JP2004175085A - 高密度回路基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】回路パターンの高密度化と、回路基板自体の任意の形状への加工を可能にし、超小型電子機器へ高密度実装できる回路基板を製造する。
【解決手段】第1工程で、鏡面状の表面を有する平板状のガラス基板11の表面に薄膜技術にて高密度の配線電極12を形成する。ガラス基板11はほうけい酸ガラスを使用し、配線電極12はアルミニウムを使用し、配線電極12の厚みは約1.5μである(図A)。
第2工程で、電気炉中にて約550℃の温度で加熱しつつガラス基板11をV字形の金型に乗せ、更にそのガラス基板11の上に逆V字形の金型を乗せ、金型の自重にてガラス基板11を加圧しL字形に折り曲げ成型する(図B)。
第3工程で、このガラス基板11にICなどの電子部品14の搭載をおこなう。そして、超音波加熱による溶接又は半田付けによってICの金線端子などを配線電極12に接続する(図C)。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器に実装される高密度回路基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トランジスタが発明されて以来、それを搭載するための回路基板は著しい発展を遂げてきた。ベークライト樹脂に銅箔を貼った基板、ガラスエポキシ基板始め種々の基板が開発されてきた。さらにIC(半導体集積回路素子)の出現とともに高密度化あるいは多層化が進んできた。現在電子機器で採用されている回路基板は、ガラスエポキシ樹脂に銅箔を貼ったガラスエポキシ基板が主流で、電極パターンピッチが0.1mm程度の高密度ピッチのものがあり、10層以上の多層基板が実用化されている。加工性が良く、価格が安く、多層化も容易なことから現在、回路基板としても最も多く利用されている。放熱性の良いセラミックを材料とした基板も使用されているが、厚膜あるいは薄膜技術にて回路が形成されており、電極ピッチが0.1mm以上のものが主流である。
【0003】
シリコンウエハーを利用した回路基板は半導体製造技術の発展とともに表面の平滑度が改善されて回路配線の高密度化が進み、現在ではサブミクロンのピッチまで実現している。
【0004】
近年、液晶製品を中心にガラス基板が使用されている。液晶において要求される光透過性材料であることが採用の理由であるが、高温下においても真空中にガスを放出しないため、薄膜を形成することが可能な基板である点が大きな要因である。また、表面状態が鏡面であるためサブミクロンのピッチの回路を形成することも可能であり、薄膜半導体および露光用のマスクに利用されている。
これらの基板は回路の高密度化を実現したが、シリコンウエハーあるいはガラス基板は曲げることができないため実装上での制限がある。
【0005】
実装を考慮して任意に曲げることが可能な、ポリイミドを基板材料としたフレキシブル基板がある。銅箔を貼りパターニングを行い回路を作成しているが、電極ピッチが0.1mmくらいまで高密度化させている。価格は割高であるが任意に曲げて使用できるため携帯機器を中心として使用されている。また、6層程度の多層化も実現されている。基板の厚みが数十μで材料がポリイミドであるため柔らかく曲げることが可能であるが、逆に腰が弱く部品搭載を行う部分にはガラスエポキシ樹脂等を裏打ちし強度を上げている。
【0006】
電子機器を小型化するためには、その構成部品の小型化に伴って回路基板の回路の高密度化および曲げ加工などによる高実装化が要求されるが、その両方を満足する基板が提供されていない。シリコンウエファー及びガラス基板は高密度回路を実現するが高密度実装には適していない。また、ポリイミド基板は高密度実装を実現するが、高密度回路の実現は困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、市場においてIT端末機器を中心に携帯用機器の伸びが著しいが、普及してきた要因の一つに機器が小型・軽量化されたことが挙げられる。今後、その伸びを加速するために更なる小型化が要求されている。
しかしながら、高密度回路を実現する基板の表面が鏡面状で、かつ、高密度実装を実現するため曲げ加工など任意の形状に加工できるという2つの要求を同時に満たす基板がない。
【0008】
また、電気エネルギーを熱に変換するトランスデューサの一種であるサーマルプリントヘッドにおいても同様に低消費電力化、小型化の要求がでている。図2は従来の代表的なサーマルプリントヘッドの断面図である。平板状のセラミック21に部分的にガラスがグレーズ(焼成)22された基板が使用されている。発熱素子23にて発熱された熱は保護膜25を通して印字媒体に伝熱される。1印字周期において印字終了後の部分グレーズガラス22に残った熱はセラミック21に放散され次の印字周期において発熱素子23に発熱される熱に影響しないような構造になっており、常に一様な印字濃度が得られるように工夫されているという利点はあるが、熱が無効に消費されていることは欠点であり、特に携帯用途ではバッテリーの負荷が大きいことが問題となっている。
【0009】
部分グレーズガラスの高さは一般的に0.05mmであるが、駆動IC26の高さは0.5mm程度でありこれに当たらないように印字媒体を搬送するためには、印字媒体を曲げねばならない。印字媒体がカードのようなやや硬いものであるときは、直線状に搬送する場合と比較して印字媒体を曲げつつ搬送するためにエネルギーが過大に必要となっている。このことも携帯用途におけるバッテリーの使用可能時間を短くする要因となっていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の高密度回路基板の製造方法は、鏡面状の表面を有する平板状のガラス基板の表面に薄膜技術により金属薄膜の配線電極を着膜して高密度回路パターンを形成する第1工程と、高密度回路パターンを着膜形成したガラス基板を高温度に加熱しつつ金型を用いてプレス加工する第2工程と、プレス加工により成型されたガラス基板に電子部品を搭載し前記配線電極に接続する第3工程とを備えたことを特徴とするものである。
また、前記第1工程において、ガラス基板は、鏡面状の表面を有する板厚が0.2mm以上の平板状のガラス基板の表面に薄膜技術により金属薄膜を着膜して高密度回路パターンを形成した後に、回路パターンを形成した面の反対側表面を研削にて削り0.2mm以下の板厚に減肉してもよい。
また、前記第1工程において、ガラス基板は、鏡面状の表面を有する板厚が0.2mm以下の平板状のガラス基板を該ガラス基板より板厚が厚くかつ面積が大きいガラス製の保持基板に貼り合せた後に、ガラス基板の表面に薄膜技術により金属薄膜を着膜して高密度回路パターンを形成した後に、保持基板から分離してもよい。
また、前記第2工程は、高密度回路パターンを着膜形成した板厚が0.2mm以下のガラス基板を約550℃に加熱しつつ金型により部分的にプレス加工して、ガラス基板上に半球状の凸部と該凸部の裏面に凹部空隙を形成することを特徴とするものである。
また、本発明の高密度回路基板は、上述の高密度回路基板の製造方法により製造されたことを特徴とするものである。
また、本発明の高密度回路基板は、鏡面状の表面を有する板厚が0.2mm以下の平板状のガラス基板であって、該ガラス基板の表面に薄膜技術により金属薄膜の配線電極を着膜して形成した高密度回路パターンを有し、かつ、該ガラス基板に金型を用いたプレス加工により形成した半球状の凸部と該凸部の裏面に凹部空隙を備え、かつ、該ガラス基板に電子部品を搭載し前記配線電極に接続したことを特徴とするものである。
また、本発明のサーマルプリントヘッドは、前記高密度回路基板であって、前記ガラス基板の凸部の表面に発熱素子を備えるともに、該ガラス基板を発熱素子の近傍で後方へ折り曲げて、発熱素子と電子部品とがガラス基板上の隣接する別平面に分かれて位置するように形成したことを特徴とするものである。
また、本発明のサーマルプリントヘッドは、前記高密度回路基板であって、前記ガラス基板の凸部の表面に薄膜技術により発熱素子を形成するともに、該ガラス基板を凸部のやや左側及び凸部のやや右側の位置からそれぞれ後方へ45〜90度折り曲げて略コ字状に形成したことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の高密度回路基板は、鏡面状の表面を有する平板状のガラス基板の表面に薄膜技術により金属薄膜の配線電極を着膜して高密度回路パターンを形成する第1工程と、高密度回路パターンを着膜形成したガラス基板を高温度に加熱しつつ金型を用いて所定形状にプレス加工する第2工程と、プレス加工により成型されたガラス基板に電子部品を搭載し前記配線電極に接続する第3工程との、各製造工程を経て製造されるものである。
【0012】
本発明の高密度回路基板の製造方法を上記のように構成したことにより、第1工程では、ガラス基板の表面の平坦性が極めて高いのでガラス基板上に薄膜技術により高精度に高密度の配線電極を形成することができる。次に、第2工程では、ガラス基板自体が極めて薄いため高温加熱とプレス加工により配線電極を損なうことなくガラス基板を所定の形状に成型することができる。次に、第3工程では、ガラス基板そのものが硬いため超音波を使用した溶接や半田付けによる配線の接続も可能で、表面実装用の各種電子部品を搭載することが可能となる。
また、ガラス基板として厚さが0.2mm以下のものを使用し、約550℃に加熱しつつ金型により部分的にプレス加工することにより、ガラス基板上に半球状の凸部と該凸部の裏面に凹部空隙を形成することが可能となる。
【0013】
また、本発明の高密度回路基板は、鏡面状の表面を有する板厚が0.2mm以下の平板状のガラス基板の表面に薄膜技術により金属薄膜の配線電極を着膜して高密度回路パターンを形成し、かつ、該高密度回路パターンを形成したガラス基板を高温度に加熱しつつ金型を用いてプレス加工し、かつ、プレス加工により成型されたガラス基板に電子回路部品を搭載し前記配線電極に接続したことにより、回路パターンの高密度化と回路基板自体の任意の形状への加工を可能にし、超小型電子機器への高密度実装を可能にする。
また、本発明のサーマルプリントヘッドは、前記高密度回路基板であって、前記ガラス基板の凸部の表面に発熱素子を備えるともに、該ガラス基板を発熱素子の近傍で後方へ折り曲げて、発熱素子と電子部品とがガラス基板上の隣接する別平面に分かれて位置するように形成したことにより、電子部品が印字時の印字媒体の搬送経路を妨げることがなく、印字媒体を直線状に搬送させることができる。
また、本発明のサーマルプリントヘッドは、前記高密度回路基板であって、ガラス基板凸部の表面に発熱素子を備えるとともに、ガラス基板を凸部のやや左側及び凸部のやや右側の位置からそれぞれ後方へ45〜90度折り曲げて略コ字状に形成したことにより、高密度実装を可能にするだけでなく、駆動ICなどの電子部品を発熱素子の後方に配置搭載することができ印字媒体は電子部品に邪魔されることなく発熱素子の上を直線状に搬送することができる。
上述のサーマルプリントヘッドは、回路基板自体が小型化され、かつ、凹部空隙が熱伝導を遮断するので、発熱素子周辺からの熱の拡散が少なくなり熱効率が良くなる。
【0014】
【実施例】
本発明の一実施例として、筐体の形状の制限から一般的な平面状の基板を収納できない問題に対応してL形の形状に成型した回路基板について、図を参照して説明する。
図1は、第1〜3の各工程における回路基板の製造状態を示す断面図である。図1Aは、第1工程における回路基板の断面を示し、鏡面状の表面を有する平板状のガラス基板11の表面に薄膜技術にて高密度の配線電極12を形成したものである。ガラス基板11として比較的線膨張率の大きいほうけい酸ガラスを使用した。配線電極12としてアルミニウムを使用し、配線電極12の厚みは約1.5μとした。
【0015】
図1Bは第2工程においてL形に成型された回路基板の断面を示し、大気中にて約550℃の温度で加熱しつつ回路基板を90度に曲げL形に成型したものである。電気炉中にてガラス基板11をV字形(凹型)の金型に乗せ、更にそのガラス基板11の上に逆V字形(凸型)の金型を乗せ、金型の自重にてガラス基板11を加圧しL字形に折り曲げ成型した。この工程において、回路基板の形状に対して温度及び圧力条件を最適にすることにより、ガラス基板11及び配線電極12を破損することなく成型されるが、アルミニウムの配線電極12は大気中で高温加熱されたことにより表面が酸化し腐食する。なお、本実施例では、加熱装置として電気炉を用いたが、ヒータ内蔵型の金型を用いてもよい。
【0016】
図1Cは第3工程において電子部品を搭載した回路基板を示す断面図である。第3工程では、まず腐食した配線電極12の表面をアルカリにて前処理し、電極の腐食を取り去る。このとき配線電極12の厚みは約0.7μになる。続いて、配線電極12の表面に亜鉛置換、ニッケルメッキおよび金メッキをおこない表面処理をする。次に、この回路基板にIC(半導体集積回路素子)などの電子部品14の搭載をおこなう。回路基板の材質がガラスであり硬いため、超音波加熱による溶接又は半田付けによって回路基板を損ねることなくICの金線端子などを配線電極12に接続することができる。
【0017】
本発明の他の実施例として、高密度回路基板を用いたサーマルプリントヘッドについて図を参照して説明する。図3Aは本発明の高密度回路基板を使用したサーマルプリントヘッドの断面図である。本実施例では、0.03mmの厚さのガラス基板31に金属薄膜にて発熱素子23および配線電極24が形成されている。ガラス基板31は、前記第2工程において発熱素子23の位置に半球状の凸部32が形成されるように成型したものである。凸部32はガラス基板31の表面側に約0.03mmの高さで突起し、ガラス基板31の凸部32の裏面側は凹状をなし空隙33が形成される。このようにガラス基板31上の発熱素子23の部位に凸部32を形成したことにより、発熱素子23にて発生する熱が効率良く紙などの印字媒体に伝熱される。一方、ガラス基板31の発熱素子23の裏面側に空隙33が形成されているため、発熱素子23にて発生された熱は空隙33に遮られてサーマルプリントヘッド内部に伝熱されることが少ないため熱効率が良く、図2に示したような従来のセラミック基板21に部分グレーズガラス22を施した基板を使用したサーマルプリントヘッドと比較して約1/3の印加エネルギーで同等の印字濃度を得ることができる。ガラス基板31の発熱素子23及びその近傍の表面には保護膜25を備えており、印字媒体にサーマルプリントヘッドが摺動する時の摩擦から発熱素子23および配線電極24を保護している。
【0018】
本実施例のサーマルプリントヘッドでは、図3Aに示すように、ガラス基板31は発熱素子23のある凸部のやや左側及び右側の位置からそれぞれ後方に90度に曲げられたコ字状になっており、配線電極24が印字面より後退した位置にある構造となっている。配線電極24には発熱素子23の制御をするための駆動IC26が搭載されるが、図2に示した従来のセラミック基板に部分ガラスグレーズした基板を使用したサーマルプリントヘッドとは異なり、駆動IC26が印字媒体の搬送の妨げにならないため発熱素子23のすぐ近くに配置することができるので、サーマルプリントヘッドの外形寸法を小さく抑えることができ、かつ印字媒体を直線状に搬送させることができる(図3B参照)。コ字状に成型されたガラス基板31は保持板34に取り付けられ、図示した断面形状においてほぼ幅1mm×高さ2mmに小さくまとめることができた。
【0019】
図4は、本実施例のサーマルプリントヘッドの製造方法の第1工程における回路基板の製造状態を示す断面図である。図4Aに示すように、まず、ガラス基板41に発熱素子23及び配線電極24となる金属薄膜をスパッター法にて成膜する。ガラス基板41は板厚0.7mmのほうけい酸ガラスを使用した。発熱素子23の材料としてタンタル系金属薄膜材料、配線電極24の材料としてアルミニウムを使用し、これらの金属薄膜をホトリソグラフィー法にて回路パターンを作成した。ホトリソグラフィーの工程ではガラス基板41に感光性のホトレジストを1μ以下の厚みに塗膜し、露光・現像およびエッチングにて回路パターンを作成するが、パターン精度をあげ、高密度を実現するためにはホトレジストをいかに均一に塗るかにかかっている。一般にはスピンコータにて遠心力を利用して行うが、基板の表面が平坦で滑らかなことがポイントとなる。本実施例では表面が鏡面状であるガラス基板を採用し、高密度回路の形成を実現している。本実施例の場合、回路パターン間のギャップを5μ以下にすることを実現している。
【0020】
ガラス基板41にホトリソグラフィー法による回路パターン形成後、発熱素子23の表面を覆うように保護膜25を成膜した。保護膜25としてSiO2およびSiCの2層をスパッタ法にて成膜した。なお、保護膜25はガラス基板41の成型後に成膜してもよい。
【0021】
ガラス基板41に高密度の回路パターンを形成した後に、回路パターンを形成した面の反対側表面を研削にて削り0.03mm厚に減肉すると、図4Bに示すように研削後の減肉されたガラス基板11となる。このように、板厚の厚いガラス基板に薄膜技術にて高密度の回路パターンを形成する方法によれば、ガラス基板の取り扱いが容易で、破損し難く製造時の歩留まりも高くなる。
【0022】
図5は、ガラス基板に回路パターンを形成する第1工程において保持基板を使用した場合の製造過程を示している。まず、図5Aに示すように、板厚0.7mmのガラス基板(保持基板51)の上に、保持基板51より面積がやや小さく鏡面状の表面を有する板厚0.03mmのガラス基板31を載せ、次に図5Bに示すようにガラス基板31の周囲の端面に接着剤52としてポリイミドワニスを塗布し、120℃で60分間、その後200℃で10分間、続いて250℃で60分間、続いて300℃で30分間と、温度管理をしながら乾燥および焼付けをおこないガラス基板31を保持基板51に貼り合わせる。このとき全周を貼り合わせるのではなく一部分開けておくことにより、両基板の貼り合せ間隙に残った空気の膨張によるガラス基板31の膨張・破損を予防する。
ガラス基板31に回路パターンを形成した後、接着剤を塗布したガラス基板31の周囲端部を切断し、保持基板51から分離し、図5Cに示すように、薄膜パターンが形成された板厚0.03mmのガラス基板11を得る。このように、ガラス基板を一旦保持基板に貼り合わせた上で薄膜技術にて高密度の回路パターンを形成する方法によれば、ガラス基板の取り扱いが容易で、破損し難く製造時の歩留まりも高くなる。
【0023】
図6はプレス加工によりガラス基板を成型する第2工程を示し、図6Aは成型過程の第1段階における成型後のガラス基板の断面、図6Bは成型過程の第2段階における成型後のガラス基板の断面を示している。
成型過程の第1段階は、発熱素子23と印字媒体の接触を良好にするためにおこなうものであり、本実施例では金型によるプレス加工により、ガラス基板に高さ0.05mm・半径0.5mmの半球状の凸部32を形成するものである。これは図2に示した従来の一般的なセラミック基板にガラスペーストにて部分グレーズしたガラスグレーズの高さとほぼ同じである。成型は、ステンレス製の凹凸一対の金型により上下からガラス基板31を挟み込み、550℃で50分間の高温加熱によってガラス基板31を軟化させ、金型の自重によってプレス加工することで行っている。
第1段階で成型したガラス基板31は、図6Bに示すように、第2段階において更に断面略コ字状に成型される。この場合も、第1段階と同様に四角の凸、凹の一対のステンレスの金型を準備し、この凹凸一対の金型により上下からガラス基板31を挟み込み、550℃で50分間の高温加熱によってガラス基板31を軟化させ、金型の自重によってプレス加工して、成型後のガラス基板31’を得た。
【0024】
なお、上記第2工程の成型過程の第1段階に示したガラス基板に半球状の凸部32を形成する成型は、ガラス基板の表面に回路パターンを形成する前に行ってもよい。成型による半球状の凸部32の高さが0.05mmと小さいためホトリソグラフィーによるパターニング時のレジスト塗布の膜厚均一性に対する影響が比較的少ないからである。この場合、回路パターンを構成するの配線電極の表面処理は、第2工程の後半に行う。成型時の高温加熱がメッキを変質させることから防ぐためである。本実施例では、成型後アルミニウム電極24をアルカリにて前処理し、亜鉛置換をおこないニッケル、半田をメッキした。
【0025】
第3工程で、第2工程で成型したガラス基板31’を角柱の支持板34に搭載し、駆動IC26その他の電子部品を取り付け半田付けをして、サーマルプリントヘッドを完成させる。
【0026】
以上に説明した本発明の各実施例において、ガラス基板11の板厚は0.2mm以下であれば高温での加熱条件下で金型によるプレス加工により容易に成型することができ、本実施例では、ガラス基板11の板厚として0.05mm以下のものを実現している。このような薄い板厚のガラス基板は、実施例に説明した各種電子機器の高密度回路基板やサーマルプリントヘッドとしての用途以外に、部分的に凸状に成型が可能なため温度センサーなどの高感度の良いセンサーに適している。また、基板自体の誘電率が極めて低くなるので、超高周波回路の回路基板としても適するものである。
また、ガラス基板11を金型を用いてプレス加工することにより、ガラス基板を90度折り曲げた実施例を示したが、ガラス基板の板厚等の条件から、折り曲げ角度は45〜90度の範囲であることが好ましい。
【0027】
【発明の効果】
本発明の高密度回路基板の製造方法によれば、表面が平坦で滑らかな鏡面状のガラス基板に薄膜にて回路を形成し、さらに所定の形状にガラス基板を成型し、さらにガラス基板に電子部品を搭載することより、回路パターンの高密度化と、回路基板自体の任意の形状への加工を可能にし、超小型電子機器へ高密度実装できる回路基板を提供することができる。
【0028】
また、本発明のサーマルプリントヘッドによれば、ガラス基板上の電子部品が印字時の印字媒体の搬送経路を妨げることがなく、印字媒体を直線状に搬送させることができる。これにより、印字媒体の搬送機構を簡略化することができ、搬送エネルギーの低減を図ることができる。
さらに、ガラス基板自体が小型化され、かつ、凹部空隙が熱伝導を遮断するので、発熱素子周辺からの熱が拡散が少なくなり、サーマルプリントヘッドの電力効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高密度回路基板の製造方法の第1工程における回路基板の断面図(A)、第2工程における回路基板の断面図(B)、第3工程における回路基板の断面図(C)である。
【図2】従来のサーマルプリトヘッドの断面図である。
【図3】本発明のサーマルプリントヘッドの断面図(A)、印字媒体の搬送状態を示す説明図(B)である。
【図4】本発明のサーマルプリントヘッド製造の第1工程における研削前のガラス基板の断面図(A)、研削後のガラス基板の断面図(B)である。
【図5】本発明の高密度回路基板製造の第1工程において、ガラス基板を保持基板に貼り合わせた状態を示す断面図(A)、ガラス基板に回路パターンを形成した状態を示す断面図(B)、ガラス基板から保持基板を取り外した状態を示す断面図(C)である。
【図6】本発明の高密度回路基板製造の第2工程において、第1段階の成型後のガラス基板の断面図(A)、第2段階の成型後のガラス基板の断面図(B)である。
【符号の説明】
10‥‥回路基板
11‥‥ガラス基板
12‥‥配線電極
13‥‥90度曲げ部
14‥‥電子部品
21‥‥セラミック基板
22‥‥部分グレーズガラス
23‥‥発熱素子
24‥‥配線電極
25‥‥保護膜
26‥‥駆動IC
31‥‥ガラス基板
31’‥‥ガラス基板(折り曲げ後)
32‥‥凸部
33‥‥凹部空隙
34‥‥保持板
41‥‥ガラス基板(研削前)
51‥‥保持基板
52‥‥接着剤
60‥‥印字媒体

Claims (7)

  1. 鏡面状の表面を有する平板状のガラス基板(11)の表面に薄膜技術により金属薄膜の配線電極(12)を着膜して高密度回路パターンを形成する第1工程と、高密度回路パターンを着膜形成したガラス基板(11)を高温度に加熱しつつ金型を用いてプレス加工する第2工程と、プレス加工により成型されたガラス基板(11)に電子部品(14)を搭載し前記配線電極(12)に接続する第3工程とを備えたことを特徴とする高密度回路基板の製造方法。
  2. 前記第1工程において、ガラス基板(11)は、鏡面状の表面を有する板厚が0.2mm以上の平板状のガラス基板(41)の表面に薄膜技術により金属薄膜を着膜して高密度回路パターンを形成した後に、回路パターンを形成した面の反対側表面を研削にて削り0.2mm以下の板厚に減肉することを特徴とする、請求項1記載の高密度回路基板の製造方法。
  3. 前記第1工程において、ガラス基板(11)は、鏡面状の表面を有する板厚が0.2mm以下の平板状のガラス基板(31)を該ガラス基板より板厚が厚くかつ面積が大きいガラス製の保持基板(51)に貼り合せた後に、ガラス基板(31)の表面に薄膜技術により金属薄膜を着膜して高密度回路パターンを形成した後に、保持基板(51)から分離することを特徴とする、請求項1記載の高密度回路基板の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の高密度回路基板の製造方法により製造されたことを特徴とする高密度回路基板。
  5. 鏡面状の表面を有する板厚が0.2mm以下の平板状のガラス基板(11)であって、該ガラス基板(11)の表面に薄膜技術により金属薄膜の配線電極(12)を着膜して形成した高密度回路パターンを有し、かつ、該ガラス基板(11)に半球状の凸部(32)と該凸部の裏面に凹部空隙(33)を備え、かつ、該ガラス基板(11)に電子部品(14)を搭載し前記配線電極(12)に接続したことを特徴とする高密度回路基板。
  6. 請求項4又は5に記載の高密度回路基板であって、前記ガラス基板の凸部(32)の表面に発熱素子(23)を備えるとともに、該ガラス基板を発熱素子(23)の近傍で後方へ折り曲げて、発熱素子(23)と電子部品(14)とがガラス基板上の隣接する別平面に分かれて位置するように形成したことを特徴とするサーマルプリントヘッド。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の高密度回路基板であって、前記ガラス基板の凸部(32)の表面に発熱素子(23)を備えるとともに、該ガラス基板を凸部のやや左側及び凸部のやや右側の位置からそれぞれ後方へ45〜90度折り曲げて略コ字状に形成したことを特徴とするサーマルプリントヘッド。
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