JP2004189779A - 熱分解器のクリーニング方法および熱分解方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】管型の熱分解器の内部に付着した炭化物等の汚れを効率的に且つ迅速にクリーニングして熱分解装置の運転効率を高める。
【構成】熱分解を続けたことにより熱分解器の内部に汚れが付着したときに熱分解を停止し、熱分解器の温度を熱分解温度より低い温度まで低下してから、熱分解器の内部に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより付着した汚れを除去し、次いで熱分解器の温度を熱分解温度まで上昇して熱分解を再開する。
【選択図】 図1
【構成】熱分解を続けたことにより熱分解器の内部に汚れが付着したときに熱分解を停止し、熱分解器の温度を熱分解温度より低い温度まで低下してから、熱分解器の内部に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより付着した汚れを除去し、次いで熱分解器の温度を熱分解温度まで上昇して熱分解を再開する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管型の熱分解器の内部にプラスチックの熱分解により付着した汚れをクリーニングする方法、および該クリーニング方法を組み込んだ熱分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場や家庭から排出されるプラスチック類にはポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)やアクリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)などのスチレン系樹脂など種々のものがある。これら廃プラスチックから有用成分を資源として回収するために酸素の不存在下で熱分解し、生成する分解ガスを凝縮し燃料油として回収する方法がある。また分解ガスをさらに蒸留しモノマー成分として回収する方法も開発されている。
【0003】
プラスチックを熱分解する熱分解器には槽型と管型がある。槽型の熱分解器は底部が円錐形に形成された槽本体を主要部とし、その槽本体の上方にプラスチックの投入部と生成ガスを排出するガス排出部を設け、槽本体の底部に熱分解により発生した残渣を排出する残渣排出部を設け、さらに槽本体の周囲に断熱壁により構成される加熱部を配置する。なおプラスチックの攪拌操作と底部の傾斜面に付着した炭化物やコーキングなどの汚れの掻き取り操作のために、槽本体の内部にスクレーパが設けられる。槽型の熱分解器は槽本体でのプラスチックの滞留時間を長く取れるので、ある程度の滞留時間を必要とするバッチ方式の運転に適している。
【0004】
管型の熱分解器は細長い反応菅により構成し、その周囲に断熱壁で構成した加熱部を配置する。そして加熱部で熱分解温度に加熱された熱分解器の一方の端部(入口部)からプラスチックを導入すると、プラスチックは内部を通過する間に周囲から加熱され、酸素の不存在下に徐々に熱分解して他端部(出口部)から生成した分解ガスが排出する。
【0005】
管型の熱分解器は容積当たりの伝熱面積が大きく、装置が小型化し熱分解速度も高いという利点があり、特に連続運転に適しているので近年注目されている。管型の熱分解器には内部に残渣排出用のスクリューを有するものと有しないものが存在する。前者のスクリューを有するタイプでは残渣類の排出は容易であるが、容積効率はスクリュー分だけ小さくなり、後者のスクリューを有しないタイプはその逆の特徴を有し、特に操作性に優れている。
【0006】
管型の熱分解器で長期間熱分解操作を続けると、管の内部(内壁)に炭化物を主体とする汚れが付着してくる。この汚れの皮膜の厚さ(層厚)が次第に成長すると管の熱伝達率がそれに比例して悪くなり、熱分解効率が低下するので、定期的に付着した汚れをクリーニングする必要がある。
管型の熱分解器の内部に付着した汚れをクリーニングする方法とし、特許文献1に開示された技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法は汚れの付着した管型の熱分解器の熱分解操作を一時的に停止し、内部に空気を導入してから高温状態で炭化物を焼くことにより、付着した汚れをクリーニングする方法である。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−161640公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報で提案されたクリーニング方法は、汚れ除去の効果はかなり高いが、クリーニングに要する時間が長く手間もかかるという問題がある。すなわち熱分解操作は酸素不存在下で行われるが、炭化物を焼くためには一旦プロセス系統を開放して内部に空気を取り込む操作と、クリーニング操作が終了したときに内部の空気を不活性ガスで置換して熱分解操作に戻る操作が必要になる。しかも炭化物の焼成には熱分解器をかなり高温に維持する必要があり、熱分解器の耐熱温度を超えないように長時間注意しながらクリーニング操作をしなければならない。
このようにクリーニング時間が長くなると、それだけ連続的に行っていた熱分解運転が中断される時間も長くなるので、熱分解装置の運転効率が低下する。
【0009】
そこで本発明はかかる問題を解決することを課題とし、そのための新しい管型の熱分解器のクリーニング方法を提供することを目的とする。
また、本発明はそのクリーニング方法を組み込んだ運転効率の高い熱分解方法を提供することをも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係るクリーニング方法は、プラスチックの熱分解により管型の熱分解器の内部に付着した汚れをクリーニングする方法である。そして本方法は、熱分解温度より低い温度にした熱分解器に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより付着した汚れを除去することを特徴とする(請求項1)。
【0011】
また、上記課題を解決する本発明に係る熱分解方法は、管型の熱分解器を用いてプラスチックを熱分解する方法において、熱分解温度に維持した熱分解器に溶融プラスチックを圧送して熱分解し、熱分解よって熱分解器の内部に汚れが付着したときには熱分解を停止し、熱分解器の温度を熱分解温度より低い温度まで低下してから、熱分解器に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより付着した汚れを除去し、次いで熱分解器の温度を熱分解温度まで上昇して熱分解を再開することを特徴とする(請求項2)。
【0012】
上記熱分解方法において、熱分解器の内部に付着する汚れの層厚を熱分解器の外側温度の検出値により監視することができる(請求項3)。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は本発明に係るクリーニング方法およびそれを取り込んだ熱分解方法を実施する装置のプロセスフロー図である。図中、1は熱分解装置、2は管型に形成された熱分解器、3は溶融プラスチックの入口部、4は分解ガスの出口部、5は残渣回収器、6は加熱部、7は加熱ガスの導入部、8は排ガスの排出部、9は温度検出器、10は溶融プラスチックの供給装置、11はホッパ、12は駆動部、13はスクリュー部、14は溶融プラスチックの供給管、15は開閉弁、16は分解ガスの排出管、17は分解ガスを凝縮する凝縮器、18は残渣排出管、19は開閉弁である。
【0014】
熱分解装置1は管型に形成した熱分解器2と、その熱分解器2の周囲を覆うように配置した加熱部6により構成される。細長い直筒状に形成した熱分解器2は、耐熱性および熱伝導性に優れたステンレス等の金属材料で作られ、その一方の端部に溶融プラスチックの入口部3を設け、他方の端部に分解ガスの出口部4を設けている。そして入口部3から導入した溶融プラスチックは熱分解器2の内部を移動する間に熱分解され、得られた生成ガスが出口部4から排出する。
【0015】
熱分解器2の直径は数十mmから数百mm程度、長さは1〜数十m程度とされるが、それに制限されるものではなく、処理量を大きくする場合にはその直径と長さを適宜大きくする。
管型の熱分解器2でプラスチックを熱分解すると、分解ガスを生成すると共に不純物等の残渣が発生する。後述するクリーニング操作により炭化物等の残渣が発生する。これら分解ガスや残渣は熱分解器2の出口部4から排出されるが、その排出する分解ガスと残渣を分離すると共に、分離した残渣を回収するために出口部4に拡大空間を有する残渣回収器5を連結している。なおこの残渣回収器5の具体的構造は後述する。
【0016】
熱分解器2の外側(管外面)の温度を検出するため温度検出器9が設けられる。温度検出器9として例えば熱電対式または抵抗式の温度発信器が使用され、その検出部を熱分解器2の外側に接触して該部分の温度を検出する。温度検出器9から検出温度に比例した電気信号(電圧変化信号または抵抗変化信号)が出力し、その電気信号はケーブル等を経て図示しないクリーニング管理用の温度指示計に伝送される。
【0017】
加熱部6は断熱壁で囲まれた筒型の加熱室により形成され、その加熱室に設けた導入部7にガス発生炉(図示せず)等で発生した高温の燃焼ガスを加熱ガスとしてダクトにより導入し、加熱器2と熱交換した低温の排ガスを排出部8から排気ファン(図示せず)を設けたダクトに排出するようになっている。
【0018】
供給装置10は熱分解器2に溶融プラスチックを圧送して供給するもので、プラスチックの射出成形機に用いられている一般的な押出機を使用することができる。供給装置10はホッパ11、駆動部12およびスクリュー部13を備えており、粉砕装置で10mm程度の片に粉砕したプラスチックをエアフィーダ等によりホッパ11に受け入れ、そこから駆動部12に供給して加熱溶融する。
【0019】
駆動部12には電気ヒータ設けられ、供給されたプラスチック片をその溶融温度以上、例えば100℃〜250℃の温度に加熱して溶融状態とする。溶融プラスチックは設定された速度で回転するスクリューを有するスクリュー部13から定量的に排出し、供給管14、開閉弁15を経て熱分解器2の入口部3に圧送される。なお供給管14と開閉弁15の周囲は保温のため断熱材で被覆される。
【0020】
熱分解器2の出口部4に連結した残渣回収器5は、その上部に分解ガス排出口を有し、下部に残渣排出部を有する。残渣排出部の内部に排出用の回転スクリューが設けられ、その下流側に開閉弁19を設けた残渣排出管18が接続される。
なお、残渣排出管18から排出した残渣はドラム缶などに回収される。
【0021】
凝縮器17は冷却水などの冷却媒体で分解ガスを冷却し、高沸点成分を凝縮するものである。凝縮した高沸点成分は油部として回収されるが、そのまま燃料として利用するか、蒸留装置でさらに蒸留しプラスチック原料用などの高純度のモノマー成分として回収する。一方凝縮しない低沸点成分は、例えば前記加熱部6へ加熱ガスを供給するためのガス発生炉の燃料として利用することができる。
【0022】
次に図1を参照して、本発明のクリーニング方法を取り込んだ熱分解方法について説明する。なお以下の説明ではプラスチックとして廃ポリスチレンを使用する場合を例にしているが、本発明はその他のプラスチックについても同様に適用できることは言うまでもない。
【0023】
(熱分解操作)
先ず凝縮器17に接続した真空ポンプ等の減圧装置(図示せず)を運転しながら例えば開閉弁15を閉じて供給管14から窒素などの不活性ガスを導入し、凝縮器17、排出管16、残渣回収器5、熱分解器2等の系統内部の酸素を不活性ガスで置換する。さらに減圧レベルを調整して系統内の圧力を50Torr程度の減圧状態に維持する。次に加熱部6に700℃〜800℃程度の加熱ガスを供給し、熱分解器2をポリスチレンの熱分解温度である350℃〜500℃に昇温する。なお熱分解を減圧状態で行うと熱分解温度を低くできると共に、モノマー成分を回収する場合における副生物生成を大幅に抑制できるという利点がある。
【0024】
上記操作と並行して、供給装置10に廃ポリスチレンの粉砕物であるポリスレン片を供給し、100℃〜250℃の温度に加熱して溶融する。溶融ポリスチレンはスクリュー部13から供給管14を経て熱分解器2の入口部3に圧送する。熱分解器2に導入した溶融ポリスチレンは、その内部を通過する間に周囲から加熱されて熱分解し、生成する分解ガスが僅かな残渣と共に出口部4から残渣回収器5に排出する。
【0025】
残渣回収器5に排出した分解ガスと残渣は分離され、分解ガスが上方から排出管16に排出して凝縮器17に導入し、そこで分解ガスの99重量%程度が高沸点成分として凝縮分離する。分離した高沸点成分には70重量%のスチレンモノマーを含んでおり、図示しない回収槽に回収する。
一方、凝縮しないガス成分は図示しないガス回収タンクに回収され、一部は前記のように加熱部6に加熱ガスを供給するガス発生炉の燃料として利用される。
【0026】
熱分解操作を続けると残渣回収器5には次第に残渣が滞留してくるので、随時内部に設けた残渣排出用の回転スクリューを運転し、開閉弁19を開けて残渣を外部に取り出して回収する。
【0027】
(クリーニング操作)
熱分解操作を長時間続けると熱分解器2の内部、特にその内壁に炭化物などによる汚れが付着する。熱分解器2の伝熱効率はこの汚れ層の厚さに反比例して低下するので、ある程度層厚が進行したところで熱分解操作を中断してクリーニング操作に移る。本実施形態では熱分解器2の外側温度(外表面温度)を検出し、その検出値を基に汚れの層厚進行の程度を監視している。
【0028】
すなわち前記のように熱分解器2の伝熱効率は汚れの層厚に反比例して低下するので、熱分解器2の外側温度は汚れの層厚に比例して高くなる。そこで実験により予め汚れの層厚と熱分解器2の外側温度の関係図(検量線図)を作成しておき、それを基にクリーニング時期の管理を行っている。
【0029】
温度検出器9による温度検出値から汚れがクリーニングすべき層厚に達したと判断されたとき、熱分解操作からクリーニング操作に切り換える。切り換えに際しては、先ず供給装置10から熱分解器2への溶融ポリスチレン供給を停止し、次いで加熱部6への加熱ガスの温度を例えば200℃程度に下げる。これにより熱分解器2の温度は徐々に下がって行くが、その間、余熱により熱分解器2の内部に残っているポリスチレンは殆ど熱分解する。
【0030】
なお加熱ガスの温度はガス発生炉に供給する燃料流量を減少することにより下降するが、加熱ガスに冷却空気を混合することによっても下降できる。
加熱ガスの温度を200℃程度にすると、しばらくして熱分解器2の外側温度が200℃程度まで低下する。これを温度検出器9による検出値で確認し、供給装置10から再び溶融ポリスチレン(すなわち熱分解操作の原料である溶融プラスチックと同種の溶融プラスチック)を熱分解器2に圧送する。
【0031】
実験によれば、熱分解器2の温度が熱分解温度より低下すると、その内壁に付着した炭化物等の汚れ層は収縮し、それによって汚れの付着力が低下することが分かっている。200℃程度で加熱して得られた溶融ポリスチレンの粘度は1万ポイズ程度あり、このような高粘度の溶融ポリスチレンを熱分解器2の内部に通過させると、収縮して付着力が低下した状態の汚れが溶融ポリスチレンの粘着力により剥離して除去される。
【0032】
その際、熱分解器2内部を通過する溶融ポリスチレンの速度に反比例してクリーニング効率は高くなるが、熱分解操作と同じ条件の供給装置10を使用する場合には、熱分解操作時と同じ通過速度で実施する簡便法でもよい。
【0033】
実験によれば、熱分解温度と常温の中間にクリーニング効率が高い温度領域があり、その温度領域は汚れおよびクリーニングに使用する溶融プラスチックの特性により変化することが確かめられている。例えば、本実施形態のようにポリスチレンの熱分解による汚れを溶融ポリスチレンでクリーニングする場合には、200℃前後の温度領域でクリーニング操作することが望ましい。
【0034】
クリーニング操作に使用する溶融ポリスチレンの供給は、少なくとも熱分解器2の内部を通過する溶融ポリスチレンの先端部が出口部4に達するまで行う必要であり、実際にはそれに若干余分な時間を加えて供給設定すればよい。最低限の供給時間は熱分解器2の内容積と溶融ポリスチレンの通過速度から容易に計算できる。例えば熱分解器2が内径50mm、長さ10mのとき、その内容積は19.6リットルであるから、比重を0.9の溶融ポリスチレンを100Kg/hの速度で通過させる場合には、クリーニングに使用する溶融ポリスチレンの先端部が熱分解器2の出口部4に達するまでの時間(最低供給時間)は10分間となる。
【0035】
(熱分解操作の再開)
上記の手順で熱分解器2のクリーニング操作が終了したら、再び熱分解操作に切り換える。それには先ず加熱部6により熱分解器2の温度を熱分解温度まで昇温し、次いで供給装置10から溶融ポリスチレンの供給を再開する。その時点で熱分解器2の内部にはクリーニングに使用したポリスチレンが残留しているが、新しく供給した溶融ポリスチレンと共に夏分解器2の内部を通過する間に熱分解温度で加熱されて熱分解し、生成する分解ガスと残渣が残渣回収器5に排出する。なおクリーニング直後は残渣回収器5に排出する残渣分が一時的に増加するが、すぐ平常な排出量レベルに戻り、正常な熱分解が継続する。
【0036】
【実施例】
図1のプロセスフローにより本発明に係るクリーニング方法の効果を実証する実験を行った。熱分解器2は内径50mm、長さ10mのステンレス管で作った。先ず、内部を酸素不存在状態とした熱分解器2を700℃の温度に加熱し、次に供給装置10から200℃で加熱溶融したポリスチレンを50Kg/hの速度で熱分解器2に連続的に供給して熱分解を行った。
【0037】
長時間連続して熱分解操作を続け、定期的に熱分解器2の外側温度を温度検出器9で監視した。温度検出値が正常状態より100℃上昇した時点で、熱分解器2の内部に付着した汚れの層厚が限界に達したと判断し、前記方法により熱分解操作からクリーニング操作に切り換えた。
そして熱分解器2の外側温度が200℃になったときに、供給装置10から比重0.9の溶融ポリスチレンを熱分解器2に供給し、100Kg/hの通過速度で10分間クリーニングしたところ、クリーニングに使用した溶融ポリスチレンの先端部が出口部4に達した。
【0038】
そこで前記方法によりクリーニング操作から再び熱分解操作に切り換えた。熱分解器2の温度を熱分解温度に昇温して熱分解を開始した直後、熱分解器2の外側温度は平常値に戻っており、本発明に係るクリーニング方法の効果が実証できた。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るクリーニング方法は、熱分解温度より低い温度にした管型の熱分解器に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより付着した汚れを除去することを特徴とする。この方法によれば、熱分解器の内部に付着した炭化物等の汚れを効率よく剥離して迅速に除去することができる。しかもクリーニングに使用した溶融ポリスチレンはその後の熱分解操作で熱分解されるので無駄にならない。
【0040】
また、本発明に係る熱分解方法は、熱分解温度に維持した管型の熱分解器に溶融プラスチックを圧送して熱分解し、熱分解により熱分解器の内部に汚れが付着したときには熱分解を停止し、熱分解器の温度を熱分解温度より低い温度まで低下してから、熱分解器に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより付着した汚れを除去し、次いで熱分解器の温度を熱分解温度まで上昇して熱分解を再開することを特徴とする。
【0041】
上記熱分解方法によれば、熱分解操作により熱分解器の内部に付着した炭化物等の汚れを効率よく剥離して迅速に除去することができる。しかもクリーニングに使用した溶融ポリスチレンはその後の熱分解操作で熱分解されるので無駄にならない。また、クリーニング操作を簡単且つ迅速に行うことができるので、熱分解装置の運転効率を高めることができる。
【0042】
上記熱分解方法において、熱分解器の内部に付着する汚れの層厚を熱分解器の外側温度の検出値により監視することができる。この方法によれば、熱分解器の内部に付着する汚れの層厚を外部から簡単に且つ精度よく監視でき、クリーニングの実施時期を正確に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクリーニング方法およびそれを取り込んだ熱分解方法を実施する装置のプロセスフロー図。
【符号の説明】
1 熱分解装置
2 熱分解器
3 入口部
4 出口部
5 残渣回収器
6 加熱部
7 導入部
8 排出部
9 温度検出器
10 供給装置
11 ホッパ
12 溶融部
13 押出部
14 供給管
15 開閉弁
16 排出管
17 凝縮器
18 残渣排出管
19 開閉弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、管型の熱分解器の内部にプラスチックの熱分解により付着した汚れをクリーニングする方法、および該クリーニング方法を組み込んだ熱分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場や家庭から排出されるプラスチック類にはポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)やアクリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)などのスチレン系樹脂など種々のものがある。これら廃プラスチックから有用成分を資源として回収するために酸素の不存在下で熱分解し、生成する分解ガスを凝縮し燃料油として回収する方法がある。また分解ガスをさらに蒸留しモノマー成分として回収する方法も開発されている。
【0003】
プラスチックを熱分解する熱分解器には槽型と管型がある。槽型の熱分解器は底部が円錐形に形成された槽本体を主要部とし、その槽本体の上方にプラスチックの投入部と生成ガスを排出するガス排出部を設け、槽本体の底部に熱分解により発生した残渣を排出する残渣排出部を設け、さらに槽本体の周囲に断熱壁により構成される加熱部を配置する。なおプラスチックの攪拌操作と底部の傾斜面に付着した炭化物やコーキングなどの汚れの掻き取り操作のために、槽本体の内部にスクレーパが設けられる。槽型の熱分解器は槽本体でのプラスチックの滞留時間を長く取れるので、ある程度の滞留時間を必要とするバッチ方式の運転に適している。
【0004】
管型の熱分解器は細長い反応菅により構成し、その周囲に断熱壁で構成した加熱部を配置する。そして加熱部で熱分解温度に加熱された熱分解器の一方の端部(入口部)からプラスチックを導入すると、プラスチックは内部を通過する間に周囲から加熱され、酸素の不存在下に徐々に熱分解して他端部(出口部)から生成した分解ガスが排出する。
【0005】
管型の熱分解器は容積当たりの伝熱面積が大きく、装置が小型化し熱分解速度も高いという利点があり、特に連続運転に適しているので近年注目されている。管型の熱分解器には内部に残渣排出用のスクリューを有するものと有しないものが存在する。前者のスクリューを有するタイプでは残渣類の排出は容易であるが、容積効率はスクリュー分だけ小さくなり、後者のスクリューを有しないタイプはその逆の特徴を有し、特に操作性に優れている。
【0006】
管型の熱分解器で長期間熱分解操作を続けると、管の内部(内壁)に炭化物を主体とする汚れが付着してくる。この汚れの皮膜の厚さ(層厚)が次第に成長すると管の熱伝達率がそれに比例して悪くなり、熱分解効率が低下するので、定期的に付着した汚れをクリーニングする必要がある。
管型の熱分解器の内部に付着した汚れをクリーニングする方法とし、特許文献1に開示された技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法は汚れの付着した管型の熱分解器の熱分解操作を一時的に停止し、内部に空気を導入してから高温状態で炭化物を焼くことにより、付着した汚れをクリーニングする方法である。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−161640公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報で提案されたクリーニング方法は、汚れ除去の効果はかなり高いが、クリーニングに要する時間が長く手間もかかるという問題がある。すなわち熱分解操作は酸素不存在下で行われるが、炭化物を焼くためには一旦プロセス系統を開放して内部に空気を取り込む操作と、クリーニング操作が終了したときに内部の空気を不活性ガスで置換して熱分解操作に戻る操作が必要になる。しかも炭化物の焼成には熱分解器をかなり高温に維持する必要があり、熱分解器の耐熱温度を超えないように長時間注意しながらクリーニング操作をしなければならない。
このようにクリーニング時間が長くなると、それだけ連続的に行っていた熱分解運転が中断される時間も長くなるので、熱分解装置の運転効率が低下する。
【0009】
そこで本発明はかかる問題を解決することを課題とし、そのための新しい管型の熱分解器のクリーニング方法を提供することを目的とする。
また、本発明はそのクリーニング方法を組み込んだ運転効率の高い熱分解方法を提供することをも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係るクリーニング方法は、プラスチックの熱分解により管型の熱分解器の内部に付着した汚れをクリーニングする方法である。そして本方法は、熱分解温度より低い温度にした熱分解器に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより付着した汚れを除去することを特徴とする(請求項1)。
【0011】
また、上記課題を解決する本発明に係る熱分解方法は、管型の熱分解器を用いてプラスチックを熱分解する方法において、熱分解温度に維持した熱分解器に溶融プラスチックを圧送して熱分解し、熱分解よって熱分解器の内部に汚れが付着したときには熱分解を停止し、熱分解器の温度を熱分解温度より低い温度まで低下してから、熱分解器に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより付着した汚れを除去し、次いで熱分解器の温度を熱分解温度まで上昇して熱分解を再開することを特徴とする(請求項2)。
【0012】
上記熱分解方法において、熱分解器の内部に付着する汚れの層厚を熱分解器の外側温度の検出値により監視することができる(請求項3)。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は本発明に係るクリーニング方法およびそれを取り込んだ熱分解方法を実施する装置のプロセスフロー図である。図中、1は熱分解装置、2は管型に形成された熱分解器、3は溶融プラスチックの入口部、4は分解ガスの出口部、5は残渣回収器、6は加熱部、7は加熱ガスの導入部、8は排ガスの排出部、9は温度検出器、10は溶融プラスチックの供給装置、11はホッパ、12は駆動部、13はスクリュー部、14は溶融プラスチックの供給管、15は開閉弁、16は分解ガスの排出管、17は分解ガスを凝縮する凝縮器、18は残渣排出管、19は開閉弁である。
【0014】
熱分解装置1は管型に形成した熱分解器2と、その熱分解器2の周囲を覆うように配置した加熱部6により構成される。細長い直筒状に形成した熱分解器2は、耐熱性および熱伝導性に優れたステンレス等の金属材料で作られ、その一方の端部に溶融プラスチックの入口部3を設け、他方の端部に分解ガスの出口部4を設けている。そして入口部3から導入した溶融プラスチックは熱分解器2の内部を移動する間に熱分解され、得られた生成ガスが出口部4から排出する。
【0015】
熱分解器2の直径は数十mmから数百mm程度、長さは1〜数十m程度とされるが、それに制限されるものではなく、処理量を大きくする場合にはその直径と長さを適宜大きくする。
管型の熱分解器2でプラスチックを熱分解すると、分解ガスを生成すると共に不純物等の残渣が発生する。後述するクリーニング操作により炭化物等の残渣が発生する。これら分解ガスや残渣は熱分解器2の出口部4から排出されるが、その排出する分解ガスと残渣を分離すると共に、分離した残渣を回収するために出口部4に拡大空間を有する残渣回収器5を連結している。なおこの残渣回収器5の具体的構造は後述する。
【0016】
熱分解器2の外側(管外面)の温度を検出するため温度検出器9が設けられる。温度検出器9として例えば熱電対式または抵抗式の温度発信器が使用され、その検出部を熱分解器2の外側に接触して該部分の温度を検出する。温度検出器9から検出温度に比例した電気信号(電圧変化信号または抵抗変化信号)が出力し、その電気信号はケーブル等を経て図示しないクリーニング管理用の温度指示計に伝送される。
【0017】
加熱部6は断熱壁で囲まれた筒型の加熱室により形成され、その加熱室に設けた導入部7にガス発生炉(図示せず)等で発生した高温の燃焼ガスを加熱ガスとしてダクトにより導入し、加熱器2と熱交換した低温の排ガスを排出部8から排気ファン(図示せず)を設けたダクトに排出するようになっている。
【0018】
供給装置10は熱分解器2に溶融プラスチックを圧送して供給するもので、プラスチックの射出成形機に用いられている一般的な押出機を使用することができる。供給装置10はホッパ11、駆動部12およびスクリュー部13を備えており、粉砕装置で10mm程度の片に粉砕したプラスチックをエアフィーダ等によりホッパ11に受け入れ、そこから駆動部12に供給して加熱溶融する。
【0019】
駆動部12には電気ヒータ設けられ、供給されたプラスチック片をその溶融温度以上、例えば100℃〜250℃の温度に加熱して溶融状態とする。溶融プラスチックは設定された速度で回転するスクリューを有するスクリュー部13から定量的に排出し、供給管14、開閉弁15を経て熱分解器2の入口部3に圧送される。なお供給管14と開閉弁15の周囲は保温のため断熱材で被覆される。
【0020】
熱分解器2の出口部4に連結した残渣回収器5は、その上部に分解ガス排出口を有し、下部に残渣排出部を有する。残渣排出部の内部に排出用の回転スクリューが設けられ、その下流側に開閉弁19を設けた残渣排出管18が接続される。
なお、残渣排出管18から排出した残渣はドラム缶などに回収される。
【0021】
凝縮器17は冷却水などの冷却媒体で分解ガスを冷却し、高沸点成分を凝縮するものである。凝縮した高沸点成分は油部として回収されるが、そのまま燃料として利用するか、蒸留装置でさらに蒸留しプラスチック原料用などの高純度のモノマー成分として回収する。一方凝縮しない低沸点成分は、例えば前記加熱部6へ加熱ガスを供給するためのガス発生炉の燃料として利用することができる。
【0022】
次に図1を参照して、本発明のクリーニング方法を取り込んだ熱分解方法について説明する。なお以下の説明ではプラスチックとして廃ポリスチレンを使用する場合を例にしているが、本発明はその他のプラスチックについても同様に適用できることは言うまでもない。
【0023】
(熱分解操作)
先ず凝縮器17に接続した真空ポンプ等の減圧装置(図示せず)を運転しながら例えば開閉弁15を閉じて供給管14から窒素などの不活性ガスを導入し、凝縮器17、排出管16、残渣回収器5、熱分解器2等の系統内部の酸素を不活性ガスで置換する。さらに減圧レベルを調整して系統内の圧力を50Torr程度の減圧状態に維持する。次に加熱部6に700℃〜800℃程度の加熱ガスを供給し、熱分解器2をポリスチレンの熱分解温度である350℃〜500℃に昇温する。なお熱分解を減圧状態で行うと熱分解温度を低くできると共に、モノマー成分を回収する場合における副生物生成を大幅に抑制できるという利点がある。
【0024】
上記操作と並行して、供給装置10に廃ポリスチレンの粉砕物であるポリスレン片を供給し、100℃〜250℃の温度に加熱して溶融する。溶融ポリスチレンはスクリュー部13から供給管14を経て熱分解器2の入口部3に圧送する。熱分解器2に導入した溶融ポリスチレンは、その内部を通過する間に周囲から加熱されて熱分解し、生成する分解ガスが僅かな残渣と共に出口部4から残渣回収器5に排出する。
【0025】
残渣回収器5に排出した分解ガスと残渣は分離され、分解ガスが上方から排出管16に排出して凝縮器17に導入し、そこで分解ガスの99重量%程度が高沸点成分として凝縮分離する。分離した高沸点成分には70重量%のスチレンモノマーを含んでおり、図示しない回収槽に回収する。
一方、凝縮しないガス成分は図示しないガス回収タンクに回収され、一部は前記のように加熱部6に加熱ガスを供給するガス発生炉の燃料として利用される。
【0026】
熱分解操作を続けると残渣回収器5には次第に残渣が滞留してくるので、随時内部に設けた残渣排出用の回転スクリューを運転し、開閉弁19を開けて残渣を外部に取り出して回収する。
【0027】
(クリーニング操作)
熱分解操作を長時間続けると熱分解器2の内部、特にその内壁に炭化物などによる汚れが付着する。熱分解器2の伝熱効率はこの汚れ層の厚さに反比例して低下するので、ある程度層厚が進行したところで熱分解操作を中断してクリーニング操作に移る。本実施形態では熱分解器2の外側温度(外表面温度)を検出し、その検出値を基に汚れの層厚進行の程度を監視している。
【0028】
すなわち前記のように熱分解器2の伝熱効率は汚れの層厚に反比例して低下するので、熱分解器2の外側温度は汚れの層厚に比例して高くなる。そこで実験により予め汚れの層厚と熱分解器2の外側温度の関係図(検量線図)を作成しておき、それを基にクリーニング時期の管理を行っている。
【0029】
温度検出器9による温度検出値から汚れがクリーニングすべき層厚に達したと判断されたとき、熱分解操作からクリーニング操作に切り換える。切り換えに際しては、先ず供給装置10から熱分解器2への溶融ポリスチレン供給を停止し、次いで加熱部6への加熱ガスの温度を例えば200℃程度に下げる。これにより熱分解器2の温度は徐々に下がって行くが、その間、余熱により熱分解器2の内部に残っているポリスチレンは殆ど熱分解する。
【0030】
なお加熱ガスの温度はガス発生炉に供給する燃料流量を減少することにより下降するが、加熱ガスに冷却空気を混合することによっても下降できる。
加熱ガスの温度を200℃程度にすると、しばらくして熱分解器2の外側温度が200℃程度まで低下する。これを温度検出器9による検出値で確認し、供給装置10から再び溶融ポリスチレン(すなわち熱分解操作の原料である溶融プラスチックと同種の溶融プラスチック)を熱分解器2に圧送する。
【0031】
実験によれば、熱分解器2の温度が熱分解温度より低下すると、その内壁に付着した炭化物等の汚れ層は収縮し、それによって汚れの付着力が低下することが分かっている。200℃程度で加熱して得られた溶融ポリスチレンの粘度は1万ポイズ程度あり、このような高粘度の溶融ポリスチレンを熱分解器2の内部に通過させると、収縮して付着力が低下した状態の汚れが溶融ポリスチレンの粘着力により剥離して除去される。
【0032】
その際、熱分解器2内部を通過する溶融ポリスチレンの速度に反比例してクリーニング効率は高くなるが、熱分解操作と同じ条件の供給装置10を使用する場合には、熱分解操作時と同じ通過速度で実施する簡便法でもよい。
【0033】
実験によれば、熱分解温度と常温の中間にクリーニング効率が高い温度領域があり、その温度領域は汚れおよびクリーニングに使用する溶融プラスチックの特性により変化することが確かめられている。例えば、本実施形態のようにポリスチレンの熱分解による汚れを溶融ポリスチレンでクリーニングする場合には、200℃前後の温度領域でクリーニング操作することが望ましい。
【0034】
クリーニング操作に使用する溶融ポリスチレンの供給は、少なくとも熱分解器2の内部を通過する溶融ポリスチレンの先端部が出口部4に達するまで行う必要であり、実際にはそれに若干余分な時間を加えて供給設定すればよい。最低限の供給時間は熱分解器2の内容積と溶融ポリスチレンの通過速度から容易に計算できる。例えば熱分解器2が内径50mm、長さ10mのとき、その内容積は19.6リットルであるから、比重を0.9の溶融ポリスチレンを100Kg/hの速度で通過させる場合には、クリーニングに使用する溶融ポリスチレンの先端部が熱分解器2の出口部4に達するまでの時間(最低供給時間)は10分間となる。
【0035】
(熱分解操作の再開)
上記の手順で熱分解器2のクリーニング操作が終了したら、再び熱分解操作に切り換える。それには先ず加熱部6により熱分解器2の温度を熱分解温度まで昇温し、次いで供給装置10から溶融ポリスチレンの供給を再開する。その時点で熱分解器2の内部にはクリーニングに使用したポリスチレンが残留しているが、新しく供給した溶融ポリスチレンと共に夏分解器2の内部を通過する間に熱分解温度で加熱されて熱分解し、生成する分解ガスと残渣が残渣回収器5に排出する。なおクリーニング直後は残渣回収器5に排出する残渣分が一時的に増加するが、すぐ平常な排出量レベルに戻り、正常な熱分解が継続する。
【0036】
【実施例】
図1のプロセスフローにより本発明に係るクリーニング方法の効果を実証する実験を行った。熱分解器2は内径50mm、長さ10mのステンレス管で作った。先ず、内部を酸素不存在状態とした熱分解器2を700℃の温度に加熱し、次に供給装置10から200℃で加熱溶融したポリスチレンを50Kg/hの速度で熱分解器2に連続的に供給して熱分解を行った。
【0037】
長時間連続して熱分解操作を続け、定期的に熱分解器2の外側温度を温度検出器9で監視した。温度検出値が正常状態より100℃上昇した時点で、熱分解器2の内部に付着した汚れの層厚が限界に達したと判断し、前記方法により熱分解操作からクリーニング操作に切り換えた。
そして熱分解器2の外側温度が200℃になったときに、供給装置10から比重0.9の溶融ポリスチレンを熱分解器2に供給し、100Kg/hの通過速度で10分間クリーニングしたところ、クリーニングに使用した溶融ポリスチレンの先端部が出口部4に達した。
【0038】
そこで前記方法によりクリーニング操作から再び熱分解操作に切り換えた。熱分解器2の温度を熱分解温度に昇温して熱分解を開始した直後、熱分解器2の外側温度は平常値に戻っており、本発明に係るクリーニング方法の効果が実証できた。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るクリーニング方法は、熱分解温度より低い温度にした管型の熱分解器に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより付着した汚れを除去することを特徴とする。この方法によれば、熱分解器の内部に付着した炭化物等の汚れを効率よく剥離して迅速に除去することができる。しかもクリーニングに使用した溶融ポリスチレンはその後の熱分解操作で熱分解されるので無駄にならない。
【0040】
また、本発明に係る熱分解方法は、熱分解温度に維持した管型の熱分解器に溶融プラスチックを圧送して熱分解し、熱分解により熱分解器の内部に汚れが付着したときには熱分解を停止し、熱分解器の温度を熱分解温度より低い温度まで低下してから、熱分解器に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより付着した汚れを除去し、次いで熱分解器の温度を熱分解温度まで上昇して熱分解を再開することを特徴とする。
【0041】
上記熱分解方法によれば、熱分解操作により熱分解器の内部に付着した炭化物等の汚れを効率よく剥離して迅速に除去することができる。しかもクリーニングに使用した溶融ポリスチレンはその後の熱分解操作で熱分解されるので無駄にならない。また、クリーニング操作を簡単且つ迅速に行うことができるので、熱分解装置の運転効率を高めることができる。
【0042】
上記熱分解方法において、熱分解器の内部に付着する汚れの層厚を熱分解器の外側温度の検出値により監視することができる。この方法によれば、熱分解器の内部に付着する汚れの層厚を外部から簡単に且つ精度よく監視でき、クリーニングの実施時期を正確に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクリーニング方法およびそれを取り込んだ熱分解方法を実施する装置のプロセスフロー図。
【符号の説明】
1 熱分解装置
2 熱分解器
3 入口部
4 出口部
5 残渣回収器
6 加熱部
7 導入部
8 排出部
9 温度検出器
10 供給装置
11 ホッパ
12 溶融部
13 押出部
14 供給管
15 開閉弁
16 排出管
17 凝縮器
18 残渣排出管
19 開閉弁
Claims (3)
- プラスチックの熱分解によって付着した管型の熱分解器内部の汚れをクリーニングする方法において、熱分解温度より低い温度にした熱分解器に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより、付着した汚れを除去することを特徴とする熱分解器のクリーニング方法。
- 管型の熱分解器を用いてプラスチックを熱分解する方法において、熱分解温度に維持した熱分解器に溶融プラスチックを圧送して熱分解し、熱分解によって熱分解器の内部に汚れが付着したときにはその熱分解を停止し、熱分解器の温度を熱分解温度より低い温度まで低下してから、熱分解器に溶融プラスチックを圧送して通過させることにより付着した汚れを除去し、次いで熱分解器の温度を熱分解温度まで上昇して熱分解を再開することを特徴とするプラスチックの熱分解方法。
- 請求項2において、熱分解器の内部に付着する汚れの層厚を熱分解器の外側温度の検出値により監視することを特徴とする熱分解方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002356048A JP2004189779A (ja) | 2002-12-06 | 2002-12-06 | 熱分解器のクリーニング方法および熱分解方法 |
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JP2017125104A (ja) * | 2016-01-13 | 2017-07-20 | 株式会社東芝 | 熱分解装置及び熱分解方法 |
JP2017124358A (ja) * | 2016-01-13 | 2017-07-20 | 株式会社東芝 | 熱分解装置及び熱分解方法 |
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