JP2004179554A - チップ抵抗器用セラミック基板とチップ抵抗器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミック基板から1回の分割でチップ抵抗器を得ることで工程中の不良率を低減させ、チップ抵抗器のバリを低減させる。
【解決手段】表面もしくは表裏面に縦の分割溝を有するセラミック基板であって、分割溝上にチップ抵抗器縦寸法ピッチで、チップ抵抗器横寸法以上の直線部を持つ角孔またはだ円孔を有していること。
【選択図】 図1
【解決手段】表面もしくは表裏面に縦の分割溝を有するセラミック基板であって、分割溝上にチップ抵抗器縦寸法ピッチで、チップ抵抗器横寸法以上の直線部を持つ角孔またはだ円孔を有していること。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分割溝を有するセラミック基板、とりわけ小型のチップ抵抗器等の電子部品を製造するためのセラミック基板及び小型チップ抵抗器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9(a)は一般的な分割溝を有するセラミック基板101であり、その表面には一次分割溝102、二次分割溝103を備えている。
図9(a)に示すセラミック基板101を製造するには、まず、図6に示すようにセラミック基板101を形成する材質のセラミックスグリーンシート104を用意し、金型下パンチ105上に載せたセラミックスグリーンシート104の表面に、断面形状がV字状をした刃先部106aを有する金型上パンチ106を押し当てて縦と横の分割溝を形成した後、セラミックスグリーンシート104を焼成することにより製造するようになっていた。
【0003】
また、図4はこのセラミック基板101を用いて製造される一般的なチップ抵抗器114を示しており、チップ抵抗器114は、セラミックス体115の表面に抵抗体膜118を備え、該抵抗体膜118は両端の電極膜117及び端面電極膜119とそれぞれ電気的に接続されるとともに、保護膜116によって覆われている。
【0004】
このようなチップ抵抗器114は、図3(a)に示す工程で製造される。図9(a)に示すセラミック基板101の両主面の所定位置に図4に示す電極膜117を印刷、焼き付けした後、セラミック基板101の一方の主面側に抵抗体膜118を印刷、焼き付けし、次にこの抵抗体膜118にレーザーを用いキズを入れ、抵抗値の微量調整、設定を行うレーザートリミングを施した後、抵抗体膜118上に保護膜116を印刷、焼き付けし、次いで一次分割溝102に沿って一次分割し、短冊状基板107を得る。この短冊状基板107を保持し、一次分割溝102側の端面に端面電極膜119を印刷、焼き付けし、しかる後二次分割溝103に沿って二次分割することにより図4に示すようなチップ抵抗器114を製造するようになっていた。従来から実施されている上記一次分割溝102及び上記二次分割溝103の分割方法として、ローラ方式が良く知られており、ローラ方式は図10に示すように、セラミック基板101を大径ローラ22と小径ローラ20,21間へ挿入圧接することにより図9(b)に示すような短冊状基板107に分割する方法である。または(c)に示すようなチップ状のチップ抵抗器114に分割する場合も同じ方法が取られる。
【0005】
このセラミック基板101を上記ローラ方式で、一次分割溝102に沿って一次分割する際、図9(b)に示すように一次分割後の短冊状基板107を保持する際、保持した短冊状基板107に端面電極119を施す際に、二次分割溝103で割れてしまうという問題があり、製造工程において著しく歩留りを低下させる原因となっていた。
【0006】
また、一次分割時、二次分割時にバリが発生するという問題もあり、最終製品の形状寸法が所定寸法内に収まらない原因となっていた。
【0007】
その為、一次分割後の短冊状基板の割れ問題を抑える為、図5(a)にあるように、一次分割溝102よりも二次分割溝103を浅くする方法で分割溝別に強度差をつけ、一次分割時の割れ、一次分割後、短冊状基板107の二次分割溝103の割れの対策としていた(特許文献1参照)。また、バリ問題の対策としては、図6(b)に示すように金型下パンチ105に断面形状がV字状をした刃先部105aを設けることで図5(b)に示すようにセラミック基板101の裏面にも一次裏分割溝102aと二次裏分割溝103aを設けることで対策としていた(特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開昭61−67903号公報
【特許文献2】
特開2001−332408号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年のチップ抵抗器の小型化に伴い、上記対策では不十分であることが顕著になってきた。例えば、現在0.6mm×0.3mmのサイズのチップ抵抗器が実用化されているが、従来の対策方法では、上述したように一次分割溝102よりも二次分割溝103を浅くする方法で分割溝別に強度差をつけていたが、実際には、短冊状基板107は、0.6mm×40〜60mm(基板サイズ)で厚みが0.2mmのものとなる。しかもその表面には0.3mmピッチで深さ0.03〜0.8mmの二次分割溝103を有している非常に脆い状態であり、従来対策では効果が得られなくなっていた。又、この対策では二次分割溝103を深くすることができずに、バリ問題を助長させる原因ともなっていた。当然、分割溝間隔も狭くなり、分割しにくくなるため、ローラ方式の分割ではバリの発生も抑えられなくなってきた。
【0010】
上記問題に鑑みて、特許文献1のローラ式分割装置と特許文献2の表裏面に分割溝108を有するセラミック基板101を用いたチップ抵抗器114の製造方法では、分割溝間隔が0.6mm以下のセラミック基板101の1次分割、2次分割において、支持ローラ20,21間のピッチの微調整並びに押圧ローラ22の圧力調整が困難であった。例えば、一次分割溝102の分割の際に支持ローラ20,21間のピッチが広いと後方の一次分割溝102まで分割され、ベルト23の進行方向に対しセラミック基板101がずれた状態で押圧ローラ22の直下に搬送され二次分割溝103が割れたり、また分割の際に一次分割溝102の真下に支点がないためにセラミック基板101の分割された端面が斜めになり、裏分割溝につながらず割れてしまい、バリの発生となって所定の寸法を満足しないという課題があった。
【0011】
また、逆に支持ローラ20,21間のピッチが狭いと一次分割溝102が分割されずに取り出されたりしていた。
当然、二次分割の際にも同様な現象が発生していた。
【0012】
【課題を解決するための手段】
複数のチップ抵抗器を成す長方形領域に分割されるセラミック基板であって、上記長方形領域の長辺または短辺のいずれか一方が分割溝で形成され、他方が直線部を有する貫通孔で形成されていることを特徴とする。
【0013】
更に、表面もしくは表裏面に上記分割溝を同一方向に複数備え、上記貫通孔の直線部は上記分割溝ピッチよりも長いことを特徴とする。
更に、上記分割溝の合計深さが厚みの22.5%以上であることを特徴とする。また、上記セラミック基板の長方形領域に電極膜と抵抗体膜を上記貫通孔の直線部に端面電極を、それぞれ形成して、上記分割溝にそって分割することを特徴とする。
【0014】
更に、上記セラミック基板における分割溝の分割箇所が分割装置の割部と押さえ部の間に位置するように搬送し、上記割部と上記押さえ部を上下動可能な駆動軸により下動させ、ストッパー機構で該押さえ部の下動を規制し上記セラミック基板と当接させるとともに、連結部のシーソー機構によって上記割部を上記押さえ部よりさらに下動させて基板を押圧することにより上記分割溝を分割することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1(a)では、セラミック基板111の表面もしくは表裏面に同一方向で複数備えられた分割溝108と分割溝ピッチαよりも長い直線部2をもつ複数の貫通孔113が分割溝108にまたがって備えられている。
【0016】
上記貫通孔113の直線部2と分割溝108は、最終的にチップ抵抗器をなす長方形領域1の長辺と短辺をそれぞれ形成して、図1(e)に断面を示すように、分割溝108は表分割溝108bと裏分割溝108aからなっている。
【0017】
また、図1(b)に示すように、上記貫通孔113を連続させた長孔113cとし、長方形領域1が連続するように分割溝108を形成して表分割溝108bと裏分割溝108aを施したことで、セラミック基板112とすることもできる。 これにより基板1枚面積あたりの取り個数増やすことができる為、量産性も得やすくなる。
【0018】
図1(c)、(d)に長方形領域1の拡大図を示すように、分割溝ピッチα以上の直線部長さθであれば、貫通孔113は角孔113aでもだ円孔113bでもかまわない。
【0019】
長方形領域1は、横寸法α、縦寸法β、貫通孔113は横寸法γ、縦寸法λ、直線部寸法θとしている。ここで、横寸法αとは分割溝ピッチαのことである。
【0020】
また、表分割溝108bと裏分割溝108aはセラミック基板111,112の外辺42まで連続もしくは連続していなくても十分分割できるものであれば良い。
【0021】
これらの構成により、セラミック基板111にバッチ処理で成膜をすることができ、1回の分割でチップ抵抗器を効率よく得ることができる。
【0022】
次に、本発明のセラミック基板の製造方法を説明する。
【0023】
セラミックスグリーンシート104を用意する。セラミックスグリーンシート104は、セラミックス原料に対して溶剤とバインダーを添加混練して製作した泥漿をドクターブレード法等のテープ成形型法にて形成する。
【0024】
次に、図6(b)に示すように、得られたセラミックスグリーンシート104の下に断面形状がV字状をした刃先部105aを有する金型下パンチ105を配置し、セラミックスグリーンシート104の表面に、断面形状がV字状をした刃先部106aを有する金型上パンチ106を押し当てて、図1(e)に示すようなチップ抵抗器の表分割溝108bと裏分割溝108aを形成する。この際、図6(a)に示すように刃先部105aを有しない金型下パンチ105にて成形することで表分割溝108bのみを施すこともできる。但し、従来の技術にあるように裏分割溝108aを設けるほうが、バリ対策としても好ましい。
【0025】
図1(a)(c)に示すように分割溝108上に縦幅(長辺)βが残るように金型抜き打ちにて角孔113aを複数穿孔する。この際、図1(d)に示すように分割溝ピッチ(横幅(短辺))α以上の直線部長さθであれば、だ円孔113bでもかまわない。しかる後、分割溝108と角孔部113aが形成されたセラミックスグリーンシート104を所定の温度で焼成することにより、図1(a)に示す分割溝108と、角孔113aを持った本発明のセラミック基板111を得ることができる。
【0026】
なお、本発明のセラミック基板111において、表分割溝108bと裏分割溝108aと角孔113aの形成方法としては、表分割溝108bと裏分割溝108aと角孔113aが、同じ金型内での一発加工でも成型できる。又、セラミックスグリーンシート104の金型加工に限らず、セラミックス焼成後の加工(例えばレーザー加工にて分割溝、孔加工を施す)により形成することもできる。
【0027】
図4はこの本発明のセラミック基板111を用いて製造されるチップ抵抗器114を示しており、チップ抵抗器114は、セラミックス体115の表面に抵抗体膜118を備え、該抵抗体膜118は両端の電極膜117及び端面電極膜119とそれぞれ電気的に接続されるとともに、保護膜116によって覆われている。
【0028】
このようなチップ抵抗器114を形成するには、図1(a)に示すセラミック基板111の製品部所定位置に電極膜117を印刷、角孔113a内部にスルーホール印刷により、端面電極119を印刷、焼き付けした後、セラミック基板111の一方の主面側に抵抗体膜118を印刷、焼き付けし、次にこの抵抗体膜118にレーザーを用いキズを入れて抵抗値の微量調整、設定を行うレーザートリミングを施した後、抵抗体膜118上に保護膜116を印刷、焼き付け後、次いで表分割溝108と裏分割溝108aに沿って分割することでチップ抵抗器114を1回の分割で製造することができる。
【0029】
即ち、本発明のセラミック基板111を用いることで、図3に示すようにチップ抵抗器を得るための工程中において、角孔113a内にスルーホール印刷にて端面電極膜119を形成し、従来端面電極を施すため行っていた一次分割と短冊状基板107への端面電極印刷工程を廃止できる。小型化に伴い、困難となる短冊状基板107での取り扱いを廃止できるため、工程中の割れ不具合を著しく低減できる。その上、従来よりも焼成と分割が1工程ずつ短縮できる。ここで、一般的に端面電極印刷とスルーホール印刷は同程度の工数である。
【0030】
この際、分割には、図10に示すようなローラ方式の分割でも良いが、図2に示す特許文献1の分割機を使用することで、精度良く分割することでき、バリの無いチップ形状を得ることが出来る。
以下に特許文献1の方式を説明する。
【0031】
まず、図2(a)に示すようにセラミック基板111の分割溝108の分割箇所が割部19と押さえ部18の間に位置するように下シート28にセラミック基板111を載置して搬送する。
【0032】
次に、図2(b)に示すように、クランク機構30が回転し上下動可能な駆動軸31により、上記割部19と上記押さえ部18を下動させ、ストッパー機構34で押さえ部18の下動を規制し上記セラミック基板111と当接させる。
【0033】
図2(c)に示すように、さらに、駆動軸31が下動することにより連結部32のシーソー機構によって割部19を押さえ部18よりさらに下動させてセラミック基板111を押圧することにより上記分割溝108を分割する。
【0034】
この分割方法は下シート28上に載置されたセラミック基板111が押さえ部18の直前まで張架された上シート27で挟持され搬送されるため、分割溝108は、図2(a)に図示する進行方向(矢印にて図示)に対し、常に90°のまま搬送され、押さえ部18並びに割部19の幅方向に対し、分割溝108が斜め方向になることがない。また、押さえ部18と割部19の下動は連結部32のシーソー機構により押さえ部18の下動規制後にさらに割部19が下動し分割溝108を分割するために、押さえ部18による過大な押圧力がセラミック基板111に加わらず、分割する分割溝以外から基板割れが発生しない。割部19の先端は分割溝ピッチが狭いものにも対応出来るように先細り状とし、受け部29は逆V字状としその先端は曲面状とすることにより、セラミック基板111の分割溝108の支点位置が微妙にずれても、割部19の押圧力がセラミック基板111の厚み方向に対し鉛直に加わるようにしている為、バリの発生が少ない。
【0035】
即ち、基板での印刷と一回の分割のみでセラミック基板111からチップ抵抗器114を得ることができる。
【0036】
当然、短冊状基板107での取り扱いも無くなり、工程中での不具合発生も解消できる。又、1回の分割を特許文献1の分割機で行うことで精度良いチップ抵抗器114を得ることができる。
【0037】
0603サイズのチップ抵抗器114を得る場合、チップ抵抗器114の縦寸法121が0.6mm、横寸法122が0.3mmであり、図1(a)に示すように角孔113aの残りピッチ寸法を縦幅(長辺)βとし、焼き上げ0.6mmとする。図1(c)で角孔113aの横寸法γは、分割溝ピッチ(横幅(短辺))αの0.3mm以上とし、角孔のRを考慮して0.4mmが望ましい。横寸法γはスルーホール印刷しやすいように0.15〜0.4mm程度が好ましい。
【0038】
即ち、角孔サイズは横寸法γが0.4mm、縦寸法γが0.15〜0.3mmが望ましいサイズである。
【0039】
【実施例】
ここで、図1(a)の表分割溝108bと裏分割溝108aと角孔113aを持った本発明のセラミック基板111と、図9(a)の1,2次の分割溝102,103を持った従来のセラミック基板101を用いて、0.58×0.29mmサイズのチップ抵抗器用セラミック基板を作製し、そのチップ抵抗器製造工程における歩留まり実験を行った。
【0040】
Al2O3含有量が93.0〜99.6重量%のアルミナ粉末に対し、SiO2、MgO、CaO等の焼結助剤と溶媒及びバインダーを添加混練して泥漿を作製し、ドクターブレード法にてセラミックスグリーンシート104を製作した。
【0041】
次に得られたセラミックスグリーンシート104の表裏面に、図6(b)に示すように断面形状がV字状をした刃先部105aを有する金型下パンチ105上に、セラミックスグリーンシート104を設置し、断面形状がV字状をした刃先部106a金型上パンチ106を所定の深さまで押し当てて、図1(e)に示す表分割溝108と裏分割溝108aを図1(c)に示す分割溝ピッチ(横幅(短辺))βが焼き上げ寸法で0.29mmとなるように形成した。その後、穿孔後の残りピッチ寸法が縦幅(長辺)βであって焼き上げ寸法が0.58mmになるように角孔113aを穿孔した。このようにして、図1(a)のような角孔113aを有する本発明のセラミック基板111を得た。なお、上記角孔113aの大きさは、図1(c)に準じて焼成後に横寸法124が0.4mm、縦寸法123が0.2mmとなるものとした。
【0042】
一方、従来例のセラミック基板101は、図6(b)の上記本発明実施例と同様にセラミックスグリーンシート104の表面に断面形状がV字状をした刃先部105a、106aを有する金型105,106を所定の深さまで押し当てて一次分割溝102を形成すると同時に裏面に一次裏分割溝102aを形成した。このピッチを焼き上げ寸法で0.58mmとなるようにした。その後、同じ成形方法で二次分割溝103を形成すると同時に、裏面に二次裏分割溝103aを同時加工した。このピッチを焼き上げ寸法で0.29mmとなるようにした。
【0043】
その後、各セラミックスグリーンシート104を1600℃前後の大気雰囲気中で焼成することによってチップ抵抗器用セラミック基板を製作した。
【0044】
なお、製作したチップ抵抗器用セラミック基板は、外辺寸法が60.0mm×50.0mm、厚みが0.20mmの板状体で、本発明のものは分割溝108が128本、角孔113aが2944孔を有する基板とし、一つの抵抗器の大きさとしては、外辺寸法が0.58mm×0.29mmで2880個のチップ抵抗器114を得られるものとした。
【0045】
比較例用のものは、一次表分割溝102b、一次裏分割溝102aが0.58mmピッチで46本、二次表分割溝103b、二次裏分割溝103aが0.29mmピッチで65本を有する基板とし、一つのチップ抵抗器114の大きさとしては、縦寸法が0.58mm、横寸法0.29mmで2880個のチップ抵抗器114を得られるものとした。
【0046】
本発明品の分割溝深さYは、表分割溝108bが0.03mm、裏分割溝108aが0.015mmとなるものと表側分割溝108が0.06mm、裏側分割溝108aが0.015mmとなるものと表側分割溝108が0.09mm、裏側分割溝108aが0.015mmとなるものとを設定した。
【0047】
比較例としての従来のセラミック基板101は、一次表分割溝102bが0.09mm、一次裏分割溝102aが0.015mm、二次表分割溝103bが0.06mm、二次裏分割溝103aが0.015mmとなるように設定したものと一次表分割溝102が0.09mm、一次裏分割溝102aが0.015mm、二次表分割溝103が0.09mm、二次裏分割溝103aが0.015mmとなるように設定した。
【0048】
そして、得られた各チップ抵抗器用セラミック基板をそれぞれ、図3に示すようなそれぞれの工程にてチップ抵抗器を得て、不良率とバリの大きさを比較した。
【0049】
尚、分割については、特許文献1記載の分割機と従来からのローラ方式のもので比較した。
【0050】
バリの測定方法は、図7に示す方法で、直角部51からのはみ出し寸法109で測定した。分割溝深さの測定方法は、当該分割溝面103に赤マジックを塗布し、十分に乾燥後、当該分割溝を分割し、顕微鏡(40倍〜50倍)にて深さを図8に示すように表面からの分割溝深さYにて測定する。
【0051】
結果は表1に示す通りである。
【0052】
【表1】
【0053】
表1により判るように、従来方法品(比較例品)では、工程中の割れ不良が最も良い組み合わせでも7.62%発生しているのに対して、本発明実施例品では最も悪い組み合わせでも2.36%であり、最も良い組み合わせでは、0.31%まで改善できる。又本発明品では、一次分割溝分割工程が無いため、通常発生する1次分割後のバリの大きさは0となる。短冊状基板107の取り扱いが無いため、分割溝深さYを深くすることができる。表の分割溝深さYが0.090mm、裏の分割溝深さYが0.015mmの場合、工程中割れはわずか0.31%で、バリの大きさは特許文献1の分割機を使用することで最大0.010mm、平均0.004mmまで抑えられた。又、表の分割溝深さYが0.030mm、裏の分割溝深さYが0.015mmの場合でも最大0.015mm、平均0.007mmまで抑えられた。少なくとも表裏の深さの合計が厚みの22.5%以上であれば、効果が得られる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、表面もしくは表裏面に縦の分割溝を有するセラミック基板であって、分割溝上にチップ抵抗器縦寸法ピッチで、チップ抵抗器横寸法以上の直線部を持つ角孔またはだ円孔を有していることを特徴とするセラミック基板とすることにより、1回の分割にて寸法精度の高いチップ抵抗器を効率良く得ることができる。
又、製造工程が2工程短縮され、短期間で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は本発明のチップ抵抗器用セラミック基板の平面図、(c)(d)は本発明のチップ抵抗器用セラミック基板の拡大図、(e)は本発明のセラミック基板を分割溝で分割した断面図である。
【図2】(a)(b)(c)は本発明のチップ抵抗器の製造方法で用いる分割機を説明するための断面図である。
【図3】(a)は従来のチップ抵抗器の製造工程を示すフローチャート、(b)は本発明のチップ抵抗器の製造工程を示すフローチャートである。
【図4】一般的なチップ抵抗器を示す斜視図である。
【図5】(a)(b)は本発明のセラミック基板における分割溝を示す断面図である。
【図6】(a)表面のみに分割溝を有するセラミック基板を二次分割溝で分割した断面図、(b)表裏面のみに分割溝を有するセラミック基板を二次分割溝で分割した断面図である。
【図7】バリの大きさを測定する方法を説明するための図である。
【図8】分割溝の深さを測定する方法を説明するための図である。
【図9】(a)従来のチップ抵抗器用セラミック基板を示す斜視図、(b)上記のチップ抵抗器用セラミック基板を1次分割溝で分割した短冊状基板を示す斜視図、(c)上記短冊状基板を二次分割溝で分割したチップ抵抗器を示す斜視図である。
【図10】従来のローラ式分割機の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
α :分割溝ピッチ(横幅(短辺))
β :縦幅(長辺)
θ :直線部長さ
γ :横寸法
λ :縦寸法
1 :長方形領域
2 :直線部
18:押さえ部
19:割部
20:支持ローラ
21:支持ローラ
22:押圧ローラ
23:ベルト
27:上シート
28:下シート
29:受け部
30:クランク機構
31:駆動軸
32:連結部
34:ストッパー機構
42:外辺
51:直角部
101:セラミック基板
102:一次分割溝
102b:一次表分割溝
102a:一次裏分割溝
103:二次分割溝
103b:二次表分割溝
103a:二次裏分割溝
104:セラミックグリーンシート
105:金型下パンチ
105a:刃先部
106:金型上パンチ
106a:刃先部
107:短冊状基板
108:分割溝
108b:表分割溝
108a:裏分割溝
X:バリ寸法
Y:分割溝深さ
111:セラミック基板
112:セラミック基板
113:貫通孔
113a:角孔
113b:だ円孔
113c:長孔
114:チップ抵抗器
115:セラミックス体
116:保護膜
117:電極膜
118:抵抗体膜
119:端面電極膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、分割溝を有するセラミック基板、とりわけ小型のチップ抵抗器等の電子部品を製造するためのセラミック基板及び小型チップ抵抗器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9(a)は一般的な分割溝を有するセラミック基板101であり、その表面には一次分割溝102、二次分割溝103を備えている。
図9(a)に示すセラミック基板101を製造するには、まず、図6に示すようにセラミック基板101を形成する材質のセラミックスグリーンシート104を用意し、金型下パンチ105上に載せたセラミックスグリーンシート104の表面に、断面形状がV字状をした刃先部106aを有する金型上パンチ106を押し当てて縦と横の分割溝を形成した後、セラミックスグリーンシート104を焼成することにより製造するようになっていた。
【0003】
また、図4はこのセラミック基板101を用いて製造される一般的なチップ抵抗器114を示しており、チップ抵抗器114は、セラミックス体115の表面に抵抗体膜118を備え、該抵抗体膜118は両端の電極膜117及び端面電極膜119とそれぞれ電気的に接続されるとともに、保護膜116によって覆われている。
【0004】
このようなチップ抵抗器114は、図3(a)に示す工程で製造される。図9(a)に示すセラミック基板101の両主面の所定位置に図4に示す電極膜117を印刷、焼き付けした後、セラミック基板101の一方の主面側に抵抗体膜118を印刷、焼き付けし、次にこの抵抗体膜118にレーザーを用いキズを入れ、抵抗値の微量調整、設定を行うレーザートリミングを施した後、抵抗体膜118上に保護膜116を印刷、焼き付けし、次いで一次分割溝102に沿って一次分割し、短冊状基板107を得る。この短冊状基板107を保持し、一次分割溝102側の端面に端面電極膜119を印刷、焼き付けし、しかる後二次分割溝103に沿って二次分割することにより図4に示すようなチップ抵抗器114を製造するようになっていた。従来から実施されている上記一次分割溝102及び上記二次分割溝103の分割方法として、ローラ方式が良く知られており、ローラ方式は図10に示すように、セラミック基板101を大径ローラ22と小径ローラ20,21間へ挿入圧接することにより図9(b)に示すような短冊状基板107に分割する方法である。または(c)に示すようなチップ状のチップ抵抗器114に分割する場合も同じ方法が取られる。
【0005】
このセラミック基板101を上記ローラ方式で、一次分割溝102に沿って一次分割する際、図9(b)に示すように一次分割後の短冊状基板107を保持する際、保持した短冊状基板107に端面電極119を施す際に、二次分割溝103で割れてしまうという問題があり、製造工程において著しく歩留りを低下させる原因となっていた。
【0006】
また、一次分割時、二次分割時にバリが発生するという問題もあり、最終製品の形状寸法が所定寸法内に収まらない原因となっていた。
【0007】
その為、一次分割後の短冊状基板の割れ問題を抑える為、図5(a)にあるように、一次分割溝102よりも二次分割溝103を浅くする方法で分割溝別に強度差をつけ、一次分割時の割れ、一次分割後、短冊状基板107の二次分割溝103の割れの対策としていた(特許文献1参照)。また、バリ問題の対策としては、図6(b)に示すように金型下パンチ105に断面形状がV字状をした刃先部105aを設けることで図5(b)に示すようにセラミック基板101の裏面にも一次裏分割溝102aと二次裏分割溝103aを設けることで対策としていた(特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開昭61−67903号公報
【特許文献2】
特開2001−332408号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年のチップ抵抗器の小型化に伴い、上記対策では不十分であることが顕著になってきた。例えば、現在0.6mm×0.3mmのサイズのチップ抵抗器が実用化されているが、従来の対策方法では、上述したように一次分割溝102よりも二次分割溝103を浅くする方法で分割溝別に強度差をつけていたが、実際には、短冊状基板107は、0.6mm×40〜60mm(基板サイズ)で厚みが0.2mmのものとなる。しかもその表面には0.3mmピッチで深さ0.03〜0.8mmの二次分割溝103を有している非常に脆い状態であり、従来対策では効果が得られなくなっていた。又、この対策では二次分割溝103を深くすることができずに、バリ問題を助長させる原因ともなっていた。当然、分割溝間隔も狭くなり、分割しにくくなるため、ローラ方式の分割ではバリの発生も抑えられなくなってきた。
【0010】
上記問題に鑑みて、特許文献1のローラ式分割装置と特許文献2の表裏面に分割溝108を有するセラミック基板101を用いたチップ抵抗器114の製造方法では、分割溝間隔が0.6mm以下のセラミック基板101の1次分割、2次分割において、支持ローラ20,21間のピッチの微調整並びに押圧ローラ22の圧力調整が困難であった。例えば、一次分割溝102の分割の際に支持ローラ20,21間のピッチが広いと後方の一次分割溝102まで分割され、ベルト23の進行方向に対しセラミック基板101がずれた状態で押圧ローラ22の直下に搬送され二次分割溝103が割れたり、また分割の際に一次分割溝102の真下に支点がないためにセラミック基板101の分割された端面が斜めになり、裏分割溝につながらず割れてしまい、バリの発生となって所定の寸法を満足しないという課題があった。
【0011】
また、逆に支持ローラ20,21間のピッチが狭いと一次分割溝102が分割されずに取り出されたりしていた。
当然、二次分割の際にも同様な現象が発生していた。
【0012】
【課題を解決するための手段】
複数のチップ抵抗器を成す長方形領域に分割されるセラミック基板であって、上記長方形領域の長辺または短辺のいずれか一方が分割溝で形成され、他方が直線部を有する貫通孔で形成されていることを特徴とする。
【0013】
更に、表面もしくは表裏面に上記分割溝を同一方向に複数備え、上記貫通孔の直線部は上記分割溝ピッチよりも長いことを特徴とする。
更に、上記分割溝の合計深さが厚みの22.5%以上であることを特徴とする。また、上記セラミック基板の長方形領域に電極膜と抵抗体膜を上記貫通孔の直線部に端面電極を、それぞれ形成して、上記分割溝にそって分割することを特徴とする。
【0014】
更に、上記セラミック基板における分割溝の分割箇所が分割装置の割部と押さえ部の間に位置するように搬送し、上記割部と上記押さえ部を上下動可能な駆動軸により下動させ、ストッパー機構で該押さえ部の下動を規制し上記セラミック基板と当接させるとともに、連結部のシーソー機構によって上記割部を上記押さえ部よりさらに下動させて基板を押圧することにより上記分割溝を分割することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1(a)では、セラミック基板111の表面もしくは表裏面に同一方向で複数備えられた分割溝108と分割溝ピッチαよりも長い直線部2をもつ複数の貫通孔113が分割溝108にまたがって備えられている。
【0016】
上記貫通孔113の直線部2と分割溝108は、最終的にチップ抵抗器をなす長方形領域1の長辺と短辺をそれぞれ形成して、図1(e)に断面を示すように、分割溝108は表分割溝108bと裏分割溝108aからなっている。
【0017】
また、図1(b)に示すように、上記貫通孔113を連続させた長孔113cとし、長方形領域1が連続するように分割溝108を形成して表分割溝108bと裏分割溝108aを施したことで、セラミック基板112とすることもできる。 これにより基板1枚面積あたりの取り個数増やすことができる為、量産性も得やすくなる。
【0018】
図1(c)、(d)に長方形領域1の拡大図を示すように、分割溝ピッチα以上の直線部長さθであれば、貫通孔113は角孔113aでもだ円孔113bでもかまわない。
【0019】
長方形領域1は、横寸法α、縦寸法β、貫通孔113は横寸法γ、縦寸法λ、直線部寸法θとしている。ここで、横寸法αとは分割溝ピッチαのことである。
【0020】
また、表分割溝108bと裏分割溝108aはセラミック基板111,112の外辺42まで連続もしくは連続していなくても十分分割できるものであれば良い。
【0021】
これらの構成により、セラミック基板111にバッチ処理で成膜をすることができ、1回の分割でチップ抵抗器を効率よく得ることができる。
【0022】
次に、本発明のセラミック基板の製造方法を説明する。
【0023】
セラミックスグリーンシート104を用意する。セラミックスグリーンシート104は、セラミックス原料に対して溶剤とバインダーを添加混練して製作した泥漿をドクターブレード法等のテープ成形型法にて形成する。
【0024】
次に、図6(b)に示すように、得られたセラミックスグリーンシート104の下に断面形状がV字状をした刃先部105aを有する金型下パンチ105を配置し、セラミックスグリーンシート104の表面に、断面形状がV字状をした刃先部106aを有する金型上パンチ106を押し当てて、図1(e)に示すようなチップ抵抗器の表分割溝108bと裏分割溝108aを形成する。この際、図6(a)に示すように刃先部105aを有しない金型下パンチ105にて成形することで表分割溝108bのみを施すこともできる。但し、従来の技術にあるように裏分割溝108aを設けるほうが、バリ対策としても好ましい。
【0025】
図1(a)(c)に示すように分割溝108上に縦幅(長辺)βが残るように金型抜き打ちにて角孔113aを複数穿孔する。この際、図1(d)に示すように分割溝ピッチ(横幅(短辺))α以上の直線部長さθであれば、だ円孔113bでもかまわない。しかる後、分割溝108と角孔部113aが形成されたセラミックスグリーンシート104を所定の温度で焼成することにより、図1(a)に示す分割溝108と、角孔113aを持った本発明のセラミック基板111を得ることができる。
【0026】
なお、本発明のセラミック基板111において、表分割溝108bと裏分割溝108aと角孔113aの形成方法としては、表分割溝108bと裏分割溝108aと角孔113aが、同じ金型内での一発加工でも成型できる。又、セラミックスグリーンシート104の金型加工に限らず、セラミックス焼成後の加工(例えばレーザー加工にて分割溝、孔加工を施す)により形成することもできる。
【0027】
図4はこの本発明のセラミック基板111を用いて製造されるチップ抵抗器114を示しており、チップ抵抗器114は、セラミックス体115の表面に抵抗体膜118を備え、該抵抗体膜118は両端の電極膜117及び端面電極膜119とそれぞれ電気的に接続されるとともに、保護膜116によって覆われている。
【0028】
このようなチップ抵抗器114を形成するには、図1(a)に示すセラミック基板111の製品部所定位置に電極膜117を印刷、角孔113a内部にスルーホール印刷により、端面電極119を印刷、焼き付けした後、セラミック基板111の一方の主面側に抵抗体膜118を印刷、焼き付けし、次にこの抵抗体膜118にレーザーを用いキズを入れて抵抗値の微量調整、設定を行うレーザートリミングを施した後、抵抗体膜118上に保護膜116を印刷、焼き付け後、次いで表分割溝108と裏分割溝108aに沿って分割することでチップ抵抗器114を1回の分割で製造することができる。
【0029】
即ち、本発明のセラミック基板111を用いることで、図3に示すようにチップ抵抗器を得るための工程中において、角孔113a内にスルーホール印刷にて端面電極膜119を形成し、従来端面電極を施すため行っていた一次分割と短冊状基板107への端面電極印刷工程を廃止できる。小型化に伴い、困難となる短冊状基板107での取り扱いを廃止できるため、工程中の割れ不具合を著しく低減できる。その上、従来よりも焼成と分割が1工程ずつ短縮できる。ここで、一般的に端面電極印刷とスルーホール印刷は同程度の工数である。
【0030】
この際、分割には、図10に示すようなローラ方式の分割でも良いが、図2に示す特許文献1の分割機を使用することで、精度良く分割することでき、バリの無いチップ形状を得ることが出来る。
以下に特許文献1の方式を説明する。
【0031】
まず、図2(a)に示すようにセラミック基板111の分割溝108の分割箇所が割部19と押さえ部18の間に位置するように下シート28にセラミック基板111を載置して搬送する。
【0032】
次に、図2(b)に示すように、クランク機構30が回転し上下動可能な駆動軸31により、上記割部19と上記押さえ部18を下動させ、ストッパー機構34で押さえ部18の下動を規制し上記セラミック基板111と当接させる。
【0033】
図2(c)に示すように、さらに、駆動軸31が下動することにより連結部32のシーソー機構によって割部19を押さえ部18よりさらに下動させてセラミック基板111を押圧することにより上記分割溝108を分割する。
【0034】
この分割方法は下シート28上に載置されたセラミック基板111が押さえ部18の直前まで張架された上シート27で挟持され搬送されるため、分割溝108は、図2(a)に図示する進行方向(矢印にて図示)に対し、常に90°のまま搬送され、押さえ部18並びに割部19の幅方向に対し、分割溝108が斜め方向になることがない。また、押さえ部18と割部19の下動は連結部32のシーソー機構により押さえ部18の下動規制後にさらに割部19が下動し分割溝108を分割するために、押さえ部18による過大な押圧力がセラミック基板111に加わらず、分割する分割溝以外から基板割れが発生しない。割部19の先端は分割溝ピッチが狭いものにも対応出来るように先細り状とし、受け部29は逆V字状としその先端は曲面状とすることにより、セラミック基板111の分割溝108の支点位置が微妙にずれても、割部19の押圧力がセラミック基板111の厚み方向に対し鉛直に加わるようにしている為、バリの発生が少ない。
【0035】
即ち、基板での印刷と一回の分割のみでセラミック基板111からチップ抵抗器114を得ることができる。
【0036】
当然、短冊状基板107での取り扱いも無くなり、工程中での不具合発生も解消できる。又、1回の分割を特許文献1の分割機で行うことで精度良いチップ抵抗器114を得ることができる。
【0037】
0603サイズのチップ抵抗器114を得る場合、チップ抵抗器114の縦寸法121が0.6mm、横寸法122が0.3mmであり、図1(a)に示すように角孔113aの残りピッチ寸法を縦幅(長辺)βとし、焼き上げ0.6mmとする。図1(c)で角孔113aの横寸法γは、分割溝ピッチ(横幅(短辺))αの0.3mm以上とし、角孔のRを考慮して0.4mmが望ましい。横寸法γはスルーホール印刷しやすいように0.15〜0.4mm程度が好ましい。
【0038】
即ち、角孔サイズは横寸法γが0.4mm、縦寸法γが0.15〜0.3mmが望ましいサイズである。
【0039】
【実施例】
ここで、図1(a)の表分割溝108bと裏分割溝108aと角孔113aを持った本発明のセラミック基板111と、図9(a)の1,2次の分割溝102,103を持った従来のセラミック基板101を用いて、0.58×0.29mmサイズのチップ抵抗器用セラミック基板を作製し、そのチップ抵抗器製造工程における歩留まり実験を行った。
【0040】
Al2O3含有量が93.0〜99.6重量%のアルミナ粉末に対し、SiO2、MgO、CaO等の焼結助剤と溶媒及びバインダーを添加混練して泥漿を作製し、ドクターブレード法にてセラミックスグリーンシート104を製作した。
【0041】
次に得られたセラミックスグリーンシート104の表裏面に、図6(b)に示すように断面形状がV字状をした刃先部105aを有する金型下パンチ105上に、セラミックスグリーンシート104を設置し、断面形状がV字状をした刃先部106a金型上パンチ106を所定の深さまで押し当てて、図1(e)に示す表分割溝108と裏分割溝108aを図1(c)に示す分割溝ピッチ(横幅(短辺))βが焼き上げ寸法で0.29mmとなるように形成した。その後、穿孔後の残りピッチ寸法が縦幅(長辺)βであって焼き上げ寸法が0.58mmになるように角孔113aを穿孔した。このようにして、図1(a)のような角孔113aを有する本発明のセラミック基板111を得た。なお、上記角孔113aの大きさは、図1(c)に準じて焼成後に横寸法124が0.4mm、縦寸法123が0.2mmとなるものとした。
【0042】
一方、従来例のセラミック基板101は、図6(b)の上記本発明実施例と同様にセラミックスグリーンシート104の表面に断面形状がV字状をした刃先部105a、106aを有する金型105,106を所定の深さまで押し当てて一次分割溝102を形成すると同時に裏面に一次裏分割溝102aを形成した。このピッチを焼き上げ寸法で0.58mmとなるようにした。その後、同じ成形方法で二次分割溝103を形成すると同時に、裏面に二次裏分割溝103aを同時加工した。このピッチを焼き上げ寸法で0.29mmとなるようにした。
【0043】
その後、各セラミックスグリーンシート104を1600℃前後の大気雰囲気中で焼成することによってチップ抵抗器用セラミック基板を製作した。
【0044】
なお、製作したチップ抵抗器用セラミック基板は、外辺寸法が60.0mm×50.0mm、厚みが0.20mmの板状体で、本発明のものは分割溝108が128本、角孔113aが2944孔を有する基板とし、一つの抵抗器の大きさとしては、外辺寸法が0.58mm×0.29mmで2880個のチップ抵抗器114を得られるものとした。
【0045】
比較例用のものは、一次表分割溝102b、一次裏分割溝102aが0.58mmピッチで46本、二次表分割溝103b、二次裏分割溝103aが0.29mmピッチで65本を有する基板とし、一つのチップ抵抗器114の大きさとしては、縦寸法が0.58mm、横寸法0.29mmで2880個のチップ抵抗器114を得られるものとした。
【0046】
本発明品の分割溝深さYは、表分割溝108bが0.03mm、裏分割溝108aが0.015mmとなるものと表側分割溝108が0.06mm、裏側分割溝108aが0.015mmとなるものと表側分割溝108が0.09mm、裏側分割溝108aが0.015mmとなるものとを設定した。
【0047】
比較例としての従来のセラミック基板101は、一次表分割溝102bが0.09mm、一次裏分割溝102aが0.015mm、二次表分割溝103bが0.06mm、二次裏分割溝103aが0.015mmとなるように設定したものと一次表分割溝102が0.09mm、一次裏分割溝102aが0.015mm、二次表分割溝103が0.09mm、二次裏分割溝103aが0.015mmとなるように設定した。
【0048】
そして、得られた各チップ抵抗器用セラミック基板をそれぞれ、図3に示すようなそれぞれの工程にてチップ抵抗器を得て、不良率とバリの大きさを比較した。
【0049】
尚、分割については、特許文献1記載の分割機と従来からのローラ方式のもので比較した。
【0050】
バリの測定方法は、図7に示す方法で、直角部51からのはみ出し寸法109で測定した。分割溝深さの測定方法は、当該分割溝面103に赤マジックを塗布し、十分に乾燥後、当該分割溝を分割し、顕微鏡(40倍〜50倍)にて深さを図8に示すように表面からの分割溝深さYにて測定する。
【0051】
結果は表1に示す通りである。
【0052】
【表1】
【0053】
表1により判るように、従来方法品(比較例品)では、工程中の割れ不良が最も良い組み合わせでも7.62%発生しているのに対して、本発明実施例品では最も悪い組み合わせでも2.36%であり、最も良い組み合わせでは、0.31%まで改善できる。又本発明品では、一次分割溝分割工程が無いため、通常発生する1次分割後のバリの大きさは0となる。短冊状基板107の取り扱いが無いため、分割溝深さYを深くすることができる。表の分割溝深さYが0.090mm、裏の分割溝深さYが0.015mmの場合、工程中割れはわずか0.31%で、バリの大きさは特許文献1の分割機を使用することで最大0.010mm、平均0.004mmまで抑えられた。又、表の分割溝深さYが0.030mm、裏の分割溝深さYが0.015mmの場合でも最大0.015mm、平均0.007mmまで抑えられた。少なくとも表裏の深さの合計が厚みの22.5%以上であれば、効果が得られる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、表面もしくは表裏面に縦の分割溝を有するセラミック基板であって、分割溝上にチップ抵抗器縦寸法ピッチで、チップ抵抗器横寸法以上の直線部を持つ角孔またはだ円孔を有していることを特徴とするセラミック基板とすることにより、1回の分割にて寸法精度の高いチップ抵抗器を効率良く得ることができる。
又、製造工程が2工程短縮され、短期間で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は本発明のチップ抵抗器用セラミック基板の平面図、(c)(d)は本発明のチップ抵抗器用セラミック基板の拡大図、(e)は本発明のセラミック基板を分割溝で分割した断面図である。
【図2】(a)(b)(c)は本発明のチップ抵抗器の製造方法で用いる分割機を説明するための断面図である。
【図3】(a)は従来のチップ抵抗器の製造工程を示すフローチャート、(b)は本発明のチップ抵抗器の製造工程を示すフローチャートである。
【図4】一般的なチップ抵抗器を示す斜視図である。
【図5】(a)(b)は本発明のセラミック基板における分割溝を示す断面図である。
【図6】(a)表面のみに分割溝を有するセラミック基板を二次分割溝で分割した断面図、(b)表裏面のみに分割溝を有するセラミック基板を二次分割溝で分割した断面図である。
【図7】バリの大きさを測定する方法を説明するための図である。
【図8】分割溝の深さを測定する方法を説明するための図である。
【図9】(a)従来のチップ抵抗器用セラミック基板を示す斜視図、(b)上記のチップ抵抗器用セラミック基板を1次分割溝で分割した短冊状基板を示す斜視図、(c)上記短冊状基板を二次分割溝で分割したチップ抵抗器を示す斜視図である。
【図10】従来のローラ式分割機の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
α :分割溝ピッチ(横幅(短辺))
β :縦幅(長辺)
θ :直線部長さ
γ :横寸法
λ :縦寸法
1 :長方形領域
2 :直線部
18:押さえ部
19:割部
20:支持ローラ
21:支持ローラ
22:押圧ローラ
23:ベルト
27:上シート
28:下シート
29:受け部
30:クランク機構
31:駆動軸
32:連結部
34:ストッパー機構
42:外辺
51:直角部
101:セラミック基板
102:一次分割溝
102b:一次表分割溝
102a:一次裏分割溝
103:二次分割溝
103b:二次表分割溝
103a:二次裏分割溝
104:セラミックグリーンシート
105:金型下パンチ
105a:刃先部
106:金型上パンチ
106a:刃先部
107:短冊状基板
108:分割溝
108b:表分割溝
108a:裏分割溝
X:バリ寸法
Y:分割溝深さ
111:セラミック基板
112:セラミック基板
113:貫通孔
113a:角孔
113b:だ円孔
113c:長孔
114:チップ抵抗器
115:セラミックス体
116:保護膜
117:電極膜
118:抵抗体膜
119:端面電極膜
Claims (5)
- 複数のチップ抵抗器を成す長方形領域に分割されるセラミック基板であって、上記長方形領域の長辺または短辺のいずれか一方が分割溝で形成され、他方が直線部を有する貫通孔で形成されていることを特徴とするチップ抵抗器用セラミック基板。
- 表面もしくは表裏面に上記分割溝を同一方向に複数備え、上記貫通孔の直線部は上記分割溝ピッチよりも長いことを特徴とする請求項1記載のチップ抵抗器用セラミック基板。
- 上記分割溝の合計深さが厚みの22.5%以上であることを特徴とする請求項1または2記載のチップ抵抗器用セラミック基板。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック基板の長方形領域に電極膜と抵抗体膜を、上記貫通孔の直線部に端面電極をそれぞれ形成して、上記分割溝にそって分割することを特徴とするチップ抵抗器の製造方法。
- 上記セラミック基板における分割溝の分割箇所が分割装置の割部と押さえ部の間に位置するように搬送し、上記割部と上記押さえ部を上下動可能な駆動軸により下動させ、ストッパー機構で該押さえ部の下動を規制し上記セラミック基板と当接させるとともに、連結部のシーソー機構によって上記割部を上記押さえ部よりさらに下動させて基板を押圧することにより上記分割溝を分割することを特徴とする請求項4記載のチップ抵抗器の製造方法。
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JP2020194807A (ja) * | 2019-05-24 | 2020-12-03 | 株式会社村田製作所 | 積層型コイル部品 |
JP2022153510A (ja) * | 2019-05-24 | 2022-10-12 | 株式会社村田製作所 | 積層型コイル部品及びバイアスティー回路 |
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2002
- 2002-11-28 JP JP2002346538A patent/JP2004179554A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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