JP2004188296A - 溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】有害有機化合物注入管の内壁を一定温度に維持することで、有害有機化合物注入管内部の閉塞を抑制し、装置の長寿命化を実現すること。
【解決手段】溶融塩供給装置23と、有害物102を収容する有害物供給容器24と、反応容器22内で生成された反応ガスを処理するガス精製装置25とがそれぞれ、溶融塩注入管33と、溶融塩101中で終端開口する有害物注入管34と、ガス排気管35とによって反応容器22に接続される。さらに、有害物注入管34の内部を冷却するために、有害物注入管34に、閉じた循環回路を有する冷却設備51を備える。冷却設備51は、冷却装置61に接続された供給側冷却管62および還流側冷却管63によって熱交換部が形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】溶融塩供給装置23と、有害物102を収容する有害物供給容器24と、反応容器22内で生成された反応ガスを処理するガス精製装置25とがそれぞれ、溶融塩注入管33と、溶融塩101中で終端開口する有害物注入管34と、ガス排気管35とによって反応容器22に接続される。さらに、有害物注入管34の内部を冷却するために、有害物注入管34に、閉じた循環回路を有する冷却設備51を備える。冷却設備51は、冷却装置61に接続された供給側冷却管62および還流側冷却管63によって熱交換部が形成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はダイオキシンその他の有害有機化合物の分解・無害化処理の技術に係り、特に気体状態または気化させた有害有機化合物の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有害有機化合物(以下「有害物」という。)は、猛毒の化合物である。有害物として、例えば、ダイオキシン類、ポリクロロビニル類(PCB)、ヘキサクロロシクロヘキサン(BHC)等が挙げられる。
【0003】
これらの有害物の無害化処理技術として、熱化学的分解法、生物処理法、物理化学的処理法が挙げられる。
【0004】
熱化学分解法において、有害物を熱分解するためには高温を必要とするため、処理設備が大掛かりになる。また、高温燃焼排ガスはハロゲンを含むので、高温燃焼排ガスの冷却時に、ダイオキシン類、ベンゾフラン等の二次有害物質が発生する可能性がある。また、含ハロゲンの高温燃焼排ガスは、関連設備の腐食を加速させる原因となる。
【0005】
生物処理法では、比較的低濃度で存在している場合には有効ではあるが、有害物が高濃度の場合、または処理量が大量の場合の処理を行うには適していない。また、特定の有害物の分解に好適な微生物が存在しても、あらゆる種類の有害物に対して有効な微生物はないので、この方法には実用性がない。
【0006】
物理化学的処理法では、溶融塩による化合物の分解・無害化処理装置(以下「処理装置」という。)がある(例えば、特許文献1参照。)。この処理装置では、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩を加熱溶融させた溶融塩の中に、化合物を注入する。そして、化合物から、脱ハロゲンされた有機化合物に分解し、さらに、脱ハロゲン化された有機化合物を、無機化合物にまで分解・無害化処理する。
【0007】
図11は、従来の処理装置1の概略図を示す。
【0008】
図11は、処理装置1を示し、この処理装置1は、反応容器22と、溶融塩供給装置23と、有害物供給装置24と、ガス精製装置25と、溶融塩回収装置26とがそれぞれ備えられる。
【0009】
反応容器22内部および溶融塩供給装置23にはそれぞれ溶融塩101が具備される。さらに、有害物供給装置24内部には、有害物102が具備される。
【0010】
溶融塩供給装置23に接続された溶融塩注入管33と、ガス精製装置25に接続されたガス排気管35とが反応容器22に接続され、それぞれ反応容器22内部で終端開口する。また、有害物供給装置24に接続された有害物注入管34が反応容器22に接続され、反応容器22内部に収容される有害物102中で終端開口される。有害物注入管34の開口部の浸漬深さをdとする。さらに、反応容器22に接続された溶融塩回収管36が溶融塩回収装置26に接続される。
【0011】
さらに、ガス排気管35には、反応容器22における発生ガスを凝縮するベーパートラップ27が備えられる。
【0012】
加えて、溶融塩注入管33の途中に溶融塩注入バルブ43が、有害物注入管34の途中に有害物注入バルブ44が、ガス排気管35の途中にガス排気バルブ45が、溶融塩回収管36の途中に溶融塩回収バルブ46がそれぞれ具備される。なお、図11に示された処理装置1の溶融塩注入バルブ43、有害物注入バルブ44、ガス排気バルブ45、溶融塩回収バルブ46は閉じている状態を示す。
【0013】
続いて、図11に示された処理装置1による処理動作について説明する。
【0014】
まず、ガス排気バルブ45を開く。続いて、ヒータ21aおよびヒータ21cを稼動させることにより、反応容器22および有害物供給装置24内部の温度を上昇させ、溶融塩101を液化させ、有害物102を気化させる。
【0015】
すなわち、反応容器22内部の溶融塩101を液化させるために、反応容器22内部の温度を溶融塩101の融点温度以上に制御する。また、有害物注入管34内部の有害物102を気化させるために、有害物注入管34内部の温度を有害物102の沸点温度以上に制御する。
【0016】
ここで、有害物注入バルブ44を開くと、有害物供給装置24にて気化された有害物102が、有害物注入管34を通って、有害物注入管34の開口部から溶融塩101に接触し、有害物102の気泡が浸漬深さdに従って溶融塩層を通過し、溶融塩101の表面に到達する間に無害な無機物に分解される。
【0017】
【特許文献1】
特開2001−70470号公報(第15頁、図13)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
特開2001−70470号公報による溶融塩による化合物の分解・処理装置1においては、有害物供給容器24から有害物注入管34を介して反応容器22に有害物102を注入する。
【0019】
しかし、図11に示された処理装置1を用いると、有害物102の熱分解反応に従い、有害物注入管34内部の開口部付近が閉塞され、有害物102の供給ができなくなるので、早期に有害物注入管34が使用不能になる。早期の有害物注入管34の使用不能が処理装置1の実用化の妨げとなっている。
【0020】
また、図12は、有害物102の温度と有害物102の分解率との関係を示す相関図である。
【0021】
図11に示された処理装置1において、反応容器22における有害物102の分解率は、有害物102の温度と、有害物102の流量と、有害物注入管34の浸漬深さdと、有害物注入管34の内径とに依存する。図12に示された相関図の曲線は、有害物102の流量と、有害物注入管34の浸漬深さdと、有害物注入管34の内径とを任意に固定したときの、有害物102の温度と有害物102との分解率との関係を示す。なお、図12に示された相関図は、有害物102としてフロン12(CCl2F2)を用いた場合を示す。
【0022】
図12に示された相関図の曲線により、CCl2F2の分解率は、CCl2F2の温度が600℃のとき最大で、75%程度を示すことが分かる。
【0023】
さらに図12に示された相関図では表されていないが、CCl2F2の温度が600℃以上において、CCl2F2102の温度が高くなる程、CCl2F2の分解率は100%に近づくことが分かっている。
【0024】
また、図12に示された相関図の曲線では、有害物102としてCCl2F2を用いた場合を示したが、CCl2F2以外のその他の有害物102においても同様に、有害物102の温度が高くなる程、有害物102の分解率は上昇する。したがって、図11に示された処理装置1において、反応容器22の温度をヒータ21aによって上昇させ、反応容器22内部の有害物102の温度を高温に設定することが望まれる。
【0025】
ただし、図11に示された処理装置1において、反応容器22の温度の上昇に伴い、有害物注入管34の開口部内部の閉塞速度が加速されるという弊害が発生する。有害物注入管34の開口部内部の閉塞速度は、反応容器22の温度の上昇と共に加速される。
【0026】
有害物注入管34内部の閉塞の1つの原因は、閉塞物質の化学分析から、ハロゲン化物を主とする有害物102の反応生成物の固着であることが判明している。この反応生成物の固着は、有害物注入管34の開口部内部に侵入した溶融塩101が、有害物注入管34の開口部内部にて、気化された有害物102と反応していることを意味する。
【0027】
続けて、有害物注入管34内部の閉塞の他の原因は、閉塞物質の化学分析から、ハロゲン化合物の熱分解生成物の固着であることが判明している。この熱分解生成物の固着は、有害物注入管34内部で気化された有害物102の熱分解反応が進行していることを意味する。
【0028】
なお、有害物注入管34の材料としてステンレス鋼素材が使用される場合がほとんどであるが、特に、有害物注入管34がステンレス鋼素材の場合は有害物注入管34内部の熱分解生成物による閉塞が顕著に発生する。
【0029】
このように、有害物102の分解率を良化させるためには、有害物102の温度を高温に維持し、高温で管理することが望まれるが、一方では、有害物102の温度上昇に伴い、有害物注入管34および有害物注入管34内部の温度も上昇する。そして、有害物注入管34内部での溶融塩101と有害物102の反応、および溶融塩101の熱分解反応を促進させる。その結果、有害物注入管34内部に、溶融塩101と有害物102との反応生成物、および溶融塩101の熱分解反応により発生する熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着し、有害物注入管34を閉塞させる。
【0030】
また、図11に示された処理装置1では、有害物供給装置24にて気化された有害物102が、有害物注入管34を通って、有害物注入管34の出口から溶融塩101に接触し、有害物102の気泡が浸漬深さdに従って溶融塩層を通過し、溶融塩101の表面に到達する間に分解反応が進行する。しかし、有害物注入管34の開口部から排出される有害物102の気泡は、表面張力により大きくなるので、溶融塩101の表面に到達する間に分解反応が殆ど進行せず、有害物102の充分な分解率が得られない。
【0031】
さらに、処理装置1の処理効率を上げるため、有害物注入管34内部による有害物102の流速を大きくすると、低分解率の結果は顕著に現れる。
【0032】
有害物102の充分な分解率が得られない、すなわち、有害物102の排出基準を満たさない場合、処理装置1の系内に排ガス処理装置が必要となる。
【0033】
加えて、有害物注入管34の出口から排出される有害物102の気泡を小さくするために、有害物注入管34の内径を小さくする方法も考えられる。その場合、有害物102の処理効率が低下することはもちろん、有害物注入管34の出口から排出される小さな気泡は、排出されて間もなく、複数の気泡が互いに吸収されて大きな気泡となる。その結果、有害物注入管34の内径に対応する小さな気泡を得ることはできず、溶融塩101の表面に到達する間に分解反応が殆ど進行せず、有害物102の充分な分解率が得られない。
【0034】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、有害有機化合物注入管の内壁を一定温度に維持することで、有害有機化合物注入管内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置を提供することを目的とする。
【0035】
また、本発明の他の目的は、有害有機化合物注入管から排出される有害有機化合物の気泡を小さくすることで、有害有機化合物の高分解率および高処理効率を実現できる溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置を提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、上述した課題を解決するために請求項1に記載したように、溶融塩を収容する一方、前記溶融塩を加熱するヒータが具備された反応容器と、溶融塩を加熱するヒータが具備された溶融塩供給装置と、有害有機化合物を収容し、前記有害有機化合物を加熱するヒータが具備された有害有機化合物供給容器と、前記反応容器内で生成された反応ガスを処理するガス精製装置と、前記溶融塩供給装置から前記反応容器に接続された溶融塩注入管と、前記有害有機化合物供給容器から前記反応容器に接続され、前記反応容器内部に収容される溶融塩中で終端開口する有害有機化合物注入管と、前記反応容器からベーパートラップを介して前記ガス精製装置に接続されたガス排気管と、前記有害有機化合物注入管の内部を冷却するために、前記有害有機化合物注入管に備えられた冷却設備とを有することを特徴とする。
【0037】
また、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項2に記載したように、前記冷却設備は閉じた循環回路を有し、前記冷却設備は、冷却装置に接続された供給側冷却管および還流側冷却管によって熱交換部が形成されたことを特徴とする。
【0038】
さらに、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項3に記載したように、前記熱交換部に断熱材が覆設されたことを特徴とする。
【0039】
次いで、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項4に記載したように、前記熱交換部に断熱帯が覆設され、前記断熱帯に、不活性ガスを備えたことを特徴とする。
【0040】
続いて、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項5に記載したように、前記断熱帯に真空吸引用ノズルが備えられたことを特徴とする。
【0041】
また、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項6に記載したように、前記断熱帯の内部に、金属製の輻射抑制板が備えられたことを特徴とする。
【0042】
さらに、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項7に記載したように、前記有害有機有害物注入管および前記熱交換部に冷却フィンが挟持されたことを特徴とする。
【0043】
次いで、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項8に記載したように、前記有害有機有害物注入管は、前記有害有機有害物注入管の熱応力が負荷される部分に伸縮管が備えられたことを特徴とする。
【0044】
続いて、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項9に記載したように、前記有害有機有害物注入管は、前記有害有機有害物注入管の開口部側の末端面が隙間構造を有することを特徴とする。
【0045】
また、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項10に記載したように、前記有害有機有害物注入管は、前記有害有機有害物注入管の開口部側の側面がスリット構造を有することを特徴とする。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0047】
図1は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第1実施の形態を示す概略図である。
【0048】
図1において、符号11は溶融塩による有害有機化合物(以下「有害物」という。)の分解・無害化処理装置(以下「処理装置」という。)を示し、この処理装置11は、ヒータ21aを備えた反応容器22と、ヒータ21bを備えた溶融塩供給装置23と、ヒータ21cを備えた有害物供給装置24と、生成ガスを精製するガス精製装置25と、溶融塩回収装置26とがそれぞれ備えられる。
【0049】
反応容器22内部および溶融塩供給装置23には溶融塩101が具備され、溶融塩101として、例えば、NaOHがある。さらに、有害物供給装置24内部には、有害物102が具備され、有害物102として、例えば、フロン12(CCl2F2)がある。
【0050】
溶融塩供給装置23に接続された溶融塩注入管33と、ガス精製装置25に接続されたガス排気管35とが反応容器22に接続され、それぞれ反応容器22内部で終端開口する。また、有害物供給装置24に接続された有害物注入管34が反応容器22に接続され、反応容器22内部に収容される有害物102中で終端開口される。有害物注入管34の開口部の浸漬深さをdとする。さらに、反応容器22に接続された溶融塩回収管36が溶融塩回収装置26に接続される。
【0051】
さらに、ガス排気管35には、反応容器22における発生ガスを凝縮するベーパートラップ27が備えられる。
【0052】
加えて、溶融塩注入管33の途中に溶融塩注入バルブ43が、有害物注入管34の途中に有害物注入バルブ44が、ガス排気管35の途中にガス排気バルブ45が、溶融塩回収管36の途中に溶融塩回収バルブ46がそれぞれ具備される。なお、図1に示された処理装置11の溶融塩注入バルブ43、有害物注入バルブ44、ガス排気バルブ45、溶融塩回収バルブ46は閉じている状態を示す。
【0053】
ここで、処理装置11には、冷却設備51が備えられる。冷却設備51は、冷却装置61と、冷却装置61の出口側に接続される供給側冷却管62と、冷却装置61の入口側に接続される還流側冷却管63と、供給側冷却管62に具備される循環ポンプ64とによって構成される。なお、循環ポンプ64は、還流側冷却管63に具備してもよい。
【0054】
冷却設備51には冷却物質111が蓄えられ、冷却物質111として、例えば、N2ガスがある。
【0055】
図2は、処理装置11の溶融塩注入バルブ43と、供給側冷却管62と、還流側冷却管63との配置を示す図1のX−X矢視図である。
【0056】
循環ポンプ64の出口側に接続された供給側冷却管62が、有害物注入管34に覆設される。また、循環ポンプ64の入口側に接続された還流側冷却管63が、供給側冷却管62に覆設される。さらに、供給側冷却管62と還流側冷却管63とは、有害物注入管34の出口側にて接続される。すなわち、有害物注入管34に供給側冷却管62を接触させ、さらに、供給側冷却管62に供給側冷却管62を接触させる3重管構造とする。
【0057】
なお、図1に示された処理装置11では、反応容器22の上部から有害物注入管34が接続されているが、特にこの構造に限らず、例えば、反応容器22の側部または底部から有害物注入管34が接続される構造でもよい。
【0058】
続いて、図1に示された処理装置11による処理動作について説明する。
【0059】
まず、処理装置11のガス排気バルブ45を開く。続いて、ヒータ21aおよびヒータ21cを稼動させることにより、反応容器22および有害物供給装置24内部の温度を上昇させ、溶融塩101であるNaOHを液化させ、有害物102であるCCl2F2を気化させる。
【0060】
すなわち、反応容器22内部のNaOHを液化させるために、反応容器22内部の温度を、例えば、600℃以上に加熱制御する。また、有害物注入管34内部のCCl2F2を気化させるために、有害物注入管34内部の温度を、例えば、300℃以上に加熱制御する。
【0061】
さらに、冷却設備51の循環ポンプ64を稼動させることによって、冷却物質111であるN2ガスを、冷却装置61から、供給側冷却管62、還流側冷却管63、冷却装置61へと順次循環させる。
【0062】
ここで、有害物注入バルブ44を開くと、有害物供給装置24にて気化されたCCl2F2が、有害物注入管34を通って、有害物注入管34の開口部からNaOHに接触し、CCl2F2の気泡が浸漬深さdに従ってNaOH層を通過し、NaOHの表面に到達する間に、
【化1】
の反応式によって、NaClと、NaFと、Na2CO3と、H2Oとに分解される。よって、有害なCCl2F2は無害な無機物に分解されることになる。
【0063】
なお、H2Oは、反応容器22内部の高温により蒸発してガス排気管35と、ベーパートラップ27を介してガス生成装置25に送出される。
【0064】
ここで、有害物供給装置24から反応容器22内部に、有害物102であるCCl2F2の供給を続け、反応式(1)を進行させると、所要の時間経過後に、反応容器22内部のNaOH濃度が減少するので、CCl2F2の分解の分解率が減少する。
【0065】
例えば、反応容器22内部のNaOH濃度が30%になったとき、有害物注入バルブ44を閉じ、溶融塩回収バルブ46開く。そして、反応容器22内部に混在するNaOHと、NaClと、NaFと、Na2CO3とを、溶融塩回収管36を介して溶融塩回収装置26に送出する。
【0066】
さらに、溶融塩回収装置26への送出の一部完了後または送出全部完了後、溶融塩回収バルブ46閉じ、溶融塩注入バルブ43を開いて、溶融塩供給装置23から溶融塩供給管33を介して、反応容器22内部にNaOHを流入させる。反応容器22内部に所要のNaOHを流入させ、溶融塩注入バルブ43を閉じる。
【0067】
続けて、有害物注入バルブ44を開き、再び、反応式(1)によるCCl2F2の分解を行う。
【0068】
ここで、冷却設備51に備える冷却装置61によって常温に維持されたN2ガスを循環させることによって、有害物注入管34を冷却することができる。
【0069】
図1に示された処理装置11において、有害物注入管34内壁の温度を反応容器22内部のNaOHの温度よりも数百℃低下させれば、有害物注入管34内部における反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とを抑制することができる。処理装置11では、N2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。
【0070】
よって、有害物注入管34内部における反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制されるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0071】
図1に示された処理装置11を用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0072】
図3は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第2実施の形態を示す概略図である。
【0073】
図3は、処理装置11Aを示し、この処理装置11Aは、反応容器22収容される溶融塩101であるNaOHからの熱を遮断する目的で、還流側冷却管63に断熱材71が覆設される。断熱材71としては、熱伝導率の低い材料が適当であり、例えば、アルミナ系またはシリカ系の材料が用いられる。
【0074】
なお、図3に示された処理装置11Aにおいて、図1に示された処理装置11と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図3に示された処理装置11Aによる処理動作についても、図1に示された処理装置11による処理動作と同一の処理動作については説明を省略する。
【0075】
図3に示された処理装置11Aによると、冷却物質111であるN2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。よって、有害物注入管34内部での反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制できるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0076】
さらに、図3に示された処理装置11Aでは、断熱材71によって熱抵抗を加えることによって、高温のNaOHから還流側冷却管63への断熱効果がある。よって、供給側冷却管62および還流側冷却管63のよる熱交換が効率的に行われるので、N2ガスの循環の流量を低減できる。
【0077】
図3に示された処理装置11Aを用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0078】
図4は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第3実施の形態を示す概略図である。
【0079】
図4は、処理装置11Bを示し、この処理装置11Bは、反応容器22に収容される溶融塩101であるNaOHからの熱を遮断する目的で、還流側冷却管63に断熱帯81が覆設され、断熱帯81内部には、熱吸収用の気体が含まれる。断熱帯81の材料としては、例えば、ステンレス鋼が用いられる。また、気体としては、気体による断熱帯81の酸化を抑制するために、例えば、N2ガスまたはArガス等の不活性ガスが用いられる。
【0080】
なお、図4に示された処理装置11Bにおいて、図1に示された処理装置11と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図4に示された処理装置11Bによる処理動作についても、図1に示された処理装置11による処理動作と同一の処理動作については説明を省略する。
【0081】
図4に示された処理装置11Bによると、冷却物質111であるN2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。よって、有害物注入管34内部での反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制できるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0082】
さらに、図4に示された処理装置11Bでは、断熱帯81によって熱抵抗を加えることによって、高温のNaOHから還流側冷却管63への断熱効果がある。よって、供給側冷却管62および還流側冷却管63のよる熱交換が効率的に行われるので、N2ガスの循環の流量を低減できる。
【0083】
なお、図4に示された処理装置11Bの断熱帯81は密閉されているが、ポンプを介した配管を断熱帯81に接続することによって、断熱帯81内部の気体を循環させてもよい。
【0084】
図4に示された処理装置11Bを用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0085】
図5は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第4実施の形態を示す概略図である。
【0086】
図5は、処理装置11Cを示し、この処理装置11Cは、反応容器22に収容される溶融塩101であるNaOHからの熱を遮断する目的で、還流側冷却管63に断熱帯81が覆設される。断熱帯81には真空吸引ノズル82が備えられており、真空吸引ノズル82から断熱帯81内部のガスを吸引することによって、断熱帯81内部状態を真空とする。
【0087】
なお、図5に示された処理装置11Cにおいて、図1に示された処理装置11と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図5に示された処理装置11Cによる処理動作についても、図1に示された処理装置11による処理動作と同一の処理動作については説明を省略する。
【0088】
図5に示された処理装置11Cによると、冷却物質111であるN2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。よって、有害物注入管34内部での反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制できるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0089】
さらに、図5に示された処理装置11Cでは、断熱帯81内部状態を真空にすることによって、高温のNaOHから還流側冷却管63への真空断熱効果がある。よって、供給側冷却管62および還流側冷却管63のよる熱交換が効率的に行われるので、N2ガスの循環の流量を低減できる。
【0090】
図5に示された処理装置11Cを用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0091】
図6は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第5実施の形態を示す概略図である。
【0092】
図6は、処理装置11Dを示し、この処理装置11Dは、反応容器22に収容される溶融塩101であるNaOHからの熱を遮断する目的で、還流側冷却管63に断熱帯81が覆設される。さらに、断熱帯81内部には輻射抑制板83が備えられている。輻射抑制板83としては、輻射を反射でき、熱の進入を抑制する材料、例えば、ステンレスまたはチタンが用いられる。
【0093】
なお、図6に示された処理装置11Dにおいて、図1に示された処理装置11と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図6に示された処理装置11Dによる処理動作についても、図1に示された処理装置11による処理動作と同一の処理動作については説明を省略する。
【0094】
図6に示された処理装置11Dによると、冷却物質111であるN2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。よって、有害物注入管34内部での反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制できるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0095】
さらに、図6に示された処理装置11Dでは、輻射抑制板83が設けられる断熱帯81によって、高温のNaOHの輻射熱を遮断することによって、NaOHから還流側冷却管63への真空断熱効果がある。よって、供給側冷却管62および還流側冷却管63のよる熱交換が効率的に行われるので、N2ガスの循環の流量を低減できる。
【0096】
なお、図6に示された処理装置11Dでは、断熱帯81内部に輻射抑制板83が設けられるが、断熱帯81内部状態を真空にした上で、断熱帯81内部に輻射抑制板83が設けるとさらに断熱効果が大きい。
【0097】
図6に示された処理装置11Dを用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0098】
図7は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第6実施の形態を示す概略図である。
【0099】
図7は、処理装置11Eを示し、この処理装置11Eは、供給側冷却管62の有害物注入管34に対する接触面積を増大させるため、有害物注入管34と供給側冷却管62との間に、冷却フィン84が挟持される。
【0100】
図8は、処理装置11Eの有害物注入管34と、供給側冷却管62と、還流側冷却管63と、断熱帯81と、冷却フィン84との配置を示す図7のY−Y矢視図である。
【0101】
冷却フィン84が有害物注入管34に覆設され、冷却装置61の出口側に接続された供給側冷却管62が、冷却フィン84に覆設される。また、冷却装置61の入口側に接続された還流側冷却管63が、供給側冷却管62に覆設され、供給側冷却管62は、断熱帯81に覆設される。さらに、供給側冷却管62と還流側冷却管63とは、有害物注入管34の開口部側にて接続される。
【0102】
なお、図7に示された処理装置11Eにおいて、図1に示された処理装置11と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図7に示された処理装置11Eによる処理動作についても、図1に示された処理装置11による処理動作と同一の処理動作については説明を省略する。
【0103】
図7に示された処理装置11Eによると、冷却物質111であるN2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。よって、有害物注入管34内部での反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制できるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0104】
さらに、図7に示された処理装置11Eでは、有害物注入管34と供給側冷却管62との間に冷却フィン84が狭持されることで、有害物注入管34の供給側冷却管62側接触面積に対する供給側冷却管62の有害物注入管34側接触面積を増大できるので、高温のNaOHから還流側冷却管63への真空断熱効果がある。よって、供給側冷却管62および還流側冷却管63のよる熱交換が効率的に行われるので、N2ガスの循環の流量を低減できる。
【0105】
図7に示された処理装置11Eを用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0106】
図9は、有害物注入管34を示す概略図である。
【0107】
図1に示された処理装置11による処理動作は、冷却設備51に備える供給側冷却管62と、還流側冷却管63とによって熱交換を行うものであるが、有害物注入管34は、供給側冷却管62と還流側冷却管63とによって、物理的に拘束されるため、有害物注入管34は、熱膨張による熱応力によって破損する場合がある。
【0108】
そこで、図9に示された有害物注入管34は、図1に示された処理装置11の有害物注入管34、供給側冷却管62、還流側冷却管63に伸縮管(ベローズ)88を設けるものである。ベローズ88の材料として、例えば、ステンレス鋼が用いられる。また、ベローズ88は、軸方向に伸縮自在であるものとする。
【0109】
なお、図9に示されたベローズ88は、図3に示された処理装置11Aから、図6に示された処理装置11Eの有害物注入管34にも適用できる。
【0110】
図9に示された有害物注入管34を用いると、熱応力による有害物注入管34の破損を防止できる。
【0111】
図10は、有害物注入管34の開口部を示す概略図である。
【0112】
図10(a)に示された有害物注入管34の開口部は、図1に示された処理装置11から、図6に示された処理装置11Eの有害物注入管34を示す。
【0113】
図10(b)に示された有害物注入管34aの開口部は、図10(a)に示された有害物注入管34の開口部の末端面91に、所要の隙間92を有する。なお、図10(b)に示された有害物注入管34aの開口部の隙間92は、CCl2F2の流量により所要の隙間数と所要の隙間寸法とをそれぞれ設定するものとする。
【0114】
図10(c)に示された有害物注入管34bの開口部は、図10(a)に示された有害物注入管34の開口部に、所要の寸法のスリット93が形成される。なお、図10(c)に示された有害物注入管34bの開口部のスリット93は、CCl2F2の流量により所要のスリット数と所要のスリット寸法とを設定するものとする。
【0115】
また、スリット93の寸法の設計は、CCl2F2の気泡が、スリット93の根元部から流出するようにする。よって、スリット93の根元部と、末端面91との間にガス空間95を有す。
【0116】
図1における処理装置1の有害物注入管34の開口部として、有害物注入管34aの開口部を用いた場合、図中の上部からのCCl2F2は有害物注入管34aの下方へ流動し、有害物注入管34aの開口部の隙間92から、NaOHに流出する。その結果、有害物注入管34aから流出するCCl2F2が、隙間92の寸法に相当する大きさの気泡として流出する。すなわち、有害物注入管34aの開口部側から流出する気泡の大きさを制御することができる。
【0117】
同様に、図10(c)に示された有害物注入管34bの開口部を用いた場合も、スリット93の寸法によって、気泡の大きさを制御することができる。なお、図中の上部からのCCl2F2は有害物注入管34bの下方へ流動し、スリット93の根元部から流出する。
【0118】
加えて、図1における処理装置11において、図10(a)に示された有害物注入管34の開口部を長時間用いた場合、結果的には有害物注入管34内部が閉塞する。一方、有害物注入管34の開口部を用いた場合と同一の処理条件で、図10(c)に示された有害物注入管34bの開口部を用いた場合、さらに有害物注入管34b内部の閉塞を抑制できる。
【0119】
これは、有害物注入管34bのスリット93先端部に備えるガス空間95が、断熱部としての効果を有するため、高温のNaOHによる有害物注入管34b内部の温度上昇を抑制するためである。
【0120】
図10(b),(c)にそれぞれ示された有害物注入管34a,34bの開口部を用いると、排出される有害有機化合物の気泡を小さくすることができ、有害有機化合物の高分解率および高処理効率を実現できる。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、有害有機化合物注入管の内壁を一定温度に維持することで、有害有機化合物注入管内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0122】
また、本発明によれば、有害有機化合物注入管から排出される有害有機化合物の気泡を小さくすることができ、有害有機化合物の高分解率および高処理効率を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第1実施の形態を示す概略図。
【図2】処理装置の溶融塩注入バルブと、供給側冷却管と、還流側冷却管との配置を示す図1のX−X矢視図。
【図3】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第2実施の形態を示す概略図。
【図4】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第3実施の形態を示す概略図。
【図5】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第4実施の形態を示す概略図。
【図6】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第5実施の形態を示す概略図。
【図7】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第6実施の形態を示す概略図。
【図8】処理装置の溶融塩注入バルブと、供給側冷却管と、還流側冷却管と、冷却フィンとの配置を示す図7のY−Y矢視図。
【図9】有害物注入管を示す概略図。
【図10】(a)は有害物注入管の開口部を示す概略図、(b)は有害物注入管の開口部を示す概略図、(c)は有害物注入管の開口部を示す概略図。
【図11】従来例の溶融塩による有害有機化合物の分解・処理装置を示す概略図。
【図12】有害物の温度と有害物の分解率との関係を示す相関図。
【符号の説明】
11A,11B,11C,11D,11E 処理装置
21a,21b,21c ヒータ
22 反応容器
23 溶融塩供給装置
24 有害物供給装置
25 ガス精製装置
26 溶融塩回収装置
27 ベーパートラップ
33 溶融塩注入管
34,34a,34b 有害物注入管
35 ガス排気管
36 溶融塩回収管
51 冷却設備
61 冷却装置
62 供給側冷却管
63 還流側冷却管
64 循環ポンプ
71 断熱材
81 断熱帯
82 真空吸引ノズル
83 輻射抑制板
84 冷却フィン
88 ベローズ
91 末端面
92 隙間
93 スリット
95 ガス空間
101 溶融塩
102 有害物
111 冷却物質
【発明の属する技術分野】
本発明はダイオキシンその他の有害有機化合物の分解・無害化処理の技術に係り、特に気体状態または気化させた有害有機化合物の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有害有機化合物(以下「有害物」という。)は、猛毒の化合物である。有害物として、例えば、ダイオキシン類、ポリクロロビニル類(PCB)、ヘキサクロロシクロヘキサン(BHC)等が挙げられる。
【0003】
これらの有害物の無害化処理技術として、熱化学的分解法、生物処理法、物理化学的処理法が挙げられる。
【0004】
熱化学分解法において、有害物を熱分解するためには高温を必要とするため、処理設備が大掛かりになる。また、高温燃焼排ガスはハロゲンを含むので、高温燃焼排ガスの冷却時に、ダイオキシン類、ベンゾフラン等の二次有害物質が発生する可能性がある。また、含ハロゲンの高温燃焼排ガスは、関連設備の腐食を加速させる原因となる。
【0005】
生物処理法では、比較的低濃度で存在している場合には有効ではあるが、有害物が高濃度の場合、または処理量が大量の場合の処理を行うには適していない。また、特定の有害物の分解に好適な微生物が存在しても、あらゆる種類の有害物に対して有効な微生物はないので、この方法には実用性がない。
【0006】
物理化学的処理法では、溶融塩による化合物の分解・無害化処理装置(以下「処理装置」という。)がある(例えば、特許文献1参照。)。この処理装置では、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩を加熱溶融させた溶融塩の中に、化合物を注入する。そして、化合物から、脱ハロゲンされた有機化合物に分解し、さらに、脱ハロゲン化された有機化合物を、無機化合物にまで分解・無害化処理する。
【0007】
図11は、従来の処理装置1の概略図を示す。
【0008】
図11は、処理装置1を示し、この処理装置1は、反応容器22と、溶融塩供給装置23と、有害物供給装置24と、ガス精製装置25と、溶融塩回収装置26とがそれぞれ備えられる。
【0009】
反応容器22内部および溶融塩供給装置23にはそれぞれ溶融塩101が具備される。さらに、有害物供給装置24内部には、有害物102が具備される。
【0010】
溶融塩供給装置23に接続された溶融塩注入管33と、ガス精製装置25に接続されたガス排気管35とが反応容器22に接続され、それぞれ反応容器22内部で終端開口する。また、有害物供給装置24に接続された有害物注入管34が反応容器22に接続され、反応容器22内部に収容される有害物102中で終端開口される。有害物注入管34の開口部の浸漬深さをdとする。さらに、反応容器22に接続された溶融塩回収管36が溶融塩回収装置26に接続される。
【0011】
さらに、ガス排気管35には、反応容器22における発生ガスを凝縮するベーパートラップ27が備えられる。
【0012】
加えて、溶融塩注入管33の途中に溶融塩注入バルブ43が、有害物注入管34の途中に有害物注入バルブ44が、ガス排気管35の途中にガス排気バルブ45が、溶融塩回収管36の途中に溶融塩回収バルブ46がそれぞれ具備される。なお、図11に示された処理装置1の溶融塩注入バルブ43、有害物注入バルブ44、ガス排気バルブ45、溶融塩回収バルブ46は閉じている状態を示す。
【0013】
続いて、図11に示された処理装置1による処理動作について説明する。
【0014】
まず、ガス排気バルブ45を開く。続いて、ヒータ21aおよびヒータ21cを稼動させることにより、反応容器22および有害物供給装置24内部の温度を上昇させ、溶融塩101を液化させ、有害物102を気化させる。
【0015】
すなわち、反応容器22内部の溶融塩101を液化させるために、反応容器22内部の温度を溶融塩101の融点温度以上に制御する。また、有害物注入管34内部の有害物102を気化させるために、有害物注入管34内部の温度を有害物102の沸点温度以上に制御する。
【0016】
ここで、有害物注入バルブ44を開くと、有害物供給装置24にて気化された有害物102が、有害物注入管34を通って、有害物注入管34の開口部から溶融塩101に接触し、有害物102の気泡が浸漬深さdに従って溶融塩層を通過し、溶融塩101の表面に到達する間に無害な無機物に分解される。
【0017】
【特許文献1】
特開2001−70470号公報(第15頁、図13)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
特開2001−70470号公報による溶融塩による化合物の分解・処理装置1においては、有害物供給容器24から有害物注入管34を介して反応容器22に有害物102を注入する。
【0019】
しかし、図11に示された処理装置1を用いると、有害物102の熱分解反応に従い、有害物注入管34内部の開口部付近が閉塞され、有害物102の供給ができなくなるので、早期に有害物注入管34が使用不能になる。早期の有害物注入管34の使用不能が処理装置1の実用化の妨げとなっている。
【0020】
また、図12は、有害物102の温度と有害物102の分解率との関係を示す相関図である。
【0021】
図11に示された処理装置1において、反応容器22における有害物102の分解率は、有害物102の温度と、有害物102の流量と、有害物注入管34の浸漬深さdと、有害物注入管34の内径とに依存する。図12に示された相関図の曲線は、有害物102の流量と、有害物注入管34の浸漬深さdと、有害物注入管34の内径とを任意に固定したときの、有害物102の温度と有害物102との分解率との関係を示す。なお、図12に示された相関図は、有害物102としてフロン12(CCl2F2)を用いた場合を示す。
【0022】
図12に示された相関図の曲線により、CCl2F2の分解率は、CCl2F2の温度が600℃のとき最大で、75%程度を示すことが分かる。
【0023】
さらに図12に示された相関図では表されていないが、CCl2F2の温度が600℃以上において、CCl2F2102の温度が高くなる程、CCl2F2の分解率は100%に近づくことが分かっている。
【0024】
また、図12に示された相関図の曲線では、有害物102としてCCl2F2を用いた場合を示したが、CCl2F2以外のその他の有害物102においても同様に、有害物102の温度が高くなる程、有害物102の分解率は上昇する。したがって、図11に示された処理装置1において、反応容器22の温度をヒータ21aによって上昇させ、反応容器22内部の有害物102の温度を高温に設定することが望まれる。
【0025】
ただし、図11に示された処理装置1において、反応容器22の温度の上昇に伴い、有害物注入管34の開口部内部の閉塞速度が加速されるという弊害が発生する。有害物注入管34の開口部内部の閉塞速度は、反応容器22の温度の上昇と共に加速される。
【0026】
有害物注入管34内部の閉塞の1つの原因は、閉塞物質の化学分析から、ハロゲン化物を主とする有害物102の反応生成物の固着であることが判明している。この反応生成物の固着は、有害物注入管34の開口部内部に侵入した溶融塩101が、有害物注入管34の開口部内部にて、気化された有害物102と反応していることを意味する。
【0027】
続けて、有害物注入管34内部の閉塞の他の原因は、閉塞物質の化学分析から、ハロゲン化合物の熱分解生成物の固着であることが判明している。この熱分解生成物の固着は、有害物注入管34内部で気化された有害物102の熱分解反応が進行していることを意味する。
【0028】
なお、有害物注入管34の材料としてステンレス鋼素材が使用される場合がほとんどであるが、特に、有害物注入管34がステンレス鋼素材の場合は有害物注入管34内部の熱分解生成物による閉塞が顕著に発生する。
【0029】
このように、有害物102の分解率を良化させるためには、有害物102の温度を高温に維持し、高温で管理することが望まれるが、一方では、有害物102の温度上昇に伴い、有害物注入管34および有害物注入管34内部の温度も上昇する。そして、有害物注入管34内部での溶融塩101と有害物102の反応、および溶融塩101の熱分解反応を促進させる。その結果、有害物注入管34内部に、溶融塩101と有害物102との反応生成物、および溶融塩101の熱分解反応により発生する熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着し、有害物注入管34を閉塞させる。
【0030】
また、図11に示された処理装置1では、有害物供給装置24にて気化された有害物102が、有害物注入管34を通って、有害物注入管34の出口から溶融塩101に接触し、有害物102の気泡が浸漬深さdに従って溶融塩層を通過し、溶融塩101の表面に到達する間に分解反応が進行する。しかし、有害物注入管34の開口部から排出される有害物102の気泡は、表面張力により大きくなるので、溶融塩101の表面に到達する間に分解反応が殆ど進行せず、有害物102の充分な分解率が得られない。
【0031】
さらに、処理装置1の処理効率を上げるため、有害物注入管34内部による有害物102の流速を大きくすると、低分解率の結果は顕著に現れる。
【0032】
有害物102の充分な分解率が得られない、すなわち、有害物102の排出基準を満たさない場合、処理装置1の系内に排ガス処理装置が必要となる。
【0033】
加えて、有害物注入管34の出口から排出される有害物102の気泡を小さくするために、有害物注入管34の内径を小さくする方法も考えられる。その場合、有害物102の処理効率が低下することはもちろん、有害物注入管34の出口から排出される小さな気泡は、排出されて間もなく、複数の気泡が互いに吸収されて大きな気泡となる。その結果、有害物注入管34の内径に対応する小さな気泡を得ることはできず、溶融塩101の表面に到達する間に分解反応が殆ど進行せず、有害物102の充分な分解率が得られない。
【0034】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、有害有機化合物注入管の内壁を一定温度に維持することで、有害有機化合物注入管内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置を提供することを目的とする。
【0035】
また、本発明の他の目的は、有害有機化合物注入管から排出される有害有機化合物の気泡を小さくすることで、有害有機化合物の高分解率および高処理効率を実現できる溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置を提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、上述した課題を解決するために請求項1に記載したように、溶融塩を収容する一方、前記溶融塩を加熱するヒータが具備された反応容器と、溶融塩を加熱するヒータが具備された溶融塩供給装置と、有害有機化合物を収容し、前記有害有機化合物を加熱するヒータが具備された有害有機化合物供給容器と、前記反応容器内で生成された反応ガスを処理するガス精製装置と、前記溶融塩供給装置から前記反応容器に接続された溶融塩注入管と、前記有害有機化合物供給容器から前記反応容器に接続され、前記反応容器内部に収容される溶融塩中で終端開口する有害有機化合物注入管と、前記反応容器からベーパートラップを介して前記ガス精製装置に接続されたガス排気管と、前記有害有機化合物注入管の内部を冷却するために、前記有害有機化合物注入管に備えられた冷却設備とを有することを特徴とする。
【0037】
また、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項2に記載したように、前記冷却設備は閉じた循環回路を有し、前記冷却設備は、冷却装置に接続された供給側冷却管および還流側冷却管によって熱交換部が形成されたことを特徴とする。
【0038】
さらに、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項3に記載したように、前記熱交換部に断熱材が覆設されたことを特徴とする。
【0039】
次いで、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項4に記載したように、前記熱交換部に断熱帯が覆設され、前記断熱帯に、不活性ガスを備えたことを特徴とする。
【0040】
続いて、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項5に記載したように、前記断熱帯に真空吸引用ノズルが備えられたことを特徴とする。
【0041】
また、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項6に記載したように、前記断熱帯の内部に、金属製の輻射抑制板が備えられたことを特徴とする。
【0042】
さらに、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項7に記載したように、前記有害有機有害物注入管および前記熱交換部に冷却フィンが挟持されたことを特徴とする。
【0043】
次いで、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項8に記載したように、前記有害有機有害物注入管は、前記有害有機有害物注入管の熱応力が負荷される部分に伸縮管が備えられたことを特徴とする。
【0044】
続いて、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項9に記載したように、前記有害有機有害物注入管は、前記有害有機有害物注入管の開口部側の末端面が隙間構造を有することを特徴とする。
【0045】
また、本発明の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置は、請求項10に記載したように、前記有害有機有害物注入管は、前記有害有機有害物注入管の開口部側の側面がスリット構造を有することを特徴とする。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0047】
図1は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第1実施の形態を示す概略図である。
【0048】
図1において、符号11は溶融塩による有害有機化合物(以下「有害物」という。)の分解・無害化処理装置(以下「処理装置」という。)を示し、この処理装置11は、ヒータ21aを備えた反応容器22と、ヒータ21bを備えた溶融塩供給装置23と、ヒータ21cを備えた有害物供給装置24と、生成ガスを精製するガス精製装置25と、溶融塩回収装置26とがそれぞれ備えられる。
【0049】
反応容器22内部および溶融塩供給装置23には溶融塩101が具備され、溶融塩101として、例えば、NaOHがある。さらに、有害物供給装置24内部には、有害物102が具備され、有害物102として、例えば、フロン12(CCl2F2)がある。
【0050】
溶融塩供給装置23に接続された溶融塩注入管33と、ガス精製装置25に接続されたガス排気管35とが反応容器22に接続され、それぞれ反応容器22内部で終端開口する。また、有害物供給装置24に接続された有害物注入管34が反応容器22に接続され、反応容器22内部に収容される有害物102中で終端開口される。有害物注入管34の開口部の浸漬深さをdとする。さらに、反応容器22に接続された溶融塩回収管36が溶融塩回収装置26に接続される。
【0051】
さらに、ガス排気管35には、反応容器22における発生ガスを凝縮するベーパートラップ27が備えられる。
【0052】
加えて、溶融塩注入管33の途中に溶融塩注入バルブ43が、有害物注入管34の途中に有害物注入バルブ44が、ガス排気管35の途中にガス排気バルブ45が、溶融塩回収管36の途中に溶融塩回収バルブ46がそれぞれ具備される。なお、図1に示された処理装置11の溶融塩注入バルブ43、有害物注入バルブ44、ガス排気バルブ45、溶融塩回収バルブ46は閉じている状態を示す。
【0053】
ここで、処理装置11には、冷却設備51が備えられる。冷却設備51は、冷却装置61と、冷却装置61の出口側に接続される供給側冷却管62と、冷却装置61の入口側に接続される還流側冷却管63と、供給側冷却管62に具備される循環ポンプ64とによって構成される。なお、循環ポンプ64は、還流側冷却管63に具備してもよい。
【0054】
冷却設備51には冷却物質111が蓄えられ、冷却物質111として、例えば、N2ガスがある。
【0055】
図2は、処理装置11の溶融塩注入バルブ43と、供給側冷却管62と、還流側冷却管63との配置を示す図1のX−X矢視図である。
【0056】
循環ポンプ64の出口側に接続された供給側冷却管62が、有害物注入管34に覆設される。また、循環ポンプ64の入口側に接続された還流側冷却管63が、供給側冷却管62に覆設される。さらに、供給側冷却管62と還流側冷却管63とは、有害物注入管34の出口側にて接続される。すなわち、有害物注入管34に供給側冷却管62を接触させ、さらに、供給側冷却管62に供給側冷却管62を接触させる3重管構造とする。
【0057】
なお、図1に示された処理装置11では、反応容器22の上部から有害物注入管34が接続されているが、特にこの構造に限らず、例えば、反応容器22の側部または底部から有害物注入管34が接続される構造でもよい。
【0058】
続いて、図1に示された処理装置11による処理動作について説明する。
【0059】
まず、処理装置11のガス排気バルブ45を開く。続いて、ヒータ21aおよびヒータ21cを稼動させることにより、反応容器22および有害物供給装置24内部の温度を上昇させ、溶融塩101であるNaOHを液化させ、有害物102であるCCl2F2を気化させる。
【0060】
すなわち、反応容器22内部のNaOHを液化させるために、反応容器22内部の温度を、例えば、600℃以上に加熱制御する。また、有害物注入管34内部のCCl2F2を気化させるために、有害物注入管34内部の温度を、例えば、300℃以上に加熱制御する。
【0061】
さらに、冷却設備51の循環ポンプ64を稼動させることによって、冷却物質111であるN2ガスを、冷却装置61から、供給側冷却管62、還流側冷却管63、冷却装置61へと順次循環させる。
【0062】
ここで、有害物注入バルブ44を開くと、有害物供給装置24にて気化されたCCl2F2が、有害物注入管34を通って、有害物注入管34の開口部からNaOHに接触し、CCl2F2の気泡が浸漬深さdに従ってNaOH層を通過し、NaOHの表面に到達する間に、
【化1】
の反応式によって、NaClと、NaFと、Na2CO3と、H2Oとに分解される。よって、有害なCCl2F2は無害な無機物に分解されることになる。
【0063】
なお、H2Oは、反応容器22内部の高温により蒸発してガス排気管35と、ベーパートラップ27を介してガス生成装置25に送出される。
【0064】
ここで、有害物供給装置24から反応容器22内部に、有害物102であるCCl2F2の供給を続け、反応式(1)を進行させると、所要の時間経過後に、反応容器22内部のNaOH濃度が減少するので、CCl2F2の分解の分解率が減少する。
【0065】
例えば、反応容器22内部のNaOH濃度が30%になったとき、有害物注入バルブ44を閉じ、溶融塩回収バルブ46開く。そして、反応容器22内部に混在するNaOHと、NaClと、NaFと、Na2CO3とを、溶融塩回収管36を介して溶融塩回収装置26に送出する。
【0066】
さらに、溶融塩回収装置26への送出の一部完了後または送出全部完了後、溶融塩回収バルブ46閉じ、溶融塩注入バルブ43を開いて、溶融塩供給装置23から溶融塩供給管33を介して、反応容器22内部にNaOHを流入させる。反応容器22内部に所要のNaOHを流入させ、溶融塩注入バルブ43を閉じる。
【0067】
続けて、有害物注入バルブ44を開き、再び、反応式(1)によるCCl2F2の分解を行う。
【0068】
ここで、冷却設備51に備える冷却装置61によって常温に維持されたN2ガスを循環させることによって、有害物注入管34を冷却することができる。
【0069】
図1に示された処理装置11において、有害物注入管34内壁の温度を反応容器22内部のNaOHの温度よりも数百℃低下させれば、有害物注入管34内部における反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とを抑制することができる。処理装置11では、N2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。
【0070】
よって、有害物注入管34内部における反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制されるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0071】
図1に示された処理装置11を用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0072】
図3は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第2実施の形態を示す概略図である。
【0073】
図3は、処理装置11Aを示し、この処理装置11Aは、反応容器22収容される溶融塩101であるNaOHからの熱を遮断する目的で、還流側冷却管63に断熱材71が覆設される。断熱材71としては、熱伝導率の低い材料が適当であり、例えば、アルミナ系またはシリカ系の材料が用いられる。
【0074】
なお、図3に示された処理装置11Aにおいて、図1に示された処理装置11と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図3に示された処理装置11Aによる処理動作についても、図1に示された処理装置11による処理動作と同一の処理動作については説明を省略する。
【0075】
図3に示された処理装置11Aによると、冷却物質111であるN2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。よって、有害物注入管34内部での反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制できるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0076】
さらに、図3に示された処理装置11Aでは、断熱材71によって熱抵抗を加えることによって、高温のNaOHから還流側冷却管63への断熱効果がある。よって、供給側冷却管62および還流側冷却管63のよる熱交換が効率的に行われるので、N2ガスの循環の流量を低減できる。
【0077】
図3に示された処理装置11Aを用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0078】
図4は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第3実施の形態を示す概略図である。
【0079】
図4は、処理装置11Bを示し、この処理装置11Bは、反応容器22に収容される溶融塩101であるNaOHからの熱を遮断する目的で、還流側冷却管63に断熱帯81が覆設され、断熱帯81内部には、熱吸収用の気体が含まれる。断熱帯81の材料としては、例えば、ステンレス鋼が用いられる。また、気体としては、気体による断熱帯81の酸化を抑制するために、例えば、N2ガスまたはArガス等の不活性ガスが用いられる。
【0080】
なお、図4に示された処理装置11Bにおいて、図1に示された処理装置11と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図4に示された処理装置11Bによる処理動作についても、図1に示された処理装置11による処理動作と同一の処理動作については説明を省略する。
【0081】
図4に示された処理装置11Bによると、冷却物質111であるN2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。よって、有害物注入管34内部での反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制できるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0082】
さらに、図4に示された処理装置11Bでは、断熱帯81によって熱抵抗を加えることによって、高温のNaOHから還流側冷却管63への断熱効果がある。よって、供給側冷却管62および還流側冷却管63のよる熱交換が効率的に行われるので、N2ガスの循環の流量を低減できる。
【0083】
なお、図4に示された処理装置11Bの断熱帯81は密閉されているが、ポンプを介した配管を断熱帯81に接続することによって、断熱帯81内部の気体を循環させてもよい。
【0084】
図4に示された処理装置11Bを用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0085】
図5は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第4実施の形態を示す概略図である。
【0086】
図5は、処理装置11Cを示し、この処理装置11Cは、反応容器22に収容される溶融塩101であるNaOHからの熱を遮断する目的で、還流側冷却管63に断熱帯81が覆設される。断熱帯81には真空吸引ノズル82が備えられており、真空吸引ノズル82から断熱帯81内部のガスを吸引することによって、断熱帯81内部状態を真空とする。
【0087】
なお、図5に示された処理装置11Cにおいて、図1に示された処理装置11と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図5に示された処理装置11Cによる処理動作についても、図1に示された処理装置11による処理動作と同一の処理動作については説明を省略する。
【0088】
図5に示された処理装置11Cによると、冷却物質111であるN2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。よって、有害物注入管34内部での反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制できるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0089】
さらに、図5に示された処理装置11Cでは、断熱帯81内部状態を真空にすることによって、高温のNaOHから還流側冷却管63への真空断熱効果がある。よって、供給側冷却管62および還流側冷却管63のよる熱交換が効率的に行われるので、N2ガスの循環の流量を低減できる。
【0090】
図5に示された処理装置11Cを用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0091】
図6は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第5実施の形態を示す概略図である。
【0092】
図6は、処理装置11Dを示し、この処理装置11Dは、反応容器22に収容される溶融塩101であるNaOHからの熱を遮断する目的で、還流側冷却管63に断熱帯81が覆設される。さらに、断熱帯81内部には輻射抑制板83が備えられている。輻射抑制板83としては、輻射を反射でき、熱の進入を抑制する材料、例えば、ステンレスまたはチタンが用いられる。
【0093】
なお、図6に示された処理装置11Dにおいて、図1に示された処理装置11と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図6に示された処理装置11Dによる処理動作についても、図1に示された処理装置11による処理動作と同一の処理動作については説明を省略する。
【0094】
図6に示された処理装置11Dによると、冷却物質111であるN2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。よって、有害物注入管34内部での反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制できるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0095】
さらに、図6に示された処理装置11Dでは、輻射抑制板83が設けられる断熱帯81によって、高温のNaOHの輻射熱を遮断することによって、NaOHから還流側冷却管63への真空断熱効果がある。よって、供給側冷却管62および還流側冷却管63のよる熱交換が効率的に行われるので、N2ガスの循環の流量を低減できる。
【0096】
なお、図6に示された処理装置11Dでは、断熱帯81内部に輻射抑制板83が設けられるが、断熱帯81内部状態を真空にした上で、断熱帯81内部に輻射抑制板83が設けるとさらに断熱効果が大きい。
【0097】
図6に示された処理装置11Dを用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0098】
図7は、本発明に係る溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第6実施の形態を示す概略図である。
【0099】
図7は、処理装置11Eを示し、この処理装置11Eは、供給側冷却管62の有害物注入管34に対する接触面積を増大させるため、有害物注入管34と供給側冷却管62との間に、冷却フィン84が挟持される。
【0100】
図8は、処理装置11Eの有害物注入管34と、供給側冷却管62と、還流側冷却管63と、断熱帯81と、冷却フィン84との配置を示す図7のY−Y矢視図である。
【0101】
冷却フィン84が有害物注入管34に覆設され、冷却装置61の出口側に接続された供給側冷却管62が、冷却フィン84に覆設される。また、冷却装置61の入口側に接続された還流側冷却管63が、供給側冷却管62に覆設され、供給側冷却管62は、断熱帯81に覆設される。さらに、供給側冷却管62と還流側冷却管63とは、有害物注入管34の開口部側にて接続される。
【0102】
なお、図7に示された処理装置11Eにおいて、図1に示された処理装置11と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図7に示された処理装置11Eによる処理動作についても、図1に示された処理装置11による処理動作と同一の処理動作については説明を省略する。
【0103】
図7に示された処理装置11Eによると、冷却物質111であるN2ガスを供給側冷却管62および還流側冷却管63を介して循環させることによって、有害物注入管34内壁の温度を下げることができる。よって、有害物注入管34内部での反応式(1)の反応と、CCl2F2の熱分解反応とが抑制できるので、CCl2F2の反応生成物および熱分解生成物が有害物注入管34内部に固着することを抑制することができる。
【0104】
さらに、図7に示された処理装置11Eでは、有害物注入管34と供給側冷却管62との間に冷却フィン84が狭持されることで、有害物注入管34の供給側冷却管62側接触面積に対する供給側冷却管62の有害物注入管34側接触面積を増大できるので、高温のNaOHから還流側冷却管63への真空断熱効果がある。よって、供給側冷却管62および還流側冷却管63のよる熱交換が効率的に行われるので、N2ガスの循環の流量を低減できる。
【0105】
図7に示された処理装置11Eを用いると、有害物注入管34の内壁を一定温度に維持することで、有害物注入管34内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0106】
図9は、有害物注入管34を示す概略図である。
【0107】
図1に示された処理装置11による処理動作は、冷却設備51に備える供給側冷却管62と、還流側冷却管63とによって熱交換を行うものであるが、有害物注入管34は、供給側冷却管62と還流側冷却管63とによって、物理的に拘束されるため、有害物注入管34は、熱膨張による熱応力によって破損する場合がある。
【0108】
そこで、図9に示された有害物注入管34は、図1に示された処理装置11の有害物注入管34、供給側冷却管62、還流側冷却管63に伸縮管(ベローズ)88を設けるものである。ベローズ88の材料として、例えば、ステンレス鋼が用いられる。また、ベローズ88は、軸方向に伸縮自在であるものとする。
【0109】
なお、図9に示されたベローズ88は、図3に示された処理装置11Aから、図6に示された処理装置11Eの有害物注入管34にも適用できる。
【0110】
図9に示された有害物注入管34を用いると、熱応力による有害物注入管34の破損を防止できる。
【0111】
図10は、有害物注入管34の開口部を示す概略図である。
【0112】
図10(a)に示された有害物注入管34の開口部は、図1に示された処理装置11から、図6に示された処理装置11Eの有害物注入管34を示す。
【0113】
図10(b)に示された有害物注入管34aの開口部は、図10(a)に示された有害物注入管34の開口部の末端面91に、所要の隙間92を有する。なお、図10(b)に示された有害物注入管34aの開口部の隙間92は、CCl2F2の流量により所要の隙間数と所要の隙間寸法とをそれぞれ設定するものとする。
【0114】
図10(c)に示された有害物注入管34bの開口部は、図10(a)に示された有害物注入管34の開口部に、所要の寸法のスリット93が形成される。なお、図10(c)に示された有害物注入管34bの開口部のスリット93は、CCl2F2の流量により所要のスリット数と所要のスリット寸法とを設定するものとする。
【0115】
また、スリット93の寸法の設計は、CCl2F2の気泡が、スリット93の根元部から流出するようにする。よって、スリット93の根元部と、末端面91との間にガス空間95を有す。
【0116】
図1における処理装置1の有害物注入管34の開口部として、有害物注入管34aの開口部を用いた場合、図中の上部からのCCl2F2は有害物注入管34aの下方へ流動し、有害物注入管34aの開口部の隙間92から、NaOHに流出する。その結果、有害物注入管34aから流出するCCl2F2が、隙間92の寸法に相当する大きさの気泡として流出する。すなわち、有害物注入管34aの開口部側から流出する気泡の大きさを制御することができる。
【0117】
同様に、図10(c)に示された有害物注入管34bの開口部を用いた場合も、スリット93の寸法によって、気泡の大きさを制御することができる。なお、図中の上部からのCCl2F2は有害物注入管34bの下方へ流動し、スリット93の根元部から流出する。
【0118】
加えて、図1における処理装置11において、図10(a)に示された有害物注入管34の開口部を長時間用いた場合、結果的には有害物注入管34内部が閉塞する。一方、有害物注入管34の開口部を用いた場合と同一の処理条件で、図10(c)に示された有害物注入管34bの開口部を用いた場合、さらに有害物注入管34b内部の閉塞を抑制できる。
【0119】
これは、有害物注入管34bのスリット93先端部に備えるガス空間95が、断熱部としての効果を有するため、高温のNaOHによる有害物注入管34b内部の温度上昇を抑制するためである。
【0120】
図10(b),(c)にそれぞれ示された有害物注入管34a,34bの開口部を用いると、排出される有害有機化合物の気泡を小さくすることができ、有害有機化合物の高分解率および高処理効率を実現できる。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、有害有機化合物注入管の内壁を一定温度に維持することで、有害有機化合物注入管内部の閉塞を抑制することができるので、装置の長寿命化を実現できる。
【0122】
また、本発明によれば、有害有機化合物注入管から排出される有害有機化合物の気泡を小さくすることができ、有害有機化合物の高分解率および高処理効率を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第1実施の形態を示す概略図。
【図2】処理装置の溶融塩注入バルブと、供給側冷却管と、還流側冷却管との配置を示す図1のX−X矢視図。
【図3】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第2実施の形態を示す概略図。
【図4】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第3実施の形態を示す概略図。
【図5】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第4実施の形態を示す概略図。
【図6】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第5実施の形態を示す概略図。
【図7】本発明に係る有害有機化合物の分解・無害化処理装置の第6実施の形態を示す概略図。
【図8】処理装置の溶融塩注入バルブと、供給側冷却管と、還流側冷却管と、冷却フィンとの配置を示す図7のY−Y矢視図。
【図9】有害物注入管を示す概略図。
【図10】(a)は有害物注入管の開口部を示す概略図、(b)は有害物注入管の開口部を示す概略図、(c)は有害物注入管の開口部を示す概略図。
【図11】従来例の溶融塩による有害有機化合物の分解・処理装置を示す概略図。
【図12】有害物の温度と有害物の分解率との関係を示す相関図。
【符号の説明】
11A,11B,11C,11D,11E 処理装置
21a,21b,21c ヒータ
22 反応容器
23 溶融塩供給装置
24 有害物供給装置
25 ガス精製装置
26 溶融塩回収装置
27 ベーパートラップ
33 溶融塩注入管
34,34a,34b 有害物注入管
35 ガス排気管
36 溶融塩回収管
51 冷却設備
61 冷却装置
62 供給側冷却管
63 還流側冷却管
64 循環ポンプ
71 断熱材
81 断熱帯
82 真空吸引ノズル
83 輻射抑制板
84 冷却フィン
88 ベローズ
91 末端面
92 隙間
93 スリット
95 ガス空間
101 溶融塩
102 有害物
111 冷却物質
Claims (10)
- 溶融塩を収容する一方、前記溶融塩を加熱するヒータが具備された反応容器と、
溶融塩を加熱するヒータが具備された溶融塩供給装置と、
有害有機化合物を収容し、前記有害有機化合物を加熱するヒータが具備された有害有機化合物供給容器と、
前記反応容器内で生成された反応ガスを処理するガス精製装置と、
前記溶融塩供給装置から前記反応容器に接続された溶融塩注入管と、
前記有害有機化合物供給容器から前記反応容器に接続され、前記反応容器内部に収容される溶融塩中で終端開口する有害有機化合物注入管と、
前記反応容器からベーパートラップを介して前記ガス精製装置に接続されたガス排気管と、
前記有害有機化合物注入管の内部を冷却するために、前記有害有機化合物注入管に備えられた冷却設備とを有することを特徴とする溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置。 - 前記冷却設備は閉じた循環回路を有し、前記冷却設備は、冷却装置に接続された供給側冷却管および還流側冷却管によって熱交換部が形成されたことを特徴とする請求項1記載の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置。
- 前記熱交換部に断熱材が覆設されたことを特徴とする請求項2記載の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置。
- 前記熱交換部に断熱帯が覆設され、前記断熱帯に不活性ガスを備えたことを特徴とする請求項2記載の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置。
- 前記断熱帯に真空吸引用ノズルが備えられたことを特徴とする請求項4記載の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置。
- 前記断熱帯の内部に、金属製の輻射抑制板が備えられたことを特徴とする請求項4記載の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理方法。
- 前記有害有機有害物注入管および前記熱交換部に冷却フィンが挟持されたことを特徴とする請求項1または2記載の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置。
- 前記有害有機有害物注入管は、前記有害有機有害物注入管の熱応力が負荷される部分に伸縮管が備えられたことを特徴とする請求項1記載の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置。
- 前記有害有機有害物注入管は、前記有害有機有害物注入管の開口部側の末端面が隙間構造を有することを特徴とする請求項1記載の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置。
- 前記有害有機有害物注入管は、前記有害有機有害物注入管の開口部側の側面がスリット構造を有することを特徴とする請求項1記載の溶融塩による有害有機化合物の分解・無害化処理装置。
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