JP2004186537A - スイッチ回路装置および化合物半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゲート金属層をPt/Moの2層の蒸着金属層とする。これにより、下層のゲート金属層の側面にAu層の一部が付着せず、GaAs基板に達することがなくなるので、熱処理による特性の劣化を防げる。また、万一Mo層がGaAs表面に付着しても反応しにくいため、GaAsへの拡散を防げる。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチ回路装置および化合物半導体装置の製造方法に係り、特にピンチオフ電圧の低減を抑制し、歩留まりを向上できるスイッチ回路装置および化合物半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話等の移動体用通信機器では、GHz帯のマイクロ波を使用している場合が多く、アンテナの切換回路や送受信の切換回路などに、これらの高周波信号を切り替えるためのスイッチ素子が用いられることが多い。その素子としては、高周波を扱うことからガリウム・砒素(GaAs)を用いた電界効果トランジスタ(以下FETという)を使用する事が多く、これに伴って前記スイッチ回路自体を集積化したモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)の開発が進められている。
【0003】
以下に、従来のGaAsFETを用いたスイッチ回路装置の一例を説明する(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
図8(A)は、GaAs FETの概略を示す断面図である。ノンドープのGaAs基板1の表面部分にN型不純物をドープしてN型のチャネル領域2を形成し、チャネル領域2表面にショットキー接触するゲート電極3を配置し、ゲート電極3の両脇にはGaAs表面にオーミック接触するソース・ドレイン電極4、5を配置したものである。このトランジスタは、ゲート電極3の電位によって直下のチャネル領域2内に空乏層を形成し、もってソース電極4とドレイン電極5との間のチャネル電流を制御するものである。
【0005】
図8(B)は、GaAs FETを用いたSPDT(Single Pole Double Throw)と呼ばれる化合物半導体装置の原理的な回路図の一例を示す。
【0006】
第1と第2のFET1、FET2のソース(又はドレイン)が共通入力端子INに接続され、各FET1、FET2のゲートが抵抗R1、R2を介して第1と第2の制御端子Ctl−1、Ctl−2に接続され、そして各FETのドレイン(又はソース)が第1と第2の出力端子OUT1、OUT2に接続されたものである。第1と第2の制御端子Ctl−1、Ctl−2に印加される信号は相補信号であり、Hレベルの信号が印加されたFETがONして、入力端子INに印加された信号をどちらか一方の出力端子に伝達するようになっている。抵抗R1、R2は、交流接地となる制御端子Ctl−1、Ctl−2の直流電位に対してゲート電極を介して高周波信号が漏出することを防止する目的で配置されている。
【0007】
図9〜図12を参照して、かかる化合物半導体スイッチ回路装置のFET、各端子となるパッドおよび配線の製造方法の一例を示す。尚、ここでは1つの電極パッドについて説明するが、上記の共通入力端子、第1および第2制御端子、第1および第2出力端子に接続する電極パッドはすべて同様の構造である。
【0008】
図9に示す如く、ノンドープのGaAs基板40上にバッファ層41と一導電型エピタキシャル層42を積層して、その後全面を約100Åから200Åの厚みのスルーイオン注入用シリコン窒化膜53で被覆する。一導電型エピタキシャル層42による動作層52に隣接したn+型のソースおよびドレイン領域56、57を設けてFETのチャネル領域44を形成し、同時に予定のパッド領域下および予定の配線層下にアイソレーション確保のための高濃度領域60、61を形成する。図9では1組のソース、ドレイン領域56、57および動作層52を示しているが実際にはソース領域56またはドレイン領域57を共通として複数隣接してFETのチャネル領域44を形成している。
【0009】
更に、基板表面はn型エピタキシャル層であるので、チャネル領域44を他の領域と分離する必要があり、チャネル領域44以外の基板表面は後の工程で不純物がイオン注入された絶縁化層45が設けられる。その後、アニール用のシリコン窒化膜を堆積し、ソース領域56、ドレイン領域57、絶縁化層45を活性化させるためのアニールを行う。
【0010】
次に、図10に示す如く、レジスト63のマスクによりソース領域56およびドレイン領域57上の窒化膜53を除去し、前記ソース領域56およびドレイン領域57に第1層目の電極としてのオーミック金属層64を付着し第1ソース電極65および第1ドレイン電極66を形成する。
【0011】
図11には、ゲート電極91、第1電極パッド93および配線層92を形成する工程を示す。まず図11(A)では、予定のゲート電極91、電極パッド93および配線層92部分を選択的に窓開けするフォトリソグラフィプロセスを行う。予定のゲート電極91、電極パッド93および配線層92部分から露出したシリコン窒化膜53をドライエッチングして、予定のゲート電極91部分の動作層52を露出し、予定の配線層92および予定の電極パッド93部分のGaAsを露出する。その後、動作層52および露出したGaAsに第2層目の電極としてのゲート金属層90となるPt/Mo/Ti/Pt/Auの5層を順次真空蒸着して積層する。
【0012】
その後リフトオフにより、ゲート電極91、第1電極パッド93および配線層92を形成後、Ptを埋め込む熱処理を施す。これにより、図11(B)に示す如く、ゲート電極91はGaAsとのショットキー接合を保ったまま動作層52に一部が埋設される。ここで、この場合動作層52の深さは第1の工程のn型エピタキシャル層42の積層時に、このゲート電極91の埋め込み分を考慮して、所望のFET特性を得られるように深く形成しておく。
【0013】
更に、図12(A)(B)の如く、前記第1ソース電極65および第1ドレイン電極66と前記第1電極パッド93上に第3層目の電極としてのパッド金属層74を付着し第2ソースおよび第2ドレイン電極75、76と第2電極パッド77を形成する。
【0014】
なお、一部の配線部分はこのパッド金属層74を用いて形成されるので、当然その配線部分のパッド金属層74は残される。
【0015】
【非特許文献1】
特願2001−182687号明細書
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
図13に、上記スイッチ回路装置のFET断面図を示す。図13(A)は、図9〜図12に示すソース電極65、75、ドレイン電極66、76、ゲート電極91からなる1組のFETの断面図であり、図13(B)、図13(C)はゲート電極91部分の拡大図である。また、図13(D)は、金属の特性を示す表である。
【0017】
従来、ゲート電極91は、図13(B)、(C)のごとく、例えばPt200Å/Mo200Å/Ti400/Pt800Å/Au5000Åであった。最上層のAu層90eは、ゲート電極91の抵抗を小さくするために設けられた層であり、最も大きな膜厚を有している。Ti層90cの上のPt層90dは、Ti層90cとAu層90eとの反応を防ぎ、拡散バリアの働きをしている。Ti層90cはその上のPt層90d、Au層90eとMo層90bを接着させる働きと、最下層のPt層90aを動作層に埋め込ませる熱処理において上層のPt層90dが最下層のPt層90aまで達しないようにする拡散バリアとしての働きをしている。しかしTiとPtは反応しやすく、上層のPt層90dが最下層のPt層90aまで達しないようにする拡散バリアとしてTi層90cだけでは不充分である。そのためさらにMo層90bを設けて、最下層のPt層90aを動作層に埋め込ませる熱処理において、確実に上層のPt層90dが最下層のPt層90aまで達しないようにしている。さらにMo層90bは上記熱処理時に最下層のPt層90aがTi層90cと反応しないようにする拡散バリアの働きもしている。
【0018】
また、拡散バリア層としてTi層90cを用いずに、Mo層90bのみを用いると、Mo層90bの膜応力が大きいため、一定の膜厚を超えると膜剥がれがおきる。
【0019】
ここで、図13(D)に、金属の特性を示す。この表において、各金属の沸点、線膨張係数及びヤング率の積が膜応力の目安となる。すなわち、Moは他の金属に比べ膜応力が大きい。つまり、Pt層90dが最下層のPt層90aまで達しないような、確実な拡散バリアとなる膜厚まで厚くすると、膜応力が大きくなり過ぎて膜剥がれが発生する。そのため拡散バリアとしてTi層90cも同時に必要となる。さらに図13(D)の如くMoは沸点が高いため厚く蒸着すると蒸着時にレジストの熱収縮による変形が起きやすい。逆にMo層が薄過ぎる場合にはPt層90dが最下層のPt層90aまで達しないようにする拡散バリアとして不充分である。
【0020】
一方、拡散バリア層としてMo層90bを用いずに、Ti層のみを用いると、Ti層がPt層と反応しやすく、一部のPt層とTi層が合金反応を起こし、Pt層90dが最下層のPt層90aまで達してしまったり、逆に動作層に埋め込まれる最下層のPt量が減少したりする。その結果ピンチオフ電圧を設計通りに制御することが困難となり、ピンチオフ電圧のバラツキが大きくなるという問題があった。
【0021】
このため、一般的には上記に示す如く、Pt/Mo/Ti/Pt/Auの多層蒸着金属の構造が採用されている。多層金属層を蒸着で形成する場合、金属蒸着が厚いと、その金属が下層の金属層側面に付着する距離が長くなる。すなわち蒸着膜厚に応じた距離分だけその下層の金属層側面に付着する。そのため、蒸着金属がある一定以上の厚みになると側面に付着した金属がGaAsまで達してしまう。またこの側面に付着する距離は、レジストの厚み、形状、蒸着時に付着した金属の熱によるレジストの変形などの生産バラツキの影響を受けて変動する。
【0022】
特に、従来ではゲート抵抗を低減するためにAu層90eの膜厚が厚く、Au層90e蒸着時に生産バラツキによって下層の金属層側面を覆ってAu層90eの一部が付着し、蒸着後にゲート電極金属90側面のAu層90eの一部が動作層52にまで達する場合があった(図13(B))。
【0023】
後に詳述するが、ゲート電極91の蒸着金属層の最下層をPt90aとし、このPt層90aを基板表面に埋め込むゲート電極91構造は優れたRF特性を有するため、広くGaAs MMICで採用される構造である。図13(B)の状態で、ゲート電極91を埋め込む熱処理を行うと、もともと最下層にPt層90aのあった部分は主にPtGa(90a2)となり、GaAsにPtが拡散した部分は主にPtAs2(90a1)となる。しかしゲート電極金属90側面のAu層90eの一部が動作層52にまで達していると、Ptの埋め込みと同時に図13(C)の如く、動作層52表面に達したAu層90eの一部が動作層52に深く拡散してしまう。
【0024】
このAu拡散領域100の深さは、蒸着最下層のPtAs2(90a1)の拡散深さよりはるかに深くなるため、動作層52の電流経路を狭め、飽和電流値が低くなり、ON抵抗値が高くなるという問題があった。また、Pt層90aの場合はある一定時間以上の熱処理を行っても、GaAs動作層52への拡散はある一定以上進まず、製品となった後の経時変化は無いが、Auが動作層52に接触していると、熱が加わるとどこまでも動作層52に拡散していくため、飽和電流値やON抵抗値が経時変化を起こすという信頼性上の問題もあった。
【0025】
またAu層90eはPt層90aに比べGaAsに対するバリアハイトが低いため、なおいっそう飽和電流値やON抵抗値に悪影響を及ぼしていた。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した諸々の事情に鑑み成されたものであり、第1に、化合物半導体基板表面に設けた動作層、ソース領域およびドレイン領域からなるチャネル領域と、該チャネル領域に設けたソース電極、ゲート電極およびドレイン電極とを有する少なくとも1つのFETと、前記FETのソース電極またはドレイン電極に接続する少なくとも1つの入力端子用電極パッドと、前記FETのドレイン電極またはソース電極に接続する少なくとも1つの出力端子用電極パッドと、前記FETにDC電位を印加する端子用電極パッドとからなるスイッチ回路装置において、前記ゲート電極を形成するゲート金属層はPt層の上に他の金属層を設けた2層からなることにより解決するものである。
【0027】
また、前記他の金属層は、前記Pt層が前記基板に拡散される程度の熱処理で前記化合物半導体基板と反応しにくく、相互拡散が進まない金属からなることを特徴とするものである。
【0028】
また、前記他の金属層の膜厚を前記Pt層の膜厚の2倍以下とすることを特徴とするものである。
【0029】
また、前記他の金属層はMo層であることを特徴とするものである。
【0030】
また、前記ゲート電極の一部は、前記動作層表面に埋め込まれることを特徴とするものである。
【0031】
また、前記ゲート金属層は、蒸着金属層であることを特徴とするものである。
【0032】
第2に、化合物半導体基板上に一導電型の動作層を形成し、該動作層に隣接した一導電型のソースおよびドレイン領域を設けてFETのチャネル領域を形成する工程と、前記ソースおよびドレイン領域にオーミック金属層を形成し、第1ソースおよび第1ドレイン電極を形成する工程と、前記動作層上にコンタクトするPt層を蒸着し、該Pt層上に他の金属層を蒸着してゲート金属層を形成し、ゲート電極を形成する工程と、前記第1ソースおよび第1ドレイン電極上にパッド金属層を付着し第2ソースおよび第2ドレイン電極を形成する工程とを具備することを特徴とするものである。
【0033】
また、前記他の金属層は、前記Pt層が前記基板に拡散される程度の熱処理で前記化合物半導体基板表面と反応しにくく、相互拡散が進まない金属を蒸着することを特徴とするものである。
【0034】
また、前記他の金属層は、Moであることを特徴とするものである。
【0035】
また、前記ゲート金属層を付着後、熱処理により前記ゲート金属層の一部を前記動作層に埋め込むことを特徴とするものである。
【0036】
また、前記ゲート電極はリフトオフにより形成することを特徴とするものである。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について図1から図7を参照して説明する。
【0038】
図1は、本発明のスイッチ回路装置を説明する平面図である。尚、図1の回路図は、図8(B)に示す回路図と同様であるので、説明は省略する。
【0039】
図1に示す如く、GaAs基板にスイッチを行うFET1およびFET2を中央部に配置し、各FETのゲート電極に抵抗R1、R2が接続されている。また共通入力端子IN、出力端子OUT1、OUT2、制御端子Ctl−1、Ctl−2に対応するパッドが基板の周辺に設けられている。なお、点線で示した第2層目の配線は各FETのゲート電極形成時に同時に形成されるゲート金属層(Pt/Mo)68であり、実線で示した第3層目の配線は各素子の接続およびパッドの形成を行うパッド金属層(Ti/Pt/Au)77である。第1層目の基板にオーミックに接触するオーミック金属層(AuGe/Ni/Au)は各FETのソース電極、ドレイン電極および各抵抗両端の取り出し電極を形成するものであり、図1では、パッド金属層と重なるために図示されていない。
【0040】
各パッド電極および配線層が隣接する部分では、パッド電極及び配線層の下全面または周辺部に不純物領域60、61が設けられる。不純物領域60、61は、パッド電極または配線層の基板当接部よりはみ出して設けられ、所定のアイソレーションを確保している。
【0041】
図1で、一点鎖線で囲まれる長方形状の領域が、FETの基板40に形成されるチャネル領域44である。下側から伸びる櫛歯状の3本の第3層目のパッド金属層77が出力端子OUT1に接続されるソース電極75(あるいはドレイン電極)であり、この下に第1層目オーミック金属層で形成されるソース電極65(あるいはドレイン電極)がある。また上側から伸びる櫛歯状の3本の第3層目のパッド金属層77が共通入力端子INに接続されるドレイン電極76(あるいはソース電極)であり、この下に第1層目のオーミック金属層で形成されるドレイン電極66(あるいはソース電極)がある。この両電極は櫛歯をかみ合わせた形状に配置され、その間に第2層目のゲート金属層68で形成されるゲート電極69がチャネル領域44上に櫛歯形状に配置されている。
【0042】
図2には、図1のスイッチ回路装置のFETの一部の断面図を示す。図2(A)はソース電極65、75、ドレイン電極66、76、ゲート電極69を有する1組のFETの断面図であり、図2(B)はゲート電極69部分の拡大断面図である。
【0043】
図2(A)の如く、基板40にはn型エピタキシャル層による動作層52とその両側にソース領域56およびドレイン領域57を形成するn+型の高濃度領域が設けられ、動作層52にはゲート電極69が設けられ、高濃度領域には第1層目のオーミック金属層で形成されるドレイン電極66およびソース電極65が設けられる。更にこの上に前述したように3層目のパッド金属層77で形成されるドレイン電極76およびソース電極75が設けられ、各素子の配線等を行っている。
【0044】
ここで、ゲート長Lgは図に示すように、ソース領域56とドレイン領域57間のチャネル領域44(動作層52)にあるゲート電極69の長さをいい、通常短チャネル効果が発生しない0.5μmに設計される。ゲート幅Wgは図1に示すように、ソース領域およびドレイン領域に沿ってチャネル領域44にあるゲート電極69の幅(櫛歯の総和)をいい、この場合600μmである。
【0045】
また、図2(B)の如く、ゲート電極69は、最下層から、Pt/Moの2層からなる蒸着金属層であり、Pt層68aの一部を動作層に埋め込んだ電極構造である。埋め込みのための熱処理後、もともと最下層にPt層68aのあった部分は主にPtGa(68a2)となり、GaAsにPtが拡散した部分は主にPtAs2(68a1)となる。PtはTiに比べGaAsに対するバリアハイトが高いため、Tiでショットキ接合を形成するFETに比べPt埋め込みゲートFETは高い飽和電流値と低いON抵抗値が得られる。さらに埋め込まれた部分のエッジが大きな曲率半径を持つことによりゲートードレイン間の電界強度が和らぐため、Tiゲートに比べ動作層を高い不純物濃度にしても所定の耐圧を保つことができる。動作層の不純物濃度を上げることにより具体的には飽和電流値、ON抵抗値や高周波歪み特性がTiゲートFETに比べ大幅に改善される。そのためPt埋め込みゲートFETを用いたスイッチ回路装置は、低いインサーションロス、高いアイソレーション、高い出力電力、低歪み、という優れたRF特性を有する。
【0046】
本発明の特徴は、従来構造(図13)において、抵抗を低減するために設けられていたAu層90eを省くことにより、Pt/Moの2層構造のゲート電極69としたことにある。
【0047】
スイッチ回路装置に使用するFETはゲート電極69とコントロール端子パッドとの間に抵抗10KΩが接続されるため、ゲート電極69の抵抗は大きくて良く、膜厚の厚いAu層により抵抗を低減する必要がない。Au層を省くことにより、拡散バリア層であるAu層90e直下のPt層90dおよびTi層90cも省き(図13(B)、(C)参照)、Pt/Mo層のみにすることができる。
【0048】
ここで、従来ではTi層の下のMo層は拡散バリアの働きをしていた。すなわち、ゲート工程における熱処理で上層のPtがTiを通過して最下層のPtに到達すると、最下層の埋め込み用のPt厚みに対し、上層のPtが供給される結果となる。これにより、熱処理後のPt埋め込み深さが、最下層の埋め込み用のPt厚みで設計した深さからさらに深い方向にずれ、その結果動作層が狭まってしまう。そこでこれを防ぐたに、Mo層を設けていた。つまり、Ti層より上層を省くことで拡散バリア層としてのMo層は必要なくなるわけであるが、本実施形態ではPt層68a上に他の金属層として例えばMo層68bを設けることとする。
【0049】
ここで、Pt層68a上に他の金属層を設ける理由を説明する。前述の如くPt層68aはGaAsと反応しやすく、これを利用してゲート電極69を埋め込んでFETの性能を向上している。しかし、Pt埋め込みのための熱処理によりPtとGaAsが相互拡散したPtGaもPtAs2も非常に高抵抗である。つまり、Ptが埋め込まれたことによってゲート抵抗が高くなり過ぎるのを防止するために、他の金属層68bが必要となる。
【0050】
蒸着金属においては、金属の種類を問わずその膜厚に応じてゲート電極69側壁に付着する。つまり、蒸着金属層の膜厚が厚い場合は、その分側壁に付着する距離が長くなり、また、下層の蒸着金属が薄い場合には、側壁に付着した金属の距離が短くても一番下のGaAsチャネルに接触する恐れがある。動作層に接触した場合、Pt埋め込み熱処理により、従来の如くAu等の金属によっては接触した部分からGaAsに拡散が進行し、チャネル幅を狭めて特性を劣化させることも考えられる。
【0051】
そこで、本実施形態では、万一動作層に達しても、Pt層が基板に拡散される程度の熱処理条件において、GaAsと反応しにくく、相互拡散が進まない金属層を他の金属層68bとして設ける。Pt層が基板に拡散される程度の熱処理条件とは具体的には300℃から400℃である。
【0052】
また、酸化しにくく、蒸着が可能であり、微細パターンに適するものが望ましく、本実施形態ではMo層68bを採用する。しかし、上述の条件に該当する金属であればこれに限らない。
【0053】
また、Mo層68bの厚みは100Å程度とする。これは、つまりMo層68bの膜厚をPt層68aの膜厚の2倍以下にしないと応力が発生し、特性バラツキや膜剥がれの原因となりやすいためである。すなわち図13(D)に示す金属特性の、各パラメータの積の項目が膜応力の目安となっており、Moは他の金属に比べ、膜応力が大きい。この膜厚のMo層であれば、スイッチ回路装置として使用する場合の抵抗値としては十分低い値を得る。また、薄い方が材料コストや、リフトオフに有利となる。
【0054】
しかし、Mo層68bを100Å以下に薄くしすぎると抵抗値が大きくなりすぎたり、膜厚コントロールがしにくくなるため、この程度が適切である。
【0055】
一方、Pt層68aの膜厚は、200Å程度である。しかし、Pt層68bの膜厚は熱処理後GaAsチャネルに埋め込まれるPtAs2(68a1)の深さと直接関係するため、そのときのチャネル設計に直接依存し、適宜選択されるものである。
【0056】
このように、膜厚の厚いAu層を省くことにより、生産バラツキがあっても、蒸着後のゲート電極金属68側面に付着するAu層の一部が動作層52に達することによるGaAsへの拡散がなくなる。また、例えMo層の一部が達していても、GaAsへの拡散を防ぐことができる。これにより、熱処理によるPt埋め込みの工程を行っても、AuがGaAs動作層52に拡散することがなく、安定して所定の飽和電流値や、ON抵抗値が得られるようになる。従って飽和電流値やON抵抗値のバラツキがなくなり、生産歩留が向上するばかりでなく、製品となった後、特性が経時変化を起こすことも無くなり信頼性が向上する。
【0057】
更に、ゲート金属層68は、Pt層68a、Mo層68bの2層のみでよいので、Au、Ti層などの材料費を削減できる利点を有する。
【0058】
図3から図7に、本発明の化合物半導体装置の製造方法を説明する。
【0059】
本発明は、化合物半導体基板上に一導電型の動作層を形成し、該動作層に隣接した一導電型のソースおよびドレイン領域を設けてFETのチャネル領域を形成する工程と、前記ソースおよびドレイン領域にオーミック金属層を形成し、第1ソースおよび第1ドレイン電極を形成する工程と、前記動作層上にコンタクトするPt層を蒸着し、該Pt層上に他の金属層を蒸着してゲート金属層を形成し、ゲート電極を形成する工程と、前記第1ソースおよび第1ドレイン電極上にパッド金属層を付着し第2ソースおよび第2ドレイン電極を形成する工程とから構成される。
【0060】
尚、以下の図ではFETと同時に配線層および電極パッドについても示している。例えば、以下の製造方法により、図1に示すスイッチ回路装置を製造する場合、共通入力端子用の電極パッド、第1および第2制御端子用の電極パッド、第1および第2出力端子用の電極パッドはすべて同様に形成される。
【0061】
本発明の第1の工程は、図3に示す如く、化合物半導体基板上に一導電型の動作層を形成し、該動作層に隣接した一導電型のソースおよびドレイン領域を設けてFETのチャネル領域を形成することにある。
【0062】
まず、図3(A)の如く、GaAs等で形成されるノンドープの化合物半導体基板40上に、リークを抑えるためのバッファ層41を6000Å程度設ける。このバッファ層41はノンドープまたは不純物の導入されたエピタキシャル層である。その上にn型エピタキシャル層42(7×1017cm−3、1200Å)を成長させる。その後全面を約100Åから200Åの厚みのスルーイオン注入用シリコン窒化膜53で被覆する。
【0063】
全面にレジスト層54を設け、予定のソース領域56、ドレイン領域57、予定の配線層62およびパッド領域70上のレジスト層54を選択的に窓開けするフォトリソグラフィプロセスを行う。続いて、このレジスト層54をマスクとして予定のソース領域56およびドレイン領域57、予定の配線層62および電極パッド70の下のn型エピタキシャル層42表面にn型を与える不純物(29Si+)のイオン注入を行う。これにより、n+型のソース領域56およびドレイン領域57を形成し、同時に予定のパッド領域70および配線層62の下のn型エピタキシャル層42表面に、アイソレーション確保のための高濃度領域60、61を形成する。
【0064】
ソース領域56およびドレイン領域57は、n型エピタキシャル層42による動作層52に隣接して設けられる。ソース領域56およびドレイン領域57、動作層52をチャネル領域44と称する。図3では1組のソース、ドレイン領域56、57および動作層52を示しているが実際にはソース領域56またはドレイン領域57を共通として複数隣接してFETのチャネル領域44を形成している。
【0065】
また、図3(B)に示す如く、FET部の動作層52となるn型エピタキシャル層表面にノンドープエピタキシャル層43を500Å程度積層し、その厚み分n型エピタキシャル層42の厚みを減らして700Åとしてもよい。後に詳述するが、ゲート電極69形成工程でゲート電極69を埋め込む場合に、ノンドープエピタキシャル層43の下端付近までゲート電極69を埋め込むことにより、寄生容量を抑えたゲート電極69を形成することができる。ここで、ノンドープエピタキシャル層43はGaAsでもよいし、InGaPでもよい。
【0066】
次に、図3(C)の如く、前記チャネル領域44および前記高濃度領域60、61を除く全面に絶縁化層45を形成する。基板表面はn型エピタキシャル層であるので、チャネル領域44を他の領域と分離する必要がある。つまり、全面に新たなレジスト層58を設け、FETのチャネル領域44および配線層下、電極パッド下の高濃度領域60、61を除く部分のレジスト層58を選択的に窓開けするフォトリソグラフィプロセスを行う。続いて、このレジスト層58をマスクとしてGaAs表面に、ドーズ量1×1013cm−2、加速電圧100KeV程度で不純物(B+またはH+)のイオン注入を行う。その後、レジスト層58を除去してアニ―ル用シリコン窒化膜をデポし、活性化アニールを行う。これにより、ソースおよびドレイン領域56、57と高濃度領域60、61は活性化され、チャネル領域44および高濃度領域60、61を分離する絶縁化層45が形成される。
【0067】
この絶縁化層45は、電気的に完全な絶縁層ではなく耐圧は有限である。つまり、この上に電極パッドまたは配線層を直接設けると、高周波信号に応じた空乏層距離の変化により、空乏層が隣接する電極または配線層まで到達するとそこで高周波信号の漏れを発生することが考えられる。しかし、電極パッド70および配線層62の下のGaAs表面に、n+型の高濃度領域60、61を設けることにより、配線層62および電極パッド70と絶縁化層45は分離され、絶縁化層45への空乏層が伸びないので、隣接する電極パッド70、配線層62はお互いの離間距離を大幅に近接して設けることが可能となる。
【0068】
本発明の第2の工程は、図4に示す如く、前記ソース領域56およびドレイン領域57に第1層目の電極としてのオーミック金属層64を付着し第1ソース電極65および第1ドレイン電極66を形成することにある。
【0069】
まず、予定の第1ソース電極65および第1ドレイン電極66を形成する部分を選択的に窓開けするフォトリソグラフィプロセスを行う。予定の第1ソース電極65および第1ドレイン電極66上にあるシリコン窒化膜53をCF4プラズマにより除去し、引き続いてオーミック金属層64となるAnGe/Ni/Auの3層を順次真空蒸着して積層する。その後、レジスト層63を除去して、リフトオフによりソース領域56およびドレイン領域57上にコンタクトした第1ソース電極65および第1ドレイン電極66を残す。引き続いて合金化熱処理により第1ソース電極65とソース領域56、および第1ドレイン電極66とドレイン領域57のオーミック接合を形成する。
【0070】
本発明の第3の工程は、図5から図6に示す如く、動作層52上にコンタクトするPt層68aを蒸着し、該Pt層68a上に他の金属層68bを蒸着してゲート金属層68を形成し、ゲート電極69を形成することにある。
【0071】
本工程は、本発明の特徴となる工程であり、まず、第1の実施形態を示す。
【0072】
図5(A)では、予定のゲート電極69、電極パッド70および配線層62部分を選択的に窓開けするフォトリソグラフィプロセスを行う。予定のゲート電極69、電極パッド70および配線層62部分から露出したシリコン窒化膜53をドライエッチングして、予定のゲート電極69部分の動作層52を露出し、予定の配線層62および予定の電極パッド70部分のGaAsを露出する。
【0073】
予定のゲート電極69部分の開口部は0.5μmとし微細化されたゲート電極69を形成できるようにする。
【0074】
図5(B)では、動作層52および露出したGaAsに第2層目の電極としてのゲート金属層68を付着しゲート電極69、配線層62および第1電極パッド70を形成する。
【0075】
図5(C)(D)には、ゲート電極69部分の拡大図を示す。すなわち、図5(C)の如く、GaAsに第2層目の電極としてのゲート金属層68として、Pt層68aを蒸着し、続いてPt層68a上に、GaAs表面と反応しにくい他の金属層である、Mo層68bを順次真空蒸着して2層の蒸着金属層を積層する。このとき、最上層となるMo層68bの膜厚をPt層68aの膜厚の2倍以下とする。Pt68aの厚みは、チャネル設計により埋め込み分を考慮して適宜選択する。例えばPt層68aが200Å程度で、Mo層68bは100Å程度とする。このように、従来ゲート金属層68に採用されていたAu層を省くことで、動作層52表面にAuが付着することによるGaAsへの拡散を防ぐものである。また、Au層直下のPt層および拡散バリア層であるTi層を省くことができコスト削減および工程の簡素化に寄与できるものである。
【0076】
その後リフトオフにより、図5(D)に示す如ゲート電極69、第1電極パッド70および配線層62を形成後、Ptを埋め込む熱処理を施す。ゲート電極69はGaAsとのショットキー接合を保ったまま動作層52に一部が埋設される。ここで、この場合動作層52の深さは第1の工程のn型エピタキシャル層42の積層時に、このゲート電極69の埋め込み分を考慮して、所望のFET特性を得られるように深く形成しておく。埋め込みのための熱処理後、もともと最下層にPtのあった部分は主にPtGa(68a2)となり、GaAsにPtが拡散した部分は主にPtAs2(68a1)となる。ここで、第1電極パッド70および配線層62も、ゲート電極69と同様に一部がGaAs表面に埋め込まれる。
【0077】
動作層52表面(例えば表面から500Å程度)は、自然空乏層が発生したり、結晶が不均一な領域であるなどで電流が流れず、チャネルとしては有効でない。PtはTiに比べGaAsに対するバリアハイトが高いため、その理由だけでTiでショットキ接合を形成するFETに比べPt埋め込みゲートFETは高い飽和電流値と低いON抵抗値が得られるが、それ以外にPt埋め込みゲートFETの特長としてゲート電極69の一部を動作層52に埋め込むことにより、ゲート電極69直下の電流の流れる部分がチャネル領域44表面から下がる。すなわち動作層52は予め所望のFET特性が得られるようにゲート電極69の埋設分を考慮して深く形成されているため、表面自然空乏層領域から離れ、結晶が良好な低抵抗領域を電流が流れるようなチャネル領域44の設計となっている。さらに埋め込まれた部分のエッジが図5(D)のごとく大きな曲率半径を持つことによりゲートードレイン間の電界強度が和らぐため、Tiゲートに比べ高い濃度にしても所定の耐圧を保つことができる。具体的には飽和電流値、ON抵抗値や高周波歪み特性がTiゲートFETに比べ大幅に改善される。
【0078】
従来では、ゲート抵抗を低減する目的から、最上層のAu層90eは厚く設けられていた。このため、Au層蒸着時に生産ばらつきにより、下層の金属層側面に付着したAu層の一部がGaAs基板まで達する場合があり、埋め込みのための熱処理において、側面のAuがGaAs動作層に深く拡散する問題があった。
【0079】
しかし、本実施形態の如くAu層を省くことにより、側面を覆うAu層の一部が動作層表面に達することがなくなり、GaAs動作層への拡散を防ぐことができる。また、GaAs表面と反応しにくい金属層としてMo層68bを、Pt層68a上に蒸着することにより、チャネルにPt以外の金属が埋め込まれることを防ぎ、設計どおりのチャネルを再現性良く形成することができる。
【0080】
更には、前述の如く、金属の種類を問わず蒸着金属においては、その膜厚に応じてゲート電極69側壁に付着するので、下層の蒸着金属(Pt層68a)が薄い場合には、側壁に付着した金属は一番下のGaAs動作層52に接触する恐れがある。動作層に接触した場合、Pt埋め込み熱処理により、金属によっては接触した部分からGaAsに拡散が進行し、チャネル幅を狭めて特性を劣化させることも考えられるが、本実施形態の如く、万一動作層に達してもPt層がGaAsに拡散される程度の熱処理(300℃〜400℃程度)条件下で、GaAsと反応しにくく、相互拡散が進まない金属であるMoを採用することにより、拡散を防ぐことができ、また製品となった後の経時変化も防ぐことができる。
【0081】
ゲート金属層68の埋め込みにより、図6(A)の如く、ゲート電極69、配線層62、第1電極パッド70もその一部が基板表面に埋め込まれる。
【0082】
また、本発明の第1の工程でも述べた通り、図6(B)の如く、n型エピタキシャル層42の上にGaAsまたはInGaPのノンドープエピタキシャル層43を積層しても良い。実際にFETとして動作する部分はゲート電極69と動作層52が接触した部分であるので、ゲート電極69を埋め込んだ場合にその側壁は寄生容量の増加部分となってしまう。そのためノンドープエピタキシャル層43を設けてその下端付近までゲート電極69を埋め込むことにより、ゲート電極69側壁での寄生容量を抑え、ゲート電極69を埋め込む効果をより発揮することができるものである。
【0083】
この場合ゲート電極の埋め込み深さはGaAsまたはInGaPのノンドープエピタキシャル層の厚みと一致させる。Pt埋め込み深さは最下層のPtの厚みの2.5倍になる熱処理条件が最も安定していて好ましく、GaAsまたはInGaPのノンドープエピタキシャル層の厚みが500Åとすると、最下層のPt厚みは200Åが望ましい。
【0084】
本発明の第4の工程は、図7に示す如く、前記第1ソース電極65および第1ドレイン電極66と前記第1電極パッド70上に第3層目の電極としてのパッド金属層74を付着し第2ソースおよび第2ドレイン電極75、76と第2電極パッド77を形成することにある。
【0085】
図7(A)では、第1ソース電極65および第1ドレイン電極66と第1電極パッド70上のパッシベーション膜72にコンタクト孔を形成する。
【0086】
ゲート電極69、配線層62および第1電極パッド70を形成した後、ゲート電極69周辺の動作層52を保護するために、基板51表面はシリコン窒化膜よりなるパッシベーション膜72で被覆される。このパッシベーション膜72上にフォトリソグラフィプロセスを行い、第1ソース電極65、第1ドレイン電極66、ゲート電極69および第1電極パッド70とのコンタクト部に対して選択的にレジストの窓開けを行い、その部分のパッシベーション膜72をドライエッチングする。その後、レジスト層71は除去される。
【0087】
図7(B)では、第1ソース電極65および第1ドレイン電極66と第1電極パッド70上に第3層目の電極としてのパッド金属層74を付着し第2ソース電極75および第2ドレイン電極76と第2電極パッド77を形成する。
【0088】
基板51全面に新たなレジスト層73を塗布してフォトリソグラフィプロセスを行い、予定の第2ソース電極75および第2ドレイン電極76と第2電極パッド77上のレジストを選択的に窓開けするフォトリソグラフィプロセスを行う。続いて、第3層目の電極としてのパッド金属層74となるTi/Pt/Auの3層を順次真空蒸着して積層し、第1ソース電極65、第1ドレイン電極66および第1電極パッド70にコンタクトする第2ソース電極75および第2ドレイン電極76と第2電極パッド77が形成される。パッド金属層74の他の部分はレジスト層73上に付着されるので、レジスト層73を除去してリフトオフにより第2ソース電極75および第2ドレイン電極76と第2電極パッド77のみを残し、他は除去される。なお、一部の配線部分はこのパッド金属層74を用いて形成されるので、当然その配線部分のパッド金属層74は残され、図7(C)に示す最終構造を得る。
【0089】
【発明の効果】
以上に詳述した如く、本発明に依れば以下の効果が得られる。
【0090】
第1に、Au層を省く構造のため、ゲート金属層の蒸着において生産バラツキがあっても、Au層が蒸着後のゲート電極金属側面を覆って動作層52に達することがなくなる。これにより、熱処理によるPt埋め込みの工程を行っても、AuがGaAs動作層に拡散することがなく、安定して所定の飽和電流値や、ON抵抗値が得られるようになる。従って飽和電流値やON抵抗値のバラツキがなくなり、生産歩留が向上する。
【0091】
第2に、下層のPt層の膜厚が薄いため、万一側壁にMo層が付着し、GaAs表面に達することがあっても、Mo層はGaAs表面と反応しにくいため、GaAs基板への拡散を防げる。
【0092】
第3に、MoがGaAs表面に達することがあっても、Mo層はGaAsと反応しにくいため、製品となった後、特性が経時変化を起こすことも無くなり信頼性が向上する。
【0093】
第4に、ゲート金属層の膜厚を薄くすることにより、Auなどの材料費を削減できる利点を有する。
【0094】
スイッチ回路装置に使用するFETはゲート電極とコントロール端子パッドとの間に抵抗10KΩが接続されるため、ゲート電極の抵抗は大きくて良く、Au層を無くしても問題は無い。すなわち、スイッチ回路装置の特性を劣化させずに、信頼性、歩留まりの向上が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための平面図である。
【図2】本発明を説明するための断面図である。
【図3】本発明を説明するための断面図である。
【図4】本発明を説明するための断面図である。
【図5】本発明を説明するための断面図である。
【図6】本発明を説明するための断面図である。
【図7】本発明を説明するための断面図である。
【図8】従来例を説明するための(A)断面図、(B)回路図である。
【図9】従来例を説明するための断面図である。
【図10】従来例を説明するための断面図である。
【図11】従来例を説明するための断面図である。
【図12】従来例を説明するための断面図である。
【図13】従来例を説明するための(A)断面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)特性図である。
【符号の説明】
40 GaAs基板
41 バッファ層
42 N型エピタキシャル層
43 InGaP層
44 チャネル領域
45 絶縁化層
52 動作層
53 窒化膜
54 レジスト
56 ソース領域
57 ドレイン領域
58 レジスト
60 高濃度領域
61 高濃度領域
62 配線層
63 レジスト
64 オーミック金属層
65 第1ソース電極
66 第1ドレイン電極
67 レジスト
68 ゲート金属層
68a Pt層
68b Mo層
69 ゲート電極
70 第1パッド電極
71 レジスト
72 窒化膜
74 パッド金属層
75 第2ソース電極
76 第2ドレイン電極
77 第2電極パッド
90 ゲート金属層
90a Pt層
90b Mo層
90c Ti層
90d Pt層
90e Au層
91 ゲート電極
Claims (11)
- 化合物半導体基板表面に設けた動作層、ソース領域およびドレイン領域からなるチャネル領域と、該チャネル領域に設けたソース電極、ゲート電極およびドレイン電極とを有する少なくとも1つのFETと、前記FETのソース電極またはドレイン電極に接続する少なくとも1つの入力端子用電極パッドと、前記FETのドレイン電極またはソース電極に接続する少なくとも1つの出力端子用電極パッドと、前記FETにDC電位を印加する端子用電極パッドとからなるスイッチ回路装置において、
前記ゲート電極を形成するゲート金属層はPt層の上に他の金属層を設けた2層からなることを特徴とするスイッチ回路装置。 - 前記他の金属層は、前記Pt層が前記基板に拡散される程度の熱処理で前記化合物半導体基板と反応しにくく、相互拡散が進まない金属からなることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
- 前記他の金属層はMo層であることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ回路装置。
- 前記他の金属層の膜厚を前記Pt層の膜厚の2倍以下とすることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
- 前記ゲート電極の一部は、前記動作層表面に埋め込まれることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
- 前記ゲート金属層は、蒸着金属層であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路装置。
- 化合物半導体基板上に一導電型の動作層を形成し、該動作層に隣接した一導電型のソースおよびドレイン領域を設けてFETのチャネル領域を形成する工程と、
前記ソースおよびドレイン領域にオーミック金属層を形成し、第1ソースおよび第1ドレイン電極を形成する工程と、
前記動作層上にコンタクトするPt層を蒸着し、該Pt層上に他の金属層を蒸着してゲート金属層を形成し、ゲート電極を形成する工程と、
前記第1ソースおよび第1ドレイン電極上にパッド金属層を付着し第2ソースおよび第2ドレイン電極を形成する工程とを具備することを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。 - 前記他の金属層は、前記Pt層が前記基板に拡散される程度の熱処理で前記化合物半導体基板表面と反応しにくく、相互拡散が進まない金属を蒸着することを特徴とする請求項7に記載の化合物半導体装置の製造方法。
- 前記他の金属層は、Moであることを特徴とする請求項8に記載の化合物半導体装置の製造方法。
- 前記ゲート金属層を付着後、熱処理により前記ゲート金属層の一部を前記動作層に埋め込むことを特徴とする請求項7に記載の化合物半導体装置の製造方法。
- 前記ゲート電極はリフトオフにより形成することを特徴とする請求項7に記載の化合物半導体装置の製造方法。
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JP2002353442A JP2004186537A (ja) | 2002-12-05 | 2002-12-05 | スイッチ回路装置および化合物半導体装置の製造方法 |
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JP2012174943A (ja) * | 2011-02-23 | 2012-09-10 | Sony Corp | 電界効果トランジスタ、半導体スイッチ回路、および通信機器 |
-
2002
- 2002-12-05 JP JP2002353442A patent/JP2004186537A/ja active Pending
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