JP2004181830A - インクジェット印刷装置 - Google Patents

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Kazunaga Takahashi
司長 高橋
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真幸 里美
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Abstract

【課題】インクジェットヘッドが画像信号に合わせて連続的にインク吐出を行うときに、インクジェットヘッド内の圧力室内で気泡が発生すると、その圧力室に接続するノズルからインクを吐出できなくなる。
【解決手段】画像信号に応じて圧力室の容積変化を起こしインクを吐出させるインクジェットヘッドを用いて記録媒体に画像を印刷する印刷装置であって、そのインクジェットヘッドにインクを供給するインク供給手段が、インクジェットヘッド内の圧力室でインク吐出時に発生する負圧より絶対値で大きい負圧をインクに印加させることができる負圧発生部を有している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドへインクを供給するインク供給手段内であらかじめインクから気泡を除去し、その気泡除去されたインクを供給することによってインクの吐出安定性を向上させたインクジェットヘッドを搭載したインクジェット印刷装置の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット印刷装置のインクジェットヘッドは、インク供給口、共通インク室、共通インク室に接続し複数並設された圧力室、圧力室の容積を変化させインクを吐出させる圧力発生体、各圧力室に対応して設けたノズルによって構成されている。このようなインクジェットヘッドにおいて、ノズルからインクを吐出するために圧力室の圧力を高める方法として、圧力室の少なくとも一部に圧電部材による変位可能部分を設け、その圧電部材に電圧を印加することによって圧力室内の容積を変化させてインクに圧力を与えている。
【0003】
図5は、その方式によるインクジェットヘッド1のインク室断面を示している。図6は図5のAA断面、図7は図5のBB断面を表している。このインクジェットヘッドでは、インクはインク供給源からインク供給口17、共通インク室16、隔壁12によって互いに分離された複数の圧力室11、ノズル板14に形成されたノズル13を通して記録媒体としての印刷用紙に向けて吐出する。ヘッド端部18は、インク供給口17を内部に形成し、インク供給口17を共通インク室16へ接続している。圧力室11と共通インク室16は、インジェットヘッドベース10上に形成され、カバー19は圧電部材20および温度センサ21を保護するために設けている。インクを吐出させる圧力は、駆動信号発生回路2からの駆動電圧パルスを各圧力室11に対応して設けた圧電部材20に選択的に印加することによって発生する。
【0004】
インクを吐出させる圧力は、圧電部材20に積層した振動板15が弾性変形することで発生している。圧電部材20は振動板15側の面とその反対面に電極が形成され振動板15に接合し、駆動信号発生回路2からの印加電圧によって電極面に垂直方向に伸びた時に電極面長手方向に縮み、垂直方向に縮んだときに長手方向に伸びるように変形する。圧電部材20の電極面方向への伸縮により振動板15が弾性変形し、各圧力室11の容積を拡張してインク供給口17からインクをインクジェットヘッド1に吸引し、次に圧力室11の容積を縮小させて圧力室11内のインクをノズル13から吐出させている。
【0005】
インクジェットヘッド内のインク中に気泡31が発生すると、その気泡によってインクを吐出させる圧力が減少し、インクがノズルから吐出できなくなることがある。そこで、予めインク中の気泡を除去することが知られている。例えば特許文献1には、インクに超音波振動子による高周波振動を与えてキャビテーションを生じさせ溶存空気を遊離させて真空ポンプで溶存空気を除去する脱気装置が、開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−48492号公報 (第2頁、第3図)
【特許文献2】
特開2000−301733号公報 (第2頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
インクジェットヘッドにおいて、圧力室11内のインクをノズル13から吐出させるために圧力室11の容積を縮小させてインクを押圧する場合、インク内圧力は正圧力であり、この圧力を正圧と呼ぶことにする。また、インク供給口17からインクを共通インク室16および圧力室11に吸引するために圧力室11の容積を拡張させる場合、このインク内圧力を負圧と呼ぶことにする。
【0008】
この圧電部材20に印加される電圧の極性と維持時間は、駆動電圧パルスとしてインクジェットヘッドが最適動作をするよう設計されている。印刷速度を速めるためには、インク吐出(正圧印加)および圧力室へのインク供給(負圧印加)の繰り返しを速くする必要があり、その駆動電圧パルスの極性反転または電圧帰零は一般的に急速であり、それに追随する振動板15の変位もまた急速である。
【0009】
圧電部材20に印加される駆動電圧パルスの繰り返し速度が高速になるにしたがって、圧電部材20が誘電率の大きいコンデンサー素子として働くようになる。そのため、罫線画像を形成するような連続的にインクを吐出させる印字を行う場合には、圧電部材が発熱し圧力室の温度上昇を招く。
【0010】
また、振動板15が圧力室11内に正圧を発生させるインク押圧状態から、圧電部材に駆動電圧を印加してない元の状態に急速に復帰すると、圧力室11内のインクは急膨張して圧力室11のインク内に負圧が発生する。この時の負圧は、圧電方式インクジェットヘッドの連続インク吐出時の圧力室内流体シミュレーションによって、絶対負圧となることが知られている。絶対負圧とは、大気圧以下・真空(ゼロ気圧)以上の範囲の圧力(大気圧相対負圧)ではなく、真空(ゼロ気圧)を超えてマイナス値の圧力のことである。この絶対負圧の発生は瞬間的ではあるが、連続的にインクを吐出する状態では、この負圧は圧力室11内のインクに高速で繰り返し発生する。
【0011】
このような圧力室11内の温度上昇、または絶対負圧の繰り返しによって、インク室内に微細な気泡31が発生することがある。インクジェットヘッドにおいて、圧力室11に何らかの原因で一旦気泡31が発生すると、圧電部材20へ駆動電圧パルスを印加し続けても、気泡31発生以降その圧力室11からはインクが吐出しない不具合が起こる。これを不吐出と呼んでいる。すなわち、気泡31が発生すると、その気泡31は(気泡内圧力)×(気泡体積)=(一定)の法則に従って、インク吐出のための正圧の増加分を気泡体積の収縮によって吸収するので、圧力室内にインク吐出に必要な正圧が発生しないためにインク吐出不良が起こる。
【0012】
所定の領域を塗りつぶすような画像は、複数の並設した圧力室を連続的に駆動しその圧力室に対応するノズルからインクを吐出させながら、印刷用紙との相対移動によって形成される。この複数の圧力室の1つに気泡が発生した場合、その圧力室は不吐出となり、塗りつぶし画像に用紙の地色の線が白スジとなって発生してしまう。本発明は、このような圧力室11内での気泡31の発生に起因する不吐出の発生確率を減少することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、インク供給口から供給されるインクに圧力を印加してノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、そのインク供給口にインクを供給するインク供給手段とを有し、ノズルからインクを吐出させて記録媒体に印刷を行うインクジェット印刷装置において、そのインク供給手段は、インクに負圧を印加させる負圧発生部を有し、負圧発生部はインクジェットヘッド内で発生する負圧と絶対値でそれ以上の負圧をインク供給手段内のインクに印加させるように制御したインクジェット印刷装置を特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明を実施するために用いるインクジェットヘッドは、上述した図5、図6、図7で示した構成である。なお、このインクジェットヘッドは、共通液室に隣接してインクの温度を検出する温度センサ21を有し、検出した温度に合せて駆動信号発生回路2によって圧電部材を制御してインクを吐出させている。
【0015】
圧力室11内での気泡31の発生原因に関して、以下でパーティクルと総称するインク内物質とインク内の溶存空気との関連性が重要である。インク内のパーティクルとは、顔料インクの場合、インク顔料の凝集物または他のインク成分の凝集物、不純物、ゴミなどを指すことにする。よって、ここでいうパーティクルとはインク製造において本来意図しない種々の物質、状態および量も含んでいるものとする。しかし、インクは着色されているので、インク内のパーティクルの直接観察が難しく、また、一般的にその量は少ないと推定されるのでパーティクル物質を同定することは困難である。
【0016】
一方、大気中に放置されたインクなどの液体中には微量の空気(主に窒素、酸素)が気体(気泡)としてではなく、溶けて存在(溶存)することが知られている。その溶存量には、気体元素の種類、気体の分圧、温度などによって決まる溶存限界上限値(飽和溶存量)がある。ここでは、空気での溶存限界上限値を飽和溶存空気量と呼ぶことにする。水およびインクジェットヘッド用インクの場合、一般的に温度が高いほど飽和溶存空気量は減少する。よって、ある温度での飽和溶存空気量を含む一定体積のインクの温度を徐々に上げて行くと、インク内で飽和溶存可能な空気量の減少により過剰な溶存空気が、気体空気すなわち気泡として析出することになる。インクジェットヘッドの圧力室11のような微小体積内では、温度上昇によるインク内の過剰溶存空気は微細な気泡として析出される。
【0017】
パーティクル等を含まない清浄な液体の場合には、溶存空気がその温度での飽和溶存空気量であっても、空気を溶存したまま比較的高い温度まで気泡として析出しない過飽和状態となりうることが知られている。しかし、インクのようなパーティクル等を含む清浄でない液体の場合は、温度上昇によってパーティクルを核としてその近傍または内部から溶存空気が容易に析出される。よって、圧力室11内での気泡31発生の原因として、インク内溶存空気の存在が考えられる。
【0018】
インクジェットヘッド1内外でインクに温度差がある場合、例えば、連続吐出により圧電部材が発熱し室温よりも高温に維持された圧力室11へ室温のインクが流入する場合、室温で飽和溶存空気量を含んだインクが高温の圧力室11内では過飽和の状態になり、インク内の溶存空気が析出して気泡化することが考えられる。また、インクジェットヘッドへのインク供給はチューブ等によって行われている。チューブ内の室温のインクが、インクジェットヘッドの共通インク室16を通り圧力室11内で加圧されノズル13を通して吐出される間に、発熱した圧電部材で加熱される比較的短時間の温度上昇であっても、室温と温度が高い圧力室内での温度差分に相当する過剰な溶存空気を短時間で析出し気泡となる可能性がある。
【0019】
インク内にパーティクルが存在する場合、インクを高温側での飽和溶存空気量よりも十分低い溶存空気量にまで予め脱気したインクを使用すると、上記した理由によりインク室11内での気泡発生の防止に効果的である。インクの脱気には、例えば亜硫酸塩系の酸素吸収剤を用いてインク内の酸素濃度を低下させる化学的脱気法、インクを予め煮沸することによって溶存空気を析出させる煮沸脱気法、インクを予め真空容器内で減圧することによって溶存空気を析出させる方法、あるいは、空気透過性のある中空糸の外側を真空に保持し、中空糸内部にインクを流すことによってインク内の溶存空気を中空糸外部の真空側に透過移動させる方法などの真空脱気法がある。
【0020】
真空脱気法は、インク内の溶存空気を除去するために負圧を利用するものであるが、大気相対負圧を利用するものであり絶対負圧に至ることはない。真空脱気法によらない上記した煮沸脱気法や化学的脱気法などでも、脱気中にインクが絶対負圧に至ることはない。しかし、これらの脱気インクの使用は、インクとインクジェットヘッド間の使用温度差に起因する過飽和溶存空気の析出防止としては有効である。
【0021】
インクを連続的に吐出させたときに圧電部材の発熱による圧力室11内の温度における飽和溶存空気量よりも十分低い溶存空気量にまで真空脱気したインクを用いた場合であっても、インクジェットヘッド1から連続的にインクを吐出させ画像を形成した時に、気泡発生に起因する連続的不吐出が発生することがあった。
【0022】
気泡発生の他の原因として、圧力室11内のインク圧力が絶対負圧のピーク時に、インク内のパーティクル等が核となってパーティクル内部またはその近傍からインク内の溶存空気が析出することが考えられる。この場合、インク室内温度での溶存空気が飽和空気量以下であっても、溶存空気が存在しさえすれば、連続的にインクを吐出するような絶対負圧の高速繰り返しによって初期気泡の発生およびその気泡の成長、さらに気泡が安定して存在することが起こりうる。すなわち、一度発生した気泡はインクへ再溶解して消滅することなくインク中に存在することがおこる。
【0023】
脱気したインクを用いてインクジェットヘッドから連続的にインクを吐出させ不吐出発生の様子を観察すると、一旦ノズルからのインク不吐出が発生すると繰り返し駆動電圧印加を続ける限り不吐出状態が継続し、その駆動を停止すると約1秒の停止時間後の駆動再開時にはそのノズルからのインク吐出は回復していた。また、脱気してないインクで同様の観察を行った時には、一旦ノズルからのインク不吐出が発生すると駆動再開時にそのノズルからインク吐出が回復するまでに約1分以上の放置時間が必要であった。
【0024】
この観察から、脱気したインクでも不吐出の発生を防止することができないことがわかった。このインク不吐出は、絶対負圧を含むインク内正負圧力の高速繰り返しによって、絶対負圧ピーク時に気泡が発生し、その気泡がインク内で以下に述べる整流拡散によって再び溶存することなく存在し続けるために起こると考えられる。また、整流拡散によって発生する気泡は、正負圧力の高速繰り返し駆動を続ける限り発生し続けるために、駆動を一旦停止しなければインク不吐出は回復しないと考えられる。
【0025】
詳述すると、絶対負圧を含む正負圧力の高速繰り返しによって絶対負圧ピーク時にインク内で発生した気泡は、次の正圧ピークで消失することなく気泡体積(気泡直径)の増減を繰り返しながらある直径に成長し、それ以降は正負圧力の高速繰り返しに同期して直径を増減しながらも安定して存在し続けることが知られている。これを整流拡散と呼んでいる。また、駆動すなわちインク内正負圧力の高速繰り返しを停止した時点で、整流拡散も停止する。
【0026】
このとき脱気したインクを使用した場合には、脱気していないインクよりも急速に発生気泡をインク中へ溶解し消滅させることがわかった。脱気したインクと脱気してないインクでは、前述したようにインク不吐出が発生した後の駆動再開時にそのノズルから正常にインク吐出するまでに要する時間が異なっていたのは、発生した気泡がインク中へ溶解して消滅するために要する時間が異なるためと思われる。ごくわずかな溶存空気でも含んでいる場合には、整流拡散は脱気インク中においても継続的に発生する。よって、従来の真空脱気法だけでは不完全である。
【0027】
本発明は、脱気インクの使用によっても解決されない気泡起因の不吐出の防止に関するものであり、インクジェットヘッドの圧力室内に生じる絶対負圧またはそれ以上の(絶対値の)負圧発生要素をその圧力室の上流側に設けることによって、該インクジェットヘッドの圧力室内での気泡発生を予防しようとするものである。
【0028】
インク顔料の凝集物がその内部に空気を内蔵していた場合、またはインク成分の凝集物が空気を溶存しているパーティクルを含んだインクを用いた場合、従来の相対負圧による真空脱気法では気泡析出を起こさず、絶対負圧の印加によってはじめて析出されることが考えられる。この場合、ある所定の絶対負圧の印加によって空気を析出したパーティクルは、それ以降にその大きさ以下の絶対負圧を印加させても再び空気を析出することはない。このことを利用することによってインク内に発生した絶対負圧によって起こる気泡の発生を防止することができる。
【0029】
【実施例1】
第1図に本発明の実施例1の概略図を示す。インクジェットヘッド1において、インクはインク供給口17、共通インク室16、隔壁12によって互いに分離された複数の圧力室11(第1圧力室)、ノズル板14に形成されたノズル13を通して印刷用紙に向けて吐出する。共通インク室16は、インジェットヘッドベース10上に形成され、温度センサ21(第2温度検出手段)は共通インク室16の壁を構成する壁面上にインク温度を検出するために付設されている。インクを吐出させる圧力は、インク吐出用駆動信号発生回路2によって発生する駆動電圧パルスを各圧力室11に対応して設けた圧電部材20(第1圧電体)に選択的に印加することによって発生する。
【0030】
インク供給手段1Aは、インクジェットヘッド1と同じ原理に基づくインク圧出要素である。インクジェットヘッド1のインク供給口17とインク受け42間には、その接続部にあたる連通管47を設け、インク受け42に貯蔵されたインクがインクジェットヘッド1に供給される。インク受け42内に貯蔵されるインク量は、インク面検出センサ46によって所定量に保っている。インク受け42上部の空隙部48は、空気管45を通じて負圧にたもたれ、インクジェットヘッド1が休止中もノズル13からインクが漏れでないように制御している。インク供給手段1Aから圧出されるインク滴41Aは、後述するインクタンクから供給されたインクがインク導入口17A、共通インク室16A、隔壁12Aによって区画された圧力室11A(第2圧力室)、ノズル13A(インク圧出口)を通して圧出されインク受け42に貯蔵される。このとき、各圧力室11Aは圧電部材20A(第2圧電体)の動作により拡張収縮を繰り返し(負圧発生部)、圧力室11A内のインクに負圧が加えられ、溶存気体は気泡となる。
【0031】
インク供給手段1Aのインク滴41Aをインク受け42へ圧出させる構成は、図1の紙面に対して垂直方向に複数の圧力室11Aを並設した構造である。ここでは、インク供給手段1Aからインク滴41Aをインク受け42に向けて飛翔させることを、インクの圧出と呼び、インクジェットヘッド1からインク滴を記録紙上に向けて飛翔させることをインクの吐出と呼ぶ。
【0032】
第2図に本発明のインクジェット印刷装置概略図を示す。このインクジェット印刷装置は、印刷用紙104の用紙幅に対応するように千鳥状に複数配置したインクジェットヘッド1を有した構成になっている。この印刷装置は、用紙の搬送速度に合せた所定のタイミングで、印刷用紙104上に外部から受け取った画像データに従ってインクジェットヘッド1からインクを吐出しながら印刷する。連続印刷用紙104は、用紙搬送ローラ103と図示しないモータによって所定の搬送速度で給紙されている。各インクジェットヘッド1に供給するインクは、インク供給源(インクタンク101)からインク供給用ポンプ106によって、インクチューブを通してインク導入口17Aからインク供給手段1Aに供給される。空気管45には負圧調整装置102が接続され、インクジェットヘッド1からインクが漏洩しない程度の負圧をインク43の液面、蓋44とノズル板14Aによって囲まれた空隙部48に加えている。
【0033】
制御回路100は、インクジェット印刷装置全体を制御する回路であり、インク圧出用駆動信号発生回路2A、画像データに従ってインク吐出を制御するインク吐出用駆動信号発生回路2、インク面検出回路4、温度比較回路6を含み、温度比較回路6の比較結果に基づいてインク供給手段1A内のインクを加熱する温度制御を行い、また印刷用紙104を所定速度で搬送させ、必要な印刷タイミングでインク吐出用駆動信号発生回路2を制御するようになっている。
【0034】
インク供給手段1Aへのインク導入は、インク供給源101からインク導入口17Aを通して行っている。導入されたインクは、共通インク室16A、圧力室11A、インク圧出口であるノズル13Aを通してインク滴41Aとして圧出され、インク受け42内に貯蔵される。インク圧出口であるノズル13Aの大きさは、インク受け42に供給する必要なインク量を送り出す大きさであれば、インクジェットヘッド1のノズル13と異なる大きさにすることができる。例えば、インク供給手段1Aのノズル13Aの径を大きくすれば、インク供給手段1Aの圧力室11Aの数はインクジェットヘッド1の圧力室11の数より少なくすることができる。
【0035】
隔壁12Aによって隣接する圧力室と分離された各圧力室11Aの容積を拡張・収縮させインク滴41Aとして圧出させるために、圧力室11Aの一つの壁面は、振動板に圧電部材20Aを積層したアクチュエータによって構成され、圧電部材20Aに駆動信号発生回路2Aからの電圧パルスを印加して変位するようになっている。
【0036】
インク導入口17A、圧力室11A、インク圧出口13Aは重力方向で上から順に配置し、圧力室11A内で発生する気泡が浮力によって上方向へ押し上げられる。圧力室11A内で発生した気泡31Aが、圧力室の拡張収縮が停止したときに、浮力で矢印32A方向に上昇しインク供給手段上部から除去できるように、インク導入口17Aはインク圧出口13Aより上部に設けている。
【0037】
この実施例ではインク供給手段1Aはインクジェットヘッド1と同じ原理のインク圧出要素を使用したが、他の方式に基づくインク圧出要素であってももちろんよい。また、インク供給手段1Aはインクジェットヘッド1と全く同じものを用いてもよい。
【0038】
インク供給手段1Aは、次の2点を満たす必要がある。(1)圧力室11A内でインクに発生する絶対負圧が、インクジェットヘッド1の圧力室11内で発生する絶対負圧より、絶対値で大きいかもしくは等しい絶対負圧がインクに発生しインク圧出口13Aからインク滴41Aとして圧出できること。(2)インクジェットヘッド1が画像を形成するために消費するインク量に対して不足することなくインクを供給して印字を継続できること。
【0039】
インクジェットヘッド1は、圧電部材20にインクを所望な量吐出させることができる正負極性駆動電圧パルスを印加して、圧力室を拡張・収縮させインクを吐出する。その正負極性駆動電圧パルスの電圧振幅値には、駆動電圧によって発生する正圧が低くてインク吐出が不可能になる下限電圧と駆動電圧が高すぎてインク吐出が不安定になる上限電圧とがある。インクジェットヘッド1の駆動電圧は、製造品質(ばらつき)や印字品質等、他の性能も勘案して、通常この上下限電圧範囲内に設定される。本実施例では正負極性電圧パルスを用いているが、両極性電圧パルスに限定されないことはもちろんである。
【0040】
インクジェットヘッド1と同じ構造のインク供給手段1Aを用いた本実施例では、圧電部材20Aにインクジェットヘッド1の使用電圧よりも大きくかつ上限電圧以下の電圧振幅のパルスを印加することによって、インク供給手段1Aはインク圧出口13Aを通してインク滴41Aとしてインク受け42にインクを圧出する。この圧電部材20Aの駆動条件では、インク供給手段1Aの圧力室11A内に発生する絶対負圧はインクジェットヘッド1の圧力室11内に発生する絶対負圧よりも絶対値が大きな値となる。
【0041】
インクジェットヘッド1と同一なインクジェットヘッドをインク供給手段1Aとして使用する場合、インク供給手段1Aのインク供給量はインクジェットヘッド1が画像を形成するために吐出したインク量と等しいか若しくはそれより多くする必要がある。そして、インクジェットヘッド1が画像を形成している途中でインク供給不足にならない程度に、インク供給手段1Aはインクジェットヘッド1にインクを供給する必要がある。
【0042】
インク供給手段1Aから圧出されインク受け42に蓄えられたインク43は、連通管47を通してインクジェットヘッド1に供給される。インク供給手段1Aの複数並設されている圧力室11A内で発生させた絶対負圧によって溶存気体が気泡とならなかったインク43は、それよりも低い絶対負圧のインクジェットヘッド1において再び溶存気体が気泡となることはない。よって、インクジェットヘッド1は絶対負圧の繰り返しによる気泡を発生せず、インク不吐出を発生することなく連続印字が可能になる。
【0043】
以下、インク供給手段1A内での気泡発生について詳述する。インク供給手段1Aを連続駆動するとき、圧力室11A内の絶対負圧により、前記した理由によって圧力室11A内に気泡31Aが確率的に発生する。気泡31Aが発生した圧力室11Aは、駆動を続けてもインク滴41Aの圧出ができなくなるのでインク受け42へのインク供給はできなくなる。このとき、圧力室11Aに対応して設けた圧電部材20Aの駆動を休止すると、気泡31Aは、インク導入口17Aがインク圧出口13Aより重力方向で上部にあるので、矢線32Aの方向に浮力によって上昇する。気泡31Aが圧力室11Aを上昇して共通インク室16Aに達した以降に、圧電部材20Aの駆動を再開すると、圧力室11Aからのインク圧出は再開される。すなわち、圧力室11A内に気泡31Aが浮遊している間はインク圧出ができず、気泡31Aが共通インク室16Aに達したときに、インク圧出が可能となる。
【0044】
実施例の諸元の場合、再開ができるまでの時間は約1分であった。圧電部材20Aの駆動を再開した場合でも、共通インク室16A内に入った気泡31Aは浮力によって上昇を続けるので、再び圧力室11Aに戻ることはない。圧電部材20Aの再駆動によるインク滴41Aの圧出によって、共通インク室16A内のインクは下方に向けてインク流を生じるが、実施例の諸元では、気泡が再び圧力室11Aに戻ることはなかった。
【0045】
インク供給手段1Aにインクを導入する前に予め脱気したインクを用いた場合は、気泡31Aが発生した圧力室11Aに設けた圧電部材20Aの駆動を停止後、気泡31Aが共通インク室16Aに到達しなくても、短時間の休止で駆動を再開することができる。脱気したインク中で発生した気泡は、短時間でインクに溶解・消滅するので、脱気していないインクに比べ短時間でインク供給手段1Aの駆動を再開することが可能である。実施例の諸元の場合、真空脱気したインク使用時のこの時間は約1秒以下であった。
【0046】
インク供給手段1Aの駆動休止時刻および駆動休止時間の設定は、予めインクジェットヘッド1でのインク消費量を考慮してインク供給不足を起こさない程度に所定の頻度と所定の気泡排出時間とする。予め設定した駆動休止時刻および駆動休止時間にしたがって、駆動信号発生回路2Aは、インク供給手段1Aが所定量のインクをインクジェットヘッド1に供給するように圧力室11Aでの圧力発生を間欠的に制御している。インク供給とインク供給の休止を間欠的に動作させることにより、簡単な制御で気泡を除去したインクを供給することができる。たとえば、複数の圧力室を有するインク供給手段1A中の半数の圧力室11Aと残りの圧力室11Aを分けて動作させ、それぞれのインク供給とインク供給の休止期間が、タイミングをずらして駆動することにより、インクジェットヘッド1へ気泡のないインクを連続的に供給することが可能である。
【0047】
圧力室11Aの個数は、インク供給手段1Aがインクジェットヘッド1と同一である本実施例は圧力室11の個数と同一であるが、インク供給手段1Aの圧出できない確率が低い場合には、その確率に合せて圧力室11Aの個数を減らすことが可能である。なぜなら、インク供給手段1Aの圧力室11Aは全てのインク圧出口13Aからインクを圧出させ続けることができるが、インクジェットヘッド1は画像データに従ってインクを吐出し、全てのノズル13から連続吐出するような画像データは比較的少ないからである。
【0048】
インク供給手段1Aの絶対負圧値は、圧力室11Aを駆動する圧電体20Aの駆動電圧、パルス幅(立ち上り部、立下り部)などで設定可能であり、さらにインクジェットヘッド1の不吐出発生の確率を考慮して設定することができる。実施例におけるインクジェットヘッド1の不吐出発生の確率は約1時間に圧力室1個以下であり、インク供給手段1Aにおける絶対負圧による気泡発生確率はそれよりも少し高い程度である。このように設定することによって、インク供給手段1A内で絶対負圧による気泡を発生させ、それを除去したインクを、インクジェットヘッド1Aに供給することが可能である。
【0049】
実施例のインクジェット印刷装置において、インクはその運転の最初期にインク供給源101からインク供給手段1Aのノズル13Aまでの間、インク加圧ポンプ106で充填される。このとき、ノズル13Aからインク受け42にインクが供給される。これをノズル13Aからのインク流出と呼ぶことにする。インク流出量は最小限にとどめ、インク供給源101からインク供給手段1Aのノズル13Aまでインクが充填した後、インク受け42へのインク供給はインク供給手段1Aの駆動条件でのインク圧出によって行う。このとき、インクジェットヘッド1内のノズル13からインクが漏れ出ないようにノズル13をキャップ(図示せず)で塞ぎ、インク圧出によってインク受け42内にインクが所定量溜まった後、全ノズル13を外部から吸引して全圧力室11内にインクを充填する。
【0050】
その後、インクジェットヘッド1は連続的にインク吐出を行い、その間にインク供給手段1Aは、所定時間インク圧出を行い所定時間インク圧出を休止するという動作を繰り返す。例えばインク供給手段1Aは、10分間インク供給した後2分間休止し、この時間間隔を交互に繰り返す。インク供給手段1Aにおいて、気泡が発生しなかった時の休止時間は無駄な休止時間であるが、気泡が発生した駆動時間後の休止時間では気泡が共通インク室16Aまで上昇するために十分な時間であった。予め脱気したインクを使う場合には、前述したようにもっと短い休止時間でよい。
【0051】
言いかえれば、インク圧出できないノズル13Aを回復させるためにインク供給手段1Aからのインク圧出を停止している間も、インクジェットヘッド1は印字信号に従って連続的に印刷することができる。印字信号は、罫線印字のように1つのノズルだけが連続的にインクを吐出する場合も、写真印字のように複数のノズルからインクを吐出する場合も含んでいる。しかし、これらの場合であっても、全ノズルから連続してインクを吐出させることは少ないので、インク供給手段1Aが停止している時間が短ければ、インクジェットヘッド1でのインク供給不足が発生することなく、連続的に印刷することが可能である。
【0052】
本実施例ではさらに、インク受け42内に圧出されたインクを所定量に維持するように制御している。インクジェットヘッド1への初期のインク供給量、および連続駆動中のインクジェットヘッド1へのインク供給量監視のためのインク面検出センサ46とインク面検出回路4によってインク受け42内に溜まるインク量を検出し、所定量になるように駆動信号発生回路2Aがインク圧出量を制御している。
【0053】
インク溜まり量を検出するために、インク面検出センサ46は2位置を検出できる方式を用いている。検出下限面はインクジェットヘッド1への初期充填した位置であり、検出上限面はインク供給手段1Aのノズル13Aとインク受け42に溜まるインク液面との最適距離となる位置である。インク面検出センサ46は、2つの電極間でのインクの有無による容量変化を検出するもの、インク受け42のインク面検出部が透明なものであればCCDを用いた光学的に検出するものなどがある。
【0054】
インク受け42のインク43の液面がノズル13Aにあまり接近すると、インク滴41Aがインク受け42のインク43の表面に衝突した時に、インク滴の跳ね返りが起こりノズル板14A面が濡れてしまう。ノズル板14A表面には撥インク膜が形成されているが、跳ね返りインクがたくさん溜まったときには、撥インク面としての機能が発揮できなくなる。そこで、インク受け42内のインク量が検出上限面よりも上になった場合は、絶対負圧起因の気泡を逃がすための休止に優先して、圧力室11Aの駆動が停止するようになっている。
【0055】
インク面検出センサ46によって検出されたインク43の液面、インク受け42、空気管45、蓋44とノズル板14Aで囲まれる領域に、空隙部48ができる。インク供給手段から圧出されたインク滴41Aは、この空隙部48を通ってインク受け42に溜まり、インク供給口17を介してインクジェットヘッド1へ供給される。空隙部48を設けているのは、インク43がノズル13Aに接触して圧力室11Aとインク受け42間がインクで連通してしまうと、気泡のない正常な圧力室11Aを駆動しても圧力室11Aからインクが圧出(移動)し難くなるからである。また、後述するように空気管45を介して空隙部48に所定の負圧を発生させ、インクジェットヘッド1内のインクがノズル13から流出しないようにしている。
【0056】
空気管45は、所定の動作を終了した後は、空隙部48に負圧を加えるように、負圧調整装置102に接続されている。負圧調整装置102は、制御回路100によって、必要な圧力に調整可能な真空ポンプである。この負圧の大きさは、インクジェットヘッド1のインクを吐出していないノズル13からインクが漏れでない程度の大きさで、かつインク供給手段1Aが圧電部材20Aを駆動していないときにノズル13Aからインクが漏れでない程度の大きさに調整している。いいかえれば、インクジェットヘッド1が待機状態のときに、空隙部48が大気圧になった場合インクジェットヘッド1中のインクが重力によってノズル13から流れ出てしまうので、所定の負圧を加えてインクがインクジェットヘッド1内に保持されるようにしている。また、インクジェットヘッド1外部の気圧変動が発生しても、空隙部48を介して負圧調整しているので、インクジェットヘッド1からインクが流出するのを防止することができる。
【0057】
本実施例では、インクとインクジェットヘッド間の温度差による溶存空気の析出を防止するために、インク供給手段1A内のインク温度が、インクジェットヘッド1内のインク温度に比較して、高くなるように設定している。インクジェットヘッド1内の温度センサ21(第2温度検出手段)とインク供給手段1A内の温度センサ21A(第1温度検出手段)の温度を温度比較回路6によって比較し、制御回路100がインク供給手段に設けたインク加熱ヒータ22Aで所定の温度差を発生するように制御している。前述したように、気泡発生はインク温度に依存して、温度が高い方が発生する可能性が高い、インク供給手段1A内のインク温度をインクジェットヘッド1内のインク温度より高い温度に設定することによって、インク供給手段1Aで気泡が発生し、インクジェットヘッド1内では気泡がより発生し難くすることができる。
【0058】
【実施例2】
図3は実施例2の概略図を示している。絶対負圧を原因とする気泡発生によるインク滴の圧出ができなくなったノズル13Aを検出するために、インク受け42は、インク滴41Aを光学的に検出する装置(光センサ)を備えている。この光学的検出装置は、光源51と光検出器53とを対向して配置した構成であり、ノズル13Aから圧出されたインク滴41Aが光源51と光検出器53との対向した空間を飛翔し、光源51からの光を遮断したかどうかを検出するものである。光源51から射出される平行光線52は、インク圧出が正常な場合、駆動信号発生回路2Aの駆動電圧パルスに同期した圧出周波数毎にインク滴41によって遮断され、光検出器53には断続的に到達する。一方、インクが圧出できなくなると、平行光線52は連続的に光検出器53に到達し続ける。よって、この差異をインク滴検出手段5により判別することによって、圧出できなかったノズル13Aを検出する。
【0059】
複数の光センサを複数の圧力室11Aに対応して設けると、インク圧出できなくなった圧力室11Aを特定できるので、その圧力室11Aのみの駆動を休止することができる。インク圧出できない圧力室11Aのみを休止することにより、他の圧力室11Aからは連続してインクを圧出でき、インクジェットヘッド1へのインク供給がより安定して行える。また、複数の圧力室11Aに対して一つの光センサを設けた場合でも、インク供給手段1Aの各圧力室11Aから順次インク滴41Aを圧出させ、そのインク滴41Aが光遮断したかを各圧力室11Aに対応して検出することにより、インク圧出できなくなった圧力室11Aを検出することが可能である。検出されたインク圧出ができなくなった圧力室11Aは、気泡が除去される時間だけ休止すればよい。これにより、複数の検出器を用いず一つの検出器でインク圧出ができなくなったことを検出できる。
【0060】
この場合、インク面検出センサ46と併用することによりインクジェットヘッド1へのインク供給不足を発生することなく、インク圧出できなくなったノズルが発生したときのみインク供給手段1Aを休止するので、インク供給手段1Aを最大限効率よく利用することができる。もちろん、インク供給手段1Aを短時間休止していても、インクジェットヘッド1はインク受け42に溜まったインクにより連続的に印字を続けることができる。
【0061】
【実施例3】
図4は実施例3の概略図を示している。インク供給手段1Bは、インク供給手段1Aと同じものであり、両者を併置した構成である。インク導入口17Aおよびインク導入口17Bは、共通インク導入口61に接続し、インク供給手段1Aとインク供給手段1Bに同時にインク導入できるようになっている。13Bは13Aに対応するインク圧出口、20Bは20Aに対応する圧電部材、21Bは21Aに対応する温度センサ、2Bは2Aに対応する駆動信号発生回路である。この二つのインク供給手段を併置することによって、例えばインク供給手段1A、1Bの圧力室がそれぞれ1つもしくは数個である小型のインク供給手段を実現できる。2つのインク供給手段1A,1Bを1つのインクジェットヘッド1に繋ぎ、それぞれ独立にインク圧出することによって、一方のインク供給手段が気泡発生によって圧出できなくなった場合でも両方同時にインク圧出できなくなる可能性は低いので、他方が連続的にインク圧出しインクジェットヘッド1へインクを供給することができる。
【0062】
駆動信号発生回路2A、2Bを1つの駆動信号発生回路手段として、インク供給手段1A、1Bに共通に用いて、信号のみ分岐して使うこともできる。これにより、インクジェットヘッド1と同じ大きさのインク供給手段1Aを用いるより、インク供給手段の小型化が図れ製造価格の低減になるとともに、4色のシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックインクを用いるカラーインクジェット印刷装置を構成しても、装置全体の小型化を図ることができる。
【0063】
なお、図1(または図4)において、インク供給手段1A(またはインク供給手段1A、1B)の圧力室11A(または圧力室11A、11B)内に発生した気泡を浮力によって上昇させるためには、インク供給手段1A(またはインク供給手段1A、1B)の圧力室長手軸方向を重力方向において垂直に固定する必要がある。これらの実施例では、インクジェットヘッド1が、インク吐出方向も重力方向になるように配置されている。しかし、連通管47を例えば可撓性チューブ等にすることによって、インクジェットヘッド1のインク吐出方向は重力方向に制限されずに自由設計でき、水平方向にもあるいは傾斜した方向にインク吐出させることができる。
【0064】
なお、図5に例示したインクジェットヘッド方式は、本発明を説明するために例示したものであり、他の方式のインクジェットヘッドに対しても本発明が有効であることはいうまでもない。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、インクジェットヘッドへのインク供給手段の圧力室内において予め積極的に気泡を発生させて、溶存空気の少ないインクをインクジェットヘッドに供給することによって、気泡起因によるインクジェットヘッドの連続的不吐出の発生確率を減少することができる。また、インクの状態に係わらず気泡起因による連続的不吐出の発生確率を減少することができるので、インク製造時の溶存気体の除去工程を簡易にさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の動作原理を説明する断面概略図
【図2】本発明のインクジェット印刷装置概要図
【図3】本発明の実施例2の構成を説明する断面概略図
【図4】本発明の実施例3の構成を説明する断面概略図
【図5】インクジェットヘッドの従来例の構成を説明する断面概略図
【図6】インクジェットヘッドの従来例の構成を説明する断面概略図
【図7】インクジェットヘッドの従来例の構成を説明する断面概略図
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
1A インク供給手段
11 圧力室(第1圧力室)
11A 圧力室(第2圧力室)
13 ノズル
17 インク供給口
17A インク導入口
20 圧電部材(第1圧電体)
20A 圧電部材(第2圧電体)
21 温度センサ(第2温度検出手段)
21A 温度センサ(第1温度検出手段)
22A 加熱手段
42 インク受け(インク受け部)
47 接続部
48 空隙部
102 負圧調整装置

Claims (9)

  1. インク供給口から供給されるインクに圧力を印加してノズルから前記インクを吐出させるインクジェットヘッドと、前記インク供給口に前記インクを供給するインク供給手段とを有し、前記ノズルから前記インクを吐出させて記録媒体に印刷を行うインクジェット印刷装置において、
    前記インク供給手段は、前記インクに負圧を印加させる負圧発生部を有し、前記負圧発生部は前記インクジェットヘッド内で発生する負圧と絶対値でそれ以上の負圧を前記インク供給手段内の前記インクに印加させるように制御したことを特徴とするインクジェット印刷装置。
  2. 前記インク供給手段によるインク供給を前記インクジェットヘッドの前記インク供給口に対し空隙部を介して行うことを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷装置。
  3. 前記インク供給手段を間欠的に駆動制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷装置。
  4. 前記インク供給手段内のインク温度を検出する第1温度検出手段と、前記インクジェットヘッド内のインク温度を検出する第2温度検出手段と、前記インク供給手段内のインクを加熱する加熱手段とを設け、前記第1温度検出手段と前記第2温度検出手段との検出結果に基づいて、前記インク供給手段内のインク温度を前記インクジェットヘッド内のインク温度より高くするように前記加熱手段を制御することを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷装置。
  5. 前記インク供給手段を複数個備え、それぞれのインク供給手段が独立して駆動可能としたことを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷装置。
  6. インク供給口と、複数の第1圧力室と、前記複数の第1圧力室に対応して設けられた複数のノズルと、前記複数の第1圧力室に対応して設けられ前記第1圧力室のインクに圧力を印加することで前記ノズルから前記インクを吐出させるための複数の第1圧電体とからなるインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドの前記インク供給口から前記インクを供給するインク供給手段とを有し、前記複数のノズルから前記インクを吐出させて記録媒体に印刷を行うインクジェット印刷装置において、
    前記インク供給手段は、インク導入口と、少なくとも一つの第2圧力室と、前記第2圧力室に対応して設けられた少なくとも一つのインク圧出口と、前記第2圧力室に対応して設けられ前記第2圧力室の前記インクに圧力を印加することで前記インク圧出口から前記インクを圧出させるための少なくとも一つの第2圧電体とからなり、前記第2圧力室の前記インクに印加する負圧の絶対値は、前記第1圧力室で前記インクに印加する負圧の絶対値以上であることを特徴とするインクジェット印刷装置。
  7. 前記インクジェットヘッドと前記インク供給手段との間に、前記インク圧出口から空隙部を通って圧出された前記インクを貯留するインク受け部と、前記インク受け部から前記インク供給口へ前記インクを供給する接続部とを有し、前記空隙部は前記インクジェットヘッドが待機状態のときに、前記インクジェットヘッド内に前記インクを保持する負圧を発生させる負圧調整装置に接続していることを特徴とする請求項6記載のインクジェット印刷装置。
  8. 前記インク導入口は重力方向で前記インク圧出口より上部に設けたことを特徴とする請求項6または7記載のインクジェット印刷装置。
  9. 前記インク供給手段からのインク供給を停止しているときも、インクジェットヘッドの少なくとも1つのノズルから前記インクを吐出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のインクジェット印刷装置。
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