JP2004189802A - 油処理剤及びそれを用いた油処理方法 - Google Patents
油処理剤及びそれを用いた油処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004189802A JP2004189802A JP2002357144A JP2002357144A JP2004189802A JP 2004189802 A JP2004189802 A JP 2004189802A JP 2002357144 A JP2002357144 A JP 2002357144A JP 2002357144 A JP2002357144 A JP 2002357144A JP 2004189802 A JP2004189802 A JP 2004189802A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- dispersant
- calcium silicate
- silicate hydrate
- treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A20/00—Water conservation; Efficient water supply; Efficient water use
- Y02A20/20—Controlling water pollution; Waste water treatment
- Y02A20/204—Keeping clear the surface of open water from oil spills
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W10/00—Technologies for wastewater treatment
- Y02W10/10—Biological treatment of water, waste water, or sewage
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W30/00—Technologies for solid waste management
- Y02W30/50—Reuse, recycling or recovery technologies
- Y02W30/74—Recovery of fats, fatty oils, fatty acids or other fatty substances, e.g. lanolin or waxes
Abstract
【課題】毒性が無く、処理後の油の引火性が低く、しかも油の処理効率が優れた油処理剤及びそれを用いた油処理方法を提供する。
【解決手段】(1)BET比表面積30m2/g以上のケイ酸カルシウム水和物粉末からなる油処理剤、(2)油処理剤に重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油及び植物油から選ばれる少なくとも1種の油を接触させて油を吸収させることを特徴とする油処理方法に係る。
【選択図】なし
【解決手段】(1)BET比表面積30m2/g以上のケイ酸カルシウム水和物粉末からなる油処理剤、(2)油処理剤に重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油及び植物油から選ばれる少なくとも1種の油を接触させて油を吸収させることを特徴とする油処理方法に係る。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油処理剤及びそれを用いた油処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、路面等に流出した油の処理、河川、海洋等に流出してオイルフェンス等により回収された油の処理には、乳化分散型の油処理剤が用いられている。乳化分散型の油処理剤としては、例えば、ノルマルパラフィン等の石油系炭化水素溶剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル系等の非イオン界面活性剤等が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
乳化分散型の油処理剤は、油を乳化・分散するだけであり油の化学的性質そのものは変化させないため、引火性の高い油であれば処理後も引火性が高く重大な火災が発生するおそれがある。人体に影響のある油であれば、処理後も人体に対する影響について考慮する必要がある。また乳化分散型の油処理剤は揮発性の有害物質を含むために毒性が高く、作業者や周囲の環境に悪影響を与えるおそれもある。路面に散布する場合には、更に交通車両のスリップ等の危険性、舗装面を劣化させるおそれ等もあるため使用を控えることが望まれる。
【0004】
このような乳化分散型の油処理剤に代わるものとして、珪藻土を利用した油処理剤がある。珪藻土を利用した油処理剤は、毒性が無く処理後の油の引火性が低い点で優れている。しかし珪藻土を利用した油処理剤は吸油量が少なく、油に対して大量の処理剤を使用する必要がある。また処理後の油処理剤のリサイクル手段も確立されていない。従って、毒性が無く、処理後の油の引火性が低く、しかも油の処理効率が優れた油処理剤の開発が望まれている。
【0005】
【非特許文献1】
財団法人未来工学研究所編、「油汚染とバイオ技術 生物学的環境修復法について(バイオ レメディエーション)」、[on line]、平成10年、[平成14年12月9日検索]、インターネット、
<URL: HYPERLINK ”http://lib1.nippon−foundation.or.jp/1998/0984/contents/016.htm” http://lib1.nippon−foundation.or.jp/1998/0984/contents/016.htm>
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、毒性が無く、処理後の油の引火性が低く、しかも油の処理効率が優れた油処理剤を提供することを主な目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のBET比表面積を有するケイ酸カルシウム水和物粉末が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の油処理剤及びそれを用いた油処理方法に係る。
1.BET比表面積30m2/g以上のケイ酸カルシウム水和物粉末からなる油処理剤。
2.ケイ酸カルシウム水和物粉末が、ケイ酸カルシウム水和物粉末100重量部に対して5〜20重量部の水を含浸している上記項1に記載の油処理剤。
3.ケイ酸カルシウム水和物粉末が、油分解性微生物を担持している上記項1に記載の油処理剤。
4.ケイ酸カルシウム水和物粉末が、ケイ酸カルシウム水和物粉末100重量部に対して5〜20重量部の水を含浸しており、更に油分解性微生物を担持している上記項1に記載の油処理剤。
5.上記項1〜4のいずれかに記載の油処理剤に重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油及び植物油から選ばれる少なくとも1種の油を接触させて油を吸収させることを特徴とする油処理方法。
6.上記項1〜4のいずれかに記載の油処理剤を充填した透油性の袋に重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油及び植物油から選ばれる少なくとも1種の油を接触させて油処理剤に油を吸収させることを特徴とする油処理方法。
7.上記項5又は6に記載の油処理方法であって、路面、河川及び海面の少なくとも1箇所に流出した油を処理する油処理方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
油処理剤
本発明の油処理剤は、BET比表面積30m2/g以上、好ましくは70m2/g以上のケイ酸カルシウム水和物粉末からなる。BET比表面積の上限は限定されないが、通常100m2/g程度、好ましくは150m2/g程度である。BET比表面積は、ケイ酸カルシウム水和物粉末の表面に窒素を吸着させるBET法により測定した値である。
【0010】
ケイ酸カルシウム水和物粉末としては、上記の比表面積を有するものであれば特に限定されず、合成ケイ酸カルシウム水和物及び天然ケイ酸カルシウム水和物の少なくとも1種の粉末が使用できる。
【0011】
合成ケイ酸カルシウム水和物としては、例えば、石灰原料及びケイ酸原料から水熱反応により得られるゾノトライト、トバモライト、フォシャジャイト、ジャイロライト、ヒレブランダイト、ローゼンハナイト、トラスコタイト、リエライト、カルシオコンドロダイト、アフィライト等を水和させて得られるケイ酸カルシウム水和物、準結晶質珪酸カルシウム水和物(CSHn)等が挙げられる。ケイ酸カルシウム水和物粉末は、ケイ酸カルシウム水和物の一次粒子でもよく、一次粒子が三次元的に絡み合った二次粒子(凝集物)でもよい。
【0012】
このような本発明の油処理剤は、処理対象の油を速やかに吸収する。対象となる油種は特に限定されないが、例えば、重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油、植物油等が挙げられる。油の吸収量(吸油量)は油種により異なるが、油処理剤100重量部に対して、通常10〜300重量部、好ましくは50〜200重量部である。かかる吸油量であれば、油の処理効率として良好である。
【0013】
既存の珪藻土からなる油処理剤の吸油量は、油処理剤100重量部に対して、通常50〜70重量部程度である。本発明の油処理剤は、珪藻土からなる油処理剤よりも吸油量が多い点で有用性が高い。また吸油後も乾いた粉状を維持し易いため、処理後の回収作業が容易である点でも好ましい。
【0014】
本発明の油処理剤としては、ケイ酸カルシウム水和物粉末の細孔体積量が0.8〜3cm3/g、特に1.2〜3cm3/gであるものは、より吸油性が優れている。細孔体積量は、水銀圧入ポロシメーターにより測定した細孔径0.003〜500μmの細孔の体積量である。
【0015】
本発明の油処理剤は、ケイ酸カルシウム水和物粉末が結合水を有することにより吸油後の油の引火性は低く抑えられている。なおケイ酸カルシウム水和物粉末が、ケイ酸カルシウム水和物粉末100重量部に対して5〜20重量部の水を含浸することにより、吸油後の油の引火性を更に低く抑えられる。
【0016】
また、ケイ酸カルシウム水和物粉末が油分解性微生物を担持していてもよい。油分解性微生物を担持することにより、吸油後の油を分解により無害化できる。これにより、吸油後の油の引火性を低減でき、更に油処理の安全性を高めることもできる。
【0017】
油分解性微生物としては特に限定されないが、例えば、プシュードモナス(Pseudomonas)、アシネトバクタ(Acinetobacter)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、アルトロバクタ(Artrobacter)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、カンディダ・パラプシロシス、オーレオバシデウム・プルランス、ミロキシウム・ペルルカリア、ノルアルデディア・コラリナ等が挙げられる。油分解性微生物は単独又は2種以上を混合して担持できる。微生物の担持量は特に限定されず、微生物の種類、処理対象の油種等により設定できる。
【0018】
本発明の油処理剤としては、ケイ酸カルシウム水和物粉末100重量部に対して、水5〜20重量部を含浸し、更に油分解性微生物を担持してもよい。この場合には、吸油後の油の引火性を低減する効果、油処理の安全性を高める効果が同時に得られる。また処理後の油処理剤のリサイクルも安全に行うことができる。
【0019】
このような本発明の油処理剤は、揮発性の有害物質を含まない点でも、油処理の安全性、周囲の環境保全性等が優れている。
【0020】
油処理方法
本発明の油処理方法は、本発明の油処理剤に重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油、植物油等から選ばれる少なくとも1種の油を接触させて油を吸収させることを特徴とする。
【0021】
油処理剤に油を接触させる方法は特に限定されないが、例えば、油処理剤を油の表面に散布する方法、散布後に撹拌する方法等が挙げられる。接触させる方法は、油の性状(例えば、粘性)等に応じて適宜選択できる。
【0022】
本発明の油処理方法では、本発明の油処理剤をそのまま用いてもよく、透油性の袋に充填して用いてもよい。透油性の袋に充填して用いる場合には、油処理剤を充填した袋を油に被覆させて、袋を透過した油を油処理剤に吸収させる。袋に充填する方法は、運搬が容易であるとともに、処理後の回収も容易である点で特に好ましい。透油性の袋としては特に限定されないが、例えば、木綿布、麻布、合成繊維等から製造した織物からなる袋がある。
【0023】
本発明の油処理方法の適用態様は特に限定されないが、例えば、路面、河川及び海面の少なくとも1箇所に流出した油を処理及び回収する方法として好適に使用できる。
【0024】
なお、処理後の油処理剤は、不燃物ゴミとして処理できるが、セメント原料としてリサイクルしてもよい。セメント原料として用いる場合には、例えば、処理後の油処理剤をセメント製造用のキルン窯尻から投入する方法がある。投入された処理後の油処理剤は、キルン内での焼成により油分が副燃料として用いられ、ケイ酸カルシウム水和物粉末は脱水されてクリンカ成分となるために不純物とはならない。セメント原料としてリサイクルする場合には、省資源・省エネルギーの観点からも好ましい。
【0025】
【発明の効果】
本発明の油処理剤は、吸油性が優れている。しかも処理後の油処理剤は粉末状を維持し易いため、処理物の回収も容易である。
【0026】
本発明の油処理剤は、揮発性の有害物質を含まず無害であり、吸油後の油の引火性も低いため、油処理作業の安全性が高い。ケイ酸カルシウム水和物粉末が水及び/又は油分解性微生物を含む場合には、より確実に吸油後の油の引火性を低減する効果、油処理の安全性を高める効果等が得られる。処理後の油処理剤は、セメント製造用の原料及び副燃料としてリサイクルすることもできる。
【0027】
本発明の油処理方法は、路面、河川及び海面の少なくとも1箇所に流出した油を処理及び回収する方法として有用である。路面に流出した油を処理する場合には、処理後も粉末状を維持できるため、交通車両のスリップ等も防止でき、しかも舗装面を劣化させることもない。
【0028】
本発明の油処理方法において、透油性の袋に油処理剤を充填して用いる場合には、運搬が容易であるとともに処理後の回収も容易である点で好ましい。
【0029】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1
幅50cm、長さ70cm、深さ5cmのアルミニウム製トレイにガソリン100gを入れた後、BET比表面積70m2/gのケイ酸カルシウム水和物粉末80gを散布し、2分間撹拌した。
【0031】
実施例2
幅50cm、長さ70cm、深さ5cmのアルミニウム製トレイに植物油100gを入れた後、BET比表面積70m2/gのケイ酸カルシウム水和物粉末80gを散布し、2分間撹拌した。
【0032】
比較例1
幅50cm、長さ70cm、深さ5cmのアルミニウム製トレイにガソリン100gを入れた後、乳化分散型の油処理剤(商標名「ネオス」ネオス株式会社製)80gを散布し、2分間撹拌した。
【0033】
比較例2
幅50cm、長さ70cm、深さ5cmのアルミニウム製トレイに植物油100gを入れた後、珪藻土(商標名「CG−1号」イソライト工業株式会社製)80gを散布し、2分間撹拌した。
【0034】
各実施例及び比較例における処理後の油の臭気、トレイ内容物(処理物)の性状の目視観察結果及び処理物の燃焼性試験結果を下記表1に示す。燃焼性試験は炎を水平位置で徐々に近づけることによって試験した。
【0035】
【表1】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油処理剤及びそれを用いた油処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、路面等に流出した油の処理、河川、海洋等に流出してオイルフェンス等により回収された油の処理には、乳化分散型の油処理剤が用いられている。乳化分散型の油処理剤としては、例えば、ノルマルパラフィン等の石油系炭化水素溶剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル系等の非イオン界面活性剤等が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
乳化分散型の油処理剤は、油を乳化・分散するだけであり油の化学的性質そのものは変化させないため、引火性の高い油であれば処理後も引火性が高く重大な火災が発生するおそれがある。人体に影響のある油であれば、処理後も人体に対する影響について考慮する必要がある。また乳化分散型の油処理剤は揮発性の有害物質を含むために毒性が高く、作業者や周囲の環境に悪影響を与えるおそれもある。路面に散布する場合には、更に交通車両のスリップ等の危険性、舗装面を劣化させるおそれ等もあるため使用を控えることが望まれる。
【0004】
このような乳化分散型の油処理剤に代わるものとして、珪藻土を利用した油処理剤がある。珪藻土を利用した油処理剤は、毒性が無く処理後の油の引火性が低い点で優れている。しかし珪藻土を利用した油処理剤は吸油量が少なく、油に対して大量の処理剤を使用する必要がある。また処理後の油処理剤のリサイクル手段も確立されていない。従って、毒性が無く、処理後の油の引火性が低く、しかも油の処理効率が優れた油処理剤の開発が望まれている。
【0005】
【非特許文献1】
財団法人未来工学研究所編、「油汚染とバイオ技術 生物学的環境修復法について(バイオ レメディエーション)」、[on line]、平成10年、[平成14年12月9日検索]、インターネット、
<URL: HYPERLINK ”http://lib1.nippon−foundation.or.jp/1998/0984/contents/016.htm” http://lib1.nippon−foundation.or.jp/1998/0984/contents/016.htm>
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、毒性が無く、処理後の油の引火性が低く、しかも油の処理効率が優れた油処理剤を提供することを主な目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のBET比表面積を有するケイ酸カルシウム水和物粉末が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の油処理剤及びそれを用いた油処理方法に係る。
1.BET比表面積30m2/g以上のケイ酸カルシウム水和物粉末からなる油処理剤。
2.ケイ酸カルシウム水和物粉末が、ケイ酸カルシウム水和物粉末100重量部に対して5〜20重量部の水を含浸している上記項1に記載の油処理剤。
3.ケイ酸カルシウム水和物粉末が、油分解性微生物を担持している上記項1に記載の油処理剤。
4.ケイ酸カルシウム水和物粉末が、ケイ酸カルシウム水和物粉末100重量部に対して5〜20重量部の水を含浸しており、更に油分解性微生物を担持している上記項1に記載の油処理剤。
5.上記項1〜4のいずれかに記載の油処理剤に重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油及び植物油から選ばれる少なくとも1種の油を接触させて油を吸収させることを特徴とする油処理方法。
6.上記項1〜4のいずれかに記載の油処理剤を充填した透油性の袋に重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油及び植物油から選ばれる少なくとも1種の油を接触させて油処理剤に油を吸収させることを特徴とする油処理方法。
7.上記項5又は6に記載の油処理方法であって、路面、河川及び海面の少なくとも1箇所に流出した油を処理する油処理方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
油処理剤
本発明の油処理剤は、BET比表面積30m2/g以上、好ましくは70m2/g以上のケイ酸カルシウム水和物粉末からなる。BET比表面積の上限は限定されないが、通常100m2/g程度、好ましくは150m2/g程度である。BET比表面積は、ケイ酸カルシウム水和物粉末の表面に窒素を吸着させるBET法により測定した値である。
【0010】
ケイ酸カルシウム水和物粉末としては、上記の比表面積を有するものであれば特に限定されず、合成ケイ酸カルシウム水和物及び天然ケイ酸カルシウム水和物の少なくとも1種の粉末が使用できる。
【0011】
合成ケイ酸カルシウム水和物としては、例えば、石灰原料及びケイ酸原料から水熱反応により得られるゾノトライト、トバモライト、フォシャジャイト、ジャイロライト、ヒレブランダイト、ローゼンハナイト、トラスコタイト、リエライト、カルシオコンドロダイト、アフィライト等を水和させて得られるケイ酸カルシウム水和物、準結晶質珪酸カルシウム水和物(CSHn)等が挙げられる。ケイ酸カルシウム水和物粉末は、ケイ酸カルシウム水和物の一次粒子でもよく、一次粒子が三次元的に絡み合った二次粒子(凝集物)でもよい。
【0012】
このような本発明の油処理剤は、処理対象の油を速やかに吸収する。対象となる油種は特に限定されないが、例えば、重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油、植物油等が挙げられる。油の吸収量(吸油量)は油種により異なるが、油処理剤100重量部に対して、通常10〜300重量部、好ましくは50〜200重量部である。かかる吸油量であれば、油の処理効率として良好である。
【0013】
既存の珪藻土からなる油処理剤の吸油量は、油処理剤100重量部に対して、通常50〜70重量部程度である。本発明の油処理剤は、珪藻土からなる油処理剤よりも吸油量が多い点で有用性が高い。また吸油後も乾いた粉状を維持し易いため、処理後の回収作業が容易である点でも好ましい。
【0014】
本発明の油処理剤としては、ケイ酸カルシウム水和物粉末の細孔体積量が0.8〜3cm3/g、特に1.2〜3cm3/gであるものは、より吸油性が優れている。細孔体積量は、水銀圧入ポロシメーターにより測定した細孔径0.003〜500μmの細孔の体積量である。
【0015】
本発明の油処理剤は、ケイ酸カルシウム水和物粉末が結合水を有することにより吸油後の油の引火性は低く抑えられている。なおケイ酸カルシウム水和物粉末が、ケイ酸カルシウム水和物粉末100重量部に対して5〜20重量部の水を含浸することにより、吸油後の油の引火性を更に低く抑えられる。
【0016】
また、ケイ酸カルシウム水和物粉末が油分解性微生物を担持していてもよい。油分解性微生物を担持することにより、吸油後の油を分解により無害化できる。これにより、吸油後の油の引火性を低減でき、更に油処理の安全性を高めることもできる。
【0017】
油分解性微生物としては特に限定されないが、例えば、プシュードモナス(Pseudomonas)、アシネトバクタ(Acinetobacter)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、アルトロバクタ(Artrobacter)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、カンディダ・パラプシロシス、オーレオバシデウム・プルランス、ミロキシウム・ペルルカリア、ノルアルデディア・コラリナ等が挙げられる。油分解性微生物は単独又は2種以上を混合して担持できる。微生物の担持量は特に限定されず、微生物の種類、処理対象の油種等により設定できる。
【0018】
本発明の油処理剤としては、ケイ酸カルシウム水和物粉末100重量部に対して、水5〜20重量部を含浸し、更に油分解性微生物を担持してもよい。この場合には、吸油後の油の引火性を低減する効果、油処理の安全性を高める効果が同時に得られる。また処理後の油処理剤のリサイクルも安全に行うことができる。
【0019】
このような本発明の油処理剤は、揮発性の有害物質を含まない点でも、油処理の安全性、周囲の環境保全性等が優れている。
【0020】
油処理方法
本発明の油処理方法は、本発明の油処理剤に重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油、植物油等から選ばれる少なくとも1種の油を接触させて油を吸収させることを特徴とする。
【0021】
油処理剤に油を接触させる方法は特に限定されないが、例えば、油処理剤を油の表面に散布する方法、散布後に撹拌する方法等が挙げられる。接触させる方法は、油の性状(例えば、粘性)等に応じて適宜選択できる。
【0022】
本発明の油処理方法では、本発明の油処理剤をそのまま用いてもよく、透油性の袋に充填して用いてもよい。透油性の袋に充填して用いる場合には、油処理剤を充填した袋を油に被覆させて、袋を透過した油を油処理剤に吸収させる。袋に充填する方法は、運搬が容易であるとともに、処理後の回収も容易である点で特に好ましい。透油性の袋としては特に限定されないが、例えば、木綿布、麻布、合成繊維等から製造した織物からなる袋がある。
【0023】
本発明の油処理方法の適用態様は特に限定されないが、例えば、路面、河川及び海面の少なくとも1箇所に流出した油を処理及び回収する方法として好適に使用できる。
【0024】
なお、処理後の油処理剤は、不燃物ゴミとして処理できるが、セメント原料としてリサイクルしてもよい。セメント原料として用いる場合には、例えば、処理後の油処理剤をセメント製造用のキルン窯尻から投入する方法がある。投入された処理後の油処理剤は、キルン内での焼成により油分が副燃料として用いられ、ケイ酸カルシウム水和物粉末は脱水されてクリンカ成分となるために不純物とはならない。セメント原料としてリサイクルする場合には、省資源・省エネルギーの観点からも好ましい。
【0025】
【発明の効果】
本発明の油処理剤は、吸油性が優れている。しかも処理後の油処理剤は粉末状を維持し易いため、処理物の回収も容易である。
【0026】
本発明の油処理剤は、揮発性の有害物質を含まず無害であり、吸油後の油の引火性も低いため、油処理作業の安全性が高い。ケイ酸カルシウム水和物粉末が水及び/又は油分解性微生物を含む場合には、より確実に吸油後の油の引火性を低減する効果、油処理の安全性を高める効果等が得られる。処理後の油処理剤は、セメント製造用の原料及び副燃料としてリサイクルすることもできる。
【0027】
本発明の油処理方法は、路面、河川及び海面の少なくとも1箇所に流出した油を処理及び回収する方法として有用である。路面に流出した油を処理する場合には、処理後も粉末状を維持できるため、交通車両のスリップ等も防止でき、しかも舗装面を劣化させることもない。
【0028】
本発明の油処理方法において、透油性の袋に油処理剤を充填して用いる場合には、運搬が容易であるとともに処理後の回収も容易である点で好ましい。
【0029】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1
幅50cm、長さ70cm、深さ5cmのアルミニウム製トレイにガソリン100gを入れた後、BET比表面積70m2/gのケイ酸カルシウム水和物粉末80gを散布し、2分間撹拌した。
【0031】
実施例2
幅50cm、長さ70cm、深さ5cmのアルミニウム製トレイに植物油100gを入れた後、BET比表面積70m2/gのケイ酸カルシウム水和物粉末80gを散布し、2分間撹拌した。
【0032】
比較例1
幅50cm、長さ70cm、深さ5cmのアルミニウム製トレイにガソリン100gを入れた後、乳化分散型の油処理剤(商標名「ネオス」ネオス株式会社製)80gを散布し、2分間撹拌した。
【0033】
比較例2
幅50cm、長さ70cm、深さ5cmのアルミニウム製トレイに植物油100gを入れた後、珪藻土(商標名「CG−1号」イソライト工業株式会社製)80gを散布し、2分間撹拌した。
【0034】
各実施例及び比較例における処理後の油の臭気、トレイ内容物(処理物)の性状の目視観察結果及び処理物の燃焼性試験結果を下記表1に示す。燃焼性試験は炎を水平位置で徐々に近づけることによって試験した。
【0035】
【表1】
Claims (7)
- BET比表面積30m2/g以上のケイ酸カルシウム水和物粉末からなる油処理剤。
- ケイ酸カルシウム水和物粉末が、ケイ酸カルシウム水和物粉末100重量部に対して5〜20重量部の水を含浸している請求項1に記載の油処理剤。
- ケイ酸カルシウム水和物粉末が、油分解性微生物を担持している請求項1に記載の油処理剤。
- ケイ酸カルシウム水和物粉末が、ケイ酸カルシウム水和物粉末100重量部に対して5〜20重量部の水を含浸しており、更に油分解性微生物を担持している請求項1に記載の油処理剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の油処理剤に重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油及び植物油から選ばれる少なくとも1種の油を接触させて油を吸収させることを特徴とする油処理方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の油処理剤を充填した透油性の袋に重油、軽油、灯油、ガソリン、機械油、動物油及び植物油から選ばれる少なくとも1種の油を接触させて油処理剤に油を吸収させることを特徴とする油処理方法。
- 請求項5又は6に記載の油処理方法であって、路面、河川及び海面の少なくとも1箇所に流出した油を処理する油処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002357144A JP2004189802A (ja) | 2002-12-09 | 2002-12-09 | 油処理剤及びそれを用いた油処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002357144A JP2004189802A (ja) | 2002-12-09 | 2002-12-09 | 油処理剤及びそれを用いた油処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004189802A true JP2004189802A (ja) | 2004-07-08 |
Family
ID=32757274
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002357144A Pending JP2004189802A (ja) | 2002-12-09 | 2002-12-09 | 油処理剤及びそれを用いた油処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004189802A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102006041553A1 (de) * | 2006-09-05 | 2008-03-20 | Xella Baustoffe Gmbh | Mineralisches Granulat, Verfahren zu seiner Herstellung und Verwendung des Granulats |
WO2011059093A1 (ja) * | 2009-11-16 | 2011-05-19 | 富田製薬株式会社 | 劣化食用油用再生剤 |
JP2011196105A (ja) * | 2010-03-19 | 2011-10-06 | Crane:Kk | コンクリート用型枠 |
-
2002
- 2002-12-09 JP JP2002357144A patent/JP2004189802A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102006041553A1 (de) * | 2006-09-05 | 2008-03-20 | Xella Baustoffe Gmbh | Mineralisches Granulat, Verfahren zu seiner Herstellung und Verwendung des Granulats |
DE102006041553B4 (de) * | 2006-09-05 | 2012-03-01 | Xella Baustoffe Gmbh | Mineralisches Granulat, Verfahren zu seiner Herstellung und Verwendung des Granulats |
DE102006041553B9 (de) * | 2006-09-05 | 2012-08-30 | Xella Baustoffe Gmbh | Mineralisches Granulat, Verfahren zu seiner Herstellung und Verwendung des Granulats |
WO2011059093A1 (ja) * | 2009-11-16 | 2011-05-19 | 富田製薬株式会社 | 劣化食用油用再生剤 |
JP5804458B2 (ja) * | 2009-11-16 | 2015-11-04 | 富田製薬株式会社 | 劣化食用油用再生剤 |
JP2011196105A (ja) * | 2010-03-19 | 2011-10-06 | Crane:Kk | コンクリート用型枠 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Karakasi et al. | Surface modification of high calcium fly ash for its application in oil spill clean up | |
Yan-Zheng et al. | Surfactant-enhanced phytoremediation of soils contaminated with hydrophobic organic contaminants: potential and assessment | |
Wang et al. | Control of internal phosphorus loading in eutrophic lakes using lanthanum-modified zeolite | |
Chirwa et al. | Biosurfactants as demulsifying agents for oil recovery from oily sludge–performance evaluation | |
RU2471725C2 (ru) | Способ обезвреживания и утилизации нефтесодержащих шламов | |
EA019013B1 (ru) | Средства для обработки земли, загрязненной нефтепродуктами, и для очистки поверхностей и резервуаров, загрязненных нефтепродуктами | |
Patalano et al. | Scaling sorbent materials for real oil-sorbing applications and environmental disasters | |
Arpornpong et al. | Formulation of bio-based washing agent and its application for removal of petroleum hydrocarbons from drill cuttings before bioremediation | |
CN106966558A (zh) | 一种皂化水和油泥的处理方法 | |
JP2004189802A (ja) | 油処理剤及びそれを用いた油処理方法 | |
AU2007220267A1 (en) | Hydrophobic oil adsorbent material, and process for production and use | |
RU2160758C2 (ru) | Сорбент для очистки от нефтемаслозагрязнений | |
Cheng et al. | Exploration of biodegradation mechanisms of black carbon-bound nonylphenol in black carbon-amended sediment | |
Wei et al. | Adsorptive removal of naphthalene induced by structurally different Gemini surfactants in a soil-water system | |
US5554575A (en) | Biodegradable and bioremedial absorbent compound for liquids | |
TW201918296A (zh) | 受汙染土壤之整治方法 | |
CN103638903B (zh) | 一种吸附材料及其制备方法 | |
Osalo et al. | Phosphorus removal from aqueous solutions by bentonite: effect of Al2O3 addition | |
JP7308040B2 (ja) | 無機多孔質体よりなる油吸着剤、及びその製造方法 | |
RU2638019C1 (ru) | Способ обезвреживания и утилизации нефтесодержащего шлама | |
RAY et al. | Adsorption of surfactant on clays | |
RU2516853C2 (ru) | Способ обезвреживания нефтешламов | |
CN105601067B (zh) | 一种废泥浆调质处理药剂体系及使用方法 | |
JP4183460B2 (ja) | 汚染土壌の消臭方法 | |
JP2000342250A (ja) | 重油分解能を有する新規細菌株、その細菌混合物、重油分解菌生育用組成物、石油成分の処理方法およびその被処理物を含む建築土木材料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050622 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071220 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090729 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20091125 |