JP2004178162A - 標識灯システム - Google Patents
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Abstract
【課題】発光ダイオードの点灯回路に不自然な負担が増加したり、交流定電流電源への高調波の不所望な流出をしたりするのを抑制して信頼性の高いた標識灯システムを提供する。
【解決手段】標識灯システムは、所定の光度比率にしたがって出力電流を切り換える交流定電流電源CCRと、発光ダイオードLEDを光源として構成され、交流定電流電源CCRの出力に対して直列接続される標識灯LGTと、交流定電流電源CCRおよび標識灯LGTの間に介在する絶縁トランスTrfと、交流定電流電源CCRの出力電流を検出する電流検出手段DETと、その検出出力に応じて発光ダイオードLEDの発光が所定の光度比率になるように制御する点灯制御手段OCと、交流定電流電源CCRの電流切換特性と標識灯LGTの負荷電流特性との差を補償するように作用する負荷調整回路LRCとを具備している。
【選択図】図3
【解決手段】標識灯システムは、所定の光度比率にしたがって出力電流を切り換える交流定電流電源CCRと、発光ダイオードLEDを光源として構成され、交流定電流電源CCRの出力に対して直列接続される標識灯LGTと、交流定電流電源CCRおよび標識灯LGTの間に介在する絶縁トランスTrfと、交流定電流電源CCRの出力電流を検出する電流検出手段DETと、その検出出力に応じて発光ダイオードLEDの発光が所定の光度比率になるように制御する点灯制御手段OCと、交流定電流電源CCRの電流切換特性と標識灯LGTの負荷電流特性との差を補償するように作用する負荷調整回路LRCとを具備している。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空港などに用いられる標識灯システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
空港などに用いられる標識灯は、その複数が交流定電流電源の出力端に直列接続されることにより付勢される。また、標識灯は、周囲の明るさが変化しても標識の見え方を良好に維持するために、周囲の明るさに応じて交流定電流電源の出力電流を切り換えることによって標識灯が所定の光度比率で作動するように制御される。例えば、交流定電流電源に出力電流の切換タップを配設して、光度比率を100%、25%、5%、1%および0.2%の5段階の中から所望により選択できるように構成されている。
【0003】
また、現行の空港などに用いられる標識灯は、光源にハロゲン電球などの白熱電球を用いている。白熱電球は、タングステンフィラメントを通電加熱した際に発光するので、その電流−光度特性が後述する図1に示すようになる。
【0004】
一方、この種の標識灯において、ハロゲン電球などの光源に代えて発光ダイオードを用いることが考えられ、このことは特許文献1などにも記載されている。発光ダイオードを光源に変更すれば、省エネルギーになるとともに、寿命が著しく長くなるので、環境にやさしくなるばかりか、メンテナンス費用を大幅に節約することができる。
【0005】
そこで、標識灯の光源を発光ダイオードに変更する場合、現行の空港に既に設備されている交流定電流電源をそのままして標識灯のみを発光ダイオードを光源とするものに変更できれば最も少ない変更で済む。また、一つの交流定電流電源に対して、多数の標識灯が接続される中で、一部の標識灯はハロゲン電球を光源とするものを使用し、残余の標識灯を発光ダイオードを光源とするものとする場合もあり得る。
【0006】
ところが、ハロゲン電球と発光ダイオードとでは、図1に示すように、同一光度であっても、所要の電流が異なる。
【0007】
図1は、ハロゲン電球および発光ダイオードの電流−光度特性を示すグラフである。図において、横軸は電流(A)を、縦軸は比光度(%)を、それぞれ示す。曲線Aはハロゲン電球、曲線Bは発光ダイオード、をそれぞれ示す。図から理解できるように、ハロゲン電球は電流と光度との関係すなわち電流−光度特性が指数関数的曲線になる。これに対して、発光ダイオードは電流−光度特性がほぼ直線すなわち正比例の関係になる。
【0008】
また、交流定電流電源における切換タップは、その出力電流がハロゲン電球を備えた標識灯を付勢した際に所定の光度が得られるように設定されていて、例えば表1の中欄に示すとおりである。これに対して、発光ダイオードの場合には、同一光度を得るために必要な電流は、図1に示す電流−光度特性から計算すると、表1の右欄に示すとおりである。
【0009】
【表1】
ハロゲン電球と発光ダイオードとでは、同一光度であっても、所要の電流が異なることが表1から良く理解できる。このため、上述のような交流定電流電源に対して発光ダイオードを光源とする標識灯を接続しても、タップ1〜4の位置では所定の光度比率の標識光が得られないということになる。
【0010】
そこで、上記の問題を解決するために、交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段を配設するとともに、その検出出力に応じて発光ダイオードの発光が所定の光度比率になるように標識灯を制御する点灯制御手段を配設した標識灯システムが本発明者らにより提案されている(特許文献2参照。)。すなわち、特許文献2においてば、点灯制御手段を配設していることにより、発光ダイオードの電流−光度特性と異なる電流−光度特性に対応した電流切り換えが行われる交流定電流電源であっても、所定の光度比率で標識灯の光度切り換えを行えることができる。
【0011】
ところで、標識灯を直列点灯する場合、交流定電流電源から延在する幹線線路の高電圧から標識灯側を導電的に分離するために、絶縁トランスを介して負荷を接続するように構成されている。
【0012】
次に、図13および図14を参照して、特許文献2に記載の絶縁トランスTrf、点灯制御手段OCの主要部である直流電流変換回路Idcおよびその負荷Zの電流、電圧の関係についてさらに詳しく説明する。
【0013】
図13は、特許文献2に記載の標識灯システムにおける交流定電流電源、絶縁トランスおよび点灯制御手段の電圧、電流の関係を説明するための回路概要を示す回路図、図14は図13の各部の電圧、電流波形図である。
【0014】
すなわち、絶縁トランスTrfは、その1次巻線が交流定電流電源CCRに接続し、2次巻線が直流電流変換回路Idcの入力端に接続している。
【0015】
直流電流変換回路Idcは、絶縁トランスTrfから得られる交流を整流回路RECで整流し、かつ、定電流にしてから、平滑コンデンサCを経由して負荷Zに直流を供給する回路構成であるが、定電流化する回路部分については以下の説明に関係ないので、図示を省略してある。
【0016】
負荷Zは、直流変換回路Idcから付勢される標識灯LGTおよびこれを制御するスイッチング回路SWを意味している。標識灯LGTは、その内部に光源として発光ダイオードを内蔵し、発光ダイオードがスイッチング回路SWにより交流定電流電源CCRの出力電流に応じてPWM制御される。
【0017】
上記において、絶縁トランスTrfの1次電流I1、同2次電流I2、2次電圧V2および直流電流変換回路Idcの出力電圧VDは、それぞれ図14に示すとおりとなる。
【特許文献】
特許文献1 特表平11−514136号(特許請求の範囲、Fig.1)
特許文献2 特開2002−49992号(第5頁、図2)
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、絶縁トランスTrfの1次巻線が交流定電流源CCRに接続していると、負荷変動がある場合に、2次電圧V2が変動するとともに、図14のV2が示すように、その電圧波形が複雑に乱れる。2次電圧が変動すると、発光ダイオードを所定の光度で発光させるために配設している定電圧素子や定電流素子の負担が増えすぎるなど発光ダイオードの点灯回路に不自然な負担が増加して、回路の信頼性が低下するという問題を生じる。また、2次電圧が乱れると、それが1次側にも波及して交流定電流電源へ高調波を不所望に流出するという問題を生じる。
【0018】
本発明は、発光ダイオードの点灯回路に不自然な負担が増加したり、交流定電流電源への高調波の不所望な流出をしたりするのを抑制して信頼性の高い標識灯システムを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、加えて標識灯の発光ダイオードに流れる電流が交流定電流電源から通流する電流より小さくても、負荷調整回路を具備することにより、発光ダイオードとは別に無効電流を流して交流定電流電源から通流する電流に相応する電流が絶縁トランスの2次側に流れるようにした標識灯システムを提供することを他の目的とする。
【0020】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の標識灯システムは、所定の光度比率にしたがって出力電流を切り換える電流切換手段を備えた交流定電流電源と;発光ダイオードを光源として構成され、交流定電流電源の出力に対して直列接続される標識灯と;交流定電流電源および標識灯の間に介在する絶縁トランスと;交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段と;電流検出手段の検出出力に応じて発光ダイオードの発光が所定の光度比率になるように標識灯を制御する点灯制御手段と;標識灯と並列的に接続して交流定電流電源の電流切換特性と標識灯の負荷電流特性との差を補償するように作用する負荷調整回路と;を具備していることを特徴としている。
【0021】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0022】
<交流定電流電源について> 交流定電流電源は、定電流化された出力電流を直列接続された複数の負荷に対して出力する電気的回路手段である。そして、光度比率に応じて出力電流を切り換え可能に構成されている。なお、出力電流の切り換えは、段階的および連続的のいずれであってもよい。段階的な出力電流の切り換えは、交流定電流電源の内部に含まれるトランスのタップを切り換えることによって行うことができる。また、交流定電流電源の定電流制御機能は、サイリスタの位相制御回路を主体とする半導体定電流回路または可飽和トランスを主体とする定電流磁気回路を主体として構成することができる。
【0023】
所定の光度比率は、標識灯を設置している周囲の明るさが、例えば晴天白昼、曇天白昼、日暮、夜明け、夜間など時間や天候により変化しても、標識灯の見え方を常に良好に維持することを目的として、標識灯の光度をそのときの周囲の明るさに応じて制御するために定められる。そして、所定の電流−光度特性に応じて予め定められたプログラムにしたがって交流定電流電源の出力電流を切り換えることにより制御される。なお、このプログラムは、標識灯の発光ダイオードの電流−光度特性とは異なる電流−光度特性たとえばハロゲン電球の電流−光度特性に基づいて定められている。
【0024】
<標識灯について> 標識灯は、埋込形および地上形のいずれであってもよい。また、空港用、道路用など多様な用途のいずれであってもよい。しかし、標識灯は、その光源に発光ダイオードが用いられている点で共通している。なお、空港用の標識灯である航空標識灯の場合、たとえば滑走路中心線灯、誘導路中心線灯などがある。
【0025】
標識灯の光源に用いられる発光ダイオードは、その光度、発光色、配光特性などの光学性能が特段限定されるものではないが、標識灯の用途に応じて所要の光学性能を有する発光ダイオードを適切に選択すればよい。また、発光ダイオードは、その順方向に直流が流れることによって発光すなわち点灯する。しかし、その点灯電源は、直流電源および交流電源のいずれであってもよい。すなわち、1チップの発光ダイオードの光度は、標識灯の所要光度より明らかに小さい場合が圧倒的に多いので、このような場合には複数の発光ダイオードを用いるのが一般的である。
【0026】
そこで、交流電源を用いて発光ダイオードを点灯する場合には、たとえば使用する複数の発光ダイオードを偶数のブロックに分けて、それぞれのブロック内で直列接続してから、各ブロックを二つに分けて互いに逆並列に接続する。これにより、半数の発光ダイオードは、交流電圧の一方の極性に対して順方向になり、残余の半数の発光ダイオードは、交流電圧の他方の極性に対して順方向になる。また、一対の発光ダイオードを逆並列に接続した発光ダイオードペアの複数を直列接続して交流電源に接続することもできる。もちろん、直流電源を用いて発光ダイオードを点灯する場合、その順方向に直流が流れるような極性に接続する。
【0027】
また、複数の標識灯を交流定電流電源の出力に対して直列接続する場合、後述するように絶縁トランスを介して接続する。
【0028】
さらに、発光ダイオード素子の配光は一般的に狭いので、標識灯が要求するところの広がった配光特性を得るために、複数の発光ダイオード素子を配列するに際して、一部または全部の発光素子を適当な角度に傾けて標識灯に装着することができる。
【0029】
さらにまた、発光ダイオードの標識灯に対する取り付け角度および位置が使用中の振動や衝撃によって変化しないように、発光ダイオードを透明合成樹脂で充填することができる。また、熱伝導性の金属からなる整列板に形成した挿通孔に発光ダイオードを挿入して支持するように構成してもよい。この場合、発光ダイオードの放熱も良好になる。
【0030】
さらにまた、発光ダイオード素子の配光を標識灯の要求する配光特性になるべく接近させるために、発光ダイオード素子の半導体チップを包囲する透明合成樹脂製のレンズを非円形たとえば楕円形にすることができる。
【0031】
<絶縁トランスについて> 絶縁トランスは、標識灯を幹線線路の高電圧から導電的に分離するために用いられる。すなわち、交流定電流電源から延在する幹線線路は、標識灯を設置する路面などに沿って敷設される複数の標識灯を直列接続して給電するように構成されているために、その電圧がかなり高く設定されている。個々の標識灯をこのような高電圧に耐えるように構成するのは困難で、かつ、不経済であるため、幹線線路と標識灯との間に絶縁トランスを介在させるのが一般的である。この絶縁トランスは、1次巻線と2次巻線とに流れる電流を等しく、すなわち巻数を等しくしてもよいし、2次巻線の電流を少なく設定してもよい。
【0032】
また、絶縁トランスを用いる場合、閉ループを形成するようにその2次巻線間に分岐線路を接続することができる。これに対して、標識灯の入力端に変流器の2次巻線を接続し、閉ループの分岐線路を1次巻線とするように変流器を閉ループに磁気結合させる。この構成により標識灯の不点時に絶縁トランスの2次側に高電圧が現れるのを防止することができる。なお、変流器をクリップ式にすれば、変流器の閉ループに対する標識灯の交換作業を容易に行えるようになる。
【0033】
<電流検出手段について> 電流検出手段は、交流定電流電源からの出力電流を直接または間接に検出する手段である。直接検出するには、例えば交流定電流電源の出力回路すなわち負荷回路に挿入変流器などの既知の各種電流検出手段を挿入することができる。この場合の変流器としては、標識灯の前段に絶縁トランスが付設される場合、当該絶縁トランスの1次巻線に磁気結合する電流検出巻線を配設することにより、絶縁トランスに一体化されたものとして得ることができる。
【0034】
また、交流定電流電源からの出力電流を間接的に検出するには、例えば絶縁トランスの2次電圧を検出することができる。なお、交流定電流電源に直列接続する絶縁トランスは、1種の変流器であるから、その2次電圧が概ね交流定電流電源の出力電流に比例する。
【0035】
<点灯制御手段について> 点灯制御手段は、電流検出手段の検出信号に基づいて交流定電流電源の出力の光度比率を判定し、判定した光度比率で電流を変調して出力するように構成されている。すなわち、発光ダイオードの電流−光度特性とは異なる電流−光度特性に基づいて交流定電流電源から出力された電流を発光ダイオードの電流−光度特性に基づく電流に変調する。
【0036】
また、全ての標識灯の光源が発光ダイオードである場合には、交流定電流電源の出力端に直列接続される全ての標識灯に対して共通に単一の点灯制御手段を配設することができる。この場合には、設備費が相対的に安価になる。また、点灯制御手段を交流定電流電源の設置場所および標識灯の設置場所のいずれにも設置することもでき、設置の自由度が大きい。
【0037】
これに対して、複数の点灯制御手段を分散して配設し、各点灯回路手段に対して一または複数の標識灯をすることもできる。この場合には、複数の標識灯の一部のみの光源が発光ダイオードに変更されていて、残余の標識灯は光源がハロゲン電球など交流定電流電源にプログラムされているのと同じ電流−光度特性を有する光源によって構成されている光源が混合した態様であってもよい。そして、光源が発光ダイオードの標識灯に対してのみ点灯制御手段を付設する。また、点灯制御手段は、それぞれ対応する標識灯に近接した位置に設置するのがよい。
【0038】
さらに、点灯制御手段は、その出力端に接続されている発光ダイオードに供給する電流を適当な方式たとえばパルス幅変調方式、振幅変調方式などによって変調することができる。しかし、発光ダイオードのある種のものは、電流の振幅に応じて発光色が変化する性質があるので、パルス幅変調方式の方が好ましい。
【0039】
パルス幅変調方式の点灯制御手段の場合、標識灯に対して直列に挿入したスイッチング回路と、電流検出手段の検出出力に基づいて光度比率を判定する判定回路と、判定した光度比率に相当するパルス幅制御信号を発生してスイッチング回路を制御するパルス幅制御回路とにより点灯制御手段を構成することができる。
【0040】
<負荷調整回路について> 負荷調整回路は、標識灯と並列的に接続して交流定電流電源の電流切換特性と標識灯の負荷電流特性との差を補償するように作用する回路手段であり、本発明における特徴的構成部分である。
【0041】
すなわち、幹線線路に流れる電流が低減されると、前述したように点灯制御手段が発光ダイオードを、そこに通流する負荷電流を制御して、ハロゲン電球と同光度で発光させる。このときの負荷電流は、前述した理由によりハロゲン電球の場合の負荷電流より小さいので、負荷が変動することになる。
【0042】
これに対して、本発明においては、負荷調整回路は、標識灯と並列的に接続していて、幹線線路に流れる電流に比例する電流に対して負荷電流の不足する分を負荷調整電流として発光ダイオードの負荷電流に追加して絶縁トランスを経由して交流定電流電源に流す。したがって、負荷調整回路に流れる負荷調整電流と負荷電流との和は、幹線線路に流れる電流にほぼ比例するようにすることが可能になる。そして、負荷調整電流と負荷電流とのベクトル和の電流が絶縁トランスを通流することになる。なお、本発明において、負荷調整電流は、幹線線路に流れる電流に比例する電流に対して負荷電流の不足する分を正確に補償することが望ましいが、少なくとも補償する方向に増減する程度であれば、相応の効果を生じるので、許容されるものとする。
【0043】
また、負荷調整電流の好ましい態様は、電力損を伴わない無効電流である。無効電流は、容量性および誘導性のいずれであってもよい。無効の負荷調整電流を流すためには、負荷調整回路を容量性または誘導性に構成すればよい。
【0044】
さらに、負荷調整回路は、これを負荷調整電流が発光ダイオードを流れる負荷電流と並列に流れるように構成することにより、負荷に対する干渉が発生しないので、好都合である。
【0045】
<その他の構成について> 本発明の必須構成要件ではないが、以下に列挙する構成を所望により選択的に付加することができる。
1.標識灯開放保護手段 標識灯開放保護手段は、標識灯が何らかの原因で開放した場合、標識灯に高電圧が印加されるとともに、直列接続している他の健全な標識灯も作動を停止するため、重大な障害になる。このような開放事故を防止するために、各標識灯に並列的に開放保護手段を挿入することができる。
【0046】
そうして、標識灯保護手段は、標識灯が開放して高電圧が印加されると同時に短絡状態となり、当該標識灯に対する高電圧の印加を回避する。
2.点灯制御手段および負荷調整回路の設置場所 点灯制御手段および負荷調整回路は、これを一群の標識灯に対して共通に配設するのが経済的であるが、この場合、点灯制御手段および負荷調整回路の設置場所は、標識灯および路側のいずれか一方、または他の場所に設置できる。標識灯内に設置する場合、一群の標識灯の中で特定の標識灯の例えば基台内に点灯制御手段および負荷調整回路を設置して、残余の標識灯に対しては、配線を経由して接続する。路側に設置する場合、路側に例えばハンドホールを設置して、その内部に点灯制御手段および負荷調整回路を収納し、一群の標識灯に対して配線を経由して接続する。また、点灯制御手段および負荷調整回路は、上記以外の他所望の位置に設置することができる。
【0047】
<本発明の作用について> 本発明においては、交流定電流電源が所定の光度比率にしたがって、例えばハロゲン電球の電流−光度特性に応じて、出力電流を切り換えると、電流検出手段が出力電流を検出して点灯制御手段に制御入力する。
【0048】
点灯制御手段は、電流検出信号が79%の電流であるときには、発光比率が25%であると判定するように予めプログラムされているので、そのプログラムにしたがって光度比率を25%と判定する。また、同時に発光ダイオードの電流−光度特性のプログラムに基づき79%の電流を、25%の光度で点灯するのに必要な負荷電流であるところの25%にまで低減して、発光ダイオードに供給する。その結果、発光ダイオードを光源とする標識灯は、交流定電流電源側で切り換えた光度比率と同じ光度比率で点灯する。そして、25%にまで低減した負荷電流が絶縁トランスを経由して1次側の交流定電流電源に流れる。なお、以上の回路動作は、他の光度比率においても同様な原理により行われる。
【0049】
したがって、ハロゲン電球など発光ダイオードの電流−光度特性とは異なる電流−光度特性に基づいて光度比率に対応する出力電流が設定されている交流定電流電源であっても、光源を発光ダイオードに変更した標識灯に対して引き続き使用することができる。
【0050】
一方、負荷調整回路は、標識灯と並列的に接続して交流定電流電源の電流切換特性と標識灯の負荷電流特性との差を補償するように作用する。すなわち、発光ダイオードに流れる負荷電流が点灯制御手段により低減して交流定電流電源の出力電流に比例しなくなると、これと同時に負荷調整回路は、負荷調整電流を増加させて負荷電流の減少分を補償するように作動する。
【0051】
以上の結果、絶縁トランスの2次側には、負荷電流と負荷調整電流とのベクトル和の電流が流れる。このベクトル和の電流は、絶縁トランスの1次側に流れる電流に概ね比例する関係になるので、絶縁トランスの2次側には、1次側に流れる電流波形に比例した電圧が発生し、負荷調整回路を具備しない場合のような複雑な波形の電圧が発生しなくなる。このため、絶縁トランスの2次側に接続する発光ダイオードおよび点灯制御手段などに不自然な負担が増加することがない。また、これに伴い交流定電流電源への高調波の不所望な流出がなくなる。
【0052】
請求項2の発明の標識灯システムは、請求項1記載の標識灯システムにおいて、負荷調整回路は、交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段の検出出力に応動することを特徴としている。
【0053】
本発明は、負荷調整回路が発光ダイオードの負荷電流に対応して負荷調整電流を可変する際に、交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段の検出出力を利用している。電流検出手段は、点灯制御手段を制御するのに用いる電流検出手段を流用することができる。しかし、要すれば、後者の電流検出手段とは別に配設することができる。
【0054】
そうして、本発明においては、交流定電流電源の出力電流の切り換えを検出して、所要の負荷負荷調整電流を流すことができるので、正確な負荷調整作用を行うことができる。
【0055】
請求項3の発明の標識灯システムは、請求項1または2記載の標識灯システムにおいて、負荷調整回路は、交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段の検出出力に応じて周波数に変換する周波数変換回路および周波数変換回路の出力に応じて駆動されるリアクタンス可変回路を備えていることを特徴としている。
【0056】
本発明は、負荷調整回路の好適な構成例を規定している。
【0057】
すなわち、周波数変換回路は、電流検出手段の検出出力に応じて周波数に変換する。なお、「検出出力に応じて周波数に変換する」とは、検出出力を直接周波数の変換する場合および判定回路を経由して判定した結果に対応して、これを周波数に変換する場合を含む。したがって、交流定電流電源の出力電流の変化は、周波数変換回路により周波数の変化として取り出すことができる。
【0058】
リアクタンス可変回路は、その励振周波数に応じて変化する無効電流を流す特性を有している。したがって、このリアクタンス可変回路を負荷である発光ダイオードに対して並列的に配設することにより、無効電流を負荷電流と別に流すことができる。なお、リアクタンス可変回路に流れる無効電流は、容量性および誘導性のいずれであってもよい。
【0059】
また、リアクタンス可変回路は、例えばハーフブリッジ形インバータにより構成することができる。この場合、発光ダイオードをハーフブリッジ形インバータの出力端に接続して交流点灯またはパルス点灯を行うように接続することができる。すなわち、交流点灯を行うには、複数の発光ダイオードを、所望により逆流防止ダイオードと直列接続したうえで、一対の回路に分割し、これらを逆並列に接続すればよい。また、パルス点灯を行うには、ハーフブリッジインバータの出力側の一端を接地するなどして、インバータの交流出力を同極性のパルス列として取り出せばよい。なお、リアクタンス可変回路には、その入力端に整流回路を付設して、交流定電流電源に接続する絶縁トランスの2次電圧を当該整流回路によって整流して得た直流電圧を印加する。
【0060】
交流定電流電源の出力電流が変化すると、周波数変換回路の出力周波数が変化するので、これに応動してリアクタンス可変回路に流れる無効電流が変化する。その結果、負荷電流と無効電流のベクトル和は、交流定電流電源の出力電流にほぼ比例的になる。
【0061】
また、リアクタンス可変回路をハーフブリッジ形インバータにより構成した場合、ハーフブリッジインバータは、直列接続した一対のスイッチング素子の少なくとも一方に並列接続したコンデンサを備えているので、このコンデンサには、励振周波数に応じて変化する無効電流が流れる。また、発光ダイオードに対して並列的に接続するので、上記無効電流は、負荷電流と重畳して絶縁トランスに流れる。
【0062】
そうして、本発明においては、負荷調整回路の構成が比較的簡単で、しかも、負荷調整電流が無効電流であるから、回路損失が少なくて、信頼性の高い回路動作を行う。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0064】
図2ないし図8は、本発明の標識灯システムにおける第1の実施の形態としての空港用の航空標識灯システムを示し、図2は全体の概要を示すブロック回路図、図3は要部を示す回路ブロック図、図4は要部の回路図、図5は図4における各部の電圧、電流波形図、図6は直列接続幹線ケーブル、複数の負荷制御回路ブロックおよび分岐線ケーブルの埋設状態を説明する俯瞰図、図7は標識灯の平面図、図8は同じく縦断面図である。
【0065】
図2において、標識灯システムは、交流定電流電源CCR、直列接続幹線ケーブルWm、複数の負荷制御回路ブロックLDC、分岐線ケーブルWb、複数の標識灯LGTを具備して構成されている。
【0066】
<交流定電流電源CCR> 交流定電流電源CCRは、現行のハロゲン電球を用いる標識灯用のもので、前述した光度比率になるように出力電流を切り換えるための電流切換タップを備えている。
【0067】
<直列接続幹線ケーブルWm> 直列接続幹線ケーブルWmは、交流定電流電源CCRの出力端から延在して標識灯LGTを設置する滑走路や誘導路の路側に沿って敷設される。なお、本実施の形態において、直列接続幹線ケーブルWmは、図6に示すように、滑走路R/Wの路側S/Wに埋設されている。
【0068】
<複数の負荷制御回路ブロックLDC> 複数の負荷制御回路ブロックLDCは、直列接続幹線ケーブルWmを介して交流定電流電源CCRに対して直列接続している。また、各負荷制御回路ブロックLDCは、その内部に絶縁トランスTrf、電流検出手段DET、点灯制御手段OCおよび負荷調整回路LRCを備えている。
【0069】
(絶縁トランスTrf) 絶縁トランスTrfは、交流定電流電源CCRと標識灯LGTとの間に介在して、負荷制御回路ブロックLDCおよび標識灯LGTを直列接続幹線ケーブルWmの高電圧から導電的に分離する手段として用いられ、1次巻線wpおよび2次巻線wsを備えている。1次巻線wpは、直列接続幹線ケーブルWmに直列接続する。2次巻線wsは、負荷制御回路ブロックLDCの後述するその他の回路に接続する。
【0070】
(電流検出手段DET) 電流検出手段DETは、交流定電流電源CCRの出力電流を検出する手段であり、電流検出用の巻線を絶縁トランスTrfの1次巻線wpに磁気結合することにより、絶縁トランスTrfの1次巻線に流れる電流を検出する変流器を構成している。
【0071】
(点灯制御手段OC) 点灯制御手段OCは、後述する標識灯LGTに供給する電力を制御して、交流定電流電源CCRの出力電流が指示する光度で発光ダイオードを発光させる手段であり、図3に示すように、直流電圧変換回路Vdc、スイッチング回路SW、判定回路LEVおよびパルス幅制御回路PWMから構成されている。
【0072】
直流電圧変換回路Vdcは、図3に示すように、整流回路RECおよび定電圧回路CVRからなる。整流回路RECは、その交流入力端が絶縁トランスTrfの2次巻線wsに接続している。定電圧回路CVRは、その入力端が整流回路RECの直流出力端に接続している。これにより標識灯LGTの発光ダイオードLEDは定電圧下で点灯する。なお、図4において、定電圧回路CVRは、本発明における点灯制御手段OCおよび負荷調整回路LRCの回路動作を説明するうえで直接の関係がないので、図示を省略してある。
【0073】
スイッチング回路SWは、定電圧回路CVRおよび標識灯LGTの間に介在して、パルス幅制御回路PWMから送出されたパルス幅信号に基づいて標識灯LGT内の発光ダイオードの発光レベルをPWM制御する。
【0074】
判定回路LEVは、内蔵しているプログラムに基づいて電流検出部DETで検出した電流値を記憶しているテーブルデータと比較して光度比率を判定し、判定結果を後述するパルス幅制御回路PWMおよび負荷調整回路LRCに送出する。
【0075】
パルス幅制御回路PWMは、判定回路LEVから送出された判定結果に基づいて予定のパルス幅信号を発生してスイッチング回路SWに送出する。
【0076】
(負荷調整回路LRC) 負荷調整回路LRCは、周波数変換回路FCCおよびリアクタンス可変回路ZVCからなる。周波数変換回路FCCは、判定回路LEVの判定結果に基づいて、交流定電流電源CCRの出力電流に対応する周波数を発生する。リアクタンス可変回路ZVCは、図4に示すように、出力トランスOTを備えたハーフブリッジインバータからなり、その直流入力端が整流回路RECの直流出力端に接続し、交流を出力する出力トランスTOUTの2次巻線が(定電圧回路CVRを介して)標識灯LGT(その光源である発光ダイオードLED)およびスイッチング回路SWの直列回路に接続している。
【0077】
(回路動作) 絶縁トランスTrf、点灯制御手段OCおよび負荷調整回路LRC相互間における回路動作を図5に示す電圧、電流波形に基づいて以下説明する。
【0078】
すなわち、交流定電流電源CCRの出力電流I1が位相制御された波形であると、絶縁トランスTrfの2次電流I2および2次電圧V2がともに出力電流I1と相似の波形になる。これに対して、負荷調整回路LRCのリアクタンス可変回路ZRCの出力電圧V3は、図のような矩形波の交流波形になる。点灯制御手段OCは、矩形波の交流出力をパルス列としてスイッチング回路SWに印加し、ここでPWM制御を行ってから標識灯LGTの発光ダイオードKEDに印加することによって、発光ダイオードLEDを所定光度で発光させる。
【0079】
<分岐ケーブルWb> 分岐ケーブルWbは、図6に示すように、滑走路R/Wに沿って路側S/Wに埋設された直列接続幹線ケーブルWmからハンドホールHDで分岐されて、滑走路R/Wに分散して埋設された複数の標識灯LGTの間を並列接続する手段として用いられている。
【0080】
なお、ハンドホールHDは、路側S/Wに埋設されている。また、本実施の形態において、負荷制御回路ブロックLDCは、ハンドホールHDに近い標識灯LGTに内蔵されている。
【0081】
<標識灯LGT> 標識灯LGTは、滑走路中心線灯を構成しており、光源として、図2に示すように、直並列接続された複数の発光ダイオードLEDを用いたもので、図7および図8に示す構造である。なお、図2において、各発光ダイオードLEDに対して直列に接続された抵抗器Rは、電流調整用抵抗である。
【0082】
また、標識灯LGTは、基台1および標識灯本体2からなり、基体1の内部に負荷制御回路ブロックLDCを収納している。
【0083】
(基台1) 基台1は、容体1aを主体として構成されている。容体1aは、その上端が開口した有底円筒状をなしていて、開口端を路面から露出した状態で路面に埋設される。容体1aの側面には適数の配線引き込み孔1a1が形成され、配線引き込み孔1a1に装着された防水ブッシュ1bを介して直列接続幹線ケーブルWmが引き込まれる。また、図示しない同様な構造を介して分岐ケーブルWbが容体1aから導出される。さらに、容体1aの開口端には、一段下がった位置に内向きの環状座1a2が形成されている。環状座1a2にはボルトをねじ込むねじ孔(図示しない。)が形成されている。
【0084】
(負荷制御回路ブロックLDC) 負荷制御回路ブロックLDCは、基台1の内部に収納され、その底面に載置されている。また、負荷制御回路ブロックLDCは、配線基板PBに実装されているとともに、防水ケースWTCに収納されている。防水ケースWTCは、2つ割構成であって、その接合面はOリングORにより防水処理されている。また、防水ケースWTCには、一対の配線挿通孔H1、H2が形成され、防水ブッシュWTBを介して内部に直列接続幹線ケーブルWmが引き込まれ、分岐ケーブルWbへの接続線CCが導出されている。分岐ケーブルWbは、接続線CCに防水コネクタWCNを介して基台1の内部で接続している。
【0085】
(標識灯本体2) 標識灯本体2は、灯体2a、プリズム2b、発光ダイオードユニット2cおよび端子台2dを主体として構成されている。
【0086】
灯体2aは、上部灯体2a1および下部灯体2a2を覆合して構成されている。
【0087】
上部灯体2a1は、その上面に膨出部2a11および光導出溝2a12を備えている。膨出部2a11は、中央に円形の平坦な頂面および頂面から上部灯体2aの周縁にわたる切頭円錐斜面によって上部灯体2a1の上面に画成されている。光導出溝2a12は、膨出部2a12の切頭円錐斜面に開口するとともに、灯体2aの内部に連通している。なお、光導出溝2a12は、所望数を放射状に配設することができる。また、上部灯体2a1の周縁部には、上部灯体2a1および下部灯体2a2を結合して灯体2aを形成する複数のボルト挿通孔2a13と、灯体2aを基台1に固着するための複数のボルト挿通孔2a14とが形成されている。
【0088】
下部灯体2a2は、皿状をなしていて、周縁にスタッドボルト(図示しない。)が植立している。また、上部ボルト灯体2a1のボルト挿通孔2a14に正対する位置に図示しないボルト挿通孔が形成されている。
【0089】
そうして、下部灯体2a2のスタッドボルトを上部灯体2a1のボルト挿通孔2a13に下側から挿通して、下部灯体2a2を上部灯体2a1に下側から覆合し、上部灯体2a1のボルト挿通孔2a13から上部へ露出したスタッドボルトの先端にナットをねじ込み、締め付けることによって灯体2aが一体化され、内部に内部空間2a3が形成される。また、灯体2aは、基台1の環状座1a2に載置され、上部灯体2a1のボルト挿通孔2a14を環状座1a2のねじ孔に正対させ、灯体2aの上からボルト挿通孔2a14にボルト(図示しない。)を挿通して、環状座1a2のねじ孔にねじ込むことにより、基台1に固定される。
【0090】
プリズム2bは、灯体2aの光導出溝2a12の内部に上記内部空間2a3側から挿入し、内端の周縁をパッキン2b1および押さえ金具2b2により上部灯体2a1の内面に液密に固着されている。
【0091】
発光ダイオードユニット2cは、配線基板2c1、発光ダイオード2c2、整列板2c3および取付具2c4を備えて構成されている。配線基板2c1は、複数の発光ダイオード2c2を実装している。整列板2c3は、複数の挿通孔を備えていて、配線基板2c1の前方に配設され、複数の発光ダイオード2c2を挿通孔に挿入することにより所定の向きに支持する。取付具2c4は、整列板2c3をプリズム2bの光入射面に対して正対し、かつ所定の間隔を維持して固定するとともに、配線基板2c1を整列版2c3の背方において所定の間隔を維持して固定する。
【0092】
(端子台2d) 端子台2dは、絶縁ブッシュ2d1および端子2d2を備え、下部灯体2a2を貫通して灯体2aの下面に配設されている。絶縁ブッシュ2d1は、下部灯体2a2を貫通して装着され、端子2d2は絶縁ブッシュ2d1内を下部灯体2a2に対して絶縁されて貫通していて、灯体2aの外部において分岐ケーブルWbを接続し、内部において配線基板2c1を介して発光ダイオード2c2に接続している。
【0093】
(標識灯の動作) 標識灯は以下のように動作する。すなわち、複数の発光ダイオード2c2が点灯すると、その発光はプリズム2bの光入射面からプリズム2b内に入射し、プリズム2bから出射するときに進路が屈折して入射角より小さな出射角度で、かつ所定配光を有する光ビームとなって光導出溝2a12を通って滑走路R/Wに放射される。航空機のパイロットは、標識灯の光ビームを視認することで滑走路の中心を認識し、航空機を滑走路の中心に沿って離発着するように操縦することができる。
【0094】
図9ないし図12は、本発明の標識灯システムの第2の実施の形態としての空港用の航空標識灯システムを示し、図9は全体の概要を示すブロック回路図、図10は要部を示す回路ブロック図、図11は直列接続幹線ケーブル、複数の負荷制御回路ブロックおよび分岐線ケーブルの埋設状態を説明する俯瞰図、図12は標識灯の縦断面図である。各図において、図2ないし図8と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0095】
本実施の形態においては、点灯制御手段OCおよび負荷調整回路LRCの回路構成が変更され、複数の標識灯LGT接続態様が変更され、負荷制御回路ブロックLDCの配設位置が変更され、かつ、標識灯LGTの構造が変更されている点で異なる。
【0096】
<点灯制御手段OC> 点灯制御手段OCは、その直流電圧変換回路Vdcに代えて直流電流変換回路Idcが用いられている。直流電流変換回路Idcは、整流回路RECおよび定電流回路ICRからなる。これにより、標識灯LGTの発光ダイオードLEDは定電流下で点灯する。
【0097】
また、第1および第2の電流検出手段DET1、DET2が配設されている。第1の電流検出手段DET1は、本発明の第1の実施の形態における電流検出手段DETと同一の構成であって、交流定電流電源CCRの出力電流を直接検出するが、その出力はパルス幅制御回路PWMにのみに送出される。
【0098】
これに対して、第2の電流検出手段DET2は、整流回路RECの直流出力電圧を検出することによって、交流定電流電源CCRの出力電流の大きさを間接的に検出する構成である。そして、その検出出力は、周波数変換開路FCCに送出される。
【0099】
周波数変換回路FCCの周波数出力は、リアクタンス可変回路ZVCに送出されるとともに、パルス幅制御回路PWMに対してその励振周波数を提供している。
【0100】
<負荷調整回路LRC> 負荷調整回路LRCは、点灯制御手段OCの第2の電流検出手段DET2および周波数変換回路FCCを共有して構成されている。
【0101】
以上の構成により、スイッチング回路SWおよびリアクタンス可変回路ZVCは同期しながら回路動作を行う。
【0102】
<複数の標識灯LGTの接続態様> 複数の標識灯LGTの接続態様は、図9に示すように、負荷回路制御回路ブロックLDCに対して直列接続されている。
【0103】
<負荷制御回路ブロックLDCの配設位置> 負荷制御回路ブロックLDCの配設位置は、路側S/Wに埋設したハンドホールHD内に配設されている。
【0104】
<標識灯LGT> 標識灯LGTは、図12に示すように、その基台1´が浅皿状をなしている。負荷制御回路ブロックLDCをハンドホールHDに収納することから、このような基台1´を用いことが可能になり、航空標識灯の路面埋設作業を容易にすることができる。
【0105】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、電流切換手段を備えた交流定電流電源と、発光ダイオードを光源として構成される標識灯と、絶縁トランスと、電流検出手段と、発光ダイオードの発光が所定の光度比率になるように標識灯を制御する点灯制御手段と、交流定電流電源の電流切換特性と標識灯の負荷電流特性との差を補償するように作用する負荷調整回路とを具備していることにより、発光ダイオードの点灯回路に不自然な負担が増加したり、交流定電流電源への高調波の不所望な流出をしたりするのを抑制した信頼性の高い標識灯システムを提供することができる。
【0106】
請求項2の発明によれば、加えて負荷調整回路が流定電流電源の出力電流の電流検出手段に応動するように構成されているので、正確な負荷調整作用を行う標識灯システムを提供することができる。
【0107】
請求項3の発明によれば、加えて負荷調整回路が電流検出手段の検出出力を周波数に変換する周波数変換回路および周波数変換回路の出力に応じて駆動されるリアクタンス可変回路を備えていることにより、構成が比較的簡単で、しかも、回路損失が少なくて、信頼性の高い回路動作を行う負荷調整回路を備えた標識灯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハロゲン電球および発光ダイオードの電流−光度特性を示すグラフ
【図2】本発明の標識灯システムにおける第1の実施の形態としての空港用の航空標識灯システム全体の概要を示すブロック回路図
【図3】同じく要部を示す回路ブロック図、図4は要部の回路図
する斜視図
【図4】同じく図4は要部の回路図
【図5】同じく図4における各部の電圧、電流波形図
【図6】同じく直列接続幹線ケーブル、複数の負荷制御回路ブロックおよび分岐線ケーブルの埋設状態を説明する俯瞰図
【図7】同じく標識灯の平面図
【図8】同じく縦断面図
【図9】本発明の標識灯システムの第2の実施の形態としての空港用の航空標識灯システム全体の概要を示すブロック回路図
【図10】同じく要部を示す回路ブロック図
【図11】同じく直列接続幹線ケーブル、複数の負荷制御回路ブロックおよび分岐線ケーブルの埋設状態を説明する俯瞰図
【図12】同じく標識灯の縦断面図
【図13】特許文献2に記載の標識灯システムにおける交流定電流電源、絶縁トランスおよび点灯制御手段の電圧、電流の関係を説明するための回路概要を示す回路図
【図14】図13の各部の電圧、電流波形図
【符号の説明】
CCR…交流定電流電源、Trf…絶縁トランス、DET…電流検出手段、OC…点灯制御手段、SW…スイッチング回路、PWM…パルス幅制御回路、LRC…負荷調整回路、FCC…周波数変換回路、ZVC…リアクタンス可変回路、LGT…標識灯、LED…発光ダイオード
【発明の属する技術分野】
本発明は、空港などに用いられる標識灯システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
空港などに用いられる標識灯は、その複数が交流定電流電源の出力端に直列接続されることにより付勢される。また、標識灯は、周囲の明るさが変化しても標識の見え方を良好に維持するために、周囲の明るさに応じて交流定電流電源の出力電流を切り換えることによって標識灯が所定の光度比率で作動するように制御される。例えば、交流定電流電源に出力電流の切換タップを配設して、光度比率を100%、25%、5%、1%および0.2%の5段階の中から所望により選択できるように構成されている。
【0003】
また、現行の空港などに用いられる標識灯は、光源にハロゲン電球などの白熱電球を用いている。白熱電球は、タングステンフィラメントを通電加熱した際に発光するので、その電流−光度特性が後述する図1に示すようになる。
【0004】
一方、この種の標識灯において、ハロゲン電球などの光源に代えて発光ダイオードを用いることが考えられ、このことは特許文献1などにも記載されている。発光ダイオードを光源に変更すれば、省エネルギーになるとともに、寿命が著しく長くなるので、環境にやさしくなるばかりか、メンテナンス費用を大幅に節約することができる。
【0005】
そこで、標識灯の光源を発光ダイオードに変更する場合、現行の空港に既に設備されている交流定電流電源をそのままして標識灯のみを発光ダイオードを光源とするものに変更できれば最も少ない変更で済む。また、一つの交流定電流電源に対して、多数の標識灯が接続される中で、一部の標識灯はハロゲン電球を光源とするものを使用し、残余の標識灯を発光ダイオードを光源とするものとする場合もあり得る。
【0006】
ところが、ハロゲン電球と発光ダイオードとでは、図1に示すように、同一光度であっても、所要の電流が異なる。
【0007】
図1は、ハロゲン電球および発光ダイオードの電流−光度特性を示すグラフである。図において、横軸は電流(A)を、縦軸は比光度(%)を、それぞれ示す。曲線Aはハロゲン電球、曲線Bは発光ダイオード、をそれぞれ示す。図から理解できるように、ハロゲン電球は電流と光度との関係すなわち電流−光度特性が指数関数的曲線になる。これに対して、発光ダイオードは電流−光度特性がほぼ直線すなわち正比例の関係になる。
【0008】
また、交流定電流電源における切換タップは、その出力電流がハロゲン電球を備えた標識灯を付勢した際に所定の光度が得られるように設定されていて、例えば表1の中欄に示すとおりである。これに対して、発光ダイオードの場合には、同一光度を得るために必要な電流は、図1に示す電流−光度特性から計算すると、表1の右欄に示すとおりである。
【0009】
【表1】
ハロゲン電球と発光ダイオードとでは、同一光度であっても、所要の電流が異なることが表1から良く理解できる。このため、上述のような交流定電流電源に対して発光ダイオードを光源とする標識灯を接続しても、タップ1〜4の位置では所定の光度比率の標識光が得られないということになる。
【0010】
そこで、上記の問題を解決するために、交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段を配設するとともに、その検出出力に応じて発光ダイオードの発光が所定の光度比率になるように標識灯を制御する点灯制御手段を配設した標識灯システムが本発明者らにより提案されている(特許文献2参照。)。すなわち、特許文献2においてば、点灯制御手段を配設していることにより、発光ダイオードの電流−光度特性と異なる電流−光度特性に対応した電流切り換えが行われる交流定電流電源であっても、所定の光度比率で標識灯の光度切り換えを行えることができる。
【0011】
ところで、標識灯を直列点灯する場合、交流定電流電源から延在する幹線線路の高電圧から標識灯側を導電的に分離するために、絶縁トランスを介して負荷を接続するように構成されている。
【0012】
次に、図13および図14を参照して、特許文献2に記載の絶縁トランスTrf、点灯制御手段OCの主要部である直流電流変換回路Idcおよびその負荷Zの電流、電圧の関係についてさらに詳しく説明する。
【0013】
図13は、特許文献2に記載の標識灯システムにおける交流定電流電源、絶縁トランスおよび点灯制御手段の電圧、電流の関係を説明するための回路概要を示す回路図、図14は図13の各部の電圧、電流波形図である。
【0014】
すなわち、絶縁トランスTrfは、その1次巻線が交流定電流電源CCRに接続し、2次巻線が直流電流変換回路Idcの入力端に接続している。
【0015】
直流電流変換回路Idcは、絶縁トランスTrfから得られる交流を整流回路RECで整流し、かつ、定電流にしてから、平滑コンデンサCを経由して負荷Zに直流を供給する回路構成であるが、定電流化する回路部分については以下の説明に関係ないので、図示を省略してある。
【0016】
負荷Zは、直流変換回路Idcから付勢される標識灯LGTおよびこれを制御するスイッチング回路SWを意味している。標識灯LGTは、その内部に光源として発光ダイオードを内蔵し、発光ダイオードがスイッチング回路SWにより交流定電流電源CCRの出力電流に応じてPWM制御される。
【0017】
上記において、絶縁トランスTrfの1次電流I1、同2次電流I2、2次電圧V2および直流電流変換回路Idcの出力電圧VDは、それぞれ図14に示すとおりとなる。
【特許文献】
特許文献1 特表平11−514136号(特許請求の範囲、Fig.1)
特許文献2 特開2002−49992号(第5頁、図2)
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、絶縁トランスTrfの1次巻線が交流定電流源CCRに接続していると、負荷変動がある場合に、2次電圧V2が変動するとともに、図14のV2が示すように、その電圧波形が複雑に乱れる。2次電圧が変動すると、発光ダイオードを所定の光度で発光させるために配設している定電圧素子や定電流素子の負担が増えすぎるなど発光ダイオードの点灯回路に不自然な負担が増加して、回路の信頼性が低下するという問題を生じる。また、2次電圧が乱れると、それが1次側にも波及して交流定電流電源へ高調波を不所望に流出するという問題を生じる。
【0018】
本発明は、発光ダイオードの点灯回路に不自然な負担が増加したり、交流定電流電源への高調波の不所望な流出をしたりするのを抑制して信頼性の高い標識灯システムを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、加えて標識灯の発光ダイオードに流れる電流が交流定電流電源から通流する電流より小さくても、負荷調整回路を具備することにより、発光ダイオードとは別に無効電流を流して交流定電流電源から通流する電流に相応する電流が絶縁トランスの2次側に流れるようにした標識灯システムを提供することを他の目的とする。
【0020】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の標識灯システムは、所定の光度比率にしたがって出力電流を切り換える電流切換手段を備えた交流定電流電源と;発光ダイオードを光源として構成され、交流定電流電源の出力に対して直列接続される標識灯と;交流定電流電源および標識灯の間に介在する絶縁トランスと;交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段と;電流検出手段の検出出力に応じて発光ダイオードの発光が所定の光度比率になるように標識灯を制御する点灯制御手段と;標識灯と並列的に接続して交流定電流電源の電流切換特性と標識灯の負荷電流特性との差を補償するように作用する負荷調整回路と;を具備していることを特徴としている。
【0021】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0022】
<交流定電流電源について> 交流定電流電源は、定電流化された出力電流を直列接続された複数の負荷に対して出力する電気的回路手段である。そして、光度比率に応じて出力電流を切り換え可能に構成されている。なお、出力電流の切り換えは、段階的および連続的のいずれであってもよい。段階的な出力電流の切り換えは、交流定電流電源の内部に含まれるトランスのタップを切り換えることによって行うことができる。また、交流定電流電源の定電流制御機能は、サイリスタの位相制御回路を主体とする半導体定電流回路または可飽和トランスを主体とする定電流磁気回路を主体として構成することができる。
【0023】
所定の光度比率は、標識灯を設置している周囲の明るさが、例えば晴天白昼、曇天白昼、日暮、夜明け、夜間など時間や天候により変化しても、標識灯の見え方を常に良好に維持することを目的として、標識灯の光度をそのときの周囲の明るさに応じて制御するために定められる。そして、所定の電流−光度特性に応じて予め定められたプログラムにしたがって交流定電流電源の出力電流を切り換えることにより制御される。なお、このプログラムは、標識灯の発光ダイオードの電流−光度特性とは異なる電流−光度特性たとえばハロゲン電球の電流−光度特性に基づいて定められている。
【0024】
<標識灯について> 標識灯は、埋込形および地上形のいずれであってもよい。また、空港用、道路用など多様な用途のいずれであってもよい。しかし、標識灯は、その光源に発光ダイオードが用いられている点で共通している。なお、空港用の標識灯である航空標識灯の場合、たとえば滑走路中心線灯、誘導路中心線灯などがある。
【0025】
標識灯の光源に用いられる発光ダイオードは、その光度、発光色、配光特性などの光学性能が特段限定されるものではないが、標識灯の用途に応じて所要の光学性能を有する発光ダイオードを適切に選択すればよい。また、発光ダイオードは、その順方向に直流が流れることによって発光すなわち点灯する。しかし、その点灯電源は、直流電源および交流電源のいずれであってもよい。すなわち、1チップの発光ダイオードの光度は、標識灯の所要光度より明らかに小さい場合が圧倒的に多いので、このような場合には複数の発光ダイオードを用いるのが一般的である。
【0026】
そこで、交流電源を用いて発光ダイオードを点灯する場合には、たとえば使用する複数の発光ダイオードを偶数のブロックに分けて、それぞれのブロック内で直列接続してから、各ブロックを二つに分けて互いに逆並列に接続する。これにより、半数の発光ダイオードは、交流電圧の一方の極性に対して順方向になり、残余の半数の発光ダイオードは、交流電圧の他方の極性に対して順方向になる。また、一対の発光ダイオードを逆並列に接続した発光ダイオードペアの複数を直列接続して交流電源に接続することもできる。もちろん、直流電源を用いて発光ダイオードを点灯する場合、その順方向に直流が流れるような極性に接続する。
【0027】
また、複数の標識灯を交流定電流電源の出力に対して直列接続する場合、後述するように絶縁トランスを介して接続する。
【0028】
さらに、発光ダイオード素子の配光は一般的に狭いので、標識灯が要求するところの広がった配光特性を得るために、複数の発光ダイオード素子を配列するに際して、一部または全部の発光素子を適当な角度に傾けて標識灯に装着することができる。
【0029】
さらにまた、発光ダイオードの標識灯に対する取り付け角度および位置が使用中の振動や衝撃によって変化しないように、発光ダイオードを透明合成樹脂で充填することができる。また、熱伝導性の金属からなる整列板に形成した挿通孔に発光ダイオードを挿入して支持するように構成してもよい。この場合、発光ダイオードの放熱も良好になる。
【0030】
さらにまた、発光ダイオード素子の配光を標識灯の要求する配光特性になるべく接近させるために、発光ダイオード素子の半導体チップを包囲する透明合成樹脂製のレンズを非円形たとえば楕円形にすることができる。
【0031】
<絶縁トランスについて> 絶縁トランスは、標識灯を幹線線路の高電圧から導電的に分離するために用いられる。すなわち、交流定電流電源から延在する幹線線路は、標識灯を設置する路面などに沿って敷設される複数の標識灯を直列接続して給電するように構成されているために、その電圧がかなり高く設定されている。個々の標識灯をこのような高電圧に耐えるように構成するのは困難で、かつ、不経済であるため、幹線線路と標識灯との間に絶縁トランスを介在させるのが一般的である。この絶縁トランスは、1次巻線と2次巻線とに流れる電流を等しく、すなわち巻数を等しくしてもよいし、2次巻線の電流を少なく設定してもよい。
【0032】
また、絶縁トランスを用いる場合、閉ループを形成するようにその2次巻線間に分岐線路を接続することができる。これに対して、標識灯の入力端に変流器の2次巻線を接続し、閉ループの分岐線路を1次巻線とするように変流器を閉ループに磁気結合させる。この構成により標識灯の不点時に絶縁トランスの2次側に高電圧が現れるのを防止することができる。なお、変流器をクリップ式にすれば、変流器の閉ループに対する標識灯の交換作業を容易に行えるようになる。
【0033】
<電流検出手段について> 電流検出手段は、交流定電流電源からの出力電流を直接または間接に検出する手段である。直接検出するには、例えば交流定電流電源の出力回路すなわち負荷回路に挿入変流器などの既知の各種電流検出手段を挿入することができる。この場合の変流器としては、標識灯の前段に絶縁トランスが付設される場合、当該絶縁トランスの1次巻線に磁気結合する電流検出巻線を配設することにより、絶縁トランスに一体化されたものとして得ることができる。
【0034】
また、交流定電流電源からの出力電流を間接的に検出するには、例えば絶縁トランスの2次電圧を検出することができる。なお、交流定電流電源に直列接続する絶縁トランスは、1種の変流器であるから、その2次電圧が概ね交流定電流電源の出力電流に比例する。
【0035】
<点灯制御手段について> 点灯制御手段は、電流検出手段の検出信号に基づいて交流定電流電源の出力の光度比率を判定し、判定した光度比率で電流を変調して出力するように構成されている。すなわち、発光ダイオードの電流−光度特性とは異なる電流−光度特性に基づいて交流定電流電源から出力された電流を発光ダイオードの電流−光度特性に基づく電流に変調する。
【0036】
また、全ての標識灯の光源が発光ダイオードである場合には、交流定電流電源の出力端に直列接続される全ての標識灯に対して共通に単一の点灯制御手段を配設することができる。この場合には、設備費が相対的に安価になる。また、点灯制御手段を交流定電流電源の設置場所および標識灯の設置場所のいずれにも設置することもでき、設置の自由度が大きい。
【0037】
これに対して、複数の点灯制御手段を分散して配設し、各点灯回路手段に対して一または複数の標識灯をすることもできる。この場合には、複数の標識灯の一部のみの光源が発光ダイオードに変更されていて、残余の標識灯は光源がハロゲン電球など交流定電流電源にプログラムされているのと同じ電流−光度特性を有する光源によって構成されている光源が混合した態様であってもよい。そして、光源が発光ダイオードの標識灯に対してのみ点灯制御手段を付設する。また、点灯制御手段は、それぞれ対応する標識灯に近接した位置に設置するのがよい。
【0038】
さらに、点灯制御手段は、その出力端に接続されている発光ダイオードに供給する電流を適当な方式たとえばパルス幅変調方式、振幅変調方式などによって変調することができる。しかし、発光ダイオードのある種のものは、電流の振幅に応じて発光色が変化する性質があるので、パルス幅変調方式の方が好ましい。
【0039】
パルス幅変調方式の点灯制御手段の場合、標識灯に対して直列に挿入したスイッチング回路と、電流検出手段の検出出力に基づいて光度比率を判定する判定回路と、判定した光度比率に相当するパルス幅制御信号を発生してスイッチング回路を制御するパルス幅制御回路とにより点灯制御手段を構成することができる。
【0040】
<負荷調整回路について> 負荷調整回路は、標識灯と並列的に接続して交流定電流電源の電流切換特性と標識灯の負荷電流特性との差を補償するように作用する回路手段であり、本発明における特徴的構成部分である。
【0041】
すなわち、幹線線路に流れる電流が低減されると、前述したように点灯制御手段が発光ダイオードを、そこに通流する負荷電流を制御して、ハロゲン電球と同光度で発光させる。このときの負荷電流は、前述した理由によりハロゲン電球の場合の負荷電流より小さいので、負荷が変動することになる。
【0042】
これに対して、本発明においては、負荷調整回路は、標識灯と並列的に接続していて、幹線線路に流れる電流に比例する電流に対して負荷電流の不足する分を負荷調整電流として発光ダイオードの負荷電流に追加して絶縁トランスを経由して交流定電流電源に流す。したがって、負荷調整回路に流れる負荷調整電流と負荷電流との和は、幹線線路に流れる電流にほぼ比例するようにすることが可能になる。そして、負荷調整電流と負荷電流とのベクトル和の電流が絶縁トランスを通流することになる。なお、本発明において、負荷調整電流は、幹線線路に流れる電流に比例する電流に対して負荷電流の不足する分を正確に補償することが望ましいが、少なくとも補償する方向に増減する程度であれば、相応の効果を生じるので、許容されるものとする。
【0043】
また、負荷調整電流の好ましい態様は、電力損を伴わない無効電流である。無効電流は、容量性および誘導性のいずれであってもよい。無効の負荷調整電流を流すためには、負荷調整回路を容量性または誘導性に構成すればよい。
【0044】
さらに、負荷調整回路は、これを負荷調整電流が発光ダイオードを流れる負荷電流と並列に流れるように構成することにより、負荷に対する干渉が発生しないので、好都合である。
【0045】
<その他の構成について> 本発明の必須構成要件ではないが、以下に列挙する構成を所望により選択的に付加することができる。
1.標識灯開放保護手段 標識灯開放保護手段は、標識灯が何らかの原因で開放した場合、標識灯に高電圧が印加されるとともに、直列接続している他の健全な標識灯も作動を停止するため、重大な障害になる。このような開放事故を防止するために、各標識灯に並列的に開放保護手段を挿入することができる。
【0046】
そうして、標識灯保護手段は、標識灯が開放して高電圧が印加されると同時に短絡状態となり、当該標識灯に対する高電圧の印加を回避する。
2.点灯制御手段および負荷調整回路の設置場所 点灯制御手段および負荷調整回路は、これを一群の標識灯に対して共通に配設するのが経済的であるが、この場合、点灯制御手段および負荷調整回路の設置場所は、標識灯および路側のいずれか一方、または他の場所に設置できる。標識灯内に設置する場合、一群の標識灯の中で特定の標識灯の例えば基台内に点灯制御手段および負荷調整回路を設置して、残余の標識灯に対しては、配線を経由して接続する。路側に設置する場合、路側に例えばハンドホールを設置して、その内部に点灯制御手段および負荷調整回路を収納し、一群の標識灯に対して配線を経由して接続する。また、点灯制御手段および負荷調整回路は、上記以外の他所望の位置に設置することができる。
【0047】
<本発明の作用について> 本発明においては、交流定電流電源が所定の光度比率にしたがって、例えばハロゲン電球の電流−光度特性に応じて、出力電流を切り換えると、電流検出手段が出力電流を検出して点灯制御手段に制御入力する。
【0048】
点灯制御手段は、電流検出信号が79%の電流であるときには、発光比率が25%であると判定するように予めプログラムされているので、そのプログラムにしたがって光度比率を25%と判定する。また、同時に発光ダイオードの電流−光度特性のプログラムに基づき79%の電流を、25%の光度で点灯するのに必要な負荷電流であるところの25%にまで低減して、発光ダイオードに供給する。その結果、発光ダイオードを光源とする標識灯は、交流定電流電源側で切り換えた光度比率と同じ光度比率で点灯する。そして、25%にまで低減した負荷電流が絶縁トランスを経由して1次側の交流定電流電源に流れる。なお、以上の回路動作は、他の光度比率においても同様な原理により行われる。
【0049】
したがって、ハロゲン電球など発光ダイオードの電流−光度特性とは異なる電流−光度特性に基づいて光度比率に対応する出力電流が設定されている交流定電流電源であっても、光源を発光ダイオードに変更した標識灯に対して引き続き使用することができる。
【0050】
一方、負荷調整回路は、標識灯と並列的に接続して交流定電流電源の電流切換特性と標識灯の負荷電流特性との差を補償するように作用する。すなわち、発光ダイオードに流れる負荷電流が点灯制御手段により低減して交流定電流電源の出力電流に比例しなくなると、これと同時に負荷調整回路は、負荷調整電流を増加させて負荷電流の減少分を補償するように作動する。
【0051】
以上の結果、絶縁トランスの2次側には、負荷電流と負荷調整電流とのベクトル和の電流が流れる。このベクトル和の電流は、絶縁トランスの1次側に流れる電流に概ね比例する関係になるので、絶縁トランスの2次側には、1次側に流れる電流波形に比例した電圧が発生し、負荷調整回路を具備しない場合のような複雑な波形の電圧が発生しなくなる。このため、絶縁トランスの2次側に接続する発光ダイオードおよび点灯制御手段などに不自然な負担が増加することがない。また、これに伴い交流定電流電源への高調波の不所望な流出がなくなる。
【0052】
請求項2の発明の標識灯システムは、請求項1記載の標識灯システムにおいて、負荷調整回路は、交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段の検出出力に応動することを特徴としている。
【0053】
本発明は、負荷調整回路が発光ダイオードの負荷電流に対応して負荷調整電流を可変する際に、交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段の検出出力を利用している。電流検出手段は、点灯制御手段を制御するのに用いる電流検出手段を流用することができる。しかし、要すれば、後者の電流検出手段とは別に配設することができる。
【0054】
そうして、本発明においては、交流定電流電源の出力電流の切り換えを検出して、所要の負荷負荷調整電流を流すことができるので、正確な負荷調整作用を行うことができる。
【0055】
請求項3の発明の標識灯システムは、請求項1または2記載の標識灯システムにおいて、負荷調整回路は、交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段の検出出力に応じて周波数に変換する周波数変換回路および周波数変換回路の出力に応じて駆動されるリアクタンス可変回路を備えていることを特徴としている。
【0056】
本発明は、負荷調整回路の好適な構成例を規定している。
【0057】
すなわち、周波数変換回路は、電流検出手段の検出出力に応じて周波数に変換する。なお、「検出出力に応じて周波数に変換する」とは、検出出力を直接周波数の変換する場合および判定回路を経由して判定した結果に対応して、これを周波数に変換する場合を含む。したがって、交流定電流電源の出力電流の変化は、周波数変換回路により周波数の変化として取り出すことができる。
【0058】
リアクタンス可変回路は、その励振周波数に応じて変化する無効電流を流す特性を有している。したがって、このリアクタンス可変回路を負荷である発光ダイオードに対して並列的に配設することにより、無効電流を負荷電流と別に流すことができる。なお、リアクタンス可変回路に流れる無効電流は、容量性および誘導性のいずれであってもよい。
【0059】
また、リアクタンス可変回路は、例えばハーフブリッジ形インバータにより構成することができる。この場合、発光ダイオードをハーフブリッジ形インバータの出力端に接続して交流点灯またはパルス点灯を行うように接続することができる。すなわち、交流点灯を行うには、複数の発光ダイオードを、所望により逆流防止ダイオードと直列接続したうえで、一対の回路に分割し、これらを逆並列に接続すればよい。また、パルス点灯を行うには、ハーフブリッジインバータの出力側の一端を接地するなどして、インバータの交流出力を同極性のパルス列として取り出せばよい。なお、リアクタンス可変回路には、その入力端に整流回路を付設して、交流定電流電源に接続する絶縁トランスの2次電圧を当該整流回路によって整流して得た直流電圧を印加する。
【0060】
交流定電流電源の出力電流が変化すると、周波数変換回路の出力周波数が変化するので、これに応動してリアクタンス可変回路に流れる無効電流が変化する。その結果、負荷電流と無効電流のベクトル和は、交流定電流電源の出力電流にほぼ比例的になる。
【0061】
また、リアクタンス可変回路をハーフブリッジ形インバータにより構成した場合、ハーフブリッジインバータは、直列接続した一対のスイッチング素子の少なくとも一方に並列接続したコンデンサを備えているので、このコンデンサには、励振周波数に応じて変化する無効電流が流れる。また、発光ダイオードに対して並列的に接続するので、上記無効電流は、負荷電流と重畳して絶縁トランスに流れる。
【0062】
そうして、本発明においては、負荷調整回路の構成が比較的簡単で、しかも、負荷調整電流が無効電流であるから、回路損失が少なくて、信頼性の高い回路動作を行う。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0064】
図2ないし図8は、本発明の標識灯システムにおける第1の実施の形態としての空港用の航空標識灯システムを示し、図2は全体の概要を示すブロック回路図、図3は要部を示す回路ブロック図、図4は要部の回路図、図5は図4における各部の電圧、電流波形図、図6は直列接続幹線ケーブル、複数の負荷制御回路ブロックおよび分岐線ケーブルの埋設状態を説明する俯瞰図、図7は標識灯の平面図、図8は同じく縦断面図である。
【0065】
図2において、標識灯システムは、交流定電流電源CCR、直列接続幹線ケーブルWm、複数の負荷制御回路ブロックLDC、分岐線ケーブルWb、複数の標識灯LGTを具備して構成されている。
【0066】
<交流定電流電源CCR> 交流定電流電源CCRは、現行のハロゲン電球を用いる標識灯用のもので、前述した光度比率になるように出力電流を切り換えるための電流切換タップを備えている。
【0067】
<直列接続幹線ケーブルWm> 直列接続幹線ケーブルWmは、交流定電流電源CCRの出力端から延在して標識灯LGTを設置する滑走路や誘導路の路側に沿って敷設される。なお、本実施の形態において、直列接続幹線ケーブルWmは、図6に示すように、滑走路R/Wの路側S/Wに埋設されている。
【0068】
<複数の負荷制御回路ブロックLDC> 複数の負荷制御回路ブロックLDCは、直列接続幹線ケーブルWmを介して交流定電流電源CCRに対して直列接続している。また、各負荷制御回路ブロックLDCは、その内部に絶縁トランスTrf、電流検出手段DET、点灯制御手段OCおよび負荷調整回路LRCを備えている。
【0069】
(絶縁トランスTrf) 絶縁トランスTrfは、交流定電流電源CCRと標識灯LGTとの間に介在して、負荷制御回路ブロックLDCおよび標識灯LGTを直列接続幹線ケーブルWmの高電圧から導電的に分離する手段として用いられ、1次巻線wpおよび2次巻線wsを備えている。1次巻線wpは、直列接続幹線ケーブルWmに直列接続する。2次巻線wsは、負荷制御回路ブロックLDCの後述するその他の回路に接続する。
【0070】
(電流検出手段DET) 電流検出手段DETは、交流定電流電源CCRの出力電流を検出する手段であり、電流検出用の巻線を絶縁トランスTrfの1次巻線wpに磁気結合することにより、絶縁トランスTrfの1次巻線に流れる電流を検出する変流器を構成している。
【0071】
(点灯制御手段OC) 点灯制御手段OCは、後述する標識灯LGTに供給する電力を制御して、交流定電流電源CCRの出力電流が指示する光度で発光ダイオードを発光させる手段であり、図3に示すように、直流電圧変換回路Vdc、スイッチング回路SW、判定回路LEVおよびパルス幅制御回路PWMから構成されている。
【0072】
直流電圧変換回路Vdcは、図3に示すように、整流回路RECおよび定電圧回路CVRからなる。整流回路RECは、その交流入力端が絶縁トランスTrfの2次巻線wsに接続している。定電圧回路CVRは、その入力端が整流回路RECの直流出力端に接続している。これにより標識灯LGTの発光ダイオードLEDは定電圧下で点灯する。なお、図4において、定電圧回路CVRは、本発明における点灯制御手段OCおよび負荷調整回路LRCの回路動作を説明するうえで直接の関係がないので、図示を省略してある。
【0073】
スイッチング回路SWは、定電圧回路CVRおよび標識灯LGTの間に介在して、パルス幅制御回路PWMから送出されたパルス幅信号に基づいて標識灯LGT内の発光ダイオードの発光レベルをPWM制御する。
【0074】
判定回路LEVは、内蔵しているプログラムに基づいて電流検出部DETで検出した電流値を記憶しているテーブルデータと比較して光度比率を判定し、判定結果を後述するパルス幅制御回路PWMおよび負荷調整回路LRCに送出する。
【0075】
パルス幅制御回路PWMは、判定回路LEVから送出された判定結果に基づいて予定のパルス幅信号を発生してスイッチング回路SWに送出する。
【0076】
(負荷調整回路LRC) 負荷調整回路LRCは、周波数変換回路FCCおよびリアクタンス可変回路ZVCからなる。周波数変換回路FCCは、判定回路LEVの判定結果に基づいて、交流定電流電源CCRの出力電流に対応する周波数を発生する。リアクタンス可変回路ZVCは、図4に示すように、出力トランスOTを備えたハーフブリッジインバータからなり、その直流入力端が整流回路RECの直流出力端に接続し、交流を出力する出力トランスTOUTの2次巻線が(定電圧回路CVRを介して)標識灯LGT(その光源である発光ダイオードLED)およびスイッチング回路SWの直列回路に接続している。
【0077】
(回路動作) 絶縁トランスTrf、点灯制御手段OCおよび負荷調整回路LRC相互間における回路動作を図5に示す電圧、電流波形に基づいて以下説明する。
【0078】
すなわち、交流定電流電源CCRの出力電流I1が位相制御された波形であると、絶縁トランスTrfの2次電流I2および2次電圧V2がともに出力電流I1と相似の波形になる。これに対して、負荷調整回路LRCのリアクタンス可変回路ZRCの出力電圧V3は、図のような矩形波の交流波形になる。点灯制御手段OCは、矩形波の交流出力をパルス列としてスイッチング回路SWに印加し、ここでPWM制御を行ってから標識灯LGTの発光ダイオードKEDに印加することによって、発光ダイオードLEDを所定光度で発光させる。
【0079】
<分岐ケーブルWb> 分岐ケーブルWbは、図6に示すように、滑走路R/Wに沿って路側S/Wに埋設された直列接続幹線ケーブルWmからハンドホールHDで分岐されて、滑走路R/Wに分散して埋設された複数の標識灯LGTの間を並列接続する手段として用いられている。
【0080】
なお、ハンドホールHDは、路側S/Wに埋設されている。また、本実施の形態において、負荷制御回路ブロックLDCは、ハンドホールHDに近い標識灯LGTに内蔵されている。
【0081】
<標識灯LGT> 標識灯LGTは、滑走路中心線灯を構成しており、光源として、図2に示すように、直並列接続された複数の発光ダイオードLEDを用いたもので、図7および図8に示す構造である。なお、図2において、各発光ダイオードLEDに対して直列に接続された抵抗器Rは、電流調整用抵抗である。
【0082】
また、標識灯LGTは、基台1および標識灯本体2からなり、基体1の内部に負荷制御回路ブロックLDCを収納している。
【0083】
(基台1) 基台1は、容体1aを主体として構成されている。容体1aは、その上端が開口した有底円筒状をなしていて、開口端を路面から露出した状態で路面に埋設される。容体1aの側面には適数の配線引き込み孔1a1が形成され、配線引き込み孔1a1に装着された防水ブッシュ1bを介して直列接続幹線ケーブルWmが引き込まれる。また、図示しない同様な構造を介して分岐ケーブルWbが容体1aから導出される。さらに、容体1aの開口端には、一段下がった位置に内向きの環状座1a2が形成されている。環状座1a2にはボルトをねじ込むねじ孔(図示しない。)が形成されている。
【0084】
(負荷制御回路ブロックLDC) 負荷制御回路ブロックLDCは、基台1の内部に収納され、その底面に載置されている。また、負荷制御回路ブロックLDCは、配線基板PBに実装されているとともに、防水ケースWTCに収納されている。防水ケースWTCは、2つ割構成であって、その接合面はOリングORにより防水処理されている。また、防水ケースWTCには、一対の配線挿通孔H1、H2が形成され、防水ブッシュWTBを介して内部に直列接続幹線ケーブルWmが引き込まれ、分岐ケーブルWbへの接続線CCが導出されている。分岐ケーブルWbは、接続線CCに防水コネクタWCNを介して基台1の内部で接続している。
【0085】
(標識灯本体2) 標識灯本体2は、灯体2a、プリズム2b、発光ダイオードユニット2cおよび端子台2dを主体として構成されている。
【0086】
灯体2aは、上部灯体2a1および下部灯体2a2を覆合して構成されている。
【0087】
上部灯体2a1は、その上面に膨出部2a11および光導出溝2a12を備えている。膨出部2a11は、中央に円形の平坦な頂面および頂面から上部灯体2aの周縁にわたる切頭円錐斜面によって上部灯体2a1の上面に画成されている。光導出溝2a12は、膨出部2a12の切頭円錐斜面に開口するとともに、灯体2aの内部に連通している。なお、光導出溝2a12は、所望数を放射状に配設することができる。また、上部灯体2a1の周縁部には、上部灯体2a1および下部灯体2a2を結合して灯体2aを形成する複数のボルト挿通孔2a13と、灯体2aを基台1に固着するための複数のボルト挿通孔2a14とが形成されている。
【0088】
下部灯体2a2は、皿状をなしていて、周縁にスタッドボルト(図示しない。)が植立している。また、上部ボルト灯体2a1のボルト挿通孔2a14に正対する位置に図示しないボルト挿通孔が形成されている。
【0089】
そうして、下部灯体2a2のスタッドボルトを上部灯体2a1のボルト挿通孔2a13に下側から挿通して、下部灯体2a2を上部灯体2a1に下側から覆合し、上部灯体2a1のボルト挿通孔2a13から上部へ露出したスタッドボルトの先端にナットをねじ込み、締め付けることによって灯体2aが一体化され、内部に内部空間2a3が形成される。また、灯体2aは、基台1の環状座1a2に載置され、上部灯体2a1のボルト挿通孔2a14を環状座1a2のねじ孔に正対させ、灯体2aの上からボルト挿通孔2a14にボルト(図示しない。)を挿通して、環状座1a2のねじ孔にねじ込むことにより、基台1に固定される。
【0090】
プリズム2bは、灯体2aの光導出溝2a12の内部に上記内部空間2a3側から挿入し、内端の周縁をパッキン2b1および押さえ金具2b2により上部灯体2a1の内面に液密に固着されている。
【0091】
発光ダイオードユニット2cは、配線基板2c1、発光ダイオード2c2、整列板2c3および取付具2c4を備えて構成されている。配線基板2c1は、複数の発光ダイオード2c2を実装している。整列板2c3は、複数の挿通孔を備えていて、配線基板2c1の前方に配設され、複数の発光ダイオード2c2を挿通孔に挿入することにより所定の向きに支持する。取付具2c4は、整列板2c3をプリズム2bの光入射面に対して正対し、かつ所定の間隔を維持して固定するとともに、配線基板2c1を整列版2c3の背方において所定の間隔を維持して固定する。
【0092】
(端子台2d) 端子台2dは、絶縁ブッシュ2d1および端子2d2を備え、下部灯体2a2を貫通して灯体2aの下面に配設されている。絶縁ブッシュ2d1は、下部灯体2a2を貫通して装着され、端子2d2は絶縁ブッシュ2d1内を下部灯体2a2に対して絶縁されて貫通していて、灯体2aの外部において分岐ケーブルWbを接続し、内部において配線基板2c1を介して発光ダイオード2c2に接続している。
【0093】
(標識灯の動作) 標識灯は以下のように動作する。すなわち、複数の発光ダイオード2c2が点灯すると、その発光はプリズム2bの光入射面からプリズム2b内に入射し、プリズム2bから出射するときに進路が屈折して入射角より小さな出射角度で、かつ所定配光を有する光ビームとなって光導出溝2a12を通って滑走路R/Wに放射される。航空機のパイロットは、標識灯の光ビームを視認することで滑走路の中心を認識し、航空機を滑走路の中心に沿って離発着するように操縦することができる。
【0094】
図9ないし図12は、本発明の標識灯システムの第2の実施の形態としての空港用の航空標識灯システムを示し、図9は全体の概要を示すブロック回路図、図10は要部を示す回路ブロック図、図11は直列接続幹線ケーブル、複数の負荷制御回路ブロックおよび分岐線ケーブルの埋設状態を説明する俯瞰図、図12は標識灯の縦断面図である。各図において、図2ないし図8と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0095】
本実施の形態においては、点灯制御手段OCおよび負荷調整回路LRCの回路構成が変更され、複数の標識灯LGT接続態様が変更され、負荷制御回路ブロックLDCの配設位置が変更され、かつ、標識灯LGTの構造が変更されている点で異なる。
【0096】
<点灯制御手段OC> 点灯制御手段OCは、その直流電圧変換回路Vdcに代えて直流電流変換回路Idcが用いられている。直流電流変換回路Idcは、整流回路RECおよび定電流回路ICRからなる。これにより、標識灯LGTの発光ダイオードLEDは定電流下で点灯する。
【0097】
また、第1および第2の電流検出手段DET1、DET2が配設されている。第1の電流検出手段DET1は、本発明の第1の実施の形態における電流検出手段DETと同一の構成であって、交流定電流電源CCRの出力電流を直接検出するが、その出力はパルス幅制御回路PWMにのみに送出される。
【0098】
これに対して、第2の電流検出手段DET2は、整流回路RECの直流出力電圧を検出することによって、交流定電流電源CCRの出力電流の大きさを間接的に検出する構成である。そして、その検出出力は、周波数変換開路FCCに送出される。
【0099】
周波数変換回路FCCの周波数出力は、リアクタンス可変回路ZVCに送出されるとともに、パルス幅制御回路PWMに対してその励振周波数を提供している。
【0100】
<負荷調整回路LRC> 負荷調整回路LRCは、点灯制御手段OCの第2の電流検出手段DET2および周波数変換回路FCCを共有して構成されている。
【0101】
以上の構成により、スイッチング回路SWおよびリアクタンス可変回路ZVCは同期しながら回路動作を行う。
【0102】
<複数の標識灯LGTの接続態様> 複数の標識灯LGTの接続態様は、図9に示すように、負荷回路制御回路ブロックLDCに対して直列接続されている。
【0103】
<負荷制御回路ブロックLDCの配設位置> 負荷制御回路ブロックLDCの配設位置は、路側S/Wに埋設したハンドホールHD内に配設されている。
【0104】
<標識灯LGT> 標識灯LGTは、図12に示すように、その基台1´が浅皿状をなしている。負荷制御回路ブロックLDCをハンドホールHDに収納することから、このような基台1´を用いことが可能になり、航空標識灯の路面埋設作業を容易にすることができる。
【0105】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、電流切換手段を備えた交流定電流電源と、発光ダイオードを光源として構成される標識灯と、絶縁トランスと、電流検出手段と、発光ダイオードの発光が所定の光度比率になるように標識灯を制御する点灯制御手段と、交流定電流電源の電流切換特性と標識灯の負荷電流特性との差を補償するように作用する負荷調整回路とを具備していることにより、発光ダイオードの点灯回路に不自然な負担が増加したり、交流定電流電源への高調波の不所望な流出をしたりするのを抑制した信頼性の高い標識灯システムを提供することができる。
【0106】
請求項2の発明によれば、加えて負荷調整回路が流定電流電源の出力電流の電流検出手段に応動するように構成されているので、正確な負荷調整作用を行う標識灯システムを提供することができる。
【0107】
請求項3の発明によれば、加えて負荷調整回路が電流検出手段の検出出力を周波数に変換する周波数変換回路および周波数変換回路の出力に応じて駆動されるリアクタンス可変回路を備えていることにより、構成が比較的簡単で、しかも、回路損失が少なくて、信頼性の高い回路動作を行う負荷調整回路を備えた標識灯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハロゲン電球および発光ダイオードの電流−光度特性を示すグラフ
【図2】本発明の標識灯システムにおける第1の実施の形態としての空港用の航空標識灯システム全体の概要を示すブロック回路図
【図3】同じく要部を示す回路ブロック図、図4は要部の回路図
する斜視図
【図4】同じく図4は要部の回路図
【図5】同じく図4における各部の電圧、電流波形図
【図6】同じく直列接続幹線ケーブル、複数の負荷制御回路ブロックおよび分岐線ケーブルの埋設状態を説明する俯瞰図
【図7】同じく標識灯の平面図
【図8】同じく縦断面図
【図9】本発明の標識灯システムの第2の実施の形態としての空港用の航空標識灯システム全体の概要を示すブロック回路図
【図10】同じく要部を示す回路ブロック図
【図11】同じく直列接続幹線ケーブル、複数の負荷制御回路ブロックおよび分岐線ケーブルの埋設状態を説明する俯瞰図
【図12】同じく標識灯の縦断面図
【図13】特許文献2に記載の標識灯システムにおける交流定電流電源、絶縁トランスおよび点灯制御手段の電圧、電流の関係を説明するための回路概要を示す回路図
【図14】図13の各部の電圧、電流波形図
【符号の説明】
CCR…交流定電流電源、Trf…絶縁トランス、DET…電流検出手段、OC…点灯制御手段、SW…スイッチング回路、PWM…パルス幅制御回路、LRC…負荷調整回路、FCC…周波数変換回路、ZVC…リアクタンス可変回路、LGT…標識灯、LED…発光ダイオード
Claims (3)
- 所定の光度比率にしたがって出力電流を切り換える電流切換手段を備えた交流定電流電源と;
発光ダイオードを光源として構成され、交流定電流電源の出力に対して直列接続される標識灯と;
交流定電流電源および標識灯の間に介在する絶縁トランスと;
交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段と;
電流検出手段の検出出力に応じて発光ダイオードの発光が所定の光度比率になるように標識灯を制御する点灯制御手段と;
標識灯と並列的に接続して交流定電流電源の電流切換特性と標識灯の負荷電流特性との差を補償するように作用する負荷調整回路と;
を具備していることを特徴とする標識灯システム。 - 負荷調整回路は、交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段の検出出力に応動することを特徴とする請求項1記載の標識灯システム。
- 負荷調整回路は、交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段の検出出力に応じて周波数に変換する周波数変換回路および周波数変換回路の出力に応じて駆動されるリアクタンス可変回路を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の標識灯システム。
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