JP2004176708A - 可搬式消防ポンプ - Google Patents

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典雄 吉谷
Riyouichirou Hanajima
▲りょう▼一郎 花島
Wataru Kakita
亙 垣田
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Abstract

【課題】インペラを駆動するエンジンの過熱・焼き付きによるエンジンの損傷を防止しながら、速やかに送水すること。
【解決手段】インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、吸入流路の上方位置には連通路を介してセンサ室を連通連設し、同センサ室内に満水位センサを設けると共に、同センサ室に呼び水ポンプを連通連結して、インペラを回動させると共に、呼び水ポンプを駆動させて吸入流路内及びセンサ室内を略真空状態となすことにより、インペラ室内及びセンサ室内に吸水し、吸水したセンサ室内の水位が所定の水位に達したことを満水位センサが検出したところで呼び水ポンプを停止させるようにした。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可搬式消防ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、可搬式消防ポンプの駆動用エンジンの多くは水冷エンジン方式を用いており、その冷却水は該可搬式消防ポンプの高水圧部から供給されるので、例えば後段にある可搬式消防ポンプの水冷エンジンは、初段の可搬式消防ポンプから水が到達する前に始動してしまうと、後段の可搬式消防ポンプには冷却する水がないために水冷エンジンを冷却することができず、同水冷エンジンがオーバーヒートしたり、焼き付いてしまうことがある。
【0003】
そして、火災現場が水源から遠く離れている場合、消防ホース内を流れる水の摩擦抵抗により、1台の可搬式消防ポンプでは、火災を消火するのに必要な水圧を得ることが出来ないため、可搬式消防ポンプを直列に複数台接続して長距離送水を行うのが通例である。
【0004】
この場合、水源の近傍に呼び水ポンプを備えた第1の可搬式消防ポンプを配設し、第1の可搬式消防ポンプに中継管を介して第2の可搬式消防ポンプを接続し、第2の可搬式ポンプに中継管を介して第3の可搬式消防ポンプを接続し、かかる接続作業を所要の台数だけ中継管を介して接続した後、消火のための送水を行う。なお、可搬式消防ポンプの台数は水源から火災現場までの距離に応じて、1台〜10台以上まで様々である。
【0005】
ここで、可搬式消防ポンプのエンジンを始動させるタイミングとしては、個々の可搬式消防ポンプに水が到達したことを機関員が確認してからエンジンを始動させる方法や、後段の可搬式消防ポンプに水が到達し所定の水圧に達したことを圧力センサで検出した場合にエンジンを始動させる方法、また、ポンプの入口側と出口側で一定以上の圧力差を検出した場合にエンジンを始動させる方法などがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特許第3042979号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した可搬式消防ポンプは、未だ、以下のような課題を有している。
【0008】
(1)後段の可搬式消防ポンプに水が到達し、所定の水圧に達したことを圧力センサで検出して、エンジンを始動させる方法の場合、所定の水圧に達するまでに相当の時間を要してしまい、エンジンの始動が遅れてしまう。
【0009】
(2)同じく空冷エンジンにおいても水の供給が止まれば、エンジンの負荷が急に無くなり、過回転を起こしてエンジンが過熱、焼き付いてしまう。
【0010】
(3)ポンプの吸入流路側と吐出流路側で一定以上の圧力差を検出したときにエンジンを始動させる方法の場合、圧力の検出に時間がかかり、何kmにも及ぶ長距離送水においては時間的ロスを生じてしまう。
【0011】
(4)水源に対して吸水管が短い場合、吸水管を水源に充分に到達させることができず、可搬式消防ポンプを自由な位置に設置することができない。
【0012】
(5)可搬式消防ポンプを車両に搭載する際、配管の自由が制限され、可搬式消防ポンプを自由な位置に設置することができず、車両の搭載スペースが有効に使えない。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、吸入流路は、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成し、同吸入流路の上方位置には連通路を介してセンサ室を連通連設し、同センサ室内に満水位センサを設けると共に、同センサ室に呼び水ポンプを連通連結して、インペラを回動させると共に、呼び水ポンプを駆動させて吸入流路内及びセンサ室内を略真空状態となすことにより、インペラ室内及びセンサ室内に吸水し、吸水したセンサ室内の水位が所定の水位に達したことを満水位センサが検出したところで呼び水ポンプを停止させるようにしたことを特徴とする可搬式消防ポンプを提供せんとするものである。
【0014】
また、本発明は、以下の構成にも特徴を有する。
(1)センサ室内に水位センサを設け、同水位センサが所定の水位を検出しない場合にはインペラの回動を停止させるようにしたこと。
(2)インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、吸入流路は、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成し、同吸入流路の上方位置には連通路を介してセンサ室を連通連設し、同センサ室には空気抜き孔を介して吐出流路を連通させ、同センサ室内に水位センサを設けて、同センサ室内の水位が定水位に達したことを水位センサが検出したところでインペラを回動させる一方、センサ室内の水位が定水位未満となったことを水位センサが検出したところでインペラの回動を停止させるようにしたこと。
【0015】
(3)インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、 吸入流路は、インペラ室の吸入口に基端開口部を接続すると共に先端開口部を上方へ向けて開口させた固定側吸入流路形成管と、同固定側吸入流路形成管の先端開口部に基端開口部をその軸線回りに回動自在に接続すると共に先端開口部を略水平方向に開口させた可動側吸入流路形成管とから形成して、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成したこと。
【0016】
(4)可動側吸入流路形成管の先端側部は、略水平方向に伸延させて内部に気液分離流路を形成したこと。
【0017】
(5)気液分離流路に呼び水ポンプを連通連結したこと。
【0018】
(6)吐出流路に呼び水ポンプを連通連結したこと。
【0019】
(7)可動側吸入流路形成管にセンサ室形成体を連通連設して、可動側吸入流路形成管内に形成した気液分離流路とセンサ室形成体内に形成したセンサ室とを連通路を介して連通させ、同センサ室内に満水位センサを設けると共に、同センサ室を介して気液分離流路に呼び水ポンプを連通連結して、インペラを回動させると共に、呼び水ポンプを駆動させて吸入流路内及びセンサ室内を略真空状態となすことにより、インペラ室内及びセンサ室内に吸水し、吸水したセンサ室内の水位が所定の水位に達したことを満水位センサが検出したところで呼び水ポンプを停止させるようにしたこと。
【0020】
(8)センサ室内に水位センサを設け、同水位センサが所定の水位を検出しない場合にはインペラの回動を停止させるようにしたこと。
【0021】
(9)インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、吸入流路は、インペラ室の吸入口に基端開口部を接続すると共に先端開口部を上方へ向けて開口させた固定側吸入流路形成管と、同固定側吸入流路形成管の先端開口部に基端開口部をその軸線回りに回動自在に接続すると共に先端開口部を略水平方向に開口させた可動側吸入流路形成管とから形成して、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成し、可動側吸入流路形成管にセンサ室形成体を連通連設して、同センサ室形成体内に形成したセンサ室内に水位センサを設けて、同センサ室内の水位が定水位に達したことを水位センサが検出したところでインペラを回動させる一方、センサ室内の水位が定水位未満となったことを水位センサが検出したところでインペラの回動を停止させるようにしたこと。
【0022】
【発明の実施の形態】
インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラにより吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、吸入流路は、固定側吸入流路形成管と可動側吸入流路形成管とで吸入流路形成管を形成すると共に、可動側吸入流路形成管と固定側吸入流路形成管とは、可動側基端開口部の軸線回りに回動自在に接続して、水源に対して有効に利用できるようにしている。
【0023】
また、吸入流路は、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成し、同吸入流路の上方位置には連通路を介してセンサ室を連通連設し、同センサ室内に水位センサを設ける。初段に用いる可搬式消防ポンプでは、同センサ室に呼び水ポンプを連通連結して、呼び水ポンプを駆動して吸入流路内及びセンサ室内を略真空状態となすことにより吸水(揚水)し、吸水したセンサ室内の水位が所定の水位に達したことを満水位センサが検出したところで呼び水ポンプを停止させるようにしている。
【0024】
また、初段、後段に用いる可搬式消防ポンプ共に、上昇水位を感知した水位センサが所定の水位を検出しない場合にはインペラの回動を停止させるようにしており、圧力差等で検出する場合と比較して、確実に水位の検出することができ、エンジンの焼き付き等による破損を防止しながら、速やかに送水できる。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
(実施例1)
図1に示すAは、本発明に係る実施例1としての可搬式消防ポンプであり、複数段(本実施例では3段)に構成した場合の実施例である。
【0027】
なお、可搬式消防ポンプAの台数は、水源Wから火災現場までの距離に応じて所要台数設定することができる。
【0028】
まず、初段に用いる可搬式消防ポンプAについて説明すると、同可搬式消防ポンプAは、ポンプ本体1とエンジンEとで構成している。
【0029】
上記ポンプ本体1は、エンジンEの駆動軸20の先端に取り付けたインペラ36と、同インペラ36を収容するインペラ室Gと、同インペラ室Gの吸入口37に連通する吸入流路形成管3と、同インペラ室Gの吐出口38に連通する吐出流路形成管2とより形成しており、インペラ室G内に設けたインペラ36を駆動軸20を介してエンジンEにより回転させて、吸入流路形成管3内に形成される吸入流路Riを通して吸水すると共に、吐出流路形成管2内に形成される吐出流路Roを通して吐水するようにしている。なお、吐出流路形成管2の中途部には、吐出流路Roの開口量を調整して、吐水量を調整するための吐水量調整バルブ4を設けている。
【0030】
上記吸入流路形成管3は、インペラ室Gの吸入口37に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成しており、同吸入流路形成管3の先端側には吸水管19ないしは中継管7a,7b,又は放水管7c(図3参照)を接続して、水を吸水ないしは送水、又は放水するようにしている。
【0031】
そして、吸水管19の先端部には多孔性、あるいは網状のストレーナー40を配設して、水源Wから有害な固形物や粒子を濾別するようにしている。
【0032】
吸入流路形成管3の上部にはスリット状の連通路34を介してセンサ室形成体70を連通連設しており、同センサ室形成体70内に形成するセンサ室23には上下方向に伸延するセンサ昇降軸31を設け、同センサ昇降軸31の上部に満水位センサ12を、下部に水位センサ11をそれぞれ昇降自在に設けている。
【0033】
このようにして、満水位センサ12により、センサ室23内の満水位を検出する一方、水位センサ11によりセンサ室23内の任意の定水位を検出するようにしている。
【0034】
また、センサ室23の天井部には空気を排出するための吸水側吸気口10を形成し、同吸水側吸気口10と、エンジンEの近傍に配設した呼び水ポンプ5との間に吸水側吸気管25を介設し、同吸水側吸気管25の中途部に吸水側止水弁8を設けている。
【0035】
このようにして、呼び水ポンプ5によりセンサ室23内の空気を吸水側吸気口10→吸水側吸気管25を通して吸気して、外部へ排気することができるようにしている。
【0036】
この際、吸水側吸気管25の中途部に設けた吸水側止水弁8により止水して、水が呼び水ポンプ5側に流入しないようにすると共に、センサ室23より取り出した空気が逆流しないようにしている。
【0037】
上記吐出流路形成管2は、インペラ室Gの吐出口38より上方へ立ち上げて形成した立ち上がり部2aと、同立ち上がり部2aの上端部より略水平に伸延させて形成した略水平伸延部2bとから形成している。
【0038】
そして、立ち上がり部2aの上端部に吐水量調整バルブ4の弁座4aを形成する一方、略水平伸延部2bに弁本体支軸4bを介して弁本体4cを支持し、同弁本体4cを弁本体支軸4bの上端部に取り付けた回動操作片4dにより弁座4aに接離・間隔調整をすることにより、吐水量の調整が行えるようにしている。
【0039】
また、立ち上がり部2aの上部(弁座4aの近傍)には吐水側吸気口9を形成し、同吐水側吸気口9と、エンジンEの近傍に配設した呼び水ポンプ5との間に吐水側吸気管26を介設し、同吐水側吸気管26の中途部に吐水側止水弁7を設けている。
【0040】
このようにして、呼び水ポンプ5により吐出流路Ro内の空気を吐水側吸気口9→吐水側吸気管26を通して吸気して、外部へ排気することができるようにしている。
【0041】
この際、吐水側吸気管26の中途部に設けた吐水側止水弁7により止水して、水が呼び水ポンプ5側に流入しないようにすると共に、吐出流路Roより取り出した空気が逆流しないようにしている。
【0042】
また、センサ室23の側壁に空気抜き孔24を形成して、同空気抜き孔24を介して吐出流路形成管2の立ち上がり部2aと連通させており、センサ室23内の空気を空気抜き孔24→吐出流路Ro→吐水側吸気口9→吐水側吸気管26を通して、効果的に排気することができるようにしている。
【0043】
センサ室23の上端面と吸入流路形成管3の吸水口上端との間には、0又は0以上となる高低差Hを形成する。
【0044】
このようにして、吸入流路形成管3の先端の吸水口上端と同じ、ないしはそれよりも高い位置を満水位として設定することができる。
【0045】
図1中、13は水が揚水したことを知らせる揚水灯、14は可搬式消防ポンプAを用途に応じて初段用、後段用に切り換えるための切換メインスイッチ、15はエンジンを停止するためのエンジン停止スイッチ、6は呼び水ポンプ5を始動又は停止させる呼び水ポンプレバー、17は呼び水ポンプレバー電気駆動部、18は排気管、22はエンジンEを始動させるスターティングモータ、27は電動で呼び水ポンプ5を操作する呼び水ポンプ始動ボタンである。
【0046】
そして、前記した水位センサ11と満水位センサ12と切換メインスイッチ14と呼び水ポンプ始動ボタン27は、エンジンEの近傍に配設した制御部16の入力側に接続しており、同制御部16の出力側に揚水灯13とエンジン停止スイッチ15とスターティングモータ22を接続している。また、21はエンジンEの回転数を調整する自動スロットルである。
【0047】
このようにして、水源Wの近傍に配置する初段(第1)の可搬式消防ポンプAでは、切換メインスイッチ14を初段用に切り換え操作してエンジンEを駆動させることにより、インペラ36を回動させると共に、呼び水ポンプ始動ボタン27を押し、制御部1 6を介して呼び水ポンプ5を作動させると、同呼び水ポンプ5により吸入流路Ri内及びセンサ室23内が略真空状態にされて、同吸入流路Ri及びセンサ室23内に揚水がなされる。
【0048】
そして、センサ室23内に揚水された水位が満水位となったことを満水位センサ12が検出すると、制御部16を介して、揚水灯13が点灯し、同時に呼び水ポンプ5を停止させるようにしている。
【0049】
また、何らかの原因でセンサ室23内の水位が下がると、センサ室23内に設けた水位センサ11が制御部16に信号を送り、エンジンEを停止させ、インペラ36の回動を強制的に停止させるようにしている。
【0050】
このように構成することで空気混じりの水が送水されないようにして、エンジンEの過熱、焼き付き、損傷等を未然に防止することができる。
【0051】
次に、2段目以降の後段に用いる可搬式消防ポンプAについて説明する。
【0052】
本発明に係る可搬式消防ポンプAは初段、後段とも構成は同じであり、どの可搬式消防ポンプAでも兼用して使用できるが、後段の可搬式消防ポンプAは初段の可搬式消防ポンプAより中継送水を受けるので、呼び水ポンプ5は使用せず、よって満水位センサ12も使用しないという点で異なっている。
【0053】
また、水位センサ11が上昇し、所定の定水位を検出したときに揚水灯13を点灯するようにして、揚水灯13が点灯した際にエンジンEをスタートするようにしているという点でも異なっている。
【0054】
このようにして、後段の可搬式消防ポンプAでは、切換メインスイッチ14を後段用に切り替え操作して、初段の可搬式消防ポンプAからの送水を受けるようにしており、センサ室23内の水位が定水位に達したことを水位センサ11により検出したところでエンジンEによりインペラ36を回動させるようにしている。
【0055】
従って、インペラ36の始動タイミングを正確にかつ迅速に開始させることができて、送水を受水すれば直ちに放水、ないしは、次段のポンプに送水することができて、放水、ないしは、送水までの時間の短縮を図ることができる。
【0056】
また、初段の可搬式消防ポンプAでは、センサ室23の空気抜きのほとんどをセンサ室23上部の吸水側吸気口10より行い、空気抜き穴24からの空気抜きは少量であるが、後段の可搬式消防ポンプAにおいては、初段の可搬式消防ポンプAからの中継送水を受けた際に、センサ室23内の空気をインペラ室Gから吐出流路Roに排出し、センサ室23を満水にするという役割を果たすという点も異なっている。
【0057】
このような初段と後段の可搬式消防ポンプAの機能は、制御部16に接続した切換メインスイッチ14を切り換え操作することで切り換えることができる。
【0058】
本実施例における可搬式消防ポンプAは、上記のように構成されており、以下に、図3を参照しながら上記可搬式消防ポンプAを用いて送水する場合の工程について説明する。
【0059】
すなわち、本発明にかかる可搬式消防ポンプAは、1台で使用することもあるが、水源Wから火災現場までの距離によっては、図3に示すように、複数台(本実施例では3台)を直列に接続して使用することもでき、以下に、かかる接続形態での使用について説明する。
【0060】
(1)まず、水源Wの近傍に第1(初段)の可搬式消防ポンプAを配置し、第1の可搬式消防ポンプAの吸入流路形成管3の先端部に吸水管19の基端部を接続し、同吸水管19の先端部を水源W中に挿入する。
【0061】
一方、第1の可搬式消防ポンプAの吐出流路形成管2に第1中継管7aの先端部を接続し、同第1中継管7aの基端部を第2の可搬式消防ポンプAの吸入流路形成管3に接続し、第2の可搬式消防ポンプの吐出流路形成管2に第2中継管7bの先端部を接続し、同第2中継管7bの基端部を第3の可搬式消防ポンプAの吸入流路形成管3に接続し、というように順次中継管7a,7bを介して三台の可搬式消防ポンプA,A,Aを直列に接続し、最後の消火活動現場に最も近い第3の可搬式消防ポンプAの吐出流路形成管2に放水管7cの基端部を接続する。
【0062】
このようにして、所要個数の複数の可搬式消防ポンプAを直列に接続することにより、水源Wから大きく離れた消火活動現場でも消火活動を行うことができる。
【0063】
(2)かかる状態にて、作業者は切換メインスイッチ14を初段用に切り換え操作することにより、第1(初段)の可搬式消防ポンプAのエンジンEを駆動させる。
【0064】
(3)エンジンEを駆動させ、呼び水ポンプ始動ボタン27を押して制御部16を介して第1の可搬式消防ポンプAの呼び水ポンプ5を作動させて、センサ室23内の空気を吸水側吸気口10→吸水側吸気管25を通して吸気して、排気管18を通して外部へ排気すると共に、インペラ室G→吐出流路Ro→吐水側吸気口9→吐水側吸気管26を通して吸気して、排気管18を通して外部へ排気することにより、センサ室23内,吸入流路形成管3内,及び、吐出流路形成管2内を効果的に略真空状態となして、水源Wの水を吸水管19を通して吸入流路Riとインペラ室G内に円滑かつ確実に揚水することができる。
【0065】
ここで、吸水側吸気口10と吐水側吸気口9は、空気の滞留しやすい高い位置に形成しているため、これら吸水・吐水側吸気口10,9から吸水・吐水側吸気管25,26を通して呼び水ポンプ5により効率よく空気抜きをすることができる。
【0066】
この際、吐水側吸気管26と吸水側吸気管25を通した揚水時期が同時期になるように、吐水側止水弁7と吸水側止水弁8を調整して、同時揚水を実現することにより、完全揚水と揚水時間の短縮を図ることができる。
【0067】
そして、吐水側止水弁7と吸水側止水弁8の調整は、ポンプ本体1の大きさ(容量)に適応させて行うことができる。
【0068】
このようにして、センサ室23内の水位が上昇し、100%近く空気抜きが行われた状態、すなわち、満水位を検出すると満水位センサ12が揚水灯13を点灯させ、同時に呼び水ポンプ5も電動で自動停止する。
【0069】
このようにすることで、水圧で感知する従来の方式に較べて、完全揚水の効果を得ることができると共に、呼び水ポンプが空気と水との混合水を吸引して、同呼び水ポンプ内が損傷等されるという不具合の発生を防止することができる。
【0070】
なお、万が一電気的故障を起こした場合等の緊急時においては、呼び水ポンプレバー6を手動操作することで呼び水ポンプ5の作動操作を行うこともできる。
【0071】
この手動の場合には、満水位センサ12の浮上に伴う揚水灯13の点灯を確認した後、手動で呼び水ポンプレバー6を操作して、呼び水ポンプ5を停止することにより、電動により自動で停止させた場合と同じタイミングで確実な揚水ができる。
【0072】
また、初段の可搬式消防ポンプAと、後段の可搬式消防ポンプAとは、いずれも揚水灯13が点灯しているときのみ、エンジンEの回転数を上げたり下げたりすることができるようにしており、この際、自動スロットル21に前もって所定値を設定することにより、可搬式消防ポンプAの揚水灯13の点灯と同時に吐出圧を設定圧力まで上昇させることができる。したがって、最終段の可搬式消防ポンプAに送水が到達する時間が短くなり、長距離送水運転においても、リモコン操作が可能となり、放水開始までの時間を短縮することができる。
【0073】
(4)そして、呼び水ポンプ5の作動と同時に回動しているインペラ36により、最初から開いておいた吐水量調整バルブ4を通して揚水と同時に吐水(送水)がなされる。
【0074】
この際、吐水量調整バルブ4を最初から開いておいた場合、ポンプ内に発生する圧力は超低圧となるが、本発明においては、揚水灯13の点灯を超低圧に関係なく確実に点灯させることができる。
【0075】
また、第1の可搬式消防ポンプAが吐水中、例えば、吸水管19の接続部からの空気漏れがあったり、浅瀬からの吸水で空気を吸引してしまったり、河川、溜め池等からの吸水で吸水管19先端部に水草、藻、枯れ葉、ごみ等が付着して目詰まりを起こす等、何らかの原因で水不足となった場合には、センサ室23内の水位センサ11が所定の定水位を下げて検出しないことから、制御部16がエンジンEを停止させる。
【0076】
そして、第1の可搬式消防ポンプAが水不足を起こせば、後続の可搬式消防ポンプAも次々に水不足になり、それぞれの水位センサ11が所定の水位を検出しなくなり、同じように制御部16がエンジンEを停止させる。このようにして、エンジンEの過熱、焼き付き、損傷を未然に防止することができる。
【0077】
この場合、再び吸水する際には、ポンプドレンの必要は無く、呼び水ポンプ5をスタートさせ、揚水、送水を行う。ただし揚水灯13が点灯している場合はすでにポンプ内の揚水が完了しているため、呼び水ポンプ5の始動は行わず、エンジンEスタートのみを行えばよい。
【0078】
このように、第1の可搬式消防ポンプAより吐出された水は、第1中継管7aを介して吸入流路形成管3の始端部に連通した第2の可搬式消防ポンプAへ送水される。
【0079】
(5)第2の可搬式消防ポンプAにおいては、第1の可搬式消防ポンプAの中継圧力水を受け、センサ室23内の空気を空気抜き孔24を通過させてインペラ室G→吐出流路Roに排除し、センサ室23に水が充満すると、水位センサ11が定水位まで上昇し、揚水灯13が点灯すると同時にエンジンEを駆動させ、同エンジンEの駆動軸20に取り付けたインペラ36を回動させて、インペラ室G内の貯水を吐出流路Roを通して吐出させる。
【0080】
そして、水位センサ11が所定の上昇水位を検出してない場合で揚水灯13が点灯していない状態においては、吸入流路形成管3内の中継送水圧力が高く、吐出流路形成管2内の圧力が必ず低いため、吸入流路形成管3側の中継送水圧力によってセンサ室23内の空気は、空気抜き孔24を通して必ず吐出流路形成管2側に排出され、センサ室23内は完全満水状態となり、水位センサ11が定水位を検出して揚水灯13を点灯させると共に、インペラ36を回動させて吐水する。
【0081】
また、第1の可搬式消防ポンプAと同様に、第2以降後続の可搬式消防ポンプAにおいても、吐水中、何らかの原因で水不足となった場合には、センサ室23内の水位センサ11が所定の定水位を下げて検出しないことから、制御部16がエンジンEを停止させる。
【0082】
このように、第2の可搬式消防ポンプAより吐水された水は、第3の可搬式消防ポンプAへと第2中継管7bを介して受け渡される。
【0083】
このように、複数段の可搬式消防ポンプAを早く確実に順繰りに送水していき、最終段の可搬式消防ポンプと連結した放水管7cにより放水して、消火活動を行う。
【0084】
この際、本発明に係る可搬式消防ポンプAは、前記したように吸水・放水作業を迅速に行うことができるため、消火活動の初動を素早く行うことできて、火災による被害を最小限に抑えることができる。
【0085】
(実施例2)
図4に示すAは、実施例2としての第1(初段)の可搬式消防ポンプであり、同可搬式消防ポンプAは、前記した実施例1の可搬式消防ポンプと構成をほぼ同じくしているが、以下の構成において異なっており、その構成について説明する。
【0086】
すなわち、図4に示すように、実施例2としての可搬式消防ポンプAは、固定側吸入流路形成管50と可動側吸入流路形成管60とで吸入流路形成管3を形成している。吸入流路形成管3の先端には吸水管19を接続している。
【0087】
固定側吸入流路形成管50は、後方へ向けて開口しているインペラ室Gの吸入口37に基端側の開口部である固定側基端開口部51を接続する一方、中途部より先端に向かうにしたがって上方向へ湾曲させて側面視で略「L」字状に形成し、先端側の開口部である固定側先端開口部52が上方に向けて開口するようにしている。
【0088】
また、可動側吸入流路形成管60の基端側の開口部である可動側基端開口部61と前記固定側先端開口部52とは、同可動側基端開口部61の上下方向の軸線回りに回動自在に接続している。
【0089】
このようにして、可動側吸入流路形成管60を回動自在となすことにより、可動側先端開口部62を任意の方向に指向させることができて、図5(a)、(b)に示すように、同可動側先端開口部62に接続した吸水管19をその基端部より水源Wに向けて、遠回りさせることなく可及的に近距離に配管することができ、水源Wに対して短い吸水管19でも充分に到達させることができる。したがって、可搬式消防ポンプAをより自由な位置に設置することができる。なお、図中、一点鎖線で示した部分は可動側吸入流路形成管60を回動自在としない場合の吸水管19である。
【0090】
また、図6に示すように、実施例2としての可搬式消防ポンプAを車両に積載する際には、吸水管19等のホース類をタイヤハウスT及び乗員席Dの影響を受けないような位置に収納することができると共に、可搬式消防ポンプAの平面視による前後幅Wを可動側吸入流路形成管60を90度回動させることにより、幅W1の分だけ前後幅をコンパクト化することができ、車両の積載スペースを有効に使用することができる。
【0091】
また、可動側吸入流路形成管60は、中途部より先端に向かうにしたがって略水平方向に湾曲させて側面視で略逆「L」字状に形成し、先端側の開口部である可動側先端開口部62を略水平方向に開口するようにして、その先端側部の内部を気液分離流路Sとしている。
【0092】
このようにして、可動側吸入流路形成管60の先端側部を略水平方向に形成して気液分離流路Sとしているので、水が可動側吸入流路形成管60の先端側部を流れる際、水と水中に含まれる混合空気はそれぞれの重量差によって、水に含まれる混合空気は気液分離流路Sの上側へ移動させて、水と確実に分離させることができる。
【0093】
また、吸水を止めて気液分離流路S中に水が滞留している状態においても同様に、水中に含まれた混合空気は上側へ分離された状態で滞留する。したがって、呼び水ポンプ5を急駆動させたとしても、気液分離流路Sの上方に溜まっている空気を素早く抜くことができ、スムーズに吸水することができる。
【0094】
さらに、水は気液分離流路Sの下方に溜まるので、吸水時に水に泥や小砂等の不純物が混じっていた場合でも、呼び水ポンプ5がこれらの不純物を吸い込むことを防止して、呼び水ポンプ5の故障を可及的に防止することができる。
【0095】
また、同可動側吸入流路形成管60の上部には、スリット状の連通路34を介してセンサ室形成体70を連通連結している。さらには、同センサ室形成体70の天井部には吸水側吸気口10を形成し、同吸水側吸気口10に吸水側吸気管25を接続して呼び水ポンプ5を連通連結して、吸水側吸気口10→吸水側吸気管25を通して吸入流路Riの空気抜きを行なうようにしている。
【0096】
このようにして、可動側吸入流路形成管60とセンサ室形成体70とを連通連結している。したがって、実施例1と同様にセンサ室形成体70のセンサ室23内の水位が所定の水位に達したことを満水位センサ12が検出したところで呼び水ポンプ5を停止させると共に、センサ室23内に設ける水位センサ11が所定の水位を検出しない場合にはインペラ36の回動を停止させることができる。
【0097】
また、吸水側吸気口10→吸水側吸気管25を通して吸入流路Riの空気抜きを行なうと共に、インペラ室Gの側壁上部には空気抜き孔80を形成して、インペラ室G→空気抜き孔80→吸水側吸気分岐管81を通して空気抜きを行なう。
【0098】
このようにして吸水側吸気口10と空気抜き孔80とから空気抜きを行なうことで、より効果的に吸入流路Ri内の空気抜きを行えるようにしている。なお、図中、82は吸水側吸気分岐管81と吸水側吸気管25とが合流する合流接続管である。
【0099】
ここで、吸水側吸気口10と吸水側吸気管25との間には、L字状の接続管32を介設している。
【0100】
接続管32は、吸水側吸気口10に対してその軸線周りに回動自在にして接続すると共に、その基端部を固定側吸入流路形成管50と可動側吸入流路形成管60との接続部中心の直上方に位置するように配設して、可動側吸入流路形成管60が回動する際、L字状の接続管32も協働して回動するようにしている。
【0101】
このようにして可動側吸入流路形成管60が回動する際、L字状の接続管32も協働して回動することで、接続管32の基端部の位置を平面視において一定の位置に固定することができる。
【0102】
さらには、固定側吸入流路形成管50と可動側吸入流路形成管60とを接続するネジのピッチと、吸水側吸気口10と接続管32とを接続するネジのピッチとを同じピッチにして設定するとともに、それぞれのネジが同方向に回転するような設定にして、可動側吸入流路形成管60が回動する際に、同じピッチ、かつ同回転するように設定したネジによって接続管32の上下高さを一定に保つようにすることもできる。
【0103】
このようにして接続管32を一定の位置に保つことで吸水側吸気管25に無駄な力が加わってしまうことを防止できるようにしている。
【0104】
実施例2では、このようにして吸入流路形成管3を中途部より回動自在としているので、吸水管19を水源に対して有効に利用することができると共に、車両に積載する際は、吸水管19をより自由な位置に設置することができる。
【0105】
なお、実施例2としての可搬式消防ポンプAでは、吐水量調整バルブ4をコック式にて上下させて、吐水量を調整するようにしている。
【0106】
次に、実施例2に係る2段目以降(後段)に用いる可搬式消防ポンプAについて説明する。
【0107】
ここで、実施例2における可搬式消防ポンプAは初段、後段とも構成は同じであり、どの可搬式消防ポンプAでも兼用して使用できるものである。
【0108】
実施例2における後段の可搬式消防ポンプAの吸入流路形成管3の先端側には中継管7a,7b,又は放水管7c(図3参照)を接続して、水を送水、又は放水するようにしている。
【0109】
後段の可搬式消防ポンプAでは、切換メインスイッチ14を後段用に切り替え操作して、初段の可搬式消防ポンプAからの中継送水を受けるようにしており、呼び水ポンプ5は使用せず、よってセンサ室23内の満水位センサ12も使用しない。
【0110】
また、後段の可搬式消防ポンプAのセンサ室23に設ける水位センサ11が上昇し、所定の定水位を検出したときに揚水灯13を点灯するようにして、揚水灯13が点灯した際にエンジンEをスタートしインペラ36を回動させるようにしている。
【0111】
また、何らかの原因でセンサ室23内の水位が所定の定水位未満に下がると、センサ室23内に設けた水位センサ11が制御部16に信号を送り、エンジンEを停止させ、インペラ36の回動を強制的に停止させるようにしている。
【0112】
このように構成することで空気混じりの水が送水されないようにして、エンジンEの過熱、焼き付き、損傷等を未然に防止することができる。
【0113】
従って、インペラ36の始動タイミングを正確にかつ迅速に開始させることができて、送水を受水すれば直ちに放水、ないしは、次段のポンプに送水することができて、放水、ないしは、送水までの時間の短縮を図ることができる。
【0114】
また、実施例2に係る後段の可搬式消防ポンプAにおいては、吐水側止水弁7と吸水側止水弁8とはいずれも閉じた状態にしている。
【0115】
そして、水位センサ11が所定の上昇水位を検出してない場合で揚水灯13が点灯していない状態においては、吸入流路形成管3内の中継送水圧力が高く、吐出流路形成管2内の圧力が必ず低いため、吸入流路形成管3側の中継送水圧力によって空気は吸水側吸気口10→吸水側吸気管25→合流接続管82→吸水側吸気分岐管81→空気抜き孔80を通して吐出流路形成管2側に排出される。
【0116】
このように空気抜きを行なうことで、センサ室23と吸入流路形成管3とインペラ室Gを完全満水状態とし、水位センサ11が定水位を検出して揚水灯13を点灯させると共に、インペラ36を回動させて吐水する。
【0117】
なお、図中、他の実施例に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0118】
【発明の効果】
(1)請求項1記載の本発明では、インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、吸入流路は、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成し、同吸入流路の上方位置には連通路を介してセンサ室を連通連設し、同センサ室内に満水位センサを設けると共に、同センサ室に呼び水ポンプを連通連結して、インペラを回動させると共に、呼び水ポンプを駆動させて吸入流路内及びセンサ室内を略真空状態となすことにより、インペラ室内及びセンサ室内に吸水し、吸水したセンサ室内の水位が所定の水位に達したことを満水位センサが検出したところで呼び水ポンプを停止させるようにしている。
【0119】
このようにして、上記した可搬式消防ポンプにより送水作業を行う際には、先端部を水源に連通させた吸水管の基端部を吸水流路に接続して、同状態にて呼び水ポンプを駆動することにより、吸水管内、吸入流路内及びセンサ室内を略真空状態となして、水源→吸水管→吸入流路→センサ室に吸水(揚水)することができ、吸水した水はインペラの回動により吸入流路→インペラ室→吐出流路に水を圧送して、同吐出流路に接続した放水管を通して放水することができる。
【0120】
この際、センサ室内に吸水(揚水)された水位が所定の水位(満水位)に達したことを満水位センサが検出した場合には、呼び水ポンプを停止させるようにしているため、水圧で感知する従来の方式に較べて、完全揚水の効果を得ることができると共に、呼び水ポンプが空気と水との混合水を吸引して、同呼び水ポンプ内が損傷等されるという不具合の発生を防止することができる。
【0121】
その結果、呼び水ポンプの作動時間を必要最低限に押さえることができて、同呼び水ポンプの寿命を長くすることができる。
【0122】
ここで、呼び水ポンプによりセンサ室内の空気を抜く位置は、残留空気が一番抜けやすい高い位置に設定することにより、ほぼ100%近く空気抜きを行って、センサ室内を略真空状態となすことができる。
【0123】
(2)請求項2記載の本発明では、センサ室内に水位センサを設け、同水位センサが所定の水位を検出しない場合にはインペラの回動を停止させるようにしている。
【0124】
このようにして、水位センサが所定の水位を検出しない場合、すなわち、可搬式消防ポンプが吐水中、例えば、吸水管の接続部からの空気漏れがあったり、浅瀬からの吸水で空気を吸引してしまったり、河川、溜め池等からの吸水で吸水管先端部に水草、藻、枯れ葉、ごみ等が付着して目詰まりを起こして吸水不足となり、センサ室内の水位が低下した場合には、インペラの回動を強制的に停止させることにより、空気混じりの水が送水されないようにしている。
【0125】
この際、第1の可搬式消防ポンプのインペラの回動が強制停止されると、後続の可搬式消防ポンプのセンサ室内の水位が低下して、結果的にかかる可搬式消防ポンプのインペラの回動も強制停止されることになる。
【0126】
従って、第1の可搬式消防ポンプのインペラを駆動するエンジンはもとより、後続の可搬式消防ポンプのインペラを駆動するエンジンも停止させることができて、これらのエンジンの過熱、焼き付き、損傷等を未然に防止することができる。
【0127】
(3)請求項3記載の本発明では、インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、吸入流路は、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成し、同吸入流路の上方位置には連通路を介してセンサ室を連通連設し、同センサ室には空気抜き孔を介して吐出流路を連通させ、同センサ室内に水位センサを設けて、同センサ室内の水位が定水位に達したことを水位センサが検出したところでインペラを回動させる一方、センサ室内の水位が定水位未満となったことを水位センサが検出したところでインペラの回動を停止させるようにしている。
【0128】
このようにして、センサ室内の水位が定水位に達したことを水位センサにより検出したところでインペラを回動させるようにしているため、インペラの始動タイミングを正確にかつ迅速に開始させることができて、送水を受水すれば直ちに放水、ないしは、次段のポンプに送水することができて、放水、ないしは、送水までの時間の短縮を図ることができる。
【0129】
従って、ポンプの入口側と出口側で一定以上の圧力差を検出した場合にその運転を継続させる従来の方法に較べて、吸水から放水(送水)開始までの時間を短縮化して、消火活動を速やかに行うことができ、その結果、火災による被害を最小限に抑えることができる。
【0130】
また、吸水中に何等かの原因で空気を吸引した場合には、センサ室内の水位が定水位未満となるが、この場合には、水位センサが定水位未満の水位を検出してインペラの回動を停止させるようにしているため、空気混じりの水が送水されることはない。
【0131】
従って、エンジンの過熱、焼き付き、損傷等を未然に防止することができる。
【0132】
(4)請求項4記載の本発明では、インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、吸入流路は、インペラ室の吸入口に基端開口部を接続すると共に先端開口部を上方へ向けて開口させた固定側吸入流路形成管と、同固定側吸入流路形成管の先端開口部に基端開口部をその軸線回りに回動自在に接続すると共に先端開口部を略水平方向に開口させた可動側吸入流路形成管とから形成して、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成している。
【0133】
このようにして、前述の請求項1の効果に加えて、可動側先端開口部に接続した吸水管をその基端部より水源に向けて、遠回りさせることなく可及的に近距離に配管することができ、水源に対して短い吸水管でも充分に到達させることができる。したがって、可搬式消防ポンプをより自由な位置に設置することができると共に、車両に搭載する際にも、より自由な位置、例えばタイヤハウス等の影響の受けない位置に設置することができる。
【0134】
(5)請求項5記載の本発明では、可動側吸入流路形成管の先端側部は、略水平方向に伸延させて内部に気液分離流路を形成している。
【0135】
このようにして、吸水して水が気液分離流路を通過する際、水に含まれる混合空気は気液分離流路の上側へ移動させて、水と確実に分離させることができる。
【0136】
また、吸水を止めて気液分離流路中に水が滞留している状態においても同様に、水中に含まれた混合空気は上側へ分離された状態で滞留させることができる。
【0137】
(6)請求項6記載の本発明では、気液分離流路に呼び水ポンプを連通連結したので、水の上側に空気を分離させた状態となすことができて、上層の空気のみを呼び水ポンプにより効率よく吸引することができると共に、呼び水ポンプが空気と水との混合水を吸引して、同呼び水ポンプ内が損傷等されるという不具合の発生をより効果的に防止することができる。
【0138】
(7)請求項7記載の本発明では、吐出流路に呼び水ポンプを連通連結している。
【0139】
このようにして、呼び水ポンプにより吐出流路内の空気を外部へ排気することができる。したがって、吸水流路側と吐出流路側の両側から効果的に空気抜きを行なうことができる。
【0140】
(8)請求項8記載の本発明では、可動側吸入流路形成管にセンサ室形成体を連通連設して、可動側吸入流路形成管内に形成した気液分離流路とセンサ室形成体内に形成したセンサ室とを連通路を介して連通させ、同センサ室内に満水位センサを設けると共に、同センサ室を介して気液分離流路に呼び水ポンプを連通連結して、インペラを回動させると共に、呼び水ポンプを駆動させて吸入流路内及びセンサ室内を略真空状態となすことにより、インペラ室内及びセンサ室内に吸水し、吸水したセンサ室内の水位が所定の水位に達したことを満水位センサが検出したところで呼び水ポンプを停止させるようにしている。
【0141】
このようにして、可動側吸水流路形成管を回動自在に形成した可搬式消防ポンプにおいても、水圧で感知する従来の方式に較べて、完全揚水の効果を得ることができると共に、気液分離流路によって分離された空気を呼び水ポンプにより効果的に吸気することができる。したがって、呼び水ポンプが空気と水との混合水を吸引して、同呼び水ポンプ内が損傷等されるという不具合の発生を防止することができる。
【0142】
その結果、呼び水ポンプの作動時間を必要最低限に押さえることができて、同呼び水ポンプの寿命を長くすることができる。
【0143】
(9)請求項9記載の本発明では、センサ室内に水位センサを設け、同水位センサが所定の水位を検出しない場合にはインペラの回動を停止させるようにしている。
【0144】
このようにして、可動側吸水流路形成管を回動自在に形成した可搬式消防ポンプにおいても、空気混じりの水が送水されないようにしている。
【0145】
この際、第1の可搬式消防ポンプのインペラの回動が強制停止されると、後続の可搬式消防ポンプのセンサ室内の水位が低下して、結果的にかかる可搬式消防ポンプのインペラの回動も強制停止されることになる。
【0146】
従って、第1の可搬式消防ポンプのインペラを駆動するエンジンはもとより、後続の可搬式消防ポンプのインペラを駆動するエンジンも停止させることができて、これらのエンジンの過熱、焼き付き、損傷等を未然に防止することができる。
【0147】
(10)請求項10記載の本発明では、インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、吸入流路は、インペラ室の吸入口に基端開口部を接続すると共に先端開口部を上方へ向けて開口させた固定側吸入流路形成管と、同固定側吸入流路形成管の先端開口部に基端開口部をその軸線回りに回動自在に接続すると共に先端開口部を略水平方向に開口させた可動側吸入流路形成管とから形成して、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成し、可動側吸入流路形成管にセンサ室形成体を連通連設して、同センサ室形成体内に形成したセンサ室内に水位センサを設けて、同センサ室内の水位が定水位に達したことを水位センサが検出したところでインペラを回動させる一方、センサ室内の水位が定水位未満となったことを水位センサが検出したところでインペラの回動を停止させるようにしている。
【0148】
このようにして、可動側吸水流路形成管を回動自在に形成した後段の可搬式消防ポンプにおいても、センサ室内の水位が定水位に達したことを水位センサにより検出したところでインペラを回動させるようにしているため、インペラの始動タイミングを正確にかつ迅速に開始させることができて、送水を受水すれば直ちに放水、ないしは、次段のポンプに送水することができて、放水、ないしは、送水までの時間の短縮を図ることができる。
【0149】
従って、ポンプの入口側と出口側で一定以上の圧力差を検出した場合にエンジンを始動させる従来の方法に較べて、吸水から放水(送水)開始までの時間を短縮化して、消火活動を速やかに行うことができ、その結果、火災による被害を最小限に抑えることができる。
【0150】
また、吸水中に何等かの原因で空気を吸引した場合には、センサ室内の水位が定水位未満となるが、この場合には、水位センサが定水位未満の水位を検出してインペラの回動を停止させるようにしているため、空気混じりの水が送水されることはない。
【0151】
従って、エンジンの過熱、焼き付き、損傷等を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可搬式消防ポンプの断面側面説明図。
【図2】同可搬式消防ポンプのポンプ本体の拡大断面側面説明図。
【図3】同可搬式消防ポンプの使用状態説明図。
【図4】本発明の実施例2に係る可搬式消防ポンプの断面側面説明図。
【図5】(a)は、本発明の実施例2に係る可搬式消防ポンプを水源近くに設置して用いる際の平面視による説明図。(b)は、本発明の実施例2に係る可搬式消防ポンプを水源近くに設置して用いる際の正面視による説明図。
【図6】本発明の実施例2に係る可搬式消防ポンプを車両に積載する際の平面視による説明図。
【符号の説明】
A 可搬式消防ポンプ
G インペラ室
H 高低差
Ri 吸入流路、
Ro 吐出流路
S 気液分離流路
5 呼び水ポンプ
11 水位センサ
12 満水位センサ
23 センサ室
24 空気抜き孔
34 連通路
36 インペラ
37 吸入口
50 固定側吸入流路形成管
51 固定側基端開口部
52 固定側先端開口部
60 可動側吸入流路形成管
61 可動側基端開口部
62 可動側先端開口部

Claims (10)

  1. インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、
    吸入流路は、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成し、同吸入流路の上方位置には連通路を介してセンサ室を連通連設し、同センサ室内に満水位センサを設けると共に、同センサ室に呼び水ポンプを連通連結して、
    インペラを回動させると共に、呼び水ポンプを駆動させて吸入流路内及びセンサ室内を略真空状態となすことにより、インペラ室内及びセンサ室内に吸水し、吸水したセンサ室内の水位が所定の水位に達したことを満水位センサが検出したところで呼び水ポンプを停止させるようにしたことを特徴とする可搬式消防ポンプ。
  2. センサ室内に水位センサを設け、同水位センサが所定の水位を検出しない場合にはインペラの回動を停止させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の可搬式消防ポンプ。
  3. インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、
    吸入流路は、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成し、同吸入流路の上方位置には連通路を介してセンサ室を連通連設し、同センサ室には空気抜き孔を介して吐出流路を連通させ、
    同センサ室内に水位センサを設けて、同センサ室内の水位が定水位に達したことを水位センサが検出したところでインペラを回動させる一方、センサ室内の水位が定水位未満となったことを水位センサが検出したところでインペラの回動を停止させるようにしたことを特徴とする可搬式消防ポンプ。
  4. インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、
    吸入流路は、インペラ室の吸入口に基端開口部を接続すると共に先端開口部を上方へ向けて開口させた固定側吸入流路形成管と、同固定側吸入流路形成管の先端開口部に基端開口部をその軸線回りに回動自在に接続すると共に先端開口部を略水平方向に開口させた可動側吸入流路形成管とから形成して、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成したことを特徴とする可搬式消防ポンプ。
  5. 可動側吸入流路形成管の先端側部は、略水平方向に伸延させて内部に気液分離流路を形成したことを特徴とする請求項4記載の可搬式消防ポンプ。
  6. 気液分離流路に呼び水ポンプを連通連結したことを特徴とする請求項5記載の可搬式消防ポンプ。
  7. 吐出流路に呼び水ポンプを連通連結したことを特徴とする請求項6記載の可搬式消防ポンプ。
  8. 可動側吸入流路形成管にセンサ室形成体を連通連設して、可動側吸入流路形成管内に形成した気液分離流路とセンサ室形成体内に形成したセンサ室とを連通路を介して連通させ、同センサ室内に満水位センサを設けると共に、同センサ室を介して気液分離流路に呼び水ポンプを連通連結して、
    インペラを回動させると共に、呼び水ポンプを駆動させて吸入流路内及びセンサ室内を略真空状態となすことにより、インペラ室内及びセンサ室内に吸水し、吸水したセンサ室内の水位が所定の水位に達したことを満水位センサが検出したところで呼び水ポンプを停止させるようにしたことを特徴とする請求項6又は7記載の可搬式消防ポンプ。
  9. センサ室内に水位センサを設け、同水位センサが所定の水位を検出しない場合にはインペラの回動を停止させるようにしたことを特徴とする請求項8記載の可搬式消防ポンプ。
  10. インペラ室の吸入口に吸入流路を連通させる一方、インペラ室の吐出口に吐出流路を連通させて、インペラ室内に設けたインペラの回動により吸入流路を通して吸水すると共に、吐出流路を通して吐水するようにした可搬式消防ポンプにおいて、
    吸入流路は、インペラ室の吸入口に基端開口部を接続すると共に先端開口部を上方へ向けて開口させた固定側吸入流路形成管と、同固定側吸入流路形成管の先端開口部に基端開口部をその軸線回りに回動自在に接続すると共に先端開口部を略水平方向に開口させた可動側吸入流路形成管とから形成して、インペラ室の吸入口に接続する基端側よりも先端側が上方に位置するように高低差をもたせて形成し、
    可動側吸入流路形成管にセンサ室形成体を連通連設して、同センサ室形成体内に形成したセンサ室内に水位センサを設けて、同センサ室内の水位が定水位に達したことを水位センサが検出したところでインペラを回動させる一方、センサ室内の水位が定水位未満となったことを水位センサが検出したところでインペラの回動を停止させるようにしたことを特徴とする可搬式消防ポンプ。
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