JP2004175491A - 免震建物用エレベーターの乗場装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固定側天井板10、固定側壁板12、昇降路天井板16、固定側上側閉塞板21、固定側壁板12における枢着部側48の上方に塞ぎ板49を配置して、固定側出入口8と昇降路出入口5の間に乗降通路4を形成する。
そして、地震時等において固定側上側閉塞板21が固定側天井板10との間において固定側上側案内体27を介して摺動変位する。したがって、地震時等に閉塞板と案内体の双方が円滑に摺動変位し、上記双方の変形、軋み音の発生を防ぐ。また、昇降路天井板16が固定側壁板12の枢着部に向かって移動したときに、塞ぎ板49が倒伏して昇降路天井板16等の変形、衝突音の発生を防ぐ。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、基部建築体に免震装置を介して免震建築体が支持され、また基部建築体及び免震建築体に昇降路が形成されて、この昇降路及び基部建築体の間に乗降通路が設けられた免震建物用エレベーターの乗場装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の免震建物用エレベーターの乗場装置において、基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体と、免震建築体に形成されて基部建築体に嵌合状態に配置された昇降路とが設けられて、基部建築体と昇降路との間に乗降通路が配置される。そして、乗降通路には昇降路に設けられて乗降通路の一側を形成する昇降路出入口が配置され、また基部建築体に設けられて昇降路出入口に対向して配置されて乗降通路の他側を形成する基部出入口が配置される。
【0003】
また、乗降通路はロ字状の角筒体がテレスコピック−パイプ状に組立てられ、内面によって床、側面、天井が形成されて伸縮自在に構成される。そして、テレスコピック−パイプ形態の一側が基部出入口に、他側が昇降路出入口に接続される。これによって、地震時、強風時の基部建築体と昇降路の双方の相互間距離等の変化に対応する。このような構成によって、地震時等であって上記双方が水平方向に相対変位した場合に、乗降通路が変位したり、伸縮したりするように構成している。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献 1】
特開平11−171429号公報(実施の形態5、図26〜図30)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
免震建物用エレベーターにおいて、地震時等であって基部建築体と昇降路とに相対変位が発生した場合に、基部建築体の基部出入口と昇降路の昇降路出入口の両者が前後、左右または傾斜する方向に相対変位する。しかし、従来の免震建物用エレベーターの乗場装置では、上記両者の相対変位に対応する乗降通路の伸縮機能等が不十分であるので、上記両者の相対変位時において乗降通路の構成部材に変形が発生したり、不快な軋み音が発生したりするという問題点があった。
【0006】
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、地震時等における基部建築体の基部出入口と昇降路の昇降路出入口の相対変位に対して乗降通路が異常なく対応する免震建物用エレベーターの乗場装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る免震建物用エレベーターの乗場装置においては、基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体、基部建築体及び免震建築体に縦通して設けられたエレベーターの昇降路、この昇降路に設けられて基部建築体の上部及び免震建築体の下部の間にわたって配置され昇降路に立設された案内レールに支持された可動昇降路枠と、この可動昇降路枠に設けられて乗降通路の一側を形成する昇降路出入口と、少なくとも基部建築体に設けられて昇降路出入口に対向して配置されて乗降通路の他側を形成する固定側出入口と、固定側出入口の上縁部に配置され昇降路出入口に向かって突設された固定側天井板と、固定側出入口の側縁部に一側が鉛直軸線を介して枢着され他側は昇降路出入口寄りに配置され、上端が固定側天井板に空隙を形成して配置された固定側壁板と、昇降路出入口の上縁部に一側が装着され、他側は固定側出入口寄りに配置されて固定側天井板の下面に重合し、先端部に先端が上方に傾斜した傾斜面が形成された昇降路天井板と、固定側壁板の上縁部に重合して配置されて上方に付勢され、固定側壁板の上縁部と固定側天井板の間の空隙を塞ぎ、昇降路天井板の傾斜面に対応した対向斜面を有する固定側上側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり固定側上側閉塞板に設けられて固定側上側閉塞板の上端よりも突出して配置されて固定側天井板、昇降路天井板及び昇降路天井板の傾斜面に接して装備された固定側上側案内体と、固定側壁板の枢着部側の上端に配置され、上端が固定側天井板に近接して配置され下端側は昇降路出入口側が下降する傾斜線に沿って形成されて、この傾斜線を介して固定側壁板の枢着部側の上端に枢着され、付勢体によって直立姿勢に保持された塞ぎ板と、一端が固定側上側閉塞板に連結され他端は塞ぎ板の上端寄りに連結されて固定側上側閉塞板の下降変位によって塞ぎ板を倒伏姿勢に変位する連結具とが設けられる。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図5は、この発明の実施の形態の一例を示す図で、図1は縦断側面図、図2は図1の乗場装置における外面を示す側面図、図3は図1の要部横断平面図、図4は図1のA部拡大図、図5は図4における地震時の状況を説明する図である。
【0009】
図において、大地(図示しない)に基部建築体1が建設され、基部建築体1の上の免震装置(図示しない)により免震建築体(図示しない)が支持される。そして、基部建築体1及び免震建築体に縦通した昇降路2が設けられて、昇降路2における基部建築体1の上部から免震建築体の下部の間にわたって複数の可動昇降路枠3が互いに離れて配置される。また、基部建築体1と可動昇降路枠3の間に乗降通路4が設けられる。
【0010】
そして、昇降路2に立設されて可動昇降路枠3に連結されたかご用案内レール(図示しない)に昇降路2を昇降するかご(図示しない)が案内され、また昇降路2に立設されて可動昇降路枠3に連結されたつり合おもり用案内レール(図示しない)に昇降路2を昇降するつり合おもり(図示しない)が案内される。
【0011】
また、図示が省略してあるが免震建築体の上部に機械室が設けられて巻上機が設置され、それの駆動綱車に主索が巻掛けられて一端にかごが他端につり合おもりが吊持される。そして、昇降路2の底面にかご、つり合おもりのそれぞれに対向して緩衝器が立設される。
【0012】
また、互いに隣接した可動昇降路枠3の相互間に設けられて乗降通路4の一側を形成する昇降路出入口5が装備され、昇降路出入口5を開閉する乗場の戸6、昇降路出入口5の下縁部に乗場の戸6の下端を案内する敷居7が設けられる。そして、昇降路出入口5に対向した基部建築体1及び免震建築体に設けられて、乗降通路4の他側を形成する固定側出入口8が設けられる。
【0013】
そして、固定側出入口8の下縁部に配置されて昇降路出入口5に向かって突設された固定側床板9が設けられ、また固定側出入口8の上縁部に配置されて昇降路出入口5に向かって突設された固定側天井板10が設けられる。また、固定側出入口8の側縁部に一側が鉛直軸線11を介して枢着され他側は昇降路出入口5寄りに配置され、上端が固定側天井板10に空隙を形成して配置され下端は固定側床板9に空隙を形成して配置された固定側壁板12が設けられる。
【0014】
そして、昇降路出入口5の下縁部に昇降路床板13が配置されて、一側が水平軸線14を介して枢着され、他側は固定側出入口8寄りに配置されて固定側床板9の上面に重合し、先端部に先端が下方に傾斜した傾斜面15が形成される。また、昇降路出入口5の上縁部に昇降路天井板16が配置されて、一側が水平軸線17を介して枢着され、他側は固定側出入口8寄りに配置されて固定側天井板10の下面に重合し、先端部に先端が上方に傾斜した傾斜面18が形成される。
【0015】
また、昇降路出入口5の側縁部に昇降路壁板19が配置されて一側が鉛直軸線20を介して枢着され他側は固定側出入口8寄りに配置され、上端が昇降路天井板16に空隙を形成して配置され、下端は昇降路床板13に空隙を形成して配置される。そして、固定側壁板12の上縁部に重合して固定側上側閉塞板21が配置され、固定側壁板12の上縁部と固定側天井板10の間の空隙を塞ぎ、また昇降路天井板16の傾斜面18に対応した対向斜面22が設けられている。
【0016】
また、固定側上側閉塞板21の裏面に次に述べる上向き付勢装置23が設けられる。すなわち、上向き付勢装置23は固定側上側閉塞板21の屈折部に一端が固定されて下方に延在し他端は固定側壁板21の裏面に固定された保持金具24に空隙を形成して挿通された案内棒25及び案内棒25に嵌合されて固定側上側閉塞板21の屈折部と保持金具24の間に配置されて固定側上側閉塞板21を上方に付勢する圧縮コイルばねからなる付勢体26によって構成される。
【0017】
そして、超高分子量ポリエチレンなど合成樹脂等であって低摩擦性能を有する部材からなる固定側上側案内体27が固定側上側閉塞板21に設けられて、固定側上側閉塞板21の上端よりも突出して配置されて固定側天井板10、昇降路天井板16及び昇降路天井板16の傾斜面18に接して装備される。
【0018】
また、固定側壁板12の下縁部に重合して固定側下側閉塞板28が配置されて固定側壁板12の下縁部と固定側床板9の間の空隙を塞ぎ、また昇降路床板13の傾斜面15に対応した対向斜面29が設けられている。
【0019】
また、固定側下側閉塞板28の裏面に次に述べる下向き付勢装置30が設けられる。すなわち、下向き付勢装置30は固定側下側閉塞板28の屈折部に一端が固定されて上方に延在し他端は固定側壁板12の裏面に固定された保持金具31に空隙を形成して挿通された案内棒32及び案内棒32に嵌合されて固定側下側閉塞板28の屈折部と保持金具31の間に配置されて固定側下側閉塞板28を下方に付勢する圧縮コイルばねからなる付勢体33によって構成される。
【0020】
そして、超高分子量ポリエチレンなど合成樹脂等であって低摩擦性能を有する部材からなる固定側下側案内体34が固定側下側閉塞板28に設けられて、固定側下側閉塞板28の下端よりも突出して配置されて固定側床板9、昇降路床板13及び昇降路床板13の傾斜面15に接して装備される。また、昇降路壁板19の上縁部に重合して昇降路上側閉塞板35が配置されて昇降路壁板19の上縁部と昇降路天井板16の間の空隙を塞ぐ。
【0021】
また、昇降路上側閉塞板35の裏面には前述の上向き付勢装置23と同様に構成された上向き付勢装置36が設けられて昇降路上側閉塞板35を上方に付勢する。そして、超高分子量ポリエチレンなど合成樹脂等であって低摩擦性能を有する部材からなる昇降路上側案内体37が昇降路上側閉塞板35に設けられて、昇降路上側閉塞板35の上端よりも突出して配置されて昇降路天井板16に接して装備される。
【0022】
また、昇降路壁板19の下縁部に重合して昇降路下側閉塞板38が配置されて昇降路壁板19の下縁部と昇降路床板13の間の空隙を塞ぐ。また、昇降路下側閉塞板38の裏面には前述の下向き付勢装置30と同様に構成された下向き付勢装置39が設けられて昇降路下側閉塞板38を下方に付勢する。
【0023】
そして、超高分子量ポリエチレンなど合成樹脂等であって低摩擦性能を有する部材からなる昇降路下側案内体53が昇降路下側閉塞板38に設けられて昇降路下側閉塞板38の下端よりも突出して配置されて昇降路床板13及び昇降路床板13の傾斜面15に接して装備される。また、固定側壁板12及び昇降路壁板19の両者の裏面に上記両者を相互に変位可能に係合する係合機構40が設けられる。
【0024】
すなわち、係合機構40には固定側壁板12の裏面に、この裏面に沿う方向に凹設された第一係合溝41及び第一係合溝41を形成した部材42の相互間に形成されて上下に離れて構成された第二係合溝43を有する係合体44が設けられる。また、係合機構40には昇降路壁板19の裏面に、係合体44の第一係合溝41に対して乗降通路4の間口方向に少ない空隙を形成して嵌合された第一係合板45及び係合体44の第二係合溝43に対して上下方向に広い空隙を形成して嵌合された第二係合板46を有する係合腕47が設けられる。
【0025】
そして、固定側壁板12の枢着部側48の上端に塞ぎ板49が配置され、塞ぎ板49は上端が固定側天井板12に近接して配置され下端側は昇降路出入口5側が下降する傾斜線50に沿って形成される。そして、傾斜線50を介してばね付きヒンジ51によって固定側壁板12の枢着部側48の上端に塞ぎ板49が枢着されて、ばね付きヒンジ51のばねによって直立姿勢に保持される。
【0026】
また、引っ張りコイルばねからなる連結具52が設けられて、一端が固定側上側閉塞板21に連結され他端は塞ぎ板49の上端寄りに連結されて、固定側上側閉塞板21が下降変位することにより、塞ぎ板49が連結具52によって牽引されて塞ぎ板49が倒伏姿勢に変位する。
【0027】
上記のように構成された免震建物用エレベーターの乗場装置において、常時、すなわち免震装置に水平方向の変形がない状態ではかご用案内レール、つり合おもり用案内レールが鉛直に配置され、また複数の可動昇降路枠3は上下方向に互いに離れて鉛直線上に配置されて、この状態によってかご、つり合おもりが昇降運転される。
【0028】
また、常時において昇降路出入口5、固定側出入口8は相互に所定の間隔に配置され、かつそれぞれ鉛直姿勢に配置される。そして、固定側床板9の上に昇降路床板13が重合して配置され、また固定側天井板10の下に昇降路天井板16が重合して配置される。また、固定側壁板12の乗降通路4内面に昇降路壁板19が重合して配置され、係合機構40によって固定側壁板12と昇降路壁板19が相互に係合されて乗降通路4の間口方向には相互変位が拘束されると共に、固定側壁板12面に沿う方向には移動可能に係合される。
【0029】
また、固定側壁板12の上縁部に固定側上側閉塞板21が配置されて上向き付勢装置23により付勢され、固定側上側案内体27が固定側天井板10、昇降路天井板16及び昇降路天井板16の傾斜面18に接して配置される。そして、固定側壁板12の下縁部に固定側下側閉塞板28が配置されて下向き付勢装置30により付勢され、固定側下側案内体34が固定側床板9、昇降路床板13及び昇降路床板13の傾斜面15に接して配置される。
【0030】
また、昇降路壁板19の上縁部に昇降路上側閉塞板35が配置されて上向き付勢装置36により付勢され、昇降路上側案内体37が昇降路天井板16に接して配置される。そして、昇降路壁板19の下縁部に昇降路下側閉塞板38が配置されて下向き付勢装置39により付勢され、昇降路下側案内体53が昇降路床板13及び昇降路床板13の傾斜面15に接して配置される。また、固定側壁板12の枢着部側48の上端に塞ぎ板49がばね付きヒンジ51によって直立姿勢に配置され、固定側天井板12に近接して配置される。
【0031】
以上説明した構成によって、図1に示すように常時において床面、壁面、天井面において隙間のない乗降通路4が形成されて、美観を呈する乗降通路4を得ることができる。そして、地震時、強風時に基部建築体1及び免震建築体が相対変位して免震装置に水平方向の変形が発生した場合に、可動昇降路枠3の配置位置においてかご用案内レール、つり合おもり用案内レールが弾性変形して撓み、この撓みによる変位が生じる。
【0032】
そして、かご用案内レール等が撓んで変位したときに、可動昇降路枠3によってかご用案内レール、つり合おもり用案内レールの水平面における相互位置が所定位置に保持される。
この状態において、基部建築体1の固定側出入口8に対して、複数の可動昇降路枠3が乗降通路4の通行方向に倒れる変位が発生した場合に、昇降路出入口5の上縁部が固定側出入口8の上縁部に接近する。
【0033】
すなわち、固定側天井板10に向かって昇降路天井板16が摺動し、傾斜面18によって固定側上側閉塞板21における対向斜面22の固定側上側案内体27対応位置が押し下げられて図5に示す状態となる。また、昇降路天井板16の上下方向変位によって昇降路上側閉塞板35が昇降路上側案内体37を介して押し下げられる。
【0034】
また、固定側床板9に対して昇降路床板13が接近する変位が発生した場合には、昇降路床板13の傾斜面15によって固定側下側閉塞板28における対向斜面29の固定側下側案内体34対応位置が押し上げられる。また、昇降路床板13の上下方向変位によって昇降路下側閉塞板38が下向き付勢装置39によって付勢されているので、昇降路下側案内体53が昇降路床板13の変位に追随して変位する。
【0035】
そして、昇降路天井板16と固定側上側閉塞板21の両者は低摩擦性能を有する部材からなる固定側上側案内体27を介して摺動変位する。このため、可動昇降路枠3に乗降通路4の通行方向に倒れる傾斜が発生した場合に、上記両者が円滑に摺動変位する。また、上記両者が固定側上側案内体27を介して摺動変位するので、摺動部位に擦り傷、塗装の剥がれ等の損傷が生じることがなく部材の美観を維持することができる。
【0036】
また、固定側壁板12の枢着部側48の上端に塞ぎ板49が固定側天井板10に近接して配置され、ばね付きヒンジ51によって直立姿勢に配置される。そして、昇降路出入口5の上縁部が乗降通路4の通行方向に倒れる変位が発生すると、昇降路天井板16が固定側出入口8に接近して傾斜面18によって固定側上側閉塞板21を押し下げる。
【0037】
そして、固定側上側閉塞板21の下降動作により連結具52の機能によって塞ぎ板49が倒伏姿勢に変位する。このため、昇降路天井板16が固定側壁板12の枢着部側48の上方位置に移動した場合であっても、昇降路天井板16が枢着部側48に当たることがない。これにより、昇降路天井板16及び固定側壁板12の枢着部側48の変形、また不快な衝突音の発生を防ぐことができる。
【0038】
したがって、地震等による昇降路出入口5と固定側出入口8の相対変位に対して乗降通路4の構成部材が異常発生を伴うことなく相対変位して対応し、上記両者に変形が発生したり、不快な軋み音を発生したりする不具合を解消することができる。なお、固定側下側閉塞板28、昇降路上側閉塞板35、昇降路下側閉塞板38と、それらの対向部材との間についてもそれぞれに案内体が設けてあるので、摺動変位時の損傷、変形、不快な軋み音の発生を防ぐことができる。
【0039】
なお、固定側上側案内体27、固定側下側案内体34、昇降路上側案内体37、昇降路下側案内体53のそれぞれの案内体を次に述べるように容易に構成することができる。すなわち、固定側上側閉塞板21等の閉塞板における昇降路天井板16等の対向部材との対向面にキャスターローラーを設け、このキャスターローラーの複数個を対向面の長手に沿って互いに離れて配置して案内体を構成する。このような構成によっても、図1〜図5の実施の形態における作用を得ることができる。
【0040】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体、基部建築体及び免震建築体に縦通して設けられたエレベーターの昇降路、この昇降路に設けられて基部建築体の上部及び免震建築体の下部の間にわたって配置され昇降路に立設された案内レールに支持された可動昇降路枠と、この可動昇降路枠に設けられて乗降通路の一側を形成する昇降路出入口と、少なくとも基部建築体に設けられて昇降路出入口に対向して配置されて乗降通路の他側を形成する固定側出入口と、固定側出入口の上縁部に配置され昇降路出入口に向かって突設された固定側天井板と、固定側出入口の側縁部に一側が鉛直軸線を介して枢着され他側は昇降路出入口寄りに配置され、上端が固定側天井板に空隙を形成して配置された固定側壁板と、昇降路出入口の上縁部に一側が装着され、他側は固定側出入口寄りに配置されて固定側天井板の下面に重合し、先端部に先端が上方に傾斜した傾斜面が形成された昇降路天井板と、固定側壁板の上縁部に重合して配置されて上方に付勢され、固定側壁板の上縁部と固定側天井板の間の空隙を塞ぎ、昇降路天井板の傾斜面に対応した対向斜面を有する固定側上側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり固定側上側閉塞板に設けられて固定側上側閉塞板の上端よりも突出して配置されて固定側天井板、昇降路天井板及び昇降路天井板の傾斜面に接して装備された固定側上側案内体と、固定側壁板の枢着部側の上端に配置され、上端が固定側天井板に近接して配置され下端側は昇降路出入口側が下降する傾斜線に沿って形成されて、この傾斜線を介して固定側壁板の枢着部側の上端に枢着され、付勢体によって直立姿勢に保持された塞ぎ板と、一端が固定側上側閉塞板に連結され他端は塞ぎ板の上端寄りに連結されて固定側上側閉塞板の下降変位によって塞ぎ板を倒伏姿勢に変位する連結具とを設けたものである。
【0041】
これによって、固定側天井板、固定側壁板、昇降路天井板、固定側上側閉塞板が設けられて固定側出入口と昇降路出入口の間に乗降通路が形成される。そして、地震時等に基部建築体及び免震建築体が相対変位した場合に、可動昇降路枠が乗降通路の通行方向に倒れる傾斜が発生した場合に、固定側天井板に向かって昇降路天井板が摺動し、昇降路天井板の傾斜面によって固定側上側閉塞板における対向斜面の固定側上側案内体対応位置が押し下げられる。そして、固定側上側閉塞板が、対向部材との間において低摩擦性能を有する部材からなる固定側上側案内体を介して摺動変位する。したがって、基部建築体及び免震建築体の相対変位時に閉塞板と案内体の両者が円滑に摺動変位するので、摺動変位によって上記両者に変形が発生したり、不快な軋み音を発生したりする不具合を解消する効果がある。また、固定側壁板の枢着部側の上端に塞ぎ板が固定側天井板に近接して配置されてばね付きヒンジからなる付勢体によって直立姿勢に配置される。そして、昇降路天井板が固定側出入口に接近して傾斜面によって固定側上側閉塞板を押し下げることによる下降動作によって塞ぎ板が倒伏姿勢に変位する。このため、昇降路天井板が固定側壁板の枢着部側の上方位置に移動した場合であっても、昇降路天井板が固定側壁板の枢着部側に当たることがなく、昇降路天井板、固定側壁板の枢着部側の変形の発生、また昇降路天井板等の部材による不快な衝突音の発生を防ぐ効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示す縦断側面図。
【図2】図1の乗場装置における外面を示す側面図。
【図3】図1の要部横断平面図。
【図4】図1のA部拡大図。
【図5】図4における地震時の状況を説明する図。
【符号の説明】
1 基部建築体、 2 昇降路、 3 可動昇降路枠、 4 乗降通路、 5 昇降路出入口、 8 固定側出入口、 10 固定側天井板、 11 鉛直軸線、 12 固定側壁板、 16 昇降路天井板、 18傾斜面、 21 固定側上側閉塞板、 22 対向斜面、 27 固定側上側案内体、 48 枢着部側、 49 塞ぎ板、 50 傾斜線、 51 付勢体(ばね付きヒンジ)、 52 連結具。
Claims (1)
- 基部建築体に免震装置を介して支持された免震建築体、上記基部建築体及び免震建築体に縦通して設けられたエレベーターの昇降路、この昇降路に設けられて上記基部建築体の上部及び免震建築体の下部の間にわたって配置され上記昇降路に立設された案内レールに支持された可動昇降路枠と、この可動昇降路枠に設けられて乗降通路の一側を形成する昇降路出入口と、少なくとも上記基部建築体に設けられて上記昇降路出入口に対向して配置されて上記乗降通路の他側を形成する固定側出入口と、上記固定側出入口の上縁部に配置され上記昇降路出入口に向かって突設された固定側天井板と、上記固定側出入口の側縁部に一側が鉛直軸線を介して枢着され他側は上記昇降路出入口寄りに配置され、上端が上記固定側天井板に空隙を形成して配置された固定側壁板と、上記昇降路出入口の上縁部に一側が装着され、他側は上記固定側出入口寄りに配置されて上記固定側天井板の下面に重合し、先端部に先端が上方に傾斜した傾斜面が形成された昇降路天井板と、上記固定側壁板の上縁部に重合して配置されて上方に付勢され、上記固定側壁板の上縁部と上記固定側天井板の間の空隙を塞ぎ、上記昇降路天井板の傾斜面に対応した対向斜面を有する固定側上側閉塞板と、低摩擦性能を有する部材からなり上記固定側上側閉塞板に設けられて上記固定側上側閉塞板の上端よりも突出して配置されて上記固定側天井板、昇降路天井板及び昇降路天井板の傾斜面に接して装備された固定側上側案内体と、上記固定側壁板の枢着部側の上端に配置され、上端が上記固定側天井板に近接して配置され下端側は上記昇降路出入口側が下降する傾斜線に沿って形成されて、この傾斜線を介して上記固定側壁板の枢着部側の上端に枢着され、付勢体によって直立姿勢に保持された塞ぎ板と、一端が上記固定側上側閉塞板に連結され他端は上記塞ぎ板の上端寄りに連結されて上記固定側上側閉塞板の下降変位によって上記塞ぎ板を倒伏姿勢に変位する連結具とを備えた免震建物用エレベーターの乗場装置。
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