JP2004179632A - NdFeB系異方性交換スプリング磁石およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた磁石特性を有するNdFeB系異方性交換スプリング磁石を提供する。
【解決手段】 ハード相およびソフト相を含有するNdFeB系希土類磁石合金において、前記ソフト相の最小幅が実質的に1μm以下であり、かつ、前記ソフト相間の最小距離が実質的に0.1μm以上である希土類磁石合金を原料として用い、ボールミルを用いた粉砕工程、放電プラズマ焼結工程などを経て、製造されるNdFeB系異方性交換スプリング磁石によって、上記課題は解決される。
【選択図】 図1−1

Description

本発明は、異方性を有する希土類永久磁石およびその製造方法に関する。
モータ等に用いられる磁石としては、Nd−Fe−B系永久磁石が広く用いられており、溶解法(非特許文献1参照)や急冷法(非特許文献2参照)を用いて製造されている。また、HDDR処理(非特許文献3参照)が開発され、磁石粉末に異方性を付与することも可能になっている。これらの技術開発によって、優れた磁石特性を有するNd−Fe−B系永久磁石が実用化されている。
しかしながら、Nd−Fe−B系永久磁石は、磁石特性に関して理論上の限界値に近づきつつある。このため、さらに高性能な次世代磁石の開発が所望されている。次世代磁石としては、近年、ナノコンポジット磁石とも称される、交換スプリング磁石が注目を集めている(非特許文献4参照)。交換スプリング磁石は、ハード相とソフト相とが数十nmオーダーで微細分散した組織からなる。交換スプリング磁石は、両相の磁化が交換相互作用で結び付くことによってソフト相の磁化が容易に反転せず、全体として単一ハード相のように振る舞う。ナノコンポジット磁石は、非常に高性能な磁石となりうることが指摘されている。例えば、SmFe17/Fe−Co系において、異方性化できれば、理論上は、(BH)max=137MGOeの値を得られることが報告されている(非特許文献5参照)。
これまでのところ、NdFe14B/FeB系交換スプリング磁石の製造方法が開発されている(非特許文献6参照)。また、NdFe14B/Fe系交換スプリング磁石の製造方法が開発されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献7参照)。
しかしながら、上記文献において用いられているメルトスパン法やメカニカルアロイング(MA)法では、結晶方位を揃えることができないため等方性交換スプリング磁石しか得られず、交換スプリング磁石の特性を十分に活かしきれない。
異方性交換スプリング磁石の製造方法としては、Nd−Fe−Bアモルファス合金を強磁場中で加熱結晶化する方法(特許文献3参照)、ハード相とソフト相とが微細分散析出するような急冷薄帯合金を熱間加工する方法(特許文献4参照)、温間一軸変形により、液相の存在下で直接、異方化する方法(特許文献5参照)などが開示されている。
しかしながら、上記方法によって製造された異方性交換スプリング磁石は磁石特性が不十分であった。また、より簡便な異方性交換スプリング磁石の製造方法の開発が所望されていた。
特開平7−173501号公報 特開平7−176417号公報 特開平11−8109号公報 特開平11−97222号公報 特開2000−235909公報 M. Sagawa et al, Japanese Journal of Applied Physics 26 (1987) 785 R. W. Lee, Applied Physics Letter 46 (1985) 790 T. Takeshita et al, Proc. 10th Int. Workshop on Rare Earth Magnets and Their Applications, Kyoto, (1989) 511 E. F. Kneller and R. Hawig, IEEE Transaction Magnetics 27 (1991) 3588 R. Skomski and J. M. D. Coey, Physical Review B48 (1993) 15812 R. Coehoorn et al, Journal de Physique 49 (1988) C8−669 L. Withanawasam et al, Journal of Applied Physics 76 (1994) 7065
本発明が目的とするところは、優れた磁石特性を有するNdFeB系異方性交換スプリング磁石およびその製造方法を提供することである。
また、本発明が目的とするところは、交換スプリング磁石の製造に用いられる磁石合金および磁石粉末、ならびに該磁石粉末の製造方法を提供することである。
また本発明が目的とするところは、NdFeB系異方性交換スプリング磁石を組み込んだモータを提供することである。
本発明は、ハード相およびソフト相を含有するNdFeB系希土類磁石合金において、前記ソフト相の最小幅が実質的に1μm以下であり、かつ、前記ソフト相間の最小距離が実質的に0.1μm以上である希土類磁石合金である。前記ソフト層の最小幅は、好ましくは800nm以下であり、より好ましくは400nm以下である。
本発明の希土類磁石合金を原料として用いれば、磁化容易軸を一方向に揃えたNdFeB系異方性交換スプリング磁石を容易に製造することができる。得られた交換スプリング磁石は優れた磁石特性を有するため、例えばモータに本発明の交換スプリング磁石を組み込むことによって、優れた特性を有するモータが得られる。また、希土類量が比較的少ないため、コスト的にも有利な磁石を提供することができる。
本発明者らは出発材料として、ソフト相とともにハード相を、所定の状態で有する希土類磁石合金を用いることによって、優れた磁石特性を有するNdFeB系異方性交換スプリング磁石が得られることを見出した。また、製造においては、ボールミルを用いて粉砕することが好適であることを見出し、製造条件についても好適な条件を見出した。
まず、異方性交換スプリング磁石の製造方法の一実施形態について概説する。ストリップキャスト法によって、本発明の希土類磁石合金を得る。図1−1は、本発明の希土類磁石合金(組成:Nd9.1Fe75.8Co6.1)の断面についてのSEM写真である。図1−1において、白みがかった泡状の箇所および泡と同様に白みがかった針状の箇所が、ソフト相である。ここで、本発明の請求項で言及している「ソフト相」について、正確を期すため定義しておく。請求項における「ソフト相」とは、当該倍率において認められるソフト相のみを意味する。具体的には、図1−1において、はっきりと認識できない、0.1μm未満の大きさのソフト相については、本願請求項における「ソフト相」の概念からは除外するものとする。したがって、本願においては、「ソフト相」以外の、黒みがかった箇所が、ハード相である。ハード相とは、単結晶のようになっているハード相領域のことである。粉砕過程において、結晶の交差すべり等が繰り返されることによりハード相は微細化される。一方、粉砕過程においては、同時にソフト相も含めた結晶の交差すべり等も繰り返される。このため、粉砕によって得られる粉末は、微細なソフト相も取り込んだ状態となる。
また、図1−2および図1−3に、本発明の他の希土類磁石合金についてのTEM写真を示す。図1−2の希土類磁石合金の組成はNdFe76Co、図1−3の希土類磁石合金の組成は、Nd11Fe72Co7.51.5である。図1−2に示す希土類磁石合金は、ソフト相の結晶粒径の最小幅が800nm以下である。図1−3に示す希土類磁石合金は、ソフト相の結晶粒径の最小幅が400nm以下である。
図1−2において、白い部分はソフト相であり、その他の部分はハード相であることを、EDXにより確認している。即ち、図1−2の希土類磁石合金において、ソフト相は、結晶粒内に存在する粒径約150nm程度の円形部分及び粒界に存在する最小幅約650nm程度の部分である。図1−2の希土類磁石合金のように、ソフト相の結晶粒径の最小幅が800nm以下であることが、好ましい。
図1−3において、白い部分はソフト相であり、その他の部分はハード相であることを、EDXにより確認している。尚、図中の左右の大きな白いエリアは試料が存在していない。図1−3の希土類磁石合金において、ソフト相は、結晶粒内に存在する粒径約150−350nm程度の円形部分及び最小幅約200nm程度の帯状部分である。図1−3の希土類磁石合金ように、ソフト相の結晶粒径の最小幅が400nm以下であることが、より好ましい。
ハード相領域の大きさ以下にまで磁石合金を粉砕して得られた粉砕粉の結晶方位は、もとのハード相の方位を保っている。粉砕粉のハード相はボールミルによる粉砕に際して生じた歪を蓄えている。粉砕粉は、その後の熱処理によって、方位すなわち磁化容易軸の揃った磁気特性の回復した微細なハード相に変わる。前述のように、ボールミルによって粉砕された粉砕粉は、微細なソフト相も含んでいる。したがって、熱処理することによって、ソフト相と方位の揃ったハード相とが混在してなる、より優れた異方性の希土類磁石粉末(交換スプリング磁石粉)が得られる。
希土類磁石合金がハード相に加えてソフト相を含み、かつ、そのハード相領域が単結晶のようになっている、すなわち、結晶方位が揃っていることを簡便に知る方法について述べる。その一つは、実際に交換スプリング磁石を製造して、得られた交換スプリング磁石の磁気特性を調べる方法である。すなわち、ボールミルを用いて磁石合金を粉砕し、磁場中プレスにより圧粉体を作製し、800℃以下の温度で放電プラズマ装置によりバルク化し磁石を得る。このバルク化磁石の磁場中プレスの磁場方向とそれに垂直な方向での磁化曲線を比較することにより、異方性の程度を調べる。異方性が有ったならば、ハード相領域が想定していた状態であったと推定する方法である。
もう一つは、もっと簡便な方法である。作製した希土類合金薄帯を、25μm以下に粉砕してから、エポキシ樹脂(接着剤)に混ぜ、磁場中で固めて、振動型磁力計(VSM)用サンプルを作製する。VSMにて磁場方向とそれに垂直な方向での磁化曲線を測定する。測定最大磁界である16kOeでの磁化(Js)の比より、ハード相領域の単結晶ライクの程度を推定する方法である。もっと細かく粉砕した方が望ましいが、25μm以下とした理由は、乳鉢を用いて手で粉砕し篩い分けできるほぼ限界の大きさが25μmであるからである。隣同士のハード相領域の結晶方位はそれほど傾いていないものと考えられる。すなわち、テクスチャーがあるものと考えられる。
後者の方法は希土類磁石合金開発で威力を発揮する。実際に交換スプリング磁石を作製してみたところ、Js比(磁場方向のそれに垂直な方向に対する比)が1.3以上の希土類磁石合金を出発材料とした場合に、異方性交換スプリング磁石の作製が可能であった。なお、バルク磁石のJs比はそれよりも大きな値となった。
希土類磁石粉末は、所定の磁場および圧力条件下において、磁場中成形することによって、異方性を有する圧粉体となる。圧粉体を、微細な結晶が肥大化しないように、比較的低温で焼結することによって、優れた磁石特性を有するNdFeB系異方性交換スプリング磁石が得られる。かような手法によって、優れた特性を有する異方性交換スプリング磁石を、比較的容易に得ることができる。
本発明者らは、得られる異方性交換スプリング磁石の特性や、製造時の生産性などを考慮に入れて鋭意検討した結果、原料として用いられるNdFeB系希土類磁石合金において、ハード相およびソフト相が所定の条件を満たすように混在している場合に、優れた異方性交換スプリング磁石が得られることを見出した。即ち、本発明の第一は、ハード相およびソフト相を含有するNdFeB系希土類磁石合金において、前記ソフト相の最小幅が実質的に1μm以下であり、かつ、前記ソフト相間の最小距離が実質的に0.1μm以上である希土類磁石合金である。尚、好ましくは、ソフト相の最小幅が実質的に800nm以下である希土類磁石合金であり、より好ましくは、ソフト相の最小幅が実質的に400nm以下である希土類磁石合金である。
ここで、ソフト相の最小幅およびソフト相間の最小距離について図1−1を参照しながら説明する。なお、本願の請求項において「ソフト相」と呼んでいるソフト相とは、既に定義しているように、当該倍率において認めることのできる、具体的には0.1μm以上の大きさのソフト相のことである。本願で「ソフト相の最小幅」とは、希土類磁石合金を観察したときに確認されるソフト相の幅の最小値をいう。泡状に観察されるソフト相に関しては、D1で示される長さがこのソフト相における最小幅に相当する。針状に観察されるソフト相に関しては、針状の先端部分でない位置における最小幅(D2に相当)が、ソフト相における最小幅に相当する。一方、「ソフト相間の最小距離」とは、泡状のソフト相と、このソフト相に最も近接するソフト相との距離をいう。D3およびD4で示される長さがソフト相間の最小距離に相当する。針状のソフト相に関しても、最も近接するソフト相までの距離で表される値である。
なお、本願において「最小幅が実質的に1μm以下である」とは、SEM写真などで観察されるソフト相を無作為に抽出した場合に、ソフト相の最小幅の9割以上が1μm以下であることを意味する。例えば、無作為で10個抽出した場合には、9個または10個のソフト相の最小幅が1μm以下であればよい。好ましくは、全てのソフト相の最小幅が1μm以下である。「最小距離が実質的に0.1μm以上である」も、同様に、SEM写真などで観察されるソフト相を無作為に抽出した場合に、ソフト相間の最小距離の9割以上が0.1μm以上であることを意味する。例えば、無作為で10ヶ所抽出した場合には、9ヶ所または10ヶ所のソフト相間の最小距離が0.1μm以上であればよい。好ましくは、全てのソフト相間の最小距離が0.1μm以上である。ソフト相の最小幅およびソフト相間の最小距離を算出するにあたっては、磁石合金の断面をSEMによって観察する手法を用い得る。ただし、これに限定するわけではなく、同様の算出が可能であれば代替手段も用いられうる。ハード相の確認は最終的にはTEMで行うことができるが、特に問題が生じない限りにおいて、前述した演繹的に推論する方法を用いても良い。
ソフト相の最小幅、および、ソフト相間の最小距離が上述の値を満たすと、得られる異方性交換スプリング磁石の特性が上昇する。その理由は、ソフト相間の最小幅が小さすぎる、即ち、ソフト相間の距離が短すぎると、ハード相領域が小さすぎる。このため、ハード相が微細であり、かつ、ハード相の磁化容易軸の方向の揃った、0.1μmより大きい磁石粉末が得られにくくなると推測される。また、ソフト相が大きすぎると、粉砕されにくくなる等の不都合が生じてしまうと推測される。このことを考慮すると、ソフト相の最小幅は、実質的に1μm以下、好ましくは800nm以下、より好ましくは400nm以下である。なお、ソフト相の最小幅がある程度大きいと、ソフト相の粉砕を効率よく進行させやすく、異方性交換スプリング磁石の特性を向上させやすい。
交換スプリング磁石を得るための好ましい磁石組成としては、下記式(1):
が挙げられる。この組成でのハード相はNdFe14Bであり、ソフト相はα−FeであることがX線回折、磁化の温度依存性の測定等より推定できた。
NdFeCoB系希土類磁石合金の組成は、例えばNdFe85−xCo、X=9〜11である。この組成で優れた磁石特性を有する異方性交換スプリング磁石を得られる。この組成でのハード相はNd(Fe−Co)14Bであり、ソフト相はα−(Fe−Co)であることがX線回折および磁化の温度依存性の測定等より推定できた。ただし、かような組成に限定するものではない。式(1)におけるx、yおよびzは、好ましくは以下で説明する範囲である。また、以下に例示する元素によって、所定量置換されていてもよい。
好ましくは式(1)におけるxは9〜11である。Nd量が11atom%を超えると、ソフト相の占める割合が5%弱未満となってしまい、交換スプリング磁石の特性が期待しにくくなってしまう。一方、Nd量が9atom%未満では希土類磁石合金の作製が困難となる。
好ましくは式(1)におけるyは5〜8である。B量が8atom%を超えると、NdFe14Bおよびα−Fe以外の他の相が生成する恐れがある。一方、B量が5atom%未満であると、希土類磁石合金の作製が困難となる。
好ましくは式(1)におけるzは0〜2である。Vは、結晶質の微細化、保磁力増大を図る観点から添加される。添加は必須ではなく、加えなくてもよい。ただし、加えすぎると磁気特性が逆に低下する原因となる。
Ndは0.01〜80atom%の範囲でPrによって置換されてもよい。より好ましくは20〜60atom%の範囲でPrと置換される。置換量がこの範囲であると、残留磁束密度の低下をほとんど生じることなく、保磁力および角型性を向上させることができる。
Ndは0.01〜10atom%の範囲でDyまたはTbによって置換されてもよい。置換量がこの範囲であると、残留磁束密度の著しい低下を生じることなく、保磁力を向上させることができると共に、温度特性の向上も可能となるからである。
Feの一部をCoで置換した組成としてもよく、その場合の置換量は好ましくは0.01〜30atom%であり、より好ましくは5〜20atom%である。この範囲であると、保磁力、磁束密度の低下を生じることなく、温度特性が向上する。特に、Coの置換量が5〜20atom%であると、温度特性のみならず、磁束密度自体も効果的に向上しうる。なお、Feの一部をCoで置換した場合におけるハード相はNd(Fe−Co)14Bとなり、ソフト相はα-(Fe−Co)であることがX線回折、磁化の温度依存性の測定等より推定できた。
また、FeまたはCo(Fe−Coとして存在するCo)は、少量のAl、Mo、Zr、Ti、Sn、Cu、GaまたはNbの1種以上で置換されてもよい。これらの元素を含有させることによって組織の微細化を図ることができ、保磁力増大が達成できる。しかしながら、含有しすぎると、磁気特性が逆に低下する原因となる。この観点からは、置換される元素量は、全組成に対して0.1〜3atom%であることが好ましい。
なお、本発明に係る磁石は合金材料であるため微量の不純物の混入は止むを得ないが、不純物量は少量であるほど好ましく、1質量%以下であることが好適である。
本発明に係る磁石合金の製造は、まず所望の組成になるように各金属元素を調整して配合し、真空中やアルゴン雰囲気下において高周波誘導溶解などの公知手段によって溶解インゴットを作製する。これにストリップキャスト法などの急冷法を施すことによって、比較的容易に本発明の希土類磁石合金(結晶質の合金薄帯)を得ることができる。ストリップキャスト法は公知の装置を用いて行うことができ、特に特別な改良を加えなくともよい。ただし、改良を排除するものではない。製造条件は使用する装置や合金の種類に応じて適宜設定する必要があり一義的に決められないが、本発明に係る磁石合金を調製する上では特に冷却速度に留意する必要がある。冷却速度が早すぎても(合金薄帯は薄くなる)遅すぎても(合金薄帯は厚くなる)結晶質サイズの粗大化や、合金薄帯の均一性が損なわれる恐れがある。冷却速度は、ストリップキャスト法によって得られる合金薄帯の厚さと密接な関連があり、得られる合金薄帯の厚さが30〜300μmになるように調製することが適切である。例えば、1000℃/sec以上のレートで、急冷して合金薄帯を得る。
本発明の第一の希土類磁石合金を粉砕することによって、希土類磁石粉末が提供される。希土類磁石合金の粉砕は、ボールミルを用いることが好ましい。即ち、本発明の第二は、本発明の第一の希土類磁石合金を、ボールミルによって粉砕して得られた希土類磁石粉末である。また、本発明の第三は、本発明の第一の希土類磁石合金を、分散剤を用いて、非酸化性雰囲気下において、ボールミルによって粉砕することを特徴とする希土類磁石粉末の製造方法である。
希土類磁石合金は、希土類磁石合金のハード相領域の大きさ以下にまでボールミルによって粉砕されることが好ましい。例えば、ハード相領域の大きさが0.5μmである場合には、0.5μm以下の粒子に粉砕するとよい。通常は、0.1μmのオーダー、即ちサブミクロンオーダーまで粉砕される。この程度の大きさであれば、磁場配向させる上で好適である。粉砕する大きさの下限値については特に限定されるものではないが小さすぎると磁場配向させることが困難になり、また、微粉になるほど耐酸化性が劣るという弊害もある。このため微粉化の程度は0.1μm以上であることが好ましい。
ボールミルは湿式でも乾式でもよいが、磁石粉末の酸化による磁気特性の劣化を防ぐために、好ましくは非酸化性の雰囲気下(アルゴン雰囲気下、窒素雰囲気下など)で粉砕される。湿式ボールミルには粉砕に際して、シクロヘキサンなどが用いられうる。また、粉砕された粉末の凝集を抑制するために分散剤が用いられる。分散剤は磁場配向にも好適な効果を及ぼしうる。分散剤としては、湿式ではコハク酸を、乾式ではステアリン酸が用いられうる。なお、as−milled状態での粉末は一部アモルファス化しているようであることが、磁気測定、X線回折等から推定された。
磁石合金を粉砕することによって得られた粉砕粉(磁石粉末)は、さらに熱処理が加えられることによって、ソフト相と方位の揃ったハード相とが混在してなる、より優れた異方性の希土類磁石粉末(交換スプリング磁石粉)となる。熱処理の温度は、好ましくは500〜800℃である。
熱処理が加えられた磁石粉末においては、ハード相およびソフト相が微細に混在した状態になっている。かつ、ハード相の磁化容易軸は揃った状態の組織となっている。既に説明しているように、単結晶ライクなハード相は、ボールミルプロセスにおいて、微細粒化するとともに、微細なソフト相を取り込むためである。
次に、得た磁石粉末を磁場配向することによって圧粉体を得る。磁場配向およびプレスに用いる装置は特に限定されるものではなく、各種公知の手段を用いることができる。例えば、磁場印加によって磁化容易軸方向を揃えた状態で加圧成形することができる。加圧力は1〜5トン/cm、印加する磁場は15〜25kOe程度が適当である。圧粉体は以下に説明する放電プラズマ焼結装置の型を用いて作製し、型に収まったままの状態で、型ごと装置に運ばれ、圧力をかけながら放電プラズマ焼結することが作業の容易性の点からは好適である。
得られた圧粉体を放電プラズマ焼結装置で加圧焼結することによって、バルク化した異方性交換スプリング磁石を得る。放電プラズマ加圧焼結を用いて、比較的低温で焼結することによって結晶質サイズの粗大化を抑制でき、得られる磁石の特性を優れたものとすることができる。放電プラズマ加圧焼結はイズミテック社製Model SPS−2040などの市販の装置を用いて行うことができ、製造する磁石や生産ラインに応じて適宜改良を施してもよい。
放電プラズマ加圧焼結の保持温度は、高すぎると結晶質サイズが粗大化し、磁石の保磁力が低下すると共に、交換結合が弱くなる恐れがある。このため、800℃以下で行うことが好ましく、700℃以下がより好ましい。一方、低すぎると緻密化が不充分となる恐れがあるため、600℃以上であることが好ましい。加圧焼結はロータリーポンプ等を用いて減圧下で行うことが好ましく、保持温度までの昇温速度は15〜25K/min程度が適切である。保持時間は、使用する装置、温度、圧粉体の大きさなどに応じて適宜変更する必要があり一義的には定義できないが、0〜10min程度が一般的である。保持温度にて保持後、炉冷する。降温速度は10〜30K/min程度が適切である。加圧力は1〜10トン/cm程度が適切である。だたし、放電プラズマ加圧焼結は、結晶質サイズが粗大化し、異方性交換スプリング磁石の特性が劣化しない程度においては上記条件から外れてもよい。なお、放電プラズマ加圧焼結を用いた場合、酸素濃度の低いバルク磁石を製造することができ、磁石特性の向上を図ることができる。
なお、交換結合の大きさはスプリングバックの大きさで認知することができる。最終的に得られる異方性交換スプリング磁石においてスプリングバックが確認できることは勿論であるが、熱処理を加えた磁石粉末でもスプリングバック現象を示した。また、本願記載内容からも予想されるように、ボールミルして粉砕したものでも、磁化曲線の第2、3象限において、スプリングバック現象が観察された。
本発明は、上述した方法によりNdFeB系異方性交換スプリング磁石を製造する方法を提供する。即ち、本発明の第四は、本発明の第二の希土類磁石粉末を、15〜25kOeの磁場中において、1〜5トン/cmの圧力で磁場中成形し、圧粉体を得る段階と、前記圧粉体を放電プラズマ装置において、600〜800℃の温度、1〜10トン/cmの圧力で加圧焼結してバルク磁石を得る段階とからなる、NdFeB系異方性交換スプリング磁石の製造方法である。
本発明の第四によって、NdFeB系異方性交換スプリング磁石が提供されるが、本発明の交換スプリング磁石は、原料として用いた希土類磁石合金の真密度の95%以上であることが好ましい。交換スプリング磁石の密度が95%以上であれば、エネルギー積の大きな交換スプリング磁石となる。即ち、本発明の第五は、本発明の第四によって得られるNdFeB系異方性交換スプリング磁石であって、磁石の密度が、組成が同一である希土類磁石合金の真密度の95%以上であるNdFeB系異方性交換スプリング磁石である。
本発明の異方性交換スプリング磁石は、高い磁石特性を必要とする各種用途に用いる上で、非常に有益である。例えば、本発明のバルク異方性の交換スプリング磁石はモータに適用することができる。その場合従来のNd−Fe−B焼結磁石に比べて、本発明の磁石は、磁石フラックスが大きいので小型化が図れる。また、本発明の磁石は、温度特性が優れる。これらの理由から、電気自動車用、HEV用、FCV用の駆動モータに有利である。焼結磁石に比べて、磁石フラックスが大きいことの理由は、交換スプリング磁石がソフト相を含んでいることによる。温度特性が優れていることの理由としては、保磁力機構が違うことが考えられる。ハード相の結晶粒径が小さく、ピンニング型に近い保磁力機構となっているようである。(焼結磁石はニュウクリエーション型の保磁力機構である。)そのために、温度安定性が増しているようである。
次に、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
合金インゴットの組成をNd9.1Fe75.8Co6.1とし、ストリップキャスト法により希土類磁石合金としての合金薄帯を調製した。ストリップキャスト法の条件は、固化する温度である900℃程度までの冷却速度を約2300℃/secとした。得られた合金薄帯の切断面をSEM観察したところ、ソフト相およびハード相が混在していた。また、ソフト相の最小幅は実質的に1μm以下であり、ソフト相間の最小距離は実質的に0.1μm以上であった。合金薄帯は、ストリップキャスト法におけるロール面側の方が微細な組織となっていた。得られた合金薄帯の切断面の中央付近についてのSEM写真を図1−1に示す。前述したように、白みがかった粒子および針状部分がα−Fe(より厳密には、α−(Fe−Co))の析出物である。他の部分がハード相領域である。
この合金薄帯を25μm以下に乳鉢で粉砕し、VSMサンプルを作製した。VSMサンプルは10kOeの磁場中にて粉末をエポキシ接着剤固定する方法で作製した。最大印加磁場16kOeのVSMにて、磁場に平行な方向と垂直な方向の磁化曲線を測定し、16kOeにおけるJs比を評価した(垂直に対する平行の比)。この値が大きさは、ハード相領域が大きいこと、および、ハード相領域がテクスチャーを形成していることを反映している。図2に測定結果の一例を示す。Js比はこの場合1.7となっている。
なお、得られた合金薄帯について、別途、上記と同様にVSMサンプルを作製し、平行方向での磁化曲線を測定した(図3および図4)。図4は図3の横軸を10倍に拡大して測定した磁化曲線である。図3および図4から確認できるように、合金薄帯についてもスプリングバック現象が発現していた。平行方向での磁化曲線の第2,3象限において、測定磁場を途中で反転させると、図のように磁化が戻り、戻り方がはね戻るようになる。これがスプリングバック現象である。通常では磁化は、測定磁場を反転させたときに増すことがない。このようなスプリングバックは、ソフト相とハード相とが近接しており、相互作用が強く働いていることを示す証拠である。
本発明の希土類磁石合金は結晶質であることが、一つの特徴である。これを確認すべく示差熱分析(DTA)を行ったところ、明瞭な発熱ピークはみられなかった。
得られた合金薄帯は、別途、湿式ボールミル(Ar雰囲気下、シクロヘキサンを使用)を用いて粉砕した。ボールミルによる粉砕に際しては、分散剤としてポリブテニルコハク酸イミドテトラエチレンペンタミン(分子量1300)を使用した。この分散剤は若干の鉱油を含んでいた。粉砕の結果得られた粉砕粉(希土類磁石粉末)についてSEM観察した。図5は、粉砕粉についてのSEM写真である。粉末の粒径は1μm以下となっており、1μm以上の粒子は確認できなかった。
as−milledの状態の粉末についても、上記同様VSMサンプルを作製し、磁化曲線を測定した。図6に測定結果を示す。図6におけるJs比は1.5となっている。すなわち粉砕粉も異方性を示していた。図2に比べて保磁力は増していることから、ハード相が微細化されていることが伺われる。図7は図6の平行方向におけるスプリングバック現象を確認したものである。
粉砕によって得た磁石粉末に、612℃の熱処理を施した。その後、VSMサンプルについての磁化曲線を同様に測定した。図8に測定結果を示す。熱処理が施された磁石粉末は異方性であった。Js比は1.4程度であるがこの値は参考値である。熱処理した粉末は凝集しているので、十分に磁場配向したVSMサンプルとなっていないためである。なお、熱処理した粉末を乳鉢にて粉砕し、凝集状態を少し開放して、VSMサンプルを作製して測定することにより、Js比の向上を確認することができた。また、保磁力は図6に比べて、大幅に増大していた(6.4kOe)。また、組織を観察したところ、微細に分散したハード相とソフト相の混在組織となっていた。
参考までに、図9に、as−milledの状態の粉末(a)とそれを612℃で熱処理した粉末(b)のX線回折結果である。熱処理すると回折ピークはシャープになっていることがわかる。as−milledの状態では相当量の歪が加わっているのであろう。また、アモルファス相も含んでいることも考えられる。
(実施例2)
合金インゴットの組成をNd10Fe75Coとし、ストリップキャスト法を用いて、実施例1と同様の手順により希土類磁石合金としての合金薄帯を調製した。得られた合金薄帯の切断面をSEM観察したところ、ソフト相およびハード相が混在していた。また、ソフト相の最小幅は実質的に1μm以下であり、ソフト相間の最小距離は実質的に0.2μm以上であった。合金薄帯を25μm以下に乳鉢で粉砕し、VSMサンプルを作製して求めたJs比は1.8であった。
(実施例3)
合金インゴットの組成をNd11Fe74Coとし、ストリップキャスト法を用いて、実施例1と同様の手順により希土類磁石合金としての合金薄帯を調製した。得られた合金薄帯の切断面をSEM観察したところ、ソフト相およびハード相が混在していた。また、ソフト相の最小幅は実質的に1μm以下であり、ソフト相間の最小距離は実質的に0.5μm以上であった。合金薄帯を25μm以下に乳鉢で粉砕し、VSMサンプルを作製して求めたJs比は1.8であった。
(比較例1)
合金インゴットの組成をNdFe77Coとし、ストリップキャスト法を用いて、実施例1と同様の手順により希土類磁石合金としての合金薄帯を調製した。得られた合金薄帯の切断面をSEM観察したところ、ソフト相およびハード相が混在していた。また、最小幅は1μmより大きいソフト相が数多く確認でき、実質的に1μm以下とはなっていなかった。また、ソフト相間の最小距離も0.1μm未満であるケースが多かった。合金薄帯を25μm以下に乳鉢で粉砕し、VSMサンプルを作製して求めたJs比は1.2であった。
(実施例4)
合金インゴットの組成をNd11Fe72Co7.51.5とし、ストリップキャスト法を用いて、実施例1と同様の手順により希土類磁石合金としての合金薄帯を調製した。なお、実施例4においては、ストリップキャスト法の条件は、固化する温度である900℃程度までの冷却速度を約2000℃/secとした。得られた合金薄帯の切断面をSEM観察したところ、ソフト相およびハード相が混在していた。また、ソフト相の最小幅は実質的に1μm以下であり、ソフト相間の最小距離は実質的に1μm以上であった。得られた合金薄帯の切断面の中央付近についてのSEM写真を図10に示す。左上から右下にかえて確認できる黒い縞模様がソフト相(α−(Fe−Co))である。他の領域がハード相である。即ち、帯状のソフト相によってハード層が隔離されている形態となっている。
as−milledの状態の粉末について、実施例1と同様にしてVSMサンプルを作製し、磁化曲線を測定した。図11に測定結果を示す。Js比は1.5強となっていた。この場合のボールミルにおける粉砕も、実施例1と同様な過程をたどるものと推定される。図12は、610℃で熱処理した粉末の磁化曲線である。保磁力は9.0kOeと図11に比べて増大している。異方性度合いであるJs比が小さいのは、前記していることと同じ理由による。すなわち、熱処理後の磁石粉末では粉末が凝集してしまうため、VSMサンプルを作製しても、十分に配向したサンプルにならないためである。図13は、図12と同様に作成されたサンプルについての、スプリングバック現象を調査するための磁化曲線である。熱処理後の磁石粉末についての、スプリングバック現象が見られた。
また、放電プラズマ焼結の好適な条件を探るべく、以下の実験を行った。
(参考例1)
実施例1と同様の手順により、希土類磁石合金としての合金薄帯を湿式ボールミルを用いて粉砕し、希土類磁石粉末を得た。希土類磁石粉末を、20kOeの磁場中で配向させて、2トン/cmの圧力で磁場中成形し、圧粉体を作製した。型には非磁性のWC型を用いた。得たバルク体の形状は10mmx10mmx7mm程度であった。
650℃、3分、加圧力9トン/cmの条件で、圧粉体を放電プラズマ焼結装置にてバルク化することにより、NdFeB系異方性交換スプリング磁石を得た。交換スプリング磁石の密度は、真密度に達していた。
得られた交換スプリング磁石をSEM観察およびTEM観察した。ソフト相とハード相は混在していて、粒サイズは15−40nmであった。電子線の回折パターン(TEM観察)より、ハード相の向きは揃っていることが確認できた。
(参考例2)
放電プラズマ焼結における加圧力が8トン/cmである以外は、参考例1と同様にしてNdFeB系異方性交換スプリング磁石を得た。交換スプリング磁石の密度は、真密度の95%であった。
(参考例3)
放電プラズマ焼結における加圧力が7トン/cmである以外は、参考例1と同様にしてNdFeB系異方性交換スプリング磁石を得た。交換スプリング磁石の密度は、真密度の90%であった。
(参考例4)
放電プラズマ焼結における温度が810℃である以外は、参考例1と同様にしてNdFeB系異方性交換スプリング磁石を得た。交換スプリング磁石の密度は、真密度に達していた。
得られた参考例1〜4の交換スプリング磁石の磁化曲線を最大印加磁場20kOeの(直流)BHトレーサにて測定した。磁場配向方向と垂直方向での20kOeにおける磁化の比を評価した(表1のJs比2がそれである)。参考例1の磁石のJs比2は1.8であり、実施例1のJs比(1.7)より大きくなっていた。また表1には磁石の磁化曲線から求めたエネルギー積(BHmax)も示した。保磁力については、参考例1〜3は7.0kOe程度の値であったが、参考例4は5.0kOeと低かった。表1に示されるように、磁石の密度は真密度の95%以上が望ましく、放電プラズマ装置での焼結温度は800℃以下が望ましいことが明らかとなった。
(実施例5)
参考例1の交換スプリング磁石を表面磁石型モータ(ステータ12極、ロータ8極)に適用した。図14は交換スプリング磁石が適用された集中巻の表面磁石型モータの1/4断面図である。外側はアルミケース11、その内側がステータ(内径52mm、外径108mm)12であり、1−2がu相、3−4がv相、5−6がw相巻線である。また、ステータ12は電磁鋼板の積層体とした。ロータ鉄14上には図示するような形状の磁石13を配置した。なお、ロータの最外径は50.7mmとし、ステータおよびロータの積厚は79.8mmであった。
モータの性能は、最大定格2kW、耐熱限界160℃であった。本磁石の保磁力は7.2kOeであった。一方、従来のNdFeB焼結磁石を用いた場合、同等の耐熱性を確保するには保磁力19.8kOe程度以上の磁石を使用する必要がある。即ち、本発明の磁石をモータに適用した場合、熱設計において優れた特性を発現することが示された。
実施例1の希土類磁石合金(組成:Nd9.1Fe75.8Co6.1)の断面についてのSEM写真である。 他の希土類磁石合金(組成:NdFe76Co)についてのTEM写真である。 さらに他の希土類磁石合金(組成:Nd11Fe72Co7.51.5)についてのTEM写真である。 実施例1の希土類磁石合金としての合金薄帯より作製したVSMサンプルについての磁化曲線である。 実施例1の合金薄帯について、スプリングバックを確認するために測定した磁化曲線である。 図3の磁化曲線において横軸を10倍に拡大して測定した磁化曲線である。 実施例1の粉砕粉(希土類磁石粉末)についてのSEM写真である。 実施例1で得られたas−milledの状態の磁石粉末より作製したVSMサンプルについての磁化曲線である。 図6の平行方向におけるスプリングバック現象を確認するために測定した磁化曲線である。 実施例1で得られた熱処理後の磁石粉末より作製したVSMサンプルについての磁化曲線である。 実施例1で得られた、as−milledの状態の粉末(a)およびそれを612℃で熱処理した粉末(b)についてのX線回折の結果である。 実施例4の希土類磁石合金(組成:Nd11Fe72Co7.51.5)の断面についてのSEM写真である。 実施例4で得られたas−milledの状態の磁石粉末より作製したVSMサンプルについての磁化曲線である。 実施例4で得られた熱処理後の磁石粉末より作製したVSMサンプルについての磁化曲線である。 実施例4で得られた熱処理後の磁石粉末について、スプリングバック現象を確認するために測定した磁化曲線である。 交換スプリング磁石が適用された集中巻の表面磁石型モータの1/4断面図である。
符号の説明
1−2…u相巻線、3−4…v相巻線、5−6…w相巻線、11…アルミケース、12…ステータ、13…磁石、14…ロータ鉄、15…軸。

Claims (18)

  1. ハード相およびソフト相を含有するNdFeB系希土類磁石合金において、
    前記ソフト相の最小幅が実質的に1μm以下であり、かつ、前記ソフト相間の最小距離が実質的に0.1μm以上である希土類磁石合金。
  2. 組成が、下記式(1):
    (式中、x=9〜11、y=5〜8、z=0〜2である)
    であることを特徴とする請求項1に記載の希土類磁石合金。
  3. Ndの0.01〜80atom%がPrで置換されてなることを特徴とする請求項2に記載の希土類磁石合金。
  4. Ndの0.01〜10atom%がDyまたはTbで置換されてなることを特徴とする請求項2または3に記載の希土類磁石合金。
  5. Feの0.01〜30atom%がCoで置換されてなることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の希土類磁石合金。
  6. FeまたはCoが、全組成に対して0.1〜3atom%のAl、Mo、Zr、Ti、Sn、Cu、GaまたはNbの1種以上で置換されてなることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の希土類磁石合金。
  7. ストリップキャスト法により作製された、結晶質の合金薄帯であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の希土類磁石合金。
  8. 前記合金薄帯の厚さが、30〜300μmであることを特徴とする請求項7に記載の希土類磁石合金。
  9. 前記ソフト相の最小幅が実質的に800nm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の希土類磁石合金。
  10. 前記ソフト相の最小幅が実質的に400nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の希土類磁石合金。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の希土類磁石合金を、ボールミルによって粉砕して得られた希土類磁石粉末。
  12. 500〜800℃の温度の熱処理が、さらに磁石粉末に施されてなることを特徴とする請求項11に記載の希土類磁石粉末。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の希土類磁石合金を、分散剤を用いて、非酸化性雰囲気下において、ボールミルによって粉砕することを特徴とする希土類磁石粉末の製造方法。
  14. ボールミルが湿式であることを特徴とする請求項13に記載の希土類磁石粉末の製造方法。
  15. ボールミルが乾式であることを特徴とする請求項13に記載の希土類磁石粉末の製造方法。
  16. 請求項11または12に記載の希土類磁石粉末を、15〜25kOeの磁場中において、1〜5トン/cmの圧力で磁場中成形し、圧粉体を得る段階と、
    前記圧粉体を放電プラズマ装置において、600〜800℃の温度、1〜10トン/cmの圧力で加圧焼結してバルク磁石を得る段階と、
    からなる、NdFeB系異方性交換スプリング磁石の製造方法。
  17. 請求項16に記載の製造方法によって得られるNdFeB系異方性交換スプリング磁石であって、磁石の密度が、組成が同一である希土類磁石合金の真密度の95%以上であるNdFeB系異方性交換スプリング磁石。
  18. 請求項17のNdFeB系異方性交換スプリング磁石を組み込んだモータ。
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