JP2004174598A - 水溶性中子用の鋳物砂及び水溶性中子の製造方法並びに水溶性中子 - Google Patents
水溶性中子用の鋳物砂及び水溶性中子の製造方法並びに水溶性中子 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】十分な保形力を持ちながら、水に浸漬して容易に崩壊できるところの鋳物砂、水溶性中子、及びその製造方法を提供し、また、中子の内部まで確実に乾燥できるようにして、所期の目的をより一層確実に達成できるようにすること。
【解決手段】中子が、けい砂、アルミナ系人工砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂の少なくとも一つから成る骨材と、リン酸塩系、炭酸塩系、硫酸マグネ系の一種又は二種以上の混合物からなる粘結剤と、これらに添加される水とから構成される水溶性中子用の鋳物砂からなり、中子の内部までの乾燥を促すホットエアーの充填を行う方法。
【選択図】 図1
【解決手段】中子が、けい砂、アルミナ系人工砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂の少なくとも一つから成る骨材と、リン酸塩系、炭酸塩系、硫酸マグネ系の一種又は二種以上の混合物からなる粘結剤と、これらに添加される水とから構成される水溶性中子用の鋳物砂からなり、中子の内部までの乾燥を促すホットエアーの充填を行う方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、自動車、産業機械等の鋳造品の製造に際して使用される鋳型、特に中子のための鋳物砂、水溶性中子、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、鋳造(アルミ合金、鋳鉄)に際しては、鋳型(主型)の内部に中子がセットされる。こうした中子としては、例えば、熱硬化性樹脂型、ウレタン樹脂型、アルカリ・フェノール樹脂型、無機系型等がある。この種の中子は、焼失し難い低温のアルミ鋳物等では、低音の注湯、冷却後、残留する中子を鋳造品の内部から除去してやる必要があり、その方法として、一般に、ハンマー、チッパ等で砂落としされる。
【0003】
この砂落とし作業には工数がかかり、又、残留砂が製品内に残っているか検査する工数もかかると共に砂落としに際して鋳造品を傷付けたり、破損させたりするという問題が頻繁に発生していた。こうした問題を解決するには、鋳造品の内部から中子用鋳物砂を容易に除去するための効果的な機械的手段、例えば、振動付与、ショットブラスト等が提案されているが、前述した鋳造品の損傷を確実に防ぐことは難しく、また、そうした装置を備えることで設備費が嵩み、コスト高を招くという問題もあった。
【0004】
もう一方の解決手段として、中子用鋳物砂自体の崩壊性を良くすることで、注湯時には十分の強度を保持して中子の役割を果たしながら、機械的外力を付加することなく、鋳造品の内部から容易に中子を除去できるのではないかという考えに立ち、中子用鋳物砂自体の改善が提案されている。
【0005】
この中子用鋳物砂の崩壊性を改善するには、鋳物砂の保形力、即ち、中子の形状を保持する力を調節することが、最も好ましい方法であると考えられ、その具体的手段として、鋳物砂の粒子を互いに結合する粘結剤を調整することが考えられるが、保形力を弱くすると、注湯時に十分な強度を発揮できなくなって、中子としての機能を発揮できなくなる虞があり、逆に、適度の保形力を得るように粘結剤を強力にすると、十分な外力付与に依らなければ、これを崩壊させて鋳造品から除去出来なくなるものであり、単純に粘結剤の結合度を調整しようとするだけでは問題を解決することができないことが解った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者は、注湯時に十分な強度を保持しながら、中子崩壊を外力付与に頼ることなく、単に中子を水に浸漬させることで崩壊させることの出来る水溶性の中子について研究を進めた。
即ち、粘結剤としてリン酸塩、炭酸塩等を選択し、これと鋳物砂とを混練して、これを中子成型のための金型内に充填し、その金型の外部をホットエア、赤外線等の手段で加熱して粘結剤の化学反応や脱水を促進し、以て硬化せしめ、鋳型への注湯後は、鋳造品を水に浸漬することで、前記粘結剤の水溶性を利用して中子の保形力を無くし、崩壊させて容易に除去できるようにするというものである。
【0007】
この水溶性中子によって、上述した従来の問題を略解消できたのであるが、しかし乍ら、このような水溶性の粘結剤を用いる方法によれば、中子の外周部は脱水、硬化されるが、内部の水分が凝縮状態となっていて十分に脱水され難いという問題が生じた。その結果、鋳込みに際しての加熱によって、中子の内部の残存水分の蒸発圧力より中子内部に亀裂が発生し、十分な保形力を維持できなくなって、鋳込み不良を招くという問題がある。
【0008】
また、中子の乾燥に、マイクロウエーブ(電子レンジ)を用いることもできるが、中子の形状、大きさは多様であって、電子レンジの収納量に限界があり、大きい中子、模型の寿命、金型の金属の種類等によって、実用上の問題がある。
【0009】
本発明は、かかる現状に鑑み、鋳造品からの中子の除去を、鋳造品を水に浸漬して内部の中子を崩壊せしめるという方向で研究を重ね、第1の目的は、十分な保形力を持ちながら、水に浸漬して容易に崩壊できるところの鋳物砂、水溶性中子、及びその製造方法を提供し、第2の目的は、中子の内部まで確実に乾燥できるようにして、前記第1の目的をより一層確実に達成できるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる水溶性中子用の鋳物砂は、上記目的を達成するために、けい砂、アルミナ系人工砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂の少なくとも一つから成る骨材と、リン酸塩系、炭酸塩系、硫酸マグネ系の一種又は二種以上の混合物からなる粘結剤と、これらに添加される水とから構成される、という手段を講じた。
【0011】
本発明にかかる水溶性中子の製造方法は、上記目的を達成するために、けい砂、アルミナ系人工砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂の少なくとも一つから成る骨材と、リン酸塩系、炭酸塩系、硫酸マグネ系、の一種又は二種以上の混合物からなる粘結剤とに所要の水を添加し、混練して水溶性鋳物砂を得、中子成型のための金型を80〜200℃に加熱し、該金型に前記鋳物砂を吹き込み充填し、しかる後に減圧箱にセットし、真空度0.1〜0.2Mpaで減圧し、同時に100〜500℃のホットエアーを前記金型内に3〜10分間送風し、前記金型内の中子を脱水硬化させるようにした、という手段を講じた。
【0012】
本発明にかかる水溶性中子は、上記目的を達成するために、上記水溶性中子の製造方法により製造される。
【0013】
【発明の実施の態様】
本発明の水溶性鋳物砂において、上記粘結剤が、骨材100に対して2〜10%であり、上記水が2〜10%で水温0から90℃であるのが好ましい。この比率で好適の保形力と乾燥効率が得られる。
また、前記鋳物砂100に対して、界面活性剤が0.02〜0.1%添加されてなるのが好ましい。これによって、鋳物砂の流動性を向上し、充填密度を高めた中子を成型できる。
更に、前記鋳物砂100に対して、けい酸ナトリウム水溶液が0.2〜1.0%添加されてなるのが好ましい。この場合、注湯後、水に浸漬したときに、残留アルカリ(Na2O)が水と反応して、水酸化ナトリウム(NaH2O)となり、軟化して砂粒子の結合を弱め、総体的に中子の崩壊性を助長させるものと考えられる。
【0014】
本発明の水溶性中子の製造方法において、前記鋳物砂100に対して、界面活性剤が0.02〜0.1%添加されるのが好ましい。これによって、鋳物砂の流動性を向上し、充填密度を高めた中子の成形を助ける。
また、この製造方法において、前記鋳物砂100に対して、けい酸ナトリウム水溶液が0.2〜1.0%添加されるのが好ましい。これにより、注湯後、水に浸漬した時、残留アルカリ(Na2O)が水と反応して水酸化ナトリウム(NaH2O)となって砂粒子の結合を弱め、総体的に中子の崩壊性を助長させるものと考えられる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明にかかる水溶性中子用の鋳物砂及び水溶性中子の製造方法並びに水溶性中子の好適実施例1から3について、図面を参照して詳述する。
(実施例1)
試験方法は、けい砂(100メッシュ付近、150ミクロン)100に対して、リン酸塩系粘結剤5〜6%、水4〜8%を加えた配合砂をスーパーミキサーで60秒間混練して供試材とした。
この混練鋳物砂を直径30X長さ50mmの試験片木型により、つき固め成型し、図1に示す実験装置によって脱水硬化させ、鋳型強さと充填密度などの鋳型性質を測定した。
図1において、1は、ホットエアーを発生させるための加熱装置であり、2は、中子成型のための木型であり、3は、中子としての試験片であり、4は、これらを収容した電子レンジであり、5は、中子を減圧するための真空ポンプ、6は、その真空メータである。
【0016】
その実験例の配合及び測定結果を図2に示す。
即ち、けい砂100重量%に対し、前記粘結剤5%に水4、6、8%と変化した場合、硬化直後及び1時間経過後の圧縮強さが高く、それ以降は急激に低下している。
また、粘結剤6%に水の添加量を4、6、8%に変化させた場合も、図3に示すように、前記図2と同様の傾向であった。
尚、図2及び図3のグラフの同種の2本の線は、それぞれ最高値と最低値を示す。
【0017】
水の添加量を変化させたときの圧縮強さを図4に示す。
即ち、水6%のとき、粘結剤5%、6%で圧縮強さが高く、水が少ない4%、多い8%の場合は逆に低下している。
適正な配合として、粘結剤材と水が等量の場合が高い鋳型強度が得られることがわかった。
【0018】
(実施例2)
上記実施例のけい砂、リン酸塩系、けい酸ナトリウム、水の混合砂を用いた水溶性中子用の鋳物砂とその製造方法と、その中子の脱水硬化方法について詳述する。試験方法は、図5及び図6に示す実験装置によって、脱水硬化させて鋳型強さと充填密度及び鋳型の状態を測定した。
図5は、二つ割りの金型7の斜視図であり、11は、金型7を過熱する電気ヒーターの結線である。図6は、減圧箱の概略を示し、8は、減圧箱、9は、ホットエアーの吹き込み口、10は、減圧手段に繋がる吸引口であり、7は、図5の金型である。
【0019】
造型工程としては、自動車用マニフォールド金型を、80〜200℃に加熱し、これに上記混合の鋳物砂を、ブローマシンにて3〜4気圧にて吹き込み充填して成型した。
この金型を、そのまま減圧箱にセットして密閉し、次いでホットエアー100〜500℃を持続し、さらに真空ポンプの減圧パイプを減圧箱に接続し、0.01〜0.02MPaで吸引した。
稼動時間5〜10分で、中子の外周部及び内部とも十分に脱水硬化させることができた。
【0020】
その結果を、図7の表1に示す。
▲1▼ 粘結剤6%と水6%の場合の鋳型強さは、ウレタン系鋳型(コールドボックス法)と同等の強さが得られた。
▲2▼ 粘結剤4〜2%、水4〜2%と配合量が減少するにしたがい、鋳型強さは低下するが、流動性が向上して、充填密度が良い鋳型が得られた。
▲3▼ 粘結剤3%、水3%の場合、実用上の最低現の配合であることが分かった。
▲4▼ 粘結剤5%、水5%にけい酸ナトリウム0.2〜0.5%添加した混合鋳物砂は、高い鋳型強さが得られた。
【0021】
(実施例3)
上記の鋳物砂による中子の崩壊についての結果。
▲1▼ 上記の配合鋳物砂にて、マニフォールドの中子を成型し、主型にセットしてAC74(アルミニウム合金)を750℃で注湯して、冷却後、鋳造品を水槽に投入した結果、泡沫を発生しながら、中子が崩壊し、単に砂粒子のみが残り、人工(外力付与等)を加えずに完全に砂落としができた。
▲2▼ 注湯後、約1時間経過して、鋳造品を水槽に納入した結果、中子が徐々に崩れ、5〜10分で完全に崩壊した。
また、水槽温度50〜60℃に鋳造品を投入した場合、10〜20分で中子か崩壊することが分かった。
▲3▼ 上記配合の鋳物砂に、けい酸ナトリウムを0.2〜0.5%添加した場合の中子は、注湯直後、鋳造品を水槽に投入したとき、上記▲1▼項と同様であったが、注湯後1時間経過して水槽に浸漬した場合は、上記▲2▼項と同様で徐々に崩壊して、5〜15分で中子は崩壊した。
【0022】
尚、注湯後直ちに鋳造品を水槽に投入した場合は、砂粒子間の結合部の粘結剤が吸水によって激しく沸騰して、砂粒子を解離し、中子の崩壊を助長したものである。注湯後、1時間経過の場合は、外部よりの給水で、粒子間の結合が徐々に解離し、中子が崩壊する。
また、けい酸ナトリウム添加の場合は、リン酸塩系粘結剤とは別に、残留アルカリ(Na2O)が水と反応して水酸化ナトリウム(NaH2O)となり、軟化して砂粒子の結合を弱め、総対的に中子の崩壊を助長させていると考えられる。
【0023】
【発明の効果】
本発明にかかる水溶性中子用の鋳物砂及び水溶性中子の製造方法並びに水溶性中子によれば、次ぎの作用効果を奏する。
▲1▼ 耐火骨材と特定の粘結剤を用いて、成型された中子に十分な保形力を付与しながら、注湯後の水への浸漬によって、外力付与することなく容易に崩壊できで、鋳造品から除去できる。これにより、従来の砂落としの工程にかかるコストを削減できる利点がある。
【0024】
▲2▼ 中子成型において、金型を減圧下におき、また、金型内へのホットエアーの吹き込みにより、中子の内部まで確実に乾燥させることによって粘結剤の力を最大限に引き出し、以て、中子の強度を高め、十分な保形力を発揮させることで注湯時に中子がひび割れ等を引き起こすのを未然に回避し、不良品の発生を防ぐ効果を奏する。
▲3▼ その他の具体的な利点は、上述の発明の実施の態様の項及び実施例の項において詳述した通りである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる水溶性中子の製造に用いられる装置の概略図である。
【図2】本発明にかかる一形態の水溶性中子の成型後の経過時間と強度との関係を示すグラフ。
【図3】本発明にかかる一形態の水溶性中子の成型後の経過時間と強度との関係を示すグラフ。
【図4】本発明にかかる一形態の水溶性中子の水の配合量と強度との関係を示すグラフ。
【図5】本発明にかかる水溶性中子の製造にかかる金型の斜視図である。
【図6】本発明にかかる水溶性中子の製造にかかる減圧工程の概略図である。
【図7】本発明にかかる水溶性中子の鋳型性質の比較を示す表1である。
【発明の属する分野】
本発明は、自動車、産業機械等の鋳造品の製造に際して使用される鋳型、特に中子のための鋳物砂、水溶性中子、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、鋳造(アルミ合金、鋳鉄)に際しては、鋳型(主型)の内部に中子がセットされる。こうした中子としては、例えば、熱硬化性樹脂型、ウレタン樹脂型、アルカリ・フェノール樹脂型、無機系型等がある。この種の中子は、焼失し難い低温のアルミ鋳物等では、低音の注湯、冷却後、残留する中子を鋳造品の内部から除去してやる必要があり、その方法として、一般に、ハンマー、チッパ等で砂落としされる。
【0003】
この砂落とし作業には工数がかかり、又、残留砂が製品内に残っているか検査する工数もかかると共に砂落としに際して鋳造品を傷付けたり、破損させたりするという問題が頻繁に発生していた。こうした問題を解決するには、鋳造品の内部から中子用鋳物砂を容易に除去するための効果的な機械的手段、例えば、振動付与、ショットブラスト等が提案されているが、前述した鋳造品の損傷を確実に防ぐことは難しく、また、そうした装置を備えることで設備費が嵩み、コスト高を招くという問題もあった。
【0004】
もう一方の解決手段として、中子用鋳物砂自体の崩壊性を良くすることで、注湯時には十分の強度を保持して中子の役割を果たしながら、機械的外力を付加することなく、鋳造品の内部から容易に中子を除去できるのではないかという考えに立ち、中子用鋳物砂自体の改善が提案されている。
【0005】
この中子用鋳物砂の崩壊性を改善するには、鋳物砂の保形力、即ち、中子の形状を保持する力を調節することが、最も好ましい方法であると考えられ、その具体的手段として、鋳物砂の粒子を互いに結合する粘結剤を調整することが考えられるが、保形力を弱くすると、注湯時に十分な強度を発揮できなくなって、中子としての機能を発揮できなくなる虞があり、逆に、適度の保形力を得るように粘結剤を強力にすると、十分な外力付与に依らなければ、これを崩壊させて鋳造品から除去出来なくなるものであり、単純に粘結剤の結合度を調整しようとするだけでは問題を解決することができないことが解った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者は、注湯時に十分な強度を保持しながら、中子崩壊を外力付与に頼ることなく、単に中子を水に浸漬させることで崩壊させることの出来る水溶性の中子について研究を進めた。
即ち、粘結剤としてリン酸塩、炭酸塩等を選択し、これと鋳物砂とを混練して、これを中子成型のための金型内に充填し、その金型の外部をホットエア、赤外線等の手段で加熱して粘結剤の化学反応や脱水を促進し、以て硬化せしめ、鋳型への注湯後は、鋳造品を水に浸漬することで、前記粘結剤の水溶性を利用して中子の保形力を無くし、崩壊させて容易に除去できるようにするというものである。
【0007】
この水溶性中子によって、上述した従来の問題を略解消できたのであるが、しかし乍ら、このような水溶性の粘結剤を用いる方法によれば、中子の外周部は脱水、硬化されるが、内部の水分が凝縮状態となっていて十分に脱水され難いという問題が生じた。その結果、鋳込みに際しての加熱によって、中子の内部の残存水分の蒸発圧力より中子内部に亀裂が発生し、十分な保形力を維持できなくなって、鋳込み不良を招くという問題がある。
【0008】
また、中子の乾燥に、マイクロウエーブ(電子レンジ)を用いることもできるが、中子の形状、大きさは多様であって、電子レンジの収納量に限界があり、大きい中子、模型の寿命、金型の金属の種類等によって、実用上の問題がある。
【0009】
本発明は、かかる現状に鑑み、鋳造品からの中子の除去を、鋳造品を水に浸漬して内部の中子を崩壊せしめるという方向で研究を重ね、第1の目的は、十分な保形力を持ちながら、水に浸漬して容易に崩壊できるところの鋳物砂、水溶性中子、及びその製造方法を提供し、第2の目的は、中子の内部まで確実に乾燥できるようにして、前記第1の目的をより一層確実に達成できるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる水溶性中子用の鋳物砂は、上記目的を達成するために、けい砂、アルミナ系人工砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂の少なくとも一つから成る骨材と、リン酸塩系、炭酸塩系、硫酸マグネ系の一種又は二種以上の混合物からなる粘結剤と、これらに添加される水とから構成される、という手段を講じた。
【0011】
本発明にかかる水溶性中子の製造方法は、上記目的を達成するために、けい砂、アルミナ系人工砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂の少なくとも一つから成る骨材と、リン酸塩系、炭酸塩系、硫酸マグネ系、の一種又は二種以上の混合物からなる粘結剤とに所要の水を添加し、混練して水溶性鋳物砂を得、中子成型のための金型を80〜200℃に加熱し、該金型に前記鋳物砂を吹き込み充填し、しかる後に減圧箱にセットし、真空度0.1〜0.2Mpaで減圧し、同時に100〜500℃のホットエアーを前記金型内に3〜10分間送風し、前記金型内の中子を脱水硬化させるようにした、という手段を講じた。
【0012】
本発明にかかる水溶性中子は、上記目的を達成するために、上記水溶性中子の製造方法により製造される。
【0013】
【発明の実施の態様】
本発明の水溶性鋳物砂において、上記粘結剤が、骨材100に対して2〜10%であり、上記水が2〜10%で水温0から90℃であるのが好ましい。この比率で好適の保形力と乾燥効率が得られる。
また、前記鋳物砂100に対して、界面活性剤が0.02〜0.1%添加されてなるのが好ましい。これによって、鋳物砂の流動性を向上し、充填密度を高めた中子を成型できる。
更に、前記鋳物砂100に対して、けい酸ナトリウム水溶液が0.2〜1.0%添加されてなるのが好ましい。この場合、注湯後、水に浸漬したときに、残留アルカリ(Na2O)が水と反応して、水酸化ナトリウム(NaH2O)となり、軟化して砂粒子の結合を弱め、総体的に中子の崩壊性を助長させるものと考えられる。
【0014】
本発明の水溶性中子の製造方法において、前記鋳物砂100に対して、界面活性剤が0.02〜0.1%添加されるのが好ましい。これによって、鋳物砂の流動性を向上し、充填密度を高めた中子の成形を助ける。
また、この製造方法において、前記鋳物砂100に対して、けい酸ナトリウム水溶液が0.2〜1.0%添加されるのが好ましい。これにより、注湯後、水に浸漬した時、残留アルカリ(Na2O)が水と反応して水酸化ナトリウム(NaH2O)となって砂粒子の結合を弱め、総体的に中子の崩壊性を助長させるものと考えられる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明にかかる水溶性中子用の鋳物砂及び水溶性中子の製造方法並びに水溶性中子の好適実施例1から3について、図面を参照して詳述する。
(実施例1)
試験方法は、けい砂(100メッシュ付近、150ミクロン)100に対して、リン酸塩系粘結剤5〜6%、水4〜8%を加えた配合砂をスーパーミキサーで60秒間混練して供試材とした。
この混練鋳物砂を直径30X長さ50mmの試験片木型により、つき固め成型し、図1に示す実験装置によって脱水硬化させ、鋳型強さと充填密度などの鋳型性質を測定した。
図1において、1は、ホットエアーを発生させるための加熱装置であり、2は、中子成型のための木型であり、3は、中子としての試験片であり、4は、これらを収容した電子レンジであり、5は、中子を減圧するための真空ポンプ、6は、その真空メータである。
【0016】
その実験例の配合及び測定結果を図2に示す。
即ち、けい砂100重量%に対し、前記粘結剤5%に水4、6、8%と変化した場合、硬化直後及び1時間経過後の圧縮強さが高く、それ以降は急激に低下している。
また、粘結剤6%に水の添加量を4、6、8%に変化させた場合も、図3に示すように、前記図2と同様の傾向であった。
尚、図2及び図3のグラフの同種の2本の線は、それぞれ最高値と最低値を示す。
【0017】
水の添加量を変化させたときの圧縮強さを図4に示す。
即ち、水6%のとき、粘結剤5%、6%で圧縮強さが高く、水が少ない4%、多い8%の場合は逆に低下している。
適正な配合として、粘結剤材と水が等量の場合が高い鋳型強度が得られることがわかった。
【0018】
(実施例2)
上記実施例のけい砂、リン酸塩系、けい酸ナトリウム、水の混合砂を用いた水溶性中子用の鋳物砂とその製造方法と、その中子の脱水硬化方法について詳述する。試験方法は、図5及び図6に示す実験装置によって、脱水硬化させて鋳型強さと充填密度及び鋳型の状態を測定した。
図5は、二つ割りの金型7の斜視図であり、11は、金型7を過熱する電気ヒーターの結線である。図6は、減圧箱の概略を示し、8は、減圧箱、9は、ホットエアーの吹き込み口、10は、減圧手段に繋がる吸引口であり、7は、図5の金型である。
【0019】
造型工程としては、自動車用マニフォールド金型を、80〜200℃に加熱し、これに上記混合の鋳物砂を、ブローマシンにて3〜4気圧にて吹き込み充填して成型した。
この金型を、そのまま減圧箱にセットして密閉し、次いでホットエアー100〜500℃を持続し、さらに真空ポンプの減圧パイプを減圧箱に接続し、0.01〜0.02MPaで吸引した。
稼動時間5〜10分で、中子の外周部及び内部とも十分に脱水硬化させることができた。
【0020】
その結果を、図7の表1に示す。
▲1▼ 粘結剤6%と水6%の場合の鋳型強さは、ウレタン系鋳型(コールドボックス法)と同等の強さが得られた。
▲2▼ 粘結剤4〜2%、水4〜2%と配合量が減少するにしたがい、鋳型強さは低下するが、流動性が向上して、充填密度が良い鋳型が得られた。
▲3▼ 粘結剤3%、水3%の場合、実用上の最低現の配合であることが分かった。
▲4▼ 粘結剤5%、水5%にけい酸ナトリウム0.2〜0.5%添加した混合鋳物砂は、高い鋳型強さが得られた。
【0021】
(実施例3)
上記の鋳物砂による中子の崩壊についての結果。
▲1▼ 上記の配合鋳物砂にて、マニフォールドの中子を成型し、主型にセットしてAC74(アルミニウム合金)を750℃で注湯して、冷却後、鋳造品を水槽に投入した結果、泡沫を発生しながら、中子が崩壊し、単に砂粒子のみが残り、人工(外力付与等)を加えずに完全に砂落としができた。
▲2▼ 注湯後、約1時間経過して、鋳造品を水槽に納入した結果、中子が徐々に崩れ、5〜10分で完全に崩壊した。
また、水槽温度50〜60℃に鋳造品を投入した場合、10〜20分で中子か崩壊することが分かった。
▲3▼ 上記配合の鋳物砂に、けい酸ナトリウムを0.2〜0.5%添加した場合の中子は、注湯直後、鋳造品を水槽に投入したとき、上記▲1▼項と同様であったが、注湯後1時間経過して水槽に浸漬した場合は、上記▲2▼項と同様で徐々に崩壊して、5〜15分で中子は崩壊した。
【0022】
尚、注湯後直ちに鋳造品を水槽に投入した場合は、砂粒子間の結合部の粘結剤が吸水によって激しく沸騰して、砂粒子を解離し、中子の崩壊を助長したものである。注湯後、1時間経過の場合は、外部よりの給水で、粒子間の結合が徐々に解離し、中子が崩壊する。
また、けい酸ナトリウム添加の場合は、リン酸塩系粘結剤とは別に、残留アルカリ(Na2O)が水と反応して水酸化ナトリウム(NaH2O)となり、軟化して砂粒子の結合を弱め、総対的に中子の崩壊を助長させていると考えられる。
【0023】
【発明の効果】
本発明にかかる水溶性中子用の鋳物砂及び水溶性中子の製造方法並びに水溶性中子によれば、次ぎの作用効果を奏する。
▲1▼ 耐火骨材と特定の粘結剤を用いて、成型された中子に十分な保形力を付与しながら、注湯後の水への浸漬によって、外力付与することなく容易に崩壊できで、鋳造品から除去できる。これにより、従来の砂落としの工程にかかるコストを削減できる利点がある。
【0024】
▲2▼ 中子成型において、金型を減圧下におき、また、金型内へのホットエアーの吹き込みにより、中子の内部まで確実に乾燥させることによって粘結剤の力を最大限に引き出し、以て、中子の強度を高め、十分な保形力を発揮させることで注湯時に中子がひび割れ等を引き起こすのを未然に回避し、不良品の発生を防ぐ効果を奏する。
▲3▼ その他の具体的な利点は、上述の発明の実施の態様の項及び実施例の項において詳述した通りである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる水溶性中子の製造に用いられる装置の概略図である。
【図2】本発明にかかる一形態の水溶性中子の成型後の経過時間と強度との関係を示すグラフ。
【図3】本発明にかかる一形態の水溶性中子の成型後の経過時間と強度との関係を示すグラフ。
【図4】本発明にかかる一形態の水溶性中子の水の配合量と強度との関係を示すグラフ。
【図5】本発明にかかる水溶性中子の製造にかかる金型の斜視図である。
【図6】本発明にかかる水溶性中子の製造にかかる減圧工程の概略図である。
【図7】本発明にかかる水溶性中子の鋳型性質の比較を示す表1である。
Claims (8)
- けい砂、アルミナ系人工砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂の少なくとも一つから成る骨材と、リン酸塩系、炭酸塩系、硫酸マグネ系の一種又は二種以上の混合物からなる粘結剤と、これらに添加される水とから構成される水溶性中子用の鋳物砂。
- 上記粘結剤が、骨材100に対して2〜10%であり、上記水が2〜10%で水温0から90℃である、請求項1の水溶性中子用の鋳物砂。
- 前記鋳物砂100に対して、界面活性剤が0.02〜0.1%添加されてなる、請求項1又は請求項2の水溶性中子用の鋳物砂。
- 前記鋳物砂100に対して、けい酸ナトリウム水溶液が0.2〜1.0%添加されてなる、請求項2又は請求項3の水溶性中子用の鋳物砂。
- けい砂、アルミナ系人工砂、オリビン砂、ジルコン砂、クロマイト砂の少なくとも一つから成る骨材と、リン酸塩系、炭酸塩系、硫酸マグネ系、の一種又は二種以上の混合物からなる粘結剤とに所要の水を添加し、混練して水溶性鋳物砂を得、中子成型のための金型を80〜200℃に加熱し、該金型に前記鋳物砂を吹き込み充填し、しかる後に減圧箱にセットし、真空度0.1〜0.2Mpaで減圧し、同時に100〜500℃のホットエアーを前記金型内に3〜10分間送風し、前記金型内の中子を脱水硬化させるようにした水溶性中子の製造方法。
- 前記鋳物砂100に対して、界面活性剤が0.02〜0.1%添加されてなる、請求項5の水溶性中子の製造方法。
- 前記鋳物砂100に対して、けい酸ナトリウム水溶液が0.2〜1.0%添加されてなる、請求項5又は請求項6の水溶性中子の製造方法。
- 請求項5乃至請求項7の方法により成型された水溶性中子。
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