JP2004181777A - ポリアミド系フィルムロールおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリアミド系フィルムを巻取ってなるフィルムロールであって、フィルムの巻き終わりから2m以内に1番目の試料切り出し部を、また、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設けると共に、1番目の試料切り出し部から約100m毎に試料切り出し部を設け、切り出された各試料について、23℃、65%RHにおける静摩擦係数を測定してその平均値を算出したときに、平均静摩擦係数が0.35以下であり、全ての試料の静摩擦係数が、平均静摩擦係数±0.10以内の範囲であることを特徴とするポリアミド系フィルムロール。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリアミド系フィルムを巻き取ってなるフィルムロールに関し、さらに詳しくはポリアミド系フィルムロール内での無機粒子量の変動により発生する生産工程でのフィルムロールの巻状態の不良、後加工の工程でのフィルムの蛇行やシワ発生が極めて少ないポリアミド系フィルムロールおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ナイロン6やナイロン66に代表される、ポリアミド系樹脂からなるフィルムは、他の一般的な重合体からなるフィルムに比べ、強度やガスバリヤー性に優れているので、食品包装、特に、含水物包装などの包装材料として使用したときに内容物の変質を防ぎ、さらには、輸送時における振動や衝撃による破袋を防止するなどに効果があるので各種の包装材料として広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のポリアミド系樹脂からなるフィルムは、高湿度雰囲気下における滑り性が悪く、印刷やラミネートなどの加工工程において、シワの発生などによる印刷不良やラミネート不良などのトラブルが多く、フィルム加工時の操業性を向上させることができないという問題点があった。この問題を解決するために、従来、ポリアミド系フィルムに粒子径の異なる無機粒子を含有するポリアミド系樹脂を混合して用いたり、高濃度の無機粒子を含有するポリアミド系樹脂を混合することが行われてきた。
【0004】
しかしながら、フィルムの製造工程、印刷やラミなどの工程において、滑り性を改良するために添加されたフイルム中の無機粒子量の変動によって、滑り性に非常に大きな変動が生じ、ロールの巻形状が不良になったり、周期的にシワが発生したりする問題があった。
本発明は、上記従来のポリアミド系樹脂からなるフィルムの有する問題点を解決し、包装用フィルムとして必要なフィルム品質である、滑り性、透明性に優れ、各種の包装材料として使用したときに印刷やラミネートなどを行う工程における加工適性が良好であって、加工不良を低減させた、包装用途に適したポリアミド系フィルムロールおよびその製造方法を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリアミド系フィルムロールは、ポリアミド系フィルムを巻取ってなるフィルムロールであって、フィルムの巻き終わりから2m以内に1番目の試料切り出し部を、また、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設けると共に、1番目の試料切り出し部から約100m毎に試料切り出し部を設け、切り出された各試料について、23℃、65%RHにおける静摩擦係数を測定してその平均値を算出したときに、平均静摩擦係数が0.35以下であり、全ての試料の静摩擦係数が、平均静摩擦係数±0.10以内の範囲であることを特徴とするポリアミド系フィルムロールである。
【0006】
ポリアミド系フィルムを構成するポリアミドが、ナイロン6であることが、包装用に用いられるフィルムとしては、強度やガスバリヤー性に優れているので、食品包装、特に、含水物包装などの包装材料として使用したときに内容物の変質を防ぎ、さらには、輸送時における振動や衝撃による破袋を防止するなどに効果があるので各種の包装材料として好ましい。
ポリアミド系フィルムが、2種以上の無機粒子の種類又は量が異なるポリアミドの混合物から形成されているものであることが好ましい。この場合、特に、滑り性を改良するために添加された滑材の含有率の変動に起因するフィルムの滑り性の変動、特に高湿化での滑り性の変動が起こり易く、本発明を適用する意義があるからである。
【0007】
ポリアミド系フィルムが、幅200mm以上、長さ300m以上である場合も、本発明を適用しないとフィルムの組成変動が起こり易く、本発明を適用する意義があり、また、上記幅および長さを有するフィルムは、前述の印刷から最終製品までの加工工程における加工適性およびハンドリング性において優れているため、本発明の好ましい実施態様である。
【0008】
上記本発明の組成変動の小さいポリアミド系フィルムロールを得るための好ましい製造方法は、使用量の最も多いポリアミドと、このポリアミドとは無機粒子の種類又は量が異なる他のポリアミド1種以上を混合して溶融押出する工程を含むポリアミド系フィルムロールを製造する方法であって、使用される各ポリアミドの原料チップの形状を、長径および短径を有する楕円断面を有する楕円柱状とし、使用量の最も多いポリアミド以外のポリアミドの原料チップを、使用量の最も多いポリアミドの原料チップの平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対し、それぞれ±20%以内の範囲に含まれる平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)のものとするところに要旨を有する。
【0009】
また、原料チップ供給部として漏斗状ホッパを備えた押出機を用いてフィルムを溶融押出する工程を含む場合には、前記ホッパの傾斜角を65゜以上にすることも好ましい実施態様である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリアミド系フィルムロールは23℃、65%RHにおける静摩擦係数を測定してその平均値を算出したときに、平均静摩擦係数が0.35以下であり、全ての試料の静摩擦係数が、平均静摩擦係数±0.10以内の範囲である。
【0011】
このときの試料フィルムの選択基準は、次の通りである。まず、フィルムの巻き終わりから2m以内に1番目の試料切り出し部を、また、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設けると共に、1番目の試料切り出し部から約100m毎に試料切り出し部を設ける。なお、「約100m毎」というのは、100m±1m程度のところで試料を切り出しても構わないという意味である。
【0012】
上記要件をより詳細に説明する。例えば、長さ498mのポリアミド系フィルムがロールに巻回されている場合、フィルムの巻き終わりから2m以内までの間で、最初の試料▲1▼を切り取る。なお、正方形の切り取り方向は、便宜上、フィルムの長手方向に沿う辺と、長手方向と直交する方向に沿う辺を有するように切り取る(斜めには切り取らない)こととする。続いて、切り取った部分から100m離れたところで、2番目の試料▲2▼を切り取る。同様にして、200m目で3番目の試料▲3▼を、300m目で4番目の試料▲4▼を、400m目で5番目の試料▲5▼を切り取る。ここで、残りは100mよりも短くなるため、6番目(最終)の試料▲6▼はフィルムの巻き始めから2m以内のいずれかの部分を切り取る。 そして、切り取られた各試料について、上記方法で、静摩擦係数を測定する。平均静摩擦係数がXで、試料▲1▼の静摩擦係数がY1(%)であるとすると、|X−Y1|(X−Y1の絶対値)が0.10よりも小さく、試料▲2▼〜▲6▼についての熱収縮率Y2〜Y6(%)においても同様に、|X−Yn|がいずれも0.10よりも小さいことが、平均静摩擦係数±0.10以内の範囲にあるという意味である。換言すれば、Ynの最大値YmaxとXとの差と、最小値YminとXとの差のいずれもが±0.10以内であれば、本発明の要件を満足する。
このように、1本のポリアミド系フィルムロールにおける静摩擦係数の変動を小さくすることで、ロールの巻形状が不良になったり、周期的にシワが発生することを防止でき、後加工の工程でのフィルムの蛇行やシワ発生が極めて少なくできる。
【0013】
本発明において使用されるポリアミド樹脂として、例えばε−カプロラクタムを主原料としたナイロン6が挙げられる。その他のポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、ω−アミノ酸、二塩基酸とジアミンなどの重縮合によって得られるポリアミド樹脂が考えられる。具体的には、ラクタム類としては先に示したε−カプロラクタムの他に、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、ω−アミノ酸類としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、二塩基酸類としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸、またジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミンなどが挙げられ、これらを重縮合して得られる重合体またはこれらの共重合体、例えばナイロン6、7、11、12、6.6、6.9、6.11、6.12、6T、6I、MXD6、6/6.6、6/12、6/6T、6/6I、6/MXD6などが挙げられる。
【0014】
本発明において用いる無機粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、アルミナ、ゼオライトなどが挙げられ、さらにこれらの微粒子の表面に種々のコーティング処理等を実施したものを使用することも可能である。また、これらの無機粒子の形状は、球状、立方体状、円柱状、円錐状、円盤状、不定形などであり、フィルムの利用目的に応じて使用することができる。
【0015】
ポリアミド系樹脂に無機粒子を添加する方法としては、重合時の添加や、押し出し機で溶融押出し時に添加してマスターバッチ化し、このマスターバッチをフィルムの生産時にポリアミド系樹脂に添加して使用するなどの公知の方法により行うことができる。
滑り性に優れたフィルムを得るためには2種類以上の無機粒子を組合せることや高濃度に無機粒子を含有するマスターバッチを使用することが好ましい。
【0016】
これらの無機粒子の平均粒子径は、必要とされる滑り性や透明性に応じて設定することがでる。本発明のポリアミド系積層フィルムを包装材料として使用する場合、無機粒子は平均粒子径が0.5μmから3.0μmのものが使用され、好ましくは0.8μmから2.5μmである。無機粒子の平均粒子系が0.5μmより小さいと十分な滑り性を得ることが出来ず、3.0μmより大きいと透明性が不良になったり、印刷時に抜けが発生する問題が発生するので好ましくない。
無機粒子の含有量は要求される透明性や滑り性によって決定されるが、好ましくは0.10〜2.00重量%であり、更に好ましくは0.20〜1.00重量%である。無機粒子の含有量が0.10重量%未満では滑り性の改良効果が少なく、2.00重量%を越えると、透明性の不良や、製造工程でのフィルター昇圧の増加などの問題が発生するため好ましくない。
【0017】
次に、本発明のポリアミド系フィルムロールを得るための好ましい製造方法について説明する。ブレンド方式では、組成の異なる複数の原料ポリアミドチップをホッパ内でブレンドした後、溶融混練して押出機から押出して、フィルム化する。例えば、原料となるポリアミドが3種類ある場合、3個のホッパにそれぞれのポリアミドチップを連続式あるいは間欠式に供給し、必要に応じて緩衝ホッパを介して、最終的には、押出機直前あるいは直上のホッパ(便宜上「最終ホッパ」という)で3種類のポリアミドチップを混ぜながら、押出し機の押出量に合わせて原料チップを定量的に押出機に供給してフィルムを形成する。
ところが、最終ホッパの容量あるいは形状によっては、最終ホッパ内のチップ量が多い場合と残量が少なくなった場合に、最終ホッパから押出機へと供給されるチップの組成が異なってくるという原料偏析の現象が発生していることが本発明者等によって見出された。この問題は、各種ポリアミドチップの形状あるいは比重が異なっている場合、特に、顕著に現れる。その結果、長尺フィルムの滑り性が変動してしまうのである。
【0018】
滑り性の変動の少ないフィルムを得るためには、フィルムを構成するポリアミドの無機粒子添加量の変動を低減する手段として、使用する複数種のポリアミドチップの形状を合わせて、最終ホッパ内での原料偏析の現象を抑止することが好ましい。
ポリアミドの原料チップは、通常、重合後に溶融状態で重合装置よりストランド状で取り出され、直ちに水冷された後、ストランドカッターでカットされて形成される。このため、ポリアミドのチップは、通常、断面が楕円形の楕円柱状となる。このとき、使用量の最も多いポリアミドチップに混合される他のポリアミドチップとして、使用量の最も多いポリアミドの原料チップの断面楕円の平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対して、それぞれ±20%以内の範囲であるものを用いれば、上記原料偏析を低減させ得ることを突き止めた。これらの平均値がそれぞれ±15%以内の範囲のものを用いることがより好ましい。なお、特に限定されないが、使用量の最も多いポリアミドに対して、それよりも使用量の少ない他のポリアミドとして、無機粒子添加量の多いポリアミドを用いるようにすることが好ましい。
チップの大きさに違いがあると、最終ホッパ内をチップの混合物が落下していくときに、小さいチップは先に落下し易いため、最終ホッパ内のチップ残量が少なくなると、大きいチップの比率が多くなって、これが原料偏析の原因になるのである。しかし、上記範囲内のチップを用いることで、これらの原料偏析を低減させることができた。
【0019】
また、最終ホッパとして漏斗状ホッパを用い、その傾斜角を65゜以上にすることで、大きいチップも小さいチップと同様に落とし易くすることができ、内容物の上端部が水平面を保ちつつ下降していくため、原料偏析の低減に効果的である。より好ましい傾斜角は70゜以上である。なお、ホッパの傾斜角とは、漏斗状の斜辺と、水平な線分との間の角度である。最終ホッパの上流に複数のホッパを使用してもよく、この場合、いずれのホッパにおいても、傾斜角を65゜以上、より好ましくは70゜以上とするとよい。
【0020】
使用する原料チップの削れ等により発生する微粉体の比率を低減することも、無機粒子添加量の含有率の変動を抑制するために好ましい。微粉体が原料偏析の発生を助長するので、工程内で発生する微粉体を除去して、ホッパ内に含まれる微粉体の比率を低減することが好ましい。含まれる微粉体の比率は、原料チップが押出機に入るまでの全工程を通じて、1質量%以内に制御することが好ましく、0.5質量%以内に制御することがさらに好ましい。具体的には、ストランドカッターでチップ形成時に篩を通す方法、原料チップを空送等する場合にサイクロン式エアフィルタを通す方法等により、微粉体を除去すればよい。
また、ホッパ内での原料偏析を低減する手段として、使用するホッパの容量を適正化することも好ましい手段である。ここで、ホッパの適正な容量としては、(押出機の1時間当たりの吐出量)の15〜120質量%の範囲内である。(押出機の1時間当たりの吐出量)の20〜100質量%の範囲内がより好ましい。
【0021】
2種以上の組成の異なるポリアミドの原料チップを混合する方法としては、押出機直上のホッパ(最終ホッパ)で各原料を連続的に押出機へ定量供給しながら、混合する方法が最も好ましい。また、原料チップサイズを前述の範囲内に制御したものを予め混合した後、いくつかの中間(緩衝)ホッパを介して、最終ホッパおよび押出機に供給してもよい。複数種の原料を混合する際には、原料チップを連続的に定量供給する装置から、ホッパ内に複数種の原料を定量的に供給しながら混合する方法、あるいは、ブレンダー等を使用して事前に混合する方法等があるが、後者の場合には、混合物の排出時に原料偏析が発生しないように、原料チップサイズ等に留意することが好ましい。
【0022】
具体的なフィルムの製造方法としては、前記好ましい範囲の大きさに制御した原料チップをホッパドライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥し、押出機を用いて200〜300℃の温度でフィルム状に押し出す。あるいは、未乾燥のポリアミド原料チップをベント式押出機内で水分を除去しながら同様にフィルム状に押し出す。押出しに際してはTダイ法、チューブラ法等、既存のどの方法を採用しても構わない。押出し後は、急冷して未延伸フィルムを得る。
延伸方式としては、Tダイ法逐次ニ軸延伸が好ましく、滑り性、透明性に優れ、各種の包装材料として使用したときに印刷やラミネートなどを行う工程における加工適性が良好であり、包装用袋として用いられた場合の輸送時の耐破袋性に優れた物とするためには縦延伸を高温高倍率で実施する工程を含むことが好ましい。更に横延伸の終了時のフィルム温度と熱固定温度の差が50℃以下にすることが好ましい。、ポリアミド系フィルムを得る。
【0023】
フィルムロールの幅および巻長の上限は特に制限されるものではないが、取扱い易さの点から、一般的には幅2200mm以下、巻長はフィルム厚み15μmの場合に40000m以下が好ましい。また、巻取りコアとしては、通常、3インチ、6インチ、8インチ等の紙、プラスチックコアや金属製コアを使用することができる。
また、本発明のポリアミド系フィルムロールを構成するフィルムの厚みは特に限定するものではないが、例えば包装用ポリアミド系フィルムとしては、8〜50μmが好ましく、10〜30μmがさらに好ましい。
【0024】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。なお、実施例および比較例で得られたフィルムの物性の測定方法は、以下の通りである。
【0025】
(1)静摩擦係数
JIS K−7125に準じ、フィルムの表面層同士の静摩擦係数を、23℃、65%RHの恒温恒湿槽で24時間調湿した後、直ちに、23℃、65%RH環境下で測定した。得られた静摩擦係数の平均値、最大値、最小値をそれぞれもとめた。
【0026】
(2)加工適性
グラビア式印刷機を使用し、24℃、70%RH環境下で、フィルムの走行速度を100m/minとし、走行可能な下限の張力下で1000m巻き返し、加工適性を次の様に評価した。
○:ロールにシワの発生または傷の発生がなく、加工適性は良好
△:ロールの端部に時々、シワが発生し加工条件の調整が必要または弱い傷が発生
×:ロールの端部と中央部にシワが発生し、加工条件を調整してもなくならないまたはきつい傷が発生
【0027】
表1に実施例、比較例で使用したチップを示す。
【0028】
【表1】
【0029】
(実施例1)
ナイロン6(相対粘度=2.8)が97.00重量%、シリカ(平均粒子系3.0μm)3.00重量%からなるチップAおよびナイロン6(相対粘度=2.8)が96.15重量%、ポリメタキシリレンアジパミド(相対粘度=2.1)が3.00重量%、エチレンビスステアリン酸アマイドが0.15重量%、シリカ(平均粒子径1.8μm)0.70重量%からなるチップBを別個に予備乾燥した。表1に示したように、押出機直上のホッパに定量スクリューフィーダーで連続的に別々にチップAを5.0重量%、チップBを95.0重量%供給しながら、このホッパ内で混合し、270℃で単軸式押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ257μmの未延伸フィルムを得た。ホッパは、原料チップが150kg入る容量を有しており、押出機の吐出量は、1時間あたり450kgである。また、ホッパの傾斜角は70゜であった。
【0030】
得られた未延伸シートを縦方向にテフロン(登録商標)製ロールで105℃に加熱し2.5倍延伸し、次いでセラミック製ロール95℃に加熱し1.5倍延伸し、更にセラミック製ロールで80℃に加熱し1.2倍延伸した。続いてテンターにおいて110℃に予熱し、フィルム温度を更に215℃まで昇温させながら横方向に3.8倍延伸した。その後、220℃で熱固定処理を実施し、15μmの二軸延伸フィルムを1000m以上に亘って連続的に製膜した。フィルムを1000m連続製造したときのフィルム表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±0.8℃、延伸工程で平均温度±0.6℃、熱処理工程で平均温度±0.5℃の範囲内であった。得られたフィルムを幅400mm、長さ1000mにスリットして、3インチ紙管に巻き取り、ポリアミド系フィルムロールを得た。得られたフィルムロールのフィルムの物性値を表2に示す。
【0031】
(実施例2)
各チップを別個に予備乾燥し、押出機直上のホッパに、定量スクリューフィーダーで連続的に別々に実施例1に示したチップAを3.0重量%、チップBを97.0重量%供給しながら、このホッパ内で混合し、280℃で単軸式押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。ホッパは、原料チップが100kg入る容量を有しており、押出機の吐出量は、1時間あたり450kgである。また、ホッパの傾斜角は70゜であった。
【0032】
上記未延伸フィルムを100℃で10秒間予熱した後、テンターで横方向に78℃で4.0倍延伸し、続いて82℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmのポリアミド系フィルムを1000m以上に亘って連続的に製膜した。フィルムを1000m連続製造したときのフィルム表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±0.8℃、延伸工程で平均温度±0.5℃、熱処理工程で平均温度±0.5℃の範囲内であった。得られたフィルムを幅400mm、長さ1000mにスリットして、3インチ紙管に巻き取り、ポリアミド系フィルムロールを得た。得られたフィルムロールのフィルムの物性値を表2に示す。
【0033】
(比較例1)
各チップを別個に予備乾燥し、押出機直上のホッパに、定量スクリューフィーダーで連続的に別々に実施例1に示したチップAを1.0重量%、チップBを99.0重量%供給しながら、このホッパ内で混合し、280℃で単軸式押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。ホッパは、原料チップが100kg入る容量を有しており、押出機の吐出量は、1時間あたり450kgである。また、ホッパの傾斜角は70゜であった。
【0034】
上記未延伸フィルムを100℃で10秒間予熱した後、テンターで横方向に78℃で4.0倍延伸し、続いて82℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmのポリアミド系フィルムを1000m以上に亘って連続的に製膜した。フィルムを1000m連続製造したときのフィルム表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±0.8℃、延伸工程で平均温度±0.5℃、熱処理工程で平均温度±0.5℃の範囲内であった。得られたフィルムを幅400mm、長さ1000mにスリットして、3インチ紙管に巻き取り、ポリアミド系フィルムロールを得た。得られたフィルムロールのフィルムの物性値を表2に示す。
【0035】
(比較例2)
表1に示した配合において予備乾燥した混合チップを、押出機直上のホッパにバッチ式で、ホッパ内のチップが無くなりかけたときに30Kg程度供給を繰り返した。280℃で単軸式押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。ホッパは、原料チップが100kg入る容量を有しており、押出機の吐出量は、1時間あたり450kgである。また、ホッパの傾斜角は60゜であった。後は、実施例1と同様にして、厚さ15μmのポリアミド系フィルムが1000m巻回されたポリアミド系フィルムロールを得た。得られたフィルムロールのフィルムの物性値を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
本発明のポリアミド系フィルムロールは、ポリアミド系フィルムロール内での無機粒子量の変動により発生する生産工程でのフィルムロールの巻状態の不良、後加工の工程でのフィルムの蛇行やシワ発生が極めて少ない。また、本発明のポリアミド系フィルムロールの製造方法は容易にフィルムロールの静摩擦係数の変動を小さく出来る、工業生産上において非常に有用なものである。
Claims (6)
- ポリアミド系フィルムを巻取ってなるフィルムロールであって、フィルムの巻き終わりから2m以内に1番目の試料切り出し部を、また、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設けると共に、1番目の試料切り出し部から約100m毎に試料切り出し部を設け、切り出された各試料について、23℃、65%RHにおける静摩擦係数を測定してその平均値を算出したときに、平均静摩擦係数が0.35以下であり、全ての試料の静摩擦係数が、平均静摩擦係数±0.10以内の範囲であることを特徴とするポリアミド系フィルムロール。
- ポリアミド系フィルムを構成するポリアミドが、ナイロン6である請求項1に記載のポリアミド系フィルムロール。
- ポリアミド系フィルムが、2種以上の無機粒子の種類又は量が異なるポリアミドの混合物から形成されているものである請求項1または2に記載のポリアミド系フィルムロール。
- ポリアミド系フィルムが、幅200mm以上、長さ300m以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系フィルムロール。
- 使用量の最も多いポリアミドと、このポリアミドとは無機粒子の種類又は量の異なる他のポリアミド1種以上を混合して溶融押出する工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド系フィルムロールを製造する方法であって、
使用される各ポリアミドの原料チップの形状を、長径および短径を有する楕円断面を有する楕円柱状とし、使用量の最も多いポリアミド以外のポリアミドの原料チップを、使用量の最も多いポリアミドの原料チップの平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)に対し、それぞれ±20%以内の範囲に含まれる平均長径(mm)、平均短径(mm)および平均チップ長さ(mm)のものとすることを特徴とするポリアミド系フィルムロールの製造方法。 - 原料チップ供給部として漏斗状ホッパを備えた押出機を用いてフィルムを溶融押出する工程を含むポリアミド系フィルムロールの製造方法であって、前記ホッパの傾斜角が65゜以上である請求項5に記載のポリアミド系フィルムロールの製造方法。
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