JP2004188511A - 微細溝加工方法及び微細溝形状加工品並びに成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】工具の先端が摩耗し難く、長時間に亘り多数の溝の加工を容易且つ迅速に行うことができる微細溝加工方法及び微細溝形状加工品並びに成形品を提供する。
【解決手段】単結晶ダイヤモンド工具1を用いて加工物2を切削する加工方法において、単結晶ダイヤモンド工具1上に作製された微細溝4を加工物2に転写させることにより微細溝3の加工を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】単結晶ダイヤモンド工具1を用いて加工物2を切削する加工方法において、単結晶ダイヤモンド工具1上に作製された微細溝4を加工物2に転写させることにより微細溝3の加工を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は微細溝加工方法及び微細溝形状加工品並びに成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
単結晶ダイヤモンド工具を用いて加工物を切削する加工方法は従来から行われている。従来の加工方法を図11、図12に示す。図11は工具により加工物に溝形状を加工している状態を示す正面図、図12は先端が丸くなった工具により溝形状を加工する状態を示す正面図である。図中、11は先端を尖らせた工具、12は加工物、13は加工された溝を示す。またPは溝13のピッチを示している。
溝13の加工を行う際は、工具11によって1本の溝13の加工を行った後、ピッチP分だけ工具11を移動させ、その次の溝13を加工するということを順次繰り返して溝形状を作製する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の加工方法の場合、溝13のピッチPが1μm以上の溝加工を行う場合は特に問題が無いが、溝13のピッチPが小さくなるにつれて、図12に示すように、加工する溝13のサイズに対して、工具13の先端半径Rを無視できなくなるため、ピッチPに応じて、工具1の先端半径Rを小さくする必要があるが、先端半径Rが小さくなるにつれ、工具11が短時間で磨耗してしまうため、多数の溝13の加工を行うことが困難になる。
また、仮に溝13のピッチを0.3μmとした場合、10mmの幅に溝を刻むには、3万本以上の溝13の加工を行うことが必要となる。1本の溝加工を1分間で行えるとしても加工時間は500時間以上にもなる。さらに、加工時間が長くなることにより、環境の変化の影響も大きくなるため、大変困難な加工となる。またさらに、図11に示す方法では、溝13のピッチPが小さくなると、工具11の先端半径Rが溝形状に影響を与えるようになる。また、工具磨耗や加工時間が多くなることから多数の溝加工には適さない。
本発明は上述の実情に鑑み、工具の先端が摩耗し難く、長時間に亘り多数の溝の加工を容易且つ迅速に行うことができる微細溝加工方法及び微細溝形状加工品並びに成形品を提供することを目的としてなしたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の微細溝加工方法は、単結晶ダイヤモンド工具を用いて加工物を切削する加工方法において、単結晶ダイヤモンド工具上に作製された微細溝を加工物に転写させることにより微細溝の加工を行うことを最も主要な特徴とする。
請求項2の微細溝加工方法は、集束イオンビームを用いて単結晶ダイヤモンド工具に微細溝の加工を行うことを主要な特徴とする。
請求項3の微細溝加工方法は、レーザーを用いて単結晶ダイヤモンド工具に微細溝の加工を行うことを主要な特徴とする。
請求項4の微細溝加工方法は、単結晶ダイヤモンド工具上に溝加工を行った後、工具のすくい面の再研磨を行ってから単結晶ダイヤモンド工具を微細溝加工に用いることを主要な特徴とする。
請求項5の微細溝加工方法は、単結晶ダイヤモンド工具に微細溝加工を施した部分以外が、加工面に形成される微細溝に干渉しないようにするため、単結晶ダイヤモンド工具上の微細溝形成部以外を除去することを主要な特徴とする。
請求項6の微細溝加工方法は、フライカットによって微細溝加工を行うことを主要な特徴とする。
請求項7の微細溝加工方法は、シェーパによって微細溝加工を行うことを主要な特徴とする。
請求項8の微細溝加工方法は、旋削によって微細溝加工を行うことを主要な特徴とする。
請求項9の微細溝形状加工品は、単結晶ダイヤモンド工具上に作製された微細溝を加工物に転写させることにより微細溝の加工を行う微細溝加工方法によって加工されたことを主要な特徴とする。
請求項10の成形品は、単結晶ダイヤモンド工具上に作製された微細溝を加工物に転写させることにより微細溝の加工を行う微細溝加工方法によって加工された微細溝形状加工品によって成形されたことを主要な特徴とする。
【0005】
請求項1の微細溝加工方法によれば、1度に複数の溝の加工を行うことができるため、短時間に溝加工を行うことができ、また、工具の磨耗も抑制することができる。
請求項2の微細溝加工方法によれば、溝の加工に集束イオンビームを用いることにより、ピッチサイズが100nm以下の微細溝の加工を行うことができる。
請求項3の微細溝加工方法によれば、溝の加工にレーザーを用いることにより短時間で溝の加工を行うことができる。
請求項4の微細溝加工方法によれば、単結晶ダイヤモンド工具に溝加工を行う際に変質した部分の除去を行うことができるため、工具のエッジを鋭利にすることができる。
請求項5の微細溝加工方法によれば、溝を形成している幅だけ工具をピッチ方向に移動させることにより、溝を形成している幅以上の溝加工が可能になる。
請求項6の微細溝加工方法によれば、フライカットで溝加工を行うことにより高精度な溝加工を行うことができる。
請求項7の微細溝加工方法によれば、シェーパ加工で溝加工を行うことにより短時間で多数の溝加工を行うことができる。
請求項8の微細溝加工方法によれば、旋削によって溝加工を行うことにより同心円状の溝加工を行うことができる。
請求項9の微細溝形状加工品によれば、高精度な微細溝形状を作製することができ、請求項10の成形品によれば、作製した溝形状で成形を行うことにより高精度な微細溝形状の成形品を作製できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は微細溝加工方法に適用する単結晶ダイヤモンド工具と加工物の正面図である。図1中、1は先端に多数の微細溝4が並列に形成された単結晶ダイヤモンド工具、2は加工物、3は加工物2上に加工された多数の微細溝を示している。
加工物2上の微細溝3は、単結晶ダイヤモンド工具1上の微細溝4を転写させることによって創製される。ここで、転写とは、切削加工時に単結晶ダイヤモンド工具1上の微細溝4の形状と凹凸が反転した微細溝3の形状が加工物2に形成されることである。転写の際、単結晶ダイヤモンド工具1上の微細溝4と加工物2上の微細溝3では溝の凹凸形状が反転した関係となる。
図2(a)は微細溝が形成される前のダイヤモンド工具先端部の斜視図、図2(b)は微細溝が形成されたダイヤモンド工具先端部の斜視図である。図2(a)、図2(b)中、5は単結晶ダイヤモンド工具1のすくい面、6は単結晶ダイヤモンド工具1の逃げ面を示している。図2(b)に示すように微細溝4は単結晶ダイヤモンド工具1の逃げ面6(図2(a)参照)上に作製される。
【0007】
図3(a)、図3(b)、図3(c)は単結晶ダイヤモンド工具の先端部の側面図である。逃げ面6に微細溝4を作製する際に、図3(a)に示すようにすくい面5と逃げ面6とが交わる部分7が微細溝加工時のダメージにより、丸くなってしまい、単結晶ダイヤモンド工具1の切れ味が劣化する場合がある。この場合図3(b)に示すように、すくい面5側から単結晶ダイヤモンド工具1を研磨して、図3(b)の斜線部分Xを除去することにより、図3(c)に示すように、エッジの鋭い単結晶ダイヤモンド工具1として再生することができる。
図4(a)、図4(b)は単結晶ダイヤモンド工具を逃げ面方向から見た正面図である。図4(a)で単結晶ダイヤモンド工具1に対して微細溝加工を行い、図4(b)のような微細溝4の形状を得る。この場合、図4(b)の符号8で示すように、単結晶ダイヤモンド工具1の端部に、溝形状の無い部分ができる。
図5(a)、図5(b)は端部に溝形状では無い部分がある単結晶ダイヤモンド工具により、溝加工を行っている様子を示す正面図である。単結晶ダイヤモンド工具1はn番目の溝加工を行った後、工具の位置をピッチ方向に移動させn+1番目の溝加工を行う。この場合、溝形状で無い部分が加工した溝形状に干渉してしまうため、丸Yで囲んだように溝では無い部分ができてしまう。これに対して、図5(b)に示すように、工具溝形状では無い部分を除去して加工を行うことにより、単結晶ダイヤモンド工具1をピッチ方向に送りながら加工する方法においても、溝形状では無い部分の発生を抑えることができる。
図6はフライカットにより微細溝の切削加工を行っている様子を示す斜視図である。図6において、9は微細溝を加工した領域、10はホイールを示している。図中、前記図示例と同一のものには同一の符号が付してある。外周面から単結晶ダイヤモンド工具1を突出させたホイール10を図6の矢印イ方向へ回転させると共に矢印ロ方向へ移動させながら、単結晶ダイヤモンド工具1により加工物2の溝加工を行う。ホイール10を回転させることにより、工具1の先端部が加工物2に接している間のみ切削が行われるため、矢印イ方向への移動速度は切削抜けが発生しない程度に遅くなる。フライカットの場合、切り込み量を小さくすることができるため、高精度の溝加工を行うことができる。
【0008】
図7はシェーパで加工している様子を示す斜視図である。シェーパ加工の場合、単結晶ダイヤモンド工具1を高速で矢印ハ方向へ移動させつつ加工物2を加工するため、短時間に多数の溝加工を行うことができる。9は微細溝を加工した領域である。
図8はフライカットおよびシェーパ加工により加工物に作製した溝形状を示す斜視図である。図に示すように、加工物2には微細溝3が平行に並ぶ形状となる。
図9は旋削によりローラ状の加工物の一端面に同心円状に溝形状の加工を行っている様子を示す斜視図である。図中、10は単結晶ダイヤモンド工具である。また、図中、前記図示例と同一のものには同一の符号が付してある。
図10(a)、(b)は旋削によって加工物に加工された溝形状を示し、図10(a)は溝形状の斜視図、図10(b)は図10(a)のZ−Z断面図である。旋削で加工した場合、加工物2に形成される微細溝3の断面は図10(b)に示すようになると共に、図10(a)に示すように同心円形状になる。
尚、本発明の微細溝加工方法及び微細溝形状加工品並びに成形品は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0009】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の請求項1〜10記載の微細溝加工方法及び微細溝形状加工品並びに成形品 によれば、下記のごとき種々の優れた効果を奏し得る。
請求項1の微細溝加工方法によれば、1度に複数の溝の加工を行うことができるため、短時間に溝加工を行うことができ、また、工具の磨耗も抑制することができる。
請求項2の微細溝加工方法によれば、溝の加工に集束イオンビームを用いることにより、ピッチサイズが100nm以下の微細溝の加工を行うことができる。
請求項3の微細溝加工方法によれば、溝の加工にレーザーを用いることにより短時間で溝の加工を行うことができる。
請求項4の微細溝加工方法によれば、単結晶ダイヤモンド工具に溝加工を行う際に変質した部分の除去を行うことができるため、工具のエッジを鋭利にすることができる。
請求項5の微細溝加工方法によれば、溝を形成している幅だけ工具をピッチ方向に移動させることにより、溝を形成している幅以上の溝加工が可能になる。
請求項6の微細溝加工方法によれば、フライカットで溝加工を行うことにより高精度な溝加工を行うことができる。
請求項7の微細溝加工方法によれば、シェーパ加工で溝加工を行うことにより短時間で多数の溝加工を行うことができる。
請求項8の微細溝加工方法によれば、旋削によって溝加工を行うことにより同心円状の溝加工を行うことができる。
請求項9の微細溝形状加工品によれば、高精度な微細溝形状を作製することができ、請求項10の成形品によれば、作製した溝形状で成形を行うことにより高精度な微細溝形状の成形品を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微細溝加工方法に適用する単結晶ダイヤモンド工具と加工物の正面図である。
【図2】単結晶ダイヤモンド工具先端部の斜視図で、(a)は微細溝の形状が形成される前のダイヤモンド工具先端部の斜視図、(b)は微細溝の形状が形成されたダイヤモンド工具先端部の斜視図である。
【図3】単結晶ダイヤモンド工具の先端部の側面図で、(a)はすくい面と逃げ面が交叉する部分が丸くなった状態を示す側面図、(b)はすくい面と逃げ面が交叉する部分の丸くなった部分を削除する状態を示す側面図、(c)はすくい面と逃げ面が交叉する部分の丸くなった部分が削除された状態を示す側面図である。
【図4】単結晶ダイヤモンド工具を逃げ面から見た正面図で、(a)は微細溝が加工されていない状態を示す正面図、(b)は微細溝が加工された状態を示す正面図である。
【図5】単結晶ダイヤモンド工具により、溝加工を行っている様子を示す正面図で、(a)はn番目の溝加工を行っている状態を示す正面図、(b)はn+1番目の溝加工を行っている状態を示す正面図である。
【図6】フライカットにより微細溝の切削加工を行っている様子を示す斜視図である。
【図7】シェーパで加工している様子を示す斜視図である。
【図8】フライカットおよびシェーパ加工により加工物に作製した溝形状を示す斜視図である
【図9】旋削により加工物に溝形状の加工を行っている様子を示す斜視図である。
【図10】旋削によって加工物に加工された溝形状を示し、(a)は溝形状の斜視図、(b)は(a)のZ−Z断面図である。
【図11】工具により加工物に溝形状を加工している状態を示す正面図である。
【図12】先端が丸くなった工具により溝形状を加工する場合の正面図である。
【符号の説明】
1 単結晶ダイヤモンド工具
2 加工物
3 微細溝
4 微細溝
10 単結晶ダイヤモンド工具
【発明の属する技術分野】
本発明は微細溝加工方法及び微細溝形状加工品並びに成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
単結晶ダイヤモンド工具を用いて加工物を切削する加工方法は従来から行われている。従来の加工方法を図11、図12に示す。図11は工具により加工物に溝形状を加工している状態を示す正面図、図12は先端が丸くなった工具により溝形状を加工する状態を示す正面図である。図中、11は先端を尖らせた工具、12は加工物、13は加工された溝を示す。またPは溝13のピッチを示している。
溝13の加工を行う際は、工具11によって1本の溝13の加工を行った後、ピッチP分だけ工具11を移動させ、その次の溝13を加工するということを順次繰り返して溝形状を作製する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の加工方法の場合、溝13のピッチPが1μm以上の溝加工を行う場合は特に問題が無いが、溝13のピッチPが小さくなるにつれて、図12に示すように、加工する溝13のサイズに対して、工具13の先端半径Rを無視できなくなるため、ピッチPに応じて、工具1の先端半径Rを小さくする必要があるが、先端半径Rが小さくなるにつれ、工具11が短時間で磨耗してしまうため、多数の溝13の加工を行うことが困難になる。
また、仮に溝13のピッチを0.3μmとした場合、10mmの幅に溝を刻むには、3万本以上の溝13の加工を行うことが必要となる。1本の溝加工を1分間で行えるとしても加工時間は500時間以上にもなる。さらに、加工時間が長くなることにより、環境の変化の影響も大きくなるため、大変困難な加工となる。またさらに、図11に示す方法では、溝13のピッチPが小さくなると、工具11の先端半径Rが溝形状に影響を与えるようになる。また、工具磨耗や加工時間が多くなることから多数の溝加工には適さない。
本発明は上述の実情に鑑み、工具の先端が摩耗し難く、長時間に亘り多数の溝の加工を容易且つ迅速に行うことができる微細溝加工方法及び微細溝形状加工品並びに成形品を提供することを目的としてなしたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の微細溝加工方法は、単結晶ダイヤモンド工具を用いて加工物を切削する加工方法において、単結晶ダイヤモンド工具上に作製された微細溝を加工物に転写させることにより微細溝の加工を行うことを最も主要な特徴とする。
請求項2の微細溝加工方法は、集束イオンビームを用いて単結晶ダイヤモンド工具に微細溝の加工を行うことを主要な特徴とする。
請求項3の微細溝加工方法は、レーザーを用いて単結晶ダイヤモンド工具に微細溝の加工を行うことを主要な特徴とする。
請求項4の微細溝加工方法は、単結晶ダイヤモンド工具上に溝加工を行った後、工具のすくい面の再研磨を行ってから単結晶ダイヤモンド工具を微細溝加工に用いることを主要な特徴とする。
請求項5の微細溝加工方法は、単結晶ダイヤモンド工具に微細溝加工を施した部分以外が、加工面に形成される微細溝に干渉しないようにするため、単結晶ダイヤモンド工具上の微細溝形成部以外を除去することを主要な特徴とする。
請求項6の微細溝加工方法は、フライカットによって微細溝加工を行うことを主要な特徴とする。
請求項7の微細溝加工方法は、シェーパによって微細溝加工を行うことを主要な特徴とする。
請求項8の微細溝加工方法は、旋削によって微細溝加工を行うことを主要な特徴とする。
請求項9の微細溝形状加工品は、単結晶ダイヤモンド工具上に作製された微細溝を加工物に転写させることにより微細溝の加工を行う微細溝加工方法によって加工されたことを主要な特徴とする。
請求項10の成形品は、単結晶ダイヤモンド工具上に作製された微細溝を加工物に転写させることにより微細溝の加工を行う微細溝加工方法によって加工された微細溝形状加工品によって成形されたことを主要な特徴とする。
【0005】
請求項1の微細溝加工方法によれば、1度に複数の溝の加工を行うことができるため、短時間に溝加工を行うことができ、また、工具の磨耗も抑制することができる。
請求項2の微細溝加工方法によれば、溝の加工に集束イオンビームを用いることにより、ピッチサイズが100nm以下の微細溝の加工を行うことができる。
請求項3の微細溝加工方法によれば、溝の加工にレーザーを用いることにより短時間で溝の加工を行うことができる。
請求項4の微細溝加工方法によれば、単結晶ダイヤモンド工具に溝加工を行う際に変質した部分の除去を行うことができるため、工具のエッジを鋭利にすることができる。
請求項5の微細溝加工方法によれば、溝を形成している幅だけ工具をピッチ方向に移動させることにより、溝を形成している幅以上の溝加工が可能になる。
請求項6の微細溝加工方法によれば、フライカットで溝加工を行うことにより高精度な溝加工を行うことができる。
請求項7の微細溝加工方法によれば、シェーパ加工で溝加工を行うことにより短時間で多数の溝加工を行うことができる。
請求項8の微細溝加工方法によれば、旋削によって溝加工を行うことにより同心円状の溝加工を行うことができる。
請求項9の微細溝形状加工品によれば、高精度な微細溝形状を作製することができ、請求項10の成形品によれば、作製した溝形状で成形を行うことにより高精度な微細溝形状の成形品を作製できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は微細溝加工方法に適用する単結晶ダイヤモンド工具と加工物の正面図である。図1中、1は先端に多数の微細溝4が並列に形成された単結晶ダイヤモンド工具、2は加工物、3は加工物2上に加工された多数の微細溝を示している。
加工物2上の微細溝3は、単結晶ダイヤモンド工具1上の微細溝4を転写させることによって創製される。ここで、転写とは、切削加工時に単結晶ダイヤモンド工具1上の微細溝4の形状と凹凸が反転した微細溝3の形状が加工物2に形成されることである。転写の際、単結晶ダイヤモンド工具1上の微細溝4と加工物2上の微細溝3では溝の凹凸形状が反転した関係となる。
図2(a)は微細溝が形成される前のダイヤモンド工具先端部の斜視図、図2(b)は微細溝が形成されたダイヤモンド工具先端部の斜視図である。図2(a)、図2(b)中、5は単結晶ダイヤモンド工具1のすくい面、6は単結晶ダイヤモンド工具1の逃げ面を示している。図2(b)に示すように微細溝4は単結晶ダイヤモンド工具1の逃げ面6(図2(a)参照)上に作製される。
【0007】
図3(a)、図3(b)、図3(c)は単結晶ダイヤモンド工具の先端部の側面図である。逃げ面6に微細溝4を作製する際に、図3(a)に示すようにすくい面5と逃げ面6とが交わる部分7が微細溝加工時のダメージにより、丸くなってしまい、単結晶ダイヤモンド工具1の切れ味が劣化する場合がある。この場合図3(b)に示すように、すくい面5側から単結晶ダイヤモンド工具1を研磨して、図3(b)の斜線部分Xを除去することにより、図3(c)に示すように、エッジの鋭い単結晶ダイヤモンド工具1として再生することができる。
図4(a)、図4(b)は単結晶ダイヤモンド工具を逃げ面方向から見た正面図である。図4(a)で単結晶ダイヤモンド工具1に対して微細溝加工を行い、図4(b)のような微細溝4の形状を得る。この場合、図4(b)の符号8で示すように、単結晶ダイヤモンド工具1の端部に、溝形状の無い部分ができる。
図5(a)、図5(b)は端部に溝形状では無い部分がある単結晶ダイヤモンド工具により、溝加工を行っている様子を示す正面図である。単結晶ダイヤモンド工具1はn番目の溝加工を行った後、工具の位置をピッチ方向に移動させn+1番目の溝加工を行う。この場合、溝形状で無い部分が加工した溝形状に干渉してしまうため、丸Yで囲んだように溝では無い部分ができてしまう。これに対して、図5(b)に示すように、工具溝形状では無い部分を除去して加工を行うことにより、単結晶ダイヤモンド工具1をピッチ方向に送りながら加工する方法においても、溝形状では無い部分の発生を抑えることができる。
図6はフライカットにより微細溝の切削加工を行っている様子を示す斜視図である。図6において、9は微細溝を加工した領域、10はホイールを示している。図中、前記図示例と同一のものには同一の符号が付してある。外周面から単結晶ダイヤモンド工具1を突出させたホイール10を図6の矢印イ方向へ回転させると共に矢印ロ方向へ移動させながら、単結晶ダイヤモンド工具1により加工物2の溝加工を行う。ホイール10を回転させることにより、工具1の先端部が加工物2に接している間のみ切削が行われるため、矢印イ方向への移動速度は切削抜けが発生しない程度に遅くなる。フライカットの場合、切り込み量を小さくすることができるため、高精度の溝加工を行うことができる。
【0008】
図7はシェーパで加工している様子を示す斜視図である。シェーパ加工の場合、単結晶ダイヤモンド工具1を高速で矢印ハ方向へ移動させつつ加工物2を加工するため、短時間に多数の溝加工を行うことができる。9は微細溝を加工した領域である。
図8はフライカットおよびシェーパ加工により加工物に作製した溝形状を示す斜視図である。図に示すように、加工物2には微細溝3が平行に並ぶ形状となる。
図9は旋削によりローラ状の加工物の一端面に同心円状に溝形状の加工を行っている様子を示す斜視図である。図中、10は単結晶ダイヤモンド工具である。また、図中、前記図示例と同一のものには同一の符号が付してある。
図10(a)、(b)は旋削によって加工物に加工された溝形状を示し、図10(a)は溝形状の斜視図、図10(b)は図10(a)のZ−Z断面図である。旋削で加工した場合、加工物2に形成される微細溝3の断面は図10(b)に示すようになると共に、図10(a)に示すように同心円形状になる。
尚、本発明の微細溝加工方法及び微細溝形状加工品並びに成形品は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0009】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の請求項1〜10記載の微細溝加工方法及び微細溝形状加工品並びに成形品 によれば、下記のごとき種々の優れた効果を奏し得る。
請求項1の微細溝加工方法によれば、1度に複数の溝の加工を行うことができるため、短時間に溝加工を行うことができ、また、工具の磨耗も抑制することができる。
請求項2の微細溝加工方法によれば、溝の加工に集束イオンビームを用いることにより、ピッチサイズが100nm以下の微細溝の加工を行うことができる。
請求項3の微細溝加工方法によれば、溝の加工にレーザーを用いることにより短時間で溝の加工を行うことができる。
請求項4の微細溝加工方法によれば、単結晶ダイヤモンド工具に溝加工を行う際に変質した部分の除去を行うことができるため、工具のエッジを鋭利にすることができる。
請求項5の微細溝加工方法によれば、溝を形成している幅だけ工具をピッチ方向に移動させることにより、溝を形成している幅以上の溝加工が可能になる。
請求項6の微細溝加工方法によれば、フライカットで溝加工を行うことにより高精度な溝加工を行うことができる。
請求項7の微細溝加工方法によれば、シェーパ加工で溝加工を行うことにより短時間で多数の溝加工を行うことができる。
請求項8の微細溝加工方法によれば、旋削によって溝加工を行うことにより同心円状の溝加工を行うことができる。
請求項9の微細溝形状加工品によれば、高精度な微細溝形状を作製することができ、請求項10の成形品によれば、作製した溝形状で成形を行うことにより高精度な微細溝形状の成形品を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微細溝加工方法に適用する単結晶ダイヤモンド工具と加工物の正面図である。
【図2】単結晶ダイヤモンド工具先端部の斜視図で、(a)は微細溝の形状が形成される前のダイヤモンド工具先端部の斜視図、(b)は微細溝の形状が形成されたダイヤモンド工具先端部の斜視図である。
【図3】単結晶ダイヤモンド工具の先端部の側面図で、(a)はすくい面と逃げ面が交叉する部分が丸くなった状態を示す側面図、(b)はすくい面と逃げ面が交叉する部分の丸くなった部分を削除する状態を示す側面図、(c)はすくい面と逃げ面が交叉する部分の丸くなった部分が削除された状態を示す側面図である。
【図4】単結晶ダイヤモンド工具を逃げ面から見た正面図で、(a)は微細溝が加工されていない状態を示す正面図、(b)は微細溝が加工された状態を示す正面図である。
【図5】単結晶ダイヤモンド工具により、溝加工を行っている様子を示す正面図で、(a)はn番目の溝加工を行っている状態を示す正面図、(b)はn+1番目の溝加工を行っている状態を示す正面図である。
【図6】フライカットにより微細溝の切削加工を行っている様子を示す斜視図である。
【図7】シェーパで加工している様子を示す斜視図である。
【図8】フライカットおよびシェーパ加工により加工物に作製した溝形状を示す斜視図である
【図9】旋削により加工物に溝形状の加工を行っている様子を示す斜視図である。
【図10】旋削によって加工物に加工された溝形状を示し、(a)は溝形状の斜視図、(b)は(a)のZ−Z断面図である。
【図11】工具により加工物に溝形状を加工している状態を示す正面図である。
【図12】先端が丸くなった工具により溝形状を加工する場合の正面図である。
【符号の説明】
1 単結晶ダイヤモンド工具
2 加工物
3 微細溝
4 微細溝
10 単結晶ダイヤモンド工具
Claims (10)
- 単結晶ダイヤモンド工具を用いて加工物を切削する加工方法において、単結晶ダイヤモンド工具上に作製された複数の微細溝を加工物に一括転写させることにより微細溝の加工を行うことを特徴とする微細溝加工方法。
- 請求項1の微細溝加工方法において、集束イオンビームを用いて単結晶ダイヤモンド工具に微細溝の加工を行うことを特徴とする微細溝加工方法。
- 請求項1の微細溝加工方法において、レーザーを用いて単結晶ダイヤモンド工具に微細溝の加工を行うことを特徴とする微細溝加工方法。
- 請求項1の微細溝加工法において、単結晶ダイヤモンド工具上に溝加工を行った後、工具のすくい面の再研磨を行ってから単結晶ダイヤモンド工具を微細溝加工に用いることを特徴とする微細溝加工方法。
- 請求項1の微細溝加工方法において、単結晶ダイヤモンド工具に微細溝加工を施した部分以外が、加工面に形成される微細溝に干渉しないようにするため、単結晶ダイヤモンド工具上の微細溝形成部以外を除去することを特徴とする微細溝加工方法。
- 請求項1の微細溝加工方法において、フライカットによって微細溝加工を行うことを特徴とする微細溝加工方法。
- 請求項1の微細溝加工方法において、シェーパによって微細溝加工を行うことを特徴とする微細溝加工方法。
- 請求項1の微細溝加工方法において、旋削によって微細溝加工を行うことを特徴とする微細溝加工方法。
- 請求項1の微細溝加工方法によって加工されたことを特徴とする微細溝形状加工品。
- 請求項9の微細溝形状加工品によって成形されたことを特徴とする成形品。
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