JP2004177888A - ヒートプレート及びそれを使用した定着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヒートプレート10は基板11の上に接着剤層14を介して絶縁材13が接着固定され、その上に接着剤層15を介して抵抗発熱体12が接着固定された積層構成とし、これを記録媒体搬送方向に直交する方向に延びる円筒軸の回りに、半円筒状に湾曲加工する。抵抗発熱体12は、前記円筒軸と直交する方向に延びた細長い帯状部を連続して折り返したパターンに形成されるから、単位面積当たりの剥離力が小さくなり、抵抗発熱体が基板から剥離することを防止することができ、抵抗発熱体が異常発熱することもない。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ヒートプレート及びそれを使用した画像形成装置の定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置、例えば複写機、レーザプリンタ、ファクシミリ、或いはこれ等の機能を備えたMFCと呼ばれる複合機では、感光体上に形成された画像の静電潜像をトナーで現像し、これを記録媒体に転写した後、定着装置により定着処理して画像を固定し、画像の記録を行っている。
【0003】
このような画像形成装置で使用する定着装置には、従来は、内面に熱源としてハロゲンランプを配置した金属ローラを使用するヒートローラ方式の定着装置が使用されてきた。
【0004】
ハロゲンランプは、電気エネルギを一旦光エネルギに変換し、さらに熱エネルギに変換するため、熱変換効率が低い。そこで、ヒートローラの芯金の外周に電気エネルギを直接熱エネルギに変換可能な抵抗発熱体を形成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
さらに、回転しない半円筒体の内面にシート状ヒータを配置した半円筒体のヒートプレートが提案されている(特許文献2参照)。これは、半円筒体のヒートプレートの外周面に定着ベルトを捲回して加熱するように構成した定着ベルト方式の定着装置に使用されるものである。この半円筒体のヒートプレートでは、ヒートプレートの熱容量を低減できるのでエネルギの節減が可能となる。
【0006】
【特許文献1】
特開平07−140828号公報。
【0007】
【特許文献2】
特開2002−72735号公報。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような従来のヒートプレートは、ヒートプレート基板、絶縁層、抵抗発熱体が積層されて構成されるが、それぞれが異なる材料から構成されており、熱膨張率が異なるために、基板、絶縁層、抵抗発熱体の各層の間にストレスが発生する。特に、抵抗発熱体の端部に位置する湾曲パターン部では、ストレスが湾曲部の内側に発生するため、基板と抵抗発熱体との間で剥離し、抵抗発熱体が異常発熱するという不都合が発生する場合がある。
【0009】
この発明は、基板と抵抗発熱体との間で剥離が生じないヒートプレートを提供すること及びそのヒートプレートを使用した画像形成装置の定着装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するもので、請求項1の発明は、記録媒体搬送方向に直交する方向に延びる円筒軸の回りに湾曲した曲面を有する略半円筒状の基板と、前記基板の湾曲面の内側に絶縁材を介在させて配置された抵抗発熱体とを備えたヒートプレートであって、前記抵抗発熱体は、前記円筒軸と直交する方向に延びた細長い帯状部を連続して折り返したパターンに形成されていることを特徴とするヒートプレートである。
【0011】
そして、前記抵抗発熱体の細長い帯状部の幅は、隣接する帯状部との間の間隔寸法の3倍以上とするとよい。
【0012】
また、前記ヒートプレートは、基板上に絶縁材を介在させて抵抗発熱体を接着固定した後、前記円筒軸の回りに湾曲させて略半円筒状に構成される。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1で規定するヒートプレートと、前記ヒートプレートと定着部材との間に巻き掛けられて移動可能なループ状の定着ベルトと、前記定着部材に定着ベルトを圧接する圧接部材とを備えたことを特徴とする定着装置である。
【0014】
そして、前記定着部材は、定着ローラ又は定着パッドであり、前記圧接部材は、圧接ローラ又は圧接パッドとすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。図1はヒートプレート10の外観を示す斜視図、図2はその拡大断面図、図3はヒートプレート10の積層構成を説明する拡大断面図である。
【0016】
図1及び図2において、11はヒートプレート10の基板、12は抵抗発熱体、13は抵抗発熱体と基板11との間に配置された絶縁材を示す。図3に示すように、ヒートプレート10は、基板11の上に接着剤層14を介して絶縁材13が接着固定され、さらにその上に接着剤層15を介して抵抗発熱体12が接着固定された積層構成となっており、加熱加圧して各層を接着する。その後、図1及び図2に示すように、プレス加工により抵抗発熱体12が内側になるように半円筒状に湾曲加工し、ヒートプレート10が完成する。
【0017】
なお、Zはヒートプレート10を半円筒状に湾曲加工するときの円筒軸を示すもので、ヒートプレート10により定着処理される記録媒体は、この円筒軸Zに直交する方向に搬送される。
【0018】
基板11は、例えば、厚さ0.5mmのアルミニウム(材料記号A5052)で構成されており、絶縁材13は厚さ35μmの耐熱性の合成樹脂ポリイミド(PI)で構成される。また、接着剤層14、15は、厚さ8μmの熱硬化性合成樹脂ポリイミド(PI)から構成される。
【0019】
図4は抵抗発熱体12の正面図で、抵抗発熱体12は細長い帯状部12aを連続して折り返したパターンに形成され、両端に接続用端子12bが形成される。抵抗発熱体12の細長い帯状部12aの幅は、隣接する帯状部12aとの間の間隔寸法の3倍以上とするとよい。
【0020】
抵抗発熱体12の材料には、例えば、厚さ30μmのステンレススチール(材料記号SUS304)が使用される。
【0021】
抵抗発熱体12をヒートプレート10に接着する際は、抵抗発熱体12の細長い帯状部12aの長手方向が、ヒートプレート10を半円筒状に湾曲加工したときの円筒軸Zに対して直角に交差する方向と一致させるものとする。
【0022】
その理由は、ヒートプレート10を半円筒状に湾曲加工するとき、抵抗発熱体12が剥離しにくくするためである。以下、その理由を説明する。
【0023】
図5は、ヒートプレート10の湾曲加工により、その上に接着された抵抗発熱体12が元の形状に回復しようとする復元力により発生する垂直方向の剥離力を説明する図である。図5において、Aは抵抗発熱体12の細長い帯状部12aに相当する両端支持梁であって、接着剤による接着力が梁Aに作用する等分布荷重wに相当し、梁Aは湾曲したヒートプレート10に接着され、接着剤による等分布荷重wを受けて曲率半径rで撓んでいるものとする。
【0024】
梁Aに作用する曲げモーメントM、等分布荷重w、曲率半径rの間には以下の関係が成立する。
【0025】
1/r=M/E・I・・・・・・・・・・・・・・(1)
但し、E:ヤング率、I:断面2次モーメント。
【0026】
梁Aの端部から距離xの位置での曲げモーメントM0 は、
M0 =w0 ・x/2(L0 −x)
但し、w0 :単位面積当たりの荷重、L0 :梁Aの全長。
【0027】
ここで、梁Aの円弧の長さは、中心角をθとすると、x=rθ、L0 =rθ0 であるから、曲げモーメントM0 は、以下の通りとなる。
【0028】
ここで梁Aの長さLの異なるL1 、L2 での条件を考えると、式(1)から、曲げモーメントは曲率半径のみに依存するため、それぞれの曲げモーメントM1 、M2 は等しくなる。従って、以下の関係が成立する。
【0029】
ここで、θ1 >θ2 >θ とすると、以下の関係が成立する。
【0030】
【0031】
これは、梁Aの長さが長い程、即ち抵抗発熱体12のパターンの細長い帯状部12aの長さ(図4では帯状部12aの上下方向の長さ)が長い程、単位面積当たりの荷重が小さくなることを示し、即ち、単位面積当たりの剥離力が小さくなることを意味する。
【0032】
次に、この発明の実施の形態の定着装置の構成について説明する。図6は第1の形式の定着装置20の構成を説明する断面図で、内面に抵抗発熱体12が固定配置され、半円筒状に湾曲加工されたヒートプレート10と定着ローラ22との間に定着ベルト21が巻き掛けられている。また、定着ローラ22に対向する位置には加圧ローラ23が定着ベルト21を介在させて配置されている。
【0033】
図示しない駆動機構により加圧ローラ23を矢印a方向に回転させると、定着ローラ22も矢印a方向に回転する。定着ベルト21は加圧ローラ23に摩擦接触して移動する。このとき、定着ベルト21はヒートプレート10の外表面上を滑りながら矢印a方向に移動し、ヒートプレート10から熱が伝達されて加熱される。加圧ローラ23と加熱された定着ベルト21との間のニップ部Nに定着すべき記録媒体Pを通過させることで、定着処理が行われる。
【0034】
なお、上記の構成において、加圧ローラ23を駆動回転させる構成に替えて、定着ロー22を駆動回転させてもよい。
【0035】
図7は、第2の形式の定着装置30の構成を説明する断面図で、図6に示す第1の形式の定着装置20において、定着ローラ22を定着パッド24に替えたものである。第1の形式の定着装置20と同一部材には同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0036】
図示しない駆動機構により加圧ローラ23を矢印a方向に回転させると、定着ベルト21は加圧ローラ23に摩擦接触して加圧ローラ23と共に移動する。定着ベルト21はヒートプレート10及び定着パッド24の外表面上を滑りながら矢印a方向に移動し、定着ベルト21にはヒートプレート10から熱が伝達されて加熱される。加圧ローラ23と加熱された定着ベルト21との間のニップ部Nに定着すべき記録媒体Pを通過させることで、定着処理が行われる。
【0037】
図8は、第3の形式の定着装置40の構成を説明する断面図で、図6に示す第1の形式の定着装置20において、加圧ローラ23を加圧パッド25に替えたものである。第1の形式の定着装置20と同一部材には同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0038】
図示しない駆動機構により定着ローラ22を矢印a方向に回転させると、定着ベルト21は定着ローラ22に摩擦接触して定着ローラ22と共に移動する。定着ベルト21はヒートプレート10の外表面上を滑りながら矢印a方向に移動し、定着ベルト21にはヒートプレート10から熱が伝達されて加熱される。加圧パッド25と、加熱された定着ベルト21との間のニップ部Nに定着すべき記録媒体Pを通過させることで、定着処理が行われる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したとおり、請求項1のヒートプレートは、記録媒体搬送方向に直交する方向に延びる円筒軸の回りに湾曲した曲面を有する略半円筒状の基板を備え、その基板の湾曲面の内側に絶縁材を介在させて抵抗発熱体を配置したものであり、抵抗発熱体は、前記円筒軸と直交する方向に延びた細長い帯状部を連続して折り返したパターンに形成したものである。
【0040】
抵抗発熱体を前記円筒軸と直交する方向に延びた細長い帯状部から構成することで単位面積当たりの剥離力が小さくなり、抵抗発熱体が基板から剥離することを防止することができ、抵抗発熱体が異常発熱することもない。
【0041】
そして、請求項4で規定する定着装置は、請求項1で規定するヒートプレートを使用した定着装置であり、基板と抵抗発熱体との間で剥離することなく、抵抗発熱体の異常発熱も生じないから、安定して動作する定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒートプレートの外観を示す斜視図。
【図2】図1に示すヒートプレートの拡大断面図。
【図3】図1に示すヒートプレートの積層構成を説明する拡大断面図。
【図4】抵抗発熱体の正面図。
【図5】抵抗発熱体の復元力により発生する剥離力を説明する図。
【図6】第1の形式の定着装置の構成を説明する断面図。
【図7】第2の形式の定着装置の構成を説明する断面図。
【図8】第3の形式の定着装置の構成を説明する断面図。
【符号の説明】
10 ヒートプレート
11 基板
12 抵抗発熱体
12a 帯状部
13 絶縁材
14、15 接着剤層
20 第1の形式の定着装置
21 定着ベルト
22 定着ローラ
23 加圧ローラ
24 定着パッド
25 加圧パッド
30 第2の形式の定着装置
40 第3の形式の定着装置
Claims (5)
- 記録媒体搬送方向に直交する方向に延びる円筒軸の回りに湾曲した曲面を有する略半円筒状の基板と、前記基板の湾曲面の内側に絶縁材を介在させて配置された抵抗発熱体とを備えたヒートプレートであって、
前記抵抗発熱体は、前記円筒軸と直交する方向に延びた細長い帯状部を連続して折り返したパターンに形成されていること
を特徴とするヒートプレート。 - 前記抵抗発熱体の細長い帯状部の幅は、隣接する帯状部との間の間隔寸法の3倍以上であること
を特徴とする請求項1記載のヒートプレート。 - 前記ヒートプレートは、基板上に絶縁材を介在させて抵抗発熱体を接着固定した後、前記円筒軸の回りに湾曲させて略半円筒状に構成されること
を特徴とする請求項1記載のヒートプレート。 - 請求項1で規定するヒートプレートと、前記ヒートプレートと定着部材との間に巻き掛けられて移動可能なループ状の定着ベルトと、前記定着部材に定着ベルトを圧接する圧接部材とを備えたこと
を特徴とする定着装置。 - 請求項4で規定する定着装置において、前記定着部材は、定着ローラ又は定着パッドであり、前記圧接部材は、圧接ローラ又は圧接パッドであること
を特徴とする定着装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002347284A JP2004177888A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | ヒートプレート及びそれを使用した定着装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002347284A JP2004177888A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | ヒートプレート及びそれを使用した定着装置 |
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ID=32707937
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JP2002347284A Pending JP2004177888A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | ヒートプレート及びそれを使用した定着装置 |
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JP (1) | JP2004177888A (ja) |
Cited By (4)
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---|---|---|---|---|
US7650105B2 (en) | 2006-07-27 | 2010-01-19 | Canon Kabushiki Kaisha | Image heating apparatus |
JP2011170051A (ja) * | 2010-02-17 | 2011-09-01 | Oki Data Corp | 定着装置および画像形成装置 |
US8224222B2 (en) | 2009-05-28 | 2012-07-17 | Sharp Kabushiki Kaisha | Fixing device and image forming apparatus including fixing device |
JP2019003023A (ja) * | 2017-06-15 | 2019-01-10 | シャープ株式会社 | 定着装置および画像形成装置 |
-
2002
- 2002-11-29 JP JP2002347284A patent/JP2004177888A/ja active Pending
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