JP2004176550A - シリンダヘッドの締結構造 - Google Patents

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Toshihiko Ito
壽彦 伊藤
Masanori Kondo
正典 近藤
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Abstract

【課題】シリンダブロックとシリンダヘッドとの間の面圧を十分に確保して燃焼ガスの吹き抜けを防止すると共に、シリンダライナの変形量を周方向で略均一にしてオイル消費量を削減することができるシリンダヘッドの締結構造を提供する。
【解決手段】シリンダ列方向で互いに隣り合うシリンダ1A〜1D同士の間に位置しているヘッドボルト孔2,2,…に螺入されるヘッドボルトの径を、シリンダ列両端に位置するシリンダ1A,1Dとシリンダブロック外縁との間に位置しているヘッドボルト孔2’,2’,…に螺入されるヘッドボルトの径よりも大きく設定する。これにより、シリンダブロック1とシリンダヘッドとの間の面圧のアンバランスを抑制し、燃焼ガスの吹き抜けを防止すると共に、シリンダヘッドのシリンダライナに対する押し付け力のライナ周方向でのアンバランスを改善してシリンダライナとピストンとの間のシール性を確保する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダブロックにシリンダヘッドを締結するための構造に係る。
特に、本発明は、シリンダブロックと多シリンダ一体型シリンダヘッドとの間に介在されるシリンダヘッドガスケット(以下、単にガスケットと呼ぶ)の性能を十分に発揮させるための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ディーゼルエンジン等の内燃機関にあっては、下記の特許文献1に開示されているように、シリンダブロックの上面にガスケットを介してシリンダヘッドを載置し、これらシリンダブロックとシリンダヘッドとをヘッドボルトによって締結している。
【0003】
図10は、このシリンダブロックaとシリンダヘッドbとの締結部分の一般的な構成を示す断面図である。また、図11はシリンダブロックaの平面図である。この図に示すものは、4気筒直列エンジンであって、図示しない1個の多シリンダ一体型シリンダヘッドが締結されるものである。また、図11にあっては各シリンダそれぞれの気密性を確保するためのシール部分に斜線を付している。
【0004】
これら図に示すように、シリンダブロックaのシリンダ内にはシリンダライナcが嵌入されており、このシリンダライナc及びシリンダブロックaを覆う形状に形成されたガスケットdがそれらの上面に載置され、その上側にシリンダヘッドbが搭載される。そして、シリンダヘッドb、ガスケットd及びシリンダブロックaにそれぞれ形成されたヘッドボルト孔e,e,…に図示しないヘッドボルトが挿通される。また、シリンダブロックaに形成されているヘッドボルト孔eの内面には雌ネジが形成されており、これにヘッドボルトが螺合されることで、シリンダブロックaとシリンダヘッドbとが、間にガスケットdを介在した状態で一体的に締結される。尚、このヘッドボルトによる締結手法としては、ヘッドボルトの弾性域内で締結を行う弾性域締め付け法(トルク法または角度法)と、ヘッドボルトの塑性域で締結を行う塑性域締め付け法とが知られている。
【0005】
また、上述した締結状態では、シリンダライナcの上面をシリンダヘッドbが押さえ付けており、このシリンダライナcのシリンダブロックaに対する相対位置のズレを抑制している。
【0006】
尚、図11に示すものは、個々のシリンダの周囲に6個のヘッドボルト孔e,e,…が形成されたものであるが、個々のシリンダの周囲に4個のヘッドボルト孔が形成されたものなど種々のボルト孔配置形態が知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−193560号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の締結構造にあっては、全てのヘッドボルト孔e,e,…の径は同一径であり、従って、全てのヘッドボルトの径も同一径(例えばJIS規格のM16)となっている。このため、これらヘッドボルトをトルク法によって締め付ける場合、それぞれは同一トルクで締め付けられることになり、その結果、各ヘッドボルトは共に同一軸力によってシリンダブロックaとシリンダヘッドbとを締結している。
【0009】
しかしながら、上記締結構造にあっては、各ヘッドボルトが受け持つシール部分(図11に斜線を付した部分)の面積は同一ではない。つまり、互いに隣り合うシリンダ同士の間に位置しているヘッドボルト(図11において符号Aを付したヘッドボルト孔eに螺入されるヘッドボルト)が受け持つシール部分の面積は、他のヘッドボルト(図11において符号Bを付したヘッドボルト孔eに螺入されるヘッドボルト)が受け持つシール部分の面積よりも大きい。これは、互いに隣り合うシリンダ同士の間に位置しているヘッドボルトは、シリンダ列方向(図中左右方向)でそのヘッドボルトの両側のシリンダ周囲のシール機能を発揮させるものとして兼用されているからである。
【0010】
このため、この互いに隣り合うシリンダ同士の間に位置しているヘッドボルトが受け持つシール部分とそれ以外のシール部分とでは、シリンダブロックaとシリンダヘッドbとの間の面圧(上記シール部分でシール機能を発揮する面圧)のアンバランスが生じている。その結果、この互いに隣り合うシリンダ同士の間に位置しているヘッドボルトが受け持つシール部分にあってはシリンダブロックaとシリンダヘッドbとの間の面圧を十分に確保できていない場合があり、この部分で燃焼ガスの吹き抜けが発生してしまう場合がある。
【0011】
この燃焼ガスの吹き抜けが発生する状況では、エンジン性能を十分に発揮することができないばかりでなく、ガスケットの吹き抜け損傷を引き起こしてしまう場合もある。
【0012】
また、上記シリンダブロックaとシリンダヘッドbとの間の面圧のアンバランスが原因で、シリンダヘッドbのシリンダライナcに対する押し付け力にもライナ周方向でアンバランスが生じることになり、この押し付け力により生じるシリンダライナcの変形量として周方向の各部で差が生じてしまい、シリンダライナcの真円度が得られなくなってしまう。このため、シリンダライナcに対するピストンの接触状態が周方向の各部で異なることになり、このシリンダライナcとピストン(ピストンリング)との間のシール性が十分に確保できなくなって、オイル消費量が多くなってしまうといった不具合を招くことになる。
【0013】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間の面圧を十分に確保して燃焼ガスの吹き抜けを防止すると共に、シリンダライナの変形量を周方向で略均一にしてオイル消費量を削減することができる多シリンダ一体型シリンダヘッドの締結構造を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、シリンダブロックにシリンダヘッドを締結するための複数の締結箇所のうち、燃焼ガスの吹き抜けが発生しやすい箇所と、ヘッドボルトの軸力が高過ぎる場合にシリンダブロック等に損傷が生じる可能性がある箇所とが互いに異なっていることに着目し、高い軸力が得られるヘッドボルトを一部分のみに採用したものである。これによって、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間の面圧のアンバランスを抑制し、燃焼ガスの吹き抜けを防止すると共に、シリンダヘッドのシリンダライナに対する押し付け力のライナ周方向でのアンバランスを改善してシリンダライナとピストンとの間のシール性が十分に確保できるようにしている。
【0015】
−解決手段−
具体的には、シリンダ列上に複数のシリンダを有するシリンダブロックに対し、ガスケットを介して多シリンダ一体型シリンダヘッドを締結するための構造を前提とする。このシリンダヘッドの締結構造に対し、シリンダヘッドのシリンダ列方向で互いに隣り合うシリンダ同士の間に位置しているヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径を、シリンダヘッドのシリンダの周囲に位置しているその他のヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径よりも大きく設定している。
【0016】
具体的には、シリンダヘッドのシリンダ列方向で互いに隣り合うシリンダ同士の間に位置しているヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径をその他のヘッドボルトの径よりも5%〜40%程度大きく設定する。尚、この比率はこれに限るものではない。
【0017】
通常、径の小さなヘッドボルトに比べて径の大きなヘッドボルトの方が高いトルクでシリンダブロックとシリンダヘッドとを締結することが可能である(トルク締め付け法の場合)。つまり、上記解決手段にあっては、燃焼ガスの吹き抜けが懸念されていた領域に対して軸力を作用させるヘッドボルトとして大きな径のものを適用し、この部分の軸力が大きく得られるようにしている。このため、この領域におけるシリンダブロックとシリンダヘッドとの間の面圧を十分に確保することが可能となり、従来構造において生じていた面圧のアンバランスを大幅に改善することができる。その結果、燃焼ガスの吹き抜けを回避でき、エンジン性能の向上及びガスケットの吹き抜け損傷の防止を図ることができ、エンジンの信頼性及び耐久性の向上を図ることができる。
【0018】
また、この面圧のアンバランスの大幅な改善に伴ってシリンダヘッドのシリンダライナに対する押し付け力をライナ周方向でバランスさせることができ、シリンダライナの変形量を周方向の全体に亘って略均一にできる。このため、シリンダライナの真円度を良好に得ることができて、シリンダライナとピストンとの間のシール性を良好に確保でき、オイル消費量の大幅な削減を図ることができる。
【0019】
そして、本解決手段では、シリンダヘッドのシリンダ列方向で互いに隣り合うシリンダ同士の間に位置しているヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルト以外のヘッドボルトとして径の小さいものが採用されているため、このヘッドボルトの軸力が必要以上に高くなってしまうことがなく、軸力が高過ぎることが原因でシリンダブロック等に損傷が生じてしまうといったことを回避できる。
【0020】
また、径の大きなヘッドボルトを適用する箇所として、上記解決手段に代えて以下の箇所としてもよい。つまり、シリンダヘッドのシリンダ列両端に位置するシリンダとシリンダヘッドのシリンダ列方向両端縁との間に位置しているヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径よりも、その他のヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径を大きく設定するものである。
【0021】
これによれば、上述した効果に加えて、シリンダブロックに締結されたシリンダヘッドがアーチ状に湾曲してしまうといった状況を回避することができる。その結果、特に、シリンダヘッドのシリンダ列中央側に位置しているシリンダにおいて、燃焼ガスの吹き抜けの回避及びシリンダライナの真円度の確保を確実に行うことができる。
【0022】
また、上記の解決手段に適用されるヘッドボルト孔及びヘッドボルトの具体構成としては以下のものが掲げられる。つまり、シリンダブロックに形成されたボルト孔のうち径が大きく設定されたヘッドボルトが螺入されるボルト孔の深さ寸法を、その他のヘッドボルトが螺入されるボルト孔の深さ寸法よりも大きく設定する。そして、径が大きく設定されたヘッドボルトの長さを、その他のヘッドボルトの長さよりも長く設定する。つまり、ヘッドボルトのねじ部がシリンダブロックのボルト孔に噛み合う位置を深い位置(シリンダブロックの頂面から遠い位置)に設定することにより、この噛み合いによって発揮される締結力の作用する領域(軸力が有効に作用する範囲)が大きく確保され、上記シール部分の広範囲に亘って均一且つ良好なシール性を確保することができる。
【0023】
各ヘッドボルトの締め付け作業の作業性に鑑みられた構成として以下のものが掲げられる。つまり、シリンダブロックに対してシリンダヘッドを締結するための全てのヘッドボルトの頭部の二面幅を同一寸法で形成したものである。
【0024】
これによれば、ヘッドボルトの締め付け作業時には、互いに径の異なるヘッドボルトであっても共通の締め付け工具で締め付け作業を行うことができる。このため、エンジン整備の際における組み立て作業時や分解作業時にヘッドボルトの種類に応じて工具を交換する必要がなくなり、作業時間を長く要することなしに上記各解決手段に係る効果を奏することができる。また、ナットランナー等の自動機によって各ヘッドボルトの締め付け作業を行う場合に、全てのヘッドボルトの径が同一径であるエンジンと、本発明に係る締結構造を備えたエンジン(径の異なるヘッドボルトが使用されているエンジン)とを同一のナットランナーによってソケット(ボルト頭部を把持する器具)の交換を必要とすることなしに連続的に締め付け作業を行うことができる。このため、作業効率を悪化させることなしにヘッドボルトの自動締め付けを実現することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、4気筒直列エンジンに本発明を適用した場合について説明する。また、ヘッドボルトによるシリンダブロックとシリンダヘッドとの締結部分の構成は、上記図10に示したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0026】
図1は、本実施形態に使用されるシリンダブロック1の平面図である。この図1に示すように、本シリンダブロック1は、シリンダ列方向(図中左右方向)に4個のシリンダ1A〜1Dを備えている。ここでは、最も左側に位置するシリンダを第1シリンダ1Aと呼び、左から2番目のシリンダを第2シリンダ1Bと呼び、右から2番目のシリンダを第3シリンダ1Cと呼び、最も右側に位置するシリンダを第4シリンダ1Dと呼ぶ。
【0027】
これら各シリンダ1A〜1Dの周囲にはそれぞれ6個のヘッドボルト孔2,2,…、2’,2’,…が形成されている。これらヘッドボルト孔2,2,…、2’,2’,…は、シリンダ1A〜1Dのボア中心に対して略等角度間隔を存した位置にそれぞれ形成されている。また、これらヘッドボルト孔2,2,…、2’,2’,…は、互いに隣り合うシリンダ同士の間に位置しているものは、それぞれに挿通されるヘッドボルトがシール部分(図1において斜線を付した部分)のシール機能を兼用するように配設されている。つまり、符号「VII,IX」を付したヘッドボルト孔2,2は第1シリンダ1A用及び第2シリンダ1B用として兼用され、符号「I,II」を付したヘッドボルト孔2,2は第2シリンダ1B用及び第3シリンダ1C用として兼用され、符号「VIII,X」を付したヘッドボルト孔2,2は第3シリンダ1C用及び第4シリンダ1D用として兼用されている。
尚、このヘッドボルト孔2,2’に付した符号(I)〜(XVIII)は、ヘッドボルト5,5’の締め付け順序を表している。
【0028】
そして、本形態の特徴の一つとしては、シリンダ列の第1シリンダ1Aから第4シリンダ1D間の互いに隣り合うシリンダ間に位置しているヘッドボルト孔2,2,…(合計6個のヘッドボルト孔)の径が、他のヘッドボルト孔2’,2’,…(合計12個のヘッドボルト孔)の径よりも大きく設定されていることにある。言い換えると、シリンダ列の第1シリンダ1Aから第4シリンダ1D間の互いに隣り合うシリンダ間に位置しているヘッドボルト孔2,2,…以外の他のヘッドボルト孔2’,2’,…の径が小さく設定されている。
【0029】
以下では、シリンダ列の第1シリンダ1Aから第4シリンダ1D間の互いに隣り合うシリンダ間に位置しているヘッドボルト孔2,2,…を大径ヘッドボルト孔2,2,…と呼び、他のヘッドボルト孔2’,2’,…を小径ヘッドボルト孔2’,2’,…と呼ぶ。
【0030】
図2は、これらヘッドボルト孔2,2’の形成位置周辺部を示す断面図である。図2(a)は、小径ヘッドボルト孔2’の形成位置周辺部を示す断面図(図1におけるA−A線に沿った断面図)であって、図2(b)は、大径ヘッドボルト孔2の形成位置周辺部を示す断面図(図1におけるB−B線に沿った断面図)である。
【0031】
具体的には、小径ヘッドボルト孔2’,2’,…の径はM16のヘッドボルトが挿通される比較的小径に形成されているのに対し、大径ヘッドボルト孔2,2,…の径はM20のヘッドボルトが挿通される比較的大径に形成されている。これら径寸法はこれに限るものではない。
【0032】
また、小径ヘッドボルト孔2’,2’,…の深さ寸法に対し、大径ヘッドボルト孔2,2,…の深さ寸法は大きく設定されている。具体的には、小径ヘッドボルト孔2’に対して大径ヘッドボルト孔2の深さ寸法は30%程度深く設定されている。尚、この比率もこれに限るものではない。
【0033】
また、図2に示すように、シリンダヘッド3及びガスケット4にも上記ヘッドボルト孔2、2’に対応する位置に同様のヘッドボルト孔31,41,31’,41’が形成されている。つまり、シリンダヘッド3及びガスケット4において、上記小径ヘッドボルト孔2’に対応するヘッドボルト孔31’,41’の径はM16のヘッドボルトが挿通される径に形成されているのに対し(図2(a)参照)、上記大径ヘッドボルト孔2に対応するヘッドボルト孔31,41の径はM20のヘッドボルトが挿通される径に形成されている(図2(b)参照)。
【0034】
図3は、各ヘッドボルト孔2,2’に挿通されるヘッドボルト5,5’を示している。図3(a)は、小径ヘッドボルト孔2’に挿通されるヘッドボルト5’であり、図3(b)は、大径ヘッドボルト孔2に挿通されるヘッドボルト5である。
【0035】
これら図に示すように、各ヘッドボルト5,5’は六角ボルトであり、大径ヘッドボルト孔2に挿通されるヘッドボルト5のねじ部の径は、小径ヘッドボルト孔2’に挿通されるヘッドボルト5’のねじ部の径よりも大きく設定されている。本形態では、上述した如く、小径のヘッドボルト5’としてはM16が採用され、大径のヘッドボルト5としてはM20が採用されている。
【0036】
また、大径ヘッドボルト孔2に挿通されるヘッドボルト5の長さ寸法は、小径ヘッドボルト孔2’に挿通されるヘッドボルト5’の径よりも長く設定されている。その比率は、例えば小径ヘッドボルト孔2’に対する大径ヘッドボルト孔2の深さ寸法の比率(本形態の場合は大径ヘッドボルト孔2の深さ寸法の方が30%程度大きい)と同程度に設定されている。
【0037】
更に、これらヘッドボルト5,5’は、ねじ部51,51’の径及び座52,52’の径は互いに異なっているものの、頭部53,53’の寸法は同一寸法(頭部の二面幅が同一寸法)で形成されている。このため、ヘッドボルト5,5’の締め付け作業時には、互いに径の異なるヘッドボルト5,5’であっても共通の締め付け工具で締め付け作業を行うことができる。つまり、エンジン整備の際における組み立て作業時や分解作業時に工具を交換する必要がなくなり、作業時間を長く要することはない。
【0038】
また、ナットランナー等の自動機によって各ヘッドボルト5,5’の締め付け作業を行う場合に、全てのヘッドボルトの径が同一径であるエンジンと、本形態に係る締結構造を備えたエンジン(径の異なるヘッドボルト5,5’が使用されているエンジン)とを同一のナットランナーによってソケット交換を必要とすることなしに連続的に締め付け作業を行うことができる。このため、作業効率を悪化させることなしにヘッドボルト5,5’の自動締め付けを実現することができる。
【0039】
上記の構成による効果を以下に述べる。トルク締め付け法によって各ヘッドボルト5,5’の締め付け作業を行う場合、小径ヘッドボルト5’に比べて大径ヘッドボルト5の方が高いトルクでシリンダブロック1とシリンダヘッド3とを締結することが可能である。図4は、トルク法締め付けの場合と塑性域締め付けの場合とにおけるボルト径とヘッドボルト軸力比との関係を示している。この図4のように、何れの締め付け法においてもボルト径が大きいほど高いトルクでシリンダブロック1とシリンダヘッド3とを締結することが可能である。
【0040】
本実施形態にあっては、燃焼ガスの吹き抜けが懸念されていた領域に対して大きな径のヘッドボルト5を適用し、この部分の軸力が大きく得られることになる。このため、この領域におけるシリンダブロック1とシリンダヘッド3との間の面圧を十分に確保することが可能となり、従来構造において生じていた面圧のアンバランスを大幅に改善することができる。その結果、燃焼ガスの吹き抜けを回避でき、エンジン性能の向上及びガスケット4の吹き抜け損傷の防止を図ることができ、エンジンの信頼性及び耐久性の向上を図ることができる。
【0041】
また、この面圧のアンバランスの大幅な改善に伴ってシリンダヘッド3のシリンダライナ6に対する押し付け力をライナ周方向でバランスさせることができ、シリンダライナ6の変形量を周方向の全体に亘って略均一にできる。このため、シリンダライナ6の真円度を良好に得ることができて、シリンダライナ6と図示しないピストンとの間のシール性を良好に確保でき、オイル消費量の大幅な削減を図ることができる。
【0042】
そして、本実施形態では、第1シリンダ1Aから第4シリンダ1D間の互いに隣り合うシリンダ間のヘッドボルト2,2,…以外のヘッドボルト2’,2’,…は径の小さいものが採用されている。このため、ヘッドボルトの軸力が必要以上に高くなってしまうことがなく、軸力が高過ぎることが原因でシリンダブロック1等に損傷が生じてしまうといったことを回避できる。
【0043】
−変形例−
次に、本発明の変形例について説明する。本例はヘッドボルト5,5’の頭部形状の変形例である。その他の構成は上述した実施形態と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0044】
図5に示すように、本例に係るヘッドボルト5,5’は、12角ボルトである。本例にあっても、各ヘッドボルト5,5’は、ねじ部51,51’の径及び座52,52’の径は互いに異なっているものの、頭部53,53’の寸法は同寸法で形成されている。このため、ヘッドボルト5,5’の締め付け作業時には、互いに径の異なるヘッドボルト5,5’であっても共通の締め付け工具で締め付け作業を行うことができる。つまり、エンジン整備の際に、組み立て作業時や分解作業時に工具を交換する必要がなくなり、作業時間を長く要してしまうことはない。
【0045】
−その他の実施形態−
上述した実施形態及び変形例では、4気筒直列エンジンに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、3気筒直列エンジンや5気筒以上の直列エンジン、その他種々の形態のエンジンに対して適用可能である。
【0046】
また、一つのシリンダブロックに対して複数の多シリンダ一体型シリンダヘッドが締結されて構成されるエンジンにおいて、個々のシリンダヘッドの締結構造として適用することも可能である。図6は、一つのシリンダブロック1に対して2つの多シリンダ一体型シリンダヘッド32,33が締結されて構成されるエンジンに本発明を適用した場合である。この図6ではシリンダブロック1を実線で示し、各シリンダヘッド32,33を仮想線で示している。この場合にも、それぞれのシリンダヘッド32,33にあっては、シリンダ列方向で互いに隣り合うシリンダ同士の間に位置しているヘッドボルト孔2,2,…に挿入されるヘッドボルトの径が、シリンダヘッド32,33のシリンダの周囲に位置しているその他のヘッドボルト孔2’,2’,…に挿入されるヘッドボルトの径よりも大きく設定されることになる。
【0047】
また、本発明では、シリンダヘッドのシリンダ列両端に位置するシリンダとシリンダヘッドのシリンダ列方向両端縁との間に位置しているヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径よりも、その他のヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径を大きく設定する構成としてもよい。その構成を具体化したものが図7及び図8である。図7に示すものでは、一つのシリンダブロック1に対して1つの多シリンダ一体型シリンダヘッドが締結されて構成されるエンジンにおいて、符号「XV、XVI、XVII、XVIII」を付したヘッドボルト孔2’,2’,…以外のヘッドボルト孔2,2,…に挿入されるヘッドボルトの径が大きく設定されることになる。また、図8に示すものでは、一つのシリンダブロック1に対して2つの多シリンダ一体型シリンダヘッド32,33が締結されて構成されるエンジンにおいて、それぞれのシリンダヘッド32,33にあっては、シリンダヘッドのシリンダ列両端に位置するシリンダとシリンダヘッドのシリンダ列方向両端縁との間に位置しているヘッドボルト孔2’,2’,…に挿入されるヘッドボルトの径よりも、その他のヘッドボルト孔2,2,…に挿入されるヘッドボルトの径が大きく設定されることになる。この図7及び図8に示す構成によれば、上記実施形態に係る効果に加えて、シリンダブロックに締結されたシリンダヘッドがアーチ状に湾曲してしまうといった状況を回避することができ、シリンダヘッドのシリンダ列中央側に位置しているシリンダにおいて、燃焼ガスの吹き抜けの回避及びシリンダライナの真円度の確保を確実に行うことができることになる。
【0048】
また、本発明に適用されるガスケット4の構成としては単板型のものに限らず、複数層で構成された積層板型のものなど種々の構成のものが適用可能である。
【0049】
更に、ヘッドボルト孔2,2’の配置形態として、上記実施形態のものでは個々のシリンダ1A〜1Dの周囲に6個のヘッドボルト孔2,2’が形成されたものであったが、図9に示すように個々のシリンダ1A〜1Dの周囲に4個のヘッドボルト孔2,2’が形成されたものなど種々のボルト孔配置形態のものに対して本発明は適用可能である。尚、図9に示すものの場合、シリンダブロック1の各コーナ部に位置しているボルト孔2’,2’,…が小径とされ、それ以外のボルト孔2,2,…が大径とされて、それぞれの径に応じたヘッドボルトが螺入されることになる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、シリンダブロックにシリンダヘッドを締結するための複数の締結箇所のうち、燃焼ガスの吹き抜けが発生しやすい箇所と、ヘッドボルトの軸力が高過ぎる場合にシリンダブロック等に損傷が生じる可能性がある箇所とが互いに異なっていることに着目し、シリンダヘッドのシリンダ列方向で互いに隣り合うシリンダ同士の間に位置しているヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径を、シリンダヘッドのシリンダの周囲に位置しているその他のヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径よりも大きく設定している。これにより、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間の面圧のアンバランスを抑制し、燃焼ガスの吹き抜けを防止すると共に、シリンダヘッドのシリンダライナに対する押し付け力のライナ周方向でのアンバランスを改善してシリンダライナとピストンとの間のシール性が十分に確保できて、エンジンの信頼性及び耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に使用されるシリンダブロックの平面図である。
【図2】(a)は図1におけるA−A線に沿った断面図であり、(b)は図1におけるB−B線に沿った断面図である。
【図3】(a)は小径ヘッドボルトを示す図であり、(b)は大径ヘッドボルトを示す図である。
【図4】トルク法締め付けの場合と塑性域締め付けの場合とにおけるボルト径とヘッドボルト軸力比との関係を示す図である。
【図5】変形例における小径ヘッドボルト及び大径ヘッドボルトを示す図3相当図である。
【図6】その他の実施形態におけるシリンダブロックの平面図である。
【図7】更なるその他の実施形態における図1相当図である。
【図8】更なるその他の実施形態におけるシリンダブロックの平面図である。
【図9】個々のシリンダの周囲に4個のヘッドボルト孔が形成されたシリンダブロックを示す平面図である。
【図10】シリンダブロックとシリンダヘッドとの締結部分の構成を示す断面図である。
【図11】従来例における図1相当図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
1A〜1D シリンダ
2,2’ ヘッドボルト孔
3 シリンダヘッド
4 ガスケット
5,5’ ヘッドボルト

Claims (4)

  1. シリンダ列上に複数のシリンダを有するシリンダブロックに対し、ガスケットを介して多シリンダ一体型シリンダヘッドを締結するための構造であって、
    上記シリンダヘッドのシリンダ列方向で互いに隣り合うシリンダ同士の間に位置しているヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径を、シリンダヘッドのシリンダの周囲に位置しているその他のヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径よりも大きく設定していることを特徴とするシリンダヘッドの締結構造。
  2. シリンダ列上に複数のシリンダを有するシリンダブロックに対し、ガスケットを介して多シリンダ一体型シリンダヘッドを締結するための構造であって、
    上記シリンダヘッドのシリンダ列両端に位置するシリンダとシリンダヘッドのシリンダ列方向両端縁との間に位置しているヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径よりも、その他のヘッドボルト孔に挿入されるヘッドボルトの径を大きく設定していることを特徴とするシリンダヘッドの締結構造。
  3. 請求項1または2記載のシリンダヘッドの締結構造において、
    シリンダブロックに形成されたボルト孔のうち径が大きく設定されたヘッドボルトが螺入されるボルト孔の深さ寸法を、その他のヘッドボルトが螺入されるボルト孔の深さ寸法よりも大きく設定すると共に、
    径が大きく設定されたヘッドボルトの長さを、その他のヘッドボルトの長さよりも長く設定していることを特徴とするシリンダヘッドの締結構造。
  4. 請求項1、2または3記載のシリンダヘッドの締結構造において、
    シリンダブロックに対してシリンダヘッドを締結するための全てのヘッドボルトの頭部の二面幅を同一寸法で形成していることを特徴とするシリンダヘッドの締結構造。
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