JP2004181326A - インライン混合装置および混合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】混合する液体中に含まれる直鎖系2重結合を有する有機化合物のラジカル化や、有機化合物のヒドロキシル基やアミン基の酸化の進行を防止するインライン混合装置を提供することにある。
【解決手段】混合装置1は、ミルケーシング81を備え、ミルケーシング81内に瞬間分散部34を有し、微粒化混合部となるミルローター82を有する。ミルケーシング81は、混合断面の中心部から一方の液体を流入させその全周囲から他方の液体を流入させる様に構成されている。瞬間分散部34は、該断面において中心部から流入する液体が、混合断面のラジアル方向に対して均一にもう一方の液体と分散させる。ミルローター82は、そのエマルジョン粒子径を所定の粒子径に分散させ、ミルケーシング81において液体の界面と混合装置1表面の固体界面の特性を利用して機械的剪断を行ない、微細化を行なう。
【選択図】 図14

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくともその一方に直鎖系2重結合を有する有機化合物が含まれていて、少なくとも一方に酸素等のラジカル源物質が含まれている液体同士を混合するインライン混合装置および混合方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、液体同士の混合装置として、ミキサ等が使用されている。このミキサの構造を決定するにあたっては、種々の要因を考慮しなければならない。以下に、各要因を述べる。
【0003】
〔液体混合〕
液体混合は、古くから知られた行為で様々な分野に応用されている。発明者の技術分野に属する燃料と水、あるいは燃料同士の混合の他、食品、化学、電子分野等液体混合を利用する分野は広い。
【0004】
[HLB]
HLBとは Atlas 社の Griffin 氏が実験的に出した界面活性剤の親油性成分と油性成分のバランスを数字で表したもので、20が最も親油性が低く(水に近く)、0が最も親油性が高い(水が溶解しにくい)事を示す指標である。元々は前記の様に、界面活性剤の特性を表す指標であったが、逆にHLB既知の界面活性剤の不明物質への溶解性や、不明物質とHLB既知の界面活性剤混合液へのHLB既知物質(例えば水)の溶解性を調べる事により、HLB未知の液体の水への溶解性や油への溶解性等を知る手段にも用いられる。
【0005】
[エマルジョン状分散]
混合液中の成分にHLBが離れている成分が存在する場合、その混合液はエマルジョン状分散という分散状態を示す。エマルジョン状分散にはW/Oエマルジョン即ち油中水滴型と、O/Wエマルジョン即ち水中油滴型分散の2種類が存在するが、 界面活性剤や乳化法等を調整する事により、O/W/OエマルジョンやW/O/Wエマルジョン等の特殊なエマルジョン系も知られている。一般にエマルジョン状分散は、容積比で大きいHLBを持つ液体が連続相となり、少ない方が粒子として存在するのが普通であるが、界面活性剤や液体の持つ性質あるいは混合方法等の調整により、粒子相の方が容積比で大きいエマルジョン系も良く知られている。例えば、均質化されていない牛乳や乳化剤の不適合により生じるクリーム相は、分散粒子が寄せ集まったエマルジョンで、連続層の方が容積比で少ないエマルジョン状分散の典型である。
【0006】
[溶解分散]
混合液中の成分がHLBの離れていない成分で構成されている場合、その混合液は溶解分散という分散状態を示す。これは、極めて判り易い分散方で、アルコール液の水との混合や、燃料同士の混合等様々な分野で利用されている。
【0007】
〔混合方法〕
混合方法には、従来より大別してタンク内混合方法とインライン混合方法の2種類の混合方法がある。また、一次混合ではタンク内混合方法を適用し、微粒化工程はインラインで行なう等の方法も一般的である。
【0008】
[タンク内混合方法]
図16は、タンク混合法の基本的構成を示したものである。タンク10に液体A11、液体B12、液体C13を計量して加え、プロペラ攪拌機2が適用出来る液位を保ち、プロペラ攪拌機モーター3を回転させる事により、タンク内に乱流を発生させると共に、プロペラ攪拌機の羽根による剪断力で、液体を均質に混合又は軽度のエマルジョン化作用を持つ混合方式で、液体の定量方法が簡便で、混合が終了した製品について、バッチ毎に管理が出来るので、様々な混合分野で利用されている。
【0009】
[インライン混合方法]
図17は、インライン混合方法の基本構成を示したものである。液体A11、液体B12、液体C13は、夫々液体A用流量計14、液体A用流量調整弁等の流量精密調整装置に接続され、流量調整された後、インライン混合器4において混合され、混合液体21となる。ここで、用いられる混合器において代表的なものは、図15のスタティック式ミキサーと呼ばれるミキサーである。
【0010】
[併用型混合方法]
図18は、併用型混合方法の基本構成を示したものである。このミキシング方法は、プレミキシングをタンク10内で実施し、均等に分散したエマルジョン液を、ホモジナズ或いは均質化と呼ばれるエマルジョン粒子の均質化を行なう為に使用する。タンク内で混合する方法は、タンク内混合方法と全く同様である。混合され均一に分散された乳化液はポンプ61で加圧され、オリフィス62を通過する際に、激しいキャビテェーションと乱流作用によりエマルジョン粒子を微細に且つ均質に揃えるものである。エマルジョン性食品の牛乳等は、この均質化によりクリーム現象を生じない飲み易い牛乳として販売されている。
【0011】
〔混合理論〕
液体の混合については、前記タンク内混合方法においては、熱対流、粘度、温度、浸透圧等の現象の解析が行われ、一定の理論や混合時間の推定等が行われているが、本発明分野におけるインライン混合については、明確な理論解析が進んでいるとは言い難い。
発明者は、形式的に、インライン混合における分散工程、混合・溶解工程、剪断工程、キャビテーション工程と分類し、夫々の機能を説明する。
【0012】
[分散・瞬間分散工程]
2液若しくは複数の液体を分散させ均一な組成となる様調整されるもので、従来の混合理論あるいは混合装置では、タンク内混合方法により達成される事が殆どある。
【0013】
[混合・溶解工程]
インラインミキシングにおいては、流体の乱流や慣性作用等を応用し、複数液体の混合分散を図るもので、主に溶解性のある液体同士で且つ粘度差の少ない液体同士の混合で機能する。
【0014】
[剪断工程]
剪断作用の基本機能は、固定面と動作面の2面間に挟まれた液体が、2面間の運動に伴い剪断力を受ける作用を利用したものであるが、液体中で高速に運動する歯等により、粘性液体等をカットする場合も、広義の剪断工程であると考えられる。
【0015】
[キャビテーション工程]
前記の混合や剪断におけるエネルギーや速度を上昇させて行くと、ある時点においてキャビテーションと呼ばれる物理現象が生じる場合がある、それを積極的に利用する超音波式ミキサー等がある他、剪断操作に一部その機能を含む場合を考慮してキャビテーション工程と名づけた。
【0016】
[キャビテーション]
キャビテーションとは、液体の圧力、蒸気圧力、温度の3つの要素により、液体が蒸発する状態であるが、一般にこれが流体運動の速度により低圧部を生じたり、粘度に関わる要因によって発生したり、流体中を運動する羽根形状により生じたりするものである。
【0017】
(消滅時の強力な高周波)
キャビテーションは、特にその発生要因が流体の速度に起因する低圧部で発生した場合、その速度が停止した時点で急激にキャビテーションによる気泡が消滅してしまう。この事は、泡の周囲にある液体に対して強力な剪断力を生み出し、ミキシングを促進させる効果がある。
【0018】
(非凝縮性ガスの断熱圧縮)
キャビテーションに伴う低圧部では、それまで液体中に溶解又は分散されていた不凝縮性ガス(酸素、窒素、CH等)を集める作用があり、液体の蒸気以外にこれら不凝縮性ガスも泡の中に存在する。圧力の増加と伴に、液体の蒸気は元の液体に戻れるが、これら不凝縮性ガスは、ガス体のまま断熱圧縮され、高温高圧のガスとなる。
【0019】
〔非凝縮性ガス〕
非凝縮性ガスとは、通常は常温常圧下ではガスとして存在するもので、酸素、水素、窒素、炭酸ガス、アルゴン、メタン、エタン、プロパン等様々な元素、分子、無機化合物、有機化合物が知られている。蒸気分圧や液体の性質により、一定割合のガスは液体に溶け込む性質がある他、加熱や減圧等の操作により液体中の化合物が乖離して発生する場合(炭酸塩から加熱により炭酸ガスが発生する)もある。
【0020】
〔酸化物質を初めとするラジカル連鎖を生じ易い成分〕
[過酸化物質]
狭義の過酸化物質とは、金属過酸化物(−OO−)、有機過酸化物(ROOR)、過酸化酸(RCOOOH)等を含む化合物や、重金属類のペルオキソ酸を俗に過酸化物と言ったり、高酸化数による酸化物(MnO、 PbO、 NiO、 NV) も誤って過酸化物という。その他過酸と呼ばれるオキソ酸(HClO、HIO、HMnO)等も一般認識では過酸化物質と思われている。ラジカル連鎖を生じ易い成分とは、軽度のラジカルによって、前記の様に反応性の高い酸素ラジカルを放出しやすい成分の他、酸化還元電位の絶対値が大きい物質等例えばヒドラジンヒドラド等の強還元性物質も水素ラジカルを放出し、有機化合物を水素化させて固形化させてしまう能力を持つ。一般に酸化劣化の進んだ食用油脂等には、有機過酸化物が多く含まれており、この様な植物油と燃料油を混合する場合には障害が極めて発生し易い。又、魚の生臭い匂いのする油等はこの過酸化物が多く含まれている。
【0021】
〔混合手段〕
混合手段とは一般にミキサー、ホモゲナイザー、ミル等と呼ばれているが、液体同士が溶解分散を取る場合やエマルジョン状分散を取る場合に夫々に適した混合手段を用い目的とする品質の混合液を得るものを言う。
【0022】
[機械式ミキサー100]
図1には、管路内連続乳化機、すなわち機械式ミキサーの構造図が開示されている。このミキサーは、液体混合状態がエマルジョン状分散形態であっても溶解分散形態であってもどちらも安全に混合出来るものである(特許文献1参照)。
【0023】
【特許文献1】
特開昭56−139124号公報 (第1頁)
【0024】
この図1は、シールや軸受け等のミキサー性能を説明する為に不要な部分を除いた3つの基本構成パーツを示している。ケーシング31、ローター32、キャップ33と基本的には3つのパーツでミキサー機能を構成している。稼動部はローターで通常モーターに直結され1000〜3600rpm程度の高速で回転を行なう。ローターの軸受けはこれから説明する理由により、後部のみで構成され、前部のローターシャフトには軸受けは無い。主液体Aは、主液体入口22より入り、瞬間分散部34、剪断部35を通過し、混合液体出口24に排出される。注入液Bは,注入液体入口23より入り、瞬間分散部34で主液体に混合され、剪断部35を経て分散される。重要なポイントは、瞬間分散部34の役目、剪断部35の役目、幅広い流量範囲と適用範囲、無駄な剪断の停止の4点である。
【0025】
(瞬間分散部34の役目)
ローターの先端部は羽根が分散部に飛び出した形で独立して配置される。この旋回羽根がキャップ内の円錐形の部屋で回転すると、中心部に負圧が生じた渦流となる事は明白であろう。この渦流内に主液体が入るが、主液体は渦流の外側から混じりこれはエマルジョンの場合でも連続相であるから直ちに溶解分散する。
【0026】
・縦混合性
注入液体は、渦の中心の負圧部に注入される為、遠心力により極めて均等に連続相に分散される。ここで重要な事は、この旋回室では縦混合即ち、直前に混合した液が旋回により一部戻ってくる為、主液体の量や注入液体の量が若干アンバランスになっても、旋回室内で平均化する作用を持つ事である。
【0027】
(剪断部35の役目)
前述した先端部は、次の仕事をする。即ち、主液体と注入液体が流れる事により、流体は剪断部に押されて行くが、分散された液体はその先端部の間を通り抜けてケーシング側のブロック溝に入らなければならない。ブロック溝は、ラジアル方向に独立した溝であり、且つ回転は行っていない為、回転した先端部の間を抜けた回転している流体は、ケーシング側の静止した溝に入る為に、剪断されさらに混合される。静止した溝内に入った液体は、次に入ってくる液体に押されて、今度はローター側にある溝に入らなければ成らない。再び剪断及び旋回を受ける訳である。製品化されているミキサーは、この剪断と混合を混合液出口に至る迄の間に都合5乃至6回受けて初めて出口に至るものである。
【0028】
・縦混合性
重要な点はここでも縦混合性である。即ち回転数と流量に応じた値であるが、初段の静止側ブロックを12時の位置とした場合、そこから押し出されてローター側の12時の位置に押し出されたとしても、ローターは回転している為、次に剪断を受けるのは例えば3時の位置になってしまうのである。即ち連続的に液体が入ってくる為、この様に均質化しながら、剪断をおこなうという理想的な性能を有している。
【0029】
(幅広い流量範囲と適用範囲)
このミキサーの場合には、ローターの回転を極めて高速に行っている。一般に2ポールと呼ばれる3相モーターで駆動する為、周波数に依存するが3000〜3600rpmで回転している。それに対する定格流量の設定は、望む粒子径を超えない範囲に定めればその定格流量以下での使用においては、液体に剪断力を与えるエネルギーはほぼ一定である為、流速に対する依存は無い。しかも、高粘度液体であっても、負荷の増大に伴うスリップ量を無視すれば、一定である為、粘度による影響も受け難い。このミキサーは、粘度が上昇するに従い、モーター負荷は増大し、シャフトや旋回羽根に対する負担が増大する。上限粘度を設計毎に規定し、停止インターロックを備えた制御装置と供に運用しているが、この様な点にも配慮が必要である。しかし、モーターが過負荷によるトリップを生じる迄は、その上限粘度を超えてもエマルジョン粒子径の変化は少ない。
【0030】
(無駄な剪断の停止)
このミキサーの場合には、主液体及び注入液体が新たに注入されない限り剪断室を横断する剪断が発生しにくい。ローター及びステーターのブロック形状により、乱流を発生させてしまうので、全く流体にラジカルを与えない訳では無いが、ちょうど遠心式ポンプの流量がゼロに成った時の様に、 流量が停止した状態におけるモーター負荷が最も低くなる。
【0031】
[機械式ミキサー200]
図7は、穴明きローターと格子型ステーターによる機械式ミキサーの構造図である。ローター32には円周上に複数の穴が開いており、モーターにより回転されるシャフト83により回転する。ステーター36には格子状の穴が開けてあり、ケーシング31に固定されている。主液体入口22からプレミックスされた混合液体21が流入すると、ローターとステーターを経由して混合液出口に向かうが、途中の剪断部35でローターとステーターの回転による剪断力を受け、ミキシングされる。
【0032】
[機械式ミキサー300]
図9は、タンク内混合方法で用いられる原理に近いものであるが、それをインライン用としたものである。パドル37と呼ばれる水かきを回転させ、剪断力や羽根の端面に発生するキャビテーション等を利用して液体の混合を行なうもので、キャビテーション領域で用いれば、エマルジョン等も製造出来る。又、パドルに角度を付ければ、軸流ポンプの原理と成り、ミキシングと同時にポンプ作用を持たせる事が容易である。しかし、特に推力を持たせた場合、パドルの羽根の間をすり抜けたり、ケーシング31との隙間をすり抜けるショートパスが多くなる為、1パスで完全なエマルジョンを製造する事はますます困難と成る。原則としてタンクブレンド同様一定時間通過させて、次第にエマルジョン化が進む様なバッチ処理の補助ミキサーとしての使い方がメインである。
【0033】
[機械式ミキサーまとめ]
機械式ミキサーは、上記説明の機械式ミキサーの他、様々な他の方式が存在していると思われるが、各社あるいは製造プロセスのノウハウに関わる部分である為、情報は公開されていないケースが多く、機能も多様であると思われる。しかし、機械式ミキサーは、モーター等の力により、機械的な剪断や混合等の動作を行なわせるという点や、流速や粘度等の流体に依存したファクターの影響を受け難いという点において、共通していていると考える。
【0034】
[エゼクタ型混合器]
図2は、発明者が経験的に最もトラブルの少ない溶解分散性を持つ溶液の混合用に用いているエゼクタ型混合器の構成図である。
(エゼクタの本来機能の説明)
エゼクタは本来は、蒸気や空気あるいは水流等の力を利用して、負圧を作り出す為に用いる流体機器である。ノズル41から噴射される高速な主液体は、ディーフューザー42と呼ばれる緩和部で通常流速に戻される。この時、ノズル噴霧後の高速流は、負圧室を負圧にする。この時、注入液体入口23に流体があれば、主液体の流れが注入液体を巻き込み、ディーフューザ−で緩和と同時発生する乱流により一瞬の間に混合が終了する。ノズルを通過する流量が負圧を生じるための流速を生じさせれば、本来のエゼクタとしての機能により、注入液体を低部から吸い上げる事も可能である。
【0035】
(混合器としての評価の再検討)
エゼクタの混合器として優れている特長の一つは、ノズルから噴射する主液体が高速であり、且つ全周方向から注入液体の合一を見るという点である。すなわち素早くかつ均質に混合する事が可能な訳である。しかも、この負圧部ではノズルの設計方法にも依存するが、液体の場合には棒流即ち直進流であるから、注入液はその主液の回りに巻きつく様に (即ちまだ混合はなされていない。) ディーフューザ部に導入される為、ディーフューザ部の遅い流速に激突して一期に攪拌混合が行われるものである。混合器として用いる場合には、負圧室に負圧を与える必要は無いので、(逆にキャビテーションが発生する。)ノズルの圧力損失を僅かにするが、最低流量時から最大流量時に正しく上記作用が行われるノズル径及びディフューザ径を選択する必要がある。尚、図2ではディフューザの中心部が絞られた形状になり、負圧室側入口が広くなっているが、主液の噴霧パターンが棒流で乱れの無い特性が確保できれば、入り口のテーパー部は不要である。しかし、後半の広がり部は当然流速を遅くする事が目的であるから必要である。又、テーパー状に広げないと滞留部が出来る為、当然望ましくない。
【0036】
[スタティック型混合器]
スタティックとは本来静止型の事であり、この方式を特定したものでは無いが、一般的に静止型ミキサーとしてはこの方式の代名詞ともなっているので、あえてこの名前を使用するが、発明者は捻り羽根式と称している。図15がスタティック式ミキサーの構成図である。主液体は主液体入口22より入り、注入液体は注入液体入口23よりはいり、主液と注入液が層状に右エレメント52という平板を180度捻った形状の通路に導入する。流体はエレメントの旋回カーブにそって、遠心力の影響を受ける為、エレメント通過中に混合作用を受ける。そして次の左エレメント53に導入される際に、先ほど2つに分けられた液体を半分づつ左エレメントに導入する為、主液と注入液の比率が平均化される。次に右エレメントで半分にされて、エレメント数を増加させるに従い、均質化が進むと同時に、混合も促進されるという特性を持つ。
【0037】
(長所)
このミキサーの優秀な点は、狭窄部が無く比較的穏やかな混合が可能であるという点と、エマルジョン分散を望まないのであれば、かなり広範囲の流量変化に対応出来る点である。
【0038】
(短所)
エマルジョン分散を行なおうとすると、エレメント内を旋回する力を利用しなければ成らず、速い流速を必要とし適用出来る流速範囲が限定される。即ち高流速になり過ぎると圧力損失が流量の2乗比例する為、現実的では無い圧力変化が必要となる。即ち、装置の最低流量時に対する圧力損失を0.1MPaに設定したとして(現実にはエマルジョン化を行なわせようとすると、この圧力損失でも困難な場合が多いが)流量が10倍に増加した場合の圧力損失は10MPaという非現実的な圧力が必要と成る。しかも、旋回羽根通過中は、剪断力では無く液体の流れの慣性作用を応用したものであるので、2液間の分散性がエマルジョン状分散である場合や、比重や粘度差が大きいとバイパスした流れが出来て十分な性能を発揮できないという弱点も有する。
【0039】
[オリフィス式混合器]
図19は、オリフィス式混合器の概念図である。ポンプ61で混合液体21を高圧に加圧し、細いオリフィス62を通過させる時、オリフィス通過時の高流速による乱流及びオリフィス通過後のキャビテーション作用により、既に混合液体中に存在しているエマルジョン粒子等をさらに微細化或いは均質化する目的で使用される。通常は、オリフィスは固定式である為、流量は変更出来ない事、2液の分散効果が低い事等が弱点であるが、圧力とオリフィス径によりエマルジョン粒子のコントロールがし易い点がメリットである。
【0040】
[超音波式混合器]
図20は、超音波式混合器の概念図である。混合液体21は混合室73に導入され、ホーン72の下を通過する。この時超音波発生器71の発生する振動によりホーンも振動し、ホーン先端部に微小なキャビテーションを発生させる。そのキャビテーション発生と消滅によるエネルギーによりエマルジョン粒子或いはある程度の硬さを有する固形物も微粒化する事が可能である。分散能力が無く、またホーンの下に如何に効率良く混合液を通過させるか等の設計上の困難がある上、エネルギー効率が悪いという特徴がある。
【0041】
[ミル式混合器]
図21は、ミル式混合器の概念図である。この原理は石臼の原理と同様で、ミルケーシング81とミルローター82の極めて狭い隙間に固形物を含む混合液体21を通過させる時に、ミルケーシングとミルローターの機械的剪断力と両者に発生する流体剪断力を利用して、粉砕しながら混合するものである。固形物を含む液体を、粉砕しながらエマルジョン化出来る混合器であるが、固形物の硬さに応じて、ミルケーシングとミルローターの材質を検討する必要があるし、その破砕の際の強い衝撃を受け止める頑強な軸受けが必要である。
【0042】
〔燃料・液体移送手段〕
使用される燃料や廃液は、液体移送手段と呼ばれる方法で移送される。
【0043】
[落差]
液体の質量を利用するものである。
【0044】
[容積式ポンプ]
動力を使用して閉じた空間容積の圧縮伸展を行い、流体の吸引及び吐出を行なうものである。
【0045】
(ギヤー式ポンプ)
回転式ポンプであり、ギヤーから構成される閉じた空間を利用するものである。
【0046】
(ベーン式ポンプ)
回転式ポンプであり、ベーンと呼ばれる可動板と偏芯した円筒内に形成される閉じた空間を利用するものである。
【0047】
(ルーツ式ポンプ)
回転式ポンプであり、繭玉形状のルーツと呼ばれる2組の要素で形成される閉じた空間を利用するものである。
【0048】
(プランジャ式ポンプ)
往復動ポンプであり、ピストンとシリンダーで形成される閉じた空間を利用するものである。
【0049】
(ダイヤフラム式ポンプ)
往復動ポンプであり、ゴムや薄い金属板の弾性変形により形成される閉じた空間を利用するものである。
【0050】
(ネジ式ポンプ)
ネジ形状を持つローターとそれに対応したステーター、形式によりアイドラーと呼ばれる副ネジ部により形成される閉じた空間を利用するものである。
【0051】
[非容積式ポンプ]
遠心力や、翼に発生する推力、あるいは流体の摩擦力などを利用した移送手段で、その他水の電磁力を応用しても原理的にはポンプを構成できる。
【0052】
(遠心式ポンプ)
液体に加わる遠心力を利用するものであり、単段及び多段のタービンポンプ等がある。
【0053】
(軸流ポンプ)
プロペラに加わる推力を利用するのものであり、単段軸流ポンプ、多段軸流ポンプ等がある。
【0054】
(摩擦ポンプ)
液体の摩擦力を利用し、流速を発生させる事を利用するポンプで、急激に方向を変えた時に生じる衝撃力も利用し、単段でより高圧の吐出圧を持つものもある。カスケードポンプ、ウエスコポンプが挙げられる。
【0055】
〔流量制御手段〕
流体の流量を制御する為に用いる手段である。
[流量制御弁]
弁のCV値と呼ばれる係数値を許容設定範囲内で任意に変更する事により、所定の流量を通貨させる事を特徴とする弁である。一般的には、グローブ方式と呼ばれる弁が多いが、ボール弁の様な形状を持ったものもある。この方式は、粘度が低い流体に有効であるが、一般的には流量検知手段や圧力検出手段により、フィードバック制御を行なわないと、精密なコントロールが出来ない。
【0056】
[ポンプの回転数制御]
前記容積式ポンプの回転数を変更する事により、液体の移送を行いながら、流量制御も同時に行なえる制御方法である。往復動ポンプであっても、カム等により回転を往復運動に変換出来るポンプは、本制御方法を利用できる。
【0057】
この方式は、比較的粘度が高く、潤滑性の高い液体に有利である。内部リークの少ない形式のポンプを選定すれば、オープンループ(圧力や流量によるフィードバックの無い制御)でも十分な精度を示す。
【0058】
尚、精度は落ちるが、非容積式ポンプでも、回転数制御において流量コントロールは可能である。しかし、圧力変動が少ない用途に限定され、精密な制御にはフィードバック制御を必要とする。
【0059】
〔ミキシング性能の評価〕
従来のミキシング性能の評価とは、特にエマルジョン系分散に対して、そのエマルジョン液体の安定性が最も重要な指標であり、如何に均一で細かい粒子径のエマルジョン液体が製造できるかという点に重点がおかれていた。確かに、印刷や塗装等エマルジョンの安定性により品質の良否が決定する技術分野は多く、より細かく混合出来る事がミキサーの性能の指標ともなっていた。従って、特に瞬間分散部については特別な配慮は無く、スタティックミキサーであっても、2液の流入部は単にチーズとなって合流した後、微細化を行なう程度であり、オリフィス式や超音波式にいたってはタンク内混合法によりプレミックスされたものを微細化する機能に徹していた。
【0060】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以下のような問題がある。
〔液体混合によるよる障害〕
2液間の混合においても、混合方法によりその混合液の性状や異物発生率が異なり、数々の混合方法やミキサー等が開発されて来た。が、今までは明確な理論が無く、経験則に頼った適用方法であったと思われる。
【0061】
燃料油同士の混合においても、経験的にタンクブレンドによる方法は望ましく無いという理論はあるものの、なぜタンクブレンドは異物発生率が高いのかについての明確な回答は無かった。一般に唱えられているこの現象は、燃料中に含まれる界面活性成分であるマルテンが、アスファルテンから離脱する事によるアスファルテンの遊離が混合に伴うスラッジ発生要因であると考えられてきた。
【0062】
しかし、もしこの様な事が真実であるならば、アスファルテン成分を殆ど含まないはずのA重油と灯油の混合においてスラッジが発生する明確な回答は無かった。あるいは、植物油とA重油との混合に伴うスラッジ発生にも明確な答えが無く、対策としては、如何に発生したスラッジを装置に問題無い様に除去するかという点に腐心しているのみであった。
【0063】
〔液体混合時ラジカル要因〕
発明者は、液体混合時における2つのラジカルに起因する現象により、トラブルが誘発され易くなる事に気が付いた。
[界面ラジカル連鎖]
例えば、濃硫酸と水との混合の様に、分散前の状態で2液体が接すると最初の溶解反応により生じたラジカルがその周囲の成分をラジカル化させる連鎖ラジカルが発生しやすくなる。界面ラジカルの比較的わかり易い例では、希薄燃焼理論における燃料の濃淡部の存在である。希薄燃焼は極めて薄い燃料ガス組成となっている為、そのままでは連鎖ラジカルによる爆発が発生しない。しかし、希釈空気量が多い為、燃焼温度が低くなり、NOx発生量が低く、他の冷却手段に比較して燃料消費率が少ない等のメリットがある。この希薄燃焼混合器を爆発させる為には、一部に燃料ガスの濃い部分を設け、ここにラジカルを与えてラジカル連鎖により燃焼を開始させる事により、強力なラジカルにより希薄燃焼領域も同時に燃焼させるものである。
以上は、逆説的であるが、均質に分散してしまえば、ラジカル連鎖による障害が発生しにくいが、均質に分散出来ない場合においては、発生したラジカルが連鎖反応を起こし易く、その為には素早い分散が求められる。
【0064】
[混合エネルギーによるラジカル]
スラッジの発生要因は、ミキシング不足であると信じ、より微細化の可能な混合装置を様々に試したが、混合エネルギーの上昇により、益々トラブルが酷くなる傾向となった。やがて、過混合によるラジカルであると気が付いた為、出来るだけラジカルを発生させないミキサーを使用する事となった。混合のラジカルによるラジカル連鎖の例は、ニトログリセリンや過酸化水素等の混合攪拌である。又、その様な極端な例で無くても、ミキシングに伴うキャビテーション現象により、真空域にガスが抽出され、キャビテーションの消滅と伴に、断熱圧縮され液体に熱ラジカル及び酸素ラジカルを与える現象も懸念される。
【0065】
本発明は、上記の問題に鑑みて発案されたものであり、本発明の目的は、混合する液体中に含まれる直鎖系2重結合を有する有機化合物のラジカル化や、有機化合物のヒドロキシル基やアミン基の酸化の進行を防止するインライン混合装置および混合方法を提供することにある。
【0066】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達するために、本発明のインライン混合装置は、少なくともその一方に直鎖系2重結合を有する有機化合物が含まれていて、少なくとも一方に酸素や過酸化物等のラジカル源物質が含まれている液体同士を混合するインライン混合装置であって、前記液体同士の混合が混合断面の中心部から一方の液体を流入させその全周囲から他方の液体を流入させる様に構成される分散部を備え、前記分散部内の該断面において中心部から流入する液体の、吐出エネルギーを利用して分散断面のラジアル方向に対して均一にもう一方の液体と分散させるか、または、流入する液体を混合断面において旋回させ、その中心部に流入した液体を、旋回する液体内部に発生する負圧により均一に分散させるかの何れかの機能を、キャビテーション現象を生じない範囲で行なう瞬間分散部を有し、2液界面間の局部的偏在を抑制する事を特徴とする。
【0067】
このような本発明によれば、瞬間分散をする事によって、エントロピーの増大に伴うエネルギーの移動により発生するラジカル源物質のラジカルの開放に起因する直鎖系2重混合部のラジカル連鎖を抑制することができる。
【0068】
本発明のインライン混合装置は、少なくともその一方に直鎖系2重結合を有する有機物が含まれていて、少なくとも一方に酸素や過酸化物等のラジカル源物質が含まれていて、お互いが溶解分散せず、エマルジョン分散形態をとる液体同士を混合するインライン混合装置であって、混合部において前記液体の界面と該混合装置表面の固体界面の特性を利用してキャビテーション現象を生じない範囲で機械的剪断を行なうか、または狭窄された固体界面隙間によりその固体界面に濡れない液体の表面張力を利用し微細化を行なうか、その両方を用いた、微粒化混合部を有することを特徴とする。
【0069】
このような本発明によれば、微粒化混合部において、キャビテーションや高圧を発生させないで微粒化を行ない、ショートパス抑制技術により1回の通過で微粒化が完結することにより、キャビテーション、高圧、無駄な微粒化混合、断熱膨張に起因する高温ガスによる混合する液体中に含まれる直鎖系2重結合を有する有機化合物のラジカル化や、有機化合物のヒドロキシル基やアミン基の酸化の進行を防止することができる。
【0070】
本発明の混合方法は、少なくともその一方に直鎖系2重結合を有する有機化合物が含まれていて、少なくとも一方に酸素等のラジカル源物質が含まれている液体同士をインラインで混合する混合方法であって、前記液体同士の混合が混合断面の中心部から一方の液体を流入させその全周囲から他方の液体を流入させる様に構成する分散工程を備え、液体が分散する断面において中心部から流入する液体の、吐出エネルギーを利用して分散断面のラジアル方向に対して均一にもう一方の液体と分散させるか、または、流入する液体を混合断面において旋回させ、その中心部に流入した液体を、旋回する液体内部に発生する負圧により均一に分散させる瞬間分散工程を、キャビテーション現象を生じない範囲で行ない、2液界面間の局部的偏在を抑制する事を特徴とする。
【0071】
このような本発明によれば、瞬間分散をする事によって、エントロピーの増大に伴うエネルギーの移動により発生するラジカル源物質のラジカルの開放に起因する直鎖系2重混合部のラジカル連鎖を抑制することができる。
【0072】
本発明の混合方法は、少なくともその一方に直鎖系2重結合を有する有機物が含まれていて、少なくとも一方に酸素や過酸化物等のラジカル源物質が含まれていて、お互いが溶解分散せず、エマルジョン分散形態をとる液体同士を混合する混合方法であって、混合部において前記液体の界面と該混合装置表面の固体界面の特性を利用してキャビテーション現象を生じない範囲で機械的剪断を行なうか、または狭窄された固体界面隙間によりその固体界面に濡れない液体の表面張力を利用し微細化を行なうか、その両方を用いた、微粒化混合工程を有することを特徴とする。
【0073】
このような本発明によれば、微粒化混合において、キャビテーションや高圧を発生させないで微粒化を行ない、ショートパス抑制技術により1回の通過で微粒化が完結することにより、キャビテーション、高圧、無駄な微粒化混合、断熱膨張に起因する高温ガスによる混合する液体中に含まれる直鎖系2重結合を有する有機化合物のラジカル化や、有機化合物のヒドロキシル基やアミン基の酸化の進行を防止することができる。
【0074】
本発明の混合方法は、少なくともその一方に直鎖系2重結合を有する有機化合物が含まれていて、少なくとも一方に酸素等のラジカル源物質が含まれている液体同士をインラインで混合する混合方法であって、液体中に含まれるガス成分を予め除去した後、液体同士を混合する事により、気泡の断熱圧縮熱を起点とする連鎖反応を抑制し、ラジカルに起因する反応物質の生成を抑制しながら混合する事を特徴とする。
【0075】
このような本発明によれば、ラジカルを生じ易い従来型ミキシングを行なっても、キャビテーションに伴う、気泡中に非凝縮性のガスが蓄積しにくく、断熱圧縮に伴うラジカルの起点が減少する事により、混合する液体中に含まれる直鎖系2重結合を有する有機化合物のラジカル化や、有機化合物のヒドロキシル基やアミン基の酸化の進行を防止することができる。
【0076】
〔液体混合によるストレスとラジカル〕
発明者は、有機物を含んだ液体の混合を通じ、ストレスを与える事により不可逆反応が進行するが、それはある程度混合方法によっても回避可能であるという事に様々な知見により、以上の構成を発案したものである。
【0077】
[溶解混合によるストレス]
2液の混合は、それが溶解分散する場合において一般に溶液同士に少なからずストレスを与えると考えられる。つまり、溶解するという事は、お互いの官能基を共有したり水和物を作ったりという吸熱あるいは発熱現象を発生し、それらが全体として判る場合はもちろん、有機物の官能基という視点にたてば、その官能基における電子の流入あるいは流出等が混合液中に存在する有機物へのストレスとなり得る事は容易に想像出来る。
【0078】
[エマルジョン分散によるストレス]
水と油の様に本来混じりあわない性質の液体同士であれば、油中の一部の極性基の水への溶解現象を別にすれば、本来は前記の様な、ストレスは発生しないはずである。実際に純水と純度の高い流動パラフィンを静かに注ぎ込み、冷暗所に2層分離のまま貯留したものは、長期に保存しても界面にはクリーム等の障害物質は発生し難い。これはお互いに溶解しないから電子の出入りも原則として少なく、従って流動パラフィンの変質も防止出来る為と思われる。しかし、これを激しくミキシングしながら保存すると、次第にクリームの様なものが現れる様になる。即ち激しいミキシングによりパラフィンの様に水に対して安定度の高い物質でもストレスを受けた結果パラフィンの一部が加水分解を起こす為と考えられる。
【0079】
[ラジカル]
溶解による電子の移動や激しいミキシングが溶液中に存在するストレスは、酸素、紫外線、オゾン等と同様一般にラジカルと称されている。活性化酸素、活性化水素、活性化アルキル等が挙げられ、電子が不足又は過剰になり、他の物質から電子を奪うあるいは与える作用が極めて高い物質が生まれる事に起因する現象である。
【0080】
[ラジカル連鎖]
ラジカルを引き金として、溶液全体に影響を与えるものとして良く知られている現象としては、ニトログリセリンの衝撃による爆発であろう。僅かなエネルギーで、即ちラジカルを引き金として、ラジカルが次のラジカルを生み出し、連鎖反応を起こすものであるし、ディーゼルエンジンにおける燃料の自己着火も、このラジカルに起因する連鎖反応の好例である。
【0081】
[ラジカル耐性物質・ラジカル反応物質]
しかし、一般の有機系溶液ではこの様な連鎖反応が全体に影響を及ぼす事は、稀であり現象は見過ごされるのが普通である。しかし、含まれている有機物に不可逆的影響を与えている可能性は高い。先のディーゼルエンジンの例で述べれば、セタン価という指標により、ラジカルに対する連鎖反応が発生し易い炭化水素と連鎖反応が発生し難い物質がある。燃料組成において、解明されているそれらの物質とはn−セタン(C16の直鎖)を100として、ヘプタメチルノナン(C9に7個のメチル基)15となり、同一の炭素数においてもラジカルの耐性には変化がある。ラジカルに対して極めて安定な物質とは逆説的であるが、ダイオキシン類であるダイオキシン、フラン、PCB等が知られており、酸化や還元あるいは熱等のラジカルに対して極めて安定な為、厄介な物質であるという事になる。ラジカルに対して不安定な物質は、前述の過酸化物等のラジカル連鎖を生じ易い物質を除くと、アルカン若しくはオレフィン類と呼ばれる直鎖系炭化水素の2重結合を持つ有機化合物である。これらの2重結合部は酸化若しくは還元によりエポキシ化や重合等の化学反応を起こし易く注意が必要である。
【0082】
[ラジカル抑制物質]
ラジカル抑制物質とは、次の3つの機能を表した物質の総称であり、酸化防止剤とも呼ばれるが、本発明の対象が液体中の有機化合物の保護という観点から考えると、問題を生じるのは酸化反応だけとは言えず、ラジカル抑制物質と広義に呼びたい。
【0083】
(酸化防止剤)
・ラジカル捕捉剤
ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ヒドロキノン、ビタミンE、ビタミンC等のラジカルを捕捉して酸化された後も、安定した物質となり、ラジカル連鎖を中断できるものである。
【0084】
・過酸化物分解剤
植物に含まれるペルオキシダーゼ、唾液等に含まれるカタラーゼ等の他、金属、燐、硫黄等の化合物や錯体等があり、過酸化物を分解し、前記ラジカル捕捉剤を酸化させる事により、ヒドロペルオキシ類を安定的な物質に戻す。
【0085】
・金属封止剤
金属表面では、自身が酸化されたり、還元させたりする際に発生するラジカルを起因として、有機物をペルオキシダーゼ化させる機能を持つ為、これらを封止するキレート剤も一種の酸化防止剤と考えられている。
【0086】
(還元防止剤)
ビタミンCは、L−アスコルビン酸であるが、酸化によりモノアスコルビン酸アニオン、モノデヒドロアスコルビン酸、デヒドロアスコルビン酸と変化するが、これは還元ラジカルにより元に戻る性質を持ち、還元ラジカルから他の有機化物を保護する機能を有する。その他前記のラジカル捕捉剤の多くは還元防止剤としても機能する。
【0087】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、各工程、各部についての説明を以下に述べる。
〔混合時の濃淡防止によるラジカル連鎖の抑制〕
[瞬間分散工程の形態]
(渦流型瞬間分散形態)
図1の瞬間分散部34が瞬間分散を行なう事にあたり、注入液入口から流入した注入液は、混合液とあらたな主液とが渦状に旋回する中心部に注入される為、瞬間的に分散される。
【0088】
(エゼクタ型分散形態)
図2のエゼクタ型混合器の負圧室43は、直線流による負圧部に注入液入口から注入された注入液が直線流の全周から混合する為、瞬間分散も一瞬で終了する。尚、本実施形態の場合には、真空を作り出す必要は無いので、流速は使用する液体の蒸気圧や温度をキャビテーションの生じない範囲に留める必要がある。
【0089】
(円形可変オリフィス型分散形態)
図3は、円形可変オリフィス型分散形態の概念図である。注入液体入口23より入った注入液は、弁ディスク63と弁ノズル64の間から均等に噴出す。この時弁ノズルにかかる圧力をバネ65で調整すれば、注入液と主液の圧力差をキャビテーションが発生せず、最も効率の良い圧力にコントロールできる。しかも、逆止弁の効果も兼ねており、注入液を停止した時に、注入液入口側に主液が戻る心配が無い。主液と注入液の合流部では、一定の圧力差によって注入液の流量が変化しても速度がほぼ一定となるので、合流部の形状を工夫すれば矢印の様な旋回流を形成する事が出来、縦混合性も期待できる。スタビライザーは、弁ディスクの遊動を抑え、噴出し特性を安定化させる為の装置で、通常は弁棒と一体と成り、注入液入口管内面と摺動するので、注入液の液質によっては摺動性の良い材質で製作する事が望ましい。
【0090】
(回転ディスク型分散形態)
図4は、回転ディスク型分散形態の概念図である。注入液体入口23より入った注入液はロータリーノズル84のシャフトの中空部に開けられた注入液入口穴を介して、シャフト内に入り、遠心力によりロータリーノズルよりラジアル方向に噴霧される。案内筒は、ロータリーノズルのテーパー部の遠心力により、主液入口から入った一部の主液を巻き込み、ローターノズルから噴霧される注入液と合流し、瞬間分散される。主液の流量に対して、注入液量が多くても、案内筒による巻き戻り循環量が増加する為、安定した瞬間分散特性が期待できる。主液対注入液の容積比が大幅に変わる用途に最適である。
【0091】
(旋回スプレー型分散形態)
図5は、戻り圧力噴霧式ノズルの応用例である。加圧循環ポンプ87の入口側に供給された注入液は、ポンプで加圧され注入液体入口23から流入し、旋回チップ88に入る。左下の旋回チップ88の正面図で判るとおり、旋回チップ内管部で注入液は旋回を生じる。注入液戻り口25の圧力は加圧循環ポンプの入口圧力とバランスしている為、新たに流入した注入液分が、ノズルチップから噴霧され、主液体入口22から流入する主液と混合される。注入液は、加圧ポンプの圧力に応じて旋回チップ内部で高速に旋回しノズルチップから中空パターンで噴霧されるので、比較的細かい粒子に瞬間分散される為、後段の混合部若しくは剪断部が無くても比較的良好な粒子径となる。
【0092】
(ローター型渦流分散形態)
図1は、瞬間混合部を有する機械式ミキサーの一例である。発明当時は、低ラジカルを意識して開発されたものでは無かったが、本発明の原理に従った瞬間混合部を備える事により、結果的にスラッジ障害を抑制しながら、良好なエマルジョン溶液を供給できたものである。
瞬間混合の原理については既に機械式ミキサー100の瞬間分散部34の役目で述べた。
【0093】
(3種以上の同時混合)
原則として、ここに説明した2液混合の瞬間分散形態を複数直列に配置することが望ましいが、例えば混合によってラジカルを生じ難い液体の場合には、予め配管中で混合して置く等の手段を用い、瞬間分散を1液分省略する事は可能である。その他液体の性質にもよるが、図6の様にエゼクタミキサーを組めば、様々な液体を複数同時に、瞬間分散する事が可能である。
【0094】
[瞬間分散のまとめ]
瞬間分散部は、ここに記載した以外にも、エゼクタを複数束ねたタイプや多噴口ノズルや旋回スプレーで単なる圧力噴霧式等様々な原理を持つものがあるが、混合比率や流量範囲に応じて、最も経済的で効率の良いものを選択すればよい。
【0095】
〔ショートパスの抑制技術〕
ショートパスとは、特に微粒化混合部において重要な欠陥となる現象であり、混合液体が何等、剪断や界面効果等の微細化作用を受けずに混合装置を通過してしまう事を指し、この懸念が多い程繰り返し混合装置を通過させなければ成らない。従って、ショートパスが少ないミキサー程一回の通過で確実に目的とする粒子径や混合状態を得る事が出来、ラジカルの少ないミキサーであるという事が出来る。
【0096】
(剪断型ミキサー )
剪断型ミキサーにおいては、ポンプ作用を持たない剪断の為の刃が剪断を行い次の刃が到達する迄の時間で、通過する液体の流速を割った時の、距離が粒子径とほぼ同一程度の量であれば、原則としてショートパスは起こらないと考えられる。ここでポンプ作用を持たないといったのは、剪断がポンプ作用と伴に実施されると、実際の距離より大きな粒子径を通過させる確率が高くなる為である。剪断型においては、図1、図7の様な形状のミキサーが望ましく、上記の条件に合わない場合を想定し、多段に剪断を設ける事によりショートパスによる混合不良を防止する事も容易である。しかし、これも流量が変化する場合には、当然必要な剪断エネルギーはその流量に依存するはずで、回転数制御等の手段を用いて、剪断速度と通過速度をバランスさせ、最も低いエネルギーでショートパスの無い混合を行なう事が望ましい。
【0097】
(ミル型ミキサー)
ミル型ミキサーにおいて、その最も少ない隙間距離が、同一円周上に均一であれば、理論的にショートパスは発生しないが、その隙間距離と目的とする粒子径が同一程度の長さである事が望ましい。何故なら、隙間距離が大きい場合には、液体の摺り速度で粒子を剪断する事となり、流速と摺り速度の相対速度によりショートパスが発生し得る為である。従って、隙間と目的とする粒子径が近く、大きな摺り速度が不要な場合には、理論的にショートパスが発生しにくい混合装置であると考えられる。
【0098】
(オリフィス型混合器)
オリフィス型混合器は、原理的に最もショートパスの発生し難い混合方法である。即ち混合液体は、全て高速流となりその内部で強力な剪断及びキャビテーションを受ける為、オリフィス出口の周囲の設計(液溜りを作らない)に配慮すればショートパスの無い、即ち1回の通過で目的の粒子径を得易い混合装置であると考えられる。
【0099】
〔キャビテーションの抑止技術〕
混合部や剪断部においては、基本的な考えかたは、従来技術の踏襲で良いが、キャビテーションを起こさない様に設計を見直す必要がある。キャビテーションには実に様々な化学的、物理的要素が含まれており、一概に説明する事は省略し、主な注意ポイントを述べるに留める。尚、振動測定などによりキャビテーションの物理的発生状況が把握出来る他、混合前液体の合計の溶存酸素量と液体混合後の溶存酸素量を調べる事により、ミクロ的なキャビテーションの有無の大まかな把握は可能である。
【0100】
[温度・圧力制御と液体の蒸気圧]
前述した様にキャビテーションは温度と圧力と液体の蒸気圧の3つの要素からなる物理現象である。この内、液体の蒸気圧はコントロール不可能である為、温度或いは圧力を制御する事により、キャビテーションの生じ難いミキシングが実現出来る。
【0101】
[液体流速制御]
エゼクタ型混合器においては、主液体の流速が早くなったり、主液体の発生する負圧に対して、注入液体の量が少ない場合、負圧部が液体の蒸気圧を下回りキャビテーションの要因となる。キャビテーションとは、ベルヌーイの定理により、圧力(P)、速度(V)、重力加速度(G)、比重(γ)、高さ(Z)の時、圧力と速度は次の関係を持ち、
V2/G+P/γ+Z=一定
この速度の上昇に伴う圧力の低下が、液体中の最も揮発し易い成分の沸騰点以上であれば、激しいキャビテーションは防止出来る。
【0102】
[羽根の相対速度と形状の検討]
従来のミキシング理論は、キャビテーションを発生させる事が、ミキシング性能の向上に繋がると信じられていた為(ラジカル反応を無視する場合には現在も有効な理論である。)羽根のエッジの処理等は、鋭角で仕上げられている事が多かった。羽根形状等の検討は、これから本理論を応用したミキサーの開発を待つところであるが、羽根にまつわるキャビテーションとしては、渦キャビテーション(液体の障害物の2次側に生じる渦に起因する現象)、泡キャビテーション(高速移動に伴う負圧域の形成)、面キャビテーション(急なエッジによる流体の一斉剥離)が挙げられる。
【0103】
[液体粘度の検討]
液体の粘度が高い場合には、羽根の形状にも依存するが、羽根が移動した後に隙間が生じ易くキャビテーションが発生し易い。液体の粘度に合わせミキシング速度を検討する必要があるし、速度が一定の場合には粘度調整を行ったり、温度や圧力を調整する必要がある。
【0104】
[温度感応型キャビテーション抑止型制御]
図8はキャビテーション抑止型制御の実施形態である。主液及び注入液は主液ポンプ及び注入液ポンプで計量と吐出を兼ねて制御され、インライン混合器4で混合後、ノズルチップ89で噴霧される。キャビテーション抑止コントローラは、温度センサー5の温度に従って、圧力センサー80の圧力がキャビテーションを防止出来る圧力となる様に圧力制御弁6の開度調整を行い、インライン混合器の圧力を調整する。主液ポンプ、注入液ポンプともに定量性の良い容積式ポンプを使用していれば、全体の混合液量や比率は殆ど変化が無いが、定量性の悪い制御法を採用している場合には、ミキサー内圧をフィードバックして、主液量や注入液量を制御する様な手段との併用が必要である。尚、温度によるキャビテーション防止圧力は、少なくとも含まれている液体の全ての成分の沸点を抑制できる圧力でなければ成らないが、その他予想される低圧部の圧力や流速等を考慮して実験的に求める必要がある。
【0105】
[粘度感応型キャビテーション抑止型制御]
図1、図7、図9等の構成を取る機械式ミキサーでは粘度の上昇に従い軸動力が増加するという傾向がある。これは、剪断力は液体粘度そのものの値である為である。従って、キャビテーションを防止する為に、これら粘度増加に伴う軸動力の増加からミキサーの回転数を低下させる様な制御方法を取れば、粘度計等を用いる事無く粘度増加に基づくキャビテーションの防止が可能となる。一般にこの様に粘度が増加した場合に、回転数を低下させると、微細化能力が減少すると思われがちであるが、実は液体とガスの様に物性が大幅に異なり、ガスを泡状に分散させる場合を想定すれば理解が早いと思われるが、高粘度液体はエマルジョン状分散をする上では、それ程速度の速い剪断は必要無いのである。これはその高粘度液体が連続相である場合は当然であるが、分散相である場合も、例えばその粒子のみを細かく出来れば、後は再会合のリスクが少ない為である。オリノコタールをO/W型エマルジョンとして分散させる技術も、この分散側の粘度が高いという特性を上手く利用し、少ないエネルギーと僅かな界面活性剤で安定したO/W型エマルジョンを作る好例である。オリマルジョンとは、オリノコタールと呼ばれるコールタールの一種を30%程度の水にO/W型エマルジョンとして分散させ、流動性を改善する事により液体移送の容易化を計ったものである。オリマルジョンを作るには、図5の様な微粒化噴霧可能な噴霧器で、オリノコタールを噴霧可能な粘度になる様に温度調整を行い、界面活性剤を溶解した冷水溶液中に噴霧するだけで製造される。即ち高粘度混合液自体を剪断させる事は無い。しかし、この様な製造方法で、A重油や灯油が同じように製造出来るかというと不可能である。より濃い濃度の界面活性剤や、より高い水分含有率にしないと再会合により分離してしまう為であるし、安定性も極めて悪いものになる。
【0106】
(粘度感応型のまとめ)
従来の考え方では、粘度が増加してもその粘度に打ち勝つエネルギーを確保し、剪断速度を維持し微細化させるという手法が取られた。しかし、このエネルギーはエマルジョン粒子の分散という作用にも効果的であるが、同時にその高粘度の原因と成る様々な有機高分子類の組成をも破壊させる事になりかねない。もちろん、その破壊が混合の目的であればこれはこれで有効な手段であるが、その場合には触媒を使うなどもっと有効で効率的な手段があると思われる。即ち、高粘度の物質の混合溶液を製造する場合においても、キャビテーションを発生させる程のエネルギーや回転速度等を発生させる必要は無く、その液体の持つ特性を上手く引き出せば、目的とする混合状態が容易に得られるのである。
【0107】
[エマルジョン状分散のキャビテーションの恐さ]
キャビテーションによる負圧部は、例えば連続相が水であっては水蒸気で満たされ、次の崩壊段階において、非凝縮性ガスを除いて水に戻るが、その際の凝縮熱は、蒸発により熱を奪われた水に開放される為、局所的な温度上昇は比較的軽微であると推定される。
【0108】
しかし、W/O型エマルジョンでその様な現象が生じると、お互いに分散出来ない界面が存在している為、崩壊段階の水蒸気の凝縮熱は、凝縮水と界面を接する油との界面に集中し、そこに存在する非凝縮性ガスの断熱圧縮と相まって、かなり大きな熱ストレスを油側に与える事が想像出来る。
【0109】
[キャビテーションのまとめ]
キャビテーションに至らなくても、混合は液体に少なからずダメージを与えるが、キャビテーション崩壊のエネルギーは金属をも崩壊させる凄まじい破壊力を持ち、液体の物性を変えてしまうには十分な局部エネルギーの集中をもたらす。
【0110】
〔非凝縮性ガスの除去手段〕
[酸素の除去]
酸素は、溶液中に溶解している状態でも、僅かなラジカルにより活性化し、ラジカル連鎖の起点になり易い為、出来るだけ除去したい成分である。
【0111】
(物理的除去法)
現在では酸素透過膜等の技術が進み、酸素のみを効率的に除去出来る物理的方法が進んできた。この方法は原理的に見て、ラジカル起因となる恐れが少ないので、加熱法による除去よりも有利である。
【0112】
(膜脱酸の原理)
図10は膜脱器の原理である。酸素含有液54が酸素透過膜56と接すると、酸素含有液中の溶存酸素は酸素透過膜に溶解し移行する。酸素透過膜は、酸素の持つ性質(極性、磁気性、酸素分子の大きさ等)を利用して自身の酸素の透過性を上昇させるもので、膜材質自体を酸素溶解性の高い素材で形成したり、微細な穴を開けたり、酸素溶解性の高い材質を分散させる等の手法で作られた膜である。酸素透過膜に溶け込んだ酸素は、真空室58が負圧になっている為、真空室に拡散し、真空ポンプ57により排気される。
【0113】
(化学的除去法)
ここで大切なのは、酸化還元電位の絶対値の大きい還元物質で酸素を還元しては駄目であるという事である。即ち、酸化還元電位の大きい物質とは、酸素から電子を奪い、水や酸化物にしてしまう機能も持つが、同時に他の有機化合物からも電子を奪い、あるいは水素ラジカルを付与する可能性が高い為である。
【0114】
(化学的除去における酸化還元電位の絶対値)
従って、酸素除去の為に、ヒドラジンや亜硫酸等の酸化還元電位の絶対値の高い物質を混合しては、還元に弱い物質にダメージを与えて障害の原因になりかねない。
【0115】
(受動酸化・受動還元物質の添加)
従って、酸素除去の為に加えられる物質とは、対象と成る液体中に含まれる成分から電子を奪ったり与えたり出来ない程度の酸化還元電位の絶対値を持ち、それらの成分より早く電子を受け取ったり電子を与えたりする事により酸素ラジカルを防止する受動的酸素除去物質のみ使用出来る。
【0116】
[その他のガスの除去]
その他のガスについては、酸素、塩素等のラジカルを誘起しやすいガスを除き、混合中にキャビテーションを起こす混合方式でなければ、必ず除去しなければ成らないものではない。しかし、キャビテーションが懸念されたり、混合前や混合後に加圧や減圧が避けられない制御方法と併用している場合には、出来るだけ除去する事により、混合液のラジカルに対する影響が少なくなる。
【0117】
(膜除去装置)
前述の膜脱酸の原理を利用して、溶液中に分散しているガスを除去する事が出来る。
【0118】
(真空脱気)
液体を出来るだけ冷却しておき、静置下において真空状態に置くと、前述の酸素も含めキャビテーション時にキャビテーション泡中に分散され易いガスを除去する事が出来る。特に水溶液の場合には、凍結温度近くまで冷却後この操作を行なう事により、絶対値1kPa程度迄減圧出来る為、微細な泡で存在している気体はその泡の体積が100倍になる事から分離性能が格段に向上する。
【0119】
〔過酸化物の減少手段〕
過酸化物の減少手段には、3つの方法が取られる。
[過酸化物や過酸化物となり易い添加物の添加の停止若しくは添加量の減少]
例えば漂白剤や殺菌剤と呼ばれる成分は、強い酸化力や還元力により、対象となる細菌や着色物以外の成分を、過酸化状態あるいは過還元状態にしている可能性が高い。従って、これらの成分を加えない事や必要最低限に抑制する等の手段により、混合前液体のラジカル連鎖の誘引と成る物質を減少させる事が出来る。
【0120】
[過酸化物の生成を妨害する添加物の添加若しくは添加量の増加]
水溶性液体にあってはビタミンC等、油溶解性液体にあってはビタミンE等の受動的酸化還元物質を加える事により、それらが酸化又は還元され過酸化物を減少させる事が出来る。
【0121】
(生成された過酸化物の除去)
ペルオキシダーゼやカタラーゼ等の過酸化物質の分解触媒を加える事により、活性化酸素として除去出来るが、その際に強力な酸化力により有機物に影響をあたえるので、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ヒドロキノン、ビタミンE、ビタミンC等の酸化安定化物質を加える事により、過酸化物除去に伴う障害を防止出来る。
【0122】
〔過混合の防止〕
過混合には二通りの発生理由がある。一つは過剰設計である。例えば図1においては、剪断回数が6回存在するが、それがその流量における最適回数であるとは判明できない、例えば流速が遅く2回目の剪断で十分な粒子径になっているとすれば、残りの4回の剪断は無駄になってしまう。
【0123】
[理想的な微粒化混合工程]
液体同士の混合を考えるとき、一般的にはその液体同士の界面張力により必要なエネルギーを考慮しがちである。従って、界面エネルギーを低下させる界面活性剤を使用すれば液体を混合する時に、僅かなエネルギーで済むが、お互いが疎である液体同士の混合の場合には、混合させようとする液滴の界面張力を打ち破るエネルギーを加えなければ、混合出来ないと考えるためである。
【0124】
(分散粒子に濡れない固体界面を利用したモデル)
図11は、ミル・モデルで考えた時の2つの円盤間の体積を一定とした時の相互高さを示したものである。この距離を開けた状態で、例えばテフロン(登録商標)の様な素材で水に疎である物質で構成された円盤が中心軸に対して片側が回転した状態で、理想的な水と全く水と混じらない油を10:90の割合で混合した場合をシミュレーションしてみる。すると、中心部付近の水滴は直径2mmの粒子が、その空間内においては最もエネルギーが少ない状態で球形を示すであろう。ところが、図11に記載の円は中心部からの半径において最も存在が容易な粒子径をプロットしたものであるが、周辺部に行くほど分散粒子の表面張力により最もエネルギーの少ない状態に成ろうとする力により自動的に微粒化が進行する。
【0125】
ここで、空間体積は周辺に移動しても同一である為、中心部から新たに液体が流入すれば円盤の回転による遠心力も作用して周辺に移動する事となるが、例えば半径100mmの位置に水滴が移動したとすると、そこの高さは20μとなっており、その部位において最もエネルギーの低い粒子径は連続相の油相を無視すれば20μである。実際には油相が存在するので、より小さい粒子径であろう。従って、最終的に円盤の外周部に到達する時点においては5μ以下の粒子径が最もエネルギーの少ない状態となり油中に分散されているであろう。この時理論的に必要なエネルギーは極僅かである。2面間を回転させるエネルギーは連続層である油のみをで回転させる場合と同様粘度の支配が殆どであり、水を加えたからといって増加する訳では無い事が容易に判ると思われる。この様に、液体同士のモデルで考えるのではなく、固体と液体間の界面効果を合わせて考えれば、極僅かなエネルギーで微粒化は可能であると考える。
【0126】
(剪断を固体界面の利用によって達成するモデル)
図12は、分散粒子77と分散媒78とのエマルジョン粒子を微粒化する為に適用される剪断モデルであり、先端部75と分離部76から構成される剪断刃が粒子を切断する場合を想定している。分散媒に分散した分散粒子は、その分散媒の剪断力で切断しようとすると、分散粒子の半径に比例した大きな表面エネルギーを打ち破る大きなエネルギーが必要であると考えられている。この表面エネルギーはΔP=2γ/Rであり、γが表面張力、Rが半径である。
【0127】
しかし、図12の様なモデルを用いると、先端部が濡れ難い分散媒は連続相である為、半径は無限大であり、先端部が大きな反発を受ける事は無いが、対象位置に同じ形状の先端部を設ければ、僅かな反発を受けてもバランスしてしまう事になる。分離部は濡れ性を持つので、運動に伴い粘度の影響は受けるが大きなエネルギーでは無い。従って、この様な断面形状を持つ刃は、分散媒の中で僅かなエネルギーで動ける事は自明である。その刃が分散粒子を切断しようとする事を考えると、先端部と分散粒子は濡れ性を持つので、基本的にこの粒子と先端部が接触する事に関しては、特にエネルギーは不要である。即ち表面エネルギーの式で言えば、γがゼロであるならば、どんなにRが小さくても表面エネルギーはゼロである為である。従って、この様な構造を持つ刃であれば、固体と液体の界面特性を利用し理論的には殆ど剪断のエネルギーがゼロで分散粒子を微細化可能となるものである。以下に各液体の表面張力を表1にまとめて示す。
【0128】
(双方の原理を応用したモデル1)
図1の微粒化部は、剪断部35(固定刃)とローター32(駆動刃)の表面を分散媒が覆った状態で、丁度紙を切断するカッターの様に固定刃と駆動刃が狭い間隔ですれ違う為、前記分散粒子に濡れない個体界面の効果によって、分散粒子の界面張力の力を利用して微粒化が容易になると伴に、固定刃、駆動刃のエッジの機械的剪断効果により、微粒化を行なう事ができる。これは、図9の様に自由液体中の粒子の剪断を行なうより、遥かに効率的に剪断を行なう事は明白であるが、これも固体液体間の界面張力を応用したものである。
【0129】
【表1】
Figure 2004181326
【0130】
(双方の原理を応用したモデル2)
図13も固体との界面特性を利用したもう一つの低エネルギー混合法である。一見すると混合時2界面が発生しそうであるが、主液体入口22の直径が例えば5μmと仮定すると、界面で生成されるラジカルは少なくともその範囲内で抑制されるだろうし、これが複数パラレルに混合されると考えれば、寧ろ一瞬の間に混合されると考えても問題はない。注入液体入口23から注入される注入液はその出口において、界面張力により球形になろうとする。その時出口付近では口径が絞られているので、主液の通路を塞ぐ形となり、主液に押し出されて混合液体出口24に向かうのである。注入液入口内面においては注入液の濡れ性の良い固体、混合液管内は濡れ性の悪い固体で作られていれば、液体が界面張力によって丸くなろうとする事を上手く利用して微細な粒子を形成できるというもう一つのモデルである。この様な原理では、液体の濡れ性により細管に毛細管現象を発生させるが、自身の界面張力により安定な球形を作ろうとすると、濡れ難い通路内を自身で塞ぐことになり分散されていくという形態となり、前記2方法の両方の特性を持ったものであると考えられる。
【0131】
現実には、このモデルや剪断を行なうモデルの場合には、加工性や使用後の清掃等の問題があり、実用化には工夫が必要であるが、この様に固体面との界面特性を上手く利用すれば、液体同士の混合の場合には極めて小さなエネルギーで微細な粒子が形成できる事は、理解できると考える。
【0132】
(理想的な微粒化混合工程)
従って、発明者の考える液体同士の微粒化混合工程は、この様に固液間の界面特性を利用し、粘度と質量即ち動粘度を無視すれば、分散に関しては界面状態に関わらず限りなくゼロに近づける事が可能であると考える。動粘度に関しては、連続相の2面間のずり速度に伴うエネルギーや、粒子を2分割する時に必要なエネルギー等、どの様にミキシングが行われるかにより様々な計算方法があるが、実際には実験的に求められるものである。しかも動粘度が高い液体の場合には粒子生成後の再会合リスクが減少する等のメリットもある為、投入エネルギーに関しても複合的に検討しなければならない。
【0133】
[1パスでの過混合の防止]
図1のミキサーであれば、流速に応じて回転数制御等を行い、回転数の低下に伴うショートパス量が最終段の剪断で完了する様に制御すれば、流量比例の様な混合用途でも過混合が防止出来る。
【0134】
[ショートパスの多い混合方法の場合]
ショートパスが多い混合方法の場合には、慣例的に混合時間という尺度で、混合度合いをコントロールして来た。従来は長い方が良いと思われていた混合時間を出来るだけ短縮し、製品化が可能となるギリギリの混合状態で混合操作を停止する事により過混合によるラジカル要因を排除できる。
【0135】
〔理想的な混合システムの形態〕
図14は、出来るだけラジカルの発生を抑える混合を行なう一つのモデルであり、液体の性質や求められる品質に応じて様々に、ラジカル発生防止化の為に記載した以上の技術も適用できる。
【0136】
混合装置1は、分散部となるミルケーシング81を備え、ミルケーシング81内に瞬間分散部34を有し、微粒化混合部となるミルローター82を有する。ミルケーシング81は、混合断面の中心部から一方の液体を流入させその全周囲から他方の液体を流入させる様に構成されている(分散工程)。
【0137】
また、瞬間分散部34は、該断面において中心部から流入する液体が、混合断面のラジアル方向に対して均一にもう一方の液体と分散させる(瞬間分散工程)。
【0138】
さらに、液体同士の混合状態がエマルジョン分散を取る流体同士の混合であり、ミルローター82は、そのエマルジョン粒子径を所定の粒子径に分散させ、ミルケーシング81において液体の界面と該混合装置1表面の固体界面の特性を利用して機械的剪断を行ない、微細化を行なう(微粒化混合工程)。
【0139】
[液体流量移送調整手段]
以下に他の部分の説明を示す。主液ポンプ26や注入液ポンプ27は、液体移送手段と流量制御手段を兼ねた容積式ポンプの回転数制御が最も望ましい。脈動式ポンプであるプランジャ方式やダイヤフラム式では、注意深く運用しないと非凝縮性のガスによる断熱圧縮のリスクが大きくなる。それらポンプの吸い込み側の配管口径等も十分検討し、圧力損失の増加によるキャビテーション現象等を起こさない様配慮する必要がある。
【0140】
[分散部の検討]
瞬間分散部34も十分に検討し、液質や混合割合及び混合する液体数に応じて最適なものを選定しなければ成らない。
【0141】
[最も望ましい混合部]
混合分散の原理には2通りあり、これは人類が従来より利用してきたものである。即ち石臼と包丁である。石臼の理論はすり潰す事であり、包丁の理論は刻む事である。しかし、現在の実際の運用でもそれを激しくする事により液体に乱流やキャビテーションを発生させ微細混合を実現している。最も望ましいのはサブミクロン単位の刃先を持つ包丁でエマルジョン粒子を静かに刻んでゆく事である。即ち、プロの職人の切れ味の鋭い包丁で刻んだ 「アジの叩き」 とフードプロセッサーで刻んだそれとの味の違いは、日本人なら普通は想像が付くと思う。しかし、数ミクロンオーダーのその様な包丁は無い為、次善の手段として石臼理論に従って考案したのが、微粒化混合部となるミルローター82と分散部となるミルケーシング81から構成される低速ミルミキサーの原理である。
【0142】
(低速ミルミキサーの動作)
通常のミル式混合器は、似た様な構成を取るが、これを数千から数万回転迄上昇させ、摩擦エネルギーにより破砕効率を上げている。しかし、これではラジカルが発生し、物性が変化しかねない。本構成では、シャフト83はスラスト方向に固定されておらず、ミルローター82は、ミルケーシング81内の液体に浮いた状態に成っている。基本原理は、前述した固体界面を利用したモデルと同様であるが、基本原理そのものでは、位置決めに精密なラジアルベアリングが必要となり、且つスラスト方向に自由度が必要であるという、設計上困難な条件がある為、ラジアル方向は自身が滑り軸受けとして機能する様、テーパー形状に基本原理を適用する事が有利である。何故ならば、この場合ラジアル方向の力は、自身の隙間を一定に保つ事が安定と成る力とバランスし、自動的にセンターが決まるほか、スラスト方向に制限の無い滑り軸受けと同様の機構であるので、ミルローター82自身の重さ或いは、シャフトへの荷重によりミルローター82とミルケーシング81間の隙間を一定に保つ事が容易となる為である。主液及び注入液が注入されると液圧によりミルローター82は上部に押し上げられ、滑り軸受けの様な境界潤滑面が形成される。この境界潤滑面でキャビテーションを起こさない様にモーター9でシャフトを回転させられれば混合液流量に応じたミルローター82とミルケーシング81の間隔が保たれる。図14では判り難いがミルローター82とミルケーシング81は液体の入口部で最も隙間が大きく、出口付近で最も隙間が少なくなる様に微妙にテーパー角度を違える必要がある他、細かい粒子径を望む場合には、出来るだけ表面の粗さを抑えた表面仕上げ(鏡面仕上げ)が必要であるが、材質にチタンとテフロン(登録商標)の様な組み合わせを選定すれば、自己研磨により表面状態が維持出来る。
【0143】
[ミルローター82の回転数制御]
液流量の増加に伴い、ミルローター82とミルケーシング81の隙間は増大するので、それに見合った相対ずり速度を確保する為、発信式流量計50の信号を回転速度演算器45が受信し、VVVF装置46に回転数指示を行いシャフト83に連結されたモーター9の回転速度を調整する。この時、VVVF装置ではモーターの2次電流を外部に出力する事が出来る。実際には回転域におけるトルクブースト設定等により、正確にシャフトのトルクを反映する物では無いが、この二次電流値が同一粘度の流体において流量変化に伴い変化しない回転数の場合、相対ずり速度が一定である証明となる。逆に、動的トルクを正確に伝送出来る手段があれば、発信式流量計を無くし、その相対ずり速度により発生する動的トルクを一定にする事により、モーター9の回転数を制御する事も不可能では無い。
【0144】
(相対ずり速度とトルクの関係)
即ち粘度とは(ずり応力)/(ずり速度)で定義される。従って一定の粘度を持つ液体が2面間に挟まれて、一定のずり応力を受けている時には、一定のずり速度を保つ事が判る。ここで2面間の幅を広げれば、速度が一定だとすると応力が減少する。すなわち液体の相対的ずり速度が2面間の距離に反比例するからである。即ち距離が離れた場合には2面間の距離に応じて相対的なずり速度を調整すれば、液体内部で生じるずり速度を一定に出来るので、ずり応力も一定となるのである。
【0145】
[混合圧力の制御]
平滑面でずり運動を行なうミルローター82では原則としてキャビテーションの要因は減少しているが、それでも相対ずり速度の上昇に伴いキャビテーションリスクが増大する。その様な場合には、混合液出口圧力をキャビテーションの置き難い圧力まで上昇させればよい。通常、この操作は一次圧力調整弁で行なうが、圧力差が大きい場合には、バルブ内部のキャビテーションにより、折角の低ラジカルミキシング混合液が台無しになってしまう。この様な場合には、液圧モーター49をモーター9を通じて電力回生式VVVF装置47で回転数制御を行なう方法が望ましい。
【0146】
液圧モーター49とは、容積式ポンプと全く同一であるが、液圧により逆に回転させられるものである。この回転力はモーターに逆起電力を発生させ発電機になってしまうが、電力回生式VVVF装置は、この電力を商用電源に戻す事により、エネルギーを液体の熱ではなく開放出来るのである。この場合においても、最も望ましいのは、ネジ式ポンプの構造を持つ液圧モーターである。何故なら万が一ポンプ内部で内部リークを生じても、次の低圧部との圧力差が少ないので、キャビテーションが生じ難い為である。従って、圧力発信器8の信号を受信した圧力調整器48は、維持したい圧力と成る様に電力回生式VVVF装置47に速度信号を出力し、液圧モーター49の回転数を制御する事により、圧力を一定に維持しながら主液と注入液の投入に見合った混合液を吐出制御する事により、常圧のレベルに減圧するものである。
【0147】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
瞬間分散部34において混合する液体の界面間のラジカル連鎖を防止することができる。また、ミルローター82において、キャビテーションや高圧を発生させないで微粒化を行ない、ショートパス抑制技術により1回の通過で微粒化が完結することにより、エントロピーの増大に伴うエネルギーの移動により発生するラジカル源物質のラジカルの開放に起因する直鎖系2重混合部のラジカル連鎖を抑制することができる。さらに、キャビテーション、高圧、無駄な微粒化混合に伴う断熱膨張に起因する高温ガスによる混合する液体中に含まれる直鎖系2重結合を有する有機化合物のラジカル化や、有機化合物のヒドロキシル基やアミン基の酸化の進行を防止することができる。
【0148】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。例えば、以下のような構成を取ることもできる。
【0149】
〔既設設備の改良〕
[スタティックミキサーの場合]
図15のスタティックミキサーの注入液入口を封鎖し、主液入口部に瞬間分散部を有するエゼクタ型混合器を備えればお互いに溶解性のある液体混合においてはかなりラジカルによる影響の少ない混合液が製造できる。
【0150】
[機械式ミキサー100]
エマルジョン用としては、現在のところ最も本発明の理論に近い混合液が製造出来る。制御としては温度と圧力による回転数によるキャビテーションコントロールやブロック溝をより滑らかにして、高速回転時の各種キャビテーション現象を防止できれば、より理想的な混合液が製造できる(図1参照)。
又、このタイプのミキサーではローター32とステーター36の剪断面で、隙間が狭窄し、前述の固体界面と液体界面の利用による効率の良い微粒化が可能である。
【0151】
[機械式ミキサー200]
瞬間分散部を設ければ、機械式ミキサー100と同様の手段により理想的な混合液が製造出来る。但し、剪断部が一段では、ショートパスが発生する懸念もある為、1パスで使用する場合には、右下の多段ローター38とそれに合致するステーターを用いれば、機械式ミキサー100の様に1パスで複数回の剪断を与える事が出来、1パス運用時のエマルジョン性能の信頼性が高まる(図7参照)。
機械式ミキサー100同様に、ローター32とステーター36の間隔を狭めると、固体液体界面効果を利用する事が出来、効率の良いミキシングも可能である。
【0152】
[機械式ミキサー300]
キャビテーションを伴わないと、エマルジョンの生成が出来ない点や、ショートパスが生じ易く1パスではエマルジョン等の混合が十分に出来ない点等不利な点が多い。エマルジョンでの適用は、界面活性剤等との併用として出来るだけ高速な回転を避けると伴に、羽根の端面を滑らかにしたり、混合液圧を高目に保ったりする手法で、ある程度本発明に沿った混合液が製造出来る(図9参照)。
【0153】
なお、キャビテーションが防止出来ない場合には、ミキサー通過回数を厳密にコントロールし、必要な粒子径の混合液となった時に、混合を停止すべきである。
【0154】
[オリフィス式混合器]
オリフィス式混合器においては、混合液体出口24の圧力をキャビテーションの生じない圧力に保ったり、図2のディフューザ−の様に流速を減少させる手段を用いる事や、オリフィス62の表面で剥離現象によるキャビテーションを出来るだけ防止する様にすれば、ある程度、ラジカルによる影響の少ない混合液が製造出来る。
【0155】
尚、それでも主液入口の液体の溶存酸素濃度と混合液出口の溶存酸素濃度の差が大きい場合には、液体中に含まれる気泡や溶解酸素がポンプ61で加圧される際に断熱圧縮の熱や高圧による反応性の上昇により、ラジカルになる事も考えられる為、出来るだけ混合前液のガスを抜いたり、予め過酸化物等のラジカルによる連鎖反応を起こし易い成分を取り除いて置く事が必要である。
【0156】
オリフィス式混合器においては、液体移送手段において、プランジャ式ポンプを単段で使用する事が多いが、この昇圧も例えば多段で徐々に圧力を上昇させる事により、非凝縮ガスが断熱圧縮に成らない様に配慮する事や、容量の大きなものを低速で運転し、熱が拡散しやすい条件を作る等の方法で、断熱圧縮起因のラジカルをある程度回避可能である。
【0157】
(ホモジナイズ牛乳の低ラジカル化)
オリフィス式混合器で代表的な生産品はホモジナイズ牛乳である。現状では恐らくその様な製法は認められていないと思われるが、オリノコタールの製造法を応用すればより少ないエネルギーで同品質の物が製造出来ると思われる。
【0158】
牛乳から分離し易いクリーム状の乳脂肪はクリームとして分離して置き、残りの比較的分離の少ない乳脂肪を含んだ牛乳を十分冷却しておいた中に、そのクリームが目的とする噴霧粒径となる様に噴霧ノズルと圧力及び粘度を選定すれば、図5の様な原理でより少ないエネルギーで、従ってラジカルによる障害を少なくするホモジナイズ方法になると思われる。即ち乳脂肪であるバターは、C4〜C12程度の直鎖飽和脂肪酸のグリセリドであり、溶解温度を超えると急激に粘度が低下するので、品質劣化の少ない50℃前後の加温でも、圧力噴霧方式による噴霧で十分微粒化出来るのであるし、微粒化後は冷却により固形化し再会合しないので、特別な分散手段は不要な筈である。
【0159】
[超音波式]
このミキサーの場合には、混合理論そのものがキャビテーションである為、原則としてキャビテーションを発生させなければ混合能力は無い。従って、出来るだけ混合前液のガスを抜いたり、予め過酸化物等のラジカルによる連鎖反応を起こし易い成分を取り除いて置く事が必要であるし、有害な生成物が発生するおそれのある成分の混合は行なわない事が大切である。
【0160】
[ミル式混合器]
ミル式混合器は、従来はその速度即ち回転出来る性能を競っていた。数万、数十万という回転数を誇るミキサーも知られているが、有機物の混合においては前述の様に細かくすればするほど、厄介な副生成物に悩まされる事になる。局部偏在による障害の懸念のある場合には、瞬間分散工程を備えるか、エゼクタ型混合器と組合せ、液体混合をする上で必要最低限の回転数と、キャビテーションを発生させない圧力下で運用すれば、ラジカルによる影響の少ない混合液が製造出来る。
【0161】
〔ラジカル反応に起因する反応生成物の含有量が従来方法より少ない〕
最も代表的な生成物は、オレフィンが自動酸化されたヒドロペルオキシドである。さらにそのラジカルにより二重化部分が酸化されエポキシ化が発生したり、さらに酸化されアルデヒド化、カルボン酸化と進行する。従って、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー等の手法を用いて、酸化指標物質の定量を行なえば、混合方法の改善による酸化防止効果が確認できる。
【0162】
〔ラジカル反応に起因するラジカル抑制物質の減少率が従来方法より改善される点〕
例えば、ビタミンCは水溶液における極めて有効なラジカル抑制物質であるし、ビタミンEは油溶液における有効なラジカル抑制物質である。従来の混合方法と比較してこれらの成分の減少率が少なくなれば、それだけ摂取した時のこれら人体にも有効な栄養素の摂取量が増える。エネルギー分野においては、燃料中にも様々なラジカル抑制物質の存在が指摘されているが、これらの物質の測定は物性や測定方法が確立されておらず困難である。そこで、前記の測定方法が確立している指標物質を、混合装置の開発段階で敢えて加えて評価試験を実施する事によりミキシング状態の最適化の確認が実施出来る。
【0163】
〔混合前液体の合計溶解酸素量に対する混合後の溶解酸素量の減少率が従来方法より少ない〕
混合する製品が水溶液同士であれば、お互いの溶存酸素は溶存酸素計で測定でき、その測定結果の合計と混合後の測定結果を比較すれば容易に混合状態の良否確認が実施できる。当然酸素ラジカルが有機物を酸化させれば、溶存酸素が混合液中から失われる為である。
【0164】
〔製品安定化の為に必要な添加物の添加率が従来方法より少なくなる、〕
前述のラジカル抑制物質を品質安定化の為に加えていても、従来の混合法では混合中に失われてしまう事も考えられる。この場合、その減少率を加味して添加量を決定しているのであれば、混合方法の改善によりそれら安定化添加物の添加率を減少させる事が可能となるはずである。
【0165】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【0166】
【発明の効果】
本発明によれば、瞬間分散部において混合する液体の界面間のラジカル連鎖を防止することができる。また、微粒化混合部において、キャビテーションや高圧を発生させないで微粒化を行ない、ショートパス抑制技術により1回の通過で微粒化が完結することにより、エントロピーの増大に伴うエネルギーの移動により発生するラジカル源物質のラジカルの開放に起因する直鎖系2重混合部のラジカル連鎖を抑制することができる。さらに、キャビテーション、高圧、無駄な微粒化混合に伴う断熱膨張に起因する高温ガスによる混合する液体中に含まれる直鎖系2重結合を有する有機化合物のラジカル化や、有機化合物のヒドロキシル基やアミン基の酸化の進行を防止することができる。
更に、インライン混合にありがちな混合部への高分子成分の堆積なども防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】機械式ミキサーの構造の1形態を示した図である。
【図2】エゼクタ型混合器の基本構成を示した図である。
【図3】円形可変オリフィス型混合形態の概念図である。
【図4】回転ディスク型混合形態の概念図である。
【図5】戻り圧力噴霧式ノズルの応用例である注入流量可変型圧力噴霧型混合形態の概念図である。
【図6】多段エゼクタによる複数液体の瞬間分散に関する構成図である。
【図7】機械式ミキサーの基本構成の変形例を示した図である。
【図8】キャビテーション抑止型制御の実施形態を示した図である。
【図9】機械式ミキサーの基本構成の変形例を示した図である。
【図10】膜脱気法と呼ばれる溶存酸素の除去手段の概念図である。
【図11】ミル・モデルで考えた時の2つの円盤間の体積を一定とした時の相互高さを示した概念図である。
【図12】固液間の界面特性を利用して、剪断法により微粒化を行なう混合装置の一形態を示す図である。
【図13】固液間の界面特性を利用して、微粒化を行なう混合装置の一形態を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る混合装置の概略図である。
【図15】スタティックミキサーの基本構成を示した図である。
【図16】タンク内混合方法の概念を示した説明図である。
【図17】インライン混合方法の基本構成を示した図である。
【図18】タンク内混合方法とインライン混合方法の併用型混合方法の基本構成を示した図である。
【図19】オリフィス混合器の基本構成を示した図である。
【図20】超音波混合器の基本構成を示した図である。
【図21】ミル式混合器の基本構成を示した図である。
【符号の説明】
1 混合装置
34 瞬間分散部
81 ミルケーシング(分散部)
82 ミルローター(微粒化混合部)

Claims (5)

  1. 少なくともその一方に直鎖系2重結合を有する有機化合物が含まれていて、少なくとも一方に酸素や過酸化物等のラジカル源物質が含まれている液体同士を混合するインライン混合装置であって、
    前記液体同士の混合が混合断面の中心部から一方の液体を流入させその全周囲から他方の液体を流入させる様に構成される分散部を備え、
    前記分散部内の該断面において中心部から流入する液体の、吐出エネルギーを利用して分散断面のラジアル方向に対して均一にもう一方の液体と分散させるか、または、流入する液体を混合断面において旋回させ、その中心部に流入した液体を、旋回する液体内部に発生する負圧により均一に分散させるかの何れかの機能を、キャビテーション現象を生じない範囲で行なう瞬間分散部を有し、2液界面間の局部的偏在を抑制する事を特徴とするインライン混合装置。
  2. 少なくともその一方に直鎖系2重結合を有する有機物が含まれていて、少なくとも一方に酸素や過酸化物等のラジカル源物質が含まれていて、お互いが溶解分散せず、エマルジョン分散形態をとる液体同士を混合するインライン混合装置であって、
    混合部において前記液体の界面と該混合装置表面の固体界面の特性を利用してキャビテーション現象を生じない範囲で機械的剪断を行なうか、または狭窄された固体界面隙間によりその固体界面に濡れない液体の表面張力を利用し微細化を行なうか、その両方を用いた、微粒化混合部を有することを特徴とするインライン混合装置。
  3. 少なくともその一方に直鎖系2重結合を有する有機化合物が含まれていて、少なくとも一方に酸素等のラジカル源物質が含まれている液体同士をインラインで混合する混合方法であって、
    前記液体同士の混合が混合断面の中心部から一方の液体を流入させその全周囲から他方の液体を流入させる様に構成する分散工程を備え、
    液体が分散する断面において中心部から流入する液体の、吐出エネルギーを利用して分散断面のラジアル方向に対して均一にもう一方の液体と分散させるか、または、流入する液体を混合断面において旋回させ、その中心部に流入した液体を、旋回する液体内部に発生する負圧により均一に分散させる瞬間分散工程を、キャビテーション現象を生じない範囲で行ない、2液界面間の局部的偏在を抑制する事を特徴とする混合方法。
  4. 少なくともその一方に直鎖系2重結合を有する有機物が含まれていて、少なくとも一方に酸素や過酸化物等のラジカル源物質が含まれていて、お互いが溶解分散せず、エマルジョン分散形態をとる液体同士を混合する混合方法であって、
    混合部において前記液体の界面と該混合装置表面の固体界面の特性を利用してキャビテーション現象を生じない範囲で機械的剪断を行なうか、または狭窄された固体界面隙間によりその固体界面に濡れない液体の表面張力を利用し微細化を行なうか、その両方を用いた、微粒化混合工程を有することを特徴とする混合方法。
  5. 少なくともその一方に直鎖系2重結合を有する有機化合物が含まれていて、少なくとも一方に酸素等のラジカル源物質が含まれている液体同士をインラインで混合する混合方法であって、
    液体中に含まれるガス成分を予め除去した後、液体同士を混合する事により、気泡の断熱圧縮熱を起点とする連鎖反応を抑制し、ラジカルに起因する反応物質の生成を抑制しながら混合する事を特徴とする混合方法。
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