JP2004191242A - 管内の位置探査方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小形の発信コイルを用いても、実用上で十分な探査距離を確保して、移動体の管内での位置を精度良く探査できる方法及び装置を提供する。
【解決手段】先端に内視鏡カメラ2及び発信コイル10を設けた光ファイバケーブル3を、ガス管1内に挿入し、発信コイル10に交流電流を断続的に印加する。ガス管1の表皮深さがガス管1の厚さより大きくなるように、印加する交流電流の周波数を設定する。発信コイル10から発生した磁界を、ガス管1外に設けたフラックスゲート型の磁気センサ21を有する磁気センサプローブ20にて検出し、その検出信号に基づいて内視鏡カメラ2のガス管1内での位置を探査する。
【選択図】 図1
【解決手段】先端に内視鏡カメラ2及び発信コイル10を設けた光ファイバケーブル3を、ガス管1内に挿入し、発信コイル10に交流電流を断続的に印加する。ガス管1の表皮深さがガス管1の厚さより大きくなるように、印加する交流電流の周波数を設定する。発信コイル10から発生した磁界を、ガス管1外に設けたフラックスゲート型の磁気センサ21を有する磁気センサプローブ20にて検出し、その検出信号に基づいて内視鏡カメラ2のガス管1内での位置を探査する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管内を移動する移動体の管内での位置を磁気的に探査する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスの搬送を目的とした屋内でのガス管には、ステンレス製のコルゲート管(外径20mm,厚さ0.5mm程度)が広く利用されている。このようなガス管は、可撓性を有して自由に屈曲できるので、屋内の壁裏または床下などへの設置を容易に行える。しかしながら、剛性が小さくて厚さも薄いため、釘などの突起物がガス管を貫通して、ガス漏れ事故につながることも起こり易い。ガス漏れが発生した場合、近年では、先端に小型の内視鏡カメラを装着した光ファイバケーブルをガス管内に挿入して、ガス管の内面の画像を直接取得して、破損箇所などの欠陥部を発見している。
【0003】
このような手法では、ガス管内を目視にて直接検査している場合と同様の精度で欠陥部を発見することができ、従来行っていた磁気探傷に比べてその検出精度を大幅に向上できる。しかしながら、取得した画像がガス管のどの位置のものであるかをガス管の外から特定することは困難であり、ガス管の外から欠陥部の位置を特定することが難しい。ガス管は可撓性を有しているため、その配置位置が固定されておらず、このことが欠陥部の位置特定の困難さに拍車をかけている。
【0004】
欠陥部の位置をガス管の外から特定できるように、内視鏡カメラに永久磁石を装着させ、この永久磁石からの磁界をガス管の外で検出して内視鏡カメラの位置を探査する手法が試みられた。ところが、永久磁石から発生する磁界は、永久磁石から離れると地磁気の影響を受ける程度まで急速に弱まってしまうので、地磁気の影響を受けてしまって内視鏡カメラの正確な位置を探査できない。また、鉄筋など磁性材からなる建造物が着磁していると、その影響を受けて内視鏡カメラの位置を誤探査してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、永久磁石に代えて、磁界の大きさを設定できる発信コイルを管内に設けて、発信コイルへの通電によって発生する磁界を管の外で検出して、発信コイルの位置を探査する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、大径の金属管内に2個の大形の発信コイルを配設し、向きが異なる夫々の発信コイルからの磁界を管の外の磁気センサにて検出し、その検出結果に基づく三角測量の原理によって発信コイルの位置を探査している。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−162693号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
交流磁界を用いて位置を探査する場合には、地磁気または鉄筋への着磁などによる外乱磁界の影響を受けないという利点がある。但し、交流磁界を用いる場合、発信コイルにて発生された磁界をできる限り損失なく磁気センサまで伝播させることが検出精度の観点から重要である。大径の管に適用する場合には、強い磁界を発生できる大形の発信コイルの設置が可能であるので、この伝播損失はあまり問題にならない。しかしながら、ガス管などのような小径の管の場合には、比較的微弱な磁界しか発生できない小形の発信コイルしか用いることができず、発生磁界の損失は解決すべき重要な課題である。特に、管に流れる渦電流によって管の外部に発生する磁界により、発信コイルからの発生磁界が打ち消されて弱くなるという問題がある。また、商用周波数の交流磁界による環境ノイズの影響により十分な探査距離が得られないという問題もある。特許文献1に記載された技術は、大径の管への適用を想定しており、このような発生磁界の損失、環境ノイズなどへの対策は全くなされていない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、小形の発信コイルを用いても、実用上で十分な探査距離を確保して、移動体の管内での位置を精度良く探査できる管内の位置探査方法及び装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的は、発信コイルによる発生磁界を大きな損失なく管の外で効率良く検出できる管内の位置探査方法及び装置を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、環境ノイズの影響を抑制できる管内の位置探査方法及び装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る管内の位置探査方法は、管内を移動する移動体に設けられた発信コイルへ交流電流を印加して発生させた交流磁界を前記管の外に設けた磁気センサにて検出し、該磁気センサでの検出結果に基づいて前記移動体の位置を探査する方法であって、前記管の厚さより前記管の表皮深さが大きくなるように、前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数を設定することを特徴とする。
【0012】
第2発明に係る管内の位置探査方法は、第1発明において、前記磁気センサとしてフラックスゲート型の磁気センサを使用し、前記磁気センサの励磁周波数を、前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の非整数倍とし、前記磁気センサにて検出した磁界の検出信号から前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の成分をフィルタリングすることを特徴とする。
【0013】
第3発明に係る管内の位置探査方法は、第1または第2発明において、前記発信コイルへ断続的に交流電流を印加することを特徴とする。
【0014】
第4発明に係る管内の位置探査方法は、第1〜第3発明のいずれかにおいて、前記発信コイルへ印加する交流電流の位相,周波数及び振幅のうちの少なくとも一つを変調し、その変調情報を前記管の外へ送信することを特徴とする。
【0015】
第5発明に係る管内の位置探査装置は、管内を移動する移動体に設けられた発信コイルへ交流電流を印加して発生させた交流磁界を前記管の外に設けた磁気センサにて検出し、該磁気センサでの検出結果に基づいて前記移動体の位置を探査する装置であって、前記管の厚さより前記管の表皮深さが大きくなるような周波数の交流電流を前記発信コイルへ印加する印加手段を備えることを特徴とする。
【0016】
第6発明に係る管内の位置探査装置は、第5発明において、前記磁気センサはフラックスゲート型の磁気センサであり、前記磁気センサの励磁周波数が、前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の非整数倍であり、前記磁気センサにて検出した磁界の検出信号から前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の成分をフィルタリングする手段を備えることを特徴とする。
【0017】
第7発明に係る管内の位置探査装置は、第5または第6発明において、前記印加手段は、前記発信コイルへ断続的に交流電流を印加するようにしたことを特徴とする
【0018】
第8発明に係る管内の位置探査装置は、第5〜第7発明のいずれかにおいて、前記発信コイルへ印加する交流電流の位相,周波数及び振幅のうちの少なくとも一つを変調する変調手段と、該変調手段における変調情報を前記管の外へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
第1及び第5発明にあっては、管の表皮深さ(p)が管の厚さ(d)より大きくなるように、発信コイルへ印加する交流電流の周波数(fm )を設定する。具体的には、以下の条件を満たすようにする。
p=(ρ/πμfm )1/2 >d
但し、
ρ:管材の固有抵抗, μ:管材の実効透磁率
よって、管に流れる渦電流によって管の外部に発生する磁界により発信コイルの発生磁界が打ち消されることがなく、十分な透過率が得られ、管の外で効率良く磁界が発生されて、探査距離を長くできる。
【0020】
第2及び第6発明にあっては、フラックスゲート型の磁気センサを使用し、その磁気センサの励磁周波数を、発信コイルへ印加する交流電流の周波数の非整数倍とする。よって、干渉による検出信号のレベル変動を防止する。また、磁気センサにて検出した検出信号から発信コイルへ印加する交流電流の周波数成分のみをフィルタリングする。よって、必要な周波数による分解能が向上する。
【0021】
第3及び第7発明にあっては、断続的な交流電流を発信コイルへ印加する。発信コイルへ印加する電流が大きいほど強い磁界は得られるが、小形の発信コイルでは連続的に通電した場合に多量の熱が発生する。そこで、第3及び第7発明では、バースト状の交流電流を発信コイルへ印加し、しかもオン時間に比べてオフ時間を長く、即ち、デューティ比を小さくする。そして、磁界の検出側で、このオン時間における検出信号をサンプル/ホールドすることにより、発信コイルの発熱を低く抑えて、連続的な場合と同様の検出信号が得られる。
【0022】
第4及び第8発明にあっては、発信コイルへ印加する交流電流の位相,周波数及び振幅のうちの少なくとも一つを変調し、その変調情報を磁界の検出側へ、例えば微弱電流または赤外線により送信する。磁界の検出側では、この変調情報を参照して検出信号を検波する。よって、環境ノイズによって混入したランダムな信号成分を除去して、発信コイル由来の磁界を効率良く検出できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る管内の位置探査装置の構成を示す図である。この第1実施の形態では、管内に挿入する発信コイルとしてソレノイド状の2個のコイルをそれらの軸芯方向を直交させて配置し、2個のソレノイドコイルを逆向きに励磁して、管表面に対して垂直な磁界を発生させる。
【0024】
図1において、1は壁裏に配設されたガス管である。ガス管1は、ステンレス製の可撓性を有するコルゲート管(外径20mm,厚さ0.5mm程度)で構成されている。ガス管1内には、先端に移動体としての直径8mmの内視鏡カメラ2を装着した光ファイバケーブル3が挿入されている。内視鏡カメラ2には、内径10mm,長さ20mmの円筒状の発信コイル10が設けられている。発信コイル10は、具体的には、直径0.3mmのエナメル銅線を250回捲いたソレノイドコイルで構成されている。
【0025】
発信コイル10に通電するための導線(図示せず)は、光ファイバケーブル3内を通って、電力増幅器11に接続されている。ガス管1内で磁界を発生させるための発信機側の構成部材は、発信コイル10及び電力増幅器11に加えて、波形整形回路12と位相検波器13と発振/分周回路14とオン/オフ制御器15と送信モジュール16とアンテナ17とを含んでいる。
【0026】
発振/分周回路14は、ガス管1の厚さに応じた所定の周波数の高周波信号を生成する。波形整形回路12は、発振/分周回路14からの高周波信号の波形を整形する。位相検波器13は、波形整形回路12からの高周波信号を検波して電力増幅器11へ出力する。オン/オフ制御器15は、発信コイル10への交流電流の通電/非通電のタイミング、即ち発信コイル10への交流電流印加のオン時間/オフ時間を制御する。送信モジュール16は、このオン時間/オフ時間の情報を、アンテナ17を介して探査機側へ送信する。
【0027】
また、磁界を検出するための磁気センサプローブ20が、壁から適長離隔して配設されている。磁気センサプローブ20は、直交フラックスゲート型の磁気センサ21,21を2個有する。図2は、これらの磁気センサ21,21の構成及び配置例を示す図である。
【0028】
各磁気センサ21は、パーマロイ製の円筒状のコア21a(外径:0.3mm,内径:0.2mm,長さ:8mm)に励磁導体21bを貫通させたものを、検出コイル21c(直径:0.02mm,捲き数:2000回)を捲いたボビン21dに挿入させた構成をなしている。そして、2個の磁気センサ21,21を,磁気センサプローブ20の長手方向に対して垂直な平面上で直交するように配置している。
【0029】
発信コイル10で発生された磁界をガス管1の外側で検出して内視鏡カメラ2の位置を探査するための探査機側の構成部材は、磁気センサプローブ20に加えて、励磁回路22と発振/分周回路23と第1BPF(バンドパスフィルタ)24と位相検波器25と第2BPF(バンドパスフィルタ)26とサンプル/ホールド回路27と受信モジュール28とアンテナ29とを含んでいる。
【0030】
発振/分周回路23は、所定の周波数(14.2kHzと28.4kHz)の高周波信号を生成し、14.2kHzの高周波信号は励磁回路22に送られ、28.4kHzの高周波信号は位相検波器25へ付与される。励磁回路22は、発振/分周回路23からの所定周波数(14.2kHz)の励磁電流を磁気センサ21の励磁導体21bへ印加する。第1BPF24は、磁気センサ21からの検出信号(電圧信号)を所定周波数(28.4kHz)のフィルタを用いて濾波する。位相検波器25は、第1BPF24からの信号を検波して第2BPF26へ出力する。第2BPF26は、位相検波器25からの検波信号を所定周波数(400Hz)のフィルタを用いて濾波する。受信モジュール28は、発信機側から送られる通電のオン時間/オフ時間の情報をアンテナ29を介して受信する。サンプル/ホールド回路27は、オン時間のタイミングに同期して第2BPF26からの出力をサンプリングし、そのサンプリングデータをホールドする。
【0031】
次に、動作について説明する。先端に内視鏡カメラ2及び発信コイル10を設けた光ファイバケーブル3を、ガス管1内に挿入していき、発信コイル10へ交流電流を印加する。
【0032】
この際の印加電流の周波数(fm )は、ガス管1の表皮深さ(p)がガス管1の厚さ(d)より大きくなるように設定する。即ち、ステンレスの固有抵抗(ρ)及びステンレスの実効透磁率(μ)を用いて、以下の条件を満たすように周波数(fm )を設定する。
p=(ρ/πμfm )1/2 >d
【0033】
ガス管1に渦電流が流れることによって、磁束の減衰が発生する。この磁束の減衰は表皮効果によるため、ガス管1の表皮深さ(p)とガス管1の厚さ(d)との大小関係の程度に応じて減衰量が変化する。つまり、p≦dである場合には磁束はガス管1をほとんど透過しない。よって、本発明ではp>dの関係を満たすように印加電流の周波数(fm )を設定して、磁束がガス管1を良く透過するようにする。なお、p>dの関係を満たしておれば磁束はガス管1をある程度は透過するが、95%以上の磁束透過率を実現するためには、p/10≧dの関係を満たすことが好ましい。このような点を考慮して、本例では印加電流の周波数(fm )を400Hzに設定した。
【0034】
発信コイル10へ400Hz,5Arms.の交流電流を10波(25msec.)印加し、90波分(225msec.)だけ印加を中断することを1サイクル(250msec.)として、発信コイル10を励磁させた。このような発信/停止の時間情報は、微弱無線(315MHz帯)を用いて送信モジュール16から探査機側へ送信した。
【0035】
探査機側では、磁気センサ21の励磁導体21bへ励磁回路22から14.2kHzの励磁電流を印加し、検出コイル21cからの検出信号を周波数28.4kHzの第1BPF24にてフィルタリングした後に位相検波器25にて検波する。検波後の信号を周波数400Hzの第2BPF26に通した後、発信機側からの発信/停止の時間情報に基づき、発信時に得られる検出出力を、サンプル/ホールド回路27によりサンプル/ホールドして、連続的な検出出力を得た。
【0036】
図3は、以上のようにして得られた検出出力の測定結果を示すグラフである。ステンレス製のガス管1の中央部に発信コイル10を配置し、その先端をガス管1から適長(20cm,30cm,40cm,50cm)離し、その長手方向をガス管1に対して垂直にして磁気センサプローブ20を配置し、ガス管1の長手方向に平行に磁気センサプローブ20を10cm単位で移動させた場合の検出結果を図3に示す。なお、図3において、破線は検出限界となるノイズレベルを表している。
【0037】
実用上で十分な距離(50cm)離れても、発信コイル10で発生された磁界を磁気センサ21にて検出できていることが、図3の測定結果から分かる。即ち、50cm程度の探査距離を実現できており、屋内のガス管における探査精度としては十分である。
【0038】
第1実施の形態では、発信コイル10に断続的に交流電流を印加し、その通電タイミングの情報を探査機側へ送信し、この通電タイミングの情報に応じて磁界検出信号をサンプル/ホールドするようにしたので、発信コイル10での過度の発熱を防止しながら、連続通電の場合と同様な検出信号が得られてS/N比が向上する。
【0039】
(第2実施の形態)
図4は、本発明の第2実施の形態に係る管内の位置探査装置の構成を示す図である。この第2実施の形態では、管内に挿入する発信コイルとして4個の鞍型コイルを組み合わせて2組のコイルに90°位相が異なる交流電流を通電して、管の長手方向に垂直な回転磁界を発生させる。なお、図4において、図1と同一または同様な部分には同一番号を付している。
【0040】
内視鏡カメラ2には、発信コイル30が設けられている。図5は、発信コイル30の構成を示す図である。発信コイル30は、4個の鞍型コイル30a,30b,30c,30dを組み合わせた構成をなしており、外側の鞍型コイル30a,30bのコイル端Aと内側の鞍型コイル30c,30dのコイル端Bとに、90°位相が異なる交流電流を流すことにより、管の長手方向に垂直な回転磁界が発生する。この発信コイル30では、一軸構成にて回転磁界の発生が可能である。
【0041】
ガス管1内で磁界を発生させるための発信機側の構成部材は、この発信コイル30に加えて、電力増幅器11a,11bと発振/分周回路14と波形整形機能を有する正弦波/余弦波発生回路38と+1/−1発生回路39と乗算器40a,40bと送信モジュール16とアンテナ17とを含んでいる。
【0042】
発振/分周回路14は、ガス管1の厚さに応じた所定の周波数(400Hz)の高周波信号を発振する。正弦波/余弦波発生回路38は、発振/分周回路14からの周波数での正弦波信号及び余弦波信号を生成し、夫々を乗算器40a,40bへ出力する。+1/−1発生回路39は、+1または−1をランダムに発生し、発生した+1または−1を乗算器40a,40bへ出力する。乗算器40a,40bは、発振/分周回路14からの正弦波信号,余弦波信号に+1または−1を乗算して、位相が180°ランダムに変化する信号を電力増幅器11a,11bへ出力する。送信モジュール16は、この位相変調の情報を、アンテナ17を介して探査機側へ送信する。
【0043】
一方、磁界を検出するための磁気センサプローブ20が、壁から適長離隔して配設されている。磁気センサプローブ20は、第1実施の形態(図2参照)と同様の1個の磁気センサ21を有しており、磁気センサプローブ20の先端に、この1個の磁気センサ21を長手方向に平行に装着している。
【0044】
発信コイル10で発生された磁界をガス管1の外側で検出して内視鏡カメラ2の位置を探査するための探査機側の構成部材は、磁気センサプローブ20に加えて、励磁回路22と発振/分周回路23と第1BPF24と位相検波器25と第2BPF26と復調用の位相検波器50と受信モジュール28とアンテナ29とを含んでいる。
【0045】
受信モジュール28は、発信機側から送られる位相変調の情報をアンテナ29を介して受信する。位相検波器50は、受信した位相変調の情報に基づいて、位相検波器25からの検出信号を検波して第2BPF26へ出力する。第2BPF26は、位相検波器50からの検波信号を所定周波数(400Hz)のフィルタを用いて濾波して、検出出力を得る。
【0046】
次に、動作について説明する。先端に内視鏡カメラ2及び発信コイル30を設けた光ファイバケーブル3を、ガス管1内に挿入していき、発信コイル30へ交流電流を印加する。発信コイル30へ400Hz,5Arms.の交流電流を印加した。なお、発信コイル30のコイル端Aとコイル端Bとには夫々位相が90°異なる交流電流を流した。また、+1/1発生回路39にてランダムに発生させた+1または−1を400Hzの正弦波及び余弦波に乗算して、位相が180°ランダムに変化する信号を、発信信号として用いた。この位相変調の情報は、微弱無線(315MHz帯)を用いて送信モジュール16から探査機側へ送信した。
【0047】
探査機側では、発信機側からの位相変調の情報を参照して、位相検波器50にて検出信号を検波して、検波後の信号を周波数400Hzの第2BPF26に通して、検出出力を得た。このようにして得られる検出出力を測定した結果、第1実施の形態と同様の測定結果が得られ、50cm程度の探査距離を実現できることが確認された。
【0048】
第2実施の形態では、発信信号の位相を変調し、その位相変調の情報を探査機側に送信し、磁界検出信号をこの位相変調の情報に基づいて検波するようにしたので、発信信号の周波数と同一周波数である環境ノイズを抑制することができる。
【0049】
なお、上述した第2実施の形態では、発信信号の位相を変調する場合について説明したが、発信信号の周波数または振幅を変調し、その変調情報を探査機側に送信して、この変調情報に基づいて検出信号を復調するようにしても、同様の効果(環境ノイズの抑制)を奏することは勿論である。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明では、発信コイルから発生される交流磁界を用いるようにしたので、地磁気または鉄筋の着磁などの静磁界の影響を受けることなく管内で発生した磁界を管の外で検出することができる。また、管の表皮深さが管の厚さより大きくなるように、発信コイルへ印加する交流電流の周波数を設定するようにしたので、管内で発生した磁界が管に吸収されることを防止でき、管外で効率良く磁界を検出することができる。
【0051】
また、フラックスゲート型の磁気センサの励磁周波数を発信コイルへ印加する交流電流の周波数の非整数倍とするようにしたので、干渉による検出信号のレベル変動を防止することができる。また、磁気センサにて検出した検出信号から発信コイルへ印加する交流電流の周波数成分のみをフィルタリングするようにしたので、必要な周波数による分解能の向上を図ることができる。
【0052】
また、発信コイルへ交流電流を断続的に印加し、探査機側で通電タイミングでの検出信号をサンプル/ホールドするようにしたので、発信コイルの発熱を防止しながら、連続通電よりも強い磁界を発生でき、S/N比の向上を図ることができる。
【0053】
更に、発信コイルへ印加する交流電流の発信信号を変調し、探査機側で復調するようにしたので、発信信号と同一周波数帯域の環境ノイズを抑制することができ、S/N比の向上を図ることができる。
【0054】
このように本発明では、ガス管などの小径の管内における移動体の位置を、実用上十分な距離(50cm程度の探査距離)に拡大して探査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る管内の位置探査装置の構成を示す図である。
【図2】本発明で使用する磁気センサの構成及び配置例を示す図である。
【図3】本発明で得られた検出出力の測定結果を示すグラフである。
【図4】本発明の第2実施の形態に係る管内の位置探査装置の構成を示す図である。
【図5】本発明で使用する発信コイルの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ガス管
2 内視鏡カメラ
10,30 発信コイル
11,11a,11b 電力増幅器
15 オン/オフ制御器
16 送信モジュール
17,19 アンテナ
20 磁気センサプローブ
21 磁気センサ
24 第1BPF(バンドパスフィルタ)
22 励磁回路
26 第2BPF(バンドパスフィルタ)
28 受信モジュール
50 位相検波器
【発明の属する技術分野】
本発明は、管内を移動する移動体の管内での位置を磁気的に探査する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスの搬送を目的とした屋内でのガス管には、ステンレス製のコルゲート管(外径20mm,厚さ0.5mm程度)が広く利用されている。このようなガス管は、可撓性を有して自由に屈曲できるので、屋内の壁裏または床下などへの設置を容易に行える。しかしながら、剛性が小さくて厚さも薄いため、釘などの突起物がガス管を貫通して、ガス漏れ事故につながることも起こり易い。ガス漏れが発生した場合、近年では、先端に小型の内視鏡カメラを装着した光ファイバケーブルをガス管内に挿入して、ガス管の内面の画像を直接取得して、破損箇所などの欠陥部を発見している。
【0003】
このような手法では、ガス管内を目視にて直接検査している場合と同様の精度で欠陥部を発見することができ、従来行っていた磁気探傷に比べてその検出精度を大幅に向上できる。しかしながら、取得した画像がガス管のどの位置のものであるかをガス管の外から特定することは困難であり、ガス管の外から欠陥部の位置を特定することが難しい。ガス管は可撓性を有しているため、その配置位置が固定されておらず、このことが欠陥部の位置特定の困難さに拍車をかけている。
【0004】
欠陥部の位置をガス管の外から特定できるように、内視鏡カメラに永久磁石を装着させ、この永久磁石からの磁界をガス管の外で検出して内視鏡カメラの位置を探査する手法が試みられた。ところが、永久磁石から発生する磁界は、永久磁石から離れると地磁気の影響を受ける程度まで急速に弱まってしまうので、地磁気の影響を受けてしまって内視鏡カメラの正確な位置を探査できない。また、鉄筋など磁性材からなる建造物が着磁していると、その影響を受けて内視鏡カメラの位置を誤探査してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、永久磁石に代えて、磁界の大きさを設定できる発信コイルを管内に設けて、発信コイルへの通電によって発生する磁界を管の外で検出して、発信コイルの位置を探査する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、大径の金属管内に2個の大形の発信コイルを配設し、向きが異なる夫々の発信コイルからの磁界を管の外の磁気センサにて検出し、その検出結果に基づく三角測量の原理によって発信コイルの位置を探査している。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−162693号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
交流磁界を用いて位置を探査する場合には、地磁気または鉄筋への着磁などによる外乱磁界の影響を受けないという利点がある。但し、交流磁界を用いる場合、発信コイルにて発生された磁界をできる限り損失なく磁気センサまで伝播させることが検出精度の観点から重要である。大径の管に適用する場合には、強い磁界を発生できる大形の発信コイルの設置が可能であるので、この伝播損失はあまり問題にならない。しかしながら、ガス管などのような小径の管の場合には、比較的微弱な磁界しか発生できない小形の発信コイルしか用いることができず、発生磁界の損失は解決すべき重要な課題である。特に、管に流れる渦電流によって管の外部に発生する磁界により、発信コイルからの発生磁界が打ち消されて弱くなるという問題がある。また、商用周波数の交流磁界による環境ノイズの影響により十分な探査距離が得られないという問題もある。特許文献1に記載された技術は、大径の管への適用を想定しており、このような発生磁界の損失、環境ノイズなどへの対策は全くなされていない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、小形の発信コイルを用いても、実用上で十分な探査距離を確保して、移動体の管内での位置を精度良く探査できる管内の位置探査方法及び装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的は、発信コイルによる発生磁界を大きな損失なく管の外で効率良く検出できる管内の位置探査方法及び装置を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、環境ノイズの影響を抑制できる管内の位置探査方法及び装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る管内の位置探査方法は、管内を移動する移動体に設けられた発信コイルへ交流電流を印加して発生させた交流磁界を前記管の外に設けた磁気センサにて検出し、該磁気センサでの検出結果に基づいて前記移動体の位置を探査する方法であって、前記管の厚さより前記管の表皮深さが大きくなるように、前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数を設定することを特徴とする。
【0012】
第2発明に係る管内の位置探査方法は、第1発明において、前記磁気センサとしてフラックスゲート型の磁気センサを使用し、前記磁気センサの励磁周波数を、前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の非整数倍とし、前記磁気センサにて検出した磁界の検出信号から前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の成分をフィルタリングすることを特徴とする。
【0013】
第3発明に係る管内の位置探査方法は、第1または第2発明において、前記発信コイルへ断続的に交流電流を印加することを特徴とする。
【0014】
第4発明に係る管内の位置探査方法は、第1〜第3発明のいずれかにおいて、前記発信コイルへ印加する交流電流の位相,周波数及び振幅のうちの少なくとも一つを変調し、その変調情報を前記管の外へ送信することを特徴とする。
【0015】
第5発明に係る管内の位置探査装置は、管内を移動する移動体に設けられた発信コイルへ交流電流を印加して発生させた交流磁界を前記管の外に設けた磁気センサにて検出し、該磁気センサでの検出結果に基づいて前記移動体の位置を探査する装置であって、前記管の厚さより前記管の表皮深さが大きくなるような周波数の交流電流を前記発信コイルへ印加する印加手段を備えることを特徴とする。
【0016】
第6発明に係る管内の位置探査装置は、第5発明において、前記磁気センサはフラックスゲート型の磁気センサであり、前記磁気センサの励磁周波数が、前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の非整数倍であり、前記磁気センサにて検出した磁界の検出信号から前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の成分をフィルタリングする手段を備えることを特徴とする。
【0017】
第7発明に係る管内の位置探査装置は、第5または第6発明において、前記印加手段は、前記発信コイルへ断続的に交流電流を印加するようにしたことを特徴とする
【0018】
第8発明に係る管内の位置探査装置は、第5〜第7発明のいずれかにおいて、前記発信コイルへ印加する交流電流の位相,周波数及び振幅のうちの少なくとも一つを変調する変調手段と、該変調手段における変調情報を前記管の外へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
第1及び第5発明にあっては、管の表皮深さ(p)が管の厚さ(d)より大きくなるように、発信コイルへ印加する交流電流の周波数(fm )を設定する。具体的には、以下の条件を満たすようにする。
p=(ρ/πμfm )1/2 >d
但し、
ρ:管材の固有抵抗, μ:管材の実効透磁率
よって、管に流れる渦電流によって管の外部に発生する磁界により発信コイルの発生磁界が打ち消されることがなく、十分な透過率が得られ、管の外で効率良く磁界が発生されて、探査距離を長くできる。
【0020】
第2及び第6発明にあっては、フラックスゲート型の磁気センサを使用し、その磁気センサの励磁周波数を、発信コイルへ印加する交流電流の周波数の非整数倍とする。よって、干渉による検出信号のレベル変動を防止する。また、磁気センサにて検出した検出信号から発信コイルへ印加する交流電流の周波数成分のみをフィルタリングする。よって、必要な周波数による分解能が向上する。
【0021】
第3及び第7発明にあっては、断続的な交流電流を発信コイルへ印加する。発信コイルへ印加する電流が大きいほど強い磁界は得られるが、小形の発信コイルでは連続的に通電した場合に多量の熱が発生する。そこで、第3及び第7発明では、バースト状の交流電流を発信コイルへ印加し、しかもオン時間に比べてオフ時間を長く、即ち、デューティ比を小さくする。そして、磁界の検出側で、このオン時間における検出信号をサンプル/ホールドすることにより、発信コイルの発熱を低く抑えて、連続的な場合と同様の検出信号が得られる。
【0022】
第4及び第8発明にあっては、発信コイルへ印加する交流電流の位相,周波数及び振幅のうちの少なくとも一つを変調し、その変調情報を磁界の検出側へ、例えば微弱電流または赤外線により送信する。磁界の検出側では、この変調情報を参照して検出信号を検波する。よって、環境ノイズによって混入したランダムな信号成分を除去して、発信コイル由来の磁界を効率良く検出できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る管内の位置探査装置の構成を示す図である。この第1実施の形態では、管内に挿入する発信コイルとしてソレノイド状の2個のコイルをそれらの軸芯方向を直交させて配置し、2個のソレノイドコイルを逆向きに励磁して、管表面に対して垂直な磁界を発生させる。
【0024】
図1において、1は壁裏に配設されたガス管である。ガス管1は、ステンレス製の可撓性を有するコルゲート管(外径20mm,厚さ0.5mm程度)で構成されている。ガス管1内には、先端に移動体としての直径8mmの内視鏡カメラ2を装着した光ファイバケーブル3が挿入されている。内視鏡カメラ2には、内径10mm,長さ20mmの円筒状の発信コイル10が設けられている。発信コイル10は、具体的には、直径0.3mmのエナメル銅線を250回捲いたソレノイドコイルで構成されている。
【0025】
発信コイル10に通電するための導線(図示せず)は、光ファイバケーブル3内を通って、電力増幅器11に接続されている。ガス管1内で磁界を発生させるための発信機側の構成部材は、発信コイル10及び電力増幅器11に加えて、波形整形回路12と位相検波器13と発振/分周回路14とオン/オフ制御器15と送信モジュール16とアンテナ17とを含んでいる。
【0026】
発振/分周回路14は、ガス管1の厚さに応じた所定の周波数の高周波信号を生成する。波形整形回路12は、発振/分周回路14からの高周波信号の波形を整形する。位相検波器13は、波形整形回路12からの高周波信号を検波して電力増幅器11へ出力する。オン/オフ制御器15は、発信コイル10への交流電流の通電/非通電のタイミング、即ち発信コイル10への交流電流印加のオン時間/オフ時間を制御する。送信モジュール16は、このオン時間/オフ時間の情報を、アンテナ17を介して探査機側へ送信する。
【0027】
また、磁界を検出するための磁気センサプローブ20が、壁から適長離隔して配設されている。磁気センサプローブ20は、直交フラックスゲート型の磁気センサ21,21を2個有する。図2は、これらの磁気センサ21,21の構成及び配置例を示す図である。
【0028】
各磁気センサ21は、パーマロイ製の円筒状のコア21a(外径:0.3mm,内径:0.2mm,長さ:8mm)に励磁導体21bを貫通させたものを、検出コイル21c(直径:0.02mm,捲き数:2000回)を捲いたボビン21dに挿入させた構成をなしている。そして、2個の磁気センサ21,21を,磁気センサプローブ20の長手方向に対して垂直な平面上で直交するように配置している。
【0029】
発信コイル10で発生された磁界をガス管1の外側で検出して内視鏡カメラ2の位置を探査するための探査機側の構成部材は、磁気センサプローブ20に加えて、励磁回路22と発振/分周回路23と第1BPF(バンドパスフィルタ)24と位相検波器25と第2BPF(バンドパスフィルタ)26とサンプル/ホールド回路27と受信モジュール28とアンテナ29とを含んでいる。
【0030】
発振/分周回路23は、所定の周波数(14.2kHzと28.4kHz)の高周波信号を生成し、14.2kHzの高周波信号は励磁回路22に送られ、28.4kHzの高周波信号は位相検波器25へ付与される。励磁回路22は、発振/分周回路23からの所定周波数(14.2kHz)の励磁電流を磁気センサ21の励磁導体21bへ印加する。第1BPF24は、磁気センサ21からの検出信号(電圧信号)を所定周波数(28.4kHz)のフィルタを用いて濾波する。位相検波器25は、第1BPF24からの信号を検波して第2BPF26へ出力する。第2BPF26は、位相検波器25からの検波信号を所定周波数(400Hz)のフィルタを用いて濾波する。受信モジュール28は、発信機側から送られる通電のオン時間/オフ時間の情報をアンテナ29を介して受信する。サンプル/ホールド回路27は、オン時間のタイミングに同期して第2BPF26からの出力をサンプリングし、そのサンプリングデータをホールドする。
【0031】
次に、動作について説明する。先端に内視鏡カメラ2及び発信コイル10を設けた光ファイバケーブル3を、ガス管1内に挿入していき、発信コイル10へ交流電流を印加する。
【0032】
この際の印加電流の周波数(fm )は、ガス管1の表皮深さ(p)がガス管1の厚さ(d)より大きくなるように設定する。即ち、ステンレスの固有抵抗(ρ)及びステンレスの実効透磁率(μ)を用いて、以下の条件を満たすように周波数(fm )を設定する。
p=(ρ/πμfm )1/2 >d
【0033】
ガス管1に渦電流が流れることによって、磁束の減衰が発生する。この磁束の減衰は表皮効果によるため、ガス管1の表皮深さ(p)とガス管1の厚さ(d)との大小関係の程度に応じて減衰量が変化する。つまり、p≦dである場合には磁束はガス管1をほとんど透過しない。よって、本発明ではp>dの関係を満たすように印加電流の周波数(fm )を設定して、磁束がガス管1を良く透過するようにする。なお、p>dの関係を満たしておれば磁束はガス管1をある程度は透過するが、95%以上の磁束透過率を実現するためには、p/10≧dの関係を満たすことが好ましい。このような点を考慮して、本例では印加電流の周波数(fm )を400Hzに設定した。
【0034】
発信コイル10へ400Hz,5Arms.の交流電流を10波(25msec.)印加し、90波分(225msec.)だけ印加を中断することを1サイクル(250msec.)として、発信コイル10を励磁させた。このような発信/停止の時間情報は、微弱無線(315MHz帯)を用いて送信モジュール16から探査機側へ送信した。
【0035】
探査機側では、磁気センサ21の励磁導体21bへ励磁回路22から14.2kHzの励磁電流を印加し、検出コイル21cからの検出信号を周波数28.4kHzの第1BPF24にてフィルタリングした後に位相検波器25にて検波する。検波後の信号を周波数400Hzの第2BPF26に通した後、発信機側からの発信/停止の時間情報に基づき、発信時に得られる検出出力を、サンプル/ホールド回路27によりサンプル/ホールドして、連続的な検出出力を得た。
【0036】
図3は、以上のようにして得られた検出出力の測定結果を示すグラフである。ステンレス製のガス管1の中央部に発信コイル10を配置し、その先端をガス管1から適長(20cm,30cm,40cm,50cm)離し、その長手方向をガス管1に対して垂直にして磁気センサプローブ20を配置し、ガス管1の長手方向に平行に磁気センサプローブ20を10cm単位で移動させた場合の検出結果を図3に示す。なお、図3において、破線は検出限界となるノイズレベルを表している。
【0037】
実用上で十分な距離(50cm)離れても、発信コイル10で発生された磁界を磁気センサ21にて検出できていることが、図3の測定結果から分かる。即ち、50cm程度の探査距離を実現できており、屋内のガス管における探査精度としては十分である。
【0038】
第1実施の形態では、発信コイル10に断続的に交流電流を印加し、その通電タイミングの情報を探査機側へ送信し、この通電タイミングの情報に応じて磁界検出信号をサンプル/ホールドするようにしたので、発信コイル10での過度の発熱を防止しながら、連続通電の場合と同様な検出信号が得られてS/N比が向上する。
【0039】
(第2実施の形態)
図4は、本発明の第2実施の形態に係る管内の位置探査装置の構成を示す図である。この第2実施の形態では、管内に挿入する発信コイルとして4個の鞍型コイルを組み合わせて2組のコイルに90°位相が異なる交流電流を通電して、管の長手方向に垂直な回転磁界を発生させる。なお、図4において、図1と同一または同様な部分には同一番号を付している。
【0040】
内視鏡カメラ2には、発信コイル30が設けられている。図5は、発信コイル30の構成を示す図である。発信コイル30は、4個の鞍型コイル30a,30b,30c,30dを組み合わせた構成をなしており、外側の鞍型コイル30a,30bのコイル端Aと内側の鞍型コイル30c,30dのコイル端Bとに、90°位相が異なる交流電流を流すことにより、管の長手方向に垂直な回転磁界が発生する。この発信コイル30では、一軸構成にて回転磁界の発生が可能である。
【0041】
ガス管1内で磁界を発生させるための発信機側の構成部材は、この発信コイル30に加えて、電力増幅器11a,11bと発振/分周回路14と波形整形機能を有する正弦波/余弦波発生回路38と+1/−1発生回路39と乗算器40a,40bと送信モジュール16とアンテナ17とを含んでいる。
【0042】
発振/分周回路14は、ガス管1の厚さに応じた所定の周波数(400Hz)の高周波信号を発振する。正弦波/余弦波発生回路38は、発振/分周回路14からの周波数での正弦波信号及び余弦波信号を生成し、夫々を乗算器40a,40bへ出力する。+1/−1発生回路39は、+1または−1をランダムに発生し、発生した+1または−1を乗算器40a,40bへ出力する。乗算器40a,40bは、発振/分周回路14からの正弦波信号,余弦波信号に+1または−1を乗算して、位相が180°ランダムに変化する信号を電力増幅器11a,11bへ出力する。送信モジュール16は、この位相変調の情報を、アンテナ17を介して探査機側へ送信する。
【0043】
一方、磁界を検出するための磁気センサプローブ20が、壁から適長離隔して配設されている。磁気センサプローブ20は、第1実施の形態(図2参照)と同様の1個の磁気センサ21を有しており、磁気センサプローブ20の先端に、この1個の磁気センサ21を長手方向に平行に装着している。
【0044】
発信コイル10で発生された磁界をガス管1の外側で検出して内視鏡カメラ2の位置を探査するための探査機側の構成部材は、磁気センサプローブ20に加えて、励磁回路22と発振/分周回路23と第1BPF24と位相検波器25と第2BPF26と復調用の位相検波器50と受信モジュール28とアンテナ29とを含んでいる。
【0045】
受信モジュール28は、発信機側から送られる位相変調の情報をアンテナ29を介して受信する。位相検波器50は、受信した位相変調の情報に基づいて、位相検波器25からの検出信号を検波して第2BPF26へ出力する。第2BPF26は、位相検波器50からの検波信号を所定周波数(400Hz)のフィルタを用いて濾波して、検出出力を得る。
【0046】
次に、動作について説明する。先端に内視鏡カメラ2及び発信コイル30を設けた光ファイバケーブル3を、ガス管1内に挿入していき、発信コイル30へ交流電流を印加する。発信コイル30へ400Hz,5Arms.の交流電流を印加した。なお、発信コイル30のコイル端Aとコイル端Bとには夫々位相が90°異なる交流電流を流した。また、+1/1発生回路39にてランダムに発生させた+1または−1を400Hzの正弦波及び余弦波に乗算して、位相が180°ランダムに変化する信号を、発信信号として用いた。この位相変調の情報は、微弱無線(315MHz帯)を用いて送信モジュール16から探査機側へ送信した。
【0047】
探査機側では、発信機側からの位相変調の情報を参照して、位相検波器50にて検出信号を検波して、検波後の信号を周波数400Hzの第2BPF26に通して、検出出力を得た。このようにして得られる検出出力を測定した結果、第1実施の形態と同様の測定結果が得られ、50cm程度の探査距離を実現できることが確認された。
【0048】
第2実施の形態では、発信信号の位相を変調し、その位相変調の情報を探査機側に送信し、磁界検出信号をこの位相変調の情報に基づいて検波するようにしたので、発信信号の周波数と同一周波数である環境ノイズを抑制することができる。
【0049】
なお、上述した第2実施の形態では、発信信号の位相を変調する場合について説明したが、発信信号の周波数または振幅を変調し、その変調情報を探査機側に送信して、この変調情報に基づいて検出信号を復調するようにしても、同様の効果(環境ノイズの抑制)を奏することは勿論である。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明では、発信コイルから発生される交流磁界を用いるようにしたので、地磁気または鉄筋の着磁などの静磁界の影響を受けることなく管内で発生した磁界を管の外で検出することができる。また、管の表皮深さが管の厚さより大きくなるように、発信コイルへ印加する交流電流の周波数を設定するようにしたので、管内で発生した磁界が管に吸収されることを防止でき、管外で効率良く磁界を検出することができる。
【0051】
また、フラックスゲート型の磁気センサの励磁周波数を発信コイルへ印加する交流電流の周波数の非整数倍とするようにしたので、干渉による検出信号のレベル変動を防止することができる。また、磁気センサにて検出した検出信号から発信コイルへ印加する交流電流の周波数成分のみをフィルタリングするようにしたので、必要な周波数による分解能の向上を図ることができる。
【0052】
また、発信コイルへ交流電流を断続的に印加し、探査機側で通電タイミングでの検出信号をサンプル/ホールドするようにしたので、発信コイルの発熱を防止しながら、連続通電よりも強い磁界を発生でき、S/N比の向上を図ることができる。
【0053】
更に、発信コイルへ印加する交流電流の発信信号を変調し、探査機側で復調するようにしたので、発信信号と同一周波数帯域の環境ノイズを抑制することができ、S/N比の向上を図ることができる。
【0054】
このように本発明では、ガス管などの小径の管内における移動体の位置を、実用上十分な距離(50cm程度の探査距離)に拡大して探査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る管内の位置探査装置の構成を示す図である。
【図2】本発明で使用する磁気センサの構成及び配置例を示す図である。
【図3】本発明で得られた検出出力の測定結果を示すグラフである。
【図4】本発明の第2実施の形態に係る管内の位置探査装置の構成を示す図である。
【図5】本発明で使用する発信コイルの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ガス管
2 内視鏡カメラ
10,30 発信コイル
11,11a,11b 電力増幅器
15 オン/オフ制御器
16 送信モジュール
17,19 アンテナ
20 磁気センサプローブ
21 磁気センサ
24 第1BPF(バンドパスフィルタ)
22 励磁回路
26 第2BPF(バンドパスフィルタ)
28 受信モジュール
50 位相検波器
Claims (8)
- 管内を移動する移動体に設けられた発信コイルへ交流電流を印加して発生させた交流磁界を前記管の外に設けた磁気センサにて検出し、該磁気センサでの検出結果に基づいて前記移動体の位置を探査する方法であって、前記管の厚さより前記管の表皮深さが大きくなるように、前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数を設定することを特徴とする管内の位置探査方法。
- 前記磁気センサとしてフラックスゲート型の磁気センサを使用し、前記磁気センサの励磁周波数を、前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の非整数倍とし、前記磁気センサにて検出した磁界の検出信号から前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の成分をフィルタリングすることを特徴とする請求項1に記載の管内の位置探査方法。
- 前記発信コイルへ断続的に交流電流を印加することを特徴とする請求項1または2に記載の管内の位置探査方法。
- 前記発信コイルへ印加する交流電流の位相,周波数及び振幅のうちの少なくとも一つを変調し、その変調情報を前記管の外へ送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の管内の位置探査方法。
- 管内を移動する移動体に設けられた発信コイルへ交流電流を印加して発生させた交流磁界を前記管の外に設けた磁気センサにて検出し、該磁気センサでの検出結果に基づいて前記移動体の位置を探査する装置であって、前記管の厚さより前記管の表皮深さが大きくなるような周波数の交流電流を前記発信コイルへ印加する印加手段を備えることを特徴とする管内の位置探査装置。
- 前記磁気センサはフラックスゲート型の磁気センサであり、前記磁気センサの励磁周波数が、前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の非整数倍であり、前記磁気センサにて検出した磁界の検出信号から前記発信コイルへ印加する交流電流の周波数の成分をフィルタリングする手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の管内の位置探査装置。
- 前記印加手段は、前記発信コイルへ断続的に交流電流を印加するようにしたことを特徴とする請求項5または6に記載の管内の位置探査装置。
- 前記発信コイルへ印加する交流電流の位相,周波数及び振幅のうちの少なくとも一つを変調する変調手段と、該変調手段における変調情報を前記管の外へ送信する手段とを備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の管内の位置探査装置。
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JP7469939B2 (ja) | 2019-04-17 | 2024-04-17 | メトラー-トレド・セーフライン・リミテッド | 金属検出器を動作させるための方法および金属検出器 |
-
2002
- 2002-12-12 JP JP2002360951A patent/JP2004191242A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP4902032B1 (ja) * | 2011-03-17 | 2012-03-21 | 茂治郎 清水 | 管内移動体探知用の発信器、管内移動体および管内移動体探知システム |
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