JP2004188604A - 光学的立体造形装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】立体造形物を高い光エネルギー効率、高い造形精度、速い造形速度で、簡単で安価な装置によって生産性良く製造するための光学的立体造形装置及び光学的立体造形方法。
【構成】光源(光出射手段)、互いに別体の間隔をあけて対向配置した偏光分離素子と反射手段、1/2波長位相遅延素子、微小エリアでの遮光と透光可能な微小液晶シャッター(描画マスク)及び光硬化性樹脂組成物よりなる造形面の形成手段を備える光学的立体造形装置、該装置を用いる光学的立体造形方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学的立体造形装置、光学的立体造形方法および光学装置に関する。より詳細には、本発明は、光硬化性樹脂組成物を用いて、各種の立体造形物を、構造が簡単で且つ安価な装置を使用して、高い光エネルギー効率、高い造形精度および速い造形速度で、生産性良く製造することのできる光学的立体造形方法、そのための光学的立体造形装置、およびそれらに有効に用い得る光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、三次元CADに入力されたデータに基づいて光硬化性樹脂を硬化させて立体造形物を製造する光学造形方法および装置が実用化されている。この光造形技術は、設計の途中で外観デザインを検証するためのモデル、部品の機能性をチェックするためのモデル、鋳型を製作するための樹脂型、金型を製作するためのベースモデルなどのような複雑な三次元物体を容易に造形できる。
【0003】
光学造形方法によって造形物を製造するに当たっては、造形浴を用いる方法が汎用されており、その手順としては、造形浴に液状の光硬化性樹脂を入れ、液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御されたスポット状の紫外線レーザー光を選択的に照射して所定の厚みに光硬化させて硬化樹脂層を形成し、その硬化樹脂層を造形浴内で下方に移動させて造形浴内の光硬化性樹脂液を該硬化樹脂層上に流動させて光硬化性樹脂液の層を形成させ、その光硬化性樹脂液層にスポット状の紫外線レーザー光を照射して硬化樹脂層を形成し、前記の工程を所定の形状および寸法の立体造形物が得られるまで繰り返して行う方法が広く採用されている。
【0004】
しかしながら、スポット状の紫外線レーザー光を用いる上記した従来法による場合は、1個のスポット状レーザー光を光硬化性樹脂の表面に照射しながら移動させて面状の光硬化したパターンを形成するいわゆる点描方式であるため、造形に長い時間を要し、生産性が低いという問題がある。しかも、光源として用いられる紫外線レーザー装置は極めて高価であり、そのためこの種の光学的立体造形装置を高価格なものにしている。
【0005】
スポット状レーザー光を用いる上記した従来技術における問題点を解消し、造形速度を向上させることを目的として、スポット状レーザー光の代わりに、面状マスクを使用し、該面状マスクを介して、造形しようとする断面形状パターンに応じた光を光硬化性樹脂よりなる造形面に面状に照射して照射部分の光硬化性樹脂を面状に硬化させる光造形方法が開発されている。そして、面状マスクを用いるそのような光造形技術として、微小ドットエリアの透光および遮光が可能な液晶シャッターよりなる描画マスクを用いる方法が知られている(例えば特許文献1〜4参照)。
【0006】
周知のように、光はいくつもの振動面をもって振動しているが、光は、現象的には、図3に示すように、水平方向に振動面を有する振動波(偏光)(P波)と鉛直方向に振動面を有する振動波(偏光)(S波)に分離できる。
前記した特許文献1〜4などに記載されている従来の光学的立体造形装置では、その液晶シャッターよりなる描画マスクとして、通常の液晶ディスプレー装置などにおいて使用されているのと同様の液晶シャッターが用いられており、液晶シャッター入口側と出口側の両面に、2枚の偏光フィルム(偏光板)がその偏光方向を互いに直交させて配置されている。そのような液晶シャッターでは、光源などから照射された光は、入口側に配置した偏光フィルムによってその偏光フィルムと同じ偏光方向に偏光される。すなわち、前記したP波またはS波のうち、入口側の偏光フィルムの偏光方向と同じ方向に振動面を有するP波またはS波のいずれか一方の偏光のみが入口側の偏光フィルムを通して液晶へと導かれ、液晶内に入射した偏光は、電圧の負荷の有無や強弱によって生ずる液晶の配列状態と出口側に配置した偏光フィルムの偏光方向の協同によるマイクロスイッチ作用(オン・オフ作用)によって、液晶シャッターを通過するかまたは液晶シャッターでストップされ、それによって所定の面状マスク画像が形成され、該面状マスク画像に対応した所定の形状パターンの光が光硬化性樹脂よりなる造形面に照射されて、所定の光硬化した断面形状パターンが造形面に形成される。
【0007】
しかしながら、特許文献1〜4のなどの従来技術で用いられている液晶シャッターよりなる描画マスクを用いた場合には、液晶の入口側に配置した偏光フィルムによって、光源などから出射された光の光量が大幅に低下する。すなわち、入口側の偏光フィルムを通過した時点で、光量が通過前の約10〜30%にまで低減してしまい、光エネルギー効率が著しく低いものであった。特に、光学的立体造形で一般に用いられている紫外線は波長が短いために、偏光フィルムによって吸収され易く、それに伴って光量の低減が著しく、液晶シャッターの入口側に配置した偏光フィルムの通過後には通過前の約10%程度にまで光量が低下してしまうというのが現状であった。
そのため、特許文献1〜4などに記載されている従来技術による場合は、光硬化性樹脂よりなる造形面に照射される光の強度が不足し、光硬化性樹脂の硬化に時間を要し造形速度が低下したり、硬化が不十分になって造形精度が低下するなどの問題を生じていた。液晶シャッターよりなる描画マスクを用いるかかる従来技術において、造形精度や造形速度の低下などの問題を回避しようとする場合は、高エネルギーの光を照射しなければならず、そのためには高エネルギー光の照射が可能な高価な光源を使用する必要があり、エネルギー効率、コストなどの点で問題があった。
【0008】
一方、光学的立体造形装置ではないが、液晶シャッターを用いてなるプロジェクターなどの光学装置において、液晶シャッターの入口側に偏光フィルムを配置することに伴う上記した光量の低下を防止することを目的として、液晶の入口側に偏光フィルム(偏光板)を配置する代わりに、レンズアレイ、偏光分離素子(PS分離膜)、1/2波長位相遅延素子(1/2λ波長板)などを配置し、光源からの光をレンズアレイを用いて集光し、集光した光をPS分離膜を用いて振動方向が互いに直交する2つの偏光(X−Y面を振動面とするP波とX−Z面を振動面とするS波)に分離すると共に該2つに分離された偏光(P波またはS波)のうちの一方をPS分離膜を通し、もう一方を反射膜で反射させ、該2つの偏光のうちのいずれか一方の偏光方向を1/2波長位相遅延素子(1/2λ波長板)によって90°回転させて、2つの偏光の振動方向(偏光方向)を同一に揃えて液晶シャッターに供給するようにした、例えば図4に示すような光学装置が知られている。
【0009】
また、その外にも、液晶スイッチの入口側(上流側)に、回折格子などを用いた偏光分離素子、第1レンズアレイ、位相差板(波長位相遅延素子)、第2レンズアレイなどを順に配置して光源からの光の振動方向を同一に揃えて液晶スイッチに供給するようにした投写型投影装置(例えば特許文献5参照)や、光源からの光をレンズアレイを用いて集光し、それを方解石などの複屈折性結晶を通して常光と異常光に分離し、前記常光と異常光のうちの一方を1/2波長位相遅延素子によって90°回転させて両方の光の振動方向を同一に揃えて液晶ライトバルブ(液晶シャッター)に供給するようにした光学装置(例えば特許文献6参照)などが知られている。
【0010】
図4や特許文献5および6などに記載されている上記した従来技術の光学装置では、液晶シャッターに入射させる光の偏光を単一のものとするために偏光フィルムを用いずに、偏光分離素子(PS分離膜)または複屈折性結晶と、1/2波長位相遅延素子(1/2λ波長板)や位相差板などを用いているので、偏光フィルム(偏光板)を用いた場合のような光量の大きな低下を防止することができる。しかしながら、これら従来の光学装置は、偏光分離素子の上流側または下流側に高価なレンズアレイ(フライアイレンズ)を配置する必要があり、そのため光学装置が高価で、複雑になり、しかも設計や開発に労力や時間を要する。その上、特許文献5の光学装置で使用されている回折格子を用いた偏光分離素子は構造が複雑でしかも高価である。また、特許文献6の光学装置で使用されている方解石などの複屈折性結晶も高価であり、しかも大きなサイズのものが入手しにくいことから、液晶シャッターに供給する偏光(偏光の方向を一方向に揃えた偏光)の面積を大きくすることができない。そのため、図4、特許文献5および6のような従来の光学装置を光造形装置に使用した場合には、装置の複雑化や高額化を招き、また光硬化性樹脂よりなる造形面に大面積のマスク画像を投影することができず大型の造形物の製造が困難であるなどの問題を生ずる。
【0011】
【特許文献1】
特開昭62−288844号公報
【特許文献2】
特開平3−227222号公報
【特許文献3】
特開平7−2905789号公報
【特許文献4】
特開平8−112863号公報
【特許文献5】
特開平10−197827号公報
【特許文献6】
特開2000−180262号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光源などから出射される光の光量低下が少なく、高い光エネルギー効率で、小型の立体造形物から大型の立体造形物まで、高い造形精度で、しかも速い造形速度で、生産性良く製造することのできる光学的立体造形装置および光学的立体造形方法を提供することである。
さらに、本発明の目的は、紫外線レーザー、レンズアレイ、複屈折性結晶、結晶格子からなる偏光分離素子などのような高価な装置や手段を用いずに、簡単で安価な装置で、通常の紫外線ランプのような安価な光源を用いて、高い光エネルギー効率で、高い造形精度で且つ高速で立体造形物を生産性良く製造することのできる光学的立体造形装置および光学的立体造形方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、液晶シャッターよりなる描画マスクを介して光硬化性樹脂組成物の表面に光を照射して、所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を順次形成して立体造形物を製造する光学的立体造形装置および光学的立体造形方法において、光源または光出射部の下流側に、フライアイレンズ(レンズアレイ)などを配置することなく、構造のシンプルな、互いに別体の偏光分離素子と反射手段とを間隔をあけて直接対向配置して、光源からの光を前記偏光分離素子によって振動方向が互いに直交する2つの偏光に分離させ、その2つの偏光のうちの一方を偏光分離素子を通過させると共にもう一方の偏光を反射させ、偏光分離素子で反射された該もう一方の偏光を偏光分離素子とは別体に設けた前記反射手段で反射させてその光路を液晶シャッターよりなる描画マスクの方へと方向転換させ、さらにその下流に1/2波長位相遅延素子を配置して偏光分離素子を通過した前記一方の偏光または反射手段で反射させた前記もう一方の偏光のいずれか一方の振動方向を90°回転させて、2つの偏光の振動方向(偏光方向)を同一に揃え、振動方向(偏光方向)を同一(単一)になしたその偏光を液晶シャッターよりなる描画マスクに導くようにすると、高価な紫外線レーザー、フライアイレンズ(レンズアレイ)、高価な偏光分離素子や複屈折性結晶などを用いなくても、極めて簡単な装置で、光源からの光を90%以上の高い光量(光エネルギー強度)を維持しながら、単一の振動方向を有する単一の偏光形態で液晶シャッターを備えた描画マスクに導くことができ、それによって小型の立体造形物から大型の立体造形物まで、極めて良好な光エネルギー効率で、高い造形精度、速い造形速度で、生産性良く製造できることを見出した。
【0014】
さらに、本発明者らは、そのような光学的立体造形装置では、偏光分離素子として構造の簡単なプレート型偏光分離素子と構造の簡単な板状反射ミラーを使用することができ、プレート型偏光分離素子および板状反射ミラーは、いずれもサイズの小さなものから大きなものまで容易に作製や入手が可能であることから、製造しようとする立体造形物のサイズに応じて、液晶シャッターを介して造形面に投影される造形パターンの面積を小面積から大面積まで容易に調整できることを見出した。
また、本発明者らは、その際に、偏光分離素子や反射手段のサイズ、傾斜角度、間隔などを調整することによって、面状描画マスクを用いる光学的立体造形において従来問題となっていた、光硬化性樹脂組成物からなる造形面への造形装置の影の発生を防止することができ、造形精度が一層向上することを見出した。
さらに、本発明者らは、そのような光学的立体造形装置において、偏光分離素子−反射手段−1/2波長位相遅延素子の組み合わせを2組以上配置することによって、液晶シャッターに導入する単一の振動方向に揃えられた偏光束を、高い密度に保ちながら大面積化することが可能になり、それによって液晶シャッターを介してマスクパターンに対応した高密度で大面積の光を造形面に照射することができ、大型の立体造形物を高い寸法精度で効率よく製造できることを見出した。
【0015】
また、本発明者らは、そのような光学的立体造形装置において、光源(光出射手段)と偏光分離素子の間の位置、および偏光分離素子と反射手段の間の位置の少なくとも一方に、レンズなどの光平行化手段を配置して、平行光を偏光分離素子および/または反射手段に導くようにすると、偏光分離素子およびその下流に配置した1/2波長位相遅延素子や液晶シャッターを通過した光が均一な光束を形成し、その光束を投影レンズなどで一旦きちんと集光でき、それによって照度ムラのない均一な光を造形面に照射することができ、造形精度や強度などに優れる立体造形物が得られることを見出した。
さらに、本発明者らは、上記したような光学的立体造形装置において、1/2波長位相遅延素子と横並びの位置に、または1/2波長位相遅延素子と描画マスクの間の位置に、偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の照度と反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光の照度を均一化するための照度均一化手段を設けると、液晶シャッターよりなる描画マスクを通して造形面に照射される光の強度が均一化されて、造形精度に一層優れ、しかも強度などの力学的特性にも一層優れる立体造形物が得られることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0016】
すなわち、本発明は、
(1) 微小エリアでの遮光および透光が可能な複数の微小液晶シャッターからなる描画マスクを備える光学的立体造形装置であって、
(A)光源または光出射手段;
(B)光源または光出射手段から出射された光を振動方向が互いに直交する2つの偏光に分離し、該2つの偏光のうちの一方の偏光を通過させ、もう一方の偏光を反射させる偏光分離素子;
(C)偏光分離素子で反射させた前記もう一方の偏光を反射させてその光路を複数の微小液晶シャッターよりなる描画マスクに向かう方向へと変換させるための、前記偏光分離素子とは別体の反射手段;
(D)偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の光路または反射手段で反射させた前記もう一方の偏光の光路のいずれか一方に配置した、該一方の偏光と該もう一方の偏光の振動方向を同一に揃えるための1/2波長位相遅延素子;
(E)1/2波長位相遅延素子の下流側に配置した、微小エリアでの遮光および透光が可能な複数の微小液晶シャッターからなる描画マスク;および、
(F)光硬化性樹脂組成物よりなる造形面を形成する手段;
を有し、且つ互いに別体をなす前記偏光分離素子と前記反射手段を所定の間隔をあけて対向配置してなることを特徴とする光学的立体造形装置である。
【0017】
そして、本発明は、
(2) 偏光分離素子がプレート型偏光分離素子であり、反射手段が偏光分離素子とは別体の板状反射ミラーである前記(1)の光学的立体造形装置;
(3) 偏光分離素子−反射手段−1/2波長位相遅延素子の組み合わせを、1組または2組以上有する前記(1)または(2)の光学的立体造形装置;
(4) 光源または光出射手段と偏光分離素子との間の位置、および偏光分離素子と反射手段との間の位置の少なくとも一方に、光平行化手段を配置した前記した(1)〜(3)のいずれかの光学的立体造形装置;
(5) 1/2波長位相遅延素子と横並び位置にまたは1/2波長位相遅延素子と描画マスクの間に、偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の照度と反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光の照度を均一化するための照度均一化手段を有する前記(1)〜(4)のいずれかの光学的立体造形装置;および、
(6) 1/2波長位相遅延素子と描画マスクの間に集光レンズを有し、描画マスクと造形面との間に投影レンズを有する前記(1)〜(5)のいずれかの光学的立体造形装置;
である。
【0018】
さらに、本発明は、
(7) 光硬化性樹脂組成物からなる造形面に描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、該光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する操作を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する方法であって、
・描画マスクとして微小エリアでの遮光および透光が可能な液晶シャッターを有する描画マスクを使用し;
・光源または光出射口から出射された光を、気体雰囲気中に配置した偏光分離素子により振動方向が互いに直交する2つの偏光に分離し、偏光分離素子で分離された一方の偏光を偏光分離素子を通過させると共に、偏光分離素子で分離されたもう一方の偏光を、偏光分離素子と間隔をあけて対向配置した、偏光分離素子とは別体をなす反射手段で反射させて、該もう一方の偏光の光路を描画マスクに向かう方向へと変換させ;
・1/2波長位相遅延素子を用いて、偏光分離素子を通過した前記一方の偏光および反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光のいずれか一方の振動方向を90°回転させて、該一方の偏光と該もう一方の偏光の振動方向を同一に揃え;
・振動方向を同一に揃えた該一方の偏光および該もう一方の偏光を、液晶シャッターを有する描画マスクを介して光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に照射して、描画マスクのマスク画像に対応する所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成することを特徴とする光学的立体造形方法である。
【0019】
そして、本発明は、
(8) 光源または光出射手段と偏光分離素子との間の位置、および偏光分離素子と反射手段との間の位置の少なくとも一方に光平行化手段を配置して、光源または光出射手段から出射された光を平行光にして偏光分離素子に導くかおよび/または偏光分離素子で反射された前記もう一方の偏光を平行光にして反射手段に導くことからなる前記(7)の光学的立体造形方法;
(9) 1/2波長位相遅延素子と横並び位置にまたは1/2波長位相遅延素子と描画マスクの間に、偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の照度と反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光の照度を均一化するための照度均一化手段を配置して、描画マスクを介して造形面に照射される該一方の偏光の照度と該もう一方の偏光の照度を均一化する前記(7)または(8)の光学的立体造形方法;および、
(10) 1/2波長位相遅延素子によって振動方向を同一に揃えた前記一方の偏光と前記もう一方の偏光を集光レンズを通して描画マスクに供給すると共に、描画マスクを通った所定のマスク画像の光を投影レンズを通して造形面に照射する前記(6)〜(9)のいずれか1項に記載の光学的立体造形方法;
である。
【0020】
さらに、本発明は、
(11) 光を振動方向が互いに直交する2つの偏光に分離し、該2つの偏光のうちの一方の偏光を通過させ、もう一方の偏光を反射させる偏光分離素子;
偏光分離素子で反射させた前記もう一方の偏光を反射させてその光路を液晶シャッターに向かう方向へと変換させるための、偏光分離素子とは別体をなす反射手段;
偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の光路、または反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光の光路のいずれか一方に配置した1/2波長位相遅延素子;および、
微小エリアでの遮光および透光が可能な液晶シャッター;
を有し、互いに別体をなす前記偏光分離素子と反射手段を間隔をあけて対向配置してなることを特徴とする光学装置;
(12) 偏光分離素子がプレート型偏光分離素子であり、反射手段が偏光分離素子とは別体の板状反射ミラーである前記(11)の光学装置;
(13) 偏光分離素子−反射手段−1/2波長位相遅延素子の組み合わせを1組むまたは2組以上有する前記(11)または(12)のいずれか1項に記載の光学装置;および、
(14) 光源または光出射手段と偏光分離素子との間の位置、および偏光分離素子と反射手段との間の位置の少なくとも一方に、光平行化手段を配置した前記した(11)〜(13)のいずれか1項に記載の光学装置。
(15) 1/2波長位相遅延素子と横並び位置にまたは1/2波長位相遅延素子と液晶シャッターの間に、偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の照度と反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光の照度を均一化するための照度均一化手段を有する前記(11)〜(14)のいずれか1項に記載の光学装置;
である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明による光学的立体造形は、光硬化性樹脂組成物の表面に描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施し、該光硬化性樹脂組成物の表面(造形面)に描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する操作を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する造形操作を採用して行われ、本発明の光学的立体造形装置はそのような光学的立体造形技術において用いるものである。
【0022】
前記した本発明の造形操作は、一般に、液状の光硬化性樹脂組成物を充填した造形浴中に造形テーブルを配置し、造形テーブルを下降させることによって造形テーブル面に1層分の液状の光硬化性樹脂組成物層(造形面)を形成させ、それに描画マスクを介して制御下に光を照射して所定のパターンおよび厚みを有する光硬化した樹脂層(以下「光硬化層」ということがある)を形成した後、造形テーブルを更に下降させて該光硬化層面に1層分の液状の光硬化性樹脂組成物層を形成させて描画マスクを介して制御下に光を照射して所定のパターンおよび厚みを有する光硬化層を一体に積層形成する工程を繰り返して行う、造形浴法を採用して行うことができる。
【0023】
また、前記した本発明の造形操作は、例えば、気体雰囲気中に造形テーブルを配置し、その造形テーブル面に1層分の液状、ペースト状、粉末状または薄膜状の光硬化性樹脂組成物を施して描画マスクを介して制御下に光を照射して所定のパターンおよび厚みを有する光硬化層を形成した後、該光硬化層面に1層分の液状、ペースト状、粉末状または薄膜状の光硬化性樹脂組成物を施して前記描画マスクを介して制御下に光を照射して所定のパターンおよび厚みを有する光硬化層を一体に積層形成する工程を繰り返して行う方法を採用して行うこともできる。この方法による場合は、造形テーブルまたは光硬化層を上向きにしておき、その上面に光硬化性樹脂組成物を施し描画マスクを介して光照射して光硬化層を順次積層形成してゆく方式を採用してもよいし、造形テーブルまたは光硬化層を垂直または斜めに配置しておいて造形テーブル面または光硬化層面上に光硬化性樹脂層を施し描画マスクを介して光照射して光硬化層を順次積層形成してゆく方式を採用してもよいし、或いは造形テーブルまたは光硬化層を下向きに配置しておいて造形テーブル面または光硬化層面に光硬化性樹脂層組成物を施し描画マスクを介して光照射して順次下方に光硬化層を積層形成してゆく方式を採用してもよい。造形テーブル面または光硬化層面へに光硬化性樹脂組成物を施すに当たっては、例えば、ブレード塗装、流延塗装、ローラー塗装、転写塗装、ハケ塗り、スプレー塗装などの適当な方法を採用することができる。
【0024】
本発明では、上記した光造形操作を行うに当たって、描画マスクとして、微小エリアでの遮光および透光が可能な複数の微小液晶シャッターを備えた描画マスク(以下これを「液晶描画マスク」ということがある)を用いる。そして、液晶描画マスクの上流側(入口側)に、(A)光源または光出射口、(B)偏光分離素子、(C)反射手段、および(D)1/2波長位相遅延素子を、(A)〜(D)の順で配置する。
前記偏光分離素子と反射手段は、互いに別体をなし、偏光分離素子と反射手段とは所定の間隔をあけて対向配置してある。
1/2波長位相遅延素子の下流側には、液晶描画マスクを配置してあり、液晶描画マスクによって形成された所定のマスク画像を通して、造形面形成装置によって形成された光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に所定のパターン形状の光が照射されて、造形面に所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層が形成される。
【0025】
何ら限定されるものではないが、以下に本発明の光学的立体造形装置および光学的立体造形方法の基本的な構成について図を参照して説明する。
図1は、偏光分離素子−反射手段−1/2波長位相遅延素子の組み合わせを1組配置した光学的立体造形装置の例を示したものであり、図2は偏光分離素子−反射手段−1/2波長位相遅延素子の組み合わせを2組配置した光学的立体造形装置の例を示したものである。
図1および図2において、1は光源または光源からの光の出射口(光出射口)、2,2a,2bは偏光分離素子、3,3a,3bは反射手段、4,4a,4bは1/2波長位相遅延素子、5は液晶描画マスク、6は光硬化性樹脂組成物よりなる造形面、7は光平行化手段、8は照度均一化手段、9は集光レンズ、10は投影レンズを示す。
【0026】
図1および図2に例示した本発明の光学的立体造形装置においては、光源または光出射口1から出射された光は、光平行化手段7によって平行光にされる。その際の光平行化手段7としては、球面レンズ、非球面レンズ、フレネルレンズなどの各種レンズやプリズムなどのような周知の光平行化手段が用いられる。
光平行化手段7によって平行にされた光(平行光)は、偏光分離素子2,2a,2bによって、振動方向が互いに直交する2つの偏光(P波とS波)に分離される(図1および図2ではP波を実線でS波を点線で示してある)。
分離された2つの偏光(P波とS波)のうちの一方の偏光は偏光分離素子2,2a,2bを通過して下流側(液晶描画マスク5の方向)に進み(図1および図2ではP波が通過する場合を例示)、残りのもう一方の偏光(図1および図2ではS波)は偏光分離素子2,2a,2bとは別体に対向配置した反射手段3,3a,3bで反射されて、下流側に配置した液晶描画マスク5の方向へと方向転換させられる。
【0027】
図1および図2では、光源または光出射口1と、偏光分離素子2,2a,2bとの間に光平行化手段7を配置しているが、光平行化手段7を、偏光分離素子2,2a,2bと反射手段3,3a,3bとの間に配置して(この場合は図1および図2では縦方向に配置することになる)、偏光分離素子2,2a,2bで反射されたもう一方の偏光(図1および図2ではS波)を光平行化手段7によって平行光にして反射手段3,3a,3bへと導くようにしてもよい。そのうちでも、図1および図2に示すように、光平行化手段7は、光源または光出射口1と偏光分離素子2,2a,2bとの間に配置するのが、装置全体が簡略にでき、しかも投影レンズ10によって集光(結像)をきちんと行うことができて照度ムラのない光を造形面6に照射できることから好ましい。
但し、光平行化手段7を用いなくても投影レンズ10などによる集光(結像)が円滑に行われる場合や光線の平行があまり問題にならない場合(例えば光源または光出射手段1と造形面との間の距離が違い場合、造形物のサイズが小さい場合、投影レンズに十分な大きさがある場合など)には、光平行化手段7を省略することができる。
【0028】
本発明の光学的立体造形装置で用いる偏光分離素子2,2a,2bは、光源などから出射された光の2つの偏光(P波とS波)への分離率が高く、しかも一方の偏光を高率で通過させ且つもう一方の偏光を高率で反射させることのできる、反射手段とは別体をなす偏光分離素子であればいずれでもよい。そのうちでも、本発明では偏光分離素子2,2a,2bとして、安価で、しかも取り扱い性に優れているプレート型偏光分離素が好ましく用いられる。本発明で好ましく用いられるプレート型偏光分離素子としては、例えば、ガラス板、透明プラスチック板などの透明板に誘電媒質よりなる偏光分離膜を積層したもの、偏光ビームスプリッターなどを挙げることができる。そのようなプレート型偏光分離素子は既に市販されており、本発明では製造しようとする立体造形物のサイズなどに応じて、従来市販のプレート型偏光分離素子から適当なものを選んで使用することができる。また、場合によっては、本発明のためにプレート型偏光分離素子などを別途作製してもよい。
【0029】
偏光分離素子2,2a,2bと間隔をあけて対向配置する反射手段3,3a,3bとしては、例えば、反射ミラー、プリズムなどを用いることができる。偏光分離素子2,2a,2bとしてプレート型偏光分離素子を用いた場合は、板状反射ミラーのような板状の反射手段を用いるの好ましい。
使用する偏光分離素子2,2a,2bのサイズ(面積)、光源からの光または光出射口1から出射された光の進行方向(光路)に対する偏光分離素子2,2a,2bの配置角度(傾斜角度)などは、光の強さ、偏光分離素子2,2a,2bの偏光分離性能、光源(光出射口)と偏光分離素子2,2a,2bとの間の距離、液晶描画マスクの面積、製造しようとする立体造形物のサイズなどに応じて調整することができる。一般的には、図1および図2に示すような光学的立体造形装置においては、偏光分離素子2,2a,2bの配置角度θは40°〜50°、特に42°〜48°であることが好ましく、前記配置角度であると、偏光分離素子(プレート型偏光分離素子)の偏光分離性能が高くなる。
【0030】
偏光分離素子2,2a,2bと反射手段3.3a,3bとの間隔、および反射手段3,3a,3bの傾斜角度は、偏光分離素子2,2a,2bで反射されたもう一方の偏光(図1および図2ではS波)の光路を、確実に且つ効率よく、下流側に配置されている液晶描画マスクの方向に転換させることができ、しかも反射手段3,3a,3bで反射された後のS波の光路と、偏光分離素子2,2a,2bを通過した後のP波の光路とが、1/2波長位相遅延素子4,4a,4bに至るまでは互いに交じり合わないような間隔および傾斜角度にする必要があり、偏光分離素子2,2a,2bのサイズや傾斜角度などに応じて設定するとよい。
偏光分離素子2,2a,2bを透過した一方の偏光(図1と図2ではP波)と、反射手段3,3a,3bで反射させられたもう一方の偏光(図1と図2ではS波)との光路が1/2波長位相遅延素子4,4a,4bに到達する前に交じり合うと、1/2波長位相遅延素子4,4a,4bで一方またはもう一方の偏光の振動方向のみを90°回転させることができなくなり、1/2波長位相遅延素子4,4a,4bを通った光は、互いに振動方向が直交する偏光の交じり合ったものとなってしまう。
なお、図1および図2では、偏光分離素子2,2a,2bで分離された2つの偏光(P波とS波)のうち、P波が偏光分離素子2,2a,2bを通過し、S波が反射手段3,3a,3bで反射されるものとして図示しているが、それに限定されるわけではなく、S波が偏光分離素子2,2a,2bを通過し、P波が反射手段3,3a,3bで反射されても勿論構わない。
【0031】
本発明の光学的立体造形で使用する光源の種類は特に制限されず、光学的立体造形で使用され得る光源であればいずれでもよく、例えば、キセノンランプ、メタルハライドランプ、水銀灯、蛍光灯、ハロゲンランプ、白熱ランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、LDレーザー(半導体励起固体レーザー)などを挙げることができる。特に、本発明による場合は、スポット状の光を造形面に照射する光学的立体造形法で従来用いられてきたレーザー光装置のような高価な光源を使用せずに、キセノンランプ、メタルハライドランプ、水銀灯、蛍光灯、ハロゲンランプ、白熱ランプなどのような安価な汎用の光源を使用することができ、そのために、光学的立体造形装置を安価で使用し易いものとすることができる。光源の形状、大きさ、数も特に制限されず、描画マスクの形状や寸法、形成しようとする光硬化断面形状パターンの形状やサイズなどに応じて適宜選択することができ、光源は、例えば、点状、球状、棒状、面状であってもよいし、また点状や球状の光源を描画マスクの背部側に直接状に一列または複数列で配置してもよい。
さらに、光源からの光を偏光分離素子に直接供給する代わりに、光源からの光を光ファイバー、ライトガイドやその他の光伝達手段を通してロットレンズなどの光出射口に導き、その光を偏光分離素子に供給する(導く)ようにしてもよい。また、造形速度の向上のために複数の光源を用いて集光し光エネルギーを高くさせる方式を採ってもよい。特に光ファイバーやライトガイドなどを使用する場合は複数光源を集光させ易いというメリットがある。
【0032】
上記において、偏光分離素子2,2a,2bを通過した一方の偏光(図1と図2ではP波)と反射手段3,3a,3bで反射されたもう一方の偏光(図1と図2ではS波)とは、その光路がいずれも液晶描画マスク5の方向に向かう光路となっているが、P波とS波とはその振動方向は未だ直交状態になっているので、反射手段3,3a,3bで反射されたS波の光路または偏光分離素子2,2a,2bを通過したP波の光路のいずれかに、1/2波長位相遅延素子4,4a,4bを配置して、P波またはS波のいずれかの振動方向を90°回転させて、2つの偏光の振動方向(偏光方向)を同一に揃える。図1および図2の装置では、反射手段3,3a,3bで反射されたS波の光路に1/2波長位相遅延素子4,4a,4bを配置して、S波の振動方向を90°回転させてS波をP波に変えて、2つの偏光をP波にする(P波にした偏光が液晶描画マスク5に供給される)場合について記載している。しかし、それに限定されず、偏光分離素子2,2a,2bを通過したP波の光路に1/2波長位相遅延素子4,4a,4bを配置してP波の振動方向を90°回転させてP波をS波に変えて2つの偏光をS波に揃え、S波にした偏光を液晶描画マスク5に供給されるようにしても勿論構わない。
【0033】
偏光分離素子2,2a,2bにおける一方の偏光(図1と図2ではP波)の通過率、反射手段3,3a,3bによるもう一方の偏光(図1と図2ではS波)の反射率などによっては、1/2波長位相遅延素子4,4a,4bでもう一方の偏光(図1と図2ではS波)を90°回転させてその振動方向を該一方の偏光(図1と図2ではP波)の振動方向と同一に揃えたときに、振動方向は揃っていても照度に差があることがある。そのような場合には、下流側に設けた液晶描画マスクを通して造形面に照射される光の強度が均一でなくなり、光硬化速度や硬化状態に斑を生じ、強度や造形精度に優れる立体造形物を得ることが困難になる。そのため、照射(光の強度)にそのような差が生ずる場合は、例えば、図1および図2に示すように、1/2波長位相遅延素子4,4a,4bと横並びにの位置、または場合にはよっては1/2波長位相遅延素子4,4a,4bと液晶描画マスク5との照度均一化手段8を配置して、液晶描画マスク5に導かれる偏光(P波またはS波の一方の振動方向に揃えた単一の偏光)の照度(光の強度)が均一になるようにすることが望ましい。
【0034】
1/2波長位相遅延素子4,4a,4bを用いて振動方向を単一の方向に揃えた偏光を、液晶描画マスク5に直接導くか、または図1に示すように場合により集光レンズ9などによって集光した後に液晶描画マスク5に導く。本発明の光学的立体造形装置で用いられる液晶描画マスク5は、その入口側に光量の大きな低下をもたらす従来汎用の偏光フィルムを有しておらず、上記した偏光分離素子2,2a,2b、反射手段3,3a,3bおよび1/2波長位相遅延素子4,4a,4bによって、当初の90%以上の高い光量を維持したままで単一の振動方向を有する偏光として、液晶描画マスク5に効率よく導かれる。
液晶内に導かれた単一の振動方向を有する偏光は、液晶描画マスク5において、電圧の負荷の有無や強弱によって生ずる液晶の配列状態と液晶描画マスク5の出口側に配置した偏光フィルム(図1および図2では液晶描画マスク5の出口側に配置した偏光フィルムの図示を省略)の偏光方向の協同によるマイクロスイッチ作用(オン・オフ作用)によって形成される所定の面状マスク画像を通して、所定の形状パターンに光が、光硬化性樹脂よりなる造形面6に照射されて、光照射された箇所の樹脂が硬化し、所定の光硬化した断面形状パターンの硬化層が造形面に形成される。
【0035】
上記において、液晶描画マスク5と光硬化性樹脂組成物よりなる造形面6との間に、投影レンズ10などを配置して、液晶描画マスク5を通して出射された所定のマスク画像光を投影レンズ10で結像(集光)してから造形面6に照射するようにすると、照度ムラがなく、しかもより鮮明が光硬化層を形成させることができ、立体造形物の造形精度や強度が一層向上する。
【0036】
マイクロスイッチ作用(オン・オフ作用)によって所定の描画マスク画像を形成させるための液晶描画マスク5の形状、構造、サイズ、画素数、種類などは特に制限されず、入口側(単一の振動方向に揃えた偏光の導入側)に偏光フィルム(偏光板)が配置されておらず、出口側(光の導出側)にのみ偏光フィルム(偏光板)を配置した液晶描画マスク、出口側(光の導出側)にビームスプリッターを配置した液晶描画マスクなどであって、所望のマスク画像を形成し得る微小液晶シャッターを有する液晶描画マスクであればいずれも使用できる。
液晶描画マスク5は、例えば、長方形、正方形、横方向に長い短冊形、またはその他の形状を有していてもよい。
液晶描画マスク5でのマスク画像の形成方式としては、例えば、形成されるべきマスク画像に関する情報を予めコンピューターなどに記憶させておき、その情報に応じて、造形時の各層ごとに液晶描画マスク5によるマスク画像を変化させる方式などを採用することができる。
【0037】
本発明では、偏光分離素子2,2a,2bのサイズ(面積等)、傾斜角度、光源または光出射口からの設置距離、照明を行う光学系などを調整することによって、製造しようとする立体造形物のサイズや形状などに応じて、小さな面積から広い面積にわたるマスク画像を形成させることができる。
特に、本発明において、図2に例示するように、偏光分離素子−反射手段−1/2波長位相遅延素子の組み合わせを2組以上配置した場合には、液晶描画マスクに面積の大きく且つ密度の高い単一偏光束を導入することが可能になり、それに対応して大面積(多画素数)の液晶描画マスクを用いることによって、精度の高い大面積のマスク画像の形成が可能になり、大型の立体造形物を高い造形精度で、円滑に、しかも簡単に製造することができる。
図2の光学的立体造形装置では、偏光分離素子2a−反射手段3a−1/2波長位相遅延素子4aの組み合わせと、偏光分離素子2b−反射手段3b−1/2波長位相遅延素子4bの組み合わせの2組を対称に配置し、それによって液晶描画マスク5に、密度の高い、大面積の単一の振動方向を有する偏光束が供給されるようになっている。
【0038】
さらに、本発明では、偏光分離素子2,2a,2b、反射手段3,3a,3bの大きさ、傾斜角度、両者の間隔、光源や光出射口1と偏光分離素子2,2a,2bとの距離などを調整することによって、液晶描画マスクを用いる上記特許文献1〜4に記載されているような従来の光学的立体造形技術で生じていたような、造形面で照度ムラの発生を防ぐことができ、かかる点からも、造形精度を向上させることができる。
【0039】
本発明の光学的立体造形装置を用いて立体造形を行うに当たっては、光源または光源からの光の出射口(光出射口)1、偏光分離素子2,2a,2b、反射手段3,3a,3b、1/2波長位相遅延素子4,4a,4b、液晶描画マスク5などの装置は固定した状態にしておいて、光造形時に光硬化性樹脂組成物の1層ごとに液晶描画マスク5で形成されるマスク画像に対応するパターンの光を光硬化性樹脂組成物よりなる造形面6に照射してもよいし、または光源または光源からの光出射口1、偏光分離素子2,2a,2b、反射手段3,3a,3b、1/2波長位相遅延素子4,4a,4b、液晶描画マスク5、光平行化手段7、照度均一化手段8などの装置を光硬化性樹脂組成物よりなる造形面6に対して連続的に移動させ、その際に液晶描画マスク5によるマスク画像も移動に合わせて動的に変化させながら光硬化性樹脂組成物よりなる造形面6にマスク画像に対応する光を照射して光硬化性樹脂を硬化させながら造形を行ってもよい。
【0040】
本発明の光学的立体造形装置および光学的立体造形方法による場合は、単一の振動方向に揃えられた偏光の光量、すなわち液晶描画マスク5に導入される時点での偏光の光量(光の強さ、照度など)が、光源や光出射口から出射される光の光量(光の強さ、照度など)の90%以上に維持される。そして、かかる90%以上という高い光量維持率は、光源や光出射口から出射される光が、光学的立体造形において広く用いられている短波長の紫外線であっても殆ど変わらないので、本発明による場合は、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に液晶描画マスク5で形成されるマスク画像に対応した所定のパターンを有する高エネルギーの光を照射することができ、それによって寸法精度、外観、力学的特性に優れる立体造形物を、速い造形速度で生産性よく製造することができる。
【0041】
本発明で用いる光硬化性樹脂組成物の種類は特に制限されず、光造形に用い得る液状、ペースト、粉末状、薄膜状などの光硬化性樹脂組成物のいずれもが使用できる。
本発明では、光硬化性樹脂組成物として、光造形において従来から用いられている、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、エステルアクリレートオリゴマー、多官能エポキシ樹脂などの各種オリゴマー;イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルメタクリレート、ジシクロペタニルアクリレート、ジシクロペタニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、モルホリンアクリルアミド、モルホリンメタクリルアミド、アクリルアミドなどのアクリル系化合物やN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレンなどの各種の単官能性ビニル化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ポリエステルジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなど多官能性ビニル化合物;水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどの各種エポキシ系化合物などの1種または2種以上と、光重合開始剤および必要に応じて増感剤などを含有するの光硬化性樹脂組成物を用いることができる。
また、本発明で用いる光硬化性樹脂組成物は、上記した成分以外にも、必要に応じて、レベリング剤、リン酸エステル塩系界面活性剤以外の界面活性剤、有機高分子改質剤、有機可塑剤などを含有していてもよい。
【0042】
本発明で用いる光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、固体微粒子やウィスカーなどの充填材を含有していてもよい。充填材を含有する光硬化性樹脂組成物を用いると、硬化時の体積収縮の低減による寸法精度の向上、機械的物性や耐熱性の向上などを図ることができる。
充填材として用いる固体微粒子としては、例えば、カーボンブラック微粒子などの無機微粒子、ポリスチレン微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリプロピレン微粒子、アクリル樹脂微粒子、合成ゴム微粒子などの有機重合体微粒子などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。固体微粒子の粒径は特に制限されないが、一般的には平均粒径が200μm以下、特に100μm以下のものが好ましく用いられる。
【0043】
また、ウィスカーとしては、径が0.3〜1μm、特に0.3〜0.7μm、長さが10〜70μm、特に20〜50μmおよびアスペクト比が10〜100、特に20〜70μmのものが好ましく用いられる。なお、ここで言うウイスカーの寸法およびアスペクト比は、レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した寸法およびアスペクト比である。ウイスカーの種類は特に制限されず、例えば、ホウ酸アルミニウム系ウイスカー、酸化アルミニウム系ウイスカー、窒化アルミニウム系ウイスカー水、酸化硫酸マグネシウム系ウイスカー、酸化チタン系ウイスカーなどを挙げることができ、前記したウイスカーの1種または2種以上を用いることができる。
【0044】
固体微粒子および/またはウィスカーを含有する光硬化性樹脂組成物を用いる場合は、固体微粒子を光硬化性樹脂組成物の全容量に基づいて5〜70容量%の割合で含有することが好ましく、またウィスカーの含有量を5〜30容量%とすることが好ましい。固体微粒子とウィスカーの両方を含有する場合は両者の合計含有量が光硬化層の全容量に基づいて10〜75容量%であることが好ましい。固体微粒子および/またはウィスカーは、シランカップリング剤で表面処理されていても表面処理されていなくてもよいが、表面処理されていることが好ましい。固体微粒子および/またはウイスカーがシランカップリング剤で表面処理されている場合には、熱変形温度、曲げ弾性率、機械的強度の一層高い光硬化物を得ることができる。その場合のシランカップリング剤としては、充填剤の表面処理などに従来から用いられているシランカップリング剤のいずれもが使用でき、好ましいシランカップリング剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシランおよび(メタ)アクリルシランを挙げることができる。
【0045】
本発明の装置および方法は、上記したように、光硬化性樹脂組成物を用いて立体造形物を製造する光学的立体造形技術において特に好ましく用いられる。
しかしながら、上記した偏光分離素子(すなわち光を振動方向が互いに直交する2つの偏光に分離し、該2つの偏光のうちの一方の偏光を通過させ、もう一方の偏光を反射させる偏光分離素子)、反射手段(すなわち偏光分離素子で反射させた前記もう一方の偏光を反射させてその光路を液晶シャッターに向かう方向へと変換させるための偏光分離素子とは別体に且つ偏光分離素子とは間隔をあけて設けた反射手段)、1/2波長位相遅延素子(すなわち偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の光路、または反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光の光路のいずれか一方に配置した1/2波長位相遅延素子)および微小エリアでの遮光および透光が可能な液晶シャッターを有する液晶描画マスクを備える本発明の光学装置は、その高い光量(光強度)の維持率、偏光への変換率、簡便さ、低コストなどの優れた特性から、光学的立体造形以外にも、例えば、プロジェクター、大型テレビ、半導体製造装置などにおける光学装置としても有効に用いることができる。
【0046】
【実施例】
以下に実施例などによって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。
【0047】
《実施例1》
(1) 図1に示す光学的立体造形装置を使用した。
その際に、光源として超高圧水銀ランプを用い、光出射口(ロッドレンズ)1での光強度を均一度80%に調整して用いた。また、光平行化手段7としてフレネルレンズを用いた(光出射口1の先端と光平行化手段7の距離=5cm)。光出射口1の下方にプレート型偏光分離素子2(シグマ光機社製;サイズ=12cm×8cm)を傾斜させて配置し(傾斜角度θ=45°、光出射口1の先端とプレート型偏光分離素子2の中心点との距離=15cm)、プレート型偏光分離素子2に対して6.5cmの間隔をあけて板状反射ミラー3(シグマ社製;サイズ=12cm×12cm)を傾斜させて配置した。また、板状反射ミラー3の下端に、図1に示すように、1/2波長位相遅延素子4(帝人株式会社製「ピュアエース」)を水平に配置し、一方プレート状偏光分離素子2の下端に、図1に示すように、照度均一化手段(NDフィルタ)8(シグマ社製)を配置した。1/2波長位相遅延素子4から1cm離れた下方位置に集光レンズ9(日本特殊光学社製;フレネルレンズ)を配置し、その直下に液晶描画マスク5(画素数=640ドット×480ドット)を配置した。液晶描画マスク5から45cm離れた下方位置に投影レンズ10を配置し、投影レンズ10から22.5cm離れた下方位置に、光硬化性樹脂組成物(帝人製機株式会社製「TSR−754」)を用いて常法(造形浴方式)により造形面6を形成させた。
【0048】
(2) 前記(1)の光学的立体造形装置を用いて、前記液晶描画マスク5により形成された所定のマスク画像に対応する形状パターンの光を、1層ごとの造形面6への照射時間1秒で、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に照射し、積層していく方式を採用して光造形を行って造形物(縦×横×厚さ=65mm×50mm×50mm)を製造した。造形に要した合計時間は40分であった。
これにより得られた造形物は、外観が良好で、寸法精度に優れ、しかも硬化ムラがなく、強度に優れるものであった。
(3) 上記(1)の光学的立体造形装置において、液晶描画マスク5に導入される直前での単一の振動方向に偏光方向を揃えた偏光(P波)束の光強度(照度)を測定したところ6mW/cmであり、光出射口1から出射された光の強度(照度)の92%が維持されていた。
【0049】
《比較例1》
(1) 実施例1で用いたプレート型偏光分離素子2、光平行化手段7、板状反射ミラー3、1/2波長位相遅延素子4および照度均一化手段(NDフィルタ)8を使用せずに、実施例1で使用したのと同じ光源および光出射口(ロッドレンズ)1を使用し、光出射口(ロッドレンズ)1から20cm離れた下方位置に実施例1で使用したのと同じ集光レンズ9を配置し、その直下に、光の導入側および導出側の両方に偏光フィルムを配置した液晶描画マスク(画素数=640ドット×480ドット)を配置した。該液晶描画マスクから45cm離れた下方位置に実施例1で使用したのと同じ投影レンズ10を配置し、投影レンズ10から22.5cm離れた下方位置に、実施例1で使用したのと同じ光硬化性樹脂組成物を用いて同様にしてにより造形面6を形成させた。
(2) 前記(1)の光学的立体造形装置を用いて、前記液晶描画マスクによって実施例1におけるのと同様の所定のマスク画像を形成させて該マスク画像に対応する形状パターンの光を1層ごとの造形面6に照射して、その操作を繰り返して実施例1におけるのと同じ形状および寸法の造形物(縦×横×厚さ=65mm×50mm×50mm)を製造した。この比較例1では、1層分の造形面を光硬化させるのに要する光の照射時間は6秒であり、そのため造形物の製造に要した合計造形時間は90分であり、実施例1に比べて要照射時間が大幅に長く、それに伴って造形速度が実施例1に大幅に低いものであった。
【0050】
【発明の効果】
本発明による場合は、フライアイレンズ(レンズアレイ)、高価で複雑な偏光分離素子や複屈折性結晶などを用いずに、構造が簡単でしかも安価な、互いに別体のプレート型偏光分離素子などの偏光分離素子と反射ミラーなどの反射手段を間隔をあけて対向配置させ、その下流側に1/2波長位相遅延素子を配置することで、光源からの光を90%以上の高い光量(光強度)を維持しながら、単一の振動方向を有する偏光に変換させて液晶描画マスクに導入することができ、それによって小型の立体造形物から大型の立体造形物まで、極めて良好な光エネルギー効率で、しかも高い造形精度、速い造形速度で、生産性良く製造することができる。特に、本発明による場合は、光エネルギーとして短波長の紫外線を用いた場合にも、光量(光強度)の低下がなく、前記した90%以上の高い光量(光強度)の維持が可能であるため、高価な紫外線レーザーを用いなくても、汎用の安価な紫外線出射光源を用いて、寸法精度、力学的特性、外観などに優れる立体造形物を円滑に製造することができる。
【0051】
本発明による場合は、上記した偏光分離素子や反射手段のサイズ、傾斜角度、間隔などを調整することによって、液晶描画マスクを用いる光学的立体造形において従来問題となっていた熱硬化性樹脂組成物からなる造形面への造形装置の影の発生を防止することができ、造形精度を一層向上させることができる。
さらに、学的立体造形装置において、偏光分離素子−反射手段−1/2波長位相遅延素子の組み合わせを2組以上配置したものでは、液晶描画マスクに高密度で且つ大面積の単一の振動方向を有する偏光束を導入することが可能になり、それによって大型の立体造形物を高い造形精度で且つ速い造形速度で生産性よく製造することができる。
そして、本発明の光学的立体造形装置において、光源または光出射手段と偏光分離素子との間の位置および偏光分離素子と反射手段との間の位置の少なくとも一方に光平行化手段を配置したものでは、また1/2波長位相遅延素子と横並びの位置にまたは1/2波長位相遅延素子と描画マスクの間に、偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の照度と反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光の照度を均一化するための照度均一化手段を設けたものでは、液晶描画マスクに導入する単一の振動方向に揃えられた偏光の照度を均一化することができ、それによって造形精度に一層優れ、しかも強度などの力学的特性に一層優れる立体造形物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学的立体造形装置の一例を示した図である。
【図2】本発明の光学的立体造形装置の別の例を示した図である。
【図3】光の偏光方向を説明するための図である。
【図4】従来の光学装置の一例を示した図である。
【符号の説明】
1 光源または光出射口
2 偏光分離素子
2a 偏光分離素子
2b 偏光分離素子
3 反射手段
3a 反射手段
3b 反射手段
4 1/2波長位相遅延素子
4a 1/2波長位相遅延素子
4b 1/2波長位相遅延素子
5 液晶描画マスク
6 造形面
7 光平行化手段
8 照度均一化手段
9 集光レンズ
10 投影レンズ

Claims (15)

  1. 微小エリアでの遮光および透光が可能な複数の微小液晶シャッターからなる描画マスクを備える光学的立体造形装置であって、
    (A)光源または光出射手段;
    (B)光源または光出射手段から出射された光を振動方向が互いに直交する2つの偏光に分離し、該2つの偏光のうちの一方の偏光を通過させ、もう一方の偏光を反射させる偏光分離素子;
    (C)偏光分離素子で反射させた前記もう一方の偏光を反射させてその光路を複数の微小液晶シャッターよりなる描画マスクに向かう方向へと変換させるための、前記偏光分離素子とは別体の反射手段;
    (D)偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の光路または反射手段で反射させた前記もう一方の偏光の光路のいずれか一方に配置した、該一方の偏光と該もう一方の偏光の振動方向を同一に揃えるための1/2波長位相遅延素子;
    (E)1/2波長位相遅延素子の下流側に配置した、微小エリアでの遮光および透光が可能な複数の微小液晶シャッターからなる描画マスク;および、
    (F)光硬化性樹脂組成物よりなる造形面を形成する手段;
    を有し、且つ互いに別体をなす前記偏光分離素子と前記反射手段を所定の間隔をあけて対向配置してなることを特徴とする光学的立体造形装置。
  2. 偏光分離素子がプレート型偏光分離素子であり、反射手段が偏光分離素子とは別体の板状反射ミラーである請求項1に記載の光学的立体造形装置。
  3. 偏光分離素子−反射手段−1/2波長位相遅延素子の組み合わせを、1組または2組以上有する請求項1または2に記載の光学的立体造形装置。
  4. 光源または光出射手段と偏光分離素子との間の位置、および偏光分離素子と反射手段との間の位置の少なくとも一方に、光平行化手段を配置した請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学的立体造形装置。
  5. 1/2波長位相遅延素子と横並び位置にまたは1/2波長せ位相遅延素子と描画マスクの間に、偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の照度と反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光の照度を均一化するための照度均一化手段を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学的立体造形装置。
  6. 1/2波長位相遅延素子と描画マスクの間に集光レンズを有し、描画マスクと造形面との間に投影レンズを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学的立体造形装置。
  7. 光硬化性樹脂組成物からなる造形面に描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、該光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に描画マスクを介して制御下に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する操作を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する方法であって、
    ・描画マスクとして微小エリアでの遮光および透光が可能な液晶シャッターを有する描画マスクを使用し;
    ・光源または光出射口から出射された光を、気体雰囲気中に配置した偏光分離素子により振動方向が互いに直交する2つの偏光に分離し、偏光分離素子で分離された一方の偏光を偏光分離素子を通過させると共に、偏光分離素子で分離されたもう一方の偏光を、偏光分離素子と間隔をあけて対向配置した、偏光分離素子とは別体をなす反射手段で反射させて、該もう一方の偏光の光路を描画マスクに向かう方向へと変換させ;
    ・1/2波長位相遅延素子を用いて、偏光分離素子を通過した前記一方の偏光および反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光のいずれか一方の振動方向を90°回転させて、該一方の偏光と該もう一方の偏光の振動方向を同一に揃え;
    ・振動方向を同一に揃えた該一方の偏光および該もう一方の偏光を、液晶シャッターを有する描画マスクを介して光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に照射して、描画マスクのマスク画像に対応する所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成することを特徴とする光学的立体造形方法。
  8. 光源または光出射手段と偏光分離素子との間の位置、および偏光分離素子と反射手段との間の位置の少なくとも一方に光平行化手段を配置して、光源または光出射手段から出射された光を平行光にして偏光分離素子に導くかおよび/または偏光分離素子で反射された前記もう一方の偏光を平行光にして反射手段に導くことからなる請求項7に記載の光学的立体造形方法。
  9. 1/2波長位相遅延素子と横並び位置にまたは1/2波長位相遅延素子と描画マスクの間に、偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の照度と反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光の照度を均一化するための照度均一化手段を配置して、描画マスクを介して造形面に照射される該一方の偏光の照度と該もう一方の偏光の照度を均一化する請求項8に記載の光学的立体造形方法。
  10. 1/2波長位相遅延素子によって振動方向を同一に揃えた前記一方の偏光と前記もう一方の偏光を集光レンズを通して描画マスクに供給すると共に、描画マスクを通った所定のマスク画像の光を投影レンズを通して造形面に照射する請求項6または7に記載の光学的立体造形方法。
  11. 光を振動方向が互いに直交する2つの偏光に分離し、該2つの偏光のうちの一方の偏光を通過させ、もう一方の偏光を反射させる偏光分離素子;
    偏光分離素子で反射させた前記もう一方の偏光を反射させてその光路を液晶シャッターに向かう方向へと変換させるための、偏光分離素子とは別体をなす反射手段;
    偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の光路、または反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光の光路のいずれか一方に配置した1/2波長位相遅延素子;および、
    微小エリアでの遮光および透光が可能な液晶シャッター;
    を有し、互いに別体をなす前記偏光分離素子と反射手段を間隔をあけて対向配置してなることを特徴とする光学装置。
  12. 偏光分離素子がプレート型偏光分離素子であり、反射手段が偏光分離素子とは別体の板状反射ミラーである請求項11に記載の光学装置。
  13. 偏光分離素子−反射手段−1/2波長位相遅延素子の組み合わせを1組むまたは2組以上有する請求項11または12に記載の光学装置。
  14. 光源または光出射手段と偏光分離素子との間の位置、および偏光分離素子と反射手段との間の位置の少なくとも一方に、光平行化手段を配置した請求項11〜13のいずれか1項に記載の光学装置。
  15. 1/2波長位相遅延素子と横並び位置にまたは1/2波長位相遅延素子と液晶シャッターの間に、偏光分離素子を通過した前記一方の偏光の照度と反射手段で反射させられた前記もう一方の偏光の照度を均一化するための照度均一化手段を有する請求項11〜14のいずれか1項に記載の光学装置。
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