JP2004188565A - 切削液装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加工室10で使用された後にベッド1に設けた穴8から流れ落ちた切削液をポンプ13で汲み上げ、切削液タンク7の上方に設けた放熱路11に送り込み、放熱路11を通った切削液を切削液タンク7に流し込んだ。放熱路11は複数の流路及び放熱フィン11aを有し、ポンプ13により送り込まれた切削液を外気との間で熱交換させて放熱させた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械の切削液を循環させる切削液装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
旋盤やマシニングセンタ等の工作機械においては、切削加工の際に生じる熱によって加工物や工具が高温になるため、これらを冷却したり切粉が加工物などに堆積しないようにするために、切削液を使用して冷却及び切粉の流し落としをしている。切削液は、例えば旋盤の場合は、図3に示すように機械下部に設置された切削液タンク7に貯蔵され、ポンプ等で循環させていた。
【0003】
図3は、旋盤の主軸の軸方向から見た概略図であり、ベッド1の左側上面に主軸台2が固設され、主軸台2より主軸が突出されてチャック3が固設され加工物を保持できるようになっている。主軸台2右側のベッド1上面に設けられたレール1aにはサドル4が載置され、サドル4上には主軸の径方向に摺動可能に刃物台5が載置されている。そして、刃物台5側面にはタレット6が回転可能に突出され、タレット6の外周面上に切削工具を固定できるようになっている。主軸台2下部のベッド1には、切粉や切削液などを排出するための穴8があり、穴8から排出された切粉や切削液はベッド1下部に設置された切削液タンク7に回収される。なお、チャック3、切削工具を設けたタレット6は加工室10内に配置されている。
【0004】
図3の構成の旋盤で切削加工を行った場合に、工具や加工物に発生する熱は切削液で冷却することで、切削液の温度は上昇する。温度上昇した切削液はベッド1に設けた穴8より切削液タンク7に回収される。そのため、加工室10にて使用され温度が上昇した切削液は、外気と熱交換されることなく切削液タンク7内の切削液と混合される。そして、切削液タンク7内の切削液温度は、元のタンク内の温度と加工室10から回収された切削液温度とで平均化される。
一方、切削液タンク7では、外気に触れている液面から外気と切削液との熱交換がされているが、切削液タンク7内での切削液の流れは緩やかで液面の乱れがないため、外気との接触面積は切削液タンク7の液面の面積以上にはならないため、熱交換の効率は高くない。
【0005】
そのため、切削量が比較的多い重切削加工の場合は、切削時の発熱が多いうえに高温となった切粉が大量に発生するため、切削液が高温となる。このため、図3に示すような旋盤の場合、図示左側の切削液がかかる前面側ベッド温度が、図示右側の切削液がかからない背面側ベッド温度よりも高くなり、ベッド1の温度が不均一になって、ベッドの熱変形が生じていた。
また、切削量が比較的少ない軽切削加工の場合は、切削時の発熱が殆どないが、室温が変化した場合は、図3に示すような旋盤の場合、図4の温度特性図に示すように、切削液温度Bの変化速度が切削液のかからない背面側ベッド温度Dの変化速度よりも遅くなる。そのため、室温が上昇する場合は前面側ベッド温度Cよりも背面側ベッド温度Dの方が高くなる傾向があるし、室温が降下する場合は背面側ベッド温度Dよりも前面側ベッド温度Cの方が高くなる傾向がある。その結果、ベッド部の温度が不均一になって、ベッド1の熱変形が生じていた。
【0006】
このように、室温変化がある場合に、切削液温度の変化速度が切削液のかからない背面側ベッド温度の変化速度よりも遅くなる原因の1つは、図3に示すような切削液タンク7では切削液が外気に触れる面積が小さいため、切削液と外気との熱交換があまり行われず、室温変化よる背面側ベッド温度の変化速度よりも切削液温度の変化速度の方が遅くなることが上げられる。また、重切削加工時に切削液温度が高くなった場合においても、図3に示すような切削液タンクでは、切削液から外気への放熱が少なく、切削液温度がより高くなると考えられる。
このような原因による工作機械の熱変形の防止策として、切削液の温度を調整する温度調整装置を設け、切削液温度を室温または機体温度と同調させる切削液装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
実開昭56−137933号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記温度調整装置はセンサ、クーラなどが必要なため高価であるし、常に制御する必要があるため、温度調整装置を稼働するための余分なエネルギーを必要とする、という不具合がある。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、センサやクーラ等の機器を使用することなく、切削液の温度を調整して工作機械の熱変形を抑制する切削液装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、工作機械の加工室に、切削液を貯めた切削液タンクから切削液を循環させて供給する切削液装置であって、加工室で使用された切削液を前記切削液タンクに戻す途中に流路を設け、前記流路の少なくとも一部に、流路を流れる切削液と外気との間で熱交換を実施する熱交換手段を備えて成ることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、熱交換手段は、放熱フィン付き流路であることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、熱交換手段は、盆状に切削液タンク上部を覆うように設け、切削液タンクに切削液を送り込む連通孔を有する盆状流路であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る切削液装置の一例を示し、上記図3の構成の旋盤に本発明の切削液装置を適用した旋盤の概略図を示している。図1において、11は切削液の熱を放熱するための放熱路、11aは放熱路に形成された放熱フィン、13は切削液を汲み上げるポンプであり、放熱路11は切削液タンク7の上方に複数並列に設けられ、個々の放熱路11にはそれぞれ複数の放熱フィン11aが流路の裏側に形成されている。
加工室10内で使用された切削液は、ベッド1の穴8から排出され、ベッド1の下に設けた流路12よりポンプ13周囲に集められ、ポンプ13により放熱路11の上部に運ばれる。放熱路11に上げられた切削液は放熱路11を流れてからタンク7に回収される。なお、上記図3と同一の旋盤構成部材には同一に符号を付与し、説明を省略する。
【0012】
このように構成した切削液装置を設けた旋盤にて切削加工を行った場合、切削加工の際に生じる熱により、加工室10内で使用された切削液は温度上昇するが、放熱フィン11aを設けた放熱路11にて外気と熱交換され、切削液タンク7に回収される。そして、この放熱路11の熱交換は、切削液タンク7に回収される前であるため、切削液タンク7内の切削液と混合した場合よりも高い温度で行われ、外気と熱交換する切削液の熱交換効率を高くできる。また、フィン11aによって外気との接触面積も大きくなるため、熱交換は効率良く実施される。
【0013】
このように、加工室10と切削液タンク7の間に流路を設け、その流路に熱交換手段として放熱フィン11aを備えた放熱路11を設けたものであるから、センサやクーラを使用せず、安価な、そして簡易な装置によって、切削液と外気との熱交換を効率よく行うことが可能となる。また、切削液温度を常に室温に近づけるため、切削液温度を室温と同じように変化させることができ、機体の切削液がかかる部分と切削液がかからない部分の温度差を小さくすることが可能となる。その結果,機体温度が不均一になることで生じるねじれや傾きといった熱変形を抑えることができる。
尚、図1では放熱路11を複数並列に設けているが、1本の流路を折り曲げるように形成し、長く形成しても良く、放熱路全体が長ければ1本でも複数でも良い。また、放熱路11の切削液流路は単に上方が解放された流路であっても良いし、周囲が閉塞された筒状流路であっても良い。更に、上方が解放された流路にあっては、放熱フィン11aが流路上面(流路側)に設けられても良い。
【0014】
図2は、本発明の第2の実施形態を示し、熱交換手段として、切削液タンク7の上部を覆う広さを有し、周囲に壁面を設けて盆状に形成された盆状流路14が設けられている。加工室10から流れ出た切削液は、穴8より盆状流路14に落下し、盆状流路14を流れて切削液タンク7に連通した孔14aから落下してタンク7に回収される。
このように構成した旋盤で切削加工を行った場合、切削加工の際に生じる熱を奪って温度が上昇した切削液は、盆状流路14の上面にて広域に広がって適度に液面に乱れを生じて流れる。その結果、外気との接触面積が大きくなり、外気と良好に熱交換されてから切削液タンク7に回収される。
尚、切削液の流れ出る穴8と切削液タンクに流れ落ちる孔14aとは充分離れた位置に形成されている。また、盆状流路14は孔14aに向けて緩やかな下り傾斜を設けても良い。
【0015】
このように、流路の幅を広げた盆状流路を設けても、切削液が広域に広がることで切削液タンク7に回収される前に外気と十分に熱交換され、切削液温度を外気温度に近づけることができる。しかも、上記第1実施形態と同様に切削液タンク7内の切削液と混合した場合の温度よりも高い状態で熱交換するので、効果的に熱交換される。また、ポンプや別途流路を設ける必要がないので熱交換手段を簡単な構造にできる。
【0016】
尚、上記第1の実施形態においては、放熱フィン11aに更にファンを用いて風を当てて強制空冷させても良い。また、第2の実施形態の盆状流路にフィンを設けても良いし、更に、強制空冷としても良い。更に、放熱路11と盆状流路14の双方を設けて構成しても良い。
また、何れの実施形態も旋盤について説明したが、他の工作機械に対しても適用できることは言うまでもない。
【0017】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、切削液の流路で形成した熱交換手段を備えるので、安価な装置により切削液と外気との間で熱交換を行わせることができ、切削液温度を室温と同じように変化させることが可能となる。その結果、機体の切削液がかかる部分と切削液がかからない部分の温度差を小さくすることが可能となり,機体温度が不均一になることで生じるねじれや傾きといった熱変形を抑えることができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加えて、放熱面積が大きいので、効果的に熱交換できる。
請求項3の発明によれば、請求項1の効果に加えて、熱交換手段を簡単な構造にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の切削液装置の第1実施形態を示し、切削液装置を備えた旋盤の概略図である。
【図2】本発明の切削液装置の第2実施形態を示し、切削液装置を備えた旋盤の概略図である。
【図3】従来の切削液装置を備えた旋盤の概略図である。
【図4】図3の切削液と各部の温度変化を示す温度特性図である。
【符号の説明】
1・・ベッド、7・・切削液タンク、8・・穴、10・・加工室、11・・放熱路、11a・・放熱フィン、12・・流路、13・・ポンプ、14・・盆状流路。
Claims (3)
- 工作機械の加工室に、切削液を貯めた切削液タンクから切削液を循環させて供給する切削液装置であって、
加工室で使用された切削液を前記切削液タンクに戻す途中に流路を設け、前記流路の少なくとも一部に、流路を流れる切削液と外気との間で熱交換を実施する熱交換手段を備えて成ることを特徴とする切削液装置。 - 熱交換手段は、放熱フィン付き流路である請求項1の記載の切削液装置。
- 熱交換手段は、盆状に切削液タンク上部を覆うように設け、切削液タンクに切削液を送り込む連通孔を有する盆状流路である請求項1の記載の切削液装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002362909A JP2004188565A (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 切削液装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002362909A JP2004188565A (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 切削液装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004188565A true JP2004188565A (ja) | 2004-07-08 |
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ID=32761222
Family Applications (1)
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JP2002362909A Pending JP2004188565A (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 切削液装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004188565A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006035337A (ja) * | 2004-07-23 | 2006-02-09 | Murata Mach Ltd | クーラントタンク |
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2002
- 2002-12-13 JP JP2002362909A patent/JP2004188565A/ja active Pending
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