーンオイル。
【0020】
これらシリコーンオイルの市販の例としては、信越化学工業(株)製のKF−96L〔0.65、1.0、1.5、2.0センチストークス(cs)〕、KF−96〔10、20、30、50、500、1000、3000(cs)〕、KF−56、KF−58、KF−54などがあげられ、また、東芝シリコーン(株)製のTSF451シリーズ、TSF456シリーズ、TSF410、411、440、4420、484、483、431、433シリーズ、THF450シリーズ、TSF404、405、406、451−5A、451−10A、437シリーズ、TSF440、400、401、4300、4445、4700、4450、4702、4730シリーズ、TSF434、4600シリーズ、更には東レシリコーン(株)製のSH−200などがあげられる。
分散媒中のCAP粒子の割合は、W/V%で、0.1〜40%、好ましくは1〜20%である。
【0021】
本発明のCAP粒子分散液(電気泳動粒子分散液)は、分散剤を含有することができる。この分散剤は、CAP粒子が分散媒中で凝集するのを防ぎ、粒子の安定分散状態を保つ機能を有するものである。このような分散剤は、分散媒、CAP粒子の双方に親和性があるものであり、いわゆるカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性の各界面活性剤が広範に利用可能である。これら分散剤は、親水基部分が粒子表面の極性基部分に吸着し、疎水基部分の立体効果によってCAP粒子が相互反発することにより分散剤として機能する。該分散剤の割合は、分散液中、0.1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%である。
【0022】
本発明においては、CAP粒子がアミノ基等の塩基性基を吸着した粒子である場合には、分散剤としては、酸性基を有するものの使用が好ましい。このとき粒子表面の塩基性基と粒子に吸着した分散剤の酸性基との間の酸塩基解離によるイオン生成によって帯電特性をさらに向上させることが可能となる。このような分散剤の具体例としては、ステアリン酸などの長鎖カルボン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの界面活性剤が挙げられる。
【0023】
本発明においては、酸性基を有する分散剤は、高分子化合物であるのが好ましい。酸性基を有する高分子化合物は、高分子鎖の立体効果による分散粒子の分散安定性を向上させることが可能となる。本発明における酸性基を有する高分子化合物は、非極性溶媒との親和性が高い単量体、酸性基を有する単量体、および必要に応じて極性基を有する単量体などを共重合せしめたものである。以下、本発明において好ましく用いられる。重合可能な単量体について説明する。
【0024】
まず、非極性溶媒との親和性の高い単量体としては、かかる単量体で構成される重合体が単独重合体の場合には炭化水素溶媒に可溶な重合体を与え、他の単量体との共重合体の場合において可溶ないし不溶であり、そして、炭化水素溶媒との親和性に富み、安定な分散液を与えることのできるものが用いられる。このような単量体の例としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ビニルラウレート、ラウリルメタクリルアミド、ステアリルメタクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フエニル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、ビニルアセテート等が挙げられる。
【0025】
また、下記一般式(I)で表される単量体は、特にシリコーンオイルとの親和力が強く、通常の高分子ではシリコーンオイルに溶解しにくい特徴を有するが、かかる単量体で構成される重合体は、単独重合体の場合にはシリコーンオイルに可溶な重合体を与え、他の単量体との共重合体の場合において可溶ないし不溶であり、そしてシリコーンオイルとの親和性に富み、安定な分散液を与えることができる。
【化1】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、nは自然数を表す)
【0026】
酸性基を有する単量体の例としては、ビニル基とともに、−COOH基、−SO3H基、−SO2H基、−CH2NO2基、−CHRNO2基、−ArOH基、−ArSH基などのアニオン性基を少なくとも一つを併せ持つものが挙げられる(ただし、Rはアルキル基、Arはアリール基)。具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、桂皮酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、2−メタクリロキシエチルコハク酸、2−メタクリロキシエチルマレイン酸、2−メタクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−クロロアミドホスホキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロキシエチルアシツドホスフエート等が挙げられる。
【0027】
極性基を有する単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−プロピルメタクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、イソブチル−2−シアノアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、エチル−2−シアノアクリレート、メタクリルアセトン、ビニルピロリドン、N−アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリフロロエチルメタクリレート、p−ニトロスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
本発明で分散剤として用いる高分子化合物において、その数平均分子量は、1000〜100000、好ましくは2000〜50000である。その分散液中濃度は、0.1〜25重量%、好ましくは1〜10重量%に調節するのがよい。
【0028】
本発明の画像表示媒体を図1に基づき説明する。図1において、1および2は導電層で少なくとも一方は光透過性である。導電層としては、Al、Ag、Ni、Cu等の金属やITO、SnO2、ZnO:Al等の透明導電体をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、塗布法等で薄膜状に形成したもの、あるいは導電剤を溶媒あるいは合成樹脂バインダに混合して塗布したものが用いられる。導電剤としては、ポリメチルベンジルトリメチルクロライド、ポリアリルポリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や電子伝導性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム微粉末等が用いられる。導電層は、それ自体が自己保持機能を有する程度に厚い場合もあるし、図示しない自己保持機能を有する基体上に導電層が設けられている場合もあり、いずれの場合も好適に使用できる。また、導電層1、2は、異方導電性を示す層であってもよいし、厚さ方向に導電性部分が貫通したパターン状ないしマルチドット状のセグメントを有する層であってもよい。いずれにおいても導電層1、2の一部に電源電極をコンタクトすれば導電層1、2の間に電界を生じさせることが可能となるので、白色ないし着色粒子3は確実に移動できる。表示を行うには導電層1、2間の電圧印加手段を用意すればよいので、簡便である。
【0029】
図1において、3は白色ないし着色粒子である。白色粒子の例として、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物の固体粒子が使用できる。また、黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエローの着色剤としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。あるいは、上記金属酸化物や着色剤を少なくとも分散媒となる溶媒に不溶なバインダー樹脂に分散乃至混合したものを使用できる。バインダー樹脂としては公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のうち分散媒に不溶なものが全て使用できるが、とりわけ非粘着材系材料が好ましく使用できる。このような樹脂の端的な例として、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体などを例示することができる。上記金属酸化物や着色剤が使用できる量は、バインダー樹脂100重量部に対して上記金属酸化物や着色剤0.1重量部〜300重量部、好ましくは1重量部〜100重量部である。
【0030】
図1において、4は着色分散媒であり、白色ないし着色粒子の色とは異なる色に着色されている。着色分散媒には分散粒子の分散性を制御するために界面活性剤などが必要に応じて添加されることもある。本発明の実施の形態において使用される染料としては、上記分散媒に可溶な油溶性染料が挙げられ、前記分散媒14を着色する染料としては、上記分散媒に可溶な油溶性染料が挙げられ、Coulour IndexにおいてSolvent dyeに分類される染料が好適に使用される。これらの油溶性染料には、アゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリルメタン系の染料がある。これら油性染料は、例えば、スピリットブラック(SB、SSBB、AB)、ニグロシンベース(SA、SAP、SAPL、EE、EEL、EX、EXBP、EB)、オイルイエロー(105、107、129、3G、GGS)、オイルオレンジ(201、PS、PR)、ファーストオレンジ、オイルレッド(5B、RR、OG)、オイルスカーレット、オイルピンク312、オイルバイオレット#730、マクロレックスブルーRR、スミプラストグリーンG、オイルブラウン(GR、416)、スーダンブラックX60、オイルグリーン(502、BG)、オイルブルー(613、2N、BOS)、オイルブラック(HBB、860、BS)、バリファーストイエロー(1101、1105、3108、4120)、バリファーストオレンジ(3209、3210)、バリファーストレッド(1306、1355、2303、3304、3306、3320)、バリファーストピンク2310N、バリファーストブラウン(2402、3405)、バリファーストブルー(3405、1501、1603、1605、1607、2606、2610)、バリファーストバイオレット(1701、1702)、ヴァリファーストブラック(1802、1807、3804、3810、3820、3830)が代表的なものとして挙げられるが、本発明の目的に反しない限り、ここに記載された染料以外の油性染料又は油溶性染料であってもかまわない。
【0031】
着色分散媒4には、染料の溶解性を向上させるために他の物質を加えることができる。これらの物質は非極性溶媒に溶解ないし混和可能な物質が好ましい。これらの物質の例としては、エーテル類、エステル類、アルコール類、ケトン類、アミド類などが挙げられる。このような他の溶媒の混合比は、分散媒100重量部に対し0.1〜10重量部程度である。
【0032】
本発明の画像表示装置を、図2に基づいて説明する。図2に示されるように、本発明の画像表示装置10は画像表示媒体11を備え、そして図示しない駆動回路、演算回路、内部メモリ、電源等を備えている。表示媒体における電極は、ドットマトリックスを形成し、指定のドットをON表示することにより、全体として画像を表示する。図2において12は筺体であり、また13は情報入力手段である。
【0033】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例で用いる部は、全て重量部である。
【0034】
実施例1
[電気泳動粒子(CAP粒子)の作製]
水:エタノール=1:1の混合溶媒4000部に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン3部とステアリルトリメトキシシラン1部を溶解した溶液にルチル型の酸化チタン400部を加えたものを混合し、室温で1昼夜攪拌する。終了後粒子を回収しエタノールで洗浄したものを乾燥して目的とする電気泳動粒子を得た。
【0035】
(電気泳動粒子分散液の作製)
イソパラフィン系炭化水素(エクソンケミカル、アイソパーH)100部に実施例1で得られた粒子5部、染料(バイエル マクロレックスブルーRR)0.1部を加えて1時間超音波分散することにより目的とする電気泳動粒子分散液を得た。
【0036】
(画像表示媒体の作製)
2枚のITO電極付き基板間に1cm□の開口を設けた100μm厚のポリエステルフィルムを挟み空間を作る。その空間に実施例2で得られた分散液を封入した。上部ITO電極に−50Vを印加すると、粒子は速やかに上部電極に電着し、上部基板面から見ると白色に見えた。次に上部電極に+50Vを印加すると、粒子は下部電極に移動し、上部基板側から見ると染料の色に起因する着色状態が鮮明に見られた。また、この動作は1ヶ月経過後も可能であった。
【0037】
実施例2
(電気泳動粒子の作製)
水:エタノール=1:1の混合溶媒4000部に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン3部とトリメチルエトキシシラン1部を溶解した溶液にルチル型の酸化チタン400部を加えたものを混合し、室温で1昼夜攪拌する。終了後粒子を回収しエタノールで洗浄したものを乾燥して目的とする粒子を得た。
【0038】
(電気泳動粒子分散液の作製)
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に、シリコーンオイル(東レ・ダウコーニングシリコーン SH200 1cs)300部を採り、85℃に加熱した。この中にメタクリロキシプロピル変性シリコーン40部、メタクリル酸1部、アゾビスイソブチロニトリル1部よりなる溶液を1時間に亘って滴下した。ついで90℃に昇温し、この温度で4時間撹拌し、反応を終了した。シリコーンオイルを蒸発させて目的とする高分子化合物を得た。次に、この高分子化合物10部と実施例2で得られた粒子5部、染料(バイエル マクロレックスブルーRR)0.1部をシリコーンオイル(東レ・ダウコーニングシリコーン SH702)100部に加えて1時間超音波分散することにより目的とする分散液を得た。
【0039】
(画像表示媒体の作製)
2枚のITO電極付き基板間に1cm□の開口を設けた100μm厚のポリエステルフィルムを挟み空間を作る。その空間に実施例2で得られた分散液を封入した。上部ITO電極に−50Vを印加すると、粒子は速やかに上部電極に電着し、上部基板面から見ると白色に見えた。次に上部電極に+50Vを印加すると、粒子は下部電極に移動し、上部基板側から見ると染料の色に起因する着色状態が鮮明に見られた。また、この動作は1ヶ月経過後も可能であった。
【0040】
比較例1
実施例1においてカップリング剤としてステアリルトリメトキシシラン4部を使用した以外は実施例1と同様にして、粒子、分散液、画像表示媒体を作製し、実施例1と同様に電圧を印加したところ、粒子はほとんど動かず、表示コントラストを得ることはできなかった。
【0041】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、分散液の導電率を好適に制御することが可能となるので、帯電性が良好で、電界に対して応答性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子を提供することができる。
請求項2の発明によれば、金属酸化物はカップリング剤との反応性が良好であり、かつ光散乱性が大きいので、電界に対して応答性が良く表示コントラストが大きい画像表示媒体用電気泳動粒子を提供することができる。
請求項3の発明によれば、カップリング剤の末端の極性基がアミノ基であることにより帯電性が良好なのでさらに応答性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子を提供することができる。
請求項4の発明によれば、電気泳動性の良い粒子が非極性溶媒に分散されているので、応答性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子分散液を提供することができる。
請求項5の発明によれば、分散剤により粒子が安定分散されるので、長期保存性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子分散液を提供することができる。
請求項6の発明によれば、酸性基を有する分散剤を含有することにより、粒子と分散剤の間の酸塩基解離により粒子表面での電荷生成が増すので、さらに応答性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子分散液を提供することができる。
請求項7の発明によれば、酸性基を有する分散剤が高分子化合物であることにより、粒子に立体効果による分散安定性が付与され、粒子の凝集の防ぐことができるので、さらに長期保存性の良い画像表示媒体用電気泳動粒子分散液を提供することができる。
請求項8および請求項9の発明によれば、上記の分散液を使用することにより、応答性や長期保存性の良い画像表示媒体及び画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像表示媒体の1例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の画像表示装置の1例の模式図である。
【符号の説明】
1 導電層
2 導電層
3 白色ないし着色粒子
4 着色分散媒
10 画像表示装置
11 画像表示媒体
12 筺体
13 情報入力手段
Claims (9)
- 少なくとも2種以上のカップリング剤で表面処理されたものであり、該カップリング剤の少なくとも1種がアルキル基を持つカップリング剤であり、他の少なくとも1種が末端に極性基をもつカップリング剤であることを特徴とする画像表示媒体用電気泳動粒子。
- 該電気泳動粒子が、金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動粒子。
- 該末端の極性基がアミノ基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気泳動粒子。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示媒体用電気泳動粒子を非極性溶媒からなる分散媒中に分散させたことを特徴とする画像表示媒体用電気泳動粒子分散液。
- 該分散媒が、分散剤を含有してなることを特徴とする請求項4に記載の電気泳動粒子分散液。
- 該画像表示媒体用電気泳動粒子が請求項3に記載の粒子であり、かつ該分散剤が酸性基を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の電気泳動粒子分散液。
- 該酸性基を有する分散剤が、高分子化合物であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の電気泳動粒子分散液。
- 所望の間隔を設けて配設された少なくとも一方が光透過性である二つの基板間に、少なくとも非極性溶媒から成る分散媒中に電気泳動粒子を分散させた分散液を含有してなり、前記二基板間に電圧を印加することによる該粒子の電気泳動により表示動作を行う画像表示媒体において、該分散液が、請求項4〜7のいずれかに記載の電気泳動粒子分散液であることを特徴とする画像表示媒体。
- 請求項8に記載の画像表示媒体を有することを特徴とする画像表示装置。
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-
2002
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