JP2004175780A - 2−ピロン化合物およびその用途 - Google Patents

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淳也 高橋
Seishi Azuma
清史 東
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Abstract

【課題】組織におけるI型コラーゲン遺伝子の発現量を減少させ、コラーゲン蓄積量を低下させることにより、組織の線維化を改善させる薬剤等を開発・提供すること。
【解決手段】
式(I)
Figure 2004175780

(式中、Rはメチル基、エチル基又はアリル基を示し、R´はメチル基又はエチル基を示す。)
で示される2-ピロン化合物、当該2-ピロン化合物を有効成分として含有することを特徴とするI型コラーゲン遺伝子転写抑制剤、I型コラーゲン遺伝子の発現量を減少させてコラーゲン蓄積量の低下を導くことにより組織の線維化を改善するための前記I型コラーゲン遺伝子転写抑制剤の使用、前記2-ピロン化合物を有効成分として含有することを特徴とする組織の線維化を改善させる薬剤、線維症であると診断されうる哺乳動物に対して有効量の前記2-ピロン化合物を投与する工程を有することを特徴とする組織の線維化を改善させる方法等が提供可能となった。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2-ピロン化合物及びその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥る疾患)、炎症後の過形成痕跡、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、強皮症、動脈硬化、高血圧等の疾患や異状においては、コラーゲンに代表されるような細胞外マトリックスの過度の集積により組織が線維化して硬化し、その結果、臓器・組織の機能低下や瘢痕形成等に至る。このような細胞外マトリックスの過度の集積は、コラーゲン等の生合成と分解とのバランスの破綻に基づくコラーゲンの産生亢進により導かれる。実際、線維化した組織においては、コラーゲン遺伝子、特にI型コラーゲン遺伝子の発現量が増加していることが観察されている(非特許文献1及び非特許文献2)。また、線維化した組織においては、サイトカインの1種であるTGF−βの量が上昇していることも観察されている(非特許文献1及び非特許文献2)。TGF−βは、I型コラーゲン遺伝子の発現量を増加させ、コラーゲンの産生亢進、ひいては、組織の線維化に関与していることが示されている(非特許文献3及び非特許文献4)。
一方、種々の動物線維症モデルにおいて、インターフェロンγの投与により、組織におけるI型コラーゲン遺伝子の発現量が低下し、コラーゲンの量が低下することにより組織の線維化が改善されることが報告されている(非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7及び非特許文献8)。
【0003】
【非特許文献1】
J.Invest.Dermatol.,94,365,(1990)
【非特許文献2】
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,6642,(1991)
【非特許文献3】
Lab.Invest.,63,171,(1990)
【非特許文献4】
J.Invest.Dermatol.,94,365,(1990)
【非特許文献5】
Exp.Lung Res.,21,791−808,(1995)
【非特許文献6】
Kidney Int.,47,62−69,(1995)
【非特許文献7】
J.Hepatol.,28,471−479,(1998)
【非特許文献8】
J.Hepatol.,26,894−903,(1997)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、組織におけるI型コラーゲン遺伝子の発現量を減少させ、コラーゲン蓄積量を低下させることにより、組織の線維化を改善させる薬剤(即ち、コラーゲン蓄積抑制剤や線維症治療剤)の開発・提供が切望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意検討した結果、下記の式(I)で示される2-ピロン化合物がI型コラーゲン遺伝子の転写を抑制する能力を有することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.式(I)
Figure 2004175780
[式中、Xは水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子もしくはC1−C4アルコキシ基で置換されていてもよいC1−C4アルキル基、ニトロ基、C1−C4アルコキシ基、又は、−WR基(Wは酸素原子又は硫黄原子を表し、Rはハロゲン原子で置換されたC1−C4アルキル基を表す。)を表し、RはC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基を表す。]
で示される2-ピロン化合物[以下、本発明化合物(I)と記すことがある。];
2.RがC1−C4アルキル基又はC3−C4アルケニル基である前項1記載の2-ピロン化合物;
3.Rがメチル基、エチル基又はアリル基である前項1記載の2-ピロン化合物;
4.Xが水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はニトロ基である前項1記載の2-ピロン化合物;
5.Xが水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基又はトリフルオロメチル基である前項1記載の2-ピロン化合物;
6.Xが水素原子、塩素原子、メチル基、ニトロ基又はトリフルオロメチル基である前項1記載の2-ピロン化合物;
7.Rがメチル基である前項4記載の2-ピロン化合物;
8.Xが塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、Rがエチル基又はアリル基である前項4記載の2-ピロン化合物;
9.Xが−WR基(Wは酸素原子又は硫黄原子を表し、Rはハロゲン原子で置換されたC1−C4アルキル基を表す。)である前項1記載の2-ピロン化合物;
10.Rが1以上のフッ素原子で置換されたC1−C4アルキル基である前項9記載の2-ピロン化合物;
11.Rがジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基又は1,1,2,2−テトラフルオロエチル基である前項9記載の2-ピロン化合物;
12.Wが酸素原子である前項9記載の2-ピロン化合物;
13.Wが硫黄原子であり、Rがトリフルオロメチル基である前項9記載の2-ピロン化合物;
14.Rがメチル基である前項9記載の2-ピロン化合物;
15.XがC1−C4アルコキシ基である前項1記載の2-ピロン化合物;
16.Xがメトキシ基又はエトキシ基である前項15記載の2-ピロン化合物;
17.Rがメチル基、エチル基又はアリル基である前項15記載の2-ピロン化合物;
18.式(II)
Figure 2004175780
[式中、Raはエチル基又はアリル基を表す。]
で示される2-ピロン化合物;
19.Xが、C1−C4アルコキシ基で置換されたC1−C4アルキル基である前項1記載の2-ピロン化合物;
20.Xがメトキシメチル基である前項19記載の2-ピロン化合物;
21.式(III)
Figure 2004175780
で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物;
22.式(IV)
Figure 2004175780
[式中、Rはエトキシ基、メトキシメチル基又は1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基を表す。]
で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物;
23.式(V)
Figure 2004175780
で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物;
24.式(VI)
Figure 2004175780
で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物;
25.I型コラーゲン遺伝子の転写を抑制するための、前項1記載の2-ピロン化合物の使用;
26.有効成分としての前項1記載の2-ピロン化合物と不活性担体とを含有することを特徴とするI型コラーゲン遺伝子転写抑制組成物(以下、本発明転写抑制組成物と記すことがある。);
27.I型コラーゲン遺伝子の発現量を減少させてコラーゲン蓄積量の低下を導くことにより組織の線維化を改善するための、前項26記載のI型コラーゲン遺伝子転写抑制組成物の使用;
28.有効成分としての前項1記載の2-ピロン化合物と不活性担体とを含有することを特徴とする組織の線維化を改善させる組成物(以下、本発明線維化改善組成物と記すことがある。);
29.組織の線維化を改善させる処置方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物患者に対して、有効量の前項1記載の2-ピロン化合物を投与することを特徴とする方法;
30.TGF−βの作用を抑制するための、前項1記載の2-ピロン化合物の使用;
31.有効成分としての前項1記載の2-ピロン化合物と不活性担体とを含有することを特徴とするTGF−βの作用抑制組成物(以下、本発明TGF−β抑制組成物と記すことがある。);
32.毛髪の退行期への移行のTGF−βによる促進を阻害して毛髪成長期の延長を導くことにより養毛効果を得るための、前項31記載のTGF−βの作用抑制組成物の使用;
33.有効成分としての前項1記載の2-ピロン化合物と不活性担体とを含有することを特徴とする養毛組成物(以下、本発明養毛組成物と記すことがある。);
34.養毛処置を必要とする哺乳動物患者に対して、有効量の前項1記載の2-ピロン化合物を投与することを特徴とする養毛方法;
等を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、
Xにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。
Xにおける、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)もしくはC1−C4アルコキシ基で置換されてもよいC1−C4アルキル基としては、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基等があげられる。
XにおけるC1−C4アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等があげられる。
におけるハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)で置換されたC1−C4アルキル基としては、例えば、1以上のフッ素原子で置換されたC1−C4アルキル基であるジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基等があげられる。
−WR基(Wは酸素原子又は硫黄原子を表し、Rはハロゲン原子で置換されたC1−C4アルキル基を表す。)としては、例えば、1以上のフッ素原子で置換されたC1−C4アルコキシ基であるジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基等があげられる。
RにおけるC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、アリル基等があげられる。
【0007】
本発明化合物(I)の態様としては、以下の態様があげられる。
Figure 2004175780
本発明化合物(I)のうち、典型的な化合物の例として、
式(VII)
Figure 2004175780
[式中、Rは塩素原子、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表し、RはC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基を表す。]
で示される2-ピロン化合物、
式(VIII)
Figure 2004175780
[式中、RはC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基を表す。]
で示される2-ピロン化合物、
式(IX)
Figure 2004175780
[式中、RはC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基を表す。]
で示される2-ピロン化合物、
式(X)
Figure 2004175780
[式中、RはC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基を表す。]
で示される2-ピロン化合物、
式(XI)
Figure 2004175780
[式中、RはC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基を表す。]
で示される2-ピロン化合物、
式(XII)
Figure 2004175780
[式中、Rはハロゲン原子、ハロゲン原子もしくはC1−C4アルコキシ基で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はハロゲン原子で置換されたC1−C4アルコキシ基を表し、RはC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基を表す。]
で示される2-ピロン化合物、
式(II)
Figure 2004175780
[式中、Raはエチル基又はアリル基を表す。]
で示される2-ピロン化合物 等を挙げることができる。
ここで、上記のRにおけるC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、アリル基等があげられる。
また、上記のRにおいて、
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子等があげられ、
ハロゲン原子もしくはC1−C4アルコキシ基で置換されていてもよいC1−C4アルキル基としては、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基等があげられ、
ハロゲン原子で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、例えば、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基等があげられる。
【0008】
本発明化合物(I)は、式(XIII)(式中、Xは前記と同一の意味を表す。)で示される化合物(以下、本中間体(XIII)と記すことがある。)を、アルキル化、アルケニル化又はアルキニル化することにより製造することができる。
Figure 2004175780
アルキル化、アルケニル化又はアルキニル化の方法としては、例えば、式(XIII)で示される化合物と式(XIV)
RY (XIV)
[式中、Rは前記と同一の意味を表し、Yは脱離基を表す。]
で示されるアルキル化剤、アルケニル化剤又はアルキニル化剤[以下、化合物(XIV)と記すことがある。]とを塩基の存在下で反応させる方法をあげることができる。
式(XIII)で示される化合物と化合物(XIV)との塩基の存在下での反応は、通常、溶媒中で行われる。反応に用いられる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の酸アミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、ヘキサメチルホスホラミド等のリン酸アミド化合物類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等があげられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩類、酸化銀等があげられる。
反応に用いられるアルキル化剤、アルケニル化剤又はアルキニル化剤としては、例えば、メタンスルホン酸メチル等のアルキルスルホン酸エステル類、p−トルエンスルホン酸エチル等のアリールスルホン酸エステル類、ジメチル硫酸等の硫酸エステル類、臭化エチル、臭化アリル、臭化プロパルギル等のハライド類があげられる。
反応に用いられる試剤の量は、式(XIII)で示される化合物1モルに対して、塩基は、通常、1モル〜2モルの割合、化合物(XIV)は、通常、1モル〜2モルの割合である。
反応温度は、通常、0℃〜100℃の範囲内、反応時間は、通常、1時間〜200時間の範囲内である。
反応終了後、反応混合物を有機溶媒抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、本発明化合物(I)を単離することができる。単離された本発明化合物(I)はクロマトグラフィー、再結晶等によりさらに精製することもできる。
本中間体(XIII)のうち、
式(III)
Figure 2004175780
で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物、
式(IV)
Figure 2004175780
[式中、Rはエトキシ基、メトキシメチル基又は1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基を表す。]
で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物、
式(V)
Figure 2004175780
で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物、及び
式(VI)
Figure 2004175780
で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物は、例えば、デヒドロ酢酸とベンズアルデヒド化合物とを反応させる(Indian J.Chem(1974),12,956 参照)ことにより製造することができる。
【0009】
表1に、化合物番号(i)〜(xxiv)で表される本中間体(XIII)を例示する。
表1 本中間体(XIII)
Figure 2004175780
【0010】
【表1】
Figure 2004175780
【0011】
表2に、化合物番号(1)〜(14)で表される本発明化合物(I)を例示する。表2 本発明化合物(I)
Figure 2004175780
【0012】
【表2】
Figure 2004175780
【0013】
表3に、化合物番号(15)〜(28)で表される本発明化合物(I)を例示する。
表3 本発明化合物(I)
Figure 2004175780
【0014】
【表3】
Figure 2004175780
【0015】
本発明化合物(I)は、I型コラーゲン遺伝子の転写を抑制する能力を有する。当該能力は、I型コラーゲン遺伝子の発現量を減少させてコラーゲン蓄積量の低下を導くことにより組織の線維化を改善するために重要である。よって、本発明化合物(I)は、I型コラーゲン遺伝子の発現量を減少させてコラーゲン蓄積量の低下を導くことにより組織の線維化を改善するための組成物(医薬品、化粧品、食品添加物等)の有効成分として利用することができる。
本発明転写抑制組成物や本発明線維化改善組成物の適用可能な疾患としては、コラーゲンの過度の集積により組織が線維化して硬化し、その結果、臓器・組織の機能低下や瘢痕形成等を来たす疾患(即ち、線維症)をあげることができる。
例えば、肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥る疾患)、炎症後の過形成痕跡、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、強皮症、動脈硬化、高血圧等の疾患や異状等をあげることができる。
かかる本発明転写抑制組成物や本発明線維化改善組成物は、本発明化合物(I)と不活性担体とを含有する。これらの組成物中に含有される本発明化合物(I)は、通常、0.01重量%〜99.99重量%であり、不活性担体は、通常、99.99重量%〜0.01重量%である。該不活性担体は、薬学的に許容される担体や賦形剤であり、本発明転写抑制組成物や本発明線維化改善組成物はさらに、医薬品添加剤、化粧品添加剤、食品添加剤等を含有してもよい。
【0016】
また、本発明化合物(I)は、後述する実施例54にも示されるように、TGF−βが有するI型コラーゲン遺伝子の転写促進能力を阻害する。即ち、本発明化合物(I)はTGF−βの作用を抑制する能力を有するTGF−βアンタゴニストである。よって、本発明化合物(I)は、TGF−βの作用抑制組成物の有効成分として利用することもできる。TGF−βは、毛髪の成長サイクルにおける成長期から退行期への移行を促進する能力を有することが知られている[J.Invest.Dermatol.,111,948−954(1998)、FASEB J.,16,1967−1969(2002)]。さらに、抗TGF−β抗体や、TGF−β阻害剤であるFetuin等は、TGF−βによる毛の伸長抑制作用に対して拮抗的に働き、毛の伸長促進作用を示すことが報告されている[J.Invest.Dermatol.,118,993−997(2002)、公開特許公報 特開2000−342296]。よって、本発明化合物(I)を有効成分として含有するTGF−βの作用抑制組成物は、毛髪の退行期への移行のTGF−βによる促進を阻害して毛髪成長期の延長を導くことにより養毛効果を得るための組成物(医薬品、化粧品、食品添加物等)としての利用が考えられる。
かかる本発明TGF−β抑制組成物や本発明養毛組成物は、本発明化合物(I)と不活性担体とを含有する。これらの組成物中に含有される本発明化合物(I)は、通常、0.01重量%〜99.99重量%であり、不活性担体は、通常、99.99重量%〜0.01重量%である。該不活性担体は、薬学的に許容される担体や賦形剤であり、本発明TGF−β抑制組成物や本発明養毛組成物はさらに、医薬品添加剤、化粧品添加剤、食品添加剤等を含有してもよい。
【0017】
上記組成物に用いられる薬学的に許容される担体、賦形剤、医薬品添加剤、食品添加剤、化粧品添加剤等は、当該組成物の具体的用途に応じて適宜選択することができる。また、当該組成物の形態も、具体的用途に応じて、例えば、種々の固体、液体等の形態とすることができる。
例えば、本発明化合物(I)を医薬品の有効成分として用いる場合には、具体的な形態として、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、シロップ剤、カプセル剤、懸濁化剤、エマルジョン剤、エキス剤及び丸剤等の経口剤、注射剤、外用液剤や軟膏剤等の経皮吸収剤、坐剤及び局所剤等の非経口剤等をあげることができる。
経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸等の担体や賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、安定化剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤等の医薬品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の組成物の種類、投与形態等によって異なるが、通常は経口の場合にはヒト成人で1日あたり有効成分量として約1mg〜約2g、好ましくは有効成分量として約5mg〜約1gを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
非経口剤のうち、注射剤は、生理食塩水、滅菌水リンゲル液等の水溶性溶剤、植物油、脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖、塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤等の医薬品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。外用液剤、ゲル状軟膏等の経皮吸収剤、直腸内投与のための坐剤等も通常の方法に従って製造することができる。このような非経口剤を投与するには、注射(皮下、静脈内等)、経皮投与、直腸投与すればよい。局所剤は、例えば、本発明化合物(I)をエチレンビニル酢酸ポリマー等の徐放性ポリマーのペレットに取り込ませて製造することができる。このペレットを治療すべき組織中に外科的に移植すればよい。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の組成物の種類、投与形態等によって異なるが、通常は注射の場合にはヒト成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
本発明化合物(I)を化粧品に添加して用いる場合には、該化合物が添加された化粧品の具体的な形態としては、例えば、液状、乳状、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、エアゾール、ムース等をあげることができる。ローションは、例えば、懸濁剤、乳化剤、保存剤等の化粧品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の組成物の種類、投与形態等によって異なるが、通常ヒト成人で有効成分量として約0.01mg〜約50mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
本発明化合物(I)を食品添加物として用いる場合には、該添加物が添加された食品の具体的な形態としては、例えば、粉末、錠剤、飲料、摂取可能なゲル若しくはシロップとの混合液状物、例えば、調味料、和菓子、洋菓子、氷菓、飲料、スプレッド、ペースト、漬物、ビン缶詰、畜肉加工品、魚肉・水産加工品、乳・卵加工品、野菜加工品、果実加工品、穀類加工品等の一般的な飲食物や嗜好物等をあげることができる。また、家畜、家禽、蜜蜂、蚕、魚等の飼育動物のための飼料や餌料への添加も可能である。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の組成物の種類、投与形態等によって異なるが、通常ヒト成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
【0018】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明する。
実施例1(本中間体(XIII)の製造(その1))
クロロホルム150mlにデヒドロ酢酸15.0g、ベンズアルデヒド9.47g及びピペリジン2mlを溶解し、モレキュラーシーブスを充填したソックスレー抽出器で水分を除去しつつ、還流下に2時間30分加熱した。更に、デヒドロ酢酸15.0g及びピペリジン2mlを添加し、水分を除去しつつ還流下に2時間30分加熱した。室温に冷却後、反応液を10%塩酸、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して結晶を得た。この結晶をクロロホルムとヘキサンの混合液、続いてエタノールで再結晶して4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(i)]の淡黄色結晶8.15gを得た。
融点:130〜133℃
【0019】
実施例2(本中間体(XIII)の製造(その2))
ベンズアルデヒドの代わりに、2−クロロベンズアルデヒド32.32gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(2−クロロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(ii))7.77gを得た。
融点:131〜134℃
【0020】
実施例3(本中間体(XIII)の製造(その3))
ベンズアルデヒドの代わりに、3−クロロベンズアルデヒド32.14gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(3−クロロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(iii))11.15gを得た。
融点:150.5〜153℃
【0021】
実施例4(本中間体(XIII)の製造(その4))
ベンズアルデヒドの代わりに、4−クロロベンズアルデヒド32.14gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(4−クロロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(iv))9.20gを得た。
融点:159〜160.5℃
【0022】
実施例5(本中間体(XIII)の製造(その5))
ベンズアルデヒドの代わりに、2−メチルベンズアルデヒド25.00gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(2−メチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(v))7.49gを得た。
融点:143〜144℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.29(s,3H),2.50(s,3H),5.96(s,1H),7.20〜7.35(m, 3H),7.79(dd,1H,J=1.1,8.2Hz),8.23(d,1H,J=15.6Hz),8.30(d,1H,J=15.6Hz),12.32(s,1H)
【0023】
実施例6(本中間体(XIII)の製造(その6))
ベンズアルデヒドの代わりに、3−メチルベンズアルデヒド25.65gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(3−メチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(vi))5.27gを得た。
融点:135.5〜136℃
【0024】
実施例7(本中間体(XIII)の製造(その7))
ベンズアルデヒドの代わりに、4−メトキシベンズアルデヒド4.08gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(4−メトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(vii))0.77gを得た。
融点:205〜208.5℃
【0025】
実施例8(本中間体(XIII)の製造(その8))
ベンズアルデヒドの代わりに、3-エトキシベンズアルデヒド3.00gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(3-エトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(viii))の淡黄色結晶2.07gを得た。
融点:136〜137℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.44(t,3H, J=7.1Hz),2.28(s,3H),4.08(q,2H, J=7.1Hz),5.96(s,1H),6.97(dt, 1H,J=1.7,7.8Hz),7.19(d,1H,J=2.0Hz),7.26〜7.36(m, 2H),7.92(d,1H,J=15.7Hz),8.29(d,1H,J=15.7Hz),12.35(s,1H)
【0026】
実施例9(本中間体(XIII)の製造(その9))
ベンズアルデヒドの代わりに、2−トリフルオロメチルベンズアルデヒド33.70gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(2−トリフルオロメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(ix))3.14gを得た。
融点:110〜110.5℃
【0027】
実施例10(本中間体(XIII)の製造(その10))
ベンズアルデヒドの代わりに、3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド33.40gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(3−トリフルオロメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(x))14.26gを得た。
融点:133〜133.5℃
【0028】
実施例11(本中間体(XIII)の製造(その11))
ベンズアルデヒドの代わりに、4−トリフルオロメチルベンズアルデヒド17.40gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(4−トリフルオロメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xi))8.87gを得た。
融点:149〜150℃
【0029】
実施例12(本中間体(XIII)の製造(その12))
ベンズアルデヒドの代わりに、2−ニトロベンズアルデヒド29.15gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(2−ニトロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xii))15.77gを得た。
融点:158.5〜159℃
【0030】
実施例13(本中間体(XIII)の製造(その13))
ベンズアルデヒドの代わりに、3−ニトロベンズアルデヒド10.13gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(3−ニトロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xiii))7.67gを得た。
融点:183〜183.5℃
【0031】
実施例14(本中間体(XIII)の製造(その14))
ベンズアルデヒドの代わりに、4−ニトロベンズアルデヒド22.07gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(4−ニトロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xiv))17.38gを得た。
融点:243.5〜244℃
【0032】
実施例15(本中間体(XIII)の製造(その15))
ベンズアルデヒドの代わりに、3−メトキシメチルベンズアルデヒド7.87gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(3−メトキシメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xv))2.06gを得た。
融点:118.5〜119℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.29(s,3H),3.42(s,3H),4.49(s,2H),5.96(s,1H),7.35〜7.45(m, 2H),7.55〜7.65(m, 2H),7.97(d,1H,J=15.8Hz),8.32(d,1H,J=15.7Hz),12.35(s,1H)
【0033】
実施例16(本中間体(XIII)の製造(その16))
ベンズアルデヒドの代わりに、2-ジフルオロメトキシベンズアルデヒド5.00gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(2-ジフルオロメトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xvi))の淡黄色結晶2.11gを得た。
融点:178〜179℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.29(s,3H),5.97(s,1H),6.59(t, 1H,J=73.1Hz),7.20(d,1H,J=8.5Hz),7.28(t, 1H,J=7.2Hz),7.43(dt, 1H,J=1.8,8.0Hz),7.87(dd,1H,J=1.4,7.8Hz),8.24(d,1H,J=16.0Hz),8.35(d,1H,J=16.1Hz),12.40(s,1H)
【0034】
実施例17(本中間体(XIII)の製造(その17))
ベンズアルデヒドの代わりに、3-ジフルオロメトキシベンズアルデヒド5.00gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(3-ジフルオロメトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xvii))2.52gを得た。
融点:122〜123℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.30(s,3H),5.98(s,1H),6.55(t,1H,J=73.5Hz),7.19(dd,1H,J=1.8,8.1Hz),7.38〜7.48(m,2H),7.55(d,1H,J=7.7Hz),7.89(d,1H,J=15.8Hz),8.30(d,1H,J=15.7Hz),12.56(s,1H)
【0035】
実施例18(本中間体(XIII)の製造(その18))
ベンズアルデヒドの代わりに、4-ジフルオロメトキシベンズアルデヒド6.13gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(4-ジフルオロメトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xviii))4.33gを得た。
融点:167〜168℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.29(s,3H),5.97(s,1H),6.57 (t,1H,J=73.3Hz),7.16(d,2H,J=8.6Hz),7.70(d,2H,J=8.6Hz),7.92(d,1H,J=15.8Hz),8.26(d,1H,J=15.8Hz),12.43(s,1H)
【0036】
実施例19(本中間体(XIII)の製造(その19))
ベンズアルデヒドの代わりに、2-トリフルオロメトキシベンズアルデヒド5.00gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(2-トリフルオロメトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xix))2.00gを得た。
融点:118〜118.5℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.30(s,3H),5.98(s,1H),7.30(dd,1H,J=1.3,6.6Hz),7.36(t,1H,J=7.6Hz),7.46(dt,1H,J=2.0,7.9Hz),7.90(dd,1H,J=1.4,7.8Hz),8.19(d,1H,J=15.8Hz),8.35(d,1H,J=15.8Hz),12.58(s,1H)
【0037】
実施例20(本中間体(XIII)の製造(その20))
ベンズアルデヒドの代わりに、3-トリフルオロメトキシベンズアルデヒド5.00gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(3-トリフルオロメトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xx))1.81gを得た。
融点:108〜108.5℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.30(s,3H),5.98(s,1H),7.28(d,1H,J=7.6Hz),7.45(t,1H,J=7.9Hz),7.48(s,1H),7.63(d,1H,J=7.7Hz),7.89(d,1H,J=15.8Hz),8.31(d,1H,J=15.7Hz),12.61(s,1H)
【0038】
実施例21(本中間体(XIII)の製造(その21))
ベンズアルデヒドの代わりに、4-トリフルオロメトキシベンズアルデヒド6.77gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(4-トリフルオロメトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xxi))0.84gを得た。
融点:115〜118℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.29(s,3H),5.98(s,1H),7.26(d,2H,J=8.4Hz),7.71(d,2H,J=8.8Hz),7.91(d,1H,J=15.7Hz),8.28(d,1H,J=15.7Hz),12.53(s,1H)
【0039】
実施例22(本中間体(XIII)の製造(その22))
ベンズアルデヒドの代わりに、2-トリフルオロメチルチオベンズアルデヒド5.00gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-[3-(2-トリフルオロメチルチオフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xxii))1.76gを得た。
融点:128〜128.5℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.30(s,3H),5.99(s,1H),7.47(dt,1H,J=1.3,6.1Hz),7.58(t,1H,J=7.1Hz), 7.79(d,1H,J=7.7Hz),8.00(dd,1H,J=1.2,7.9Hz),8.31(d,1H,J=15.6Hz),8.60(d,1H,J=15.7Hz),12.59(s,1H)
【0040】
実施例23(本中間体(XIII)の製造(その23))
ベンズアルデヒドの代わりに、3-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)ベンズアルデヒド25.0gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-{3-[3-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)フェニル]-1-オキソ-2-プロペニル}-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xxiii))10.6gを得た。
融点:118〜119℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.30(s,3H),5.94(tt,1H,J=2.8,53.1Hz),5.98(s,1H),7.28(dd,1H,J=1.4,9.2Hz),7.44(t,1H,J=7.9Hz),7.49(s,1H),7.61(d,1H,J=7.8Hz),7.89(d,1H,J=15.7Hz),8.31(d,1H,J=15.7Hz),12.58(s,1H)
【0041】
実施例24(本中間体(XIII)の製造(その24))
ベンズアルデヒドの代わりに、4-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)ベンズアルデヒド5.00gを用いた以外は、上記実施例1と同様にして、4-ヒドロキシ-3-{3-[4-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)フェニル]-1-オキソ-2-プロペニル}-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(xxiv))1.79gを得た。
融点:115.5〜116℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.29(s,3H),5.92(tt,1H,J=2.8,52.9Hz),5.97(s,1H),7.27(d,2H,J=8.6Hz),7.71(d,2H,J=8.6Hz),7.92(d,1H,J=15.8Hz),8.29(d,1H,J=15.7Hz),12.48(s,1H)
【0042】
実施例25(本発明化合物(I)の製造(その1))
ヘキサメチルホスホラミド32mlに水素化ナトリウム(60%油性)0.74gを懸濁し、約0℃で4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン4.77gを加え、室温に昇温して37分間攪拌した。次いで、ジメチル硫酸2.82gを加えて、室温で二日間攪拌した。その後、反応混合物を氷水に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して4-メトキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(1)]の淡黄色油状物1.96gを得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.34(s,3H),3.92(s,3H),6.13(s,1H),7.12(d,1H,J=16.1Hz),7.35〜7.45(m,3H),7.52〜7.62(m,2H),7.61(d,1H,J=15.8Hz)
【0043】
実施例26(本発明化合物(I)の製造(その2))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(2-クロロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン7.00gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(2-クロロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(2)]1.06gを得た。
融点:161〜162℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.35(s,3H),3.95(s,3H),6.13(s,1H),7.12(d,1H,J=16.0Hz),7.20〜7.40(m,2H),7.40〜7.45(m,1H),7.66〜7.75(m,1H),8.02(d,1H,J=16.0Hz)
【0044】
実施例27(本発明化合物(I)の製造(その3))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(3-クロロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン8.00gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(3-クロロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(3)]1.26gを得た。
融点:122〜123℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.35(s,3H),3.95(s,3H),6.13(s,1H),7.15(d,1H,J=16.2Hz),7.26〜7.40(m,2H),7.40〜7.50(m,1H),7.56〜7.58(m,1H),7.55(d,1H,J=15.9Hz)
【0045】
実施例28(本発明化合物(I)の製造(その4))
ジメチルホルムアミド130mlに4-ヒドロキシ-3-[3-(3-クロロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン13.40gを懸濁し、ここに水素化ナトリウム(60%油性)2.03gを約0℃で添付した。室温に昇温して30分間攪拌した。次いで、臭化アリル8.37gを加えて、55℃で2時間攪拌した。その後、反応混合物を氷水に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、得られた固体をt−ブチルメチルエーテルで洗浄して、4-アリルオキシ-3-[3-(3-クロロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(4)]1.60gを得た。
融点:81.5〜82.5℃
1H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):2.33(s,3H),4.69(dt,2H,J=1.5,5.1Hz),5.34(dd,1H,J=1.0,10.8Hz),5.42(dd,1H,J=1.0,17.4Hz),5.88〜6.00(m,1H),6.07(s,1H),7.14(d,1H,J=16.2Hz),7.31(q,1H,J=7.4Hz),7.34(dt,1H,J=2.0,6.6Hz),7.43(br d,1H,J=7.1Hz),7.54(d,1H,J=15.9Hz),7.54(br s,1H)
【0046】
実施例29(本発明化合物(I)の製造(その5))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(4-クロロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン7.00gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(4-クロロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(5)]2.06gを得た。
融点:164〜165℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.35(s,3H),3.94(s,3H),6.13(s,1H),7.12(d,1H,J=15.6Hz),7.34(d,2H,J=8.5Hz),7.50(d,2H,J=8.5Hz),7.56(d,1H,J=16.0Hz)
【0047】
実施例30(本発明化合物(I)の製造(その6))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(2-メチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン5.49gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(2-メチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(6)]0.46gを得た。
融点:132〜132.5℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.35(s,3H),2.44(s,3H),3.95(s,3H),6.13(s,1H),7.07(d,1H,J=15.7Hz),7.14〜7.30(m,3H),7.58〜7.66(m,1H),7.94(d,1H,J=15.8Hz)
【0048】
実施例31(本発明化合物(I)の製造(その7))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(3-メチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン3.87gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(3-メチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(7)]1.27gを得た。
融点:113.5〜115℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.34(s,3H),2.36(s,3H),3.93(s,3H),6.12(s,1H),7.11(d,1H,J=15.9Hz),7.15〜7.30(m,2H),7.35〜7.40(m,2H),7.58(d,1H,J=16.0Hz)
【0049】
実施例32(本発明化合物(I)の製造(その8))
ジメチルホルムアミド100mlに4-ヒドロキシ-3-[3-(3-メチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン11.19g、無水炭酸カリウム11.44gを懸濁し、ここに臭化アリル10.37gを加えて、50℃で7時間30分攪拌した。次いで、その後、反応混合物を氷水に注加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、得られた固体をt−ブチルメチルエーテルで洗浄して、4-アリルオキシ-3-[3-(3-メチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(8)]2.78gを得た。
融点:70〜70.5℃
1H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):2.32(s,3H),2.36(s,3H),4.67(dt,2H,J=1.4,5.2Hz),5.32(dd,1H,J=1.0,10.8Hz),5.40(dd,1H,J=1.0,17.4Hz),5.70〜5.98(m,1H),6.06(s,1H),7.09(d,1H,J=16.1Hz),7.18(d,1H,J=7.6Hz),7.25(t,1H,J=7.8Hz),7.33〜7.42(2H),7.57(d,1H,J=16.2Hz)
【0050】
実施例33(本発明化合物(I)の製造(その9))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(4−メトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン10.00gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(4−メトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン(化合物番号(9))4.40gを得た。
融点:118〜118.5℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.34(s,3H),3.84(s,3H),3.92(s,3H),6.11(s,1H),6.89(dd,2H,J=1.9,8.8Hz),6.98(d,1H,J=15.7Hz),7.51(dd,2H,J=2.0,8.7Hz),7.55(d,1H,J=16.0Hz)
【0051】
実施例34(本発明化合物(I)の製造(その10))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(3−エトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン1.14gを、またジメチル硫酸の代わりにジエチル硫酸0.70gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-エトキシ-3-[3-(3−エトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2(化合物番号(10))0.18gを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):1.40(t,3H, J=7.6Hz),1.42(t,3H, J=7.1Hz),2.33(s,3H),4.05(q,2H, J=7.1Hz), 4.19(q,2H, J=7.1Hz),6.08(s,1H),6.92(dd, 1H,J=2.7,8.3Hz),7.07(d,1H,J=15.9Hz),7.06〜7.29(m, 3H),7.55(d,1H,J=15.9Hz)
【0052】
実施例35(本発明化合物(I)の製造(その11))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(3−エトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン3.00gを、またジメチル硫酸の代わりに臭化アリル1.45gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-アリルオキシ-3-[3-(3−エトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2(化合物番号(11))0.23gを得た。
融点:124〜125℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm): 1.42(t,3H,J=6.9Hz),2.32(s,3H),4.05(q,2H, J=7.4Hz), 4.67〜4.68(m,2H),5.33(d,1H, J=10.6Hz), 5.41(d,1H, J=17.1Hz), 5.87〜5.98(m,1H),6.07(s,1H),6.92(dd, 1H,J=2.0,7.9Hz),7.08〜7.33(m, 3H),7.09(d,1H,J=15.8Hz),7.55(d,1H,J=15.9Hz)
【0053】
実施例36(本発明化合物(I)の製造(その12))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(2-トリフルオロメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン2.50gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(2-トリフルオロメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(12)]0.42gを得た。
融点:149〜149.5℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.35(s,3H),3.94(s,3H),6.13(s,1H),7.11(d,1H,J=15.7Hz),7.46(t,1H,J=7.5Hz),7.56(t,1H,J=7.4Hz),7.69(d,1H,J=7.8Hz),7.80(d,1H,J=7.7Hz),7.94(dq,1H,J=2.1,15.7Hz)
【0054】
実施例37(本発明化合物(I)の製造(その13))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン5.00gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(13)]0.44gを得た。
融点:120〜121℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.36(s,3H),3.96(s,3H),6.14(s,1H),7.22(d,1H,J=15.8Hz),7.50(t,1H,J=7.8Hz),7.62(d,1H,J=8.5Hz),7.63(d,1H,J=15.8Hz),7.74(d,1H,J=7.7Hz),7.80(s,1H)
【0055】
実施例38(本発明化合物(I)の製造(その14))
4-ヒドロキシ-3-[3-(3-メチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン5.00gを用いた以外は、上記実施例32と同様にして、4-アリルオキシ-3-[3-(3-トリフルオロメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(14)]1.02gを得た。
融点:102〜103℃
1H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):2.34(s,3H),4.70(dt,2H,J=1.5,5.1Hz),5.35(dd,1H,J=1.2,10.5Hz),5.43(dd,1H,J=1.0,17.3Hz),5.90〜6.00(m,1H),6.09(s,1H),7.21(d,1H,J=16.1Hz),7.50(t,1H,J=7.8Hz),7.62(d,1H,J=8.8Hz),7.62(d,1H,J=15.9Hz),7.73(d,1H,J=7.8Hz),7.79(s,1H)
【0056】
実施例39(本発明化合物(I)の製造(その15))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(4-トリフルオロメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン5.57gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(4-トリフルオロメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(15)]1.22gを得た。
融点:136〜138℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.36(s,3H),3.96(s,3H),6.14(s,1H),7.24(d,1H,J=16.0Hz),7.58〜7.72(m,5H)
【0057】
実施例40(本発明化合物(I)の製造(その16))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(2-ニトロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン10.0gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(2-ニトロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(16)]0.97gを得た。
融点:157〜158℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.35(s,3H),3.98(s,3H),6.15(s,1H),7.03(d,1H,J=16.0Hz),7.53(dt,1H,J=1.3,8.4Hz),7.65(dt,1H,J=0.9,7.2Hz),7.74(dd,1H,J=1.1,7.8Hz),7.98(d,1H,J=15.8Hz),8.03(dd,1H,J=1.2,9.0Hz)
【0058】
実施例41(本発明化合物(I)の製造(その17))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(3-ニトロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン4.13gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(3-ニトロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(17)]1.12gを得た。
融点:184〜184.5℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.37(s,3H),3.98(s,3H),6.15(s,1H),7.30(d,1H,J=15.8Hz),7.56(t,1H,J=8.0Hz),7.65(d,1H,J=15.9Hz),7.88(d,1H,J=7.7Hz),8.22(dd,1H,J=1.8,8.8Hz),8.40(t,1H,J=1.9Hz)
【0059】
実施例42(本発明化合物(I)の製造(その18))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(4-ニトロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン10.0gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(4-ニトロフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(18)]2.94gを得た。
融点:222〜222.5℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.37(s,3H),3.98(s,3H),6.15(s,1H),7.33(d,1H,J=16.0Hz),7.65(d,1H,J=15.8Hz),7.71(d,2H,J=8.7Hz),8.23(d,2H,J=8.7Hz)
【0060】
実施例43(本発明化合物(I)の製造(その19))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(3−メトキシメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン4.34gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(3−メトキシメチルフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(19)]の淡黄色油状物1.95gを得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.35(s,3H),3.40(s,3H),3.93(s,3H),4.46(s,2H),6.12(s,1H),7.14(d,1H,J=15.7Hz),7.32〜7.38(m,2H),7.45〜7.52(m,1H),7.54(s,1H),7.61(d,1H,J=16.1Hz)
【0061】
実施例44(本発明化合物(I)の製造(その20))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(2-ジフルオロメトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン2.00gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(2-ジフルオロメトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(20)]の淡黄色結晶0.65gを得た。
融点:126〜126.5℃
1H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.35(s,3H),3.94(s,3H),6.13(s,1H),6.53(t,1H,J=73.6Hz),7.13〜7.26(m,3H),7.38(dt,1H,J=1.8,7.9Hz), 7.70(dd,1H,J=1.5,7.8Hz),7.87(d,1H,J=16.1Hz)
【0062】
実施例45(本発明化合物(I)の製造(その21))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(3-ジフルオロメトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン2.00gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(3-ジフルオロメトキシフェニル)-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(21)]0.20gを得た。
融点:114.5〜115℃
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.36(s,3H),3.95(s,3H),6.13(s,1H),6.52(t,1H,J=73.8Hz),7.13〜7.47(m,4H),7.15(d,1H,J=16.2Hz),7.57(d,1H,J=15.9Hz)
【0063】
実施例46(本発明化合物(I)の製造(その22))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(4-ジフルオロメトキシ)フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン2.55gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(4-ジフルオロメトキシ)フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(22)]1.12gを得た。
融点:105〜105.5℃
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.35(s,3H),3.94(s,3H),6.13(s,1H),6.55(t,1H,J=73.3Hz),7.10(d,1H,J=16.1Hz),7.11(d,2H,J=8.4Hz),7.57(d,2H,J=9.0Hz),7.58(d,1H,J=15.2Hz)
【0064】
実施例47(本発明化合物(I)の製造(その23))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(2-トリフルオロメトキシ)フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン1.85gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(2-トリフルオロメトキシ)フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(23)]0.52gを得た。
融点:123〜123.5℃
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.35(s,3H),3.94(s,3H),6.13(s,1H),7.19(d,1H,J=16.2Hz),7.26〜7.35(m,2H),7.41(dt,1H,J=1.7,7.9Hz),7.74(dd,1H,J=1.5,7.7Hz),7.84(d,1H,J=16.1Hz)
【0065】
実施例48(本発明化合物(I)の製造(その24))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(3-トリフルオロメトキシ)フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン1.41gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(3-トリフルオロメトキシ)フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(24)]0.51gを得た。
融点:98〜98.5℃
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.36(s,3H),3.95(s,3H),6.13(s,1H),7.17(d,1H,J=16.1Hz),7.22(dd,1H,J=1.6,9.0Hz),7.36〜7.46(m,2H),7.50(d,1H,J=7.9Hz),7.58(d,1H,J=16.0Hz)
【0066】
実施例49(本発明化合物(I)の製造(その25))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(4-トリフルオロメトキシ)フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン1.60gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(4-トリフルオロメトキシ)フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(25)]1.39gを得た。
淡黄色油状
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.36(s,3H),3.95(s,3H),6.13(s,1H),7.14(d,1H,J=16.2Hz),7.22(d,2H,J=8.5Hz),7.60(d,2H,J=8.7Hz),7.60(d,1H,J=15.8Hz)
【0067】
実施例50(本発明化合物(I)の製造(その26))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-[3-(2-トリフルオロメチルチオ)フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン0.96gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-[3-(2-トリフルオロメチルチオ)フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(26)]0.16gを得た。
融点:111〜112℃
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.36(s,3H),3.94(s,3H),6.14(s,1H),7.14(d,1H,J=16.1Hz),7.42(dt,1H,J=1.3,7.7Hz),7.53(t,1H,J=7.6Hz),7.75(d,1H,J=7.6Hz),7.84(dd,1H,J=1.1,7.8Hz),8.23(d,1H,J=15.9Hz)
【0068】
実施例51(本発明化合物(I)の製造(その27))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-{3-[3-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)フェニル]-1-オキソ-2-プロペニル}-6-メチル-2H-ピラン-2-オン1.38gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-{3-[3-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)フェニル]-1-オキソ-2-プロペニル}-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(27)]0.15gを得た。
融点:112〜113℃
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.36(s,3H),3.95(s,3H),5.91(tt,1H,J=2.8,52.8Hz),6.13(s,1H),7.16(d,1H,J=16.0Hz),7.20〜7.53(m,4H),7.58(d,1H,J=15.9Hz)
【0069】
実施例52(本発明化合物(I)の製造(その28))
4-ヒドロキシ-3-[3-フェニル-1-オキソ-2-プロペニル]-6-メチル-2H-ピラン-2-オンの代わりに、4-ヒドロキシ-3-{3-[4-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)フェニル]-1-オキソ-2-プロペニル}-6-メチル-2H-ピラン-2-オン1.30gを用いた以外は、上記実施例25と同様にして、4-メトキシ-3-{3-[4-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)フェニル]-1-オキソ-2-プロペニル}-6-メチル-2H-ピラン-2-オン[化合物番号(28)]0.18gを得た。
淡黄色油状
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.35(s,3H),3.95(s,3H),5.91(tt,1H,J=2.8,52.7Hz),6.13(s,1H),7.13(d,1H,J=15.9Hz),7.22(d,2H,J=8.5Hz),7.58(d,2H,J=8.7Hz),7.60(d,1H,J=14.2Hz)
【0070】
実施例53(I型コラーゲン遺伝子の転写調節領域と結合されたレポーター遺伝子を有するプラスミドの調製)
正常ヒト胎児皮膚線維芽細胞(Clontech、カタログ番号CC−2509)1x10細胞を37℃、5% CO2雰囲気下で一晩培養した。培養された細胞をPBSで2回洗浄した後、PBS 3mlを加えセルスクレイパー(Nalgen、カタログ番号179693)を用いて細胞を器壁から剥がした。剥がした細胞を遠心分離(1,500rpm、4℃、15分間)により集め、これをPBS 20mlに懸濁して再度遠心分離した。得られた沈殿に、DNA Extraction Kit(Stratagene、カタログ番号200600)のSolution2を11ml、pronaseを4.8μlそれぞれ加えて60℃にて1時間振とうした後、得られた混合液を氷中に10分間放置した。次に、当該混合液に上記キットのSolution 3を4ml加えて混合した後、これを氷中に5分間放置した。遠心分離(3,000rpm、4℃、15分間)し、上清を回収した。回収された上清に、当該上清1ml当たり2μlのRNaseを加え、37℃で15分間放置した。この混合液に、2倍容量のエタノールを加えて混合し、出現した白い糸状の物質(ゲノムDNA)を回収した。回収されたゲノムDNAを70%エタノールで洗浄した後、風乾した。風乾されたゲノムDNAを10mM Tris−HCl,1mM EDTA(pH 8.0)(以下、TEと記す。)500μlに溶解した。
得られたゲノムDNA溶解液(ゲノムDNA 1μg相当量)と、配列番号1で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列番号2で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(10pmol/μl)各1μl、蒸留水 29μl、TaKaRa LA Taq(宝酒造、カタログ番号RR002A)に添付されたbuffer 5μl、Mg2+溶液 5μl、dNTP mixture 5μl及びTaKaRa LA Taq(宝酒造、カタログ番号RR002A)0.5μlを混合した。得られた混合液を94℃、5分間保温した後、94℃、1分間次いで60℃、1分間さらに72℃、1分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。当該混合液を2%アガロースゲル電気泳動に供し、約0.5kbのDNAを回収した。回収されたDNAをフェノール・クロロホルム処理した後、エタノール沈殿することによりDNAを回収した。回収されたDNAを超純水に溶解し、この溶解液にNheI 2.5μl及びHindIII 2.5μlを加え、37℃で3時間保温した。次いで、当該溶解液を2%アガロースゲル電気泳動に供し、約0.5kbのDNAを回収した。回収されたDNAをエタノール沈殿することにより再びDNA(以下、コラーゲンプロモーターDNAと記す。)を回収した。
一方、ホタルルシフェラーゼをコードする塩基配列を有するベクターpGL3(プロメガ、カタログ番号E1751)をNheI及びHindIIIで消化した後、上記と同様にアガロースゲル電気泳動に供し、約5kbのDNAを回収した。回収されたDNAをエタノール沈殿することにより再びDNAを回収した。回収されたDNAに蒸留水44μl、Alkaline Phosphatase(宝酒造、カタログ番号2120A)に添付されたBuffer5μl及びAlkaline Phosphatase(宝酒造、カタログ番号2120A)1μlを加えて、この混合液を65℃で30分間保温した。次に、当該混合液を2回フェノール・クロロホルム処理した後、エタノール沈澱することによりDNA(以下、LucベクターDNAと記す。)を回収した。次いで、上記コラーゲンプロモーターDNA 約20ngとLucベクターDNA 約20ngとを混合した後、DNA Ligation kit Ver2酵素溶液を同量添加して16℃で一昼夜保温した。当該混合液に大腸菌5Hdα(TOYOBO、カタログ番号DNA−903)を加えて氷中に30分間放置し、次いで42℃、45秒間保温した後、得られた大腸菌を50μg/ml アンピシリンナトリウム(ナカライ、カタログ番号027−39)を含むLBプレートに播種し、37℃、一昼夜放置した。出現したシングルコロニーを50μg/ml アンピシリンを含むLB培地2mlで37℃、12時間培養した。得られた培養液からAUTOMATIC DNA ISOLATION SYSTEM PI−50(KURABO)を用いてプラスミドDNAを調製した。調製されたプラスミドDNAの塩基配列をDNAシークエンサーで分析した。その結果、当該プラスミド(以下、COL−Lucと記す。)は、ヒトI型コラーゲンα2鎖遺伝子の転写調節領域の−342〜+57(転写開始点を+1とする。)の塩基配列の下流に、ホタルルシフェラーゼをコードする塩基配列が接続されてなる塩基配列を保有していることが確認された。
【0071】
実施例54(レポーター遺伝子の発現量を指標とした被験化合物が有するI型コラーゲン遺伝子の転写調節能力の測定)
正常ヒト胎児皮膚線維芽細胞 1x106細胞を100mmディッシュに播種し、非働化牛胎児血清(以下、FBSと記す。Gibco、カタログ番号21140−079)を10(v/v)%含むDulbecco’s−MEM(日水製薬、カタログ番号05919)培地(以下、当該培地をD−MEM(+)と記す。)中で37℃、5%CO2雰囲気下において一晩培養した。次いで培地を、FBSを含まないDulbecco’s−MEM培地(以下、当該培地をD−MEM(−)と記す。)に置換した。
D−MEM(−) 300μlに、COL−Luc 12μgを加え、得られた混合液を室温で45分間放置した(溶液1)。また、D−MEM(−) 300μlにLipofectine(Gibco、カタログ番号18292−011)20μlを加え、得られた混合液を室温で45分間放置した(溶液2)。次に、溶液1と溶液2とを混合し、これを室温で10分間放置した後、当該混合液にD−MEM(−)5.4mlを加えて混合した。当該混合液を前記正常ヒト胎児皮膚線維芽細胞に添加した後、当該細胞を37℃、5%CO2雰囲気下で終夜培養した。翌日、ディッシュから培養上清を除き、細胞をPBSで2回洗浄した後、0.25%トリプシンを含むPBS 1mlを添加して細胞を剥がした。当該細胞にD−MEM(+)を加えてよく混合した後、当該細胞懸濁液を12ウエルプレートに1mlずつ分注し、これを37℃、5%CO2雰囲気下で1時間培養した。
このようにして培養された細胞に、前記化合物番号(1)〜(8)又は(10)〜(28)で示される本発明化合物(I)をそれぞれ1mMとなるようジメチルスルホキシド(以下、DMSOと記す。)にそれぞれ溶解させてなる溶液を1μl添加した(最終濃度1μM)。また、前記化合物番号(9)で示される本発明化合物(I)は、当該化合物が10mMとなるようDMSOに溶解させてなる溶液を1μl添加した(最終濃度10μM)。対照としては、DMSOを1μl添加した。
1時間後、TGF−β(Pepro Tech)の5μg/ml水溶液または蒸留水を1μl添加し、37℃、5%CO2雰囲気下でさらに24時間培養した。培養された細胞をPBSで2回洗浄した後、これに細胞溶解剤(東洋インキ、カタログ番号PD10)150μlを加えセルスクレイパー(Nalgen、カタログ番号179693)を用いて細胞を器壁から剥がした。得られた細胞懸濁液を回収した後、この細胞懸濁液を遠心分離(15,000rpm、4℃、5分間)することにより、上清を回収した。回収された上清各15μlを96ウエルプレートに移した後、MICROLUMAT LB96P(EG&G BERTHOLD社製)を用いて、Lucアッセイ溶液(20mM Tricine(pH7.8)、2.67mM MgSO、0.1mM EDTA、33.3mMDTT、270μM Coenzyme A、530μMATP、470μM Luciferin)50μlを当該プレートに自動分注した後、各ウェル内の発光量を測定した(Delay:1.6秒、Meas.Interval:5秒)。
一方、回収された上清5μlまたは細胞溶解剤5μlを、予め96ウエルプレートに分注された5倍希釈Protein Assay溶液(Bio−Rad、カタログ番号500−0006)200μlに加えて振とう混合した後、マイクロプレートリーダー(Bio−Rad、Benchmark)を用いて各ウェル内の595nmの吸光度を測定した。得られた値を基にし、次式に従って転写活性を算出した。
転写活性=[発光量(上清添加区)−発光量(細胞溶解剤添加区)]/[595nm吸光度(上清添加区)−595nm吸光度(細胞溶解剤添加区)]
次に、算出された転写活性を基にし、次式に従って、TGF−βが有するI型コラーゲン遺伝子の転写促進能力に対する被験化合物の阻害効果を阻害度として算出した。
阻害度=[転写活性(DMSO及びTGF−β添加試験区)−転写活性(化合物及びTGF−β添加試験区)]/[転写活性(DMSO及びTGF−β添加試験区)−転写活性(DMSO及びTGF−β無添加試験区)]x100
上記の化合物番号(1)〜(28)で示される本発明化合物(I)の阻害度は、いずれも70以上であった。これらの化合物が、TGF−βが有するI型コラーゲン遺伝子の転写促進能力を阻害し、I型コラーゲン遺伝子の転写を抑制する能力を有することが確認された。
【0072】
実施例55(本発明化合物(I)の投与による糖尿病性腎症の改善)
糖尿病性腎症モデル動物として、9週齢の雄のC57BL/KeJ Jcl-db/dbマウス[日本チャールス・リバー(株)]を1群当り10匹用いた。また、対照動物として、9週齢の雄のC57BL/KeJ Jcl-db/mマウス[日本チャールス・リバー(株)]10匹を用いた。
化合物番号(7)で示される本発明化合物(I)[以下、本発明化合物(7)と記す。]または化合物番号(27)で示される本発明化合物(I)[以下、本発明化合物(7)と記す。]と基礎飼料(CRF−1、オリエンタル酵母工業)とをそれぞれ秤量して均一に混合し、本発明化合物含有飼料を調製した。なお、上記マウス1匹当たりの体重量及び摂餌量を飼育2週ごとに測定し、その値を基にして基礎飼料と混合する試験物質量を決定した。このようにして調製された本発明化合物含有飼料を、上記の糖尿病性腎症モデル動物に8週間自由摂食させた(化合物投与群)。陽性対照投与群として、上記の糖尿病性腎症モデル動物を、基礎飼料を自由摂食させながら飼育し、TGF−β阻害剤であるハロフギノンを隔日に腹腔内投与した。非投与群として、上記の糖尿病性腎症モデル動物1群を、基礎飼料を自由摂食させて飼育した。また、対照群として、上記の対照動物1群を、基礎飼料を自由摂食させて飼育した。
8週間の飼育の後、各群のマウスから1日間尿を採取し、尿量を測定した。また、採取された尿の尿中アルブミン濃度をAlbuwell M(EXOCELL社)にて測定し、1日間に排泄された尿中アルブミン量を算出した。得られた結果の統計処理としては、非投与群と他の各群との2群間でそれぞれ分散比のF検定を行い、分散に有意差がない場合はStudentのt検定(片側)を、分散に有意差がある場合はAspin-Welch検定(片側)を行った。結果を表4に示す。本発明化合物(7)及び本発明化合物(27)が糖尿病性腎症を改善する能力を有することが確認された。
【表4】
Figure 2004175780
【0073】
【発明の効果】
本発明により、組織におけるI型コラーゲン遺伝子の発現量を減少させ、コラーゲン蓄積量を低下させることにより、組織の線維化を改善させる組成物(即ち、コラーゲン蓄積抑制剤や線維症治療剤)の開発・提供が可能となる。また、毛髪の退行期への移行のTGF−βによる促進を阻害して毛髪成長期の延長を導くことにより養毛効果を得るための組成物(即ち、養毛剤)の開発・提供も可能となる。
【0074】
[配列表フリーテキスト]
配列番号1
コラーゲンプロモーターDNAを増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号2
コラーゲンプロモーターDNAを増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0075】
【配列表】
Figure 2004175780
Figure 2004175780

Claims (34)

  1. 式(I)
    Figure 2004175780
    [式中、Xは水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子もしくはC1−C4アルコキシ基で置換されていてもよいC1−C4アルキル基、ニトロ基、C1−C4アルコキシ基、又は、−WR基(Wは酸素原子又は硫黄原子を表し、Rはハロゲン原子で置換されたC1−C4アルキル基を表す。)を表し、RはC1−C4アルキル基、C3−C4アルケニル基又はC3−C4アルキニル基を表す。]
    で示される2-ピロン化合物。
  2. RがC1−C4アルキル基又はC3−C4アルケニル基である請求項1記載の2-ピロン化合物。
  3. Rがメチル基、エチル基又はアリル基である請求項1記載の2-ピロン化合物。
  4. Xが水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C4アルキル基又はニトロ基である請求項1記載の2-ピロン化合物。
  5. Xが水素原子、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基又はトリフルオロメチル基である請求項1記載の2-ピロン化合物。
  6. Xが水素原子、塩素原子、メチル基、ニトロ基又はトリフルオロメチル基である請求項1記載の2-ピロン化合物。
  7. Rがメチル基である請求項4記載の2-ピロン化合物。
  8. Xが塩素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、Rがエチル基又はアリル基である請求項4記載の2-ピロン化合物。
  9. Xが−WR基(Wは酸素原子又は硫黄原子を表し、Rはハロゲン原子で置換されたC1−C4アルキル基を表す。)である請求項1記載の2-ピロン化合物。
  10. が1以上のフッ素原子で置換されたC1−C4アルキル基である請求項9記載の2-ピロン化合物。
  11. がジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基又は1,1,2,2−テトラフルオロエチル基である請求項9記載の2-ピロン化合物。
  12. Wが酸素原子である請求項9記載の2-ピロン化合物。
  13. Wが硫黄原子であり、Rがトリフルオロメチル基である請求項9記載の2-ピロン化合物。
  14. Rがメチル基である請求項9記載の2-ピロン化合物。
  15. XがC1−C4アルコキシ基である請求項1記載の2-ピロン化合物。
  16. Xがメトキシ基又はエトキシ基である請求項15記載の2-ピロン化合物。
  17. Rがメチル基、エチル基又はアリル基である請求項15記載の2-ピロン化合物。
  18. 式(II)
    Figure 2004175780
    [式中、Raはエチル基又はアリル基を表す。]
    で示される2-ピロン化合物。
  19. Xが、C1−C4アルコキシ基で置換されたC1−C4アルキル基である請求項1記載の2-ピロン化合物。
  20. Xがメトキシメチル基である請求項19記載の2-ピロン化合物。
  21. 式(III)
    Figure 2004175780
    で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物。
  22. 式(IV)
    Figure 2004175780
    [式中、Rはエトキシ基、メトキシメチル基又は1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基を表す。]
    で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物。
  23. 式(V)
    Figure 2004175780
    で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物。
  24. 式(VI)
    Figure 2004175780
    で示される4-ヒドロキシ-2-ピロン化合物。
  25. I型コラーゲン遺伝子の転写を抑制するための、請求項1記載の2-ピロン化合物の使用。
  26. 有効成分としての請求項1記載の2-ピロン化合物と不活性担体とを含有することを特徴とするI型コラーゲン遺伝子転写抑制組成物。
  27. I型コラーゲン遺伝子の発現量を減少させてコラーゲン蓄積量の低下を導くことにより組織の線維化を改善するための、請求項26記載のI型コラーゲン遺伝子転写抑制組成物の使用。
  28. 有効成分としての請求項1記載の2-ピロン化合物と不活性担体とを含有することを特徴とする組織の線維化を改善させる組成物。
  29. 組織の線維化を改善させる処置方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物患者に対して、有効量の請求項1記載の2-ピロン化合物を投与することを特徴とする方法。
  30. TGF−βの作用を抑制するための、請求項1記載の2-ピロン化合物の使用。
  31. 有効成分としての請求項1記載の2-ピロン化合物と不活性担体とを含有することを特徴とするTGF−βの作用抑制組成物。
  32. 毛髪の退行期への移行のTGF−βによる促進を阻害して毛髪成長期の延長を導くことにより養毛効果を得るための、請求項31記載のTGF−βの作用抑制組成物の使用。
  33. 有効成分としての請求項1記載の2-ピロン化合物と不活性担体とを含有することを特徴とする養毛組成物。
  34. 養毛処置を必要とする哺乳動物患者に対して、有効量の請求項1記載の2-ピロン化合物を投与することを特徴とする養毛方法。
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