JP2012127752A - 電磁流速計および電磁流速計部品ならびに流速測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体が流れる管状部材が音波を伝達しない場合でも適用でき、流体速度が極端に低い場合でも測定が可能であり、温度に依存せずに測定が可能な電磁流速計を提供する。
【解決手段】非導電性材料で作られた管状部材1の中を流れる導電性を有する流体物2の流速を電磁的に測定するため、流体物2に電磁誘導電流を誘起する送信用コイル3と、送信用コイル3が電磁誘導電流を誘起するために用いる周波数と流体物に誘起されている電磁誘導電流の周波数との流体物の運動により生じる周波数差を検出する受信用コイル4とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】非導電性材料で作られた管状部材1の中を流れる導電性を有する流体物2の流速を電磁的に測定するため、流体物2に電磁誘導電流を誘起する送信用コイル3と、送信用コイル3が電磁誘導電流を誘起するために用いる周波数と流体物に誘起されている電磁誘導電流の周波数との流体物の運動により生じる周波数差を検出する受信用コイル4とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、管状部材内を移動する流体の速度を電磁的に非接触で測定する電磁流速計および電磁流速計部品ならびに流速測定方法に関する。
流体(物質であって流れを有するもの、流体物質の略)の流速を非接触で測定する方法には、超音波パルスによる超音波時間差方法や、ドップラー式超音波流速計によるものが、一般的に用いられている。前者は、音波の伝搬媒体である流体の中に音波を伝搬させ、流体の流れの方向とその逆方向との音波の速度差により、その流体の流速を測定求めるものである。後者は、移動する媒体によるドップラーシフトにより、その流体の流速を測定するものである。
超音波時間差法では、流体の流れに対して上流側と下流側に2つの送受信器を配置し、その2つの送受信器間の音波の伝達時間の差が、音波の媒体である流体の速度により生じるものであることより、その伝達時間差から流速vを求めるものである。具体的には、理想的な流体速度vは、
・・・(1)
となる。ここでLは2つの送受信器の離間距離であり、t1は流体の流れに沿った向きの超音波の伝達時間であり、t2は流体の流れに沿った逆向きの超音波の伝達時間である。
となる。ここでLは2つの送受信器の離間距離であり、t1は流体の流れに沿った向きの超音波の伝達時間であり、t2は流体の流れに沿った逆向きの超音波の伝達時間である。
ドップラー式超音流速計による流速測定では、流体を挟んで1組の超音波送受信器を配置し、音波の媒体である流体に気泡や固形物が含まれ、そこにおける超音波反射が生じる場合には、流体の運動速度により受信器において元の超音波の周波数にズレを生じる(周波数のシフトが生じる)ことにより、そのズレから流速の速度を求めている。超音波の速度をv、ドップラーシフトをΔf、超音波の周波数をf0、超音波送受信器の流体配管に対する取り付け角度をθとすると、流体の流速は、
・・・(2)
となる。
となる。
また、磁気を用いて非接触で速度を計測できる方法として、ファラデーの法則に基づく速度起電力による導電性物質の運動を計測する方法が知られている(たとえば、特許文献1〜2、非特許文献1参照)。具体的には、導体の運動方向vに対して磁界をかけると、その導体中に、そのベクトル積方向にEv=v×B0なる速度起電力が生ずる。この速度起電力Evにより、導体中に誘導電流Jvが誘起され、導体上に誘導磁場Bvが発生する。これにより、元の磁場は、導体の速度方向に引きずられるように、B0からBへと歪む。この歪を生じる効果は磁場の速度効果と呼ばれ、この歪み量は、一定の位相シフトを受けた信号の振幅の大きさとして求められる。
On the spatial frequency dependence of the transit path of ultrasonic wave and excitation efficiency of plate mode for the pipe wall in a clamp-on ultrasonic flowmeter), Motegi Ryohei, Takeuchi Shinichi, Sato Toshio, Chubachi Noriyoshi, The Journal of the Acoustical Society of Japan 49(11)), pp.755-762(19931101), The Acoustical Society of Japan(ASJ):「クランプオン形超音波流量計における音波伝搬経路と管壁における板波励振効率に関する空間周波数領域での検討」、茂木良平、竹内真一、佐藤敏夫、中鉢憲賢、日本音響学会誌49(11)
Basic Theory of Induction Logging and Application to Study of Two-coil Sondes, J.H.Moran and K.S.Kunz, Geophysics, Vol.XXVII, No.6, Part I, pp.829-858, 1962
The Effect of Coil Design on the Performance of the Induction Log, W.C.Duesterhoeft,Jr. et.al., Journal of Petroleum Technology, PP.1137-1150, November 1961
しかし、超音波時間差方法やドップラー式超音波流速計を用いる方法では、いずれも、流体が流れる配管やチューブなどの管状部材が軟材質で音波を伝達するものでない場合や、音波の極端な反射や多重反射がある場合、あるいは流体の速度が遅い場合には、流速を正確に測定することができない。なぜなら、このような測定条件では、測定すべき信号に対して雑音が大きいからである(非特許文献1参照)。また、流体の温度により流体の音波伝達速度が変り、温度補正が必要である等の問題もある。
速度起電力により計測する方法では、流体の速度が遅い場合には測定できない。なぜなら、測定すべき信号に対して雑音が大きいからである。また、使用環境の温度変化により使用されるコイルの取り付け位置等の変化があると、歪み量が変り、温度補正が必要である等の問題もある。
本発明は、このような課題を解決し、流体が流れる管状部材が音波を伝達しない場合でも適用でき、流体速度が極端に低い場合でも測定が可能であり、温度に依存せずに測定が可能な電磁流速計および電磁流速計部品ならびに流速測定方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる電磁流速計は、非導電性材料で作られた管状部材内を流れる導電性を有する流体物の流速を電磁的に測定する流速計であって、流体物に電磁誘導電流を誘起する手段と、誘起する手段が電磁誘導電流を誘起するために用いる周波数、と流体物に誘起されている電磁誘導電流の周波数との、流体物の運動により生じる周波数差から、流体物の流速を求める手段とを備えたことを特徴とする。
誘起する手段は、送信用コイルと、この送信用コイルに交流信号を供給する発振器とを有し、流体物の流速を求める手段は、受信用コイルと、この受信用コイルの検出信号を処理する信号処理回路とを有することが望ましい。
送信用コイルおよび受信用コイルはそれぞれ、管状部材の周囲に巻かれている構成とすることができる。送信用コイルの隣であって受信用コイルから見て反対側には、第1の高透磁率部材が設けられることが望ましい。第1の高透磁率部材は、管状部材の外周を囲む形状であることが望ましい。送信用コイルおよび受信用コイルの少なくとも一方は、第2の高透磁率部材により外周が取り囲まれていることが望ましい。第2の高透磁率部材は、送信用コイルおよび受信用コイルの双方をひとつの部材で外周から取り囲む形状であり、送信用コイルと受信用コイルとの間には、第1の高透磁率部材が設けられていることが望ましい。また、第2の高透磁率部材は、送信用コイルおよび受信用コイルのそれぞれに対して別個に設けられることもできる。
送信用コイルと受信用コイルは、管状部材を挟んで設置されることもできる。この場合、送信用コイルと受信用コイルの間の管状部材の外部には、電磁シールドを設置することができる。
送信用コイルと受信用コイルとが管状部材の周囲に巻かれている構成の場合、信号処理回路は、流体物に生じている電磁誘導電流により受信用コイルに誘起される信号の角周波数ωSと、流体物に電磁誘導電流を誘起した送信用コイルの送信電流の角周波数ωとの角周波数差Δωから、流体物の速度vを、真空中の光速c、流体物の比誘電率εrを用いて、
v=cΔω/ω(εr)1/2 ・・・(3)
により求めることができる。角周波数差Δωを検知する手段としては、信号処理回路はヘテロダイン検波回路を含むことが望ましい。
v=cΔω/ω(εr)1/2 ・・・(3)
により求めることができる。角周波数差Δωを検知する手段としては、信号処理回路はヘテロダイン検波回路を含むことが望ましい。
送信用コイルと受信用コイルが管状部材を挟んで設置され、送信用コイルは、その中心軸が流体物の流線に対してα1の傾きで配置され、受信用コイルは、その中心軸が流体物の流線に対してα2の傾きで配置されている場合には、信号処理回路は、流体物に生じている電磁誘導電流により受信用コイルに誘起される電圧の角周波数ωSと、流体物に電磁誘導電流を誘起した送信用コイルの送信電流の角周波数ωとの角周波数差Δω’から、流体物の速度vを、真空中の光速c、流体物の比誘電率ε、を用いて、
v=cΔω/ω(εr)1/2cosα1cosα2 ・・・(4)
により求めることができる。
v=cΔω/ω(εr)1/2cosα1cosα2 ・・・(4)
により求めることができる。
受信用コイルには、更に、送信用コイルを励振する発振器により励振されかつ前記受信用コイルとコイルの巻き方向が逆となる補助コイルが直列結合されている構成とすることができる。
受信用コイルにより受信される信号は、送信用コイルにより直接励起される信号と、流体物に生じている電磁誘導電流により受信用コイルに誘起される信号の2つの信号が合成された信号であるため、見かけ上は、送信用コイルを励振する発振器により生成された交流信号を搬送信号として流体物の運動により生じる周波数差の信号が重畳された包絡線信号となる。信号処理回路は、当該包絡線信号の負側または正側の信号成分を除去する非線形検出回路と、この非線形検出回路の出力から搬送信号を除去して差周波信号を出力するローパスフィルタと、差周波信号を飽和増幅する飽和増幅器と、この飽和増幅器の出力の立ち上がりおよび立ち下がりを検出してセット信号およびリセット信号を生成する立ち上がり立ち下がり検出回路と、時間の基準となる信号をセット信号とリセット信号との間に計数して、差周波信号の半周期の時間を求めるカウンタとを有することができる。
また、信号処理回路は、包絡線信号の負側または正側の信号成分を除去する非線形検出回路と、この非線形検出回路の出力から搬送信号を除去して差周波信号を出力するローパスフィルタと、差周波信号を飽和増幅する飽和増幅器と、この飽和増幅器の出力の立ち上がりおよび立ち下がりを検出してセット信号およびリセット信号を生成する立ち上がり立ち下がり検出回路と、飽和増幅器の出力をセット信号とリセット信号との間に積分する積分器と、積分器の積分値のピーク値を差周波信号の半周期の時間に相当する値として保持するピーク値ホールド器とを有することもできる。
本発明の電磁流速計部品は、上述したいずれかの電磁流速計に用いられる電磁流速計部品であり、非導電性材料で作られた管状部材と、この管状部材内を流れる導電性を有する流体部に電磁波を送信する送信用コイルと、流体物からの電磁波を受信する受信用コイルとを備えたことを特徴とする。
一方、本発明にかかる流速測定方法は、非導電性材料で作られた管状部材内を流れる導電性を有する流体物の流速を電磁的に測定する流速測定方法であって、流体物に電磁誘導電流を誘起し、電磁誘導電流を誘起するために用いる周波数と流体物に誘起されている電磁誘導電流の周波数との、流体物の運動により生じる周波数差を検出することを特徴とする。
本発明によれば、流体が流れる管状部材を介さず流体そのものに直接信号を励起し、その信号を直接感知し測定することができる。これにより、管状部材での信号の伝搬、流体中の気泡等の存在は不要である。また、流体中に励起する信号は、基本的に流体の温度に依存しない。したがって、流体が流れる管状部材が音波を伝達しない場合でも適用でき、流体速度が極端に低い場合でも流速の測定が可能となり、温度に依存せずに流速の測定が可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電磁流速計の構造を示す図である。この電磁流速計は、非導電性材料で作られた管状部材1の中を流れる導電性を有する流体物(管状部材1の中を流れている測定対象の物体を、一般的な意味の流体または流体物質と区別するため、ここでは「流体物」という)2の流速を測定するためのものである。管状部材1は、たとえば、流体を流す配管、あるいはチューブである。
図1に示す電磁流速計は、流体物2に電磁誘導電流を誘起する手段として、送信用コイル3と、この送信用コイル3に交流信号を供給する発振器5とを備え、送信用コイル3および発振器5が流体物2に電磁誘導電流を誘起するために用いる周波数と、運動している流体物2に誘起されている電磁誘導電流の周波数に加えて受信用コイル4から見た当該電磁誘導電流の流体物2の運動により生じる周波数に基づき生じる周波数差から、流体物2の流速を求める手段として、受信用コイル4と、この受信用コイル4の検出信号を処理する信号処理回路6とを備える。
送信用コイル3は発振器5により供給される交流信号により励振され、その結果管状部材1の中の流体物2に電磁誘導電流が励起される。この場合には、流体物2の運動に対して、電磁波の伝搬における特殊相対性原理、すなわち、いわゆる赤方偏移効果により、この電磁誘導電流には周波数変化(周波数シフト)が生じる。更に、この電磁誘導電流は受信用コイル4から見れば流体物2が運動しているため更なる赤方偏移効果により周波数シフトが生じることとなる。そこで、これらの全周波数変化を受信用コイル4および信号処理回路6により検出することで、流体物2の流速を測定することができる。周波数変化を計測の対象とするため、速度起電力による磁場の歪み量を測定する従来技術に比較しても、雑音に強く、低速度の流体の流速測定が可能となる。
送信用コイル3および受信用コイル4としては、特許文献1あるいは非特許文献2に示される2コイルシステムを利用することができる。送信用コイル3および受信用コイル4は、共に、流体物2が流れる管状部材1の周りに巻かれている。ここで、送信用コイル3と受信用コイル4の半径がaで、巻き数をそれぞれT、Rとし、送信用コイル3の励振電流をI、その角周波数をω、流体物2の透磁率と伝導率と伝搬係数をμとσとγ、とする。このとき、送信用コイル3が管状部材1の中の流体に発生させる電磁誘導電流CI(その電界はEφで表わされる)がさらに、受信用コイル4に電磁誘導により誘起電圧を発生させる。その誘起電圧は、
・・・(5)
・・・(6)
・・・(7)
となる。ここで、gは、送信用コイル3と受信用コイル4の離間距離と管状部材1の内径とに基づく形状ファクタである。式(5)の誘起電圧を位相により表現すると、
・・・(8)
・・・(9)
・・・(10)
となる。ここで、δは流体物2の電気的表皮厚である。Vaは式(5)の誘起電圧に対応する部分の絶対値である。なお、送信用コイル3が管状部材1の中の流体物2に電磁誘導電流CIを発生させるため、管状部材1は、実質的に導電性を有しない材質である必要がある。
・・・(6)
・・・(7)
となる。ここで、gは、送信用コイル3と受信用コイル4の離間距離と管状部材1の内径とに基づく形状ファクタである。式(5)の誘起電圧を位相により表現すると、
・・・(9)
・・・(10)
となる。ここで、δは流体物2の電気的表皮厚である。Vaは式(5)の誘起電圧に対応する部分の絶対値である。なお、送信用コイル3が管状部材1の中の流体物2に電磁誘導電流CIを発生させるため、管状部材1は、実質的に導電性を有しない材質である必要がある。
ここで、流体物2が有限の流速をもつ場合について説明する。管状部材1の中の流体物2が、送信用コイル3および受信用コイル4からなる静止系から光速より十分に小さい速度vで遠ざかるとき、流体物2に誘導される電磁誘導電流CIの周波数は流体物2から見て赤方偏移による周波数シフトΔωを受ける。さらに、流体物2に誘導される電磁誘導電流CIが送信用コイル3に誘導する信号は、受信用コイル4から見て、更に赤方偏移による周波数シフトΔωを受ける。その結果、受信用コイル4で検出される信号の角周波数ωSは、発振器5から送信用コイル3に供給される送信電流I(その角周波数はω)からは、赤方偏移によるシフト2Δωを受ける。すなわち、
・・・(11)
・・・(12)
となる。ここで、cは真空中の光速、εr、は流体物の比誘電率である。このとき、誘起電圧Vは、
・・・(13)
・・・(14)
となる。Δω/ωは十分に小さいため、式(14)より、赤方偏移によるシフトにともなうθの変化は無視できるものである。一方、角周波数のシフト量Δωは、受信用コイル4で検出される誘起電圧の角周波数(ωS)と送信用コイル3により励起される送信電流Iの角周波数(ω)との角周波数の差(2Δω)から求められる。その求め方については、後で説明する。
・・・(12)
となる。ここで、cは真空中の光速、εr、は流体物の比誘電率である。このとき、誘起電圧Vは、
・・・(14)
となる。Δω/ωは十分に小さいため、式(14)より、赤方偏移によるシフトにともなうθの変化は無視できるものである。一方、角周波数のシフト量Δωは、受信用コイル4で検出される誘起電圧の角周波数(ωS)と送信用コイル3により励起される送信電流Iの角周波数(ω)との角周波数の差(2Δω)から求められる。その求め方については、後で説明する。
なお、電磁誘導電流CIは送信用コイル3と受信用コイル4の間に位置する管状部材1の中の流体物2においても発生する。しかし、流体物2は送信用コイル3に対して近づく方向に運動するため、この電磁誘導電流は送信用コイル3に対して逆赤方偏移する。一方、流体物2は受信用コイル4に対して遠ざかる方向に運動しているため、この電磁誘導電流は受信用コイル4に対して赤方偏移する。これら結果から、送信用コイル3と受信用コイル4の間に位置する管状部材1の中の流体物2において発生する電磁誘導電流CIは各周波数のシフトは生じさせない。従って、送信用コイル3と受信用コイル4の間に発生した電磁誘導電流CIに基づく交流信号を受信用コイル4で検出しても、その信号(「電磁誘導電流CIを介した信号」と呼ぶ)の角周波数はωである。
一方、送信用コイル3に供給される送信電流I(角周波数はωである)に基づき受信用コイル4が直接受ける信号(「直接励起信号」と呼ぶ)の角周波数もωである。従って、電磁誘導電流CIを介した信号は直接励起信号と区別が付かない。また、電磁誘導電流CIを介した信号の位相の変化は式(14)より2θとなる。ここで、ωが大きいため、式(10)よりδが極端に小さくなるため、電磁誘導電流CIを介した信号の位相2θは式(14)より2θ≒π/2と近似できることとなる。従って、受信用コイル4で検出する信号(電磁誘導電流CIを介した信号と、直接励起信号を合成した信号)は、直接励起信号の位相から少しずれたものとなる。
ここで、具体的に角周波数のシフト量を検討する。流体物が水でその流体物の速度vが1cm/秒で、発振器の周波数が10GHzである場合には、εr=80.4、c=3×1010cm/秒であるため、角周波数のシフト量は式(12)より、2.98Hzとなり、観測される周波数のシフト量は5.96GHzとなる。一方、1Hzの観測シフト量である場合には、式(15)より、流体物の流速は、0.17cm/秒であると算出できる。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る電磁流速計の構造を示す図である。この実施の形態は、送信用コイル3と受信用コイル4が、管状部材1を挟んで設置されていることが、図1に示す第1の実施の形態と異なる。
第1の実施の形態では、送信用コイル3と受信用コイル4のそれぞれの中心軸が共通している。そのため、受信用コイル4には、送信用コイル3の送信電流Iにより直接的に直接励起信号が励起される。直接励起信号は、上記の誘起電圧の信号より大きい。送信用コイル3の送信電流Iの方が、流体物2に発生する電磁誘導電流CIより大きいからである。そのため、誘起電圧の信号を相対的に大きく検出することは困難である。
そこで、第2の実施の形態では、送信用コイル3と受信用コイル4を、それぞれの中心軸が異なるものとして、共通しないように配置している。このような配置により、直接励起信号を格段に小さくすることができる。この場合、流体物2の流線に対する送信用コイル3の中心軸の傾きをα1、流体の流線に対する受信用コイル4の中心軸の傾きをα2とすると、送信用コイル3から見た赤方偏移によるシフトΔω’は、
・・・(16)
となる。その結果、受信用コイル4で見た誘起電圧の角周波数ωSは、
・・・(17)
となる。ここで、cosα1とcosα2は、流体の流線に対する送信用コイル3と受信用コイル4の中心軸への投影効果に基づく。この場合には、角周波数の差Δωが得られれば、式(16)より、流体物2の流速が、
・・・(18)
で求められることとなる。
となる。その結果、受信用コイル4で見た誘起電圧の角周波数ωSは、
となる。ここで、cosα1とcosα2は、流体の流線に対する送信用コイル3と受信用コイル4の中心軸への投影効果に基づく。この場合には、角周波数の差Δωが得られれば、式(16)より、流体物2の流速が、
で求められることとなる。
図3は、本発明の第3の実施の形態に係る電磁流速計の構造を示す図である。この実施の形態は、送信用コイル3と受信用コイル4の間の管状部材1の外部に電磁シールド7が設置されていることが、図2に示す第2の実施の形態と異なる。
電磁シールド7としては、銅や鉄あるいはこれ等を含む合金の板材が用いられる。電磁シールド7は、送信用コイル3または受信用コイル4のいずれか一方、または両方の、管状部材1の側の近傍に置かれる。電磁シールド7を設けることにより、送信用コイル3から受信用コイル4への誘導電圧の信号が遮蔽され、受信用コイル4に対する送信用コイル3の送信電流Iによる直接励起信号を小さくすることができる。
図4は、本発明の第4の実施の形態に係る電磁流速計の構造を示す図である。この実施の形態は、送信用コイルの隣であって受信用コイルから見て反対側に、第1の高透磁率部材が設けられることが、図1に示す第1の実施の形態と異なる。
高透磁率部材8を設けることにより、誘導磁界が、高透磁率部材8の近傍の流体物2の中に強く発生する。一方、送信用コイル3に発生した磁界は、この高透磁率部材8の受信用コイル4側の外部では空間体に大きく広がることとなる。その結果、送信用コイル3と受信用コイル4の直接結合は小さくなる。したがって、受信用コイル4に対する送信用コイル3の送信電流Iによる直接励起信号が小さくなる。また、送信用コイル3に発生した磁界は、送信用コイル3側と高透磁率部材8の近傍に強く集中する。このため、電磁誘導電流CIは、高透磁率部材8の近傍に相対的に強く誘導される。その結果、受信用コイル4には、電磁誘導電流CIによる誘導電圧の信号を実施例1の場合に比較して相対的に強く発生させることができる。
また、送信用コイル3と受信用コイル4の間に位置する管状部材1の中の流体物2において発生する電磁誘導電流CIは各周波数のシフトは生じさせないことは、第1の実施形態の場合と同じである。
なお、高透磁率部材8の形状としては、流体物2の外周または管状部材1の外周を囲むような形状にすることが良い。具体的には、高透磁率部材8は、図4に示すように、円環状の一体形状のトロイダルコア、または分割され合体すると円環または流体物2を取り囲む形状となる高い透磁率部材であることが望ましい。また、高透磁率部材8の材料としては、パーマロイやそれに派生する合金、たとえばJIS規格で規定されるPC(ニッケル−モリブデン、銅−鉄)パーマロイ、電磁純鉄やケイ素鋼板、コバルト系合金などを用いることができる。
図5は、本発明の第5の実施の形態に係る電磁流速計の構造を示す断面図である。この実施の形態は、送信用コイル3と受信用コイル4が、高透磁率部材9により外周が取り囲まれていることが、図4に示す第4の実施の形態と異なる。高透磁率部材9は、送信用コイル3および受信用コイル4の双方をひとつの部材で外周から取り囲む形状である。すなわち、高透磁率部材9は、管状部材1全体を囲む円筒形状であり、送信用コイル3と受信用コイル4を内包する。送信用コイル3と受信用コイル4との間には、高透磁率部材81が設けられている。高透磁率部材81の形状は、円環状の一体形状のトロイダルコアの形状、または分割され合体すると円環または流体物2を取り囲む形状の何れであっても良い。
送信用コイル3に発生した磁界は、送信用コイル3の受信用コイル4の反対側の高透磁率部材9の近傍に強く集中する。このため、電磁誘導電流CIは、高透磁率部材9の端に強く現れる。その一方で、電磁誘導電流CIは、高透磁率部材9を介して、受信用コイル4に誘導電圧を誘起する。一方、送信用コイル3から受信用コイル4への直接の誘導電圧の信号は、高透磁率部材81により遮蔽される。その結果、受信用コイル4には、電磁誘導電流CIによる誘導電圧の信号を強く発生させることができる。誘導電圧の信号が強いことから、後の信号処理が容易となる。
高透磁率部材9は、送信用コイル3と受信用コイル4を内包するため、完全な円筒ではなく、図5に表わすように、管状部材1に直接向き合うところの内径が、送信用コイル3および受信用コイル4とそれぞれ向き合う部分の内径より小さくても良い。高透磁率部材9には、送信用コイル3と受信用コイル4の導電線を引き出す孔10が設けられている。
図6は、本発明の第6の実施の形態に係る電磁流速計の構造を示す断面図である。この実施の形態は、送信用コイル3および受信用コイル4のそれぞれに対して、高透磁率部材91,92が別個に設けられていることが、図5に示す第5の実施の形態と異なる。すなわち、高透磁率部材91は、管状部材1全体を囲む円筒形状であり、送信用コイル3を内包する。高透磁率部材92は、管状部材1全体を囲む円筒形状であり、受信用コイル4を内包する。
高透磁率部材91が送信用コイル3を取り囲むため、電磁誘導電流CI、CI’ は、高透磁率部材91の両端に強く現れる。一方、送信用コイル3から受信用コイル4への直接の誘導電圧の信号は、高透磁率部材91により遮蔽される。受信用コイル4に近いところに強く現れる電磁誘導電流CI’ により、受信用コイル4には誘導電圧の信号が強く誘起される。しかし、この電磁誘導電流CI’は、第1の実施形態において説明した理由により、同様に周波数のシフトは生じさせないため、本発明の測定は本質的な問題を生じない。むしろ電磁誘導電流CIが強いことから、後の信号処理が容易となる。
図6では、送信用コイル3を内包する高透磁率部材91がトポロジカルにその一部が、送信用コイル3と受信用コイル4との間に延長されているものとしている。この部分は、高透磁率部材92の一部が延長されたものでもよく、図5に示す高透磁率部材81のように、高透磁率部材91,92とは別の部材でもよい。
図5および図6ではそれぞれ、送信用コイル3と受信用コイル4の導電線が、高透磁率部材9に設けた孔10から引き出されるものとしている。この導電線は、高透磁率部材9,91,92と管状部材1との間から引き出されてもよい。高透磁率部材9,91,92のそれぞれの形状は、円筒形状に限定されるものではなく、四角の筒状のものでも、あるいは、図7に示すように、軸方向に沿って分割されたものを組み合わせたものでもよい。
図8は、信号処理回路6内で赤方偏移による角周波数のシフト量ΔωまたはΔω’を検出する回路(以下、「シフト量検出回路」という)の構成例を示す。このシフト量検出回路は、非線形検出回路21、ローパスフィルタ22、飽和増幅器23、基準周波数発生器24、ANDゲート25、立ち上がり立ち下がり検出回路26およびカウンタ27を備える。また、信号の直流成分や直流レベルの影響を取り除くために、各部の間には適宜、直流カット用コンデンサ28が挿入されている。ここで、非線形検出回路21、ローパスフィルタ22、直流カット用コンデンサ28はヘテロダイン検波回路を構成している。
送信用コイル3には、管状部材1に流れる流体物2に電磁誘導電流CIを励起するために、発振器5が接続されている。発振器5の角周波数はωである。受信用コイル4には、僅かであっても、直接的な結合により送信用コイル3の信号、すなわち直接励起信号が現れる。さらに、電磁誘導電流CIによる誘起電圧の信号、すなわち電磁誘導電流CIを介した信号も現れる。流体物2が流速vで流れることより、式(13)からわかるように、その誘起電圧の信号の角周波数は、赤方偏移によりシフトして、ωSとなる。その結果、受信用コイル4で検出する信号は、ωを搬送信号角周波数とし、その搬送信号のピークがωとωSの差周波2Δω(または2Δω’)で僅かにビートを打った包絡線信号となる。この包絡線信号の位相は、前述した直接励起信号の位相からの少しのズレにより、同じ位相角だけずれることとなる。しかし、次のようなシフト量検出回路を採用することにより、そのような位相角のズレに影響を受けずに、差周波2Δω(または2Δω’)の計測をすることができる。
非線形検出回路21は、信号の負側(正側であっても良い)を除去する。ローパスフィルタ22は、非線形検出回路21の出力から搬送信号を除去し、差周波信号成分のみを出力する。ローパスフィルタ22の出力は、直流カット用コンデンサ28により直流成分が除去されて、差周波信号成分の低周波交流信号となる。この低周波交流信号の周波数が、赤方偏移による周波数シフト量(2Δωまたは2Δω’)である。
この周波数シフト量を、時間に変換する。このため、飽和増幅器23は、直流カット用コンデンサ28により得られる低周波交流信号の正または負の信号を飽和増幅する。飽和増幅された信号は、差周波信号の半周期の時間パルスとなる。この時間パルスは、ANDゲート25の一方の入力と、立ち上がり立ち下がり検出回路26とに供給される。ANDゲート25の他方の入力には、基準周波数発生器24から、時間の基準となる信号が入力されている。時間の基準となる信号として、この送信用コイル3に交流信号を供給する発振器5の出力をパルス化して発生させた信号を用いてもよい。ANDゲート25は、基準周波数発生器24からの出力パルスを、時間変換して得られた周波数シフト量で通過または遮断する。一方、立ち上がり立ち下がり検出回路26は、飽和増幅器23の出力する差周波信号の半周期の時間パルスの立ち上がりおよび立ち下がりを検出して、セット信号およびリセット信号を生成する。カウンタ27は、ANDゲート25を通過した基準周波数発生器24からの出力パルスを、立ち上がり立ち下がり検出回路26からのセット信号とリセット信号に同期して計数する。セット信号のタイミングはANDゲート25を通過した基準周波数発生器24からの出力パルスの開始時刻と同じであるため、差周波信号の半周期の時間を計数することができる。すなわち、カウンタ27の計数値と、基準周波数発生器24からの出力パルスのパルス間隔時間とを掛けた量τが、差周波信号の半周期の時間そのものとなっている。カウンタ27の出力により、2Δω(または2Δω’)を4π/τとして、式(15)または(18)より流速vを求めることができる。
上記のシフト量検出回路においては、差周波2Δω(または2Δω’)で僅かにビートを打った包絡線信号を、その信号自身が有する周期に同期してその半周期の時間を計数する。従って、包絡線信号の位相のズレには何ら影響のない時間の計数である。
図9は、信号処理回路6内で赤方偏移による角周波数のシフト量ΔωまたはΔω’を検出するシフト量検出回路の別の構成例を示す図である。この構成例では、図8に示す構成に加えて、受信用コイル4側に補助トランス29が直列に接続されている。この接続により、補助トランス29が送信用コイル3の信号に対して差動で働くこととなる。具体的には、この補助トランス29の二次側が受信コイル4側に対して補助コイルとして直列に接続されている。そのため、送信用コイル3から受信用コイル4への直接の誘導電圧の信号に対して、この補助トランス29の二次側は受信用コイル4に対して逆相の誘導電圧の信号を与え、受信用コイル4に対して差動コイルとして働く。その他の回路構成は、図8に示すものと同じである。
上記の差動コイルの差動の効果は次の通りである。受信用コイル4における信号には、送信用コイル3から受信用コイル4への直接の誘導電圧の信号が現れる。補助トランス29を設けることにより、この誘導電圧の信号が抑制される。即ち補助トランス29の一次側には、発振器5から送信用コイル3に供給に交流信号と同一の電流信号が供給される。従って、補助トランス29の二次側には、受信用コイル4と同様に、送信用コイル3には直接誘起信号が現れる。一方、補助トランス29の二次側の出力は、受信用コイル4とは逆位相となるように直列に受信用コイル4に接続する。この場合、受信用コイル4に現れる直接誘起信号と補助トランス29の二次側の出力信号は差動の関係となる。その結果、送信用コイル3から受信用コイル4が受ける直接励起信号は抑制され、受信用コイル4が受ける電磁誘導電流CIを介した信号は、その直接励起信号に対して相対的に大きくなる。そのため図9に信号波形を示すように、包絡線信号が相対的に大きく現れることとなる。これにより、非線形検出回路21およびローパスフィルタ22において、包絡線信号を容易に抽出することができる。この結果、図9に示すシフト量検出回路は、図8に示す回に比べて、ノイズ余裕が大きくなっている。
図10は、信号処理回路6内で赤方偏移による角周波数のシフト量ΔωまたはΔω’を検出するシフト量検出回路のさらに別の構成例を示す図である。この構成例では、図8に示す構成例において使用している差周波信号の半周期の時間の検知を、カウンタ27に依らず、積分器31によりアナログ的に検出する。このため、基準周波数発生器24、ANDゲート25およびカウンタ27に代えて、積分器(G1、G2、・・・、Gn)31、ピーク値ホールド器(PH1、PH2、・・・、PHn)32およびアナログディジタルコンバータ(ADC)33を備える。
図10に示すシフト量検出回路において、非線形検出回路21、ローパスフィルタ22、飽和増幅器23および立ち上がり立ち下がり検出回路26の動作は、図8に示す回路と同じである。飽和増幅器23の出力する差周波信号の半周期の時間パルスは、複数の積分器31に入力される。これら複数の積分器31は、それぞれ積分ゲインを変えてある。積分時間の違いにより時間積分の結果が変るため、長時間の積分時間の場合には、積分結果が積分のダイナミックレンジを超える場合があるからである。そのような場合には、積分ゲインが小さい積分器31を選ぶ。この場合は積分結果が積分のダイナミックレンジを超えず、その結果、その積分値より角周波数のシフト量ΔωまたはΔω’を検出することができる。一方、短時間の積分時間の場合には、積分結果が小さく、積分結果が十分な信号の大きさにならない場合がある。そのような場合には、積分ゲインが大きい積分器31を選ぶ、この場合は、積分結果が十分な信号の大きさになり、その結果を利用できることとなる。このように、測定範囲を十分に取るため、この構成例では、時間積分の積分ゲインの異なる複数の積分器31を用いている。
積分器31は、飽和増幅器23からの信号が入力されると、その信号の時間積分を開始する。飽和増幅器23からの信号は一定の大きさのため、その時間積分は、一定の傾きをもって直線的に増大する信号となる。飽和増幅器23からの信号は差周波信号の半周期の時間パルスとなっており、その積分値が、積分器31により得られる増大信号のピーク値に対応する。ピーク値ホールド器32は、そのピーク値を捕らえる。ホールド動作は、積分器31のリセット信号で行う。アナログディジタルコンバータ(ADC)33は、ダイナミックレンジを超えない値の信号と、その信号を出力するピーク値ホールド器32に接続される積分器31の時間積分ゲインとにより、差周波信号の半周期の時間パルスのパルス幅を求める。この結果、ピーク値ホールド器32に現れる積分値が、半周期前の差周波信号の半周期の時間である。その時間は、差周波信号の半周期の時間パルスのパルス幅に対応している。この時間は上記のτであり、そのτの結果より、式(15)または(18)から、流速vを求めることができる。
上記のシフト量検出回路においては、差周波2Δω(または2Δω’)で僅かにビートを打った包絡線信号を、その信号自身が有する周期に同期してその半周期の時間を計数する。従って、包絡線信号の位相のズレには何ら影響のない時間の計測方法である。
図11は、信号処理回路6内で赤方偏移による角周波数のシフト量ΔωまたはΔω’を検出するシフト量検出回路のさらに別の構成例を示す図である。この構成例は、図10の構成例における受信用コイル4に対して差動関係となるように、補助トランス29の二次側の出力信号を直列に接続したものである。すなわち、図11に示す構成例と図10に示す構成例との違いは、図9に示す構成例と図8に示す構成例との違いと同じである。
図11に示す構成例によれば、図9に示す構成例と同様に、受信用コイル4が受ける電磁誘導電流CIを介した信号は、その直接励起信号に対して相対的に大きくなる。そのため、信号処理回路6においては包絡線信号が相対的に大きく現れ、非線形検出回路21およびローパスフィルタ22において、包絡線信号を容易に抽出することができる。この結果、図11に示すシフト量検出回路は、図10に示す回に比べて、ノイズ余裕が大きくなっている。
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して実施することができる。また、上述の実施の形態で説明した複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の実施の形態が可能である。たとえば、上述した実施の形態に示される全構成要素から、いくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
また、管状部材1、送信用コイル3および受信用コイル4を、ひとつの電磁流速計部品として、独立して構成することもできる。管状部材1をチューブや配管等に接続し、送信用コイル3および受信用コイル4にそれぞれ発振器5および信号処理回路6を接続することで、管状部材1が接続されているチューブや配管等に流れる流体物2の流速を測定することができる。
1 管状部材
2 流体物
3 送信用コイル
4 受信用コイル
5 発振器
6 信号処理回路
7 電磁シールド
8,81,9,91,92 高透磁率部材
21 非線形検出回路
22 ローパスフィルタ
23 飽和増幅器
24 基準周波数発生器
25 ANDゲート
26 立ち上がり立ち下がり検出回路
27 カウンタ
28 直流カット用コンデンサ
29 補助トランス
31 積分器
32 ピーク値ホールド器
33 ADC
2 流体物
3 送信用コイル
4 受信用コイル
5 発振器
6 信号処理回路
7 電磁シールド
8,81,9,91,92 高透磁率部材
21 非線形検出回路
22 ローパスフィルタ
23 飽和増幅器
24 基準周波数発生器
25 ANDゲート
26 立ち上がり立ち下がり検出回路
27 カウンタ
28 直流カット用コンデンサ
29 補助トランス
31 積分器
32 ピーク値ホールド器
33 ADC
Claims (17)
- 非導電性材料で作られた管状部材内を流れる導電性を有する流体物の流速を電磁的に測定する流速計であって、
前記流体物に電磁誘導電流を誘起する手段と、
前記誘起する手段が前記電磁誘導電流を誘起するために用いる周波数と前記流体物に誘起されている前記電磁誘導電流の周波数との、前記流体物の運動により生じる周波数差から、前記流体物の流速を求める手段と
を備えたことを特徴とする電磁流速計。 - 請求項1記載の電磁流速計において、
前記誘起する手段は、送信用コイルと、当該送信用コイルに交流信号を供給する発振器とを有し、
前記流速を求める手段は、受信用コイルと、当該受信用コイルの検出信号を処理する信号処理回路とを有する
ことを特徴とする電磁流速計。 - 請求項2記載の電磁流速計において、前記送信用コイルおよび前記受信用コイルはそれぞれ、前記管状部材の周囲に巻かれていることを特徴とする電磁流速計。
- 請求項3記載の電磁流速計において、前記送信用コイルの隣であって、前記受信用コイルから見て反対側に、第1の高透磁率部材が設けられていることを特徴とする電磁流速計。
- 請求項3記載の電磁流速計において、前記管状部材の外周を囲む形状を有する第1の高透磁率部材が設けられていることを特徴とする電磁流速計。
- 請求項3記載の電磁流速計において、前記送信用コイルおよび前記受信用コイルの少なくとも一方は、第2の高透磁率部材により外周が取り囲まれていることを特徴とする電磁流速計。
- 請求項6記載の電磁流速計において、前記第2の高透磁率部材は、前記送信用コイルおよび前記受信用コイルの双方をひとつの部材で外周から取り囲む形状であり、前記送信用コイルと前記受信用コイルとの間には、第1の高透磁率部材が設けられていることを特徴とする電磁流速計。
- 請求項6記載の電磁流速計において、前記第2の高透磁率部材は、前記送信用コイルおよび前記受信用コイルのそれぞれに対して別個に設けられていることを特徴とする電磁流速計。
- 請求項2記載の電磁流速計において、前記送信用コイルと前記受信用コイルは、前記管状部材を挟んで設置されていることを特徴とする電磁流速計。
- 請求項9記載の電磁流速計において、前記送信用コイルと前記受信用コイルの間の前記管状部材の外部には、電磁シールドが設置されていることを特徴とする電磁流速計。
- 請求項3から8いずれか1項記載の電磁流速計において、
前記信号処理回路は、前記流体物に生じている前記電磁誘導電流により前記受信用コイルに誘起される電圧の角周波数ωSと、前記流体物に前記電磁誘導電流を誘起した送信用コイルの送信電流の角周波数ωと、の角周波数差Δωから、前記流体物の速度vを、真空中の光速c、前記流体物の比誘電率εrを用いて、
v=c(Δω/ω)(εr)1/2
により求める
ことを特徴とする電磁流速計。 - 請求項9または10記載の電磁流速計において、
前記送信用コイルは、その中心軸が前記流体物の流線に対してα1の傾きで配置され、
前記受信用コイルは、その中心軸が前記流体物の流線に対してα2の傾きで配置され、
前記信号処理回路は、前記流体物に生じている前記電磁誘導電流により前記受信用コイルに誘起される電圧の角周波数ωSと、前記流体物に前記電磁誘導電流を誘起した送信用コイルの送信電流の角周波数ωと、の角周波数差Δω’から、前記流体物の速度vを、真空中の光速c、前記流体物の比誘電率εrを用いて、
v=c(Δω/ω)(εr)1/2cosα1cosα2
により求める
ことを特徴とする電磁流速計。 - 請求項2から12のいずれか1項記載の電磁流速計において、前記受信用コイルには、さらに前記受信用コイルに対して差動して働く補助トランスが直列して結合されていることを特徴とする電磁流速計。
- 請求項2から13のいずれか1項記載の電磁流速計において、
前記受信用コイルにより受信される信号は、前記交流信号に起因する搬送信号に前記流体物の運動により生じる周波数差が重畳された包絡線信号であり、
前記信号処理回路は、前記包絡線信号の負側または正側の信号成分を除去する非線形検出回路と、当該非線形検出回路の出力から前記搬送信号を除去して前記差周波信号を出力するローパスフィルタと、前記差周波信号を飽和増幅する飽和増幅器と、当該飽和増幅器の出力の立ち上がりおよび立ち下がりを検出してセット信号およびリセット信号を生成する立ち上がり立ち下がり検出回路と、時間の基準となる信号を前記セット信号と前記リセット信号との間に計数して、前記差周波信号の半周期の時間を求めるカウンタとを有する
ことを特徴とする電磁流速計。 - 請求項2から13のいずれか1項記載の電磁流速計において、
前記受信用コイルにより受信される信号は、前記交流信号に起因する搬送信号に前記流体物の運動により生じる周波数差の信号が重畳された包絡線信号であり、
前記信号処理回路は、前記包絡線信号の負側または正側の信号成分を除去する非線形検出回路と、当該非線形検出回路の出力から前記搬送信号を除去して前記差周波信号を出力するローパスフィルタと、前記差周波信号を飽和増幅する飽和増幅器と、当該飽和増幅器の出力の立ち上がりおよび立ち下がりを検出してセット信号およびリセット信号を生成する立ち上がり立ち下がり検出回路と、前記飽和増幅器の出力を前記セット信号と前記リセット信号との間に積分する積分器と、前記積分器の積分値のピーク値を前記差周波信号の半周期の時間に相当する値として保持するピーク値ホールド器とを有する
ことを特徴とする電磁流速計。 - 請求項14の時間の基準となる信号は前記交流信号をパルス化して発生させた信号であることを特徴とする請求項14の電磁流速計。
- 非導電性材料で作られた管状部材内を流れる導電性を有する流体物の流速を電磁的に測定する流速測定方法であって、
前記流体物に電磁誘導電流を誘起し、
前記電磁誘導電流を誘起するために用いる周波数と前記流体物に誘起されている前記電磁誘導電流の周波数との、前記流体物の運動により生じる周波数差を検出する
ことを特徴とする流速測定方法。
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-
2010
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