JP2004176544A - 動力出力装置及びその制御方法並びに車両 - Google Patents

動力出力装置及びその制御方法並びに車両 Download PDF

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Abstract

【課題】エンジンが停止状態から動作状態に至る際において、該エンジンにおいて吹き上がりを発生させず、運転者に飛び出し感を与えない。
【解決手段】それぞれ開閉時期を調整可能な吸気弁及び排気弁を備えたエンジンと、該エンジンを始動する際において、該エンジンを構成する摺動部材間で発生するフリクションが小さい場合には、該フリクションが大きい場合に比べて、前記排気弁を開とするタイミングを早めるように前記排気弁を制御する制御手段とを備えている。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる自動車等に搭載されて好適な動力出力装置の技術分野に属する。また、本発明はそのような動力出力装置の制御方法、及び、該動力出力装置を具備してなる例えばハイブリッド型車両等の車両の技術分野にも属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特許文献1、特許文献2等に開示されているように、ハイブリッド車両に好適に搭載されるいわゆるハイブリッド型の動力出力装置が開発されている。この種のハイブリッド型の動力出力装置では、要求される動作状態に応じて適宜、モータジェネレータ装置をエンジンの駆動力で回転されるジェネレータ(発電機)として利用し、或いはモータジェネレータ装置に含まれる専用のジェネレータを利用して、バッテリに充電する。また、モータジェネレータ装置をバッテリから電源供給を受けて回転するモータ(電動機)として利用し、或いはモータジェネレータ装置に含まれる専用のモータを利用して、駆動軸を単独で或いはエンジンと共に回転させる。
【0003】
ちなみに、このようなハイブリッド型の動作出力装置は、パラレルハイブリッド方式とシリーズハイブリッド方式とに大別される。前者では、駆動軸をエンジンの出力の一部により回転させると共にモータジェネレータ装置の駆動力により回転させる。後者では、エンジン出力はモータジェネレータ装置による充電に専ら用いられ、駆動軸をモータジェネレータ装置の駆動力により回転させる。いずにせよ、当該装置では、エンジンの役割が相対的に縮小化されることから、燃料消費量の低下、或いは排気ガス中における有害物質濃度の低下等の目覚ましい効果を得ることができることになる。
【0004】
また、このようなハイブリッド型の動力出力装置では、エンジンの間欠運転が実施されることがある。これは、当該ハイブリッド型の動力出力装置では、上述のようにエンジン及びモータジェネレータ装置の協働により車両の走行等を実現可能であることにより、エンジンを常に作動させておく必要がないからである。この場合、エンジンの休止期間中は、該エンジンにおいて燃料消費が生ぜず、かつ、該エンジンから排気ガスが排出されるということもないから、低燃費性、低公害性はよりよく実現されることになる。
【0005】
なお、本発明は、後述するように、排気弁及び吸気弁の開閉タイミングの調整にかかわるが、前記のハイブリッド型の動力出力装置を構成するエンジンにおいては、例えば特許文献3等に開示されているように、該エンジンを構成する吸気弁の開閉タイミングを調整し得る構成が知られている。ちなみに、この特許文献3では、エンジン始動を適切に行うため、吸気弁の閉タイミングを進角側に設定する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9‐47094号公報
【特許文献2】
特開2000−324615号公報
【特許文献3】
特開2000‐320356号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のハイブリッド型の動力出力装置には、次のような問題点がある。すなわち、エンジンをいったん停止した後、これを再び始動する際における、該エンジンの動作特性、或いは該エンジンを搭載する車両の運転者に与える運転感覚等の悪化である。
【0008】
より具体的に説明すると、前記のエンジン再始動の直前、すなわちエンジンが停止している期間においては、該エンジン内のシリンダ、該エンジンに接続された吸気管及び該吸気管の途上に設けられたサージタンク等の内部の空気は大気圧となってしまうことにより、前記エンジン再始動を開始しようとする段階では、相対的に空気量が増大している。したがって、点火プラグにおける点火を良好に行うためには、燃料噴射量もまた、相対的に増大しなければならない。しかしながら、これでは、燃焼室内では過剰な燃焼反応が生じることになる。すなわち、いわゆる「吹き上がり」が生じることになり、エンジンの動作特性が悪化するおそれが大きい。
【0009】
また、このようなエンジンの吹き上がりが生じると、これがピストン、ドライブシャフト及び車輪に伝達されることにより、当該エンジンを搭載する車両は、突飛な動きをする可能性が大きくなる。すなわち、車両は突然、前方に飛び出すが如き動作をすることとなり、運転者に不快な運転感覚を与えることになる。
【0010】
このような問題点は、車両が完全に停止した状態において、シフトポジションがDレンジにあり、エンジンをいったん休止して再び始動する際に顕著に顕在化する。また、シフトポジションがDレンジにはなく、車両が走行中、或いは停止中の場合にも、エンジンが始動するときの不必要な吹き上がりが生じると、騒音・振動を生じさせることになるから、これを極力抑制することが好ましい。
【0011】
また、このような問題点は、ハイブリッド型の動力出力装置を構成するエンジンについてのみ顕在化するわけではない。例えば、基本的には、エンジンのみを構成要素とするが、該エンジンの間欠運転が可能とされた動力出力装置を搭載するいわゆるエコラン車(例えば、信号待ち停車時にエンジンは休止される等)にあっても、前述したような問題点は顕在化する。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、エンジンが停止状態から動作状態に至る際において、該エンジンの動作特性を良好に維持し、且つ、該エンジンを搭載する車両等の運転者に与える運転感覚を良好に維持することの可能な動力出力装置及びその制御方法並びに該動力出力装置を具備してなるハイブリッド車両を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の動力出力装置は、上記課題を解決するため、それぞれ開閉時期を調整可能な吸気弁及び排気弁を備えたエンジンと、該エンジンを始動する際において、該エンジンを構成する摺動部材間で発生するフリクションが小さい場合には、該フリクションが大きい場合に比べて、前記排気弁を開とするタイミングを早めるように前記排気弁を制御する制御手段とを備えている。
【0014】
本発明の第1の動力出力装置によれば、まず、エンジンに備えられた吸気弁及び排気弁の開閉時期が調整可能とされている。これを実現する構成としては、例えば、単純には、吸気弁及び排気弁の開閉を律するカムシャフトそれぞれに、電動モータを付設するものを想定することが可能である。この構成によれば、電動モータの回転により、吸気弁用のカムシャフト及び排気弁用のそれを独自に回転させることができるから、エンジンの動静にかかわらず、吸気弁及び排気弁それぞれの開閉時期を調整することが可能となる。或いは、ヘリカルギア式、ベーン式、チェーンテンショナー式等の各種位相制御機構を有する、いわゆる「VVT(Variable Valve Timing)」システムを採用することも可能である。
【0015】
そして本発明では特に、前記エンジンを始動する際において、該エンジンを構成する摺動部材間で発生するフリクション(以下、単に「エンジン・フリクション」ということがある。)が小さい場合には、該フリクションが大きい場合に比べて、前記排気弁を開とするタイミングを早めるように前記排気弁を制御する制御手段を備えている。
【0016】
すなわち、エンジン・フリクションが比較的小さい場合におけるエンジン始動時のクランキング動作は、排気弁が既に開とされた状態で行われ得ることになる。これによると、エンジン停止中にシリンダ、吸気管及びサージタンク等に蓄えられた比較的多めの空気量に対応するため、燃料噴射量をも増大した状態で当該エンジンの再始動を行ったとしても、これによる燃焼室内における過剰な燃焼反応を原因としたエネルギは、排気弁を通じて、その一部が逃げ得ることになる。
【0017】
したがって、本発明によれば、該エンジンにおいて吹き上がりが発生することを有効に防止することが可能となる。また、同じ理由から、当該エンジンを搭載する車両におけるシフト・ポジションが、仮にDレンジにある場合にあっても、前記過剰な燃焼反応を原因とするエネルギが、ドライブシャフト及び車輪等に伝達されるという事態もまた、有効に防止することが可能となるから、当該車両の運転者に飛び出し感といった不快な運転感覚を与えることも殆どない。反対に、シフトポジションがDレンジにない場合にも、前記の吹き上がりは、騒音・振動を生じさせるという問題があるが、本発明においては、そのような不具合をも有効に解消することが可能となる。
【0018】
また、本発明によれば、上述のような排気弁に関する制御を実施する関係上、相対的に、エンジン・フリクションが比較的大きい場合におけるクランキング動作は、排気弁が未だ閉とされた状態で行われ得ることになる。ちなみに、エンジン・フリクションが比較的大きい場合とは、エンジンが冷えている状態、すなわち車両等が既に動作状態にあるわけではなく、車両及びエンジン等ともに完全に停止した状態から、エンジンを始動する場合が典型的には想定されるから、前述の吹き上がり、或いは飛び出し感などといった不具合に目を向けるよりも、当該エンジンが確実に始動することができるかどうかが目下の課題となる。
【0019】
この点、本発明においては、既述のように、エンジン・フリクションが比較的大きい場合には、クランキング動作を排気弁が未だ閉とされた状態で行い得ることから、点火時における空気量を十分確保した状態におくことが可能となり、圧縮量を上昇させることができることにより、当該エンジンの始動特性を良好に確保することが可能となるのである。
【0020】
以上のように、本発明によれば、エンジン・フリクションの大小に応じ、排気弁の開閉時期を調整することによって、エンジン始動時において発生し得る不具合を極めて有効に解消することができるのである。
【0021】
なお、本発明において、エンジン・フリクションの大小を判定するためには、何らかの手段により求められたエンジン・フリクションの大きさ(例えば、後述のように潤滑油の温度等から推定される。)が、予め定めた所定値以上となるか否か等の手法を用いることができる。あるいは、該エンジン・フリクションの大きさを多段階に区分けし、その各々について、排気弁を開とするタイミングがどの程度早めるかを段階的に定めておく等の手法も有効である。すなわち、この場合、一般には、エンジン・フリクションの大きさf1、f2、…、fn(ただし、f1<f2<…<fn)がある場合に、f1に対応する排気弁の開弁タイミングの進角量a1、f2に対応する同進角量a2、…、fnに対応する同進角量an(ただし、a1>a2>…>an)が定められているなどということになる。
【0022】
また、本発明に係る動力出力装置は、後述するように、前記エンジンとモータジェネレータ装置とを組み合わせ、これらの協働的な動作によって動力出力が可能とされた、いわゆるハイブリッド型の動力出力装置に適用することが可能である他、基本的にエンジンのみを構成要素とするが、該エンジンの間欠運転が可能とされた動力出力装置(これを搭載する車両は、いわゆる「エコラン車」と呼びうる。)に適用することも可能である(なお、このようなエコラン車にも、前記間欠運転中における休止期間から運転期間への移行の際に、該エンジンに動力を供給するためのモータが付設される場合がある。)。
【0023】
本発明の第1の動力出力装置の一態様では、前記制御手段は、前記フリクションが大きい場合には、該フリクションが小さい場合に比べて、前記吸気弁を閉とするタイミングを早めるように前記吸気弁を制御する。
【0024】
この態様によれば、エンジン・フリクションが比較的大きい場合には、吸気弁が閉とされるタイミングが早められる。これにより、燃焼室内の空気量を十分確保した状態におくことが可能となり、圧縮量を上昇させることができることから、上述にも増して、当該エンジンの始動特性を良好に確保することが可能となる。
【0025】
本発明の第1の動力出力装置の他の態様では、前記制御手段は、前記フリクションの大きさを、前記エンジンに供給される潤滑油の温度に基づいて推定する。
【0026】
この態様によれば、エンジン・フリクションの大きさは、潤滑油の温度に基づいて推定されることになる。すなわち、油温が低い場合にはエンジン・フリクションが比較的大きい場合、油温が高い場合にはエンジン・フリクションが比較的小さい場合と、それぞれ推定することが可能である。そして、これによると、油温が低い場合には、該油温が高い場合に比べて、排気弁の開のタイミングは早められることになる。
【0027】
このように本態様によれば、エンジン・フリクションという直接的には知ることが困難なパラメータに代えて、潤滑油の温度という比較的容易に知りえるパラメータによって、前記排気弁、或いは前記吸気弁の制御を実施することが可能となるから、当該制御をより適切に行うことができる。
【0028】
この態様では、前記制御手段は、前記潤滑油の温度に基づいて推定された前記フリクションの大きさの正当性を、前記エンジンの回転数の上昇率に基づいて確認するように構成するとよい。
【0029】
このような構成によれば、前述のように、潤滑油の温度に基づいて推定されたエンジン・フリクションの大きさが、本当に正しいのか否か(すなわち、現実のエンジン・フリクションを正確に反映したものとなっているか否か)が、クランキング動作に伴うエンジンの回転数の上昇率に基づいて確認されることになる。ここでエンジンの回転数の上昇率とは、現時点におけるエンジン回転数をNe、エンジンにおけるクランキング動作開始時から前記回転数Neに至るまでの時間をtとすれば、一般にNe/tで表すことができる。
【0030】
このような上昇率Ne/tは、エンジン・フリクションの大きさFの影響を受ける。つまり、定性的には、Fが大きければNe/tは小さくなり、Fが小さければNe/tは大きくなるということがいえる。ただし、上昇率Ne/tとエンジン・フリクションの大きさFとの関係は、前者が「ある一定の範囲内」にあるときには、それに対応する後者の大きさが推定されるという関係にあり、前述の油温に基づくエンジン・フリクションの推定に比べると、若干正確性に劣るのが通常である。例えば、ある上昇率R1、R2及びR3(ただし、R1<R2<R3を満たす。)を想定したとき、現実に測定された上昇率Ne/tが、“R1<(Ne/t)≦R2”を満たすときには、エンジン・フリクションの大きさは“F1”と推定され、“R2<(Ne/t)≦R3”を満たすときには、“F2”と推定されるというようである。
【0031】
このように、回転数上昇率からエンジン・フリクションの大きさを推定することには、若干の不正確さが伴うものの、油温に基づいて推定されたエンジン・フリクションの大きさの正当性、すなわちこれが本当に正しいのか否かを確認するにあたって、前述のNe/tとFとの関係を用いることは非常に有効である。例えば、前述の具体例に沿い、或る油温に基づいて推定されたエンジン・フリクションの大きさが“F1”であったとし、これと同時に、上昇率Ne/tが、“R1<Ne/t≦R2”を満たすときには、エンジン・フリクションの大きさはやはり“F1”と推定されることになり、前記油温に基づく推定値は正当性を有すると判断することができる。
【0032】
要するに、本態様によれば、現実にエンジン・フリクションの大きさが一体どの程度であるかを極めて正確に知ることができることになる。そして、これによれば、前述の排気弁、或いは吸気弁の制御を、より的確に実施できることとなる。
【0033】
この構成では更に、前記制御手段は、前記正当性が否定された場合には、前記排気弁又は前記吸気弁の開閉タイミングに関する制御を実施しないように構成するとよい。
【0034】
このような構成では、まず、エンジン回転数の上昇率に基づいて確かめられ得る前記正当性が否定された場合、すなわち油温に基づくエンジン・フリクションの推定値と、上昇率に基づく同推定値とが整合的でない場合が前提とされている。このような状態では、当該エンジン或いは前記上昇率を知るために設置される回転数センサ等において、何らかの異常が発生している場合が考えられるから、むやみに排気弁及び吸気弁の開閉タイミングに関する制御を実施することは、当該事態をより深刻なものにしかねない。しかるに、本態様では、このような状態にあるときには、前記排気弁、或いは前記吸気弁の開閉タイミングに関する制御を実施しない。したがって、本態様によれば、該エンジンにおける、より安全サイドに立った運用を行うことができる。
【0035】
本発明の第1の動力出力装置の他の態様では、前記制御手段は、前記フリクションの大きさを、前記エンジンの回転数の上昇率に基づいて推定する。
【0036】
この態様によれば、エンジン・フリクションの大きさは、エンジンの回転数の上昇率に基づいて推定されることになる。すなわち、既述のように、上昇率が小さい場合にはエンジン・フリクションが比較的大きい場合、上昇率が大きい場合にはエンジン・フリクションが比較的小さい場合と、それぞれ推定することが可能である。そして、これによると、上昇率が大きい場合には、該上昇率が小さい場合に比べて、排気弁の開のタイミングは早められることになる。
【0037】
このように本態様によれば、エンジン・フリクションという直接的に知ることには困難が伴うパラメータに代えて、エンジン回転数の上昇率という比較的容易に知りえるパラメータによって、前記排気弁、或いは前記吸気弁の制御を実施することが可能となるから、当該制御をより適切に行うことができる。
【0038】
本発明の第2の動力出力装置は、上記課題を解決するために、それぞれ開閉時期を調整可能な吸気弁及び排気弁を備えたエンジンと、該エンジンから排出されるガスを触媒によって浄化する排気浄化手段と、前記エンジンを始動する際において、前記触媒の温度が低い場合には、該触媒の温度が高い場合に比べて、前記排気弁を開とするタイミングを早め、前記触媒の温度が高い場合には、該触媒の温度が低い場合に比べて、前記吸気弁を閉とするタイミングを遅くするように、前記吸気弁及び前記排気弁を制御する制御手段とを備えている。
【0039】
本発明の第2の動力出力装置によれば、まず、前記第1の動力出力装置と同様に、吸気弁及び排気弁それぞれの開閉時期が調整可能とされている。これを実現する構成としては、第1の動力出力装置に関して述べたことがそのまま当てはまる。また、本発明の動力出力装置では排気浄化手段が備えられており、これにより、エンジンから排出されるガス中のNOx等を除去することで、該ガスの浄化を図ることができる。
【0040】
そして本発明では特に、前記エンジンを始動する際において、前記触媒の温度が低い場合には、該触媒の温度が高い場合に比べて前記排気弁を開とするタイミングを早め、前記触媒の温度が高い場合には、該触媒の温度が低い場合に比べて前記吸気弁を閉とするタイミングを遅くするように、前記吸気弁及び前記排気弁を制御する制御手段を備えている。
【0041】
すなわち、本発明によれば第一に、触媒温度が比較的低い場合には、排気弁が開とされるタイミングが早められる。ちなみに、触媒温度が低い場合とは、エンジンの暖気が未だ十分でない状態、或いはそれ以前は車両及びエンジン等ともに完全に停止していた状態にある場合が典型的には想定される。そして、これによると、まず、エンジン停止中にシリンダ、吸気管及びサージタンク等に蓄えられた比較的多めの空気量に対応するため、燃料噴射量をも増大した状態で当該エンジンの再始動を行ったとしても、これによる燃焼室内における過剰な燃焼反応を原因としたエネルギは、排気弁を通じて、その一部が逃げ得ることになる。したがって、本発明によれば、該エンジンにおいて吹き上がりが発生することを防止することができる。また、同じ理由から、当該エンジンに搭載する車両におけるシフト・ポジションが、仮にDレンジにある場合にあっても、前記過剰な燃焼反応を原因とするエネルギが、ドライブシャフト及び車輪等に伝達されるという事態もまた、有効に防止されることになるから、当該車両の運転者に飛び出し感といった不快な運転感覚を与えることも殆どない。反対に、シフトポジションが、Dレンジにない場合にも、前記の吹き上がりは、騒音・振動を生じさせるという問題があるが、本発明においては、そのような不具合をも有効に解消することが可能である。
【0042】
また、排気弁を比較的早期に開くことによれば特に、前述のように、燃焼室内で発生したエネルギが排気弁を通じて排気管に逃がされることになるから、当該排気管の途上に通常設置されることとなる前記触媒浄化装置は、そのエネルギを受けて、温度を上昇させられることになる。つまり、触媒暖気が促進されることになるのである。これにより、触媒の活性化を早期に達成することができ、低公害性をよりよく実現することができる。
【0043】
他方、本発明によれば第二に、触媒温度が比較的高い場合には、吸気弁が閉とされるタイミングが遅くさせられる。ちなみに、触媒温度が高い場合とは、エンジンの暖気が十分な状態、或いは該エンジンを搭載する車両が動作状態にある場合が典型的には想定される。そして、これによると、まず、吸気弁が閉とされるタイミングが遅いことから、エンジンにおいて吹き上がりが発生することを防止することができる。
【0044】
また、このように触媒温度の高い場合に吸気弁を制御対象とすることによれば特に、前述のように排気弁を制御対象として吹き上がり防止を図る場合(すなわち、排気弁の比較的早期の開弁を実施する場合)に比べて、燃料消費量の節約を実現することができる。なぜなら、排気弁の早期の開弁を実施すると、燃焼室内で発生したエネルギが、排気弁及び排気管を通じて外部へと逃げてしまい、該エネルギ(燃焼エネルギ)の機械エネルギへの有効な変換をなしえないからである。もっとも、この点、触媒温度が低い場合には、既に述べたように前記エネルギは該触媒の早期暖気に利用されることから、該エネルギが全く無駄になるわけでない。
【0045】
以上のように、本発明によれば、触媒温度の高低に応じ、排気弁又は吸気弁の開閉時期を調整することによって、エンジン始動時において発生し得る不具合を極めて有効に解消することができる。また、前述の説明から明らかなように、触媒温度の高低に応じて、制御対象を選別すること(すなわち、制御対象を排気弁とするか吸気弁とするか)により、得られる作用効果との関係において、燃料の有効利用を図ることができる。
【0046】
なお、本発明において、触媒温度の高低を判定するためには、何らかの手段により求められた触媒温度(例えば、触媒浄化装置に付設される温度センサを用いて求められる。)が、予め定めた所定値以上となるか否か等の手法を用いることができる。あるいは、該触媒温度を多段階に区分けし、その各々について、排気弁を開とするタイミングがどの程度早めるか、又は吸気弁を閉とするタイミングをどの程度遅くするかを段階的に定めておく等の手法も有効である。
【0047】
また、本発明に係る「触媒の温度」は、例えば前記触媒浄化装置に温度センサを付設することにより、これを知ることができる。あるいは、このように直接的に触媒温度を知るのではなく、エンジンの回転数等の他の検出情報に基づいて間接的に推定することによって知るようにしてよい。
【0048】
さらに、本発明に係る動力出力装置は、後述するように、前記エンジンとモータジェネレータ装置とを組み合わせ、これらの協働的な動作によって動力出力が可能とされた、いわゆるハイブリッド型の動力出力装置に適用することが可能である他、基本的にエンジンのみを構成要素とするが、該エンジンの間欠運転が可能とされた動力出力装置(これを搭載する車両は、いわゆる「エコラン車」と呼びうる。)に適用することも可能である(なお、このようなエコラン車にも、前記間欠運転中における休止期間から運転期間への移行の際に、該エンジンに動力を供給するためのモータが付設される場合がある。)。
【0049】
本発明の動力出力装置の他の態様では、前記エンジンは間欠運転可能に構成されており、前記エンジンを始動する際は、前記間欠運転中、休止期間から運転期間への移行の際を含む。
【0050】
この態様によれば、エンジンにおいて間欠運転が可能とされている。ここで、エンジンの「間欠運転」とは、該エンジンについて、該エンジンを搭載する車両等が動作中であるか否かにかかわらず、ある一定の運転期間の後、暫く休止期間があり、その後再び運転期間に入るなどという運用がなされることを意味する。この場合、前記休止期間中は、エンジンにおいて燃料消費が生ぜず、かつ、エンジンから排気ガスが排出されるということもないから、低燃費性、低公害性がよりよく実現されることになる。なお、エンジンの休止が許される場合とは、具体的には例えば、アクセル開度の程度やバッテリの充電状態等に基づいて決定される。また、実際にエンジンが休止するという状態は、例えば信号待ち停車時、あるいは低速走行時等にとられる。
【0051】
そして本態様では特に、前記「エンジンを始動する際」は、前記休止期間から前記運転期間への移行の際を含んでいる。すなわち、本態様では、休止期間から運転期間への移行の際において、前述したような、制御手段による排気弁又は吸気弁の制御が実施され得ることになる。したがって、本態様によれば、車両動作中にエンジンがいったん休止され再び始動する際(いわゆる「Dレンジ」にある際)に、顕著に顕在化するエンジンの吹き上がりや車両の飛び出し感の発生等の問題を有効に解消することができる。反対に、シフトポジションが、Dレンジにない場合にも、前記の吹き上がりは、騒音・振動を生じさせるという問題があるが、本発明においては、そのような不具合をも有効に解消することが可能となる。
【0052】
本発明の動力出力装置の他の態様では、前述の本発明の動力出力装置(但し、その各種態様を含む。)において、前記エンジンの出力の少なくとも一部を用いて発電可能であると共に駆動軸を介して駆動力を出力可能なモータジェネレータ装置を更に備えている。
【0053】
この態様によれば、まず、エンジンの出力により発電し、或いは駆動軸を介して駆動力を出力するモータジェネレータ装置を備えている。このうち後者の性質によれば、駆動軸の回転は、モータジェネレータ装置によって実現される他、前記エンジンによっても実現可能(パラレルハイブリッド方式)であるから、例えばエンジンの出力が仮に低くても、モータジェネレータ装置を構成するモータによるアシストにより、十分な駆動力を得ることができる。また、前者の性質(発電)によれば、エンジンの出力を借りて、バッテリの充電を実現することが可能となるから、モータジェネレータ装置を構成するモータによる駆動軸に対する駆動力の付与は、特別な充電期間を設けるなどという必要なく、比較的長期にわたって実現可能となる(シリーズハイブリッド方式)。
【0054】
いずれにせよ、排気ガスを排出するエンジンの役割を相対的に縮小化することによって、燃料消費量を抑えるとともに、いわゆる環境汚染を招くこと等のない動力出力装置を提供することが可能となる。
【0055】
そして、本態様では特に、エンジンの間欠運転は、前記エコラン車に比べて、比較的頻度高く実行される可能性があり、したがって、当該動力出力装置を搭載する車両等が動作状態にあるときに、エンジン自動停止・再始動が行われる可能性はより大きくなっているといえる。このことは、前記車両等のシフト・ポジションが、いわゆるDレンジにあるときに、エンジン自動停止・再始動が行われる可能性もまた大きくなることを意味するから、前述した吹き上がり、或いは飛び出し感の発生という不具合が、より頻度高く発生する可能性があるということになる。
【0056】
しかるに、本態様においても、前述の本発明の動力出力装置に係る構成を備え、したがって、その作用効果を享受しえることに変わりはない。このことから、本態様によれば、前述の本発明の動力出力装置により得られる作用効果が、より効果的に享受されうるということができる。
【0057】
本発明の第1の動力出力装置の制御方法は、上記課題を解決するために、それぞれ開閉時期を調整可能な吸気弁及び排気弁を備えたエンジンを備えた動力出力装置を制御する動力出力装置の制御方法であって、前記エンジンを始動する際において、該エンジンを構成する摺動部材間で発生するフリクションが小さい場合には、該フリクションが大きい場合に比べて、前記排気弁を開とするタイミングを早める工程を含む。
【0058】
本発明の第1の動力出力装置の制御方法によれば、上述の本発明の第1の動力出力装置を好適に運用することができる。
【0059】
本発明の第2の動力出力装置の制御方法は、上記課題を解決するために、それぞれ開閉時期を調整可能な吸気弁及び排気弁を備えたエンジン及び該エンジンから排出されるガスを触媒によって浄化する排気浄化手段を備えた動力出力装置を制御する動力出力装置の制御方法であって、前記エンジンを始動する際において、前記触媒の温度が低い場合には、該触媒の温度が高い場合に比べて、前記排気弁を開とするタイミングを早める工程と、前記触媒の温度が高い場合には、該触媒の温度が低い場合に比べて、前記吸気弁を閉とするタイミングを遅くする工程とを含む
本発明の第2の動力出力装置の制御方法によれば、上述の本発明の第2の動力出力装置を好適に運用することができる。
【0060】
本発明の車両は、上記課題を解決するために、前述の本発明の第1又は第2の動力出力装置(ただし、その各種態様を含む。)を具備してなる。
【0061】
本発明の車両によれば、排気弁、或いは吸気弁の開閉時期の適切な制御を通じて、エンジンにおいて吹き上がりが発生することを防止し、当該車両の運転者に飛び出し感などといった不快な運転感覚を与えることを防止することが可能となる。
【0062】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、本発明に係るハイブリッド型の動力出力装置を、パラレルハイブリッド方式のハイブリッド車両に適用したものであり、更に、本発明に係る動力出力装置の制御方法は、当該ハイブリッド車両において実行されるものである。
【0064】
(ハイブリッド車両の基本構成及び動作)
先ず、本実施形態のハイブリッド車両の構成について図1を用いて説明する。ここに図1は、本実施形態のハイブリッド車両における動力系統のブロック図である。
【0065】
図1において、本実施形態のハイブリッド車両の動力系統は、エンジン150、モータジェネレータ装置の一例を構成するモータジェネレータMG1及びMG2、これらのモータジェネレータMG1及びMG2を夫々駆動する駆動回路191及び192、これらの駆動回路191及び192を制御する制御ユニット190、並びにエンジン150を制御するEFIECU(Electrical Fuel Injection Engine Control Unit)170を備えて構成されている。
【0066】
本実施形態では、エンジン150は、ガソリンエンジンである。エンジン150は、クランクシャフト156を回転させる。エンジン150の運転は、EFIECU170により制御されている。EFIECU170は、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムに従い、エンジン150の燃料噴射量や回転速度その他の制御を実行する。図示を省略したが、これらの制御を可能とするために、EFIECU170にはエンジン150の運転状態を示す種々のセンサが接続されている。
【0067】
モータジェネレータMG1及びMG2は、同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ132及び142と、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータ133及び143とを備える。ステータ133及び143は、ケース119に固定されている。モータジェネレータMG1及びMG2のステータ133及び143に巻回された三相コイルは、夫々駆動回路191及び192を介してバッテリ194に接続されている。
【0068】
駆動回路191及び192は、各相ごとにスイッチング素子としてのトランジスタを2つ1組で備えたトランジスタインバータである。駆動回路191及び192は夫々、制御ユニット190に接続されている。制御ユニット190からの制御信号によって駆動回路191及び192のトランジスタがスイッチングされると、バッテリ194とモータジェネレータMG1及びMG2との間に電流が流れる。
【0069】
モータジェネレータMG1及びMG2は夫々、バッテリ194からの電力の供給を受けて回転駆動するモータ(電動機)として動作することもできる(以下適宜、この運転状態を“力行”と呼ぶ)。或いは、ロータ132及び142が外力により回転している場合には三相コイルの両端に起電力を生じさせるジェネレータ(発電機)として機能してバッテリ194を充電することもできる(以下適宜、この運転状態を“回生”と呼ぶ)。
【0070】
エンジン150とモータジェネレータMG1及びMG2とは夫々、プラネタリギヤ120を介して機械的に結合されている。プラネタリギヤ120は、遊星歯車とも呼ばれ、以下に示す夫々のギヤに結合された3つの回転軸を有している。プラネタリギヤ120を構成するギヤは、中心で回転するサンギヤ121、サンギヤの周辺を自転しながら公転するプラネタリピニオンギヤ123、及びその外周で回転するリングギヤ122である。プラネタリピニオンギヤ123はプラネタリキャリア124に軸支されている。本実施形態のハイブリッド車両では、エンジン150のクランクシャフト156はダンパ130を介してプラネタリキャリア軸127に結合されている。ダンパ130はクランクシャフト156に生じる捻り振動を吸収するために設けられている。モータジェネレータMG1のロータ132は、サンギヤ軸125に結合されている。モータジェネレータMG2のロータ142は、リングギヤ軸126に結合されている。リングギヤ122の回転は、チェーンベルト129を介して駆動軸112、更に車輪116R及び116Lに伝達される。
【0071】
次に以上の如く構成された本実施形態のハイブリッド車両の動力系統における動作について説明する。
【0072】
先ず、プラネタリギヤ120の動作について図2及び図3を参照して説明する。
【0073】
プラネタリギヤ120は、上述した3つの回転軸のうち、2つの回転軸の回転数及びトルク(以下適宜、両者をまとめて“回転状態”と呼ぶ)が決定されると残余の回転軸の回転状態が決まるという性質を有している。各回転軸の回転状態の関係は、機構学上周知の計算式によって求めることができるが、共線図と呼ばれる図により幾何学的に求めることもできる。
【0074】
図2に共線図の一例を示す。縦軸が各回転軸の回転数を示している。横軸は、各ギヤのギヤ比を距離的な関係で示している。サンギヤ軸125(図中のS)とリングギヤ軸126(図中のR)を両端にとり、位置Sと位置Rの間を1:ρに内分する位置Cをプラネタリキャリア軸127の位置とする。ρはリングギヤ122の歯数に対するサンギヤ121の歯数の比である。こうして定義された位置S、C及びRに、夫々のギヤの回転軸の回転数Ns、Nc及びNrをプロットする。プラネタリギヤ120は、このようにプロットされた3点が必ず一直線に並ぶという性質を有している。この直線を動作共線と呼ぶ。動作共線は2点が決まれば一義的に決まる。従って、動作共線を用いることにより、3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転数から残余の回転軸の回転数を求めることができる。
【0075】
また、プラネタリギヤ120では、各回転軸のトルクを動作共線に働く力に置き換えて示したとき、動作共線が剛体として釣り合いが保たれるという性質を有している。具体例として、プラネタリキャリア軸127に作用するトルクをTeとする。このとき、図2に示す通り、トルクTeに相当する大きさの力を位置Cで動作共線に鉛直下から上に作用させる。作用させる方向はトルクTeの方向に応じて定まる。また、リングギヤ軸126から出力されるトルクTrを位置Rにおいて動作共線に、鉛直上から下に作用させる。図中のTes,Terは剛体に作用する力の分配法則に基づいてトルクTeを等価な2つの力に分配したものである。「Tes=ρ/(1+ρ)×Te」「Ter=1/(1+ρ)×Te」なる関係がある。以上の力が作用した状態で、動作共線図が剛体として釣り合いがとれているという条件を考慮すれば、サンギヤ軸125に作用すべきトルクTm1と、リングギヤ軸に作用すべきトルクTm2とを求めることができる。トルクTm1はトルクTesに等しくなり、トルクTm2はトルクTrとトルクTerとの差分に等しくなる。
【0076】
プラネタリキャリア軸127に結合されたエンジン150が回転をしているとき、動作共線に関する上述の条件を満足する条件下で、サンギヤ121およびリングギヤ122は様々な回転状態で回転することができる。サンギヤ121が回転しているときは、その回転動力を利用してモータジェネレータMG1により発電することが可能である。リングギヤ122が回転しているときは、エンジン150から出力された動力を駆動軸112に伝達することが可能である。図1に示した構成を有するハイブリッド車両では、エンジン150から出力された動力を駆動軸に機械的に伝達される動力と、電力として回生される動力に分配し、さらに回生された電力を用いてモータジェネレータMG2を力行して動力のアシストを行うことによって所望の動力を出力しながら走行することができる。こうした動作状態は、ハイブリッド車両の通常走行時に取り得る状態である。なお、全開加速時等の高負荷時には、バッテリ194からもモータジェネレータMG2に電力が供給され、駆動軸112に伝達する動力を増大している。
【0077】
また、上述のハイブリッド車両では、モータジェネレータMG1またはMG2の動力を駆動軸112から出力することができるため、これらのモータにより出力される動力のみを用いて走行することもできる。従って、車両が走行中であっても、エンジン150は停止していたり、いわゆるアイドル運転していたりすることがある。この動作状態は、発進時或いは低速走行時に取り得る状態である。
【0078】
更に、本実施形態のハイブリッド車両では、エンジン150から出力された動力を2経路に分配するのではなく、駆動軸112側だけに伝達させることもできる。これは、高速定常走行時に取り得る動作状態であり、モータジェネレータMG2は高速走行による慣性によって連れ回された状態となり、モータジェネレータMG2によるアシストなしにエンジン150から出力された動力のみの走行となる。
【0079】
図3は、この高速定常走行時の共線図を示している。図2に示す共線図ではサンギヤ軸125の回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転数Neとリングギヤ軸126の回転数Nrとによって、図3に示す共線図のように負となる。このときには、モータジェネレータMG1では、回転の方向とトルクの作用する方向とが同じになるから、モータジェネレータMG1は電動機として動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わされる電気エネルギを消費する(逆転力行の状態)。一方、モータジェネレータMG2では、回転の方向とトルクの作用する方向とが逆になるから、モータジェネレータMG2は発電機として動作し、トルクTm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギをリングギヤ軸126から回生することになる。
【0080】
このように、本実施形態のハイブリッド車両は、プラネタリギヤ120の作用に基づいて種々の運転状態で走行することができる。
【0081】
続いて、制御ユニット190による制御動作について再び図1を参照して説明する。
【0082】
図1において、本実施形態の動力出力装置の運転全体は、制御ユニット190により制御されている。制御ユニット190は、EFIECU170と同様、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータである。制御ユニット190はEFIECU170と接続されており、両者は種々の情報を伝達し合うことが可能である。制御ユニット190は、エンジン150の制御に必要となるトルク指令値や回転数の指令値などの情報をEFIECU170に送信することにより、エンジン150の運転を間接的に制御可能に構成されている。制御ユニット190はこうして、動力出力装置全体の運転を制御しているのである。
【0083】
かかる制御を実現するために制御ユニット190には、種々のセンサ、例えば、駆動軸112の回転数を知るためのセンサ144などが設けられている。リングギヤ軸126と駆動軸112とは機械的に結合されているため、本実施形態では、駆動軸112の回転数を知るためのセンサ144をリングギヤ軸126に設け、モータジェネレータMG2の回転を制御するためのセンサと共通にしている。
【0084】
(ハイブリッド車両の動力系統における電気回路)
次に図4を参照して、本実施形態のハイブリッド車両の動力系統に備えられる電気回路について更に詳細に説明する。即ちここでは、図1に示した制御ユニット190、モータジェネレータMG1及びMG2、駆動回路191及び192、並びにバッテリ194の詳細について述べる。
【0085】
図4に示すように、バッテリ194に対して、インバータコンデンサ196と、モータジェネレータMG1に接続される駆動回路191と、モータジェネレータMG2に接続される駆動回路192とが夫々並列に接続されている。
【0086】
バッテリ194は、詳細には、電池モジュール部194aと、SMR(システムメインリレー)194bと、電圧検出回路194cと、電流センサ194d等を備える。SMR194bは、制御ユニット190からの指令により高電圧回路の電源の接続・遮断を行うもので、電池モジュール部194aの+−両極に配置された2個のリレーR1及びR2から構成される。バッテリ194に2個のリレーR1及びR2を設けたのは、電源の接続時には、まずリレーR2をオンし、続いてリレーR1をオンし、電源の遮断時には、まずリレーR1をオフし、続いてリレーR2をオフすることにより、確実な作動を行うことを可能とするためである。電圧検出回路194cは、電池モジュール部194aの総電圧値を検出する。電流センサ194dは、電池モジュール部194aからの出力電流値を検出する。電圧検出回路194c及び電流センサ194dの出力信号は、制御ユニット190に送信される。
【0087】
駆動回路191及び192は、バッテリの高電圧直流電流とモータジェネレータMG1及びMG2用の交流電流の変換を行う電力変換装置であり、詳細には、6個のパワートランジスタで構成される3相ブリッジ回路191a及び192aを夫々備えており、この3相ブリッジ回路191a及び192aにより直流電流と3相交流電流との変換を行っている。
【0088】
駆動回路191及び192には、電圧検出回路191b及び192bが夫々設けられている。電圧検出回路191b及び192bは、モータジェネレータMG1及びMG2の逆起電圧を夫々検出する。3相ブリッジ回路191a及び192aの各パワートランジスタの駆動は、制御ユニット190により制御されると共に、駆動回路191及び192から制御ユニット190に対し、電圧検出回路191b及び192bにて検出された電圧値や、3相ブリッジ回路191a及び192aとモータジェネレータMG1及びMG2との間に設けられた図示しない電流センサにて検出された電流値など電流制御に必要な情報を送信している。
【0089】
(直噴式ガソリンエンジン)
次に図5を参照して、本実施形態のハイブリッド車両に備えられる直噴式エンジンについて更に詳細に説明する。即ちここでは、図1に示すエンジン150の詳細に付いて述べる。
【0090】
図5に示すように、エンジン150は、燃料室内に燃料を直接噴射する、いわゆる直噴式ガソリンエンジンである。エンジン150は、EFIECU170により制御される。エンジン150は、シリンダブロック14を備えている。シリンダブロック14の内部には、シリンダ16が形成されている。なお、エンジン150は、複数のシリンダを備えているが、説明の便宜上、図5には複数のシリンダのうち1つのシリンダ16を示している。
【0091】
シリンダ16の内部にはピストン18が配設されている。ピストン18は、シリンダ16の内部を、図5における上下方向に摺動することができる。シリンダ16の内部において、ピストン18の上方には燃焼室20が形成されている。燃焼室20には、燃料噴射弁22の噴射口が露出している。エンジン150の運転中、燃料噴射弁22には燃料ポンプ24から燃料が圧送される。燃料噴射弁22及び燃料ポンプ24は、EFIECU170に接続されている。燃料ポンプ24は、EFIECU170から供給される制御信号に応じて燃料噴射弁22側へ燃料を圧送する。また、燃料噴射弁22は、EFIECU170から供給される制御信号に応じて燃焼室20内へ燃料を噴射する。
【0092】
また、燃焼室20には、点火プラグ26の先端が露出している。点火プラグ26は、EFIECU170から点火信号を供給されることにより、燃焼室20内の燃料に点火する。燃焼室20には、排気弁28を介して排気管30が連通している。燃焼室20には、また、吸気弁32を介して吸気マニホールド34の各枝管が連通している。吸気マニホールド34は、その上流側においてサージタンク36に連通している。サージタンク36の更に上流側には吸気管38が連通している。
【0093】
ここで本実施形態では特に、前記排気弁28及び吸気弁32は、それぞれ開閉時期が調整可能に構成されている。図6には、これを実現するための構成の一例が示されている。図6において、排気弁28の図中左上方には、該排気弁28の上端に当接するように排気弁用カム281が設けられており、該排気弁用カム281にはカムシャフト282が図面に垂直な方向に貫通すように設けられている。また、吸気弁32についても同様に、該吸気弁32の図中右上方には、吸気弁用カム321及びカムシャフト322が設けられている。これにより、排気弁28及び吸気弁32は、排気弁用カム281及び吸気弁用カム321の回転角度によって、燃焼室20に対して開き又は閉じるように動作することになる。
【0094】
また、前記カムシャフト282及び322には、図に概念的に示されるように、電動モータ283及び323が接続されている。カムシャフト282及び322は、電動モータ283及び323が発する動力により任意に回転可能となっている。なお、電動モータ283及び323は、図1に示す制御ユニット190に接続されており、その制御下において動作するようにされている。
【0095】
これにより、本実施形態においては、エンジン150の動静とは無関係に、排気弁28及び吸気弁32の開閉タイミングの調整が可能となっている。これは、電動モータ282及び322によって、カムシャフト282及び322の回転角度、すなわち排気弁用カム281及び吸気弁用カム321の角度が調整されるからである。
【0096】
尚、本実施形態では、電動モータ282及び322以外にも、排気弁用カム281及び吸気弁用カム321の角度調整用に、油圧式等の各種既存の位相制御機構を採用することも可能である。
【0097】
また、上述の各種の構成要素のうち、エンジン150を構成するピストン18、カムシャフト282及び322、これらの動きに応じて動作する排気弁28及び吸気弁32等が、本発明にいう「摺動部材」の一例を構成する。エンジン150には、図5に示すように給油管101を介して、オイルポンプ102及びオイルパン103が接続されており、該エンジン150にはこれらを通じて潤滑油が供給されるようになっている。そして、この潤滑油は、前述したような各種の摺動部材間に供給される。これにより、摺動部材はスムースな動きを行うことが可能とされている。
【0098】
さらに、本実施形態では、エンジン150内における潤滑油の温度を知るための潤滑油温度センサ104が設けられている。この潤滑油温度センサ104は、EFIECU170に接続されており、時々刻々変化する潤滑油の温度を該EFIECU170に送信するようになっている。EFIECU170は、その計測結果に基づき、エンジン150の排気弁28及び吸気弁32の開閉タイミングを調整するが、この点については後述することとする。
【0099】
吸気管38には、スロットル弁40が配設されている。スロットル弁40は、スロットルモータ42に連結されている。そして、スロットルモータ42は、EFIECU170に接続されている。スロットルモータ42は、EFIECU170から供給される制御信号に応じてスロットル弁40の開度を変化させる。スロットル弁40の近傍には、スロットル開度センサ44が配設されている。スロットル開度センサ44は、スロットル弁40の開度(以下適宜、スロットル開度SCと称す)に応じた電気信号をEFIECU170に向けて出力する。EFIECU170は、スロットル開度センサ44の出力信号に基づいてスロットル開度SCを検出する。
【0100】
EFIECU170には、また、イグニッションスイッチ76(以下、IGスイッチ76と称す)が接続されている。EFIECU170は、IGスイッチ76の出力信号に基づき、IGスイッチ76のオン/オフ状態を検出する。IGスイッチ76がオン状態からオフ状態とされると、燃料噴射弁22による燃料噴射、点火プラグ26による燃料の点火、及び、フューエルポンプ24による燃料の圧送が停止され、エンジン150の運転が停止される。
【0101】
アクセルペダル78の近傍には、アクセル開度センサ80が配設されている。アクセル開度センサ80は、アクセルペダル78の踏み込み量(以下適宜、アクセル開度ACと称す)に応じた電気信号をEFIECU170に向けて出力する。EFIECU170は、アクセル開度センサの出力信号に基づいてアクセル開度ACを検出する。
【0102】
本実施形態では、吸気管38には、ターボ過給装置39が設けられており、例えば排気管30側に設けられたタービンに連動するタービンにより、吸気管38内に圧縮空気をターボ過給するように構成されている。また、ターボ過給装置39の回転軸は、モータジェネレータMG1及びMG2とは異なる専用のモータジェネレータによって駆動され、その回転数増大によってターボ過給による過給圧が高められるように構成されている。即ち、「ターボアシスト」が実行可能に構成されている。尚、係る専用のモータジェネレータは、排気管30側におけるエンジン150の排気エネルギを発電により回生可能に構成されている。更に、ターボ過給装置39は、EFIECU170による制御を受けて、特定タイミングで筒内圧力を可変に高めるように構成してもよい。
【0103】
本実施形態では、排気管30には、三元触媒装置31が設けられており、これにより排気ガス浄化性能が高められている。尚、三元触媒装置31は、一定温度以上の高温でないと、その浄化性能が顕著に低下する。そこで、三元触媒装置31には、温度センサ31Tが取り付けられており、その触媒温度Tcが検出され、触媒温度情報としてEFIECU170に入力される。或いは、このような触媒温度Tcは、エンジン150におけるエンジン回転数等の他の検出情報に基づいて間接的に推定してもよい。このように検出又は推定された触媒温度Tcは、当該触媒温度Tcが一定温度以下に低下しないようにエンジン制御するのに用いられる。
【0104】
(第1実施形態−潤滑油油温に基づく排気弁及び吸気弁の制御−)
以下では、本発明に係る制御手段を構成する制御ユニット190及びEFIECU170により、エンジン150における吹き上がりを防止するため、或いは図1に示すハイブリッド車両の運転者に飛び出し感などを与えないための制御を実施する態様について、これを第1実施形態とし、図7乃至図9を参照しながら説明する。ここに図7は、排気弁28及び吸気弁32の開閉時期を制御することにより、前述の不都合を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。また、図8は、エンジン150に供給される潤滑油の温度と該エンジン150を構成する摺動部材間で発生するフリクションの大きさとの関係を示すグラフであり、図9は、クランキング動作に伴うエンジン150の回転数の上昇率を、エンジン・フリクションをパラメータとして表したグラフである。
【0105】
なお、以下の説明においては、エンジン150は、図2及び図3を参照しながら説明したように、ある時は運転され、ある時は休止するという間欠運転がなされているものとする。すなわち、第1実施形態において、エンジン150は、運転期間から休止期間への移行時点、あるいはその逆の休止期間から運転期間への移行時点という二つの移行時点を、時間の経過とともに、適宜経験することが予定されている。これは、当該ハイブリッド型の動力出力装置(図1参照)では、エンジン150及びモータジェネレータMG1及びMG2の協働により車両を運行可能であることにより、該エンジン150を常に作動させておく必要がないことによる。なお、ここでエンジン150を休止させてもよい場合とは、具体的には例えば、アクセル開度ACの程度やバッテリ194の充電状態、あるいは触媒温度Tc等に基づいて決定される。また、実際にエンジン150が休止するという状態は、例えば車両が信号待ち停車時にあるとき、あるいは低速走行時にあるとき等にとられる。
【0106】
そして、図7に示す一連の処理は、上述のようなエンジン150の間欠運転が実施されている場合において、エンジン150が休止期間から運転期間へ移行する場合において実施されることを前提としている。
【0107】
図7においては、まず、エンジン150のクランキングが開始される(ステップS11)。すなわち、制御ユニット190は、モータジェネレータを作動させ、その動力を、クランクシャフト156を介してエンジン150に伝達させることによって、該エンジン150内におけるピストン18等が動作させられることになる。
【0108】
次に、潤滑油の温度が、図5に示した潤滑油温度センサ104によって測定され(ステップS12)、この測定された油温に基づいてエンジン150を構成する摺動部材間で発生するフリクションの現在値(以後、これを“Fo”とする。)が推定される(ステップS13)。ここで潤滑油の温度とエンジン・フリクションとの間には、図8に示すような関係が見られる。すなわち、油温が上昇すればする程、エンジン・フリクションは低下していくことがわかる。これは、油温があまりに低いと、潤滑油の粘度が高まるため、摺動部材間で生じる摩擦を減少させることができないからである。前記ステップS13におけるエンジン・フリクションFoの推定は、図8に示すような関係に基づいて行われることになる。
【0109】
次に、EFIECU170内に設置された図示しないタイマによって一定時間tの経過が測定されるとともに、当該一定時間の経過時点におけるエンジン150の回転数Neが、前述の駆動軸112の回転数を知るためのセンサ144(図1参照)によって測定される。これにより、エンジン150の回転数の上昇率Rが算出されることになる(ステップS14)。すなわち、上昇率Rは、前記回転数Neを前記時間tで除すことにより得られる(R=Ne/t)。
【0110】
ところで、経過時間とエンジン回転数とは、図9に示すように、概ね比例関係にあるものとして表すことができる。したがって、前述のように求められる上昇率Rは、図9に示す直線の傾きに一致することがわかる。
【0111】
また、この経過時間とエンジン回転数との関係は、エンジン・フリクションの大きさの影響を受ける。つまり、定性的には、Fが大きければRは小さくなり(即ち、図9において、直線は寝るようになり、直線Rs参照。)、Fが小さければRは大きくなる(即ち、図9において、直線は立ち上がるようになる、直線Rt参照)ということがいえる。ただし、上昇率Rとエンジン・フリクションの大きさFとの関係は、前者が「ある一定の範囲内」にあるときには、それに対応する後者が推定されるという関係にあり、前述の油温に基づくエンジン・フリクションの推定に比べると、若干正確性に劣るのが通常である。例えば、図9に併せて示されるように、ある上昇率R1及びR2(ただし、R1<R2を満たす。)を想定したとき、現実に測定された上昇率Rが、“R1<R≦R2”を満たすとき(図中、ハッチングされた領域参照)には、エンジン・フリクションの大きさは“Fr”と推定されるというようである。
【0112】
このように、回転数上昇率からエンジン・フリクションの大きさを推定することには、若干の不正確さが伴うものの、油温に基づいて推定されたエンジン・フリクションの大きさ“Fo”の正当性、すなわち該“Fo”が現実のエンジン・フリクションの大きさを正確に反映している正しい値であるか否かを確認するにあたって、前述のRとFとの関係を用いることは非常に有効である。
【0113】
そして、図7のステップS15及びステップS16では、上述した趣旨に沿い、まず、図9に示したような関係から、上昇率Rに基づいてエンジン・フリクションの大きさ“Fr”が推定され(ステップS15)、続いて、この“Fr”と、図8に示したような関係から油温に基づいて推定されたエンジン・フリクションの大きさ“Fo”とが整合的であるかどうかが判定される(ステップS16)ことになる。ここで「整合的であるかどうか」は、例えば単純には、「Fo=Fr」が成立するかどうかに基づいて判定するようにしてよい。すなわち、Fo=Frが成立する場合には、両推定値は整合的であると判定され、そうでない場合には整合的でないと判定されるということになる。そして、整合的であると判定される場合には、前記油温に基づく推定値“Fo”は、正当性を有すると判断することができる。
【0114】
なお、上記では、両推定値Fo及びFr間の整合性を判定するために、Fo=Frなる式を用いたが、これに代えて、ある一定の幅αを仮定し、「Fr−α<Fo<Fr+α」が成立する場合には整合的であり、そうでない場合には整合的でないなどと判定するようにしてもよい。その他、種々のバリエーションが考えられるが、本発明は、基本的にどのような態様であっても、その範囲内に収めるものである。
【0115】
さて、以上のように、図7のステップS16において、Fo及びFrが整合的と判断された場合には、次なる処理へと進み(ステップS17へ)、そうでない場合には、当該処理を終了する(ステップENDへ)。
【0116】
このように、第1実施形態においては、前記正当性が否定された場合、すなわち油温に基づくエンジン・フリクションの推定値“Fo”と、上昇率に基づく同推定値“Fr”とが整合的でない場合には、後述する排気弁28、或いは吸気弁32の開閉タイミングに関する制御を実施しない(ステップS16からステップENDへ)。これは、このような状態では、当該エンジン150或いは前記上昇率Rを知るために用いられるセンサ144等において、何らかの異常が発生している場合が考えられるからである。このような状態で、むやみに排気弁28及び吸気弁32の開閉タイミングに関する制御を実施することは、当該事態をより深刻なものにしかねない。以上のことから、第1実施形態によれば、エンジン150における、より安全サイドに立った運用を行うことができる。
【0117】
他方、Fo及びFrが整合的、即ちFoが正当性を有すると判定されたときには、続いて、このエンジン・フリクションの大きさ“Fo”が、予め定められた所定値(以後、これを“Fth”とする。)以上であるか否かが判断される(ステップS17)。ここで、Fo<Fthであれば、排気弁28に関する処理(ステップS181)へと移行し、Fo≧Fthであれば、吸気弁32に関する処理(ステップS182)へと移行する。
【0118】
まず、前者の場合(Fo<Fth)について説明すると、推定されたエンジン・フリクションの大きさ“Fo”が、所定値Fthよりも小さいということは、当該Foは、比較的小さい値をとっているということができる。この場合、当該エンジン150は一定程度暖気されている状態、換言すれば図1に示すハイブリッド車両が既に動作状態にあると典型的には想定される。第1実施形態では、このような状態において、排気弁28が開となるタイミングを、エンジン・フリクションの大きさが比較的大きい場合よりも早くなるように制御する(ステップS181)。すなわち、制御ユニット190は、図6に示した電動モータ283に制御信号を送り、カムシャフト282を適当な角度回転させることにより、排気弁用カム281の角度を調整し、もって排気弁28が、本来のタイミングよりも早くに、燃焼室20に対して開くように調整するのである。
【0119】
このような制御を実施することで、次のような作用効果が得られる。すなわち、第1実施形態では、前記のように、エンジン150が間欠運転されている状態であって、その休止期間から運転期間への移行時点で、図7に示す処理が実施されている場合が想定されている。つまり、当該エンジン150を搭載する車両にあっては、シフト・ポジションがDレンジにある場合が一般的に想定されることになる。
【0120】
ここで、前記休止期間においては、シリンダ16、吸気管38及びサージタンク36等内の空気は大気圧になり、したがって、これらの内部には比較的多めの空気量が存在することになる。したがって、当該エンジン150を再始動するためには、前記比較的多めの空気量に対応するため、燃焼室20内に対する燃料噴射量もまた、相対的に増大しなければならない。しかしながら、これでは、燃焼室20内で過剰な燃焼反応、いわゆる「吹き上がり」が生じることで、エンジン150の動作特性を悪化させるおそれが大きい。
【0121】
また、このようなエンジン150の吹き上がりが生じると、前述のように当該エンジン150を搭載する車両がいまDレンジにあることが一般的に想定されることから、該吹き上がりに起因するエネルギが、ピストン18、ドライブシャフト112及び車輪116R及び116Lに伝達されることにより、当該車両は、突飛な動きをする可能性が大きくなる。すなわち、車両は突然、前方に飛び出すが如き動作をすることとなり、運転者に不快な運転感覚を与えることになる。反対に、シフトポジションが、Dレンジにない場合にも、前記の吹き上がりは、騒音・振動を生じさせるという問題がある。
【0122】
しかるに、第1実施形態では、既述のように、排気弁28が比較的早期に開弁されることにより、燃焼室20内における前記の過剰な燃焼反応を原因としたエネルギは、排気弁28を通じて、その一部が逃げ得ることになる。したがって、第1実施形態によれば、該エンジン150において吹き上がりが発生することを有効に防止することが可能となる。また、同じ理由から、前記のような飛び出し感を運転者に与えることも防止することができる。さらに、シフトポジションがDレンジにない場合にも、前記の騒音・振動の発生を極力抑制することができる。
【0123】
他方、後者の場合(Fo≧Fth)について説明すると、推定されたエンジン・フリクションの大きさ“Fo”が、所定値Fth以上であるということは、当該Foは、比較的大きい値をとっているということができる。この場合、当該エンジン150は冷えている状態にあったと典型的には想定される。第1実施形態では、このような状態において、吸気弁32が閉となるタイミングを、エンジン・フリクションの大きさが比較的小さい場合よりも早くなるように制御する(ステップS182)。すなわち、制御ユニット190は、図6に示した電動モータ323に制御信号を送り、カムシャフト322を適当な角度回転させることにより、吸気弁用カム321の角度を調整し、もって吸気弁32が、本来のタイミングよりも早くに、燃焼室20に対して閉まるように調整するのである。
【0124】
このような制御を実施することで、次のような作用効果が得られる。すなわち、吸気弁32が比較的早期に閉とされることから、燃焼室20内の空気量を十分確保した状態におくことが可能となり、圧縮量を上昇させることができることから、当該エンジンの始動特性を良好に確保することが可能となるのである。
【0125】
ちなみに、ステップS182に至っている本ケースでは、上述のようにエンジン・フリクションの大きさ“Fo”は、比較的大きい値をとっていること、及び、該“Fo”が比較的小さい場合には、前記のような排気弁28の早期開弁処理が実施されること(ステップS181)との関係上、当該排気弁28は、エンジン・フリクション“Fo”が比較的小さい場合に比べて「遅め」に開弁されることになる。すなわち、クランキング動作は、排気弁28が未だ閉とされた状態で行われ得ることになる。したがって、これによっても、燃焼室20内の空気量を十分確保した状態におくことが可能となり、圧縮量を上昇させることができることから、当該エンジンの始動特性を良好に確保することが可能となる。
【0126】
以上のように、第1実施形態によれば、エンジン・フリクション“Fo”の大小に応じ、排気弁28、或いは吸気弁32の開閉時期を調整することによって、エンジン始動時において発生し得る不具合を極めて有効に解消することができるのである。
【0127】
なお、上記第1実施形態においては、エンジン・フリクション“Fo”が、所定値Fthとの対比において大きいか小さいかという二者択一的な判断に基づいた処理がなされる例について説明したが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、推定されたエンジン・フリクションの大きさ“Fo”を多段階に区分けし、その各々について対応する排気弁28及び吸気弁32の進角量を定めておく等というように、よりきめ細かな処理を実施するようにしてもよい。
【0128】
また、上記第1実施形態においては、Fo≧Frなる場合に、吸気弁32についての処理(ステップS182)が実施されていたが、本発明においては、場合により当該処理を省略するようにしてよい(すなわち、この場合、排気弁32に関する制御のみの実施となる。)。
【0129】
さらに、上記第1実施形態においては、現実のエンジン・フリクションの大きさをより正確に推定するために、油温及び上昇率の双方を用いていたが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、場合により、油温のみ、又はクランキング動作に伴うエンジン回転数の上昇率のみに基づいて、エンジン・フリクションの大きさを推定するような形態としてよい。具体的には、前者の場合(油温のみに基づく推定)、図7においてステップS14からステップS16までの処理が省略された形態を想定すればよく、後者の場合(上昇率のみに基づく推定)、ステップS12、ステップS13及びステップS16の処理を省略するとともに、ステップS17における処理中、「S13」とあるのを、「S15」と読み替えた処理を想定すればよい。
【0130】
加えて、上記第1実施形態においては、図7に示す一連の処理は、エンジン150が間欠運転されている場合において、その休止期間から運転期間への移行時点で実施されることが前提されていたが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。すなわち、エンジン150及びモータジェネレータMG1及びMG2が完全に停止しており、図7に示す処理を実施する直前、図1に示すハイブリッド車両及びエンジン150等がいわば完全に停止した状態から、エンジン150を始動する場合においても、前述の処理を実施することが可能である。
【0131】
なお、このような場合においては、エンジン・フリクションの大きさ“Fo”は非常に大きくなることが推測されるから、図7では、ステップS17からステップS182へ流れる処理が実施される可能性が極めて大きい。また、このような場合、前述の吹き上がり、或いは飛び出し感などといった不具合に目を向けるよりも、当該エンジン150が確実に始動することができるかどうかが目下の課題となる。したがって当該場合に、エンジン150の始動特性の確保が実現される図7のステップS182に係る処理が実施されることは、好都合であり、また合理的でもある。
【0132】
(第2実施形態−触媒温度に基づく排気弁及び吸気弁の制御−)
以下では、本発明に係る制御手段を構成する制御ユニット190及びEFIECU170により、エンジン150における吹き上がりを防止するため、或いは図1に示すハイブリッド車両の運転者に飛び出し感などを与えないための制御を実施する上記とは別の態様について、これを第2実施形態とし、図10を参照しながら説明する。ここに図10は、排気弁及び吸気弁の開閉時期を制御することにより、前述の不都合を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。
【0133】
なお、第2実施形態では、上述した「ハイブリッド車両の基本構成及び動作」、「ハイブリッド車両の動力系統における電気回路」及び「直噴式ガソリンエンジン」の構成及び作用等については全く同様である。また、上記第1実施形態において前提されていた事項(すなわち、エンジン150は間欠運転されていること、及び、図10に示すフローチャートは、前記間欠運転実施中、休止期間から運転期間への移行時点で実施されること)も同様である。したがって、以下では、これらの説明については省略することとし、主に第2実施形態において特徴的な部分についてのみ説明を加えることとする。
【0134】
図10においては、まず、エンジン150のクランキングが開始される(ステップS21)。この点は、図7のステップS11と全く同様である。
【0135】
次に、触媒の温度が、図5に示した触媒温度センサ31Tによって測定される(ステップS22)。続いて、この測定された触媒の温度 “Tc”が、予め定められた所定値(以後、これを“Tth”とする。)以上であるか否か判断される(ステップS23)。ここで、Tc<Tthであれば、排気弁28に関する処理(ステップS241)へと移行し、Tc≧Tthであれば、吸気弁32に関する処理(ステップS242)へと移行する。
【0136】
まず、前者の場合(Tc<Tth)について説明すると、測定された触媒温度Tcが、所定値Tthよりも小さいということは、当該Tcは、比較的小さい値をとっているということができる。この場合、当該エンジン150は、未だ暖気が十分でない状態、或いはそれ以前は図1に示すハイブリッド車両及びエンジン150がともに完全に停止していた状態にある場合が典型的には想定される。
【0137】
そして、第2実施形態では、このような状況下において、排気弁28が開となるタイミングを、触媒温度Tcが比較的高い場合よりも早くなるように制御する(ステップS241)。これを実現するための、具体的な関連機構(図6参照)の動作は、ステップS181に関して述べたのと同様である。
【0138】
これによると、まず、排気弁28に関する早期開弁制御が実施されることにより、前述の第1実施形態におけるステップS181において説明したのと同様に、エンジン150において吹き上がりが発生することを防止することが可能となり、また、前記ハイブリッド車両の運転者に飛び出し感を与えるなどといった不具合を有効に解消することが可能となる。さらに、前記の騒音・振動を生じさせるという問題も有効に解消することが可能である。
【0139】
そして、第2実施形態では特に、排気弁28の早期開弁制御を実施することにより、燃焼室20内で発生したエネルギが、排気弁28を通じて排気管30に逃がされることになるから、当該排気管30の途上に設置された三元触媒装置31は、そのエネルギを受けて、温度を上昇させられることになる。つまり、触媒暖気が促進されることになるのである。これにより、触媒の活性化を早期に達成することができ、低公害性をよりよく実現することができる。
【0140】
また、後者の場合(Tc≧Tth)について説明すると、測定された触媒温度が、所定値Tth以上であるということは、当該Tcは、比較的大きい値をとっているということができる。この場合、エンジンの暖気が十分な状態が典型的には想定される。
【0141】
そして、第2実施形態では、このような状況下において、吸気弁32が閉となるタイミングを、触媒温度が比較的低い場合よりも遅くなるように制御する(ステップS242)。
【0142】
これによると、まず、吸気弁32が閉とされるタイミングが遅くされることから、エンジン150において吹き上がりが発生することを防止することができる。
【0143】
また、このように触媒温度が比較的高い場合に吸気弁32を制御対象とすることによれば特に、前述のように排気弁28を制御対象として吹き上がり防止を図る場合(すなわち、排気弁28の比較的早期の開弁を実施する場合)に比べて、燃料消費量の節約を実現することができる。なぜなら、排気弁28の早期の開弁を実施すると、燃焼室20内で発生したエネルギが、排気弁28及び排気管30を通じて外部へと逃げてしまい、該エネルギ(燃焼エネルギ)の機械エネルギへの有効な変換をなしえないからである。もっとも、この点、触媒温度Tcが低い場合には、既に述べたように前記エネルギは触媒の早期暖気に利用されることから(ステップS241)、該エネルギが全く無駄になるわけでない。
【0144】
以上のように、第2実施形態によれば、触媒温度の高低に応じ、排気弁28又は吸気弁32の開閉時期を調整することによって、エンジン150の再始動時において発生し得る不具合を極めて有効に解消することができる。また、前述の説明から明らかなように、触媒温度の高低に応じて、制御対象を選別すること(すなわち、制御対象を排気弁28とするか吸気弁32とするか)により、得られる作用効果との関係において、燃料の有効利用を図ることができる。
【0145】
なお、上記第2実施形態においては、触媒温度“Tcが、所定値Tthとの対比において大きいか小さいかという二者択一的な判断に基づいた処理がなされる例について説明したが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、測定された触媒温度”Tc“を多段階に区分けし、その各々について対応する排気弁28の進角量及び吸気弁32の遅角量を定めておく等というように、よりきめ細かな処理を実施するようにしてもよい。
【0146】
また、上記第2実施形態においては、図10に示す一連の処理は、エンジン150が間欠運転されている場合において、その休止期間から運転期間への移行時点で実施されることが前提されていたが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。すなわち、エンジン150及びモータジェネレータMG1及びMG2が完全に停止しており、図10に示す処理を実施する直前において、図1に示すハイブリッド車両及びエンジン150等がいわば完全に停止した状態から、エンジン150を始動する場合においても、前述の処理を実施することが可能である。なお、このような場合においては、触媒温度“Tc”は非常に小さくなることが推測されるから、図10では、ステップS23からステップS242へ流れる処理が実施される可能性が極めて大きい。
【0147】
なお、以上説明した第1及び第2実施形態の双方に関連する事項として、本発明は、次に説明する各種態様を含む。まず、場合によっては、上述した第1実施形態及び第2実施形態を併せ実施するような形態としてよい。
【0148】
また、上述の実施形態では、モータジェネレータ装置が同期電動機からなるモータジェネレータを複数備えてなるが、その少なくとも一部に代えて又は加えて、誘導電動機、バーニアモータ、直流電動機、超伝導モータ、ステップモータ等を用いることも可能である。
【0149】
さらに、上述の実施形態では、エンジン150としてガソリンにより運転される直噴型のガソリンエンジンを用いていたが、その他に、伝統的なポート噴射型のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、タービンエンジン、ジェットエンジン等の各種の内燃あるいは外燃機関を用いることができる。
【0150】
加えて、上述した実施形態に係るハイブリッド型の動力出力装置は、既存の若しくは現在開発中又は今後開発される各種パラレルハイブリッド方式や各種シリーズハイブリッド方式の車両にも適用してもよい。
【0151】
加えて更に、上述の実施形態では、もっぱらハイブリッド型の動力出力装置、ないしはハイブリッド車両についての説明を行ったが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、動力源としてエンジンのみを搭載するような車両であっても、本発明の適用は可能であり、該エンジンが間欠運転可能に構成されているのであれば、上記第1又は第2実施形態を大きく変更することなくその適用が可能である。
【0152】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う動力出力装置及びその制御方法並びに車両もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0153】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の動力出力装置によれば、潤滑油の温度、或いは触媒の温度の高低に応じて、排気弁、或いは吸気弁の開閉時期を好適に調整することにより、エンジンにおける吹き上がりを生じさせるようなことを効果的に防止可能であり、その動作特性を良好に維持することができる。また、当該動力出力装置を搭載する車両等の運転者に、前記吹き上がりを原因とする飛び出し感等を与えることがなく、運転感覚を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のハイブリッド車両における動力系統のブロック図である。
【図2】本実施形態に係るハイブリッド車両の基本的動作を説明するための共線図である。
【図3】本実施形態に係るハイブリッド車両が高速定常走行している場合の共線図である。
【図4】本実施形態に係るハイブリッド車両のバッテリ及びモータ駆動回路の構成を示す回路図である。
【図5】本実施形態に係るエンジンの構造の概略構成図である。
【図6】それぞれの開閉時期が調整可能とされた排気弁及び吸気弁の構成図である
【図7】本発明の第1実施形態に係り、油温等に基づく排気弁及び吸気弁の開閉時期の制御を実施することにより、エンジンの吹き上がり等を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】エンジンに供給される潤滑油の温度と該エンジンを構成する摺動部材間で発生するフリクションの大きさとの関係を示すグラフである。
【図9】クランキング動作に伴うエンジンの回転数の上昇率を、エンジン・フリクションをパラメータとして表したグラフである。
【図10】本発明の第2実施形態に係り、触媒温度に基づく排気弁及び吸気弁の開閉時期の制御を実施することにより、エンジンの吹き上がり等を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
28…吸気弁
32…排気弁
282、382…カムシャフト
283、383…電動モータ
150…エンジン
170…EFIECU
190…制御ユニット
MG1、MG2…モータジェネレータ
101…給油管
102…オイルポンプ
103…オイルパン
104…潤滑油温度センサ

Claims (12)

  1. それぞれ開閉時期を調整可能な吸気弁及び排気弁を備えたエンジンと、
    該エンジンを始動する際において、該エンジンを構成する摺動部材間で発生するフリクションが小さい場合には、該フリクションが大きい場合に比べて、前記排気弁を開とするタイミングを早めるように前記排気弁を制御する制御手段と
    を備えたこと特徴とする動力出力装置。
  2. 前記制御手段は、
    前記フリクションが大きい場合には、該フリクションが小さい場合に比べて、前記吸気弁を閉とするタイミングを早めるように前記吸気弁を制御することを特徴とする請求項1に記載の動力出力装置。
  3. 前記制御手段は、前記フリクションの大きさを、
    前記エンジンに供給される潤滑油の温度に基づいて推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の動力出力装置。
  4. 前記制御手段は、
    前記潤滑油の温度に基づいて推定された前記フリクションの大きさの正当性を、前記エンジンの回転数の上昇率に基づいて確認することを特徴とする請求項3に記載の動力出力装置。
  5. 前記制御手段は、前記正当性が否定された場合には、前記排気弁又は前記吸気弁の開閉タイミングに関する制御を実施しないことを特徴とする請求項4に記載の動力出力装置。
  6. 前記制御手段は、前記フリクションの大きさを、
    前記エンジンの回転数の上昇率に基づいて推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の動力出力装置。
  7. それぞれ開閉時期を調整可能な吸気弁及び排気弁を備えたエンジンと、
    該エンジンから排出されるガスを触媒によって浄化する排気浄化手段と、
    前記エンジンを始動する際において、
    前記触媒の温度が低い場合には、該触媒の温度が高い場合に比べて、前記排気弁を開とするタイミングを早め、
    前記触媒の温度が高い場合には、該触媒の温度が低い場合に比べて、前記吸気弁を閉とするタイミングを遅くするように、前記吸気弁及び前記排気弁を制御する制御手段と
    を備えたこと特徴とする動力出力装置。
  8. 前記エンジンは間欠運転可能に構成されており、
    前記エンジンを始動する際は、前記間欠運転中、休止期間から運転期間への移行の際を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の動力出力装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の動力出力装置において、
    前記エンジンの出力の少なくとも一部を用いて発電可能であると共に駆動軸を介して駆動力を出力可能なモータジェネレータ装置を更に備えたことを特徴とする動力出力装置。
  10. それぞれ開閉時期を調整可能な吸気弁及び排気弁を備えたエンジンを備えた動力出力装置を制御する動力出力装置の制御方法であって、
    前記エンジンを始動する際において、
    該エンジンを構成する摺動部材間で発生するフリクションが小さい場合には、該フリクションが大きい場合に比べて、前記排気弁を開とするタイミングを早める工程
    を含むことを特徴とする動力出力装置の制御方法。
  11. それぞれ開閉時期を調整可能な吸気弁及び排気弁を備えたエンジン及び該エンジンから排出されるガスを触媒によって浄化する排気浄化手段を備えた動力出力装置を制御する動力出力装置の制御方法であって、
    前記エンジンを始動する際において、
    前記触媒の温度が低い場合には、該触媒の温度が高い場合に比べて、前記排気弁を開とするタイミングを早める工程と、
    前記触媒の温度が高い場合には、該触媒の温度が低い場合に比べて、前記吸気弁を閉とするタイミングを遅くする工程と
    を含むことを特徴とする動力出力装置の制御方法。
  12. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の動力出力装置と、
    該動力出力装置が搭載される車両本体と、
    該車両本体に取り付けられると共に前記駆動軸を介して出力される前記駆動力により駆動される車輪と
    を備えたことを特徴とする車両。
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