JP2004186113A - エレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性に優れ、高い分析精度が期待できるエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードルを提供する。
【解決手段】ステンレス鋼製で、内径:50μm 以下の内孔を有し、かつ一端部がテーパー状で、さらに該一端部の内径が端部に向かって小さくなる形状とする。また、少なくとも一端部の表層にダイヤモンド状炭素膜、窒化チタン膜、金薄膜、白金薄膜のいずれか1種を被覆することにより、撥水性が向上するとともに耐久性がさらに向上する。テーパーは塑性加工により形成することが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】ステンレス鋼製で、内径:50μm 以下の内孔を有し、かつ一端部がテーパー状で、さらに該一端部の内径が端部に向かって小さくなる形状とする。また、少なくとも一端部の表層にダイヤモンド状炭素膜、窒化チタン膜、金薄膜、白金薄膜のいずれか1種を被覆することにより、撥水性が向上するとともに耐久性がさらに向上する。テーパーは塑性加工により形成することが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、質量分析装置用イオン源であるエレクトロスプレーイオン化装置に係り、とくにエレクトロスプレーイオン化装置において内部に試料溶液を導入し帯電した微細液滴とするスプレーニードルのイオン化効率の向上及び耐久性向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体中、環境中、 食品中などに存在する、微量の有機化学物資を高感度に分析するために、液体クロマトグラフィーやキャピラリー電気泳動と直結した質量分析装置が、薬学、医学、化学等の広い分野で使用されるようになってきた。質量分析装置は、試料をイオン化し、電場の中で分析するもので、クロマトグラフィー等で分離された試料をイオン化するイオン源を必要とする。
【0003】
分離された試料(溶質分子)は高電圧の印加されたニードル(キャピラリー)の先端で荷電される。この際に窒素などシースガスの補助により噴霧することにより微小液滴が生じる。溶質分子を含んだ微小液滴は蒸発しながら質量分析装置へと導入され、溶媒の蒸発により液滴が十分に小さくなるとイオン化された分子同士の電気的反発力が表面張力を上回り、イオン化溶質分子が一気に気層に飛び出す。この現象はエレクトロスプレーイオン化と呼ばれ、ソフトイオン化法の代表的な手法である。質量スペクトロ分析イオンの形成方法が、例えば特許文献1に開示されて以降、タンパク質など生体高分子分析用の質量分析装置に用いられる一般的なイオン源として、エレクトロスプレーイオン化法を利用したエレクトロスプレーイオン化装置が広く利用されている。
【0004】
また、導入される試料溶液の流速が十分に遅ければ帯電した微小液滴はシースガスによる介助なしに生じ試料溶液が自動的に静電噴霧される。この方法はエレクトロスプレーイオン化法の中でも特にナノスプレーイオン化法と呼ばれ、生体高分子の高感度な微量分析に適したイオン化法である。ナノスプレーイオン化装置では、試料溶液を細い毛管(スプレーニードル)の先端部に送り、その毛管(スプレーニードル)先端に高電圧を印加する。これにより、この装置では、試料分子のイオン化に際し、熱や高エネルギー粒子を衝突させたりしないため、たんぱく質等の高生体分子をほとんど破壊することなく容易にイオン化することができる。
【0005】
通常のエレクトロスプレーイオン化装置の基本的な構成を、模式的に図4に示す。図中、1は試料溶液の供給部であり、2は毛管(スプレーニードル)、3は質量分析装置である。毛管2と質量分析装置の対向電極4との間に高電圧が印加される。通常、毛管(スプレーニードル)2はガラスキャピラリまたは金属で作成され、内径100 μm 、外径200 〜250 μm 程度である。
【0006】
特許文献1には、毛管(スプレーニードル)として、良好な導電体であり化学的に不活性であるステンレス鋼製のニードルと鋭い円錐をなすチップとを結合したエレクトロスプレー毛細管が示されている。
しかし、最近では、タンパク質やRNA など生体高分子の分析の際に、毛管(スプレーニードル)に供給する試料溶液の量(流量)を少なくすること、分析精度を向上させることが要望され、先端部の内径を1〜10μm に絞ったガラス製あるいはフューズドシリカ製の毛管(スプレーニードル)を使用するようになってきた。このガラス製あるいはフューズドシリカ製の毛管(スプレーニードル)には、導電性を付与するためにAu(金)等の金属薄膜が被覆されている。
【0007】
このような先端部を絞ったガラス製毛管(スプレーニードル)の例は、 例えば、特許文献2に開示がある。
【0008】
【特許文献1】
特開昭60−41747号公報
【特許文献2】
特開2001−74697号公報
【0009】
【発明の解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、ニードルとチップを別々に作成し結合する必要があり、製造工程が複雑となるうえ、安定して微細な液滴を生成することが困難であり、必要とする試料溶液の量も多く、近年のプロテオミクス研究に要求される微量分析には向かないという問題があった。
【0010】
また、特許文献2に記載されたガラス製あるいはフューズドシリカ製のスプレーニードルは、孔がふさがって使用できない等の品質上のばらつきが大きいうえ、耐久性が不足し微細な液滴を安定して噴霧できず、長時間の連続分析を実施することが困難であるという本質的な問題があった。また、スプレーニードルの先端の濡れの問題によって試料溶液が滞留し、帯電液滴が発生しにくくなり、連続した噴霧ができなくなるという問題もあった。ポストゲノム時代におけるプロテオミクス研究に要求される技術として、質量分析装置の長時間の安定した連続運転は必要不可欠な条件であり、既存のスプレーニードルではいずれも耐久性に問題がある。
【0011】
本発明は、このような従来技術の問題を有利に解決し、試料溶液を微細な液滴として安定して形成でき、長時間の連続測定が可能な耐久性を有し、高い分析精度が期待できる、エレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードルを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、スプレーニードルの材質、形状について鋭意検討した。その結果、スプレーニードルの耐久性を向上させるために、電導性の高い金属、なかでもステンレス鋼にすることがよいことを知見した。ステンレス鋼は経済性および加工性の観点で優れている。そして、さらに検討したところ、安定して長時間、試料溶液を微細液滴として噴霧するためには、スプレーニードルの一端部を内径および外径が端部に向かって細くなるテーパー状とすることがよいこと、あるいはさらに少なくとも先端部に、導電性を有し化学的に安定なダイヤモンド状炭素膜、窒化チタン膜、金薄膜、もしくは白金薄膜のいずれか1種を被覆することがよいことに想到し、本発明を成すに至った。
【0013】
すなわち、 本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)試料溶液を帯電した微細液滴としてイオン化するエレクトロスプレーイオン化装置に用いるニードルであって、該ニードルが金属製で、内径:50μm 以下の内孔を有し、かつ一端部がテーパー状で、さらに該一端部の内径が端部に向かって小さくなる形状を有することを特徴とするエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
(2)(1)において、前記金属が、ステンレス鋼である請求項1に記載のエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
(3)(1)または(2)において、少なくとも前記先端部の、外面および/または内面の表層に導電性を有し化学的に安定なダイヤモンド状炭素膜、窒化チタン膜、金薄膜もしくは白金薄膜のいずれか1種の膜を有することを特徴とするエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記一端部のテーパーが、塑性加工により形成されたことを特徴とするエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のスプレーニードルの形状の一例を図1に示す。
本発明のスプレーニードルは、良好な導電体である金属製、好ましくはステンレス鋼製とする。これにより、導電性付与のための金属薄膜を被覆する必要がなく製造コストが低減するとともに、導電性のばらつきもなく安定して高電圧を負荷することができる。また、とくに化学的に不活性(安定)であるステンレス鋼製とすることにより、使用中の損耗も少なく、耐久性が顕著に向上する。ステンレス鋼としては、SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼とすることが好ましい。なお、ステンレス鋼以外の金属としてチタン、ニッケル、金、白金などが好ましい。
【0015】
また、本発明のスプレーニードルは、内径50μm 以下の内孔を有する。内孔の径はできるだけ小さいほうが、試料溶液の使用量を少なくすることができ、測定精度も向上する。内径が50μm を超えて大きくなると、ニードル先端から生じる液滴が大きくなり帯電液滴が生じにくいという不具合が生じる。
また、本発明のスプレーニードルは、先端部がテーパー状を呈する。エレクトロスプレーイオン化装置では、スプレーニードルの他端部から試料溶液を内孔に注入し、先端部から微細液滴として噴霧する。この際、ニードル先端から生じた液滴がニードル先端との接触で滞留し、液溜りを形成するという問題が生じる。したがって、できるだけ微細な液滴とするためには、先端部をできるだけ小さく形成することが好ましい。このため、本発明ではスプレーニードルの一端部(先端部)をテーパー状に形成する。しかも本発明のスプレーニードルでは、先端部の外径はもちろん、内径も端部に向かって小さくなる形状とする。
【0016】
一端部(先端部)の内孔をこのように形成することにより、極く微細な液滴を容易に噴霧できるため、イオン化の安定性が顕著に向上する。また、試料溶液の噴霧化が容易となり、先端部に試料溶液が滞留することもなくなるという効果を有する。なお、 テーパー部は先端から30mm以下とすることが好ましく、また端部での内径は0.1 〜50μm 程度とすることが噴霧液滴径の制御の観点から好ましい。
【0017】
本発明のスプレーニードルは、金属製線材(ステンレス鋼線材)等を素材とし、必要に応じ放電加工により所定形状の内孔を形成し、その後、引抜き等の塑性加工を施し、均一な所定外径を有し、しかも均一な所定内径の内孔を有する筒状のニードルとし、所定長さに調整する。ついで、スプレーニードルの先端部となる一端部に、ロールによる塑性加工を施し、所定形状のテーパーを付与する。これにより、外径および内径も端部に向かって小さくなる形状とすることができる。上記した加工を施したのち、表面を電解研磨による仕上研磨を施して製品とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明のスプレーニードルでは、少なくとも先端部の、外面および/または内面の表層にダイヤモンド状炭素膜、窒化チタン膜、金薄膜、白金薄膜のいずれか1種を有することが好ましい。表層にこれら薄膜を形成することにより、先端部の耐久性向上と撥水性が向上するとともに、試料溶液の滞留の問題が解消され、試料溶液の噴霧化が容易となるという効果もある。なお、形成される薄膜の厚さは3μm 以下、好ましくは0.001 μm 以上、さらに好ましくは0.01μm 以上とすることが好ましい。3μm を超えると薄膜が剥離しやすくなる。一方、厚さが0.001 μm 未満では上記した効果が少なくなる。
【0019】
ダイヤモンド状炭素膜は、通常公知の方法がいずれも適用できるが、なかでもイオン蒸着法を用いることが好ましい。また、窒化チタン膜は、蒸気化したチタン雰囲気中に窒素を導入して窒化チタンを基板上に成膜させる蒸着法を適用して、形成することが好ましい。また、金薄膜、白金薄膜も通常の蒸着法により形成することが好ましい。
【0020】
【実施例】
素材として、SUS304製の線材を用い、引抜き加工により外径:360 μm に成形した後、放電加工により内孔を形成し、内径:50μm のテーパーなしの筒状ニードルとした。ついで、この筒状ニードルを、端部での内径が30μm となるようにロール圧延により一端部(先端部)にテーパーを付与し、図1に示す形状のニードルとした。ついで、これらニードルをプラズマイオンコーティングが可能な装置(DASH−800A.S.D 装置)に装入し、雰囲気:0.1 Pa、温度:200 ℃、時間:3時間の条件でダイヤモンド状炭素膜を外面、 内面の表層に2μm 厚形成し、スプレーニードルとした。
【0021】
得られたスプレーニードルの評価は、Thermo Finnigan 社製のイオントラップ型質量分析装置LCQとMicrom Bioresource社製の液体クロマトグラフィー装置Magic 2002を組み合わせたLC/MSシステムを用いて行った。イオン化部位はAMR社製のナノエレクトロスプレーイオン化装置を用いた。カラムにはKYA TECH社製のHiQ sil C18−3(0.2 ×100mm)を採用し先端に、本発明のスプレーニードルを取り付けた。スプレー電圧は1.8 〜2.2 kVで調節し、対向電極側との距離をXYZ 移動ステージで調整し、最も安定したイオン化の条件を設定した。試料として500fmol のBSA (ウシ血清アルブミン)のトリプシン消化ペプチドを用いた。クロマトグラフィーの条件は、溶離液A(0.1 %蟻酸、2%アセトニトリル)と溶離液B(0.1 %蟻酸、80%アセトニトリル)を35分間で5%Bから75%Bまでグラジェントをかけた。ポンプの流速50μ/minでスプリッターで送液を分離し、カラム流速を2μm/min に設定した。m/z 300〜2000の範囲で測定し、同時に、データ依存的衝突活性化解離(collision induced dissociation)の設定を行い、イオン化されたペプチドの検出とペプチドの衝突活性化解離イオンの解析からペプチドの内部配列に関する情報を得た。
【0022】
分析結果を図2、図3に示す。
図2に示すマスクロマトグラムの結果は良好で、測定の全体を通してイオン化が安定し、BSA由来のペプチドが効率よくイオン化され、全ペプチドの約88%が検出された。また図3に、LFTFHADIC*TLPDTEK の衝突活性化解離スペクトルの結果を示す。図3から、ペプチドのアミノ酸配列の解析も十分に可能であることが判明した。C(システイン残基)はカルバミドメチル化されている。Biemann による命名法による yイオン、b イオンがそれぞれ帰属されている。表1にBiemann による命名法にしたがって帰属したプロダクトイオンのリストを示す。(数字に下線を付与したものが帰属されている。)
【0023】
【表1】
【0024】
また耐久性試験を行った結果、30時間の連続噴霧に耐え、先端部の劣化などは全く確認できなかった。
さらに1ケ月間の断続使用を行ったが、品質の低下は見られず、噴霧の安定性とイオン化効率は分析開始時とほぼ同等である。
なお、比較として、表面金属薄膜(Au膜)を被覆されたフューズドシリカ製スプレーニードル(外径:360 μm 、先端内径:30μm )を用いた。その結果、フューズドシリカ製スプレーニードルでは、品質のばらつきが大きく、1時間程度の分析で使用不可能になるものから、長くもつものでも半日から1日程度であった。ほとんどが先端部の濡れによる試料溶液の滞留が原因であった。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、イオン化の安定性と耐久性が向上し、エレクトロスプレーイオン化を利用した質量分析の効率が顕著に向上し、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、品質が安定化し、スプレーニードルの製品品質上のばらつきが減少するという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスプレーニードル形状の一例を模式的にしめす断面図である。
【図2】BSA のトリプシン消化ペプチドのマスクロストグラムである。
【図3】BSA のペプチドLFTFHADlI*TLPDTEK(1906.91Da)のC1D スペクトルを示すグラフである。
【図4】エレクトロスプレーイオン化装置の基本的構成の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 試料溶液供給部
2 毛管(スプレーニードル)
3 質量分析装置
4 対向電極
5 オリフィス
6 スキマーオリフィス
【発明の属する技術分野】
本発明は、質量分析装置用イオン源であるエレクトロスプレーイオン化装置に係り、とくにエレクトロスプレーイオン化装置において内部に試料溶液を導入し帯電した微細液滴とするスプレーニードルのイオン化効率の向上及び耐久性向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体中、環境中、 食品中などに存在する、微量の有機化学物資を高感度に分析するために、液体クロマトグラフィーやキャピラリー電気泳動と直結した質量分析装置が、薬学、医学、化学等の広い分野で使用されるようになってきた。質量分析装置は、試料をイオン化し、電場の中で分析するもので、クロマトグラフィー等で分離された試料をイオン化するイオン源を必要とする。
【0003】
分離された試料(溶質分子)は高電圧の印加されたニードル(キャピラリー)の先端で荷電される。この際に窒素などシースガスの補助により噴霧することにより微小液滴が生じる。溶質分子を含んだ微小液滴は蒸発しながら質量分析装置へと導入され、溶媒の蒸発により液滴が十分に小さくなるとイオン化された分子同士の電気的反発力が表面張力を上回り、イオン化溶質分子が一気に気層に飛び出す。この現象はエレクトロスプレーイオン化と呼ばれ、ソフトイオン化法の代表的な手法である。質量スペクトロ分析イオンの形成方法が、例えば特許文献1に開示されて以降、タンパク質など生体高分子分析用の質量分析装置に用いられる一般的なイオン源として、エレクトロスプレーイオン化法を利用したエレクトロスプレーイオン化装置が広く利用されている。
【0004】
また、導入される試料溶液の流速が十分に遅ければ帯電した微小液滴はシースガスによる介助なしに生じ試料溶液が自動的に静電噴霧される。この方法はエレクトロスプレーイオン化法の中でも特にナノスプレーイオン化法と呼ばれ、生体高分子の高感度な微量分析に適したイオン化法である。ナノスプレーイオン化装置では、試料溶液を細い毛管(スプレーニードル)の先端部に送り、その毛管(スプレーニードル)先端に高電圧を印加する。これにより、この装置では、試料分子のイオン化に際し、熱や高エネルギー粒子を衝突させたりしないため、たんぱく質等の高生体分子をほとんど破壊することなく容易にイオン化することができる。
【0005】
通常のエレクトロスプレーイオン化装置の基本的な構成を、模式的に図4に示す。図中、1は試料溶液の供給部であり、2は毛管(スプレーニードル)、3は質量分析装置である。毛管2と質量分析装置の対向電極4との間に高電圧が印加される。通常、毛管(スプレーニードル)2はガラスキャピラリまたは金属で作成され、内径100 μm 、外径200 〜250 μm 程度である。
【0006】
特許文献1には、毛管(スプレーニードル)として、良好な導電体であり化学的に不活性であるステンレス鋼製のニードルと鋭い円錐をなすチップとを結合したエレクトロスプレー毛細管が示されている。
しかし、最近では、タンパク質やRNA など生体高分子の分析の際に、毛管(スプレーニードル)に供給する試料溶液の量(流量)を少なくすること、分析精度を向上させることが要望され、先端部の内径を1〜10μm に絞ったガラス製あるいはフューズドシリカ製の毛管(スプレーニードル)を使用するようになってきた。このガラス製あるいはフューズドシリカ製の毛管(スプレーニードル)には、導電性を付与するためにAu(金)等の金属薄膜が被覆されている。
【0007】
このような先端部を絞ったガラス製毛管(スプレーニードル)の例は、 例えば、特許文献2に開示がある。
【0008】
【特許文献1】
特開昭60−41747号公報
【特許文献2】
特開2001−74697号公報
【0009】
【発明の解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、ニードルとチップを別々に作成し結合する必要があり、製造工程が複雑となるうえ、安定して微細な液滴を生成することが困難であり、必要とする試料溶液の量も多く、近年のプロテオミクス研究に要求される微量分析には向かないという問題があった。
【0010】
また、特許文献2に記載されたガラス製あるいはフューズドシリカ製のスプレーニードルは、孔がふさがって使用できない等の品質上のばらつきが大きいうえ、耐久性が不足し微細な液滴を安定して噴霧できず、長時間の連続分析を実施することが困難であるという本質的な問題があった。また、スプレーニードルの先端の濡れの問題によって試料溶液が滞留し、帯電液滴が発生しにくくなり、連続した噴霧ができなくなるという問題もあった。ポストゲノム時代におけるプロテオミクス研究に要求される技術として、質量分析装置の長時間の安定した連続運転は必要不可欠な条件であり、既存のスプレーニードルではいずれも耐久性に問題がある。
【0011】
本発明は、このような従来技術の問題を有利に解決し、試料溶液を微細な液滴として安定して形成でき、長時間の連続測定が可能な耐久性を有し、高い分析精度が期待できる、エレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードルを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、スプレーニードルの材質、形状について鋭意検討した。その結果、スプレーニードルの耐久性を向上させるために、電導性の高い金属、なかでもステンレス鋼にすることがよいことを知見した。ステンレス鋼は経済性および加工性の観点で優れている。そして、さらに検討したところ、安定して長時間、試料溶液を微細液滴として噴霧するためには、スプレーニードルの一端部を内径および外径が端部に向かって細くなるテーパー状とすることがよいこと、あるいはさらに少なくとも先端部に、導電性を有し化学的に安定なダイヤモンド状炭素膜、窒化チタン膜、金薄膜、もしくは白金薄膜のいずれか1種を被覆することがよいことに想到し、本発明を成すに至った。
【0013】
すなわち、 本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)試料溶液を帯電した微細液滴としてイオン化するエレクトロスプレーイオン化装置に用いるニードルであって、該ニードルが金属製で、内径:50μm 以下の内孔を有し、かつ一端部がテーパー状で、さらに該一端部の内径が端部に向かって小さくなる形状を有することを特徴とするエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
(2)(1)において、前記金属が、ステンレス鋼である請求項1に記載のエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
(3)(1)または(2)において、少なくとも前記先端部の、外面および/または内面の表層に導電性を有し化学的に安定なダイヤモンド状炭素膜、窒化チタン膜、金薄膜もしくは白金薄膜のいずれか1種の膜を有することを特徴とするエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記一端部のテーパーが、塑性加工により形成されたことを特徴とするエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のスプレーニードルの形状の一例を図1に示す。
本発明のスプレーニードルは、良好な導電体である金属製、好ましくはステンレス鋼製とする。これにより、導電性付与のための金属薄膜を被覆する必要がなく製造コストが低減するとともに、導電性のばらつきもなく安定して高電圧を負荷することができる。また、とくに化学的に不活性(安定)であるステンレス鋼製とすることにより、使用中の損耗も少なく、耐久性が顕著に向上する。ステンレス鋼としては、SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼とすることが好ましい。なお、ステンレス鋼以外の金属としてチタン、ニッケル、金、白金などが好ましい。
【0015】
また、本発明のスプレーニードルは、内径50μm 以下の内孔を有する。内孔の径はできるだけ小さいほうが、試料溶液の使用量を少なくすることができ、測定精度も向上する。内径が50μm を超えて大きくなると、ニードル先端から生じる液滴が大きくなり帯電液滴が生じにくいという不具合が生じる。
また、本発明のスプレーニードルは、先端部がテーパー状を呈する。エレクトロスプレーイオン化装置では、スプレーニードルの他端部から試料溶液を内孔に注入し、先端部から微細液滴として噴霧する。この際、ニードル先端から生じた液滴がニードル先端との接触で滞留し、液溜りを形成するという問題が生じる。したがって、できるだけ微細な液滴とするためには、先端部をできるだけ小さく形成することが好ましい。このため、本発明ではスプレーニードルの一端部(先端部)をテーパー状に形成する。しかも本発明のスプレーニードルでは、先端部の外径はもちろん、内径も端部に向かって小さくなる形状とする。
【0016】
一端部(先端部)の内孔をこのように形成することにより、極く微細な液滴を容易に噴霧できるため、イオン化の安定性が顕著に向上する。また、試料溶液の噴霧化が容易となり、先端部に試料溶液が滞留することもなくなるという効果を有する。なお、 テーパー部は先端から30mm以下とすることが好ましく、また端部での内径は0.1 〜50μm 程度とすることが噴霧液滴径の制御の観点から好ましい。
【0017】
本発明のスプレーニードルは、金属製線材(ステンレス鋼線材)等を素材とし、必要に応じ放電加工により所定形状の内孔を形成し、その後、引抜き等の塑性加工を施し、均一な所定外径を有し、しかも均一な所定内径の内孔を有する筒状のニードルとし、所定長さに調整する。ついで、スプレーニードルの先端部となる一端部に、ロールによる塑性加工を施し、所定形状のテーパーを付与する。これにより、外径および内径も端部に向かって小さくなる形状とすることができる。上記した加工を施したのち、表面を電解研磨による仕上研磨を施して製品とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明のスプレーニードルでは、少なくとも先端部の、外面および/または内面の表層にダイヤモンド状炭素膜、窒化チタン膜、金薄膜、白金薄膜のいずれか1種を有することが好ましい。表層にこれら薄膜を形成することにより、先端部の耐久性向上と撥水性が向上するとともに、試料溶液の滞留の問題が解消され、試料溶液の噴霧化が容易となるという効果もある。なお、形成される薄膜の厚さは3μm 以下、好ましくは0.001 μm 以上、さらに好ましくは0.01μm 以上とすることが好ましい。3μm を超えると薄膜が剥離しやすくなる。一方、厚さが0.001 μm 未満では上記した効果が少なくなる。
【0019】
ダイヤモンド状炭素膜は、通常公知の方法がいずれも適用できるが、なかでもイオン蒸着法を用いることが好ましい。また、窒化チタン膜は、蒸気化したチタン雰囲気中に窒素を導入して窒化チタンを基板上に成膜させる蒸着法を適用して、形成することが好ましい。また、金薄膜、白金薄膜も通常の蒸着法により形成することが好ましい。
【0020】
【実施例】
素材として、SUS304製の線材を用い、引抜き加工により外径:360 μm に成形した後、放電加工により内孔を形成し、内径:50μm のテーパーなしの筒状ニードルとした。ついで、この筒状ニードルを、端部での内径が30μm となるようにロール圧延により一端部(先端部)にテーパーを付与し、図1に示す形状のニードルとした。ついで、これらニードルをプラズマイオンコーティングが可能な装置(DASH−800A.S.D 装置)に装入し、雰囲気:0.1 Pa、温度:200 ℃、時間:3時間の条件でダイヤモンド状炭素膜を外面、 内面の表層に2μm 厚形成し、スプレーニードルとした。
【0021】
得られたスプレーニードルの評価は、Thermo Finnigan 社製のイオントラップ型質量分析装置LCQとMicrom Bioresource社製の液体クロマトグラフィー装置Magic 2002を組み合わせたLC/MSシステムを用いて行った。イオン化部位はAMR社製のナノエレクトロスプレーイオン化装置を用いた。カラムにはKYA TECH社製のHiQ sil C18−3(0.2 ×100mm)を採用し先端に、本発明のスプレーニードルを取り付けた。スプレー電圧は1.8 〜2.2 kVで調節し、対向電極側との距離をXYZ 移動ステージで調整し、最も安定したイオン化の条件を設定した。試料として500fmol のBSA (ウシ血清アルブミン)のトリプシン消化ペプチドを用いた。クロマトグラフィーの条件は、溶離液A(0.1 %蟻酸、2%アセトニトリル)と溶離液B(0.1 %蟻酸、80%アセトニトリル)を35分間で5%Bから75%Bまでグラジェントをかけた。ポンプの流速50μ/minでスプリッターで送液を分離し、カラム流速を2μm/min に設定した。m/z 300〜2000の範囲で測定し、同時に、データ依存的衝突活性化解離(collision induced dissociation)の設定を行い、イオン化されたペプチドの検出とペプチドの衝突活性化解離イオンの解析からペプチドの内部配列に関する情報を得た。
【0022】
分析結果を図2、図3に示す。
図2に示すマスクロマトグラムの結果は良好で、測定の全体を通してイオン化が安定し、BSA由来のペプチドが効率よくイオン化され、全ペプチドの約88%が検出された。また図3に、LFTFHADIC*TLPDTEK の衝突活性化解離スペクトルの結果を示す。図3から、ペプチドのアミノ酸配列の解析も十分に可能であることが判明した。C(システイン残基)はカルバミドメチル化されている。Biemann による命名法による yイオン、b イオンがそれぞれ帰属されている。表1にBiemann による命名法にしたがって帰属したプロダクトイオンのリストを示す。(数字に下線を付与したものが帰属されている。)
【0023】
【表1】
【0024】
また耐久性試験を行った結果、30時間の連続噴霧に耐え、先端部の劣化などは全く確認できなかった。
さらに1ケ月間の断続使用を行ったが、品質の低下は見られず、噴霧の安定性とイオン化効率は分析開始時とほぼ同等である。
なお、比較として、表面金属薄膜(Au膜)を被覆されたフューズドシリカ製スプレーニードル(外径:360 μm 、先端内径:30μm )を用いた。その結果、フューズドシリカ製スプレーニードルでは、品質のばらつきが大きく、1時間程度の分析で使用不可能になるものから、長くもつものでも半日から1日程度であった。ほとんどが先端部の濡れによる試料溶液の滞留が原因であった。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、イオン化の安定性と耐久性が向上し、エレクトロスプレーイオン化を利用した質量分析の効率が顕著に向上し、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、品質が安定化し、スプレーニードルの製品品質上のばらつきが減少するという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスプレーニードル形状の一例を模式的にしめす断面図である。
【図2】BSA のトリプシン消化ペプチドのマスクロストグラムである。
【図3】BSA のペプチドLFTFHADlI*TLPDTEK(1906.91Da)のC1D スペクトルを示すグラフである。
【図4】エレクトロスプレーイオン化装置の基本的構成の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 試料溶液供給部
2 毛管(スプレーニードル)
3 質量分析装置
4 対向電極
5 オリフィス
6 スキマーオリフィス
Claims (4)
- 試料溶液を帯電した微小液滴としてイオン化するエレクトロスプレーイオン化装置に用いるニードルであって、該ニードルが金属製で、内径:50μm 以下の内孔を有し、かつ一端部がテーパー状で、しかも該一端部の内径が端部に向かって小さくなる形状を有することを特徴とするエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
- 前記金属製が、ステンレス鋼製である請求項1に記載のエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
- 少なくとも前記一端部の、外面および/または内面の表層にダイヤモンド状炭素膜、窒化チタン膜、金薄膜もしくは白金薄膜のいずれか1種の膜を有することを特徴とする請求項1または2に記載のエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
- 前記一端部のテーパーが、塑性加工により形成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエレクトロスプレーイオン化装置用スプレーニードル。
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