JP2004174948A - インクジェット記録方法及び画像形成物並びに画像形成装置 - Google Patents

インクジェット記録方法及び画像形成物並びに画像形成装置 Download PDF

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延崇 長田
Hiromitsu Mizuno
弘光 水野
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Abstract

【課題】印字速度の向上に伴ないインクの浸透性がコントロールでき、裏移り、擦過性を防止し、色境界にじみ、フェザリングを抑制し、裏抜けがなく、画像の埋まりに優れたインクジェット記録方法、インク、画像形成物、インクカートリッジ、及び記録装置を提供する。
【解決手段】水、着色剤および湿潤剤を含有する水性インクの液滴を記録ヘッドから吐出し、記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法において、前記インクを用いた前記記録媒体とのブリストー法によるインク転移量Vから粗さ指数Vr(ml/m)を除いた転移量V−Vr(ml/m)が20ml/mとなるときの吸収時間Tが10ms1/2(100ms)以下となる浸透性をもった前記インクと前記記録媒体を用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピエゾ方式、バルブ方式、サーマル方式などのオンディマンド法や荷電制御方式などの連続噴射法などのインクジエット法による記録方法、該記録方法に用いる水性インク、該記録方法により印字された画像形成物、該水性インクを収容したインクカートリッジ、及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式は本体が小型で価格が安く、低ランニングコスト、低騒音といった利点から近年急速に普及しており、電子写真用転写紙、印刷用紙、タイプライター用紙、ワイヤードットプリンター用紙、ワードプロセッサー用紙、レター用紙、レポート用紙等種々のノンコートな普通紙に印字可能なインクジェットプリンタも市場に投入されている。
【0003】
これらインクジェットプリンターの現在の大きな課題として印字速度の向上がある。従来のインクを用いると印刷速度が速いために連続して印字した際に記録媒体が印字後重なった際に裏移りが発生したり、カラー印字の場合には第1番目の色印字の上や隣接部に第2番目以降の色のドットが打ち込まれると色重ね部や各色の境界部で混色滲み(以下これら現象を総称して色境界にじみと記す)が生じるいった問題がある。また、顔料インクの場合には乾燥後も顔料は記録媒体の表面に留まっているために指や衣服、消しゴム、マーキングペンによる擦過で剥がれたり紙面に広がったりといった問題(以下これら現象を総称して擦過性と記す)があった。これらを解決するためにはインクが記録媒体に速く浸透するようにする必要がある。しかしインクの浸透を速くした場合、インクが記録媒体中でにじむためフェザリングが劣るといった問題がある。そこで浸透性を制御する必要があり、種々の提案がされている。
【0004】
(A)例えばブリストー法による吸収係数Kaを規定したものとして
特許第2692963号公報では吸収係数Kaが2〜10ml/m.sec1/2(本発明の表示単位では0.06〜0.32ml/(m.ms1/2))の範囲にある記録方法が開示されている。この範囲は文字部の滲みやフェザシングが少なく鮮明な画像が得られるが、浸透による乾燥が遅いために、連続印字での裏移りを起こしてしまったり、指や衣服等にインクが転写してしまう等の問題やカラー印字の場合には色境界にじみが生じるといった問題がある。また、顔料インクの場合には乾燥後も顔料は記録媒体の表面に留まっているために指や衣服、消しゴム、マーキングペンによる擦過で剥がれたり紙面に広がったりといった問題があった。
【0005】
また、特許第2668442号公報では粗さ指数10〜30ml/m、吸収係数Kaが5.0×10−6〜3.5×10−5.sec−1/2(単位表示が不正確だが明細書中から判断すると本発明の表示単位では1.58×10−7〜1.11×10−6ml/(m.ms1/2))の範囲内にある記録媒体が、
特開平06−219038号公報では吸収係数Kaが5.0×10−6〜5.0×10−5m.sec1/2(単位表示が不正確だが明細書中から判断すると本発明の表示単位では1.58×10−7〜1.58×10−6ml/(m.ms1/2))の範囲内にある記録媒体が、
特許第3190503号公報では吸収係数Kaが2900μl/m.s1/2(本発明の表示単位では0.09ml/(m.ms1/2))以下にある記録媒体が、
特開平07−173419号公報では吸収係数Kaが1〜10ml/m.s1/2(本発明の表示単位では0.03〜0.32ml/(m.ms1/2))の範囲内にあるインクセットと記録方法が、
特許第3184697号公報では吸収係数Ka1からKa2への変化点Thが異なる色のインク適の最小隣接ドット打ち込み時間間隔より短く、Ka1≦5.0、5.0≦Ka2≦15.0ml/(m・sec1/2)(本発明の表示単位ではKa1≦0.158、0.158≦Ka2≦0.474ml/(m.ms1/2))である記録紙と方法が、
それぞれ開示されているが、特許第2692963号公報と同様に浸透による乾燥が遅いために、裏移り、指や衣服等にインクが転写してしまう等の問題や色境界にじみが生じるといった問題や、顔料インクの場合には乾燥後も顔料は記録媒体の表面に留まっているために指や衣服、消しゴム、マーキングペンによる擦過で剥がれたり紙面に広がったりといった問題があった。同様に比較的低い吸収係数Kaを規定したものとして特開平11−240145号公報、特開2000−309732号公報、特開2000−239589号公報、特開2000−238406号公報、特開2000−198955号公報等にも開示されているが、浸透による乾燥が遅いために、同様の問題が発生する。
【0006】
一方、特開平9−202042号公報では吸収係数Kaが1.07ml/m.ms1/2以上である塗工されたインクジェット記録シートが開示されているが、この条件を満たしてもインクの種類によってはブリストー法によるぬれ時間Tw(ms)が遅いために乾燥が遅く、特許2692963号公報と同様に裏移り、指や衣服等にインクが転写してしまう等の問題や色境界にじみが生じるといった問題がある。この問題は普通紙の場合特に顕著である。同様に比較的高い吸収係数Kaを規定したものとして、特開平11−129460号公報、特開2002−172783号公報、特開2002−138232号公報、特開2002−88288号公報、特開2002−86928号公報、特開2002−86929号公報、特開2001−322346号公報、特開2001−88281号公報、特開2000−250250号公報等にも開示されているが、ぬれ時間Tw(ms)が遅いと上記と同様の問題がある。
【0007】
また、特開平10−272828号公報では、ぬれ時間が30ms以上で吸収係数が1.9ml/(m・ms1/2)と規定があるが、ぬれ時間が100msを超えるような比較的遅くインクの吸収がはじまるようなインクでは、この条件を満たしても実際のインクジェットで印字した場合にはインクが吸収しきる前に異なるインクのドットが打ち込まれるため、色重ね部や各色の境界部で色境界にじみが発生する。
【0008】
また、表面張力を規定したインクを用いて吸収係数Kaを規定した例として、特開平07−242051号公報では25℃で表面張力が45〜50dyne/cmのインクを用いた4ms(2ms1/2)以下の吸収係数Kaが10ml/(m・msec1/2)以上である粒子を含む塗工液を塗布した記録紙と記録方法が開示されているが、一般に使用されている電子写真用転写紙のような普通紙ではこのような吸収係数を示す例はなく、このような処理を施すとコストアップにつながり、また電子写真方式の複写機に使用された場合、感光体や定着ローラー等に粒子が転写し画像品質の低下や故障の原因になるため結局はインクジェット専用の紙として使用しなくてはならず消費者に使い分けをさせなくてはならず負担となる。
【0009】
同様に特開平09−95044号公報では表面張力(25℃)25〜35dyne/cmのインクを用い、吸収係数Ka1からKa2への変化点Thが2.0ms1/2以上で、45〜60dyne/cmのインクでのぬれ時間2.0〜4.5ms1/2、粗さ指数5.0ml/m以上、吸収係数5.0ml/(m・msec1/2)以下の粒径5〜200nmの粒子を、繊維形状を維持した状態で保持させた記録紙と記録方法が開示されているが、一般に使用されている電子写真用転写紙のような普通紙ではこのような濡れ時間を示す例はなく、このような処理を施すとコストアップにつながり、また電子写真方式の複写機やプリンターに使用された場合、感光体や定着ローラー等に粒子が転写し画像品質の低下や故障の原因になるため結局はインクジェット専用の紙として使用しなくてはならず消費者に使い分けをさせなくてはならず負担となる。
【0010】
(B)次にブリストー法による転移量V(ml/m)を規定した例として特開平06−228475号公報(特許文献1)では吸収時間T=0.4秒(20ms1/2)での転移量が35ml/m以上である記録用インクが開示されているが、濡れ時間が比較的遅くその後インクの吸収がはじまるような従来のインクでは、この条件を満たしても実際のインクジェットで印字した場合にはインクが吸収しきる前に異なるインクのドットが打ち込まれるため、色重ね部や各色の境界部で色境界にじみが発生する。また、記録媒体の粗さ指数Vr(ml/m)が大きい場合でもこの条件は満たされるが、粗さ指数分のインクは記録媒体の凹部を埋めるために使われているだけで、記録媒体の表面に存在するため、実際のインクジェットで印字した場合にはインクが吸収しきる前に異なるインクのドットが打ち込まれるため、色重ね部や各色の境界部で色境界にじみが発生する。
【0011】
特開平05−069538号公報(特許文献2)では、水溶性高分子が塗布されている被記録材で吸収時間T=1秒(31.6ms1/2)での転移量が40〜80ml/mである記録方法、特開平8−100388号公報では吸収時間T=0.4秒(20ms1/2)での転移量が12〜60ml/mである被記録材、特開平09−156203号公報では吸収時間T=5秒(70.7ms1/2)での給水量がプリンターの単位面積当たりの最大インク吐出量の80〜200%である疎水性の支持体に水溶性バインダーおよび架橋剤を含有するインク受容層を設けた記録シートに記録する記録方法がそれぞれ開示されているが、上記と同様の問題がある。
【0012】
特許第2521896号公報(特許文献3)では吸収時間T=0.05秒(7.07ms1/2)での転移量が10〜70ml/mである記録面の反対面に顔料、バインダー、特定のサイズ剤からなる裏塗工層を設けたインクジェット記録シートが開示されている。粗さ指数Vr(ml/m)が大きい場合でもこの条件は満たされるが、粗さ指数分のインクは記録媒体の凹部を埋めるために使われているだけで、記録媒体の表面に存在するため、実際のインクジェットで印字した場合にはインクが吸収しきる前に異なるインクのドットが打ち込まれるため、色重ね部や各色の境界部で色境界にじみが発生する。またこの記録シートは反対面に裏塗工層を設けているため、コストアップとなるばかりか表裏での印字品位に差があり両面印字には適さない。また電子写真方式の複写機に使用された場合、感光体や定着ローラー等に粒子が転写し画像品質の低下や故障の原因になるため結局はインクジェット専用の紙として使用しなくてはならず消費者に使い分けをさせなくてはならず負担となる。同様にある吸収時間での転移量V(ml/m)を規定したものとして、特許第3048580号公報、特許第3058460号公報、特開平11−20305号公報、特開2002−144720号公報、特開2002−138391号公報、特開2002−96458号公報、特開2002−67492号公報、特開2002−67485号公報、特開2002−19269号公報、特開2001−270231号公報、特開2001−232931号公報等にも開示されているが同様のことがいえる。
【0013】
特開平7−242050号公報では異なる色のインク滴の最小隣接ドット打ち込み時間間隔でのインク転移量が最大インク打ち込み量以上である粒子で一部覆われている記録紙と記録方法が開示されている。この公報の場合も粗さ指数Vr(ml/m)が大きい場合この条件は満たされるが、粗さ指数分のインクは記録媒体の凹部を埋めるために使われているだけで、記録媒体の表面に存在するため、実際のインクジェットで印字した場合にはインクが吸収しきる前に異なるインクのドットが打ち込まれるため、色重ね部や各色の境界部で色境界にじみが発生する。
【0014】
(C)さらにブリストー法による転移量V(ml/m)から粗さ指数分を考慮し規定した例として
特開平06−157956号公報(特許文献4)では吸収時間T≒0で表面に転移する量を除いた正味の転移量が吸収時間T=0.28s1/2(8.85ms1/2)において2.0〜20.0ml/mである記録用インクが開示されている。しかし、この転移量ではまだ十分な浸透が得られず実際のインクジェットで印字した場合にはインクが吸収しきる前に異なるインクのドットが打ち込まれるため、色重ね部や各色の境界部で色境界にじみが発生してしまう。尚、この公報では吸収時間T=0.28s1/2(8.85ms1/2)において10.0ml/m以上や30.0ml/m以下、浸透係数Ka8〜160ml/m・sec1/2(0.25〜5.06ml/(m・ms1/2))といった規定があるがこれらも先に記した他の公報と同様の問題がある。
【0015】
(D)さらにまたブリストー法によるぬれ時間を規定した例として
特開平10−330666号公報では濡れ時間が0.2sec(200ms)以下と規定されたインクが開示されているが、濡れ時間が早くてもインクの浸透速度が遅い場合は、インクが吸収しきる前に異なるインクのドットが打ち込まれるため、色重ね部や各色の境界部で色境界にじみが発生してしまう。また、裏移りの問題も解決されていない。
【0016】
以上のように、浸透性を制御する提案は種々なされているが、インクジェットプリンターの印字速度の向上に伴う課題、つまり裏移りや色境界にじみ、擦過性、フェザリング、裏抜けといった課題を全て解決するには至っていない。
【0017】
【特許文献1】
特開平06−228475号公報
【特許文献2】
特開平05−069538号公報
【特許文献3】
特許第2521896号公報
【特許文献4】
特開平06−157956号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インクジェットプリンターの印字速度の向上に伴いインクの浸透性をコントロールし、メイン課題として裏移り、擦過性を防止し、サブ課題としてにじみ(色境界にじみ、フェザリング)を抑えたインクジェット記録方法、更には裏抜けがなく、画像の埋まりに優れるインクジェット記録方法、インク、画像形成物、インクカートリッジ、及び記録装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記(1)〜(17)が提供される。
(1)水、着色剤および湿潤剤を含有する水性インクの液滴を記録ヘッドから吐出し、記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法において、前記インクを用いた前記記録媒体とのブリストー法によるインク転移量Vから粗さ指数Vr(ml/m)を除いた転移量V−Vr(ml/m)が20ml/mとなるときの吸収時間Tが10ms1/2(100ms)以下となる浸透性をもった前記インクと前記記録媒体を用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
(2)前記インクと前記記録媒体とのブリストー法によるぬれ時間Twが10ms1/2(100ms)以下であり、かつ吸収時間10ms1/2(100ms)以下での吸収係数Kaが4.0ml/(m・ms1/2)以上となる浸透性をもった前記インクと前記記録媒体を用いて記録する前記(1)に記載のインクジェット記録方法。
(3)前記インクが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる材料を単独または複数含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のインクジェット記録方法。
(4)前記記録媒体がパルプ繊維を主成分としサイズ度10〜50s以上、透気度5〜50sであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(5)前記記録ヘッドから吐出される1滴あたりの吐出量V(pl)が、下記の式(1)を満足することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の記録方法。
2.0×10/R2.6≦V≦6.0×10/R2.6……(1)
(ここで、Rは、パルプ繊維を主成分とた記録媒体に対して記録を行うときの、液滴の最大打ち込み密度を示し、単位dpi(=Dot Per Inch)で表す。主走査と副走査で最大打ち込み密度が異なる場合は平均値を用いる。)
(6)前記インク中の着色剤が顔料であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(7)前記顔料の平均粒径が10nm〜200nmの範囲であることを特徴とする前記(6)に記載のインクジェット記録方法。
(8)前記インク中の着色剤が顔料であり、分散剤により水中に分散されており、該分散剤にカルボキシル基が結合していることを特徴とする前記(6)又は(7)に記載のインクジェット記録方法。
(9)前記インク中の着色剤が顔料であり、該顔料が表面改質され親水基が結合され、水中に分散されていることを特徴とする前記(6)又は(7)に記載のインクジェット記録方法。
(10)前記顔料表面に結合された親水基がカルボキシル基であることを特徴とする前記(9)に記載のインクジェット記録方法。
(11)水性インクに熱エネルギーを作用させて、記録媒体に画像を形成することを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(12)記録媒体上で画素領域の少なくとも一部が重なるように、同一あるいは別個の吐出口より複数の水性インクの液滴を吐出、飛翔させ記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法において、記録媒体上で重なりを生じる二つの液滴の吐出時間差が0.125ミリ秒以下であることを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
(13)前記(1)〜(12)のいずれかに記載のインクジェット記録方法で印字された画像形成物。
(14)前記(1)〜(12)のいずれかに記載の記録方法において用いられる水性インク。
(15)水性インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該水性インクが前記(14)に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
(16)水性インクを収容したインク収容部と、インク液滴を吐出させるためのヘッド部を備えたインクカートリッジにおいて、該水性インクが前記(14)に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
(17)水性インクを収容したインク収容部を有するインクカートリッジと、インク滴を吐出させるための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置、あるいは、水性インクを収容したインク収容部と、インク液滴を吐出させるための記録ヘッドとを有するインクカートリッジを備えたインクジェット記録装置において、該インクカートリッジとして、前記(15)又は(16)に記載のインクカートリッジを具備したことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明では、インクジェット記録方法において使用するインクを用いた前記記録媒体とのブリストー法によるインク転移量Vから粗さ指数Vr(ml/m)を除いた転移量V−Vr(ml/m)が20ml/mとなるときの吸収時間Tが10ms1/2(100ms)以下であることに特徴がある。
【0021】
本発明におけるブリストー法とはJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.51−87「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」に従って行うものである。尚、本発明で使用する粗さ指数Vr(ml/m)の値は、マラカイトグリーン0.1%水溶液を用いて測定した吸収時間T3.16ms1/2(10ms)での転移量V(ml/m)とする。これは本発明で用いるインクは浸透性が優れているため、粗さ指数Vr(ml/m)を正確に測定することは困難であることと、またブリストー法で現実に正確な測定ができるのは、スリット幅1mmの周速100mm/sで求まる吸収時間T3.16ms1/2(10ms)がほぼ限界であるためである。これ以上吸収時間を短くする(つまり周速速くするかスリット幅を小さくする)と、インクの擦れが生じたり、試験法では試験片の長さが足りない場合にセロハンテープで継ぎ足してセロハンテープの長さを除外して測定することでほぼ支障のないデータが得られるとなっているが、この継ぎ足し部の凹凸でインクが流失し支障があり、紙面に転移し終わるまで液体が残した転移跡の長さ(トレース長)が正確に測定できない。また、吸収時間T3.16ms1/2(10ms)の場合でも擦れが生じる場合があるが、この場合は擦れた分の面積(トレース長×スリット幅)を除外して液体の転移量V(ml/m)を求める。
【0022】
本発明は、転移量V−Vr(ml/m)が20ml/mとなるときの吸収時間を10ms1/2(100ms)以下、更に好ましくは5ms1/2以下にすることでインクジェット印字後のインクの乾燥性向上と印字品質の両立を行うことができることを見出し、特に裏移り、色境界にじみ、擦過性に優れたインクジェット記録方法を提供できることを見出したことに基づいてなされたものである。
【0023】
従来のインクジェット記録方法は転移量V−Vrが20ml/m以上を満たすには吸収時間が10ms1/2(100ms)を超えており、実際のインクジェットプリンターで印字した際にインクの記録媒体への浸透による乾燥が遅いために、印字された記録媒体を重ねると印字部と接触した記録媒体にインクが転写し裏移りを起こしてしまったり、カラー印字の場合には色境界にじみが生じるといった問題や、指や衣服等にインクが転写してしまう擦過性の問題がある。また、擦過性においては顔料インクの場合には乾燥後も顔料は記録媒体の表面に留まっているために指や衣服、消しゴム、マーキングペンによる擦過で剥がれたり紙面に広がったりといった問題がある。本発明の上記条件を達成する手段としては、インクに浸透の得られる材料を添加する、或いは記録媒体の表面又は全部に浸透性が得られる材料を用い、前記の条件を満たすよう調整することで達成できる。
【0024】
さらに前記インクと前記記録媒体とのブリストー法によるぬれ時間Twが10ms1/2(100ms)以下であり、かつ吸収時間10ms1/2(100ms)以下での吸収係数Kaが4.0ml/(m・ms1/2)以上、更に好ましくは4.0ml/(m・ms1/2)〜10.0ml/(m・ms1/2)とすることで、カラー印字で、第2番目以降の色のドットが打ち込まれる前に第1番目のインクが十分に記録媒体中に浸透し表面は乾燥するため色境界にじみを一層抑えることができる。またこの条件を満たすことで第1番目と第2番目の色のインクが打たれた後に第三番目のインクが打たれた場合も色境界にじみを抑えることができる。この条件を達成する手段としては、インクに浸透の得られる材料を添加する、或いは記録媒体の表面又は全部に浸透性が得られる材料を用い、前記の条件を満たすよう調整することで達成できる。
【0025】
本発明の前記請求項1、2の要件は、例えばインクに2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる材料を単独または複数添加することにより、その優れた浸透剤としての働きにより、達成することができる。そのため乾燥性向上と印字品質の両立を行うことができ、特に裏移り、色境界にじみ、擦過性、色境界にじみに優れたインクジェット記録方法を提供できる。
【0026】
本発明において、上記材料を添加することにより、インクの優れた浸透性が得られる作用については定かではないが、以下のように推測される。
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる材料は、水を主成分とする記録液中で表面に吸着しやすく、かついわゆる界面活性剤と比べ、分子量が比較的小さいため、表面への吸着速度が著しく高い。すなわち、これらの浸透剤が表面に吸着することで、界面活性剤のように液体の表面張力を速やかに低下させることができる。またこれらの浸透剤は、ジオール類の中でも浸透特性の改善がより効果的であり、少量の添加ですむため、安全面、臭気などの点から、好ましい。この理由は定かでないが、分子構造上、非対称でかつ分岐構造を有しているため、表面への吸着効率、速度を向上させ、よって浸透性を効率良く改善できると考えられる。また、いずれも工業的に有用な材料であり、比較的大量に扱われているため、比較的低コストで記録液の製造が可能という利点もある。
【0027】
これらの浸透剤の添加量はインク全量に対して、0.1〜8.0重量%であることが好ましい。インク全量に対して、0.1重量%未満であると、浸透性の改善が不十分となり、8重量%よりも多いと、インク中で安定に溶解せず、インクの保存安定性、インクジェットでの噴射安定性に問題を生じる。より好ましくは、0.5〜5重量%の添加量であることが好ましい。
【0028】
また、特許第2894568号には、色素と液媒体とを含む組成物であって、前記液媒体中に60重量%以上の水及び0.2〜30重量%の炭素数7〜10のアルキレングリコールを含有するインクジェット用インクが提案されているが、炭素数7〜10のアルキレングリコールであっても、水酸基の結合位置あるいは炭素数により、その化合物の水に対する親和性や、それらを含有するインクの浸透性に、大きな違いを生じることはまったくもって明らかである。本発明の浸透剤は、許第2894568号中の例示化合物に含まれていないだけでなく、本発明者等により、多岐にわたる化合物の中から鋭意検討の末、見出されたものであり、「炭素数7〜10のアルキレングリコール」であれば有効だとする特許第2894568号と比べ、インクの浸透性あるいは画像滲みの点で効果の差は歴然である。
【0029】
記録媒体はパルプ繊維を主成分としサイズ度10〜50s以上、透気度5〜50sであることが好ましい。このような記録媒体に対して本発明の記録方法により印字を行えば、記録媒体の両面にインクジェット記録方法により印字を行っても、裏面の画像により画像の認識を妨げられるようなことはない。ここでいうサイズ度とは紙のステキヒト・サイズ度試験方法JIS P8122−76、透気度とは紙及び板紙の透気度試験方法 JIS P8117−80に従って行う。サイズ度が10sより小さいとインクが裏面まで浸透してしまい裏抜けが発生し、透気度が5sより小さい場合もインクが裏面まで浸透してしまい裏抜けが発生し、またサイズ度と透気度が50s以上の場合は印字品質や乾燥性に問題はないが、必要以上に填量を添加しているため、コストが高くなってしまう。またこの記録媒体を電子写真方式の複写機やプリンターに使用した場合、感光体や定着ローラー等に填量が転写し画像品質の低下や故障の原因になることを見出した。このためインクジェット専用の紙として使用しなくてはならず消費者に使い分けをさせなくてはならず負担となる。これにより電子写真用転写紙、印刷用紙、タイプライター用紙、ワイヤードットプリンター用紙、ワードプロセッサー用紙、レター用紙、レポート用紙等種々のノンコートの普通紙と同様に扱うことができ、それに伴い利用者が他の普通紙と分別する手間がなくなる。また、生産上も基本的に現有の抄紙機で生産可能であり、設備投資を最小限に押さえることができる。またこれら他の記録方式の用途にも共通に使用することができる。
【0030】
本発明に使用するパルプ繊維の材料としてはインクジェットプロセスに影響無い物であればパルプの種類、処理方法は問わず適宜に使用できる。また非木材パルプ(ケナフ、亜麻、竹、海草等)や古紙パルプを用いても良いしこれを主体としても良い。好ましくはLBKPやNBKPに代表される化学パルプである。これらパルプの抄紙は一般の普通紙同様公知のサイズ剤、填料、その他抄紙助剤を必要に応じて用い、常法により抄紙される。
【0031】
サイズ剤としてはロジンサイズ、AKD、塩化ナトリウム、塩化カリウム、スチレン−マレイン酸コポリマー、第4級アンモニウム塩、アルニケル無水コハク酸、石油樹脂系サイズ、エピクロルヒドン、カチオン澱粉、アクリルアミド等がある。
【0032】
填料としてはクレー、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、合成シリカ等が挙げられる。
さらに紙力増強剤、歩留まり向上剤、定着剤、染料、その他抄紙助剤が添加される。
【0033】
本発明者等は、さらに鋭意検討を重ねた結果、本発明の記録方法において、記録ヘッドから吐出される1滴あたりの吐出量V(pl)が、下記の式(1)で示される関係を満足するようにして記録を行うことにより、いわゆる普通紙に対する印字において、裏抜けが少なく、かつべた画像が埋まり良く、白抜けのない良好な画像が得られることを見出した。
2.0×10/R2.6≦V≦6.0×10/R2.6……(1)
(ここで、Rは、パルプ繊維を主成分とした記録媒体に対して記録を行うときの、液滴が打ち込まれる密度を単位長さに対する打ち込み数として表したものであり、単位はdpi(=Dot Per Inch)を用いる。)
シリアルタイプのインクジェットプリンターの場合、ヘッドの走査方向(主走査方向)と紙搬送方向(副走査方向)での打ち込み密度が異なる場合があるが、この場合は、単位面積あたりの打ち込み数を主走査方向と副走査方向とで均等になるように換算した値を用いる。例えば、1440×720dpiのプリンターの場合、1440×720の平方根である1018をRとする。
【0034】
式(1)は、種々の記録方法に対して検討してきた結果、実験的に得られた式であるが、式(1)の左側はべた画像を普通紙上に形成したときに白筋などを発生せず、高い画像濃度を得るのに適した関係を示し、式(1)の右側は、過剰なインクを付着させることによる裏抜け濃度の増大やにじみの発生などを防ぐのに適した関係を示す。いずれの関係も本発明の記録方法の優れた浸透特性があって初めて成立する関係である。
【0035】
本発明に用いられる着色剤としては、顔料及び/または染料のいずれでも良い。
着色剤として用いられる水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性、食用染料に分類される染料が用いられる。これら染料は複数の種類を混合して用いても良いし、或いは必要に応じて顔料等の他の色素と混合して用いても良い。これら着色剤は本発明の効果を妨げない範囲で添加される。
【0036】
これら染料を具体的に挙げれば、酸性染料及び食用染料として
C.I.アシッド・イエロー 17、23、42、44、79、142
C.I.アシッド・レッド 1、8、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、87、89、92、97、106、111、114、115、134、186、249、254、289
C.I.アシッド・ブルー 9、29、45、92、249
C.I.アシッド・ブラック 1、2、7、24、26、94
C.I.フード・イエロー 2、3、4
C.I.フード・レッド 7、9、14
C.I.フード・ブラック 1、2
【0037】
直接性染料として
C.I.ダイレクト・イエロー 1、12、24、26、33、44、50、120、132、142、144、86
C.I.ダイレクト・レッド 1、4、9、13、17、20、28、31、39、80、81、83、89、225、227
C.I.ダイレクト・オレンジ 26、29、62、102
C.I.ダイレクト・ブルー 1、2、6、15、22、25、71、76、79、86、87、90、98、163、165、199、202
C.I.ダイレクト・ブラック 19、22、32、38、51、56、71、74、75、77、154、168、171
【0038】
塩基性染料として
C.I.ベーシック・イエロー 1、2、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、40、41、45、49、51、53、63、465、67、70、73、77、87、91
C.I.ベーシック・レッド 2、12、13、14、15、18、22、23、24、27、29、35、36、38、39、46、49、51、52、54、59、68、69、70、73、78、82、102、104、109、112
C.I.ベーシック・ブルー 1、3、5、7、9、21、22、26、35、41、45、47、54、62、65、66、67、69、75、77、78、89、92、93、105、117、120、122、124、129、137、141、147、155
C.I.ベーシック・ブラック 2、8
【0039】
反応性染料として
C.I.リアクティブ・ブラック 3、4、7、11、12、17
C.I.リアクテイブ・イエロー 1、5、11、13、14、20、21、22、25、40、47、51、55、65、67
C.I.リアクティブ・レッド 1、14、17、25、26、32、37、44、46、55、60、66、74、79、96、97
C.I.リアクティブ・ブルー 1、2、7、14、15、23、32、35、38、41、63、80、95
等が使用できる。
染料としては、特に酸性染料及び直接性染料が好ましく用いることができ、溶解安定性の向上や、色調、耐水性、耐光性で優れた効果が得られる。
【0040】
インク組成物中の着色剤としての染料の添加量は、0.5〜25重量%が好ましく、より好ましくは2〜15重量%である。
顔料は、特にその種類を限定すること無く、無機顔料、有機顔料を使用することができる。染料に比べ、インク中で溶解せず、粒子として分散しているので、同じ浸透特性のインクであっても紙の奥深くに浸透しにくく、よって、画像濃度も高く、裏抜けの少ない良好な画質を得ることが可能になる。
【0041】
無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
【0042】
これらの顔料のうち、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。インク組成物中の色材としての顔料の添加量は、0.5〜25重量%が好ましく、より好ましくは2〜15重量%である。
【0043】
本発明において好ましく用いられる顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、150、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(ベンガラ)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
【0044】
これらに用いられるブラック用の顔料はカーボンブラックであることが好ましい。ブラックインクとしてカーボンブラックは色調に優れるとともに、耐水性、退光性、分散安定性に優れ、且つ安価である。
その他顔料(例えばカーボン)の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料(例えばカーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔料等が使用できる。
また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なのものとしたものであっても良い。
【0045】
本発明の好ましい態様によれば、前記インク中の顔料は平均粒径が10nm〜200nmの範囲であることが好ましい。ここでいう平均粒径とは、体積累積パーセント50%の値をさす。体積累積パーセント50%の値を測定するには、例えば、インク中のブラウン運動を行っている粒子にレーザー光を照射し、粒子から戻ってくる光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の変化量から粒子径を求める動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)といわれる方法を用いることができる。
【0046】
着色剤を顔料とすると耐水性や耐光性が良好になり、更に記録媒体の層をインクが抜け、裏面までしみ出してしまう裏抜け(以下単に裏抜けと記す)を防止できる。顔料はインク中に溶解せず分散しているためにインクジェットで印字された際、記録媒体中でインクの液体成分より記録媒体の中に入りにくく、記録媒体の表面近傍にとどまるため、乾燥性は速いが裏抜けを防止することができる。平均粒径が10nm未満であると裏抜けを防止する効果が少なく、200nmより大きい場合ではインクの分散安定性が悪く、保存時に凝集等で粒径が大きくなり吐出安定性が劣る場合がある。
【0047】
顔料は分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散液を調整するのに用いられる公知の分散剤を使用することができる。高分子分散剤として例えば以下のものが挙げられる。
【0048】
親水性高分子として、天然系ではアラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子、半合成系ではメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ブロピレングリコールエステル等の海藻系高分子、純合成系ではポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等があげられる。
【0049】
これらの共重合体は重量平均分子量が3,000〜50,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜30,000、最も好ましくは7,000〜15,000である。高分子分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で適宣添加されて良い。顔料と分散剤との重量比としては1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3の範囲である。
【0050】
また、水溶性界面活性剤を顔料分散剤として使用することも可能である。この場合、その使用量に対するインク粘度の上昇が高分子分散剤を使用した場合よりも小さく、インクジェット記録法に用いたときに良好な吐出特性の顔料インクを得やすい。
【0051】
顔料分散剤として使用する水溶性界面活性剤の具体例として、例えばアニオン界面活性剤としてはアルキルアリルまたはアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテルエステル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、エーテルカルボキシレート、スルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、脂肪酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩等がある。
【0052】
カチオン界面活性剤としてはアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等がある。
ノニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリコキシド等がある。
【0053】
両性界面活性剤としてはイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン等がある。分散剤としての界面活性剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で適宣添加されて良い。
【0054】
更に好ましくは、上記インク中の分散剤はカルボキシル基が結合していることが好ましい。分散剤にカルボキシル基が結合していると、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上する。更に、上記の裏抜けを防止する効果が得られる。特に、カルボキシル基が結合している分散剤で分散した顔料と、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールとを併用した場合においては、普通紙などの比較的サイズ度の高い記録媒体に印字した場合においても、十分な乾燥速度が得られ、且つ、裏抜けが少ないという効果が得られる。これは、カルボン酸の解離定数が他の酸基に比較して小さい為、顔料が記録媒体に付着した後、インクのpH価の低下や、記録媒体表面近傍に存在するカルシウムなどの多価金属イオンとの相互作用などにより、分散剤自体の溶解度が低下し、分散剤自体や顔料が凝集する為と推定される。
【0055】
また、より好ましい別の形態としては、インク中の顔料が表面改質され、特に親水基の官能基が直接顔料に結合され水中に分散されている形態があげられる。この場合、顔料が表面改質され官能基が結合しているために、保存安定性、信頼性のきわめて高い記録方法を提供することができる。顔料が表面改質され官能基が結合した形態の顔料を用いたインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行えるようになる。
また、より好ましい形態としては、インク中の顔料に直接結合される官能基がカルボキシル基であることが好ましい。分散剤にカルボキシル基が結合しているときと同様な作用により高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上する。
【0056】
また、近年急速に普及しつつある不可視インクによるバーコード印刷、消印印刷への適用も可能である。この場合、通常の染料や、顔料のかわりに、可視領域に吸収を持たず、赤外線や紫外線に吸収をもつ赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤をインク中に添加する。
【0057】
本発明に用いられるのインクには上記着色剤、湿潤剤、界面活性剤の他に従来知られている添加剤を加えることができる。
例えば、本発明に用いられるのインクには樹脂エマルジョンが添加されていても良い。本発明に用いることのできる樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次の様な樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などがあげられる。この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
【0058】
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって得ることができる。
市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、などがあげられる。本発明に使用するインクは、樹脂エマルジョンを、その樹脂成分がインクの0.1〜40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%の範囲である。
【0059】
樹脂エマルジョンは、増粘・凝集する性質を持ち、着色成分の紙深さ方向への浸透を抑制し、さらに記録材への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録材上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。
【0060】
また、インク中の水分蒸発を抑制するなどの目的で、インク組成物は糖を含有していても良い。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどがあげられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
【0061】
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば糖アルコール(一般式HOCH(CHOH)CHOH(ここでn=2〜5の整数を表す)で表される))、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどがあげられる。
これら糖類の含有量は、インク組成物の0.1〜40重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
【0062】
その他アルギン酸ナトリウムを含有させても良い。アルギン酸ナトリウムは、褐藻類にのみ含まれる物質で、主に細胞膜或いは細胞間隙物質として存在する親水性高分子電解質である。化学的にはβ−1,4結合するD−Mannuronic acid〔M〕と、α−1,4結合するL−Guluronic acid〔G〕の重合体である。増粘作用、安定化作用、分散作用、ゲル化作用、フィルム形成作用等の効果がある。インクジェットインクに添加すると、pHによる粘度変化、塩類による析出、多価陽イオンとのゲル化により、単色の滲み(フェザリング)や異なる色間の滲み(カラーブリード)が改善できる。
【0063】
防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
【0064】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0065】
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
この他その目的に応じて水溶性紫外線吸収剤を添加することもできる。
【0066】
インクジェット記録方法に使用する場合、インク粘度を所望の値に調節することが望ましい。ヘッドの吐出力に依存するものの、一般にインクの粘度は10mPa・s以下であることが好ましい。10mPa・sより大きいとインクジェットにて十分な吐出が行えず、画像不良の問題が発生する場合が多い。
【0067】
本発明の記録を行うのに好適な方法としては、インクに、記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させ、記録媒体に画像を形成する方法が挙げられる。
【0068】
本発明に用いられるのインクは、浸透性が高く、かつにじみのない高品質な画像が得られるため、通常では困難であった高速記録プロセスへの適用が可能である。すなわち、記録媒体上で画素領域の少なくとも一部が重なるように、同一あるいは別個の吐出口より複数のインク液滴を吐出、飛翔させ記録媒体に画像を形成する記録方法において、記録媒体上で重なりを生じる二つのインク液滴の吐出時間差を0.125ミリ秒以下とすることにより、非常に高速記録が可能になる。近年、インクジェットプリンターに間する技術は目覚しい進歩をとげ、印字速度も向上しているものの、ある程度の高画質を維持するためには、隣接する位置関係にあるドットは連続で形成せず、一方が紙中に染み込むまで、もう一方のインク着弾させなかった。すなわち、いわゆるマルチパス印字と呼ばれる方法により、印字速度を犠牲にさせながら、高画質印字を達成していると言える。本発明の記録方法及びインクは、非常に高い浸透特性を示すため、従来では成し得なかったシングルパスでの高画質印字が可能となった。
【0069】
次に、本発明に用いられるインクをインクカートリッジに収容し、このインクカートリッジをインクジェットプリンターに装着して、微細な吐出口より液滴として吐出、飛翔させ記録媒体に画像を形成する方法を添付図面を参照して説明するが、以下は構成例の一つに過ぎず、本発明になんら限定を加えるものではない。
図1は本発明のインクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジを搭載するシリアル型インクジェット記録装置の機構部の概略正面図である。
このインクジェット記録装置の機構部は、両側の側板1、2間に主支持ガイドロッド3及び従支持ガイドロッド4を略水平な位置関係で横架し、これらの主支持ガイドロッド3及び従支持ガイドロッド4でキャリッジユニット5を主走査方向に摺動自在に支持している。
キャリッジユニット5には、それぞれイエロー(Y)インク、マゼンタ(M)インク、シアン(C)インク、ブラック(Bk)インクをそれぞれ吐出する4個のヘッド6を、その吐出面(ノズル面)6aを下方に向けて搭載し、またキャリッジユニット5のヘッド6の上側には4個のヘッド6に各々インクを供給するための各色のインク供給体である4個のインクカートリッジ7y、7m、7c、7kを交換可能に搭載している。
【0070】
そして、キャリッジユニット5は主走査モータ8で回転される駆動プーリ(駆動タイミングプーリ)9と従動プーリ(アイドラプーリ)10との間に張装したタイミングベルト11に連結して、主走査モータ8を駆動制御することによってキャリッジ5、即ち4個のヘッド6を主走査方向に移動するようにしている。
また、側板1、2を繋ぐ底板12上にサブフレーム13、14を立設し、このサブフレーム13、14間に用紙16を主走査方向と直交する副走査方向に送るための搬送ローラ15を回転自在に保持している。そして、サブフレーム14側方に副走査モータ17を配設し、この副走査モータ17の回転を搬送ローラ15に伝達するために、副走査モータ17の回転軸に固定したギヤ18と搬送ローラ15の軸に固定したギヤ19とを備えている。
【0071】
更に、側板1とサブフレーム12との間には、ヘッド6の信頼性維持回復機構(以下、「サブシステム」という。)21を配置している。サブシステム21は、各ヘッド6の吐出面をキャッピングする4個のキャップ手段22をホルダ23で保持し、このホルダ23をリンク部材24で揺動可能に保持して、キャリッジユニット5の主走査方向の移動でホルダ23に設けた係合部25にキャリッジユニット5が当接することで、キャリッジユニット5の移動に従ってホルダ23がリフトアップしてキャップ手段22でインクジェットヘッド6の吐出面6aをキャッピングし、キャリッジユニット5が印写領域側へ移動することで、キャリッジユニット5の移動に従ってホルダ23がリフトダウンしてキャップ手段22がインクジェットヘッド6の吐出面6aから離れるようにしている。
【0072】
なお、キャップ手段22は、それぞれ吸引チューブ26を介して吸引ポンプ27に接続すると共に、大気開放口を形成して、大気開放チューブ及び大気開放バルブを介して大気に連通している。また、吸引ポンプ27は吸引した廃液を、ドレインチューブ等を介して図示しない廃液貯留槽に排出する。
【0073】
更に、ホルダ23の側方には、インクジェットヘッド6の吐出面6aをワイピングする繊維部材、発泡部材あるいはゴム等の弾性部材からなるワイピング手段であるワイパブレード28をブレードアーム29に取付け、このブレードアーム29は揺動可能に軸支し、図示しない駆動手段で回動されるカムの回転によって揺動させるようにしている。
【0074】
次に、インクカートリッジ7について図2、図3を参照して説明する。ここで図2は、図1の記録装置に装填する前のインクカートリッジの外観斜視図を示し、図3はインクカートリッジの正断面図を示す。
インクカートリッジ7は、図3に示すように、カートリッジ本体41内に所要の色のインクを吸収させたインク吸収体42を収容してなる。カートリッジ本体41は、上部に広い開口を有するケース43の上部開口に上蓋部材44を接着または溶着して形成したものであり、例えば樹脂成型品からなる。また、インク吸収体42は、ウレタンフォーム体等の多孔質体からなり、カートリッジ本体41内に圧縮して挿入した後、インクを吸収させている。
【0075】
カートリッジ本体41のケース43底部には記録ヘッド6へインクを供給するためのインク供給口45を形成し、このインク供給口45内周面にはシールリング46を嵌着している。また、上蓋部材44には大気開放口47を形成している。そして、カートリッジ本体41には、装填前の状態で、インク供給口45を塞ぐとと共に装填時や輸送時などのカートリッジ取扱い時、或いは真空包装時による幅広側壁に係る圧力でケース43が圧縮変形されて内部のインクが漏洩することを防止するため、キャップ部材50を装着している。
【0076】
また、大気開放口47は、図2に示すように、酸素透過率が100ml/m以上のフィルム状シール部材55を上蓋部材44に貼着してシールしている。このように大気開放口47を酸素透過率が100ml/m以上のシール部材55でシールすることで、インクカートリッジ7を透気性のないアルミラミネートフィルム等の包装部材を用いて減圧状態で包装することにより、インク充填時やインク吸収体42とカートリッジ本体41との間に生じる空間A(図3参照)にある大気のためにインク中に気体が溶存したときでも、シール部材55を介してインク中の空気が真空度の高いカートリッジ本体41外の包装部材との間の空間に排出され、インクの脱気度が向上する。
【0077】
また、図4には、本発明のインクを収容したインク収容部と、インク滴を吐出させるためのヘッド部を備えた記録カートリッジ(記録ユニット)の構成例を示す。以下に記録ユニットについて説明する。
記録ユニット30は、シリアルタイプのものであり、ヘッド6と、このヘッド6に供給されるインクを収容するインクタンク33と、このインクタンク33内を密閉する蓋部材34とで主要部が構成される。
【0078】
記録ユニット30のヘッド6には、インクを吐出するための多数のノズル32が形成されている。インクはインクタンク33から、図示しないインク供給管を介して、やはり図示しない共通液室へと導かれ、電極31より入力される記録装置本体からの電気信号に応じて、ノズル32より吐出される。このようなタイプの記録ユニット30は、構成上、安価に製造できるタイプのヘッド、いわゆるサーマル方式、バブル方式と呼ばれる、熱エネルギーを駆動の動力源とするヘッドに適した構造である。本発明のインクは、バブルやサーマル方式等の記録方法において、優れた浸透性を有するインクを用いるため、熱素子への濡れ性が改良され、吐出安定性及び周波数安定性が得られ、かつ安全性も高く、非常に適している。
【0079】
ここでは、前述のようなシリアル型インクジェット記録装置を説明したが、本発明のインクは、ノズルを千鳥など任意の配列で、目的とする画像の解像度と同じか数分の1程度の密度に集積し、記録媒体の幅以上に配列させた、いわゆるラインヘッドを有する記録装置に適用することも可能である。
また、ここでいう記録装置とは、PCやデジカメ用の出力プリンタのみならず、ファックスやスキャナ、電話などと組み合わせた複合的な機能を有する装置であっても構わない。
【0080】
【実施例】
以下に本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に記載の各成分の量(%)は重量基準である。
【0081】
インク処方例
表1に記載の処方のインク組成物を作成し、pHが9になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。その後、着色剤が染料のインクは平均孔径0.2μm、顔料の場合は平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行いインク組成物を得た。
【0082】
【表1】
Figure 2004174948
【0083】
実施例1
インク処方例1で、着色剤を
黒色染料(ゼネガ社製;PRO−JET FAST BLACK2)
イエロー染料(ダイワ社製;DY86)
マゼンタ染料(ヘキスト社製;RR180/AR52)
シアン染料(ゼネガ社製;PRO−JET CYAN1 DB199)
で作成した4色の染料インクを用い
記録媒体としてNBSリコー社製;マイペーパー(サイズ度12s、透気度16s)に対するブリストー法によるインク転移量Vから粗さ指数Vr(ml/m)を除いた転移量V−Vr(ml/m)が20ml/mとなるときの吸収時間T、吸収時間10ms1/2(100ms)以下での吸収係数Ka、濡れ時間の測定、及びインクの表面張力(協和界面科学社製;自動表面張力計 CBVP−Z型 白金プレート使用)の測定を行った。その結果を表2に記す。
尚、マイペーパーに対する水(マラカイトグリーン0.1%水溶液)を用いて測定した吸収時間T 3.16ms1/2(10ms)での転移量Vは15.3ml/mであり、この値をマイペーパーの粗さ指数Vr(ml/m)とした。
このインクをいわゆる普通紙に対する液滴の最大打ち込み最密が600×600dpiであり、各ノズルから1滴あたりの吐出量23plで吐出するよう駆動電圧を調整した、ピエゾ方式のインクジェットプリンター(IPSIO JET300;(株)リコー社製)で、マイペーパーに印字し印字評価を行った。
尚このプリンターを式(1)の条件で求めると、
2.0×10/R2.6≦V≦6.0×10/R2.6 ……(1)
2.0×10/6002.6≦V≦6.0×10/6002.6
12.0≦V≦35.9
となり、1滴あたりの吐出量が23plであるこのプリンタは、条件を満足している。
その結果を表3に記す。尚、印字評価は下記の基準で行った。
【0084】
(1)裏移り
10枚を連続印刷し、排紙部に印刷後の記録媒体を10枚の印刷が終了するまで重ねて置いておく。印刷終了後10枚の非印刷面(裏面)を確認し、印字部と接触した記録媒体の裏面にインクが転写しているか確認した。裏移りが無ければ○、ある場合は×とした。
(2)擦過性
記録媒体にマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックで形成された画像を、印字30秒後に指、布、消しゴム、マーキングペンで擦過し、擦過後の様子を目視にて観察し擦過による画像の変化が1色以上発生した場合は×とし、発生がなければ○とした。
(3)色境界にじみ
記録媒体にイエローのベタ画像内にマゼンタ、シアン、ブラックの0.5mmの線画像をそれぞれ形成し、異なった色のインクが隣接した場合に滲んでおこる色境界にじみの発生を目視により観察した。同様にシアンのベタ画像内にマゼンタ、イエロー、ブラックの0.5mmの線画像をそれぞれ形成した場合とマゼンタのベタ画像内にシアン、イエロー、ブラックの0.5mmの線画像をそれぞれ形成した場合についても色境界にじみの発生を目視により観察した。色境界にじみが1色以上発生した場合は×とし、発生がなければ○とした。
(4)フェザリング
記録媒体にマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの0.5mmの線画像をそれぞれ形成し、目視により観察し、フェザリングといった木材繊維に沿った形でニジミが1色以上発生した場合は×とし、発生がなければ○とした。
(5)裏抜け濃度
記録媒体に反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)で測定した濃度が1.2となる様に黒色のベタ画像を形成した。この画像の裏面からの濃度から、画像を印字していない部分の濃度(地肌濃度)を除いた濃度(裏抜け濃度)を求め、この値が0.05以下の場合は◎、0.08以下の場合は○、0.08より大きい場合は×とした。
(6)画像の埋まり
乾燥後、各色インクのベタ画像を目視で観察し、インクで均一に記録媒体が着色している場合は○、地肌が見えるような不均一な着色の場合は×とした。
(7)インク乾燥時間
記録媒体にベタ画像印字後の画像に0.1kg/cmの圧力で濾紙を押しつけインクが濾紙に転写しなくなるまでの時間を測定した。
(8)記録媒体電子写真使用可否
使用している記録媒体を、電子写真方式の複写機やプリンタ(IPSiO Color 6000;リコー製)にて100000枚通紙し、感光体や定着ローラー等に填料が転写し、画像品質の低下や故障といった問題が発生するか判定した。問題がない場合は○、問題がある場合は×とした。
【0085】
比較例1
実施例1のインク処方をインク処方例2とした以外は実施例1と同様に評価した。
【0086】
実施例2
インク処方例3で、着色剤を
黒色顔料(大日精化社製;カルボキシル基結合分散剤分散型カーボンブラック平均粒径104nm)
イエロー顔料(東洋インキ社製;L2116−A1(YELLOW) 平均粒径66nm)
マゼンタ顔料(東洋インキ社製;L4092−A1(MAGENTA) 平均粒径59nm)
シアン顔料(東洋インキ社製;K7088−A2(CYAN) 平均粒径106nm)
で作成した4色の顔料インクを用いた他は実施例1と同様に評価した。
【0087】
実施例3
実施例2のインク処方をインク処方例1とした以外は実施例2と同様に評価した。
【0088】
実施例4
実施例2のインク処方をインク処方例4とした以外は実施例2と同様に評価した。
【0089】
比較例2
実施例2のインク処方をインク処方例5とした以外は実施例2と同様に評価した。
【0090】
実施例5
実施例2のインク処方をインク処方例6とした以外は実施例2と同様に評価した。
【0091】
実施例6
実施例2のインク処方をインク処方例7とした以外は実施例2と同様に評価した。
【0092】
比較例3
実施例1の黒色のインクをHewlett Packard社の黒顔料インクである51645Aとした以外は実施例1と同様に評価した。
但し、インク乾燥時間、フェザリング、擦過性については黒色インクのみで評価した。
【0093】
比較例4
実施例1の黒色のインクをLexmark社の黒顔料インクである12A1970とした以外は実施例1と同様に評価した。
但し、インク乾燥時間、フェザリング、擦過性については黒色インクのみで評価した。
【0094】
実施例7〜8
実施例3の黒顔料の着色剤を下記とした以外は実施例3と同様に評価した。
実施例7 大日精化社製;カルボキシル基結合分散剤分散型カーボンブラック
平均粒径53nm
実施例8 大日精化社製;カルボキシル基結合分散剤分散型カーボンブラック
平均粒径196nm
【0095】
実施例9
実施例3の黒顔料の着色剤を下記とした以外は実施例3と同様に評価した。
黒色顔料(キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク社製;カルボキシル基付加型表面改質カーボンブラック 平均粒径108nm)
【0096】
実施例10〜19
実施例3の記録媒体を下記とした以外は実施例3と同様に評価した。当然ではあるが、粗さ指数Vr(ml/m)は下記のそれぞれの記録媒体での水(マラカイトグリーン0.1%水溶液)に対する吸収時間T 3.16ms1/2(10ms)での転移量Vから求めた。
Figure 2004174948
【0097】
実施例20
実施例3のインクジェットプリンターを、いわゆる普通紙に対する液滴の最大打ち込み最密が1440×720dpiであり、出力画像に合わせて1滴あたりの吐出量を制御することが可能であり、最小の1滴あたりの吐出量が3plであるピエゾ方式のインクジェットプリンター(EM−900C;セイコーエプソン(株)社製)に変更した以外は実施例3と同様に評価した。
尚このプリンターを式(1)の条件で求めると、
2.0×10/R2.6≦V≦6.0×10/R2.6 ……(1)
2.0×10/10182.6≦V≦6.0×10/10182.6
3.0≦V≦9.1
となり、1滴あたりの吐出量が3plであるこのプリンタは、条件を満足している。
【0098】
実施例21
実施例3のインクジェットプリンターを、いわゆる普通紙に対する液滴の最大打ち込み最密が2400×1200dpiであり、各ノズルから1滴あたりの吐出量5plで吐出するサーマル方式のインクジェットプリンター(BJ S630;キャノン(株)社製)に変更した以外は実施例3と同様に評価した。
尚このプリンターを式(1)の条件で求めると、
2.0×10/R2.6≦V≦6.0×10/R2.6 ……(1)
2.0×10/16972.6≦V≦6.0×10/16972.6
0.8≦V≦2.4
となり、1滴あたりの吐出量が5plであるこのプリンタは、条件を満たしていない。
【0099】
【表2】
Figure 2004174948
【0100】
【表3】
Figure 2004174948
【0101】
また、参考に実施例1〜6と比較例1〜4の黒色インクと水(マラカイトグリーン0.1%水溶液)についてブリストー法による測定プロットを図5と図6に記す。
この図から、本発明の特徴の1つである粗さ指数Vrを水を用いて求めている理由がわかる。例えば、実施例4はブリストー法で現実に正確な測定ができる限界である吸収時間T3.16ms1/2(10ms)では、インクの浸透性を高めているために既に浸透が始まっている。そのため、インクでの測定結果からは粗さ指数Vrを求めることはできない。
また、本発明の別の特徴である吸収係数Kaを吸収時間10ms1/2(100ms)以下で求める理由がわかる。例えば、比較例1を見ると吸収時間20ms1/2付近での吸収係数Kaは4.0ml/(m・ms1/2)以上となるが、本発明で規定している吸収時間10ms1/2(100ms)以下での吸収係数Kaは4.0ml/(m・ms1/2)以上とはなっていない。このような場合では浸透性が十分ではなく、表3に示すように品質が劣っている。また、実施例4や5は吸収時間20ms1/2付近以降からの吸収は遅くなっているが、吸収時間10ms1/2(100ms)以下での吸収に優れていてば、表3に示す様に品質は優れている。このように本発明の特徴である吸収時間10ms1/2(100ms)以下といった極く短時間での吸収特性が品質には重要であることがわかる。
【0102】
【発明の効果】
請求項1
インクジェット印字後のインクの乾燥性向上と印字品質の両立を行うことができ、特に裏移り、色境界にじみ、擦過性に優れたインクジェット記録方法を提供できる。
請求項2
カラー印字で、第2番目以降の色のドットが打ち込まれる前に第1番目のインクが十分に記録媒体中に浸透し表面は乾燥するため色境界にじみを一層抑えることができる。またこの条件を満たすことで第1番目と第2番目の色のインクが打たれた後に第三番目のインクが打たれた場合も色境界にじみを抑えることができる。
請求項3
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる材料は、優れた浸透性能を有した浸透剤であり、請求項1、2にある特性を満足させることができる。そのため乾燥性向上と印字品質の両立を行うことができ、特に裏移り、色境界にじみ、擦過性、色境界にじみに優れたインクジェット記録方法を提供できる。
請求項4
本発明によれば、記録媒体はパルプ繊維を主成分としサイズ度10〜50s以上、透気度5〜50sとし、本発明の記録方法により印字を行えば、記録媒体の両面に印字を行っても、裏面の画像により画像の認識を妨げられない優れたコストの低い記録方法が提供できる。
請求項5
記録ヘッドから吐出される1滴あたりの吐出量と液滴の打ち込み密度との間に所定の関係を満足するようにして記録することで、ドット抜けや白筋がなく、高濃度でにじみの少ない高画質画像を得ることができる。
【0103】
請求項6
耐水性や耐光性が良好になり、更に高い浸透特性でありながら、画像濃度も高く、裏抜けの少ない優れた記録方法を提供することができる。
請求項7
分散安定性に優れ、よって保存安定性やインクジェット記録方法における吐出安定性に優れるとともに、画像の裏抜けが少ない優れた記録方法が提供できる。
請求項8、10
カルボキシル基が結合された分散剤を用いたり、あるいは顔料に結合された親水基がカルボキシル基である表面改質された顔料を用いることで、より一層高画像濃度で低裏抜け濃度となるうえに、滲みの少ない極めて高品位な画像を形成することができ、印字後の記録媒体の耐水性がより向上した記録方法を提供することができる。
請求項9
請顔料の表面が改質され親水基が結合された顔料を用いることにより、保存安定性、信頼性の極めて高い記録方法を提供することができる。
【0104】
請求項11
熱エネルギーを作用させて画像形成する方法においては、優れた浸透性を有するインクを用いることで、熱素子への濡れ性が改良されるため特に適しており、吐出安定性、周波数安定性に優れた記録方法を提供できる。
請求項12
本発明の高い浸透性を利用して、非常に高速で、かつ高画質の画像の記録方法が提供できる。
【0105】
請求項13〜17
インクの記録媒体上での乾燥時間が速く、裏移り、色境界にじみ、フェザリングの発生がなく、擦過性、画像の埋まりに優れ、かつ画像濃度、裏抜けに優れた画像形成物、水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクを収容するインクカートリッジを搭載するシリアル型インクジェット記録装置の構成例を示す概略正面図
【図2】記録装置に装填する前のインクカートリッジの外観斜視図
【図3】インクカートリッジの正断面図
【図4】記録ヘッドと一体化された記録ユニットの外観斜視図
【図5】ブリストー法による測定プロット
【図6】ブリストー法による測定プロット(図5のスケール拡大)
【符号の説明】
1 側板
2 側板
3 主支持ガイドロッド
4 従支持ガイドロッド
5 キャリッジユニット
6 ヘッド
6a 吐出面(ノズル面)
7 インクカートリッジ
7y インクカートリッジ
7m インクカートリッジ
7c インクカートリッジ
7k インクカートリッジ
8 主走査モータ
9 駆動プーリ(駆動タイミングプーリ)
10 従動プーリ(アイドラプーリ)
11 タイミングベルト
12 底板
13 サブフレーム
14 サブフレーム
15 搬送ローラ
16 用紙
17 副走査モータ
18 ギヤ
19 ギヤ
21 サブシステム
22 キャップ手段
23 ホルダ
24 リンク部材
25 係合部
26 吸引チューブ
27 吸引ポンプ
28 ワイパブレード
29 ブレードアーム
30 記録ユニット
31 電極
32 ノズル
33 インクタンク
41 カートリッジ本体
42 インク吸収体
43 ケース
44 上蓋部材
45 インク供給口
46 シールリング
47 大気開放口
50 キャップ部材
55 シール部材
A 空間

Claims (17)

  1. 水、着色剤および湿潤剤を含有する水性インクの液滴を記録ヘッドから吐出し、記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法において、前記インクを用いた前記記録媒体とのブリストー法によるインク転移量Vから粗さ指数Vr(ml/m)を除いた転移量V−Vr(ml/m)が20ml/mとなるときの吸収時間Tが10ms1/2(100ms)以下となる浸透性をもった前記インクと前記記録媒体を用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記インクと前記記録媒体とのブリストー法によるぬれ時間Twが10ms1/2(100ms)以下であり、かつ吸収時間10ms1/2(100ms)以下での吸収係数Kaが4.0ml/(m・ms1/2)以上となる浸透性をもった前記インクと前記記録媒体を用いて記録する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記インクが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる材料を単独または複数含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記記録媒体がパルプ繊維を主成分としサイズ度10〜50s以上、透気度5〜50sであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記記録ヘッドから吐出される1滴あたりの吐出量V(pl)が、下記の式(1)を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の記録方法。
    2.0×10/R2.6≦V≦6.0×10/R2.6……(1)
    (ここで、Rは、パルプ繊維を主成分とた記録媒体に対して記録を行うときの、液滴の最大打ち込み密度を示し、単位dpi(=Dot Per Inch)で表す。主走査と副走査で最大打ち込み密度が異なる場合は平均値を用いる。)
  6. 前記インク中の着色剤が顔料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記顔料の平均粒径が10nm〜200nmの範囲であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記インク中の着色剤が顔料であり、分散剤により水中に分散されており、該分散剤にカルボキシル基が結合していることを特徴とする請求項6又は7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記インク中の着色剤が顔料であり、該顔料が表面改質され親水基が結合され、水中に分散されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記顔料表面に結合された親水基がカルボキシル基であることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 水性インクに熱エネルギーを作用させて、記録媒体に画像を形成することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  12. 記録媒体上で画素領域の少なくとも一部が重なるように、同一あるいは別個の吐出口より複数の水性インクの液滴を吐出、飛翔させ記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法において、記録媒体上で重なりを生じる二つの液滴の吐出時間差が0.125ミリ秒以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のインクジェット記録方法で印字された画像形成物。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の記録方法において用いられる水性インク。
  15. 水性インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該水性インクが請求項14に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  16. 水性インクを収容したインク収容部と、インク液滴を吐出させるためのヘッド部を備えたインクカートリッジにおいて、該水性インクが請求項14に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  17. 水性インクを収容したインク収容部を有するインクカートリッジと、インク滴を吐出させるための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置、あるいは、水性インクを収容したインク収容部と、インク液滴を吐出させるための記録ヘッドとを有するインクカートリッジを備えたインクジェット記録装置において、該インクカートリッジとして、請求項15又は16に記載のインクカートリッジを具備したことを特徴とするインクジェット記録装置。
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