JP2004180620A - 苗植付け装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】苗のせ台6における1条分の苗載置部aの全幅に亘って植付け爪7aを相対横移動させるために必要な苗のせ台横移動ストロークよりも小さい横移動ストロークLで往復駆動するように、苗のせ台横送り手段を構成してある。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続した苗を載置して一定ストロークで往復横移動する苗のせ台の下端部から植付け爪で一株分ずつ苗を切り出して植え付けてゆくよう構成した苗植付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
苗のせ台に載置する連続苗としては、育苗箱で生育したマット状の苗(以後、単にマット苗と呼称する)が多用されるのであるが、苗補給の回数を少なくするために巻き取り可能な長尺のロングマット苗が利用されることがある。
【0003】
ロングマット苗は巻き取り可能にするために、床土を用いることなく生育されるものであり、不織布、網状体、スポンジ、などのシート状の媒体を介して根がらみを促進して連続性を確保するようにしている。このために、ロングマット苗は床土を培地として生育した一般のマット苗に比べて苗の分離性が悪く、苗のせ台に載せたロングマット苗から一株分の苗を植付け爪で切り出す際に、後続の苗部分を引きずる現象が発生し、苗が幅方向の内側に引っ張られて苗幅が小さくなりやすい。
【0004】
そして、苗の幅が小さくなると、1条分の苗載置部の左右両側に位置する仕切り壁と載置苗の左右側端との間に隙間が発生し、苗のせ台が横移動ストロークの端部にある時の苗取り量が少なくなり、極端な場合には欠株が発生する。このように、苗のせ台の仕切り壁載置苗との間に隙間が発生して横移動ストロークの両端での苗取り量が減少する現象は、ロングマット苗のみならず、一般のマット苗でも根部が柔らかくて変形しやすいものでは発生している。
【0005】
このような不具合を解消する手段の一つとして、ストローク中央部での苗のせ台の横移動速よりもトローク両端側での苗のせ台の横移動速を速くすることで、横移動ストロークの両端側でのピッチ送り量、つまり、1回の苗取り幅を大きくすることで、苗のせ台の仕切り壁と載置苗との間に隙間が発生していても極端に苗取り量が減少するのを回避する手段が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−234213号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように苗のせ台の横移動速度をストローク位置によって変更する手段によると、苗のせ台を横送り速度がストロークエンド側で速くなるので、ストロークエンドに到達して方向転換する際の衝撃が、低速で横移動して方向転換する場合のそれよりも大きくなるものであった。
【0008】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、苗のせ台を円滑かつ衝撃少なく方向転換させて往復横移動させることができるとともに、横移動ストロークエンドでの苗取り量の減少や欠株の発生を無くすことができる苗植付け装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1に係る発明の構成、作用、および効果〕
【0010】
請求項1に係る発明は、連続した苗を載置して一定ストロークで往復横移動する苗のせ台の下端部から植付け爪で一株分ずつ苗を切り出して植え付けてゆくよう構成した苗植付け装置において、
前記苗のせ台における1条分の苗載置部の全幅に亘って植付け爪を相対横移動させるために必要な苗のせ台横移動ストロークよりも小さい横移動ストロークで往復駆動するように、苗のせ台横送り機構を構成してあることを特徴とする。
【0011】
上記構成によると、載置苗の横幅方向の最初の苗切り出し、および、最後の苗切り出しが、仕切り壁より適当距離だけ内側に偏った位置となるので、載置苗の横幅が小さくなって仕切り壁と載置苗の側端との間に隙間が存在することになっても、この隙間を避けた位置での苗切り出しが行われることになる。
【0012】
この場合、上記のように、左右仕切り壁より適当距離だけ内側に偏った位置間で苗切り出しを行う本発明仕様における苗のせ台の横移動ストロークは、左右仕切り壁の間隔に亘って苗切り出しを行う標準仕様のものの横移動ストロークに比較して短いものとなり、植付け爪の苗切り出し作動周期が同一であれば、横移ストロークの小さい方が横移動速度は小さいものとなる。
【0013】
従って、請求項1の発明によると、苗のせ台の横移動ストロークが短くなった分、横移動速度が小さくなるので、衝撃少なくストロークエンドでの横移動方向転換を行うことができるとともに、仕切り壁と載置苗の側端との間に形成された隙間を避けて確実に苗の切り出しを行うことができ、ストロークエンドでの苗取り量の不足や欠株の発生をなくした良好な植付けを行うことが可能となった。
【0014】
〔請求項2に係る発明の構成、作用、および効果〕
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、苗取り出し作動ごとの苗のせ台の横送りピッチを略均等に設定してある。
【0016】
上記構成によると、標準仕様の場合に比べて苗切り出し作動ごとの苗のせ台の横送りピッチは小さくなるが、載置苗自体の横幅も圧縮されて小さくなっているので、切り出される1株の苗ブロックに含まれる苗本数は標準仕様の場合とほとんど変わることがない。
【0017】
従って、請求項2の発明によると、請求項1の発明の上記効果をもたらすとともに、標準仕様と同等に1株の苗本数を均一にした植付けを行うことができる。
【0018】
〔請求項3に係る発明の構成、作用、および効果〕
【0019】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の発明において、前記苗が巻き取り可能なロングマット苗である。
【0020】
ロングマット苗は、土付きマット苗に比較して根部の分離性が悪くて、苗切り出しに伴う引きずりによって苗幅が圧縮減少されやすくなるが、本発明の苗植付け装置を利用することで、ストロークエンドでの苗取り量の不足や欠株の発生をなくした良好な植付けを行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明に係る苗植付け装置を備えた乗用田植機が示されている。この乗用田植機は、4輪駆動される乗用走行機体1の後部に、油圧シリンダ2で駆動される平行四連リンク構造の昇降リンク3を介して6条植え仕様の苗植付け装置4が昇降可能に連結されるとともに、機体後部に施肥装置5が装備された構造となっている。
【0022】
前記苗植付け装置4には、6条分の苗Fを載置して一定ストロークで往復横移動する苗のせ台6、苗のせ台6の下端から植付け爪7aで1株分づつ小ブロック状の苗を切り出して田面Tに植え付ける6組の回転式の植付け機構7、田面Tの植付け個所を均平整地する複数個の整地フロート8、等が備えられており、前記苗Fとしてボビン9に巻付けられたロングマット苗が利用されている。
【0023】
前記施肥装置5は、ホッパ10に貯留した粉粒状の肥料を繰出し機構11によって設定量づつ繰り出して、電動ファン12で生起された搬送風で供給ホース13に沿って風力搬送し、各整地フロート8に取付けた作溝器14によって田面Tに形成された施肥溝に導いて各条の植付け苗の横側に埋設してゆくよう構成されている。
【0024】
前記苗植付け装置4の詳細な構造を以下に説明する。図2に示すように、苗植付け装置4には、前記昇降リンク機構の後端下部にローリング自在に連結された角パイプ状の横フレーム16が備えられており、この横フレーム16に、乗用走行機体1から動力を受けるフィードケース17が連結されるとともに、3本の植付けケース18が後ろ向き片持ち状に連結され、この植付けケース18の後端部左右に前記植付け機構7が一対づつ装備されている。
【0025】
前記フィードケース17には苗のせ台横送り駆動軸20が横架され、一端を軸受けステー21に支持されたネジ軸22が苗のせ台横送り駆動軸20の外端部に脱着可能に連結されている。図4に示すように、ネジ軸22には往復螺旋溝23が形成されるとともに、この往復螺旋溝23に係入する駒部材24を回転自在に装備した横移動部材25がネジ軸22に横スライド移動可能に外嵌装着されており、この横移動部材25と苗のせ台6が連結金具26およびアジャストボルト27を介して連結されている。よって、ネジ軸22が一定方向に連続回転されることで横移動部材25が往復螺旋溝23のストロークで往復横移動されて、苗のせ台6がそのストロークで往復横移動されるようになっている。
【0026】
また、苗のせ台6の上面は、仕切り壁6aによって6条分の苗載置部aに区画されるとともに、苗のせ台6の下端部が、植付けケース18群に亘って水平に取り付けられた摺動レール28に横スライド可能に案内支持されており、摺動レール28に左右一定間隔で切欠き形成した6個の苗取出し口29が、各苗載置部aの下端部に臨設されている。また、各苗載置部aには、載置苗Fを下方に向けて縦送りする縦送りベルト30が左右一対ずつ備えられている。
【0027】
なお、図3に示すように、ロングマット苗Fを巻き付けたボビン9は、苗のせ台6の仕切り壁6a上部に取り付けたブラケット31に支点ピン32を介して上下揺動可能に係止された支持アーム33の下端に備えられており、苗消費に伴って支持アーム33が自重下降して繰出し苗部分が縦送りベルト30載置接触するようになっている。また、苗のせ台6の下端近くの上方には苗押さえ板34が配備されており、その下端辺に形成した櫛歯部34aが苗Fに押し付けられることで、苗のせ台6が横移動した際に、苗Fが摺動レール28との摺接抵抗によって横ずれするのを防止するよう構成されている。
【0028】
図3に示すように、縦送りベルト30は、下部駆動ローラ35と上部遊転ローラ36とに亘って巻回張設されており、各下部駆動ローラ35を同時に回転駆動する縦送り軸37に備えた縦送りレバー38を図中時計方向に揺動させることで一方向クラッチ39を介して下部駆動ローラ35を所定角度だけ図中時計方向に回動させて、載置苗Fを所定量ずつ下方に送り出すよう構成されている。
【0029】
他方、図5に示すように、前記フィードケース17には苗縦送り駆動軸40が横架され、一端を軸受けステー41に支持された縦送り操作軸42が苗縦送り駆動軸40の外端に脱着自在に連結されて一定方向(図3では反時計回り)に連続駆動されている。この縦送り操作軸42には、所定間隔をもって左右一対の操作アーム43が装着されており、苗のせ台6が横送りストロークエンドに到達した時点で、前記縦送りレバー38が一方の操作アーム43における先端ローラ43aの移動軌跡内に進入し、回動する操作アーム43によって縦送りレバー38が所定角度だけ蹴られることで全条の縦送りベルト30が同時に縦送り作動するよう構成されている。
【0030】
ここで、図7に示すように、前記ネジ軸22に設けた往復螺旋溝23の軸心方向での寸法、つまり、苗のせ台6の横送りストロークLが、植付け爪7aが1条分の苗載置部aの両端に亘って相対移動する標準仕様の横送りストロークL0(図9参照)よりも短く設定され、苗のせ台6が左右のストロークエンドに到達した時の植付け爪7aによる苗取り出し位置が仕切り壁6aよりも所定寸法(5〜8mm程度)内側に偏るように構成されている。なお、苗のせ台6を円滑に向き反転させるように往復螺旋溝23の両端が湾曲されているために、苗のせ台6の横送り最大ストロークLmaxは、苗切り出しのための前記横送りストロークLより若干大きいものとなっている。
【0031】
また、縦送りレバー38の横移動ストロークが標準仕様のものより小さくなる分、左右の操作アーム43の間隔(左右の先端ローラ43aの間隔)も標準仕様のものより小さく設定されている。
【0032】
ここで、植付け爪7aはネジ軸22が180°回転するたびに苗取り出作動するようにタイミング設定されており、図8に示す往復螺旋溝展開図において苗縦送りタイミングの回転位相を基準(0°)として、ここから前後に90°位相のずれた位相で苗切り出し(○印および●印で示す)が行われるものであり、苗切り出し作動ごとの苗のせ台の横送りピッチp1〜pnが略均等となるように往復螺旋溝23のリード角度が設定されている。
【0033】
なお、上記のようにネジ軸22および縦送り操作軸42が脱着可能であるので、標準仕様の機種を横送りストロークの短い上記仕様のものに変更することができるとともに、逆に、横送りストロークの短い上記仕様のものを標準仕様の横送りストロークのものに簡単に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用田植機の全体側面図
【図2】苗植付け装置全体の概略平面図
【図3】苗植付け装置の要部の側面図
【図4】苗のせ台横送り構造の断面図
【図5】苗縦送りのための駆動部を示す平面図
【図6】苗のせ台の一部を示す平面図
【図7】苗取り出し作動の説明図
【図8】報復螺旋溝の展開図
【図9】標準仕様での苗取り出し作動の説明図
【符号の説明】
6 苗のせ台
7a 植付け爪
a 苗載置部
F 苗
L 横移動ストローク
p1〜pn 横送りピッチ
Claims (3)
- 連続した苗を載置して一定ストロークで往復横移動する苗のせ台の下端部から植付け爪で一株分ずつ苗を切り出して植え付けてゆくよう構成した苗植付け装置において、
前記苗のせ台における1条分の苗載置部の全幅に亘って植付け爪を相対横移動させるために必要な苗のせ台横移動ストロークよりも小さい横移動ストロークで往復駆動するように、苗のせ台横送り機構を構成してあることを特徴とする苗植付け装置。 - 苗取り出し作動ごとの苗のせ台の横送りピッチを略均等に設定してある請求項1記載の苗植付け装置。
- 前記苗が巻き取り可能なロングマット苗である請求項1または2記載の苗植付け装置。
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