JP2004181374A - 排気ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Tomohiro Oohashi
朋宏 大橋
Kinichi Iwachido
均一 岩知道
Yasuki Tamura
保樹 田村
Osamu Nakayama
修 中山
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Abstract

【課題】排気ガスの浄化性能を向上させた排気ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】第1触媒担体2−1と第2触媒担体2−2とからなる触媒担体2を内部に設置した排気ガス浄化用触媒1において、排気ガス3の流れに対して入口側に第1触媒担体2−1を設置すると共に、出口側に第2触媒担体2−2を設置し、第1触媒担体2−1の排気ガス3の流れ方向に沿った長さを40mm未満とし、第1触媒担体2−1に第2触媒担体2−2よりも多くの貴金属触媒5を担持させ、第2触媒担体2−2の容積を第1触媒担体2−1の容積よりも大きくし、第2触媒担体2−2のセル密度を第1触媒担体2−1のセル密度よりも低密度とすることで、主としてコールドモードにおいて発生するHC(炭化水素)を第1触媒担体2−1において浄化し、主としてホットモードの高負荷時において発生しやすいNOx(窒素酸化物)を第2触媒担体2−2において浄化する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガス浄化用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン等から排出される排気ガスには、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)等の汚染物質が含まれる。近年の排ガス規制強化に伴い、これらの汚染物質を効果的に浄化するため、高い触媒浄化性能を有する排気ガス浄化用触媒の開発が要求されている。
【0003】
一般に、排気ガス浄化用触媒はコージェライト等のセラミックの担体と、それに担持された貴金属とから構成される。ここで、排気ガス浄化用触媒の浄化性能は、触媒担体に担持された貴金属の量に強く依存する。しかしながら、触媒に使用する貴金属は量的に貴重な資源であると共に、これを多量に使用することは製品としての排気ガス浄化用触媒のコスト増加を招く。
【0004】
そこで、排気ガス浄化用触媒をHCを浄化する役割の部分と、NOxを浄化する役割の部分とに分けることで、貴金属触媒の量を最適化し、全体として貴金属触媒の量を少なくした排気ガス浄化用触媒が公開されている(例えば、下記特許文献1〜4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−35585号公報
【特許文献2】
特開平11−22453号公報
【特許文献3】
特開2001−190960号公報
【特許文献4】
実公平7−16013号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
また、その他の排気ガス浄化用触媒の浄化性能を向上させる方法としては、触媒担体の構造について、セル数を増加させる方法が考えられる。セルとは、格子状に仕切られた触媒担体を構成する1個の格子(排気ガスの通路)であるが、一定の面積当たりのセル数、すなわちセルの密度を高くすることにより、触媒担体を通過する排気ガスとセル表面に担持された貴金属触媒との接触確率が大きくなるため、排気ガス浄化性能を向上させることができる。
【0007】
しかしながら、セル密度を高くすることは、排気ガスの通路を狭めることにもなり、例えばエンジンの排圧を上昇させ、出力性能を低下させることになる。
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、使用する貴金属触媒の量の低減およびエンジン等の出力性能の維持を実現すると共に排気ガス浄化性能を向上させた排気ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、第1触媒担体と第2触媒担体とを直列に配設すると共に、前記第1触媒担体に前記第2触媒担体よりも多くの貴金属触媒を担持し、前記第2触媒担体の容積を前記第1触媒担体の容積よりも大きくし、更に、前記第2触媒担体のセル密度を前記第1触媒担体のセル密度よりも低密度とした。
【0010】
主としてコールドモードにおいて発生するHC(炭化水素)を第1触媒担体において浄化し、主としてホットモードにおいて発生しやすいNOx(窒素酸化物)を第2触媒担体において浄化すると共に、NOx浄化にほとんど影響を及ぼさない第2触媒担体のセル密度を比較的低密度として、使用する貴金属触媒の量を低減させると共に、エンジン等の出力性能を確保する。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項2に係る発明では、第1触媒担体と第2触媒担体とを直列に配設すると共に、前記第1触媒担体に前記第2触媒担体よりも多くの貴金属触媒を担持し、前記第2触媒担体の容積を前記第1触媒担体の容積よりも大きく、更に、前記第1触媒担体の排気ガスの流れ方向に沿った長さを40mm未満とした。
【0012】
主としてコールドモードにおいて発生するHC(炭化水素)を第1触媒担体において浄化し、主としてホットモードにおいて発生しやすいNOx(窒素酸化物)を第2触媒担体において浄化すると共に、第1触媒担体の長さをHC浄化浄化効率を考慮した場合に最適な40mm未満として、使用する貴金属触媒の量を低減させると共に、その量を最適化する。
【0013】
上記課題を解決するため、請求項3に係る発明では、第1触媒担体と第2触媒担体とを直列に配設すると共に、前記第1触媒担体に前記第2触媒担体よりも多くの貴金属触媒を担持し、前記第2触媒担体の容積を前記第1触媒担体の容積よりも大きくし、更に、前記第2触媒担体のセル密度を前記第1触媒担体のセル密度よりも低密度とすると共に、前記第1触媒担体の排気ガスの流れ方向に沿った長さを40mm未満とした。
【0014】
主としてコールドモードにおいて発生するHC(炭化水素)を第1触媒担体において浄化すると共に、主としてホットモードにおいて発生しやすいNOx(窒素酸化物)を第2触媒担体において浄化し、NOx浄化にほとんど影響を及ぼさない第2触媒担体のセル密度を比較的低密度とすると共に、第1触媒担体の長さをHC浄化浄化効率を考慮した場合に最適な40mm未満として、使用する貴金属触媒の量の低減およびエンジン等の出力性能の維持を実現すると共に排気ガス浄化性能を向上させる。
【0015】
上記課題を解決するため、請求項4に係る発明では、請求項1ないし3のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒において、前記第1触媒担体と前記第2触媒担体とを離して直列に配設した。
【0016】
第1触媒担体と第2触媒担体とを離して直列に配設することにより、第2触媒担体に流入する排ガスを再ミキシングし、更に排気ガスの浄化性能を向上させる。
【0017】
上記課題を解決するため、請求項5に係る発明では、請求項1ないし4のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒において、前記第1触媒担体に担持された貴金属触媒をPt,Pd,Rhのうち少なくとも1種以上から構成し、前記第2触媒担体に担持された貴金属触媒をRhと、Pt又はPdの少なくとも1種以上とから、もしくはRhのみから構成した。
【0018】
第1触媒担体および第2触媒担体のそれぞれに担持させる貴金属触媒をHC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)の浄化に最適な貴金属触媒とし、更に排気ガスの浄化性能を向上させる。
【0019】
上記課題を解決するため、請求項6に係る発明では、請求項1ないし5のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒において、前記第1触媒担体又は第2触媒担体の少なくとも一方に担持する貴金属を含んだ触媒層を一層だけで構成した。
【0020】
第1触媒担体および第2触媒担体のそれぞれに担持させる貴金属触媒をHC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)の浄化に最適な貴金属触媒とすると共に、それらの触媒担持を加工費の安価なモノレイヤーで構成することで、コスト低減をはかる。
【0021】
【発明の実施の形態】
エンジンの作動状態は、エンジン始動直後の、エンジン及び触媒の温度が低い状態であるコールドモードと、始動後しばらくして触媒の温度が動作をするのに十分上昇したホットモードとがある。また、エンジンから排出されるHC(炭化水素)は燃焼室が冷えている状態であるコールドモードにおいてより多く排出され、NOx(窒素酸化物)については、その発生量がエンジンの燃焼温度に強く依存し、エンジンに高負荷がかかっている状態あるいは高回転状態の時に多く排出される。またこの状態はホットモードとなっている。これらの条件から、触媒を通して大気中に放出されるHCの浄化は、コールドモード時の触媒の働きに強く依存しており、NOxの浄化はホットモード時の排ガス流量が大きな領域の触媒の働きに強く依存することとなる。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る排気ガス浄化用触媒を示した概略構造図(a)と、触媒担体のセル構造を拡大して示した拡大図(b)である。同図(a)に示すように、本実施形態に係る排気ガス浄化用触媒1は、内部にセラミック製の触媒担体2を有し、排気ガス浄化用触媒1を通過する排気ガス3を浄化する装置である。また、同図(b)に示すように、触媒担体2の内部を排気ガス3が通過することができるように、触媒担体2は格子状に仕切られることにより形成された複数のセル4を有する。セル4の表面には、貴金属触媒5がコーティングされ、貴金属触媒5と排気ガス3とが反応することで排気ガス3が浄化される。
【0023】
触媒担体2は、第1触媒担体2−1と第2触媒担体2−2とからなる。本実施形態に係る排気ガス浄化用触媒1は、排気ガス3の流れに対して入口側に第1触媒担体2−1を設置すると共に、出口側に第2触媒担体2−2を設置し、それぞれの構造等を適正化することにより、主としてコールドモードにおいて発生するHC(炭化水素)と、ホットモードの高負荷又は高回転領域において発生しやすいNOx(窒素酸化物)の浄化効率を向上させた排気ガス浄化用触媒である。
【0024】
以下、本発明に係る排気ガス浄化用触媒を開発するに至った実験も含めて、コールドモードにおけるHC(炭化水素)の浄化とホットモードの高負荷又は高回転領域におけるNOx(窒素酸化物)の浄化とに分けて説明する。
【0025】
[コールドモードにおけるHC(炭化水素)の浄化について]
まず、触媒担体における貴金属触媒の担持位置とHC(炭化水素)の浄化性能との関係を調べた。図2は、この試験に用いた触媒担体の構造をモデル的に示した図である。同図に示すように、AタイプからDタイプの4種類の触媒担体2−A、2−B、2−C、2−Dを用意した。各触媒担体について説明する。
【0026】
まず、全ての触媒担体について、図1(b)に示すセル構造を有するセラミック製の触媒担体とした。また、担持させる貴金属触媒5については、アルミナと貴金属触媒とのスラリーを調製し、このスラリーに触媒担体をディッピング(浸す)することでセル4の表面に貴金属触媒5をコーティングした。また、貴金属触媒をコーティングしない部分については、アルミナのみのスラリーによりアルミナをコーティングした。
【0027】
図2に示すように、Aタイプの触媒担体2−Aは、触媒担体の排気ガス入口側の端部のみに貴金属触媒5を担持させ、それ以外はアルミナ6のみをコーティングした。すなわち、排気ガスの流れ方向に沿って、セル4の表面の排気ガス入口側の部分のみに貴金属触媒5を担持させ、それ以降の部分にはアルミナ6のみをコーティングした。ここで、触媒担体2−Aの長さは127mmであり、このうち貴金属触媒5を担持させた長さは20mmである。
【0028】
同様にして、Bタイプの触媒担体2−Bは長さが127mmであり、このうち排気ガス入口側の端部40mmに貴金属触媒5を担持させ、それ以降の部分にはアルミナ6のみをコーティングした。また、Cタイプの触媒担体2−Cは長さが127mmであり、このうち排気ガス入口側から出口側まで全体127mmにわたって貴金属触媒5を担持させた。すなわち、Cタイプの触媒担体2−Cにおいては、アルミナのみコーティングされた部分はない。一方、Dタイプの触媒担体2−Dは長さが127mmであり、このうち排気ガス出口側の端部20mmに貴金属触媒5を担持させた。すなわち、Dタイプの触媒担体2−Dにおいて、排気ガスは、まず、アルミナ6のみの部分を通過したのち、貴金属触媒5が担持された部分を通過することになる。
【0029】
図3には、上記AタイプからDタイプの触媒担体を有する排気ガス浄化用触媒を用いて、HC(炭化水素)浄化性能の試験を行った結果を示す。同図の横軸はエンジンを始動してからの時間(秒)である。一方、縦軸はAタイプからDタイプの触媒担体を通過後のHC排出濃度およびHC総排出量であり、同図には、エンジン始動(0秒)から110秒までのHC排出濃度の変化、およびエンジン始動のHC総排出量が示してある。
【0030】
エンジン始動後の数十秒間はコールドモードと呼ばれるエンジンの作動状態であり、エンジンから多くのHCが排出される。ここで、同図に示すように、AタイプからCタイプの触媒担体を通過後のHC排出濃度は低く抑えられていると共に、各触媒担体についてHC排出濃度はほぼ同じであることが分かる。一方、Dタイプの触媒担体を通過後のHC排出濃度は、AタイプからCタイプの触媒担体の結果と比較して、高いことが分かる。また、この結果と連動して、HC総排出量については、AタイプからCタイプの触媒担体を有する排気ガス浄化用触媒からのHC総排出量は少なく、それぞれ同じであるのに対して、Dタイプの触媒担体を有する排気ガス浄化用触媒からのHC総排出量は多いことが分かる。
【0031】
これらの結果から以下のことが分かる。すなわち、触媒担体において、排気ガスの出口側に貴金属触媒を担持(Dタイプ)させてもHCの浄化効果は少ない。しかしながら、排気ガスの入口側に貴金属触媒を担持させた場合(A,B,Cタイプ)にはHCの浄化作用を有すると共に、排気ガスの入口側であれば、触媒担体の全長127mmにわたって貴金属触媒を担持させても、入口側20mmのみに担持させてもHCの浄化効果に差はない。
【0032】
このことは、以下の実験結果から理由付けがなされた。実験は、上記AタイプからDタイプの触媒担体について、排気ガス浄化中の触媒担体の温度を調べた。図4は、この実験の状況を模式的に示す図である。触媒担体2を設置した排気ガス浄化用触媒1にエンジンから排出された排気ガス3を通過させ、このときの触媒担体2の温度について、排気ガス3の入口側の端部からの距離24mmの位置、44mmの位置、64mmの位置、84mmの位置、104mmの位置、比較として触媒担体の排気ガス3の入口側の端部から上流側に逆上った30mmの位置(−30mm)における温度を測定した。なお、本実験ではコールドモードでの排気ガスについて検証するため、エンジン始動後20秒の時点における温度測定を行った。
【0033】
図5は、上記実験の結果を示した図であり、横軸を温度測定位置、縦軸を測定した温度とし、上記AタイプからDタイプの触媒担体について測定結果をプロットした。同図に示すように、全体的な傾向として、いずれのタイプの触媒担体においても排気ガス3の入り口側から遠ざかり出口側になるほど触媒担体の温度が低下していることが分かる。
【0034】
触媒担体に入る排気ガスの温度は、−30mm測定位置の温度が示すように約400℃である。これが、AタイプからCタイプの触媒担体を通過する場合には、排気ガス入口側の端部に担持された貴金属触媒との浄化反応により発熱し、24mm位置における触媒担体の温度が約500℃まで上昇している。しかしながら、触媒担体の出口側ほど触媒担体の温度が低下し、104mm位置では約100℃にまで低下していることが分かる。
【0035】
HCの浄化には、約350℃以上の触媒温度が効果的であるが、AタイプからCタイプの触媒担体における排気ガス入口側から約40mm以降は、触媒担体の温度が350℃以下となり、排気ガス入口側から40mm以降に貴金属触媒が担持されていたとしてもHC浄化にあまり寄与しないことが分かる。このため、図3の結果から、AタイプとBタイプのHC浄化効果がほぼ同じであると共に、触媒担体の全体にわたって貴金属触媒を担持させたCタイプのHC浄化効果についても同様の結果となったものと考えられる。
【0036】
一方、Dタイプの触媒担体においては、排気ガス入口側には貴金属触媒は担持されていないため、排気ガスと貴金属触媒との反応による発熱はなく、24mm位置における触媒担体の温度は、触媒担体に入る排気ガス温度400℃のままである。さらに、A〜Cタイプの触媒担体と同様に、Dタイプの触媒担体においても、触媒担体の温度は出口側ほど低下し、104mm位置では約100℃にまで低下している。このため、触媒担体の出口側20mmに担持された貴金属触媒はHC浄化に寄与することができなく、図3に示す結果となったと考えられる。
【0037】
次に、貴金属触媒を3.0g/L、5.3g/L、8.3g/Lの担持量と変化させた3種類の触媒担体を用意した。例えば、「3.0g/Lの担持量」とは、触媒担体の容積1Lに対して担持させた貴金属触媒の量が3.0gであるということである。この3種類の触媒担体を用いて、触媒担体に入る排気ガスの温度とHC浄化率との関係を調べた。
【0038】
図6は、この結果を示した図である。担持量Xのグラフが3.0g/Lの担持量を有する触媒担体についてであり、担持量Yが5.3g/L、担持量Zが8.3g/Lである。同図から分かるように、流入する排気ガス温度が約500℃以上では、いずれの触媒担体でもHC浄化効率は同様となる一方、500℃以下では貴金属触媒の担持量の多さに比例したHC浄化効率であることが分かる。ここで、コールドモードの運転状態における排気ガスの温度は約500℃以下であり、図6に示すように、コールドモードは貴金属触媒の担持量がHC浄化効率に影響を与える領域を対象としている。一方、ホットモードの運転状態における排気ガスの温度は約500℃以上であり、同図から分かるように、ホットモードにおいては、貴金属触媒の担持量がHC浄化効率とはほとんど関係ないことが分かる。
【0039】
[ホットモードにおけるNOx(窒素酸化物)の浄化について]
図7は、セル密度が異なる触媒担体について、貴金属触媒担持量と高負荷時(ホットモード)のNOx排出量との関係を示した図である。ここで、セル密度が異なる触媒担体としては、600セルと900セルの触媒担体を実験に使用した。600セルの触媒担体とは、図1(b)を参照して説明すると、1インチ×1インチのセル構造の中に600個のセルを有する触媒担体のことである。同図に示すように、600セルの触媒担体は、貴金属触媒の担持量が多くなってもNOx排出量はほとんど変化しないことが分かる。また、900セルの触媒担体も、同様の傾向であることが分かる。更に、600セルの触媒担体であっても900セルの触媒担体であっても、NOx排出量は変化しない、すなわちNOx浄化能に差はないことも分かる。
【0040】
一方、図8は、触媒担体の容積とNOx排出量との関係を示した図である。同図に示すように、触媒担体の容積を増加させるとNOx排出量が減少することが分かる。また、触媒担体の容積増加に伴うNOx排出量が減少する度合いは、ある一定の容積以上となってから急激にNOx排出量が減少している。
【0041】
すなわち、図7及び図8に示す結果から、ホットモードの高負荷時において主として発生するNOxの浄化効率については、触媒担体のセル密度および貴金属触媒の担持量とはほとんど関係ないが、触媒担体の容積に大きく依存することが分かる。これは、高負荷の運転状態においては、排気ガス自体の排出量(排出速度)が多いため、貴金属触媒との接触時間を長くすることができる大容積の触媒担体においてNOx浄化効率を向上させることができるためである。
【0042】
また、図9は、触媒担体のセル密度とエンジンの排圧との関係を調べた図である。同図(a)は、試験の実施概要を図示したものであり、エンジンの排気系に第1触媒担体と第2触媒担体とからなる排気ガス浄化用触媒を設置し、エンジン排圧を測定した。ここで、排気ガス浄化用触媒において、第1触媒担体は排気ガスの流れに沿った上流側に設置し、第2触媒担体は排気ガスの流れに沿った下流側に設置した。また、第1触媒担体をセル密度が900セルの触媒担体に固定し、第2触媒担体のセル密度を900セル、600セル、400セルと変化させて実験を行った。
【0043】
この結果、図9(b)に示すように、上流側の第1触媒担体を900セルのセル密度に固定した場合であっても、下流側の第2触媒担体のセル密度を低くすることによって、エンジン排圧を低減させ、エンジンの出力性能を向上させることができることが分かった。
【0044】
本発明に係る排気ガス浄化用触媒は、コールドモードにおけるHC(炭化水素)の浄化を主な機能とした第1触媒担体と、ホットモードの高負荷時におけるNOx(窒素酸化物)の浄化を主な機能とした第2触媒担体とから構成される触媒担体を有する。前述した種々の結果から、本発明に係る排気ガス浄化用触媒を設計するにあたっては、以下の考え方に基づいている。
【0045】
まず、第1触媒担体と第2触媒担体とを排気ガスの流れに沿って直列に配設すると共に、コールドモードにおけるHC(炭化水素)を浄化するため、第1触媒担体を排気ガスの流れに沿った上流側に設置し、第2触媒担体を排気ガスの流れに沿った下流側に設置する。これは、図2、3に示す結果に基づく。
【0046】
第1触媒担体の長さについては、排気ガスの流れに沿って、40mm未満、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下である。ただし、10mm未満では、排気ガスによる貴金属触媒の熱劣化や被毒で、排気ガス浄化用触媒としての商品寿命に影響が出るおそれがある。また、40mm以上では、下流側の一部がHC浄化に寄与しないため、無駄な貴金属触媒を使用することになってしまう。なお、10mm以上40mm未満の長さであれば、その間は適宜設定することができ、例えば15mm、25mm、35mm等にすることができる。
【0047】
次に、第1触媒担体の貴金属触媒の担持量を第2触媒担体よりも多くする。これは、図6に示す結果に基づく。第1触媒担体の貴金属触媒担持量は、第2触媒担体の貴金属触媒担持量の1.5陪以上、好ましくは1.8倍以上、より好ましくは2倍以上である。
【0048】
更に、ホットモードの高負荷時におけるNOx(窒素酸化物)を浄化するため、第2触媒担体の容積を第1触媒担体の容積よりも大きくする。これは、図8に示す結果に基づく。
【0049】
また、第2触媒担体のセル密度を第1触媒担体のセル密度よりも低密度とする。これは、図7及び図9に示す結果に基づく。例えば、第1触媒担体を900セルとした場合には、第2触媒担体を600セル、400セルとする。
【0050】
排気ガス浄化用触媒において、第1触媒担体と第2触媒担体とを密接させて設置しても、離して設置しても良い。第1触媒担体と第2触媒担体とを離して設置し、両者の間に隙間がある場合には、この隙間は5mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは15mm以下、更に好ましくは20mm以下である。
【0051】
第1触媒担体に担持させる貴金属触媒としては、Pt,Pd,Rhのうち少なくとも1種以上からなり、第2触媒担体に担持させる貴金属触媒としては、Rhと、Pt,Pdの少なくとも1種以上とから、もしくはRhのみからなる。NOx浄化を主目的とする第2触媒担体においては、NOx浄化反応が還元反応であるため、還元反応に有利なRh元素を貴金属触媒として用いるか、または一部に含有させる。
【0052】
また、本発明に係る排気ガス浄化用触媒では、第1触媒担体にHC浄化機能を、第2触媒担体にNOx浄化機能を主として備えたため、一つの触媒だけで両者の浄化機能をバランス良く向上させる技術である複数レイヤー技術を使用する必要がなく、モノレイヤー化することで、加工費低減によるコスト削減が可能となる。
【0053】
本実施例では、代表的に、コージェライトベースのセラミック担体の四角セルにて説明を行っているが、セル形状が六角や三角であっても、また、材料がメタルやTiOべースのセラミックであったとしても同一の効果がある。コンバーターの搭載位置はエンジンに近いところでも、床下でも良く、その中間位置でも同様の効果を出すことが可能である。
【0054】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る排ガス浄化用触媒によれば、第1触媒担体と第2触媒担体とを直列に配設すると共に、前記第1触媒担体に前記第2触媒担体よりも多くの貴金属触媒を担持し、前記第2触媒担体の容積を前記第1触媒担体の容積よりも大きくし、更に、前記第2触媒担体のセル密度を前記第1触媒担体のセル密度よりも低密度としたので、主としてコールドモードにおいて発生するHC(炭化水素)を第1触媒担体において浄化し、主としてホットモードの高負荷時において発生しやすいNOx(窒素酸化物)を第2触媒担体において浄化することができると共に、使用する貴金属触媒の量を低減させ、また、エンジン等の出力性能を確保することができる。
【0055】
請求項2の発明に係る排ガス浄化用触媒によれば、第1触媒担体と第2触媒担体とを直列に配設すると共に、前記第1触媒担体に前記第2触媒担体よりも多くの貴金属触媒を担持し、前記第2触媒担体の容積を前記第1触媒担体の容積よりも大きくし、更に、前記第1触媒担体の排気ガスの流れ方向に沿った長さを40mm未満としたので、多くの金属を必要とする第1触媒担体には、コールドモード時のHC浄化に最低限必要な触媒容量を配置し、主としてコールドモードにおいて発生するHC(炭化水素)を第1触媒担体において浄化し、主としてホットモードの高負荷時において発生しやすいNOx(窒素酸化物)を第2触媒担体において浄化することができると共に、全体として使用する貴金属触媒の量を低減させ、また、その量を最適化することができる。
【0056】
請求項3の発明に係る排ガス浄化用触媒によれば、第1触媒担体と第2触媒担体とを直列に配設すると共に、前記第1触媒担体に前記第2触媒担体よりも多くの貴金属触媒を担持し、前記第2触媒担体の容積を前記第1触媒担体の容積よりも大きくし、更に、前記第2触媒担体のセル密度を前記第1触媒担体のセル密度よりも低密度とすると共に、前記第1触媒担体の排気ガスの流れ方向に沿った長さを40mm未満としたので、主としてコールドモードにおいて発生するHC(炭化水素)を第1触媒担体において浄化し、主としてホットモードにおいて発生しやすいNOx(窒素酸化物)を第2触媒担体において浄化することができ、更に、使用する貴金属触媒の量の低減およびエンジン等の出力性能の維持を実現すると共に排気ガス浄化性能を向上させることができる。
【0057】
請求項4の発明に係る排ガス浄化用触媒によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒において、前記第1触媒担体と前記第2触媒担体とを離して直列に配設したので、第2触媒担体に流入する排ガスを再ミキシングし、更に排気ガスの浄化性能を向上させることができる。
【0058】
請求項5の発明に係る排ガス浄化用触媒によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒において、前記第1触媒担体に担持された貴金属触媒をPt,Pd,Rhのうち少なくとも1種以上から構成し、前記第2触媒担体に担持された貴金属触媒をRhと、Pt又はPdの少なくとも1種以上とから、もしくはRhのみから構成したので、第1触媒担体および第2触媒担体において適切にHC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)を浄化し、更に排気ガスの浄化性能を向上させることができる。
【0059】
請求項6の発明に係る排ガス浄化用触媒によれば、請求項1ないし5のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒において、前記第1触媒担体又は第2触媒担体の少なくとも一方に担持する貴金属を含んだ触媒層を一層だけで構成したので、それらの触媒担持を加工費の安価なモノレイヤーで構成することで、コスト低減をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る排気ガス浄化用触媒を示した概略構造図(a)と、触媒担体のセル構造を拡大して示した拡大図(b)である。
【図2】触媒担体における貴金属触媒の担持位置とHC(炭化水素)の浄化性能との関係を調べる実験に用いた触媒担体の構造のモデル図である。
【図3】AタイプからDタイプの触媒担体のHC(炭化水素)浄化性能の試験結果を示すグラフである。
【図4】排気ガス浄化中の触媒担体の温度を測定する実験の模式図である。
【図5】排気ガス浄化中の触媒担体について、触媒担体の有する温度分布を示すグラフである。
【図6】貴金属触媒の担持量が異なる触媒担体における、触媒担体に入る排気ガスの温度とHC浄化率との関係図である。
【図7】セル密度が異なる触媒担体における、貴金属触媒担持量と高負荷時(ホットモード)のNOx排出量との関係図である。
【図8】触媒担体の容積とNOx排出量との関係図である。
【図9】触媒担体のセル密度とエンジンの排圧との関係図である。
【符号の説明】
1 排気ガス浄化用触媒
2 触媒担体
3 排気ガス
4 セル
5 貴金属触媒
6 アルミナ

Claims (6)

  1. 第1触媒担体と第2触媒担体とを直列に配設すると共に、前記第1触媒担体に前記第2触媒担体よりも多くの貴金属触媒を担持し、前記第2触媒担体の容積を前記第1触媒担体の容積よりも大きくし、
    更に、前記第2触媒担体のセル密度を前記第1触媒担体のセル密度よりも低密度としたことを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  2. 第1触媒担体と第2触媒担体とを直列に配設すると共に、前記第1触媒担体に前記第2触媒担体よりも多くの貴金属触媒を担持し、前記第2触媒担体の容積を前記第1触媒担体の容積よりも大きくし、
    更に、前記第1触媒担体の排気ガスの流れ方向に沿った長さを40mm未満としたことを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  3. 第1触媒担体と第2触媒担体とを直列に配設すると共に、前記第1触媒担体に前記第2触媒担体よりも多くの貴金属触媒を担持し、前記第2触媒担体の容積を前記第1触媒担体の容積よりも大きくし、
    更に、前記第2触媒担体のセル密度を前記第1触媒担体のセル密度よりも低密度とすると共に、
    前記第1触媒担体の排気ガスの流れ方向に沿った長さを40mm未満としたことを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒において、
    前記第1触媒担体と前記第2触媒担体とは離れて直列に配設されていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の排気ガス浄化用触媒において、
    前記第1触媒担体に担持された貴金属触媒は、Pt,Pd,Rhのうち少なくとも1種以上からなり、
    前記第2触媒担体に担持された貴金属触媒は、Rhと、Pt又はPdの少なくとも1種以上とから、もしくはRhのみからなることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の排気ガス浄化用触蝶において、
    前記第1触媒担体又は第2触媒担体の少なくとも一方に担持する貴金属を含んだ触媒層を一層だけとすることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
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