JP2004176861A - チェーン張力付与装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン内部への取り付け取り外し時にプランジャをハウジング本体から抜け止めしてコンパクトで取り扱いが簡便なチェーン張力付与装置を提供すること。
【解決手段】チェーンに向けて突出するプランジャ120と、プランジャ摺動孔111を設けたハウジング本体110と、プランジャ120を付勢する突出付勢用バネ130と、プランジャ摺動孔111内のカム受けリング140を付勢するカム受けリング付勢用バネ150と、プランジャ120のラック121に噛合する楔状カムチップ160を誘導規制するとともにプランジャ120の外周面120aとラック刃先面121aとの間に形成されたラック終端段差部分122に係止してプランジャ120をプランジャ摺動孔111から抜け止めするカム誘導用リング170と、プランジャ摺動孔111内を封入する封止プレート180とを備え、エンジン内部への取り付け取り外し時にプランジャ120をハウジング本体110から抜け止めできるようにしたチェーン張力付与装置100。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エンジンの内部で掛け回される伝動チェーンに適正な張力を付与するために用いられるチェーン張力付与装置に関し、特に、クランクシャフト側スプロケットとカムシャフト側スプロケットとの間で回転を伝達するタイミングチェーンに用いられるチェーンテンショナと称するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のチェーン張力付与装置500は、図11乃至図13に示すように、走行するチェーンに向けて進退自在に突出するプランジャ520と、プランジャ520を嵌挿するプランジャ摺動孔511が形成されたハウジング本体510と、ハウジング本体510に対してプランジャ520を突出方向に付勢する突出付勢用バネ530と、プランジャ摺動孔511の開口先端側に形成したカムガイド溝512内に遊挿されて前記プランジャ520の外周を二分割する対向位置にそれぞれ刻設したラック521に噛合する楔状カムチップ540と、プランジャ520に遊嵌して楔状カムチップ540をプランジャ摺動孔511に押し込むように付勢するカム付勢用バネ550と、プランジャ摺動孔511の開口先端側に当接配置してカム付勢用バネ550を支持する封止プレート560とを備え、エンジン運転時にチェーンが伸びてくると、プランジャ520が一歯分ずつ順次前進することによって、適切なバックストップ量(バックラッシュ量)を規制し、チェーンに発生しがちな騒音を抑制するとともに適正なチェーン張力を維持するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特願2002−091895号明細書(第1頁、図2−図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のチェーン張力付与装置500は、チェーン側からプランジャ520を押し戻すような外力が加わった場合に、プランジャ520のラック521が楔状カムチップ540に噛み外れ自在に噛合してプランジャ520の後退変位を阻止するバックストップ機能を発揮しようとするものであって、このようなバックストップ機能を発揮するプランジャ520は、突出付勢用バネ530と封止プレート560とカム付勢用バネ550とを挿通した状態でハウジング本体510のプランジャ摺動孔511内に摺動自在に嵌挿されるように配置されているが、プランジャ摺動孔511から抜け止めできるようには設計されていない。
【0005】
したがって、エンジン内部に取り付けられた従来のチェーン張力付与装置500をエンジン内部から一旦取り外してエンジンを整備、点検、調整する際に、ハウジング本体510から突出しているプランジャ520が、突出付勢用バネ530やカム付勢用バネ550などの不用意な突出付勢力やエンジン内部との接触による引っ掛かりなどに起因して、図13のようにプランジャ摺動孔511内から抜け出し、軈ては完全に離脱し、エンジン内部に落下してしまう恐れがあるため、この取り外し作業に多大な熟練度が要求されるという取り扱い上の厄介な問題があり、また、エンジン内部にプランジャ520を落としてしまった場合には、エンジンを一度分解して落下残留しているプランジャ520を摘出しなければならず、そのための多大な修復時間と作業工数を余分に費やすという問題があった。
【0006】
さらに、従来のチェーン張力付与装置500は、楔状カムチップ540をプランジャ摺動孔511に押し込むように付勢して楔状カムチップ540のプランジャ突出方向への飛び出しを規制するため、カム付勢用バネ550を楔状カムチップ540よりも先端側に配置しなければならず、テンショナ全体のコンパクト化が望めず、エンジンレイアウト上の狭いスペースに設置できず、上述したような取り付けられたエンジン内部から一旦取り外す際に生じ得る不都合をさらに頻発させるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、前述したような従来技術の問題点を解消するものであって、エンジン内部への取り付け取り外し時にプランジャをハウジング本体から抜け止めしてコンパクトで取り扱いが簡便なチェーン張力付与装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
まず、本請求項1に係る発明のチェーン張力付与装置は、走行するチェーンに向けて進退自在に突出するプランジャと、該プランジャを進退自在に嵌挿するプランジャ摺動孔が設けられたハウジング本体と、該ハウジング本体に対してプランジャを突出方向に付勢する突出付勢用バネと、前記プランジャ摺動孔の先端開口側拡径凹部内でプランジャに外嵌してプランジャの軸方向に変位するカム受けリングと、該カム受けリングをプランジャの突出方向に付勢するカム受けリング付勢用バネと、前記カム受けリングに形成されたスロープ状カムガイド溝内を滑動するとともに前記プランジャの外周面に刻設された複数のラックにそれぞれ噛合する複数の楔状カムチップと、前記プランジャ摺動孔の先端開口側拡径凹部内でプランジャのラックに外嵌して複数の楔状カムチップの噛み外れを誘導規制するとともに前記プランジャの外周面とラック刃先面との間に形成されたラック終端段差部分に係止してプランジャをプランジャ摺動孔から抜け止めするカム誘導用リングと、前記プランジャを進退自在に嵌挿するとともに前記プランジャ摺動孔の先端開口側拡径凹部内に順次配置したカム受けリング付勢用バネとカム受けリングと楔状カムチップとカム誘導用リングを移動自在に封入する封止プレートとを備えたことによって、前述したような課題を解決するものである。
【0009】
そして、請求項2に係る発明のチェーン張力付与装置は、請求項1に記載された構成に加えて、前記カム誘導用リングが、プランジャのラック刃先面を含む外周面に摺動自在に整合した内周面を備えていることによって、前述したような課題をさらに解決するものである。
【0010】
なお、本発明のチェーン張力付与装置は、内装式と称するエンジン内部に密閉装着されるチェーン張力付与装置、外装式と称するエンジン外部から挿入装着されるチェーン張力付与装置の何れであっても良いが、特に、外装式の場合には、プランジャの抜け止め効果をより一段と発揮することができる。
【0011】
また、本発明のチェーン張力付与装置は、エンジンのクランクシャフト側スプロケットとカムシャフト側スプロケットとの間に掛け回される伝動用タイミングチェーンを対象にして説明しているが、このような伝動用タイミングシステムに限らずエンジン内部のバランサーシステムやオイルポンプシステムなどに掛け回されるチェーンにも適用可能であり、また、伝動用タイミングベルトに対しても同様に適用可能であることは言うまでもない。
【0012】
さらに、本発明のチェーン張力付与装置におけるカム誘導用リングについては、プランジャ摺動孔の先端開口側拡径凹部内でプランジャのラックに外嵌して複数の楔状カムチップの噛み外れを誘導規制するとともに前記プランジャの外周面とラック刃先面との間に形成されたラック終端段差部分に係止してプランジャをプランジャ摺動孔から抜け止めすることができる形状であれば、プランジャの断面形状に対応した矩形環状のもの、円環状のもの、楕円環状のものなどの如何なる形状であっても差し支えないが、特に、組み立て製造時にプランジャのラックに外嵌するための切り欠き部が形成されたリング形状が好ましく、例えば、円環状のものである場合にはC型リングを採用するのがより好ましい。
また、そのリング素材については、金属製であっても良いが、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂などからエンプラ樹脂と称する合成樹脂が他部材との接触騒音、接触摩耗を抑制できるのでより好ましい。
【0013】
加えて、本発明のチェーン張力付与装置における突出付勢用バネについては、ハウジング本体に対してプランジャを突出方向に付勢することが可能であれば、プランジャの先端部と封止プレートとの間、若しくは、プランジャの後端部とプランジャ摺動孔の底部との間のいずれに介在させても構わないが、後者の方がテンショナ本体のコンパクト化を更に一段と実現することができる。
【0014】
【作用】
本発明のチェーン張力付与装置によれば、エンジン運転時にチェーンが伸びてくると、プランジャが一歯分ずつ順次前進することによって、適切なバックストップ量(バックラッシュ量)を規制し、始動時の異音を防止するとともにチェーンの張り過ぎ時に発生するヒュー音を防止して、適正なチェーン張力を維持する。
【0015】
すなわち、本発明のチェーン張力付与装置は、走行するチェーンが弛緩してくると、プランジャの後退変位を阻止していたバックストップ状態から、突出付勢用バネが伸長してプランジャが直ちに前進していく。このとき、プランジャ摺動孔の先端開口側拡径凹部内のカム受けリングも、カム受けリング付勢用バネによってプランジャの突出方向に変位し、このカム受けリングの変位に伴って複数の楔状カムチップもプランジャのラックに噛合したままプランジャの突出方向に変動する。そうすると、この複数の楔状カムチップがカム誘導用リングをプランジャのラック刃先面上を摺接してプランジャの突出方向に変位させる。
【0016】
つぎに、前記カム誘導用リングがプランジャ摺動孔の先端開口側拡径凹部内で封止プレートの裏面に当接して行き止まると、楔状カムチップはカム受けリングのスロープ状カムガイド溝内を滑動してカム受けリングをプランジャの突出方向と逆方向へ押し戻しながら、プランジャのラックとの噛合が外れるまでリング外周側に向けて迫り上がる。
【0017】
そして、楔状カムチップとプランジャのラックとの噛合が外れた瞬間、カム誘導用リングが封止プレートの裏面に当接して行き止まっているため、楔状カムチップは、一変してカム受けリングのスロープ状カムガイド溝内を滑動してプランジャのラックと一歯分だけズレた位置で噛合するまでプランジャの軸芯側に向けて潜り込み、その反動によって相対的にカム受けリングがプランジャの突出方向へ再び変位する。
【0018】
このような状態において、本発明のチェーン張力付与装置にチェーン側からプランジャを押し戻すような外力が加わると、プランジャのラックを一歯分だけ乗り越えた複数の楔状カムチップは、プランジャのラックを一歯分だけ乗り越える前と同様に、プランジャに対してクサビ作用を奏して、プランジャの後退変位を阻止するバックストップ機能を発揮する。
【0019】
また、上述したバックストップ機能が作動するとき、プランジャの外周を少なくとも二分割する対向位置にそれぞれ刻設した複数のラックに噛合する楔状カムチップを備えていることによって、前述したプランジャを介して押し戻される力が楔状カムチップに均等に付加されて分散される。
【0020】
そこで、本発明のチェーン張力付与装置が最も特徴とするプランジャの抜け止めについて詳述すると、カム誘導用リングは先端開口側拡径凹部内で常時プランジャに刻設されたラックのラック刃先面上に外嵌されているとともに、プランジャがハウジング本体から過度に飛び出そうとしてもプランジャの外周面とラック刃先面との間に形成されたラック終端段差部分に係止されるため、ハウジング本体から飛び出そうとするプランジャを抜け止めする。
【0021】
さらに、カム誘導用リングの内周面がプランジャのラック刃先面を含む外周面に整合しているため、カム誘導用リングがプランジャの外周に対して回り止めされた状態でラック刃先面上を摺接変位してラック終端段差部分に係止されるので、ハウジング本体から飛び出そうとするプランジャを完全に抜け止めする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のチェーン張力付与装置の好ましい実施の形態にある一実施例を図面に基づいて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施例であるチェーン張力付与装置の設置図であり、図2は、図1に示すチェーン張力付与装置を一部破断した概要図であり、図3は、図1に示すチェーン張力付与装置の分解組み立て図であり、図4は、図2に示すチェーン張力付与装置の要部を拡大した断面図であり、図5乃至図11は、図1に示すチェーン張力付与装置の作動状態を示す図であって、図5は、バックストップ機能の作動状態を示した断面図であり、図6は、楔状カムチップがプランジャのラックから噛み外れを開始するまでの作動状態を示した断面図であり、図7は、楔状カムチップがプランジャのラックを一歯乗り越える直前の作動状態を示した断面図であり、図8は、プランジャがラックの一歯分だけ前進した直後の作動状態を示した断面図であり、図9は、プランジャがラックの一歯分だけ前進した後のバックストップ機能の作動状態を示した断面図であり、さらに、図10は、本実施例においてプランジャの抜け止め状態を示した断面図である。
【0023】
本実施例のチェーン張力付与装置100は、図1に示すような自動車用エンジンのクランクシャフト側スプロケットS1とカムシャフト側スプロケットS2との間に掛け回されたタイミングチェーンTCの走行時に生じる振動を抑止し、かつ、適正な張力を維持するために、エンジン外部から挿入装着する外装式チェーン張力付与装置として用いたものであって、エンジンブロック壁Eに装着されるハウジング本体110の前方を走行するタイミングチェーンTCに向けて突出してバネ付勢されるプランジャ120がエンジンブロック壁Eに揺動自在に軸支されているテンショナレバーTLの揺動端近傍の背面を押圧することにより、テンショナレバーTLのシュー面がタイミングチェーンTCの弛み側に摺動接触して張力を付加するようになっている。
なお、図1における符号TGは、エンジンブロック壁Eに固定されてタイミングチェーンTCをバタツカないように走行案内するテンショナガイドである。
【0024】
そこで、本実施例のチェーン張力付与装置100は、図2乃至図4に示すように、円柱状のプランジャ120を進退自在に嵌挿する円筒状のプランジャ摺動孔111が形成されたハウジング本体110と、このハウジング本体110に対してプランジャ120を突出方向に付勢する突出付勢用バネ130と、前記プランジャ摺動孔111の先端開口側拡径凹部111a内でプランジャ120に外嵌してプランジャ120の軸方向に変位するカム受けリング140と、該カム受けリング140をプランジャ120の突出方向に付勢するカム受けリング付勢用バネ150と、前記カム受けリング140に形成されたスロープ状カムガイド溝141内を滑動するとともに前記プランジャ120の外周を二分割する対向位置にそれぞれ刻設された二筋のラック121、121にそれぞれ噛合する一対の楔状カムチップ160、160と、前記プランジャ摺動孔111の先端開口側拡径凹部111a内でプランジャ120に外嵌して一対の楔状カムチップ160、160の噛み外れを誘導規制するとともに前記プランジャ120の外周面120aとラック刃先面121aとの間に形成されたラック終端段差部分122に係止してプランジャ120をプランジャ摺動孔111から抜け止めする合成樹脂製のカム誘導用リング170と、前記プランジャ120を進退自在に嵌挿するとともに前記プランジャ摺動孔111の先端開口側拡径凹部111a内に順次配置したカム受けリング付勢用バネ150とカム受けリング140と楔状カムチップ160、160とカム誘導用リング170を移動自在に封入する封止プレート180とを備えている。
【0025】
特に、本実施例のチェーン張力付与装置におけるカム誘導用リング170は、プランジャ120のラック刃先面121aを含む外周面に摺動自在に整合した内周面170aを備えた円環状のものであって、しかも、組み立て製造時にプランジャ120のラック121に外嵌するための切り欠き部171が形成されたC型リングを採用している。
なお、本実施例のカム誘導用リング170は合成樹脂製のものを採用することによって、プランジャ120や楔状カムチップ160との摩擦係数を低く抑え、プランジャ120との摺接動作や楔状カムチップ160の滑動動作を円滑にして、その追従性を向上させているが、金属製のものであっても何ら差し支えない。
【0026】
また、前記突出付勢用バネ130の設置形態については、プランジャ120の後端部とプランジャ摺動孔111の底部との間に介在させた設置形態を採用しているが、ハウジング本体110に対してプランジャ120を突出方向に付勢することが可能であれば、プランジャ120の先端部と封止プレート180との間に介在させても良い。また、前記突出付勢用バネ130は、走行するチェーン張力に応じてハウジング本体110に対してプランジャ120を突出方向に付勢するためのバネであるから、単に、カム受けリング140をプランジャ120の突出方向に付勢するためのカム受けリング付勢用バネ150よりも、大きな付勢力を充分に発揮することができることは言うまでもない。
【0027】
前記ハウジング本体110の後端部には、図示しない外部油供給源から油圧をプランジャ120の後端部に作用させてプランジャ120の突出付勢力をきめ細かに調整するための油圧バルブ機構190が設けられ、この油圧バルブ機構190は、後述するリテーナ193に圧入されたボールシート191と、このボールシート191に対して当接自在となるチェックボール192と、このチェックボール192を保持するリテーナ193などから構成されており、プランジャ摺動孔111とプランジャ120の後端部との間に形成される高圧油室195への油の流入を許容し逆に高圧油室195からの油の逆流を阻止して、プランジャ120を介したチェーン張力の付与と維持をよりきめ細かに達成することができるようになっている。
【0028】
以上のようにして得られた本実施例のチェーン張力付与装置100は、図5に示すようなプランジャ120のバックストップ機能が作動した状態から、タイミングチェーンTCが弛緩してくると、図6に示すように、突出付勢用バネ130によって突出方向に付勢されているプランジャ120が直ちに前進する。
【0029】
すなわち、バックストップ状態から、プランジャ120が走行するタイミングチェーンTCに向けて前進していくと、図6に示すように、先端開口側拡径凹部111a内のカム受けリング140も、カム受けリング付勢用バネ150の付勢力によってプランジャ120の突出方向に変位し、このようなカム受けリング140の変位に伴って一対の楔状カムチップ160、160とカム誘導用リング170もプランジャ摺動孔111の先端開口側拡径凹部111a内をプランジャ120の突出方向に変動する。
【0030】
つぎに、前記カム誘導用リング170が、プランジャ摺動孔111の先端開口側拡径凹部111a内で封止プレート180の裏面に当接して行き止まると、図7で示すように、一対の楔状カムチップ160、160は、カム受けリング140に形成された二筋のスロープ状カムガイド溝141、141内をそれぞれ滑動してカム受けリング140をプランジャ120の突出方向と逆方向へ押し戻しながら、プランジャ120のラック121、121との噛合が外れるまでリング外周側に向けて迫り上がる。
【0031】
そして、一対の楔状カムチップ160、160とプランジャ120のラック121、121との噛合が外れた瞬間、カム誘導用リング170がプランジャ摺動孔111の先端開口側拡径凹部111a内で封止プレート180の裏面に当接して行き止まった状態となっているため、図8に示すように、一対の楔状カムチップ160、160は、一変してカム受けリング140のスロープ状カムガイド溝141、141内をそれぞれ滑動してプランジャ120のラック121、121と一歯分だけズレた位置で噛合するまでプランジャ120の軸芯側に向けて潜り込み、その反動によって、相対的にカム受けリング140がプランジャ120の突出方向へ再び変位する。
【0032】
ここで、カム受けリング140がプランジャ120の突出方向へ変位した状態で、チェーン側からプランジャ120を押し戻すような外力Fが加わると、プランジャ120のラック121を一歯分だけ乗り越えた一対の楔状カムチップ160、160は、図9に示すように、プランジャ120のラック121を一歯分だけ乗り越える前と同様に、プランジャ120に対してクサビ作用f1を奏して、プランジャ120の後退変位を阻止するバックストップ機能を発揮する。
【0033】
このようにして、本実施例のチェーン張力付与装置100は、エンジン運転時に走行するチェーンが伸びてくると、プランジャ120を一歯分づつ順次前進させることによって、適切なバックストップ機能を発揮してチェーンのバタツキによるバタツキ音、及びプランジャ120の過飛出しによって発生するチェーンの張り過ぎによるヒュー音を防止し、適正なチェーン張力を維持することができるとともに、一歯分づつ順次前進させたプランジャ120のラック121が楔状カムチップ160を配置した噛合位置を越えて更に前進しようとしても、図10に示すように、プランジャ120の外周面120aとラック刃先面121aとの間に形成されたラック終端段差部分122に係止することができるため、 エンジン内部への取り付け取り外し時などにおいて、ハウジング本体110から飛び出そうとするプランジャ120を完全に抜け止めすることができるなど、その効果は甚大である。
【0034】
【発明の効果】
本発明のチェーン張力付与装置は、スロープ状カムガイド溝内を滑動するとともにプランジャ外周のラックに噛合する複数の楔状カムチップを備えていることにより、エンジン運転時のチェーンが伸びてくると、プランジャが一歯分ずつ順次前進することによって、適切なバックストップ量(バックラッシュ量)を規制して、始動時の異音を防止し、また、チェーンの張り過ぎによるヒュー音を防止して、適正なチェーン張力を維持することができ、これに加えて、以下のような特有の効果を奏する。
【0035】
まず、プランジャ摺動孔の先端開口側拡径凹部内でプランジャのラック刃先面上に外嵌して複数の楔状カムチップの噛み外れを誘導規制するとともに前記プランジャの外周面とラック刃先面との間に形成されたラック終端段差部分に係止してプランジャをプランジャ摺動孔から抜け止めするカム誘導用リングを備えていることによって、プランジャがハウジング本体から過度に飛び出して抜けようとしてもプランジャの外周面とラック刃先面との間に形成されたラック終端段差部分に係止されるため、 エンジン内部への取り付け取り外し時に、ハウジング本体から飛び出そうとするプランジャを抜け止めすることができるので、従来のようなエンジンを整備、点検、調整する際に多大な熟練度が要求されたエンジン内部から取り外し作業を確実かつ簡便に行うことができ、その保守メンテナンスの作業負担を著しく軽減することができる。
【0036】
そして、プランジャ摺動孔の先端開口側拡径凹部内でプランジャの軸方向に変移するカム受けリングと、該カム受けリングを付勢するカム受けリング付勢用バネと、前記カム受けリングのスロープ状カムガイド溝内を滑動するとともにプランジャのラックに噛合する楔状カムチップと、該楔状カムチップの噛み外れを誘導規制するカム誘導用リングとを備えたことによって、複数の楔状カムチップをカム誘導用リングで位置決めすることができるため、従来のカム付勢用バネを使用していた場合に比較すると、それぞれの楔状カムチップのアンバランスな動きがなくなり、一方の楔状カムチップのみがプランジャのラックに噛み合うという現象が回避され、カムの耐久性が一段と向上する。
【0037】
また、従来のカム付勢用バネに換えてカム誘導用リングを採用できるような構造にしたことによって、楔状カムチップより先端側のテンショナ構造を簡素化することができるとともに、ラックが刻設されたより先端側のプランジャ長を短くすることができるので、コンパクトで取り扱いが簡便なチェーン張力付与装置を実現することができる。
【0038】
さらに、請求項2記載のチェーン張力付与装置は、前述したような請求項1記載の発明が奏する効果に加えて、カム誘導用リングの内周面がプランジャのラック刃先面を含む外周面に整合しているため、カム誘導用リングがプランジャの外周に対して回り止めされた状態でラック刃先面上を摺接変位してラック終端段差部分に確実に係止されるので、ハウジング本体から飛び出そうとするプランジャを完全に抜け止めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるチェーン張力付与装置の設置図。
【図2】図1に示すチェーン張力付与装置を一部破断した概要図。
【図3】図1に示すチェーン張力付与装置の分解組み立て図。
【図4】図2に示すチェーン張力付与装置の要部を拡大した断面図。
【図5】バックストップ機能の作動状態を示した断面図。
【図6】楔状カムチップがプランジャのラックから噛み外れを開始するまでの作動状態を示した断面図。
【図7】楔状カムチップがプランジャのラックを一歯乗り越える直前の作動状態を示した断面図。
【図8】プランジャがラックの一歯分だけ前進した直後の作動状態を示した断面図。
【図9】プランジャがラックの一歯分だけ前進した後のバックストップ機能の作動状態を示した断面図。
【図10】プランジャの抜け止め状態を示した断面図。
【図11】従来のチェーン張力付与装置を一部破断した概要図。
【図12】図11に示すチェーン張力付与装置の分解組み立て図。
【図13】従来のチェーン張力付与装置においてプランジャが抜け止めされていない状態を示した断面図。
【符号の説明】
100,500 ・・・ チェーン張力付与装置
110,510 ・・・ ハウジング本体
111,511 ・・・ プランジャ摺動孔
111a ・・・ プランジャ摺動孔111の先端開口側拡径凹部
120,520 ・・・ プランジャ
120a ・・・ プランジャ120の外周面
121,521 ・・・ ラック
121a ・・・ ラック刃先面
122 ・・・ ラック終端段差部分
130,530 ・・・ 突出付勢用バネ
140 ・・・ カム受けリング
141,512 ・・・ スロープ状カムガイド溝
150 ・・・ カム受けリング付勢用バネ
160,540 ・・・ 楔状カムチップ
170 ・・・ カム誘導用リング
170a ・・・ カム誘導用リング170の内周面
171 ・・・ 切り欠き部
180,560 ・・・ 封止プレート
190,570 ・・・ 油圧バルブ機構
191,571 ・・・ ボールシート
192,572 ・・・ チェックボール
193,573 ・・・ リテーナ
195,580 ・・・ 高圧油室
550 ・・・ カム付勢用バネ
S1 ・・・ 駆動軸側スプロケット
S2 ・・・ 従動軸側スプロケット
TC ・・・ タイミングチェーン
TG ・・・ テンショナガイド
TL ・・・ テンショナレバー
E ・・・ エンジンブロック壁

Claims (2)

  1. 走行するチェーンに向けて進退自在に突出するプランジャと、該プランジャを進退自在に嵌挿するプランジャ摺動孔が設けられたハウジング本体と、該ハウジング本体に対してプランジャを突出方向に付勢する突出付勢用バネと、前記プランジャ摺動孔の先端開口側拡径凹部内でプランジャに外嵌してプランジャの軸方向に変位するカム受けリングと、該カム受けリングをプランジャの突出方向に付勢するカム受けリング付勢用バネと、前記カム受けリングに形成されたスロープ状カムガイド溝内を滑動するとともに前記プランジャの外周面に刻設された複数のラックにそれぞれ噛合する複数の楔状カムチップと、前記プランジャ摺動孔の先端開口側拡径凹部内でプランジャのラックに外嵌して複数の楔状カムチップの噛み外れを誘導規制するとともに前記プランジャの外周面とラック刃先面との間に形成されたラック終端段差部分に係止してプランジャをプランジャ摺動孔から抜け止めするカム誘導用リングと、前記プランジャを進退自在に嵌挿するとともに前記プランジャ摺動孔の先端開口側拡径凹部内に順次配置したカム受けリング付勢用バネとカム受けリングと楔状カムチップとカム誘導用リングを移動自在に封入する封止プレートとを備えたことを特徴とするチェーン張力付与装置。
  2. 前記カム誘導用リングが、プランジャのラック刃先面を含む外周面に摺動自在に整合した内周面を備えていることを特徴とする請求項1記載のチェーン張力付与装置。
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