JP2004175738A - 医薬組成物 - Google Patents
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- GIHMZMMSYQAHEU-UHFFFAOYSA-N CCC(CCC1)CN1C(C)=O Chemical compound CCC(CCC1)CN1C(C)=O GIHMZMMSYQAHEU-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- ALOCUZOKRULSAA-UHFFFAOYSA-N CN(CC1)CCC1N Chemical compound CN(CC1)CCC1N ALOCUZOKRULSAA-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は優れたアポリポ蛋白B(ApoB)分泌抑制作用および血清脂質低下作用を有し医薬として有用な新規なフェニルカルボキサミド誘導体を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[2−(チオフェン−2−イル−アセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル]−アミド、4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[2−(ピリジン−2−イル−アセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル]−アミド等が、また、特許文献2には、4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[2−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル]−アミド等が、また、特許文献3には、4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[4−(4−(3−シアノベンジル)ピペラジン−1−イル)フェニル]−アミド等が、ApoB分泌抑制作用を有し、血清脂質低下剤として用い得ることが示唆されている。
【0003】
しかしながら、これらに記載されたアミド化合物はいずれも、該アミドのカルボン酸部分に置換ビフェニル基を有する化合物であり、本願発明の化合物の如きカルボン酸部分に含窒素脂肪族複素環−フェニル基を有する化合物は一切記載されていない。
【0004】
【特許文献1】国際公開特許WO96/40640号(第39及び45頁)
【特許文献2】国際公開特許WO98/23593号(第69頁)
【特許文献3】国際公開特許WO00/32582号(第43頁)
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れたアポリポ蛋白B分泌抑制作用および血清脂質低下作用を有する、新規フェニルカルボキサミド誘導体を有効成分としてなる医薬組成物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するために本発明者等は、鋭意研究の結果、アポリポ蛋白B分泌抑制作用および血清脂質低下作用を有する新規なフェニルカルボキサミド誘導体が医薬として有用であることを見出して本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、一般式[I]:
【0007】
【化13】
【0008】
(式中、環Aは置換されていてもよい含窒素脂肪族複素環式基、
Yは=CH−または=N−、
R2は(1)式:
【0009】
【化14】
【0010】
(式中、mは0〜3の整数、R6は有機基を表す)
で示される基、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pは1〜6の整数、R7は有機基を表す)
で示される基、または、
(3)式:−CONH−(CH2)q−R8
(式中、qは1〜6の整数、R8は置換されていてもよい複素環式基を表す)
で示される基、
R3は水素原子またはハロゲン原子を表す)
で示されるフェニルカルボキサミド誘導体またはその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の有効成分である化合物[I]における環A上の置換基としては、例えば、
(1)アリール低級アルキル基、
(2)アリール基、
(3)アリール低級アルコキシ基、
(4)カルボキシル基、
(5)アリール基で置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、
(6)低級アルキル基;低級アルカノイル基;アリール低級アルカノイル基;低級アルコキシカルボニル基;およびアリール低級アルコキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアミノ基、
(7)式:−CONR4R5
(式中、R4およびR5は同一または異なって水素原子、アルキル基、アリール低級アルキル基、ピリジル低級アルキル基、およびアリール基から選ばれる基を表す)
で示される基、
(8)式:
【0012】
【化15】
【0013】
(式中、nは0〜3の整数を表す)
で示される基等が挙げられる。
【0014】
環Aは上記置換基から選ばれる同一もしくは異なる1〜3個の基で置換されていてもよい。
【0015】
環Aにおける含窒素脂肪族複素環式基としては、例えば、1または2個の窒素原子を含有する3〜8員脂肪族複素環式基等が挙げられる。具体的には、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、アゼパニル基、ジアゼパニル基等が挙げられる。
【0016】
本発明の有効成分である化合物[I]におけるR6としては、
(1)式:
【0017】
【化16】
【0018】
(式中、mは0〜3の整数、R6が、
(i)低級アルキル基、
(ii)低級アルカノイル基、
(iii)低級アルコキシカルボニル基、
(iv)低級アルキル基;保護されていてもよいアミノ基;保護されていてもよい水酸基;シアノ基;およびハロゲン原子から選ばれる基で置換されていてもよい含窒素芳香族複素環式基、
(v)アリールスルホニル基、または、
(vi)低級アルキルスルホニル基を表す)
で示される基、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pは1〜6の整数、R7が、
(i)低級アルキル基、
(ii)低級アルカノイル基、
(iii)低級アルコキシカルボニル基、
(iv)低級アルキル基;保護されていてもよいアミノ基;保護されていてもよい水酸基;シアノ基;およびハロゲン原子から選ばれる基で置換されていてもよい含窒素芳香族複素環式基、
(v)アリールスルホニル基、
(vi)低級アルキルスルホニル基、
(vii)芳香族複素環式基置換スルホニル基、または、
(viii)ジ低級アルキルホスホノ基を表す)
で示される基、
(3)式:−CONH−(CH2)q−R8
(式中、qは1〜6の整数、R8が下記から選ばれる基で置換されていてもよい含窒素芳香族複素環式基:
(i)低級アルキル基、
(ii)保護されていてもよいアミノ基、
(iii)保護されていてもよい水酸基、
(iv)シアノ基、および、
(v)ハロゲン原子、
を表す)
で示される基等があげられる。
【0019】
R6、R7またはR8における含窒素芳香族複素環式基としては、例えば、1〜4個の窒素原子を含有する単環または2環の含窒素芳香族複素環式基等が挙げられる。具体的には、ピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、プリニル基、1H−インダゾリル基、シンノリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、プテリジニル基等が挙げられる。
【0020】
R7における芳香族複素環式基置換スルホニル基の芳香族複素環式基としては、例えば、窒素、酸素、硫黄から選ばれる同一または異なる1〜4個の異項原子を含有する単環または2環の芳香族複素環式基が挙げられる。具体的には、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、プリニル基、1H−インダゾリル基、シンノリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、プテリジニル基等が挙げられる。
【0021】
環A上の置換基におけるアリール基、R6またはR7におけるアリールスルホニル基のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基等が挙げられる。
【0022】
上記本発明の有効成分である化合物[I]が保護されたアミノ基を有する場合において、当該アミノ基の保護基としては、例えば、置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、アシル基等が挙げられ、具体的には、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。さらに、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、アリル基等も挙げられる。このうち好ましいものとしては、置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基が挙げられ、具体的には、ベンジルオキシカルボニル基及びtert−ブトキシカルボニル基が挙げられる。また、保護されたアミノ基としては、例えば、保護されるアミノ基とともにフタルイミド基を形成する場合も含まれる。
【0023】
また、本発明の有効成分である化合物[I]が保護された水酸基を有する場合において、当該水酸基の保護基としては、置換されていてもよいアリール低級アルキル基、アシル基、置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基等の慣用の保護基を挙げることができる。このうち好ましいものとしては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等の如き非置換アリール低級アルキル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、マロニル基、アクリロイル基、ベンゾイル基等のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基が挙げられる。さらに、トリフェニルメチル基、2−シアノエチル基等も挙げられる。
【0024】
本発明の有効成分である化合物[I]のうち、好ましい化合物としては、環Aが、式:
【0025】
【化17】
【0026】
(式中、R1は、
(1)フェニル低級アルキル基、
(2)フェニル基、
(3)フェニル低級アルコキシ基、
(4)フェニル基で置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、
(5)低級アルキル基;低級アルカノイル基;フェニル低級アルカノイル基;低級アルコキシカルボニル基;およびフェニル低級アルコキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアミノ基、
(6)式:−CONR4R5
(式中、R4およびR5は同一または異なって水素原子、アルキル基、フェニル低級アルキル基、ピリジル低級アルキル基、およびフェニル基から選ばれる基を表す)
で示される基、または、
(7)式:
【0027】
【化18】
【0028】
(式中、nが1または2を表す)
で示される基を表す)
で示される基、
R2が(1)式:
【0029】
【化19】
【0030】
(式中、mが1または2、R6が、
(i)低級アルコキシカルボニル基、
(ii)低級アルキル基、アミノ基、またはシアノ基から選ばれる基で置換されていてもよいピリミジニル基、または、
(iii)ベンゼンスルホニル基、
を表す)
で示される基、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pが1または2、R7が、
(i)低級アルコキシカルボニル基、
(ii)低級アルキル基、アミノ基、およびシアノ基から選ばれる基で置換されていてもよいピリミジニル基、
(iii)ベンゼンスルホニル基、
(iv)チエニルスルホニル基、または、
(v)ジ低級アルキルホスホノ基、
を表す)
で示される基、または、
(3)式:−CONH−(CH2)q−R8
(式中、qが1または2、R8がピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、またはピリダジニル基を表す)
で示される基、
である化合物が挙げられる。
【0031】
本発明の有効成分である化合物[I]のうち、より好ましい化合物としては、環Aが、式:
【0032】
【化20】
【0033】
(式中、R1は、
(1)フェニル低級アルキル基、
(2)フェニル基、
(3)フェニル低級アルコキシ基、
(4)フェニル基で置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、
(5)低級アルキル基;低級アルカノイル基;フェニル低級アルカノイル基;低級アルコキシカルボニル基;およびフェニル低級アルコキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアミノ基、
(6)式:−CONR4R5
(式中、R4およびR5は同一または異なって水素原子、アルキル基、フェニル低級アルキル基、ピリジル低級アルキル基、およびフェニル基から選ばれる基を表す)
で示される基、または、
(7)式:
【0034】
【化21】
【0035】
(式中、nが1または2を表す)
で示される基を表す)
で示される基、
Yが=CH−、
R2が(1)式:
【0036】
【化22】
【0037】
(式中、R6が低級アルコキシカルボニル基、ピリミジニル基、またはベンゼンスルホニル基を表す)
で示される基、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pが1または2、R7が低級アルコキシカルボニル基、ピリミジニル基、またはベンゼンスルホニル基を表す)
で示される基、または、
(3)式:
【0038】
【化23】
【0039】
(式中、qが1または2を表す)
で示される基、
である化合物が挙げられる。
【0040】
本発明の有効成分である化合物[I]のうちより好ましい化合物の具体例としては、例えば、R1がN,N−ジメチルカルバモイル基、N−メチル−N−n−ブチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−ベンジルカルバモイル基、N−メチル−N−(2−(2−ピリジル)エチル)カルバモイル基、ピロリジノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンジルオキシ基、フェニル基、3−フェニルプロピル基、N−メチル−N−エトキシカルボニルアミノ基、ベンジルオキシカルボニルアミノ基等であり、R2が(2−ピリミジニル)アミノメチル基、2−(2−ピリミジニル)アミノエチル基、2−(ベンゼンスルホニルアミノ)エチル基、3−(2−ピリミジニル)アミノピロリジノ基、3−(メトキシカルボニルアミノ)ピロリジノ基、N−(2−(2−ピリジル)エチル)カルバモイル基等であり、R3が水素原子、または塩素原子である化合物が挙げられる。
【0041】
本発明の有効成分である化合物[I]のうち、特に好ましい化合物としては、環Aが、式:
【0042】
【化24】
【0043】
(式中、R1がフェニル低級アルキル基を表す)
で示される基、
R2が(1)式:
【0044】
【化25】
【0045】
(式中、R6が低級アルコキシカルボニル基、またはピリミジニル基を表す)
で示される基、または、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pが1または2、R7がピリミジニル基、またはベンゼンスルホニル基を表す)
で示される基、
R3が水素原子、
である化合物が挙げられる。具体的には、2−[4−(2−(4−(3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−イル)ベンゾイルアミノ)ベンジルアミノ]ピリミジン,
1−[4−(2−(4−(3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−イル)ベンゾイルアミノ)フェニル]−3−メトキシカルボニルアミノピロリジン,
またはそれらの薬理的に許容しうる塩が挙げられる。
【0046】
本発明の有効成分である化合物[I]は、環A上の置換基及び/またはR2が不斉原子を有する場合、当該不斉原子に基づく光学異性体として存在しうるが、本発明はこれらの光学異性体及びその混合物のいずれをも含むものである。
【0047】
本発明の有効成分である化合物[I]またはその薬理的に許容しうる塩は、アポリポ蛋白B分泌抑制作用を有し、優れた血清脂質低下作用を示す。
【0048】
従って、本発明の有効成分である化合物[I]またはその薬理的に許容し得る塩は、高脂血症、虚血性心疾患、アテローム性動脈硬化、冠動脈硬化、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高脂血症、高リポ蛋白血症、動脈硬化症、冠動脈硬化症、冠動脈心疾患、虚血性脳疾患、卒中、循環・微小循環障害、血栓症、高血糖、糖尿病、急性出血性膵炎、肥満症、脂肪症、便秘症等の予防・治療への適用が考えられる。さらに、本発明の有効成分である化合物[I]は低毒性であり、医薬として安全性が高いという特長をも有する。
【0049】
本発明の有効成分である化合物[I]は、遊離の形でも、また、薬理的に許容し得る塩の形でも医薬用途に使用することができる。化合物[I]の薬理的に許容しうる塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩または臭化水素酸塩の如き無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩またはマレイン酸塩の如き有機酸塩等が挙げられる。また、カルボキシル基等の置換基を有する場合には塩基との塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩またはカルシウム塩の如きアルカリ土類金属塩)が挙げられる。
【0050】
本発明の有効成分である化合物[I]またはその塩は、その分子内塩や付加物、それらの溶媒和物あるいは水和物等をいずれも含むものである。
【0051】
本発明の有効成分である化合物[I]またはその薬理的に許容しうる塩は経口的にも非経口的にも投与することができ、また、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、注射剤、吸入剤等の慣用の医薬製剤として用いることができる。
【0052】
本発明の有効成分である化合物[I]またはその薬理的に許容し得る塩の投与量は、投与方法、患者の年令、体重、状態によっても異なるが、注射剤とすれば、通常、1日当り約0.01〜5mg/kg、とりわけ約0.1〜3mg/kg程度、経口剤とすれば、通常、1日当り約0.1〜100mg/kg、とりわけ約0.1〜50mg/kg程度とするのが好ましい。
【0053】
<フェニルカルボキサミド誘導体の製法>
本発明の有効成分である化合物[I]は、慣用の方法に従って、下記[A法]〜[E法]により製造することができるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
[A法]
一般式[I]で示される本発明の有効成分であるフェニルカルボキサミド誘導体は、一般式[1]:
【0055】
【化26】
【0056】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるカルボン酸化合物またはその塩と、一般式[2]:
【0057】
【化27】
【0058】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるアミン化合物またはその塩とを反応させることにより製造することができる。
【0059】
本反応は、溶媒中、縮合剤の存在下、活性化剤の存在下または非存在下、塩基の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1−メチルピロリジノン等が挙げられる。縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(WSC・HCl)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジエチルシアノホスホネート(DEPC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)等が挙げられる。活性化剤としては、例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、ヒドロキシフタルイミド(HOPht)、ペンタフルオロフェノール(Pfp−OH)等が挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0] −7−ウンデセン(DBU)等が挙げられる。
【0060】
縮合剤の使用量は、化合物[1]又は[2]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。活性化剤の使用量は、化合物[1]又は[2]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。塩基の使用量は、化合物[1]又は[2]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。
【0061】
本反応は0〜100℃、好ましくは0〜50℃で実施することができる。
【0062】
また、化合物[1]は、いったん酸クロライドまたは混合酸無水物等の反応性誘導体に変換した後、塩基の存在下化合物[2]と反応させてもよい。
【0063】
[B法]
一般式[I]で示される本発明の有効成分であるフェニルカルボキサミド誘導体は、一般式[3]:
【0064】
【化28】
【0065】
(式中、Xはハロゲン原子を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその塩と、一般式[4]:
【0066】
【化29】
【0067】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物とを反応させることにより製造することもできる。
【0068】
本反応は、溶媒中、塩基の存在下または非存在下、活性化剤の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、メタノール、エタノール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン等が挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等の無機塩基等が挙げられる。活性化剤としては、例えば、ヨウ化銅(I)、銅粉、酢酸パラジウム等が挙げられる。
【0069】
塩基の使用量は、化合物[3]又は[4]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。活性化剤の使用量は、化合物[3]又は[4]に対して0.001〜0.5当量、好ましくは0.05〜0.2当量とすることができる。
【0070】
本反応は0〜150℃、好ましくは0〜80℃で実施することができる。
【0071】
[C法]
本発明の有効成分である化合物のうち、一般式[I]においてR2が、式:
【0072】
【化30】
【0073】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物、すなわち、一般式[I−a]:
【0074】
【化31】
【0075】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるフェニルカルボキサミド誘導体は、一般式[5]:
【0076】
【化32】
【0077】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその塩と、一般式[6]:
R6−X2 [6]
(式中、X2は脱離基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその塩とを反応させることにより製造することができる。
【0078】
本反応は、溶媒中、塩基の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、水、エタノール、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチレンまたはこれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0079】
塩基の使用量は、化合物[5]又は[6]に対して1〜20当量、好ましくは1〜5当量とすることができる。
【0080】
本反応は−30〜150℃、好ましくは0〜80℃で実施することができる。
【0081】
なお、脱離基X2としては、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0082】
[D法]
また、本発明の有効成分である化合物のうち、一般式[I]においてR2が、式:
−(CH2)p−NHR7
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物、すなわち、一般式[I−b]:
【0083】
【化33】
【0084】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるフェニルカルボキサミド誘導体は、一般式[7]:
【0085】
【化34】
【0086】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその塩と、一般式[8]:
R7−X2 [8]
(式中、X2は脱離基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその塩とを反応させることにより製造することができる。
【0087】
本反応は、溶媒中、塩基の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、前記[C法]の化合物[5]と化合物[6]の反応で用いうる溶媒として例示したものを、適宜用いることができる。また、塩基としても、例えば、前記[C法]で例示した塩基を、適宜用いることができる。
【0088】
塩基の使用量は、化合物[7]又は[8]に対して1〜20当量、好ましくは1〜10当量とすることができる。
【0089】
本反応は0〜150℃、好ましくは0〜80℃で実施することができる。
【0090】
[E法]
さらに、本発明の有効成分である化合物のうち、一般式[I]においてR2が、式:
−CONH−(CH2)q−R8
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物、すなわち、一般式[I−c]:
【0091】
【化35】
【0092】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるフェニルカルボキサミド誘導体は、一般式[9]:
【0093】
【化36】
【0094】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるカルボン酸化合物またはその塩と、一般式[10]:
H2N−(CH2)q−R8 [10]
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるアミン化合物またはその塩とを反応させることにより製造することができる。
【0095】
本反応は、溶媒中、縮合剤の存在下、活性化剤の存在下または非存在下、塩基の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、前記[A法]の化合物[1]と化合物[2]の反応で用いうる溶媒として例示したものを、適宜用いることができる。また、塩基または活性化剤としても、例えば、前記[A法]で例示した塩基または活性化剤を、適宜用いることができる。
【0096】
縮合剤の使用量は、化合物[9]又は[10]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。活性化剤の使用量は、化合物[9]又は[10]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。塩基の使用量は、化合物[9]又は[10]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。
【0097】
本反応は0〜100℃、好ましくは0〜50℃で実施することができる。
【0098】
本発明の有効成分である化合物[I]は、上述の如くして得られる化合物のR1および/またはR2上の置換基を、さらに所望の他の置換基へ変換することによっても製造することができる。このような置換基の変換方法は、目的とする置換基の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば(a法)〜(f法)の如く実施することができる。
【0099】
(a法:水酸基のアルキル化)
一般式[I]における環A上の置換基がアリール低級アルコキシ基である化合物[I]は、環A上の置換基が水酸基である対応化合物と、アリール低級アルキルハライド(例えば、臭化ベンジル)とを、塩基(例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム)の存在下反応させることにより製造することができる。
【0100】
(b法:アミノ基のアルキル化)
一般式[I]における環A上の置換基が低級アルキルアミノ基である化合物[I]は、環A上の置換基がアミノ基である対応化合物[I]と、低級アルキルハライド(例えば、ヨウ化メチル)とを、塩基(例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム)の存在下反応させることにより製造することができる。
【0101】
(c法:アミノ基のアルキル化(還元的アミノ化))
一般式[I]における環A上の置換基が低級アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基)である化合物[I]は、環A上の置換基がアミノ基である対応化合物[I]と、低級アルカナール(例えば、ホルムアルデヒド)とを、還元剤(例えば、ホウ素化水素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)の存在下反応させることにより製造することができる。
【0102】
(d法:アミノ基のアシル化)
一般式[I]における環A上の置換基が、低級アルカノイル基;アリール低級アルカノイル基;低級アルコキシカルボニル基;およびアリール低級アルコキシカルボニル基から選ばれる基で置換されたアミノ基である化合物[I]は、環A上の置換基がアミノ基である対応化合物[I]と、対応するアシル化剤等(例えば、ベンジルオキシカルボニルクロリド)とを、塩基(例えば、トリエチルアミン、炭酸カリウム)の存在下反応させることにより製造することができる。
【0103】
(e法:カルボキシル基のアミド化)
一般式[I]における環A上の置換基が、式:
−CONR4R5
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される基、または、式:
【0104】
【化37】
【0105】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される基である化合物[I]は、環A上の置換基がカルボキシル基である対応化合物[I]と、式:
HNR4R5
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物、または、式:
【0106】
【化38】
【0107】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物とを前記[A法]と同様にして反応させることにより製造することができる。
【0108】
(f法:カルボキシル基のエステル化)
一般式[I]における環A上の置換基がアリール低級アルコキシ基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基)である化合物[I]は、環A上の置換基がカルボキシル基である対応化合物[I]と、対応するアリール低級アルコール(例えば、ベンジルアルコール)とを前記[A法]と同様にして反応させることにより製造することができる。
【0109】
上述の[A法]〜[E法]、あるいは(a法)〜(f法)のごとくして得られる本発明の有効成分である化合物[I]は、所望により、薬理的に許容しうる塩に変換することもできる。薬理的に許容しうる塩への変換は、当業者に知られている慣用の方法に従って行なえばよい。
【0110】
<原料化合物の製法>
原料化合物[1]は、例えば、下記の方法に従って製造することができる。
【0111】
【化39】
【0112】
(式中、R9は低級アルキル基またはベンジル基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
化合物[11]と化合物[4]から化合物[12]を製造する反応は、前記[B法]と同様にして実施することができる。
【0113】
化合物[12]から化合物[1]を製造する反応は、慣用の加水分解反応条件下(例えば、水酸化ナトリウム−水)または加水素分解反応条件下(パラジウム/炭素−水素)実施することができる。
【0114】
原料化合物[2−a](A法において用いられる化合物[2]のうち、最終化合物[I−a]の製造に用いられる原料化合物)および[5]は、例えば、下記の方法に従って製造することができる。
【0115】
【化40】
【0116】
(式中、X1はハロゲン原子、Pはアミノ基の保護基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
化合物[13]と化合物[14]から化合物[15]を製造する反応は、溶媒中、塩基の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0117】
化合物[15]から化合物[16]を製造する反応は、慣用の還元反応条件下(例えば、パラジウム/炭素−水素、鉄−塩化アンモニウム)実施することができる。
【0118】
化合物[16]と化合物[1]から化合物[18]を製造する反応は、前記[A法]と同様にして実施することができる。
【0119】
化合物[18]から化合物[5]を製造する反応は、慣用の保護されたアミノ基の脱保護剤(例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸−ジオキサン溶液、ヨウ化トリメチルシラン、パラジウム/炭素−水素等、以下同じ)の存在下実施することができる。
【0120】
化合物[16]から化合物[17]を製造する反応は、慣用の保護されたアミノ基の脱保護剤の存在下実施することができる。
【0121】
化合物[17]と化合物[6]から化合物[2−a]を製造する反応は、前記[C法]と同様にして実施することができる。
【0122】
アミノ基の保護基Pとしては、メトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0123】
原料化合物[2−b](A法において用いられる化合物[2]のうち、最終化合物[I−b]の製造に用いられる原料化合物)および[7]は、例えば、下記の方法に従って製造することができる。
【0124】
【化41】
【0125】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
化合物[19]から化合物[20]を製造する反応は、慣用の還元剤(例えば、ボラン・ジメチルスルフィド錯体)の存在下実施することができる。
【0126】
化合物[20]から化合物[21]を製造する反応は、慣用のアミノ基の保護剤(例えば、ジtert−ブチルジカーボネート)の存在下実施することができる。
【0127】
化合物[21]から化合物[22]を製造する反応は、慣用の還元剤(例えば、パラジウム/炭素−水素)の存在下実施することができる。
【0128】
化合物[22]と化合物[1]から化合物[24]を製造する反応は、前記[A法]と同様にして実施することができる。
【0129】
化合物[24]から化合物[7]を製造する反応は、慣用の保護されたアミノ基の脱保護剤の存在下実施することができる。
【0130】
化合物[22]から化合物[23]を製造する反応は、慣用の保護されたアミノ基の脱保護剤の存在下実施することができる。
【0131】
化合物[23]と化合物[8]から化合物[2−b]を製造する反応は、前記[C法]と同様にして実施することができる。
【0132】
原料化合物[2−c](A法において用いられる化合物[2]のうち、最終化合物[I−c]の製造に用いられる原料化合物)および[9]は、例えば、下記の方法に従って製造することができる。
【0133】
【化42】
【0134】
(式中、R21は低級アルキル基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
化合物[25]と化合物[10]から化合物[26]を製造する反応は、溶媒の存在下または非存在下、塩基の存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
【0135】
化合物[26]から化合物[2−c]を製造する反応は、慣用の還元剤(例えば、パラジウム/炭素−水素)の存在下実施することができる。
【0136】
化合物[25]から化合物[27]を製造する反応は、低級アルコール(R21OH)の存在下実施することができる。
【0137】
化合物[27]から化合物[28]を製造する反応は、慣用の還元剤(例えば、パラジウム/炭素−水素、鉄−塩化アンモニウム)の存在下実施することができる。
【0138】
化合物[28]と化合物[1]から化合物[29]を製造する反応は、前記[A法]と同様にして実施することができる。
【0139】
化合物[29]から化合物[9]を製造する反応は、慣用の加水分解反応条件下(例えば、水酸化ナトリウム−水)で実施することができる。
【0140】
原料化合物[3]は、例えば、下記の方法に従って製造することができる。
【0141】
【化43】
【0142】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
化合物[30]と化合物[2]から化合物[3]を製造する反応は、前記[A法]と同様にして実施することができる。
【0143】
上記有効成分である化合物[I]、[I−a]、[I−b]または[I−c]を製造するにあたり、各中間体化合物は化学反応に示しているものだけでなく、反応に関与しなければ、その塩またはその反応性誘導体も、適宜用いることができる。該塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等の金属塩、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基との塩、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸等の無機酸との塩、酢酸、シュウ酸、クエン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、マロン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸との塩が挙げられる。
【0144】
さらに、本発明の有効成分である化合物および原料化合物の製造に際し、原料化合物ないし各中間体が官能基を有する場合、上記で示した以外にも合成化学の常法により各官能基に適切な保護基を導入し、また、必要が無くなればそれらの保護基を適宜除去してもよい。
【0145】
なお、本発明において、アルキルとしては、炭素数1〜16の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、とりわけ炭素数1〜10のものが挙げられる。低級アルキルまたは低級アルコキシとは、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、とりわけ炭素数1〜4のものが挙げられる。また、低級アルカノイルとは、炭素数2〜7、とりわけ炭素数2〜5の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、シクロアルキルとは、炭素数3〜20、とりわけ炭素数3〜12のものが挙げられる。シクロ低級アルキルとは、炭素数3〜8、とりわけ炭素数3〜6のものが挙げられる。アルケニルとは、炭素数2〜16、とりわけ炭素数2〜10の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、低級アルケニルとは、炭素数2〜8、とりわけ炭素数2〜4のものが挙げられる。アルキレンとは、炭素数1〜16、とりわけ炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、低級アルキレンとは、炭素数1〜8、とりわけ炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられる。さらに、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられる。
【0146】
【実験例】
実験例1
(ApoB分泌抑制作用)
ヒト肝癌由来細胞HepG2(ATCC No.:HB−8065)を、96穴プレートの各ウェルへ50%コンフルエントになるように播き込み、非働化した10%の牛胎児血清を添加したPRMI−1640培地(日研生物製、200μL/ウェル)を用いて、80%コンフルエントとなるまで最低48時間培養した(37℃、5%CO2)。培養終了後、培地を交換し、ジメチルスルホキシド(DMSO終濃度0.5%)に溶解した各種濃度の検体を培地に添加して更に16時間培養した。培養終了後、HepG2細胞の培養上清(50μL)を採取し、培地で15倍希釈してELISA法によるApoB定量用試料(100μL/ウェル)とした。当該ELISA法においては、一次抗体として抗ヒトApoBモノクローナル抗体(H45635M、Biodesign社製)を、また二次抗体として抗ヒトApoBポリクローナル抗体(PP086、The Binding Site社製)を用い、吸光度(OD405nm−OD490nm)を測定した。試料中のApoB量は、上記吸光度と、ヒト血漿から得られたApoBを使用して予め作成された検量線とから求めた。検体非処理群(DMSOのみ添加)のApoB量を100%として標準化し、IC50値を算出した。
結果を第1表に示す。
【0147】
【表1】
【0148】
実験例2
(オリーブ油負荷ラットにおける血中トリグリセライド低下作用)
7〜8週齢のSD系雄性ラット(SLC製)を、通常飼料と水を自由摂取させ、1週間予備飼育した。検体は0.25%カルボキシメチルセルロース(CMC)に溶解又は懸濁した後、ラットに経口投与(10mL/kg)した。検体投与1時間後にオリーブ油(10mL/kg)を経口投与し、検体投与4時間後の血漿中トリグリセライド値を測定した。検体非投与群には、検体を含有しない0.25%CMCを投与した1時間後にオリーブ油を投与した。なお、0.25%CMCのみを投与したラットを対照群とした。血漿中トリグリセライド(TG)値は、腹部大動脈から採取した血液を遠心分離して得られた血漿を試料とし、トリグリザイム(栄研化学製)を用いて定量した。検体非投与群のTG値と対照群のTG値との差を100%とし、〔検体投与群のTG値−対照群のTG値〕が50%となる用量を算出し、これをED50値とした。
結果を第2表に示す。
【0149】
【表2】
【0150】
【製造例】
上記例示の各方法で合成される本発明の有効成分である化合物[I]の具体例(製造例)を下記に示すが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0151】
製造例1
2−(4−アミノベンジルアミノ)ピリミジン(参考例5で得られる化合物)580mg、2−[4−(3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−イル]安息香酸(参考例4で得られる化合物)984mg、4−ジメチルアミノピリジン35mg、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール431mgのジメチルホルムアミド(15ml)溶液に、氷冷下、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩616mgを加え、室温で18時間撹拌する。途中14時間後に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩278mgを加える。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を濃アンモニア水、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を留去する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製した後、酢酸エチル−ジイソプロピルエーテルの混合溶媒で再結晶することにより、2−[4−(2−(4−(3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−イル)ベンゾイルアミノ)ベンジルアミノ]ピリミジン779mgを無色結晶として得る。
M.p.137.5−138.5℃。
【0152】
製造例2−3
対応原料化合物を製造例1と同様に処理することにより、第3表記載の化合物を得る。
【0153】
【表3】
【0154】
参考例1
2−フルオロ安息香酸58.29gおよび炭酸カリウム57.42gのジメチルホルムアミド懸濁液(500ml)に、氷冷下、臭化ベンジル71.16gを滴下する。室温で15時間撹拌する。反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残渣を減圧蒸留することにより、2−フルオロ安息香酸ベンジル86.13gを淡黄色油状物として得る。
B.p.(3mmHg)152−155℃。
【0155】
参考例2
(1)2−フルオロ安息香酸ベンジル25.75gおよびイソニペコチン酸エチル21.98gのジメチルホルムアミド(100ml)溶液に、炭酸カリウム23.18gを加え、80℃で20時間撹拌する。反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:n−ヘキサン=1:10)で精製することにより、2−(4−エトキシカルボニルピペリジン−1−イル)安息香酸ベンジル20.41gを淡黄色油状物として得る。
MS(APCI)m/z;368(M+H)。
(2)上記(1)で得られる化合物4.77g、1M水酸化ナトリウム水溶液(13ml)のエタノール(25ml)−テトラヒドロフラン(10ml)混合溶液を室温で5時間撹拌する。反応液に2モル当量のクエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出し、得られた水層のpHをクエン酸で4−5に調整した後、塩化ナトリウムを加え酢酸エチルで抽出する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去することにより、2−(4−カルボキシピペリジン−1−イル)安息香酸ベンジル2.59gを無色油状物として得る。
MS(ESI)m/z;338(M−H),IR(neat)cm−1;1704。
(3)上記(2)で得られる化合物1.01g、ジメチルアミン・塩酸塩405mg、トリエチルアミン(0.7ml)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール405mgの塩化メチレン(10ml)溶液に、氷冷下、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩764mgを加え、室温で4時間撹拌する。反応液をクロロホルムで希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製することにより、2−(4−ジメチルカルバモイルピペリジン−1−イル)安息香酸ベンジル976mgを無色油状物として得る。
MS(APCI)m/z:367(M+H),IR(neat)cm−1:1720,1642。
(4)上記(3)で得られる化合物970mgおよび10%パラジウム−炭素100mgのエタノール(10ml)懸濁液を、水素雰囲気下、室温、常圧で3時間撹拌する。触媒をろ去し、ろ液を濃縮後、残渣をn−ヘキサンで粉末化することにより、2−(4−ジメチルカルバモイルピペリジン−1−イル)安息香酸595mgを無色粉末として得る。
MS(APCI)m/z:277(M+H),IR(nujol)cm−1:1626。
【0156】
参考例3
対応原料化合物を参考例2(1)と同様に処理することにより、第4表記載の化合物を得る。
【0157】
【表4】
【0158】
参考例4
参考例3で得られる化合物を参考例2(4)と同様に処理することにより、第5表記載の化合物を得る。
【0159】
【表5】
【0160】
参考例5
4−アミノベンジルアミン489mg、2−ブロモピリミジン701mgおよびトリエチルアミン1.7mlのエタノール(8ml)溶液を、終夜加熱還流する。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残渣を、酢酸エチル−イソプロピルエーテルの混合溶液で再結晶することにより、2−(4−アミノベンジルアミノ)ピリミジン408mgを無色プリズム晶として得る。
M.p.136−139℃。
【0161】
参考例6
(1)p−フルオロニトロベンゼン705mg、3−メトキシカルボニルアミノピロリジン・塩酸塩1.44gおよびトリエチルアミン2mlの1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(10ml)溶液を、100℃で1時間加熱撹拌する。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出する。有機層を、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−イソプロピルエーテルの混合溶液で再結晶することにより、1−(4−ニトロフェニル)−3−メトキシカルボニルアミノピロリジン 1.16gを黄色針状晶として得る。
M.p.173−174℃。
(2)上記(1)で得られる化合物1.09gおよび10%パラジウム−炭素300mgをテトラヒドロフラン(25ml)−メタノール(25ml)の混合溶液に懸濁し、水素雰囲気下、室温、常圧で2時間撹拌する。触媒をろ去し、ろ液を濃縮後、残渣を酢酸エチル−イソプロピルエーテルの混合溶液で結晶化することにより、1−(4−アミノフェニル)−3−メトキシカルボニルアミノピロリジン903mgを無色プリズム晶として得る。
M.p.149−151℃。
【発明の属する技術分野】
本発明は優れたアポリポ蛋白B(ApoB)分泌抑制作用および血清脂質低下作用を有し医薬として有用な新規なフェニルカルボキサミド誘導体を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[2−(チオフェン−2−イル−アセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル]−アミド、4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[2−(ピリジン−2−イル−アセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル]−アミド等が、また、特許文献2には、4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[2−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル]−アミド等が、また、特許文献3には、4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[4−(4−(3−シアノベンジル)ピペラジン−1−イル)フェニル]−アミド等が、ApoB分泌抑制作用を有し、血清脂質低下剤として用い得ることが示唆されている。
【0003】
しかしながら、これらに記載されたアミド化合物はいずれも、該アミドのカルボン酸部分に置換ビフェニル基を有する化合物であり、本願発明の化合物の如きカルボン酸部分に含窒素脂肪族複素環−フェニル基を有する化合物は一切記載されていない。
【0004】
【特許文献1】国際公開特許WO96/40640号(第39及び45頁)
【特許文献2】国際公開特許WO98/23593号(第69頁)
【特許文献3】国際公開特許WO00/32582号(第43頁)
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れたアポリポ蛋白B分泌抑制作用および血清脂質低下作用を有する、新規フェニルカルボキサミド誘導体を有効成分としてなる医薬組成物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するために本発明者等は、鋭意研究の結果、アポリポ蛋白B分泌抑制作用および血清脂質低下作用を有する新規なフェニルカルボキサミド誘導体が医薬として有用であることを見出して本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、一般式[I]:
【0007】
【化13】
【0008】
(式中、環Aは置換されていてもよい含窒素脂肪族複素環式基、
Yは=CH−または=N−、
R2は(1)式:
【0009】
【化14】
【0010】
(式中、mは0〜3の整数、R6は有機基を表す)
で示される基、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pは1〜6の整数、R7は有機基を表す)
で示される基、または、
(3)式:−CONH−(CH2)q−R8
(式中、qは1〜6の整数、R8は置換されていてもよい複素環式基を表す)
で示される基、
R3は水素原子またはハロゲン原子を表す)
で示されるフェニルカルボキサミド誘導体またはその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の有効成分である化合物[I]における環A上の置換基としては、例えば、
(1)アリール低級アルキル基、
(2)アリール基、
(3)アリール低級アルコキシ基、
(4)カルボキシル基、
(5)アリール基で置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、
(6)低級アルキル基;低級アルカノイル基;アリール低級アルカノイル基;低級アルコキシカルボニル基;およびアリール低級アルコキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアミノ基、
(7)式:−CONR4R5
(式中、R4およびR5は同一または異なって水素原子、アルキル基、アリール低級アルキル基、ピリジル低級アルキル基、およびアリール基から選ばれる基を表す)
で示される基、
(8)式:
【0012】
【化15】
【0013】
(式中、nは0〜3の整数を表す)
で示される基等が挙げられる。
【0014】
環Aは上記置換基から選ばれる同一もしくは異なる1〜3個の基で置換されていてもよい。
【0015】
環Aにおける含窒素脂肪族複素環式基としては、例えば、1または2個の窒素原子を含有する3〜8員脂肪族複素環式基等が挙げられる。具体的には、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、アゼパニル基、ジアゼパニル基等が挙げられる。
【0016】
本発明の有効成分である化合物[I]におけるR6としては、
(1)式:
【0017】
【化16】
【0018】
(式中、mは0〜3の整数、R6が、
(i)低級アルキル基、
(ii)低級アルカノイル基、
(iii)低級アルコキシカルボニル基、
(iv)低級アルキル基;保護されていてもよいアミノ基;保護されていてもよい水酸基;シアノ基;およびハロゲン原子から選ばれる基で置換されていてもよい含窒素芳香族複素環式基、
(v)アリールスルホニル基、または、
(vi)低級アルキルスルホニル基を表す)
で示される基、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pは1〜6の整数、R7が、
(i)低級アルキル基、
(ii)低級アルカノイル基、
(iii)低級アルコキシカルボニル基、
(iv)低級アルキル基;保護されていてもよいアミノ基;保護されていてもよい水酸基;シアノ基;およびハロゲン原子から選ばれる基で置換されていてもよい含窒素芳香族複素環式基、
(v)アリールスルホニル基、
(vi)低級アルキルスルホニル基、
(vii)芳香族複素環式基置換スルホニル基、または、
(viii)ジ低級アルキルホスホノ基を表す)
で示される基、
(3)式:−CONH−(CH2)q−R8
(式中、qは1〜6の整数、R8が下記から選ばれる基で置換されていてもよい含窒素芳香族複素環式基:
(i)低級アルキル基、
(ii)保護されていてもよいアミノ基、
(iii)保護されていてもよい水酸基、
(iv)シアノ基、および、
(v)ハロゲン原子、
を表す)
で示される基等があげられる。
【0019】
R6、R7またはR8における含窒素芳香族複素環式基としては、例えば、1〜4個の窒素原子を含有する単環または2環の含窒素芳香族複素環式基等が挙げられる。具体的には、ピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、プリニル基、1H−インダゾリル基、シンノリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、プテリジニル基等が挙げられる。
【0020】
R7における芳香族複素環式基置換スルホニル基の芳香族複素環式基としては、例えば、窒素、酸素、硫黄から選ばれる同一または異なる1〜4個の異項原子を含有する単環または2環の芳香族複素環式基が挙げられる。具体的には、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、プリニル基、1H−インダゾリル基、シンノリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、プテリジニル基等が挙げられる。
【0021】
環A上の置換基におけるアリール基、R6またはR7におけるアリールスルホニル基のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基等が挙げられる。
【0022】
上記本発明の有効成分である化合物[I]が保護されたアミノ基を有する場合において、当該アミノ基の保護基としては、例えば、置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、アシル基等が挙げられ、具体的には、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。さらに、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、アリル基等も挙げられる。このうち好ましいものとしては、置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基が挙げられ、具体的には、ベンジルオキシカルボニル基及びtert−ブトキシカルボニル基が挙げられる。また、保護されたアミノ基としては、例えば、保護されるアミノ基とともにフタルイミド基を形成する場合も含まれる。
【0023】
また、本発明の有効成分である化合物[I]が保護された水酸基を有する場合において、当該水酸基の保護基としては、置換されていてもよいアリール低級アルキル基、アシル基、置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、トリアルキルシリル基等の慣用の保護基を挙げることができる。このうち好ましいものとしては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等の如き非置換アリール低級アルキル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、マロニル基、アクリロイル基、ベンゾイル基等のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基が挙げられる。さらに、トリフェニルメチル基、2−シアノエチル基等も挙げられる。
【0024】
本発明の有効成分である化合物[I]のうち、好ましい化合物としては、環Aが、式:
【0025】
【化17】
【0026】
(式中、R1は、
(1)フェニル低級アルキル基、
(2)フェニル基、
(3)フェニル低級アルコキシ基、
(4)フェニル基で置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、
(5)低級アルキル基;低級アルカノイル基;フェニル低級アルカノイル基;低級アルコキシカルボニル基;およびフェニル低級アルコキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアミノ基、
(6)式:−CONR4R5
(式中、R4およびR5は同一または異なって水素原子、アルキル基、フェニル低級アルキル基、ピリジル低級アルキル基、およびフェニル基から選ばれる基を表す)
で示される基、または、
(7)式:
【0027】
【化18】
【0028】
(式中、nが1または2を表す)
で示される基を表す)
で示される基、
R2が(1)式:
【0029】
【化19】
【0030】
(式中、mが1または2、R6が、
(i)低級アルコキシカルボニル基、
(ii)低級アルキル基、アミノ基、またはシアノ基から選ばれる基で置換されていてもよいピリミジニル基、または、
(iii)ベンゼンスルホニル基、
を表す)
で示される基、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pが1または2、R7が、
(i)低級アルコキシカルボニル基、
(ii)低級アルキル基、アミノ基、およびシアノ基から選ばれる基で置換されていてもよいピリミジニル基、
(iii)ベンゼンスルホニル基、
(iv)チエニルスルホニル基、または、
(v)ジ低級アルキルホスホノ基、
を表す)
で示される基、または、
(3)式:−CONH−(CH2)q−R8
(式中、qが1または2、R8がピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、またはピリダジニル基を表す)
で示される基、
である化合物が挙げられる。
【0031】
本発明の有効成分である化合物[I]のうち、より好ましい化合物としては、環Aが、式:
【0032】
【化20】
【0033】
(式中、R1は、
(1)フェニル低級アルキル基、
(2)フェニル基、
(3)フェニル低級アルコキシ基、
(4)フェニル基で置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、
(5)低級アルキル基;低級アルカノイル基;フェニル低級アルカノイル基;低級アルコキシカルボニル基;およびフェニル低級アルコキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアミノ基、
(6)式:−CONR4R5
(式中、R4およびR5は同一または異なって水素原子、アルキル基、フェニル低級アルキル基、ピリジル低級アルキル基、およびフェニル基から選ばれる基を表す)
で示される基、または、
(7)式:
【0034】
【化21】
【0035】
(式中、nが1または2を表す)
で示される基を表す)
で示される基、
Yが=CH−、
R2が(1)式:
【0036】
【化22】
【0037】
(式中、R6が低級アルコキシカルボニル基、ピリミジニル基、またはベンゼンスルホニル基を表す)
で示される基、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pが1または2、R7が低級アルコキシカルボニル基、ピリミジニル基、またはベンゼンスルホニル基を表す)
で示される基、または、
(3)式:
【0038】
【化23】
【0039】
(式中、qが1または2を表す)
で示される基、
である化合物が挙げられる。
【0040】
本発明の有効成分である化合物[I]のうちより好ましい化合物の具体例としては、例えば、R1がN,N−ジメチルカルバモイル基、N−メチル−N−n−ブチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−ベンジルカルバモイル基、N−メチル−N−(2−(2−ピリジル)エチル)カルバモイル基、ピロリジノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンジルオキシ基、フェニル基、3−フェニルプロピル基、N−メチル−N−エトキシカルボニルアミノ基、ベンジルオキシカルボニルアミノ基等であり、R2が(2−ピリミジニル)アミノメチル基、2−(2−ピリミジニル)アミノエチル基、2−(ベンゼンスルホニルアミノ)エチル基、3−(2−ピリミジニル)アミノピロリジノ基、3−(メトキシカルボニルアミノ)ピロリジノ基、N−(2−(2−ピリジル)エチル)カルバモイル基等であり、R3が水素原子、または塩素原子である化合物が挙げられる。
【0041】
本発明の有効成分である化合物[I]のうち、特に好ましい化合物としては、環Aが、式:
【0042】
【化24】
【0043】
(式中、R1がフェニル低級アルキル基を表す)
で示される基、
R2が(1)式:
【0044】
【化25】
【0045】
(式中、R6が低級アルコキシカルボニル基、またはピリミジニル基を表す)
で示される基、または、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pが1または2、R7がピリミジニル基、またはベンゼンスルホニル基を表す)
で示される基、
R3が水素原子、
である化合物が挙げられる。具体的には、2−[4−(2−(4−(3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−イル)ベンゾイルアミノ)ベンジルアミノ]ピリミジン,
1−[4−(2−(4−(3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−イル)ベンゾイルアミノ)フェニル]−3−メトキシカルボニルアミノピロリジン,
またはそれらの薬理的に許容しうる塩が挙げられる。
【0046】
本発明の有効成分である化合物[I]は、環A上の置換基及び/またはR2が不斉原子を有する場合、当該不斉原子に基づく光学異性体として存在しうるが、本発明はこれらの光学異性体及びその混合物のいずれをも含むものである。
【0047】
本発明の有効成分である化合物[I]またはその薬理的に許容しうる塩は、アポリポ蛋白B分泌抑制作用を有し、優れた血清脂質低下作用を示す。
【0048】
従って、本発明の有効成分である化合物[I]またはその薬理的に許容し得る塩は、高脂血症、虚血性心疾患、アテローム性動脈硬化、冠動脈硬化、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高脂血症、高リポ蛋白血症、動脈硬化症、冠動脈硬化症、冠動脈心疾患、虚血性脳疾患、卒中、循環・微小循環障害、血栓症、高血糖、糖尿病、急性出血性膵炎、肥満症、脂肪症、便秘症等の予防・治療への適用が考えられる。さらに、本発明の有効成分である化合物[I]は低毒性であり、医薬として安全性が高いという特長をも有する。
【0049】
本発明の有効成分である化合物[I]は、遊離の形でも、また、薬理的に許容し得る塩の形でも医薬用途に使用することができる。化合物[I]の薬理的に許容しうる塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩または臭化水素酸塩の如き無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩またはマレイン酸塩の如き有機酸塩等が挙げられる。また、カルボキシル基等の置換基を有する場合には塩基との塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩またはカルシウム塩の如きアルカリ土類金属塩)が挙げられる。
【0050】
本発明の有効成分である化合物[I]またはその塩は、その分子内塩や付加物、それらの溶媒和物あるいは水和物等をいずれも含むものである。
【0051】
本発明の有効成分である化合物[I]またはその薬理的に許容しうる塩は経口的にも非経口的にも投与することができ、また、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、注射剤、吸入剤等の慣用の医薬製剤として用いることができる。
【0052】
本発明の有効成分である化合物[I]またはその薬理的に許容し得る塩の投与量は、投与方法、患者の年令、体重、状態によっても異なるが、注射剤とすれば、通常、1日当り約0.01〜5mg/kg、とりわけ約0.1〜3mg/kg程度、経口剤とすれば、通常、1日当り約0.1〜100mg/kg、とりわけ約0.1〜50mg/kg程度とするのが好ましい。
【0053】
<フェニルカルボキサミド誘導体の製法>
本発明の有効成分である化合物[I]は、慣用の方法に従って、下記[A法]〜[E法]により製造することができるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
[A法]
一般式[I]で示される本発明の有効成分であるフェニルカルボキサミド誘導体は、一般式[1]:
【0055】
【化26】
【0056】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるカルボン酸化合物またはその塩と、一般式[2]:
【0057】
【化27】
【0058】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるアミン化合物またはその塩とを反応させることにより製造することができる。
【0059】
本反応は、溶媒中、縮合剤の存在下、活性化剤の存在下または非存在下、塩基の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1−メチルピロリジノン等が挙げられる。縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(WSC・HCl)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジエチルシアノホスホネート(DEPC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)等が挙げられる。活性化剤としては、例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、ヒドロキシフタルイミド(HOPht)、ペンタフルオロフェノール(Pfp−OH)等が挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0] −7−ウンデセン(DBU)等が挙げられる。
【0060】
縮合剤の使用量は、化合物[1]又は[2]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。活性化剤の使用量は、化合物[1]又は[2]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。塩基の使用量は、化合物[1]又は[2]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。
【0061】
本反応は0〜100℃、好ましくは0〜50℃で実施することができる。
【0062】
また、化合物[1]は、いったん酸クロライドまたは混合酸無水物等の反応性誘導体に変換した後、塩基の存在下化合物[2]と反応させてもよい。
【0063】
[B法]
一般式[I]で示される本発明の有効成分であるフェニルカルボキサミド誘導体は、一般式[3]:
【0064】
【化28】
【0065】
(式中、Xはハロゲン原子を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその塩と、一般式[4]:
【0066】
【化29】
【0067】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物とを反応させることにより製造することもできる。
【0068】
本反応は、溶媒中、塩基の存在下または非存在下、活性化剤の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、メタノール、エタノール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン等が挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等の無機塩基等が挙げられる。活性化剤としては、例えば、ヨウ化銅(I)、銅粉、酢酸パラジウム等が挙げられる。
【0069】
塩基の使用量は、化合物[3]又は[4]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。活性化剤の使用量は、化合物[3]又は[4]に対して0.001〜0.5当量、好ましくは0.05〜0.2当量とすることができる。
【0070】
本反応は0〜150℃、好ましくは0〜80℃で実施することができる。
【0071】
[C法]
本発明の有効成分である化合物のうち、一般式[I]においてR2が、式:
【0072】
【化30】
【0073】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物、すなわち、一般式[I−a]:
【0074】
【化31】
【0075】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるフェニルカルボキサミド誘導体は、一般式[5]:
【0076】
【化32】
【0077】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその塩と、一般式[6]:
R6−X2 [6]
(式中、X2は脱離基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその塩とを反応させることにより製造することができる。
【0078】
本反応は、溶媒中、塩基の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、水、エタノール、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチレンまたはこれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0079】
塩基の使用量は、化合物[5]又は[6]に対して1〜20当量、好ましくは1〜5当量とすることができる。
【0080】
本反応は−30〜150℃、好ましくは0〜80℃で実施することができる。
【0081】
なお、脱離基X2としては、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0082】
[D法]
また、本発明の有効成分である化合物のうち、一般式[I]においてR2が、式:
−(CH2)p−NHR7
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物、すなわち、一般式[I−b]:
【0083】
【化33】
【0084】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるフェニルカルボキサミド誘導体は、一般式[7]:
【0085】
【化34】
【0086】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその塩と、一般式[8]:
R7−X2 [8]
(式中、X2は脱離基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその塩とを反応させることにより製造することができる。
【0087】
本反応は、溶媒中、塩基の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、前記[C法]の化合物[5]と化合物[6]の反応で用いうる溶媒として例示したものを、適宜用いることができる。また、塩基としても、例えば、前記[C法]で例示した塩基を、適宜用いることができる。
【0088】
塩基の使用量は、化合物[7]又は[8]に対して1〜20当量、好ましくは1〜10当量とすることができる。
【0089】
本反応は0〜150℃、好ましくは0〜80℃で実施することができる。
【0090】
[E法]
さらに、本発明の有効成分である化合物のうち、一般式[I]においてR2が、式:
−CONH−(CH2)q−R8
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物、すなわち、一般式[I−c]:
【0091】
【化35】
【0092】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるフェニルカルボキサミド誘導体は、一般式[9]:
【0093】
【化36】
【0094】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるカルボン酸化合物またはその塩と、一般式[10]:
H2N−(CH2)q−R8 [10]
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるアミン化合物またはその塩とを反応させることにより製造することができる。
【0095】
本反応は、溶媒中、縮合剤の存在下、活性化剤の存在下または非存在下、塩基の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、前記[A法]の化合物[1]と化合物[2]の反応で用いうる溶媒として例示したものを、適宜用いることができる。また、塩基または活性化剤としても、例えば、前記[A法]で例示した塩基または活性化剤を、適宜用いることができる。
【0096】
縮合剤の使用量は、化合物[9]又は[10]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。活性化剤の使用量は、化合物[9]又は[10]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。塩基の使用量は、化合物[9]又は[10]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。
【0097】
本反応は0〜100℃、好ましくは0〜50℃で実施することができる。
【0098】
本発明の有効成分である化合物[I]は、上述の如くして得られる化合物のR1および/またはR2上の置換基を、さらに所望の他の置換基へ変換することによっても製造することができる。このような置換基の変換方法は、目的とする置換基の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば(a法)〜(f法)の如く実施することができる。
【0099】
(a法:水酸基のアルキル化)
一般式[I]における環A上の置換基がアリール低級アルコキシ基である化合物[I]は、環A上の置換基が水酸基である対応化合物と、アリール低級アルキルハライド(例えば、臭化ベンジル)とを、塩基(例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム)の存在下反応させることにより製造することができる。
【0100】
(b法:アミノ基のアルキル化)
一般式[I]における環A上の置換基が低級アルキルアミノ基である化合物[I]は、環A上の置換基がアミノ基である対応化合物[I]と、低級アルキルハライド(例えば、ヨウ化メチル)とを、塩基(例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム)の存在下反応させることにより製造することができる。
【0101】
(c法:アミノ基のアルキル化(還元的アミノ化))
一般式[I]における環A上の置換基が低級アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基)である化合物[I]は、環A上の置換基がアミノ基である対応化合物[I]と、低級アルカナール(例えば、ホルムアルデヒド)とを、還元剤(例えば、ホウ素化水素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)の存在下反応させることにより製造することができる。
【0102】
(d法:アミノ基のアシル化)
一般式[I]における環A上の置換基が、低級アルカノイル基;アリール低級アルカノイル基;低級アルコキシカルボニル基;およびアリール低級アルコキシカルボニル基から選ばれる基で置換されたアミノ基である化合物[I]は、環A上の置換基がアミノ基である対応化合物[I]と、対応するアシル化剤等(例えば、ベンジルオキシカルボニルクロリド)とを、塩基(例えば、トリエチルアミン、炭酸カリウム)の存在下反応させることにより製造することができる。
【0103】
(e法:カルボキシル基のアミド化)
一般式[I]における環A上の置換基が、式:
−CONR4R5
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される基、または、式:
【0104】
【化37】
【0105】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される基である化合物[I]は、環A上の置換基がカルボキシル基である対応化合物[I]と、式:
HNR4R5
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物、または、式:
【0106】
【化38】
【0107】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
で示される化合物とを前記[A法]と同様にして反応させることにより製造することができる。
【0108】
(f法:カルボキシル基のエステル化)
一般式[I]における環A上の置換基がアリール低級アルコキシ基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基)である化合物[I]は、環A上の置換基がカルボキシル基である対応化合物[I]と、対応するアリール低級アルコール(例えば、ベンジルアルコール)とを前記[A法]と同様にして反応させることにより製造することができる。
【0109】
上述の[A法]〜[E法]、あるいは(a法)〜(f法)のごとくして得られる本発明の有効成分である化合物[I]は、所望により、薬理的に許容しうる塩に変換することもできる。薬理的に許容しうる塩への変換は、当業者に知られている慣用の方法に従って行なえばよい。
【0110】
<原料化合物の製法>
原料化合物[1]は、例えば、下記の方法に従って製造することができる。
【0111】
【化39】
【0112】
(式中、R9は低級アルキル基またはベンジル基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
化合物[11]と化合物[4]から化合物[12]を製造する反応は、前記[B法]と同様にして実施することができる。
【0113】
化合物[12]から化合物[1]を製造する反応は、慣用の加水分解反応条件下(例えば、水酸化ナトリウム−水)または加水素分解反応条件下(パラジウム/炭素−水素)実施することができる。
【0114】
原料化合物[2−a](A法において用いられる化合物[2]のうち、最終化合物[I−a]の製造に用いられる原料化合物)および[5]は、例えば、下記の方法に従って製造することができる。
【0115】
【化40】
【0116】
(式中、X1はハロゲン原子、Pはアミノ基の保護基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
化合物[13]と化合物[14]から化合物[15]を製造する反応は、溶媒中、塩基の存在下または非存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0117】
化合物[15]から化合物[16]を製造する反応は、慣用の還元反応条件下(例えば、パラジウム/炭素−水素、鉄−塩化アンモニウム)実施することができる。
【0118】
化合物[16]と化合物[1]から化合物[18]を製造する反応は、前記[A法]と同様にして実施することができる。
【0119】
化合物[18]から化合物[5]を製造する反応は、慣用の保護されたアミノ基の脱保護剤(例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸−ジオキサン溶液、ヨウ化トリメチルシラン、パラジウム/炭素−水素等、以下同じ)の存在下実施することができる。
【0120】
化合物[16]から化合物[17]を製造する反応は、慣用の保護されたアミノ基の脱保護剤の存在下実施することができる。
【0121】
化合物[17]と化合物[6]から化合物[2−a]を製造する反応は、前記[C法]と同様にして実施することができる。
【0122】
アミノ基の保護基Pとしては、メトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0123】
原料化合物[2−b](A法において用いられる化合物[2]のうち、最終化合物[I−b]の製造に用いられる原料化合物)および[7]は、例えば、下記の方法に従って製造することができる。
【0124】
【化41】
【0125】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
化合物[19]から化合物[20]を製造する反応は、慣用の還元剤(例えば、ボラン・ジメチルスルフィド錯体)の存在下実施することができる。
【0126】
化合物[20]から化合物[21]を製造する反応は、慣用のアミノ基の保護剤(例えば、ジtert−ブチルジカーボネート)の存在下実施することができる。
【0127】
化合物[21]から化合物[22]を製造する反応は、慣用の還元剤(例えば、パラジウム/炭素−水素)の存在下実施することができる。
【0128】
化合物[22]と化合物[1]から化合物[24]を製造する反応は、前記[A法]と同様にして実施することができる。
【0129】
化合物[24]から化合物[7]を製造する反応は、慣用の保護されたアミノ基の脱保護剤の存在下実施することができる。
【0130】
化合物[22]から化合物[23]を製造する反応は、慣用の保護されたアミノ基の脱保護剤の存在下実施することができる。
【0131】
化合物[23]と化合物[8]から化合物[2−b]を製造する反応は、前記[C法]と同様にして実施することができる。
【0132】
原料化合物[2−c](A法において用いられる化合物[2]のうち、最終化合物[I−c]の製造に用いられる原料化合物)および[9]は、例えば、下記の方法に従って製造することができる。
【0133】
【化42】
【0134】
(式中、R21は低級アルキル基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する)
化合物[25]と化合物[10]から化合物[26]を製造する反応は、溶媒の存在下または非存在下、塩基の存在下実施することができる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
【0135】
化合物[26]から化合物[2−c]を製造する反応は、慣用の還元剤(例えば、パラジウム/炭素−水素)の存在下実施することができる。
【0136】
化合物[25]から化合物[27]を製造する反応は、低級アルコール(R21OH)の存在下実施することができる。
【0137】
化合物[27]から化合物[28]を製造する反応は、慣用の還元剤(例えば、パラジウム/炭素−水素、鉄−塩化アンモニウム)の存在下実施することができる。
【0138】
化合物[28]と化合物[1]から化合物[29]を製造する反応は、前記[A法]と同様にして実施することができる。
【0139】
化合物[29]から化合物[9]を製造する反応は、慣用の加水分解反応条件下(例えば、水酸化ナトリウム−水)で実施することができる。
【0140】
原料化合物[3]は、例えば、下記の方法に従って製造することができる。
【0141】
【化43】
【0142】
(但し、記号は前記と同一意味を有する)
化合物[30]と化合物[2]から化合物[3]を製造する反応は、前記[A法]と同様にして実施することができる。
【0143】
上記有効成分である化合物[I]、[I−a]、[I−b]または[I−c]を製造するにあたり、各中間体化合物は化学反応に示しているものだけでなく、反応に関与しなければ、その塩またはその反応性誘導体も、適宜用いることができる。該塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等の金属塩、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基との塩、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸等の無機酸との塩、酢酸、シュウ酸、クエン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、マロン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸との塩が挙げられる。
【0144】
さらに、本発明の有効成分である化合物および原料化合物の製造に際し、原料化合物ないし各中間体が官能基を有する場合、上記で示した以外にも合成化学の常法により各官能基に適切な保護基を導入し、また、必要が無くなればそれらの保護基を適宜除去してもよい。
【0145】
なお、本発明において、アルキルとしては、炭素数1〜16の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、とりわけ炭素数1〜10のものが挙げられる。低級アルキルまたは低級アルコキシとは、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、とりわけ炭素数1〜4のものが挙げられる。また、低級アルカノイルとは、炭素数2〜7、とりわけ炭素数2〜5の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、シクロアルキルとは、炭素数3〜20、とりわけ炭素数3〜12のものが挙げられる。シクロ低級アルキルとは、炭素数3〜8、とりわけ炭素数3〜6のものが挙げられる。アルケニルとは、炭素数2〜16、とりわけ炭素数2〜10の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、低級アルケニルとは、炭素数2〜8、とりわけ炭素数2〜4のものが挙げられる。アルキレンとは、炭素数1〜16、とりわけ炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、低級アルキレンとは、炭素数1〜8、とりわけ炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられる。さらに、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられる。
【0146】
【実験例】
実験例1
(ApoB分泌抑制作用)
ヒト肝癌由来細胞HepG2(ATCC No.:HB−8065)を、96穴プレートの各ウェルへ50%コンフルエントになるように播き込み、非働化した10%の牛胎児血清を添加したPRMI−1640培地(日研生物製、200μL/ウェル)を用いて、80%コンフルエントとなるまで最低48時間培養した(37℃、5%CO2)。培養終了後、培地を交換し、ジメチルスルホキシド(DMSO終濃度0.5%)に溶解した各種濃度の検体を培地に添加して更に16時間培養した。培養終了後、HepG2細胞の培養上清(50μL)を採取し、培地で15倍希釈してELISA法によるApoB定量用試料(100μL/ウェル)とした。当該ELISA法においては、一次抗体として抗ヒトApoBモノクローナル抗体(H45635M、Biodesign社製)を、また二次抗体として抗ヒトApoBポリクローナル抗体(PP086、The Binding Site社製)を用い、吸光度(OD405nm−OD490nm)を測定した。試料中のApoB量は、上記吸光度と、ヒト血漿から得られたApoBを使用して予め作成された検量線とから求めた。検体非処理群(DMSOのみ添加)のApoB量を100%として標準化し、IC50値を算出した。
結果を第1表に示す。
【0147】
【表1】
【0148】
実験例2
(オリーブ油負荷ラットにおける血中トリグリセライド低下作用)
7〜8週齢のSD系雄性ラット(SLC製)を、通常飼料と水を自由摂取させ、1週間予備飼育した。検体は0.25%カルボキシメチルセルロース(CMC)に溶解又は懸濁した後、ラットに経口投与(10mL/kg)した。検体投与1時間後にオリーブ油(10mL/kg)を経口投与し、検体投与4時間後の血漿中トリグリセライド値を測定した。検体非投与群には、検体を含有しない0.25%CMCを投与した1時間後にオリーブ油を投与した。なお、0.25%CMCのみを投与したラットを対照群とした。血漿中トリグリセライド(TG)値は、腹部大動脈から採取した血液を遠心分離して得られた血漿を試料とし、トリグリザイム(栄研化学製)を用いて定量した。検体非投与群のTG値と対照群のTG値との差を100%とし、〔検体投与群のTG値−対照群のTG値〕が50%となる用量を算出し、これをED50値とした。
結果を第2表に示す。
【0149】
【表2】
【0150】
【製造例】
上記例示の各方法で合成される本発明の有効成分である化合物[I]の具体例(製造例)を下記に示すが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0151】
製造例1
2−(4−アミノベンジルアミノ)ピリミジン(参考例5で得られる化合物)580mg、2−[4−(3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−イル]安息香酸(参考例4で得られる化合物)984mg、4−ジメチルアミノピリジン35mg、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール431mgのジメチルホルムアミド(15ml)溶液に、氷冷下、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩616mgを加え、室温で18時間撹拌する。途中14時間後に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩278mgを加える。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を濃アンモニア水、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を留去する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製した後、酢酸エチル−ジイソプロピルエーテルの混合溶媒で再結晶することにより、2−[4−(2−(4−(3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−イル)ベンゾイルアミノ)ベンジルアミノ]ピリミジン779mgを無色結晶として得る。
M.p.137.5−138.5℃。
【0152】
製造例2−3
対応原料化合物を製造例1と同様に処理することにより、第3表記載の化合物を得る。
【0153】
【表3】
【0154】
参考例1
2−フルオロ安息香酸58.29gおよび炭酸カリウム57.42gのジメチルホルムアミド懸濁液(500ml)に、氷冷下、臭化ベンジル71.16gを滴下する。室温で15時間撹拌する。反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残渣を減圧蒸留することにより、2−フルオロ安息香酸ベンジル86.13gを淡黄色油状物として得る。
B.p.(3mmHg)152−155℃。
【0155】
参考例2
(1)2−フルオロ安息香酸ベンジル25.75gおよびイソニペコチン酸エチル21.98gのジメチルホルムアミド(100ml)溶液に、炭酸カリウム23.18gを加え、80℃で20時間撹拌する。反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:n−ヘキサン=1:10)で精製することにより、2−(4−エトキシカルボニルピペリジン−1−イル)安息香酸ベンジル20.41gを淡黄色油状物として得る。
MS(APCI)m/z;368(M+H)。
(2)上記(1)で得られる化合物4.77g、1M水酸化ナトリウム水溶液(13ml)のエタノール(25ml)−テトラヒドロフラン(10ml)混合溶液を室温で5時間撹拌する。反応液に2モル当量のクエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出し、得られた水層のpHをクエン酸で4−5に調整した後、塩化ナトリウムを加え酢酸エチルで抽出する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去することにより、2−(4−カルボキシピペリジン−1−イル)安息香酸ベンジル2.59gを無色油状物として得る。
MS(ESI)m/z;338(M−H),IR(neat)cm−1;1704。
(3)上記(2)で得られる化合物1.01g、ジメチルアミン・塩酸塩405mg、トリエチルアミン(0.7ml)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール405mgの塩化メチレン(10ml)溶液に、氷冷下、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩764mgを加え、室温で4時間撹拌する。反応液をクロロホルムで希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製することにより、2−(4−ジメチルカルバモイルピペリジン−1−イル)安息香酸ベンジル976mgを無色油状物として得る。
MS(APCI)m/z:367(M+H),IR(neat)cm−1:1720,1642。
(4)上記(3)で得られる化合物970mgおよび10%パラジウム−炭素100mgのエタノール(10ml)懸濁液を、水素雰囲気下、室温、常圧で3時間撹拌する。触媒をろ去し、ろ液を濃縮後、残渣をn−ヘキサンで粉末化することにより、2−(4−ジメチルカルバモイルピペリジン−1−イル)安息香酸595mgを無色粉末として得る。
MS(APCI)m/z:277(M+H),IR(nujol)cm−1:1626。
【0156】
参考例3
対応原料化合物を参考例2(1)と同様に処理することにより、第4表記載の化合物を得る。
【0157】
【表4】
【0158】
参考例4
参考例3で得られる化合物を参考例2(4)と同様に処理することにより、第5表記載の化合物を得る。
【0159】
【表5】
【0160】
参考例5
4−アミノベンジルアミン489mg、2−ブロモピリミジン701mgおよびトリエチルアミン1.7mlのエタノール(8ml)溶液を、終夜加熱還流する。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残渣を、酢酸エチル−イソプロピルエーテルの混合溶液で再結晶することにより、2−(4−アミノベンジルアミノ)ピリミジン408mgを無色プリズム晶として得る。
M.p.136−139℃。
【0161】
参考例6
(1)p−フルオロニトロベンゼン705mg、3−メトキシカルボニルアミノピロリジン・塩酸塩1.44gおよびトリエチルアミン2mlの1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(10ml)溶液を、100℃で1時間加熱撹拌する。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出する。有機層を、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル−イソプロピルエーテルの混合溶液で再結晶することにより、1−(4−ニトロフェニル)−3−メトキシカルボニルアミノピロリジン 1.16gを黄色針状晶として得る。
M.p.173−174℃。
(2)上記(1)で得られる化合物1.09gおよび10%パラジウム−炭素300mgをテトラヒドロフラン(25ml)−メタノール(25ml)の混合溶液に懸濁し、水素雰囲気下、室温、常圧で2時間撹拌する。触媒をろ去し、ろ液を濃縮後、残渣を酢酸エチル−イソプロピルエーテルの混合溶液で結晶化することにより、1−(4−アミノフェニル)−3−メトキシカルボニルアミノピロリジン903mgを無色プリズム晶として得る。
M.p.149−151℃。
Claims (11)
- 環Aが下記から選ばれる基で置換されていてもよい含窒素脂肪族複素環式基:
(1)アリール低級アルキル基、
(2)アリール基、
(3)アリール低級アルコキシ基、
(4)カルボキシル基、
(5)アリール基で置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、
(6)低級アルキル基;低級アルカノイル基;アリール低級アルカノイル基;低級アルコキシカルボニル基;およびアリール低級アルコキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアミノ基、
(7)式:−CONR4R5
(式中、R4およびR5は同一または異なって水素原子、アルキル基、アリール低級アルキル基、ピリジル低級アルキル基、およびアリール基から選ばれる基を表す)
で示される基、または、
(8)式:
で示される基、
R2が、(1)式:
(i)低級アルキル基、
(ii)低級アルカノイル基、
(iii)低級アルコキシカルボニル基、
(iv)低級アルキル基;保護されていてもよいアミノ基;保護されていてもよい水酸基;シアノ基;およびハロゲン原子から選ばれる基で置換されていてもよい含窒素芳香族複素環式基、
(v)アリールスルホニル基、または、
(vi)低級アルキルスルホニル基を表す)
で示される基、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pは1〜6の整数、R7が、
(i)低級アルキル基、
(ii)低級アルカノイル基、
(iii)低級アルコキシカルボニル基、
(iv)低級アルキル基;保護されていてもよいアミノ基;保護されていてもよい水酸基;シアノ基;およびハロゲン原子から選ばれる基で置換されていてもよい含窒素芳香族複素環式基、
(v)アリールスルホニル基、
(vi)低級アルキルスルホニル基、
(vii)芳香族複素環式基置換スルホニル基、または、
(viii)ジ低級アルキルホスホノ基を表す)
で示される基、または、
(3)式:−CONH−(CH2)q−R8
(式中、qは1〜6の整数、R8が下記から選ばれる基で置換されていてもよい含窒素芳香族複素環式基:
(i)低級アルキル基、
(ii)保護されていてもよいアミノ基、
(iii)保護されていてもよい水酸基、
(iv)シアノ基、および、
(v)ハロゲン原子、
を表す)
で示される基、
である請求項1記載の医薬組成物。 - 環Aにおける含窒素脂肪族複素環式基が、1または2個の窒素原子を含有する3〜8員脂肪族複素環式基、
R6、R7またはR8における含窒素芳香族複素環式基が、1〜4個の窒素原子を含有する単環または2環の含窒素芳香族複素環式基、
R7における芳香族複素環式基置換スルホニル基の芳香族複素環式基が、窒素、酸素、硫黄から選ばれる同一または異なる1〜4個の異項原子を含有する単環または2環の芳香族複素環式基である請求項2記載の医薬組成物。 - 環Aにおける含窒素脂肪族複素環式基が、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、アゼパニル基、またはジアゼパニル基、
R6、R7またはR8における含窒素芳香族複素環式基がピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、プリニル基、1H−インダゾリル基、シンノリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、またはプテリジニル基、
R7における芳香族複素環式基置換スルホニル基の芳香族複素環式基がフリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、プリニル基、1H−インダゾリル基、シンノリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、またはプテリジニル基、
環A上の置換基におけるアリール基、R6またはR7におけるアリールスルホニル基のアリール基がフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、またはフェナンスリル基である請求項2記載の医薬組成物。 - 環Aが、式:
(1)フェニル低級アルキル基、
(2)フェニル基、
(3)フェニル低級アルコキシ基、
(4)フェニル基で置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、
(5)低級アルキル基;低級アルカノイル基;フェニル低級アルカノイル基;低級アルコキシカルボニル基;およびフェニル低級アルコキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアミノ基、
(6)式:−CONR4R5
(式中、R4およびR5は同一または異なって水素原子、アルキル基、フェニル低級アルキル基、ピリジル低級アルキル基、およびフェニル基から選ばれる基を表す)
で示される基、または、
(7)式:
で示される基を表す)
で示される基、
R2が(1)式:
(i)低級アルコキシカルボニル基、
(ii)低級アルキル基、アミノ基、またはシアノ基から選ばれる基で置換されていてもよいピリミジニル基、または、
(iii)ベンゼンスルホニル基、
を表す)
で示される基、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pが1または2、R7が、
(i)低級アルコキシカルボニル基、
(ii)低級アルキル基、アミノ基、およびシアノ基から選ばれる基で置換されていてもよいピリミジニル基、
(iii)ベンゼンスルホニル基、
(iv)チエニルスルホニル基、または、
(v)ジ低級アルキルホスホノ基、
を表す)
で示される基、または、
(3)式:−CONH−(CH2)q−R8
(式中、qが1または2、R8がピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、またはピリダジニル基を表す)
で示される基、
である請求項4記載の医薬組成物。 - 環Aが、式:
(1)フェニル低級アルキル基、
(2)フェニル基、
(3)フェニル低級アルコキシ基、
(4)フェニル基で置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル基、
(5)低級アルキル基;低級アルカノイル基;フェニル低級アルカノイル基;低級アルコキシカルボニル基;およびフェニル低級アルコキシカルボニル基から選ばれる基で置換されていてもよいアミノ基、
(6)式:−CONR4R5
(式中、R4およびR5は同一または異なって水素原子、アルキル基、フェニル低級アルキル基、ピリジル低級アルキル基、およびフェニル基から選ばれる基を表す)
で示される基、または、
(7)式:
で示される基を表す)
で示される基、
Yが=CH−、
R2が(1)式:
で示される基、
(2)式:−(CH2)p−NHR7
(式中、pが1または2、R7が低級アルコキシカルボニル基、ピリミジニル基、またはベンゼンスルホニル基を表す)
で示される基、または、
(3)式:
で示される基、
である請求項5記載の医薬組成物。 - 2−[4−(2−(4−(3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−イル)ベンゾイルアミノ)ベンジルアミノ]ピリミジン,
1−[4−(2−(4−(3−フェニルプロピル)ピペリジン−1−イル)ベンゾイルアミノ)フェニル]−3−メトキシカルボニルアミノピロリジン,
またはそれらの薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物。 - アポリポ蛋白B分泌抑制剤である請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬組成物。
- 血清脂質低下剤である請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬組成物。
- 高脂血症、虚血性心疾患、アテローム性動脈硬化、冠動脈硬化、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高脂血症、高リポ蛋白血症、動脈硬化症、冠動脈硬化症、冠動脈心疾患、虚血性脳疾患、卒中、循環・微小循環障害、血栓症、高血糖、糖尿病、急性出血性膵炎、肥満症、脂肪症または便秘症の予防・治療剤である請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬組成物。
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---|---|---|---|
JP2002345076A JP2004175738A (ja) | 2002-11-28 | 2002-11-28 | 医薬組成物 |
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Cited By (1)
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WO2013137371A1 (ja) * | 2012-03-15 | 2013-09-19 | 興和株式会社 | 新規ピリミジン化合物及びそれらを含有する医薬 |
-
2002
- 2002-11-28 JP JP2002345076A patent/JP2004175738A/ja active Pending
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WO2013137371A1 (ja) * | 2012-03-15 | 2013-09-19 | 興和株式会社 | 新規ピリミジン化合物及びそれらを含有する医薬 |
JPWO2013137371A1 (ja) * | 2012-03-15 | 2015-08-03 | 興和株式会社 | 新規ピリミジン化合物及びそれらを含有する医薬 |
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