JP2004189735A - Limキナーゼ阻害作用を有する化合物を有効成分とする緑内障治療剤 - Google Patents

Limキナーゼ阻害作用を有する化合物を有効成分とする緑内障治療剤 Download PDF

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Abstract

【課題】
新たな作用機序を有する緑内障治療剤を見いだすこと。
【解決手段】
LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物は、線維柱帯細胞のアクチン脱重合を促進し、眼圧を下降させる。したがって、LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物は緑内障治療剤として非常に有用である。

【選択図】なし

Description

本発明はLIMキナーゼ阻害作用を有する化合物またはその塩を有効成分とする緑内障治療剤に関するものである。
緑内障は、種々の病因により眼圧が上昇し、眼球の内部組織(網膜、視神経等)が障害を受けることで失明に至る危険性のある難治性の眼疾患である。緑内障の治療方法としては、眼圧下降療法が一般的であり、その代表的なものとして薬物療法、レーザー治療法、手術療法等がある。
薬物療法には、交感神経刺激薬(エピネフリン等の非選択性刺激薬、アプラクロニジン等のα2刺激薬)、交感神経遮断薬(チモロール、ベフノロール、カルテオロール、ベタキソール等のβ遮断薬、塩酸ブナゾシン等のα1遮断薬、ニプラジロール等のαβ遮断薬)、副交感神経作動薬(ピロカルピン等)、炭酸脱水酵素阻害薬(アセタゾラミド等)、プロスタグランジン類(イソプロピルウノプロストン、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト等)などの薬物が使用されているが、より有用な化合物の開発に向けての研究開発が続けられている。
LIMキナーゼは、N末端側に二つのLIMドメインと一つのPDZドメインを、C末端側にプロテインキナーゼドメインを有するセリン/スレオニンキナーゼである。LIMキナーゼとしては、LIMK1、LIMK2等のサブタイプが知られており、Rac-PAK経路、Rho-ROCK経路、Cdc42-MRCK経路等の活性化に伴い、これらのLIMキナーゼが活性化され、アクチン脱重合因子であるコフィリンのリン酸化を介して、細胞の形態を支配するアクチン細胞骨格の再構築を制御していると考えられている。また、このLIMキナーゼは、遺伝病であるウィリアムス症候群の発症や癌細胞の浸潤、転移等に深く関与していると考えられている(非特許文献1、2参照)。
ところで、非特許文献3にはLIMキナーゼが培養ヒト線維柱帯細胞に存在することが開示されており、また、非特許文献4には、コフィリンのアミノ酸配列に基づき新に設計されたLIMキナーゼ阻害剤として、Met-Ala-Ser-Gly-Val-Ala-Val-Ser-Asp-Gly-Val-Ile-Lys-Val-Phe-Asn-Arg-Gln-Ile-Lys-Ile-Trp-Phe-Gln-Asn-Arg-Arg-Met-Lys-Trp-Lys-Lysが開示されている。しかし、その具体的な疾患に対する用途は全く開示されていない。
また、特許文献1または非特許文献5〜8には、LIMキナーゼ阻害作用を有すると予測される化合物、すなわち、2−(3,4−ジヒドロキシベンジリデン)マロノニトリル[AG 18]、2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)チオアクリルアミド[AG 213]、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロペノン[Butein]、2−シアノ−N−(3−(2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−アクリロイルアミノ)プロピル)−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド[AG 537]、3−ヒドロキシ−1−メトキシ−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2−カルボアルデヒド[Damnacanthal]、3−(6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イルアミノ)フェノール(WHI-P 180)等の化合物が記載されている。
一方、非特許文献9や非特許文献10には、線維柱帯細胞のアクチン脱重合を促進させることができれば、線維柱帯流出経路からの房水流出が促進されて、眼圧が下降することが示唆されている。
しかしながら、いずれの文献にも、LIMキナーゼ阻害作用と眼疾患の関係、また、LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物の眼科用途、線維柱帯細胞に対する作用、緑内障の治療効果等に関する記載は一切なされていない。
欧州特許第322738号明細書 実験医学 Vol.17、No.14(増刊)、1774〜1780頁(1999年)。 第60回 日本癌学会総会記事、演題番号395、164頁(2001年))。 IOVS., 42,1029-1037(2001)。 Mol. Cell. Biol.,22,774-783(2002)。 Ber.,44,3502-3505(1912) Molecular Pharmacology 45(4),673-683(1994) J.Pharm.Soc.Japan,76,1448-1449(1956) Pharmaceutical Research,16(1),117-122(1999) IOVS.,41,619-623(2000)。 IOVS.,16,47-53(1977)。
既に数多くの緑内障治療剤が医療の現場で使用されている。しかし、緑内障は種々の病因により発症する疾病である為、新たな作用機序を有する緑内障治療剤の研究開発が望まれている。
本発明者らは、新たな作用機序を有する緑内障治療剤を見出す為に鋭意研究を重ねた結果、LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物が、線維柱帯細胞のアクチン脱重合を促進し、眼圧を下降させることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は眼圧上昇を伴う眼疾患の治療やそれらの予防に好適に用いることができる。
LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物は、線維柱帯細胞におけるアクチン脱重合を促進し、眼圧下降作用を示す。したがって、LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物は緑内障治療剤として非常に有用である。
本発明はLIMキナーゼ阻害作用を有する化合物またはその塩を有効成分とする緑内障治療剤に関するものである。
本発明におけるLIMキナーゼ阻害作用を有する化合物とは、LIMキナーゼの活性を阻害する化合物またはコフィリンのリン酸化を抑制する化合物を意味する。例えば、LIMK1またはLIMK2の活性を阻害する化合物が挙げられ、具体的には、上記非特許文献4に記載のMet-Ala-Ser-Gly-Val-Ala-Val-Ser-Asp-Gly-Val-Ile-Lys-Val-Phe-Asn-Arg-Gln-Ile-Lys-Ile-Trp-Phe-Gln-Asn-Arg-Arg-Met-Lys-Trp-Lys-Lys[S3 Peptide]、上記特許文献1に記載の2−(3,4−ジヒドロキシベンジリデン)マロノニトリル[AG 18]および2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)チオアクリルアミド[AG 213]、上記非特許文献5に記載の3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロペノン[Butein]、上記非特許文献6に記載の2−シアノ−N−(3−(2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−アクリロイルアミノ)プロピル)−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド[AG 537]、上記非特許文献7に記載の3−ヒドロキシ−1−メトキシ−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2−カルボアルデヒド[Damnacanthal]、上記非特許文献8に記載の3−(6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イルアミノ)フェノール(WHI-P 180)等の化合物、好ましくは、Met-Ala-Ser-Gly-Val-Ala-Val-Ser-Asp-Gly-Val-Ile-Lys-Val-Phe-Asn-Arg-Gln-Ile-Lys-Ile-Trp-Phe-Gln-Asn-Arg-Arg-Met-Lys-Trp-Lys-Lys、2−シアノ−N−(3−(2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−アクリロイルアミノ)プロピル)−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アクリルアミドおよび3−ヒドロキシ−1−メトキシ−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2−カルボアルデヒドが例示される。
本発明におけるLIMキナーゼ阻害作用を有する化合物は、塩の形態をとっていてもよい。例えば、塩酸、硝酸等の無機酸との塩やシュウ酸、コハク酸、酢酸等の有機酸との塩、また、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩やカルシウム等のアルカリ土類金属との塩を挙げることができる。
さらに、本発明におけるLIMキナーゼ阻害作用を有する化合物は、水和物または溶媒和物の形態をとっていてもよい。
本発明における緑内障とは、原発性開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、房水産生過多緑内障、高眼圧症、急性閉塞隅角緑内障、慢性閉塞隅角緑内障、混合型緑内障、ステロイド緑内障、アミロイド緑内障、血管新生緑内障、悪性緑内障、水晶体の嚢性緑内障、台地状虹彩シンドローム(plateau iris syndrome)等を含む。
後述の薬理試験の項で詳細に説明するが、本発明者等は、LIMキナーゼを阻害すれば、コフィリンのリン酸化が抑制されて、線維柱帯細胞のアクチン脱重合が促進され、それに引き続き線維柱帯流出経路からの房水流出が増大して、眼圧が下降するとの仮説に基づき、以下の試験を行った。まず、ブタ線維柱帯組織におけるLIMキナーゼの発現の有無を検討し、次いで、LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物が、培養ブタ線維柱帯細胞におけるアクチン脱重合を促進するか否かについて検討した。その結果、ブタ線維柱帯組織にLIMキナーゼが発現していること、また、LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物が培養ブタ線維柱帯細胞においてアクチン脱重合を促進させることを見出した。また、上記特許文献1または上記非特許文献5〜8に記載された化合物、すなわち、2−(3,4−ジヒドロキシベンジリデン)マロノニトリル[AG 18]、2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)チオアクリルアミド[AG 213]、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロペノン[Butein]、2−シアノ−N−(3−(2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−アクリロイルアミノ)プロピル)−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド[AG 537]、3−ヒドロキシ−1−メトキシ−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2−カルボアルデヒド[Damnacanthal]、3−(6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イルアミノ)フェノール[WHI-P 180]がLIMキナーゼ阻害作用を有することを確認した。さらに、LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物が、実際に眼圧を下降させるか否かを確認する為に、LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物を日本白色ウサギの前房内に投与し、眼圧の変化について検討した。その結果、LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物が日本白色ウサギの眼圧を顕著に下降させることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物が、眼圧下降作用を示すことを見出し、その作用機序を明らかとした点に特徴があり、LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物の化学構造に制約されるものではない。また、眼圧下降効果の強弱も本発明の有用性に影響を与えるものではない。
LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物は、経口でも、非経口でも投与することができ、その投与剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、点眼剤、眼軟膏、注射剤等が挙げられ、特に点眼剤、注射剤が好ましい。
これらは汎用されている技術を用いて製剤化することができ、例えば点眼剤は、塩化ナトリウム、濃グリセリン等の等張化剤、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等の緩衝剤、ポリオキシエチレンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等の安定化剤、塩化ベンザルコニウム、パラベン等の防腐剤などを必要に応じて使用して、調製することができる。
pHは眼科製剤に許容される範囲であればよく、pH4〜8の範囲が好ましい。
投与量は、年齢、症状等により適宜選択できるが、点眼剤の場合には、0.0001〜10%(w/v)、好ましくは、0.001〜1%(w/v)のものを1日1回または数回に分けて点眼することができる。
また、本発明に係るLIMキナーゼ阻害作用を有する化合物は、他の緑内障治療剤と併用することもできる。
以下に製剤例および薬理試験の結果を示すが、これらの実施例は、本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
[製剤例]
本発明におけるLIMキナーゼ阻害作用を有する化合物としてMet-Ala-Ser-Gly-Val-Ala-
Val-Ser-Asp-Gly-Val-Ile-Lys-Val-Phe-Asn-Arg-Gln-Ile-Lys-Ile-Trp-Phe-Gln-Asn-Arg-Arg-Met-Lys-Trp-Lys-Lys(化合物1)を用いた点眼剤の一般的な製剤例を以下に示す。
点眼剤(100mL中)
化合物1 10mg
生理食塩水 適量
[薬理試験]
1.線維柱帯におけるLIMキナーゼ(LIMK1およびLIMK2)発現確認試験
ブタ線維柱帯組織を使用して、線維柱帯組織におけるLIMキナーゼの発現の有無を検討した。
1)試験方法
(1)ブタ眼(10眼)より摘出した線維柱帯組織にレムリサンプルバッファーを加えた後、同組織をホモジナイズし、線維柱帯組織のホモジネートを作成した。
(2)Nature,227,680-685(1970)に記載のLaemmliの方法に準じて、10%ポリアクリルアミドゲルを使用し、線維柱帯組織のホモジネートをSDS−PAGEにより分画した。
(3)SDS−PAGEにより分画された線維柱帯組織のホモジネートをPVDF膜(ポリビニリデンジフルオリド膜)に転写し、抗LIMK1抗体を使用してウェスタンブロッティングを行い、LIMK1の発現を確認した。
(4)抗LIMK1抗体を抗LIMK2抗体に代え、他は上記(1)〜(3)と同じ方法で試験し、LIMK2の発現を確認した。
2)結果および考察
図1にブタ線維柱帯組織におけるLIMK1発現確認試験の結果を、図2にブタ線維柱帯組織におけるLIMK2発現確認試験の結果をそれぞれ示す。
LIMK1およびLIMK2の分子量は約70kDaであることが、J.Biol.Chem., 270, 31321-31330 (1995)およびOncogene, 11, 701-710 (1995)に開示されている。図1および図2には、分子量が約70kDa付近に抗原抗体反応によるバンド(矢印で示すもの)が観察された。したがって、ブタ線維柱帯組織において、LIMキナーゼ(LIMK1およびLIMK2)が発現していることが確認された。
2.LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物(以下、LIMキナーゼ阻害剤とする)による線維柱帯細胞のアクチン脱重合確認試験
LIMキナーゼ阻害剤の線維柱帯に対する作用を確認するために、培養ブタ線維柱帯細胞をLIMキナーゼ阻害剤で処理した時の培養ブタ線維柱帯細胞のアクチン脱重合作用を検討した。尚、LIMキナーゼ阻害剤としては、Met-Ala-Ser-Gly-Val-Ala-Val-Ser-Asp-Gly-Val-Ile-Lys-Val-Phe-Asn-Arg-Gln-Ile-Lys-Ile-Trp-Phe-Gln-Asn-Arg-Arg-Met-Lys-Trp-Lys-Lys(化合物1)を使用した。
1)LIMキナーゼ阻害剤溶液の調製
LIMキナーゼ阻害剤をリン酸緩衝液に溶解して、濃度が2×10-4MのLIMキナーゼ阻害剤溶液を調製した。
2)試験方法
(1)ブタ線維柱帯組織より得た初代培養ブタ線維柱帯細胞をHam’s F-10培地に懸濁させて、3×104cell/cm2となるようコラーゲンタイプ1コートチャンバースライドに播種し、5%二酸化炭素雰囲気下、37℃で約1日培養した。
(2)Chariot (登録商標)Kitを用いて、LIMキナーゼ阻害剤濃度が2×10-5MとなるようにLIMキナーゼ阻害剤溶液およびHam’s F-10培地を培養ブタ線維柱帯細胞に添加し、先と同様の条件で培養を継続した。
(3)LIMキナーゼ阻害剤溶液の添加1時間後に最終濃度がLIMキナーゼ阻害剤 1×10-5M、リゾフォスファチジン酸 10μMとなるようにリゾフォスファチジン酸含有Ham’s F-10を累積添加し、先と同様の条件で培養を継続した。
(4)リゾフォスファチジン酸の添加1時間後に培養を終了し、培養ブタ線維柱帯細胞をIOVS.,42,1029-1037(2001)に記載のRao等の方法に準じて、F−アクチン染色を行った後、蛍光顕微鏡像を写真撮影した。
(5)LIMキナーゼ阻害剤溶液をリン酸緩衝液(最終濃度0.5%)に代え、他は上記(1)〜(4)と同じ方法で試験したものをコントロールとした。
尚、アクチン脱重合が促進するか否かは、アクチン重合が促進すると観察されるアクチンストレスファイバーの形成度合いを基準に判断した。
3)結果および考察
図3には、LIMキナーゼ阻害剤で処理した培養ブタ線維柱帯細胞のアクチンストレスファイバー染色像を、図4には、コントロール時の培養ブタ線維柱帯細胞のアクチンストレスファイバー染色像を試験結果として示す。
図3より、LIMキナーゼ阻害剤で処理した培養ブタ線維柱帯細胞には、アクチンストレスファイバーの形成はほとんどみられず、コンロール時の培養ブタ線維柱帯細胞にはアクチンストレスファイバーの顕著な形成が観察された。
このことから、LIMキナーゼを阻害することで、培養ブタ線維柱帯細胞において、アクチン脱重合が促進されていることが確認された。
3.LIMキナーゼ阻害作用確認試験
上記特許文献1に記載の2−(3,4−ジヒドロキシベンジリデン)マロノニトリル[AG 18、化合物2]および2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)チオアクリルアミド[AG 213、化合物3]、上記非特許文献5に記載の3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロペノン[Butein、化合物4]、上記非特許文献6に記載の2−シアノ−N−(3−(2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−アクリロイルアミノ)プロピル)−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アクリルアミド[AG 537、化合物5]、上記非特許文献7に記載の3−ヒドロキシ−1−メトキシ−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2−カルボアルデヒド[Damnacanthal、化合物6]、並びに上記非特許文献8に記載の3−(6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イルアミノ)フェノール[WHI-P 180、化合物7]のLIMキナーゼ阻害作用を検討した。
1)被験化合物溶液の調製
上記の各化合物を1〜100μMとなるように1%ジメチルスルホキシド含有トリスバッファーに溶解し、被験化合物溶液を調製した。
2)試験方法
(1)50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、1mMエチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)四酢酸、0.3%ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、0.1%2−メルカプトエタノール、15mM 塩化マグネシウム、100μMアデノシン三リン酸、5mM β−グリセロールリン酸、0.2 mM オルトバナジン酸(V)ナトリウム、12ng LIMK1(Upstate Biotechnology、#14-457)、1 μgコフィリン2(Upstate Biotechnology、#12-454)および被験化合物溶液を含む反応液(50 μL)を30℃、10分間反応させた。反応はレムリサンプルバッファーを50μL添加することにより終了させ、4℃で静置した。
(2)Nature, 227,680-685(1970)に記載のLaemmliの方法に準じて、12.5%ポリアクリルアミドゲルを使用し、反応生成物をSDS−PAGEにより分画した。
(3)SDS−PAGEにより分画された反応生成物をPVDF膜(ポリビニリデンジフルオリド膜)に転写し、抗リン酸化コフィリン抗体を使用してウェスタンブロッティングを行い、高感度ケミルミネッセンス法(ECL法)によりリン酸化コフィリンのバンドを検出した。
(4)リン酸化コフィリン量のバンド濃度をデンシトメーターで定量した。
(5)被験化合物の阻害作用(LIMキナーゼ活性阻害率)は被験化合物非添加時(コントロール)のバンド濃度との比較により次式に従って算出した。
LIMキナーゼ活性阻害率(%)
=100−(被験化合物添加時のバンド濃度)/(コントロール時のバンド濃度)×100
3)結果および考察
化合物2〜7のいずれの化合物も1〜100μMの範囲で、LIMキナーゼ阻害作用を有することが確認された。
4.眼圧下降効果試験
日本白色ウサギの前房内にLIMキナーゼ阻害作用を有する化合物(以下、LIMキナーゼ阻害剤とする)を投与することで、LIMキナーゼ阻害剤の眼圧下降効果を検討した。LIMキナーゼ阻害剤としては、化合物1、化合物5および化合物6を使用した。
1)LIMキナーゼ阻害剤溶液の調製
LIMキナーゼ阻害剤を基剤に溶解してpHを中性付近に調整し、下記表1に示す所望の濃度のLIMキナーゼ阻害剤溶液を調製した。
Figure 2004189735
2)投与および測定方法
(1)LIMキナーゼ阻害剤溶液の投与直前に0.4%塩酸オキシブプロカイン点眼液(商品名:ベノキシール0.4%液)をウサギの両眼に一滴ずつ点眼して局所麻酔し、眼圧を測定した。また、この眼圧を初期眼圧とした。
(2)LIMキナーゼ阻害剤溶液(20μl)をウサギの片眼に前房内投与した(対側眼は無処置)。
(3)LIMキナーゼ阻害剤溶液の前房内投与の2時間および4時間後に0.4%塩酸オキシブプロカイン点眼液(商品名:ベノキシール0.4%液)をウサギの両眼に一滴ずつ点眼して局所麻酔し、眼圧を測定した。
(4)LIMキナーゼ阻害剤溶液を基剤のみに代え、他は上記(1)〜(3)と同じ方法で試験をした。これをコントロールとした。
尚、眼圧は各3回測定し、その平均値を結果とした。また実験動物は、日本白色ウサギ(系統:JW、性別:雄性)を使用し、LIMキナーゼ阻害剤溶液投与群においては、一群5匹を、コントロール群においては、一群5あるいは6匹を使用した。
3)結果と考察
図5に化合物1の、図6に化合物5の、図7に化合物6の眼圧下降効果試験の結果を示す。眼圧は初期眼圧からの変化値を示す。以上の結果からLIMキナーゼ阻害剤が、眼圧を下降させることが明らかとなった。
以上、薬理試験1.〜4.の結果および背景技術より、LIMキナーゼを阻害すると、コフィリンのリン酸化が抑制されて、線維柱帯細胞のアクチン脱重合が促進され、線維柱帯流出経路からの房水流出が増加し、眼圧が下降することが理論的に明らかとなった。
ブタ線維柱帯組織におけるLIMK1の発現を示す図である。尚、レーン1は分子量マーカーの泳動図であり、その左の数値は、分子量マーカーの泳動位置を示す。 ブタ線維柱帯組織におけるLIMK2の発現を示す図である。尚、レーン1は分子量マーカーの泳動図であり、その左の数値は、分子量マーカーの泳動位置を示す。 培養ブタ線維柱帯細胞をLIMキナーゼ阻害剤で処理した時のアクチンストレスファイバーの形成度合いを示す蛍光顕微鏡像写真である。アクチンストレスファイバーの形成はほとんど確認できない。 培養ブタ線維柱帯細胞をLIMキナーゼ阻害剤で処理しない時(コントロール)のアクチンストレスファイバーの形成度合いを示す蛍光顕微鏡像写真である。アクチンストレスファイバーの形成が確認できる。 LIMキナーゼ阻害剤として、化合物1を使用した時の各投与群の眼圧の経時変化を示すグラフである。眼圧は初期眼圧からの変化値で示す。■はLIMキナーゼ阻害剤投与群、○はコントロール群を示す。 LIMキナーゼ阻害剤として、化合物5を使用した時の各投与群の眼圧の経時変化を示すグラフである。眼圧は初期眼圧からの変化値で示す。■はLIMキナーゼ阻害剤投与群、○はコントロール群を示す。 LIMキナーゼ阻害剤として、化合物6を使用した時の各投与群の眼圧の経時変化を示すグラフである。眼圧は初期眼圧からの変化値で示す。■はLIMキナーゼ阻害剤投与群、○はコントロール群を示す。

Claims (2)

  1. LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物またはその塩を有効成分とする緑内障治療剤。
  2. LIMキナーゼ阻害作用を有する化合物がMet-Ala-Ser-Gly-Val-Ala-Val-Ser-Asp-Gly-Val-Ile-Lys-Val-Phe-Asn-Arg-Gln-Ile-Lys-Ile-Trp-Phe-Gln-Asn-Arg-Arg-Met-Lys-Trp-Lys-Lysのアミノ酸配列で表されるペプチド、2−シアノ−N−(3−(2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−アクリロイルアミノ)プロピル)−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アクリルアミドおよび3−ヒドロキシ−1−メトキシ−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2−カルボアルデヒドからなる群より選択される化合物またはそれらの塩である請求項1記載の緑内障治療剤。
JP2003396474A 2002-11-27 2003-11-27 Limキナーゼ阻害作用を有する化合物を有効成分とする緑内障治療剤 Withdrawn JP2004189735A (ja)

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