JP2004188309A - 破砕装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】破砕媒体と被破砕物とを収容した破砕容器を多数収容した容器ホルダを破砕処理後に遠心分離機に移載できるようにした破砕装置を提供する。
【解決手段】複数の破砕容器30を収容した容器ホルダ22は環状体20に装着して押圧板23を置き、固定キャップ25を環状体20に螺入することにより破砕装置1に固定される。破砕装置1を運転すると、各破砕容器30には8の字状の往復振動が加えられて破砕容器30中に収容された破砕媒体により被破砕物が破砕される。破砕処理後に容器ホルダ22を取り外して遠心分離機に装着すると、複数の破砕容器30について遠心分離の処理を行うことができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物の組織や種子類、動物の組織、微生物、カビ、プラスチック材料、鉱物材料などを化学的に分析・分画分離するために破砕する破砕装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記各種材料を化学的に分析・分画分離するためには、まず材料を均一に破砕しなければならない。一般的には乳鉢と乳棒が用いられるが、均一な破砕状態を得るには時間と労力とを要し、効率的でない。そこで破砕作業を効率的に行うために破砕装置が用いられ、破砕容器に公転運動と自転運動を同時に行わせることにより、破砕容器内に収容した被破砕物と微小ビーズからなる破砕媒体を立体的に運動させ、被破砕物に対する破砕媒体の衝突による圧縮と回転による磨砕で破砕する「遊星型ミル」が知られている。
【0003】
また、本出願人は、酵母菌、バクテリア等の物質生産菌や生産細胞等のスクリーニング用の細胞破砕装置として、ガラスやセラミックス製の微小ビーズを被破砕物と共に破砕容器に収容してこの破砕容器を8の字状の振動形態で高速回転させ、微小ビーズと細胞との効率的な衝突を繰り返して短時間で破砕する方式を提案している(特許文献1参照)。
【0004】
また、上記細胞破砕装置を改良して、破砕容器に単一の破砕媒体と被破砕物とを収容して、8の字状の振動を加えることにより、破砕媒体が乳棒、破砕容器が乳鉢のように作用する効率的な破砕装置などを提案している(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−36732号公報(第2〜3頁、図1)
【0006】
【特許文献2】
特開2001−178444号公報(第2〜4頁、図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記破砕装置により被破砕物を破砕してDNA抽出等の分析を行う場合には、破砕後の破砕容器内に緩衝液を注入して緩衝液中に破砕された被破砕物を懸濁した状態で遠心分離する必要がある。従来は破砕装置により破砕が終了した後、破砕装置から複数の破砕容器を個々に取り出して遠心分離にセットする必要があり、破砕容器の数が多い場合には面倒な作業となる課題があった。
【0008】
本発明が目的とするところは、被破砕物を収容した多数の破砕容器を保持する容器ホルダを破砕装置による破砕処理後に、遠心分離機に移載することを可能にした破砕装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、破砕媒体と被破砕物とを収容した破砕容器を保持する容器ホルダに往復移動を加えて前記破砕媒体により被破砕物を破砕する破砕装置において、前記容器ホルダが当該破砕装置と破砕された被破砕物を遠心分離する遠心分離装置とに着脱できるように構成されてなることを特徴とするもので、複数の破砕容器を保持する容器ホルダは破砕装置と遠心分離装置とに着脱できるように構成されているので、破砕装置による破砕処理後に容器ホルダを取り出し、遠心分離装置に装着すると、破砕された被破砕物に対する遠心分離の処理を速やかに実施することができる。
【0010】
上記構成において、破砕装置は、駆動源により回転駆動される回転軸に、その軸心に対して軸心が傾斜した傾斜軸部を設け、この傾斜軸部に相対回転自在に環状体を外嵌すると共に、この環状体の回転を弾性的に拘束する弾性拘束手段を設け、前記環状体に容器ホルダを取り付けて構成することにより、破砕容器を比較的長い工程の主往復移動とそれに直交する比較的短い工程の副往復移動とを組み合わせた8の字状に往復振動させることができるので、破砕容器中に収容した破砕媒体により被破砕物を効率的に破砕することができる。
【0011】
また、容器ホルダは、複数の破砕容器を所定角度で収容する複数の容器収容穴を形成することにより、破砕処理後に遠心分離する好適な傾斜角度を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係る破砕装置の構成を示すもので、図示しないモータによって回転駆動される回転軸8は、軸受部7の一対の軸受10にて回転自在に支持されると共に、その上部が軸受部7の上方に延出されている。この回転軸8の上部には、その軸心に対して軸心が角度θに傾斜した状態で傾斜軸体11が嵌合され、傾斜リング12を介して回転軸8の上端部に螺合したナット13にて回転軸8に押圧固定されている。
【0014】
傾斜軸体11の外周には軸受14を介して相対回転自在に環状体15が装着されている。この環状体15に磁石16が取付けられ、この磁石16に対峙させて固定された支持柱17に対極磁石18が取り付けられている。これら磁石16と対極磁石18との間の吸着力によって、回転軸8及び傾斜軸体11が回転した場合に、それに追従する環状体15の回転を阻止し、且つ傾斜軸体11の回転に伴って環状体15が振れ運動を行うように構成されている。尚、前記磁石16は、環状保持体20の円周上に複数箇所に設け、各磁石16に対向させて対極磁石18を設けることにより、偏心した環状体15の回転を阻止する作用をより確実に行なわせることができる。
【0015】
前記環状体15に固定された保持体20にはリング状の容器ホルダ22が取り付けられる。容器ホルダ22は、図2に示すように、円周上に所定の傾斜角度で破砕容器30を収容する容器収容穴50が複数に形成され、中心位置に前記保持体20の円筒部20aの下方に形成されたスプライン(図示せず)に対応するスプライン穴が形成された嵌挿穴24が設けられている。前記円筒部20aの外周には、図示省略しているが、下方に容器ホルダ22の嵌挿穴24に対応するスプラインが、上方に固定キャップ25を螺入するための雄ネジが形成されている。
【0016】
容器ホルダ22は、複数の容器収容穴50に被破砕物と破砕媒体とを投入して蓋体31で閉じた破砕容器30を収容し、図1に示すように、嵌挿穴24を前記円筒部20aに挿入することにより破砕装置に装着され、図3に示す押圧板23を円筒部20aに嵌め込み、固定キャップ25を円筒部20aに螺入することにより、容器ホルダ22に収容された各破砕容器30はその蓋体31が押圧板23に設けられたタブ23aよって押圧されることにより容器ホルダ22に固定され、容器ホルダ22も固定キャップ25によって環状体15に固定される。
【0017】
容器ホルダ22が取り付けられた破砕装置を運転させると、各破砕容器30には8の字状の振れ運動が加えられ、破砕媒体によって被破砕物が破砕される。即ち、図4(a)に示すように、環状体15が右側に傾斜した状態を基準位置として、そのときの環状体15の外周上におけるa点位置の挙動を見てみると、実線状態から回転軸8が矢印方向に90°回転すると、環状体15は仮想線で示すように紙面の表裏方向に傾斜した状態に移行し、その間にa点に対応していた位置は経路bを経てc点に移動する。次に、回転軸8がさらに90°回転すると、環状体15は図4(b)に実線で示すように左側に傾斜した状態に移行し、a点に対応していた位置はc点から経路dを経て元のa点に戻る。さらに回転軸8が90°回転すると、環状体15は仮想線で示すように紙面の表裏方向に逆向きに傾斜した状態に移行し、a点に対応していた位置は経路eを経てf点に移動し、更に回転軸8が元の回転位置まで90°回転すると、a点に対応していた位置はf点から経路gを経て元のa点に戻る。従って、回転軸8の回転により、環状体15の外周部の任意の位置が8の字状の振れ運動を繰り返すことになり、環状体15に固定された容器ホルダ22に収容された破砕容器30に8の字状の振れ運動が加わり、破砕容器30に収容された破砕媒体が被破砕物を破砕する。
【0018】
上記破砕容器30は、図5に示すように、細長い円筒容器からなり、その開口部外周にねじ30aが形成され、底部に載頭半球部35が形成されており、その開口部に蓋体31を螺合して密閉できるように構成されている。蓋体31の内周部には、破砕容器30の開口部の内周に嵌合する環状シール部31aが形成されている。この破砕容器30は、被破砕物の材質や量に応じて2ml〜50mlの容積のものが用いられ、容器ホルダ22もこの破砕容器30の大きさに応じた容器収容穴50を形成したものが用いられる。
【0019】
破砕容器30内に被破砕物とともに収容される破砕媒体32は、図6(a)に示すように、破砕容器30の内径Dより大きい長さLの単一部材にて構成されており、その一端部に破砕容器30の底部形状に対応して同様の載頭円球状の突出端部32aが形成されている。また、他端部は、蓋体32の内周の環状シール部31aと干渉したり、嵌まり込むことがないように小径部32bに形成されている。また、破砕媒体32の外径dは、破砕容器30の内径Dに対して2mm以下、内径dが小さい場合には1mm以下程度小さく設定されている。例えば、破砕容器30の容量が2mlの場合で、その内径Dは8mm、破砕媒体32の外径dは7mmに設定されている。
【0020】
また、図6(b)、(c)に示すように、破砕媒体32の突出端部32aには必要に応じて放射状又は螺旋状に1又は複数の溝34を形成することにより、溝部34で切断され難い繊維質が効果的に切断されるために、効率的に破砕することができる。
【0021】
また、破砕媒体32は破砕容器30の形状に対応して形成され、図7及び図8(a)〜(c)に示すような形状に構成することもできる。図7に示す破砕容器30は、その底部に円錐形の円錐部33が形成されているので、破砕媒体32はその一端部に図8(a)に示すように円錐状の突出端部32aが形成されている。また、その突出端部32aに図8(b)、(c)に示すように、溝34を形成することもできる。
【0022】
上記破砕媒体としては、上述のような単一のものでなく、ビーズ状のものを複数個用いることもできる。
【0023】
上記構成になる破砕装置を用いて被破砕物の破砕がなされた後、被破砕物を分析に用いる場合には、破砕後の破砕容器30内に緩衝液を注入して遠心分離する必要がある。そこで、破砕装置による破砕が完了すると、固定キャップ25を緩めて取り外し、押圧板23を外すと容器ホルダ22を取り出すことができるので、容器ホルダ22を遠心分離機に移載すると、そのまま遠心分離の作業に移行させることができる。
【0024】
容器ホルダ22に対応する遠心分離機は、図9、図10に示すように、図示しないモータによって回転駆動される駆動軸53に、中心位置にスプライン55が形成されたボス54を設けたロータ本体57がボルト56で固定されている。
【0025】
破砕装置によって破砕処理が終了した各破砕容器30は蓋体31を開いて破砕媒体32を取り出し、破砕容器30中に緩衝液を注入する。尚、破砕容器30から破砕媒体32を取り出す方法は、蓋体31の取り外しと同時に取り出す破砕媒体32の取り出し方法を適用することができ、本願出願人により特願2002−208108号として提案している。
【0026】
緩衝液を注入した破砕容器30を収容した容器ホルダ22は、その中心位置に設けられた嵌挿穴24をボス54に嵌挿することにより、図10に示すように、遠心分離機に装着することができる。この遠心分離機では3個の容器ホルダ22を装着することができるが、1個の容器ホルダ22を装着することもできる。容器ホルダ22を装着して遠心分離機を運転すると、ロータ本体57の回転に伴って容器ホルダ22も回転し、破砕されて緩衝液した状態の被破砕物は遠心分離により上清と沈殿とに分離する。この遠心分離された上清の吸光度測定等の手段により被破砕物の分析を行うことができる。
【0027】
容器ホルダ22に収容する破砕容器30の保持角度は、破砕容器30の容量に応じて好適な傾斜角度があり、一般的に容量が大きくなるほど傾斜角度は小さく設定される。
【0028】
次に、第2の実施形態に係る破砕装置について説明する。第2の実施形態に係る破砕装置は、容器ホルダ60の装着構造が異なるもので、第1の実施形態の構成と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0029】
図11において、第2の実施形態に係る破砕装置は、環状体15にドーナツ状に形成された容器ホルダ60を嵌め込み、環状体15上に押圧板61を配して、複数の固定ノブ62のネジ部分を環状体15に螺入することにより、容器ホルダ60を環状体15に固定し、容器ホルダ60に収容した破砕容器30を容器収容穴65内に保持する。
【0030】
容器ホルダ60は、図12に示すように、第1の実施形態における容器ホルダ22と同様に複数の破砕容器30を所定の傾斜角度にして収容する複数の容器収容穴65が円周上に形成され、中央部分に開口部を形成したドーナツ状に形成されている。また、押圧板61は、図13に示すように、周囲に各破砕容器30の蓋体31を押圧保持するタブ66が形成され、タブ66の基部は容器ホルダ60を環状体15に押圧固定する固定部に形成され、固定穴67から固定ノブ62のネジ部分を環状体15に螺入することにより容器ホルダ60を押圧固定する。
【0031】
上記構成になる容器ホルダ60に対応する遠心分離機は、図14に示すように、容器ホルダ60を収容するロータ本体70を備えて構成される。前述のように破砕装置に装着して破砕が終了した容器ホルダ60は、固定ノブ62を緩めて破砕装置から取り外され、図示するように前記ロータ本体70に収納することができる。
【0032】
この遠心分離機は、モータ71によりロータ本体70が回転駆動されるように構成され、ロータ本体70の回転により、その中に収容された容器ホルダ60も回転して各破砕容器30に遠心力が及ぶので、破砕された被破砕物を緩衝液に懸濁しておくと、遠心分離により上清と沈殿物とに分離することができる。
【0033】
前記容器ホルダ60による破砕容器30の保持角度は、遠心分離を行う際に破砕容器30の容量に応じて好適な傾斜角度があり、一般的に容量が大きくなるほど傾斜角度は小さく設定される。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明の通り本発明によれば、被破砕物と破砕媒体とを収容した破砕容器を容器ホルダに複数に収容して、多くの被破砕物を同時に破砕処理することができ、破砕処理の終了後には容器ホルダを遠心分離機に移載することができるので、被破砕物を破砕した後に遠心分離の処理が不可欠な分析等の作業において、破砕容器を個々に破砕装置から遠心分離機に移載する面倒な作業を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る破砕装置の要部構成を示す断面図。
【図2】第1の実施形態に係る容器ホルダの構成を示す平面図。
【図3】第1の実施形態に係る押圧板の構成を示す平面図。
【図4】8の字状往復振動の説明図。
【図5】破砕容器の構成を示す断面図。
【図6】同上破砕容器に組み合わせる破砕媒体の各種例を示す正面図。
【図7】破砕容器の構成を示す断面図。
【図8】同上破砕容器に組み合わせる破砕媒体の各種例を示す正面図。
【図9】第1の実施形態に係る遠心分離機の要部構成を示す分解斜視図。
【図10】同上遠心分離機の断面図。
【図11】第2の実施形態に係る破砕装置の要部構成を示す断面図。
【図12】第2の実施形態に係る容器ホルダの構成を示す平面図。
【図13】第2の実施形態に係る押圧板の構成を示す平面図。
【図14】第2の実施形態に係る遠心分離機の構成を示す断面図。
【符号の説明】
1、2 破砕装置
8 回転軸
11 傾斜軸部
15 環状体
16 磁石
18 対極磁石
20 保持体
22、60 容器ホルダ
23、61 押圧板
25 固定キャップ
30 破砕容器
50、65 容器収容穴
62 固定ノブ

Claims (3)

  1. 破砕媒体と被破砕物とを収容した破砕容器を保持する容器ホルダに往復移動を加えて前記破砕媒体により被破砕物を破砕する破砕装置において、前記容器ホルダが当該破砕装置と破砕された被破砕物を遠心分離する遠心分離装置とに着脱できるように構成されてなることを特徴とする破砕装置。
  2. 破砕装置は、駆動源により回転駆動される回転軸に、その軸心に対して軸心が傾斜した傾斜軸部を設け、この傾斜軸部に相対回転自在に環状体を外嵌すると共に、この環状体の回転を弾性的に拘束する弾性拘束手段を設け、前記環状体に容器ホルダが取り付けられてなる請求項1に記載の破砕装置。
  3. 容器ホルダは、複数の破砕容器を所定角度で収容する複数の容器収容穴が形成されてなる請求項1又は2に記載の破砕装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015051406A (ja) * 2013-09-09 2015-03-19 栄研化学株式会社 遠心機ローター及びその遠心機ローターを備えた遠心機
CN105115809A (zh) * 2015-09-11 2015-12-02 北京本立科技有限公司 一种分析样品制备装置及分析样品制备方法
CN110090710A (zh) * 2019-05-13 2019-08-06 浙江大学 一种研磨离心一体机
CN116328906A (zh) * 2023-03-30 2023-06-27 深圳市来源新材料科技有限公司 一种偏心轴套的多维运动吊环牵拉多磨罐大型纳米球磨机

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