JP2004183177A - ポリエステルモノフィラメントおよび工業用織物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステルに対し、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ0.3〜10重量%、モノカルボジイミド化合物0.01〜1.5重量%、ポリカルボジイミド化合物0〜3.0重量%、およびフェノール系抗酸化剤0〜2重量%を含有せしめた組成物からなるポリエステルモノフィラメント。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐加水分解性に優れ、さらには耐乾熱性にも優れたポリエステルモノフィラメントおよび該ポリエステルモノフィラメントを使用した、抄紙ドライヤーキャンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物などの工業用織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルモノフィラメントは、優れた物性を有しているため、抄紙ドライヤーキャンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト等の各種工業用織物の構成素材として広く使用されてきた。
【0003】
しかしながら、ポリエステルモノフィラメントを高温・多湿など加水分解されやすい条件下で使用される用途、例えば抄紙ドライヤーキャンバスの構成素材として使用した場合には、使用中にポリエステルモノフィラメントが加水分解劣化による強度低下を起こすため、長期間の使用に耐えることが困難であった。
【0004】
このために、ポリエステルモノフィラメントの欠点である耐加水分解性を改善するため種々の提案が従来からなされてきた。
【0005】
例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリ−4−メチルペンテン1,ポリスチレンなどのポリオレフィンを特定量添加したポリエステルモノフィラメント(特許文献1参照)が知られているが、この技術で得られるモノフィラメント、例えばポリエチレンを添加したポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントは耐加水分解性向上効果が小さいため実用的でない。
【0006】
また、カルボジイミド化合物を添加することによりポリエステルの耐加水分解性を向上せしめる方法が知られている。例えば、モノまたはビスカルボジイミド化合物を添加し、短時間で混練紡糸することにより、未反応カルボジイミドを含有しないフィラメントを形成させる方法(特許文献2参照)、分子内に3個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物を添加する方法(特許文献3参照)、カルボキシル末端基がカルボジイミドとの反応でキャップされ、遊離のモノおよび/またはビスカルボジイミド化合物30〜200ppmと遊離のポリカルボジイミドまたはなお反応性を有するポリカルボジイミド基を含む反応生成物を少なくとも0.02重量%含有するポリエステル繊維およびフィラメントとする方法(特許文献4参照)が提案されている。
【0007】
さらに、特定量のリンを含むポリエステルに特定のカルボジイミド化合物を添加する工業用ポリエステルモノフィラメントの製造方法(特許文献5参照)、末端カルボキシル基濃度が10当量/ポリエステル106g以下であって、カルボジイミド化合物を未反応の状態で0.005〜1.5重量%含有し、かつ弗素系重合体を0.01〜30重量%含有したポリエステルモノフィラメント(特許文献6参照)、未反応のモノカルボジイミド化合物(A)を230ppm〜1.5重量%含有し、未反応のポリカルボジイミド化合物および/またはポリエステルのカルボキシル末端基と一部反応し、かつ未反応のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物(B)を0.05〜1.5重量%含有するポリエステルモノフィラメント(特許文献7参照)、ポリマ成分が、末端カルボキシル基濃度が10当量/106g以下のポリエステル(A)99.8〜60重量%と、フッ素原子を含有しない熱可塑性ポリマ(B)0.2〜40重量%からなり、該ポリマ成分が未反応の状態のカルボジイミド化合物(C)を0.005〜1.5重量%含有するポリエステルモノフィラメント(特許文献8参照)、シンジオタクチック構造などのポリスチレンと未反応の状態のモノカルボジイミド化合物およびポリカルボジイミド化合物とを特定量含有するポリエステル組成物からなるモノフィラメント(特許文献9参照)、およびエチレン・アクリル酸エステル共重合体とカルボジイミド化合物を特定量添加したポリエステルモノフィラメント(特許文献10参照)などによっても種々の改善がなされてきた。
【0008】
しかしながら、上記した方法により耐加水分解性を改善したポリエステルモノフィラメントであっても、耐乾熱性の必要な用途、例えば抄紙ドライヤーの乾燥温度の高い工程におけるドライヤーキャンバスの構成素材として使用しようとした場合や、紙の生産性を高める目的で乾燥温度を従来よりも高温化したドライパートに使用されるドライヤーキャンバスおよび湿紙の接触しない一層高温に曝される耳部の構成素材として使用しようとした場合には、耐加水分解性が十分でなく、高価なPPSモノフィラメントの使用を余儀なくされていた。
【0009】
【特許文献1】
特開昭51−136923号公報(第1〜5頁)
【特許文献2】
特開昭50−95517号公報(第1〜4頁)
【特許文献3】
特公昭38−15220号公報(第1〜6頁)
【特許文献4】
特開平4−289221号公報(第1〜7頁)
【特許文献5】
特開昭57−205518号公報(第1〜9頁)
【特許文献6】
再公表 国際公開番号 WO 92/07126号公報(第1〜11頁)
【特許文献7】
特開平7−216647号公報(第1〜7頁)
【特許文献8】
特開平7−258524号公報(第1〜43頁)
【特許文献9】
特開平10−168661号公報(第1〜11頁)
【特許文献10】
特開平14−20931号公報(第1〜7頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解決するために検討した結果なされたものであり、従来のものより一層優れた耐加水分解性を有し、更には耐乾熱性にも優れた各種工業用織物の構成素材として有用なポリエステルモノフィラメントおよび該ポリエステルモノフィラメントを使用した抄紙用ドライヤーキャンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物などの工業用織物の提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、本発明のポリエステルモノフィラメントは、ポリエステルに対し、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ0.3〜10重量%、モノカルボジイミド化合物0.01〜1.5重量%、下記の条件を満たすポリカルボジイミド化合物0〜3.0重量%、およびフェノール系抗酸化剤0〜2重量%を含有せしめた組成物からなるポリエステルモノフィラメントであって、カルボキシル末端基濃度が10当量/ポリエステルモノフィラメント106g以下であることを特徴とする。
【0012】
〔ただし、ポリカルボジイミド化合物は、該ポリカルボジイミド化合物中の未反応のカルボジイミド基(D1)と、ポリエステルのカルボキシル末端基および/またはヒドロキシル末端基とが一部反応しているカルボジイミド基(D2)との合計((D1)+(D2))で1分子中に5〜50個のカルボジイミド基を含有する。〕
なお、本発明のポリエステルモノフィラメントにおいては、
前記ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマが、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリエチレン、およびポリメチルメタアクリレートがグラフトされたエチレン・エチルアクリレート共重合体から選ばれた少なくとも1種であること、
前記モノカルボジイミド化合物が、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドであること、
前記ポリカルボジイミド化合物が、カルボジイミド基に対して、フェニル基のオルトの位置がイソプロピル基で置換された芳香族ポリカルボジイミド化合物であること、および
前記フェノール系酸化防止剤が、テトラキス−〔メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンであること、
がいずれも好ましい条件であり、これらの条件の少なくとも一つの条件を満たすことによって一層優れた効果の取得を期待することができる。
【0013】
また、本発明の工業用織物は、上記のポリエステルモノフィラメントを緯糸または経糸の少なくとも一部に使用してなることを特徴とし、抄紙ドライヤーキャンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト用織物から選ばれた少なくとも1種の用途に適用した場合に最良の効果を発現する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明のポリエステルモノフィラメントを構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分と、グリコール成分とからなるポリエステルである。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。これらのジカルボン酸成分とグリコール成分とを適宜組み合わせて使用することができる。また、上記のジカルボン酸成分の一部を、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸およびスルホン酸金属塩置換イソフタル酸などで置き換えてもよく、また、上記のグリコール成分の一部をジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオールおよびポリアルキレングリコールなどで置き換えてもよい。さらに、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン酸および硼酸などの鎖分岐剤を少量併用することもできる。なお、本発明で使用するポリエステルは、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルも含むものである。
【0016】
これらの内でも、ジカルボン酸成分の90モル%以上がテレフタル酸からなり、グリコール成分の90モル%がエチレングリコールからなる、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)が好適である。
【0017】
本発明の効果を効率よく発現させるために、ポリエステル中にリン化合物を、リン原子として50ppm 以下で、かつ下記の一般式の範囲内の量含有させることができる。
【0018】
5×10−3≦P≦M+8×10−3
(式中のPはポリエステルを構成する二塩基酸に対するリン原子のモル%であり、Mはポリエステル樹脂中の金属で、周期律表II族、VII 族、VIII族でかつ第3,4周期の内より選択された1種もしくは2種以上の金属原子のポリエステルを構成する二塩基酸に対するモル%である。また、M=0であってもよい)。
【0019】
ポリエステルには、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸、カーボンブラックなどの各種無機粒子や架橋高分子粒子、各種金属粒子などの粒子類のほか、従来公知の金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、帯電防止剤、各種着色剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤および各種強化繊維類などが添加されていてもよい。
【0020】
ポリエステルの極限粘度は、通常は0.6以上であればよいが、0.7以上であることが、強度に優れるため好ましい。ここで極限粘度はオルソクロロフェノール溶液中25℃で測定した粘度より求めた極限粘度であり、〔η〕で表わされる。
【0021】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、カルボキシル末端基濃度が10当量/ポリエステルモノフィラメント106g以下であることから、使用するポリエステルのカルボキシル末端基濃度は可能な範囲で低いものが好適であり、20当量/ポリエステル106g以下であるのが好ましく、15当量/ポリエステル106g以下であることがさらに好ましい。
【0022】
ここで、ポリエステルの末端カルボキシル基濃度の測定は、PohlによりANALYTICAL CHEMISTRY 第26巻、1614頁に記載された方法で測定したものである。
【0023】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、ポリエステル以外の成分としてポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ0.3〜10重量%を含有するものである。
【0024】
ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマとは、ポリエチレン、ポリプロピレン、オリメチルペンテン、ポリブテンまたはエチレン・エチルアクリレートなどのポリオレフィン類に対し、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリマであり、中でも、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリエチレン、またはポリメチルメタアクリレートがグラフトされたエチレン・エチルアクリレート共重合体から選ばれた少なくとも1種が特に好ましい。これらのポリマは、各々“モディパー”(登録商標、日本油脂株式会社製品)A1200(ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリエチレン(以下、PE−g−PMMAという))およびA5200(ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたエチレン・エチルアクリレート共重合体(MMA−g−PMMA))が市販品として知られており、これらを購入して使用することができる。
【0025】
ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマのポリエステルモノフィラメント中における含有量が0.3重量部より少ないと、ポリエステルモノフィラメントの耐加水分解性が不足し、10重量%より多いと、ポリエステルモノフィラメントの強度が不足するため好ましくない。
【0026】
ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマは、ポリエステルモノフィラメント中において微細なフィブリル状に分散し、別に添加されるモノカルボジイミド化合物をその微細な分散体の内部に取り込むことにより、モノカルボジイミドがポリエステルのヒドロキシル末端基と副反応して失活消費されることを抑制する作用を有するものであり、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマがポリエステルモノフィラメント中に 本発明のポリエステルモノフィラメントは、さらにモノカルボジイミド化合物(以下、MCD化合物という)0.01〜1.5重量%を含有する。
【0027】
本発明のポリエステルモノフィラメントが含有するMCD化合物とは、ポリエステルモノフィラメント中において、分子中に1個のカルボジイミド基(−N=C=N−)を含有する化合物である。
【0028】
MCD化合物としては、1分子中に1個のカルボジイミド基を有する化合物であればいかなるものでもよく、例えば、N,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert. −ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、およびN,N´−ジ−p−トリイルカルボジイミドなどが挙げられる。これらのMCD化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択しポリエステルモノフィラメントに含有させればよいが、ポリエステルに添加後の安定性から、芳香族骨格を有する化合物が有利な傾向にあり、中でもN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert. −ブチルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、およびN,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミドなどの使用が好ましく、特にN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(以下、TICという)の使用が好適である。TICとしては、市販品である Rhein−Chemie社製の“STABAXOL”(登録商標)Iまたは Raschig AG社製の“Stabilizer”(登録商標)7000などを購入して使用することができる。また、MCD化合物は、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマに予め高濃度に含有させたマスターバッチとして用いることができる。
【0029】
本発明のポリエステルモノフィラメントが含有するMCD化合物は、ポリエステルの加水分解を促進する触媒作用を有するポリエステル自身のカルボキシル末端基(以下、COOH末端基という)を反応封鎖・不活性化する作用を有する。
【0030】
ポリエステルのCOOH末端基は、原料由来、重縮合起因、溶融成型時の熱や加水分解、および湿熱雰囲気中で使用中の成形品の加水分解によって発生する。
【0031】
このようなポリエステルの加水分解を抑制するためには、溶融成形前のポリエステルにMCD化合物を含有させてCOOH末端基を不活性化すると共に、成形品中にもMCD化合物を含有させて湿熱雰囲気中で使用中の加水分解によって発生するCOOH末端基を不活性化する必要がある。したがって、ポリエステルモノフィラメントの耐用期間を延長する上では、モノフィラメント中にいかに多量のMCD化合物を含有させるかが重要になる。
【0032】
ここで本発明にいうポリエステルモノフィラメント中のMCD化合物の含有量は次の方法で測定したものである。
(1)100mlメスフラスコに試料約200mgを秤取する。
(2)ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム(容量比1/1)2mlを加えて試料を溶解させる。
(3)試料が溶解したら、クロロホルム8mlを加える。
(4)アセトニトリル/クロロホルム(容量比9/1)を徐々に加えポリマを析出させながら100mlとする。
(5)試料溶液を目開き0.45μmのディスクフィルターで濾過し、HPLCで定量分析する。HPLC分析条件は次の通り。
【0033】
カラム:Inertsil ODS−2 4.6mm×250mm
移動相:アセトニトリル/水(容量比94/6)
流 量:1.5ml/min.
試料量:20μl
検出器:UV(280nm)
本発明のポリエステルモノフィラメントは、さらに下記の条件を満たすポリカルボジイミド化合物を0〜3.0重量部含有する。
【0034】
〔ポリカルボジイミド化合物は、該ポリカルボジイミド化合物中の未反応のカルボジイミド基(D1)と、ポリエステルのCOOH末端基および/またはヒドロキシル末端基とが一部反応しているカルボジイミド基(D2)との合計((D1)+(D2))で1分子中に5〜100個のカルボジイミド基を含有する。〕
本発明のポリエステルモノフィラメントが含有するところの、ポリカルボジイミド化合物(以下、PCD化合物と略記する)としては、例えば、カルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物、1,3,5−トリス(1−メチルエチル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンから合成される芳香族PCD化合物、1,3,5−トリス(1−メチルエチル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンと2,6−ジイソプロピルベンゼンジイソシアネートとの混合体から合成される芳香族PCD化合物、1,3,5−トリス(1−メチルエチル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンと 1,3,5−トリス(イソプロピル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンとの混合体から合成される芳香族PCD化合物、およびポリ[1,1’−ジシクロヘキシルメタン(4,4’−ジイソシアネート)]から合成される脂環式PCD化合物を好ましく挙げることができる。ただし、これに何ら制限されるものではない。
【0035】
これらのPCD化合物の中では、カルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物が特に好ましい。
【0036】
前記カルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物は市販品として、例えば平均分子量約3,000 の“STABAXOL”(登録商標)P(Rhein Chemie社製品)、平均分子量約10,000の“STABAXOL”(登録商標)P100(Rhein Chemie社製品)および平均分子量約20,000の“STABILIZER”(登録商標)9000(Raschig社製品)が知られており、これらを入手して使用することができる。また、前記ポリ[1,1’−ジシクロヘキシルメタン(4,4’−ジイソシアネート)]から合成される脂環式PCD化合物は市販品として、例えば“CARBODILITE”(登録商標)HMV−8CA(日清紡績株式会社製品)が知られており、これを入手して使用することができる。
【0037】
これらのPCD化合物は予めポリエステルに練り込んだマスターバッチとしても市販されており、例えば前記した平均分子量約10,000の“STABAXOL”(登録商標)P100を15重量%含有するPETマスターバッチである“STABAXOL”(登録商標)KE−7646(Rhein Chemie社製品)および前記した平均分子量約20,000の“STABILIZER”(登録商標)9000を15重量%含有するPETマスターバッチである“STABILIZER”9500(登録商標)(Raschig社製品)等が知られている。また、PCD化合物とMCD化合物とはお互いに溶解混合して使用することができる。
【0038】
ポリエステルモノフィラメント中におけるPCD化合物の含有量は、目的とする耐加水分解性レベルによって0〜3.0重量%の範囲で調整できる。PCD化合物の存在によって、ポリエステルモノフィラメントの耐加水分解劣化を一層抑制することができる。ただし、PCD化合物の含有量が3.0重量%を越えるとポリエステルの溶融粘度が上昇しすぎたり、吐出や成形が困難になため好ましくない。
【0039】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、さらにフェノール系酸化防止剤を0〜2重量%、更に好ましくは0.05〜1重量%含有する。
【0040】
本発明におけるフェノール系酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔1,1’−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、および1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンなどを挙げることができる。ただし、これに何ら制限されるものではない。
【0041】
これらのフェノール系酸化防止剤の中では、テトラキス−〔メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが特に好ましい。テトラキス−〔メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンは市販品として、例えば“Irganox”(登録商標)1010(チバ・スペシャリテイ・ケミカルズ社製品)が知られており、これを入手して使用することができる。
【0042】
フェノール系酸化防止剤を含有することにより、本発明のポリエステルモノフィラメントは、さら十分な耐乾熱性を有するものとなる。フェノール系酸化防止剤の含有量が2重量%を越えると耐加水分解性が低下するため好ましくない。
【0043】
本発明のポリエステルモノフィラメントのCOOH末端基濃度は、10当量(以下、eqという)/ポリエステルモノフィラメント106g(以下、MF106gという)以下であり、更に好ましくは5eq/MF106g以下である。
【0044】
ここで、本発明のポリエステルモノフィラメントのCOOH末端基濃度の測定は、PohlによりANALYTICAL CHEMISTRY 第26巻、1614頁に記載された方法で測定したものである。
【0045】
本発明のポリエステルモノフィラメントの製造は、ポリエステルに対し、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ0.3〜10重量%、MCD化合物0.01〜1.5重量%、PCD化合物0〜1.5重量%およびフェノール系酸化防止剤0〜2重量%を溶融混練した組成物を、溶融紡糸することにより行うことができる。
【0046】
本発明のポリエステルモノフィラメントの具体的な製造例としては、例えば、1軸もしくは2軸エクストルダに必要量のポリエステルペレットとポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマペレットおよび必要に応じて所定量のPCD化合物を高濃度に含有したポリエステルマスタバッチとフェノール系酸化防止剤とを計量供給し、エクストルダの入り口または、エクストルダのバレルの途中から液体状のMCD化合物を計量添加して溶融混練した後、エクストルダ先端に設けた計量ギアポンプを介して紡糸口金より押し出し、冷却・延伸・熱セットを行うなどの方法(以下、製造方法1という)、または、1軸もしくは2軸エクストルダに必要量のポリエステルペレット、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマペレット、必要に応じて粉末状PCD化合物およびフェノール系酸化防止剤とを計量供給し、エクストルダの入り口または、エクストルダのバレルの途中から液体状のMCD化合物を計量添加して溶融混練した後、エクストルダ先端に設けた計量ギアポンプを介して紡糸口金より押し出し、冷却・延伸・熱セットを行うなどの方法などを挙げることができる。これらの方法のうちでは、前記製造方法1が工業的に有利である。
【0047】
これらの製造方法において、ポリエステル、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ、MCD化合物、PCD化合物およびフェノール系酸化防止剤とを溶融混練する時の温度は、ポリエステルの融点以上、295℃以下に調節することが有利であり、275℃〜290℃の範囲に調節するのがさらに有利である。また、溶融してから紡出するまでの滞留時間は7分以下が有利であり、5分以下がさらに有利である。溶融混練温度と溶融してから紡出するまでの滞留時間とを上記の範囲に調節することにより、耐乾熱性と耐加水分解性に優れた本発明のポリエステルモノフィラメントを好ましく製造することができる。
【0048】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、1本の単糸からなる連続糸である。 該ポリエステルモノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の形状(以下、断面形状もしくは断面という)は、円、扁平、正方形、半月状、三角形、5角以上の多角形、多葉状、ドッグボーン状および繭型などいかなる断面形状を有するものでもよい。本発明のポリエステルモノフィラメントを工業用織物の構成素材として用いる場合には、該モノフィラメントの断面形状が円もしくは扁平の形状であることが好ましい。特に、ポリエステルモノフィラメントを抄紙用ドライヤーキャンバスの経糸として用いる場合には、防汚性を有効に発現させ、キャンバスの平坦性に優れるという観点から、該モノフィラメントの断面形状が扁平なものが好ましく用いられる。本発明における扁平とは、楕円、正方形もしくは長方形のことであるが、数学的に定義される正確な楕円、正方形もしくは長方形以外に、概ね楕円、正方形もしくは長方形に類似した形状、例えば正方形および長方形の角を丸くした形状を含むものである。また、楕円の場合は、該楕円の中心で直角に交わる長軸の長さ(LD)と短軸の長さ(SD)とが次式を満足する関係にあり、正方形もしくは長方形の場合は、長方形の長辺の長さ(LD)と短辺の長さ(SD)とが次式を満足する関係にあることが好ましい。
【0049】
1.0≦LD/SD≦10
該モノフィラメント断面の重心を通る線分の長さは、用途によって適宜選択できるが、0.05〜2.5mmの範囲が好ましい。また、糸の必要強度は用途により異なるが、概ね3.0g/デニール以上であることが好ましい。
【0050】
かくして得られる本発明のポリエステルモノフィラメントは、従来のものより耐加水分解性に優れ、かつ十分な耐乾熱性を有するものであり、高温高湿雰囲気下で使用される工業用織物の構成素材として好適である。
【0051】
工業用織物とは、本発明のポリエステルモノフィラメントを織物の緯糸および/または経糸の少なくとも一部に使用した抄紙ドライヤーキャンバス、抄紙ワイヤー(紙漉き用の網)、サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベア、熱処理炉内搬送用ベルト織物もしくは各種フィルターのことであり、本発明のポリエステルモノフィラメントを工業用織物の少なくとも一部の構成素材として用いた工業用織物は、高温・高湿に曝された場合の耐久性が優れた有用なものである。
【0052】
ここで抄紙ワイヤーとは、平織、二重織および三重織など様々な織物として、紙の漉き上げ工程で使用される織物のことであり、網あるいは丸網などとして用いられるものである。また、抄紙ドライヤーキャンバスとは、平織り、二重織および三重織など様々な織物(相前後する緯糸と緯糸とがスパイラル状の経糸用モノフィラメントによって織継がれたスパイラル状織物を含む)として、抄紙機のドライヤー内で紙を乾燥させるために使用される織物のことである。さらに、不織布の熱接着工程用ベルト織物とは、不織布を構成する低融点のポリエチレンのような熱接着性繊維を融着させるために不織布を炉中に通過させるための織物であり、平織り、二重織、などの織物である。また、熱処理炉内搬送用ベルトとは、各種半製品の乾燥、熱硬化、殺菌、加熱調理などのために高温ゾーン内において半製品を搬送する織物のことである。さらにまた、各種フィルターとは、高温の液体、気体、粉体などをろ過する織物のことである。
【0053】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、これらの工業用織物の中でも、特に高度な耐加水分解性と高度な耐乾熱性とが要求される抄紙ドライヤーキャンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物への適用が好適である。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0055】
なお、以下の実施例における特性値は各実施例の中で特に記さない限り、次に示す方法によって測定したものである。
1.モノフィラメントの引張試験
JIS L1013−1992に準拠して行なった。
【0056】
(1)サンプルつかみ間隔 25cm
(2)引張速度 30cm/min.
(3)試験温度 20℃
2.モノフィラメントの耐加水分解性
モノフィラメントを100リットルのオートクレーブに入れ、121℃飽和水蒸気中で14日間、16日間、18日間処理した後、該処理後の モノフィラメントの強力を上記のモノフィラメントの引張試験により求め、処理前のモノフィラメントの強力と比較した強力保持率を耐加水分解性の尺度とした(以下、蒸熱処理後の強力保持率という)。蒸熱処理後の加水分解後の強力保持率が高いほど耐加水分解性が優れることを表す。
3.モノフィラメントの耐乾熱性試験
モノフィラメントを熱風循環式耐熱性試験機に入れ、180℃加熱空気中で15日間、18日間、20日間処理した後、該処理後のモノフィラメントの強力を上記のモノフィラメントの引張試験により求め、処理前のモノフィラメントの強力と比較した強力保持率を耐乾熱性の尺度とした(以下、乾熱処理後の強力保持率という)。乾熱処理後の強力保持率が高いほど耐乾熱性が優れることを表す。
存在することにより、ポリエステルモノフィラメント中におけるモノカルボジイミド化合物の含有量を増加せしめる作用を有する。
〔実施例1〜8、比較実施例1〕
原料として、公知の溶融重縮合と固相重縮合とによって製造した極限粘度0.94、末端カルボキシル基濃度15当量/106gのポリエチレンテレフタレート乾燥チップ(以下、 PETチップという)、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマである“モディパー”(登録商標)A1200(ポリメチルメタアクリレートグラフトポリエチレン)(日本油脂(株)製品)、および“モディパー”A5200(ポリメチルメタアクリレートグラフトエチレン・エチルアクリレート共重合体、MCD化合物としてTIC(“STABAXOL”(登録商標)I(Rhein Chemie社製品))、カルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物を15重量%含有するPETマスターバッチ(以下、PCD−MBという)である“STABAXOL”(登録商標)KE7646(Rhein Chemie社製品)およびフェノール系酸化防止剤の一種であるテトラキス−〔メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(“Irganox”(登録商標)1010(チバ・スペシャリテイ・ケミカルズ社製品))(以下、IR1010という)を用意した。
【0057】
前記のPETチップ、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ類、KE7646およびIR1010とを、表1に示した量比で計量しながら、1軸エクストルダーのホッパーおよびホッパー下部のポリマ配管を経由して1軸エクストルダーに連続供給した。同時にホッパー下部のポリマ配管中の上記チップに液体TICを表1に示した量比で計量しながら連続供給した。
【0058】
1軸エクストルダー内で約282℃で3分間混練した溶融ポリマを、ギアポンプを経て紡糸パック内の濾過層を通して円形断面糸用紡糸口金より紡出した。紡出モノフィラメントを80℃の湯浴で冷却後、常法にしたが合計5.0倍に延伸および熱セットを行ない、直径0.45mmの断面形状が円形のポリエステルモノフィラメントを得た。得られたポリエステルモノフィラメントの組成、および特性を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例1〜8および比較実施例1の結果からは、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ類とMCD化合物とを含有する本発明のポリエステルモノフィラメントは、耐加水分解性に優れたものであることがわかる。ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ類とMCD化合物に加えて、PCD化合物を含有する本発明のポリエステルモノフィラメントは、耐加水分解性が一層良好なことがわかる。また、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ類とMCD化合物に加えてフェノール系抗酸化剤を含有する本発明のポリエステルモノフィラメントは、耐加水分解性と耐乾熱性に優れたものであることがわかる。さらに、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ類、MCD化合物、PCD化合物およびフェノール系抗酸化剤を含有する本発明のポリエステルモノフィラメントは、優れた耐加水分解性と十分な耐乾熱性を兼ね備えているものであることがわかる。
〔実施例9〜16、比較実施例2〕
抄紙ドライヤーカンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物のモデルとして、実施例1〜8および比較実施例1で得たモノフィラメントを緯糸および経糸に使用した平織物を作成した。
【0061】
得られた平織物を抄紙機のドライヤーでの使用時耐久性の促進試験条件である、121℃の飽和水蒸気中18日間処理を施した後、該平織物から経糸を取り出して強力保持率を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
また、同様に作成した平織物を、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物の耐久性の促進試験条件である、180℃にコントロールした熱風循環式耐熱性試験機内で20日間処理した後、該平織物から経糸を取り出して強力保持率を測定した。結果を表2に併示する。
【0063】
【表2】
【0064】
実施例9〜16および比較実施例2の結果からは、本発明のモノフィラメントを使用した抄紙ドライヤーカンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物のモデルである平織物は、優れた耐加水分解性と十分な耐乾熱性を兼ね備えたものであることがわかる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリエステルモノフィラメントは従来のものより優れた耐加水分解性と十分な耐乾熱性を有している。また、本発明のポリエステルモノフィラメントを使用した抄紙ドライヤーカンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物は、優れた耐加水分解性と耐乾熱性を兼ね備えたものであり、産業上の利用価値の高いものである。
Claims (7)
- ポリエステルに対し、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ0.3〜10重量%、モノカルボジイミド化合物0.01〜1.5重量%、下記の条件を満たすポリカルボジイミド化合物0〜3.0重量%、およびフェノール系抗酸化剤0〜2重量%を含有せしめた組成物からなるポリエステルモノフィラメントであって、カルボキシル末端基濃度が10当量/ポリエステルモノフィラメント106g以下であることを特徴とするポリエステルモノフィラメント。
〔ただし、ポリカルボジイミド化合物は、該ポリカルボジイミド化合物中の未反応のカルボジイミド基(D1)と、ポリエステルのカルボキシル末端基および/またはヒドロキシル末端基とが一部反応しているカルボジイミド基(D2)との合計((D1)+(D2))で1分子中に5〜100個のカルボジイミド基を含有する。〕 - 前記ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリオレフィン系ポリマが、ポリメチルメタアクリレートがグラフトされたポリエチレン、おおびポリメチルメタアクリレートがグラフトされたエチレン・エチルアクリレート共重合体から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルモノフィラメント。
- 前記モノカルボジイミド化合物が、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドであることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステルモノフィラメント。
- 前記ポリカルボジイミド化合物が、カルボジイミド基に対して、フェニル基のオルトの位置がイソプロピル基で置換された芳香族ポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステルモノフィラメント。
- 前記フェノール系酸化防止剤が、テトラキス−〔メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステルモノフィラメント。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステルモノフィラメントを緯糸または経糸の少なくとも一部に使用してなることを特徴とする工業用織物。
- 抄紙ドライヤーキャンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト用織物から選ばれた少なくとも1種に使用されることを特徴とする請求項6記載の工業用織物。
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