JP2004182536A - コンクリート補強用繊維 - Google Patents

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Yukihiro Yokota
行弘 横田
Take Hosoya
多慶 細谷
Makoto Yasunobu
誠 安延
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TAKAO SHOJI KK
WATANABE KASEI KK
Takao Shoji KK
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TAKAO SHOJI KK
WATANABE KASEI KK
Takao Shoji KK
Aisawa Construction Ltd
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Abstract

【課題】繊維引張強度を低下させることなく、セメントとの接着性を向上させることができる効果的な凹凸を表面に有するようにする。
【解決手段】本発明のコンクリート補強用繊維1は、ポリプロピレン系樹脂からなるモノフィラメントを切断してなり、表裏それぞれに、繊維幅方向に延びる断面略矩形状の凹部2が形成されている。そして、凹部2は、繊維長さ方向へ略一定間隔をおいて繰り返し形成されており、繊維長さ方向に隣接する該凹部2の間に相対的に形成された凸部3と、該凹部2とによる周期的な凹凸の位相は、前記表裏の間で相対的に90〜270°ずらされている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント成形物の引張強度やじん性の改善を主目的として、その練り混ぜ時に所要量混入されるポリプロピレン(以下「PP」という。)系樹脂製のコンクリート補強用繊維である。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートやモルタルの構造体や成形品等のセメント成形物の特徴は、圧縮に対する性能は優れているが、引張りに対する性能が圧縮強度の1/10程度であることが挙げられる。このような弱点をカバーする手段として、鋼繊維をコンクリートやモルタル中に所要量混入し、引張強度を向上させる方法が採られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、鋼繊維の欠点として水や酸素の影響により腐食されたり、塩などにより脆化されたりして劣化することが挙げられる。このような現象が起こると鋼繊維の断面欠損により強度が低下し、セメント成形物の強度低下につながるという問題がある。
【0004】
この鋼繊維の問題を解決するために、従来から多くの種類のPP系樹脂繊維が用いられている。このPP系樹脂繊維は、鋼繊維と比較してセメントとの接着性が劣っているので、セメント成形物の曲げ強度の補強効果が発現し難いという問題がある。このため、PP系樹脂繊維においては、該接着性を向上させるために、エンボス加工により表面に凹凸が形成されることが多い(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公平4−42347号公報
【特許文献2】
特公昭58−18343号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、セメントとの接着性を向上させようとして、エンボス加工による凹所の深さを深くすると、該凹所における繊維の厚さが薄くなって繊維引張強度が低下するという問題がある。また、それをカバーするために繊度を大きくすると、セメントに対する繊維の容量の割合を一定値以下にする必要性から、繊維の投入本数が減少し、十分な補強効果が得られないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、繊維引張強度を低下させることなく、セメントとの接着性を向上させることができる効果的な凹凸を表面に有するコンクリート補強用繊維を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のコンクリート補強用繊維は、ポリプロピレン系樹脂からなるモノフィラメントを切断してなり、表裏それぞれに、繊維幅方向に延びる断面略矩形状の凹部が形成されたコンクリート補強用繊維であって、前記凹部は、繊維長さ方向へ略一定間隔をおいて繰り返し形成されており、前記繊維長さ方向に隣接する該凹部の間に相対的に形成された凸部と、該凹部とによる周期的な凹凸の位相は、前記表裏の間で相対的に90〜270°ずらされている。
【0009】
前記表裏とは、前記コンクリート補強用繊維の中心軸と平行であって、相対的に背中合わせの関係になる二面のことをいい、該中心軸を中心に任意角度回転した位置の二面を適宜採用することができる。
【0010】
前記位相は、約180°ずらされた態様を例示する。
【0011】
前記コンクリート補強用繊維において、前記モノフィラメントは、繊度が4000〜6000dであり、前記周期的な凹凸は、ピッチが1.6〜3.2mmであるとともに、前記繊維長さ方向における前記凹部及び前記凸部の長さの比が1:1.0〜1.8であり、前記凹部は、深さが0.05〜0.35mmである態様を例示する。
【0012】
本書において、前記位相の「ずれ」を表す角度は、次のように表すものとする。すなわち、前記繊維長さ方向において、前記凹部及び前記凸部の位置が前記表裏で互いに一致する状態を0°、この状態から裏側の凹部が前記略一定間隔の1/2ずれて、表側の前記凹部と裏側の前記凸部との位置が互いに一致する状態を180°、この状態から裏側の凹部がさらに前記略一定間隔の1/2ずれて、再び前記凹部及び前記凸部の位置が前記表裏で互いに一致する状態を360°とする。
【0013】
また、前記ピッチとは、繊維長さ方向における前記凹部の長さ及び前記凸部の長さを加算した長さをいう。ここで、前記凹部の長さ及び凸部の長さとは、前記凹部の底面から該凹部の深さの1/2の高さにおける長さをいう。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図9を参照しながら説明する。本発明のコンクリート補強用繊維1は、PP系樹脂からなるモノフィラメントを切断してなり、表裏それぞれに、繊維幅方向に延びる断面略矩形状の凹部2が形成されたものである。図1〜図3は後述する位相を180°に設定した場合、図4〜図6は、同位相を90°に設定した場合のコンクリート補強用繊維1の具体例を示している。
【0015】
本発明のコンクリート補強用繊維1は、公知の製造方法に従って行うことができ、特に限定されない。例えば、PP系樹脂を溶融押出して紡糸し、モノフィラメントを形成した後、延伸する方法が挙げられる。そして、延伸前又は延伸後のモノフィラメントの表裏に凹部2を形成する。最後に、モノフィラメントを所定の長さに切断し、これをコンクリート補強用繊維1とする。
【0016】
PP系樹脂としては、特に限定されないが、PPに他の樹脂成分(例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル等)が多少共重合されているものでもよい。また、PP系樹脂の紡糸の過程における必要に応じて他のポリオレフィン(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン−1等)が添加されてもよい。但し、コンクリート補強用繊維1自体の強度を高めるためには、高弾性かつ高結晶性のものが好ましい。
【0017】
PP系樹脂のメルトマスフローレートとしては、特に限定されないが、0.1〜10g/10分、好ましくは0.5〜3g/10分とすることを例示する。メルトマスフローレートが0.1g/10分未満であると、所望の形状に成形することが困難であり、10g/10分より大きいと、コンクリート補強用繊維1自体の強度が不十分となるためである。また、0.5〜3g/10分としたのは、この範囲でコンクリート補強用繊維1自体の強度と、所望形状への成形性とのバランスが良いからである。
【0018】
PP系樹脂には、公知のポリオレフィン用改質剤を適宜併用してもよい。この改質剤としては、結晶造核剤、帯電防止剤、界面活性剤、滑剤等を例示する。
【0019】
モノフィラメントは、通常の紡糸法により、PP原料を紡糸するとともに、延伸を行って形成することができる。ここで、延伸倍率としては、特に限定されないが、5〜12倍、好ましくは7〜10倍とすることを例示する。
【0020】
モノフィラメントの断面形状は、特に限定されないが、円形、楕円形、矩形、異形、連糸形等に形成することを例示する。
【0021】
モノフィラメントの繊度としては、特に限定されないが、4000〜6000d(デニール)、好ましくは4500〜5500d、さらに好ましくは4750〜5250dとすることを例示する。この原糸繊度を4000以上としたのは、(1)4000d未満だと繊維単位重量中の繊維本数が多くなり繊維総表面積の増加に伴い同一スランプを得るためのコンクリート中の単位水量が多くなる、(2)同一単位水量の場合はスランプが低下しコンクリート練り混ぜ性と施工性に影響を与える、(3)繊維引張強度より繊維付着強度が大となりひび割れ剥落抵抗時に繊維が破断し効果的な補強効果とならないためである。また、6000d以下としたのは、これを越えると、(1)繊維単位重量中の繊維本数が少なくなり単位破断面中の繊維付着効果面積が小さくなるためひび割れの発生、コンクリートの剥落を防止できなくなる、(2)繊維付着強度に対し繊維引張強度が過大となり効率的な補強効果とならないためである。また、4500〜5500dとしたのは、この範囲で一般的な生コンクリートの目標スランプ(12cm〜18cm)に対して同一スランプを得るためのコンクリート中の単位水量を補正することなく高性能AE減水剤のみの使用で対応が可能であり、繊維付着強度に対する繊維引張強度が過大とならず効率的な補強効果となるためである。また、4750〜5250dとしたのは、この範囲で一般的な生コンクリートに対するコンクリート練り混ぜ性ならびに施工性と補強効果のバランスが最も期待できるためである。
【0022】
モノフィラメントの引張強度としては、特に限定されないが、3g/d以上とすることを例示する。これが3g/d未満だと繊維付着強度に対し繊維引張強度が不足し付着効果が低下するからである。
【0023】
モノフィラメントの伸度としては、特に限定されないが、4.0〜15.0%とすることを例示する。モノフィラメント伸度4.0%未満にするためには延伸工程で延伸倍率をかなり大きくする必要があり、繊維表面に白化が生じ繊維引張強度低下原因となるからである。また、15.0%を越えると繊維伸びが大きいためコンクリートの引張強度向上効果、じん性改善効果が低くなるからである。
【0024】
コンクリート補強用繊維1の繊維長さL1としては、特に限定されないが、10〜50mm、好ましくは20〜40mm、さらに好ましくは25〜35mmとすることを例示する。ここで、繊維長さL1を10〜50mmとしたのは、10mm未満だと、最大骨材寸法よりもコンクリート補強用繊維1が短くなることが多く、コンクリート中の繊維架橋効果が発揮されにくくなるため、ひび割れの発生、コンクリートの剥落の防止効果があまり期待できなくなるからであり、50mmを越えると、コンクリート練り混ぜ時の抵抗が大きくなり均一に分散、練り混ぜができずファイバーボールの発生につながるためである。また、20〜40mmとしたのは、この範囲で一般的な生コンクリートの最大骨材寸法(20〜25mm)に対して繊維架橋効果が期待でき、コンクリート練り混ぜ性に対する影響も問題ないためである。また、25〜35mmとしたのは、この範囲で一般的な生コンクリートに対する繊維架橋効果とコンクリート練り混ぜ性のバランスが最も期待できるためである。
【0025】
凹部2は、セメントとの接着性を向上させるためのもので、繊維長さ方向へ略一定間隔をおいて繰り返し形成されている。そして、繊維長さ方向に隣接する該凹部2の間に相対的に形成された凸部3と、該凹部2とによる周期的な凹凸の位相は、繊維表裏の間で相対的にずらされている。この位相のずれとしては、特に限定されないが、90〜270°、好ましくは135〜225°、さらに好ましくは157.5〜202.5°、特に好ましくは約180°とすることを例示する。位相のずれを90〜270°としたのは、この範囲外だと、従来品と同等又はそれ以下の繊維付着強度となるためである。また、135〜225°としたのは、この範囲内であれば従来品の繊維付着強度より約6%の性能向上があるためである。また、157.5〜202.5°としたのは、この範囲内であれば従来品の繊維付着強度より10%の性能向上があるためである。また、約180°が特に好ましいのは、(1)約180°で繊維付着強度が最も高く発現される、(2)約180°を中心に繊維付着強度が良好に発現されるので製造誤差により多少位相がずれたとしても安定的に強度が発現されるためである。
【0026】
凹部2の形成方法としては、回転軸が平行となるように配設された一対のエンボスロール間にモノフィラメントを通過させることにより、エンボス加工をする方法を例示する。この方法によれば、コンクリート補強用繊維1の表裏に一工程で凹部2を形成することができるので効率的である。なお、エンボス加工温度としては、特に限定されず、常温、水冷、又は氷冷の状態とすることを例示する。
【0027】
一対のエンボスロールの間隔(互いの周面に形成された凸部同士の位置を一致させた状態における該凸部先端の間隔)としては、特に限定されないが、0.30〜0.70mm、好ましくは0.40〜0.60mm、さらに好ましくは、0.45〜0.55mmとすることを例示する。ここで、エンボスロール間隔を0.30〜0.70mmとしたのは、0.30mm未満だと一対のエンボスロールの凹凸同士がかみ合うことにより繊維にせん断力が発生し繊維引張強度が低下し、最終的に繊維が破断する可能性が高くなるからであり、0.70mmを越えるとエンボス形状が明瞭にならずコンクリートに対する繊維付着強度が低下するためである。また、0.40〜0.60mmとしたのは、この範囲で繊維強度の低下がなく明瞭なエンボス形状が得られ、従来製品と同等以上の繊維付着強度が認められるためである。また、0.45〜0.55mmとしたのは、この範囲で繊維強度とエンボス形状ならびに繊維付着強度のバランスが最も取れているためである。
【0028】
コンクリート補強用繊維1の繊維幅Wとしては、特に限定されないが、0.65〜1.65mm、好ましくは0.95〜1.35mm、さらに好ましくは1.05〜1.25mmとすることを例示する。繊維幅Wを0.65〜1.65mmとしたのは、0.65未満だと原糸延伸のかけすぎによる原糸繊度不足或いはエンボスプレスの不足となり製造工程の不都合となる可能性が高くなり、1.65mmを越えると原糸延伸不足或いはエンボスプレスのかけすぎとなりやはり製造工程の不都合となる可能性が高くなるからである。また、0.95〜1.35mmとしたのは、この範囲が4500〜5500dの原糸繊度範囲であって0.40〜0.60mmのエンボスロール間隔範囲に対する好適な繊維形状であるためである。また、1.05〜1.25mmとしたのは、この範囲が4750〜5250dの原糸繊度範囲であって0.45〜0.55mmのエンボスロール間隔範囲に対する好適な繊維形状であるためである。
【0029】
コンクリート補強用繊維1の各部の繊維厚さtとしては、特に限定されないが、0.50〜0.90mm、好ましくは0.60〜0.80mm、さらに好ましくは0.65〜0.75mmとすることを例示する。繊維厚さtを0.50〜0.90mmとしたのは、0.50mm未満だと原糸延伸不足或いはエンボスプレスのかけすぎとなり製造工程の不都合となる可能性が高くなり、0.90mmを超えると繊維幅Wの場合と同様に原糸延伸のかけすぎによる原糸繊度不足或いはエンボスプレスの不足となり製造工程の不都合となる可能性が高くなるからである。また、0.60〜0.80mmとしたのは、この範囲が繊維幅Wの場合と同様に4500〜5500dの原糸繊度範囲であって0.40〜0.60mmのエンボスロール間隔範囲に対する好適な繊維形状であるためである。また、0.65〜0.75mmとしたのは、この範囲が繊維幅Wの場合と同様に4750〜5250dの原糸繊度範囲であって0.45〜0.55mmのエンボスロール間隔範囲に対する好適な繊維形状であるためである。なお、位相を180°に設定した場合、図1に示すように繊維長さ方向に沿って表裏に凹部2及び凸部3が背中合わせの位置に形成され、表側に凹部2、裏側に凸部3が形成された位置の繊維厚さt1と、表側に凸部3、裏側に凹部2が形成された位置の繊維厚さt2とが互いに等しくなり、繊維形状全体が細身になる。
【0030】
凹部2の深さd(即ち凸部3の高さ)としては、特に限定されないが、0.05〜0.35mm、好ましくは0.10〜0.30mm、さらに好ましくは0.15〜0.25mmとすることを例示する。この深さdを0.05〜0.35mmとしたのは、0.05mm未満になると凹凸形状が明瞭にならずコンクリートに対する繊維付着強度が低下するためであり、0.35mm以上になると繊維にせん断力が発生し繊維引張強度が低下、最終的に繊維が破断する可能性が高くなるからである。また、繊維同士が絡み合いコンクリート練り混ぜ時にファイバーボールが発生しやすくなるためである。また、0.10〜0.30mmとしたのは、この範囲で繊維引張強度の低下がなく明瞭な凹凸形状が得られ、従来品と同等以上の繊維付着強度が認められるためであり、コンクリート練り混ぜ時のファイバーボールの発生もないためである。また、0.15〜0.25mmとしたのは、この範囲で繊維引張強度と凹凸形状ならびに繊維付着強度のバランスが最も取れ、コンクリート練り混ぜ時の状態も良好であるためである。
【0031】
凹凸ピッチ(繊維長さ方向における凹部2の長さL2+同凸部3の長さL3。ここで、L2及びL3は、図1に示すように凹部2底面からd/2の高さにおける長さで表している。)としては、特に限定されないが、1.6〜3.2mm、好ましくは2.0〜2.8mm、さらに好ましくは2.2〜2.6mmとすることを例示する。凹凸ピッチを1.6〜3.2mmとしたのは、1.6mm未満になると凹部2の長さL2及び凸部3の長さL3が短くなり、凹凸形状が明瞭でなく、例えばエンボスロールによる加工が困難となるためであり、3.2mm以上になると単位長さあたりの凹凸形状が少なくなり繊維1本あたりの繊維付着強度が低下するためである。また、2.0〜2.8mmとしたのは、この範囲で凹凸形状が明瞭となり、従来品と同等以上の繊維付着強度が認められ、例えばエンボスロール加工も容易であるためである。また、2.2〜2.6mmとしたのは、この範囲で凹凸形状及び繊維付着強度のバランスが最も取れているためである。
【0032】
凹部2及び凸部3の長さの比(L2:L3)としては、特に限定されないが、1:1.0〜1.8、好ましくは1:1.2〜1.6、さらに好ましくは1:1.3〜1.5とすることを例示する。この比を1:1.0〜1.8としたのは、比1:1.0よりも凸部3が小さくなると、凸部3による引き抜き抵抗力が凹部2内のコンクリートのせん断力より小さくなって繊維付着強度が低下したり、凸部3のエンボスロール加工が困難となったりするためであり、比1:1.8よりも凸部3が大きくなると、逆に凹部2内のコンクリートのせん断力が凸部3による引き抜き抵抗力より小さくなって繊維付着強度が低下したり、例えば凹部2のエンボスロール加工が困難となったりするためである。また、1:1.2〜1.6としたのは、この範囲で凸部3による引き抜き抵抗力が凹部2内のコンクリートのせん断力と同程度となり、従来品と同等以上の繊維付着強度が認められ、凹部2及び凸部3のエンボスロール加工も容易であるためである。また、1:1.3〜1.5としたのは、この範囲で凹部2及び凸部3の長さのバランスが良く、繊維付着強度が良好に発揮されるからである。
【0033】
本発明のコンクリート補強用繊維1は、いずれのセメントにも配合することができ、特に限定されないが、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等に配合することを例示する。
【0034】
【実施例】
次に、本発明におけるコンクリート補強用繊維1の実施例について説明する。
【0035】
(実施例)
実施例のコンクリート補強用繊維1は、表1に示した条件に従って、PP原料を通常の紡糸法により、2連糸状(図7参照)に紡糸し、延伸温度110〜130°、延伸倍率7倍で延伸を行ってモノフィラメントを形成した。そして、平目ローレットによりエンボス加工を行った後、一定の繊維長さに切断することにより製造した。実施例のサンプルは、表2に示すように、0°〜180°の範囲内で位相の異なる10種類(イ〜ヌ)を用意した。なお、位相180〜360°のコンクリート補強用繊維1の形状は、位相180〜0°のものの長さ方向を反転した形状となっているため、試験を省略した。なお、本例のコンクリート補強用繊維1には、コンクリートとの親和性を向上させるための表面処理を一切行っていない。
【0036】
【表1】
Figure 2004182536
【0037】
(比較例)
比較例として、以下に示す従来品のPP系樹脂製コンクリート補強用繊維を採用した。なお、比較例における表裏のエンボス模様は、繊維ごとにランダムに位相がずれた状態となっている。
製造・販売: 萩原工業株式会社
商品名: バルチップM
表面処理: あり(コンクリートとの親和性向上のため界面活性剤を使用)
エンボス形状:綾目
繊維長さ: 30mm
原糸繊度: 6400d
【0038】
(繊維付着力試験)
次に、実施例及び比較例について、「JCI−SF8 繊維の付着試験方法」(社団法人日本コンクリート工学協会)に準じて、短繊維の直接引張試験による繊維付着力試験を行った。なお、試験装置は、ASTM標準C190に規定されているものを使用し、荷重は、株式会社マルイ製、電気・油圧サーボ方式万能試験器HI−TRITORON、最大秤量1000KN、使用秤量20KNにロードセルTCLZ−10KNA、株式会社東京測器研究所製、最大秤量10KNを組み合わせたものを用い、変位は、株式会社東京測器研究所製、高感度変位計CDP−25を用い、データー収集は、株式会社共和電業製、データロガーUCAM−20PCを用いた。
【0039】
試験の使用材料とその配合割合は次の通りである。
セメント: 普通ポルトランドセメント
砂: 豊浦標準砂
水: 水道水
水セメント比:50%
セメント砂比(重量比): 1:1.7
繊維: 1供試体あたり4本
【0040】
供試体の作成方法は、JCI−SF8に準拠し、25.4×76.2mmのブリケット型にモルタルを詰め7日間20℃の水中養生を行った。
【0041】
(試験結果の評価)
繊維付着力試験を実施し、表2に示す結果を得た。表中、補正荷重(MN)とは、次の数式で表されるものである。
【0042】
【数1】
Figure 2004182536
【0043】
ここで、式1中、コンクリート1m中の繊維総本数とは、次の数式で表されるものである。なお、本例では、繊維総容積をコンクリートに対して1%、即ち、コンクリート1mに対して10000cmとした。
【0044】
【数2】
Figure 2004182536
【0045】
この結果について、位相と補正荷重との関係を整理して図9に示す。図中には各サンプル記号を記入するとともに、直線近似したときの近似直線(y=0.1135x+73.132(y:荷重、x:位相))を併記している。ここで、位相180〜360°については、コンクリート補強用繊維1の形状より180°を対象軸とする近似直線となる。この近似直線によれば、位相180°±90°、つまり90〜270°の範囲では、83MN以上の繊維付着強度、つまり比較例としての従来品の繊維付着強度の最高データ以上の性能が発揮されることが判る。また、近似直線によれば、位相180°±45°、つまり135〜225°の範囲では、88MN以上の繊維付着強度、つまり比較例の繊維付着強度より6%の性能向上があることが判る。また、位相180°±22.5°、つまり157.5〜202.5°の範囲では、91MN以上の繊維付着強度、つまり比較例の繊維付着強度より10%の性能向上があることが判る。
【0046】
繊維付着強度は、表裏に形成された凹凸の位相が180°ずれていると最も強度が向上している。この位相のずれによる強度発現の機構は未だ明らかではないが、位相が180°ずれ、表側の凹部2と裏側の凸部3との位置が一致することにより、コンクリート補強用繊維1がパルス波形状の特異な形状となり引き抜き抵抗性が向上したことが原因と推察される。すなわち、繊維引き抜け後の状態を解析すると、図8に示すように、同図の実線方向の引き抜け時に、位相0°のコンクリート補強用繊維は同図(a)に二点鎖線で示すように繊維厚肉部10が押し潰されて直線状になり引き抜けていたのに対し、位相180°のコンクリート補強用繊維1は同図(b)に二点鎖線で示すようにパルス波形状の段違い形状の各コーナー部位11における引き抜け抵抗が見られ、この段違い形状が直線状になり引き抜けていた。つまり、押し潰されて真っ直ぐになる抵抗よりも段違いが真っ直ぐになるほうが抵抗は大きいものと推察される。試験結果を総合的に判断すると位相180°のコンクリート補強用繊維1が最も大きな付着力を発現していることが判る。また、位相180°のコンクリート補強用繊維1は、繊維長さ方向に沿って表裏に凹部2及び凸部3が背中合わせの位置に形成されており、繊維形状全体が細身になっているので、コンクリート練り混ぜ時の分散性、スランプロスに有効であると考察する。
【0047】
【表2】
Figure 2004182536
【0048】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
【0049】
【発明の効果】
本発明に係るコンクリート補強用繊維は、繊維引張強度を低下させることなく、セメントとの接着性を向上させることができる効果的な凹凸を表面に有するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るコンクリート補強用繊維(位相:180°)の側面図である。
【図2】同コンクリート補強用繊維を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図3】同コンクリート補強用繊維の断面図であり、(a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るコンクリート補強用繊維(位相:90°)の側面図である。
【図5】同コンクリート補強用繊維を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図6】同コンクリート補強用繊維の断面図であり、(a)は図4のA−A線断面図、(b)は図4のB−B線断面図、(c)は図4のC−C線断面図、(d)は図4のD−D線断面図である。
【図7】同実施形態に係るコンクリート補強用繊維の製造過程におけるモノフィラメントを示す斜視図である。
【図8】同実施形態に係るコンクリート補強用繊維の繊維付着力の発現時の推察状態を示す図である。
【図9】同実施形態に係るコンクリート補強用繊維の位相を横軸にとるとともに補正荷重を縦軸にとり、両者の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 コンクリート補強用繊維
2 凹部
3 凸部

Claims (3)

  1. ポリプロピレン系樹脂からなるモノフィラメントを切断してなり、表裏それぞれに、繊維幅方向に延びる断面略矩形状の凹部が形成されたコンクリート補強用繊維であって、
    前記凹部は、繊維長さ方向へ略一定間隔をおいて繰り返し形成されており、
    前記繊維長さ方向に隣接する該凹部の間に相対的に形成された凸部と、該凹部とによる周期的な凹凸の位相は、前記表裏の間で相対的に90〜270°ずらされたコンクリート補強用繊維。
  2. 前記位相は、約180°ずらされた請求項1記載のコンクリート補強用繊維。
  3. 前記モノフィラメントは、繊度が4000〜6000dであり、前記周期的な凹凸は、ピッチが1.6〜3.2mmであるとともに、前記繊維長さ方向における前記凹部及び前記凸部の長さの比が1:1.0〜1.8であり、前記凹部は、深さが0.05〜0.35mmである請求項1又は2記載のコンクリート補強用繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009234796A (ja) * 2008-03-25 2009-10-15 Ube Nitto Kasei Co Ltd セメント系成形体用補強短繊維
JP2011528626A (ja) * 2008-07-23 2011-11-24 セント ウント セント ゲーエムベーハー ウント コンパニ カーゲー 鋼繊維の製造方法

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