JP2001150679A - インクジェットプリントヘッド - Google Patents

インクジェットプリントヘッド

Info

Publication number
JP2001150679A
JP2001150679A JP33315699A JP33315699A JP2001150679A JP 2001150679 A JP2001150679 A JP 2001150679A JP 33315699 A JP33315699 A JP 33315699A JP 33315699 A JP33315699 A JP 33315699A JP 2001150679 A JP2001150679 A JP 2001150679A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
orifice
energy generating
print head
generating element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP33315699A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuyasu Nakajima
光康 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Casio Computer Co Ltd filed Critical Casio Computer Co Ltd
Priority to JP33315699A priority Critical patent/JP2001150679A/ja
Publication of JP2001150679A publication Critical patent/JP2001150679A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】高い粘度のインクをも回復吐出で完全に排除す
るインクジェットプリントヘッドを提供する。 【解決手段】(a) :待機状態から二つの発熱抵抗体17
及び22に通電して発熱させ、(b) :それぞれの上に膜
気泡31及び32を発生させる。(c) :発熱抵抗体22
上の膜気泡32はその上部がオリフィス板27の底面に
達して加圧室19とインク流路21間に、加圧室19内
のインク29がインク流路21方向に逆流することを阻
止する圧力溜めの気泡壁を形成する。これにより、発熱
抵抗体17上に発生した膜気泡31の圧力エネルギーは
オリフィス28方向に集中して、(d) :より強力な吐出
力でインク滴29bを不図示のパージ用インク吸収部材
に向けて吐出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、目詰まりしたイン
クをオリフィスから効率よく吐出させるインクジェット
プリントヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット方式のプリンタが
広く用いられている。このインクジェット方式によるプ
リンタには、発熱体を発熱させてインクとの界面に膜気
泡を発生させ、その膜気泡の圧力でインク滴を飛ばすサ
ーマル方式や、ピエゾ抵抗素子(圧電素子)を変形させ
て、その圧力によりインク滴を飛ばすピエゾ方式等があ
る。
【0003】これらは、色材たるインクをインク滴にし
て直接記録紙に向かって吐出し印字を行うから、粉末状
の印材であるトナーを用いる電子写真方式と比較した場
合、印字エネルギーが低くて済み、インクの混合による
カラー化が容易であり、印字ドットを小さくできるので
高画質であり、印字に使用されるインクの量に無駄が無
くコストパフォーマンスに優れており、このため特にパ
ーソナル用プリンタとして広く用いられている印字方式
である。このようなインクジェットプリンタの印字ヘッ
ドは、例えば14mm×18mmの大きさのチップ基板
上に、多いものでは288個のインク滴吐出用の吐出ノ
ズルが、例えば42.3μmという微細な配置ピッチで
形成されている。
【0004】図7(a),(b),(c) は、従来のインクジェッ
トプリンタの印字ヘッドを示しており、発熱低抗体の発
熱面に垂直な方向へインクを吐出する構成のトップシュ
ータ型(又はルーフシュータ型ともいう)のサーマルイ
ンクジェット方式の印字ヘッドを模式的に示している。
同図(a) は、印字ヘッドのインク吐出面(オリフィス
板)の平面図であり、同図(b) は、オリフィス板を除去
して、同図(a) の破線Aで示す部分の内部構成の主要部
を拡大して示す図であり、同図(c) は、同図(a)のB−
B′断面矢視拡大図である。
【0005】同図(a),(b),(c) に示すように、シリコン
基板1上には、発熱低抗体2が形成されており、隔壁3
及び3−1によっておよそ高さ10μmのインク流路4
及び個別の加圧室5が形成され、その上にオリフィス板
6が積層されている。オリフィス板6には発熱低抗体2
に対向する位置にインク吐出孔であるオリフィス7が穿
設されている。また、シリコン基板1の表面側にはイン
ク供給溝8が表面からおよそ2/5程度の深さに穿設さ
れ、このインク供給溝8に連通し、シリコン基板1の裏
面に貫通するインク供給孔9が穿設されている。
【0006】尚、オリフィス7はオリフィス板6に形成
されるので、オリフィス板6を除去して示す同図(b) で
はオリフィス7は存在しないが、発熱低抗体2との位置
関係を示すため、オリフィス7を破線で示している。ま
た、上記の発熱低抗体2は不図示の電極に接続されてお
り、発熱低抗体2が設けられている加圧室5には、イン
ク供給孔9、インク供給溝8及びインク流路4を介して
外部からインクが同図(c) の破線矢印Cで示す方向に常
時供給されている。
【0007】図8(a),(b),(c) は、上記印字ヘッドのイ
ンク吐出動作を示す図である。同図には、図7(a),(b),
(c) に示した構成と同一の構成部分には図7(a),(b),
(c) と同一の番号を付与して示している。
【0008】先ず、図8(a) に示す待機状態において、
外部からインク流路4に供給されているインク11は、
オリフィス7内に入り込み、オリフィス板6の上面に沿
ったオリフィス7の上部開口でメニスカス11aを形成
している。
【0009】次に、このオリフィス7から画像情報に応
じてインク11を吐出させるには、画像情報により印字
ドットとして選択されたオリフィス7に対応する発熱抵
抗体2を通電により発熱させる。すると、発熱低抗体2
とインク11との界面に多数の核気泡が発生し、これら
多数の核気泡が合体して、図(b) に示すように、膜気泡
12が生成される。
【0010】この膜気泡12が断熱膨張して成長し周囲
のインク11を押し遣り、これによりオリフィス7から
インク11bが押し出され、更にこの押し出されたイン
ク11bが、同図(c) に示すように、インク滴11cと
なってオリフィス7から不図示の記録媒体に向けて吐出
される。
【0011】この後、上記の膜気泡は収縮して消滅し、
インク滴11cが飛び出した後の抵抗発熱体2の配設部
である加圧室5には、外部からインク流路4を介してイ
ンク11が補充される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のイン
クジェット方式の印字ヘッドを用いるプリンタは、上述
したように印字ヘッドのオリフィスからインクを吐出さ
せて印字を行うので、インクを常に吐出可能状態にして
おく必要がある。つまり、プリンタ本体が印字を行なっ
ていない非印字時にも、電源が入ったときには直ちに印
字を開始できるように待機している必要があるから、全
てのオリフィス及びその加圧室内に、インクを常駐させ
ておく必要がある。
【0013】したがって、図7(c) の破線矢印Cで示し
たように、発熱低抗体2が設けられている加圧室5及び
オリフィス7には、インク供給孔9、インク供給溝8及
びインク流路4を介して外部から供給されたインク11
が図8(a) に示したように常時滞留している。そして、
そのオリフィス7内に滞留するインク11が蒸発して乾
燥し粘度が増加して変質するという問題が発生する。
【0014】また、印字中においても、全てのオリフィ
ス7がインク11を吐出して印字に参加しているわけで
はなく、画像情報(印字情報)に応じて印字ドットとし
て選択されたオリフィス7のみが、インク11を吐出し
て画像を形成している。しかし、いま印字ドットとして
選択されているいないに拘らず、次に印字ドットとして
選択されたとき直ちにインク吐出動作に対応できるよう
に、そのような休止中のオリフィス7及びその加圧室5
内にもインク11は常駐している。
【0015】したがって、画像情報によっては、例えば
画像の連続した白い背景部分を印字位置として担当して
いるオリフィスのように一定時間以上にわたって印字ド
ットとして選択されない、つまり一定時間以上インクの
吐出を行っていないオリフィス7があると、そのオリフ
ィス7内のインク11は、やはり蒸発・乾燥して増粘す
るという問題を有している。
【0016】従来は、この蒸発・乾燥によるオリフィス
内のインクの変質を防止するために、非印字時には、印
字ヘッドのオリフィス形成面(インク吐出面)をキャッ
プ部材で覆ってインクの蒸発・乾燥を防止している。し
かしながら、キャップ部材の経時変化やプリンタ本体の
保存環境の状態等の要因によっては上記の蒸発・乾燥を
完全に防止することはできない。そのため、オリフィス
内のインクは徐々に蒸発・乾燥してやはり粘度が上昇し
てしまう。
【0017】このように増粘したインクがオリフィス内
にあると、吐出が不安定になったり場合によっては全く
インクを吐出できないインク目詰まり状態になり、形成
画像に不具合をきたすから、プリンタ本体は必要に応じ
て印字ヘッドのクリーニング処理を行ってインク目詰ま
りを回復する。
【0018】このヘッドクリーニング処理では、いわゆ
るパージ吐出と呼ばれる空吐出(回復吐出とも言い、印
字を行なわないインクのみの吐出)を行なう。つまり、
この空吐出で、オリフィス内の粘度が高くなってしまっ
たインクを全て吐出させて印字ヘッドを正常な吐出可能
状態に戻そうという方法をとる。
【0019】ところが、粘度が高くなってしまったオリ
フィス内のインクを全て吐出するのはなかなか難しく、
このため印字時に正常なインク吐出ができないオリフィ
スがしばしば発生する。1つでも正常なインク吐出ので
きないオリフィスがあると、印字品質に大きく影響する
ため、印字ヘッドを交換しなければならないことにな
り、ユーザにとっては不満の残るものであった。
【0020】本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、
パージ時において増粘したインクを完全に外部に排除す
るインクジェットプリントヘッドを提供することであ
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
プリントヘッドは、基板上の所定方向に並んで配設され
液体を吐出させるための圧力エネルギーを発生させる複
数の第1のエネルギー発生素子と、上記基板上に立設さ
れ各第1のエネルギー発生素子により上記液体に圧力を
加える加圧室をそれぞれ区画形成する隔壁と、該隔壁に
重畳して設けられインク吐出用のオリフィスが空けられ
たオリフィスプレートと、上記加圧室にインクを供給す
るインク流路とを有し、上記第1のエネルギー発生素子
の駆動により液体を所定方向に吐出させて記録媒体上に
記録を行うインクジェットプリントヘッドであって、上
記複数の第1のエネルギー発生素子の上記インク流路側
に近接して設けられた第2のエネルギー発生素子と、該
第2のエネルギー発生素子と上記第1のエネルギー発生
素子とを駆動する駆動手段と、を備え、該駆動手段は、
上記オリフィスのインク目詰まり時に上記第2のエネル
ギー発生素子と上記第1のエネルギー発生素子とを駆動
して、上記オリフィスに目詰まりしたインクを吐出させ
るように構成される。
【0022】上記第2のエネルギー発生素子は、例えば
請求項2記載のように、直列に接続されるように構成し
ても良く、また、例えば請求項3記載のように、並列に
接続されるように構成しても良い。また、上記駆動手段
は、例えば請求項4記載のように、上記第2のエネルギ
ー発生素子を駆動した後に上記第1のエネルギー発生素
子を駆動するように構成すると一層良い。
【0023】また、上記インクジェットプリントヘッド
は、例えば請求項5記載のように、上記第1のエネルギ
ー発生素子の動作状態を検知する検知手段を更に有する
ように構成しても良い。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1(a) は、第1の実施の形
態におけるルーフシュータ型サーマル方式のインクジェ
ットプリントヘッド(以下、単に印字ヘッドという)の
インク吐出面(オリフィス板)を模式的に示す平面図で
あり、同図(b) は、そのオリフィス板を除去して内部構
成の主要部を拡大して示す図、同図(c) は、同図(a) の
D−D′断面矢視拡大図である。
【0025】同図(a),(b),(c) に示すように、印字ヘッ
ド15は、シリコン基板16、そのシリコン基板16上
に形成された第1のエネルギー発生素子としての複数の
発熱抵抗体17、所定の位置に所定の形状で配置された
隔壁18(シール隔壁18a、18b、区画隔壁18
c)、一方のシール隔壁18bと区画隔壁18cによっ
て区画形成されたコの字の加圧室19、及び他方のシー
ル隔壁18aと加圧室19の開口部との間に形成された
インク流路21を備えている。
【0026】更に、印字ヘッド15は、上記発熱抵抗体
17のインク流路21側つまり加圧室19の開口部側に
近接して設けられた第2のエネルギー発生素子としての
発熱抵抗体22、これら発熱抵抗体22を直列に接続し
ている電気抵抗値が十分に低い配線材23とこれら直列
接続の両端の給電電極24、他方のシール隔壁18aに
近接してインク流路21に開口するインク供給溝25、
及びこのインク供給溝25に連通しシリコン基板16の
下面まで貫通して形成されたインク供給孔26を備えて
いる。
【0027】また、更に、印字ヘッド15は、上記の構
成の上を覆って隔壁18上に積層されたオリフィス板2
7を備え、オリフィス板27には発熱低抗体17に対向
する位置に、インク吐出孔であるオリフィス28が穿設
されている。
【0028】尚、オリフィス板27を除去して示す同図
(b) ではオリフィス28は存在しないが、発熱低抗体1
7との位置関係を示すため、オリフィス28を破線で示
している。また、上記の発熱低抗体17は不図示の電極
に接続されており、これも不図示の駆動回路により選択
的に発熱駆動される。また、発熱低抗体17が設けられ
ている加圧室19には、インク供給孔26、インク供給
溝25及びインク流路21を介して外部からインクが同
図(c) の破線矢印Eで示す方向に常時供給されている。
【0029】上記の印字ヘッド15は、通常の印字時に
は、図7に示した加圧室5内の発熱抵抗体2と同様に、
図1に示す加圧室19内の発熱抵抗体17が、図8で説
明したように発熱駆動されて印字を実行する。そして、
インク目詰まりを防止するためのヘッドクリーニング処
理のタイミングになると、オリフィス28内の増粘した
インクをも吐出させることが可能な、通常の吐出よりも
強い吐出を行う。
【0030】図2(a) 〜(d) は、上記印字ヘッド15の
ヘッドクリーニング処理時における強力吐出の動作を示
す図である。同図には、図1(a),(b),(c) に示した構成
と同一の構成部分には図1(a),(b),(c) と同一の番号を
付与して示している。
【0031】先ず、図2(a) に示す待機状態において、
外部からインク流路21に供給されているインク29
は、オリフィス28内に入り込み、オリフィス板27の
上面に沿ったオリフィス28の上部開口でメニスカス2
9aを形成している。
【0032】インク29の蒸発・乾燥によりオリフィス
28にインク目詰まりが発生すると、又はオリフィス2
8がインクを吐出しなかった場合に目詰まりを起し易く
なる一定時間毎に、パージ吐出を行なうが、このパージ
吐出に際しては、発熱抵抗体17及び22に通電して二
つの発熱抵抗体17及び22を発熱させる。これによ
り、同図(b) に示すように、発熱低抗体17及び22の
上に膜気泡31及び32が夫々発生し、インク29が、
オリフィス28から押し出される。
【0033】そして、二つの膜気泡31及び32が更に
成長して、同図(c) に示すように、発熱抵抗体22上の
膜気泡32の上部がオリフィス板27の底面に達して、
加圧室19とインク流路21間に、加圧室19内のイン
ク29がインク流路21方向に逆流することを阻止する
圧力溜めの気泡壁を形成する。これにより、インク流路
21方向への逆流を阻止されたインク29は、オリフィ
ス28より外へ強力に押し出され、同図(d) に示すよう
に、インク滴29bとなって、不図示のパージ用インク
吸収部材に向けて勢い良く吐出される。
【0034】この後、上記の成長した膜気泡は周囲のイ
ンクに熱を取られて収縮し、消滅する。インク滴29b
が飛び出した直後のインク29は、オリフィス28の底
部でメニスカス29aを形成しているが、このメニスカ
ス29aはインク29が外部からインク流路21に補充
されることにより、オリフィス28内を上昇して、同図
(a) の待機状態に復帰する。
【0035】このように、二つの発熱抵抗体17及び2
2により二つの膜気泡31及び32を生成して、一方の
膜気泡32で圧力溜めの気泡壁を形成して他方の膜気泡
31の圧力エネルギーをオリフィス28へ集中させるの
で、吐出力が強力となり、蒸発・乾燥によって粘性が高
くなったインクでも容易に空吐出して、インク目詰まり
したオリフィスを回復させることができる。
【0036】図3は、上記の発熱抵抗体17又は発熱抵
抗体22と同様の発熱体に駆動パルスを印加したとき
の、膜気泡の発生から消滅に至る時間経過を示す図であ
る。この実験は、水深1mm(ミリメータ)のオープン
プール33内に形成した発熱抵抗体34に駆動パルスを
印加して行なっており、同図は、駆動パルスを印加した
時点を0秒として、発熱抵抗体17の発熱による膜気泡
の成長と消滅の過程を1〜6μs(マイクロ秒)まで、
1μs毎に示している。
【0037】上記の発熱抵抗体34には、15×15μ
m、20×20μm、25×25μmの3種類のサイズ
のものを形成して夫々実験を行ったが、膜気泡の成長及
び消滅の時間経過は3種類とも同じであった。この実験
によれば、1μs幅のパルスを印加すると、同図に示す
ように、その1μs後、つまり印加パルスを止めた直後
から膜気泡が成長を開始し、3μs〜4μs後に最大サ
イズになり、6μs後には僅かのサイズに縮小し、7μ
sには完全に消滅した。
【0038】このような膜気泡の成長及び消滅の時間経
過に基づいて、上述した二つの発熱抵抗体17及び22
の駆動に時間的ずれを持たせると、目詰まりインクを空
吐出を更に強力に行なわせることができる。これを第2
の実施の形成として以下に説明する。
【0039】図4(a) 〜(d) は、第2の実施の形態にお
けるヘッドクリーニング処理時におけるより強力な空吐
出の状態を示す図である。同図に示すヘッドクリーニン
グ処理では、図2のように二つの発熱抵抗体17及び2
2を同時に駆動するのではなく、タイミングを異ならせ
て駆動する。
【0040】すなわち、図4(a) に示す図2(a) の場合
と同様の待機状態から、この場合も二つの発熱抵抗体1
7及び22に駆動パルスを印加して発熱させる。駆動パ
ルスの印加幅は1μsである。ただしこの場合は、イン
ク流路21側の発熱抵抗体22への駆動パルス印加のタ
イミングを、加圧室19内の発熱抵抗体17に対する駆
動パルス印加のタイミングよりも1μs速く行なってい
る。
【0041】これにより、同図(b) に示すように、発熱
低抗体22の上には、発熱低抗体17よりも1μs早く
膜気泡32′が発生して、発熱低抗体17上に1μs遅
く発生した膜気泡31′が成長して2μs後にオリフィ
ス28内のインク29を押し出し始めたときは、発熱低
抗体22上の成長した膜気泡32′は、発生後3μs経
過して最大サイズとなっており、その上部が既にオリフ
ィス板27の底面に達して、ここに強力な圧力溜めの気
泡壁を形成してインク流路21と加圧室19を完全に遮
断している。
【0042】これにより、加圧室19内の発熱抵抗体1
7上に発生した膜気泡31′による圧力エネルギーは、
四方を塞がれてオリフィス28方向に集中し、更に同図
(c)に示すように1μs経過してなお最大サイズを維持
している膜気泡32′により依然として四方を塞がれ
て、1μs遅れて最大サイズに達した膜気泡31′によ
り最大となった圧力エネルギーは、より強力且つより高
速に、インク29をオリフィス28から押し出して、同
図(d) に示すように、インク滴29bとして、不図示の
パージ用インク吸収部材に向けて勢い良く吐出させる。
【0043】ところで、一般に、ヘッドクリーニング処
理における上記のパージは、実際にオリフィスにインク
目詰まりが発生しているいないに拘らず一定時間毎に行
われ、また、全オリフィスに対して一律に行なわれる。
これでは、ヘッドクリーニング処理に消耗されるインク
の量が多くなって問題がある。
【0044】そこで各オリフィス毎に個別にインク吐出
状態を調べて、インク目詰まりを起しているオリフィス
だけを対象にしたクリーニング処理を行なうようにでき
れば、空吐出によるインクの消耗を低く抑えることがで
きる。これを実現した第3の実施の形態を以下に説明す
る。
【0045】図5(a) は、第3の実施の形態における印
字ヘッドのインク吐出面(オリフィス板の面)を模式的
に示す平面図であり、同図(b) は、そのオリフィス板を
除去して内部構成の主要部を拡大して示す図、同図(c)
は、同図(a) のF−F′断面矢視拡大図である。尚、同
図(a),(b),(c) には、図1(a),(b),(c) と同一の構成部
分には図1(a),(b),(c) と同一の番号を付与して示して
いる。
【0046】この第3の実施の形態における印字ヘッド
35は、図5(b),(c) に示すように、加圧室19内の発
熱抵抗体17とインク流路21側の発熱抵抗体22との
間のインク流路21内に位置し、発熱抵抗体22の並設
方向に平行して延在する圧電素子36が配設されてい
る。尚、その他の構成は図1(a),(b),(c) に示した印字
ヘッド15の構成と同一である。
【0047】この図5(a),(b),(c) に示す構成におい
て、ヘッドクリーニング処理時には、先ず、発熱抵抗体
17を1個づつ駆動してオリフィス28からインクを吐
出させ、このときの圧電素子36からの信号を検出す
る。オリフィス28内のインクが増粘していると、イン
クの吐出が不安定になったり、吐出が出来ない状態にな
るから、上記のように吐出したときにインク流路21に
発生する圧力、すなわち、インク流路21内のシリコン
基板16の表面に加わる圧力は、正常な吐出を行なった
ときの圧力とは異なってくる。すなわち、圧電素子36
から検出される信号波形が正常な吐出を行なったときの
検出波形に対して変化する。
【0048】予め正常に吐出されたときの検出波形をプ
リンタ本体内のメモリ等に保存しておき、ヘッドクリー
ニング処理時に、上記のように発熱抵抗体17を1個づ
つ駆動してオリフィス28からインクを吐出させて、圧
電素子36から検出される信号波形とメモリに保存され
ている正常吐出時の検出波形とを比較していく。そし
て、正常吐出時の検出波形と異なる信号波形を認識した
ときは、そのオリフィス28は正常な吐出をしていない
と判断する。
【0049】そこで図4に示した第2の実施の形態にお
けるヘッドクリーニング処理と同様の、より強力な空吐
出を上記正常な吐出をしていないと判断したオリフィス
のみに対して行って、増粘しているインクを全て吐出し
て排除する。このようにすれば、正常な吐出をしなくな
ったオリフィスのみに対して適時適時に回復吐出を行な
わせることができ、ヘッドクリーニング処理におけるイ
ンクの消耗を低減させることができる。
【0050】図6は、発熱抵抗体17(又は発熱抵抗体
22、以下同様)に印加する駆動信号のパルス幅と、そ
の駆動によって発生する膜気泡の大きさとの関係を示す
特性図である。同図は横軸に印加パルス幅を示し、縦軸
に、それぞれの印加パルス幅において電圧を変えてエネ
ルギーを変化させ、膜気泡が最大の大きさになったとき
のその膜気泡の大きさを示している。同図から、印加パ
ルス幅を広くしていくと膜気泡の大きさを大きくするこ
とができることが判明する。
【0051】また、特には図示しないが、印加パルス幅
と吐出速度の関係を調べるために、発熱抵抗体を25μ
m×25μm、隔壁の高さを10μm、オリフィス板の
厚さを17μm、オリフィスの直径を20μmに夫々設
定して実験してみると、印加パルス幅が1μsのときに
は最大で12.5m/sの吐出速度が得られ、印加パル
ス幅が2μsのときには最大で13.6m/sの吐出速
度が得られた。つまり、印加パルス幅を長く設定するこ
とに応じてより強い吐出力を得ることができることが判
明した。
【0052】しかし、印加パルス幅を長くすると、それ
だけ印字に時間がかかることになってしまうから、この
ように印加パルス幅を長くして強い吐出力を得る方法
は、ヘッドクリーニング処理等の日常的には行わない短
い時間で終了する処理時に行なうようにすると良い。
【0053】すなわち、通常の印字時には印加パルス幅
を1μsとして印字を行い、第1〜第3の実施の形態に
おけるヘッドクリーニング処理時には、必要なとき例え
ばインクの粘性が極めて高くなっているときに、二つの
発熱抵抗体を駆動することに加えて加圧室内の発熱抵抗
体への印加パルス幅を2μsとすることにより、オリフ
ィス内の増粘したインクをより強力により完全に除去す
ることができる。
【0054】尚、本発明におけるオリフィスのインク目
詰まりの回復を行なう印字ヘッドの構成は、サーマルイ
ンクジェットヘッドに限定することなく、ピエゾ式のイ
ンクジェットヘッドにも適用可能である。
【0055】また、上述した第1〜第3の実施の形態で
は、いずれもインク流路側の複数の発熱抵抗体を直列に
接続する構成で説明ているが、インク流路側の複数の発
熱抵抗体の接続方法は、これに限ることなく、並列に接
続しても良い。また、加圧室内の発熱抵抗体と同様に、
1個ずつ独立に電極を接続してもよい。
【0056】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、加圧室内の発熱抵抗体の他にインク流路側にも発
熱抵抗体を設けて、ヘッドクリーニング時にのみ加圧室
内の発熱抵抗体と共にインク流路側の発熱抵抗体をも駆
動することにより、インク流路側の発熱抵抗体により形
成される気泡壁によって通常の印字よりも強力なインク
吐出を行わせるので、オリフィスに滞留する増粘したイ
ンクを容易に吐出して排除することができ、これによ
り、オリフィスのインク目詰まりを完全に回復させて常
に良好な印字画像を形成することができる。
【0057】また、圧力センサを設けて、オリフィスの
インク目詰まりを個別に検出し、この検出に基づいて、
正常な吐出をしなくなったオリフィスのみを対象として
二つの発熱抵抗体を駆動する強力な回復吐出を行なうの
で、ヘッドクリーニング時のインクの消耗を低減させる
ことができて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は第1の実施の形態におけるインクジェッ
トプリントヘッド(印字ヘッド)のインク吐出面(オリ
フィス板)を模式的に示す平面図、(b) はそのオリフィ
ス板を除去して内部構成の主要部を拡大して示す図、
(c) は(a) のD−D′断面矢視拡大図である。
【図2】(a) 〜(d) は第1の実施の形態におけるヘッド
クリーニング処理時における強力な空吐出の動作を示す
図である。
【図3】オープンプールによる実験で発熱抵抗体に駆動
パルスを印加したときの膜気泡の発生から消滅に至る時
間経過を示す図である。
【図4】(a) 〜(d) は第2の実施の形態におけるヘッド
クリーニング処理時におけるより強力な空吐出の状態を
示す図である。
【図5】(a) は第3の実施の形態における印字ヘッドの
インク吐出面(オリフィス板)を模式的に示す平面図、
(b) はそのオリフィス板を除去して内部構成の主要部を
拡大して示す図、(c) は(a) のF−F′断面矢視拡大図
である。
【図6】発熱抵抗体に印加する駆動信号のパルス幅とこ
れによって発生する膜気泡の大きさとの関係を示す特性
図である。
【図7】(a) は従来のルーフシュータ型サーマルインク
ジェット方式の印字ヘッドのインク吐出面を模式的に示
す図、(b) はオリフィス板を除去して(a) の破線Aで示
す部分の内部構成の主要部を拡大して示す図、(c) は
(a) のB−B′断面矢視拡大図である。
【図8】(a),(b),(c) は図7の印字ヘッドのインク吐出
動作を示す図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 発熱低抗体 3、3−1 隔壁 4 インク流路 5 加圧室 6 オリフィス板 7 オリフィス 8 インク供給溝 9 インク供給孔 11、11b インク 11a メニスカス 11c インク滴 12 膜気泡 15 印字ヘッド 16 シリコン基板 17 発熱抵抗体 18 隔壁 18a、18b シール隔壁 18c 区画隔壁 19 加圧室 21 インク流路 22 発熱抵抗体 23 配線材 24 給電電極 25 インク供給溝 26 インク供給孔 27 オリフィス板 28 オリフィス 29 インク 29a メニスカス 29b インク滴 31、32、31′、32′ 膜気泡 33 オープンプール 34 発熱抵抗体 35 印字ヘッド 36 圧電素子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上の所定方向に並んで配設され液体
    を吐出させるための圧力エネルギーを発生させる複数の
    第1のエネルギー発生素子と、前記基板上に立設され各
    第1のエネルギー発生素子により前記液体に圧力を加え
    る加圧室をそれぞれ区画形成する隔壁と、該隔壁に重畳
    して設けられインク吐出用のオリフィスが空けられたオ
    リフィスプレートと、前記加圧室にインクを供給するイ
    ンク流路とを有し、前記第1のエネルギー発生素子の駆
    動により液体を所定方向に吐出させて記録媒体上に記録
    を行うインクジェットプリントヘッドにおいて、 前記複数の第1のエネルギー発生素子の前記インク流路
    側に近接して設けられた第2のエネルギー発生素子と、 該第2のエネルギー発生素子と前記第1のエネルギー発
    生素子とを駆動する駆動手段と、 を備え、 該駆動手段は、前記オリフィスのインク目詰まり時に前
    記第2のエネルギー発生素子と前記第1のエネルギー発
    生素子とを駆動して、前記オリフィスに目詰まりしたイ
    ンクを吐出させることを特徴とするインクジェットプリ
    ントヘッド。
  2. 【請求項2】 前記第2のエネルギー発生素子は、直列
    に接続されていることを特徴とする請求項1記載のイン
    クジェットプリントヘッド。
  3. 【請求項3】 前記第2のエネルギー発生素子は、並列
    に接続されていることを特徴とする請求項1記載のイン
    クジェットプリントヘッド。
  4. 【請求項4】 前記駆動手段は、前記第2のエネルギー
    発生素子を駆動した後に前記第1のエネルギー発生素子
    を駆動することを特徴とする請求項1記載のインクジェ
    ットプリントヘッド。
  5. 【請求項5】 前記第1のエネルギー発生素子の動作状
    態を検知する検知手段を更に有することを特徴とする請
    求項1記載のインクジェットプリントヘッド。
JP33315699A 1999-11-24 1999-11-24 インクジェットプリントヘッド Withdrawn JP2001150679A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33315699A JP2001150679A (ja) 1999-11-24 1999-11-24 インクジェットプリントヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33315699A JP2001150679A (ja) 1999-11-24 1999-11-24 インクジェットプリントヘッド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001150679A true JP2001150679A (ja) 2001-06-05

Family

ID=18262924

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33315699A Withdrawn JP2001150679A (ja) 1999-11-24 1999-11-24 インクジェットプリントヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001150679A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7328982B2 (en) 2004-03-31 2008-02-12 Fujifilm Corporation Liquid droplet discharge head, liquid droplet discharge device, and image forming apparatus
CN100441415C (zh) * 2001-08-29 2008-12-10 精工爱普生株式会社 液体喷出装置及其驱动方法
CN102950896A (zh) * 2011-08-25 2013-03-06 佳能株式会社 液体喷出头和液体喷出方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100441415C (zh) * 2001-08-29 2008-12-10 精工爱普生株式会社 液体喷出装置及其驱动方法
US7328982B2 (en) 2004-03-31 2008-02-12 Fujifilm Corporation Liquid droplet discharge head, liquid droplet discharge device, and image forming apparatus
CN102950896A (zh) * 2011-08-25 2013-03-06 佳能株式会社 液体喷出头和液体喷出方法
US8833909B2 (en) 2011-08-25 2014-09-16 Canon Kabushiki Kaisha Liquid ejection head and liquid ejection method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1413441B1 (en) Ink jet printer and method of controlling it
US5107276A (en) Thermal ink jet printhead with constant operating temperature
KR100416459B1 (ko) 잉크젯프린터및그구동방법
US20010043243A1 (en) Ink-jet head, and ink-jet-head cartridge, an ink-jet apparatus and an ink-jet recording method used in gradation recording
JP5226237B2 (ja) 液滴噴射装置
JP2007160819A (ja) 液滴吐出装置
JP2000190528A (ja) インクジェット記録装置
JP4735288B2 (ja) 液滴噴射装置
JP2001150679A (ja) インクジェットプリントヘッド
JPH1029321A (ja) インクジェットプリント装置およびプリント方法
JP2003266667A (ja) インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法
JP2001225485A (ja) 液体噴射装置
JP2005131829A (ja) 液体吐出性能維持方法及び液体吐出装置
JPH10181021A (ja) インクジェットヘッド、インクジェットプリント装置、およびインクジェットプリント方法
JP4311026B2 (ja) インク吐出ヘッド制御装置、及びインク吐出装置
JPH03256749A (ja) インクジェット記録装置
JP2001001555A (ja) インクジェットプリンタ
JP6615303B2 (ja) 流体噴射装置
JP3302401B2 (ja) インクジェットの駆動装置及びインクジェットの駆動方法
JP3381761B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド、グラッフィックデータの印刷方法、及びインク滴吐出能力回復方法
JP2984415B2 (ja) 発熱素子を用いたインクジェット記録装置
JP2002178533A (ja) インクジェット記録装置
JPH1110878A (ja) インクジェットプリントヘッドおよびインクジェットプリント装置
JP2682993B2 (ja) インクジエツト記録装置
JP3165706B2 (ja) インクジェット記録方法及び該方法を利用したインクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070206