JP2004188091A - 拭取り用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】取り扱いが簡単で除菌効果の高い拭取り用シートを提供する。
【解決手段】セルロース系繊維を含むシート体に薬液を含浸させた拭取り用シートにおいて、薬液の重量がシート体の乾燥重量の1ないし3倍であり、かつ、薬液が、カチオン性ポリマー除菌剤を0.01〜5重量%、好適には、0.02ないし0.7重量%含む。また、好ましくは、アルコール類を1ないし60重量%、好適には、5ないし30重量%含める。さらに好ましくは、前記シート体が水解性を有する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、セルロール系繊維を含む、不織布、織布、紙などのシート体に薬液を含浸させた、ウエットティッシュ、清掃用シート、おしりふきなどの拭取り用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ウエットティッシュなどの拭取り用シートに含浸させる薬液には、除菌効果のある成分として、アルコール類、パラオキシ安息香酸エステル、モノマーの4級アンモニウム塩などを含有してきた。
【0003】
アルコール類は、濃度を80%程度にしないと除菌効果が得られない。しかし、80%程度の濃度のアルコール類は、揮発性が高く、使用時に刺激臭がしたり、人体に不快な冷感を与えたり、また、皮膚の油脂分まで拭き取ってしまい、肌荒れを起す原因となるという問題がある。
【0004】
また、パラオキシ安息香酸エステルは、水に溶けにくいため、水溶液として薬液にしにくい。加えて、除菌効果がアルコール類に比べて低く、除菌効果を高めるために濃度を上げると、皮膚に対する刺激が強く、肌荒れを起す原因となるという問題がある。
【0005】
さらに、モノマーの4級アンモニウム塩は、カチオン性官能基がセルロール系繊維を含むシート体のアニオン性カルボキシル基と結合してしまい、除菌効果が低下してしまうという問題がある。
【0006】
これらの問題に対し、次のような文献が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−113779号公報
【0008】
この文献によると、ポリリジンおよび/またはその塩と電解質とを含有する薬液をセルロース系繊維などを含むシート体に含浸させて、拭取り用シートとする。
【0009】
また、別の文献として、次のような文献が開示されている。
【0010】
【特許文献2】
特開2002−233471号公報
【0011】
この文献によると、セルロース系繊維を10〜100重量%含む不織布からなるセルロース系繊維を含むシート体に、ポリリジンおよび/またはその塩とグリセリン脂肪酸エステルとを含有する水溶液を、上記シート体の乾燥重量に対して0.5〜5倍重量含浸させて、拭取り用シートとする。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記2つの特許文献に開示されている拭取り用シートに含浸する薬液に含まれるポリリジンは、安全性が高く、皮膚への刺激も非常に少ないが、除菌効果が低く、濃度を高くしなければ所定の除菌効果を達成することができない。一方、ポリリジンの濃度を高くすると、製造コストが高くなるという問題があるのに加えて、薬液の粘性が高くなり、拭取り用シートがべたべたして扱い難くなるという問題がある。
【0013】
そこで、この発明の目的は、取り扱いが簡単で除菌効果の高い拭取り用シートを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1に記載の発明は、セルロール系繊維を含むシート体に薬液を含浸させた拭取り用シートにおいて、前記薬液の重量が前記シート体の乾燥重量の1ないし2倍であり、かつ、前記薬液が、カチオン性ポリマー除菌剤を0.01ないし5重量%含むことを特徴とする。
【0015】
したがって、カチオン性ポリマー除菌剤が複数のカチオン性官能基を有し、そのうちのいくつかがセルロース系繊維を含むシート体のアニオン性カルボキシル基と結合しても、残りのカチオン性官能基によって除菌効果を保持することができるので、除菌剤の濃度を高くして除菌効果を維持したりする必要がなく、肌荒れやべたつき感などがない。
【0016】
また、薬液の重量がシート体の乾燥重量の1ないし3倍であるので、拭き取りの際に、拭き取り対象物に薬液が過剰に残存することがなく、2度拭きをする必要がない。
【0017】
したがって、取り扱いが簡単で除菌効果の高い拭取り用シートを提供することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の拭取り用シートにおいて、前記薬液が、前記カチオン性ポリマー除菌剤を0.02ないし0.7重量%含むことを特徴とする。
【0019】
したがって、除菌効果を有するとともに、必要最小限にカチオン性ポリマー除菌剤を配合することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の拭取り用シートにおいて、前記薬液が、アルコール類を1ないし60重量%含むことを特徴とする。
【0021】
したがって、アルコール類の持つ除菌効果により、薬液の除菌効果を高めることができる。また、アルコール類の臭気がユーザーに除菌効果を認識させる効果がある。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の拭取り用シートにおいて、前記薬液が、前記アルコール類を5ないし30重量%含むことを特徴とする。
【0023】
したがって、アルコール類の持つ除菌効果により、薬液の除菌効果を高めることができるとともに、必要最小限にアルコール類を配合することができる。加えて、アルコール類の臭気がユーザーに除菌効果を一層認識させる効果がある。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1に記載の拭取り用シートにおいて、前記シート体が水解性を有することを特徴とする。
【0025】
したがって、拭取り用シートをトイレなどで使用した後、そのまま水に流すことができ、一層取り扱いが簡単で除菌効果の高い拭取り用シートを提供することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の拭取り用シートの一例としての清掃用シートは、紙または不織布を用いたシート体に薬液を含浸させたものである。シートに不織布を用いた場合は、天然繊維のパルプ、綿、麻など、または、天然の素材を化学的に溶解・再生した再生繊維のキュプラ繊維、レーヨン繊維などのセルロース系繊維を10ないし100重量%、好ましくは、50ないし100重量%含有する。セルロース系繊維を10重量%以上の範囲で含む不織布は、吸水性に富み、水溶液の保液性に優れることが知られている。また、清掃用シートの不織布は、水解性を有する。
【0027】
そして、このシート体の乾燥重量と同じ重量の薬液を含浸させて清掃用シートとする。
【0028】
この薬液は、カチオン性のポリマー除菌剤として、ポリヘキサメチレンビグアニドハイドロクロライド(以下、「PHMB」という。)を0.2重量%、アルコール類として、例えばエタノールを5重量%、アルキレンオキサイドアルキルエーテル、ノニルフェニルエーテル、オクチルフェノール、ヒマシ油エーテルなどのノニオン性界面活性剤、またはアルキルスルホベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、デシルジメチルアミンオキシド、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの両性界面活性剤を適量、含む水溶液である。このシート体は、ユーザーが手で持って清掃しやすいように、適当な大きさに加工されて3つ折りにされた後、複数枚重ねてケースなどに収納される。
【0029】
このように構成された清掃用シートを使用するときは、清掃用シートを必要な枚数だけケースなどから取り出して、手で清掃用シートを持って、清掃用シートの一方の面で、例えば、便座などを拭く。すると、PHMBのカチオン性官能基が、カビなどの原因となるバクテリアなどを付着させるとともに、アルコールを含んだ水溶液が、塵や埃などを湿潤させながら、不織布に付着させる。
【0030】
そして、一方の面が汚れたときは、清掃用シートを裏返して、他方の面を便座などに当てて拭く。
【0031】
このとき、清掃用シートの薬液には、ノニオン性または両性の界面活性剤が含有されているので、拭き取る際の泡立ちを抑えることができ、一回の拭取りで良好な拭き上がりとなる。
【0032】
なお、上述したPHMBは、カチオン性官能基を有するので、不織布を構成するセルロース系繊維のアニオン性のカルボキシル基と結合しやすいが、PHMBは、ポリマーであることから、複数のカチオン性官能基を有し、上記カルボキシル基と結合していないカチオン性官能基で除菌剤としての効果を達成することができる。
【0033】
使用後は、清掃用シートを便器の中に捨て、水を流して便器を洗浄する。このとき、この例の清掃用シートは、水解性を有するので、容易に水に溶けて流すことができる。
【0034】
なお、上述の例では、薬液を、PHMBを0.2重量%、アルコール類として、エタノールを5重量%、ノニオン性または両性の界面活性剤を適量、含む水溶液で構成したが、エタノールのかわりにプロパノール、ブタノ―ル、イソプロパノール等のアルコールを用いてもよく、これに加えて、グリコール系溶剤、防腐剤などを含有してもよい。また、カオチン性ポリマー除菌剤としては、PHMBの他、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の塩酸塩や側鎖にビグアニド基をもつポリアクリレート、ポリメタラクリレート等を用いることができる。
【0035】
また、上述の例の薬液は、カチオン性のポリマー除菌剤として、PHMBを0.2重量%、アルコール類として、例えばエタノールを5重量%含む水溶液とし、その薬液の重量がシート体の乾燥重量と同じであるとしたが、この発明はこれに限定されるものではなく、薬液の重量がシート体の乾燥重量の1ないし3倍であり、かつ、薬液が、カチオン性ポリマー除菌剤を、0.01ないし5重量%含めばよい。
【0036】
薬液の重量がシート体の乾燥重量の1ないし3倍であれば、拭き取り後に、拭き取り対象物に薬液が過剰に残存せず、取り扱いが簡単である。また、薬液が、カチオン性ポリマー除菌剤を、0.01ないし5重量%含めば、除菌効果を達成することができる。
【0037】
これに加えて、好適には、カチオン性ポリマー除菌剤を0.02ないし0.7重量%とすると、必要最小限で除菌効果を達成することができる。また、この薬液に、アルコール類を、1ないし60重量%含めてもよい。このとき、アルコール類を5ないし30重量%含めると、薬液の除菌効果を高めることができるとともに、必要最小限にアルコール類を配合することができ、経済的である。
【0038】
また、上述の例では、セルロース系繊維を含むシート体として、不織布を用いたが、この発明はこれに限定されるものではなく、織布、紙などでもよい。
【0039】
さらに、上述の例では、トイレの便座の汚れを拭き取る清掃用シートについて説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、トイレの床面や壁の汚れを拭き取ってもよい。この場合、シートには強度が求められるためシート体は、水解性であるより、非水解性の方がよく、非水解性のシートの場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の化学繊維を用いてもよい。
【0040】
また、上述の例では、拭取り用シートとして、清掃用シートについて説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、ウエットティッシュ、おしりふきなど、薬液を含浸させたウエットタイプのあらゆるシート体に適用できる。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳述したように、この発明によれば、取り扱いが簡単で除菌効果の高い拭取り用シートを提供することができる。

Claims (5)

  1. セルロース系繊維を含むシート体に薬液を含浸させた拭取り用シートにおいて、
    前記薬液の重量が前記シート体の乾燥重量の1ないし3倍であり、かつ、前記薬液が、カチオン性ポリマー除菌剤を0.01ないし5重量%含むことを特徴とする、拭取り用シート。
  2. 前記薬液が、前記カチオン性ポリマー除菌剤を0.02ないし0.7重量%含むことを特徴とする、請求項1に記載の拭取り用シート。
  3. 前記薬液が、アルコール類を1ないし60重量%含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の拭取り用シート。
  4. 前記薬液が、前記アルコール類を5ないし30重量%含むことを特徴とする、請求項3に記載の拭取り用シート。
  5. 前記シート体が水解性を有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1に記載の拭取り用シート。
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