JP2004175985A - 熱可塑性樹脂製ペレットおよびポリエステル成形体の製造方法 - Google Patents
熱可塑性樹脂製ペレットおよびポリエステル成形体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】従来技術では困難であった高濃度のカルボジイミド化合物を芯成分に含有し、ペレットの調製時にカルボジイミド化合物の分解生成物や不純物の揮発による環境汚染を招くことがない芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレット、およびこのペレットを使用して繊維などのポリエステル成形体を製造する方法の提供。
【解決手段】芯鞘構造を有する熱可塑性樹脂製ペレットであって、芯成分がカルボジイミド化合物を含有する熱可塑性樹脂からなる。この芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットをポリエステルと溶融混練し、次いで所定の形状に成形する。
【選択図】 なし
【解決手段】芯鞘構造を有する熱可塑性樹脂製ペレットであって、芯成分がカルボジイミド化合物を含有する熱可塑性樹脂からなる。この芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットをポリエステルと溶融混練し、次いで所定の形状に成形する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種ポリエステル成形体の加水分解を抑制するために有用なカルボジイミド化合物を芯成分に高濃度に含有する芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレット、さらに詳しくは、従来技術では困難であった高濃度のカルボジイミド化合物を芯成分に含有し、ペレットの調製時にカルボジイミド化合物の分解生成物や不純物の揮発による環境汚染を招くことがない芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレット、およびこの熱可塑性樹脂製ペレットを使用して繊維などのポリエステル成形体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カルボジイミド化合物は、ポリエステルの加水分解を抑制する作用を有することから、ポリエステル用の添加剤として従来から広く使用されてきた。
【0003】
ポリエステルにカルボジイミド化合物を添加・含有させるために従来行われてきた代表的な方法としては、まずカルボジイミド化合物を含有させた熱可塑性樹脂製の単層構造のマスターバッチペレットを調製しておき、これをポリエステルの溶融成型時に添加する方法が挙げられる。
【0004】
前記のカルボジイミド化合物を含有させた熱可塑性樹脂製の単層構造のマスターバッチペレットとしては、例えばカルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族ポリカルボジイミド化合物を約15重量%含有するポリエチレンテレフタレート製マスターバッチが、“STABAXOL”(登録商標)KE−7646(Rhein Chemie社製品)(例えば、非特許文献1,2参照)として知られている。
【0005】
しかしながら、前記した従来のマスターバッチペレットが高濃度に含有できるカルボジイミド化合物としては、一分子中に4〜5個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物に限られるという欠点があった。
【0006】
一方、モノカルボジイミド化合物は、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルとの親和性やポリエステルへの溶解度が低く、かつ溶融粘度がポリエステルに比較して著しく低いことから、これを用いて高濃度のマスターバッチペレットを製造することは困難であった。
【0007】
また、前記した従来のポリカルボジイミド化合物を含有する単層構造のマスターバッチペレットは、単層構造であるために製造時の溶融混練押出機の吐出孔から吐出された溶融ポリマストランドの側面からポリカルボジイミド化合物の分解生成物や不純物であるイソシアネート類やアミン類が揮発し、作業環境に悪影響を与えるという危険性があった。
【0008】
なお、芯鞘構造(複層構造)ペレットの製造方法および装置については、以前から知られているが(例えば、特許文献1参照)、これらの方法および装置では、芯成分にカルボジイミド化合物を含有させることについては全く言及されていない。
【0009】
【非特許文献1】
Rhein Chemie社 “Stabaxol”技術資料(7/93 AE PF5E)
【非特許文献2】
Rhein Chemie社 “Stabaxol”技術資料(10/93 AE PF8E)
【特許文献1】
特開2001−198918号公報(第1〜9頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものであり、従来技術では困難であった高濃度のカルボジイミド化合物を芯成分に含有し、ペレットの調製時にカルボジイミド化合物の分解生成物や不純物の揮発による環境汚染を招くことがない芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレット、およびこの熱可塑性樹脂製ペレットを使用して繊維などのポリエステル成形体を製造する方法の提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の熱可塑性樹脂製ペレットは、芯鞘構造を有する熱可塑性樹脂製ペレットであって、芯成分がカルボジイミド化合物を含有する熱可塑性樹脂からなることを特徴とする。
【0012】
なお、本発明の熱可塑性樹脂製ペレットにおいては、
前記芯成分に含有されるカルボジイミド化合物が、N,N´−ジ−(2,6−ジイソプロピルフェニル −)カルボジイミド、およびカルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とするポリカルボジイミド化合物から選ばれた少なくとも1種であること、および
前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリスチレンから選ばれた少なくとも1種であること、
が、いずれも好ましい条件であり、これらの条件を満たすことによって一層優れた効果の取得を期待することができる。
【0013】
また、本発明のポリエステル成形体の製造方法は、上記の熱可塑性樹脂製ペレットをポリエステルと溶融混練し、次いで所定の形状に成形することを特徴とし、前記ポリエステル成形体がポリエステル繊維、特にポリエステルモノフィラメントであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明における芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットは、芯鞘共に熱可塑性樹脂を含有する芯鞘複合構造のペレットであって、その複合構造としては、ペレットの吐出方向における断面において単純な2重以上の芯鞘構造および芯成分が複数に分割された海島型芯鞘構造などを挙げることができる。また、ペレットの吐出方向における断面の形状は、丸、楕円、扁平、三角、四角以上の多角形および星形などいずれの形状であっても良い。また、芯鞘の複合比は芯鞘複合構造である限り特に制限はない。またペレットの吐出方向における断面の直径は任意であるが概ね2〜8mmが一般的である。
【0016】
本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットは、芯成分がカルボジイミド化合物を含有する熱可塑性樹脂から成るものである。ここでいう芯成分とは、例えば二重芯鞘構造の芯成分、三重芯鞘構造の芯成分および/または中間層成分、あるいは海島型芯鞘構造の島(芯)成分などである。
【0017】
本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットの芯成分が含有するカルボジイミド化合物とは、1分子中に1個または2個以上のカルボジイミド基(−N=C=N−)を含有する化合物である。
【0018】
1分子中に1個のカルボジイミド基を有する化合物であるモノカルボジイミド化合物(以下、MCD化合物と略記する)としては、例えばN,N´−ジ−(2,6−ジイソプロピルフェニル−)カルボジイミド、N,N´−ジ−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル−)カルボジイミド、N,N′−ジ−(2,6−ジエチルフェニル−)カルボジイミド、N,N′−ジ−(2−エチル−6−イソプロピルフェニル−)カルボジイミド、N,N′−ジ−(2−イソブチル−6−イソプロピルフェニル−)カルボジイミド、N,N′−ジ−(2,4,6−トリメチルフェニル−)カルボジイミド、N,N′−ジ−(2,4,6−トリイソプロピルフェニル−)カルボジイミド、およびN,N′−ジ−(2,4,6−トリイソブチルフェニル−)カルボジイミドなどの芳香族MCD化合物を好ましく挙げることができる。ただし、これに何ら制限されるものではない。これらの芳香族MCD化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択して使用すればよいが、耐熱性の点ではN,N´−ジ−(2,6−ジイソプロピルフェニル −)カルボジイミド(以下、TICと略記する)が好ましく、このTICとしては、市販品である Rhein−Chemie社製の“STABAXOL”(登録商標)Iまたは Raschig社製の“Stabilizer”(登録商標)7000などを使用することができる。TICの中では、錠剤成形がしやすいことから常温で粉末または細かい顆粒状のもの好ましく、この特性を満足する市販品は前記のRaschig 社製の“Stabilizer”(登録商標)7000である。
【0019】
1分子中に2個以上のカルボジイミド基を有する化合物であるポリカルボジイミド化合物(以下、PCD化合物と略記する)としては、例えばカルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物、1,3,5−トリス(1−メチルエチル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンから合成される芳香族PCD化合物、1,3,5−トリス(1−メチルエチル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンと2,6−ジイソプロピルベンゼンジイソシアネートとの混合体から合成される芳香族PCD化合物、 1,3,5−トリス(1−メチルエチル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンと 1,3,5−トリス(イソプロピル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンとの混合体から合成される芳香族PCD化合物、およびポリ[1,1’−ジシクロヘキシルメタン(4,4’−ジイソシアネート)]から合成される脂環式PCD化合物などを好ましく挙げることができる。ただし、これに何ら制限されるものではない。これらのPCD化合物の中では、カルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物(以下、iso−Prop−Ph−PCDという)が特に好ましい。前記iso−Prop−Ph−PCDとしては、市販品である平均分子量約3,000 の“STABAXOL”(登録商標)P(Rhein−Chemie社製品)、平均分子量約10,000の“STABAXOL”(登録商標)P100(Rhein−Chemie社製品)および平均分子量約20,000の“STABILIZER”(登録商標)9000(Raschig社製品)などを入手して使用することができる。
【0020】
前記MCD化合物およびPCD化合物の少なくとも1種を芯成分の熱可塑性樹脂に含有させるが、特にTICおよびiso−Prop−Ph−PCDのどちらか1種または両種を含有させることが好ましい。
【0021】
芯成分の熱可塑性樹脂が含有するカルボジイミド化合物の含有量は、カルボジイミド化合物を含有する限り制限はないが、5〜30重量%が好ましく、10〜20重量%が更に好ましい。
【0022】
本発明の芯鞘複合ペレットを構成する熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有するポリマであればいかなるものでもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリメチルペンテン、ポリ環状オレフィンなどに代表される各種オレフィン系ポリマ類、アイソタクチック構造、アタクチック構造およびシンジオタクチック構造などの諸構造の各種スチレン系ポリマ類、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体などに代表される各種ポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6T、ナイロンMXD6などに代表される各種ポリアミド類、ポリ塩化ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン3元共重合体などに代表される各種フッ素樹脂類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルエーテル類、ポリアクリレート類、オレフィン類とアクリレート類との共重合体、ポリアセタール、ポリアルキレンオキサイド類、ポリ酢酸ビニル、熱可塑性ポリイミド類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリフェニレンオキサイド、ABS樹脂類、天液晶ポリマ類、およびポリウレタン類などを挙げることができるが、これに何ら限定されるものではない。これらの熱可塑性ポリマ中から1種以上を含有させることができる。
【0023】
これらの熱可塑性ポリマの中でも、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリスチレンから選ばれた少なくとも1種が更に好ましい。
【0024】
ポリエステルの中では、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、PPTと略称する)、ポリテトラメチレンテレフタレート(以下、PBTと略称する)およびポリ乳酸(以下、PLAと略称する)から選ばれた少なくとも1種が特に好ましい。ここで、本発明におけるPETとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がエチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、PPTとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、またPBTとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がテトラメチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、いずれも公知の溶融重縮合反応および必要に応じて溶融重縮合反応を行った後、必要によって固層重縮合反応を行うことにより得ることができる。これらのポリエステルの極限粘度(o−クロルフェノールを溶媒として25℃で測定したもので、〔η〕で表される)は、概ね0.4〜1.5、好ましくは0.5〜1.2であり、末端カルボキシル基濃度(以下、COOH基濃度と略称する)は、概ね35当量/106g(以下、eq/106gと略称する)以下、好ましくは20当量以下である。極限粘度が0.55未満であると引張強度をはじめとする機械的強度が不足し、COOH基濃度が35eq/106g以上であると耐加水分解性が不足する傾向となるため好ましくない。またPLAとは、乳酸を重合したものをいい、L体あるいはD体の光学純度が90%以上であると、融点が高くて特に好ましい。また、ポリ乳酸の性質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していても、PLA以外のポリマーや粒子、難燃剤、帯電防止剤等の添加物を含有していても良い。ただし、バイオマス利用、生分解性の観点から、ポリマーとして乳酸モノマーは50重量%以上とすることが重要である。乳酸モノマーは好ましくは75重量%以上、より好ましくは96重量%以上である。また、PLAポリマーの分子量が、重量平均分子量で5万〜50万であると、力学特性と製糸性のバランスが良くなるため好ましい。
【0025】
ここで、本発明におけるポリエステルおよびポリエステル成形体のカルボキシル末端基濃度の測定は、次に示す方法で行ったものである。
<カルボキシル末端基濃度の測定方法>
(1)10ml試験管にポリエステル成分として0.5±0.002gのサンプルを秤取する。
(2)o−クレゾール10mlを前記試験管に注入し、100℃で30分間加熱攪
拌しサンプル溶解させる。
(3)試験管の内容液を30mlビーカーに移す(試験管内の残液を3mlのジクロルメタンで洗浄してビーカーに追加する。
(4)ビーカー内の液温が25℃になるまで放冷する。
(5)N/50NaOHメタノール溶液で滴定する。
(6)サンプル無しで前記(1)〜(5)と同様に行い、サンプル滴定に要した実N/50NaOHメタノール溶液滴定量からポリエステル106gあたりのCOOH末端基当量を求める。
【0026】
ポリオレフィンの中では、ポリエチレン(以下、PEと略称する)、ポリプロピレン(以下、PPと略称する)およびポリ環状オレフィン類(以下、PCOと略称する)から選ばれた少なくとも1種が特に好ましい。ここでPCOとは、シクロオレフィン類の開環(共)重合体、シクロオレフィンとα−オレフィン類との共重合体およびそれらの水素添加物のことであり、例えばテトラシクロドデセン(水素原子の一部がアルキルカルボキシレート等の極性基で置換されたものを含む)の開環重合体およびその水素添加物、およびテトラシクロドデセンとエチレンとの共重合体およびその水素添加物などを好まし例として挙げることができる。
【0027】
ポリスチレンの中では、シンジオタクチック構造のポリスチレン(以下、SPSと略称する)が、高融点で耐熱性が良好であることから特に好ましい。
【0028】
前記熱可塑性樹脂は、各種の酸化防止剤、加水分解抑制剤、酸化防止剤、老化防止剤、各種金属封鎖剤、防汚性付与剤、各種難燃剤、各種導電性・制電性付与剤、滑り性付与剤、防黴剤、結晶核剤、発泡剤、加硫剤、加硫促進剤、色調改良剤、着色剤、触媒、界面活性剤、各種粒子および可塑剤などの各種添加剤を目的に応じて含有することができる。
【0029】
本発明の芯成分がカルボジイミド化合物を含有する熱可塑性樹脂からなる芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットの製造は、特開2001−198918号公報に記載された方法および装置を基本として行うことができる。
【0030】
すなわち、例えば、鞘成分用混練押し出し機と芯成分用混練押し出し機との2基の混練押し出し機、芯鞘両成分のダイ装置への流路配管、芯鞘成分合流ダイ装置、冷却槽、水切り装置およびペレタイザーとを備えた装置を使用する。
【0031】
芯成分用および鞘成分用混練押し出し機は、1軸または2軸以上の多軸混練押し出し機を目的に応じて使用するが、本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットは芯成分がカルボジイミド化合物を含有するものであることから、芯成分用混練押し出し機は、少なくとも2軸を有する混練押出機であることが好ましい。
【0032】
芯成分へのカルボジイミド化合物の添加は、粉末、フレークまたは錠剤状などのカルボジイミド化合物を熱可塑性樹脂のペレット、粉末またはフレークなどと計量混合して混練機のメインホッパー経由で供給し混練する方法、または熱可塑性樹脂のペレットを混練機のメインホッパー経由で供給し、カルボジイミド化合物を粉末、フレーク、錠剤状または加熱溶融した液体として混練機のバレルに備えたサイドフィ−ド孔から計量供給し溶融混練する方法を挙げることができるが、中でも熱可塑性樹脂のペレットを混練機のメインホッパー経由で供給し、カルボジイミド化合物を加熱溶融した液体として混練機のバレルに備えたサイドフィ−ド孔から計量供給し溶融混練する方法が特に好ましい。
【0033】
また、鞘成分にも他の成分を添加含有させる場合には、鞘成分用混練押出機としても少なくとも2軸を有する混練押出機を使用して、上記の芯成分と同様に行うことが好ましい。
【0034】
かくして製造される本発明の芯成分がカルボジイミド化合物を含有する熱可塑性樹脂からなる芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットは、ポリエステルと溶融混練し、所定の形状に成形することからなるポリエステル成形体の製造に好ましく使用することができ、その場合には産業上の利用価値がきわめて高い。
【0035】
ここで、芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットと溶融混練して成形されるポリエステルとは、例えばPET、PPT、PBT、ポリエチレンナフタレート、PLA、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、ポリカプロラクトンおよびポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体などを挙げることができるが、中でもPET、PPT、PBTおよびPLAから選ばれた少なくとも1種が特に好ましい。
【0036】
この場合に使用するPETとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がエチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、PPTとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、またPBTとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がテトラメチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、いずれも公知の溶融重縮合反応および必要に応じて溶融重縮合反応を行った後、必要によって固層重縮合反応を行うことで得ることができる。これらのポリエステルの極限粘度(o−クロルフェノールを溶媒として25℃で測定したもので、〔η〕で表される)は、概ね0.4〜1.5、好ましくは0.5〜1.2であり、末端カルボキシル基濃度(以下、COOH基濃度と略称する)は、概ね35当量/106g(以下、eq/106gと略称する)以下、好ましくは20当量以下である。極限粘度が0.55未満であると、引張強度をはじめとする機械的強度が不足し、COOH基濃度が35eq/106g以上であると、耐加水分解性が不足する傾向となるため好ましくない。また、PLAとは、乳酸を重合したものをいい、L体あるいは、D体の光学純度が90%以上であると、融点が高くて特に好ましい。また、PLAの性質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していても、PLA以外のポリマーや、粒子、難燃剤、帯電防止剤などの添加物を含有していても良い。ただし、バイオマス利用、生分解性の観点から、ポリマーとして乳酸モノマーは50重量%以上とすることが重要である。乳酸モノマーは好ましくは75重量%以上、より好ましくは96重量%以上である。また、PLAポリマーの分子量が、重量平均分子量で5万〜50万であると、力学特性と製糸性のバランスが良くなるため好ましい。
【0037】
本発明のポリエステル成形体の製造方法は、本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットをポリエステルとを溶融混練することを必須とし、次いで押し出し、射出しなどの任意の方法で行うことができる。
【0038】
本発明の方法で得られたポリエステル成形体は、カルボジイミド化合物によって、ポリエステル分子末端に存在し、ポリエステル自体の加水分解促進触媒として作用するカルボキシル末端基が封鎖反応して減少され、高温多湿雰囲気下に暴露されたときの加水分解劣化が抑制されたものとなる。
【0039】
さらに、ポリエステル成形体中に、ポリエステル分子中のカルボキシル末端基と反応する能力を有するカルボジイミド化合物を残存させることにより、ポリエステル成形体が高温多湿雰囲気下に暴露されたときのポリエステルの加水分解によって生成するカルボキシル末端基をカルボジイミド化合物が封鎖して、ポリエステル成形体の加水分解劣化がさらに抑制されるという好ましい効果が得られる。
【0040】
本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットとポリエステルとの混合量比は、ポリエステル成形体中に含有させたい未反応のカルボジイミド化合物の濃度によって任意に設計することができる。
【0041】
本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットを使用して成形されるポリエステル成形体とは、繊維、フィルム、シートおよび各種装置部品などのいずれでもよいが、中でもポリエステル繊維が特に好ましい。
【0042】
ポリエステル繊維は、モノフィラメント、マルチフィラメント、短繊維、綿状および不織布状などいずれの形態であっても良いが、特にモノフィラメントが好ましい。
【0043】
繊維の製造は、本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットとポリエステルとをギアポンプ、エクストルダー、多段多分割式静止混合機などを使用して溶融混練した後、紡糸口金から押し出し、冷却、延伸、ヒートセットすることなどにより任意の性状の繊維とする方法を採用することができる。
【0044】
かくして本発明の方法で製造されたポリエステル繊維は、耐加水分解性に優れるため、産業用、衣料用などの様々な用途に使用することができる。特にモノフィラメントとした場合には、抄紙ドライヤーカンバスを代表とする工業用織物に好適に使用することができることから、産業用の利用価値が極めて高い。
【0045】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
〔実施例1、比較実施例1〕
鞘成分用の1軸エクストルダーと、バレル中間部に加熱装置付き添加物用溶解槽と計量用ギヤポンプとが接続されたサイドフィードポートを備えた芯成分用の同方向回転2軸エクストルダーとの2基の混練押し出し機、芯鞘両成分のダイ装置への流路配管、芯鞘成分合流ダイ装置、冷却槽、水切り装置、およびペレタイザーとを備えた芯鞘複合ペレット装置を使用した。
【0046】
TICであるRaschig AG社製の“Stabilizer”(登録商標)7000を、前記した加熱装置付き添加物用溶解槽に仕込み、100℃に加熱してTICを溶解した。
【0047】
鞘成分および芯成分用の熱可塑性樹脂として、公知の溶融重縮合と固相重縮合とによって製造した極限粘度0.94、末端カルボキシル基濃度11当量/106gのPET乾燥チップ(以下、PETチップという)を準備した。
【0048】
芯成分のTIC含有量17重量%、芯成分と鞘成分との重量比80:20にて各原料をフィードし、芯成分と鞘成分の樹脂温度290℃、芯成分をスクリュー回転数200rpmで混練を行い、芯部にTICを17重量部含有する芯鞘複合重量比率80:20のPET製芯鞘複合ペレットを製造した。芯鞘複合ポリマ吐出口から蒸発TICの発煙は無く、何ら問題なく芯鞘複合ペレットを製造することができた(実施例1)。
【0049】
比較のために、鞘成分をフィードすることなく、芯成分のみでTICを17%含有するペレットの製造を試みたが、吐出ポリマの太さが不安定で、かつポリマ吐出口からTICが激しく蒸発して発煙し作業の続行が不可能であったため製造を断念した(比較実施例1)。
〔実施例2〜4〕
実施例1におけるPETチップを、PPTチップ(“Sorona”(登録商標)(デュポン社製品、極限粘度=1.1、COOH末端基濃度=11当量/106g)に変更し、混練樹脂温度を260℃に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、何ら製造上の問題なく、芯部にTICを17重量部含有する芯鞘複合重量比率80:20のPPT製芯鞘複合ペレットを製造することができた(実施例2)。
【0050】
実施例1におけるPETチップを、PBTチップ(“トレコン”(登録商標)1200S)(東レ(株)製品、COOH末端基濃度=30当量/106g)に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、何ら製造上の問題なく、芯部にTICを17重量部含有する芯鞘複合重量比率80:20のPBT製芯鞘複合ペレットを製造することができた(実施例3)。
【0051】
実施例1におけるPETチップを、PLAチップ(光学純度99%L乳酸使用、重量平均分子量19万)に変更し、混練樹脂温度を240℃に変更した以外は実施例1と同様に行ったところ、何ら製造上の問題なく、芯部にTICを17重量部含有する芯鞘複合重量比率80:20のPLA製芯鞘複合ペレットを製造することができた(実施例4)。
〔実施例5〜8〕
実施例1〜4におけるMCD化合物のTICであるRaschig AG社製の“Stabilizer”(登録商標)7000を、PCD化合物のiso−Prop−Ph−PCDであるRaschig AG社製の“STABILIZER”(登録商標)9000に変更し、“STABILIZER”(登録商標)9000の溶解温度を200℃に変更した以外は、実施例1〜4と同様に行ったところ、PCD化合物であるiso−Prop−Ph−PCDを芯成分に含有する芯鞘構造のPET製ペレット(実施例5)、PPT製ペレット(実施例6)、PBT製ペレット(実施例7)、およびPLA製ペレット(実施例8)を何ら問題なく製造することができた。
〔実施例9〕
実施例1における芯成分に添加するカルボジイミド化合物を、MCD化合物のTICであるRaschig AG社製の“Stabilizer”(登録商標)700017重量%とPCD化合物のiso−Prop−Ph−PCDであるRaschig AG社製の“STABILIZER”(登録商標)9000 7重量%の混合物に変更し、該混合物の溶解温度を200℃に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、芯成分にMCD化合物とPCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPET製ペレットを何ら問題なく製造することができた。
〔実施例10〜12〕
実施例1、実施例5および実施例9におけるPETチップを、PEチップである“サンテック”(登録商標。旭化成(株)製品)LD M2115に変更し、混練樹脂温度を180℃に変更した以外は、実施例1、実施例5および実施例9と同様に行ったところ、MCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPE製ペレット(実施例10)、PCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPE製ペレット(実施例11)、およびMCD化合物とPCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPE製ペレット(実施例12)を何ら問題なく製造することができた。
〔実施例13〜15〕
実施例1、実施例5および実施例9におけるPETチップを、PPペレットである“グランドポリプロ”(登録商標。(株)グランドポリマー製品)E102に変更し、混練樹脂温度を230℃に変更した以外は、実施例1、実施例5および実施例9と同様に行ったところ、MCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPP製ペレット(実施例13)、PCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPP製ペレット(実施例14)、およびMCD化合物とPCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPP製ペレット(実施例15)を何ら問題なく製造することができた。
〔実施例16〜18〕
実施例1、実施例5および実施例9におけるPETチップを、シンジオタクチック構造のPSペレットである“ザレック”(登録商標。出光石油化学(株)製品)30Aに変更した以外は、実施例1、実施例5および実施例9と同様に行ったところ、MCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のシンジオタクチック構造のPS製ペレット(実施例16)、PCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のシンジオタクチック構造のPS製ペレット(実施例17)、およびMCD化合物とPCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のシンジオタクチック構造のPS製ペレット(実施例18)を何ら問題なく製造することができた。
〔実施例19〜22〕
1torr以下の減圧下、100℃で24時間乾燥した実施例1で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレット10重量部と、実施例1で芯鞘構造のペレットの製造に使用したものと同じ乾燥したPETチップ90重量部とを、計量しながら先端に紡糸パックと紡糸口金を備えた1軸エクストルダーに供給し、290℃の樹脂温度で混練した後、紡糸口金から溶融糸条を押し出し、70℃の温水槽で冷却固化し、次いでトータル5.0倍に延伸したところ、直径0.50mmのPETモノフィラメントを何ら問題なく得た(実施例19)。
【0052】
実施例19におけるPETチップを実施例2で芯鞘構造のペレットの製造に使用したものと同じ乾燥したPPTチップに変更し、芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを実施例2で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットに変更し、混練樹脂温度を260℃に変更した以外は実施例19と同様に行って直径0.50mmのPPTモノフィラメントを何ら問題なく得ることができた(実施例20)。
【0053】
実施例20におけるPPTチップを、実施例3で芯鞘構造のペレットの製造に使用したものと同じ乾燥したPBTチップに変更し、芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例3で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットに変更し対外は、実施例20と同様に行ったところ、直径0.50mmのPBTモノフィラメントを何ら問題なく得ることができた(実施例21)。
【0054】
実施例19におけるPETチップを、実施例4で芯鞘構造のペレットの製造に使用したものと同じ乾燥したPLAチップに変更し、芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例4で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットに変更し、混練樹脂温度を240℃に変更した以外は、実施例19と同様に行ったところ、直径0.50mmのPLAモノフィラメントを何ら問題なく得ることができた(実施例22)。
〔実施例23〜26〕
実施例19〜22における芯鞘複合ペレットを、実施例5で製造したiso−Prop−Ph−PCDを芯成分に含有する芯鞘構造のPET製ペレットに変更(実施例23)、実施例6で製造したiso−Prop−Ph−PCDを芯成分に含有する芯鞘構造のPPT製ペレットに変更(実施例24)、実施例7で製造したiso−Prop−Ph−PCDを芯成分に含有する芯鞘構造のPBT製ペレットに変更(実施例25)、および実施例8で製造したiso−Prop−Ph−PCDを芯成分に含有する芯鞘構造のPLA製ペレットに変更(実施例26)した以外は実施例19〜22と同様に行ったところ、いずれも何ら問題なくそれぞれのモノフィラメントを得ることができた。
〔実施例27〕
実施例19における実施例1で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例9で製造した芯成分にTICとiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPET製ペレットに変更した以外は実施例25と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた。
〔実施例28、29〕
実施例19における実施例1で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例10で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は実施例19と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例28)。
【0055】
実施例23における実施例5で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例11で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例23と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例28)。
〔実施例30、31〕
実施例20における実施例2で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例10で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例20と同様に行ったところ、何ら問題なくPPTモノフィラメントを得ることができた(実施例30)。
【0056】
実施例24における実施例6で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例11で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例24と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例31)。
〔実施例32、33〕
実施例21における実施例3で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例10で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例21と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例32)。
【0057】
実施例25における実施例7で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例11で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例25と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例33)。
〔実施例34,35〕
実施例22における実施例4で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを、実施例10で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例22と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例34)。
【0058】
実施例26における実施例8で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを、実施例11で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例26と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例35)。
〔実施例36,37〕
実施例19における実施例1で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例13で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例19と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例36)。
【0059】
実施例23における実施例5で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例14で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例23と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例37)。
〔実施例38、39〕
実施例20における実施例2で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例13で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例20と同様に行ったところ、何ら問題なくPPTモノフィラメントを得ることができた(実施例38)。
【0060】
実施例24における実施例6で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例14で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例24と同様に行ったところ、何ら問題なくPPTモノフィラメントを得ることができた(実施例39)。
〔実施例40,41〕
実施例21における実施例3で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例13で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例21と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例40)。
【0061】
実施例25における実施例7で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例14で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例25と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例41)。
〔実施例42,43〕
実施例22における実施例4で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを、実施例13で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例22と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例42)。
【0062】
実施例26における実施例8で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを、実施例14で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例26と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例43)。
〔実施例44,45〕
実施例19における実施例1で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例16で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例19と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例44)。
【0063】
実施例23における実施例5で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例17で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例23と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例45)。
〔実施例46、47〕
実施例20における実施例2で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例16で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例20と同様に行ったところ、何ら問題なくPPTモノフィラメントを得ることができた(実施例46)。
【0064】
実施例24における実施例6で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例17で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例24と同様に行ったところ、何ら問題なくPPTモノフィラメントを得ることができた(実施例47)。
〔実施例48,49〕
実施例21における実施例3で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例16で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例21と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例48)。
【0065】
実施例25における実施例7で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例17で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例25と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例49)。
〔実施例50,51〕
実施例22における実施例4で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを、実施例16で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例22と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例50)。
【0066】
実施例26における実施例8で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを実施例17で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例26と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例51)。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の芯成分にカルボジイミド化合物を含有させた芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットによれば、従来技術では困難であった高濃度のカルボジイミド化合物を含有するマスターバッチを、カルボジイミド化合物の分解生成物や不純物の揮発による環境汚染を起こすことなく提供することができる。また、この芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットをポリエステルと溶融混練し、次いで所定の形状に成形する方法の採用により、モノフィラメントを代表とする繊維などの耐加水分解性に優れたポリエステル成形体を製造上の問題なく提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種ポリエステル成形体の加水分解を抑制するために有用なカルボジイミド化合物を芯成分に高濃度に含有する芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレット、さらに詳しくは、従来技術では困難であった高濃度のカルボジイミド化合物を芯成分に含有し、ペレットの調製時にカルボジイミド化合物の分解生成物や不純物の揮発による環境汚染を招くことがない芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレット、およびこの熱可塑性樹脂製ペレットを使用して繊維などのポリエステル成形体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カルボジイミド化合物は、ポリエステルの加水分解を抑制する作用を有することから、ポリエステル用の添加剤として従来から広く使用されてきた。
【0003】
ポリエステルにカルボジイミド化合物を添加・含有させるために従来行われてきた代表的な方法としては、まずカルボジイミド化合物を含有させた熱可塑性樹脂製の単層構造のマスターバッチペレットを調製しておき、これをポリエステルの溶融成型時に添加する方法が挙げられる。
【0004】
前記のカルボジイミド化合物を含有させた熱可塑性樹脂製の単層構造のマスターバッチペレットとしては、例えばカルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族ポリカルボジイミド化合物を約15重量%含有するポリエチレンテレフタレート製マスターバッチが、“STABAXOL”(登録商標)KE−7646(Rhein Chemie社製品)(例えば、非特許文献1,2参照)として知られている。
【0005】
しかしながら、前記した従来のマスターバッチペレットが高濃度に含有できるカルボジイミド化合物としては、一分子中に4〜5個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物に限られるという欠点があった。
【0006】
一方、モノカルボジイミド化合物は、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルとの親和性やポリエステルへの溶解度が低く、かつ溶融粘度がポリエステルに比較して著しく低いことから、これを用いて高濃度のマスターバッチペレットを製造することは困難であった。
【0007】
また、前記した従来のポリカルボジイミド化合物を含有する単層構造のマスターバッチペレットは、単層構造であるために製造時の溶融混練押出機の吐出孔から吐出された溶融ポリマストランドの側面からポリカルボジイミド化合物の分解生成物や不純物であるイソシアネート類やアミン類が揮発し、作業環境に悪影響を与えるという危険性があった。
【0008】
なお、芯鞘構造(複層構造)ペレットの製造方法および装置については、以前から知られているが(例えば、特許文献1参照)、これらの方法および装置では、芯成分にカルボジイミド化合物を含有させることについては全く言及されていない。
【0009】
【非特許文献1】
Rhein Chemie社 “Stabaxol”技術資料(7/93 AE PF5E)
【非特許文献2】
Rhein Chemie社 “Stabaxol”技術資料(10/93 AE PF8E)
【特許文献1】
特開2001−198918号公報(第1〜9頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものであり、従来技術では困難であった高濃度のカルボジイミド化合物を芯成分に含有し、ペレットの調製時にカルボジイミド化合物の分解生成物や不純物の揮発による環境汚染を招くことがない芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレット、およびこの熱可塑性樹脂製ペレットを使用して繊維などのポリエステル成形体を製造する方法の提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の熱可塑性樹脂製ペレットは、芯鞘構造を有する熱可塑性樹脂製ペレットであって、芯成分がカルボジイミド化合物を含有する熱可塑性樹脂からなることを特徴とする。
【0012】
なお、本発明の熱可塑性樹脂製ペレットにおいては、
前記芯成分に含有されるカルボジイミド化合物が、N,N´−ジ−(2,6−ジイソプロピルフェニル −)カルボジイミド、およびカルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とするポリカルボジイミド化合物から選ばれた少なくとも1種であること、および
前記熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリスチレンから選ばれた少なくとも1種であること、
が、いずれも好ましい条件であり、これらの条件を満たすことによって一層優れた効果の取得を期待することができる。
【0013】
また、本発明のポリエステル成形体の製造方法は、上記の熱可塑性樹脂製ペレットをポリエステルと溶融混練し、次いで所定の形状に成形することを特徴とし、前記ポリエステル成形体がポリエステル繊維、特にポリエステルモノフィラメントであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明における芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットは、芯鞘共に熱可塑性樹脂を含有する芯鞘複合構造のペレットであって、その複合構造としては、ペレットの吐出方向における断面において単純な2重以上の芯鞘構造および芯成分が複数に分割された海島型芯鞘構造などを挙げることができる。また、ペレットの吐出方向における断面の形状は、丸、楕円、扁平、三角、四角以上の多角形および星形などいずれの形状であっても良い。また、芯鞘の複合比は芯鞘複合構造である限り特に制限はない。またペレットの吐出方向における断面の直径は任意であるが概ね2〜8mmが一般的である。
【0016】
本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットは、芯成分がカルボジイミド化合物を含有する熱可塑性樹脂から成るものである。ここでいう芯成分とは、例えば二重芯鞘構造の芯成分、三重芯鞘構造の芯成分および/または中間層成分、あるいは海島型芯鞘構造の島(芯)成分などである。
【0017】
本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットの芯成分が含有するカルボジイミド化合物とは、1分子中に1個または2個以上のカルボジイミド基(−N=C=N−)を含有する化合物である。
【0018】
1分子中に1個のカルボジイミド基を有する化合物であるモノカルボジイミド化合物(以下、MCD化合物と略記する)としては、例えばN,N´−ジ−(2,6−ジイソプロピルフェニル−)カルボジイミド、N,N´−ジ−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル−)カルボジイミド、N,N′−ジ−(2,6−ジエチルフェニル−)カルボジイミド、N,N′−ジ−(2−エチル−6−イソプロピルフェニル−)カルボジイミド、N,N′−ジ−(2−イソブチル−6−イソプロピルフェニル−)カルボジイミド、N,N′−ジ−(2,4,6−トリメチルフェニル−)カルボジイミド、N,N′−ジ−(2,4,6−トリイソプロピルフェニル−)カルボジイミド、およびN,N′−ジ−(2,4,6−トリイソブチルフェニル−)カルボジイミドなどの芳香族MCD化合物を好ましく挙げることができる。ただし、これに何ら制限されるものではない。これらの芳香族MCD化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択して使用すればよいが、耐熱性の点ではN,N´−ジ−(2,6−ジイソプロピルフェニル −)カルボジイミド(以下、TICと略記する)が好ましく、このTICとしては、市販品である Rhein−Chemie社製の“STABAXOL”(登録商標)Iまたは Raschig社製の“Stabilizer”(登録商標)7000などを使用することができる。TICの中では、錠剤成形がしやすいことから常温で粉末または細かい顆粒状のもの好ましく、この特性を満足する市販品は前記のRaschig 社製の“Stabilizer”(登録商標)7000である。
【0019】
1分子中に2個以上のカルボジイミド基を有する化合物であるポリカルボジイミド化合物(以下、PCD化合物と略記する)としては、例えばカルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物、1,3,5−トリス(1−メチルエチル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンから合成される芳香族PCD化合物、1,3,5−トリス(1−メチルエチル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンと2,6−ジイソプロピルベンゼンジイソシアネートとの混合体から合成される芳香族PCD化合物、 1,3,5−トリス(1−メチルエチル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンと 1,3,5−トリス(イソプロピル)−2,4−ジイソシアナトベンゼンとの混合体から合成される芳香族PCD化合物、およびポリ[1,1’−ジシクロヘキシルメタン(4,4’−ジイソシアネート)]から合成される脂環式PCD化合物などを好ましく挙げることができる。ただし、これに何ら制限されるものではない。これらのPCD化合物の中では、カルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物(以下、iso−Prop−Ph−PCDという)が特に好ましい。前記iso−Prop−Ph−PCDとしては、市販品である平均分子量約3,000 の“STABAXOL”(登録商標)P(Rhein−Chemie社製品)、平均分子量約10,000の“STABAXOL”(登録商標)P100(Rhein−Chemie社製品)および平均分子量約20,000の“STABILIZER”(登録商標)9000(Raschig社製品)などを入手して使用することができる。
【0020】
前記MCD化合物およびPCD化合物の少なくとも1種を芯成分の熱可塑性樹脂に含有させるが、特にTICおよびiso−Prop−Ph−PCDのどちらか1種または両種を含有させることが好ましい。
【0021】
芯成分の熱可塑性樹脂が含有するカルボジイミド化合物の含有量は、カルボジイミド化合物を含有する限り制限はないが、5〜30重量%が好ましく、10〜20重量%が更に好ましい。
【0022】
本発明の芯鞘複合ペレットを構成する熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有するポリマであればいかなるものでもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリメチルペンテン、ポリ環状オレフィンなどに代表される各種オレフィン系ポリマ類、アイソタクチック構造、アタクチック構造およびシンジオタクチック構造などの諸構造の各種スチレン系ポリマ類、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体などに代表される各種ポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6T、ナイロンMXD6などに代表される各種ポリアミド類、ポリ塩化ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン3元共重合体などに代表される各種フッ素樹脂類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルエーテル類、ポリアクリレート類、オレフィン類とアクリレート類との共重合体、ポリアセタール、ポリアルキレンオキサイド類、ポリ酢酸ビニル、熱可塑性ポリイミド類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリフェニレンオキサイド、ABS樹脂類、天液晶ポリマ類、およびポリウレタン類などを挙げることができるが、これに何ら限定されるものではない。これらの熱可塑性ポリマ中から1種以上を含有させることができる。
【0023】
これらの熱可塑性ポリマの中でも、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリスチレンから選ばれた少なくとも1種が更に好ましい。
【0024】
ポリエステルの中では、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、PPTと略称する)、ポリテトラメチレンテレフタレート(以下、PBTと略称する)およびポリ乳酸(以下、PLAと略称する)から選ばれた少なくとも1種が特に好ましい。ここで、本発明におけるPETとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がエチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、PPTとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、またPBTとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がテトラメチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、いずれも公知の溶融重縮合反応および必要に応じて溶融重縮合反応を行った後、必要によって固層重縮合反応を行うことにより得ることができる。これらのポリエステルの極限粘度(o−クロルフェノールを溶媒として25℃で測定したもので、〔η〕で表される)は、概ね0.4〜1.5、好ましくは0.5〜1.2であり、末端カルボキシル基濃度(以下、COOH基濃度と略称する)は、概ね35当量/106g(以下、eq/106gと略称する)以下、好ましくは20当量以下である。極限粘度が0.55未満であると引張強度をはじめとする機械的強度が不足し、COOH基濃度が35eq/106g以上であると耐加水分解性が不足する傾向となるため好ましくない。またPLAとは、乳酸を重合したものをいい、L体あるいはD体の光学純度が90%以上であると、融点が高くて特に好ましい。また、ポリ乳酸の性質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していても、PLA以外のポリマーや粒子、難燃剤、帯電防止剤等の添加物を含有していても良い。ただし、バイオマス利用、生分解性の観点から、ポリマーとして乳酸モノマーは50重量%以上とすることが重要である。乳酸モノマーは好ましくは75重量%以上、より好ましくは96重量%以上である。また、PLAポリマーの分子量が、重量平均分子量で5万〜50万であると、力学特性と製糸性のバランスが良くなるため好ましい。
【0025】
ここで、本発明におけるポリエステルおよびポリエステル成形体のカルボキシル末端基濃度の測定は、次に示す方法で行ったものである。
<カルボキシル末端基濃度の測定方法>
(1)10ml試験管にポリエステル成分として0.5±0.002gのサンプルを秤取する。
(2)o−クレゾール10mlを前記試験管に注入し、100℃で30分間加熱攪
拌しサンプル溶解させる。
(3)試験管の内容液を30mlビーカーに移す(試験管内の残液を3mlのジクロルメタンで洗浄してビーカーに追加する。
(4)ビーカー内の液温が25℃になるまで放冷する。
(5)N/50NaOHメタノール溶液で滴定する。
(6)サンプル無しで前記(1)〜(5)と同様に行い、サンプル滴定に要した実N/50NaOHメタノール溶液滴定量からポリエステル106gあたりのCOOH末端基当量を求める。
【0026】
ポリオレフィンの中では、ポリエチレン(以下、PEと略称する)、ポリプロピレン(以下、PPと略称する)およびポリ環状オレフィン類(以下、PCOと略称する)から選ばれた少なくとも1種が特に好ましい。ここでPCOとは、シクロオレフィン類の開環(共)重合体、シクロオレフィンとα−オレフィン類との共重合体およびそれらの水素添加物のことであり、例えばテトラシクロドデセン(水素原子の一部がアルキルカルボキシレート等の極性基で置換されたものを含む)の開環重合体およびその水素添加物、およびテトラシクロドデセンとエチレンとの共重合体およびその水素添加物などを好まし例として挙げることができる。
【0027】
ポリスチレンの中では、シンジオタクチック構造のポリスチレン(以下、SPSと略称する)が、高融点で耐熱性が良好であることから特に好ましい。
【0028】
前記熱可塑性樹脂は、各種の酸化防止剤、加水分解抑制剤、酸化防止剤、老化防止剤、各種金属封鎖剤、防汚性付与剤、各種難燃剤、各種導電性・制電性付与剤、滑り性付与剤、防黴剤、結晶核剤、発泡剤、加硫剤、加硫促進剤、色調改良剤、着色剤、触媒、界面活性剤、各種粒子および可塑剤などの各種添加剤を目的に応じて含有することができる。
【0029】
本発明の芯成分がカルボジイミド化合物を含有する熱可塑性樹脂からなる芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットの製造は、特開2001−198918号公報に記載された方法および装置を基本として行うことができる。
【0030】
すなわち、例えば、鞘成分用混練押し出し機と芯成分用混練押し出し機との2基の混練押し出し機、芯鞘両成分のダイ装置への流路配管、芯鞘成分合流ダイ装置、冷却槽、水切り装置およびペレタイザーとを備えた装置を使用する。
【0031】
芯成分用および鞘成分用混練押し出し機は、1軸または2軸以上の多軸混練押し出し機を目的に応じて使用するが、本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットは芯成分がカルボジイミド化合物を含有するものであることから、芯成分用混練押し出し機は、少なくとも2軸を有する混練押出機であることが好ましい。
【0032】
芯成分へのカルボジイミド化合物の添加は、粉末、フレークまたは錠剤状などのカルボジイミド化合物を熱可塑性樹脂のペレット、粉末またはフレークなどと計量混合して混練機のメインホッパー経由で供給し混練する方法、または熱可塑性樹脂のペレットを混練機のメインホッパー経由で供給し、カルボジイミド化合物を粉末、フレーク、錠剤状または加熱溶融した液体として混練機のバレルに備えたサイドフィ−ド孔から計量供給し溶融混練する方法を挙げることができるが、中でも熱可塑性樹脂のペレットを混練機のメインホッパー経由で供給し、カルボジイミド化合物を加熱溶融した液体として混練機のバレルに備えたサイドフィ−ド孔から計量供給し溶融混練する方法が特に好ましい。
【0033】
また、鞘成分にも他の成分を添加含有させる場合には、鞘成分用混練押出機としても少なくとも2軸を有する混練押出機を使用して、上記の芯成分と同様に行うことが好ましい。
【0034】
かくして製造される本発明の芯成分がカルボジイミド化合物を含有する熱可塑性樹脂からなる芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットは、ポリエステルと溶融混練し、所定の形状に成形することからなるポリエステル成形体の製造に好ましく使用することができ、その場合には産業上の利用価値がきわめて高い。
【0035】
ここで、芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットと溶融混練して成形されるポリエステルとは、例えばPET、PPT、PBT、ポリエチレンナフタレート、PLA、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、ポリカプロラクトンおよびポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体などを挙げることができるが、中でもPET、PPT、PBTおよびPLAから選ばれた少なくとも1種が特に好ましい。
【0036】
この場合に使用するPETとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がエチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、PPTとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、またPBTとは、ポリエステルを構成する分子構造の繰り返し単位の80重量%以上がテトラメチレンテレフタレート単位からなるポリエステルであり、いずれも公知の溶融重縮合反応および必要に応じて溶融重縮合反応を行った後、必要によって固層重縮合反応を行うことで得ることができる。これらのポリエステルの極限粘度(o−クロルフェノールを溶媒として25℃で測定したもので、〔η〕で表される)は、概ね0.4〜1.5、好ましくは0.5〜1.2であり、末端カルボキシル基濃度(以下、COOH基濃度と略称する)は、概ね35当量/106g(以下、eq/106gと略称する)以下、好ましくは20当量以下である。極限粘度が0.55未満であると、引張強度をはじめとする機械的強度が不足し、COOH基濃度が35eq/106g以上であると、耐加水分解性が不足する傾向となるため好ましくない。また、PLAとは、乳酸を重合したものをいい、L体あるいは、D体の光学純度が90%以上であると、融点が高くて特に好ましい。また、PLAの性質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していても、PLA以外のポリマーや、粒子、難燃剤、帯電防止剤などの添加物を含有していても良い。ただし、バイオマス利用、生分解性の観点から、ポリマーとして乳酸モノマーは50重量%以上とすることが重要である。乳酸モノマーは好ましくは75重量%以上、より好ましくは96重量%以上である。また、PLAポリマーの分子量が、重量平均分子量で5万〜50万であると、力学特性と製糸性のバランスが良くなるため好ましい。
【0037】
本発明のポリエステル成形体の製造方法は、本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットをポリエステルとを溶融混練することを必須とし、次いで押し出し、射出しなどの任意の方法で行うことができる。
【0038】
本発明の方法で得られたポリエステル成形体は、カルボジイミド化合物によって、ポリエステル分子末端に存在し、ポリエステル自体の加水分解促進触媒として作用するカルボキシル末端基が封鎖反応して減少され、高温多湿雰囲気下に暴露されたときの加水分解劣化が抑制されたものとなる。
【0039】
さらに、ポリエステル成形体中に、ポリエステル分子中のカルボキシル末端基と反応する能力を有するカルボジイミド化合物を残存させることにより、ポリエステル成形体が高温多湿雰囲気下に暴露されたときのポリエステルの加水分解によって生成するカルボキシル末端基をカルボジイミド化合物が封鎖して、ポリエステル成形体の加水分解劣化がさらに抑制されるという好ましい効果が得られる。
【0040】
本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットとポリエステルとの混合量比は、ポリエステル成形体中に含有させたい未反応のカルボジイミド化合物の濃度によって任意に設計することができる。
【0041】
本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットを使用して成形されるポリエステル成形体とは、繊維、フィルム、シートおよび各種装置部品などのいずれでもよいが、中でもポリエステル繊維が特に好ましい。
【0042】
ポリエステル繊維は、モノフィラメント、マルチフィラメント、短繊維、綿状および不織布状などいずれの形態であっても良いが、特にモノフィラメントが好ましい。
【0043】
繊維の製造は、本発明の芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットとポリエステルとをギアポンプ、エクストルダー、多段多分割式静止混合機などを使用して溶融混練した後、紡糸口金から押し出し、冷却、延伸、ヒートセットすることなどにより任意の性状の繊維とする方法を採用することができる。
【0044】
かくして本発明の方法で製造されたポリエステル繊維は、耐加水分解性に優れるため、産業用、衣料用などの様々な用途に使用することができる。特にモノフィラメントとした場合には、抄紙ドライヤーカンバスを代表とする工業用織物に好適に使用することができることから、産業用の利用価値が極めて高い。
【0045】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
〔実施例1、比較実施例1〕
鞘成分用の1軸エクストルダーと、バレル中間部に加熱装置付き添加物用溶解槽と計量用ギヤポンプとが接続されたサイドフィードポートを備えた芯成分用の同方向回転2軸エクストルダーとの2基の混練押し出し機、芯鞘両成分のダイ装置への流路配管、芯鞘成分合流ダイ装置、冷却槽、水切り装置、およびペレタイザーとを備えた芯鞘複合ペレット装置を使用した。
【0046】
TICであるRaschig AG社製の“Stabilizer”(登録商標)7000を、前記した加熱装置付き添加物用溶解槽に仕込み、100℃に加熱してTICを溶解した。
【0047】
鞘成分および芯成分用の熱可塑性樹脂として、公知の溶融重縮合と固相重縮合とによって製造した極限粘度0.94、末端カルボキシル基濃度11当量/106gのPET乾燥チップ(以下、PETチップという)を準備した。
【0048】
芯成分のTIC含有量17重量%、芯成分と鞘成分との重量比80:20にて各原料をフィードし、芯成分と鞘成分の樹脂温度290℃、芯成分をスクリュー回転数200rpmで混練を行い、芯部にTICを17重量部含有する芯鞘複合重量比率80:20のPET製芯鞘複合ペレットを製造した。芯鞘複合ポリマ吐出口から蒸発TICの発煙は無く、何ら問題なく芯鞘複合ペレットを製造することができた(実施例1)。
【0049】
比較のために、鞘成分をフィードすることなく、芯成分のみでTICを17%含有するペレットの製造を試みたが、吐出ポリマの太さが不安定で、かつポリマ吐出口からTICが激しく蒸発して発煙し作業の続行が不可能であったため製造を断念した(比較実施例1)。
〔実施例2〜4〕
実施例1におけるPETチップを、PPTチップ(“Sorona”(登録商標)(デュポン社製品、極限粘度=1.1、COOH末端基濃度=11当量/106g)に変更し、混練樹脂温度を260℃に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、何ら製造上の問題なく、芯部にTICを17重量部含有する芯鞘複合重量比率80:20のPPT製芯鞘複合ペレットを製造することができた(実施例2)。
【0050】
実施例1におけるPETチップを、PBTチップ(“トレコン”(登録商標)1200S)(東レ(株)製品、COOH末端基濃度=30当量/106g)に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、何ら製造上の問題なく、芯部にTICを17重量部含有する芯鞘複合重量比率80:20のPBT製芯鞘複合ペレットを製造することができた(実施例3)。
【0051】
実施例1におけるPETチップを、PLAチップ(光学純度99%L乳酸使用、重量平均分子量19万)に変更し、混練樹脂温度を240℃に変更した以外は実施例1と同様に行ったところ、何ら製造上の問題なく、芯部にTICを17重量部含有する芯鞘複合重量比率80:20のPLA製芯鞘複合ペレットを製造することができた(実施例4)。
〔実施例5〜8〕
実施例1〜4におけるMCD化合物のTICであるRaschig AG社製の“Stabilizer”(登録商標)7000を、PCD化合物のiso−Prop−Ph−PCDであるRaschig AG社製の“STABILIZER”(登録商標)9000に変更し、“STABILIZER”(登録商標)9000の溶解温度を200℃に変更した以外は、実施例1〜4と同様に行ったところ、PCD化合物であるiso−Prop−Ph−PCDを芯成分に含有する芯鞘構造のPET製ペレット(実施例5)、PPT製ペレット(実施例6)、PBT製ペレット(実施例7)、およびPLA製ペレット(実施例8)を何ら問題なく製造することができた。
〔実施例9〕
実施例1における芯成分に添加するカルボジイミド化合物を、MCD化合物のTICであるRaschig AG社製の“Stabilizer”(登録商標)700017重量%とPCD化合物のiso−Prop−Ph−PCDであるRaschig AG社製の“STABILIZER”(登録商標)9000 7重量%の混合物に変更し、該混合物の溶解温度を200℃に変更した以外は、実施例1と同様に行ったところ、芯成分にMCD化合物とPCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPET製ペレットを何ら問題なく製造することができた。
〔実施例10〜12〕
実施例1、実施例5および実施例9におけるPETチップを、PEチップである“サンテック”(登録商標。旭化成(株)製品)LD M2115に変更し、混練樹脂温度を180℃に変更した以外は、実施例1、実施例5および実施例9と同様に行ったところ、MCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPE製ペレット(実施例10)、PCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPE製ペレット(実施例11)、およびMCD化合物とPCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPE製ペレット(実施例12)を何ら問題なく製造することができた。
〔実施例13〜15〕
実施例1、実施例5および実施例9におけるPETチップを、PPペレットである“グランドポリプロ”(登録商標。(株)グランドポリマー製品)E102に変更し、混練樹脂温度を230℃に変更した以外は、実施例1、実施例5および実施例9と同様に行ったところ、MCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPP製ペレット(実施例13)、PCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPP製ペレット(実施例14)、およびMCD化合物とPCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のPP製ペレット(実施例15)を何ら問題なく製造することができた。
〔実施例16〜18〕
実施例1、実施例5および実施例9におけるPETチップを、シンジオタクチック構造のPSペレットである“ザレック”(登録商標。出光石油化学(株)製品)30Aに変更した以外は、実施例1、実施例5および実施例9と同様に行ったところ、MCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のシンジオタクチック構造のPS製ペレット(実施例16)、PCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のシンジオタクチック構造のPS製ペレット(実施例17)、およびMCD化合物とPCD化合物を芯成分に含有する芯鞘構造のシンジオタクチック構造のPS製ペレット(実施例18)を何ら問題なく製造することができた。
〔実施例19〜22〕
1torr以下の減圧下、100℃で24時間乾燥した実施例1で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレット10重量部と、実施例1で芯鞘構造のペレットの製造に使用したものと同じ乾燥したPETチップ90重量部とを、計量しながら先端に紡糸パックと紡糸口金を備えた1軸エクストルダーに供給し、290℃の樹脂温度で混練した後、紡糸口金から溶融糸条を押し出し、70℃の温水槽で冷却固化し、次いでトータル5.0倍に延伸したところ、直径0.50mmのPETモノフィラメントを何ら問題なく得た(実施例19)。
【0052】
実施例19におけるPETチップを実施例2で芯鞘構造のペレットの製造に使用したものと同じ乾燥したPPTチップに変更し、芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを実施例2で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットに変更し、混練樹脂温度を260℃に変更した以外は実施例19と同様に行って直径0.50mmのPPTモノフィラメントを何ら問題なく得ることができた(実施例20)。
【0053】
実施例20におけるPPTチップを、実施例3で芯鞘構造のペレットの製造に使用したものと同じ乾燥したPBTチップに変更し、芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例3で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットに変更し対外は、実施例20と同様に行ったところ、直径0.50mmのPBTモノフィラメントを何ら問題なく得ることができた(実施例21)。
【0054】
実施例19におけるPETチップを、実施例4で芯鞘構造のペレットの製造に使用したものと同じ乾燥したPLAチップに変更し、芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例4で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットに変更し、混練樹脂温度を240℃に変更した以外は、実施例19と同様に行ったところ、直径0.50mmのPLAモノフィラメントを何ら問題なく得ることができた(実施例22)。
〔実施例23〜26〕
実施例19〜22における芯鞘複合ペレットを、実施例5で製造したiso−Prop−Ph−PCDを芯成分に含有する芯鞘構造のPET製ペレットに変更(実施例23)、実施例6で製造したiso−Prop−Ph−PCDを芯成分に含有する芯鞘構造のPPT製ペレットに変更(実施例24)、実施例7で製造したiso−Prop−Ph−PCDを芯成分に含有する芯鞘構造のPBT製ペレットに変更(実施例25)、および実施例8で製造したiso−Prop−Ph−PCDを芯成分に含有する芯鞘構造のPLA製ペレットに変更(実施例26)した以外は実施例19〜22と同様に行ったところ、いずれも何ら問題なくそれぞれのモノフィラメントを得ることができた。
〔実施例27〕
実施例19における実施例1で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例9で製造した芯成分にTICとiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPET製ペレットに変更した以外は実施例25と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた。
〔実施例28、29〕
実施例19における実施例1で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例10で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は実施例19と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例28)。
【0055】
実施例23における実施例5で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例11で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例23と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例28)。
〔実施例30、31〕
実施例20における実施例2で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例10で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例20と同様に行ったところ、何ら問題なくPPTモノフィラメントを得ることができた(実施例30)。
【0056】
実施例24における実施例6で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例11で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例24と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例31)。
〔実施例32、33〕
実施例21における実施例3で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例10で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例21と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例32)。
【0057】
実施例25における実施例7で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例11で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例25と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例33)。
〔実施例34,35〕
実施例22における実施例4で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを、実施例10で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例22と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例34)。
【0058】
実施例26における実施例8で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを、実施例11で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPE製ペレットに変更した以外は、実施例26と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例35)。
〔実施例36,37〕
実施例19における実施例1で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例13で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例19と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例36)。
【0059】
実施例23における実施例5で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例14で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例23と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例37)。
〔実施例38、39〕
実施例20における実施例2で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例13で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例20と同様に行ったところ、何ら問題なくPPTモノフィラメントを得ることができた(実施例38)。
【0060】
実施例24における実施例6で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例14で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例24と同様に行ったところ、何ら問題なくPPTモノフィラメントを得ることができた(実施例39)。
〔実施例40,41〕
実施例21における実施例3で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例13で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例21と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例40)。
【0061】
実施例25における実施例7で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例14で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例25と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例41)。
〔実施例42,43〕
実施例22における実施例4で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを、実施例13で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例22と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例42)。
【0062】
実施例26における実施例8で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを、実施例14で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPP製ペレットに変更した以外は、実施例26と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例43)。
〔実施例44,45〕
実施例19における実施例1で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例16で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例19と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例44)。
【0063】
実施例23における実施例5で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPET製ペレットを、実施例17で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例23と同様に行ったところ、何ら問題なくPETモノフィラメントを得ることができた(実施例45)。
〔実施例46、47〕
実施例20における実施例2で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例16で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例20と同様に行ったところ、何ら問題なくPPTモノフィラメントを得ることができた(実施例46)。
【0064】
実施例24における実施例6で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPPT製ペレットを、実施例17で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例24と同様に行ったところ、何ら問題なくPPTモノフィラメントを得ることができた(実施例47)。
〔実施例48,49〕
実施例21における実施例3で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例16で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例21と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例48)。
【0065】
実施例25における実施例7で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPBT製ペレットを、実施例17で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例25と同様に行ったところ、何ら問題なくPBTモノフィラメントを得ることができた(実施例49)。
〔実施例50,51〕
実施例22における実施例4で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを、実施例16で製造した芯成分にTICを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例22と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例50)。
【0066】
実施例26における実施例8で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のPLA製ペレットを実施例17で製造した芯成分にiso−Prop−Ph−PCDを含有する芯鞘構造のSPS製ペレットに変更した以外は、実施例26と同様に行ったところ、何ら問題なくPLAモノフィラメントを得ることができた(実施例51)。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の芯成分にカルボジイミド化合物を含有させた芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットによれば、従来技術では困難であった高濃度のカルボジイミド化合物を含有するマスターバッチを、カルボジイミド化合物の分解生成物や不純物の揮発による環境汚染を起こすことなく提供することができる。また、この芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレットをポリエステルと溶融混練し、次いで所定の形状に成形する方法の採用により、モノフィラメントを代表とする繊維などの耐加水分解性に優れたポリエステル成形体を製造上の問題なく提供することができる。
Claims (6)
- 芯鞘構造を有する熱可塑性樹脂製ペレットであって、芯成分がカルボジイミド化合物を含有する熱可塑性樹脂からなることを特徴とする芯鞘構造の熱可塑性樹脂製ペレット。
- 前記芯成分に含有されるカルボジイミド化合物が、N,N´−ジ−(2,6−ジイソプロピルフェニル−)カルボジイミド、およびカルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6−位および/または2,4,6−位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族ポリカルボジイミド化合物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂製ペレット。
- 前記熱可塑性樹脂製ペレットを構成する熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリスチレンから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性樹脂製ペレット。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂製ペレットをポリエステルと溶融混練し、次いで所定の形状に成形することを特徴とするポリエステル成形体の製造方法。
- 前記ポリエステル成形体が、ポリエステル繊維であることを特徴とする請求項4記載のポリエステル成形体の製造方法。
- 前記ポリエステル繊維がモノフィラメントであることを特徴とする請求項5記載のポリエステル成形体の製造方法。
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JP2009099332A (ja) * | 2007-10-16 | 2009-05-07 | Meidensha Corp | 絶縁処理された電圧機器 |
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-
2002
- 2002-11-28 JP JP2002345846A patent/JP2004175985A/ja active Pending
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