JP2004189767A - 粘着剤及び粘着テープ - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に凹凸のある被着体との接着に用いても、被着体との接着面積の増大やアンカー効果による剥離性の低下を低減し、被着体を損傷することなく、かつ、糊残りすることなく容易に剥がすことができる粘着剤及びこれを用いた粘着テープを提供する。
【解決手段】粘着性ポリマー、及び、前記粘着性ポリマー中に分散された粒子を含有する粘着剤であって、前記粒子は、長径が10〜500μmであり、かつ、前記粘着性ポリマーよりも弾性率が高いものである粘着剤。
【選択図】 なし
【解決手段】粘着性ポリマー、及び、前記粘着性ポリマー中に分散された粒子を含有する粘着剤であって、前記粒子は、長径が10〜500μmであり、かつ、前記粘着性ポリマーよりも弾性率が高いものである粘着剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に凹凸のある被着体であっても、損傷することなく、かつ、糊残りすることなく容易に剥がすことができる粘着剤及びこれを用いた粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
今日粘着剤は、粘着テープ等に広く用いられている。
粘着剤に求められる性能はその用途により様々であるが、その接着力が強固であるほど剥離性が低下して、剥離の際に被着体に重大な損傷を与えてしまうことがある。用途によっては、強固な接着力が求められる一方で、必要な間だけ粘着性を示し、その後に容易に剥離できることが要求されることがある。
【0003】
例えば、合成樹脂からなる絶縁基板上に金属箔をパターニングした回路パターンを形成する回路基板の製造工程において、回路パターンの形成に用いるエッチング液等により絶縁基板の特性を劣化させることなく回路基板を製造するために、樹脂フィルム上に金属箔を接着し、樹脂フィルム上で金属箔をエッチングして回路パターンを形成した後に、樹脂フィルムから絶縁基板に回路パターンを転写する方法が用いられている。このとき樹脂フィルムと金属箔とを接着する粘着剤としては、エッチング工程中に強固な接着力を有する一方で、エッチング工程終了後に得られた回路パターンを損傷することなく剥がせることが求められる。
【0004】
このような易剥離粘着剤としては、硬化型易剥離粘着剤、発泡型易剥離粘着剤等が提案されている。硬化型易剥離粘着剤は、主成分である粘着性ポリマーに架橋剤を添加したものであり、使用後に粘着性ポリマーを架橋剤により架橋して硬化することにより、剥離の力が分散することを防いで剥離界面に集中させ、使用後の被着体からの剥離を容易にする。発泡型易剥離粘着剤は、主成分である粘着性ポリマーに発泡剤を添加したものであり、使用後に粘着性ポリマーを発泡剤により発泡させることにより粘着剤層を易剥離状態とし、使用後の被着体からの剥離を容易にする。発泡型易剥離粘着剤に関して、特許文献1には、熱収縮性基材の表面に発泡剤含有接着剤層の設けられた接着テープが開示されている。
【0005】
しかし、これらの易剥離粘着剤は、表面に凹凸のある被着体との接着に用いると、被着体表面の凹部に入り込みアンカー効果により剥離性が低下してしまう。このため、剥離の際に被着体を損傷したり、易剥離粘着剤からなる層が基材表面に形成されてなる粘着テープでは、基材側から剥離を生じて被着体に糊残りしたりするという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−64381号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表面に凹凸のある被着体であっても、損傷することなく、かつ、糊残りすることなく容易に剥がすことができる粘着剤及びこれを用いた粘着テープを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、粘着性ポリマー、及び、前記粘着性ポリマー中に分散された粒子を含有する粘着剤であって、前記粒子は、長径が10〜500μmであり、かつ、前記粘着性ポリマーよりも弾性率が高いものである粘着剤である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の粘着剤は、粘着性ポリマーを含有する。
上記粘着性ポリマーとしては特に限定されないが、架橋性ポリマーが好ましい。架橋性ポリマーを用いると、硬化収縮させることにより本発明の粘着剤の剥離性をより向上させることができ、外力を加えずに自己剥離を行うことも可能となる。
このような粘着性ポリマーとしては、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーともいう)等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、メタクリル又はアクリルを意味する。
【0010】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、常温で粘着性を有し、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、アルキル基の炭素数が通常2〜18の範囲にあるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これと官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させることにより得られるものである。上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常20万〜200万である。
【0011】
上記官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリロイル基含有モノマー;グリシジル基含有モノマー;ビニル基含有モノマー等が挙げられる。
【0012】
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
【0013】
上記粘着性ポリマーは、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有するものであってもよい。これにより、本発明の粘着剤をラジカル重合により三次元網状化して硬化させることができる。上記分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有する粘着性ポリマーを製造する方法としては、例えば、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーと、分子内に上記官能基と反応する官能基及びラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という)とを反応させる方法が挙げられる。
【0014】
上記粘着性ポリマーを製造する具体的方法としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するアクリルモノマーを溶媒中で共重合して得たアクリル系粘着剤溶液に、2−イソシアナトエチル(メタ)クリレートを反応させる方法等が好適に用いられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系粘着性ポリマーを得ることができる。また、架橋剤として多官能ビニル基を有する架橋剤を用いる場合には、粘着性ポリマー分子中にビニル基を導入する必要があり、例えば、アクリル系粘着性ポリマー中に(メタ)アクリル酸−2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチルを共重合させる方法等が好適に用いられる。
【0015】
本発明の粘着剤は、上記粘着性ポリマー中に分散された粒子を含有する。
上記粒子が粘着性ポリマー中に分散されていることにより、本発明の粘着剤は、表面に凹凸のある被着体に接着されても粒子が被着体表面の凹部を覆うことにより、粘着性ポリマーが凹部に入り込みにくくなり、アンカー効果のために被着体の剥離が困難になるのを抑制することができる。この効果は、粘着性ポリマーの組成によらず得ることができる。
【0016】
上記粒子の材質としては特に限定されず、例えば、金属、層状珪酸塩等の無機物質;樹脂等の有機物質等が挙げられる。
上記粒子は、粘着性ポリマーよりも弾性率が高い。上記粘着性ポリマーよりも弾性率が低いと、粘着性ポリマーよりも粒子が柔らかいために粘着性ポリマーが凹部に入り込むことを抑制できない。
上記粒子の大きさとしては被着体の表面における凹部の大きさに応じて決められる必要があるが、上記粒子の長径の下限は10μm、上限は500μmである。10μm未満であると、本発明の粘着剤が適用される通常の被着体の表面における個々の凹部の長径よりも小さいため、粘着性ポリマーが凹部に入り込むことを防止できない。500μmを超えると、本発明の粘着剤が適用される通常の被着体に対して、本発明の粘着剤の接着力が不充分となる。
上記粒子の形状としては特に限定されず、例えば、球形、楕円形、燐片形状等が挙げられる。
【0017】
上記粒子の配合量は、粘着性ポリマーの体積に対する粒子の体積分率を基準にした場合には、好ましい下限は0.0001、好ましい上限は0.9である。0.0001未満であると、粘着性ポリマーが凹部に入り込むことを充分に抑制できないことがあり、0.9を超えると、本発明の粘着剤が適用される通常の被着体に対して接着力が不充分となることがある。より好ましい下限は0.001、より好ましい上限は0.8である。
なお、重量分率と体積分率とは粘着性ポリマー及び粒子のそれぞれの密度から重量又は体積を計算することにより相互に変換できる。
【0018】
本発明の粘着剤は、粘着性ポリマーとして架橋性ポリマーを用いる場合には、硬化反応させるための触媒、架橋剤等を含有する。粘着性ポリマーに硬化反応させたり、粘着性ポリマーを架橋したりすることにより、本発明の粘着剤を硬化させた際に、剥離の力が分散することを防いで剥離界面に集中させ、剥離を容易にすることができる。
【0019】
上記硬化反応させるための触媒としては、光重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物;フォスフィンオキシド誘導体化合物;ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、トデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0020】
上記熱重合開始剤としては特に限定されず、例えば、熱により分解して活性ラジカルを発生するもの等が挙げられる。このような熱重合開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエール、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。なかでも、熱分解温度が高いことから、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が好適である。これらの熱重合開始剤のうち市販されているものとしては特に限定されないが、例えば、パーブチルD、パーブチルH、パーブチルP、パーメンタH(以上、日本油脂社製)等が好適である。これらの熱重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0021】
上記架橋剤は、通常、粘着性ポリマーと架橋反応を行うための官能基を有する。上記架橋剤の有する官能基は、粘着性ポリマーの有する官能基に応じて選択される。上記架橋剤の有する官能基と粘着性ポリマーの有する官能基の組み合わせとしては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリロイル基−(メタ)アクリロイル基;グリシジル基、ヒドロキシル基−カルボキシル基;ビニル基−ビニル基等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイルとは、メタクリロイル又はアクリロイルを意味する。
このような架橋剤としては特に限定されず、例えば、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、市販のオリゴエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0022】
本発明の粘着剤は、更に必要に応じて、粘着性付与剤等を含有していてもよい。上記粘着性付与剤としては特に限定されず、例えば、脂肪族ヒドロキシル基含有化合物、芳香族ヒドロキシル基含有化合物等のヒドロキシル基含有化合物;脂肪族グリシジル基含有化合物、芳香族グリシジル基含有化合物等のグリシジル基含有化合物が好適に用いられる。これらの化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれの状態であってもよい。また、これらの化合物において、ヒドロキシル基及びグリシジル基は、分子骨格の末端、側鎖、分子骨格内のいずれの部位にあってもよく、ヒドロキシル基及びグリシジル基の数は1分子あたり2つ以上であることが好ましい。
【0023】
上記ヒドロキシル基含有化合物としては特に限定されず、例えば、ポリヒドロキシアルカン、アルキレングリコール、炭素数2〜4のアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオール、ヒドロキシル基末端ポリアルカジエン、ビスフェノールAのポリエチレングリコール付加物(炭素数1〜30)、ビスフェノールAのポリエチレングリコール付加物(炭素数1〜30)、上記のポリエステル樹脂以外のヒドロキシル基末端ポリエステル、ヒドロキシル基末端ポリカプロラクトン、ヒドロキシル基末端ポリカーボネート、アクリルポリオール、エチレン−酢酸ビニル共重合体の(部分)けん化物、ポリビニルアルコール、ひまし油、ケトン樹脂、キシレン樹脂、及び、これらのヒドロキシル基含有化合物の共重合体や変成物等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく,2種以上が併用されてもよい。
【0024】
本発明の粘着剤の製造方法としては特に限定されず、例えば、粘着性ポリマー、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマー、硬化反応させるための触媒、架橋剤、粘着性付与剤等を公知の方法により混合して得た混合物に、上記粒子を混入して分散させる方法等が挙げられる。
【0025】
本発明の粘着剤は、様々な接着性製品に用いることができる。上記接着性製品としては、例えば、塗料、コーティング剤、シーリング剤等が挙げられる。このような接着性製品は、本発明の粘着剤をバインダーとし、各接着性製品の目的に応じて各種公知の添加剤を加えることにより作製することができる。
上記添加剤としては特に限定されず、例えば、フィラー、耐候性付与剤、粘度調整剤、染色剤等が挙げられる。
【0026】
本発明の粘着剤は、片面粘着テープ、両面粘着テープ等の粘着テープ等の粘着剤層にも好適に用いることができる。このような本発明の粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着テープもまた、本発明の1つである。本発明の粘着テープとしては、本発明の粘着剤からなる層が基材の一方の面にのみ形成されてなる片面粘着テープ、本発明の粘着剤からなる層が基材の両方の面に形成されてなる両面粘着テープ、一方の面の粘着剤層のみが本発明の粘着剤からなる層である両面粘着テープ、基材を有さない本発明の粘着剤からなる自立テープ(ノンサポートテープ)等が挙げられる。
【0027】
上記基材としては特に限定されないが、例えば、粘着性ポリマーを硬化させる刺激が光による刺激である場合には、光を透過又は通過するものであることが好ましく、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。
【0028】
本発明の粘着テープの製造方法としては特に限定されず、例えば、押出しコーティング等の公知の方法により本発明の粘着剤を基材上に塗工する方法等が挙げられる。
【0029】
本発明の粘着テープの用途としては特に限定されず、例えば、回路転写テープ、包装テープ、化粧テープ、表面保護テープ、マスキングテープ、ダイシングテープ、バックグラインドテープ等が挙げられる。
【0030】
本発明の粘着剤は、長径が10〜500μmであり、かつ、上記粘着性ポリマーよりも弾性率が高い粒子が粘着性ポリマー中に分散されていることから、表面に凹凸のある被着体に接着されても粒子が被着体表面の凹部を覆い、粘着性ポリマーが凹部に入り込むことを抑制できるので、アンカー効果のために被着体の剥離が困難になるのを抑制することができ、表面に凹凸のある被着体であっても、損傷することなく、かつ、糊残りすることなく容易に剥がすことができる。更に硬化収縮により外力を加えずに自己剥離を行うことも可能となる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
<粘着剤の調製>
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体を得た。
得られたアクリル共重合体を含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)0.1重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート40重量部、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部を混合し粘着剤の酢酸エチル溶液を調製した。なお、得られた樹脂成分の比重は1.1g/cm3であった。
ブチルアクリレート 79重量部
エチルアクリレート 15重量部
アクリル酸 1重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 0.2重量部
光重合開始剤
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液) 0.2重量部
【0033】
<粘着テープの作製>
粘着剤の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ38μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのコロナ処理を施した面上に乾燥皮膜の厚さが約50μmとなるようにドクターナイフで塗工し、溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示し、弾性率は6×104Paであった。この粘着剤層に、表面に離型処理が施された厚さ38μmのPETフィルムを貼り合わせた後、3日間40℃で養生して、粘着テープを得た。
【0034】
(実施例2)
長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)の配合量を0.5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
(実施例3)
長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)の配合量を1重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
(実施例4)
長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)の配合量を5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
(実施例5)
長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)の配合量を10重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0035】
(比較例1)
長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0036】
(評価)
実施例1〜5及び比較例1で作製した粘着テープから、表面に離型処理が施された厚さ38μmのPETフィルムを剥がし、PETフィルムを剥がした側の粘着剤層表面と、表面をサンドブラスト処理した厚さ2mm、50mm×120mmのステンレス板とを貼り合わせた。この試料を25mm幅に切断した後、テンシロン型引張試験機(オリエンテック社製)を用いて剥離速度300mm/分で180°剥離試験を行い、初期剥離強度を測定した。この方法により、粘着テープ側から紫外線を照射する前後での初期剥離強度をそれぞれ測定した(n=3)。また、このときの剥離が基材側と被着体側のいずれで起こるかを目視により観察した。
結果を表1に示した。
なお、紫外線照射後の粘着剤層の弾性率は8×105Paであった。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示したように、実施例1〜5で作製した粘着テープは、紫外線照射前において比較例1で作製した粘着テープとほぼ同等の接着力を示し、紫外線照射後には比較例1で作製した粘着テープよりも接着力が小さくなって、サンドブラスト処理したステンレス板から容易に剥離した。一方、比較例1で作製した粘着テープは、紫外線照射後の剥離の際に基材であるコロナ処理を施したPETフィルム側の面から剥離しており、被着体であるサンドブラスト処理したステンレス板上に粘着剤層が糊残りした。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、表面に凹凸のある被着体であっても、損傷することなく、かつ、糊残りすることなく容易に剥がすことができる粘着剤及びこれを用いた粘着テープを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に凹凸のある被着体であっても、損傷することなく、かつ、糊残りすることなく容易に剥がすことができる粘着剤及びこれを用いた粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
今日粘着剤は、粘着テープ等に広く用いられている。
粘着剤に求められる性能はその用途により様々であるが、その接着力が強固であるほど剥離性が低下して、剥離の際に被着体に重大な損傷を与えてしまうことがある。用途によっては、強固な接着力が求められる一方で、必要な間だけ粘着性を示し、その後に容易に剥離できることが要求されることがある。
【0003】
例えば、合成樹脂からなる絶縁基板上に金属箔をパターニングした回路パターンを形成する回路基板の製造工程において、回路パターンの形成に用いるエッチング液等により絶縁基板の特性を劣化させることなく回路基板を製造するために、樹脂フィルム上に金属箔を接着し、樹脂フィルム上で金属箔をエッチングして回路パターンを形成した後に、樹脂フィルムから絶縁基板に回路パターンを転写する方法が用いられている。このとき樹脂フィルムと金属箔とを接着する粘着剤としては、エッチング工程中に強固な接着力を有する一方で、エッチング工程終了後に得られた回路パターンを損傷することなく剥がせることが求められる。
【0004】
このような易剥離粘着剤としては、硬化型易剥離粘着剤、発泡型易剥離粘着剤等が提案されている。硬化型易剥離粘着剤は、主成分である粘着性ポリマーに架橋剤を添加したものであり、使用後に粘着性ポリマーを架橋剤により架橋して硬化することにより、剥離の力が分散することを防いで剥離界面に集中させ、使用後の被着体からの剥離を容易にする。発泡型易剥離粘着剤は、主成分である粘着性ポリマーに発泡剤を添加したものであり、使用後に粘着性ポリマーを発泡剤により発泡させることにより粘着剤層を易剥離状態とし、使用後の被着体からの剥離を容易にする。発泡型易剥離粘着剤に関して、特許文献1には、熱収縮性基材の表面に発泡剤含有接着剤層の設けられた接着テープが開示されている。
【0005】
しかし、これらの易剥離粘着剤は、表面に凹凸のある被着体との接着に用いると、被着体表面の凹部に入り込みアンカー効果により剥離性が低下してしまう。このため、剥離の際に被着体を損傷したり、易剥離粘着剤からなる層が基材表面に形成されてなる粘着テープでは、基材側から剥離を生じて被着体に糊残りしたりするという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−64381号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表面に凹凸のある被着体であっても、損傷することなく、かつ、糊残りすることなく容易に剥がすことができる粘着剤及びこれを用いた粘着テープを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、粘着性ポリマー、及び、前記粘着性ポリマー中に分散された粒子を含有する粘着剤であって、前記粒子は、長径が10〜500μmであり、かつ、前記粘着性ポリマーよりも弾性率が高いものである粘着剤である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の粘着剤は、粘着性ポリマーを含有する。
上記粘着性ポリマーとしては特に限定されないが、架橋性ポリマーが好ましい。架橋性ポリマーを用いると、硬化収縮させることにより本発明の粘着剤の剥離性をより向上させることができ、外力を加えずに自己剥離を行うことも可能となる。
このような粘着性ポリマーとしては、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーともいう)等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、メタクリル又はアクリルを意味する。
【0010】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、常温で粘着性を有し、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、アルキル基の炭素数が通常2〜18の範囲にあるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これと官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させることにより得られるものである。上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常20万〜200万である。
【0011】
上記官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリロイル基含有モノマー;グリシジル基含有モノマー;ビニル基含有モノマー等が挙げられる。
【0012】
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
【0013】
上記粘着性ポリマーは、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有するものであってもよい。これにより、本発明の粘着剤をラジカル重合により三次元網状化して硬化させることができる。上記分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有する粘着性ポリマーを製造する方法としては、例えば、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーと、分子内に上記官能基と反応する官能基及びラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という)とを反応させる方法が挙げられる。
【0014】
上記粘着性ポリマーを製造する具体的方法としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するアクリルモノマーを溶媒中で共重合して得たアクリル系粘着剤溶液に、2−イソシアナトエチル(メタ)クリレートを反応させる方法等が好適に用いられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系粘着性ポリマーを得ることができる。また、架橋剤として多官能ビニル基を有する架橋剤を用いる場合には、粘着性ポリマー分子中にビニル基を導入する必要があり、例えば、アクリル系粘着性ポリマー中に(メタ)アクリル酸−2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチルを共重合させる方法等が好適に用いられる。
【0015】
本発明の粘着剤は、上記粘着性ポリマー中に分散された粒子を含有する。
上記粒子が粘着性ポリマー中に分散されていることにより、本発明の粘着剤は、表面に凹凸のある被着体に接着されても粒子が被着体表面の凹部を覆うことにより、粘着性ポリマーが凹部に入り込みにくくなり、アンカー効果のために被着体の剥離が困難になるのを抑制することができる。この効果は、粘着性ポリマーの組成によらず得ることができる。
【0016】
上記粒子の材質としては特に限定されず、例えば、金属、層状珪酸塩等の無機物質;樹脂等の有機物質等が挙げられる。
上記粒子は、粘着性ポリマーよりも弾性率が高い。上記粘着性ポリマーよりも弾性率が低いと、粘着性ポリマーよりも粒子が柔らかいために粘着性ポリマーが凹部に入り込むことを抑制できない。
上記粒子の大きさとしては被着体の表面における凹部の大きさに応じて決められる必要があるが、上記粒子の長径の下限は10μm、上限は500μmである。10μm未満であると、本発明の粘着剤が適用される通常の被着体の表面における個々の凹部の長径よりも小さいため、粘着性ポリマーが凹部に入り込むことを防止できない。500μmを超えると、本発明の粘着剤が適用される通常の被着体に対して、本発明の粘着剤の接着力が不充分となる。
上記粒子の形状としては特に限定されず、例えば、球形、楕円形、燐片形状等が挙げられる。
【0017】
上記粒子の配合量は、粘着性ポリマーの体積に対する粒子の体積分率を基準にした場合には、好ましい下限は0.0001、好ましい上限は0.9である。0.0001未満であると、粘着性ポリマーが凹部に入り込むことを充分に抑制できないことがあり、0.9を超えると、本発明の粘着剤が適用される通常の被着体に対して接着力が不充分となることがある。より好ましい下限は0.001、より好ましい上限は0.8である。
なお、重量分率と体積分率とは粘着性ポリマー及び粒子のそれぞれの密度から重量又は体積を計算することにより相互に変換できる。
【0018】
本発明の粘着剤は、粘着性ポリマーとして架橋性ポリマーを用いる場合には、硬化反応させるための触媒、架橋剤等を含有する。粘着性ポリマーに硬化反応させたり、粘着性ポリマーを架橋したりすることにより、本発明の粘着剤を硬化させた際に、剥離の力が分散することを防いで剥離界面に集中させ、剥離を容易にすることができる。
【0019】
上記硬化反応させるための触媒としては、光重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物;フォスフィンオキシド誘導体化合物;ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、トデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0020】
上記熱重合開始剤としては特に限定されず、例えば、熱により分解して活性ラジカルを発生するもの等が挙げられる。このような熱重合開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエール、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。なかでも、熱分解温度が高いことから、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が好適である。これらの熱重合開始剤のうち市販されているものとしては特に限定されないが、例えば、パーブチルD、パーブチルH、パーブチルP、パーメンタH(以上、日本油脂社製)等が好適である。これらの熱重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0021】
上記架橋剤は、通常、粘着性ポリマーと架橋反応を行うための官能基を有する。上記架橋剤の有する官能基は、粘着性ポリマーの有する官能基に応じて選択される。上記架橋剤の有する官能基と粘着性ポリマーの有する官能基の組み合わせとしては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリロイル基−(メタ)アクリロイル基;グリシジル基、ヒドロキシル基−カルボキシル基;ビニル基−ビニル基等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイルとは、メタクリロイル又はアクリロイルを意味する。
このような架橋剤としては特に限定されず、例えば、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、市販のオリゴエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0022】
本発明の粘着剤は、更に必要に応じて、粘着性付与剤等を含有していてもよい。上記粘着性付与剤としては特に限定されず、例えば、脂肪族ヒドロキシル基含有化合物、芳香族ヒドロキシル基含有化合物等のヒドロキシル基含有化合物;脂肪族グリシジル基含有化合物、芳香族グリシジル基含有化合物等のグリシジル基含有化合物が好適に用いられる。これらの化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれの状態であってもよい。また、これらの化合物において、ヒドロキシル基及びグリシジル基は、分子骨格の末端、側鎖、分子骨格内のいずれの部位にあってもよく、ヒドロキシル基及びグリシジル基の数は1分子あたり2つ以上であることが好ましい。
【0023】
上記ヒドロキシル基含有化合物としては特に限定されず、例えば、ポリヒドロキシアルカン、アルキレングリコール、炭素数2〜4のアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオール、ヒドロキシル基末端ポリアルカジエン、ビスフェノールAのポリエチレングリコール付加物(炭素数1〜30)、ビスフェノールAのポリエチレングリコール付加物(炭素数1〜30)、上記のポリエステル樹脂以外のヒドロキシル基末端ポリエステル、ヒドロキシル基末端ポリカプロラクトン、ヒドロキシル基末端ポリカーボネート、アクリルポリオール、エチレン−酢酸ビニル共重合体の(部分)けん化物、ポリビニルアルコール、ひまし油、ケトン樹脂、キシレン樹脂、及び、これらのヒドロキシル基含有化合物の共重合体や変成物等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく,2種以上が併用されてもよい。
【0024】
本発明の粘着剤の製造方法としては特に限定されず、例えば、粘着性ポリマー、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマー、硬化反応させるための触媒、架橋剤、粘着性付与剤等を公知の方法により混合して得た混合物に、上記粒子を混入して分散させる方法等が挙げられる。
【0025】
本発明の粘着剤は、様々な接着性製品に用いることができる。上記接着性製品としては、例えば、塗料、コーティング剤、シーリング剤等が挙げられる。このような接着性製品は、本発明の粘着剤をバインダーとし、各接着性製品の目的に応じて各種公知の添加剤を加えることにより作製することができる。
上記添加剤としては特に限定されず、例えば、フィラー、耐候性付与剤、粘度調整剤、染色剤等が挙げられる。
【0026】
本発明の粘着剤は、片面粘着テープ、両面粘着テープ等の粘着テープ等の粘着剤層にも好適に用いることができる。このような本発明の粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着テープもまた、本発明の1つである。本発明の粘着テープとしては、本発明の粘着剤からなる層が基材の一方の面にのみ形成されてなる片面粘着テープ、本発明の粘着剤からなる層が基材の両方の面に形成されてなる両面粘着テープ、一方の面の粘着剤層のみが本発明の粘着剤からなる層である両面粘着テープ、基材を有さない本発明の粘着剤からなる自立テープ(ノンサポートテープ)等が挙げられる。
【0027】
上記基材としては特に限定されないが、例えば、粘着性ポリマーを硬化させる刺激が光による刺激である場合には、光を透過又は通過するものであることが好ましく、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。
【0028】
本発明の粘着テープの製造方法としては特に限定されず、例えば、押出しコーティング等の公知の方法により本発明の粘着剤を基材上に塗工する方法等が挙げられる。
【0029】
本発明の粘着テープの用途としては特に限定されず、例えば、回路転写テープ、包装テープ、化粧テープ、表面保護テープ、マスキングテープ、ダイシングテープ、バックグラインドテープ等が挙げられる。
【0030】
本発明の粘着剤は、長径が10〜500μmであり、かつ、上記粘着性ポリマーよりも弾性率が高い粒子が粘着性ポリマー中に分散されていることから、表面に凹凸のある被着体に接着されても粒子が被着体表面の凹部を覆い、粘着性ポリマーが凹部に入り込むことを抑制できるので、アンカー効果のために被着体の剥離が困難になるのを抑制することができ、表面に凹凸のある被着体であっても、損傷することなく、かつ、糊残りすることなく容易に剥がすことができる。更に硬化収縮により外力を加えずに自己剥離を行うことも可能となる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
<粘着剤の調製>
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体を得た。
得られたアクリル共重合体を含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)0.1重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート40重量部、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部を混合し粘着剤の酢酸エチル溶液を調製した。なお、得られた樹脂成分の比重は1.1g/cm3であった。
ブチルアクリレート 79重量部
エチルアクリレート 15重量部
アクリル酸 1重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 0.2重量部
光重合開始剤
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液) 0.2重量部
【0033】
<粘着テープの作製>
粘着剤の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ38μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのコロナ処理を施した面上に乾燥皮膜の厚さが約50μmとなるようにドクターナイフで塗工し、溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示し、弾性率は6×104Paであった。この粘着剤層に、表面に離型処理が施された厚さ38μmのPETフィルムを貼り合わせた後、3日間40℃で養生して、粘着テープを得た。
【0034】
(実施例2)
長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)の配合量を0.5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
(実施例3)
長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)の配合量を1重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
(実施例4)
長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)の配合量を5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
(実施例5)
長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)の配合量を10重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0035】
(比較例1)
長径10μm、弾性率5×108Paの粒子(積水化学工業社製、ミクロパールTN−810:比重1.1g/cm3)を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0036】
(評価)
実施例1〜5及び比較例1で作製した粘着テープから、表面に離型処理が施された厚さ38μmのPETフィルムを剥がし、PETフィルムを剥がした側の粘着剤層表面と、表面をサンドブラスト処理した厚さ2mm、50mm×120mmのステンレス板とを貼り合わせた。この試料を25mm幅に切断した後、テンシロン型引張試験機(オリエンテック社製)を用いて剥離速度300mm/分で180°剥離試験を行い、初期剥離強度を測定した。この方法により、粘着テープ側から紫外線を照射する前後での初期剥離強度をそれぞれ測定した(n=3)。また、このときの剥離が基材側と被着体側のいずれで起こるかを目視により観察した。
結果を表1に示した。
なお、紫外線照射後の粘着剤層の弾性率は8×105Paであった。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示したように、実施例1〜5で作製した粘着テープは、紫外線照射前において比較例1で作製した粘着テープとほぼ同等の接着力を示し、紫外線照射後には比較例1で作製した粘着テープよりも接着力が小さくなって、サンドブラスト処理したステンレス板から容易に剥離した。一方、比較例1で作製した粘着テープは、紫外線照射後の剥離の際に基材であるコロナ処理を施したPETフィルム側の面から剥離しており、被着体であるサンドブラスト処理したステンレス板上に粘着剤層が糊残りした。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、表面に凹凸のある被着体であっても、損傷することなく、かつ、糊残りすることなく容易に剥がすことができる粘着剤及びこれを用いた粘着テープを提供することができる。
Claims (3)
- 粘着性ポリマー、及び、前記粘着性ポリマー中に分散された粒子を含有する粘着剤であって、
前記粒子は、長径が10〜500μmであり、かつ、前記粘着性ポリマーよりも弾性率が高いものである
ことを特徴とする粘着剤。 - 粒子の配合量は、粘着性ポリマーの体積に対する体積分率で0.0001〜0.9
あることを特徴とする請求項1記載の粘着剤。 - 請求項1又は2記載の粘着剤からなる粘着剤層を有することを特徴とする粘着テープ。
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Cited By (2)
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US20110003135A1 (en) * | 2006-09-04 | 2011-01-06 | Nitto Denko Corporation | Ultraviolet-curable pressure-sensitive adhesive composition, ultraviolet-curable pressure-sensitive adhesive sheet and process for producing the same |
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-
2002
- 2002-12-06 JP JP2002355536A patent/JP2004189767A/ja not_active Withdrawn
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