JP2004182624A - 皮膚の黒化防止剤およびメラニン化抑制剤 - Google Patents

皮膚の黒化防止剤およびメラニン化抑制剤 Download PDF

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卓也 蛭間
Masaru Suetsugu
勝 末継
Masato Hatao
正人 畑尾
Kiyoshi Sato
潔 佐藤
Takayuki Ono
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Abstract

【課題】メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制することにより皮膚の黒化(UVA由来の皮膚の黒化)を有効に防止できる皮膚の黒化防止方法、黒化防止剤、皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】表皮基底層に存在するメラノサイトが生成した無色透明なメラニンモノマーに直接UVAが当たることにより生成されるメラニンに起因するUVA由来の皮膚の黒化を抑制するために、2−O−アルキルアスコルビン酸を使用する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は2−O−アルキルアスコルビン酸による皮膚の黒化防止およびメラニン化抑制に関し、さらに詳しくは紫外線によるメラニンモノマーの黒褐色メラニン化を防止することによる皮膚の黒化防止剤およびメラニン化抑制剤、それらを配合した皮膚外用剤、並びに皮膚の黒化防止方法、メラニン化抑制方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、紫外線による皮膚の黒化は、紫外線照射後に表皮基底層に存在するメラノサイトにおいて酵素チロシナーゼの活性が高まり、チロシンから生成されるメラニンがメラノサイト内で増加し、周囲のケラチノサイトがメラニンを受け取ることによって生じると説明されてきた。そのため、紫外線による皮膚の黒化を防止する方法としては、紫外線を吸収あるいは散乱する紫外線遮蔽剤の他に、チロシナーゼの活性や合成を抑制するいわゆる美白剤と称されるコウジ酸やアルブチン等が用いられてきた。(特許文献1)
上記の過程にはチロシナーゼ蛋白の生合成が関与しているので、チロシナーゼの活性が高まるには少なくとも数日かかり、さらに周囲のケラチノサイトがメラニンを受け取って皮膚が黒く見えるまでには、3〜5日程度かかる。
【特許文献1】特公平8−32621号
【0003】
しかしながら、レジャーや海水浴で過度に太陽光線を浴びて生じる皮膚の黒化現象は1日以内という短い時間で起こることから、本発明者らは従来考えられているチロシナーゼが関与する酵素反応によるメラニン生成とは異なる作用機序が存在するのではないかと考えた。
そこで、この1日以内で起こる皮膚の黒化を実験的に再現することを目的にソーラーシミュレーターを用いて検討を行い、我々が日常浴びる紫外線のうち中波長紫外線(UVB;280〜320nm)と長波長紫外線(UVA;320〜400nm)の二種類に分けてヒトの前腕に照射して黒化の経時変化を調べた。その結果、UVBの300mJ/cmの照射では照射後1日以内に皮膚が赤くなり、それが数日続いた後、5日後から徐々に黒くなり、7日をピークに徐々に退色していった。一方、UVAの5〜15J/cmの照射では照射終了後に黒くなる、いわゆる即時型黒化が生じ3時間後に退色したが、UVAの16〜45J/cmの照射では照射終了後に即時型黒化が生じ、この黒化が一週間以上持続することを見出した。
このUVAによる持続する黒化現象を生物化学的、組織化学的に解明した結果、表皮基底層に存在するメラノサイトが生成した比較的安定である無色透明な化合物ジヒドロキシインドールカルボン酸やその関連化合物等のメラニンモノマーに直接UVAがあたってメラニンが生成されることがわかった。
【0004】
本発明はかかる知見に基づいてなされたもので、新しい作用機序に基づく皮膚の黒化防止剤およびメラニン化抑制剤を提供することを目的とする。
なお、本発明による2−O−アルキルアスコルビン酸が、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制することにより皮膚の黒化を防止すること及びそのメカニズムについてはこれまでに全く知られていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の目的に関して検討した結果、2−O−アルキルアスコルビン酸が、新しい作用機序に基づいた皮膚黒化防止、メラニン化抑制効果を持ち、さらには広いpH範囲で安定であり、処方への添加が容易であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち本発明の第1は、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制することにより皮膚の黒化を防止することを特徴とする皮膚の黒化防止剤であって、2−O−アルキルアスコルビン酸からなることを特徴とする皮膚の黒化防止剤である。
【0007】
本発明の第2は、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニン化を、メラニンモノマーのメラニン化抑制剤により抑制することを特徴とするメラニン化抑制剤であって、2−O−アルキルアスコルビン酸からなることを特徴とするメラニン化抑制剤である。
【0008】
本発明の第3は、メラニンモノマーに320〜400nmの長波長紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制することにより皮膚の黒化を防止することを特徴とする皮膚の黒化防止剤であって、2−O−アルキルアスコルビン酸からなることを特徴とする皮膚の黒化防止剤である。
【0009】
本発明の第4は、メラニンモノマーに320〜400nmの長波長紫外線が照射されることによって起こるメラニン化を、メラニンモノマーのメラニン化抑制剤により抑制することを特徴とするメラニン化抑制剤であって、2−O−アルキルアスコルビン酸からなることを特徴とするメラニン化抑制剤である。
【0010】
本発明の第5は、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制することにより皮膚の黒化を防止する皮膚の黒化防止剤を配合することを特徴とする皮膚外用剤であって、皮膚の黒化防止剤が2−O−アルキルアスコルビン酸からなることを特徴とする皮膚外用剤である。
【0011】
本発明の第6は、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制する、メラニンモノマーのメラニン化抑制剤を配合することを特徴とする皮膚外用剤であって、メラニン化抑制剤が2−O−アルキルアスコルビン酸からなることを特徴とする皮膚外用剤である。
【0012】
本発明の第7は、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制することにより皮膚の黒化を防止する皮膚の黒化防止剤を配合することを特徴とする即時型黒化防止用皮膚外用剤であって、皮膚の黒化防止剤が2−O−アルキルアスコルビン酸からなることを特徴とする即時型黒化防止用皮膚外用剤である。
【0013】
本発明の第8は、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制する、メラニンモノマーのメラニン化抑制剤を配合することを特徴とする即時型黒化防止用皮膚外用剤であって、メラニン化抑制剤が2−O−アルキルアスコルビン酸からなることを特徴とする即時型黒化防止用皮膚外用剤を提供するものである。
【0014】
本発明の第9は、2−O−アルキルアスコルビン酸を用いることを特徴とする、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制することにより皮膚の黒化を防止する方法を提供するものである。
【0015】
本発明の第10は、2−O−アルキルアスコルビン酸を用いることを特徴とする、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制する方法を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の皮膚の黒化防止剤は、2−O−アルキルアスコルビン酸を含み、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによるメラニンモノマーのメラニン化を抑制し、皮膚の黒化を防止するものをいう。
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明で用いられる2−O−アルキルアスコルビン酸の具体的な物質名を例示すれば、2−O−メチルアスコルビン酸、2−O−エチルアスコルビン酸、2−O−n−プロピルアスコルビン酸、2−O−イソプロピルアスコルビン酸、2−O−n−ブチルアスコルビン酸、2−O−イソブチルアスコルビン酸、2−O−tert−ブチルアスコルビン酸等が挙げられる。
【0017】
これらの物質は公知の物質で容易に合成することができる。例えば、アスコルビン酸の5,6位の水酸基をイソプロピリデン基で保護した5,6−O−イソプロピリデン−L−アスコルビン酸の3位の水酸基をベンジル基でさらに保護した後、2位の水酸基をアルキルベンゼンスルフォネート、ハロゲン化アルキル等と反応させてアルキル化する。その後、接触還元反応等により3位のベンジル基を、酸加水分解反応等により5,6位のイソプロピリデン基をそれぞれ除去することにより2−O−アルキルアスコルビン酸を合成することができる。
【0018】
また、本発明で用いられる2−O−アルキルアスコルビン酸は、皮膚外用剤として一般に用いられる中性領域のpHで安定性が極めて高く、皮膚外用剤に容易に配合できるという利点もある。2−O−アルキルアスコルビン酸の安定性試験結果を表1に示した。
【0019】
安定性試験
(試料)
pH5,6,7,8の各McIlvain緩衝溶液に各化合物を濃度1%で溶解し、苛性カリでpHをそれぞれ5,6,7,8に調整した各溶液を試料とした。
(試験方法)
試料を50℃にて2ヶ月保存し、2ヶ月後の残存率、外観、匂いについて、次の判定基準にて判定した。
(判定基準)
残存率
◎:残存率が90%以上
○:残存率が80%以上〜90%未満
△:残存率が70%以上〜80%未満
×:残存率が70%未満
外観
◎:無色透明で変化無し
○:ほとんど無色透明でほとんど変化なし
△:わずかに着色
×:明らかに着色
匂い
◎:変化無し
○:ほとんど変化なし
△:わずかに劣化
×:明らかに劣化
【0020】
【表1】
Figure 2004182624
【0021】
本発明でいうメラニンモノマーとしては、DHICA(5,6−ジヒドロキシインドール−2−カルボン酸)やその塩、DHI(5,6−ジヒドロキシインドール)、6H5MICA(6−ヒドロキシ−5−メトキシインドール−2−カルボン酸)、5H6MICA(5−ヒドロキシ−6−メトキシインドール−2−カルボン酸)、6H5MI(6−ヒドロキシ−5−メトキシインドール)、5H6MI(5−ヒドロキシ−6−メトキシインドール)等が挙げられる。
【0022】
本発明の紫外線によるメラニンモノマーの黒褐色メラニン化に対するメラニン化抑制剤は、美白剤としての応用の他に、紫外線、特にUVAの関与する皮膚症状の改善や防止に応用が可能である。
【0023】
さらに本発明によれば、上記皮膚の黒化防止剤を配合した皮膚外用剤並びに上記メラニン化抑制剤を配合した皮膚外用剤が提供される。
【0024】
本発明の皮膚外用剤における皮膚の黒化防止剤、メラニン化抑制剤の配合量は、外用剤全量中、0.001〜20.0質量%、好ましくは0.01〜10.0質量%、さらに好ましくは0.1〜3.0質量%である。0.001質量%未満であると、本発明でいう効果が十分に発揮されず、20.0質量%を超えると製剤化が難しいので好ましくない。また、10.0質量%以上配合してもさほど大きな効果の向上はみられない。
【0025】
また、本発明の皮膚外用剤には、上記必須成分以外に、下記に示されるような化粧品、医薬部外品、医薬品において通常用いられる各種成分や添加剤の中から必要に応じて適宜配合することができる。
【0026】
即ち、任意添加成分として、グリセリン、ワセリン、尿素、ヒアルロン酸、ヘパリン等の保湿剤、PABA誘導体(パラアミノ安息香酸、エスカロール507等)、桂皮酸誘導体(ネオヘリオパン、パルソールMCX、サンガードB等)、サリチル酸誘導体(オクチルサリチレート等)、ベンゾフェノン誘導体(ASL−24、ASL−24S等)、ジベンゾイルメタン誘導体(パルソールA、パルソールDAM等)、複素環誘導体(チヌビン系等)、ピリダジン誘導体(モルホリノピリダジノン等)、酸化チタン等の紫外線吸収剤・散乱剤、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、乳酸、リンゴ酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、サリチル酸、イオウ、カフェイン、タンニン等の皮脂抑制剤、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン等の殺菌・消毒剤、塩酸ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸、グアイアズレン、アズレン、アラントイン、ヒノキチオール、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸等の抗炎症剤、ビタミンA、ビタミンB群(B1,B2,B6,B12,B15)、葉酸、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン、ビタミンD群(D2,D3)、ビタミンE、ユビキノン類、ビタミンK(K1,K2,K3,K4)等のビタミン類、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、リジン、グリシン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、アルギニン、ピロリドンカルボン酸、タウリン、チオタウリン、グルタチオン等のアミノ酸及びその誘導体、レチノール、酢酸トコフェロール、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、胎盤抽出液等の美白剤、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル等の抗酸化剤、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、石炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム等の収斂剤、グルコース、フルクトース、マルトース、ショ糖、トレハロース、エリスリトール、マルトース、キシリトール、ラクチトール等の糖類、甘草、カミツレ、マロニエ、ユキノシタ、芍薬、カリン、オウゴン、オウバク、オウレン、ジュウヤク、イチョウ葉等の各種植物エキスなどの他、油性成分、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材等を適宜配合することができる。
【0027】
本発明の皮膚外用剤とは、例えば軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ジェル、浴用剤、日焼け止めクリーム、ファンデーション等、皮膚に用いるものであればいずれでもよく、剤型は特に問わない。また、本発明の皮膚外用剤は、化粧料としてのみでなく、医薬品,医薬部外品としても有用である。
【0028】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。配合量は質量%である。実施例に先立ち、本発明の2−O−アルキルアスコルビン酸の紫外線によるDHICA(5,6−ジヒドロキシインドール−2−カルボン酸)の黒褐色メラニン化に対する抑制効果に関する試験方法とその結果について説明する。
【0029】
(1)
紫外線によるDHICAの黒褐色メラニン化の評価法
DHICAは既知の方法で合成することができる。DHICAまたはそのナトリウム塩の0.01〜1.0mg/mlを水またはリン酸緩衝液等の緩衝液に溶解し、マイクロプレートウェルに100〜200μl分注する。蛍光ランプまたはソーラーシミュレーター、モノクロメーターを用いて紫外線を10分から3時間照射し、マイクロプレートリーダーで405nmの吸光度を測定して、黒褐色メラニン化の程度を評価する。
【0030】
(2)
紫外線によるDHICAの黒褐色メラニン化に対する抑制剤の評価法
DHICAまたはそのナトリウム塩の0.01〜1.0mg/mlを水またはリン酸緩衝液等の緩衝液に溶解し、マイクロプレートウェルに100〜200μl分注する。各濃度に調製した化合物を1〜100μl添加して、あるいは添加する前に蛍光ランプまたはソーラーシミュレーター、モノクロメーターを用いて紫外線を10分から3時間照射し、マイクロプレートリーダーで405nmの吸光度を測定して、黒褐色メラニン化の程度を評価し、化合物の効果を評価する。
【0031】
(3)
2−O−アルキルアスコルビン酸を有効成分とする紫外線によるDHICAの黒褐色メラニン化に対する抑制剤の測定
2−O−アルキルアスコルビン酸を有効成分とする紫外線によるDHICAの黒褐色メラニン化に対する抑制作用は、次に示すような紫外線によるDHICAの黒褐色メラニン化に対する抑制効果で評価した。
DHICAまたはそのナトリウム塩の0.01〜1.0mg/mlを水に溶解し、マイクロプレートウェルに100μl分注する。各濃度に調整した2−O−アルキルアスコルビン酸を100μl添加してFL−20BLB蛍光ランプを用いて長波長紫外線を1時間照射し、マイクロプレートリーダーで405nmの吸光度を測定して、黒褐色メラニン化の程度を評価し、化合物の効果を次の評価基準にて評価した。その結果を表2に示した。
【0032】
(評価基準)
◎:DHICAのUVメラニン化抑制率が70%以上
○:DHICAのUVメラニン化抑制率が40%以上〜70%未満
△:DHICAのUVメラニン化抑制率が10%以上〜40%未満
×:DHICAのUVメラニン化抑制率が10%未満
【0033】
【表2】
Figure 2004182624
*1:アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩
*2:アスコルビン酸−2−O−α−グルコシド
【0034】
表2から明らかなように、本発明の2−O−アルキルアスコルビン酸は紫外線によるDHICAの黒褐色メラニン化に対する抑制効果を示した。
【0035】
(4)
UVAによる皮膚黒化に対する抑制効果を調べる実使用試験
本発明に係わる外用剤の外皮適用による効果を、UVAによる皮膚色の黒化の程度に対する防止率および改善率から評価した。試験には健常な70名の男女パネルの腕を用いた。腕に任意の2部位を設け被験部位とした。パネルを10名ずつ7群に分け、表3に示す組成(質量%)の乳液のうち、どちらか一方の部位に試料を、他方の部位に対照品を適量塗布した。被験部位に紫外線を紫外線シミュレーター(Solar
light Company社にWG335nmのフィルターを設置し、UVBをカットした。)を用いて照射した。用いた装置のUVA照射量は20J/cmで夏の晴天下1日の平均UVA量は40〜60J/cmなので、夏の晴天下1日に浴びるUVA量の約半分から1/3量に相当する。照射後、適量を3回/日で21日間毎日塗布した。皮膚色の測定は、Mexameter
MX16 を用いて照射前と照射直後、20分後、3時間後、1日後、7日後、14日後、21日後に行った。有効性の評価は各測定時における2部位間の黒化の程度を目視により5段階で優劣比較した結果と機器測定の結果により有効性を以下の判定基準により判定した。試料としては、本発明品として、1%2−O−アルキルアスコルビン酸配合乳液、また比較品として1%AA−2G配合乳液、1%APM配合乳液、及び1%アスコルビン酸配合乳液を用いた。その結果を表3に示した。
【0036】
(判定基準)
著効:試料が対照品よりも非常に優れている
有効:試料が対照品よりも優れている
無効:試料が対照品と同等である
(判定)
◎:被験者のうち、著効、有効の示す割合(有効率)が80%以上
○:被験者のうち、著効、有効の示す割合(有効率)が50%以上〜80%未満
△:被験者のうち、著効、有効の示す割合(有効率)が30%以上〜50%未満
×:被験者のうち、著効、有効の示す割合(有効率)が30%未満
【0037】
【表3】
Figure 2004182624
【0038】
表3から明らかなように、2−O−アルキルアスコルビン酸を配合した本発明品の試料は、比較品の試料よりもUVAによる皮膚の黒化に対して優れた抑制効果を示した。
次に、本発明による皮膚外用剤の処方例を示す。
【0039】
Figure 2004182624
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールと2−O−メチルアスコルビン酸と苛性カリを加え溶解し、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応を起こさせる。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0040】
Figure 2004182624
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0041】
Figure 2004182624
(製法)
イオン交換水に石けん粉末と硼砂を加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相をかきまぜながら徐々に加え反応を行う。反応終了後、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0042】
Figure 2004182624
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミンを加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0043】
Figure 2004182624
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜながらこれに水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化する。乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0044】
Figure 2004182624
(製法)
イオン交換水にカーボポール940を均一に溶解し、一方、95%エタノールに2−O−メチルアスコルビン酸、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、水相に添加する。次いで、その他の成分を加えたのち苛性ソーダ、L−アルギニンで中和させ増粘する。
【0045】
Figure 2004182624
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化する。次いでB相を加えたのち充填を行う。
【0046】
Figure 2004182624
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化する。次いでこれをC相に加えたのち充填を行う。
【0047】
実施例9 固形ファンデーション
(処方)
タルク 43.1 質量%
カオリン 15.0
セリサイト 10.0
亜鉛華 7.0
二酸化チタン 3.8
黄色酸化鉄 2.9
黒色酸化鉄 0.2
スクワラン 8.0
イソステアリン酸 4.0
モノオレイン酸POEソルビタン 3.0
オクタン酸イソセチル 2.0
2−O−メチルアスコルビン酸 0.5
防腐剤 適量
香料 適量
(製法)
タルク〜黒色酸化鉄の粉末成分をブレンダーで十分混合し、これにスクワラン〜オクタン酸イソセチルの油性成分、2−O−メチルアスコルビン酸、防腐剤、香料を加え良く混練した後、容器に充填、成型する。
【0048】
実施例10 乳化型ファンデーション(クリームタイプ)
(処方)
(粉体部)
二酸化チタン 10.3 質量%
セリサイト 5.4
カオリン 3.0
黄色酸化鉄 0.8
ベンガラ 0.3
黒色酸化鉄 0.2
(油相)
デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5
流動パラフィン 4.5
ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4.0
(水相)
精製水 50.0
1,3−ブチレングルコール 3.0
2−O−エチルアスコルビン酸 1.0
トラネキサム酸 2.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 3.0
防腐剤 適量
香料 適量
(製法)
水相を加熱撹拌後、十分に混合粉砕した粉体部を添加してホモミキサー処理する。更に加熱混合した油相を加えてホモミキサー処理した後、撹拌しながら香料を添加して室温まで冷却する。
【0049】
実施例11 ジェル
(処方)
95%エタノール 10.0 質量%
ジプロピレングリコール 15.0
POE(50)オレイルエーテル 2.0
2−O−n−プロピルアスコルビン酸 1.5
カルボキシビニルポリマー 1.0
水酸化ナトリウム 0.15
4,5−ジモルホリノピリダジノン 0.3
メチルパラベン 0.2
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にカルボキシビニルポリマーを均一に溶解した(A相)。95%エタノールに4,5−ジモルホリノピリダジノン及びPOE(50)オレイルエーテルを溶解し、A相に添加した。水酸化ナトリウム以外の成分を添加後、水酸化ナトリウムを添加して中和、増粘させた。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、表皮基底層に存在するメラノサイトが生成した無色透明なメラニンモノマーに直接UVAがあたることにより生成されるメラニンに起因するUVA由来の皮膚の黒化現象が2−O−アルキルアスコルビン酸により抑制されることを初めて見出したことにより、UVAによる皮膚の黒化を有効に防止することを可能とする皮膚外用剤及び方法を提供できる。

Claims (10)

  1. メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制することにより皮膚の黒化を防止する皮膚の黒化防止剤であって、2−O−アルキルアスコルビン酸からなることを特徴とする皮膚の黒化防止剤。
  2. メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制する、メラニンモノマーのメラニン化抑制剤であって、2−O−アルキルアスコルビン酸からなることを特徴とするメラニン化抑制剤。
  3. 照射紫外線が波長320〜400nmの長波長紫外線である請求項1記載の皮膚の黒化防止剤。
  4. 照射紫外線が波長320〜400nmの長波長紫外線である請求項2記載のメラニンモノマーのメラニン化抑制剤。
  5. 請求項1又は請求項3に記載の皮膚の黒化防止剤を配合したことを特徴とする皮膚外用剤。
  6. 請求項2又は請求項4に記載のメラニンモノマーのメラニン化抑制剤を配合したことを特徴とする皮膚外用剤。
  7. 請求項1又は請求項3に記載の皮膚の黒化防止剤を配合したことを特徴とする即時型黒化防止用皮膚外用剤。
  8. 請求項2又は請求項4に記載のメラニンモノマーのメラニン化抑制剤を配合したことを特徴とする即時型黒化防止用皮膚外用剤。
  9. 2−O−アルキルアスコルビン酸を用いることを特徴とする、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制することにより皮膚の黒化を防止する方法。
  10. 2−O−アルキルアスコルビン酸を用いることを特徴とする、メラニンモノマーに紫外線が照射されることによって起こるメラニンモノマーのメラニン化を抑制する方法。
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