JP2004184670A - 液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも素子観察側に配置される基板11が透光性を有し、互いの対向面上に透明電極21、22が形成されている一対の基板11、12と、該基板間に挟持されたコレステリック液晶を含む液晶層5とを有し、素子観察側とは反対側の基板12が黒色に着色されており、少なくとも素子観察側基板11上の透明電極21の厚みd(nm)は80nm未満であり、液晶層5をフォーカルコニツク状態にしたときの素子の、光波長λ(nm)の関数f1 (λ)で表される光反射率(%)が、該液晶層のプレーナ状態での選択反射波長λP (nm)に対して、360(nm)≦λt <λP となる波長λt (nm)で極大となり、且つ、f1 (λt )>f1 (λP )の関係が成立する反射ピークがフォーカルコニック状態で存在する液晶表示素子LCD1。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子(換言すれば液晶光変調素子)に関する。特に、室温でコレステリック相を示す液晶を用いた二つの安定状態のスイッチング(双安定スイッチング)を利用した液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、基本的に透明電極を有する一対の基板とこの基板間に挟持された液晶層とからなる。この液晶層に駆動電圧を印加することで液晶分子の配列を制御し、素子に入射される外光を変調して目的とする画像の表示等を行う。
【0003】
液晶表示素子は様々なものが提案されているが、近年、ネマチック液晶にカイラル材料を添加することにより、室温においてコレステリック相を示すようにしたカイラルネマチック液晶を用いた液晶表示素子が種々研究されている。 かかる液晶表示素子は、例えば、カイラルネマチック液晶の選択反射を利用した低消費電力を特徴とする反射型の液晶表示素子として用い得ることが知られている。
【0004】
この反射型表示素子では高低のパルス電圧を印加することにより液晶をプレーナ状態(着色状態)とフォーカルコニツク状態(透明状態)に切り替えて表示を行なわせる。また、パルス電圧を印加した後もプレーナ状態であった領域はプレーナ状態が、フォーカルコニツク状態であった領域はフォーカルコニツク状態が保持されることで、電圧の印加を停止した後も表示が保たれるようにすることが可能である。このようなプレーナ及びフォーカルコニツクの各状態の保持性を一般的に双安定性又はメモリー性と呼んでいる。
【0005】
このような反射型液晶表示素子には、紙や書籍等の代替を目的として、白っぽい色と黒色などの背景色とを利用するモノクロ(モノカラー)画像表示を行うものがある。
【0006】
もっとも、カイラルネマチック液晶の選択反射を利用した液晶表示素子では、一般的に、着色状態において波長−光反射率スペクトルにおける選択反射のピークが選択反射波長の近傍付近に集中しており、その部分のスペクトル波形が鋭いため、液晶層が単層の状態では色純度の高い、換言すれば白色純度の低い鮮やかな色の表示しかできず、画像視認性等の点で満足し難い。
【0007】
この点、カイラルネマチック液晶中に高分子前駆体を混合し、これを用いて液晶セルを形成した後、該前駆体を重合させて高分子網を形成させる高分子安定型液晶表示素子が、米国特許第5,847,798号等において数多く提案されている。この種の液晶表示素子によると、選択反射状態での反射スペクトルをブロードにすることによって、単層の液晶層でモノクロ表示ができるとされている。
【0008】
また、高分子安定型液晶表示素子のように高分子前駆体を重合させた高分子網を採用しない液晶表示素子であって、室温においてコレステリック相を示す液晶を用い、該液晶の選択反射状態において、換言すれば着色状態において、波長−光反射率スペクトルにおける選択反射の光反射率のピークをブロードにする(より広範囲の可視波長域に広げる)ことで、良好なモノクロ画像表示を行えるとされる液晶表示素子も提案されている(特開2001−311967号公報)。
【0009】
高分子安定型液晶表示素子のように高分子前駆体を重合させた高分子網を採用しない液晶表示素子であって、室温においてコレステリック相を示すカイラルネマチック液晶を用い、選択反射における光反射率のピークをブロードにするとともに温度補償範囲を広くした液晶表示素子も提案されている(特開2001−311968号公報)。
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,847,798号
【特許文献2】特開2001−311967号公報
【特許文献3】特開2001−311968号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記高分子安定型液晶表示素子では、液晶中にネットワーク化された高分子体を含むため、画像表示のための駆動電圧が比較的高くなり、また、背景表示特性(例えば黒色表示特性)が満足できるほど十分ではない。
【0012】
また、前記特開2001−311967号公報や特開2001−311968号公報に開示されている液晶表示素子は白黒表示を行う液晶表示素子とするとき、白色表示部分における白色純度や明るさをできる限り向上させることが望ましい。
【0013】
そこで本発明は、コレステリック液晶を用いた液晶表示素子であって、双安定性に優れるとともに、高分子安定型液晶表示素子と比べると低電圧駆動可能で、明るく視認性に優れた画像表示ができ、黒色背景色を利用して白黒画像表示を行う場合、良好な白色純度、明るさの特性を得ることができる液晶表示素子を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決すべく研究を重ね次の知見を得た。
液晶表示素子は基本的には少なくとも画像観察側に配置される基板が透光性を有した一対の基板と、前記素子観察側基板に設けられた透明電極と、前記一対の基板間に挟持された液晶層とを含んでいる。
【0015】
このような液晶表示素子においては、少なくとも一方の基板には、両基板間の電気的短絡防止のための絶縁膜や液晶分子の配列制御のための安定化膜が形成され、液晶層はそのような膜を介して基板間に挟まれることがある。
【0016】
このように液晶層と基板間の極めて近接した距離間に何層もの膜が配置される場合、素子を通過する光が各層間で多重反射を起こしたり、散乱したりすることがある。しかし、このような多重反射や散乱は、各層の屈折率に依存するため、高屈折率の無機物の薄膜である透明電極の影響が大きい。
【0017】
そこで、基板と透明電極の干渉により現れる可視短波長領域の散乱ピークを利用することで、白黒表示における白色純度、明るさを向上させることができる。さらに言えば、透明電極の界面で起こる反射光の干渉を利用し、その干渉の強め合いの効果が大きくなるように、前記両基板上の電極のうち少なくとも素子観察側の基板の電極の厚みを比較的薄くし(但し、電極の面抵抗が大きくなりすぎない範囲で薄くし)、その電極の膜特性の影響を大きし、可視短波長域の光の干渉を増やすことで、白黒画像表示を行う場合に良好な白色純度、明るさを得ることができる。
【0018】
特に、透明電極の厚みd(nm)を80nm未満とした場合に反射光の干渉による強め合いが大きくなり、液晶層をフォーカルコニツク状態としたときの素子の、光波長λ(nm)の関数f1 (λ)で表される光反射率(%)が、該液晶層のプレーナ状態での選択反射波長λP (nm)に対して、360(nm)≦λt <λP となる波長λt (nm)で極大となり、且つ、f1 (λt )>f1 (λP )の関係が成立する反射ピークが液晶層をフォーカルコニック状態にしたときに現れ、着色状態における波長一光反射率スペクトルのスペクトル波形を広範囲の可視領域に広げることができ、背景色を黒色とした場合に白色純度の優れた白黒画像表示を行うことができる。
【0019】
かかる知見に基づき本発明は、少なくとも素子観察側に配置される基板が透光性を有した一対の基板と、前記素子観察側基板に設けられた透明電極と、前記一対の基板間に挟持されたコレステリック液晶(室温でコレステリック相を示す液晶)を含む液晶層とを有し、素子観察側とは反対側の基板が黒色に着色されており、前記透明電極の厚みd(nm)は80nm未満であり、前記液晶層をフォーカルコニツク状態にしたときの素子の、光波長λ(nm)の関数f1 (λ)で表される光反射率(%)が、該液晶層のプレーナ状態での選択反射波長λP (nm)に対して、360(nm)≦λt <λP となる波長λt (nm)で極大となり、且つ、f1 (λt )>f1 (λP )の関係が成立する反射ピークがフォーカルコニック状態で存在する液晶表示素子を提供する。
【0020】
なお、素子観察側とは反対側の基板の黒色着色は、基板そのものが黒色に着色されていてもよいが、黒色着色基板として、例えば透明基板の外面(裏面)に黒色層等の光吸収層(黒色表示層)を設けたものを採用してもよい。
【0021】
電極の厚みを薄くする場合、それは電極の面抵抗が大きくなりすぎない範囲で行うことが望ましい。電極材質や電極形成方法によっても異なるが、概して、電極の厚みdが0<d<50(nm)と薄くなると、反射光の干渉による強め合いはより大きくなるものの、電極面抵抗が500Ω/□以上と非常に大きくなる恐れがあるので、電極厚さd〔nm〕は50nm≦d <80nmとすることが好ましい。
【0022】
良好な白色純度、明るさを得るうえで、前記反射ピークはf1 (λt )>f1 (λP )+5%を満たすことがより望ましい。また、前記液晶層をフォーカルコニック状態にしたとき、素子の反射率が前記波長λt で最大となることが好ましい。
【0023】
良好な白色純度、明るさを得るうえで、前記液晶表示素子に含まれるコレステリック液晶の着色状態(プレーナ状態)のときの選択反射波長nP(nは該コレステリック液晶の平均屈折率、Pは該コレステリック液晶のヘリカルピッチ)における光反射率をR、該コレステリック液晶の屈折率異方性をΔnとすると、波長λの関数として表される式{exp−[2(λ−nP)2 /Δn2 P2 ]}Rの可視波長域における積分値Saが、前記液晶層をプレーナ状態にしたときの素子の波長−光反射率スペクトルを表す関数f2 (λ)の可視波長域における積分値Sbの40%以上55%以下となることが好ましい。
【0024】
ここでいう可視波長域は360nm〜740nmの範囲の波長域を意味している。式{exp−[2(λ−nP)2 /Δn2 P2 ]}Rは中心波長(選択反射波長nP)における反射率がR、分散が(ΔnP/2)2 である正規分布関数を表している。Sbは可視光域のスペクトルの全積分値、Saは散乱部分を除いたスペクトルの積分値なのでSa/Sb値が小さいほど、より白い表示を行える。
【0025】
しかし、40%より下まわってくると、選択反射の光反射率のピークを視感反射率の大きい波長領域において発生させることが困難になってきて素子の視認性が低下してくるので、40%以上が望ましいと言える。
【0026】
良好な白色純度、明るさを得る観点からすると、前記液晶層に含まれるコレステリック液晶のプレーナ状態での選択反射波長nPとして500nm以上800nm以下を例示できる。前記液晶層に含まれるコレステリック液晶の屈折率異方性Δnとして、0.18から0.32を例示できる。
【0027】
液晶表示素子の光入射方向に光散乱能を有する機能面を配置してもよい。さらに言えば、例えば一対の基板のうち素子観察側の基板の最外表面を光散乱能を有する機能面としてもよい。そうすることで、電極界面における反射光の干渉はさらに効果的に現れ、着色状態における波長一光反射率スペクトルをより広範囲の可視領域に広げることができる。
【0028】
素子観察側とは反対側の基板として透明基板を採用し、その外面(裏面)に黒色層等の光吸収層(黒色表示層)を設ける場合には、該黒色表示層に対向する基板面も光散乱能を有する機能面としてもよく、そうすることで、液晶層着色状態における白色純度は顕著に向上し、また、該光散乱機能面は黒表示に影響を及ぼさないので、これを設けない場合と同程度の黒色表示が得られるため、コントラストも向上する。
【0029】
【発明の実施の形態】
【0030】
図1は第1実施形態の液晶表示素子の、図2は第2実施形態の液晶表示素子の、図3は第3実施形態の液晶表示素子の断面図である。
【0031】
図1の液晶表示素子LCD1は、一対の基板11、12の間に液晶層5を挟持したものである。光入射側(画像観察側)基板11は透明基板であり、反対側の基板12は可視光吸収性の黒色基板である。なお、基板12は透明基板でもよく、その場合は該基板の裏面(外面)に黒色層を設けるとよい。
【0032】
基板11には細幅帯状の透明電極21が多数本平行に形成されている。基板12にも細幅帯状の透明電極22が多数本平行に形成されている。両基板11、12は、これら電極が互いに対向するように、且つ、基板面側からみると電極21、22が互いに直交するように向かい合っている。すなわち、マトリクス電極構造が形成されている。基板面側からみて電極21、22が交差する部位が画素となっている。
【0033】
一方の基板11の電極21を有する面上には電極間の短絡防止のための絶縁膜31が、さらにその上に液晶分子を配向させる配向膜(配向安定化膜)41が形成されている。他方の基板12の電極22を有する面上にも絶縁膜32が、さらにその上に配向膜(配向安定化膜)42が形成されている。なお、絶縁膜や配向膜は必ずしも要せず、必要に応じて設けるとよい。
【0034】
また、両基板11、12間には液晶層5の厚さを規定するためのスペーサ6を分散配置してあり、液晶層5は両基板間に形成したシール壁7に囲繞され、液晶の漏洩が防止されている。液晶層5は室温でコレステリック相を示すコレステリック液晶を含んでいる。
【0035】
両基板間には、必要に応じ、両基板間の間隔維持、自己保持性(両基板の相互結合、素子の強度維持等)のうち1又は2以上を満足させるための適当な柱状構造物CLを設けてもよい。
【0036】
電極21、22はマトリクス駆動のための素子駆動部Dに接続されている。それぞれの画素において該駆動部により電極21、22間に所定のパルス電圧が印加されることで、該画素における液晶層がプレーナ状態(着色状態)、フォーカルコニック状態(透明状態、従って黒色表示層による黒色表示状態)に設定でき、それにより画像表示が可能である。この液晶表示素子LCD1はメモリー性を有している。すなわち、プレーナ状態又はフオーカルコニツク状態はパルス電圧印加後も維持される。
【0037】
図2の液晶表示素子LCD2は、図1の素子において黒色基板12に代えて透明基板13を採用し、その裏面に黒色層8を設けるとともに画像観察側基板11の表面(外面)に光散乱層9を設けたものである。基板11と光散乱層9を合わせて画像観察側基板と見ることもでき、その場合基板は表面に光散乱能を有する機能面を有する基板である。なお、基板11の表面それ自体が光散乱能を有する面であってもよい。それ以外の点は図1の素子と同構造である。図1の素子と同様の部分には図1と同じ参照符号を付してある。
【0038】
図3の液晶表示素子LCD3は、図2の素子において基板13と黒色層8との間に光散乱層9’をさらに設けたものである。基板13と光散乱層10を合わせて画像観察側とは反対側の基板と見ることもでき、その場合基板は表面(外面)に光散乱能を有する機能面を有する基板である。なお、基板13の表面それ自体が光散乱能を有する面であってもよい。それ以外の点は図2の素子と同構造である。図2の素子と同様の部分には図2と同じ参照符号を付してある。
【0039】
次に液晶表示素子LCD1〜LCD3の各部について説明する。
<基板11、12、13>
一対の基板は、少なくとも一方が透光性を有していることが必要である。透光性を有する基板としてはガラス基板を代表例として挙げることができるが、ガラス基板以外にも、例えばポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAr)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなるフレキシブル基板を使用することができる。
<電極21、22>
電極としては、例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide (IZO:インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電膜を採用できる。アルミニウム、シリコン等の金属電極、或いはアモルフアスシリコン、BSO (Bismuth Silicon Oxide) 等の光導電性膜等も用いることができる。
【0040】
電極をマトリクス状に形成するには、例えば基板上にITO などの透明電極膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO などの透明電極膜を基板上に全面形成した後、フォトリソグラフイ法でパターニングすればよい。さらに、スイッチング素子とし複数のTFT を用いてもよい。
<絶縁膜31、32>
絶縁膜は液晶表示素子の信頼性を向上させるためのガスバアリ層を兼ねていてもよい。
【0041】
絶縁膜としては、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウムやそのアルコキシド等からなる無機材料膜や、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等からなる有機膜を例示できる。これらの材料を用いて蒸着法、スピンコート法、ロールコート法などの公知の方法によって形成することができる。
【0042】
絶縁膜は前記の材料に色素を添加すればカラーフィルタとしても機能する。さらに、絶縁膜は柱状構造物CLに用いる高分子樹脂と同じ材料を用いて形成することもできる。
<配向安定化膜41、42>
配向安定化膜の材料として、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂等の有機膜や、酸化シリコン、酸化アルミニウム等の無機材料を例示できる。これらの材料を用いて形成した配向膜にはラビング処理等を施してもよい。
<スペーサ6>
スペーサは一対の基板間ギャップを決定し、且つ、該ギャップを均一に保持するためのものである。スぺ−サとしては、樹脂等の有機材料製又は無機酸化物(ガラス、セラミック等)製の球体等を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂をコーティングしてある固着・接着性能を有するスペーサも好適に用いられる。
【0043】
柱状構造物CLを採用するときには、該柱状構造物の膜厚(高さ)より小さいサイズのスペーサを配置し、加熱や加圧下に該柱状構造物をスペーササイズまで圧縮することで基板間ギャップ精度を向上させることができ、そうすることでそれだけ電圧印加ムラ、表示ムラ等を低減できる。
<コレステリック液晶層5>
液晶層5はコレステリック液晶を含んでいる。かかるコレステリック液晶として、ネマチック液晶に以下に説明するカイラル材を適量添加することによって得られるカイラルネマチック液晶を例示できる。カイラルネマチック液晶は室温でコレステリック相を示す。また、カイラル材の添加量の大小で選択反射波長が調整可能である。
【0044】
ネマチック液晶としては、例えば、従来知られている液晶性エステル化合物、液晶性ピリミジン化合物、液晶性シアノビフェニル化合物や、フッ素原子、フルオロアルキル基、シアノ基等の極性基を有する液晶性化合物等を単一、或いは混合したものを挙げることができ、正の誘電率異方性を有する液晶化合物を主成分とするものが好ましい。さらに、色素及び(又は)紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0045】
カイラルネマチック液晶は添加するカイラルドーパントの量を変えることにより、カイラルネマチック液晶の螺旋構造のピッチを変化させることができ、これにより液晶の選択反射波長を制御することができるという利点がある。なお、一般的には、液晶分子の螺旋構造のピッチを表す用語として、液晶分子の螺旋構造に沿って液晶分子が360°回転したときの分子間の距離で定義されるヘリカルビッチが用いられる。
【0046】
添加するカイラル材料としては、コレステリック環を有するコレステリック液晶、カイラルネマチック液晶、その他、液晶性は示さないがネマチック液晶の分子をねじる作用を有する有機化合物を使用することができる。
【0047】
例えばビフェニル化合物、ターフェニル化合物、エステル化合物、ピリミジン化合物、アゾキシ化合物などでネマチック液晶分子に層状のヘリカル構造(液晶分子の螺旋構造に沿って液晶分子が360°回転した分子構造)を与えるものを使用できる。
【0048】
化合物の末端基に光学活性基を有する市販のカイラル材料を用いることもできる。また、コレステリックナノレートに代表されるコレステリック環を有するコレステリック液晶も使用できる。
【0049】
カイラル材の添加量は、ネマチック液晶及びカイラル材の合計の重量を基準として、約7wt%〜約45wt%を推奨できる。7wt%より少なくなってくると十分なメモリー性を得られない場合が生じ、45wt%より多くなってくると室温でコレステリック相を示さなくなったり、固化したりする湯合がある。添加するカイラル材の種類は1種類でも、複数種類でもよいが、液晶種により複数種の材料を使用した方が温度補償や安定性の点で有利な湯合もある。
【0050】
また本発明の目指す良好な素子特性を実現するためには、高屈折率異方性を有する液晶組成物を使用するのが望ましい。すなわち、屈折率異方性が0.18〜0.32程度であることが望ましい。屈折率異方性が小さすぎると反射率が低くなり、散乱成分も少なくなるため、ブロードな選択反射ピークが得られ難くなる。
【0051】
また誘電率異方性は5〜40であることが望ましい。誘電率異方性が低すぎると駆動電圧が高くなってしまい、逆に高すぎると素子としての安定性や信頼性が悪くなり、画像欠陥、画像ノイズが発生しやすくなってしまう。
【0052】
コレステリック液晶(コレステリック液晶組成物)の選択反射波長は可視光を選択反射させるように調整すれば、より明るい反射が得られる。さらに500nm〜800nm、より好ましくは570nm〜630nmに調整することで、明るさと色味を両立させることができる。
<柱状構造物CL>
柱状構造物として高分子組成物(特に樹脂材料)からなるものを例示できるが、柱状構造物に関しては、まず、構造面について説明する。
【0053】
柱状構造物としては、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体、円錐柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物の配列は、ランダムな配列ではなく、等間隔の配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隙を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は液晶表示素子の表示領域に占める面積の割合が1%〜40%であれば、適度な強度を保持しながら液晶表示素子に実用上満足できる特性を与えることができる。
【0054】
樹脂材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリイミド樹脂等の一般的な樹脂であれば使用可能である。
【0055】
ポリエステル樹脂を用いた柱状構造物の製作方法について説明しておく。例えば、所定のパターンが形成されたITO電極を形成した基板上にポリエステル樹脂溶液をロールコーターやグラビアコーター等の印刷機を用いて印刷した後、乾操、硬化させればよい。
【0056】
液晶表示素子を形成するときには、柱状構造物を挟持した基板間に液晶組成物を真空注入法等によって注入すればよい。或いは一対の基板を貼り合わせる際に、液晶組成物を滴下しておき、基板の貼り合わせと同時に液晶組成物を封入するようにしてもよい。
<シール壁7>
シール壁の材料としては、エボキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化型、或いは光硬化型接着剤が使用可能である。
<光散乱層>
光散乱層としては、プラスチックフィルム中に透明微粒子を分散させたものや、表面を粗面化したプラスチックフィルムを代表例として挙げることができる。また、光散乱層を配設する位置としては、例えば素子観察側の基板の最表面側や、素子観察側とは反対側の基板と光吸収層との間を挙げることができる。基板自体が光散乱層を兼ねていてもよい。
<その他:紫外線吸収層>
一般に液晶は、380nm以下の光成分により特性変化することが知られている。特性の変化は、表示ムラや、駆動電圧の劣化のような形で発生する。これを防ぐために紫外線カットフィルタ又は紫外線カット樹脂膜を設けてもよい。
【0057】
偏向板又は位相差板を採用するときはその上に紫外線吸収剤を含む保護膜として、紫外線吸収層を形成してもよい。また、透明基板上に紫外線吸収層を形成してもよい。
【0058】
紫外線吸収層の形成は、特段の限定はなく、任意の方法で形成すればよい。代表的な方法として、アクリル樹脂、シリコン樹脂等に紫外線吸収剤を混ぜて基板等に塗布して硬化する方法や、トリアセテート等の材料に紫外線吸収材料を添加したフィルタを挟み込む等の方法でもよい。
代表的な紫外線吸収材料としては、ベンゾフェノンやベンゾトリアゾール等があるが、これに限定されない。
【0059】
素子LCD1〜LCD3のいずれにおいても、電極21、22(特に画像観察側の電極21)の厚みは80nm未満50nm以上とされる。そして電極の厚みをこのような範囲のものとし、液晶層5をフォーカルコニツク状態にしたときの素子の、光波長λ(nm)の関数f1 (λ)で表される光反射率(%)が、液晶層5のプレーナ状態での選択反射波長λP (nm)に対して、360(nm)≦λt <λP となる波長λt (nm)で極大となり、且つ、f1 (λt )>f1 (λP )の関係が成立する反射ピークがフォーカルコニック状態で存在するように全体を調製してある。
【0060】
図4は液晶層5をフォーカルコニック状態としたとき、素子の光反射率が360(nm)≦λt <λP となる波長λt (nm)で最大となり、且つ、f1 (λt )>f1 (λP )の関係、さらに言えばf1 (λt )>f1 (λP )+5%の関係が成立している例を示している。
【0061】
また、液晶層5を提供するコレステリック液晶として、着色状態(プレーナ状態)のときの選択反射波長nP(nは該コレステリック液晶の平均屈折率、Pは該コレステリック液晶のヘリカルピッチ)における光反射率をR、該コレステリック液晶の屈折率異方性をΔnとすると、波長λの関数として表される式{exp−[2(λ−nP)2 /Δn2 P2 ]}Rの可視波長域における積分値Saが、液晶をプレーナ状態にしたときの素子の波長−光反射率スペクトルを表す関数f2 (λ)の可視波長域における積分値Sbの40%以上55%以下となるようなものを採用している。ここでいう可視波長域は360nm〜740nmの範囲の波長域である。Sbは可視光域のスペクトルの全積分値であり、Saは散乱部分を除いたスペクトルの積分値であるから、Sa/Sb値が小さいほど、より白い。図5はSaとSbの関係を示す図である。
【0062】
液晶表示素子LCD1〜LCD3のそれぞれは、着色状態(液晶がフォーカルコニック状態)における波長−光反射率スペクトルのスペクトル波形を広範囲の可視領域に広げることができ、黒色を背景色として白色純度の優れた、視認性良好な明るい白黒画像表示を行うことができる。また高分子安定型液晶表示素子と比べると駆動電圧は低く済む。
【0063】
図2の素子LCD2では、素子の光入射側(画像観察側)に光散乱層9を設けてあることで、電極(特に電極21)の界面における反射光の干渉はさらに効果的に現れ、着色状態における波長−光反射率スペクトルのスペクトル波形をより広範囲の可視領域に広げることができ、一層、黒色を背景色として白色純度の優れた白黒画像表示を行うことができる。
【0064】
図3の素子LCD2では、素子の光入射側とは反対側基板13と黒色層8との間にも光散乱層9’を設けてあるので、着色状態における白色純度は顕著に向上する。また、黒色層8と基板13間の光散乱層9’は黒表示に影響を及ぼさないので、これを設けない場合と同程度の黒色表示が得られるため、コントラストも向上する。
【0065】
次に本発明に係る液晶表示素子の性能評価実験を行なったので、比較実験例とともに説明するが、本発明はそれらの実験例に限定されるものではない。
【0066】
素子の分光反射特性及びY値(視感反射率)はミノルタ株式会社製分光測色計CM3700dで測定した。白色純度とは、色をXY座標で表示した場合の白色校正版の白の座標からの距離を示した値である。すなわちその値が小さいほど、より白いといえる。0.08以下が好ましい。
<実験例1>
ネマテイツク液晶(屈折率異方性Δn:0.286、誘電率異方性Δε:17.3、NI点:113℃、粘度η:71)86.09wt/%にカイラル材(メルク社製 CB15)11.23wt%及びカイラル材(メルク社製 R1011)2.68%を添加してカイラルネマチック液晶Aを調製した。このカイラルネマチック液晶Aはコレステリック相を示し、選択反射波長λP は580nm付近であった。
【0067】
液晶層を挟持する一対の基板のそれぞれとして、面状の透明電極を形成したガラス基板(厚み1mm)を採用した。該透明電極は厚さ73nm、面抵抗320Ω/□のITO(インジウム錫酸化物)の透明電極である。
【0068】
いずれの基板についても、透明電極を設けた面上に配向膜材料JALS−204(JSR社製)を用いて厚さ800Åの配向膜を形成した。
【0069】
一方の基板について配向膜上に9μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布し、続いて該基板の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷し、一部に液晶注入用の開口部を残して所定高さのシール壁を形成した。その後、2枚の基板をそれらの電極が互いに対向するように、且つ、平面から見て互いに直交するように貼り合わせ、シール壁を加熱硬化処理した。
【0070】
このようにして形成した空セルに前記シール壁開口部を介して真空注入法により前記液晶Aをコレステリック相の状態で基板間に注入し、その後、シール壁開口部を光硬化性樹脂で閉鎖した。さらにセルの裏面(光を入射させる側(画像観察側)とは反対側の基板外面)に黒色の光吸収膜を設けた。
【0071】
このようにして形成した液晶表示素子を駆動して素子特性を測定すると以下のとおりとなった。
【0072】
電極間に70V、5msecのパルス電圧印加後、2msec空けて50V、2msecのパルス電圧を印加し、また2msec空けて50V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをフォーカルコニック状態にし、その後電極間に70V、5msecのパルス電圧を印加、2msec空けて70V、2msecのパルス電圧を印加、また2msec空けて70V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをプレーナ状態にした。
【0073】
λt :380nm、 f1 (λt ):7.6%、 f1 (λP ):1.9%
黒Y値:1.7(閾値電圧50V)、着色Y値:17.4(閾値電圧70V)
ピーク反射率:21.2%、 Sa/Sb:50.3%
白色純度:0.054
ここで、ピーク反射率とはプレーナ状態における選択反射波長(λP )における反射率のことである。そして、選択反射状態における分光特性はR、B、Gなどの単色を表示する素子に比べてブロードなピークとなったり複数ピークが現れたりするため、ここでは最も高い反射率を示すピークに対応する反射波長を選択反射波長と定めた。
【0074】
図6に実験例1におけるf1 (λt )、ピーク反射率等を示す。
<比較実験例1>
実験例1と同様にして調製した液晶組成物Aを使用した。
【0075】
液晶層を挟持する一対の基板のそれぞれとして、面状の透明電極を形成したガラス基板(厚み0.7mm)を採用した。該透明電極は厚さ230nm、面抵抗7Ω/□のITOの透明電極である。
【0076】
一方の基板については、透明電極を設けた面上に配向膜材料JALS−204(JSR社製)を用いて厚さ800Åの配向膜を形成した。他方の基板については透明電極を設けた面上に配向膜材料JALS−204(JSR社製)を用いて厚さ800Åの垂直配向膜を形成した。
【0077】
前記一方の基板について配向膜上に9μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布し、続いて該基板の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷し、一部に液晶注入用の開口部を残して所定高さのシール壁を形成した。その後、2枚の基板をそれらの電極が互いに対向するように、且つ、平面から見て互いに直交するように貼り合わせ、シール壁を加熱硬化処理した。
【0078】
このようにして形成した空セルに前記シール壁開口部を介して真空注入法により前記液晶Aをコレステリック相の状態で基板間に注入し、その後、シール壁開口部を光硬化性樹脂で閉鎖した。さらにセルの裏面に黒色の光吸収膜を設けた。
【0079】
このようにして形成した液晶表示素子を駆動して素子特性を測定すると以下のとおりとなった。
【0080】
電極間に60V、5msecのパルス電圧印加後、2msec空けて40V、2msecのパルス電圧を印加し、また2msec空けて40V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをフォーカルコニック状態にし、その後電極間に60V、5msecのパルス電圧を印加、2msec空けて60V、2msecのパルス電圧を印加、また2msec空けて60V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをプレーナ状態にした。
【0081】
λt :380nm、 f1 (λt ):4.7%、 f1 (λP ):1.5%
黒Y値:1.2(閾値電圧40V)、着色Y値:17.4(閾値電圧60V)
ピーク反射率:22.0%、 Sa/Sb:58.2%
白色純度:0.094
透明電極を厚く形成すると、Sa/Sb値が大きくなってしまうことが分かる。すなわち、すなわちスペクトル波形の散乱成分が減り(図6参照)、白色純度の値も大きくなってしまう。
【0082】
図6に比較実験例1におけるf1 (λt )、ピーク反射率等を示す。
<実験例2>
実験例1と同様にして調製した液晶組成物Aを使用し、黒色の光吸収膜を設ける手順までは実験例1と同じ手順を採用して表示素子を形成した。
【0083】
さらに、該素子の光入射側面(画像観察側の面)に光散乱能を有する機能層P(大日本印刷社製光散乱フィルムIDS21K)を配置した。
【0084】
このようにして形成した液晶表示素子を駆動して素子特性を測定すると以下のとおりとなった。
【0085】
電極間に70V、5msecのパルス電圧印加後、2msec空けて50V、2msecのパルス電圧を印加し、また2msec空けて50V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをフォーカルコニック状態にし、その後電極間に70V、5msecのパルス電圧を印加、2msec空けて70V、2msecのパルス電圧を印加、また2msec空けて70V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをプレーナ状態にした。
【0086】
λt :410nm、 f1 (λt ):10.3%、 f1 (λP ):2.8%
黒Y値:3.6(閾値電圧50V)、着色Y値:19.9(閾値電圧70V)
ピーク反射率:23.4%、 Sa/Sb:50.7%
白色純度:0.048
実験例1と比較するとSa/Sb値が大きくなっているのは、光散乱層が紫外線吸収能も有しているため、400nm付近までの光がカットされ、その分全体のスペクトル面積が減ったためであるが、図6に示すとおり散乱成分は大きく増加している。
【0087】
図6に実験例2におけるf1 (λt )、ピーク反射率等を示す。
<実験例3>
実験例1と同様にして調製した液晶組成物Aを使用し、黒色の光吸収膜を設ける手順までは実験例1と同じ手順を採用して表示素子を形成した。
【0088】
さらに、黒色の光吸収膜とガラス基板の間及び素子の光入射側面の双方に実験例3の場合と同様の光散乱層Pを設けた。
【0089】
このようにして形成した液晶表示素子を駆動して素子特性を測定すると以下のとおりとなった。
【0090】
電極間に70V、5msecのパルス電圧印加後、2msec空けて50V、2msecのパルス電圧を印加し、また2msec空けて50V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをフォーカルコニック状態にし、その後電極間に70V、5msecのパルス電圧を印加、2msec空けて70V、2msecのパルス電圧を印加、また2msec空けて70V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをプレーナ状態にした。
【0091】
λt :420nm、 f1 (λt ):11.4%、 f1 (λP ):3.8%
黒Y値:3.7(閾値電圧50V)、着色Y値:21.5(閾値電圧70V)
ピーク反射率:24.1%、 Sa/Sb:45.2%
白色純度:0.030
<実験例4>
実験例1と同様にして調製した液晶組成物Aを使用した。
【0092】
液晶層を挟持する一対の基板のそれぞれとして面状の透明電極を形成したガラス基板(厚み1mm)を採用した。該透明電極は厚さ45nm、面抵抗550Ω/□のITOの透明電極である。
【0093】
いずれの基板についても透明電極を設けた面上に配向膜材料JALS−204(JSR社製)を用いて厚さ800Åの配向膜を形成した。
【0094】
一方の基板について配向膜上に9μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布し、続いて該基板の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷し、一部に液晶注入用の開口部を残して所定高さのシール壁を形成した。その後、2枚の基板をそれらの電極が互いに対向するように、且つ、平面から見て互いに直交するように貼り合わせ、シール壁を加熱硬化処理した。
【0095】
このようにして形成した空セルに前記シール壁開口部を介して真空注入法により前記液晶Aをコレステリック相の状態で基板間に注入し、その後、シール壁開口部を光硬化性樹脂で閉鎖した。さらにセルの裏面に黒色の光吸収膜を設けた。
【0096】
このようにして形成した液晶表示素子を駆動して素子特性を測定すると以下のとおりとなった。
【0097】
電極間に100V、5msecのパルス電圧印加後、2msec空けて70V、2msecのパルス電圧を印加し、また2msec空けて70V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをフォーカルコニック状態にし、その後電極間に100V、5msecのパルス電圧を印加、2msec空けて100V、2msecのパルス電圧を印加、また2msec空けて100V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをプレーナ状態にした。
【0098】
λt :380nm、 f1 (λt ):9.7%、 f1 (λP ):2.4%
黒Y値:2.2(閾値電圧70V)、着色Y値:17.5(閾値電圧 100V)
ピーク反射率:20.9%、 Sa/Sb:46.4%
白色純度:0.049
この実験から分かるように、透明電極の厚みを薄くすればするほど着色状態の白色純度を向上させることができる。但し、電極の面抵抗は増加し、閾値電圧は大きくなる。
<比較実験例2>
実験例1と同様にして調製した液晶組成物Aを使用した。
【0099】
液晶層を挟持する一対の基板のそれぞれとして面状の透明電極を形成したガラス基板(厚み1mm)を採用した。該透明電極は厚さ100nm、面抵抗230Ω/□のITOの透明電極である。
【0100】
いずれの基板についても透明電極を設けた面上に配向膜材料JALS−204(JSR社製)を用いて厚さ800Åの配向膜を形成した。
【0101】
一方の基板について配向膜上に9μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布し、続いて該基板の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷し、一部に液晶注入用の開口部を残して所定高さのシール壁を形成した。その後、2枚の基板をそれらの電極が互いに対向するように、且つ、平面から見て互いに直交するように貼り合わせ、シール壁を加熱硬化処理した。
【0102】
このようにして形成した空セルに前記シール壁開口部を介して真空注入法により前記液晶Aをコレステリック相の状態で基板間に注入し、その後、シール壁開口部を光硬化性樹脂で閉鎖した。さらにセルの裏面に黒色の光吸収膜を設けた。
【0103】
このようにして形成した液晶表示素子を駆動して素子特性を測定すると以下のとおりとなった。
電極間に60V、5msecのパルス電圧印加後、2msec空けて40V、2msecのパルス電圧を印加し、また2msec空けて40V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをフォーカルコニック状態にし、その後電極間に60V、5msecのパルス電圧を印加、2msec空けて60V、2msecのパルス電圧を印加、また2msec空けて60V、2msecのパルス電圧を印加して液晶Aをプレーナ状態にした。
【0104】
λt :380nm、 f1 (λt ):5.8%、 f1 (λP ):1.5%
黒Y値:1.3(閾値電圧40V)、着色Y値:17.4(閾値電圧60V)
ピーク反射率:21.5%、 Sa/Sb:57.5%
白色純度:0.091
電極の厚みが80nmを超えてくると白色純度、Sa/Sb値は共に増加し、反射光の干渉による効果は見られなくなってくる。
【0105】
表1に以上説明した実験例、比較実験例をまとめて示す。
【表1】
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、コレステリック液晶を用いた液晶表示素子であって、双安定性に優れるとともに、高分子安定型液晶表示素子と比べると低電圧駆動可能で、明るく視認性に優れた画像表示ができ、黒色背景色を利用して白黒画像表示を行う場合、良好な白色純度、明るさの特性を得ることができる液晶表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示素子の1例の概略断面図である。
【図2】本発明に係る液晶表示素子の他の例の概略断面図である。
【図3】本発明に係る液晶表示素子のさらに他の例の概略断面図である。
【図4】関数f1 (λ)で表される光反射率(%)が360(nm)≦λt <λP となる波長λt (nm)で極大となる例を示す図である。
【図5】式{exp−[2(λ−nP)2 /Δn2 P2 ]}Rの可視波長域における積分値Sa及び関数f2 (λ)の可視波長域における積分値Sbの関係を示す図である。
【図6】実験結果であるf1 (λt )、ピーク反射率等を示す図である。
【符号の説明】
LCD1、LCD2、LCD3 液晶表示素子
11、12、13 基板
21、22 電極
31、32 絶縁性膜
41、42 配向膜
5 液晶層
6 スペーサ
7 シール壁
8 黒色層
9、9’ 光散乱層
CL 柱状構造物
D 駆動部
Claims (5)
- 少なくとも素子観察側に配置される基板が透光性を有した一対の基板と、前記素子観察側基板に設けられた透明電極と、前記一対の基板間に挟持されたコレステリック液晶を含む液晶層とを有し、素子観察側とは反対側の基板が黒色に着色されており、前記透明電極の厚みd(nm)は80nm未満であり、前記液晶層をフォーカルコニツク状態にしたときの素子の、光波長λ(nm)の関数f1 (λ)で表される光反射率(%)が、該液晶層のプレーナ状態での選択反射波長λP (nm)に対して、360(nm)≦λt <λP となる波長λt (nm)で極大となり、且つ、f1 (λt )>f1 (λP )の関係が成立する反射ピークがフォーカルコニック状態で存在することを特徴とする液晶表示素子。
- 前記反射ピークはf1 (λt )>f1 (λP )+5%を満たす請求項1記載の液晶表示素子。
- 前記コレステリック液晶のプレーナ状態における選択反射波長nP(nは該コレステリック液晶の平均屈折率、Pは該コレステリック液晶のヘリカルピッチ)における光反射率をR、該コレステリック液晶の屈折率異方性をΔnとすると、波長λの関数として表される式{exp−[2(λ−nP)2 /Δn2 P2 ]}Rの可視波長域における積分値Saが、前記液晶層をプレーナ状態にしたときの素子の波長−光反射率スペクトルを表す関数f2 (λ)の可視波長域における積分値Sbの40%以上55%以下である請求項1又は2記載の液晶表示素子。
- 前記透明電極の厚みdが50nm以上である請求項1、2又は3記載の液晶表示素子。
- 前記液晶層をフォーカルコニック状態にしたとき、前記素子の反射率が前記波長λt で最大となる請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示素子。
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